ゴキブリ1「俺たちって」
ゴキブリ1「嫌われものだよなぁ~」
ゴキブリ2「・・・」
ゴキブリ1「人に見付かったら、色んなものとんでくるしな」
ゴキブリ2「・・・」
ゴキブリ1「俺ついさっきは、ハエタタキで追い回されたよ
しかも、まだ小さい女の子だったんだぜ!
それが『イ゛ヤ゛ー』とか、言いながらブンブン降り下ろして来るんだよ…」
ゴキブリ2「・・・」
…続く
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クモ「アナタは妹さんをどう大事にしたいの? 曖昧な兄妹ごっこを継続する事?」
ゴキ兄「………」
クモ「“どうすることが正解か?”ではなくて、“自分はどうしたいのか?”も分かっていないのよ……妹さんも納得しなければ、誰も幸せになれないわよ…?」
クモ「……いえ、とにかく妹さんが迷走したまま曖昧な兄妹ごっこを続けていては、アナタも妹さんもそれに縛られ続けるわ…どんな形になるにしても、妹さんもそうしたい、それが良いと思わないとね…」
ゴキ兄「難しい話だな…みんなの望む結果何て見えない…」
クモ「…そうね……」
クモ「“自分はどうしたいのか?”…か……」ボソッ
ゴキ兄「なに?」
クモ「いえ、何でもないわ」
ゴキ兄「あっ……そう…」
クモ「……バカね…」
ゴキ兄・クモ「………」
ゴキ兄「ちょっと散歩してくる」カサッ
………
カサ カサッ
ゴキ兄(はぁ……しっかり自分で考えてたつもりなんだけどな……“どうすることが正解か?”…か……)
ゴキ兄(ホントにその通りだな…自分が本当にそうしたいというよりは、まず“現状を崩さないタメには”を考えてた…)
ゴキ兄(結局妹も迷走を現状維持!俺も回廊堂々巡り!………)
ゴキ兄「ふぅ、バカだなぁ」
━━━━━━━━
カサッ
ゴキ妹「あれ?…クモ姉様」アセアセ
クモ「あら? 妹ちゃんお帰り」
ゴキ妹「えと、にぃは?」キョロキョロ
クモ「散歩中よ」
ゴキ妹「そ、そか」
クモ・ゴキ妹「………」
クモ「妹ちゃん、少し話しをしない?」
━━━━━━━━
ゴキ兄(兄妹で在る事は悪いことでは無いだろう。…だが、無理に強制して在るべきではない)
ゴキ兄(互いに依存し、曖昧に縛られる…縛られる限り妹の世界は広がらない、至極狭い視野の中で無限ループが繰り返される)
ゴキ兄(それを無意識に産み出したのは俺…俺が妹離れをしなければ駄目だ…居なくなれば……イナクナル…?)
━━━━━━━━
クモ「妹ちゃんに仲の良い友達っている?」
ゴキ妹「…あんまりいないょ」
クモ「ずっと兄妹で過ごして来たの?」
ゴキ妹「うん…他の虫と関わらなかった訳じゃ無いけど…にぃと一緒だった」
クモ「ゴキ兄の事が好き??」
ゴキ妹「…うん……」
クモ「………」
ゴキ妹「………」
ゴキ妹「…私にはにぃしか居ないから…」
クモ「ゴキ兄が居なくなるのが不安?」
ゴキ妹「居なくなるのは…イヤ! 孤独はイヤッ!!」
━━━━━━━━
ゴキ兄(イナクナル…? ダレガ…?)
『ほんとに?…
…いいこにしてたらよくなる?…』
ゴキ兄(ヤメロ……ナニヲ…)
『面倒を観てくれることが嬉しいの…
…私も安心して…』
ゴキ兄(オモイダシテル…?)
『幼ゴキ1を孤独にしてどうする!?』
ゴキ兄(コドクハダメ……でもっ!)
━━━━━━━━
ゴキ妹「そう思うから…にぃを失いたく無いから…好きと思ってるのかな……」
クモ「好きなのは本当だと思うわよ?」
ゴキ妹「うん…でも、たぶん誰かを愛するのと違う。繋がるタメの理由が欲しかったのかも知れないの…」
クモ「そう…今からでも遅くは無いわ…兄と一緒でも、妹ちゃん一匹でも良いから、色んな虫と関わって視野を広げれば良いと思うわよ」
ゴキ妹「うん!…でも、一匹はちょっと寂しいかも…」
クモ「それでも、繋がりは失われ無いわ、こうして一緒に過ごした事は事実だから…」
━━━━━━━━
ゴキ兄(過去が消える訳じゃない。 たとへ離れても、孤独ではないよな…)
ゴキ兄(あいつらと会うことは叶わないが、友達であることに代わりは無い)
ゴキ兄(…ましてや妹やクモとは会える)
ゴキ兄(うん…決めた!)
