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レス252 HIT数 20072 あ+ あ-

空を見上げて( ♀ DSIe )
09/01/16 19:01(更新日時)

✨始めに(注意事項)✨

🍀主な登場人物や場所等の名称は仮名・もしくはイニシャルで話を進めていこうと思います。

🍀この話は自分が経験した過去の出来事から回想を始め、今という時間を経由してこれからいずれなる三十路のまでの話を書いていこうと思います。経験談と架空の話を織り交ぜて書くので宜しくお願いします。

🍀毎日更新は出来ないかもしれません。時折、間が空く事もありますが御理解下さい。

🍀約束事として誹謗中傷はやめて下さい。

ではこれからスタートです🙋

No.933031 08/09/29 12:50(スレ作成日時)

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No.51 08/10/06 21:15
空を見上げて ( ♀ DSIe )

まだクリスマス当日ではないが、街はクリスマスムード一色だ。並木道を歩くと街路樹に装飾を施しているのに気付く。夜になればとても綺麗だろう。西の空を見ると日が暮れようとしているため、なんともいえない美しい色合いの景色を見る事が出来た。しばらくして高層ビルが建ち並ぶ場所に辿り着く。その中の一角には展望台が設置されたビルがある。時間が時間なのか閉館前ので人は少ない。展望台に入れるかわからないがエレベーターで上がれるだけ上がれる事にした。互いに緊張しているのか、そのしばらくYも私もずっと無言だった。

No.52 08/10/07 07:03
空を見上げて ( ♀ DSIe )

やっとの思いで展望台に到着すると既に閉館していた。周辺を見るも座れる場所もなく店もない。私はエレベーターにまた乗ろうとしたが、Yは1つ下の階に階段で降りようとするので私は慌ててYを追いかけた。1つ下の階に降りてみると窓越しから景色を眺めるような広いスペースがあり、数ヵ所に椅子も設置されていた。「さっきの続きだけど…」さっきまで無言だったYが静かに話始めた。

No.53 08/10/07 12:30
空を見上げて ( ♀ DSIe )

「俺と付き合って欲しい」Yの口から遂に聞きたかった事が聞けた。私は返事をしようとした矢先、Yにそっと抱き締められて、二人の口が重なった。それと同時に顔が…手が…冬なのに身体が熱くなっていく。身体が熱に侵されているような感じだが、味わった事のない幸福感が込み上げてきた。緊張していたので頭が真っ白になったのか?自分でどういう返事をしたのかハッキリと覚えていないがこの日が二人の記念日となった。

No.54 08/10/07 19:17
空を見上げて ( ♀ DSIe )

Yと付き合う事になったそんなある日、私は古くからの友人Eに彼氏が出来た事を報告する事にした。Eとは同じ年齢ではあるが、恋愛経験では彼女の方が上であり、知識も豊富だった。それにEには長い付き合いになる彼氏もいる。EとはEの彼氏の手前もあり、気を遣って私からあまり連絡をする事もなくなりつつあったが、私が連絡をするとすぐにEから『どうせなら会って話そう』という返事が返ってきた。そして早速翌日に会う事にした。

No.55 08/10/07 20:53
空を見上げて ( ♀ DSIe )

久々に会ったEの髪は最後に会った時のセミロングからロングへと変わっていた。メールで時々連絡はしていたが直接会ったのは数年振りである。私の髪といえばショートからセミロングになっており、互いの服装の好みも見る限り変わった感じがした。ボーダーやデニムを好むさらっとしたカジュアルシンプルな服装の私と真逆でEは小物を上手く使い、ワンピやポンチョといった服装でフェミニンな雰囲気を醸し出している。昔からのEを知ってるだけに変われば変わるものだと私はこの時素直に思った。

No.56 08/10/07 22:22
空を見上げて ( ♀ DSIe )

どういう訳か報告をするつもりが、ひょんな事からカラオケボックスの一室で何故かEから恋愛指導を受ける事になった。Eは凄く乗る気まんまんだ。私はそんなEの様子に戸惑いつつも、Eから最初に色んな質問を受ける事になった。私はEに見せるために事前にプリクラを用意していたので“最初に見せた方が口より説明が早い”と思い、1枚のプリクラをEに手渡した。Eはそれを受け取るとプリクラに写っているYを見る。少しの間、静かになったがしばらくして「えぇーーッ!?」という声がカラオケボックスの室内から響き渡った。

