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ユキナ( ♀ zzlLh )
11/06/19 04:36(更新日時)

私の昔話を書いてみようと思います。

小説とはいえない文章でゆっくりペースで進みますが、良かったら読んでみて下さい。

No.1575069 11/04/16 17:41(スレ作成日時)

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No.1 11/04/16 17:51
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ずっとこの日を待っていた。


今日は中学の卒業式。


みんな卒業したくない、淋しいと言って泣いてる子もたくさんいた。

とりあえず私も周りに合わせて別れを惜しんだ…


でも私は嬉しくてたまらなかった。

だって、憧れてた女子高生になるんだから。

No.2 11/04/16 18:07
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私が中学生の頃
スーパー高校生というのが流行っていた。

中学生の私はお小遣いでコギャル雑誌を買うのが毎月の楽しみだった。


私も高校生になったら、こんな風になれると単純な私は本気でそう思っていた。

短いスカートにルーズソックス。
茶髪にしてお化粧をして。

だから早く高校生になりたかった。

No.3 11/04/16 18:15
ユキナ ( ♀ zzlLh )

入学式の日はとても緊張した。


知らない人ばかりで友達が出来るか不安だった。

でも、みんな知らない者同士。

出席番号順だった席が近い者同士が自然と仲良くなった。


私は5人の友達が出来て6人グループとなった。

この中でなみとみきが中心となっていた。

No.4 11/04/16 18:34
ユキナ ( ♀ zzlLh )

いつも6人一緒にいた。
みんなオシャレで私も毎日早起きしてお化粧をしていた。

みんなで集まれば~想像はしてたけど、自然と彼氏の話、誰とヤった、そんな話をよくしていた。

昼休みは黒板に絵を書いてセックス講座なんていうのもやった。

あの体位は気持ちいいよと言って若い新人の先生をからかったりなんかもよくしていた。


ある時、たわいもない会話をしてる時に、みきにユキナは最近どうなん~?とふられた。

No.5 11/04/16 18:43
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私は周りの話はよく聞くが、あまり自分の話はしなかった。

ユキナは一番ヤバイ気がするなぁ~
なんて言われてた…


でも、ヤバイどころか話すネタが何もないのだ…

みんな中学の時には彼氏がいて、それなりに経験をしている様だった…

そんな中で付き合った事すらないとは…

とても言えなかった…

No.6 11/04/16 19:13
ユキナ ( ♀ zzlLh )

それを隠すために私は必死だった。


付き合ってたけど卒業したら自然消滅なんて嘘をついていた…

ユキナ最近ヤってるん~?
と聞かれる事もしょっちゅうあった。


ヤルって何?
状態の私は…

中学の頃から愛読していたギャル雑誌。

それに載ってたH情報をさもさも自分の事のように話していた。


この頃は周りの友達についていけるようにあらゆる雑誌を買っては勉強していた。

No.7 11/04/16 22:08
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私達のクラスというか学校は授業をサボるなんて当たり前だった…

休み時間の度に校門に先生が立ち中抜けする生徒を見張っていた。

次の授業は英語。

同じグループのなおとサボる事にした。
なおはなんとなく気が合って一番の仲良しになった。

この時の友達で今でも唯一繋がっている友達だ。

No.8 11/04/16 22:20
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なおは最近彼氏と別れたらしい

というか~不倫をしていたみたいで相手の奥さんにバレたとか…

付き合った事もない私には不倫なんて未知の世界だった…

不倫の彼との出会いはナンパ。

ナンパについていくなんて…
何かの事件に巻き込まれたら…
はたまた殺されたりなんてしたら…

なおの話を聞きながら私はそんな事を考えていた。

次の男早く見つけなきゃと、なおは言っていたけど…

なおの目は真っ赤になっていた。

きっとなおは本気で好きだったんだろうと思った。

そんな苦しい経験のない私は、恋愛をしてるなおが羨ましく思った。

No.9 11/04/16 22:32
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私達のグループは、なみ、みき、なお、みかこ、まなみ、そして私の6人組だった。


今日はまなみが休みだった。
風邪だと先生はいっていたが、まなみからのメールだと年上の彼氏とデートらしい。

まなみには年上の運ちゃんの彼氏がいて、彼氏に買ってもらたの、○○に連れていってもらったんだ~とか、彼氏の話をよくしている子だった。


お昼ご飯を食べてる時になみが言った。

まなみがムカつく…

それからまなみに対するイジメが始まった…

まなみは昨日学校を休んだ

次の日学校に行ったら自分に対する周りの態度が急変していたのだ…

No.10 11/04/16 23:40
ユキナ ( ♀ zzlLh )

いつも学校に着くとみんなで化粧直しをするのが日課だった


今日もいつもの様にみんなで鏡を並べて化粧直しをしているとまなみが教室に入ってきた

『おはよう』
まなみが言った…

その言葉がまるで聞こえなかったかのように私達はシカトをした

すぐに先生が来て自分の席にみんなが戻った

まなみは不思議そうな顔をしていた…

No.11 11/04/17 00:46
ユキナ ( ♀ zzlLh )

休み時間、まなみをシカトしたまま5人でトイレに行った。

なみとみきが言った…

『まなみは男の話ばっかで、いつも自慢気、上から目線』


『自分がカワイイとでも思ってるんじゃねぇ~の~』


『ヤリマンだから男が寄ってくるだけなのに勘違いしてんじゃね~よ~』


私はビックリした…

こないだまで仲良く喋って遊んでたのに…

でも…私を含め、なおもみかこも黙って聞いてるだけだった。

No.12 11/04/17 00:55
ユキナ ( ♀ zzlLh )

まなみに対するイジメは日に日に酷くなっていた…


あの頃、ワン切りというのが私達のクラスでちょっとしたブームだった

授業中にワンコールして切る

たったそれだけの何の意味もない事が流行っていた


多いときはワン切りの着信が60件をこすくらいの日もあった


それだけみんなでワン切りをしているにも関わらず、誰もまなみにワン切りをしなくなった

時々まなみからワン切りがあった

でも返すことはしなかった

まなみをかばえば今度は自分がやられると思っていたから…

私は最低だ…

No.13 11/04/17 01:10
ユキナ ( ♀ zzlLh )

朝学校に行くとまなみが泣いていた…


まなみのジャージがハサミで切られて落ちていた…

みきが言った

『これから暑くなるから長袖じゃ暑いじゃん、半袖にしといたよ~それともタンクトップにしようかぁ~』


まなみは切られたジャージを拾って教室を出ていってしまった…


なみとみきはそんなまなみを見て笑っていた

私が憧れていた高校生…

理想と現実は全く違うものだった

No.14 11/04/17 01:20
ユキナ ( ♀ zzlLh )

まなみは学校を休むようになった

学校に来たと思えば他のクラスに行っているようだった


まなみの机には当時流行ったハイビスカスが赤いポスカで描かれていた

まなみは絵が上手で自信作だと言っていた

その赤く描かれたハイビスカスはぐちゃぐちゃに塗り潰され机の中に入っていた教科書も、ウザイ、死ね、学校来るな

そんな言葉がたくさんかかれていた

もちろんやったのは、なみとみきだ

誰も止めることが出来なかった…

No.15 11/04/17 11:03
ユキナ ( ♀ zzlLh )

1学期ももうすぐ終わりが近づいて


この時もなおと授業をサボっていた


特別教室の多い階の階段は人通りが少なくて私となおのお気に入りの場所だった

いつもの様になおと喋っていると
目の前にまなみが現れた

『やっぱりここにいると思ったよぉ~

相変わらずここはユキナとなおのお気に入りなんだね』

まなみが言った


イジメが始まってからはまともにまなみと話すらしなかった

私もなおも言葉が出なかった…

No.16 11/04/17 23:15
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『実は今日で学校辞めるの』

『赤ちゃん出来たんだ~』

いきなりの事で私もなおも驚きを隠せなかった


まなみの話だと、まだ妊娠初期で赤ちゃんは米粒くらいなんだと言っていた

親に猛反対されていたが…
彼氏と何度も頭を下げては説得をしたらしい

まなみが学校に来ないのはイジメが原因だと思っていたが…

親に彼氏と会うのを禁止され家から出してもらえなかった事と、軽いつわりが始まっていたようだ

学校に来ては違うクラスに行ってると思っていたが…
保健室に行って保健の先生に相談をしていたと言っていた


家では親に怒られ…
学校ではイジメられ…

まなみはどれだけ苦しかっただろう…
どれだけ涙を流しただろう…

私達は
ただ黙ってまなみの話を聞いていた

No.17 11/04/18 00:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『今日で辞めちゃうけど、二人に出会えてマジ良かったよ、今までホントありがとう』



まなみは笑ってそう言った



私は胸が苦しかった


今までまなみにしてきた事

見てみぬふりをしてきた事


まなみに申し訳なくて…

顔をあげる事が出来なかった



まなみが

『じゃぁね、二人とも元気でねぇ~』


そう言うとその場を離れていった



まなみの後ろ姿を見て…

私は無意識に

『まなみ…』

と呼んでいた



まなみは振り返り


何も言えず黙ってる私に


『ユキナ早く彼氏見つけなよ、笑ってるユキナはけっこうカワイイよ』


そう言って手を振りながら行ってしまった


これがまなみと最後に会った日の事だ


一度、まなみの携帯に電話をしたが…


『おかけになった番号は現在使われておりません』

とアナウンスが流れてしまった


まなみは番号をかえてしまっていた



まなみは最後まで私達を責めるような事は何も言わなかった…

No.18 11/04/18 00:39
ユキナ ( ♀ zzlLh )

今でも時々なおと話す


『まなみは元気にしているのかなぁ~?』


あの時、まなみのお腹にいた赤ちゃんも今は小学生


16歳で母親になったまなみはどんなお母さんになっているだろう


もしも神様がいるなら


どうかまなみが今、幸せでありますように…



そして今も思う


あの時、まなみを助けていれば


私がもっと強ければ


私は周りの顔色ばかりを伺っていた

No.19 11/04/18 08:15
ユキナ ( ♀ zzlLh )

今日で1学期も終わり


学校帰りになおと美容院に寄った


当時はメッシュが流行っていた


雑誌の切り抜きを持っていって

『この髪色にして下さい』


美容師さんにお願いをした



まだバイトをしていなかった私はお小遣いを貯めていた



髪も染め終わり美容院を出た


なおと

『なかなかいい感じ~』

お互いを見てそう言った


コンビニでアイスを買って食べながら歩いていると



なおが

『ユキナ、ナンパ待ちに行かない~?』


といってきた



確かに彼氏は欲しいがナンパはちょっと怖いなぁと思っていた



なおは

『みかこも来るんだけどどう~?』



みかこも来るのかぁ~


みかこはあまりナンパとか彼氏とかには興味がないタイプだと思っていたから意外だった


まぁ3人ならいいかぁと思って了解した


『夜7時に駅に集合ね』


なおと別れた



さて問題が1つ


私の家は
これがまたけっこううるさく


7時から家を出るのはまずかった…

No.20 11/04/18 10:57
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私は考えた
そして思い付いた



私『なおの家で夏休みの宿題してくる』


母『宿題~? 今日から夏休みなのにずいぶんやる気があるのね』



私『自由研究があって時間がかかるの、星について調べるから夜じゃないとダメなんだ、今日遅くなるから』



母『なおちゃんのご両親にちゃんと挨拶して迷惑をかけないようにね』



私『はぁ~い』



宿題に自由研究なんてない



でも母親は私が中学生の頃、夏休みの宿題で自由研究があったのを覚えている


毎年休み終わり間際になって大騒ぎをしながらやっていたのを知っているから



高校生になっても自由研究があるものだと疑わなかった



作戦成功!

No.21 11/04/18 12:00
ユキナ ( ♀ zzlLh )

初めてのナンパ待ち


一体どんな服を着ていけばいいのか


なおに聞くと

『あんまり気合い入ってますっていうのはダメ、だからといって目立たないのもダメ』


難しい…

とりあえず、こないだ買ったセシルのワンピースにした



集合場所の駅に着いた

すでになおとみかこは到着していた



私達3人はみんな身長が高くて165センチくらいあった


あの時は厚底ブーム


10センチの厚底なんて当たり前だった

サンダルを履けば軽く175センチ以上


私達3人は目立っていたのか周りの視線を感じながら駅の中へ入っていった

No.22 11/04/18 12:49
ユキナ ( ♀ zzlLh )

電車に30分くらい乗って目的の駅へ



なおの話だとこの駅の西口ロータリーがなかなかの穴場だと言っていた


電車を降りてとりあえず駅のトイレへ


化粧直しをして香水をシュッ


この時の私のお気に入りの匂い

ブルーボトルのニナリッチ

定番だけど凄く気に入っていた


さぁ準備OK


初めての私はなおとみかこに付いていった

No.23 11/04/18 18:25
ユキナ ( ♀ zzlLh )

駅前に噴水があり

その前にあるベンチに座った


周りを見ると
私達みたいな女の子グループがちらほら

それを見ている男の子グループもちらほら



私はキョロキョロしながら思った

出会いを求めて知らない人に声をかけられるのを待っている…

なんて危ない世の中だ…

今の若い子にはとてもついていけない…

よくテレビでオバさんが今の若い子はと批判するが、全くその通りだと思った


って…私もだろっ(笑)


みかこが言った


『あのグループ、なかなかよくない~』


その言葉で私となおはみかこが指をさすグループを見た

No.24 11/04/18 21:59
ユキナ ( ♀ zzlLh )

3人組のグループだった


うちらよりちょっと年上かなと思った


私達が見ていると向こうも視線に気づいたのか、こっちに向かって歩いてきた


『こんばんわ、何してるの~? 良かったらちょっと話さない~』


ロン毛の一人が声をかけてきた

当時はロン毛ブームのなごりもあり、ロン毛の男もまだけっこういた


みかこが言う


『お兄さん達カッコイイから見つめちゃった~』


ロン毛が

『マジ? 俺らヒマしてるからメシでも付き合ってよ~モチおごるから~』


みかこ

『行く行く、お腹ペコペコなんだぁ~』


私は…
こんな簡単について行っていいの…


ちょっと前に初めて見た人達だよね…



私はきっとオドオドしていたに違いない

No.25 11/04/19 12:46
ユキナ ( ♀ zzlLh )

とりあえず近くのファミレスに入った



みかこが言っていた

『1発目にカラオケはダメ、薄暗いとこだと男の顔がはっきり見えない、だから明るい照明のファミレスがちょうどいい』



面食いのみかこはさすがに計算されてると思った



つまりゲレンデで見た男はカッコ良かったが、街で同じ男を見たら…本当に同一人物と幻滅するのと同じ考えだろう



16歳の高校生…

おそるべし…




男女対面同士に座りメニューを広げる

No.26 11/04/19 15:28
ユキナ ( ♀ zzlLh )

知らない人にごちそうになるのは気が引ける

が…!!


せっかくだし!


お小遣いを節約して欲しい物を買っている私


ファミレスで夕飯なんてたまにしかない


お腹もペコペコときたらメニュー全てがおいしそうに見えた


ハンバーグにしようかなぁ、パスタにしようかなぁ、海鮮丼もいいなぁ~


私が悩んでいると携帯にメールがきた


発信元はみかこ…



『ユキナ、食べたい物じゃなくて食べやすい物を頼むのがポイント』


何のこっちゃっ


食べやすいって何…?


意味がわからない私は、みかことなおと同じドリアを頼んだ


あとでみかこに聞くと

『キレイに食べられる物を頼んだ方がいい』


『お箸やフォークで食べる物は最後までキレイに食べるのは大変でしょ』


『最後のご飯粒が上手くとれないで茶碗に残る場合があるでしょ~?』


『サラダなんかも小さなレタスや細かいニンジンがフォークで上手くとれないって事があるでしょ~?』


『それを考えるとドリアはスプーンで食べられる』


つまり最後まですくう事が出来るというのがみかこ論であった


今の女子高生のやる事は
全て計算されての事だ


こわっ!!
これが私の感想であった

No.27 11/04/19 19:29
ユキナ ( ♀ zzlLh )

みかこが狙っているのはロン毛だというのがわかった



ファミレスに入って席に座る時、ロン毛の前に座れるようにしていたから



私となおは目の前に座った男と話すって感じだった



私の前に座っているのはたかし


大学生で私より3つ上らしい



なかなか自分から話せない私にたかしは色々と話しかけてくれた


『どこで遊んでるの~?』


『どんな音楽聞く~?』


今思うと当たり障りのない話しばかりだった



私は昔からアムロちゃん一筋といっていい程大ファンだった


偶然にもたかしもアムロちゃんのファン


話しは盛り上がった


年上の男の人とたわいもない会話

とても楽しかった



みかこに誘われ、なおとトイレに行った



みかこはロン毛と先に抜けるというのだ


『ユキナもなおも、あとはご勝手に~』

そういうと本当にロン毛と出ていってしまった



ご勝手にといわれても何をご勝手にすればいいのか…


とりあえず残った4人で少し話しをして私達は帰る事にした



帰り際、たかしが

『ユキナ…ちゃん、メアド教えてくれないかな?』


私はビックリした

なにせナンパ初めての私

数時間前に会った男と連絡先の交換


ドキドキしてしまった

No.28 11/04/19 22:06
ユキナ ( ♀ zzlLh )

次の日学校に行くとみかこが来てなかった


2時間目の途中にみかこ登校


眠そうな顔をしていた


休み時間
『おはよ、ユキナ昨日のたかし君とはどうなったぁ~?』


そんな調子でみかこが私の席に来た


『私はアドレス交換しただけだけどみかこはあの後どっかいたのぉ~?』


みかこ
『う~ん、やることはやったって感じ』

『だけど2回目はないなぁ~腰の振りが甘いんだよね』


なんという事だ…


やることはやった…


恐い、恐すぎる…


みかこの話に私は唖然だった
いや…刺激が強すぎた…

No.29 11/04/20 13:39
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私達の学校は夏休みの数日間、自由参加で授業があった



みきがお気に入りの情報処理の先生の授業と、なみの気になるクラスメートがとるという科学の授業がある時は私達5人も出席していた


この日は情報処理の授業があった


みきの態度はあからさまで

『先生、デートして~』


毎回言っては先生を困らせていた



しかし情報処理の教室はエアコンがきいている


公立高校に通う私達にとってエアコンのきいてるこの教室は天国だった



授業も終わり家に帰ろうと思って準備をしているとメールがきた



たかしからだった

No.30 11/04/21 12:42
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『ユキナちゃん元気~?アムロちゃんの新しいアルバム買ったから貸してあげるよ』


そんな内容だった


タダに弱い私…


すぐにメールを返し遊ぶ事になった


男の人と二人で遊ぶなんて初めての私


さすがになおにも相談出来ず…
自分なりに精一杯オシャレをして出掛けた


待ち合わせちょうどくらいに行くと
たかしはすでに待っていた



『待たせちゃいましたかぁ~』


たかし
『そんな事ないよ~こないだと感じが違うからビックリした、カワイイね』


そんな会話をしながら、お腹もすいてる事だしといって、近くのファミレスに入った


みかこが言ってた
キレイに食べられる物を思い出した


が…

何を頼んだらいいかわからず、その時食べたかったロコモコ丼を食べた


たかしと話してると楽しかったぁ


私はたかしを好きになっていた

No.31 11/04/21 12:53
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ファミレスを出て歩いているといきなり手を繋がれた


突然の事にビックリした


手に汗かいちゃってないかなぁ…
そんな事を考えていたが嬉しかった


別れ際
たかしが

『ユキナ(呼びつけになっていた)俺と付き合って、ユキナの事、最初に会った時から気になってたんだ』


私は嬉しくて嬉しくてたまらなかった


『私もたかしが好き』


私の初めての彼氏が出来た


夏休み中はたかしと遊ぶ事が多かった


買い物やカラオケに行ったり

とても楽しかったぁ


しかし、6時過ぎるとたかしはそろそろ帰ろうか~と言う



バカな私は何も疑わなかった


ある日の買い物デート中、1つ奥の通りに出るとそこはラブホ街だった

No.32 11/04/22 00:13
ユキナ ( ♀ zzlLh )

たかしが

『ユキナ、行こっか…』

言いづらそうに言った


いつかは来ると思っていたが、その日は突然来た


好きな人とこうなる事は当たり前の事


私はうなずいた


入り口を入ると部屋の写真から選ぶシステムで、みんなから話しは聞いていたが何しろ全てが初めて


どうしたらいいのかわからず…
たかしに部屋を選んでもらいエレベーターに乗った


エレベーターをおりるとライトが点滅している所があった


どうやらそこが私達の入る部屋らしい


たかしの後を付いて行った



部屋に入った瞬間、後ろから抱き締められた


たかしの香水の匂いに包まれ幸せだった


たかしが

『ユキナ、一緒にお風呂入る~?』


と言われたが断った


恥ずかし過ぎる…
絶対に無理無理…


先にたかしがシャワーを浴び、その間私は緊張の余り…
隅にあるソファーにまるで借りてきた猫の様に座っていた

No.33 11/04/22 12:48
ユキナ ( ♀ zzlLh )

たかしが出てきて私が入る番だ


シャワーを浴びるっていったって…
化粧は落とさない方がいいよね?
って事は髪も濡らさない方がいいのか?

考える事がいっぱいで…ゆっくりシャワーを浴びるって感じではなかった


早々にあがってバスタオルを巻き、たかしの座っているベッドに行った


たかしと向かい合わせに座り優しくキスをされた


あまりにも長いキスで私はすでにいっぱいいっぱいだった


バスタオルをはずされ私は寝かされた


たかしは私の胸を吸ったり舐めたりを繰り返していた


悲しい事に私は幼児体系といっていい程の貧乳…
たかしに申し訳なかった


気付くとたかしの顔は段々下へ


まさか…
ク○ニ

私はビックリして抵抗したが

『ユキナの全部を知りたい』

たかしはそう言った


私は恥ずかしくて…そして怖かった


でも段々とたかしの舌が心地よくて…

恥ずかしさとどうにかなっちゃいそうなそんな気持ちになっていた

No.34 11/04/22 13:13
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『ユキナ、いっぱい濡れちゃったね。感じちゃった~?』


感じちゃった…
そうか、これが感じるということなんだ


私もたかしのを舐めた方がいいのかな?