━━━━━━━━
ゴキ妹「私も前に踏み出すの! …だから…クモ姉様も自分のしたいようにして…」
クモ「ッ!! …えぇ…大丈夫…もう、迷わないわ。 私も妹ちゃんやゴキ兄に色んなことを教えて貰ったわ…」
ゴキ妹「そんなこと…// 私はワガママで…//」
クモ「ふふ…♪ 本当よ? …これからはお互いに前に進みましょ?」
ゴキ妹「うん! 約束だよ♪」にこっ
クモ「えぇ、約束よ」にこっ
……………………
ゴキ兄「……う、うーん!」
ゴキ兄(あのまま、寝ちゃったか…)
ゴキ兄(このままだと心配かけるだろうから、クモには話しとくか…)カサッ
………
ゴキ妹「……zzZ」
カサッ
ゴキ兄「あれ??…クモは?」
ゴキ妹「……zzZ」
ゴキ兄「オイ! 妹!! 起きろ!!」ユサユサ
ゴキ妹「…う…うん?」
ゴキ妹「あ!…にぃお帰り」
ゴキ兄「クモ知らない?」
ゴキ妹「へっ? 一緒に寝たはずだけどぉ…」
ゴキ兄「早く起きて散歩でもしてるのかな?」
ゴキ妹「そうじゃないかなぁ?」
………
ゴキ兄「何処に行ったのかな?ご飯を食べてもまだ帰って来ない…」
ゴキ妹「分からないよぅ…約束したのに…」
ゴキ兄「約束? 何の話をしてたんだ? なにか、居なくなる素振りとか無かったか!?」
ゴキ妹「え、えと、ちょっと思い出すね」
ゴキ兄(何処に行った…アイツ…?)
ゴキ妹(クモ姉様はにぃが好きじゃなかったのかなぁ?…うーん)
ゴキ妹(クモ姉様のしたいことってなに? 私には一匹でも兄と一緒でも良いから、色んな虫と関わりもってって言ってたけど…)
ゴキ妹(あれ??一匹か兄一緒だけなの??)
ゴキ妹「あっ!!」
ゴキ兄「うおっ! ビックリした! 何か分かったか?」
ゴキ妹「にぃはクモ姉様が好き!!?」
ゴキ兄「はぁ!? いきなり何を!?」
ゴキ妹「良いの! 好き!?」
ゴキ兄「前にも言ったろ? 特別な感情を抱いても“一緒”になる資格は無い」
ゴキ妹「うん! じゃあ、にぃは探しに行って!」
ゴキ兄「はぁ??」
ゴキ妹「とにかく探さないとダメなの! じゃないとずっと会えないの!」
ゴキ兄「はぁ!? いきなり何を!?」
ゴキ妹「良いの! 好き!?」
ゴキ兄「前にも言ったろ? 特別な感情を抱いても“一緒”になる資格は無い」
ゴキ妹「うん! じゃあ、にぃは探しに行って!」
ゴキ兄「はぁ??」
ゴキ妹「とにかく探さないとダメなの!じゃないとずっと会えないの!」
ゴキ兄「お前はどうするんだよ?」
ゴキ妹「私は私でやることあるから、またいつか会うの! その時はクモ姉様も居るの!」
ゴキ兄「お前……妹が良いなら」
ゴキ兄(元々そのつもりだったし…でも、クモは何で…?)
ゴキ妹「私は良いの! にぃはクモ姉様と話さないとダメなの! 約束だよ!」
ゴキ兄「…ああ! 分かった!」
ゴキ妹「しばらく離れても私達兄妹だよね?」
ゴキ兄「当たり前だ。…それを含めて約束する」
ゴキ妹「うん! あと、にぃは自分に素直になって! またね!」カサッ
ゴキ兄「ああ、またな!…しかし、唐突に……素直になれ…か…」カサッ
ゴキ兄「……クモ……」
ゴキ妹(…クモ姉様はきっとにぃと“一緒”なの……)
━━━━━━━━
クモ(今頃心配してるかしら?……でも、ずっと“一緒”にはいられないものね…)
クモ(みんながまた前に進み始めたのに、私がいたら、ゴキ兄…アナタの枷になってしまうわ…)
クモ(それは不協和音として広がり、せっかく迷路を抜けたのに、新たな迷路を形成する事になるかも知れない…妹ちゃんも巻き込んでね…)
クモ(だから…今が丁度良い区切りよね……私は蜘蛛で、アナタはゴキブリなのだから……)
クモ(ふふふ…私がメリット無しに誰かの幸せを願うなんてね……昔は不思議だったけど、別に悪い気分じゃないわね……)
……………………
ゴキ兄(ったく何処にいるんだよ…もうあれから何日たった?)