No.57 08/10/08 07:08
空を見上げて ( ♀ DSIe )

とにかくEは凄いで驚いていた。何度も「なんで?なんで!?」と同じ事を繰り返す。どうやらその驚きは半端ではないようだ。好みの問題も勿論あるとは思うが、世間一般的に見てもやはりYはイケてるらしい。現に私がYと並木道を一緒に歩いた時、Yに対する周りの女子の視線は凄かった。幾度となく人と行き交う度に「うそッ?」「あの人が彼女!?」って会話でさえ耳にしたぐらいだ。私もこんな経験をした事がないのでどういう態度を取ればいいかわからないが、その時は出来る限り気にしないように心掛けていた。

No.58 08/10/08 12:47
空を見上げて ( ♀ DSIe )

ここでちゃんしたYの容姿の話を…。髪の長さはショートで髪質はねこっ毛。髪色は少し色の落ちたアッシュブラウン。体力を使う仕事柄のお陰でそれなりにいい感じで筋肉はついているが嫌味を感じない爽やかな感じだ。全体像を一言で例えるならワイルドという言葉がよく似合う。「どこで知り合ったの!?」Eは食いつくように聞いてきた。実はEも今の彼氏とはサイトで知り合ったのを知っていたので私は「Eと状況は同じだ」と言った。しかしEは首を左右に振り、「全然違う!」と力強く主張した。

No.59 08/10/08 18:59
空を見上げて ( ♀ DSIe )

Eと久しぶりに会って色々と質問責めをされたが、これを機に互いに恋愛の相談をよくするようになった。ただ時折、Eが相談する内容は過激であり刺激が強過ぎる事もよくあった。「ただ長く人と付き合うとマンネリも生じるよ」とよくこの言葉をEは口に出していた。しかし私の場合、Yと関わる度に常に刺激の連続だった。何度振り返ってもこんな事を経験したのはこの当時しかない。いつかこの話を物語に出来るのではないか?と当時は思っていたが今、それがこの掲示板で現実になっている。

No.60 08/10/08 22:02
空を見上げて ( ♀ DSIe )

待ちに待った付き合い始めて初デートの日。いつになく、二人してオシャレに余念がなかった。何故なら世間はクリスマス。赤や緑のクリスマスカラーの配色が街全体を彩り、イルミネーションの光が夜になれば幻想的な輝きを見せる。街の至る所からクリスマスソングが流れ、それだけでも自然と心も弾むものだ。もっと早くから付き合っていればクリスマスディナーの予約やプレゼントの用意も出来ただろうが、クリスマスの数日前に付き合う事になったのでそれも叶わず、それなりにクリスマスムードを二人で満喫する事にした。

No.61 08/10/09 08:28
空を見上げて ( ♀ DSIe )

街を散策しているとある看板に目をとめた。そもそもここはなんの建物だろう?看板の先では何か人が賑う声が聞こえてくるが道が狭いのか人の姿が見えない。よく意味のわからぬまま、Yと私はふらりと中に入ってみた。看板より先へ進むと道はカーブを描いており、曲がらなくてはならない。“このせいで人が見えなかったのか”と思い、先に進むとたくさんの人だかりが見えてきた。その人だかりを向こうには公開生放送中のラジオ局のスタジオがあり、「なるほど」二人声が揃う。これにYと私は納得した。

No.62 08/10/09 19:50
空を見上げて ( ♀ DSIe )

しばらくスタジオを見学する事にした。まだまだ公開生放送はずっと続く模様だ。スタジオ中はラジオのDJやスタッフのみでゲストらしい人物が見当たらない。しばらく立ち止まり、聴いていると夕方からゲストが出るという情報を手に入れた。それならその時に改めてこようという事になり、一度その場を離れる事にした。

No.63 08/10/09 21:51
空を見上げて ( ♀ DSIe )

