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オート志須磨

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携帯小説ファン( ♂ )
14/09/22 17:10(更新日時)

気に入らない奴は、すべて
己の拳で、ぶちのめし。

白黒つけてきた苫米地さくら(男)

しかしだ、こんな強い俺でも、瞬ボコされた輩がいる

それは、日本バンタム級王者の…

『オート志須磨』だ!

俺は、オート志須磨に借りを返すべく…

ボクシングに、青春を賭けることにしたぜ、みんな。

14/06/03 21:26 追記
※ボクシング観戦が趣味の作者です。(ボクシング経験は無し)

実際のボクサーは、優しい方々ばかりです。

ハードボイルドと、笑いをテーマに作品を作ってます

読んで下されば、うれしく思います。

14/06/09 10:01 追記
※作者、ただいまボクシングシーン執筆の為、取材中です。構想が、まとまりしだい発表していきたいと思います。

No.2100071 14/05/30 11:48(スレ作成日時)

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No.1 14/05/30 12:35
携帯小説ファン0 ( ♂ )

第一章・ハート

下の階から、しつこいフライパンの叩く音で、目覚めた俺は、そろそろ家を出ないと、遅刻してしまうと気がつき、あわてて学校の制服に着替えて、下の階に降りていった。

俺の優しいドカベンに少し似た母ちゃんが、おこしてくれたのに、感謝の言葉を言った後、朝御飯も食べる時間が無いので、急いでリーゼントを整えて、自宅を出ることにした。

朝の登校は、コレ(俺のスケ)と、仲良くチャリンコ2ケツで登校する。

母ちゃんの、ママチャリのドカベン号で、急いで自宅を出て、コレのアパートに向かうことにした。

No.2 14/05/30 17:06
携帯小説ファン0 ( ♂ )

コレの住んでるアパートまでは、俺の自宅から自転車で、10分ほどかかる距離にある。

母ちゃんが、駅の駐輪所で盗まれて、つい一週間前に新しく買った、真っ赤で、綺麗な白いカゴが付いた、『ドカベン号』は、朝の通勤で駅に向かう人々を、ジグザグに走って避けながら、進んでいく。

まだ2月だから風が冷たい。マフラーも、ジャンパーも、手袋も無い俺は、今度コレにマフラーでも編んでと頼もうと考えながら、不機嫌そうな顔して駅に向かう、通勤者達を次々に追い抜いて行った。

No.3 14/05/30 18:46
携帯小説ファン0 ( ♂ )

しばらく進むと、三差路があり左手すぐに、コレの住むアパートがある。

その三差路前に、4台の自転車にまたがり計6人の男子高校生が、寒さで泣きそうな顔をして集まっていた。

『苫米地さくら&キョンシーズ』のメンバー達だ。


キョンシーズは、俺こと、苫米地さくらの手下どもで結成された、親衛隊である。

俺達の通う『西商』へは、番長の俺が乗るドカベン号をガードするようにして、4台囲んで走り、自転車を持ってない2人は、1人は俺の鞄を抱え、もう1人は、俺がシーツを引き裂いて作った、お手製の旗『苫米地さくら&キョンシーズ』と俺の汚い字で書きなぐった、旗をはためかせながら、走って自転車組を追いかけるのだ。


そしてチームの皆で、チームの姫であるコレを迎えに行き、我々の通う『西商』へ登校するのである。

No.4 14/05/31 03:46
携帯小説ファン0 ( ♂ )

キョンシーズは、俺の姿を見つけると、『苫米地さん、あざーす』と口々に、挨拶してきた。


キョンシーズと、合流したところで、煙草『わかば』を取り出した俺に、鞄持ちである、須田ことスターリンが、百円ライターで煙草に火をつけてくれる。


チームの旗持ちである五十嵐こと、イガにコレを呼びに行かせ、コレとイガが、来るまで、煙草を吸って待ってることにした。

No.5 14/06/01 22:14
携帯小説ファン0 ( ♂ )

のんびり、煙草をふかしてると、自転車組の世良ことゼブラが、寒さで冷えたのか、近くの電信柱まで小走りに走ってゆき、立ち小便を始める。

こちらに背を向け立ち小便をしながら『苫米地さん』と呼ぶので、

『どうしたんだ、ゼブラ?』と問いかけると、ゼブラが、

『今月、市民ホールでボクシングの試合やるみたいです。うちらみたいな田舎では、めったに生でボクシング見れないから、みんなで見に行きませんかぁ?切符代300円で、観戦できるみたいですぜ。』

それは、安いナァと思い、ゼブラに、誰か世界チャンピオンの試合か?と聞くと、

『えーと、日本バンタム級タイトルマッチで、王者が、オート…何て呼ぶのかな?聞いたことないボクサーの試合ですな。』

No.6 14/06/01 22:23
携帯小説ファン0 ( ♂ )

ゼブラのセリフ抜けていました。

電信柱に向かって第一声。

『苫米地さん、この電信柱にポスター貼ってあるので見たら、』

失礼しました☆

No.7 14/06/01 23:03
携帯小説ファン0 ( ♂ )

俺も、そのボクシングのポスターを見ようと、ドカベン号を降りて、ゼブラの電信柱へ歩き出す。

ゼブラの小便を踏まないように気をつけながら、そのポスターを見た。

羽ばたけ、世界へ!