今までみんなのH話しはどうだったかな…
必死に考えていた



たかしが
『ユキナ、しゃぶって~』

そう言われて
私はうなずき、たかしのモノをくわえた

はて…どうしたらいいんだろぅ…


前にみかこに聞いた事を思い出した

そのテクを実践してみた

よくわからず一生懸命頑張った?かいもあり

『ユキナ気持ちよすぎ、イッちゃうよ~』


どうやらちゃんと出来てたようだ
ホッと一安心


『入れるよ~』


たかしの言葉に私は固まった


全てをたかしに任せた


ゆっくりゆっくり、たかしは入ってきた

最初はなかなか入らず苦戦したがようやく合体

たかしが腰を振る度にちょっと痛かった

これの何処が気持ちいいのかはわからなかった


たかしが
『イク』

言った瞬間に果てたようだった


たかしが抜くと同時に血が…


初めての時は血が出ると聞いていたが本当だった


『ユキナもしかして初めて?』

たかしに聞かれた

No.35 11/04/22 23:02
ユキナ ( ♀ zzlLh )

どうしよ…
証拠があるのに嘘つけないよ


みかこはロン毛と2回目はないっていってたからもう会わないだろうし…


なおも喋ってた男とは何もなさそうだし…


って事はたかしがもし友達に話したとしても私の友達に伝わる事はないか~


何しろ私は周りの友達にすでに経験済みという事になっている


今更嘘がバレる訳にはいかなかった


短い時間で色々考えたが本当の事を言っても大丈夫だという結果に辿りついた


『うん初めて、だからたかしを満足させられなかったよね…ごめんね』


しかしたかしは物凄く喜んでいた


男というのは
処女の女を抱くというのが嬉しい事のようだ

No.36 11/04/23 00:18
ユキナ ( ♀ zzlLh )

それからというもの、たかしとは今まで以上にラブラブだった


2学期も始まり、またいつもの生活に戻った


ある日学校帰り、なおと買い物をしていた


だいぶ暗くなったしそろそろ帰ろうとしている時


たかしらしき人をみた


例のロン毛も一緒だ


私達よりも年上な、ちょっとケバめな女数人と話していた


なんだか胸が苦しかった


私の様子がおかしい事になおが気付いた


私の視線の先にあるたかしにも気付いたようだ


なおは言った

『まずは女からにしよう~』


なおの言ってる意味がわからなかった


数分後たかし達は女と別れ人混みの中へと消えていった



なおが動いた

No.37 11/04/23 00:25
ユキナ ( ♀ zzlLh )

そしてさっきまでたかしと話しをしていた女に


『さっきの彼とどうゆう関係ですか~?友達?彼女?』


いきなりなおは言った


私を引っ張り

『この子、さっきのたかしの彼女だから手を出さないでもらえませんか~』


そう言うと女は笑った

『あなた達になんて言ってるのか知らないけどキャッチ…スカウトのバイトの子達よ~』


意味がわからなかった


女は続けた

『毎日夕方からここら辺でキャッチしてるのよ、風俗のね』


私は頭が真っ白だった


たかしが6時過ぎると帰る理由…

夜は風俗のキャッチをしていたんだ



考えてみると、夜は連絡が全くつかなかった…


たかしに電話をした


今すぐ話がしたいと


たかしは


『今ちょっと忙しいんだ~明日じゃダメ?』


そう言うと思ったが私は引かなかった


『今じゃないとダメ、大事な話がある、○○で待ってる』


そう言って電話を切った

No.38 11/04/23 15:17
ユキナ ( ♀ zzlLh )

待ち合わせ場所でなおと待った


私の手を握り

『私はユキナの味方だし、そばにいるから大丈夫だよ~』

なおの優しさに涙が出そうだった


しばらくしてたかしが来た

『悪い、あんまり時間ないんだけど』



『すぐ終わるから』

私は質問を始めた


『たかし…たかしは大学生なの?』


たかし

『はぁ?大学生だけど何で?』




『バイトしてるよね?何のバイトしてるの?』


たかし

『カラオケでバイトしてるけどそれがどうかした~?』


カラオケか…
たかしは本当に大学生なのか…
色んな事に私は疑いを持ち始めていた


『知り合いが、たかしからスカウトされたっていうんだよね、風俗の』


たかしは黙ってしまったがすぐに

『人違いでしょ~』

そう言って笑っていた


私はカマかけをした

『みかこから聞いたの、ロン毛の彼が全部教えてくれたって』


たかしは
バツが悪そうに

『そっかぁ~』

なんだか開き直っている様に見えた

No.39 11/04/23 16:38
ユキナ ( ♀ zzlLh )

たかしの話によると大学生というのも年も、たかしという名前すらも全部が嘘だった


私は怒りよりも、裏切られた気持ちの方が大きくて悲しくて…

涙を抑える事が出来なかった


たかし達のやり方は

最初からキャッチはしない


段々仲良くなって信用させる

そして仕事をすすめる


私は声にならない声で
『私達に声をかけたのもそうゆう事なの…?』

たかしは言った

『もちろんキャッチだった、でもまさかユキナ達が16歳だとは思わなかったからさぁ、俺らは未成年にはすすめられないし』


ずっと黙って聞いていたなおが口を開いた

『たかしはユキナが好きだったの?』


たかし

『今更どっちだっていいじゃん~お互い暇つぶしにはなった訳だし』


私の恋が終わった瞬間だった…


たかしは

『じゃぁ俺いくわ~別に騙してないし~後腐れなく終わりにしようぜ』


私はたかしをひっぱたく気力もなかった

というより、たかしと目を合わせる事も、見ることさえも嫌だった

そんな私を見て、なおがたかしに向かっていったが私はそれを必死に止めた


こんな奴を私は信じていたのか…

こんな奴を私は好きだったのか…

自分が惨めで、これ以上惨めになりたくなかった

No.40 11/04/23 17:13
ユキナ ( ♀ zzlLh )

しゃがみこんだままの私を
なおは抱き締めてくれた


『ユキナ、明日学校休みだし、今日家に泊まりに来なよ~』

私は嬉しかった

今日は一人でいたくなかった


『うん、じゃぁお言葉に甘えていいかなぁ~?なおのお家に迷惑じゃないかなぁ?』

私がそう言うとなおは

『全然大丈夫だから、よし!じゃぁ今日は語り明かしてヤケ食いだ、買い出しに行こう~』

そう言って二人でスーパーに行った


こんなに食べられないよっていう量を買い込んで、なおの家に行った


なおの両親に挨拶をして、買ってきた物を食べながら色んな話をした


なおは前に不倫をしていた彼との話をしてくれた

出会いはナンパだった

高校に入学してすぐの事だった


出会った時、結婚している事は知らなかったみたいだ

一回り上の営業マン

スーツ姿がカッコ良くて、なおの方が夢中になっていた


ラブラブだったが…

付き合って1ヶ月過ぎたくらいに、
なおにはいくつかの疑問があった

No.41 11/04/23 20:15
ユキナ ( ♀ zzlLh )

写真やプリクラが一枚もなかった

当時はプリクラの出始め

プリクラ機の前には列が出来るほどの人気だった


なおが撮ろうと言っても写真は嫌いだからと断られていた


それに、夜は連絡がつかなかった

電話をしても電源が切られている

メールをしても返事は翌日


それを言うと、家電波悪いんだとか充電がなくなってるのを気が付かなかったと言われていた


不安になったなおは彼が一人暮らしをしているアパートに行きたいと言った

でも、部屋が汚い、今友達が来てる、何かにつけて断られていた


ある時、彼の車でデート中、タバコを買いにコンビニに寄った

なおは車の中で待っていた


すると彼の携帯が鳴った

メールがきたのだ


画面に送信元の名前が表示された

No.42 11/04/26 12:51
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『ゆうこ』


なおは直感したという

奥さんいるんだと…

しかし、彼氏が車に戻ってきてもなおは平然と何もなかったかのように振る舞った


言ってしまえば、それが別れになってしまうと思ったから


その後も何ら変わりなく付き合いは続いた


当然の様に会えばHをしていたと言う


なおは言う

『奥さんと別れて欲しいなんて思ってなかった、ただ一緒にいたかっただけ、彼といると本当に幸せなの』


でもその幸せは長くは続かなかった


ある日突然、なおの携帯に知らない番号から着信があった


なおはすぐに誰だかわかったという

奥さんだと…

No.43 11/04/26 15:12
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『もしもし』


『私、○○の家内ですが、いつも主人がお世話になっております』

奥さんは話し出したという

案の定、奥さんは凄いけんまくで、なおは圧倒された

散々罵声を浴びせられ

最後には

『泥棒猫…』

そう言われた

なおが言い返す隙も与えず、電話は一方的に切られた


なおはそれでも別れたくなかったという


数日の間は何もなく彼とも過ごした

もちろん、彼には奥さんの事は何も話さなかった



ある日家に帰ると両親と知らない女性が何やら真剣な顔をして話しをしていたという


なおは自分の部屋に行こうとしたら親に呼び止められ隣に座るように言われた



そう、
女性とは奥さんだったのだ

No.44 11/04/26 23:55
ユキナ ( ♀ zzlLh )

奥さんは

『お腹に赤ちゃんがいます、どうか私達の幸せを壊さないで下さい』

涙ながらに言った


携帯で怒鳴り散らしていた相手とはまるで別人のように…


両親は土下座をし、何度も何度も謝った


奥さんは

『うちの主人がお宅の大事なお嬢様を傷付けてしまって本当に申し訳ありません』

そう言って頭を下げた


なおは今後一切連絡を取らないと一筆かかされた


帰り際奥さんは、なおに

『少し外を歩きませんか?』

と言った

両親にも

『きちんとお詫びをしてきなさい』

と言われ、奥さんを近くの駅まで送る事になった

No.45 11/04/27 00:10
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お腹に赤ちゃんがいるはずの奥さんはタバコを吸いだした


なおの視線に気付いた奥さんは

『赤ちゃんがいるなんて嘘に決まってるでしよ~親子揃って信じちゃってバカじゃないの~泥棒猫の親だから仕方ないかぁ』


そう言って高い声で笑った


両親の前で見せた、さっきまでの態度とは一変していた…


脅迫まがいな事を言われ

最後に

『今度会うような事をしたら殺す』

その言葉を残して駅に入っていった


なおは別れを決心した


携帯を出し

『他に好きな人が出来たから別れて』


彼にメールを送った

No.46 11/04/27 00:20
ユキナ ( ♀ zzlLh )

彼からすぐに電話がかかってきた


が、なおは出なかった


間もなくメールがきて

『一体何があった? 』


彼からのメールに対して

『マジ迷惑だから、あんたみたいなオッサンに本気になるわけないじゃん~勘違いしちゃってバッカじゃないの、二度と連絡してこないで』

なおが返信した


それからもしばらくはメールがきたが、なおは一度も返信はしなかった


何度か自宅近くで、なおを待ち伏せしていたようだが、なおは出て行かなかった


『彼に会ったら引き返せなくなるから』

16歳の女子高生


色々な物を捨てたり失ったりする勇気はなかったという

No.47 11/04/27 00:38
ユキナ ( ♀ zzlLh )

