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テレクラ3(約束)

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ゆま( us5Xh )
10/07/12 23:17(更新日時)

“テレクラ”の作者 りいちさんはウソつきでした



偽善者で詐欺師みたい・・


アタシはそう思いました




りいちさん・・



あなたはアタシと交わした(約束)を守れますか?




期待はしていません




やっぱり、また、騙しますか?








ゆま

No.1326745 10/05/21 00:41(スレ作成日時)

新しいレスの受付は終了しました

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付箋

No.1 10/05/21 00:53
ゆま ( us5Xh )

テレクラ3(約束)

作者 ゆま


ご案内


◆当作品は“テレクラ”“テレクラ2(電脳)”の作者 りいち氏より作品を託され新作者 ゆまで執筆を開始致します


◆感想スレは必要と思われましたら「りいちの1人部屋」の自レス解除をしてもらうことを申し入れようと考えています

なお、ご本人は投稿禁止中ですので時期は不明です


◆携帯小説は初めてでございます
拙い文章ですがご容赦願います

◆最後まで書けるよう頑張ります


宜しくお願い申しあげます


ゆま

No.2 10/05/24 23:06
ゆま ( us5Xh )








あくまで、フィクションです


書き手側として、ルールを定めています


即時に執筆を停止する可能性がございます














ゆま

No.3 10/05/24 23:08
ゆま ( us5Xh )

・・・・夜の街にいる“ゆま”


欲望だけが行き交う街・・・・

そんな片隅の店での名前は“レナ”



アタシはもう・・・



とっくに普通の女の子をやめている


男達の腕の中でただ時が過ぎてゆく

男達を胸の中で時を過ごさせてゆく

契りで無縁でなくなるも
恋の芽の出ぬ種縁である


モノ乞いのような色情を“レナ”として独占を許して過ごしてゆく





此処は大阪のざわめき止まない欲情CITY



風俗店が乱雑に不整然に狭し狭しとひしめき合う


そんな・・・・


・・・・夜の街にいるアタシ

No.4 10/05/24 23:11
ゆま ( us5Xh )

そんな、アタシの入店が決まった


とある日・・・・


その日に“レナ”という、思い入れも感慨もない浅い名前になった


名前とは名ばかりで、識別する記号番号と同じ


アタシに“レナ”を命名した小太りの男は、名刺を差出し「みんな代表って呼んでるからさ、代表って呼んで?」と言った


狭い雑居ビルの一室で、淡々と粛々と代表から仕事の説明を受ける


何本目かの煙草を灰皿に押し付け「じゃあ、レナ、今から《講習》にホテルへ行くから」と、腰を上げながら言った

No.5 10/05/24 23:13
ゆま ( us5Xh )

・・・・・・暑い暑い昼下がり



“緑”のないハズの歓楽街で蝉の鳴き声が聞こえる・・・・


街の端から端まで、温度計が示さない欲望の熱情も含んで“赤い”亜熱帯に感じる・・・・


雑居ビルから裏手のホテル街へ…

アタシは、代表の後ろに付いて歩き、こじんまりとしたホテルの一室に入る


 「じゃあさ、服脱いで?」


代表は、ホテルに入り一息つくなり、そう言った


“ピッ”


慣れた手付きでタイマーをセットし、代表はバスルームに向かう


この時点までは、一通りの接客を想定しての《講習》のハズでした・・・・

No.6 10/05/24 23:15
ゆま ( us5Xh )

・・・・アタシは少し

躊躇(ためら)いと
恥じらいと

平静と深刻の中間地点で悩んだ・・・


唇の端を意識的に重力に逆らわせてつり上げた


それを意を決した自身への合図として、バスタオルと“急造した平静”を身体に巻き付けて、足取り軽くも重くもなくバスルームへ向かう


代表は全裸でシャワーを占有し、自分感覚の温度へ微調整しつつ、持参してきたであろうイソジンやボディソープを艶やかな床タイルに並べている


そんな光景…


“裸のシゴトなんだな”と改めて感じた


ココロを艶消し黒塗料で塗りつぶしてゆき、より一層、唇を重力に逆らわせました

No.7 10/05/24 23:17
ゆま ( us5Xh )

「もっとボディソープの泡を立てて、俺の身体の隅々まで洗ってよ…」と、面接の時よりも低い声が浴室にエコーする


採用に左右されることを理解してエコーが鼓膜に振動したままに動くアタシ


汚く白く丸みを帯びた虚像みたいな身体に纏わせた

綺麗でふわりと舞うような白いバブルを洗い流した


アタシも薄い白い裸になって、共用を容認されたシャワーを浴びた


・・・・温度が低くい


しかし、緊張を帯び、まとわりついた嫌な汗が洗い流され、幾分かそんな冷えた肌が、ココロをスッキリさせ

何より、黒色を塗り終えたように感じ、アタシは“平静”を完成させました

No.8 10/05/24 23:26
ゆま ( us5Xh )

そんな湿って腐った息が当たった頭頂に悪性の腫瘍が出来たかのように痛んだ


何故か、女性用の鎮痛剤のパッケージが、そんな頭によぎったりした


瞳を陰茎にピントを合わせる

耳を塞ぎたい現状に合わせて、吸引を強め音調なきハモニカを激しく吹いた・・


当初の《講習》通りに、“口で終わらせたいよ・・”

 教本にない《講習》内容

 男の本能を顕した悪教官

 絶対に覆らない主従関係


“イヤだよ・・・・”

  “・・・・抱かれたくないよ”

  “・・・・抱かれたくないよ”

代表はアタシの頭を強く掴む
そんな魂胆と打算を抱いた演奏を強制的に終了させました

No.9 10/05/24 23:27
ゆま ( us5Xh )

アタシはバスルームで仁王立ちしたままの代表の陰茎を舐めている

舌を根元から先端にゆっくり、這わして

吸引してから裏筋をハモニカの様に唇で途切れさせずになぞった


代表が呼吸を不規則にしだしたのが分かる

代表は肺一杯に溜め込んだ湿った息を吐きながら


「・・・・レナ
 ・・・・レナ」とエコーにもならない程に小さく呟いた


「・・・・レナ
 気持ちいいよ」と身体に似合わない甘えた声を漏らした


「・・・・レナ
 もう、ダメだ、気持ち良すぎるよ
 
 ・・・・レナ
 ベッドで・・




     本番をしよう」

No.10 10/05/24 23:29
ゆま ( us5Xh )

・・・・あっ


代表が遠慮なく陰部に唇を這わしている



アタシは、固く固く瞳を閉じました


アタシは、深く深く瞳を閉じました



深く深く瞳を閉じました


深く深くです


何万光年の光も、シェードランプの光も入り込まないほどに



深く深くです



深く深くです




深く深く

No.11 10/05/24 23:49
ゆま ( us5Xh )

☆ご愛読の皆様へ



この度は、テレクラ3(約束)をご愛読頂き、誠にありがとうございます



訂正がありますのでお知らせ致します



本編8、9ページの順番が逆になってしまいました



慣れないもので申し訳ありません



よろしければ引き続きお楽しみ下さいませ




ゆま

No.12 10/05/24 23:51
ゆま ( us5Xh )

特別に意味のない白いシーツの上で、アタシは完全にココロを艶消し黒色塗料に染めきった


「・・・・レナ


 ・・・・レナ」


アタシを己の欲望のまま、セックス・ドールにした代表が記号番号を囁き、頬を胸に擦りつけいる


アタシは瞳を閉じていました


アタシは現実を知りました


悔しさも

悲しみも

哀れみも


そんなものを黒く塗りつぶしていました

No.13 10/05/24 23:52
ゆま ( us5Xh )

そして、


アタシは、振り返っていました

アタシは、振り返っていました


そんな風俗の世界に飛び込む前は、普通の会社でOLをしていた


不景気でも中小の企業ながら、なかなかの業績を誇っており、忙しい毎日を過ごしいた


本社勤務で、少ない人数で目一杯仕事を回していて基準法で定められている有休など名ばかりだった


朝早くから出勤し、事務所内のお掃除、お茶汲み、資料の整理、植木のお世話、段取りの確認、荷物の点検…


まず、席に着くまでの間にいろいろとやらねばいけない雑用があったっけ・・・・

No.14 10/05/25 13:29
ゆま ( us5Xh )

◆テレクラ3(約束)一時 中断のご案内





当作品の継続を一時中断致します




誠に申し訳ございません



何卒、宜しくお願い申し上げます






ゆま

No.15 10/05/25 13:40
ゆま ( us5Xh )

◆追記


なお、再開の目処は今のところ不明です




申し訳ございません





ゆま

No.16 10/06/04 16:43
ゆま ( us5Xh )

◆皆様へ



しばらく中断して申し訳ございません。


当初は、私が執筆の予定で進めていました当スレでしたが、いろいろと右往左往がございまして、私が執筆するのを残念ながら断念致しました。


ですが、楽しみにしていただいている方が少しいることが分かりましたので、別サイトで連載中の現筆者の原版をお借りして、私がコピーしてレスを致します。

右往左往の詳細や(約束)の開始の経緯やストーリーの注釈などは、進行途中にでも、私の言葉でお伝えしたいなとも考えております。

少しずつの更新になるかと思います。


みなさまにご覧いただけるような劇的な物語ではありませんが、もし、良しければご覧ください。


あと、感想スレは情況をみて、私が判断したいと思っています。
今のところは、自信はありません。

すみません。

あと、他のスレッドと私の当スレッドは関係はございません。

ですので、ご意見やご感想は、時期不明ながら、感想スレの設置を暖かくお見守り頂きたいです。


ゆま

私信

元気になって良かった。
とっ○○○、見て欲しくて帰って来ましたよ。

私を見守ってね。

No.17 10/06/04 16:47
ゆま ( us5Xh )