オート志須磨、世界へ負けられない試練の初防衛戦!

日本バンタム級王者

オート志須磨(河豚天ジム)
VS

日本バンタム級一位
WBA世界バンタム級5位

テレンス・キング・アメリカン(吉田拳ジム)


※オート志須磨戦績

75戦45勝(3KO)27敗3引き分け

※テレンス・キング・アメリカン戦績

18戦18勝(15KO)無敗

No.8 14/06/01 23:09
携帯小説ファン0 ( ♂ )

※両者の年齢表記するの忘れたので、

オート志須磨(33才)

テレンス・キング・アメリカン(22才)

です、失礼しました☆

No.9 14/06/01 23:58
携帯小説ファン0 ( ♂ )

王者オート志須磨と、挑戦者テレンス・キング・アメリカンのファイテングポーズ写真が出ていて、苫米地と、ゼブラの視線はオート志須磨よりも、挑戦者のテレンス・キング・アメリカンに向けられた。

『こいつ、日本人じゃないだろ⁉』

と俺が思わずつぶやくと、ゼブラも、自分の煙草ジョーカーを、一本抜きその細長い、茶色の煙草に火をつけながら、

『黒人すね。マイクタイソンに、めちゃ似てるじゃないすか。この日本チャンピオン、負けそうですよ。』

No.10 14/06/02 11:08
携帯小説ファン0 ( ♂ )

テレンス・キング・アメリカンの写真は、そのマイクタイソンに良く似た顔に、ビルドアップされた黒い上半身、豹柄のトランクスの腰回りには、『KING』と黒い文字が刺繍されてあって、いかにも強そうな感じがした。

それに対し、王者のオート志須磨の写真は、青白い肌に、みすぼらしいまったく手入れしていない肩まで伸びた長髪、気弱そうなしかめっ面した顔に、『オート志須磨』と大きく記された、白色のトランクスも、野暮ったい感じがして、さらに、その気弱そうな顔をガッチリ守るように、高く掲げすぎたガードスタイルに、苫米地とゼブラの目には、あまり強そうにない、華のない日本チャンピオンという印象を受けたのだった。

No.11 14/06/02 13:06
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『なーに二人して熱心に見てるのよ?』とコレの声がしたので、ふりかえるとフクレっ面の、俺の彼女のコレと、コレを呼びに行った俺の鞄持ちの、イガが立っていた。

『おはよう、コレ』コレの顔を見ると、起きたばかりなのか、目が少し腫れぼったい。昔のアイドル、河合奈保子に良く似て栗毛をポニーテールにして、可愛いらしかった。

『コレ見てみろよ、このポスター今月、市民ホールでボクシングやるみたいだぜ、みんなで見に行かない…』と話してるところで、

『苫米地さん!』

とゼブラが、俺を呼ぶのでゼブラの方を見ると、

『あの前から、走ってくるの、オート志須磨っすよ!』

No.12 14/06/02 13:24
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『何、オート志須磨⁉』

前を見ると、この寒い季節に上半身裸の男が、両手をゆらゆら動かしながら、うつむき加減で走り、そのまわりには、10人くらいだろうか女達が、笑いながら自転車で伴走していた。

『これは、サインもらうチャンスだな❗』

俺は、興奮しイガに俺の鞄を大至急持ってこさせると、数学のノートと黒マジックを筆箱から取り出し、

コレと、キョンシーズの皆に、

『ちょっと、オート志須磨にサイン貰ってくるから、待ってろ』

と声をかけ、走ってくるオート志須磨に近づいていった。

有名人にサインを貰うときは、俺のハートがドキドキして、緊張してきた。

No.13 14/06/02 13:53
携帯小説ファン0 ( ♂ )

第二章・衝突

前から、オート志須磨が近づいてくる。良く見ると、みすぼらしい長髪は、ポニーテールにして、ウォークマンで歌でも聴いているのか、イヤホンを耳にしている。ポニーテールが、コレのポニーテールと良く似ていて、嫌だなと俺は、思った。


日本チャンピオン、オート志須磨のロードワークの邪魔にならないように、歩道端に寄り、目の前に来たところで、


『トレーニングの最中、すみません。ボクサーのオート志須磨選手でしょうか?』と声を大きくして聞いてみた。

が、オート志須磨と、伴走している女達は、聞こえてないのか、無視して走り去ろうとするので、あわてて近くにいる伴走女に、


『すみません、ちょっと💦』

と慌てて、呼び止める。

No.14 14/06/02 14:20
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『なぁに?』と近くにいた伴走女が、俺に気づいてくれた。ブルーのニット帽をかぶり目のパッチリした可愛い女の子だ。

『すみません、あの一番前で走ってる男の人、ボクサーのオート志須磨選手ですか?』

と聞くと、ニット女はうなずくので、オート志須磨選手にサインをもらいたい旨を伝えると、

『ゴメン、ゴメン、志須磨くん気がつかなかったのかな、サインの事伝えてくる、一緒に来なさいよ。』

とニット女は、言ってくれて前を走っているオート志須磨を呼び止めてくれた。

『志須磨くーん、この子志須磨くんのサイン欲しいんだって。サインしてあげたら?』

No.15 14/06/02 14:40
携帯小説ファン0 ( ♂ )