それっきり、二度と彼に会うことはなかった


話を終えた頃には、なおは声を出して泣いていた

『ユキナに話して気持ちが楽になったよ、聞いてくれてありがとう』


無理矢理なおは笑っていた

なおは私の知らないところで、こんなにも色んな事があったのにいつも私の事を心配してくれて…

今日もたかしに会うのに付いてきてくれて


なおの優しさに私は甘えてばかりだった


私はなおを抱き締めて

『次こそはいい男見つけようねぇ』

二人で笑い泣きをした


~~~~~~~~~~~~~~

しかし、まだまだ私にも、なおにも男運は巡って来ませんでした


なおは口には出さないけど

10年くらい経った今もきっと、この彼が忘れられず好きなんだと思います

No.48 11/04/28 12:38
ユキナ ( ♀ zzlLh )

夏休みも終わって、またいつもの学校生活に戻った


クラスには数名姿がなかった

退学してるか、学校に行かなくなる


みかこもそのうちの一人だった

たまに学校に来るだけでテストも受けなかった事もある


みかこは案の定単位が足りなく自主退学をした


美容関係の仕事をしたいと言っていたみかこは誰よりもオシャレだった

学校を辞めてからはあまり連絡をとらなくなってしまった


今頃何をしてるのか…

きっとキレイな女性になっているだろう


元々6人だったグループも4人になってしまった


ある日なみがヴィトンのサイフを持ってきた

『いいでしょ~とうとう買っちゃったよ』


6万くらいするサイフ


バイトもしてないなみがなんで買えるのだろう~

みんなが疑問に思った


なみの口から出た言葉…

No.49 11/04/29 00:02
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『援交してるんだぁ~』


やっぱりなって感じだった…


いつの間にか、なみだけではなく、みきもやっていた


二人の持ち物にはブランド物が増えていった


ある日

『友達紹介するって言っちゃったの~ユキナ、なお付き合ってくれるよね?』


なみに言われた


私もなおも援交なんてやりたくなかった


でも、まなみの時みたいにイジメられるんじゃないか…

そんな不安があって私もなおも怖かった


断ることが出来なかった


とりあえず、初めてだから私となお二人でなら行くという事になった


なみに言われた通りの待ち合わせ場所に行くと


スーツを着た年は40くらいの真面目そうな男が待っていた

No.50 11/04/30 08:48
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なみから聞いた名前は佐藤


『佐藤さんですか?』


男は
『ユキナさんと、なおさん?』


『はい、遅れてすみません』


とりあえず近くのファーストフードに入った

細かい男らしく、これからの予定の段取りを始めた

この後カラオケに行って、その後食事でもしよう


ホッとした


ホテルにでも行くと言われると思っていたから


お金は1人1万ずつで2人で2万という事になった



カラオケに行って食事をするだけでお金が貰える


私達は了解をした



カラオケに行って2時間歌いまくった



佐藤さんも見かけはお堅い感じだが、歌い始めたらはじけまくっていた



カラオケを出て近くのレストランに入った

No.51 11/04/30 22:52
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ファミレスとは違い、ちょっとだけ高級な感じがした


佐藤さんと色々な話をした


どうして佐藤さんみたいな真面目な人が援交なんてするの?


私の質問に佐藤さんは


『周りから真面目そうな人っていう勝手なプレートがあって、自分はそれを壊しちゃいけないっていう思いがある。

だけど俺も人間だから時には道を外したい事だってあるんだ。


体の関係を持ちたいんじゃない、ただ君達みたいな素直な子達を見てると自分の心も綺麗になる様な気がするんだ』


そう言って佐藤さんは笑った


佐藤さんの笑顔はとても優しかった

No.52 11/04/30 23:07
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ご飯をごちそうになりレストランを出た


待ち合わせをした場所につき、約束通り私達に1万円ずつくれた


自分が今まで想像をしていた援交とは全く違うものだった


これでやめておけばよかったものの…


なおが心に大きな傷を負うことになるなんて思いもしなかった…



しばらくして季節は冬になっていた


私は中学の友達からの誘いでバイトを始めた


近所の小さな喫茶店で学校が終わってからの数時間働いていた


決して忙しいお店ではないけど、アットホームな感じで楽しかった


私がバイトをしてる間、なおはなみとみきから援交に誘われてたなんて知らなかった

No.53 11/05/05 18:08
ユキナ ( ♀ zzlLh )

バイトをするようになって初めてお金の有り難みがわかった


今まで当たり前のように親にお小遣いを貰い、当たり前のように欲しい物を買って貰っていた


お父さん、お母さんは本当に大変だと思った


初給料日の時は家族に夕飯をご馳走した


近所のファミレスだけど、みんなが凄く喜んでくれて嬉しかった



ある日、学校に行くとなおは休みだった


いつもサボる時も本当に体調が悪いときも、休む時になおは必ずメールをくれる


一体どうしたんだろぅ…


なみとみきに聞いても知らないと言っていた


なおにメールをしてみた

No.54 11/05/05 18:18
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『体調悪いん~?大丈夫~?』



朝、メールをしたけど夕方になっても返事はこなかった


休み時間に電話もしたが電源が入っていなかった


先生に聞いてみたが連絡はないといっていた



なおはどうしたんだろぅ…



学校からなおの家は自転車で30分くらい


今日はバイトもないし、私はなおの家に行った


インターホンを押す

『ピンポ~ン』


するとなおのお母さんが出てきた

No.55 11/05/06 16:03
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『ユキナちゃん、いらっしゃい~』


『こんにちは、なおの体調どうですか?』


なおのお母さんは

『昨日から調子が悪いって言って部屋から出てこないのよ、ちょっと呼んでくるから待っててね』


そう言って家の中へ入っていった


しばらくしてお母さんは戻ってきた

『ごめんね、なおにユキナちゃんが来てくれたわよって言ったんだけど、なんだか調子悪いみたいで起きられないみたい、せっかくユキナちゃんが来てくれたのにごめんね』


私は
お大事にして下さいと言って帰った



帰り道なおにメールした

『具合悪いのにお見舞いに行っちゃってゴメン、元気になったらメールちょうだぃ~』



でも…
夜になっても返信はなかった

No.56 11/05/06 22:45
ユキナ ( ♀ zzlLh )

次の日も次の日も、なおは学校を休んだ


その間にもメールや電話をしたが一度も連絡はつかなかった


それから2週間近く経った日の朝、学校に着き自分の席で恒例のメイク直しをしていると後ろから肩をポンと叩かれた


振り向くとそこには、なおがいた



『ユキナおはよん、連絡くれてたのにゴメンネッ、ホント具合悪くて参ったよ…やっと復活』

なおはビックリするくらい元気だった

でも、ちょっと痩せた気がした


『いっぱい休んじゃったから~しばらくはマジメに学校来なきゃヤバいよね』


そう言って笑っていた


『なお、もう大丈夫なん?』


『全然大丈夫よん、心配かけてゴメン』

それ以上は何も言わなかった


明らかになおは何かを隠してる気がした


でもなおが話したくないなら無理に聞くのはやめようと思った


私は

『なおが休んでる間のノートとっておいたから感謝しなさい』


そう言って何冊かのノートを渡した


なおは

『サンキュー、さすがユキナ、頼りにしてます』


ノートを受け取り自分の席に行った

No.57 11/05/07 13:29
ユキナ ( ♀ zzlLh )

しばらくは落ち着いた日が続いた


でもなんだかなおの様子が前と違うような気がした

無理にテンションが高いというか…


そしてクラスの男子とあまり話すことをしなくなった


私達のクラスは男女仲が良く、学校が終わったらみんなでカラオケやプリクラをとったりしていた


あんなにみんなと仲が良かったのにどうしたんだろぅ



そんな時に、私に1つの出会いがあった


バイト先の喫茶店に中学の頃の1コ上の先輩が来たのだ


私は中学の頃バスケ部だった

先輩もバスケ部で私達女子の間では憧れの的だった

もちろん私も憧れていた


焼けた肌、背がスラッと高くてさわやか系


先輩後輩関係なくみんなと仲が良くて男女問わず人気者だった

No.58 11/05/08 00:44
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『ご注文はお決まりでしょうか~?』


オーダーを取りに行った


『やっぱりユキナかぁ~本多ユキナだよな?俺、今井直人覚えてる?』


(説明:ユキナ事~私のフルネームは本多ユキナです)



『今井先輩?覚えてますよぉ~お久しぶりです』


先輩が卒業して以来だから2年ぶりくらいの再会だった


先輩
『腹減っちゃって、軽く何か食べに寄ったらユキナがいたからマジでビックリした~』


先輩は相変わらずカッコ良くて、私の事を覚えてくれてた事が凄く嬉しかった



中学の頃は女子の憧れの人だったから、むやみに話すと多くの女子を敵に回すので…まともに先輩と話なんて出来なかった


先輩は帰り際、携帯の番号とアドレスを書いた紙をくれた


『よかったら連絡して~』


そう言って帰って行った


先輩の連絡先ゲットしちゃったぁ~!


ヤバい!!!


めちゃくちゃ嬉し過ぎる!!

No.59 11/05/08 00:58
ユキナ ( ♀ zzlLh )

その夜私はさっそくメールをした


『今日はホントビックリしました、久しぶりに先輩に会えて嬉しかったです。良かったらまた喫茶店に来てください~』


すぐに先輩から返信がきた


『おぅ、また喫茶店行くから次は何かサービスしろよ~』


こんな感じで先輩と毎日メールをした



先輩は高校に入ってからはバスケは続けなかったようだ



ちょくちょく喫茶店に顔を出してくれるようになった



先輩が来てくれるのが嬉しかった



ある日、いつものように今日あった事とか些細な事をメールすると先輩から


『明日の日曜日ヒマだったら遊びに行かない~?買い物に行きたいから迷惑じゃなければ明日付き合ってもらえないかな?』


これはもしや先輩からデートのお誘いかな

こんなチャンス二度とないかもしれない


憧れの先輩からの誘い


『もちろんOKです。』

考える事もなく即答で返信した


明日先輩と会うことになった


キャー
何着ていこう


その日は遅くまで明日着ていく洋服のファッションショーが開かれた

No.60 11/05/08 12:50
ユキナ ( ♀ zzlLh )

その夜は緊張の余りなかなか眠れなかった


目覚ましが鳴るよりも早く目が覚めて準備をして待ち合わせ場所に向かった



まだ先輩は来ていないようで鏡でメイクチェックをしていた


5分もしないうちに

『ユキナ、悪りぃ~待たせた』



『全然待ってないですよ、今日は誘ってくれてありがとうございます~』


先輩
『いいえ、こちらこそ~急なのにサンキューなぁ~』


先輩はやっぱりカッコ良い


電車に30分くらい乗ってショッピングモールに行った


先輩の妹さんの誕生日が近いというので一緒にプレゼント探しをした

中学生の女の子が欲しい物なんてさっぱりわらないと言っていた


当時はキティちゃんがめちゃくちゃ流行っていた

先輩の妹もキティラーだった

サンリオSHOPに行ってキティちゃんグッズを買った



それから私の服を見た


先輩は私の洋服を一緒に選んでくれた


ついつい先輩がカワイイといってくれたワンピースを買ってしまった



次は先輩の服を見に行った

私も一緒になって選んだ


先輩は何を着ても似合う

みとれずにはいられなかった

カッコ良すぎるぅ~!

No.61 11/05/08 12:59
ユキナ ( ♀ zzlLh )

買い物も終わり駅のホームで電車が来るのを待っていた


やっぱり夜は冷える


かじかんだ私の手を先輩は自分の手で包むようにして暖めてくれた


電車に乗って待ち合わせをした場所につくと

『これ、今日付き合ってくれたお礼』


そういってキティちゃんのストラップをくれた


さっき、サンリオSHOPで見た時に私がカワイイと言った物だった


先輩は私の知らない間に買ってくれていたんだ…


涙が出そうなくらい嬉しかった


『ありがとうございます、大事にします』


それからは前よりも先輩とメールや電話をする回数が増えていった


先輩の妹もキティちゃんグッズのプレゼントに大喜びだったようだ

No.62 11/05/09 23:44
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ある日の休み時間に先輩からメールがきた


いつもメールは夜くるのに珍しい


先輩からのメールは大歓迎!


『今日学校終わったら時間ある~?』


時間ならたくさんある

先輩と会うよりも大事な時間は私にはないと思うくらい、私は先輩が大好きだった


『OKです~』


放課後、先輩と会うことになった


そういえば、先輩と制服で会うのは初めてだぁ


楽しみ

先輩の学校の制服はどんな感じなのかなぁ~



授業も終わり帰る準備

メイク直しをして、グロスを付ける


ルーズのくしゃくしゃも直してニナリッチをシュッ!



よし!
行くかぁ!!

No.63 11/05/09 23:59
ユキナ ( ♀ zzlLh )

待ち合わせ場所に行くと先輩はすでに待っていた


先輩の学校は学ランだった

カッコイイ!!


『遅くなっちゃってすいません~』


『こっちこそ急に悪りぃ~、っうかユキナんとこはブレザーなんだなぁ、カワイイじゃん』


先輩からカワイイなんて言われて嬉しい


『先輩もカッコイイですね、卒業する時は第2ボタン下さい』


私が言うと先輩は笑っていた


『ちょっと歩こう~』

先輩に言われて歩き始めた、
が…
しばらく沈黙になってしまった



いきなり先輩は立ち止まって



『ユキナはっきり言うけど俺と
付き合って下さい』

No.64 11/05/10 00:08
ユキナ ( ♀ zzlLh )

えぇ!!!


私、コクられてるぅ~

うそぉ…先輩が私に…
信じられない


そんな気持ちから

『本当にですか?
ドッキリ? 何かのバツゲーム?』

そう言ってしまった


先輩は

『ドッキリでもバツゲームでもないし、マジだから』


嬉しくて嬉しくて、先輩に抱きついてしまった


先輩はビックリしてたけど
『OKだと思っていいの?』


そう言われて
私は頷いた


多分、私の顔は真っ赤だったと思う


先輩は私の頭を撫でて、そして軽くキスをした



中学の頃から憧れていた先輩の彼女になっちゃったぁ


私は嬉しくてたまらなかった



でも、ここからが始まりだった…

No.65 11/05/10 15:41
ユキナ ( ♀ zzlLh )

先輩と付き合ってからは毎日が楽しくて楽しくて仕方なかった


先輩から

『付き合ってるんだから先輩はやめろよ~』


と言われた

でも先輩は先輩
何て呼んだらいいんだろぅ…


私が考えていると

『直人でいいよ、彼氏なんだから呼びつけで問題ないっしょ~』


直人…
なんだか嬉しはずかしだった


なかなか直人と呼ぶのには抵抗があったけど、次第に慣れていった


付き合ってから初めてのデートをした


電車に乗って都内に行った

電車に乗ってる間も、トイレで離れる以外はずっと直人と手を繋いでいた



今、電車に乗って若い女の子が彼氏に抱き着くようにピッタリとくっついているのを見かける時がある


今の私には出来ない事だが…

(年齢的に)


私にもあったなぁと、

しみじみ想ってしまう(笑)

No.66 11/05/11 00:01
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人とブラブラ色んなお店をみた


1つのクレープを2人で食べたり、プリクラをとったり、全てが楽しかった


直人がアクセサリー屋さんに入っていった

『ユキナ、ペアリング買おう』


ペアリング…

えぇ、マジで

超欲しい

直人はペアリングとか嫌がると思っていたからビックリした


『うん、欲しい』


直人は
『そっかぁ良かったぁ、ユキナはどうゆうのがいい~?』



直人と真剣に選んだ


内側にはイニシャルを入れた

  『NtoY』


決して高い指輪じゃないけど


人生初のペアリング


直人が私の左薬指にはめてくれた


私も直人の左薬指にはめた

お互いに恥ずかしくて笑った



本当に嬉しかったなぁ

No.67 11/05/11 00:10
ユキナ ( ♀ zzlLh )

帰り際、直人と離れたくなくてなかなかバイバイが出来なかった


直人
『ユキナ遅くなっちゃうよ、いつでも会えるんだから~』


そう言ってギューっと抱き締めてくれた


家の近くまで送ってもらってようやくバイバイをする


いつもダダをこねて直人を困らせていたと思う



ねぇ、直人…
そうだったよね…

No.68 11/05/11 00:24
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人と付き合って1ヶ月過ぎたくらいになおに報告をした


なおは凄く喜んでくれた

『たかしの事なんて忘れて直人先輩に幸せにしてもらいなよ』

と言っていた



家庭科の時間に
マフィンを作った


2つ作ったから1つはその場でみんなと食べて、1つは直人にあげる事にした


直人にメールした

『学校終わったら会える?』


直人
『おぅ、大丈夫だよ~うちに来るか?』


うちに来るか?
直人のお家に…

直人の部屋はどんな感じだろぅ



『行ってもいいの?じゃぁお邪魔する』

直人
『了解、じゃぁ後で』


やったぁ
直人の部屋に行ける

楽しみだぁ
授業中は上の空で、ただただ時間が過ぎるのを待っていた


やっと授業も終わり、急いで直人の家に向かう


直人の家の近くの公園で待ち合わせだった


公園に行くと直人はブランコに座って待っていた

No.69 11/05/11 00:36
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『直人~』


直人のもとへ走って行った


直人は
『ユキナ、走らなくていいから~転ぶよ』

笑いながら言っていた


『お家に行って平気なの?お家の人は?』


私が聞くと


『うちは共働きだから親いないし、兄貴がいるけど一人暮らししてるから家にはたまにしか帰ってこないんだ』


へぇ~
直人にはお兄ちゃんがいるんだぁ~

違う、違う、
という事は誰もいない…


いきなり緊張してきた


どうしよ…今日の下着はどうゆうのだったかな…
可愛かったかな…

私はそんな事を考えていた


直人の部屋に入るとサッパリしていて本当にシンプルだった


ベッドとテレビとコンポと机

ムダな物はないって感じだった


ベッドに2人で座り、直人が私の好きなアムロちゃんのCDをかけてくれた


家庭科の時間に作ったマフィンを渡した


直人は凄く喜んでくれて

『なんか食べるのもったいないなぁ』

と言っていた


せっかくだから食べてと言うと渋々食べているような感じだった

No.70 11/05/11 00:53
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『うん、うまい~』


直人が喜んでくれて嬉しかったぁ


直人が私の頭を撫でてキスをした

直人に告白をされた時以来のキスだった


1ヶ月たっても、あれ以来、手を繋いで別れ際にギューしか直人はしてこなかった


久しぶりのキス
それだけで私の心臓はバクバクだった


直人の舌が私の口の中に入ってきた


舌と舌が絡まって、唇を吸われていた


直人の舌が首に下がりワイシャツのボタンを外された


ちょっとずつ、ちょっとずつ、丁寧に脱がされていった


私も直人の学ランを脱がし、ワイシャツを脱がし、ズボンをおろし…


お互いが裸になってしまった


2人で布団にくるまり抱き合ったりキスしたりを繰り返した


直人に
『ユキナ、下に行って~』

と言われ、直人と逆の方向になった


直人に言われるがままになると

69だった

初めての事に戸惑ったが

直人に気持ち良くなってもらいたくて
一生懸命直人のモノをしゃぶった


直人の舌は強弱が激しくて
強く攻められたり、ゆっくり舐められたり


初めて
イク…
というのを体験した


69ですでにヘトヘトだった


『ユキナ、戻っておいで~』


直人に呼ばれ再び何度もキスをした


私は我慢出来ずに

『直人と一つになりたい』


そう言うと直人はゆっくりゆっくり私の中に入ってきた

No.71 11/05/11 12:51
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なんとなく
これが本当のセックスだと思った


高校生の私が生意気だと思われるかもしれないけど…


愛されてる


そんな風に思った


気持ちがいいだけじゃなくて
とても暖かくてお互いがお互いをおもいやる…
そんな感じがした



直人を知れば知るほど私は直人を好きになっていた



時には些細な事でケンカもした


原因はだいたい

直人はやっぱりモテる


駅で直人目当てに女の子が待ち伏せをする事もあった


バレンタインの時は私に見つからないように通学バックに隠したつもりだろうが、隠しきれないくらいチョコレートをもらってきた


ヤキモチで直人の前で泣いてしまう事も度々あった

その度に直人は

『ユキナのダダこねに付き合うのに俺は忙しいから、他の子に付き合ってる暇はないよ~』


よくそんな事を言っていた

No.72 11/05/11 13:41
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ある時、私は大事な直人とのペアリングを無くしてしまった

私達の学校は身だしなみ検査が月に一度あった

指輪も違反だった


制服のポケットに入れたはずなのに無くなっていた


必死に探した
なおも一緒に探してくれたが、結局見つからなかった


私はこの世の終わり状態の落ち込み様だったと、今もなおに笑われる



直人に何て言おう

怒るかな…

直人にメールをした

『直人、ゴメンね…私、指輪無くしちゃったの、本当にごめんね』


昼休みにメールをしたのに夕方になっても直人からの返信はなかった


怒ってるんだなと思った…

No.73 11/05/11 22:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人からの連絡はないまま私はバイトに行った


携帯が気になってちょくちょく確認していたが直人からのメールはなかった


直人に言い寄る女の子はたくさんいた


ヤキモチ焼きの私は彼女いるアピールしてと、指輪をいつもするように直人に言っていた


なのに私は指輪を無くした


バイトが終わったら直人に謝りに行こうと思った


バイトが終わり喫茶店を出て直人に電話をした


『もしもし』


直人が出た


『もしもし直人、メールしたんだけどね…』


私が話すと
直人が

『ユキナ、後ろ向いてみな』


『えっ、後ろ…?』

後ろを向くと直人がいた


『お疲れ~メールごめんな』


ビックリした
直人はバイトが終わるのを待っていてくれた

No.74 11/05/11 22:37
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『直人待っててくれたの?ゴメンね、私指輪なくしちゃった』


直人は
私の頭をいつもみたいに撫でながら

『メールを見て、ユキナは落ち込んで、自分を責めて、また泣いてるんだろうなって思った。

だから指輪買ってきちゃった、仮病使って早退しちったぁ~』


直人は笑いながら言った


『直人…
指輪買ってきてくれたの…?』


『オゥ、そしたらユキナ泣かなくてすむだろぅ~』


直人の優しさに私は胸がいっぱいだった


『直人、ありがとう、今度は絶対になくさないから』


直人は
『頼むよ~』

と言っていた



直人…
私は今までもこの指輪をちゃんと持ってるよ

約束した通り、なくしてないからね

No.75 11/05/11 22:44
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人とは相変わらずラブラブだった


なおに言わせると、ユキナの一方的な想いに直人は付き合わされてる感じだっと言われるが…



ある日の昼休み、私達のクラスでは男女数名で鬼ごっこがブームになっていた



前はなおもやっていたが最近はやらなくなってしまった


その日もいつものように鬼ごっこをしていた


ある男子が、なおが参加してるんだと勘違いをしてしまい、なおの事を追いかけてしまった


普通なら、自分はやってないからと言えば済む事だが
なおは悲鳴をあげながら逃げた


その悲鳴を聞いてみんなが驚いてしまった


男子が追いかけるのをやめ、私がなおを追いかけて行った


なおは座りこんでいた


『なお、どうした~』


なおの元に行くと
震えながら泣いていた

No.76 11/05/11 22:50
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なおは

『ゴメン、なんでもない』



『なんでもなくないよ、何かあった?』

なおは黙ってしまった



『なおが言いたくないなら仕方ないけど、話したら楽になる事も少しはあるかもしれないよ』


私はなおの頭を撫でた


なおは
『ユキナ、絶対に誰にも言わないって約束して、お願い』


やっぱり何かあったんだ…

私は約束すると言って指切りをした


なおはうつ向いたまま話し出した



『実はね…私が2週間近く休んだのは…』


思いもよらない事だった…

No.77 11/05/11 23:07
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私がバイトを始めて間もなく
なおはみきとなみから援交に誘われていた


ユキナはバイトあるし1人じゃ不安だからといっても、なみとみきは納得せず1回やってんだから大丈夫だよと言われていた


それでもなおが断ると

『援交やった事、バラすよ~』


そう言われた


なみとみきから今回は食事だけでOKと言われ、
なおは渋々了解した


2人に言われた待ち合わせ場所に行くと若い男が待っていた


援交と聞くとオヤジを想像するが、

その男は歳は20代後半~30代前半で若い人で良かったとなおは思ったという


男の名前は
『須藤』


ガングロでどちらかというとチャラ男系


須藤と合流して食事をした

見た目はチャラいが話しやすくて楽しかったという


食事も終わり須藤と歩いていると、いきなり車が隣に止まってなおは無理矢理乗せられた


口をふさがれ、手を縛られた