アタシは相変わらず固く

唇の端を重力に逆らわせている
アエギ声を出したくないからです



神経と感情を戻す


自社ビルだった

事務所のフロアに掃除機をかけ、各デスクの拭き掃除、階段は4フロアを掃き掃除と拭き掃除・・


お手洗いは黄ばんで、こびりついた便器を磨くのは当然だったし、1階駐車場の掃き掃除の後に窓拭き、水撒きを精一杯していたな


こんな夏の暑い日にはやっぱり、額からの汗が目に入ったっけ・・・・

仕事に着くまでにやっぱり、下着まで汗だくになったりしたっけ・・・・

No.18 10/06/04 16:48
ゆま ( us5Xh )

そして、ようやく席に着けば、へとへとを嘆くよりも先に上司の怒鳴り声でスタートしていたっけ…


・・・・ん


「・・・・レナ」

低い醜い声がうなじにまとわりついていました


低い醜い声です


低い醜い声です


本当に低い醜い声です


だから、だから、


深く深く瞳を閉じました


深く深く瞳を閉じました


深く深くです


深く深く

No.19 10/06/04 16:50
ゆま ( us5Xh )

小雨の中の滲むネオンライト

傘をさすまでは降っていない


アタシは疲労困憊のまま歩いていた

横断歩道のゼブラ模様はくたびれ気味だ

それより、くたびれた家路のアタシ

左手側に通り過ぎてく車のメーカーや名前は知らないし興味もない

それよりも、この横風に吹かれ刻まれ舞い散り飛んでいきたくなった


・・・・何故なら


帰れば帰ったで“地獄”が待っていました


・・・・男の暴力


 胸骨とあばら骨の鈍痛

骨が軋り軋りと鳴くのです

 朝焼けみたいな内出血

消しゴムでは消えないのです



顔は守りました

女の本性と本能で守りました



・・・・でも、

ひどい時は、鼻に衝撃と共にめり込む強烈な拳がありました


フローリングに転がっているアタシのA型の凝血


残酷なチョコレートを溶かして流したみたいと、何故か、頭をよぎった


そんな、そんな、アタシは用済みのガラクタになったマネキンみたいに、フローリングの凝血の横に頬をつけて転がっていました

No.20 10/06/04 16:53
ゆま ( us5Xh )

それから数日後…

涼しい弾丸みたいに、透明サイダーの炭酸の気泡は表明に、たくさん、たくさん重力に逆らい舞い上がっているのを眺めてました

そんな、炭酸が抜けた頃、アタシは今日も仕事を休んだことに気が付いた


 “自律神経失調症”


足が動かなくなっていた

ストレスの嵐がアタシを襲ってた

ココロよりも先にカラダが拒否反応を示した


原因不明の痛みは、通っていた専門外の整体師が自身の経験で病名を言い当てた

そして…

“ストレスから逃げなさい”と、人生相談する神父さんみたいに言い放った


確かに、こんな、こんなの

休んでは、出社して…
休んでは、出社して…

繰り返し繰り返していれば

居心地も悪く、居場所も無く、好奇の眼差しの的にもなるだろうな…

アタシは身もココロもクランケになってしまうんだ

幸せは、グラニュー糖の結晶が包帯を巻かれた手の平から、キラキラと足元にこぼれ落ちて

“仕事のストレス”“男の暴力”

そんな呪いのクロアリが集まり、全てを蝕まれ、盗まれ、奪われるような感覚に陥りました

No.21 10/06/04 16:54
ゆま ( us5Xh )

・・・・あれ


アタシ、代表に抱かれてたんだ

だらしないピストンのセックス

野性的でなく排他的なセックス


あの日の透明サイダーが気抜けしたようなアタシをむさぼり続けている


それよりも《講習》はどうするんだろう?


アタシ、明日からお客さんに悦んでもらえるサービスが出来るのかな?


採用だよね?

・・・・これって?


“呪いのクロアリ”の精算は時給820円のウエイトレスでは、追いつかない

ココロにカーボン紙で濃く印字されたような現実

代表がコンドームに放出した、白いジコマンスペルマの現実



・・・・でも


抱かれたことも忘れるくらいの振り返っていた日々に比べたら、今のアタシは幸せなのです

No.22 10/06/04 16:55
ゆま ( us5Xh )

会社に残った同僚の何名かは“鬱病”になったそうだ…



あの人にこの人、お名前を聞くと同時に顔がすぐさまに浮かんだ



まるで“鬱病”生産工場みたいな職場だった



難しい株価や円高や経済の話は知らないけど、難しい社会構造になっている



そんなことより、今年の夏は去年より暑いと、季節感を感じられる僅かな余裕がありました


そして、アタシは代表が陰茎を抜いたと同時に



深く深く



閉じてた瞳を開けました





そして、立ち上がり、背筋を伸ばして





アタシは“レナ”になりました。

No.23 10/06/05 02:14
ゆま ( us5Xh )











 シゴト編

No.24 10/06/05 02:16
ゆま ( us5Xh )

・・・・やっぱり、今年の夏は暑いや


9月を過ぎても、向こうの空には積乱雲が秋空を突き飛ばして“まだまだ俺が”と夕方の空を独占している


そんな積乱雲みたいなタイプな人が好きでないアタシは地下鉄の階段を降り始めた


到着の案内メロディがプラットホームに流れている


“急がなきゃ!!”


近未来形の直列の地下鉄と、かけっこして勢いを緩めないまま、駆け込み乗車をしました



“今日、行けば、明日は休みだ”



各駅停車の鈍足の地下鉄は、“レナ”へと化身する気持ちの整理に好都合です


“今日も無事に終わりますように”


祈りを捧げている間に駅に到着したアタシは“レナ”を作り上げて店へと歩く


向こうにあった積乱雲は間近になっていた


好きでない積乱雲より、もっと好きでない店に近づいてゆくアタシ


それよりも、雨が降るとお客が減ってしまう…

それは、嬉しくもあり、残念でもある複雑な雨なのです

No.25 10/06/05 02:18
ゆま ( us5Xh )

“せせこま狭い嬢の待機部屋”には、ソファーきちきちと並んでいる

デコレーションケーキみたいに並ぶ嬢達の中にアタシは座る


売れ残る日はない人気スイーツになってるアタシ


もうすぐ、勤めて1ヶ月になる


3ヶ月間は“新人”として売られるスイーツ


畳も女房もスイーツも嬢も新しいモノは良いのでしょう


それよりも、“明日は休みだ”

裸を見なくても、見せなくても良い日なんだ


アタシは週に3日は

そんな、日を過ごしせている

No.26 10/06/05 02:27
ゆま ( us5Xh )

部屋は他の嬢達が当たり障りのない会話でいつも賑やか

・・・・でも

個人の事情も情報も知らない

・・・・でもでも

ここにいる理由も知らない

聞きもしないし、聞かれない


“暗黙の掟”といえば大袈裟だけど、逆流の先にある“理由の源流”へ辿り着けば、その原因はガラス張りみたいに明白だからです


そんな、みんなは話をしながら、思い思いにメイクをしたり、雑誌を読んだり


・・・・でもでもでも


クラクションみたいな内線が鳴ると静まりかえる

誰が呼ばれるかで部屋の空気は


 “シン…”

と音を立てずに鳴る


誰がどれだけ仕事をしたのか?逆もまた然りな世界…

いちいち“鬱病”生産工場みたいに壁面に棒グラフを貼り付けなくていい世界…

“ミサちゃんご指名です”

賑やかな話の中心だった“ミサちゃん”が

「は~い」と

軽い軽いフワリと浮いたピンポン玉みたいな返事をする


 “シン…”


 “シン…”


と、鳴り止まなくなった重い無音


友情ってカタチなんかないけれど

鈍痛みたいなココロの傷だけは、分かち合える


“せせこま狭い嬢の待機部屋”なのです

No.27 10/06/05 02:29
ゆま ( us5Xh )

そんな部屋で分かったことは、代表の次に店長が《再講習》の名の元に、ジコマンスペルマを放出することでした


アタシは《再講習》の要請は嫌な“予感”がして断っていた

そういうことは、ハッキリとモノが言える


 って、いうか、

   “予感”が当たっていた



そんな
“なんでもアリの世界”

テクニックは実地で覚えました

素股はお客さんに教えてもらいました


そんな
“足元をスクワレる世界”

手かせ、足かせ、おまけに首かせで繋がれた夜の蝶達

幾何学模様の羽根をムシリ取り“店の為だけに貢献”させたい経営者の思惑

そして、賄賂や収賄みたいに“蝶になる前の青虫”をつまみ食いをする従業員達





お客さんからすれば、ポラロイド写真で埋められた、虹彩の向こう側の嬢の世界は




夜の積乱雲の下でサクソウメイソウしながらも




“蜜”を探す蝶の世界なのです

No.28 10/06/05 02:31
ゆま ( us5Xh )

相変わらずの“シン”の無音

携帯に目を落としていたアタシに声が掛かる


“レナさんご指名です”