ゴキ兄(しかし…妹に教えられたようなものだな…居なくなって実感した…俺はクモが好きだ…だから、会わなきゃッ!)
ゴキ兄(あぁ…此所は…懐かしいなぁ、クモと初めてまともに話した場所だ…あのときのクモは随分ドライに感じたものだ…)
ゴキ兄(ある意味あのときのアイツみたいにドライに、冷静に考えられたら、変に迷走する事も無かったのかもな…)
ゴキ兄「うん? あれっ!……クモか!?」カサッ
ゴキ兄「げっ! ちが!!」
クモD「なーにコイツww餌の方から近寄って来たわよww」
ゴキ兄「いやー、知り合いに似ててさー、バイバイ!」カサッ
クモD「逃がすわけ無いしーwwそんなに近寄って来てくれたんだものww」ガシッ
ゴキ兄「お姉さん俺には、やることが合ってさぁ~、ちょっと見逃してくれない?」
クモD「いやいや、無理だしーwwってか蜘蛛に捕まってるのに何で余裕なの?」
ゴキ兄「必至必至! いやホント! 俺には会わなきゃいけない奴がいるから!」
クモD「そうなんだww大丈夫この辺のゴキブリならあの世で再会させてあげるしーww」
カサッ
クモD「あっ! 聞こえてるーwwもう一匹来たしーww」
ゴキ兄「見えないけど、お姉さんが逃がしてくれてもアウトだな…アイツに…クモに会って伝える事が合ったのにな…」
クモD「そういうことだしーwwじゃあ、いただきまーす♪」
ゴキ兄「くっ……」
ゴキ兄(あーあ、なんとも呆気ないもんだ。何一つ“約束”を守れ無かった……ごめんな…)
ガブッ! ブチッ!
『あら?不思議そうな顔をしてるわね』
『獲物にされたからかしら?』
『聞きたいことは色々有るかも知れないけれど』
『答えはとても簡単よ』
ゴキ兄「何で…夢か?」
クモ『私のオスに手を出した!』
ゴキ兄「はっ?いやオマエ?」
クモ「あら?アナタなにキョトンとしてるの?」
ゴキ兄「何て言った?」
クモ「アナタなにキョトンとしてるの?」
ゴキ兄「その前だよ!」
クモ「あれは…// 勢い//」
ゴキ兄「勢いなのかよ!」
クモ「だってアナタが……アナタの伝える事ってなによ?」
ゴキ兄「あ゛っ! その…//」
クモ「な に よ ?」
ゴキ兄「俺達はなにもかも“一緒”じゃない」
クモ「そうね…」
ゴキ兄「本来この感情を持つ資格は無いが、それでも俺はクモと“一緒”に居たい…離れてから、余計にそう思うようになった」
クモ「考えてることは“一緒”なのね…」
ゴキ兄「それじゃ」
クモ「えぇ…私も“一緒”に居たい…もう諦めたハズなのに、日が経つごとに強くなったわ…でも…」
ゴキ兄・クモ『後悔しない?』
クモ「“一緒”にいることしかできないのよ?」
ゴキ兄「オマエを残して“一緒”にいられなくなるのは確定してる」
クモ「今さらそんなことはいいわよ」
ゴキ兄「むしろそれが、俺の望み」
クモ・ゴキ兄「……………」
クモ・ゴキ兄「…………//」ギュッ
……………………
クモ「妹さんは元気?」
ゴキ兄「妹“さん”て他人行儀じゃなくても良いだろ?」
クモ「ふふ…そうね…本当に義姉になったようなものよね」
ゴキ兄「はは…そうだな。 アイツはアイツのやることがあると言って別れたよ…オマエと約束したとか言ってたぞ?」
クモ「あら?ホントに? お互い約束が果たせたかしら?」
ゴキ兄「なんの約束したんだよ?」
クモ「それは秘密よ」
ゴキ兄「へいへいそうですか」
クモ「あら?すねたかしら?」
ゴキ兄「別に…今は何となくわかる」
ゴキ兄「それと、俺も約束がある」
クモ「なに?」
ゴキ兄「ずっと兄妹で在ることと、また、また妹と再会すること…オマエと一緒にな」にこっ
クモ「ふふ…それは素敵な約束ね」にこっ
……………………
カサッ
ゴキ兄「ただいま」
クモ「お帰り…アナタ少し動きが鈍くなった?」
ゴキ兄「かもしれないな…あれからもう何日も経ったんだ…」
クモ「妹はホントに此所に来るの?」