と聞いてくれている。オート志須磨は、立ち止まりポニーテールの後ろ髪をこちらに向けたまま、足のステップだけは、タンタンとリズムを止めずに黙って、ニット女の話を聞いていた。その後ろ姿は、何だか冷たい感じがした。


タンタンと足のステップを止め、クルリと、オート志須磨が、俺のほうに振り向き、


『君か?僕にサインが欲しいって子は。今、トレーニング中だ、失礼だと思わないのか、君は❗』

と氷のような冷たく鋭い視線を飛ばしてきた。

No.16 14/06/02 14:57
携帯小説ファン0 ( ♂ )

俺も不良。番長を張っている以上、メンチにはブチ切れそうになるが、トレーニング中のスポーツ選手のトレーニングを中断させた、こちらが悪いと思いなおし、

『すみません。めったにスポーツ選手に出会わない田舎なもんで、こんなチャンスあまりなくて、すみません。でもサインしていただけると嬉しいのですが。』と我慢して、笑顔で返すと、

ムッツリと不機嫌そうな、オート志須磨は、ため息をつき、

『コレ一回きりだぞ。僕は防衛戦の調整で、忙しいんだ。早く色紙を持ってきたまえ。』

と、こちらに顔をそむけて手を出してきた。横柄な態度に、ムカついてきたが、慌てて、数学のノートの新しいページを見せ、黒マジックを渡そうとすると、

No.17 14/06/02 16:25
携帯小説ファン0 ( ♂ )

数学のノートを見た、オート志須磨の目が険しくなり
『何だ、これは?』と不機嫌そうに聞いてきた。

色紙でなく、数学のノートなどを渡したので、気分を悪くしたかと思い、偶然オート志須磨選手を見かけたので、ノートしか用意できず申し訳ないですと、必死に機嫌をなおしてもらおうと話してると、ニット女が、

『そんな普段色紙なんて、持ち歩いてる人いないわよ。ノートにサインしてあげるくらい、いいじゃない。』

と、不機嫌そうなオート志須磨に、フォローするように説得してくれて、俺の顔を見ようともしない、オート志須磨は、ニット女には、ニッコリと不器用な笑顔を見せ、

『しょうがないな、君、名前は?』

と数学のノートに渋々サインしてくれる。

No.18 14/06/02 16:31
携帯小説ファン0 ( ♂ )

苫米地さくらです。と自分の名をつげながら、東京から、来られたのですか?など場をなごませようと、やんわり質問しても、それには答えず、

苫米地さくら君に

〃勝てば官軍〃

日本バンタム級王者

オート志須磨

と、堂々とした達筆で、サインしてくれた。

No.19 14/06/02 20:23
携帯小説ファン0 ( ♂ )

オート志須磨の達筆に、やはり日常的にサインする人は、字が綺麗だなぁと感心してる俺に、

『そら、できた。さぁ、みんなトレーニングを再開しよう。田舎の芋ヤンキー君にサインせがまれて、貴重なトレーニング時間が台無しだからな。』

と俺を小馬鹿にしたセリフを吐くと同時に、サインした数学ノートを俺に、手渡してきた。

…いや、手渡すというレベルではなく、俺の顔面にパンチを入れるような勢いで返してきたものだから、オート志須磨のサインに気を取られていた俺は、避けようがなく、サイン入りノートが顔面に直撃し、悲鳴をあげて俺は鼻血を吹き出しながら、後ろに倒れこんでしまった。

『キャーちょっと大丈夫⁉』

びっくりした、コレや、キョンシーズ、オート志須磨の伴走女達が心配そうに、駆け寄ってきたが、オート志須磨は、振り返る事も無く、小走りに立ち去ろうとしていたので、

『ちょっと待てよ❗』

と、ブチ切れた俺は立ち去ろうとするオート志須磨の後ろ姿に、野獣のごとく襲いかかった。

No.20 14/06/02 20:57
携帯小説ファン0 ( ♂ )

今まで、俺の右ストレートを避けれた奴は無く、俺の右ストレートを食らった奴は、みんな一撃で失神させてきた。

その俺の自慢の、右ストレートをオート志須磨に、怒りまかせて打ち込んでいったが-

しかし、プロボクサーは強い。俺の殺気をキャッチしたオート志須磨は、無造作に俺の右拳を掴むと、俺の右腕を巻き込むように、一本背負いで、投げた。

後で、皆に聞くと、皆の目には、投げられる俺の背中が見えたが、俺の顔の辺りは、見えなかったらしい。

No.21 14/06/02 21:12
携帯小説ファン0 ( ♂ )

オート志須磨に、一本背負いで投げられた俺。

だが、オート志須磨は俺を投げ飛ばしながら、俺の顔面に左拳で、数10発以上ショートパンチで攻撃し、俺の顔面は、見るに無惨なものになった。

俺と、オート志須磨のまわりに野次馬が、集まってきたまでは覚えていたが、そこで、俺は気を失ってしまった。

No.22 14/06/02 21:39
携帯小説ファン0 ( ♂ )