「はい」授業中に先生にあてられたようなアタシの返事

“今日も無事に終わりますように”祈りを捧げました


店のコースは、

・50分
・70分
・90分
・120分
・150分

…料金は高級路線らしく相場より高いみたいです

ただ、使用する色欲Hotelはヒドイです

そのあたりの曖昧な経営方針が、あのような代表や店長みたいな従業員に伝染し、輩を製造してる原因であり

そのあたりの穴埋めは《いい加減な講習》なのに、嬢達の場当たり的な高品質なサービスに委ねられているのです


とにかく、アタシは無音部屋から釈放されると同時に、お客さんに抑留拘束される訳です

No.29 10/06/05 02:33
ゆま ( us5Xh )

・・・・あ

ご指名してくださったのは

 自称“ヤマダ”さん

背は低く白髪混じりの極端な七三分けの55歳前後の方で、某大手の部長さんらしい


アタシの中のアダ名では

愚痴・グチ・ぐちの“ヤマダ”さん


・・・・身支度を整えるアタシ

嬢は、性的な欲求の奉仕は当然として、“時間“を買われています

イメクラみたいなお店がなくなった分、性欲とは別に+αが求められます


仕事だけでいえば、前提は“放出”したら終了だけど

しかし、それだけでは“ヤマダ”さんみたいに再訪は望めないのです


会話と気遣いは当たり前で、次に探るのはフェチや趣向…

この急所と核心を掴めるかどうかだと思います

アタシは次の内容に関わります

・パンスト
・セクハラ
・下着
・ワキ
・足
・くすぐり
・唾液
・髪の毛
・暴力
・匂い

etc…


いろいろです

No.30 10/06/05 02:34
ゆま ( us5Xh )

・パンストひとつにしても、好みは違います

  淫手で上下裏表を擦りたい人

  刹那的に破り引き裂きたい人

  不衛生を関知せず舐めたい人

  体熱体温の匂いを嗅ぎたい人



・性癖や状況も様々です

  服を脱ぐ所が見たい人

  下着に異常興奮する人

  妻とセックスレスの人

  アタシをママと呼び
   自分をパパと呼ばせる人



・放出や体力も様々です

  ガンガンの素股でもイカない遅漏の人

  触れただけで数十秒でイク早漏の人

  70分で3回はイク人

  120分で、1度もイケない人



・そして…

  長茎の人

  短茎の人

  包茎の人

  EDの人


とにかく、様々です

No.31 10/06/05 02:36
ゆま ( us5Xh )

アタシはイカす事ばかりに拘ってたけれど

そうでもない事に最近、気付いてきた


 イク、イカないよりも、


  “売った”“買った”


の共有する時間を満足してもらえるかどうかだということを…

一本一本のお仕事を、手を抜かずに務めれるかどうか…

疲れてても、お客様には関係ないから

毎回がありがとうの気持ちなのです

お互いに気遣い合えた時“モノ”じゃなく大切に扱わた時の気持ちのいいお見送りはとても爽やかで、ココロが通ったと感じます



前回そんな、ココロが通じ合えた


“ヤマダ”さんと






欲情CITYで腕を組み歩き





70分の時を過ごす








色欲Hotelへ向かいます

No.32 10/06/05 02:39
ゆま ( us5Xh )

“ヤマダ”さんは仮想の逢い引き相手のアタシにバスルームで愚痴っている


売り上げが…
「うん うん 大変ですね」


長い会議が…
「うん うん 頑張りましたね」

「でも、きっと、ヤマダさんだから出来るんですよ」


癒しの白い絹生地をココロにかけてあげながら、カマキリみたいな身体のボディソープを流してあげる


そして、うら寂しいSサイズの仮性包茎をなにごともないように、優しく丁寧に洗ってあげた

そんな“ヤマダ”さんは、恥知らずのように難しい専門用語で自身の殊勲を話し出す


アタシは世間知らずの生娘を演じて、エッジをきかせて驚いてあげる



入室と共に



   “ピッ”



とセットしたタイマーは今、10分を過ぎた頃です

No.33 10/06/05 02:40
ゆま ( us5Xh )

温蔵庫のように暑い部屋の中

泥濘(ぬかるみ)のようなベッドの上



“・・・・アタシの太もも”


“ヤマダ”さんはプレイを望まず、陰茎を擦りつけている


アタシはただ、血を通わせて仰向けに寝ている動かない“サイボーグ”みたいに…



“・・・・アタシの太もも”


“ヤマダ”さんはサービスを望まず、陰茎を擦りつけている


アタシはただ、純血の少女が夢の眼差しで眺めている“フランス人形”みたいに…



“ヤマダ”さんの



汚濁不純物だらけの性癖



不治の患いのような性癖



“ビクビク”とドーピングで勃起させたっぽい筋肉の痙攣が、太ももに伝染する


イク寸前にアタシの口元に陰茎を運び、アタシの保留も拒否も選択権もない口の中で“ヤマダ”さんは果てた


その白蜜はビタミン剤のような味がしました


その苦汁が舌に、ひりひりと伝わったときに思い出します


アタシは“サイボーグ”でも“フランス人形”でもない



根茎まで、くわえ込んでいる嬢なのです

No.34 10/06/05 02:53
ゆま ( us5Xh )

“終了10分前のタイマー音”
それが、鳴る頃には


“ヤマダ”さんは、奥さんに、かまって貰えない証拠のような、トランクスを履き始めていました


・・・・アタシの彼なら


ぶうぶうぶうのブーイングトランクス


不愉快なほど、鈍色の無粋な柄と、くたびれた生地


お腹のぜい肉と毛深いのは嫌いじゃないけど…


あと、字が綺麗だったら“ヤマダ”さんにはアタシの独り合点を捧げよう


だけど…


両手の人差し指で、腰のゴムを調整している不器用さを見た時になんとなく、不合点と予感しました


だけど、だけど…


“ヤマダ”さんは、全然、良いお客さんです


色欲Hotelを出て、高架下のスクランブル交差点付近で


“バイバイ”


と手を振りました

No.35 10/06/05 02:56
ゆま ( us5Xh )

家路に着く“ヤマダ”さんの背中は少し、寂しげで丸く


なんとなく


なんとなく


あの、バスルームで教えてくれた殊勲が、嘘だと書いているような背中でした


さぁ、アタシは明日の休みまでに、もう1度、色欲Hotelでシゴトをします


積乱雲が消えた分、店への足取りは、ほんの少しだけ、軽やかになりました


少しだけ、分かち合える、あの“せせこま狭い嬢の待機部屋”だけど


根深い嫉妬心

無益な根比べ

下世話な冷戦

見苦しい熱戦


そんなこんなでもある、部屋に帰ります

No.36 10/06/05 02:58
ゆま ( us5Xh )

・・・・シ・ゴ・ト


例えば、身体についたアザは3日もあれば消えます


痛くても、辛くてもタイマーが

“ピッピッピッ”


と鳴れば終わります


・・・・頭の中で1秒を感じます

・・・・頭の中で1分を念じます


・・・・薄暗がりで秒針に集中します


・・・・・・・・・たまに


永遠に鳴らない気がして絶望する時もあります


何度目のシャワーなのかをふと考える時もあります


入って出て、入って出て、入って…何回目だ?


…何回目でも別に構わないんだけれど…


お客さんとは、まるで愛し合っているかのようにキスをします


お客さんへは、なるべく攻めるようにしています


攻めて…


攻めて…


・・・・でも


攻めらる時は、意識を遮断します


肉体と意識の分離をします


・・・・でもでも


まるで感じているような声が出ます


主演女優は、艶やかに男達の目に映るのでしょう


「やらしいね、えっちだね…」

お客さんが口々に言います


うん・・・・・・・・


・・・・・・・・うん?



ゆまじゃないレナが笑顔で答えるのです

No.37 10/06/05 03:00
ゆま ( us5Xh )

・・・・シ・ゴ・ト


時には“今日は、無事に終わりますように”って


祈りが通じず


泣いて帰った日もありました


それは、入店、間もない頃…


最初から、ちょっとS気質の人だとは感じていました


ベッドに入ると、案の定のS男爵にての言葉攻めでした


身体への攻めも痛いし、辛い・・・・


つねり上げるように攻撃されました・・・・


最初はアタシも、趣向の急所と核心を掴むべくノッてみせました


頃合いをみて交代すれば、どうにかなるかな?と・・・・


しかし、交代という制度はないようでした


あっさりと拒否され





辛い辛い辛い辛い辛い

痛い痛い痛い痛い痛い


苦痛に顔が歪む…


身が捩れる…


苦しさに、汗が出る…


「ちょっと…痛い…かな…」


我慢も限界となり、言葉に出しました


“あっ、そう?ごめん…”


お客さんは手を緩めてくれました


・・・・だけど

No.38 10/06/07 01:51
ゆま ( us5Xh )

次は体勢を変えるように指示が出ました


 助かった…
 と、信じたかった…


アタシは言われるがまま、四つん這いの体勢になりました


“お尻が綺麗だね…”
“お尻が綺麗だね…”
“お尻が綺麗だね…”


表情は見えないけど、獣が卵白みたいな涎を垂れ流しているように感じました


“お尻が綺麗だね…”
“お尻が綺麗だね…”
“お尻が綺麗だね…”
“お尻が綺麗だね…”


手のひらで撫でながら


ひしひしと
へばりつく不条理な欲求


ふつふつと
トーンが沸き上がりゆく声



アタシは、群れからはぐれた羊のように


ぶるぶると
恐怖を感じて震えました

びくびくと
精神の根元から震えました

No.39 10/06/07 01:52
ゆま ( us5Xh )

男のその賛美の声は



メインディッシュのアタシを



どう、狩るか?と



人間の浅ましき本能を晒してゆき




人間が人間を食べるように恐ろしく




霊魂が取り憑いたようにおぞましく




・・・・それは



呪いのつぶやき



・・・・そして



男の発狂寸前を感じさせ




アタシは





虐殺されるのだと




もう、奥歯をガタガタガタと





鳴らすことしか出来ませんでした

No.40 10/06/07 02:32
ゆま ( us5Xh )

・・・・残酷メインディッシュ

男は、綺麗だと言った、アタシのお尻に

軽くスパンキングを始め出しました



“コワイ!コワイ!コワイ!コワイ!コワイ!”