ゴキ兄「あぁ、此所は俺と妹にとって、もっとも思い出深い場所だから…」
クモ「アナタがそう言うなら…」
ゴキ兄「オマエは変わらないな…」
クモ「少しは変わったわよ?」
ゴキ兄「“少しは”…な……もし、願いが叶うなら、今度は同じ生き物に産まれ…ずっと同じ時をご飯食べて、話して、寝て…過ごしたいな…」
クモ「それは素敵な“日常”ね……私ももちろんそう願った事が無いと言えば嘘になるわ…でも、自分で決めたことよ? 私達は“非日常”が素敵な“日常”でしょ?」
ゴキ兄「はは…確かにその通りだな。 俺にとっては出来すぎた幸せだ」
クモ「……バカ//」
……………………
カサッ
『やっと見つけた…』
ゴキ妹「にぃ!クモ姉様!久しぶり!!」
クモ・ゴキ兄「!!!」
クモ「妹ちゃん!?」
ゴキ兄「妹!?」
ゴキ妹「遅くなったけど…妹だよね?」
ゴキ兄「当たり前だ“約束”しただろ?」
クモ「私もよ…妹ちゃんも成長したわね」
ゴキ妹「辛い時もあったけど…沢山友達出来たよ!」
ゴキ兄「良かったな!」
クモ「ゴキ兄はよく心配してたのよ?」
ゴキ妹「もう!まだ子供扱い?」
ゴキ兄「それでも心配になるのが兄だ」
ゴキ妹「あははwにぃはシスコンだもんねww」
クモ「ふふwそれはそうねww」
ゴキ兄「むぅ…」
ゴキ妹「それより、にぃとクモ姉様が“一緒”で私も嬉しいよ♪」
ゴキ兄「まぁ…その……//」
クモ「ありがとね♪ あと、もう“様”は要らないわよ、ホントに義姉のようなものだし」
ゴキ妹「なんか慣れちゃったけど…そうするね! 長居するとお邪魔になるから、お母さんに挨拶したら帰るね♪」
ゴキ兄「気にするなよ」
クモ「あら?言うようになったわねぇ?」
ゴキ妹「あははwまた来るよ」
……………………
ゴキ兄「……ふぅ」
クモ「そろそろ…なのね……」
ゴキ兄「そう…みたいだな…」
ゴキ妹「にぃ……」
ゴキ兄「そう悲しい顔をするな…寿命を全う出来ただけでも…幸せ者だ…」
ゴキ妹「うぅ…」ポタッ
クモ「………」
ゴキ兄「妹は早く子供を作れ…恋仲はいるのだろ?」
ゴキ妹「う゛ん…」グスッ
ゴキ兄「お母さんも…きっと心配してるぞ?」
ゴキ妹「う゛ん…約束する゛…」グスッ
ゴキ兄「なら安心だ……最後に…クモと話がしたい…」
ゴキ妹「分かった…外すね゛…」グスッ
クモ「良いの?」
ゴキ兄「妹がいると…恥ずかしいんだよ…」
クモ「えぇ…分かったわ」
ゴキ妹「外に…いるね゛…」カサッ
ゴキ兄「すまない…」
クモ「………」
ゴキ兄「妹は…行ったか?」
………
ゴキ妹「終わった?」
クモ「えぇ…息を引き取ったわ…」
ゴキ妹「そう…」ポタッ
クモ「妹ちゃん…ありがとう…アナタのお陰で…アナタと“約束”したから…私は大切なものを手に入れる事が出来たわ」
ゴキ妹「ううん! 私も、にぃも…クモ姉がいたから…前に進めたと思う…にぃも幸せだったと思う!! お礼を言うのは私の方だよ゛」グスッ
クモ「ありがとう…ホントに立派になったわね…妹ちゃんはゴキ兄の…ううん、私達の誇りよ」
ゴキ妹「う゛ん……ありがとう゛…」グスッ
ゴキ妹「クモ姉は泣かないの…?」グスッ
クモ「“私”は泣け無いわ…こうなることを知って“一緒”にいたのだから…“私”が悲しみに暮れたら…ゴキ兄はきっと後悔するわ…」
ゴキ妹「にぃは本当に幸せ者ね…後悔なんてしないよ……やっぱりクモ姉で良かったよ」にこっ ポタッ
…………~~~~~~~~~~~~~~
あれから、ゴキ妹も天寿を全うし、その子供も天寿を全うするくらいの長い時間が過ぎました。
彼女の中で遠い過去の想い出となりつつあります。
彼女は相変わらず蜘蛛らしくないクモです。
~~~~~~~~~~~~~~~~…………
クモα「ヒャッハーw ここは通さねぇぜ!」
ゴキ「ひっく…お母さん…」