それまでの間、結構待ち時間があった。時間的にも小腹が空く時間だ、軽食を摂ろうと店を探す事にしたがどの店に行っても混雑している。「どうしよう?場所(エリア)離れてまた探す?」私は何気なくYに問い掛けた。すると「あのさ…行きたい所があるんだけど…」どこが歯切れが悪く、私の様子を窺うように上目遣いでYは言ってきた。「あ、どこかあるの?」とまた問うと私の耳元で「したい…」とYは囁いた。「……」耳元が熱い感じになり、思わず耳元を押さえながら静かに私は頷いた。今いる場所から少し離れた所にホテル街が見えていた。

No.64 08/10/10 07:12
空を見上げて ( ♀ DSIe )

いつかこうなる事は予測していたが実際行くと緊張する。事前情報としてEから店の仕組みや男女の過激な話は聞いていたが、私は初めてという事もあり、とにかく内心落ち着かなかった。店に入ると幸か不幸か空いている部屋がまだ残っていた。

No.65 08/10/10 18:36
空を見上げて ( ♀ DSIe )

部屋が決まり、中に入って荷物を置こうとした矢先、後ろからYに抱き締められた。私は緊張のあまりビックリして身体が一瞬硬直する。それに気付いたのか?Yは両腕で私を持ち上げた。「きゃっ!」小さいなりにも驚きの声が出てしまい、私の身体は宙に浮く。これが噂に聞くお姫様だっこなのか?こんな状況の中でも思わず感動してしまった。「嬉しい?俺のお姫様」私の様子を見ていたYは笑顔で言ってきたので、恥ずかしさのあまり条件反射でYの頭を軽く叩いた。

No.66 08/10/10 20:08
空を見上げて ( ♀ DSIe )

人を本気で好きになるとここまで違うものなのか?突き動かす動力の源となったこの愛情を私は信じられずにいた。Yと知り合って皮肉にも自分の世界の狭さに気付く。肌で知る温もりや触れる悦び、感じる力強さを今まで知らずに生きてきた。これが愛されるというのならこの上ない幸せなのだろう。Yの手によりこの日、私は少しずつ開花し始めた。

No.67 08/10/11 12:54
空を見上げて ( ♀ DSIe )

触れられる度に吐息が漏れた。互いの鼓動が高鳴り合い加速する。息も出来ぬ程、口を重ね合った。「S…」Yは何度も何度も私の名前を呼ぶ。素肌を重ねれば重ねるほどに互いの身体の熱さを感じ、熱を帯びる。そしてYのしなやかな腕が私の身体を包み込んだ。もうそれだけでも自分のキャパを越えそうだった。

No.68 08/10/11 23:46
空を見上げて ( ♀ DSIe )

きっと色んな人と経験したのであろう、どこか扱い慣れた感じのYに翻弄されながらも優しくリードされた。服を一枚ずつ脱がされ、互いに自然な姿になっていく。「首筋に手を回して…」「大丈夫だよ…」何も知らない私に丁寧に教えてくれた。Yが慣れているのは今までの経験があるからだ。そう思うと苛立った。「慣れててなんか悔しい…」Yの耳元でそう囁くと私は軽くYの耳に噛んだ。

No.69 08/10/12 09:28
空を見上げて ( ♀ DSIe )

気が付けば私は抱き締められたままYの胸の中で眠りに落ちていた。Yも寝息を立てながらよく眠っている。目が覚めた私はYの腕を払い除け、Yの寝顔を覗き込む。端正な顔立ち、長い睫毛…全てが愛しく想える。そんな時、ふと以前Eに会った時に言われ事を思い出した。

No.70 08/10/12 14:04
空を見上げて ( ♀ DSIe )

Eの恋愛指導でこんな事があった。愛し合った時の男の態度についてだ。一通り終了後、相手の気遣い、すぐに女の側を離れる男は浮気をしている可能性がある。Eの経験談なのか?或いは何かの受け入りかは不明だが、そんな事を私は思い出していた。そんな時、寝惚けながらYは手探りで何かを探している事に気付いた。

No.71 08/10/12 17:08
空を見上げて ( ♀ DSIe )

70回目に突入しました。のんびりペースで進めてるので話の展開は遅いですがまだ続けても良いですか?😂🆘

No.72 08/10/12 19:41
ピノ ( 20代 ♀ LliO )

>> 71 毎回更新楽しみにしてます😃✨
ぜひ続けて下さい😃

No.73 08/10/12 19:44
匿名 ( DKUKh )

私もとても楽しみにしています😄
続けて下さいm(__)m!