車の中には須藤の他に男が2人乗っていた


なおは必死に抵抗をしたが口をふさがれ声も出ない

出るのは恐怖のあまり涙だけだった

No.78 11/05/11 23:19
ユキナ ( ♀ zzlLh )

辺りはすっかり暗くなり人気の全くない 公園におろされた


なおは車からおりた瞬間に逃げたが、逃げ切れるはずもなく3人の男にレイプされた


なおは言った

『最初の男にのられた時は必死に抵抗したけど2人目にかわったら、抵抗したとこでやめる訳ではないと思った、3人目にかわったら、もうすぐ終わる』

そう思ったと…



男がいなくなった後、なおは身だしなみを整えて家に帰り何度も身体を洗った


洗っても洗っても気がすまなかったという

No.79 11/05/11 23:35
ユキナ ( ♀ zzlLh )

親にも話せなかった

援交したとは言えなかったという


『ユキナには話そうか迷ったけど、言えなかった』



なおにはずっと不安があった


生理がくるかどうか …


不安で一歩も外に出られなかった


生理がきた時に、ホッとした

これで忘れようと思ったそうだ


生理がきた次の日からなおは学校にきた


何もなかったんだ
強く強く言いきかせたつもりだが

暗闇、男
それは、なおのトラウマとなっていた


連絡もなく学校をずっと休んでいた事

なおが男子と話さなくなった事

鬼ごっこで男子に間違えて追いかけられて悲鳴をあげて逃げた事

全てがつながった


なお…
なおはどんだけ辛く、怖い思いをしたんだろう


私は涙を抑える事が出来なかった


なおは泣き笑いして
『ユキナが泣くなよ~』

私を叩きながらいった

No.80 11/05/11 23:48
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私は
『なみとみきには?』

と言うと

『絶対に言わないで、須藤って男となみ達はあれっきり連絡とってないみたいだから、2人に言ってバラされたりしたら嫌だから…』

なおはそう言って頑なに拒んだ


私は
『わかった』

なおがそれでいいならと思った


『もしまた援交に誘われたら私に言ってね、イジメられたって、何をバラされたって、うちらは友達なんだから~』


私が言うと
なおも
『そうだね』

そう言って笑っていた


みきとなみ…
許せなかった


同じ女として本当に許せなかった



私達の学校は2年生になると希望進路ごとにクラスわけをされる


なおと相談をした

とりあえず、なみとみきと離れよう


2人は短大を希望していた


だからあえて私となおは進学ではなく就職を希望した

No.81 11/05/12 00:04
ユキナ ( ♀ zzlLh )

クラス発表

予定通り、なみとみきとはクラスが離れた

なおと一安心だねと言った

そして就職を希望した私達は同じクラス

『やったぁ~』


なおがこれで安心出来ると二人で喜んだ


なおが

『男はまだ怖いけど、ユキナを見てると、彼氏ほしいなって思うよ~』


そんな事を言っていた


なおを大切にしてくれる彼氏と出会えればいいなと思った


私が2年生になれば、当然の事だが直人は3年生になる


直人に聞いた


『直人の夢は何?』

No.82 11/05/12 10:27
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『夢?』


『うん、直人の夢は何かなぁって思って』


直人
『俺は出来たら建築士になりたい』


建築士…
直人の夢はすごいなぁ


直人
『一人前の建築士になったら、寂しがりやのユキナが何処にいても俺が見える家を設計して作るから 、これも俺の大きな夢の1つなんだ』


という事は直人は私とずっと一緒にいたいと思ってくれてるのかぁ


私はきっとにやけていたと思う


なおに
『ユキナの一方的な想いに直人は付き合わされてる』

そう言われてから、私の片思いなのかと、ちょっとだけ不安になったりもしていた


直人にも聞かれた

『ユキナの夢は?』

私の夢は…
考えた事もなかったが…

『う~ん?』

『あっ、直人のお嫁さん』


そう言うと

『ユキナは本当に素直だよな~、じゃぁ1日も早くユキナの夢を叶えられるように頑張らないとな』


高校生のカップルなら、ずっと一緒にいよう、結婚しよう、などと誰もが言うものだと思う


単なる口約束だけど直人の言葉が本当に嬉しかった


直人とずっと一緒にいると思ってたんだよ…

いや、今も隣にいてくれてるよね…

No.83 11/05/12 12:12
ユキナ ( ♀ zzlLh )

もうすぐ直人の誕生日だ


プレゼントは何が欲しいんだろう

直人に聞いたとこで何もいらないよと言うだろう


洋服、アクセサリー、お財布、

色々候補をあげたがわからない


そんな時に、ちょうど直人のMDが壊れてくれた~


電車通学の直人にMDは必需品


直人は困っていたが私にとっては好都合


さっそく電気屋さんに見に行った


当時はMDが流行っていた為、種類がたくさんあった


売り場担当のお姉さんがいたので相談をした


『高校生の男の子に人気があるのはどれですか?』


お姉さんは親切に色々教えてくれ、いくつかの候補があがった


直人を推理して、直人ならこれを買うだろうなという物を選んだ


彼氏の誕生日プレゼントだと言うと、お姉さんは気をつかってくれ、あえてお店の名前が入った包装紙は使わずにリボンを可愛く結んでくれた


直人、喜んでくれるかなぁ


私は直人の誕生日が待ち遠しかった

No.84 11/05/12 12:57
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人の誕生日

0:00

になった瞬間にメールをした


HappyBirthday直人

直人が生まれてきて、直人に出会えた事に感謝です


18歳の直人にいっぱい幸せが訪れますように


メールを送信して間もなく直人からもメールがきた


『ユキナThankYou
俺も今、生まれてきて良かったとマジで思ってる。
ユキナの子守りは大変だけど、それ以上にユキナがいて幸せだよ』


直人は今、幸せだと思ってくれてるんだ


放課後に会う約束をして眠りについた


その日の学校はとても長く感じた

よく楽しみな事があると、それまでは長く感じるというが全くその通りだ


サボって帰りたいとこだが、真面目に学校に通ってるなおをおいては帰れない


つまらない授業をひたすら我慢した


授業が終わって帰る準備をすると
なおが

『ユキナ座って』

私がキョトンとすると


『可愛くしてあげる』

と言って私を座らせメイクをしてくれた


最近は遅くまで直人とメールをしている為、朝がなかなか起きられず化粧をしている時間なんてなかった


なおは化粧アドバイザーかっていうくらいメイクが上手で好きだった

No.85 11/05/12 13:24
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『よし完了、可愛くなったよ』


なおに言われ鏡を見ると私自身もビックリするくらいだった

当時はガングロ、ヤマンバ絶頂期

学校にもヤマンバといわれるタイプが多くいた


私はあいにく肌が焼けないタイプで真っ白だった

ヤマンバではないが、メイクはただ塗ってるという感じだった


いつもの自分とは違い、とてもナチュラルだった


『さすが、なお、すごぉ~い』


なおは
『でしょ~直人先輩は濃いめのメイクよりナチュラルな方がタイプな感じがするよぉ』


確かに、私も思う

でも、お手本にしているなおも当時は濃いめのメイクをしていた為、メイクがあまり上手くない私にはナチュラルとはどうゆうふうにすればいいのかわからなかった

No.86 11/05/12 18:52
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なおが最後に
落ちないグロスというのを塗ってくれた


ピカピカしてキレイ

『なお、ありがとう』


『どういたしまして~、さて、早く直人先輩のとこに行きなぁ、ユキナめちゃくちゃ可愛くなったよ』


私を送り出してくれた


少し前に、なおにはとても辛い事が起きた


あんな事があったのに、なおは私の恋愛を応援してくれている


なおは男性恐怖症になっているのに、私は幸せの絶好調


なおに悪い…
そう思っていた


そんな事を思っている私に
なおは気付いていた

『ユキナ、私がこんなんだからって遠慮しないでよ~前みたいに直人先輩との恋ばな聞かせてよね』

そういってくれていた


なおには昔も今も本当に感謝している

No.87 11/05/12 20:25
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なおに見送られ、私は学校を出た


今日は直人がいつも使っている駅で待ち合わせ


直人が駅から出てくるのを待っていた


『あっ直人だ~』


直人が出てきた

が…私の前を通りすぎた…


直人はキョロキョロ周りを見渡してる



『直人、今私の前を通りすぎたんだよ~気づかなかった?』

直人
『えっ、ユキナ…
ビックリした、いつもと違うからわからなかった』

『ユキナ、カワイイ、今日メイク違うね』



『メイク?学校を出る時に、なおにしてもらったの、カワイイ?』

直人
『カワイイ~』


お互いに照れてしまった


いつもは私が直人の手を握る

なのに今日は直人から私の手を握ってきた


なおのメイクのおかげだね

なお、ありがとう

No.88 11/05/12 21:35
ユキナ ( ♀ zzlLh )

バイトをしている喫茶店のマスターにお願いをして小さな誕生日ケーキを作ってもらっていた


直人と喫茶店に向かった

マスターは気をつかってくれて奥の個室をあけてくれた


個室に入って間もなくマスターがケーキを持ってきてくれた

小さなカワイイケーキだった


『HappyBirthday 直人』


名前の入ったチョコレートがのっていた

小さなケーキだから18本はロウソクがたたなかったけど、火を付けて私はHappyBirthdayを歌った


直人は火を消して二人で拍手をした



この時私は本当に幸せだった

No.89 11/05/12 21:45
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私は直人に目をつむる様に言った


直人は目をつむった


直人の手に用意したプレゼントのMDを置いた


直人が目をあけてプレゼントをみた


『MD…』

『これ、めちゃくちゃ高いやつじゃん、ユキナ買ってくれたん?』



『うん、バイト代を貯めて買ったんだ、直人嬉しい~?』


直人
『嬉しいけど、こんな高いもん、なんかごめんなっ』



『全然いいんだよ、直人がMD壊れて困ってるのしってたから欲しい物をあげられて良かったよ』


私が言うと直人は

『ありがとう、大事にする』


私は
『毎朝MDを聴いて、ついでに私も思い出してね~』

と言ったら、直人は笑っていた

No.90 11/05/12 21:58
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ケーキも食べ終わって、マスターにお礼を言って喫茶店を出た


直人は私の家の近くまで送ってくれ
いつものようにギューっと抱き締めてくれた


『ユキナ、今日はありがとう、18歳になったから、これでいつでもユキナと結婚出来るようになったよ、ユキナを幸せに出来る男になれるように頑張るから何処にも行くなよ、それから今日のユキナめちゃくちゃカワイイ、惚れ直したよ~』


直人は恥ずかしそうに言った

直人がこんな事を言うのは珍しい

いつも一緒にいたい、離れたくない

こんな言葉を私が一人で言ってる感じだった


そして軽くキスをしてくれた


幸せの絶頂にいた私


なのに、私はどん底に落ちる事になる


一番大事な人を失うなんて、この時の私は思いもしなかった…

No.91 11/05/12 22:33
ユキナ ( ♀ zzlLh )

季節は夏になろうとしていた


間もなく期末テスト

この日は直人と図書館でテスト勉強をした


直人は頭がいい
スラスラと問題が解けている


私は数学の問題、一問目からつまずいていた

サッパリわからない

あきちゃった

直人は私の上の空に気付いて、私に問題の解き方を教えてくれる

しかし、解らない


直人は私のバカさ加減に笑っていた


『ユキナ、よく高校入れたなぁ~』

そんな事を言われていた


テスト勉強を終えて直人と近くのマックに行った


外は暑いけど中は涼しい~


そういえば、直人は進路どうするんだろう

私は聞いてみた

『直人、進路は決まったの?大学行くの?』

No.92 11/05/12 22:50
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『うん、大学に進学する、建築の勉強したいんだ』



『そっかぁ、直人の夢は建築士だもんね、大学は遠いとこ?家出るの?』


直人
『志望の大学は片道2時間半くらいかな~大学の近くにアパート借りようか悩んだけど、寂しがり屋のユキナさんを置いていけませんから~』


直人は笑いながら言った



『直人と離れなくてすむのは嬉しいけど、片道2時間半もかかるんじゃ大変だよ、私なら離れても大丈夫だよ』


直人
『ユキナの寂しがり屋もあるけど、俺がユキナと離れたくないんだよ、とりあえずユキナが高校を卒業するまでは家から通う、ユキナが卒業したら住むとこは考えればいいよ、ユキナがよければ俺は一緒に住みたいと思ってる』



『私も直人と住みたい、わぁ~楽しみ』


直人
『それまで家事を出来るようにしておく事~』


直人と指切りをした


この日から私はお母さんの手伝いをするようになった


日頃、手伝いなんてしてこなかった私


お母さんは
『直人君のお陰でユキナは変わったよね~』


と言っていた

No.93 11/05/12 23:01
ユキナ ( ♀ zzlLh )

その日は突然きた


台風がきているせいで朝から雷が鳴り強い雨と風だった


学校が終わり、家までびしょ濡れになって帰った


家に着いて直人にメールした


『家に着いたよ、凄い雨だから直人も気をつけてね、家に着いたら連絡ちょうだいね~』


直人からも返信がきた
『今電車に乗ってるよ、もうちょっとで駅に着く、家に帰ったらまたメールするから。

それからこないだもらったMD調子いいよ~最新は違うね、もちろん毎日ユキナを思い出してるから』


そんな内容だった



それからずいぶん時間が経ったが

直人から家に着いたメールが、なかなかこなかった


こんな雨の中、どこかに寄り道をしてるのかな~
と思っていた


お手伝いでお母さんと一緒に夕飯を作っていると私の携帯が鳴った


直人だと思った


携帯の画面に表示されたのは



『公衆電話』

No.94 11/05/12 23:10
ユキナ ( ♀ zzlLh )

電話に出た

『もしもし』


『もしもしユキナちゃん…』



直人のお母さんの声だ…
泣いてるのかな…?


『ユキナちゃん、落ち着いて聞いてね、直人が車にはねられて…




亡くなったの…』


私は体の力が抜けてその場に座り込んでしまった


様子がおかしい事にお母さんが気づき私の持ってる携帯をとり、直人のお母さんと話していた


私はお母さんに連れられ直人のいる病院に向かった


病院に着くと直人のお母さんは泣き崩れていた


『ユキナちゃん…直人が…』


言葉になっていなかった


私は直人がいる部屋に連れていかれた

No.95 11/05/12 23:17
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人の顔には白いハンカチのような物がのせられていた


テレビでみた事のある光景だった


ここに寝ているのは本当に直人なの…


私は白いハンカチをなかなかとれなかった


ハンカチをとると

傷だらけの直人だった

顔に無数の傷やアザがたくさんある


本当に直人なんだね


私はこの時、初めて涙が出た


お母さんから電話がきても実感がないというか、信じられなかった

だから涙も出なかった


直人が死ぬなんて、絶対にありえないと思っていたから



でも…
今私の目の前には直人がいる


傷だらけで、冷たくなった直人が…

No.96 11/05/12 23:30
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人、なんで、なんで死んじゃったの…

なんで事故になんてあうの…

なんで死んじゃうの…


私は直人に覆い被さるように泣き叫んだ


お母さんが
『ユキナ、落ち着きなさい』

私を後ろから抱き締めた


お母さんも一緒に泣いていた



直人は駅から自宅までの道を歩いていた


強い雨のせいで視界は最悪だった

トラックの運転手は直人が歩いているのは見えなかったと言っていた


ちょうど曲がり角を曲がったところで直人を巻き込みひいてしまった


直人は頭を強く打ち即死だったそうだ

No.97 11/05/12 23:42
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人の左手薬指にはペアリングがはめられていた


日頃私は、いつも指輪をしてと言っていた


私と会わない時も直人はちゃんと指輪をしてくれていたんだ

約束を守ってくれていたんだね



翌々日、直人のお通夜だった


私はお母さんとなおに付き添われ、直人にお別れをしに行った


お通夜にはたくさんの人がきていた


直人はみんなの人気者だった


直人、良かったね
みんな直人に会いに来てくれたんだよ


お通夜が終わり、直人のお母さんが私と直人、二人きりにしてくれた




ねぇ直人、

私の命を半分直人にあげるから

半分になった命の火が無くなるまで一緒にいてよ…


私を一人にしないでよ…


私を一人にしないでよ…



私の泣き声に気づいたのか、直人のお母さんが来た

No.98 11/05/13 00:06
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人のお母さんは
うずくまってる私を抱き締めて


『ユキナちゃん…ごめんね、直人にユキナちゃんを泣かすような事は絶対にするなって言ってたんだけど…
こんなに泣かしちゃうなんて…
きつく叱らないといけないね』


『お母さん…』

直人のお母さんは私の涙を拭いてくれた


『直人とユキナちゃんのペアリング、直人は大事にしてたのよ、前に一度洗濯しちゃった事があって直人にずいぶん怒られたの~

この指輪はこのまま直人の指にはめておこうね。

直人はユキナちゃんをお嫁さんに選んだはずだから』


お母さんは泣きながなら私に話してくれた


お母さんと二人抱き合って泣いた


告別式は

直人に会いに行かなかった

というより行けなかった

行けるはずがなかった


直人の体が無くなるのを見る事が出来なかった



私は最後に
直人の頬を触り、髪を撫で、キスをした

直人、
直人は最後までやっぱりカッコイイね


私が中学の頃から憧れてたの知ってた?

No.99 11/05/13 00:08
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人…

直人は本当に幸せだったのかな…

私はいい彼女だったかな…

いつも甘えてばかりでごめんね

いつもダダをこねて困らせてごめんね


ねぇ、直人

こんな悲しい形を迎えてしまったけど、

こんな事があったよね


『私達がこの地球で、こんなにたくさんの人がいる中で出会った事は奇跡なんだよね』


私が直人に言った


雑誌か何かで見た言葉だ


直人は
『俺達が出会った事は運命だ』


そう言っていたね

No.100 11/05/13 00:18
ユキナ ( ♀ zzlLh )

皆様

初めまして

ユキナです


この場を借りて私の過去の話をさせてもらっています


実は、この物語を書くにあたって
直人の事は書かないでおこうと最初から決めていました


でも
私の過去を語るにあたって
やっぱり直人の存在は大きすぎてお話する事にしました


その為に、途中文章の繋がりがなかったり、わかりづらい所もあったんじゃないかと思います


本当に申し訳ありません


もし、わからない所なんかがあったら教えて下さい


では、もう少しお付き合い下さい


私の話を読んでくださる方が一人でもいたら幸いです



本多ユキナ

No.101 11/05/13 01:48
ゆう ( 20代 ♀ lL0Fh )

>> 100 全部、読みました☺
まさか、直人さんが亡くなるなんてビックリです。けど、直人さんに心から愛してもらい逝ってしまった直人さん😢悲しすぎます。今はもう傷は癒えましたか?
また次の更新待ってます✨間挟んでレスしてしまいごめんなさいm(_ _)m良かったら感想スレ立ててください💡

No.102 11/05/13 09:52
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ゆうさん、初めまして


まさかレスをもらえるなんて思ってもみなかったので嬉しかったです


直人に愛されてた


ゆうさんに、そう言ってもらえて嬉しかったです


直人が亡くなって10年経ちます

この間、直人を恨んだ事もありました


今も直人をおもうと苦しくなりますが…

今思い出されるのは笑った直人です


高校生の直球でお子ちゃまな恋愛ですが私にとっては、とても大きな恋愛でした


感想レスをくださり本当にありがとうございました


もうちょっとお付き合い下さい


本多ユキナ

No.103 11/05/13 12:11
暇人 ( ♀ 4bRFh )

横レスごめんなさい。

初めから読ませて頂いてました。毎回更新が楽しみでした。

涙が止まらなかったです😢
どんなに悲しかったか、辛かったか。
想像するだけで胸が張り裂けそうでした😢

彼は幸せだったと思いますよ😢今でも幸せなはずです😢
今でもあなたに愛されているのですから...。
そばにいるのでしょうね、きっと。
「さみしがりやのユキナに怒られちゃう」と言う彼の言葉が聞こえてくるようでした😢

あなたは本当に彼に愛されていたんだと思いました。
辛い経験されたのに、素敵な小説読ませて頂きありがとうの気持ちでいっぱいです✨

これからも読ませていただきます😊
頑張って下さい😊✨

失礼しました💦

No.104 11/05/13 14:02
ユキナ ( ♀ zzlLh )

暇人さん、初めまして


レスありがとうございます。


暇人さんの言葉1つ1つがとても嬉しかったです


直人の事を思い出すと
もっと直人にしてあげられた事はあったんじゃないか…

後悔ばかりを思ってしまいます


暇人さんの言葉で
少し気持ちが楽になりました

はい、
私は直人を愛していました

そして今も、これからも


暇人さん、ありがとうございました


本多ユキナ

No.105 11/05/13 15:10
ユキナ ( ♀ zzlLh )

それからの私はまるでぬけ殻のようだった

生きる意味をなくし…

自分をなくした…


直人を亡くした私は家に引きこもっていた

お母さんやなおはただ黙って私のそばにいてくれた


しばらくして学校に行き始めたが、
私は自分で自分の感情をコントロール出来なくなってしまっていた


悲しみや寂しさをうめるために、
お酒やタバコにも手を出していた


学校でも、なお以外の人とは話をしなかった


直人の事を詮索されたくないし、同情もされたくなかった

No.106 11/05/13 15:30
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ある日、学校に行くと

なおがなみとみきと話をしていた


なおと目が合ったが、なおはすぐに目を反らした


何かあると思った


近づくと話が聞こえた

なおは援交に誘われていた


私の中で感情をコントロールするスイッチはなくなっていた

通学バックを振り回し、なみとみきを殴った

2人も私に殴りかかってきた


3人で取っ組み合いのケンカになってしまった


なおは必死に私をおさえようとしていたが

私は2人に怒鳴った

『なおを脅してんじゃねぇよ、バラしたきゃバラせ、お前らの事も全部バラしてやる』


騒ぎに気付いた先生数名が走ってきて私達を引き離した


バックを振り回した時に、中に入っていたタバコが落ちてしまっていた


ケンカにタバコ

私は2週間の謹慎になってしまった

No.107 11/05/13 19:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お母さんが学校に呼び出された


職員室で先生と私とお母さんの3人で話をした

お母さんは先生に謝っていた


先生とお母さんが話をしている時に、私はトイレに行くと言って職員室を出た


私が向かった先はトイレではなく屋上だった


私は高所恐怖症で高い所は大嫌いだった


でもこの時は違った


ここから飛んだら直人の元に行けるから


そしたらまた一緒に過ごせる


屋上から下を見てはそんな事を考えていた

No.108 11/05/13 19:40
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お母さんは私がタバコやお酒に手を出している事に気付いていた


でも何も言わなかった


この日の帰り道も、

夕飯は何が食べたい~?

明日から2週間も謹慎だよ~

たまったビデオでも見ようかぁ


そんな会話をしながら帰った



普通の親ならきっと怒るだろう



でも私のお母さんは違った

No.109 11/05/13 20:47
ユキナ ( ♀ zzlLh )

謹慎中は与えられた課題をやり、ずっと家に居た

(謹慎中の身、当たり前ですね)


なおは私を気にして毎日のように連絡をくれた


2週間がたち
私の謹慎期間はあけた


学校に行くと
なみとみきが来た


あの時、先に手を出したのは私

私は謹慎になったが、2人は厳重注意で済んだらしい


なみが
『ユキナごめん、私達何にも知らなかった…』


何にも知らなかった?

あぁ…直人の事か

なおにでも聞いたのかな



私は
『私の事はいいから

ただ、なおを援交に誘ったり脅すような事はもうしないで…
お願いだから』


2人は
『わかった』

と言ってくれた

No.110 11/05/13 20:59
ユキナ ( ♀ zzlLh )

職員室に行って、謹慎中の課題を提出した


教室に行くと
なおが来た


『ユキナ、おはよ、謹慎中のノートとっておいたよ~』


『ありがとう、助かるよ~』


またいつもの生活に戻ったが


相変わらず私の心には大きな穴があいたままだった



『死にたい』


『直人の元に行きたい』


毎日毎日そう思っていた

No.111 11/05/13 21:10
ユキナ ( ♀ zzlLh )

喫茶店のバイトも辞めさせて欲しいとお願いをしに行った


マスターは全てを知っていた


『わかった、
でもユキナちゃんが元気になったらまた戻っておいで

前に直人君が言ってたんだ、
この喫茶店は俺の愛のキューピッドなんだって。


だから直人君にとって大事な場所みたいなの。


ユキナちゃんの気持ちに整理が着くまでお休みって事にしよう、私達はずっと待ってるから』

私はマスターに深く頭を下げてお礼を言った



この喫茶店は直人の愛のキューピッドかぁ



私は久しぶりに笑った

No.112 11/05/14 10:31
ユキナ ( ♀ zzlLh )

それからも直人の居ない生活には慣れず、学校に行っても大半は屋上で過ごした