クモα「あ~ん!? お母さんだぁ? じゃあ、ガッツリ噛んでやるから、お母さんに聞こえるように叫べよ~ww」
クモα「いただきま~すw」
ゴキ「!!」
クモ「ちょっと待ちなよ」ガシッ
クモα「あ、姉御!」
クモα「こんなところにいらして、なにしてるんですか!?」アセアセ
クモ「ああ、ソイツは私が狙ってた獲物なのよ」
クモα「そ、そうなんですか~」
クモα「丁度追い詰めたんでどうぞ」アセアセ
クモ「そう?ありがと。 もう行って良いわよ?」
クモα「へっ??」
クモ「さっさとお行き! 獲物をアナタに変更しても良いのよ?」
クモα「す、すぐ行きます! ひぃーー!!」カサカサッ
クモ「………」
クモ「さて…アナタ?」
ゴキ「ひっ!!」ビクッ
クモ「逃げもせずに固まって……そんなに食べられたいの??」
ゴキ「い、いやだょ…」グスン
クモ「じゃあ、さっさとお家に帰りなさい」
ゴキ「えっ!?」
クモ「お母さんが待っているのでしょ?」
ゴキ「……グスン」
クモ「ほらほら! 泣かないの。オスでしょ?」
ゴキ「…お母さんも…お父さんも…もういなくて…帰るところなんて……」グスッ
クモ「………」
クモ「じゃあ、せめて蜘蛛のいるここは離れなさい…いないところに連れて行ってあげるわ」
ゴキ「へっ?」
クモ「そこで物陰に隠れてすごせば、なんとかなるわ」
クモ「さっ、行くわよ」カサッ
ゴキ「あ、うん…」カサッ
…………~~~~~~~~~~~~~~
ゴキ兄との暮らしは彼女からすれば、ほんの僅かな時間でした。
想い出を抱え、その時より遥かに長い時間がたった今も、未だに他の蜘蛛と家庭を持とうなどとは考えてもいません。
寂しさからなのかたまにふと、彼との間に子供が出来たなら、私はしっかり育てられたかな? 私が育てたら性格はどっちに似るんだろう?
と、叶わないと理解した上で、そんな風に思うこともありました。
思うだけだった…
~~~~~~~~~~~~~~~~…………
クモ「ここに蜘蛛はいないけど、人間には気を付けなさい?」
ゴキ「うん……」
クモ「ホラ! シャキッとしなさい!」
クモ「そんなんじゃ、メスにモテないわよ?」
ゴキ「…でも、どうして良いのか…」
クモ「う~ん…じゃあ、成虫になるくらいまでは、面倒見てもいいけど…」
ゴキ「ホ、ホントに!?」
クモ「でも、蜘蛛と一緒にいたら、あんたゴキブリの友達出来ないわよ?」
ゴキ「ううん」フルフル
ゴキ「ぜんぜんいいよ! 僕おばさんといっしょにいたい!」
クモ「おば!…確かにあんたより遥かに生きてるけど、まだまだおばさんじゃないわ! クモお姉さんと呼びなさい!」
ゴキ「うん、クモお姉さん♪」
クモ(しかし、蜘蛛の居ない場所とはいえ、ここで暮らすのか…………ゴキ兄……)
…………~~~~~~~~~~~~~~
それでも、彼女は幸せです。
その僅かな時間は、彼女にとってその後が大きく変わる程の事でした。
丁度乾いたオアシスに水が溢れるような、モノクロの絵画を極彩色に色付けするような、濃密な時間でした。
その事が過去にあり、今の自分が有る。そう思える経験が出来、その想い出を持っているだけで幸せでした。
しかし、最近はもし全てを失い生きる術を無くした子が居て、相手も望むのならば、自分の子として育てようとも、思っていました。
それは、彼を忘れる為でも、寂しさを紛らわす為でもありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~…………
ゴキ「クモ姉!」
クモ「あんたね~、もう十分成長したんだから、いい加減姉離れしなさいよ…いつまでたっても、友達出来ないわよ?」
ゴキ「クモ姉が居るからいいんだよ♪」
クモ「最初に言ったこと忘れたの?」
クモ「成虫になるまでは…って言ったわよね?」
ゴキ「…うん……でも…僕、クモ姉と一緒にいたい…」
クモ「…あんたね~//…いい加減にしないとお仕置きするわよ?」