第三章・計画

『あ、気がついたよ。』

意識を取り戻した俺の目には、泣いたのか目を真っ赤にした、愛しのコレの顔が移った。その瞬間、安心したのか泣き出してしまう。
俺は、腫れ上がって見辛い目で、辺りをみるとどこかの空き地のようだった。

スターリンの話によると、本格的に野次馬が、集まる前に、オート志須磨達ともども逃げ出して、なんとか騒ぎが大きくならなくて済んだらしい。

何か、下半身がスースーすると思ったら、俺はゼブラの体操服ズボンをはいている。慌てて、あたりを見ると、俺のスリータックズボンと、パンツが濡れたのを乾かすように、干してある。

俺は、失禁したのか…

No.23 14/06/02 21:55
携帯小説ファン0 ( ♂ )

西商の番長の、俺のプライドは、オート志須磨に粉々にされてしまった。

愛しのコレや、俺を慕うキョンシーズの面前で、瞬ボコにされ、さらに失禁してしまった俺。

地に落ちた、俺のプライドは、どうやったら取り戻せる?

それはお前、憎きオート志須磨を、同じように痛めつけるしかないだろう?

俺も、ボクサーになり試合でもストリートでも、もう一回、オート志須磨と対峙して、奴をブチのめすしかない。

俺の腹は、決まった。

No.24 14/06/03 03:37
携帯小説ファン0 ( ♂ )

次の日、俺は医者に見てもらい、幸い脳と、骨には異常がない事がわかり、その足で西商に、退学届けを出しに行った。

西商の教師達や、クラスメート、コレやキョンシーズの皆は驚き、やめないよう熱心に説得したが、『オート志須磨の拳闘界からの抹殺』という俺の、黒い野望の前に誓った決意は固く、退学届けを押し通した。

キョンシーズの自転車組の松根、名付けてマネーが不動産業を営む父親を説得してくれて、松根グループが所有するテナントを、ボクシング器具をそろえた、立派な私設ボクシングジムを俺の黒い野望を達成するまで、無償で提供したいと申し出てくれた。

俺は、マネーの友情に感謝し、その私設ボクシングジムを『ブラックマネーボックス』と命名した。

まずは、24時間『打倒オート志須磨』の為のトレーニングが出来る環境を手に入れたと言うわけだ。

No.25 14/06/03 10:35
携帯小説ファン0 ( ♂ )

私設ボクシングジム『ブラックマネーボックス』を手に入れた俺だが、やはりプロボクサーライセンスを、得るには、どこかジムに所属し、専門のトレーナーに技術指導を教わらなければならない。

俺は、入門するボクシングジムの情報を得るべく、ドカベン号に乗り、近所の小さな本屋に向かう。

本屋に着くと、早速スポーツ雑誌のエリアに行き、ボクシング雑誌を探す。すると、そこにはボクシング専門誌は、三誌あった。

『月刊拳闘ジャーナル』

『月刊ボクサー通信』

『週間ボクシング娘』

No.26 14/06/03 12:54
携帯小説ファン0 ( ♂ )

俺は迷わず『週間ボクシング娘』を手にとり、ページを繰って読みはじめる。

目に飛び込んできたのが、赤いベースボールキャップを浅くかぶり、可愛く膨れっ面して赤いボクシンググラブを着けた水着姿の女がこちらに向けパンチを放っているピンナップだった。
『はー、可愛いな❤』と、独り言を連発しながら、週間ボクシング娘のページを繰っていく俺。

次から次へと、色んな魅惑的なピンナップボクサーガールが、俺を挑発してくる。熱心にページを繰っていると、飛び込んできたのが、

〃勝てば官軍〃

日本バンタム級王者

オート志須磨

と文字入りの日本バンタム級の黒いベルトを巻き、済ました顔で、腰に手を当てたオート志須磨の巨大写真だった。

瞬間、ブチ切れた俺は『くそったれ‼』と叫び声と共に、オート志須磨の巨大写真に向け、怒りの右ストレートを炸裂させてしまい、週間ボクシング娘を、引き裂いてしまった。

No.27 14/06/03 17:09
携帯小説ファン0 ( ♂ )

まだ購入していない本を破ってしまい、一時間ほど本屋店員の、おばちゃんに説教くらった俺は、罪ほろぼしに、ボクシング専門雑誌3冊と、ボクシング技術書一冊、エロ本5冊を合計一万円で、購入して自宅に戻った。

西商を、やめてから母ちゃんは口も聞いてくれないので、そそくさと2階にあがる。

自分の部屋に戻り、ベッドに横になりながら、買ってきたボクシング雑誌の、ジムを紹介しているページを開いた。

ブラックマネーボックスから、通える範囲でジムを探しだす。

すると、該当ジムが一つだけあった。

紹介文を読むと…

No.28 14/06/03 17:50
携帯小説ファン0 ( ♂ )

明日の世界王者は、君だ!