No.74 08/10/12 22:17
空を見上げて ( ♀ DSIe )

有難うございます!
ピノさん!匿名さん!✨話の展開は地味かも?ですが、これからも宜しくお願いします🐥✨

No.75 08/10/13 06:12
空を見上げて ( ♀ DSIe )

何故か内緒で寝顔を見てた事がバレるとマズイと思い、Yに背を向ける形で慌てて私は寝直した。すると後ろからそっと抱き寄せられ、“私を探していたのか?”とそう思った瞬間、身体の身動きが上手に取れなくなっていた…(あとはご自由にご想像を💖)

No.76 08/10/13 08:15
空を見上げて ( ♀ DSIe )

その後、店を出ると日もすっかり沈み、イルミネーションの明かりも点灯されていた。店を出たのはいいが、身体の熱がまだ残っているのか?手を繋ぐ事で精一杯だった日中に比べ、まるで互いの体温を確かめ合うように自然に二人とも寄り添い、肩を寄せ合ってた。再びラジオ局へと戻るとタイミング良くそろそろゲストの紹介が始まる頃であった。

No.77 08/10/13 12:18
空を見上げて ( ♀ DSIe )

ガラス越しではあるが、スタジオからゲストを見る事が出来る。スピーカー越しにDJの軽快なトークは進み、ゲストの紹介に進むに連れ、次第に周りの観客達のボルテージも上がってゆく。今でもゲスト登場後の観客の悲鳴にも似た叫び声は忘れられない。興奮冷めあらぬ中、観客の前に登場したのは人気絶頂の某女性アーティストだからだ。(※因みに彼女はこの時から数年経った今もその人気を不動のものとしている。)

No.78 08/10/13 14:48
空を見上げて ( ♀ DSIe )

…ただYとはそれから年を跨ぎ、翌年の梅雨の時期まで付き合っていたが、あの楽しかったクリスマスの時から次第に歯車が狂い出していた。それから後も楽しい時期は勿論あったが、寧ろ辛い時期が徐々に増えていったような気がする…。

No.79 08/10/13 19:19
空を見上げて ( ♀ DSIe )

ある日を境に私はYといる時の安心感よりも不安感の方が募り始めていた。苦労しなくても良いような苦労があったからだ。極端に例えるなら人気アイドルグループの男性(Y)が一般女性(私)との交際をスクープされた時ぐらいの大変さだろうか?とにかくYは容姿のお陰でよくモテてていた。それに比べ私は知らない人から反感や恨みを買われ、嫌がらせを受ける回数も増え始めていた…。

No.80 08/10/14 18:50
空を見上げて ( ♀ DSIe )

直接被害を受けた訳ではないが、どこから調べたのか?私宛てで知らないアドレスから苦情にも似た悪戯メールが届く事もあった。その時はすぐに着信拒否設置をし、淡々と対処したが、Yの過去についてはいずれ多少は知らないといけないような気がしていた。そんな考えが浮かび上がったその時、カバンの中に入れてあった携帯が鳴り響いた。

No.81 08/10/14 19:12
空を見上げて ( ♀ DSIe )

とある郊外。見晴らしも良く、海が見渡せるファミレスで魚介類をメインしたランチバイキングをYと二人で楽しんでいた。携帯が鳴った時、次のデートはここにしようと決めていたのだ。互いにトレイを持ち、好きな食べ物を皿に盛り合わせていく。体力仕事の仕事柄、当然Yは食欲旺盛で食べる量も豪快で凄かった。私もバイキングという事もあり、いつも食べる量より少し欲張った。そんな状況の中で、Yに以前付き合ってきた人の話を聞く事にした。

No.82 08/10/14 21:50
空を見上げて ( ♀ DSIe )