アタシは、ココロで叫びました


 “お姉ちゃん、助けて”


そして、発狂した激烈なスパンキングに変わる


“バチ!!バチ!!パン!!パン!!バチ!!”


叩かれる音が鼓膜に響く


 “お母さん、助けて”


そして、狂乱した強烈なスパンキングに変わる
激音と痛みの感覚が麻痺してゆく


 “神様、助けて”


 “神様、助けてください”


屈強な、大きな手の平が鞭の様にしなって振り下ろされる




……



………



「やめて下さい!!」


アタシは泣きながら叫びました



ホテルのフロントに響くように



隣の部屋に響くように




何より、神様に響くように




アタシは泣きながら叫びました

No.41 10/06/07 02:33
ゆま ( us5Xh )

叫んだ途端に、美容室に行ったばかりの髪の毛を強く掴まれました


・・・・殺される


アタシを“くすんで光らないアクセサリー”にした男は耳元で、この世の言葉でないような卑猥で薄汚い言葉を吐く


恐怖心で緊張は極限に達する



アタシを“オレンジ色に錆び付いたナイフ”にした男は耳元で、残酷で冷酷で死を覚悟させるような言葉を吐く


それは、もう、恐怖心で記憶すらありません



・・・・そして次に


耳を強く引っ張られる

引きちぎられるくらいに加減なく



「………イタイ ヤメテ ヤメテクダサイ」












たぶん、アタシは、そう言ったんだと思います

No.42 10/06/07 02:42
ゆま ( us5Xh )

この男は恐らく

価格相場より高いアタシの店に来るのには、それなりの企業の会社員なのでしょう


素敵な果実のコロンを身に纏い、誘惑のオルガンの音色のような優しい声で返事をし、優秀で行儀の良いビジネスマンなのでしょう


郊外に家を建て、アタシと同じ歳くらいの可愛い奥様とお子様が、今も“まだかまだか”と帰りを待っているのでしょう


そんな奥様の作った熱々の黄金のグラタンを品良くフォークで口に運びながら、奥様の愚痴を聞いてあげているのでしょう


毎週、日曜日には、家族で車でショッピングモールへ買い物にゆき、お昼はマクドナルドのハンバーガーを定番とし、帰りにはサーティワンのアイスクリームをねだる子供の為に、お小遣いから自己負担をしているのでしょう





・・・・オフィスでも


・・・・奥様を抱く時も


・・・・子供の頭を撫でる時も








この男は“まとも”を演じているのでしょう…

No.43 10/06/07 02:43
ゆま ( us5Xh )

・・・・でも


毎日、毎日、弱火で煮詰めきったような、その性癖を

毎日、毎日、細菌を培養し続けたような、その性癖を


この男は仮面をかぶりながら


毎日、毎日、ふつふつと
毎日、毎日、過ごしながら


ココロの奥底にある歪みを“買った時間”に解放させ


こうやって、“自身の卑癖”を倫理と道徳の説けないシゴトながらでも必死に毎夜、毎夜、“蜜”を捜している嬢達に




まるで、モノを扱うように




まるで、差別を肯定するように




まるで、出会い頭みたいに




まるで、通り魔みたいに




我を忘れて不条理に




こうやって、吐き出して




叩きつけているのでしょう

No.44 10/06/07 02:46
ゆま ( us5Xh )

アタシは“殺される”恐怖心で半狂乱で泣き叫んでいたと思います

その姿と声は尋常では無かったのでしょう


男は電流を突如に遮断された電化製品のように、髪の毛と耳の制裁の力を緩め


「ごめん ごめん ごめん」


“まとも”を演じ出したのでした


慌てて、アタシの身体を後の祭りで労いそして、転がるようにして部屋を出てゆきました

そんな“まとも”を繕い装った日常で築いた


 地位


 家族


 体裁


沙汰が大きくなり、失うのが怖くて逃げたのでしょう




 ・・・・ううん 違う



それよりも、怖いのは、その性癖を世間や会社や家族に晒されることなのでしょう

No.45 10/06/07 02:48
ゆま ( us5Xh )

欲求に赴くまま、アタシや他の嬢達のココロを無視してズタズタのビリビリに引き裂いておきながら


あの男は何事も無かったように、その“まとも”を演じて、欲情CITYを足早に通り抜け


家に帰り

家族に接して

深い眠りに就き

朝ごはんを食べ

通勤電車に乗り

ビジネス街をすまして歩き

爽やかに挨拶をする


そんな日常に戻ったのでしょう



・・・・そして、また



性癖を煮詰めて、培養し

ふつふつと毎日を過ごす


そんな日常に戻ったのでしょう

No.46 10/06/07 02:51
ゆま ( us5Xh )

アタシは、しばらくベッドで、解放された安堵と、痛みの残る恐怖との繰り返しで、ただただ、泣いていました


そして、泣きながら店へ電話し、泣きながら店へ帰りました


その時フロントにいたのは年配の優しい部類のボーイさん


「ごめんな、ごめんな…レナ」


涙が止まるまで髪を手の平で優しく撫でてくれました


でも・・・・


二枚舌で嘘つきの裏腹なタヌキの手の平のような


寄り添えればオクリオオカミに変身する優しさのような



それを完全に否定出来ない世界なのだとも理解しています


でも、そんな、手の平の優しさにでも救われるアタシでもありました

No.47 10/06/07 02:52
ゆま ( us5Xh )

そんな日の帰り道


アタシは、地下鉄でも、他の乗客さんや車掌さんまでも“まとも”を演じているように感じて、涙が止まりませんでした


ねぇ、神様、幸せは落ちてませんか?

ねぇ、神様、アタシは、やっぱり汚れていますか?

ねぇ、神様、アタシは、誰を信じればいいですか?


ねぇ、神様、アタシも愛が欲しいよ


愛が欲しいよ


普通で優しい愛が欲しいよ


アタシは、あえて、涙腺を刺激するようにココロでそれをつぶやきました

No.48 10/06/07 02:53
ゆま ( us5Xh )

・・・・次の日、アタシは、ちゃんと出勤しました


昨夜のボーイさんは笑顔で「おはよう」と挨拶してくれました


「辞めちゃうかと思ったよ」とアタシの頭に、その手の平を優しく置きました


アタシは、昨夜に家で泣いて腫らした目だけど、笑顔で応えました


源流は他の嬢と同じでも“簡単な覚悟で入った世界じゃない”のです


だから、アタシは、負けまい負けまいと、その日は終始笑顔で過ごしたっけ・・・・




・・・・そんなことを思い出しながら


“ヤマダ”さんの背中をお見送りした後の帰り道

辿り着いた“せせこま狭い嬢の部屋”で一息つく間もなく


「レナちゃん、ご指名が入りました」と告げられました



幾何学模様の羽根は、もぎ取られたままの蝶だけど


“蜜”を捜し当てるまでは


アタシは、この世界を辞めたところで、飛べないままの蝶なのです


だから、アタシは


“シン”の無音の中


アタシは、「はい」と返事をして背筋を伸ばしました

No.49 10/06/09 00:56
ゆま ( us5Xh )

◆テレクラ3(約束)



作品をご覧頂きましてありがとうございます。


いろいろと考えましたが、「テレクラ3(約束)」感想スレを新設させて頂きます。


皆様から頂戴したご意見につきまして、個別にはお返事出来ませんが、ご感想がございましたら書き込みして頂けたら嬉しく思います。



しかしながら、誹謗中傷等の書き込みはご遠慮下さいますようお願い致します。

勝手を申し上げますが、継続に支障もきたしかねぬ硝子のココロですのでくれぐれも宜しくお願い申しあげます😫


作品内容や、筆者に批判的なご意見をお持ちの方はスルーでお願いします。
純粋に作品についての感想スレとしてお使い頂きたいです。


どうぞ今後とも、作品が完結するまで宜しくお願い致します。


ゆま

No.50 10/06/10 20:43
ゆま ( us5Xh )











〈原色の気球と花束と〉編

No.51 10/06/10 20:44
ゆま ( us5Xh )

“女のコの身体はやっぱり、デリケートなんだ…”

少し、バイ菌が入って傷んだ尿管

どうも、膀胱にも原因があるみたいだけど、2日後にはシゴトには戻れそうかな…

アタシは、コンビニで買った、いなり寿司とざるそばのパックを持ちながら

“食べたらお薬”
“食べたらお薬”

忘れないように唱えながら歩いてる


「ただいまぁ~」

ドアを開けて返事はなかったから、お姉ちゃんは出掛けているようです

鉄筋コンクリート造の気密性は残暑を蓄熱させ、おまけに西陽がフィクス窓から射し込んでいるので“もう、お姉ちゃんったら”って、小言を呟いて小窓のレースのカーテンを閉めました


末梢神経冷え性のアタシは、本意じゃない冷房のスイッチをオンにして

“食べたらお薬”

と、また唱えながら食べるのを忘れそうなくらい食欲の出ない夏は、まだまだ続きそうなだな…


季節感を感じながら


“裸を見ないでいい”
“裸を見せなくていい”