コブラ拳ボクシングジム

会長・コブラ高木

トレーナー・マムシ木戸

所属選手・ガラガラ蛇川
日本Jr.フェザー級10位

コインロッカー、シャワールーム完備。

当ジム自慢の『世界王者英才コース』も、ございます

どしどし、ご応募下さい。

No.29 14/06/03 19:59
携帯小説ファン0 ( ♂ )

所属選手・ガラガラ蛇川
日本Jrフェザー級10位

俺は、コブラ拳ボクシングジムの、所属選手のところで目が止まった。

バンタム級と、Jr.フェザー級とは1階級しか違わず、ここで腕を磨き日本ランカーのガラガラ蛇川選手とスパーリングをさせてもらえるようになれば、日本バンタム級王者オート志須磨との実力差を埋めるいい練習が積めるのでは?と考えたのだ。

俺は、早速コブラ拳ボクシングジムに、見学に行く事にした。

No.30 14/06/03 21:59
携帯小説ファン0 ( ♂ )

第4章・動機

コブラ拳ボクシングジム

昭和40年代に華麗なアウトボクサーとして活躍したコブラ高木が、立派な社会人育成を目的として、ボクシングを通し、心・技・体を鍛練する道場提供目的に設立する。

これまで、東洋チャンプのマムシ高木を始め、多数の日本チャンプ、日本ランカーを育成してきた確かな選手育成実績を誇る。

現役では、トリッキーな変則ブルファイター、ガラガラ蛇川に、コブラ拳ボクシングジム悲願の『世界王者』誕生を目指し、熱い指導の日々を送る。

月刊ボクサー通信のジム広告から-

No.31 14/06/03 22:07
携帯小説ファン0 ( ♂ )

※訂正です。東洋チャンプのマムシ高木→マムシ木戸です。

すみませんでした☆

No.32 14/06/04 11:05
携帯小説ファン0 ( ♂ )

コブラ拳ボクシングジムに見学に行く前に、髪を短く刈ろうと、いきつけの床屋に行った。床屋の親父は、俺の腫れ上がった顔を見て驚いたが、喧嘩でもしたのだろうと思ったのか、腫れ上がった顔には、触れず黙って髪を切りはじめる。

『おじさんベリーショートにしてよ、爽やかな感じで』

と注文して、俺はできるまで寝ることにする。

『そら、でけたぞ』

と親父が肩を叩くので、俺は眠りから覚め、鏡で自分の顔を見たのだが、

スポーツ刈り

にカットされていた!俺は驚き、親父にダセー髪型にするなと抗議したのだが、餓鬼が生意気な事をいうなと、拳骨で叩かれて渋々カット代を払い、床屋を出た。

街で女達にすれ違う度に、俺のスポーツ刈りカットを笑ってる感じがした(自意識過剰)ので俺は赤面しながら自宅に戻り、青々とした後頭部にため息をついて、腫れ上がった顔を少しでも隠すため母ちゃんの深い緑色のサングラスをかけて、もう一度自宅を出た。

No.33 14/06/04 13:13
携帯小説ファン0 ( ♂ )

苫米地さくらの自宅の最寄り駅から、快速で20分ほどの距離にある私鉄駅前の公衆電話で、30分おきに電話をかけにくる深い緑色のサングラスの少年を、話題にし始めたタクシーの運転手達の脇を、授業や仕事を終え疲れた顔した通勤者の群れが足早に横ぎって行った。

『あんた、まだウチの場所見つかんないの⁉5回目だよ、電話してくるの』

と受話器の向こうから聞こえる呆れ声を、深い緑色のサングラスをした少年は、疲れはて、汗だくになりながら聞いていた。

バリカンで、見事に刈りあげた青々とした後頭部に、夕暮れの淡い光が当たって、キラキラと汗が綺麗に光っている。


タクシー運転手達の話題になりつつある深い緑色のサングラスの少年は、コブラ拳ボクシングジムに中々たどり着けない、プロボクサー志望の苫米地さくら本人だった。

No.34 14/06/04 16:04
携帯小説ファン0 ( ♂ )

駅から徒歩10分ほどの距離にあると言うコブラ拳ボクシングジムに、たどり着けない俺に、ジムの練習生を迎えにいかせるから、そこで待っていなさいと言われて、俺は公衆電話の横で待つことにした。

まだまだ2月の寒い時期なので、動いてないと寒い。

『ちょっと、そこの公衆電話使っていいかしら?』

と声をかけられたので、見ると目元の涼しげな、30代くらいの女が微笑んでいた。

『あっ、ど、どうぞ使って下さい。僕は人を待っているだけです。』

綺麗な大人の女に見つめられ、照れてしまった俺は、慌てて離れ、人を探すふりをしながら照れ隠しをする。

女は、黒の皮手袋をした右手で受話器を持ち、テレホンカードを入れ、プッシュボタンを押して電話をかける。そして綺麗な黒髪をかきあげながら、


『オート志須磨さん、いらっしゃる?寿美子と言えばわかるわ。』

No.35 14/06/05 00:18
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『何、オート志須磨だと⁉

まさかこんな所で、オート志須磨の名前を聞くとは思っていなかった。

この女は、オート志須磨とどういう関係なんだろうか?