「あのさ…私と付き合う以前って何人ぐらい付き合っていたの?」パンを片手に食べながら聞いてみた。Yは口の中いっぱいに食べ物を含んでいたので飲み物を手にするとすぐに流し込むようにする。軽く咳払いし、「17歳から人と付き合い出して6人…」とさらっと言った。「じゃあ…私は7番目?」と咄嗟に言葉を走らせるとYはスープを飲みながら頷いた。この当時、互いに23歳の頃である。同じ年ではなくYは私より1つ年上だが、早生まれのせいで誕生日がくるのが遅かった。

No.83 08/10/15 07:14
空を見上げて ( ♀ DSIe )

“単純計算しても1年単位で付き合っている人が変わっている…”私はそう思ったがもう少し深く聞く事にした。「最高と最低と平均でどれぐらいの付き合い?」今後はパスタとサラダを交互に食べながら質問する。Yは御飯を一口食べると「最高は3年で年上の人で、最低はすぐに振られて一週間ぐらいかな?」今度は新たに取ってきたフライ物に手を伸ばしつつ、「平均はよくわらかん」と言うとポテトフライを食べ始めた。

No.84 08/10/15 19:29
空を見上げて ( ♀ DSIe )

私もYと一緒にポテトフライを食べ始めると「一応振られた経験もあるんだね」と言いながら笑った。Yはなんで?っといった顔つきで「今まで昔の事なんか聞いた事もなかったのにどうしたの?」と今度は質問された。「今まであんまり興味なかったけどなんか聞きたくなったから」と言うと、誤魔化すために私はYの口に向かいポテトフライを差し出した。Yは条件反射でそれを食べてくれたので私は笑顔になった。

No.85 08/10/16 06:33
空を見上げて ( ♀ DSIe )

桜がまだ花咲く前の蕾の頃。Yと海辺に向かった。駐車場に車を止め、しばらく砂浜を歩きながら散歩を楽しむ。風は冷たいが日中なので陽射しは温かい。ここは以前付き合う前にも訪れたN市にあるRタウンである。正確にはRタウンの端に位置する場所で、前回いた中心部から少し離れていた。中心部を外れると遊具などはなく、ベンチが点々とあるのみでどこか殺風景な気がしたが、よく見ると近くにはサイクリングロードがあり、サイクリングやペットと散歩する人達の姿を見る事が出来た。時間が静かに流れるような穏やかな休日だった。

No.86 08/10/16 18:17
空を見上げて ( ♀ DSIe )

この穏やかな日を…幸せを…いつまでも噛み締めて生きていきたい。ただ側にいてくれるだけで良かった。小さい願いかもしれないが心からそう願った。だが心とは裏腹に別れのカウントダウンはこの日から始まっていたかもしれない。普段ならデート中に携帯を触らないYであったが最近では私が側にいるのにも関わらず頻繁に携帯を触るようになっていた。

No.87 08/10/16 21:10
空を見上げて ( ♀ DSIe )

Yの携帯には何度か触れる機会があった。勿論、無断ではなく本人の許可を得た上でだ。見た内容はメールのやり取りなどではなく、主に画像を見る事がよくあった。Yは携帯のデータ整理をしていないのか?写真のデータだけでも凄い量で、その写真を遡ると自然と今まで知らなかった事実が見え隠れしていた。過去のY…、Yが過去に目にした風景…、そしてこれまでYが関わってきた人々…私はYの横である人物を思い出した。

No.88 08/10/17 07:02
空を見上げて ( ♀ DSIe )

もしかしたら私は携帯越しにYが付き合ってきた歴代の彼女を見てきたかもしれない。もしそれが事実なら写真以外にもまだアドレス帳に歴代の彼女の連絡先も残しているかもしれない。そう思うと怖くなった。身体が震えたかもしれない。信じたくなかった。後ろからYに寄り掛かるように抱きついた。

No.89 08/10/17 20:14
空を見上げて ( ♀ DSIe )

