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レス9 HIT数 1506 あ+ あ-

まあこ( ♀ omDVh )
10/06/20 01:41(更新日時)

小さい頃から夢見てたこと

おとぎ話の中だけで許された

ふわふわあまーい

そんな現実。

まさか私が

まさか私が

そんなおとぎ話の

ヒロインになる日が

来るなんて。

思ってもみなかったんだよ。

No.1350599 10/06/19 16:08(スレ作成日時)

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No.1 10/06/19 16:16
まあこ ( 10代 ♀ omDVh )

携帯のアラームが鳴ってる。
今日も朝が来た。
ベッドの中で小さく伸びをして、寝返りを打つ。
携帯を手に取ってアラームを止めた。
起きなきゃいけないのはわかってる。
でも眠いんだもん‥‥
止められたアラームは無視されて
少しだけ不機嫌そう。
「早く起きなさい!」
一階からの母の声で
私は渋々
ベッドから起き上がった。

No.2 10/06/19 16:25
まあこ ( 10代 ♀ omDVh )

身支度を済ませリビングに来ると、案の定、母は不機嫌だった。
「さっきも起こしたのに。遅刻しても知らないからね?」
「ん‥」
お決まりのパターンだ。
アラームなんて意味がない。
母が起こしても、私は起きない。
2度寝、3度寝は当たり前。
それでも遅刻したことは一度もない。
だからいーじゃん?
母には言わないけど‥
面倒なことになるのは
目に見えてるから。
「いってきま~す。」
ああ今日も、一日が始まる。

No.3 10/06/19 16:46
まあこ ( 10代 ♀ omDVh )

外に出ると空はまだ薄暗く、東の空に顔を出した太陽が
雲の隙間から柔らかい光を私に投げかけていた。
「きれい‥。」
私は思わず立ち止まって、
携帯を朝焼けに向けて構えた。

シャッターチャンス。
みずいろの空に
うすいぴんくときいろの光が
雲の隙間から絶妙に差し込んでいる。

おんなじまいにちの繰り返し。憂鬱な朝。
だけどこんな朝焼けに出会ったら
なにかを期待してみたくなる。
空はずるい。
時々こうやって
思わせ振りに私を励ますから。

今日もいちにちがんばろう。
そう気合いを入れて、バス停までの道を歩いた。

No.4 10/06/19 17:02
まあこ ( 10代 ♀ omDVh )

「まあこ?おはよーっ」
「おはよ~」
市営バスに30分ほど揺られた後、
学校までの道のりを歩いているときだった。
声をかけてきたのはクラスメートの川崎くん、通称「お父さん」だ。
彼は見た目が年齢よりふけて‥いや、大人っぽい感じで、しっかりしていてやさしい。
だからみんなからはお父さんと呼ばれ、親しまれていた。
私もその中の一人でお父さんと呼んでいた。

No.5 10/06/19 17:16
まあこ ( 10代 ♀ omDVh )

「お父さん、みて!」
私は唐突に、お父さんに今朝とった朝焼けの写メを見せた。
お父さんは少し驚いたみたいだったけど、写メを見せると
少しだけ口元を緩ませた。
「お~‥きれいじゃん。」
「でしょ?朝焼けだよーっ」
「空撮るとかおもしろいな。」
「そうかなー?」

お父さんは笑って私の頭をぽんぽんっと叩いた。
やはりこの包容力‥お父さんだな。
そんなことを思いながら私も笑った。
するとお父さんは、あっとなにかを思い出した様子で私を見た。

No.6 10/06/19 17:33
まあこ ( 10代 ♀ omDVh )

「今日さ、1時間目自習になったよな。さっきメールで連絡網回ってきてよー、まあこ知ってた?」
「え?そーなの?!」
私は慌てて携帯でメールをチェックした。問い合わせ画面を見つめる‥
「新着メール1件あり」
の画面が目に飛び込む。
メールを開くと、クラスメートのかなえからの連絡網だった。
やはり、お父さんの言う通り
1時間目は自習になったらしい。
「菊地の授業眠いからな、自習になってよかったわー」
お父さんは嬉しそうに目を細めた。
「ねぇ、おとうさん。」
「んー?」

No.7 10/06/19 17:56
まあこ ( 10代 ♀ omDVh )

私はえへん、と
わざとらしく咳払いをした。
「私実は朝からお腹いたくてさ~、女の子の日なんだよね‥ほら、わかるでしょ?我慢してたんだけどさー1時間目自習じゃん?だから保健室で‥「あー‥まじで?笑 そっか‥わかった。自習監督の先生にはうまく言っとくわ。」

さすがお父さん。
はなしが早くて助かるな‥
私は立ち止まって、お父さんににっこりと笑いかけた。
「ありがと!じゃ、またあとでね♪」
「はいはい笑 あとでなーっ」

今朝会ったのがお父さんでよかったな‥
そう思いながら、私はお父さんとは反対方向の
学校近くにある河原にむかって歩き始めた。
保健室は他のクラスメートに譲ろう。

No.8 10/06/19 19:32
まあこ ( 10代 ♀ omDVh )

ここの河原に来るのは
先週ぶりのことだった。
学校帰りに友達の茜と来た。
茜には大学生の彼氏がいて、その彼氏とののろけ話とも言えるぐちを聞いていたのだ。

「まあこも彼氏できたらわかるよ!男なんてみんな勝手だよ?嘘はつくし気分屋だし。この間だってね、彼氏が夜景見に行こうって言うからその日は彼氏の家で夕飯食べて、それから車で夜景見に行く予定だったの。でもあいつ、夕飯食べたらテレビの前から動かなくてさ。ゲームしようって言うんだよ?夜景は?ってきいたら、今は気分じゃない、またいつでも行けるじゃん。だってさ。ありえなくない?!自分から見に行こうっていったのにさあ!ほんと勝手だよね。まあ、それから夜中までゲームして、結局どっか行こうってなって、夜景見に行ったんだけどね。ちょーきれいだったんだよーっ」

茜はいつもこんな調子だ。
男は勝手だ、何て言いながら
やっぱり彼氏さんのことが大好きなんだと思う。
私は生まれて16年間、恋という恋をしたことがないから
そんな茜をうらやましく思っていた。

No.9 10/06/20 01:41
まあこ ( 10代 ♀ omDVh )

恋愛に興味がない訳じゃなかった。
彼氏とか、そういう人がいたら幸せなのかな?って
考えることもあったから。

でも私には、恋愛感情というものがよくわからなかった。
恋だとか、愛だとか、
そんなのは私にとって
おとぎばなしの中のできことだった。

ふたりはいつまでも愛し合い、仲良く幸せに暮らしました。
そんなハッピーエンドなんて
現実には用意されていない。
私には縁がない。
そんな風に思ってた。

茜はいいよなあ‥
私も恋とかしてみたい‥。
そんなことを考えながら、私は土手をかけ降りた。

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