食事もとれなくなり、貧血で倒れる事が何度もあった



この時の私を見てたなおは



『ユキナが死にたいというなら、私は止めなかったかもしれない、
ユキナが死んだら直人先輩は悲しむだろうけど、
直人先輩の元に行かせてあげる事が、あの時のユキナにとっては幸せだと思ったから』


そう…
私は死ぬ事ばかりを考えていた

No.113 11/05/14 12:29
匿名希望 ( 20代 ♀ AksL )

>> 112 お友達思いで素敵な女性だと思いました。
素敵な彼氏に愛されただけあるなと思いました。

あなたには幸せになって欲しいと思いました。

No.114 11/05/14 12:46
ユキナ ( ♀ zzlLh )

毎日、携帯を開き直人の番号とアドレスを見ては泣いていた


直人から受信されたメールを見ては泣いていた



ある日の帰り道、私は知らない女の子5~6人に囲まれた


女の子の1人が

『直人君はお前のせいで死んだんだ、お前となんか付き合わなければ死なずにすんだんだ、直人君を返せ』



今の私なら、この女の子達も直人の事が好きだったんだろうな~


直人はやっぱりモテるんだな~


そんな風に思う事が出来るが


当然その時の私には出来るはずもなく



『私と直人の何がわかるんだよ、ふざけるな』



私は目の前の女の子に殴りかかってしまった

No.115 11/05/14 12:52
ユキナ ( ♀ zzlLh )

匿名希望さん、初めまして


レスありがとうございます


なおは昔も今も凄く大事な友達です


今も頻繁に連絡を取り遊んでいます



匿名希望さんに
言ってもらえた言葉

嬉しかったです


直人の愛に今も支えられています


匿名希望さんが今
どうか幸せでありますように

私も願います



ありがとうございました


本多ユキナ

No.116 11/05/14 13:09
ユキナ ( ♀ zzlLh )

6対1

当然だが私はボコボコにされてしまった


私が起き上がれなくなるまで殴られ


最後に

『直人君の彼女だったからって調子に乗るな、お前が死ねばよかったのに』


そう言っていた



私も思う
私が死ねばよかったのに…


ボコボコに殴られても私は平気だった


体よりも心が痛すぎていたから



家に帰るとお母さんがいた

血だらけ、傷だらけの私にお母さんは

『せっかく可愛く生んであげたのに、こんなに傷付けちゃって台無しね~』


この時も怒るわけでも、理由を聞く訳でもなく、ただ黙って傷の手当てをしてくれた

No.117 11/05/14 14:37
ユキナ ( ♀ zzlLh )

その日の夜

私は眠れなかった

殴られた痛みもあった


台所に行き水を飲んだ


その時、たまたま目に入ったのは睡眠薬だった


当時、お母さんは眠れない事が多く、病院から睡眠薬を処方されていた



私はそこにあった睡眠薬を全て自分の部屋に持っていた



これで死ねる

これでやっと直人の所に行ける

直人、待っててね



私は持ってきて睡眠薬全てを飲んでしまった

No.118 11/05/14 15:12
ユキナ ( ♀ zzlLh )

薬を飲んだら
少しずつ意識がなくなっていったのは覚えてる…



次に目が覚めた時は


私は病院にいた



腕には点滴の針が刺さっていて

お母さんが私の名前を呼んでいた


『ユキナ、ユキナ』

『大丈夫?』


えっ…

私…

死んでないの


あんなに薬をいっぱい飲んだのに

なんで…



死ねなかったんだ



直人…

私、直人のとこに行くの失敗しちゃったみたいだよ

No.119 11/05/14 15:35
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私が2階の自分の部屋から1階の台所におりる階段の音を聞いてお母さんは目が覚めた


お母さんも台所に行ったが、すでに私は自分の部屋に戻っていた


ふと見ると睡眠薬の入った袋が無くなっているのに気付いた


『ユキナ…』

お母さんは私の部屋に走った



部屋に入ると睡眠薬の袋を持って横たわる私がいた



お母さんはすぐに救急車を呼んだ



意識が戻り

私が最初にお母さんに言った言葉は


『死にたい』


だった

No.120 11/05/14 17:01
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お母さんは泣いていた



(お母さん、ごめんね。私を生んでくれたお母さんに一番言てはいけない言葉を言っちゃったよね…)



お母さんは私に

『ユキナ、同じ女としてユキナの気持ちはわかるよ。

でも直人君は死にたくて死んだんじゃないでしょ。

直人君の体はないかもしれないけど、

きっと今はユキナの心で生きて、ユキナの目を通して色んな物を見て、耳を通して色んな音を聞いて、体と心を通して色んな事を感じてる。

ユキナが死んじゃったら、ユキナの中で生きてる直人君も死んじゃうのよ。


直人君を命を捨てるまで好きになった事に誇りを持ちなさい 』


そんな言葉をかけてくれた


この時お母さんと2人で声を出して泣いた

No.121 11/05/14 17:12
ユキナ ( ♀ zzlLh )

入院中はずっと点滴をしていたが、数日の入院で退院した


退院して家に帰ってから、なおにメールをした


なおからは毎日メールがきていたので
退院した事をメールで知らせた


なおからの返信は

『ユキナが辛いのに何も出来なくてゴメン、でも私はずっとユキナのそばにいるから、ユキナは1人じゃないからね~』


涙が出た…


こんなどうしようもない私に、

なおはいつも優しかった


なお、ありがとう

No.122 11/05/14 21:07
ユキナ ( ♀ zzlLh )

学校にも戻ったが依然として私は変われなかった



直人と待ち合わせをした場合


直人と歩いた道



直人と初めて手をつないだ場所



私は直人と過ごした場所に行っては泣いていた


思い出の場所に行けば辛いのはわかっている


でも、直人の思い出にすがらなければ、あの時の私は生きていられなかった





そんな時に、私の元を訪ねてきた人がいた



いつまでも前に進めない私を見て…

きっと直人が連れてきてくれたんだろうね

No.123 11/05/17 19:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

学校が終わり家に帰った

が…

家の前に誰かいる


高校生…?


あの学ラン…
直人と同じだ


近くに行くと



『えっ、桜井先輩?』


『ヨォ~本多~
お前、帰りが遅ぇよ~すっげぇ待ったじゃねぇか』



桜井先輩とは

私の中学のバスケ部の先輩で
直人と1、2位を争う感じで女子に大人気だった

もちろん、私は直人派でした



直人と桜井先輩は同じ高校で、中学の頃から仲が良かった


カッコイイ先輩だが、直人と違って女好きで有名だった

No.124 11/05/20 12:49
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『桜井先輩…どうしたんですか?』



先輩がなんでいきなり来たのか不思議だった


直人とは仲がいいが私はあくまでも中学の先輩後輩の関係でしかなかったから



先輩
『お前が女にボコられたって聞いたからさぁ~
どんだけやられたか見に来たけど、もう治ってるよな~』


ボコられた?
あぁ、こないだのかぁ~



『あれなら大丈夫ですよ、殴りかかったの私だし、見事にやれちゃったけど…』

先輩は、
よく1人で立ち向かうよ~
お前バカだなと笑っていた



ちょっと話そうと言われ、近くの公園に行った



公園に向かって歩いてる時に先輩は

『本多、お前痩せたな』


ボソッと言った



私は当時

167センチの身長で、直人が生きてる頃は48キロ体重があったが…

その時は42キロにまで痩せていた



でも、桜井先輩のお陰で高校生が生意気だと思われるかもしれないけど…

直人の愛を知ることになった

No.125 11/05/20 23:27
ユキナ ( ♀ zzlLh )

公園についてベンチに座った


先輩と昔話をした



私の知らない直人の話を色々教えてくれた



先輩
『今井が中学の頃から、ずっとお前を好きだったって気付いてたかぁ~?』




『えぇっ!知らない、でもあんなにモテてたし、あり得ない』


そう言うと

『色んな女からコクられても
なんで誰とも付き合わなかったか…

今井は、お前が入部した時からずっと、好きだったんだよ~』


(説明、今井とは直人の名字です)



ビックリした

そういえば、
直人はことごとく告白を断っていて

女子の間で、
女嫌い、もしかして男が好き?

そんな噂も出てるくらいだった



『私を好きだったなんて、そんな素振りなかったけど…』



先輩
『話し掛けても、ユキナちゃんは
そっけないって…

あいつ、よく落ち込んでたんだぜぇ~』


そっけないって…

直人が話し掛けてくれても、

他の女子の嫉妬の目が怖くて…
話す事なんて出来なかった…



それが直人の目には、そっけなく写っていたのだろう

No.126 11/05/20 23:36
ユキナ ( ♀ zzlLh )

先輩
『お前が、そっけないから今井は告白出来ないまま卒業して、

でも諦められなかったみたいでさぁ~


だけどお前が受験だから、受験が終わったら告白をしようって決めてたんだよ~』』



へぇ~
そうだったんだ


直人、私を好きだったのかぁ…


私の知らない直人を知ることが嬉しかった


中学の頃、
いつも私は直人を見てたけど、
直人も私を見てくれてたんだね



先輩
『今井がお前のバイト先に初めて行ったのだって、

偶然なんかじゃねぇよ~』




『えっっ…』


先輩の言葉に驚いてしまった…

No.127 11/05/21 16:12
ユキナ ( ♀ zzlLh )

先輩
『お前のバイト先の喫茶店って、アメリカンって感じのログハウスだろ?

あんなカワイイ店に高校生の男が1人で行けると思うか~?』



確かに…

あの喫茶店は、建物がとてもカワイイ


それに
喫茶店に来るお客さんは9割以上が女の人だ


男の人が来るとしたら、彼女や奥さんに連れられて


ましてや高校生の男の子が1人で来るなんて、
まずないだろう



先輩
『あいつは、お前がバイトしてるって聞いて、何度も店の外には行ってたんだよ~

でもなかなか入りづらかったみたいでさぁ~

かなり勇気を出して中に入ったと思うよ~

俺なら無理だな~』


そうだったんだ

あの日、直人が喫茶店に来たのは通りかかったんじゃなかったんだ


私は先輩の話を聞きながら泣いていた

No.128 11/05/21 16:40
ユキナ ( ♀ zzlLh )

先輩
『今井の事を紹介してくれって、
しょっちゅう女から頼まれてさぁ、

だけど、
あいつに言っても、ユキナがいるってさぁ~

二言目にはユキナ、ユキナって
正直うぜぇ~と思ったよ



最初から燃え上がっちゃうカップルは
すぐ別れるもんだって思ってたけど

お前らみたいな特殊なタイプもいるんだな


進路を決めた時さぁ


あいつは頭もいいし、担任からも建築の勉強をするなら県外の大学の方が専門だからって勧められてたんだよ


でも県外ってなるとお前と遠距離になるだろ


1年遠距離して、本多が卒業したらよべばいいって言っても、お前と遠距離はしたくないってさぁ~


だから、家から通えて、建築の勉強が出来るとこを選んだんだよ


今井に後悔しないのか?

って聞いたら、

ユキナと1年離れる事を選んだ事に後悔するってさぁ~


お前らみたいなバカップル
ホント暑苦しいよ~』



直人…

私はいつも直人の愛情表現が足りないって怒ってたけど

直人の愛は

私の言う
大好き、離れたくない、一緒にいたい

そんな言葉よりも
ずっとずっと大きな物だったんだね


私は声をあげて泣いた

No.129 11/05/21 16:55
ユキナ ( ♀ zzlLh )

泣いてる私に

先輩は

『本多、お前が泣くのも、辛いのもわかる


でも、自分の夢への近道を捨ててまで、
お前といたかったあいつが、お前を置いて死んだんだぞ


泣いてるお前を見て、あいつは自分を責め続けてるんじゃないのか…


お前が今泣いてる横で、あいつも泣いてるよ…』


直人も泣いてる…

そうかもしれないな

私、ずっと泣いてるもんね



『本多、いつまでも泣いてないで強くなれ

今井の分まで生きろよ』


先輩はそう言って
直人のように私の頭を撫でてくれた

まるで本当に直人に撫でられてるようだった

そう思ったら
なんだか嬉しくて笑ってしまった


きっと今、

直人は頭を撫でながら

『泣き虫ユキナが、やっと笑った』


そう言って笑ってるんだろうなって思った

No.130 11/05/21 17:06
ユキナ ( ♀ zzlLh )

先輩のおかげで
私は一歩進めた気がした


直人は私以上に辛いって思うから


私はずっと行けなかった場所に行く勇気が出た



いつものように
学校が終わった


なおに

『お願いあるんだけど』


なおは
『なぁ~に?』

そう言って首を傾げた



『直人が誕生日の時にしてもらったメイク、もう一回してもらえない?』


なお
『お安いご用だよぉ、どっかいくん?』


『うん、直人の家とお墓に…
直人が亡くなってから一度も行けてないんだ…

だから、直人がカワイイっていってくれたメイクをして会いに行きたいの

お願い出来るかな?』


なおは涙目になっていた

『任せて、めちゃめちゃ可愛くしてあげるから』



あの時のメイクを
もう一度してもらった

No.131 11/05/21 22:13
ユキナ ( ♀ zzlLh )

メイクが終わって
なおが鏡を見せてくれた


あの時のメイクだ



『ありがとう』

お礼を言うと
なおは私を抱き締めてくれた

『ユキナ、辛かったよね…

すごく可愛くしたから先輩にしっかり見てもらって来てね』

なお、
いつもありがとう




直人の家に着き
インターホーンを鳴らした


直人のお母さんが出てきた


『ユキナちゃん…

いらっしゃい
さぁ、あがって~』

いきなり行ってしまったので
お母さんは驚いているようだった


中に入ると
直人の妹がいた

お通夜で見かけたが、お互いに、とても挨拶が出来る状況ではなかった


直人の妹は

『ユキナちゃん、初めまして』

そう言ってニコっと笑った


笑った顔が直人に似ていた

No.132 11/05/23 11:08
ユキナ ( ♀ zzlLh )

部屋に通されると
直人のお仏壇があった

直人の妹が
『お兄、ユキナちゃん来てくれたよ~』

と言った


まずは
お線香をあげさせてもらった

直人の写真をみて

久しぶりに直人の顔をみた気がした



直人の妹は
『私の誕生日プレゼントを口実に、ユキナちゃんをデートに誘ったんでしょ~

お兄、だらしないよね』


誕生日プレゼント…


直人に初めて
遊びに行こうと言われて
キティちゃんグッズを買った事を思い出した


あの時貰ったキティちゃんのストラップ


あれは直人からの初めてのプレゼントだ…


10年たった今

白かったキティちゃんの顔は
少し黒くなってしまったが
今も私のお守りで


直人、

大事に持ってるよ…

No.133 11/05/25 12:43
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お母さんが直人の部屋へ案内してくれた


久しぶりの直人の空間だ


以前と何も変わってなくて
直人の制服がかかっていた

直人の学ラン姿、本当にカッコ良かったなぁ



直人が事が
好きすぎて、

時々、


本当に私はこの人の彼女なのかな…


なんて思った事もあった


直人の机、ベッド、コンポ…


前と何も変わってないから、ひょっこり直人が帰ってくるんじゃないかと思ってしまった

No.134 11/05/25 12:53
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お母さんと直人の妹と色んな話をした


『お兄は家では無口だし、何を考えてるのかわからなかったけど、ユキナちゃんと付き合ってから、ユキナちゃんの話をよくしてたよ~』



直人の妹は、私の知らない家での直人の事を教えてくれた



直人が私の話をしてたんだ~

確かに、

『直人は何を考えてるのかわからないよね~』

と言って笑った



それから

私はお母さんに、
お墓に連れていって欲しいとお願いをした



お墓は、
直人の家から歩いてすぐの所にあった

No.135 11/05/26 12:45
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人のお墓について、周りを少し掃除した


そして手を合わせた


『直人

ずいぶん待たせてごめんね


事故の時の傷は、もう痛くないですか?


いっぱい心配かけてごめんね


まだ心は痛いけど、直人の分も私が生きるからね』



また涙が出てしまった



お母さんは私を抱き締めてくれ



そして私に

ある物を渡してくれた

No.136 11/05/26 22:03
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私の手の上に置いてくれた物


ボタン…?


お母さんは私の背中をさすりながら

『直人が言ってたのよ

俺のこの第2ボタンはユキナに予約されてるんだ

ってね


だから、これはユキナちゃんに持っていてもらいたいの』



第2ボタン

初めて直人の学ラン姿を見た時、私が言った事、ちゃんと覚えてくれてたんだ


私はボタンを握りしめた



直人のお母さんは
話を続けた

No.137 11/05/26 22:18
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お母さん
『ユキナちゃん、辛いおもいをさせてしまって本当にごめんなさい


それから

直人を愛してくれて、直人に愛する事を教えてくれて、本当にありがとう


あの子の人生は18年の短い人生だったかもしれないけど、幸せだったはずよ

親では与えられない物を、ユキナちゃんが与えてくれたのね

直人の母親として本当に感謝してるわ


ありがとう』



私も泣いていたが
お母さんも泣いていた


私は
『直人に出会って私の人生はかわりました

まだ、直人の居ない世界で生きていくのは怖いけど、
しっかり前を向いて、私は生きます

お母さん、私はこれからもずっと直人が大好きです』


お母さんは
『ありがとう』


そう言って抱き締めてくれた



直人

私はちゃんと生きるからね

だから心配しなくていいからね

No.138 11/05/26 22:25
ユキナ ( ♀ zzlLh )

皆様

ユキナです


これで直人との話は終わりです

長々とすみません

もっと明るく話したかったのですが
重くなってしまいました


実際はもっともっと私は大変な事になっていましたが…(汗)



以前、感想レスを下さった

ゆうさん、暇人さん、匿名希望さん


まだ読んでいただけてるでしょうか?



まだもうちょっと続きますが
よかったらお付き合い下さい


本多ユキナ

  • << 141 今晩は🌙 私も毎回、更新がある度に読ませて頂いてます☺ 自分のペースで構いませんので今後も更新お願いしますm(_ _)m 直人さんとユキナさんの愛が私には羨ましいです✨

No.139 11/05/26 22:58
暇人 ( ♀ 4bRFh )

読んでますよ😊
ユキナさんのペースで頑張って下さい✨
いつも楽しみにしています✨

失礼しました😊

  • << 142 暇人さん こんにちは 感想レスをいただきありがとうございます 読んでもらえていたんですね 以前、暇人さんに言われた言葉で、昔を思い出しました 本当に嬉しかったです まだもうちょっと続くので、よかったらお付き合い下さい 本多ユキナ

No.140 11/05/27 00:19
みぃ ( 30代 ♀ lrAHh )

私も読んでいます😄

ゆっくりマイペースで最後まで頑張ってください⤴

  • << 143 みぃさん はじめまして 感想レス、ありがとうございます 読んでくださる方がいて嬉しいです 長々と書いてしまいすみません もうちょっと続くので宜しくお願いします ありがとうございました 本多ユキナ

No.141 11/05/27 01:59
ゆう ( 20代 ♀ lL0Fh )

>> 138 皆様 ユキナです これで直人との話は終わりです 長々とすみません もっと明るく話したかったのですが 重くなってしまいました … 今晩は🌙
私も毎回、更新がある度に読ませて頂いてます☺

自分のペースで構いませんので今後も更新お願いしますm(_ _)m

直人さんとユキナさんの愛が私には羨ましいです✨

  • << 144 ゆうさん こんにちは ゆうさんには初めて感想をいただきました 読んでくださる方がいて、しっかり書こうと思えました 直人と私の愛が羨ましいなんて、とんでもありませんが、 そんな風に言ってもらえて嬉しかったです ゆうさんが素敵な恋愛をしていますように祈っています まだもう少し続くので、よかったらお付き合い下さい 本多ユキナ

No.142 11/05/27 12:45
ユキナ ( ♀ zzlLh )

>> 139 読んでますよ😊 ユキナさんのペースで頑張って下さい✨ いつも楽しみにしています✨ 失礼しました😊 暇人さん

こんにちは

感想レスをいただきありがとうございます


読んでもらえていたんですね


以前、暇人さんに言われた言葉で、昔を思い出しました

本当に嬉しかったです


まだもうちょっと続くので、よかったらお付き合い下さい



本多ユキナ

No.143 11/05/27 12:49
ユキナ ( ♀ zzlLh )

>> 140 私も読んでいます😄 ゆっくりマイペースで最後まで頑張ってください⤴ みぃさん

はじめまして

感想レス、ありがとうございます


読んでくださる方がいて嬉しいです


長々と書いてしまいすみません


もうちょっと続くので宜しくお願いします


ありがとうございました


本多ユキナ

No.144 11/05/27 12:55
ユキナ ( ♀ zzlLh )

>> 141 今晩は🌙 私も毎回、更新がある度に読ませて頂いてます☺ 自分のペースで構いませんので今後も更新お願いしますm(_ _)m 直人さん… ゆうさん

こんにちは


ゆうさんには初めて感想をいただきました


読んでくださる方がいて、しっかり書こうと思えました



直人と私の愛が羨ましいなんて、とんでもありませんが、
そんな風に言ってもらえて嬉しかったです


ゆうさんが素敵な恋愛をしていますように祈っています


まだもう少し続くので、よかったらお付き合い下さい


本多ユキナ

No.145 11/05/27 23:35
寝 ( Oim4nb )

横レスが邪魔くさいです…

内容は良くても横から邪魔が入って読みにくい…

レスされる人も主さんが感想スレ立てるまで待てないの?

私もレスしてしまってるし邪魔だけれど…読みにくいから言わせていただきました。

あと、主さん。
こういったスレ立てられるときは他人にレスされないようにレスに制限かけないと駄目ですよ。。

上から目線な発言すいません。

No.146 11/05/28 00:19
ユキナ ( ♀ zzlLh )

>> 145 皆様

こんばんわ
ユキナです


感想スレ
立てさせていただきます

なんだか感想スレなんて、立てていいものかと悩んでおりました


以前、感想レスをくださった方にも、感想スレをたてる事をすすめてもらったのに申し訳ありません


不快に思われた方

本当にすみませんでした

No.147 11/05/28 12:44
ユキナ ( ♀ zzlLh )

少しずつだが
私は前に進んで行ったと思う


クラスでは、すっかり浮いた存在で孤立していたが、

なおのお陰でみんなとも徐々に打ち解けた


なおから
『やっとユキナがユキナに戻った』

そう言われた


私は自分を取り戻した


が…


無断欠席、早退、遅刻、授業をサボり…

そのツケがまわってきた


先生に呼ばれ…

『本多、このままじゃ留年もあり得ない話ではない、気持ちを入れかえて気合いを入れなさい』



その言葉通り、
私は今までの人生で一番勉強したし、一番真面目に高校生活を送った


そして、無事に進級をして3年生になった


この時の担任

田中先生には本当に感謝している

どうしようもなかった私を、先生は見捨てないでいてくれた

No.148 11/05/28 12:56
ユキナ ( ♀ zzlLh )

結局、なおとは3年間同じクラスだった


担任も田中先生だった


喫茶店のバイトもまた始めた


勝手な事を私は言ったのに、マスターは凄く喜んでくれた

有り難かった



ある時、なおから
『実はね、好きな人がいて、その人にコクられたの
付き合ってみようと思う』


嬉しかった


心に大きな傷を負ったなお…

私は、自分の事でいっぱいで、なおを気遣う事も出来なかったと思う


それなのに
なおは自分も辛いのにも関わらず、
私をいつも気にかけていてくれた


なおには幸せになってもらいたい


私は
『良かったね、なおの幸せ話、いっぱい聞かせてね』


その時私達2人のマイブームであった

ハイタッチをした


なおは嬉しそうだった

No.149 11/05/28 15:04
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なおの彼氏は

私達の学校の近くの高校で同じ歳だった

付き合いも順調で
なおは楽しそうだった


そんななお見て、私も嬉しかった


なおから
『彼氏の友達がユキナを気に入ってて、紹介して欲しいって言ってるんだけど~』


なんて言われた事もあったが私は断っていた


何人かにコクられたりもしたが
それも全て断ってしまっていた


例え、誰かと付き合ったとしても

その人を通して、直人を見てしまう

直人以上に人を好きになるなんて絶対にないと思っていた


それに
また大切な人を失ったら…
そんな不安もあった

No.150 11/05/28 23:50
ユキナ ( ♀ zzlLh )

高校生の女子が集まれば、やっぱり恋ばなをするのは当たり前


周りはみんな自分に磨きをかけていた


女の子から、女性へかわっていく

そんな感じで

1年生の頃を思い出すと、
確実にみんなキレイになっていた


恋をすると
女の子はキレイになる

よく聞く言葉だけど
間違いなく本当の事だと思う


私も直人と付き合っている頃、
直人に可愛く思われたくて、ダイエットしたり色々努力をしていたから



みんな楽しそうで、やっぱりちょっと羨ましかったなぁ~



結局、残りの高校生活で私が恋愛をする事はなかったが…


それなりに楽しかった

No.151 11/05/28 23:56
ユキナ ( ♀ zzlLh )

卒業間近…


私は就職を希望していたが
卒業間近にも関わらず
内定をもらえていなかった


今もそうだが
当時も就職難…


不景気の世の中
私は接客、サービス業を希望していた


やっぱり人気の職種だったみたいで
倍率も高かった


大きなビルで面接もしたけど、見事全滅でした


なおも同じく内定がもらえなかった



そんな時、
私の好きな洋服やさんに買い物に行くとスタッフ募集の貼り紙が


これだ!

私はお店の人に声をかけた

No.152 11/05/29 00:03
ユキナ ( ♀ zzlLh )