そんな、平々凡々な休日を過ごしています

No.52 10/06/10 20:46
ゆま ( us5Xh )

“女のコの一人暮らしはやっぱり、不用心なんだ…”


シゴト帰りの部屋の前、扉のカギを開けた瞬間に視界外から見知らぬ男が斜め後ろから、一緒に入ってこようとした


アタシは、あまりに突然のことで言葉を失い、驚愕したけれど

必死で足を踏ん張り
男の指に噛みつきました

生まれて初めて噛みついた感触は、大きな輪ゴムを噛んでいるみたいで気持ち悪くて…

何より、ざらついた男の指が舌に伝染した時に“死んでも入れちゃダメ”と骨を砕くほどに力を込めました


護身術など知らないアタシでしたが、運良く何とか、男を撃退することは成功しましたが、安らぎの住処は、心地悪く不用心な居場所となり

“同じ街ながら”ですが、お姉ちゃんと同居することにしたのです


ここは、大阪の中心部から、ほんの少しだけ離れていて、戦時中の空襲を免れたおかげで、ほんの少しだけ下町情緒を残している

アタシが産まれ育った街なのです

No.53 10/06/10 20:47
ゆま ( us5Xh )

今日は近未来系の地下鉄を小綺麗なプラットホームで待ってるアタシ

この日も蒸し暑い夏の夕方の出勤でした


《ごくごく普通の出勤でした》


そして“せせこま狭い嬢の部屋”で、ソファーに腰を掛けて冷えた



【甘い甘いミルクティー】を飲もうと思った瞬間に



「レナちゃん、ご指名が入りました」


《ごくごく普通のご指名でした》


客寄せ用のチャイニーズドレスのポラロイドのアタシを選んだのは


爽やかな笑顔をしたお客さん


《ごくごく普通のお客さんでした》


でも、それは、“仲井さん”に導かれた運命の出会いの日なのでした



アタシは、この日が


 過去の“約束”を思い出し


 現在の“約束”に左右され


 未来の“約束”に導かれる


起算点であって、中間点であるだなんて、知らずにいたのです


・・・・それくらい


なんてことない


 背中に電流なんかも走らない

 赤い糸なんて頭によぎりもしない


・・・・それくらい


本当に


・・・・それくらいに










《ごくごく普通に
 ただ…
 夏が残ってるだけの日でした》

No.54 10/06/10 20:50
ゆま ( us5Xh )

・・・・ベッドで裸の2人

仲井さんは70分をチョイスしていました

少し、緊張しているのかな?

…会話は弾まない

でも、何とか、小さな話の種で大きく咲かせてみようとしても……

…やっぱり、反応はイマイチです

でも、話に来たのでないのならば、いつものアタシです




恋人の様なキスをしました

舌を絡ませて濃厚に艶やかにです

沈黙が煩わしく怖いのもありました

そのキスは、イソジン薬臭の苦味の向こうに、飲み損ねた【甘い甘いミルクティー】のような、甘さがありました

No.55 10/06/10 20:51
ゆま ( us5Xh )

熱い熱いキスをしました
あくまで、シゴトのキスですが、溶けるような感覚のキスをしました

アタシは、アタシを濡らしていたかも知れません

“こう?”目を細めて優しく吐息で問いかけながらのキス

“どう?”美味しい?と優しく唾液が混ざり合うキス


仲井さんは、話の反応とは違い

立派な長径の鼓動音がベッドに地響きするくらい硬く硬く、筋肉をはち切れさせ

“ひくひく”と上下に痙攣させながら、アタシを欲していました


アタシは、キスを続けながら、その長径を擦りました


裏筋をじらしながら、淫靡(いんび)に擦りました

No.56 10/06/12 22:11
ゆま ( us5Xh )

爆発を押さえながら、悶える仲井さんの顔を見て


「かわいい」と小さく呟いて


また、熱いキスをしました


そして、アタシは、仲井さんの右の中指をアタシの湿林に誘導しました



・・・・んっ

アタシは、指の動きに合わせて、腰をくねらせました

仲井さんは、そんな踊るようにくねらせている、アタシの乳首を舐め回し始めました


仲井さんは恋人なのです

“だから、舐める仲井さんの頭を撫でました”

70分だけの仮想の恋人なのです

“だから、アタシは、男が理想とする快楽ドールになります”


最高に気持ちいい


対価以上のサービスを提供する、プロの女に徹してゆきます

No.57 10/06/12 22:13
ゆま ( us5Xh )

濃厚で恋人のような、アタシのプレー


でも、頭の中ではタイマーの終了時間を意識して“頃合い”を探っています


そんな、69の体勢の2人


アタシは、仲井さんに、施しと欺瞞(ぎまん)のバキュームで

黄ばみを帯びたような味のする、濃縮しきったスペルマを



“ドクッ”


“ドクッ”


“ビクンッ”と痙攣させながら


破裂した水道管から、練乳を噴出させるような勢いで、男らしく発射させました


・・・・アタシは

69の体勢のまま、ティッシュに唾液とスペルマを吐き出して、発射した直後の陰茎を舌で掃除しました


次は、

“・・・・うぅっ”

と、甘えた声を出して、身体を痙攣させ、捩る仲井さん


アタシは、痙攣しているクランケに痛み止めの注射をするナースみたいに

何より、アタシのサービスを刻み込むように

仲井さんの顔にアタシの陰部を押し付けて

窒息するか?しないか?くらいに押し付けて

大柄な身体の痙攣を完全に封じました

No.58 10/06/12 22:14
ゆま ( us5Xh )

・・・・そして


亀頭と裏筋を掃除しました


浅く、ゆっくりと、舌先で掃除しました


仲井さんは、アタシのお尻を両手で力強く掴みながら、陰部に舌を激しく動かさせていました


それは、快楽の悦びと、酸素を欲している人間が気絶する寸前の本能みたいな動きでした


アタシは、その舌の動きで少し、不覚にも感じてしまいました


仲井さんのふくらはぎを力強く掴み、シゴトだということを一瞬、忘れてしまいました




“ピピピッ”




“頃合い”を示すタイマーが鳴り、我に戻った仲井さんとアタシでした

No.59 10/06/12 22:15
ゆま ( us5Xh )

某メーカーのサラリーマンで、転勤してきたばかりだという仲井さん


アタシの聞いたことのない九州南方の島の出身


そんな、服を着ながらの弾まない今頃の自己紹介は、居心地の悪い空間そのものでした


部屋を出るときに少し“ほっ”としたのは覚えています


あっさりとした、スクランブル交差点でのお別れでした


“バイバイ”と手を振りました


スクランブル交差点を泳ぎゆく、仲井さんの背中には、何も書いていないように感じました

No.60 10/06/12 22:17
ゆま ( us5Xh )

・・・・そんな、次の日の夕方

その日は“複雑積乱雲”の下でした

ぱらつき出した雨はシゴトのスタートを遅くして、エンドを早くする


・・・・そんな、予感がありました

滅多にハズレないアタシの予感でしたが

ボーイさんの嘲笑交じりの「レナちゃん、ご指名入りました」

出勤間もないアタシの呼ぶ声で反射的に待合室へ出向くと


・・・・そんな、仲井さんは

ボーイさんの嘲笑も知らずに爽やかな笑顔で、まるで雨宿りにでも来たかのように立っていました


・・・・そんな、90分のご指名でした

なんとなく、指名された方が少し、恥ずかしくなるような感覚


・・・・そんな、仲井さんは

ただ、都会の“体裁”知らずの田舎者だとも思え


・・・・そんな、仲井さんは

アタシに対し、恋風に身を包ませているような感じもないけれど

何故か、アタシは、風鈴も鳴らないような微風の中で、ココロの中の風見鶏が


・・・・そんな、仲井さんに

向いた感覚がありました

No.61 10/06/12 22:18
ゆま ( us5Xh )

昨日のベッドでの地響きを思い出し、三半規管を揺らされて平衡感覚を失ったかのように

階段でよろめいたアタシを“クボミみたいなエクボ”の笑顔で、支えてくれた仲井さんがいました


今から思えば


そんな、2日目でようやく


背中に電流が少しだけ


走った瞬間だったかも知れません

No.62 10/06/12 22:19
ゆま ( us5Xh )

2日続けて来店するお客さんは、アタシの店では珍しいのですが、仲井さんが抱いているような孤独を感じさせるお客さんは珍しくありません

その孤独感をタイマーが鳴るまでの間に

“裸体”“乳房”“素肌”“手指”

に触れることで、埋めてゆくお客さんの1人1人に感情移入をしてしまうと、アタシ自身が疲弊してしまいますし

何より、シゴトなのですから、割り切りも打算も当然にあります

アタシ自身が“膣”を陰茎で埋めさせないシゴトを選んだのは・・・・

恐らく、サービスの労力からすれば、埋められた方が楽かも分かりませんし

人から見れば、大した差ではないですし、プライドとかではなくて

アタシ自身が、それで、このシゴトに折り合いがつけられるのです

No.63 10/06/12 22:20
ゆま ( us5Xh )

シゴトに“魂”までを譲ってる訳ではなく

男に“魂”までを売ってる訳ではないと

そこまで、むしり取らさせないと

それで、自分自身で納得してシゴトが出来るのです

それに、アタシは幾人のお客さんと肌を触れあってみても、アタシ自身の孤独は埋められず

そんな幾人のお客さんに“膣”を陰茎で埋めさせてみても

余計に余計に

ココロの中の孤独なピンホールは大きく広がって修復不能な穴になりそうで怖いのです

No.64 10/06/12 22:22
ゆま ( us5Xh )