クモ(私達と…同じ道を歩む必要は無いわ…)
ゴキ「ホント!」
クモ「いや、何で喜ぶのよ…ドMめ…」
ゴキ「いつの間にか、イイと感じるようになってしまいました//」
クモ「…ったく、もう…………」
クモ(アナタと子育てしても、こんな風に育ったのかしら?…)
ゴキ「クモ姉??」
クモ「ん?…なによ?」
ゴキ「何だか、哀しいような、嬉しいような、遠くを見て物思いに耽ってる感じ…」
クモ「…んー、まぁ…ちょっと考え事を…ね…」
ゴキ「外に出てる時もそんな感じだよ?」
クモ「っ!!……まぁ、長く生きてると色々有るのよ…」
ゴキ「僕はクモ姉と一緒に居るよ!」
クモ「あんたは姉離れしなさい!」
ゴキ「クモ姉がいなかったら、僕は生きてすらいなかったよ…僕はクモ姉が好きだよ」
ゴキ「過去に哀しい事があったなら、そんなの忘れてよ!」
クモ「友達居ないのに、告白は出来るのね~。……あはは…w」
ゴキ「!!…笑わないでよ!…本気なのに…」シュン
クモ「あらあら、オマセさんねぇ? …それと、確かに哀しいこともあったけれど、忘れる気もないわ」
ゴキ「へっ?どうして?」
クモ「私自身が望んでその道を歩んで生きていた。 それは今も変わらないわ…だから、辛く感じる時が有っても、想い出を捨てる必要は無いのよ」
クモ「それが私の…」
…………~~~~~~~~~~~~~~
居なくなった者を想い続け縛られている?
…他から見たらそうかもしれませんし、一般的に幸せと言い難いかも知れません。
彼女は今も、そうする必要のない、過去に決めた道を歩み続けているのですから…
ですが、それは彼女が蜘蛛としてではなく、あくまで一匹のメスとして、クモとしてあり続けた結果なのかも知れません。
そして、後悔する事も無いでしょう。彼女は決して哀傷を残している訳ではなく、強い意志でその道を歩む事を決めていたのですから…
~~~~~~~~~~~~~~~~…………
クモ(アナタの……ゴキ兄の最後に望んだ通りとは、違うと思うけど……今も昔も私は幸せよ……そういえば、最期に言って無かったわね……
……ありがとう…私も愛してるよ…//)
・~・~・~・~・~・~・~・
ゴキ兄「妹は…行ったか?」
クモ「えぇ、行ったわ…」
ゴキ兄「そうか…最期に…云いたかった事が…あるんだ…」
クモ「なによ…?」
ゴキ兄「俺は…オマエに…甘え過ぎたのかも…知れない…」
クモ「……?」
ゴキ兄「種族も違えば…寿命も…違う…さらに…子供も作れない! …しかも…最近は…介護ヘルパーを…させている…ようなものだ…」
クモ「………」
ゴキ兄「出逢いも…最悪なら、…別れも最悪! …もう俺に…付き添わなくて…良いん…だから…オマエは…蜘蛛なんだから、蜘蛛の…中で生きて、しっかり…伴侶を見付けて…幸せに…なってくれ…」
クモ「…云いたい事は終わり?」
ゴキ兄「えっ!?…あ!…うん…」
クモ「今更何言ってるのよ?」
ゴキ兄「??」
クモ「アナタは、アナタにとって私が必要と思ったから、私が一緒に居るとでも思ってたの?」
ゴキ兄「………」
クモ「私にとってもアナタが必要だから、お互いにそう思うからでしょ?」
ゴキ兄「でも…俺は…オマエの最期…まで、…付き合え…ない……だから…今後は…」
クモ「だから、それはお互いに最初からわかっていたことよ? それでも、私達はお互いを選んだ。それだけのことよ」
ゴキ兄「……俺は…幸せ…だった……、でも、…オマエ…は…まだこれからも…ずっと…生きる…訳で…」
クモ「何を幸せと思うかなんてそれぞれよ…私は……アナタと……ゴキ兄と、過ごすことの出来た時間が確かにあった事が幸せよ……かけがえの無い、大切なものよ…」
ゴキ兄「……ありがとう……だからこそ……オマエも……別の…しあわ…せ……を………」
ゴキ兄「…ク…モ……あ……ぃ……………」
クモ「……………」