この日が身体を重ねた最後の日になった。いつもと違う悲しい終わり方…。あんなに愛された日は遠い夢のようで、側にはYはいない…。重ねた後すぐにベッドから離れ、Yはソファに座っていた。“普段なら私の側を離れなかったのに…”私はYの考えさえももうわからなくなっていた。皮肉にも以前、Eが話した通りになってしまっていた。Eはこういう経験をしたんだ…。まさにそういう状況下にいた。“浮気か…”自然とその言葉が頭を掠める。でも私は問い詰める事はしなかった。それは遅かれ早かれ終わりを意味するからだ…。

No.90 08/10/18 01:35
空を見上げて ( ♀ DSIe )

あれから春は駆け足で通り過ぎ、新緑の季節を迎えていた。木々が若葉色に染まり、命の息吹を感じる季節…。しかし私はその季節に反し燻っていた。時刻は深夜の事。Yといつもやり取りしていたメールも日が経つとともに回数は減少していた。メールに始まり、メールで終わらせる気なのだろうか?そんな事だけは手に取るようにわかっている自分がいた。ただメールではなく、“最後になるなら直接会って別れを告げたい”そう覚悟を決めたその時、ついにこの日がやってきた。

No.91 08/10/18 18:20
空を見上げて ( ♀ DSIe )

偶然手にしていた携帯が鳴り出した。Yからだ…。メールを確認すると、『好きな人が出来たから別れたい』と短い文章で綴られていた。『こんな形で終わるのは嫌だ』と私はすぐにYにメールを返す。だがなかなか返事が返ってこない。しばらく待ったが待つ時間が辛くなり、耐えられなくなった私はYに電話をかけた。やっとの思いでYに繋ると「もしもし…」弱々しい声ながらも私は話し出す。「はい…」電話に出たYの声は泣き声にも近い声だった。もしかしたら泣いていたかもしれない…。「会いたい…」やっとの想いで声を出したのはいいが私も堪えていた涙が溢れそうになっていた。「…わかった」しばらく長い沈黙があったがYから返答を聞く事が出来た。深夜の電話はこれで終わった。長い夜の幕開けだ。“今日は眠れぬ夜を迎えそうだ”

No.92 08/10/19 09:07
空を見上げて ( ♀ DSIe )

翌日の早朝、始発の電車が運行を始める頃にある駅で待ち合わせる事になった。ただ今日は平日だ。平日は互いに仕事のため時間的にも慌しいが、Yが早朝に会う事を提案した。互いに話は早い方がいいと判断したからだ。ただYが車を所持していたらまた状況が変わっていたかもしれない。生憎、Yの車は車検が切れたのと同時に古い車を廃車していたのでこの時ばかりは仕方がなかった。始発の電車に揺られ、眠い目を軽く擦ると車内の窓から朝日がようやく見えてきた。ドア越しなので日の光が肌に当たる。ドアに寄り掛かるようにもたれていると次第に目的の駅が見えてきた。「はぁ…」小さく溜息が出る。“ここからが正念場だ”と自分に言い聞かせて目的の駅で下車をした。

No.93 08/10/19 16:15
空を見上げて ( ♀ DSIe )

改札を降りると、指定の場所に既にYはいた。「待たせたかな?」なんとも声を掛けにくい状況の中、私は無理に声をかけた。「いいや、そんなには…」心此所に在らずといった感じでYは答える。少し間を置き、話せる所に移動する事になった。移動中にも関わらず私は思い切って聞く事にした。「好きな人って誰なの?」いきなり核心を突く質問にYは迷わず答え始めた。「Sの前に付き合ってたコから久々に連絡があった」「最初は互いに近況報告する程度だったけど、何度か連絡を貰う内に気になり始めて…」誰かは不明だが、歴代の彼女の内の1人には間違いなかった。私の予感的中してしまった。

No.94 08/10/19 22:49
空を見上げて ( ♀ DSIe )

「元カノのアドレス残していたの?」私は更に深く追求した。「うん…」Yは頷く。「なんで…?自分からまさか連絡してたの?」咄嗟に口元に手を当て私は怒りを堪えた。「自分から元カノに連絡した事はない。元カノから連絡があって…以前の気持ちが甦った」Yの口から出た言葉に私は落胆した。「会ったんだね…いつ…?」責め立てるようにYに言うと「今年に入ってすぐぐらいに一度だけ…」Yは私の目を合わさず答える。「信じられない…!」遂に私の怒りは爆発した。別れ話をされているクセに本人を目の前にすると何故か泣く事が出来なかった。何故だろう…?もしかしたら私は自分のプライドが許せなかったかもしれない…。