アタシは、昨日と同じように仲井さんへサービスを行いました

拘束される時間は長いだけで、過不足なしのサービスです


相変わらず、弾まない会話でしたが、幾分かは馴染めた感覚でした

そんな、拘束終了間際に仲井さんは

おもむろに前触れもなく


「メールアドレスを教えてください」と言いました


メルアドを教えることと、本番を強要するお客さんには一切に妥協しないアタシでしたが


何となく、仲井さんのメルアドの要求は

うだる暑さの真夏にトナカイを引き連れているように滑稽で

音の出ない壊れたオカリナを知らずに一生懸命に吹いているように可愛くて


まるで、唄の歌詞を間違えたような、その唐突な要求には調合された“たくらみ”などのない無垢なものに感じて

何より、母性を“チクッ”と刺激されて、痺れさせられてしまったのです

No.65 10/06/12 22:23
ゆま ( us5Xh )

「え?」と、言おうとしたアタシは、それを咄嗟に飲み込めば・・・・

まるで、雨を逃れる為に入った曖昧宿での沈黙の2人のようになり・・・・

売買を交わした立場と

既に肌に触れ合った順序は違えども


3つ呼吸をしてから

「はい」

とアタシが答えた瞬間に“運命の赤い細い糸”が

アタシの左手小指と、仲井さんの右手小指に繋がったのでした

No.66 10/06/14 22:25
ゆま ( us5Xh )

JR神戸駅にアタシはいました

約束の時間は過ぎていて…

遅れるくらいで怒ったりはしないけど、指定されたドレッシーな格好での“待ち人来ぬ”には少しだけ、抵抗を持っていました


それにしても、仲井さんからの最初のメールの一行目での「もしもし」には思わず笑ってしまいましたが、スレていないのと、女性の遍歴はそれで垣間見ることは出来ました


「お待たせしました」笑顔の仲井さんは、至っていつもの装いでこちらに駆けてきました

どうも、アタシにドレッシーで来るように言ったのも忘れている

その予感は絶対にハズレない確信を持って笑顔で応えました


夕方の神戸は
やっぱり、まだまだ暑くて、散策をするには気が重たくて、用事がないなら間延びしてしまうので
やっぱり、仲井さんは「少し、早いですが食事に行きましょうか?」と、2つ目の予感を当てさせてくれたことも相まって笑顔で「はい」と答えました


仲井さんの右側に並んで歩きました

あと、1時間もすればラッシュアワーで混雑する神戸駅を後にしました

No.67 10/06/14 22:26
ゆま ( us5Xh )

そんな2人での初めてのお店は、綺麗でオシャレではありませんでした

おでんが好きなようなのですが、特におでんがメインのお店ではなかったですし、美味しくもありませんでした

・・・・何より

ドレッシーで来た意味が全くないお店でありました


でも、仲井さんの飾れない、気取れない大地の息吹を感じる、おおらかで温厚な性格


特別に面白くはないけれど、異国語のような方言を教えてくれて、会話をエスコートしようとする、ひた向きな姿勢


巧妙にアタシを騙した後、暴力と腕力の刀で徹底的にココロを斬り刻み、逆運に導いたあの男のような横柄さも裏表もない言葉


上着のほつれかけのボタンと

突然のクシャミの後の鼻を拭く格好と

寂しがりやがアタシのココロを盗もうとしている姿が子供みたいに見えて


やっぱり、やっぱり


母性を“チクッ”と刺激されて


痺れさせられるのでした

No.68 10/06/14 22:28
ゆま ( us5Xh )

仲井さんのアタシへの“恋風”は、季節外れの“爽やかなそよ風”のように心地よくアタシを包み、緩やかに時間が過ぎてゆきました

仲井さんは少しだけ酔ったのか

「今日はお酒が美味しいなぁ~」って、焼酎を呑みながらカウンターテーブルの下で

誰からも見えないようにアタシの手を“ギュッ”と突然に握りました

仲井さんの手はお店で感じた時よりも

暖かく優しくて
硬く大きくて
突然の大胆さに

アタシはその手で、普通の女のコに一瞬で引き戻されてしまうような錯覚を覚えながら


アタシが鈍く弱く握り返してみると


素早く強く“ギュッ”と仲井さんの手に再び力を込められた一瞬で惹き付けられてしまい

おでんの味も
ドレッシーな姿も
2つの予感も


そんなことを忘れてしまい鼓動が“ドキドキ”としました


そして、ココロの中の孤独なピンホールが埋められてゆきながら、今夜、この人に

“アタシがシゴトで譲らない魂”の湿地を

埋られる3つ目の予感がした時

アタシは完全に“ゆま”に戻り、テーブルに目を落とし赤面することだけしか出来ませんでした

No.69 10/06/14 22:29
ゆま ( us5Xh )

《ねぇ、神様、幸せは落ちてませんか?

ねぇ、神様、アタシは、やっぱり汚れていますか?

ねぇ、神様、アタシは、誰を信じればいいですか?


ねぇ、神様、アタシも愛が欲しいよ


愛が欲しいよ


普通で優しい愛が欲しいよ》


ずっと、手を握ってくれている仲井さんの横で


アタシは、あの日を思い出していました


やっぱり、涙腺は“仲井さんへの母性”よりも刺激されたけど、仲井さんを驚かせたくないアタシは…


今度は強く握り返して涙を堪えていました

No.70 10/06/17 23:47
ゆま ( us5Xh )

初めからあてにしていない天気予報
だけど、この神戸の雨は酷すぎるな

ゆくあてもなく途方に暮れる入り口のような2人


やっぱり、仲井さんはアタシの手を繋いで雨宿りの場所にホテルを選びました


ドレッシーが似合うホテル
アタシが勤しむ色欲Hotelじゃないホテル


・・・・ねぇ、ねぇ、

朝食だけで、呑んで食べたさっきのお店より高いね

・・・・って

言ったアタシの唇を貪(むさぼ)る仲井さん


・・・・ねぇ、ねぇ、

おでんが好きだったら、アタシの家の近くのおでん屋の“クジラのサエズリ”は美味しいんですよ?

・・・・って

言ったアタシの乳房をドレスの上から野性的に掴みあげる

No.71 10/06/17 23:49
ゆま ( us5Xh )

折しも降りだした雨
アナタと会う3日目で2日は雨だよ?
アナタと会う3回目で3回とも裸になるの?


・・・・ねぇ、

アタシが欲しい?
こんなアタシが欲しい?


・・・・ねぇ、

ココロを盗みたい?
アタシのココロを盗めそう?


・・・・って


頭によぎったアタシのココロは、アナタが欲しくてもう、身もココロもアナタのモノなアタシは、貪るアナタの唇に冷たく凍えるココロが解氷するようで


・・・・ねぇ、

“欲しい”って呟きました


・・・・ねぇ、

アナタが“欲しい”よ


・・・・って



アタシ似合いませんか?

No.72 10/06/17 23:50
ゆま ( us5Xh )

執拗なアタシの湿地への愛撫

アタシは久しぶりに裸の“ゆま”になりました

ホッチキスでベッドに止められたみたいに

アタシは普通の女の子で、男を感じていました


迂路を辿るようなココロと身体の傷口を哀れみ、愛しみ、舐めるように

アナタは夢中で優しく舌を這わしてくれました


そんなアナタが嬉しくて
そんなアナタを感じたくて

アタシの香りが残る唇を引き寄せてキスを交わして…

交わして…

交わして…

・・・・ねぇ、

・・・・ねぇ、ねぇ、


アタシが好き?って、聞きました


アナタは夢中で“好き”って何度も呟いて、アタシの唇も乳首も湿地にも舌を這わして答えてくれました


瓦礫の山での売り買いの
芽の出ぬハズのあの日のマネキンのようなガラクタみたいな愛だとしても

アタシは幸せを感じました
アナタに埋められて女の子として感じました


運命を突き動かしたようなエクスタシー


アタシはアナタにしがみつきました


アナタの唇を貪り続けました



・・・・ねぇ、ねぇ、



今夜のアタシ…


凄く凄く幸せです

No.73 10/06/17 23:51
ゆま ( us5Xh )

夏の海風に流されて、ホテルの部屋の窓ガラスに斜に叩きつける雨の向こう側

水彩画が滲んで消えてゆきそうな100万ドルの夜景

いつか誰かと見に行った科学館のプラネタリウムより綺麗な静止画

遠く見える貨物船の群れの赤い光と高層マンションの屋上のライティングに視点を合わせていたアタシ

アナタはそんなアタシの背中を抱きしめながら

アタシの濡れて乾ききれない髪の香りを嗅ぎながら

“クリスマスイブを一緒に過ごそう”と言ってくれました


やっぱり、アナタは真夏にトナカイを連れているサンタさんみたいでおかしいけれど


・・・・でも


“アナタと過ごしたいな…”


いつもの通勤の地下鉄みたいな近未来の先のような“約束”だけど、アナタと一緒に過ごしたいな


・・・・ねぇ、ねぇ、


それって、ちゃんと“約束”してくれますか?