『すみません、まだスタッフ募集はしてますか?』


ギャルのお姉さんが
『してますけど、高校生?』



『もうすぐ卒業なんですけど、ダメですか?』


ギャルのお姉さんは
ニコっと笑い

『じゃぁ、これから面接しない?』


どうやら、
このお姉さんは店長だったらしく
急遽面接をする事になった


ショッピングモールの中に入ってるテナントの為、ショッピングモールの入り口近くにあるコーヒーショップで面接になった


いきなりの事で
私は軽いパニックになっていた


なんの準備もしてないし、動機も考えてない

ヤバい…
いきなり緊張してきた

No.153 11/05/29 00:11
ユキナ ( ♀ zzlLh )

質問された事に、とにかく素直に答えた


店長が
『見た目よりキツいけど頑張れる?』


最後に聞かれた


私は、
『初めての販売のお仕事なのでご迷惑をお掛けするかもしれません、でも一生懸命頑張ります』


晴れて採用となり
卒業してから働く事になった



雇ってくれるとこがあって良かったと


お母さんも、担任の田中先生も喜んでいた


雇ってくれるって…

私はそんなにダメですか?
全く失礼しちゃう


先生に言ったら笑っていた

No.154 11/05/29 13:51
ユキナ ( ♀ zzlLh )

卒業式


なおと私のお気に入りの場所


特別教室の多い階の階段


人通りが少なくて、授業をサボるのにはもってこいの場所だった



ここに来るのも今日が最後かぁ


3年間、色んな事があった


なおと出会えて良かった


私はなおに
『本当にお世話になったね、ありがとう~』


なおは
『バカじゃないの、卒業したって、うちらはずっと友達なんだから、しんみりそんな事言わないの~』


そう言ったのに

なおは
『ユキナ、ありがとう、ユキナがいてくれたから私は学校辞めないですんだと思ってる~』

2人で泣いてしまった


記念に、この泣き顔で写真をとった


『うちらは、ずっと友達』



その言葉通り

なおは今でも、大事な友達だ

No.155 11/05/29 22:45
ユキナ ( ♀ zzlLh )

卒業式が終わった後


クラスの友達とも
たくさん写真をとった


最後に担任の田中先生と写真をとった



私は先生に
『先生、ありがとうございました、
色々迷惑かけちゃったけど、
先生のお陰で進級も出来たし卒業も出来ました、

私は良い生徒ではなかったけど

カワイイ生徒だったでしょ~』


先生にデコピンされた


先生は直人の事、自殺未遂の事…
全てを知っていた

No.156 11/05/29 23:02
ユキナ ( ♀ zzlLh )

先生は
私にこう言った

私にとって
忘れられない言葉



『本多、人間は必ずしも心の底から愛する人に出会える訳ではない

例え、出会えたとしても必ず実る訳でもない

長く生きたからって命をかけるだけの恋を出来る訳でもない


本多はまだ18歳のあまちゃん、
私からみたら青臭いガキだけど、
それだけ人を愛し
愛される恋愛を本多はしたんだよ


今は辛いかもしれないけど
本多は幸せなんだよ

だから、後ろばかり振り向いてないで
自分を信じて前に進みなさい

本多なら大丈夫だから』


私はちょっと感動してしまった

涙が出るのを我慢する為に

独身の先生に

『先生も私の心配してないで、早くいい人見つけなよ、
そろそろ結婚相談所に行ったら~?』


先生は
『本多、最後まで可愛くないなぁ~
大きなお世話
本多よりかは早く嫁に行ってやる』


田中先生…
お嫁にいったかなぁ

先生
本当にありがとう

先生の言葉
嬉しかった

No.157 11/05/30 02:14
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なおは結局
就職もバイトも決まらなかったが

全然焦る訳でもなく

『なんとかなるっしょっ~』


この性格は今も変わっていない


そして結果報告なんだけど

『彼氏と別れたの、別れたからもう彼氏じゃないよね

タメは子供だね

私には年上がいい

次の男探さないと~』


相変わらずな、なおだ


男性恐怖症になっていたのは
もう過去のようだ


何はともあれよかった、よかった


クラスのみんなは、卒業式のあとに
制服で最後のプリクラだぁ~

と、集まっていたが
私には行く場所があった



なおと校門の前で写真をとって、その日はバイバイをした

No.158 11/05/30 02:21
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私が向かった場所は


直人のお墓だった


ずっと前に
直人が

『ユキナの卒業式が終わったら、制服最後のデートをしよう

ユキナの制服姿の見納めだ』


直人と約束をしていた



お墓に着いて
卒業証書をお墓に向けて広げた


直人、約束覚えてる?

無事に卒業出来ました


私の制服姿
よく見ておいてよ


私はちゃんと生きてるから

No.159 11/05/30 13:10
消防団 ( 50代 ♂ OrmUh )

オヤジです 横スレごめん

短い時間で沢山の経験をして若い貴女には大変だったでしょうね
でも貴女の周りには素晴らしい人が居ますね 特にお母さん こんな素晴らしいお母さんを持った貴女は幸せ者です 感謝感謝! これからの長い人生 きっと光ってますよ 先の短いオヤジでした

No.160 11/05/30 22:31
ユキナ ( ♀ zzlLh )

消防団さん

こんばんわ


今、書いてるあたりの頃は
本当に短い間に色々な事がありました

そんな中で私はたくさんの人達に助けられました

この感謝の気持ちを忘れずにしていきます


そして、お母さんには
本当に支えられました

自分の親ですが
こんなに強い人いるんだなと思ってしまいます


母親としても、女性としても尊敬しています


消防団さんの
これからの人生も輝いているはずです

必ず


感想レス
ありがとうございました

No.161 11/06/01 15:09
ユキナ ( ♀ zzlLh )

卒業して
数日後

今日は初出勤だ

昨日はなかなか寝付けなかった


休み中に、メイクやブローのやり方なんかは、なおにみっちりコーチしてもらった

初めてのネイルサロンにも行った

用意しておいた洋服に着替えて

準備オッケー


お母さんには
『ユキナが働くようになったかぁ~

いいユキナ、
先輩の言うことをよく聞いて、迷惑をかけないようにね~』


私は
子供か
ってくらい色々言われた


『いってきます~』


お店に向かった

No.162 11/06/01 21:34
ユキナ ( ♀ zzlLh )

職場のお店までは
電車で2駅だった


お店に着くまでは
とにかく緊張していた


女の子ばかりの職場

派閥とかあるのかな…

仲間の輪が出来てるのかな…

不安ばかりだった


あっという間に
お店に着いてしまった

従業員専用入り口を通って、お店に行くと
すでに店長ともう1人がいた


『おはようございます、本多ユキナです


今日から宜しくお願いします』

No.163 11/06/02 12:45
ユキナ ( ♀ zzlLh )

店長は
『来たね~
今日から宜しくね

こっちの子は岡安ゆうこさん

ゆうことシフト被る事が多いから、わからない事があったら聞いてね~』



『わかりました、宜しくお願いします』

ゆうここと、ゆうちゃんは
『ユキナちゃん、ユキナでいいかな?

宜しくね、私の事はゆうちゃんでいいから~』



ゆうちゃんは
私の1つ年上で明るくて優しい先輩だった


店長も見た目はギャルだが
頼りになる優しい人だった

No.164 11/06/02 13:13
ユキナ ( ♀ zzlLh )

初日は平日だからか

お客さんはまばらで色々な事をゆっくり教わる事が出来た


洋服のたたみ方、品出し、レジ打ち
覚える事が山ほどあった


ゆうちゃんは
覚えの悪い私に、何度も教えてくれた


お昼になり
店長が一緒にお昼に出ようと言ってくれた


従業員の休憩室もあるが、下のレストラン街で店長がおごってくれる事になった


店長から
『ユキナ、何が食べたい?』


私は、このショッピングモールにくると必ず食べるオムライスがあった

私はそこに行きたいと言って
店長と向かった

No.165 11/06/02 13:48
ユキナ ( ♀ zzlLh )

店長から
『この仕事だと、土日は滅多に休めないし、クリスマスも出勤だけど、彼氏いるでしょ?
大丈夫なの?』


彼氏かぁ…

『大丈夫です
彼氏は私の心の中で生きていて、言わば私の神様みたいな感じです』


なんとなく
店長は私の言ってる事を理解しているようだった


店長
『そっかぁ、じゃぁ頑張ってね

ユキナは背も高いし、スタイルもなかなか、うちの売り上げアップ、期待してるからね~』


私は頑張りますと、言った


それからは仕事以外の話を色々として
午後の仕事が始まった

No.166 11/06/02 14:04
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ゆうちゃんを見て、お客さんに話かける勉強をした


自分がお客の時は、ちょっと見てるだけなのに、すぐに店員さんが寄ってきて嫌だった


だからしつこくまとわりつくような事はしたくなかった


ゆうちゃんを見ていると
凄く自然だった

お客と店員と言うよりも、本当の友達のように見えた



ゆうちゃんは私に

『売らないといけないなんて思っちゃダメだよ、自分がお客だったら店員さんにこんな風に言ってもらいたいなって事を言うことが大事

そうすればお客さんが何を求めてるか見えてくるからね~』


そう教えてくれた


最初はぎこちない接客だったけど
少しずつお客さんと話せるようになった

No.167 11/06/02 14:27
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ゆうちゃんのいう通り
まずは友達の感覚で話をかけた

すると私は何も言わないのに


こうゆう感じのが欲しい

これだったら、どうゆうコーディネートがいいのかな?


お客さんから話をしてくれるようになった



まずはお客さんとの距離を縮める事を学んだ


そんな感じで
あっという間に初日は終わった


私は早番だったけど、遅番の人達もいて紹介された


今日の朝
緊張で胸がいっぱいになりながらお店に来たけど
みんないい人ばかりで安心した

女の社会は怖いというけど
スタッフ同士が、とても仲が良かった


お店によっては個人的なノルマがあるとこも多いようだが
私の働いてるお店は個人ではなく、お店にノルマがあった

その為、競争意識よりも仲間意識が高かった

No.168 11/06/02 14:35
ユキナ ( ♀ zzlLh )

1日あっという間だったが
やっぱり疲れた

帰りはヘトヘトになってしまった


ゆうちゃんは
『ユキナ、お疲れ~疲れたでしょ

今日はゆっくり休むんだよ
気をつけてね~』


私は
『覚えが悪くてすみません
色々ありがとうございます』

頭を下げると

『ユキナ、敬語はやめてったら~
同僚だけど友達になろうよ
敬語使ったら怒るからね~』


ゆうちゃんは
人に対して壁を作らないタイプで、すぐに打ち解けた


『じゃぁまた明日~』


ゆうちゃんと別れて家に帰った


家の玄関に入った途端に
お母さんが走ってきた

(短い廊下を走ってました(汗))


『ユキナおかえり

どうだったぁ?』


お母さんから質問責めだった

社会人になった私を凄く心配していた

No.169 11/06/02 14:44
ユキナ ( ♀ zzlLh )

夕飯を食べながら
お母さんと色々話した


お風呂に入って
その日はすぐに眠ってしまった


次の日からも
私は一生懸命頑張った


少しずつ仕事にも慣れて
仕事がとても楽しかった


ある時の休憩時間

休憩室に行こうと歩いていると

『ユキナちゃん?』

男の人が呼んでいた


私は誰だかわからなかった


男の人は
『俺、田嶋宏樹だけど覚えてないかな… 』


田嶋宏樹…

あぁ
宏樹君
久しぶり


宏樹君とは

高校3年生の時に
違う学校だが
うちの高校の文化祭に来ていたらしく

私を一目惚れしたとかで、告白をしてくれた人だった


もちろん、断ってしまったのだが…


高校生の時とは雰囲気が変わっていたので、すぐには誰だかわからなかった…

No.170 11/06/02 15:08
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹君は
『よかった、忘れられてなかった

ユキナちゃん、ここで働いてるんだ~』


私はお店を指さしながら
『うん、あそこの店で働いてるんだ』


宏樹君と少し話しをして
アドレスを教えて欲しいといわれ
連絡先の交換をした



その日の夜
宏樹君からメールがきた

『久しぶりにユキナちゃんに会えて嬉しかった
今度遊ばない?』


そんな感じのメールだった


私は返信したが
遊ぶのは断った

No.171 11/06/02 15:14
ユキナ ( ♀ zzlLh )

頻繁に宏樹君からはメールがきた

些細な内容だが
メールが来るのが当たり前になっていた


しばらくして
『ご飯でもいかない?』

メールが入ってきた


宏樹君とも色々話して、だいぶ打ち解けていた

明るくて優しい人だった

私は
オッケーをした


仕事の後
宏樹君とご飯に行くことになった


宏樹君は
私が働いてるショッピングモールまで車で迎えに来てくれた


初めて男の人と2人で車に乗った
なんだか大人になった気分だった

No.172 11/06/02 22:33
ユキナ ( ♀ zzlLh )

車は19歳の若い男の人らしく
少しいじってる感じだった


ショッピングモールから少し走ったフレンチレストランに行った


その日は宏樹君と色々な話をした

お互いにお互いをあまり知らないせいもあって
色んな事を質問しあった

短い時間だったけど楽しかった


帰りも私の家まで送ってくれて

『今日は付き合ってくれてありがとう

また誘ってもいいかな?』

宏樹君に聞かれた


私は
『うん、またご飯行こう』



その日から
時々、宏樹君とご飯を食べるようになった

No.173 11/06/02 23:52
ユキナ ( ♀ zzlLh )

その日も
宏樹君からメールがきた


『よかったら今度遊びに行かない?』


いつもは夕飯を食べるだけだから
何処かに遊びに行くのは初めて


迷ったけど
宏樹君となら大丈夫だと思って了解した



直人に初デートを誘われた時のようなドキドキや嬉しさとは違ったけど


直人は直人


宏樹君は宏樹君だ


比べてはいけないと思った

No.174 11/06/03 00:02
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹君との約束の日


この日も、家まで迎えに来てくれ


映画をみに行く事になって映画館に行った


映画館なんて小学生の頃にアニメをみに行った以来

久しぶりの映画館に私は、はしゃいでいた


映画が終わる頃には夕方になっていて


夕飯を食べ

車に乗った


少し走るとキレイな夜景が見えてきて


宏樹君は車をとめた


そして

『ユキナちゃん、高校の時からずっと好きだった

もう一度言う

俺と付き合って下さい』

No.175 11/06/03 12:11
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹君の気持ちに薄々気付いていたのに私は遊んだ


でも
宏樹君を好きという感情は私にはなかった

どんなに優しくされても

私の心には…

やっぱり直人がいるのだ



私は宏樹君に自分の気持ちを正直に話した


宏樹君を嫌いな訳ではない
でも…直人を忘れる事が出来ない


宏樹君は
しばらく黙ったまま何かを考えているようだった


沈黙の後

『ユキナちゃん、最初から俺を好きにならなくていい

俺と一緒にいて少しずつ俺を好きになってくれないかな?

もちろん、好きになってもらえるように努力するから』


私は悩んだ


そんな中途半端な気持ちで宏樹君と付き合っていいのか…

No.176 11/06/03 13:50
ユキナ ( ♀ zzlLh )

いつまでも悩んでる私に

『ユキナちゃんの気持ちが振り向くまで頑張るから』

宏樹君の言葉が素直に嬉しかった



『こんな私でいいの?』


宏樹君
『ユキナちゃんがいいんだよ』


曖昧な始まり方だったけど

私は宏樹君と付き合う事になった


でも
これが私の辛い日々の始まりだった…


私はバチが当たったんだと思う

No.177 11/06/03 14:24
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹君とは
ちょくちょく会うようになった

お互いに、君、ちゃんはとって呼びつけで呼ぶルールを作った


宏樹は優しくて
一緒にいて楽しかった

頻繁に出かける私に、お母さんは

『ユキナ、彼氏出来たぁ?』


さすがお母さん
やっぱり気付いてたかぁ…


私は正直に話した


お母さんは
『良かったね、若いんだから恋愛しなくちゃ、頑張れ~』


お母さんの応援に笑ってしまった


お母さんは
私が恋愛している事を喜んでくれた


たくさん心配かけたからなぁ

もう心配かけないようにしないといけないと思った

No.178 11/06/03 15:07
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹はいつでも一緒にいたがるタイプだった


それが私にとっては時々負担になっていたが
それだけ私を想ってくれてるんだなと思った


そして
少しずつだが
宏樹を好きになっていった



最初の何ヶ月かは
凄く楽しかった



出来るだけ
宏樹と一緒にいられるように、宏樹の仕事が休みな時は、私も休み希望を出すようにして休みを合わせていた

No.179 11/06/03 19:37
ユキナ ( ♀ zzlLh )

付き合いが長くなるにつれて
宏樹の束縛がひどくなっていった


1日のメールや電話が半端なかった


ちょっとでもメールを返すのが遅れたり、電話に出られなかったりするだけで

宏樹は怒るようになった



そんな宏樹に私は疲れていた


次第に別れたいと思うようになっていった

No.180 11/06/03 21:51
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹と何度Hをしても

直人に感じた
お互いがお互いを思いやるような、暖かさを感じた事は一度もなかった


いつの間にか
宏樹にとって私は

宏樹の彼女ではなく

宏樹の物になってしまった感じがした



宏樹の束縛は日に日に酷くなって

携帯チェックは当たり前

洋服屋の店員なのに

スカートやショートパンツは禁止

キャミソールなど肩や下着が見えるような服も禁止された


私はいつもパンツスタイルだった

No.181 11/06/03 22:02
ユキナ ( ♀ zzlLh )

久しぶりに
なおから連絡がきて、ご飯に誘われた


もちろんオッケーをして、さっそくその日の夜に会うことになった


なおはファミレスでバイトをしていて

割り引きが効くというので
なおが働いているファミレスに行く事になった



宏樹は毎日会いたがったので

電話をして
今日は、なおと会うから、宏樹に会えない事を伝えると

いきなり怒りだした

『ふざけるな
本当は男と会うんじゃないのか、いいから断れ』


私は
『なおは大事な友達だから

もう約束しちゃったし、とにかく今日は会えない』



そう言って電話を切ってしまった

No.182 11/06/03 22:07
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なおと合流して
ファミレスに行った

久しぶりに会ったから盛り上がった



どうやら

なおがファミレスで頑張ってるのは、ここの店長がかなりのイケメンらしく
なおは片思いをしているらしい


『ユキナは彼氏とどうなの?』


なおに聞かれた時に、私の携帯が鳴った



宏樹からだった



いつまでも鳴る携帯に

なおは
『ユキナ出ないの?』


私は携帯をとり通話ボタンを押した

No.183 11/06/03 22:13
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『もしもし』

私が出ると
宏樹は明らかに怒っていた


『お前、本当に女といるんだろうな~?

電話かわれ』


私は意味がわからなかった

なんでこんな事を言われるのか…


私は
『何いってんの

本当になおといるし、何で電話かわらないといけないの?』


私と宏樹が揉めているのに
なおが気づき


私に、電話変わるよと合図を送っていた


私が首を振ると

なおは
『大丈夫』

そう言った

なおに携帯を渡し
宏樹と話てくれた


『高校の同級生でなおと言います、

今日はユキナを借りちゃってすみません』


なおに本当に申し訳なかった

No.184 11/06/03 22:20
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹との電話を切った後


なおは
『ユキナ、彼氏…

なんかヤバくない?


ユキナは彼氏の事好きなの?』


なおに聞かれ
私は今までの事を話した


なおは
『別れた方がいい』


なおの、その言葉で
私は宏樹に別れを告げる決意をした



なおと別れた後に
宏樹に電話をして

話があるから、これから会えないか聞くと
宏樹は嫌な話は聞きたくないからなと言っていたが
会うことになった



待ち合わせ場所に行くと
宏樹の車が既にとまっていた


宏樹の車に乗り
私は話を始めた

No.185 11/06/03 22:28
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹の束縛には耐えられない

別れて欲しい


そう言った途端に

いきなり首をしめられた


私は何が何だかわからなかった


宏樹の目は変わっていた

『ふざけるな

絶対に別れない』


私は苦しくて
宏樹を突き飛ばした


するとお腹を2回殴られた


私がお腹を押さえると


『2度と別れるなんて言うな』



私は泣きながらうずくまった


すると、いきなり宏樹は優しくなり


『ゴメン…大丈夫か?

ユキナがいなくなると思ったら怖くなって…

もう絶対こんな事しないから
別れるなんて言わないでくれ』




私は宏樹が怖くなってしまった

No.186 11/06/03 22:37
ユキナ ( ♀ zzlLh )

会う度に
体を求められ
拒めば殴られ、力ずくで押さえられた


完璧なDVだった


そして必ず
殴ったあとは優しかった


私は
なおにも、お母さんにも、誰にも相談が出来なかった


また直人の時のように心配をかけたくなかったのだ



ある日も
些細な事で言い合いになり
また殴られた

その時は私もやり返したが

いつも以上に殴られた



宏樹は顔は殴らなかった

人にバレないような所を殴るのだ



私の体はアザだらけになってしまった

No.187 11/06/04 00:24
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹の仕事は5時までだった


私は遅番だと10時まで仕事だった


宏樹は自分の仕事が終わると、ショッピングモールに来て、私を監視するようになった


私の働いてる店から、ちょうど見える椅子に腰をかけて私を見張っていた



『やめて』

何度もお願いしたが、お前が悪いと言われた



明らかに私の様子がおかしい事に、ゆうちゃんは気づいていた


いつも不安そうで、何かを気にしている


ゆうちゃんの目には、そんな風に見えていたそうだ



ある時
ゆうちゃんとお昼休憩が一緒の時があった


『ユキナ、何かあった?』


ゆうちゃんは私を心配してくれていたが、話せなかった

No.188 11/06/04 00:31
ユキナ ( ♀ zzlLh )

それからも
宏樹の監視は続いた


ある日
朝から熱っぽくて、出勤したが途中で早退をした事があった


私は
宏樹に連絡をするのを忘れてしまっていた



宏樹はいつものように自分の仕事が終わってから、ショッピングモールに来てお店が見える椅子に座ったが
私の姿が見えない


しばらくたっても私がいないことを不思議に思いお店にやってきた


その時、働いていたのはゆうちゃんだった


宏樹はゆうちゃんに
『本多さんは今日は休みですか?』


ゆうちゃん
『本多は体調不良で早退しましたけど』


宏樹は
『そうですか
ありがとうございました』

そう言って帰って行った


その夜
ゆうちゃんから電話がきた

No.189 11/06/04 00:37
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『ユキナ、具合は大丈夫?

今日、ユキナを訪ねて来た人がいたよ

多分、いつも同じ椅子に座ってる男の人


ユキナがいつも気にしてる人だよね?』



ゆうちゃんは宏樹の存在に気づいていた…



『ユキナ、力になれる事は何でもするから何があったのか話てくれない?

ユキナを見てれば何かあるのくらいはわかるよ

どうした?



ゆうちゃんの言葉に私は涙が出てしまった



今まで誰にも相談出来なかった


誰かに話したくても話せなかった




私は泣きながら
ゆうちゃんに宏樹の事を話した

No.190 11/06/04 12:55
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ゆうちゃんは
ただ黙って私の話を聞いてくれた


『それ…完璧にストーカーだよ

暴力もふるうなんて最低…

親には相談したの?』




『親には相談出来ない

学生の頃色々あって、いっぱい心配かけたから、もう心配かけたくないんだ』



明日のシフトは
私とゆうちゃんと店長


ゆうちゃんは
『とりあえず明日、シフトの事もあるし、店長に相談しよう』


そう言って電話を切った


次の日
一部始終を、ゆうちゃんは店長に話してくれた


店長は
ユキナが一人勤務にならないようにシフトを組み直そうと言ってくれた


私が一人でお店にいる時に、宏樹が来たら危ないという判断だった



私は
『本当に申し訳ありません』

何度も頭を下げた

No.191 11/06/04 13:02
ユキナ ( ♀ zzlLh )

そんな私に
ゆうちゃんは

『ユキナ、私は同僚だけど、その前に友達だよ

ユキナが困ってる時は助けるのは当たり前でしょ~』



私は胸がいっぱいだった


シフトを組み直し、私の一人勤務になる時間はなくなった


スタッフのみんなに本当に申し訳なかった


宏樹に電話をして

『別れたい』

それだけを言って電話を切った



それからがまた大変だった


1日に何百回もの着信やメール


そして宏樹は
私の家の近くをうろつくようになった

No.192 11/06/04 13:13
ユキナ ( ♀ zzlLh )

自分の部屋から外を見ると

宏樹がこっちを見ている

そんな事も多かった


次第に私は宏樹に怯えていた

いつでも見張られてる…
そんなふうに感じていた



お店までの行きと帰りは
ゆうちゃんが一緒にいてくれた



ゆうちゃんは私とシフトを合わせてくれ、私の家の近くまで迎えに来てくれ、送ってくれた



私なんかの為に
本当にゆうちゃんには感謝の気持ちでいっぱいだった




そんな中で
なおから連絡がきた