暫く受話器を持ったまま黙っていた寿美子という女は、オート志須磨が出たのだろう笑顔になり、

『志須磨さん?あたしです、寿美子…え?何で電話するんだって…だってあなた連絡くださらないじゃないの…あたしずっと待ってたんです。あなたとの事主人にバレてしまったし…僕のせいじゃない?えぇ、あなたのせいじゃないけど…でも、もうあたし鎌倉の主人の家には、戻れません…ッ 主人も今度の、選挙の事で頭がいっぱいらしくて…

そこで寿美子という女は、ハンドバッグから、白いハンカチを取りだし、目頭を抑え、涙声になった。

No.36 14/06/05 00:48
携帯小説ファン0 ( ♂ )

俺は、『おっかしーな、アイツ何してるんだろ…』

と、人を探す振りをしながら寿美子の会話に、全神経を集中する。

寿美子は、潤んだ目で声を震わせながら、

『志須磨さん…あたし今夜ハミルトンホテルに、部屋を取ったんです。…今夜少しだけ会えない?あなたの試合の邪魔するつもりじゃないのよ…お願い、ね?今夜9時、ハミルトンのロビーまで来てほしい…』

そこで寿美子は、小さな声で何かを囁いたが、俺には聞こえない-

寿美子は何かを囁いた後、笑顔になり、静かに受話器を下ろす。そして『頑張ろッ』と小さく呟いて、タクシー乗り場まで行き、タクシーで去っていった。

俺は、慌てて寿美子が話していた公衆電話に行き、10円玉を放り込んで、キョンシーズのマネーの送迎車の自動車電話の番号をコールした。

No.37 14/06/05 10:29
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『はい、マネーです。』とマネーが電話に出たので、

『俺だ、苫米地だよ。マネーあのな、オート志須磨な今夜、凄い美人とホテルで会うらしいんだよ❗うらやましいな、おい❗』

と俺は興奮して、マネーに寿美子の電話の話をすると、マネーが、しばらく考えこんだ後…

『苫米地君、これはあなた非常にいい情報を、得ましたね。使えそうですよ、このネタは。』

『どういうことだ、マネー?』

『苫米地君、あなたどうやってオート志須磨と、試合するつもりなんです?』

何を言ってるんだ、マネーは?

『そんなの、決まってるじゃねぇか。プロになって、勝っていけばオート志須磨と、試合できるんだろ?』

マネーは、受話器の向こうで、ため息をついた後に、

『やっぱり苫米地君は、オート志須磨と試合する現実的なプランを用意してないですね。…いいですか、彼は日本バンタム級王者で、初防衛戦を迎えます。オート志須磨は、世界ランキングには入れていない。世界タイトルに挑戦するには、世界ランキングに、入らないと駄目なんです。』

No.38 14/06/05 13:44
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『オート志須磨は、世界タイトルに挑戦したいのか?』と俺が聞くと、マネーは咳払いをしながら、

『オート志須磨の防衛戦の宣伝ポスターに、はばたけ世界へ!って見出しあったでしょ?それにボクシングで、まとまった金を手にしようとしたら、世界王者にならないと、難しいらしいですからねぇ』

ボクシングを、あまり知らない俺は、そんなものかと思いながら、

『なぜ、俺がオート志須磨と試合できないんだ?勝って、勝って、勝ちまくればできるかもしれねぇじゃないか?』と聞くと、マネーは、フンと鼻を鳴らして、

『苫米地君、あんたは今、ボクシングジムの見学もしてない状態だ。オート志須磨は、日本王者。あんたがオート志須磨と試合組めるレベルになれるまで、何年かかる?』

『大丈夫だぜ、マネー。最速で試合組めるよう派手に行くから…』


と話してると、『あのー』と子供の声がする。今、話してんだから並んで大人しく待ってろ。と後ろの子供に振り返りもせず、シッシッと追い払う仕草をしながら

『今、思いついたんだが俺も、ひとつオート志須磨と、すぐ試合できるアイデアがあるぜ。』

No.39 14/06/05 15:18
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『アイデア?』

マネーが、胡散臭そうに聞くので、俺は得意気に、

『あしたのジョーあんだろ?ボクシング漫画の。』

『…読んだことないですが…』

『まぁ、聞けよ。矢吹丈って主人公がだな、なかなかボクシング教えてもらってる眼帯した親父の昔の悪行のせいでだ、プロでボクシングするの認めてもらえないんだわ。そこで矢吹丈は勝負に出たんだな。新人王戦で、矢吹丈と同じバンタム級のホープ、ウルフ金串がトイレに小便たれに行くのを、待ち伏せてだな挑発し、怒ったウルフ金串が、パンチを打ってきたところを…』

『得意のクロスカウンターで相討ちさせたんだわ❗ボクシング記者達の前で❗』

『…それで?』

『これだよ❗今度、オート志須磨の、テレンス・キング・アメリカンとの試合、テレビで深夜放送されるだろ、その時にだ…』

と俺が興奮して早口でまくし立てるのを、遮るようにマネーが、

『無理です、オート志須磨に、ウルフ金串みたいな事をしたら、警察ざただし、永久にプロライセンスなんか、もらえませんよ。』

No.40 14/06/05 16:48
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『そうかぁ?話題になる…』