背中で髪の香りを嗅いでる


アナタに聞きました


アタシは“約束”を破る人が嫌いです


・・・・でも


あの“約束”を破ったアタシはもっと嫌いなのです

No.74 10/06/17 23:52
ゆま ( us5Xh )

・・・・まるで、嘘みたいに優しい背中の抱擁

・・・・まるで、夢みたいな安らぎの中のココロ


アタシは抱きすくめられると弱いのです

斜に降る雨が注がれて、干からびたハズのココロが潤いそうな錯覚を覚えるからです

アタシはそんな心地よいハズの夜景を見ながら

やっぱり、思い出してしまいました




・・・・・・・・小さい頃は、とりあえずお父さんが不在でした

幼稚園の時、お母さんはいつも忙しくてお迎えが遅れてた

いつも最後まで迎えに来てもらえず、先生と遊具で遊びながら待っていました

「もうすぐお母さん来るからね」

優しく顔を覗き込む先生


 もうすぐ…


 もうすぐ…


・・・・でも

もう迎えに来ないんじゃないか?と、不安だった


 いつも…


 いつも…


「明日は早く迎えに来てね」と、ようやく来たお母さんに“約束”をしたけれど


お母さんは多分、困った顔をしていたように思います


その、一方通行の“約束”になんて返事はありませんでした



当たり前の“約束”に笑顔で応えてくれるような



そんな、お母さんではありませんでした

No.75 10/06/21 14:30
ゆま ( us5Xh )

・・・・・・・・小学校に上がった当時


母がやっているお店のお客さんにいたずらをされていました


何をされてるのか、理解出来ませんでした


だから、アタシの記憶はひどく曖昧で

幼少時のいろんな記憶が欠けていて、この世でいちばん真っ黒な


“艶消し塗料”


で塗り潰した部分が多々あります


 多分、それは自分を守る為なのかな…?


お母さんは、そんな犠牲だらけの仕事ばかりで家にいなくて、夜はやっぱり、お姉ちゃんと2人きりでした


でも、お姉ちゃんがいたから孤独じゃなかった


幼い2人はいつも寄り添ってました


何故か鍵がなかったのか、家に入れなかったあの日…


お姉ちゃんと2人で夜中までお母さんの帰りを寒空の下、玄関前で待っていたっけ…


・・・・でも


暗くても怖くなかった


いつも、お姉ちゃんがいてくれたからです

No.76 10/06/21 14:35
ゆま ( us5Xh )

・・・・・・・・そんな、お母さんはたまに家にいても


 いつも


 いつも


何か考え事をしていたようでした


アタシが話かけても上の空で、お返事はいつも曖昧で…


別に無理な“約束”じゃなかった…

ただ、髪の毛を括って欲しかっただけでした


 ・・・・可愛いゴムで


だけど、上の空の曖昧なお返事の“約束”はやっぱり


 いつも


 いつも


守って貰えなくて、自分で括って左右がちぐはぐが当たり前でした




・・・・・・・・小学生の3~4年の頃でした

突然にお父さんが帰ってきました

帰るなり、お母さんに暴力をふるいました

お父さんには殴らないでと“約束”をして

お母さんには離れないでと“約束”をしたけれど


やっぱり、それも一方通行の“約束”で

お父さんは、やっぱり、殴るのを止めずに商売をしていたお店の権利書をお母さんから取り上げ、売り払ってしまった


お母さんもやっぱり、我慢出来なくて家を飛び出してゆき、お父さんとお姉ちゃんの3人暮らしにとなってしまいました

No.77 10/06/21 14:36
ゆま ( us5Xh )

・・・・とある日


突然に警察の方がたくさん家に来ました


お姉ちゃんもアタシもいろんな事を聞かれました





・・・・お父さんが捕まりました

テレビドラマのように手錠をお姉ちゃんとアタシの前で掛けられて



お父さんは


連れてゆかれました…








・・・・・・・・覚醒剤




小さい頃、いない間は服役していたと知りました


結局、お父さんは、アタシが高校生になるまで帰って来なかった

その頃にはもう、お姉ちゃん以外は誰も“約束”なんて守らないんだと決め付けていました


手錠姿のお父さんの記憶を黒く塗り潰していないのは、アタシなりの割り切りがあったのだと思います

No.78 10/06/21 14:38
ゆま ( us5Xh )

・・・・そんな年の冬休み

いつものように新潟のおばあちゃんの所へお姉ちゃんと行った

おばあちゃんは必ず、可愛い服と絵本をアタシ達に買ってくれました

親戚の叔父さんや叔母さんは、アタシ達が罪を犯した訳ではないと分かっているけれど

やっぱり、あのお父さんの子供であるアタシ達を手放しで歓迎する来客ではなかったようで

厄介モノであるのは視線が訴えかけているように感じ

お父さんの話をしないことが逆に皮肉に感じるようで

大人のアレルギー反応は幼き姉妹にも、なんとなく伝わりました


そんな中でも、おばあちゃんは沢山孫はいたけど、離れている分なのか、あんなお父さんの子供であるのが不憫に思えたのか惜しみない愛をくれました


いつも


いつも


手を繋いでいてくれました


部屋の中でも並んで座ってくれて

ニコニコしながらよく来たねって手を繋いでくれました


優しい手


アタシが知ってる中で、一番優しい手

幼きアタシが人間愛を初めて感じた温もりでした

No.79 10/06/21 14:41
ゆま ( us5Xh )

・・・・ある日


何気なく「おばちゃん、何かしたい事ある?」と聞いたアタシ

おばあちゃんは

「そうだねぇ、小学校へ行きたい… 勉強がしたい」って、言った

・・・・そういえば、お年玉の袋はいつも震えたような文字で私の名前が書いてあったな…

「ゆまちゃんへ」

そして、裏におばあちゃんの名前が平仮名で2文字


そんな、おばあちゃんにアタシはそんなに好きでない小学校に、なんとかなんとか行かせてあげたいって子供ゴコロにあれやこれやと考えていました

それくらいにおばあちゃんが好きでした

そんな、おばあちゃんは勉強するアタシを見ながら


「ゆまちゃんは字が綺麗だね」って


優しく優しく


ニコニコと笑っていました


おばあちゃんの前で、好きじゃない勉強をすることしか、アタシにはしてあげることはありませんでした

No.80 10/06/21 14:42
ゆま ( us5Xh )

・・・・・・・・そんな

おばあちゃんがくれた絵本


 〈あなぐまの親子〉って物語でした



“なかなか夜が怖くて寝れない子ぐま”



“何度も何度もお父さんと、お母さんを起こしに行って甘える”


“お父さんぐまと、お母さんぐまはその度に優しく子ぐまを寝かしつける”



・・・・物語の最後は



“おかあさんが、あさごはんですよ と、よびにくるまで、ぐっすり ねむりました”


・・・・って

ごくごく普通の日常が羨ましく感じた内容でした

幼いアタシにはなかったごくごく普通の幸せ

“それがいちばんの幸せ”

おばあちゃんが小さいアタシにくれた優しい絵本

おばあちゃんが教えてくれた小さな幸せのカタチ


大人になったら、こんな風に幸せになりたいって気持ちを芽生えさせてくれた


優しい優しい絵本でした

No.81 10/06/21 14:44
ゆま ( us5Xh )

・・・・それから大人になったアタシ


 鬱病生産工場での疲弊

 逆運へと導く男の暴力

 薬物の後は女に走る父


幼き日に、おばあちゃんが教えてくれた小さな幸せのカタチに程遠い毎日の中


アタシは夏休みを取得して、おばあちゃんに会いにゆく“約束”をしました

おばあちゃんにお小遣いをあげたいと思っていました

・・・・だけど、仕事が忙しいのを理由に行かなかった

ものすごく楽しみに待っていてくれたのに・・・・


もし、行ってたら?


どうだったのかな?


・・・・そんな、夏のとある日

おばあちゃんは部屋の低い位置で、字を書けないその小さな手を

アイテムはスカーフとして、首に巻いて壁の突起物に引っ掛け、軽い軽い体重を自ら預け

No.82 10/06/21 14:45
ゆま ( us5Xh )

そんな風に 首を 吊って 自殺しました





発見された時、まだ少し息をしていたらしいのですが


あと少し発見が早ければ…?

ううん、もう逢えないからそれは考えたくない


大好きなおばあちゃん


86歳になっていました


自殺の原因は様々あれど

お父さんのことを気に病んでいたかも知れません

お天道様に恥を晒し、人様に迷惑を掛けてまで、生きる為の踏み絵を踏みたくなかったのでしょうか…

No.83 10/06/21 14:47
ゆま ( us5Xh )

・・・・そんな、おばあちゃん


学校にいくことも許されず、まともに字も書けないままでも


戦争に負けた頃には、女盛りを迎えて


恋をして


子宮に子を宿して産んで


乱れ髪をも気にする暇もないままに育てあげ、ようやく人生に一息がついていた頃での

  苦労の答えが警察沙汰…



・・・・だけど



おばあちゃんはそんな愚痴も言わず、絵本や洋服を買ってくれたのでした



“自分が読めなかった…”



“自分がオシャレさん出来なかった…”



そんな、女の子の気持ちを知るように



愚痴も言わずにニコニコ笑ってくれたのでした

No.84 10/06/21 14:48
ゆま ( us5Xh )

・・・・・・・・なのになのに


アタシはそんな、おばあちゃんとの“約束”を破りました


おばあちゃんには・・・・

酸欠状態で見た、8ミリフィルムで映る人生の“走馬灯”の中に麗しく可憐な場面が少しでもあったのでしょうか?


おばあちゃんが・・・・

細胞組織と心拍が停止する瞬間に最後に考えたのは、

“綺麗に着飾ってオシャレさんをして、宝石なんかを身に付けて
好きな人と手を繋いで字幕映画を観ている”

夢の中での憧れで描いた
自分自身に会えたのでしょうか?