嫌な予感がした

No.193 11/06/04 13:18
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『ユキナ、ごめん

昨日私が働いてるファミレスにユキナの彼氏がきたの

ユキナを呼び出してって言われたけど断ったら
私をずっとつけてるの

今も家の近くにいると思う

ユキナに黙っておこうか迷ったんだけど…

ゴメン…』



宏樹は
矛先をなおに向けた


私はなおに
『今からそっちに行って宏樹と話す

なお、ごめんね』



なおは絶対に来ちゃダメと言ったが
なおをこれ以上巻き込む訳にはいかなかった

No.194 11/06/04 13:24
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私は急いでなおの家に向かった


この曲がり角を曲がればなおの家という場所に
宏樹の車がとまっていた


私は運転席の窓を叩いた


窓があいて
宏樹に助手席に乗るように言われた


車に乗るといきなり走り出して、近くの公園の駐車場にとまった



『なおに手を出さないで』


いきなり殴られた


『お前が悪い
俺から離れようとするからだ

お前が全部悪いんだ』


それから何発殴られたかわからなかった

髪をひっぱられ
顔を押さえ付けられた


『俺から離れようなんて2度と思うな

じゃないとお前の友達につきまとってやるからな

わかったか』



私は
わかったと言うしかなかった

No.195 11/06/04 13:29
ユキナ ( ♀ zzlLh )

ゆうちゃんや店長にここまでしてもらったのに
また宏樹と付き合ってるとは言えなかった



それからも
宏樹の異常な見張りは続いた


私がお店にいない時は
『ユキナは何処だ?

隠してるんじゃないのか』

店長にそんな事を言ってきた事もあったそうだ



それでも店長は私を辞めさせるような事はしなかった



これ以上
ゆうちゃんにも店長にも他のスタッフにも迷惑はかけられないと思った


宏樹は何をするかわからなかったから

No.196 11/06/04 13:33
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私は
辞めさせて欲しいと店長にお願いをした


店長もゆうちゃんも最後まで私をとめてくれたが
私の気持ちは変わらなかった


私がここにいたら
また迷惑をかけてしまう
これ以上、誰も巻き込みたくなかった



私は大好きだった
洋服やの仕事を辞めた



本当に楽しかったから
辛かった…



お母さんには
自分には向いてないから辞めたと嘘をついた


お母さんは
『ユキナのサボり病がまた出ちゃった』

と言っていた

No.197 11/06/04 13:41
ユキナ ( ♀ zzlLh )

それからは
宏樹の仕事中以外の時間は全て宏樹と一緒に過ごすようにされてしまった


反抗すれば殴られた


私はそんな生活に
疲れきっていた


その日も
私が言った言葉が気に入らなかったのか殴られた


私の体はアザだらけ


身も心も
全部がボロボロだった


なかなか家に帰してもらえず私は部屋の隅でうずくまっていた


宏樹がトイレに行った

今だ!と思い私は裸足で宏樹の家から走って逃げた



裸足の私が向かった場所


そこは直人のお墓だった


普通、夜のお墓は気味が悪いものだけど、その時は違った


直人のお墓の前に座り
私は直人に話かけた

No.198 11/06/04 13:54
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私はバチが当たったんだね

好きでもない人と付き合ったりするからいけなかったんだよね

直人もきっと怒ってるんだろうね

私…バカだよね


しばらく直人のお墓の前で泣いた



宏樹がいないか
確認しながら家に帰った


家に着いて、裸足の私はお風呂場に向かった



私が帰ってきた音に気づき、お母さんが脱衣場を覗いた

『ユキナ帰ったの?

ご飯は食べたの?』


振り返るとお母さんは私のアザだらけの体を見てしまった

No.199 11/06/04 14:03
ユキナ ( ♀ zzlLh )

急いでバスタオルで隠したが
既に時遅しだった


お母さんは
『洋服を着てから、こっちに来なさい』


そう言ってリビングに戻って行った



私は足を洗い、洋服を着てリビングに行った


リビングにはお父さんもいた


お母さんは
私の体を見て全てを察したようだった


『いつから殴られてるの?』


その質問に私は

『付き合って何ヶ月かしてからだから、かなり前』


私は今までの事を話した


お父さんもお母さんも
『なんで黙ってた?』


そう言っていた


私は、直人の事でいっぱい心配かけたから、もう心配かけたくなくて言えなかったと言った


お母さんは泣いていた

『ユキナ、痛かったでしょ…』


お母さんに背中を擦られ、凄く私は安心した


お父さんは
向こうの親御さんに話に行くと言って、お母さんと2人で宏樹の家に行った

No.200 11/06/05 02:14
ユキナ ( ♀ zzlLh )

1時間くらいたっただろうか

お母さんだけが戻ってきた


『ユキナ、一緒に来て

向こうが暴力ふるってる事を認めないの』


宏樹は
今まで私を殴った事を否定した

最低な男だと思った



当時は携帯カメラはまだ一部の携帯にしか付いていなかった


デジカメも今みたいに普及していなかった為に私が行くしかなかった




私はお母さんに連れられ


数時間前に裸足で逃げて帰った宏樹の家に行った

No.201 11/06/05 10:03
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹の家に行く途中


お母さんは
『ユキナ、親は子供を守る為にいるんだよ

ユキナが困ってるなら、お母さんはユキナを命を懸けて守ってあげるから

ユキナの幸せが、お母さんの希望なんだよ』


お母さん…


私は
何度も
『ごめんね』

それだけを言った


お母さんは
『もう大丈夫だから、安心しなさい』


凄く心強かった
そして今まで体についていた
宏樹という重りが無くなったような
そんな感じがした




宏樹の家にいくと


お父さんが
宏樹の両親、宏樹と4人で話していた


宏樹はうつむいて正座をして座っていた


私が部屋に入ると
宏樹は涙目で私を見た


お父さんは
『そちらが認めないようなので娘を連れてきました

これでわかってもらえると思います』



そう言って私を隣に座らせた



宏樹の両親は
宏樹の暴力に気づいていなかっただろう

No.202 11/06/05 10:11
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お父さんの隣に座った


お父さんは私の洋服を捲り
腕やお腹、背中を見せた

青紫のアザだらけ

宏樹のお母さんは声をあげた


『宏樹、これどうゆう事…』

お母さんが話終わる前に
宏樹のお父さんは
宏樹に殴りかかった


宏樹は泣いていた



私のお父さんは
『そちらの問題はそちらで解決して下さい

今後一切、うちの娘と関わらないで欲しい

お互いにまだ未成年


そちらの息子さんにはまだ将来がある

今回は警察に届けるような事はしませんが、娘の体のアザは証拠として写真を残します

今後、娘に会ったり何かするようなら
写真を証拠に警察に届けます』


お父さんは冷静に
淡々と話した


宏樹の両親は
土下座をし、何度も何度も頭を下げた

お母さんは泣いていた

No.203 11/06/05 10:18
ユキナ ( ♀ zzlLh )

宏樹は
『ユキナが、いつまでも俺だけを見てくれないのが不安だった


いつか居なくなると思って怖かった

だから力で抑えるしかなかった』



そう言っていた



結局、私が直人を忘れられないのが原因だったのかもしれない…


これが宏樹と会った最後の日だ


あれから1度も会っていないが
もう2度と会いたくはない


あの時の恐怖は
今も忘れられない



男は怖いと思ったから

手に入るまでは優しいが
手に入ったら優しさなんてなくなる

釣った魚にエサはやらない


まさにそんな感じがした

No.204 11/06/05 23:48
ユキナ ( ♀ zzlLh )

それからの私は

また家に引きこもる生活になった


直人が亡くなった時と同様に

感情を無くし

そして
自分を無くした



昔、直人が亡くなって
しばらくしてから、なおに

『ユキナがユキナに戻った』


そう言われた事があったが…

私って何だろう

一体本当の私って何だろう


そんな事を考えるようになっていた


直人といる時の私が本当なら

宏樹といる時の私は嘘なのか



考える事にも
そして、生きることにも

私は疲れていた


もう
楽になりたい

直人に会いたい


また昔みたいに
ふさぎこむようになってしまった

No.205 11/06/05 23:53
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なおは
『私があの時、ユキナに電話なんてしなければ、殴られる事なんてなかったのに


私のせいだ

ユキナ…
ごめんね』


なおはずっと
自分のせいだと気にしていた


私が
『なおのせいじゃないよ


私がなおを巻き込んじゃったんだから


なおは何も気にする事なんてないんだよ』


いくら言っても
なおは自分を責め続けた


なおにも本当に悪い事をしてしまった

No.206 11/06/06 05:58
ユキナ ( ♀ zzlLh )

洋服屋のゆうちゃんからは度々連絡がきていて

宏樹と別れた事を伝えた


ゆうちゃんは
『良かったぁ、本当に良かったね』

ゆうちゃんにも
たくさん迷惑をかけてしまった



すると店長からも連絡がきて

『うちの店に戻っておいでよ

ゆうこも待ってるし、また一緒に働こう』

そんな言葉をかけてもらったが
私は断ってしまった


大好きだった洋服屋の仕事

本当に有り難かったけど

でも
宏樹がいつも座って私を監視していたあの椅子は

私をずっと怯えさせるだろう


宏樹に見られている


そんな思いから解放されたかった


宏樹と付き合ったのは短い期間だが
私の心の傷は深かった


直人以外の男なんて信じられない

これが私の答えだった

No.207 11/06/06 06:12
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お母さんは
『世の中、ユキナを苦しめる男ばかりじゃないよ

いつか、ユキナの傷を一緒に癒してくれる人が必ず、現れるから』


そんな人
本当にいるのかな…

私の問いに

『1人だけ

必ずいるんだよ

だからその人が現れた時、すぐ見つける為にユキナは、しっかり顔をあげて電波を張ってないと、たった1人の人を見失っちゃうのよ』


ふさぎこんでる私を、お母さんはいつも励ましてくれた


それから
1ヶ月後、私は20歳になった


誕生日には
たくさんの
『おめでとう』
メールがきた


なおからは
『10代のユキナには神様が色んな試練を与えました

でもユキナは全てを乗り越えました

だから神様からのご褒美で20代は
幸せな事がたくさんあるはず』

そんなメールがきた


10代は
本当に色々あった


今日から20歳
前に進まないと

そんな気持ちになれた

No.208 11/06/06 06:17
ユキナ ( ♀ zzlLh )

まずは
働かないと


初めて職安にも行った

何がやりたいって事はなかったけど
20歳になった事だし正社員になろうと思った

色々と求人を見たが

簿記やパソコンの資格

正社員の募集には
資格を求められていた


そんな中で
1社、未経験者歓迎という会社があった


自宅からも近い



私はすぐに面接をお願いをして


後日面接になった

No.209 11/06/06 06:24
ユキナ ( ♀ zzlLh )

面接当日

リクルートスーツに着替えた


お母さんは
『飾る必要なんてないし、ユキナらしく頑張ってね

落ちたって、また探せばいいんだからファイト~』


お母さん
それって落ちるの前提で言ってるでしょ~

絶対に受かってみせる!!


そんな会話をして
私は面接に行った



会社までは電車で30分もかからない距離だった


何度か会社の前を通った事があるが
ここにこんな会社があったなんて知らなかった


きっと興味がないから記憶に残らなかったのだろう

No.210 11/06/06 06:40
ユキナ ( ♀ zzlLh )

会社に着いて

入り口から1番近くに座っている人に面接に来た旨を伝えると隣の別室に案内された


しばらくすると年配の、お父さんと同じくらいの年齢の男性が入ってきた



私の面接が始まった


仕事内容は
事務員の仕事だった


お母さんの
『飾る必要はない、ユキナらしく』


その言葉通り

未経験だし、パソコンの資格もない


何も飾る事もしないで私らしく全ての質問に答えた


面接をしてくれた人は
最後に履歴書をゆっくり見てから
カレンダーを見た



『来週の月曜日から来れる?』



『えっ』


私の驚きに
笑っていた

『本多さんに決めさせてもらいます

宜しくお願いします

頑張ってね』



私、採用された


『宜しくお願いします』


私は頭を下げて
会社をあとにした



会社を出てからすぐにお母さんに電話をして

『受かったぁ、お母さんの予想ははずれたよ~』


お母さんは私と同じくらい驚いていたが

『さすが私の娘、受かると思ってた~』


私は
『嘘だぁ~絶対落ちると思ってたくせに』


そんな会話をしてから家に帰った

No.211 11/06/06 06:47
ユキナ ( ♀ zzlLh )

その日はごちそうがいっぱいだった


お父さんもお母さんも

私の仕事が決まった事はもちろん嬉しいが、ずっとふさぎこんでいた私が、前に一歩進めた事がなによりも嬉しそうだった


私は
お父さんとお母さんに

愛されてる

この日は本当に親の愛を知った


そんな気がした



なおやゆうちゃん
私を心配して気にかけてくれた人達にも連絡をすると

みんなが
『おめでとう』

すごく喜んでくれた



決して友達は多い訳ではないが


私は友達に恵まれた



みんな大切な友達だ

No.212 11/06/06 07:00
ユキナ ( ♀ zzlLh )

初出勤の前日

直人のお墓に行った


宏樹の家から裸足で逃げて来た

あの日以来だった



直人
いつも心配かけてごめんね

私ね
正社員になったんだよ

私が信じられないでしょ~

明日から頑張るからね



ここは
私にとって、直人と繋がれる場所で
唯一落ち着ける場所だった


直人のぬくもりが欲しい時はここに来ていた

No.213 11/06/06 07:09
ユキナ ( ♀ zzlLh )

その日の夜は
毎度の事だが緊張で眠れなかった


今更だが

事務員なんて私に出きるのだろうか…

不安ばかりだった



それでも朝はやって来る


朝食をとり

お母さんに見送られ会社に向かった


行く途中の電車の中でメールがきた


なおからだった
『ユキナ、初出勤ファイト!
不安だと思うけど頑張ってね

1年生なんだから何も出来なくて当たり前

いい男がいたら合コンヨロシク~』


なおらしいメールに緊張が解れた



会社に付くと
こないだ面接をしてくれた男性が気付いてくれ
みんなに紹介してくれた


私に仕事を教えてくれるのは
古田香苗さん

25歳でお姉さん的な雰囲気の人だった


香苗さんは

『宜しくね、頑張って』

優しく笑いかけてくれた

No.214 11/06/06 07:15
ユキナ ( ♀ zzlLh )

パソコンは出来ない私だが
やっぱり入力の仕事はあった


覚える事が多すぎてパニック状態の私


香苗さんは
一息つく事に休憩を入れてくれた



何が何だかわからないうちに1日が終わってしまった



香苗さんは
『初日にしてはユキナちゃん頑張ったよ

少しずつでいいんだから焦らず頑張ろうね』


香苗さんの優しさに私のやる気は上がっていた


家に帰ってからも
今日習った事を復習した

No.215 11/06/06 07:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私は必死に仕事を覚えた


入社した時が
会社の決算だった事もあり
1ヶ月で3キロ痩せた


仕事にもだいぶ慣れ、少しずつだが
任される仕事も増えていった



入社間もない頃から、香苗さんや他の女子社員に
合コンなんかにも誘われたが
毎回断っていた


みんなに
『彼氏がいるの?

合コンとか興味ない?』


よく聞かれたが

『今は彼氏とかいらないんです』

私の答えはいつも同じだった



男なんて信じられない

直人以上に誰かを好きになるなんてないだろう


そう思うと
恋愛なんて出来なかった

No.216 11/06/06 07:31
ユキナ ( ♀ zzlLh )

会社が終わってからの時間

みんなは合コンやら飲み会に行っていたが

私は前から興味があった
パソコンの勉強をする事にした


入社してから毎月お金を貯めて
パソコン教室に通いだした


香苗さんに
パソコンの電源の入れ方から教わった私だが

結局、パソコン教室で4つの資格をとった
(時間はかかりましたが(汗))



入社して2年たった頃

香苗さんは寿退社をした


気付けば
私の周りの友達も結婚をする人が出てきた



宏樹と別れて
間もなく3年

あれから私は1度も恋愛が出来なかった

No.217 11/06/06 07:48
ユキナ ( ♀ zzlLh )

そんな私に
1つの出会いが訪れた


隣の部署の工藤さん


同じ会社だが仕事内容が違う為、
一緒に仕事をする事はなかった



私は、休憩室にある自動販売機でジュースを買っていると
工藤さんもジュースを買いにきた


お互いに
『お疲れ様です』


そう言って
椅子に座り工藤さんと少し話をした


工藤さんは
見た目はちょっと怖そうだなと思っていたが
話すと、とても優しい人だった


私は工藤さんに年齢を聞いた


『俺?29だけど、来週で30だよ~

本多さんは?

ゴメン…女性に年齢を聞くのはダメだよな』


来週誕生日…

『私も来週誕生日なんですよ~』


工藤さんは
『マジで、いつ?』

偶然にも工藤さんと2日違いだった


来週工藤さんは30歳

その2日後に私は23歳になる


工藤さんは
『若いなぁ~

羨ましい~』

そう言っていた

No.218 11/06/06 07:58
ユキナ ( ♀ zzlLh )

工藤さんとは
いつもなら


『お疲れ様です』

それだけの会話だったが


ちょくちょく話すようになった


工藤さんの誕生日


その日も休憩室で会った


私は誕生日プレゼントですと言って
工藤さんがこないだ飲んでいた缶コーヒーを渡した


工藤さんは
『サンキュー

本多さん、ちょっといいかな?』


工藤さんに呼ばれ外に出た


『あのさぁ、明日の夜って暇かな?

俺と本多さんの誕生日の間の日だし
飯でも行かない?

本多さんの誕生日だと悪いから』


工藤さんと
ご飯

行きたいけど
男は怖い

そんな気持ちもあった


工藤さんは私の表情が困っているように見えたらしく

『ゴメン…
困らしてるよね

忘れて、なかった事にして』


私は
慌てて
『行きます、困ってなんていません』

無意識にそう言っていた


なんだか
ここで断ったら後悔をする

そんな気がしたのだ

No.219 11/06/06 08:14
ユキナ ( ♀ zzlLh )

工藤さんは
今までに見たことのないよう笑顔だった


笑うとかわいいんだなぁ
そう思った



私は工藤さんに恋をしていた


宏樹を好きだと思った気持ちではなく

直人を好きになった頃の気持ちのようだった


次の日
会社の内線が鳴った


電話に出ると
工藤さんからだった

『本多さん、
俺、本多さんの携帯の番号もアドレスも知らないんだ

教えてもらっていいかな?』


そういえば
連絡先の交換をしていなかった


私はメモに番号とアドレスを書き
隣の部署に書類を届けるふりをして
工藤さんにメモを渡した


何も悪いことをしている訳ではないのに、凄くドキドキした

No.220 11/06/06 08:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

昔、直人と初デートをした日のように

嬉しくて
ドキドキして

あの時のような気持ちだった


その日の仕事は
楽しみと緊張で
全く仕事が手につかなかった


仕事の後
工藤さんと待ち合わせをして食事に行った


今までに知らなかった工藤さんの話を聞いて、ますます工藤さんに引かれていた


食事の後
駅に向かって歩いていると
工藤さんが小さな手提げ袋を私に渡した


アクセサリーの袋?


工藤さんは
『気に入るかわからないけどプレゼント

昨日、この店の前を通った時に外から見えて、本多さんに似合うかなって思って

迷惑だったらゴメン…』


中をあけると
クロスのネックレスが入っていた

『カワイイ』

私の言葉に工藤さんは
『マジで、良かったぁ~』

安心している様だった


そして
『本多さんが好きだ』


単刀直入に
その言葉だけを言った

No.221 11/06/06 23:06
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私は単純に
工藤さんの気持ちが嬉しかった


でも
受け入れる事は出来なかった



信じても裏切られる


男なんて優しいのは最初だけ


宏樹と別れて3年たっても
私の考えは変わらなかった



私は何も答えられなかった



工藤さんは
『なんかゴメン…

やっぱり本多さんの事、俺困らしてるよね』



私は首をふった


そして突然涙がこぼれてしまった

No.222 11/06/06 23:11
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私の涙を見て
工藤さんは慌てていた


『本多さんゴメン…

俺がいきなり告白なんてするから

迷惑かけてゴメン』


私は
『違うんです

工藤さんの気持ちは凄く嬉しいし、私も工藤さんが好きです


でも
ダメなんです』


私は今までの事

直人の事

宏樹の事

今の私の気持ち

全てを工藤さんに話した


それで工藤さんが無理だと思うなら仕方ないと思った



全てを話し終わった時


工藤さんは
何もいわずに私の頭を撫でた


この感触
まるで直人のような気がした



そして工藤さんは話し出した

No.223 11/06/06 23:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『本多さん

実は俺も女が信じられないんだよ

昔、結婚を考えてた人がいたんだ
大学の時から8年付き合った

その人が俺の全てだったし信じてた

なのにいきなり、好きな人が出来たから別れたいってメールがきて

すぐに番号もアドレスも変えて、引っ越しまでしちゃっててさぁ~

本当に憎しみしか残らなかったよ

8年一緒にいて、たったの一言、しかもメールで終わり

女なんて、ちょっといい男がいればすぐに気持ちが変わる

絶対なんてないって思ってたんだよ~

会社の女子社員を見てても合コンやら飲み会やら
仕事しに来てるんじゃないのかよって思ってたよ


だけど、他の女子社員が合コン行ってるのに、本多さんはパソコンのスキルアップの勉強してたりさぁ


本多さんは
他の女とは違うって前から気になってたんだ


だから、いつも本多さんが自動販売機にジュースを買いに行くのを狙って俺も行ってたんだ~

本多さんと話すきっかけがほしくてさぁ~』

No.224 11/06/06 23:34
ユキナ ( ♀ zzlLh )

工藤さんの過去


工藤さんも辛い思いをたくさんしてきたんだな


なんだか胸がいっぱいになってしまった


それに
話すきっかけが欲しくて、私が自動販売機に行くのを見計らってた



全然そんな事をするような人には見えないから、なんだかおかしかった



お互いに
信じる事が出来ない


私達は
いきなり付き合うのは無理だろう

お互いにそう思った


決して嫌いな訳ではない

むしろ
好きなのに信じる事が出来ない

いや
好きだからこそ信じる事が出来なかったのだろう


好きな人に
裏切られるのが怖かったから



私達は
友達以上、恋人未満


そんな関係になった


今思うと
この時の選択が
私にとっても、工藤さんにとっても一番いい考えだったと思っている

No.225 11/06/07 23:41
ユキナ ( ♀ zzlLh )

愛した男を失った


信じた男に裏切られた



そんな私を
工藤さんは受け止めてくれた



愛した女に裏切られた


今も憎しみしか残っていない


そんな工藤さんを私なりに受け止めた



友達以上、恋人未満


不思議な関係だったが
私達にはちょうど良かった


会社で会えば普通に話をする

時々食事もする


ちょっと仲の良い男友達
そんな感じだった


だから会社でも周りに知られる事はなかった

No.226 11/06/09 12:46
ユキナ ( ♀ zzlLh )

工藤さんが出張に出かけていた夜

電話がかかってきた


『もしもし』


『工藤です、今大丈夫?』


『大丈夫ですよ、出張お疲れさまです』



工藤さんが電話をしてきた訳は


『実は本多さんに、お土産で名前入りのお守りを買おうと思ってるんだけど

本多さんの
下の名前は何て言うのか聞いてなくて…』


私は笑ってしまった


お互いに、名字で呼び合っている為
下の名前を知らなかったのである


私達は
知らない事が多すぎる事に気付いた


工藤さんは雅也というそうだ


その日から
雅也、ユキナと呼び合うようになった

No.227 11/06/10 23:26
ユキナ ( ♀ zzlLh )

少しずつ、本当に少しずつだが
私達は距離を縮めて行った


結局、
友達以上、恋人未満

この関係は約1年続いた


その間、手を握る事もなかった



なおに言わせると
『今時、中学生だってキスくらいしてるのに、ユキナ達は小学生並みの付き合いだね

そんなんじゃ工藤さんに浮気されるよ』


そんな事をよく言われていた



でも
この関係があったからこそ

私と雅也は
お互いを信じる事が出来たんだと思う

No.228 11/06/10 23:35
ユキナ ( ♀ zzlLh )

もうすぐ
雅也の誕生日だ



自動販売機で初めて雅也と話てから
間もなく1年がたとうとしていた



雅也の誕生日は
お互いに残業になってしまった



雅也の提案で
私の誕生日は食事に行くことになった



去年、誕生日プレゼントで、雅也は私にネックレスをくれた


今年は私もプレゼントをあげたい


男の人に誕生日プレゼントを渡すなんて 直人にMDをプレゼントした以来の事だ



彼氏のプレゼントを考える

凄くワクワクして楽しかった



雅也の日常をリサーチして色々考えた



雅也はオシャレな人で、アクセサリーや洋服が好きだった

No.229 11/06/10 23:44
ユキナ ( ♀ zzlLh )

アクセサリーにしようか洋服にしようか色々悩んでいた時に、


雅也が
『そろそろキーケースを買い換えようかな』


と言っていた


プレゼントは決まった



雅也はブランドとかにこだわってはいないが

ここは私のプライドで

ブランド物のキーケースを選んだ


昔、直人にMDを買った時のように
雅也、喜んでくれるかなぁ~