と俺がマネーに不服そうに言いかえそうとすると、

『すみません!』

とさっき追い払ったはずの子供がまた後ろで騒ぐので

『電話中だって言ってるだろ!大人しく待ってろと言ったろ⁉』

と苛立たしげに、後ろを振り返ると緑色のダサいジャージを着た、オカッパ頭の男児が睨んでいる。

『コブラ拳に、見学したい人でしょ?』

と男児が聞くので、『お前なんでそんなこと知ってるんだ?』と聞くと、

『コブラ拳の練習生の岡野って言います。会長が待ってるから、早くしてください!!』と怒りだす。

『お前、そんなチビなのにボクシングしてるって?どうせ、誰かの付き添いで一緒に縄跳びしてるだけなんだろ?』


No.41 14/06/05 19:15
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『違います!1人で練習に来てますよ。僕は、ボクシングだけは、面白くて夢中になれるんです!』

と男児が、いちいちムキになるので、面白くてからかってると受話器の向こうでマネーが、

『苫米地君、忙しそうだから手短に言いますが、オート志須磨は、年だし本来、楽な相手を選びがちな初防衛戦に、世界ランカーを選んだ。彼のボクシングキャリアで今、勝負に来ているんです。彼は、もう無駄な試合をしませんよ。』

とマネーは語った後、

『いいアイデアが、あります。オート志須磨の密会場所教えて下さい。キョンシーズで、二人のツーショット写真と会話の録音してきますよ。』

No.42 14/06/06 01:35
携帯小説ファン0 ( ♂ )

オート志須磨と寿美子の会ってる写真など、どうするんだと思ったが、考えてる時間は無かったので、マネーに任せることにする。

『待たせてわるかったな。さっ、ジムに行こうぜ。』

と、機嫌の悪い男児と歩き出した。

『しかし…お前その『岡野』ってゼッケンまでして、体操服かよ。』

と俺が男児のジャージをからかうと、

『…コブラ拳に通うと皆、必ず着なきゃいけないんだ。僕だってこんな緑のジャージ嫌だ。でも会長や、トレーナーも、皆着てるからしょうがないんだ。』


『マジか⁉俺は、そんな体操服着たくないぞ、オイ❗』

『苫米地』と自分のゼッケン入りの体操服姿で、シャドーボクシングをしたところを見せても、絶対に女はカッコいいとは思わないだろう。

『お前、岡野なんて言うの?』前を歩いている男児に聞くと、

『…金太郎。岡野金太郎』
と嫌そうに答える。

『金太郎!だからお前オカッパなんだな!よし、お前のニックネームは、『オカッパ』だ。俺は、人にニックネームを付けるのが、得意なんだ。』と誇らしげにオカッパに微笑むと、

『チ、うるさいな』

と、舌を鳴らしてオカッパは早歩きで俺から、離れようとした。

No.43 14/06/06 18:28
携帯小説ファン0 ( ♂ )

オカッパは、歩くスピードをあげながら、

『バリカン』と呟く。

『バリカン?』

『あんたのニックネーム。髪型、凄い変。僕の髪型の事、馬鹿にできないだろ?そんな頭じゃ。』

オカッパに、気にしてる事を言われてしまい、俺は恥ずかしくなり、黙ってしまった。

俺とオカッパは、しばらく無言で歩く。チビにバリカン頭の事を言われて、忘れてたのに、気になり刈り上げ後頭部を触ってると、

『バリカンさん着いたよ』とオカッパが、指さした場所は、銭湯だった。引き戸に『亀の湯』と書いてある。

『何だよ、銭湯じゃねぇかここは、何回も来たぞ俺は!』

No.44 14/06/06 18:54
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『この中にコブラ拳があるんだよ。』

とオカッパは、亀の湯の引き戸を引いて中に入る。

俺はマジかよ、と思わず呟いて、中に入ると3つ暖簾があり、

『男湯』

『女湯』

『コブラ拳』

とそれぞれ入り口があった

『岡野です、見学者連れてきました!』

と、オカッパが『コブラ拳』の暖簾に声をかけると、

暖簾の奥から、白髪まじりの七三頭の眼鏡をかけた初老の男が出てきて、

『岡野くんご苦労様。苫米地くん?はじめましてコブラ拳ジムの会長のコブラ高木です、よろしく。』

とニッコリ笑って挨拶してきた。

No.45 14/06/06 20:17
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『苫米地さくらです。今日は見学に来ました。遅れてすみません。』

とコブラ高木会長に、謝るとコブラ高木会長は、笑いながら、

『うちはジムの看板出してないからね。事務員にも、この銭湯の中にあると言わないで欲しいと、頼んでるんだ。』

なんでそんな面倒な事するんだと思うと、

『何とか調べて来る。または聞きずらいけど、わからないと何回も聞く。仕事でも、ボクシングでも非常に大事な事だからね。それを見てるんだよ。』と笑うと

『とりあえず中に入ろう。ジムの皆を紹介するよ。』と言い、コブラ拳の暖簾を指さした。

No.46 14/06/11 10:42
携帯小説ファン0 ( ♂ )

