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雪の精霊と、檜の芽

レス3 HIT数 376 あ+ あ-

小説好きさん
22/04/02 02:00(更新日時)

再投稿になります。理由は、後にお話ししますね。

俺は、アイツに死んで欲しい。
そして俺自身を殺して欲しい。
でも、アイツは俺に生きてて欲しい。
それでも、アイツは今も俺を殺そうとしている。
複雑に絡みつく思考を濁らす為に、今日も自傷を繰り返す。
でも、アイツが願う以前に、アイツが生きる限り俺は死なない。いや、死ねないというのが正しいのかもしれない。だって、アイツを呪う事が、俺の生きている唯一の理由だから。

「ヒノキ君、望む、なら、私は、なんだって、する。」

目の前のアイツは、ーー白髪青眼の愛らしい少女は、辿々しい口調を紡いだ後、満足そうな微笑みを浮かべながら、俺へと手を伸ばす。
「オレに、触れるなっ‼︎ユキノの禍が感染る‼︎」
絹糸のような色をした手を叩くと、小さく赤み掛かっているのが目に見えて分かる。その外傷は、傷一つない彼女の美しさを際立てるだけのただのエフェクトであった。
禍なんて、接触で感染するわけないのに。だから、叩いたりもしているのに。
俺は、それを認めたくなかった。否、認める以前に気付くことさえできていなかった。
ユキノと呼ばれる少女は、悲しむでもなく、憂いるでもなく、ただ単にヒノキという少年を見つめている。
見るな。
これは、少女の態度に少年が、対して思ったことではない。自分自身がユキノに思った事であった。
今、このユキノを見れば、確実に感染ってしまう。
禍の病魔に侵されたユキノは、禍者として邑離れの小屋に身を追いやられてしまった。そして、その小屋には、いかなる理由があろうとも、入室や探索を禁ずる。それが、うちの邑での掟であり、誰もが理解しているルールであった。

俺は、生を受けたとき、檜(ヒノキ)という名前を貰い、人並みの愛情をもらって生活していた。
はずだった。元々貧しかった家だが、父の底なしの楽観さから、母も、俺も、その事で苦労する事は、数え切れないほど数多にあったが、それなりに幸せで、その日その一瞬を大切にして過ごしていた。
でも、父は一線を超えた。邑で噂になっているゴロツキ共に、俺が一方的に殴られてるのを親として、人間として見捨てることはできなかったんだろう。父は、真っ向から勝負をふっかけて、容易に負けるような腕の持ち主ではなかった。そこらへんのゴロツキ、ましてや盗賊よりも腕っ節はよく、正々堂々勝負をふっかけるような人だった。結果、父は、ゴロツキ共に勝った。
勝敗の見返りは、ゴロツキ一人の殺害だった。
無論、それは、不慮の事故だった。だが、邑の者は皆、薄情な奴が多い。父の味方をする者は、一人、二人と、段々とその数を減らしていった。
楽観者ほど、気に病んだ時、怒った時は、手をつけられなくなるものだ。父は、おかしくなった。いや、禍に掛かったと言った方がいいかもしれない。でも、その言い分は、邑の者の意見と言うだけで、一本の緩い糸で理性を保つのに必死な父は、俺と母から見たら、どこもおかしくない。いつもの父にしか見えなかった。もしかしたら、楽観者だと思っていた父は、いつもこのような局面にいたのかもしれない。父がいない今となっては何もわからないが、たしかに父は正常だったように見えた。

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No.3476970 22/02/15 18:05(スレ作成日時)

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No.1 22/02/15 18:06
小説好きさん0 

この邑では、人を殺め、気をおかしくしたものは、禍という一種の呪いに掛かったと言われるのだ。それを禍者と言い、非難する。
当然、父も禍を持っている者として接された。母は、とばっちりと言っていい扱いを受けていた。俺は、前の生活とさほど変わらない日々を過ごしていた。今思えば、父と母に甘えていただけの自分は、何も失うものなどないと、そう思っていたのだ。
その、甘えていた存在が、永遠の存在なわけが無いことは、気づいていただろうに。心の何処かで、居場所を失うのが怖くて、否定していたのだ。
その結果、俺は、選択肢を誤った。
父は、火炙りに。
母は、斬首刑に。
俺はーー禍を持つ少女、雪の精霊と有される奴の元に、袋詰めにされ捨てられた。

雪の精霊は、俺を殺す為に生まれてきた。

別にいい。勝手に殺してくれ。そう思っていた。なのに、なんでアイツは俺に生きろと、願うんだ。

これは、雪の精霊と少年の運命を左右する物語。一つの選択肢を二つに変える。そんな、逸話のような物語。
二人が、一つになる。そんな、魔法のような御伽噺の、ーー始まり始まり。

No.2 22/02/15 18:07
小説好きさん0 

1 雪の精霊、名前を貰う

じーー
絹糸のような雪の肌、華奢な体、なによりも際立っている白髪青眼の髪、顔立ち。
「やっぱお前、雪の精霊だろ」
「違う、よ?」
辿々しいながらも即答する少女は、本当のことを言っているように見える。
いやいやいや、昔見た絵本の雪の精霊と瓜二つだし、何よりも…
「じゃあ、なんで名前ねぇんだよ」
そう問うと、少女は、困ったように首を傾げるだけで何も言わなかった。
「はっ、それが雪の精霊、つう決定的な証拠だろ」
 うちの邑では、道端の野良猫でさえも名前を付ける。
それが、邑の三つの中の掟の一つであったから。
たまに、同じ野良猫に違う名前を付けていて、喧嘩したこともあったが、結局はそいつと俺が考えた「タマ」と「マル」を合わせて「タマル」になった。とかいうくだらない思い出もある。そんな掟の一つを思い浮かべながらまたも少女に話しかける。
「この邑ではな、一匹の羽虫でさえ、名前をつけなきゃいけない、つー掟があるんだよ。名前を持たない者は、自分の名前さえ理解できなくなっている禍者だけだ。そして、この邑で唯一の生き残りの禍者と言ったら雪の精霊しかいねえ。お前は、雪の精霊。そして、この邑の害悪、禍者なんだよ」
そっか、とでもいうように少女が、視線を落とす。
我ながら、酷いもんだ。そう思ってはいても、俺が少女に救いを差し伸べることはない。
むしろ、この森では少女の方が知識豊富だ。俺のほうが助けてもらいたい。と思いながらも、苦虫を噛み潰したように嫌味を込めて少女を睨む。
少女の救いとは、人に触れる事だろう。そう分かっていたとしてもわからないふりをしておく、それがこの少女と付き合っていく上での最善策だ。

No.3 22/04/02 02:00
❀ ( qbFbob )

理由は、あっちの方で何故か投稿が出来なかったからです。
遅くなり申し訳ありません。
ちょっと、本音を言うと、このお話面白くなさそうなので閉鎖です。
見てくれた方、ありがとうございます<(_ _)>
結末……は想像で補ってください。
では、他の作品であいましょう。

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