No.95 08/10/20 07:39
空を見上げて ( ♀ DSIe )

駅から近いコンビニの裏で1時間少々話をした。Yの気持ちは変わる事なく私も既に悟っていたがこの時は「別れたくない」と言ってYを困らせた。すんなり別れて元カノの元に行かせたくなかったからだ。悔しい気持ちが嫌な女にさせたかもしれない。私は言った。「別れたいなら最後に私のお願い聞いて…」Yは私を見た。「何…?」「最後になるなら最後のデートをしたい」私は無茶な要望をYにぶつけたがYは最後ならと了解した。

No.96 08/10/20 20:02
空を見上げて ( ♀ DSIe )

ラストデート当日、空はあまりいい天気とは言えない曇空、まるでYと私の心境を表すような天気だった。空気が湿気ている、梅雨のせいもあるだろう。最後のデートと言っても特に変わった事をする訳ではなく、何も普段と変わりはなかった。Yは私を嫌った訳ではないらしく、別れるのも辛くて泣いた…とこの時初めて明かした。“きっと以前、別れ話をした深夜の電話の時だろう”私は“タイミングが違うだろ…”と思い、Yに向かって苦笑いを浮かべた。

No.97 08/10/21 08:00
空を見上げて ( ♀ DSIe )

梅雨が明けて夏がくれば私は24歳の誕生日を迎える。メールで知り合ったのは誕生日を迎える前の22歳。知り合って1年、付き合って半年の付き合いだったが考え深い1年だと思う。本当ならYに誕生日も祝って貰う予定だったがもうそれは叶わない。口には出さないが私の中で色んな想いが巡り巡った。そんな時、雨が降ってきた。二人とも傘を持っていない。道端にいたため、急いで雨宿り出来る場所を探した。

No.98 08/10/21 19:43
空を見上げて ( ♀ DSIe )

5メートル程先に駐車場が見えた。屋内駐車場らしく、雨宿りも出来る。Yと顔を見合わせ頷くと駆け足で向かった。大して濡れる事はなかったが互いに服についた雨粒を払う。元々天候が悪かったせいか?駐車場には周囲の人影すら見当たらない。二人っきり…。私はYと少し距離を置こうとした。「ゴメン…」突然そう言うとYが人目を避けるように壁際に私を引き寄せた。あまりに急な事に私は受身も取れず倒れそうになる。幸いYが支え、なんとか体勢を立て直したのはいいが、私はそのまま抱き締められた。

No.99 08/10/22 07:03
空を見上げて ( ♀ DSIe )

「痛い…離して…」あまりに強く抱き締められるので身体が痛い。振り解こうとしたその時、口が重なった。私は抵抗しようとしたが、まるで何かを刻み込むような激しさに最後の別れを噛み締める事した。“時間が止まればいいのに…”と思ったが時間は無情にも過ぎてゆく…。「さようなら…」抱擁が終わるとYが嫌いな言葉を私は耳元で告げた。Yに対する私なりの精一杯の皮肉だ。「元気でな…」Yはそんな私とは真逆の態度を取り、私の頭に頬を寄せるとそっと頭を撫ぜた。Yの肩越しから外を見ると気が付けば雨は止んでいた…。

No.100 08/10/23 06:41
空を見上げて ( ♀ DSIe )

家路に着くとすぐに部屋に入った。部屋に入った途端、暗闇の中で私は自覚した。

側にはYはいない。もうYの声を聞く事も笑顔を見る事も触れる事も出来ない。全てが終わった今頃になって私の中で何かが弾けた。

地面に崩れ落ち、Yの前で最後まで流れなかった涙が止めどなく溢れた。ただ気が済むまで泣く事にした。その後も幾日も幾日も気が済むまで泣き続けた。

この時に気付く、私は“Yに依存していたかもしれない”と…。

この経験を踏まえた上で時間はかかるかもしれないが自分に自信がつく何かを見つけようと心に誓った。
 

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