コブラ拳の暖簾をくぐると緑色のジャージを来た人々が和やかな雰囲気で、ロープを飛んだり、シャドーボクシング、ミット打ちをやっている。

『ウチは、ご覧の通り狭いからね。この時間帯は、一般の体力強化を目的とした会員と、基礎を学ぶ練習生達が、トレーニングしてるんだよ』

とコブラ高木会長は言うと

『皆さん、ちょっと練習止めて集まって下さい』


と練習している人々に声をかけ、それぞれ手を止めてこちらに集まってくる。
メンツを見ると、老人と子供が多く見られた。

『苫米地君、みんなに紹介する前に、さっきから気になってたんだが、サングラスを取ろう。サングラスしたまま挨拶は、みんなに失礼だからね』

とコブラ高木会長が言うので、俺が渋々、深い緑色のサングラスを外すと、

『やっぱり。凄く顔が腫れているじゃないか。どうしたんだ、そのケガは?』

No.47 14/06/11 20:35
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『コブラ高木会長、この顔は、オート志須磨にやられたんです』

『オート志須磨?本当に?確かに彼の評判は最悪だけど素人にも、手を出したの?』

『はい。俺はハッキリ言ってボクシングには、興味がない。ただ、素人にも手を出す憎きオート志須磨を、ボクシングの試合のリング上で、俺の拳で奴をぶちのめしたい。コブラ高木会長、俺にオート志須磨を倒せるボクシングを教えてください!』と俺は、コブラ高木会長に訴える。

コブラ高木会長は、困った顔をして首を振り、

『ウチのジムでは、基礎からじっくり教えて時間をかけて、ボクシングを教えて、覚えてもらう。それに、復讐とか、そういう考えでボクシングは、してほしくないし。そんな考えで勝てるほど、プロは甘くないよ』

No.48 14/06/13 10:32
携帯小説ファン0 ( ♂ )

『とにかく、ウチでプロを目指したいなら、オート志須磨への復讐などは忘れてじっくりボクシングの基礎を習って、プロテスト合格をまずは目指す。今、高校生だから二十歳までは、アマチュアで勉強してもらいそこから、プロを目指してもらうという指導しか、ウチは、できないから。』

それでは困る。そんな悠長な事してたら、オート志須磨が引退するかも知れねぇぢゃないか。

『コブラ高木会長!お願いしますよ!俺が通えるのはコブラ拳しかないんです!何とか、最速でオート志須磨と試合できるボクシング教えてくれませんか!』

何を馬鹿な、と不機嫌な顔になったコブラ高木会長は答えない。

とそこへ…

『コブラ高木会長、ワタシがそのボーイに、ボクシング教えるヨ。ワタシに任せてくれないデスカ?』

と、後ろから声がした。

No.49 14/06/16 10:43
携帯小説ファン0 ( ♂ )

後ろを、振り向くとヘビー級ボクサーじゃねぇかと、驚くほど体格が良くて肌黒く、髪型はチリチリの天然パーマに黒いサングラスをした、中年男が立っていた。この男にパンチを食らったら一撃で死んでしまうのではないかと、ビビるくらい圧倒的な体格をしている。ジムの練習着である緑色のジャージを男も着ていてゼッケンには『スタンリー・スドウ』と名前が記されている。

コブラ高木会長が、困った顔して

『いやスドウさんね、この子はボクシングのイロハも知らない子だから、スドウさんのような、ファイタータイプ専門のトレーナーには、あずけにくいね。なんせ防御のやり方も知らない子だから』

と、コブラ高木会長が断ろうとすると、

スタンリー・スドウは、『コブラ高木会長、このボーイの目を見てクダサイ。ナイフのような目をしてるネ。後でスタンリー・テストしまスガ、このボーイ、ワタシが、育てル、得意なケンカファイターの、才能ありますネ。ナイスボーイ。ワタシにまかせてクダサイ。コブラジムのスターに育てる、自信ありマス』

とスタンリー・スドウは、俺に微笑んだ。

潰れた鼻に、歯は全部金歯で、このスタンリー・スドウに教わると、俺の顔もああなるんだろうと恐怖して、俺がコブラ高木会長に断ろうとするとすると

No.50 14/06/16 13:16
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『駄目ヨ、ボーイ。ボーイはワタシにボクシング教わりマス。ボーイ、オート志須磨に勝ちタイ。オート志須磨、セコいボクシングするネ。ワタシが教えるボクシング、セコいボクシングをノックアウトしマス。ダイジョウブ、ワタシにまかせてクダサイ。オート志須磨、ノープロブレムヨ、ナイスボーイ』

と言って、スタンリー・スドウは、俺に抱きついてきた。

スタンリー・スドウの体臭がキツイので、俺が思わず鼻をつまんで顔をそむけると、

『ボーイ、照れてるネ。シャイボーイ。ワタシ、コブラジムと、ビジネスでトレーナーしてマスが、最近なぜかコブラ高木会長、選手ワタシにアズケナイ。ワタシ、オカネもらってボーッとナニもシナイデキマセン。このナイスボーイ、ワタシがボクシング教えマス。トレーナーの仕事するネ。コブラ高木会長、OK?』

とコブラ高木会長に、承諾を求めてきた。

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