クモ「……バカよね……本当にバカよねぇ……」ポタッ
クモ「…最期まで…私の事を気にして…」ポタッ
クモ「…私は自分で望んで選び、掴んだこの幸せで…もう、お腹一杯なのよ……」ポタッ
クモ「ふふ…泣いてはダメね…心配して眠れないわよね?」にこっ
クモ「それにね……私は誰に何を言われようが構わないのよ……一般的で無いけれども、ずっと後悔しないわ………」
クモ「それが私の生き方」
━━━━糸冬━━━━
◇あとがき◇
以上終了致しました。
ゴキブリと蜘蛛でラブコメというかなり謎のジャンルですが、最後まで読んでくださった方ありがとうございます。
台本形式で、解りづらいところも多々有ったと思います。ごめんなさい。
最初からゴキ兄とクモでくっ付けるつもりでしたが、コイツらの性格でどうしたらくっ付くんだ?と、苦心しました。
正直何度か、妹とくっ付けてしまおうと思いました。
苦心の結果後半のラストスパートですが、もうセリフ書いてて恥ずかしかったですね…打ち切りの決まった漫画のように勢いでやりきった感じです。
ひとつ言えるのは、ラブコメはやはり人…せめて人のような形をした生き物(天使とか)でやるものですね。
愚痴っぽくなりましたが、お付き合いありがとうございましたm(_ _)m
しばらくは、ギャグでも書こうと思います(^o^)ノシ
>> 177
クモ「だから、それはお互いに最初からわかっていたことよ? それでも、私達はお互いを選んだ。それだけのことよ」
ゴキ兄「……俺は…幸せ…だっ…
タイトルキターーー(><。)。。
そして終わった・・・
主乙です。
個人的には良作でした。
構成も巧いと思うけど、タイトルがいつ来るか待ってせいか、ラストは鳥肌もんだった。
これ、スレタイで損してる気がする。
一応言っておくか・・・
続編希望
- << 182 ちょいちょいありがとうございますm(_ _)m 自分の中でタイトルのセリフを最もインパクトを持つタイミングで出したかった…。 あと、【クモ「それが私の生き方」】という作品が終りという意味も込めて最後のセリフにした。 スレタイってか、最初ギャグだし…俺自身そのつもりだったし…この作品も、後日談書くにしてもネタが無いから、クモと絡ませようってくらいだったし… 初期と比べると俺自身含めて、おそらく誰も予想出来ない方向に行ったから、損もクソも無いだろw 人気が欲しいのならゴキブリをメインにしてる時点で間違いだしなw 続編希望っておまwこれ以上何を書けと?? 俺の力量じゃ、ここから話は広げられんw
>> 180
タイトルキターーー(><。)。。
そして終わった・・・
主乙です。
個人的には良作でした。
構成も巧いと思うけど、タイトルがいつ来る…
ちょいちょいありがとうございますm(_ _)m
自分の中でタイトルのセリフを最もインパクトを持つタイミングで出したかった…。
あと、【クモ「それが私の生き方」】という作品が終りという意味も込めて最後のセリフにした。
スレタイってか、最初ギャグだし…俺自身そのつもりだったし…この作品も、後日談書くにしてもネタが無いから、クモと絡ませようってくらいだったし…
初期と比べると俺自身含めて、おそらく誰も予想出来ない方向に行ったから、損もクソも無いだろw
人気が欲しいのならゴキブリをメインにしてる時点で間違いだしなw
続編希望っておまwこれ以上何を書けと??
俺の力量じゃ、ここから話は広げられんw
- << 187 確かにww むしろVIPで書けってジャンルだなww この作品の何がすごいって、あくまで追加のシナリオってとこだな 俺は>>183を支持します >>94 の状態からここまでもっていった主なら、カマキリ夫妻もなんだかんだ良作にすると信じてる つか、タイトル的に最初から大分考えてたんじゃないのか? 考えて無いとあんなタイトルつけれんだろ?