誕生日が楽しみだった

No.230 11/06/11 12:46
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私の誕生日

2人とも朝からめちゃくちゃ頑張って
早々と仕事を終わらせた



雅也が
会社を出たのを確認


すぐ出るのは気まずいので
5分後に私も会社を出た


待ち合わせ場所に行くと雅也が待っていた


『雅也~ゴメンね、待たせちゃって~』

私は雅也のもとへ走って行った


雅也は
『ユキナ、走らなくていいから~転ぶよ~』



この言葉
昔、直人と待ち合わせをした時にも言われたな


直人と雅也は時々似ていると感じる時がある


だからきっと雅也の事も
好きになって、信じる事が出来たんだと思う

No.231 11/06/11 12:49
ユキナ ( ♀ zzlLh )

雅也はレストランを予約してくれていた



レストランまで雅也と歩いた


この時

私達は初めて手をつないだ



24歳にもなってといわれるかもしれないが
凄くドキドキした


雅也の手は大きくて温かい


この人とずっと一緒にいれたらいいな



そんな風に思った
瞬間だった

No.232 11/06/11 17:30
ユキナ ( ♀ zzlLh )

レストランは
ちょっと高級そうな感じだった


私もこんな所で誕生日を祝えるようになったんだなぁ~

しみじみとそんな事を思ってしまった



料理はコースだった

どれも美味しくて
大満足だった



食事が終わってから

雅也にプレゼントを渡した


まだ中を見ていないのに
雅也は凄く喜んでいて

カワイイなぁって思った


中を開けて

『キーケース…
俺が欲しいの何でわかったの?』


前に自分で言ってたのに、すっかり忘れてる様だった



『雅也の事なら何でもわかるよ~』


私が言うと


『さすが、ユキナさん、
俺とユキナは以心伝心だね』


そんな事を言う雅也に笑ってしまった



『これ、ブランド物じゃん
高かっただろ…』


雅也は申し訳なさそうに言った

No.233 11/06/11 17:40
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『雅也さん
私も働いてるって知ってましたかぁ?』

雅也は
『ゴメン、ゴメン、

本当ありがとう

大事にする~なんか勿体無くて使えないなぁ』


雅也は嬉しそうで
安心した


雅也も私にプレゼントを用意してくれていた


去年貰ったような
小さな手提げ袋だった


中を開けると
星の形をしたピアスだった


『カワイイ、星だぁ~』



雅也は安心した様子だった


『色々悩んでさぁ、
お店のお姉さんに、ユキナの写真を見せて、この子に似合うのはどれですか?
って聞いたら笑われたよ~』

そんな事をした雅也を、また私は笑った


雅也は
『俺は笑われてばっかりだな』


苦笑いをしていた

No.234 11/06/11 17:55
ユキナ ( ♀ zzlLh )

レストランでトイレに行って
さっそく貰ったピアスをした



雅也は
『似合う~
やっぱりユキナはカワイイ』


その言葉に私は照れてしまった


レストランを出て
自然と手を繋いだ



雅也は
『ユキナの手って
冷たいな…

俺がこの手を温めるから


ユキナと1年一緒にいて
1年前より、もっとユキナが好きになった

俺はユキナが忘れられない人をこえる事は出来ないかもしれない

でも、この手は絶対に離さないから

絶対にユキナを1人ぼっちにはしないから』



私は本当に嬉しかった



雅也に
『ありがとう
私も雅也が大好きだよ

でも私の手が冷たいのは冷えしょうだけどね~』


私の言葉に2人で笑った


雅也は
私を抱き締めて

『ユキナが好きだ


生きててくれてありがとう』



私は胸がいっぱいで 雅也を
ぎゅーっと抱き締めた

No.235 11/06/11 22:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

突然雅也から

『ユキナのご両親に挨拶したいんだけど』


突然の事に私はキョトンとしていただろう



雅也は
『ご両親もユキナの事を心配してると思うんだ

だから、今付き合ってる事をちゃんと報告して安心してもらいたい』




雅也は
私の親の事まで気にしてくれていた


私はさっそくお母さんに伝えた



直人の事、宏樹の事


お母さんには、どれだけ心配をかけたかわからない



雅也の言ってくれた事は本当に嬉しかったし、有り難いと思った

No.236 11/06/11 22:30
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お母さんも私と同様にキョトンとしていた



『挨拶って?
わざわざいいのに』


そういいながら
なんだか嬉しそうだった



次の休みの日に
雅也は私の家に来た


『これお土産です』
そう言って
プリンを買ってきてくれた


これは
私とお母さんが大好きなお店のプリンだった


お母さんの雅也を見る目は
このプリンのお陰でかなり上がっていた

No.237 11/06/12 11:04
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私の両親
向かい合わせに
私と雅也が座った


雅也は
『突然お邪魔をしてすみません

ユキナさんとお付き合いをさせてもらってる工藤雅也です』

まず先に口を開いたのは雅也だった



お父さんは
『娘から話は聞いています

手のかかる娘ですが宜しくお願いします』


堅苦しい挨拶は
こんな感じに終わり
雅也は足を崩すように、お父さんに言われた


この日は一緒に夕食を食べる事になり
お母さんと準備をした



夕食も食べ終わり
駅まで雅也を送る事にした


お母さんは
『雅也君、またいつでも来てね~』


すっかり雅也を気にいってる様だった

No.238 11/06/12 11:21
ユキナ ( ♀ zzlLh )

駅に向かって手を繋ぎながら歩いた

私は雅也に

『今日はありがとう

来てくれて嬉しかった』


雅也は
『当たり前の事なんだからお礼なんていいよ

でも緊張したよ~

だけど来て良かった


ユキナがお母さんと夕食の準備をしてる時に、お父さんと色々話したんだ


お父さんはユキナが思ってる以上にユキナを心配してるよ』



お父さんは

日頃何も言わないから、
お父さんが何を思ってるのか私はわからなかった



『えっ
お父さんが心配?』


私の顔を見ながら
雅也は話を続けた

No.239 11/06/12 11:25
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『お父さんが言ってたんだ


ユキナは学生の頃から泣いてばかりの恋愛をしてきました

あの子の心にあいた穴は私達親の愛情ではうめる事は出来ません


ユキナは元々、凄く明るい子なんです

工藤さんとなら、ユキナは本当のユキナに戻れると思います

工藤さんにこんな事をお願いするのは本当に申し訳ない

でもどうか
ユキナを宜しくお願いします』


そう言って
俺にお父さんは何度も頭を下げたんだよ


『ユキナは愛されてるな』

雅也は私の頭を撫でた


『ユキナの両親と会って、ユキナを泣かせる事は絶対に出来ないと思ったよ』



『ありがとう雅也』


私は

お父さんの愛

お母さんの愛

そして
雅也の愛


色々な事に気づかされた

No.240 11/06/12 21:59
ユキナ ( ♀ zzlLh )

親にちゃんと認めてもらって雅也と付き合えて嬉しかった



しばらくして
雅也から話があると言われた


仕事が終わってから待ち合わせをして、ファミレスでご飯を食べる事にした


食事を終えて
雅也がコーヒーを飲んで少し沈黙の後に


『ユキナ、俺転勤する事になったんだ

実は前からやりたい事があって希望を出してたんだ

まさか通ると思ってなかったからユキナに話してなかった

ゴメン…』



雅也はうつむいていた

本当なら、通らないと思っていたものが希望通り通って嬉しいはずなのに
雅也は嬉しそうではなかった

きっと私の事が気掛かりなんだろう



雅也の話によると
転勤先は新幹線で3時間ちょっとくらいの所だった

転勤期間は約3年
3年たったら今の会社に戻ってくるらしい


雅也はうつむいた顔をあげ

『ユキナ、俺と一緒にいかないか?』

No.241 11/06/12 22:06
ユキナ ( ♀ zzlLh )

雅也の言った事に
ビックリした


私は雅也に聞いた

『それは雅也が本当にやりたい仕事なの?』


雅也は
『前々からやりたかった事で
何度希望を出しても通らなかった
でも今回それが通ったみたいで…』


そこまで言って
また雅也はうつむいてしまった


『そっかぁ、じゃぁ喜ばないとね

おめでとう』


雅也は
『ありがとう』


ボソッと言った



『それから、さっきの返事だけど…』


私が言うと
雅也は顔をあげた

No.242 11/06/12 22:15
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『私はここで待ってる

正直、今雅也と離れるのは嫌だけど

雅也がずっとやりたかった事が出来るチャンスが来たのに

私が一緒にいたら雅也の性格上私を1番に考えて、仕事に集中出来ないと思う


だから精一杯頑張ってきて

私はずっと待ってるから

3年くらい、これから先の長い人生を考えたら大した事ないよ~』



雅也は
『ユキナはきっとそう言うと思ってたよ~

わかった

3年後、必ずユキナのもとに戻ってくる~』


お互いに涙目になってしまった

No.243 11/06/12 22:19
ユキナ ( ♀ zzlLh )

本当は
雅也についていきたかった

『私も一緒に行く』


そう言えたら良かったのに


でも
雅也の事を思うと

ついていく事は出来なかった


きっと雅也は仕事より私を考えてしまうだろう

そして悩むだろう


それがわかっていたから
私は3年間離れる事を選んだ


自分の気持ちばかりではもう、行動出来ない


私も大人になったのかもしれない

No.244 11/06/12 22:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

一緒にいる事が
愛情だとは限らない


時には少し離れて
相手を思いやる


それも愛情だと思った


昔の私なら
きっと離れる事は
選ばなかっただろう


雅也が大事だから
大好きだから


好きな仕事を精一杯頑張ってもらいたかった

No.245 11/06/12 23:05
ユキナ ( ♀ zzlLh )

3年という月日は
思ってた以上に長かった


雅也は転勤してから本当に忙しそうだった


私が長期休暇の時は、会いに行ったが雅也が丸1日、ゆっくり休むことはなかった


やりがいのある仕事

雅也は忙しいながらも楽しそうだった


やっぱり、ついてこなくて良かったと思った


私がいたら
今のような雅也は見れなかっただろう

No.246 11/06/12 23:13
ユキナ ( ♀ zzlLh )

誕生日もクリスマスも私達には関係なかったけど

寂しいとは思わなかった


誕生日の時はビデオレターが届いたり
ちょっとギザだけど年の数だけバラの花束が贈られて来たりもした


雅也なりに私の事は考えてくれている
そんな想いは私にも伝わっていたから


私が1人ぼっちだろうと思って
何かのイベントの時は、いつもなおがいてくれた


なおは会えば
『出会いがない、いい男は指輪してるし、本当男運ないよ~』


なおの口癖かのように毎回言う言葉だ

No.247 11/06/12 23:24
ユキナ ( ♀ zzlLh )

なおに
『遠距離だし、工藤さん浮気してんじゃないの~?

ユキナ達って、まだヤッてないんでしょ?』


『ヤッてないって…
そうゆう言い方やめてよね』


雅也が転勤して
間もなく2年たつ頃だった


確かに…
雅也と付き合って3年近くたつけど
1度も私達はHをしていなかった


今まで付き合った彼氏も、そんな人は居なかったし、周りの話を聞いても、みんな割りと早い段階でしていた

なおに限っては付き合った日にするという…


雅也は性欲がないのか…

私に魅力がないのか…


なおの言う通り
雅也が浮気をしている…

そんなはずはない
雅也に限ってそんなはずは絶対にない

No.248 11/06/12 23:30
ユキナ ( ♀ zzlLh )

『健康な男子が3年も彼女に手を出さない

どう考えてもおかしいって

ユキナは不安にならないの?』


なおにそんな事を言われた



私は…


次に雅也に会いに行った時


雅也をどことなく誘おう




なおには
『全然不安じゃないよ』


そう言いながらも

内心は不安だった

No.249 11/06/12 23:36
ユキナ ( ♀ zzlLh )

3連休がとれた時に

雅也に会いに行った

雅也は仕事だったが仕事を抜けて駅まで迎えに来てくれた


雅也のアパートで下ろされ、雅也は会社に戻る

私は部屋で洗濯や掃除、夕飯を作って待っていた


夜の10時過ぎに雅也は帰ってきた

『ユキナごめん、もうちょっと早く帰れると思ってたんだけど』


これは毎回言われる言葉だった


最初の頃は
なかなか帰ってこない雅也を心配したが2年もたつと、雅也を待つのもすっかり慣れっこになっていた

No.250 11/06/12 23:42
ユキナ ( ♀ zzlLh )

夕飯を食べ終えて
私は片付けをして雅也はお風呂に入る


その後、私がお風呂に入った


この後の事を考えると
いつもよりもかなり念入りに体を洗った


お風呂からあがると雅也に
『ユキナ、今日長風呂じゃない?』


『そんな事ないよ~』


私はこの後どう切り出そうか
ドキドキしていた



雅也は仕事で疲れている為、
私がお風呂からあがるといつも寝てしまう


だから今日は雅也が寝ないようたくさん話し掛けて寝かさないようにした


急いで髪を乾かして同じタイミングでベッド入った

No.251 11/06/12 23:48
ユキナ ( ♀ zzlLh )

私は雅也に聞いた

『雅也、私の事好き?』


雅也は
『どうしたの?
もちろん好きだよ

イヤ、好きじゃない

大好きだから』


雅也の言葉に安心した


私は一大決心をして雅也に言った


『私を抱いて下さい』


私が言った言葉に雅也は驚いて起き上がってしまった


『ユキナ、急にどうした?』


私は
『付き合って3年もたつのに、私達Hしてないし、私に魅力がないんじゃないかと思って不安だったから』


恥ずかしながら
私は涙が出てしまった


雅也を信じていたがやっぱり不安だった


好きな人には抱かれたい

Hがこんなに大事な事だったなんて知らなかった

No.252 11/06/12 23:55
ユキナ ( ♀ zzlLh )

こんな事を言った私に雅也は驚いただろう


『ゴメンな…

俺、ユキナを信じてるけど、100%俺だけを見てもらえるまでは関係は持たない方がユキナの為かなって思ってた

ユキナがそんな風に不安になってたなんて思いもしなかったから

ゴメン…』


なんだかお互いに謝ってしまった



『雅也が大好き』



その夜


私達は初めて結ばれた

No.253 11/06/13 00:04
ユキナ ( ♀ zzlLh )

とろけるような
長いキスをされ

パジャマを脱がされ

雅也に裸を見られるのがとても恥ずかしかった


どこを触られても私は感じてしまう程だった


長い愛撫の後


『私の中に入ってきて』



そう言うと

雅也はゆっくり私の中へと入ってきた



腰を振る度に私の記憶は飛んでしまいそうになっていた



雅也は
『ユキナごめん
俺、久しぶりだからすぐイッちゃうと思う』



その言葉通り
雅也はすぐに果ててしまった

No.254 11/06/13 00:08
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人に初めて抱かれた時にも感じた


お互いがお互いを思いやる
暖かい気持ちになった


本当のセックス


高校生の私が感じたこの感情を
26歳になって再び感じた


好きな人に抱かれる事がこんなに幸せだったなんて



その日は、雅也にピッタリくっついて眠った

No.255 11/06/13 00:14
ユキナ ( ♀ zzlLh )

雅也とHをしてから

私達の付き合いは1枚壁が取れたような感じがした


私達は付き合い始めのカップルかのようにラブラブだった



そして間もなく

雅也の3年の転勤も終わりに近づこうとしていた



もうすぐ

私が27歳に
雅也が34歳になろうとしていた

No.256 11/06/13 09:29
ユキナ ( ♀ zzlLh )

雅也は私の誕生日の1ヶ月後に
約3年に及ぶ転勤を終えて戻ってくる予定だった


3年の間、
なかなか時間が合わずにケンカをした事もあった


お互いに疲れていて自分勝手に振る舞ってしまった事もあった


私の淋しがり屋は、雅也と付き合って復活した様だった



昔、直人に
『淋しがり屋のユキナさんを置いていけない』

と言われた事があったけど


雅也も
『もし、また転勤があったら、ユキナを置いてはいけない』

そう言われていた



雅也と付き合って
少しずつ、本当の私を出せるようになっていた


なおに
『今のユキナは直人先輩と付き合ってた頃のユキナだね』


なおが言うんだから間違いないだろう

No.257 11/06/13 09:34
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人が亡くなってから
私は自分の気持ちをあまり出せなかった


居心地のいい場所を作って
またそれを失ってしまったら
私はきっと立ち直れないと思っていたから

だから、誰とでも壁を作っていたと思う


結果、宏樹はいつまでも心を開かない私を力で抑えていたのだろう


私にも原因はいっぱいあったのかもしれない


雅也と付き合って
4年


時間はかかったけど

この4年があったから
雅也と正面から向き合う事が出来た


愛し、信じる事が出来た

No.258 11/06/13 09:43
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お互いの誕生日の時は

雅也の仕事が忙しくて今年は雅也が戻ってきたらお祝いをしようという事になった


淋しがり屋の私は
恒例の会いたい病が出たりもしたが

雅也に上手くなだめられていた

4年も付き合うと
雅也は私の取り扱いにすっかり慣れてる様子だった



そして
とうとう雅也が戻ってくる日がやってきた

No.259 11/06/13 09:51
ユキナ ( ♀ zzlLh )

この日をどれだけ待った事か…



その日は仕事で
雅也は会社に直行する予定になっていた


新幹線が15時に駅に着く
会社には16時前後に着くと
雅也に言われていた



私は今か今かと入り口をちらちら見ていた


16時過ぎたくらいに雅也が戻ってきた



会社のみんなが雅也を迎えた


結局、私は雅也と一言も話せないまま

すぐに部長に呼ばれ別室で話をしていた

No.260 11/06/13 09:58
ユキナ ( ♀ zzlLh )

雅也からメールがきて


『今日は早く帰らせてもらうから、仕事の後、誕生日祝いをしよう』


ちゃんと私を覚えてくれてたぁ


雅也と話せなかった事に
すっかりふてくされていた私


そのメールを見て
私の機嫌は元通り



やっぱり雅也は
私の取り扱い説明書を持っている様だった

No.261 11/06/13 10:07
ユキナ ( ♀ zzlLh )

仕事の後

待ち合わせ場所に行くと、まだ雅也は来ていなかった


やっぱりなかなか帰らせてもらえないんだ

結局、雅也を1時間待った


すると目の前に
車が停まった


車から雅也がおりてきた

『ユキナごめん
もうちょっと早く帰れると思ってたんだけど』


『その言葉は聞き飽きたよ』


雅也は苦笑いしていた


『ユキナさん、乗ってください』


雅也が助手席のドアを開けてくれた

No.262 11/06/13 10:15
ユキナ ( ♀ zzlLh )

車に乗り

『何処に行くの?』
私が聞いても

雅也は
『秘密~』


教えてくれなかった


しばらく走ったあと車が停まったのは



夜景が物凄く綺麗な海辺だった



車からおりて

『ユキナ、ごめんな

この3年、自分の仕事ばっかりに夢中になってユキナを大事に出来なかった

本当にごめん』


雅也は謝っていた


私は
『私がついていかなかったのは

やりたい仕事をやってもらいたかったからなんだし、別にいいんだよ

私の淋しがり屋病で困らせてゴメンね』


雅也は
『確かに、ユキナは淋しがり屋病だ』


そう言って
何かをポケットから出した

No.263 11/06/13 10:23
ユキナ ( ♀ zzlLh )

指輪…?


『ユキナ、俺はユキナのそばにずっといるから

ユキナが淋しくないようにずっといる


結婚して下さい』



プロポーズだった


まさかこんな形でプロポーズされるなんて思ってもみなかったから驚いた



でも
嬉しかった

『私でよければ
宜しくお願いします』



雅也は
『良かったぁ
正直、ユキナをほったらかしにしてたから不安だった…』


『雅也さん
私はずっと待ってるからって言ったのに

忘れましたかぁ~?』


お互いに緊張のピークにいたので
ホッとした感じだった


雅也は私の指に指輪をはめてくれた


ピッタリ


雅也は私が泊まり行って夜眠った後に指のサイズを計っていたらしい

No.264 11/06/13 10:29
ユキナ ( ♀ zzlLh )

日を改めて
私の両親に報告にいった


お父さんもお母さんも本当に喜んでくれた


お母さんは
『ユキナ、良かったね

おめでとう』


お母さん…
お母さんには本当にどれだけ心配かけたかわからないね


私はお母さんの支えがなかったら
きっと死んじゃってたと思うよ


お父さんもお母さんも喜んでくれて
本当に嬉しかった



雅也のご両親も
凄く喜んでくれた


『仕事ばっかりの息子でユキナさんに迷惑をかけると思うけど、バカ息子を宜しくお願いします』


気さくで素敵なご両親だと思った


このご両親のもとで雅也は育ったんだなと思ったら、
ご両親に感謝の気持ちでいっぱいだった


雅也をこんなに素敵な男性に育ててくれてありがとうの気持ちでいっぱいだった

No.265 11/06/13 10:37
ユキナ ( ♀ zzlLh )

そして
最後に直人の家に行った


直人のお母さんは
『ユキナちゃん綺麗になったわね

カワイイ女子高生だったのに
素敵な女性になったわね』


お母さんは私を歓迎してくれた


直人の妹さんはお嫁に行き、お兄さん夫婦と、直人のご両親は暮らしていた

小さな男の子がいて、直人はおじさんになったんだなと思った



直人にお線香をあげさせてもらった


お仏壇にある直人の写真は高校生だから

私だけが大人になってしまって


それが悲しくもあり
切なかった


10年たっても
やっぱりまだ胸が苦しくて


直人の顔を見ると
今でも昔を鮮明に思い出す

No.266 11/06/13 10:43
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人のお母さんに
結婚する事を伝えた


『おめでとう、本当におめでとう』

涙を流して喜んでくれた


お母さんは
『こんな事を言ったら、ユキナちゃんの相手の方に失礼だけど

ユキナちゃんは私達の娘同然
娘をお嫁に出す気持ちよ

たくさん泣いた分

幸せになってね』


私も涙が出てしまった

『ありがとうございます』


直人のお仏壇の前で私達は泣いてしまった


お母さんが
『直人はきっと私達2人が、会えば俺の前で泣いてる』

そう思ってるだろうねと言っていた


私も
『きっと泣くなよ~』


そう言ってますねと言って

2人で笑った

No.267 11/06/13 10:54
ユキナ ( ♀ zzlLh )

お母さんと色々な話をした



今はお孫さんもいて毎日賑やかだと言っていた


私にはまだ子供がいないから
子供を亡くしたお母さんの気持ち全部をわかる事は出来ないかもしれない


でも
大切な人を失う辛さは私にもわかる



お母さんも私と同じくらい、いやそれ以上に泣いただろうと思うと

また苦しくなってしまった…




その後
直人のお墓に行った


ここで泣いたり、グチったり
どれだけした事だろう


私はお墓の掃除をして

直人に語りかけた

No.268 11/06/13 11:02
ユキナ ( ♀ zzlLh )

直人

元気にしてますか?

この10年
色々な事があってね 、直人の前でたくさん泣いちゃったね

だからなかなかゆっくり休ませてあげる事が出来なくてごめんね


実はね
今日は報告があって来たんだ


私、結婚する事になったの


直人も許してくれるよね?


直人とタイプは違うけど

直人と同じ匂いのする人なの

私を愛してくれる人だよ

私も愛し、信じる事が出来るんだ


でも、だからといって
直人を忘れた訳じゃないよ

あの頃のまま
私は直人を愛してる


ねぇ、直人
いつか直人が俺達が出会ったのは運命だと言っていたね

もし、私達が運命なら
いつかきっと、何百年先かわからないけど

私達は再びまた出会えるはずだよね


その時は、遠回りしないで私を見つけてね


これからもずっと
永遠に

『愛してる』

No.269 11/06/13 11:07
ユキナ ( ♀ zzlLh )

今年
私は雅也と結婚をする


今は婚約期間だ


相変わらず
雅也は仕事が忙しそうだ


私がふてくされないように

しっかり取り扱い説明書で私を把握している



私も今のまま仕事を続けるつもりだ



なおからは

『ユキナに先を越された~』


喜んでるんだか、悔しがっているんだか


なおにも素敵な人が早く現れてくれたらいいなと思っている

No.270 11/06/13 11:12
ユキナ ( ♀ zzlLh )

これで
私の10年に及ぶ話も終わりです


これから
雅也と結婚をする

楽しみな事、不安な事、両方の気持ちがあるけど


雅也を信じ

雅也の手を握って

2人で頑張って行こうと思う


きっと
しっかり前を向いて歩けば


幸せになれると信じているから

No.271 11/06/13 11:26
ユキナ ( ♀ zzlLh )

皆様

ユキナです


最後まで
お付き合い頂き
本当にありがとうございます


途中、文章の繋がりがなかったり
誤字脱字も多かったと思います


読みづらくて申し訳ありませんでした



この10年
色々ありましたが

今日も私は生きています


高校生が
愛だの恋だの

まだまだ早いと思われるかもしれません


でも高校生だろうが一人の人間として人を愛しているのです


それに年齢は関係ないと私は思っています


直人と付き合って
本当にたくさんの事を学びました


そして
直人を失って
たくさん後悔をしました

その経験を生かして
これから
相手を思いやり
大切な人と一緒にいれる事

今生きている事は当たり前の事ではない

そう思いながら
これからを過ごして行こうと思っています


この話を読んでいる方に

どうかたくさんの愛と幸せが訪れますように


皆様の
幸せを願って


本当にありがとうございました


本多ユキナ

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