>> 187
過大評価しすぎだバカ…う、嬉しくなんて無いんだから…//
いや、でも蟷螂は本気で何にも分からん。バッタに鎌がついたような外見してて、交尾後にメスがオスの首を落とすくらいしか知らん。幼虫がどんなのかも知らんorz
タイトル付けた時点では、三種の神器が既出だから、クモ絡ませて軽いラブコメにしようってのと、種族が違うのに恋するから、このセリフを最後の方に言わせよ!ってくらいだよ
94くらいから、ゴキブリとアシダカグモを調べてって寿命とか、他の虫に強いクモが物音に敏感な怖がりで長距離逃げないとか知ったから、これでフラグ立てよってのと、ラストの辺りは思い付いた
その辺で、>>168-174のナレーションまでと、>>176-177は先に書いてた。
どうでも良いけど、そのときの原文は>>176-177→>>168-172→>>174のナレーション→173の順だった
最終的に今の順番の方が良いかな?と思い変更及び加筆修正。>>173に「それが私の…」ってセリフが有るのはその名残り
と、まぁ後はラストに向かってフラグ立てていく行くだけのハズだったが、途中途中のイベントが……オモイツカナイ/^o^\
HAPPY
NEW YEAR
2011
/\___/ヽ
/ (_○⌒)
|  ̄|
土 ● o ● 土
乂_____乂
/ \y/ 丶
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|※|∞|※ |
(_ノ_丶_)
(Y)(Y)
 ̄  ̄
キティちゃんでも
いいじゃないか
おっさんだもの
なおさん
明けましておめでとうございます
今年も宜しくお願い致します(ぺこり
〟〟
〝〝/ ̄ ̄ヽ
▲ノノ)ノ)))
/▲イ ^ヮ゚ノ|
((/丶y/ソ))
/ |二二]<
L)∥ 。|L)
L_∥‰_|」
(_Y)_)
「ネヨイイモデターリロ」
「ドケダキスムダマ」
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小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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満員電車とアタシとイケメン痴漢20レス 488HIT 修行中さん
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君は私のマイキー、君は俺のアイドル9レス 187HIT ライターさん
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タイムマシン鏡の世界7レス 183HIT なかお (60代 ♂)
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運命0レス 90HIT 旅人さん
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九つの哀しみの星の歌1レス 104HIT 小説好きさん
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神社仏閣珍道中・改
(続き) 毘沙門天さまのお縁日ということで、毘沙門天さまのお話が…(旅人さん0)
337レス 11576HIT 旅人さん -
満員電車とアタシとイケメン痴漢
風邪を引いてしまって具合が悪いです。 一度、風邪を引くと長引くタ…(修行中さん0)
20レス 488HIT 修行中さん -
タイムマシン鏡の世界
だが、待てよ、いくらミクロの世界と言っても、我々はマクロ世界にいきてい…(なかお)
7レス 183HIT なかお (60代 ♂) -
北進
勘違いじゃねぇだろ本当に飲酒運転してるんだからしかも事故っても全く反省…(作家志望さん0)
23レス 514HIT 作家志望さん -
北進ゼミナール フィクション物語
高恥順次恥知らず飲酒運転サイコパス(作家さん0)
29レス 389HIT 作家さん
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🌊鯨の唄🌊②4レス 147HIT 小説好きさん
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人間合格👤🙆,,,?11レス 153HIT 永遠の3歳
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酉肉威張ってマスク禁止令1レス 179HIT 小説家さん
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今を生きる意味78レス 535HIT 旅人さん
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黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 990HIT 匿名さん
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🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 147HIT 小説好きさん -
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人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 153HIT 永遠の3歳 -
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酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 179HIT 小説家さん -
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おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1427HIT 檄❗王道劇場です -
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今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 535HIT 旅人さん
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家に帰るのが苦痛、ストレス。離婚したい。
週6勤務で、小遣い月1万。 ロクな昼飯も食べれないから晩飯が楽しみなのに、大体おかず1品だけ。盛り…
21レス 812HIT 逡 (30代 男性 ) -
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友人と私と男性2人で飲みに行きました。 私の友達は飲めないのでノンアルコールを頼んでいました。…
21レス 546HIT 聞いてほしいさん ( 女性 ) - もっと見る