そんな……

そんなであったって、信じることでしか

おばあちゃんの首の跡の青紫色のように“約束”が責め立てて、怒り狂って、罵って

アタシのココロの中を同じ色に染めるのです

No.85 10/06/21 14:49
ゆま ( us5Xh )

・・・・だから、アタシは“約束”がとても怖くて



 父母への一方通行の

“約束”がとても憎くて


 だから、アタシは

“約束”を信じなくて



 巧みに騙した男の暴力の

“約束”がとてもおぞましくて


 だから、アタシは

“約束”から逃れ逃れて



 採用の為に抱かれた代表との

“約束”で奈落を安住にさせられて


 だから、アタシは

“約束”に縛られ続けて






・・・・それでも


・・・・ううん、だから


“約束”を守ってくれる人には人間愛を感じるのです


・・・・だから


アタシは背中で髪の香りを嗅いでいるアナタに向きました

No.86 10/06/21 14:50
ゆま ( us5Xh )

・・・・ねぇ、


・・・・ねぇ、ねぇ、


それって、ちゃんと“約束”してくれますか?


アタシは“約束”を破る人が嫌いです



クリスマスにプレゼントなんかいらないから


絵本も洋服もいらない


おでんも100万ドルの夜景も宝石もいらない


だから“約束”だけは守ってください・・・・・・・・


それが、アタシへのいちばんの・・・・


ダイヤモンドより素敵なプレゼントなのです



そんなアタシにアナタは抱き締めてくれて


“約束しよう”って言ってくれました


そして、キスをしてくれました


この人なら…


この人となら…


って、アタシは…


背中に手を回して温もりを感じました

No.87 10/06/21 14:51
ゆま ( us5Xh )

・・・・夜中の3時

アナタは白いシーツの海で、小さな寝息をたてている

・・・・そして

アタシはそんなアナタの寝顔を見つめていました

アタシはそんなアナタの寝顔にココロで呟きました



おばあちゃんとの、あの“約束”を破った自分のことが嫌いなこんな女でもいいですか?


・・・・何よりも


毎晩、毎晩、男に裸を晒し、男に身を預け、男の陰径をくわえ込み、

時にはアザを付けられて

時には湿地に舌を這わされて

時にはアエギ声を聞かせている

そんな、アタシでもいいですか?

アナタは耐えてアタシの帰りを待てますか?

No.88 10/06/21 14:52
ゆま ( us5Xh )

・・・・何故なら


アナタが

寂しいよ… 悲しいよ… 辛いよ…
寂しいよ… 悲しいよ… 辛いよ…


って、何回、何度、言っても


“もう、シゴトに行かないから”って…


“約束”はしないよ?


寂しいよ…?悲しいよ…?辛いよ…?


・・・・ね?


・・・・ね?


って、寝顔の頬にキスをしました


だから


・・・・ね?


本気にさせないでね?


本気にならないでね?



もう一度、頬にキスをしてアナタの温もりの中、眠りにつきました

No.89 10/06/21 14:53
ゆま ( us5Xh )

・・・・玉ねぎを買って来てくれた“まー君”

・・・・今日はホワイトソースのオムライスだからね


仲井さんちのキッチンで


アタシは今週末も奥様をしている

アタシは仲井さんを“まー君”って呼ぶようになり

料理のレパートリーも増え

 互いの愛情が増え

マグカップとお皿が増え

 互いの理解が増え

バスタオルと歯ブラシが増え

 互いの笑顔が増え

生活ルールとキスが増え

 互いの欲求が増え


クローゼットにはアタシのコートが掛かり

玄関にはアタシのサンダルが揃えられ

洗面台にはグロスや化粧品が占拠しだし

ベランダにはアタシのキャミソールと“まー君”の白いTシャツが風で揺れている


・・・・あ

「ん?なに?」って“まー君”

「ストップ!今の“まー君”の表情好き」

「ん?こう?」と“まー君”

「うんうん、そうそう」って、言って近所のスーパーまでのおつかいの10分間のお別れでしたが


“まー君”とアタシは「お帰りなさい」と

冬間近の季節を否定するように
出会った日の真夏のような熱いキスをしました

No.90 10/06/21 14:55
ゆま ( us5Xh )

・・・・特大オムライス

アタシはたくさん食べる人が好き
姉妹育ちのアタシなりの男性観です

基本的に味には無頓着な“まー君”は、なんでも美味しいとペロリと食べてくれるけど

アタシの家の近くのおでん屋さんのお薦め品には、3回も美味しいと言ったのは聞き逃さなかった

いつかアタシの料理で美味しいと、4回言ってもらえるのが今のところ密かな目標です


食べてはキスをして

キスをしてはセックスをして

セックスをしては食べて


自堕落的みたいな生活を否定するように合間にお掃除や洗濯をするけれど


それでも、愛を確かめるようにセックスをして

No.91 10/06/21 14:56
ゆま ( us5Xh )

それで、お料理が出来なかった日には近くのお蕎麦屋さんに手を繋いで歩いてゆき

親子丼と天婦羅蕎麦を1つずつ注文して半分こして食べました

“まー君”は大好きなハズの1匹しかない海老天をアタシにいつも譲ってくれて

アタシはニコニコ笑いながら

・・・・ねぇ

「“まー君”海老天半分いる?」って聞くと

“まー君”は子供みたいな笑顔で

「うん」と言います

アタシの中の母性は刺激どころか今では電撃を受けて“まー君”がたまらなく大好きで


“まー君”の為にしてあげられることばかりを考えていました

No.92 10/06/21 14:57
ゆま ( us5Xh )

・・・・月曜日の大阪ゆきの始発


“まー君”は雨の中、今朝も駅まで送ってくれている

また、1週間のお別れへの駅路には、あれだけ楽しかった週末がまるで嘘みたいに物静かで、重く、暗く、冷たい空気が流れます

「またね」

アタシは“まー君”が持ってくれていたバッグを手に取りました

「うん またね」

って“まー君”は笑顔で言ってくれました


・・・・・・・・・・・・でも

駅から家路に向かう“まー君”の背中には


「寂しいよ… 悲しいよ… 辛いよ…」と書いていました


そのくせ、25メートル先の薬局屋さんの前では振り向いて

クボミみたいなエクボの笑顔でアタシに手を振ります

愛情に満ちた週末の後味は
甘酸っぱい愛よりも
ほろ苦い悲しみの味がします


・・・・何故なら


あの日“まー君”の寝顔にココロで呟いた


〈本気にさせないでね?〉


〈本気にならないでね?〉


って言葉をちゃんと伝えておくべきでした

No.93 10/06/21 14:58
ゆま ( us5Xh )

そんな「またね」は、忍耐・我慢・辛抱の窒息しそうに彷徨う1週間の始まりを告げる現実を意味します


アタシは改札口を抜けて始発電車に乗って、ココロを無理矢理に黒く塗りつぶして“レナ”へと変わります


安心と心配の繰り返し

安定と動揺の繰り返し

正常と異常の繰り返し


そんな日々を過ごしているうちにもうすぐ“約束”のクリスマスがやってくるのでした

No.94 10/06/29 12:48
ゆま ( us5Xh )

・・・・すっかり真冬での13時の入浴

アタシの1日はそこから始まる
世間のOLさんはランチタイムを終えてお化粧を直してデスクに戻る頃

どちらが正しいなんて答えはないけれど

アタシの入浴の時間は世間との比較では圧倒的少数なのは理解しています


・・・・入浴の前のメールチェック

そんなOLさんに囲まれてシゴトをしている“まー君”からのメールはなかった


・・・・アタシを起こしてあげると可哀想だ

そう言ってしまえばそれまでだけど

少しずつ…

少しずつ…

冷淡と薄情な優しさを感じることも増えてきました

No.95 10/06/29 12:50
ゆま ( us5Xh )

何よりも“まー君”は自分のシゴトの事で悩んでいるようで切羽詰まるような表情が増え

和気あいあいな戯言みたいな甘い時間はほとんどなくなりつつありました

アタシの知らない平日の顔も週末に見せるようになり

「田舎に帰りたい」

なんて、アタシの存在を忘れているかのような弱音も増えました

アタシは出来るだけ黙って見守るつもりでも

やっぱり、苦しそうな姿を見ていると不得意な励ましの言葉を掛けてあげるけど

アタシの希釈した言葉は逆効果だったり

アタシの拙い言葉は逆に苦しめてしまったり


“まー君”のためにしてあげることを見失いそうになっているアタシがいました

No.96 10/06/29 12:51
ゆま ( us5Xh )

・・・・入浴の後のずぶ濡れのアタシ


 追えば逃げて捕まえて


 逃げれば追って捕まって


そんな、ありきたりの関係でなくて、逃げればすぐさまに終えるような関係になってゆき


本来ならば今頃、パソコンに入力している普通のOLさんが“まー君”にはお似合いだとも分かっていました




・・・・せめて

ならばと・・・・


捻れに捻れてゆく“まー君”のシゴトのストレスと、挟みに挟み撃ちされて追い込まれたココロをアタシの身体で癒してあげたくても


平日にアタシが他の男を癒している現実は

揺れに揺れ動く“まー君”の不安や葛藤の要因の1つであるので

そんなアタシがやっぱり、何かをしてあげたいなんて・・・・


おかしいのかな?


って感じていました

No.97 10/06/29 12:53
ゆま ( us5Xh )

・・・・鏡の前で髪を乾かすアタシ


テレビタレントの誰々に似ているとかお客さんは好き好きに言ってくれるけれど

アタシ自身はあまりピンとは来なかった


だけど、お客さんはアタシをそんなテレビタレントや、片想いの誰かや、忘れられない誰かや、そんな抱けない誰か達を投影させて快楽の果てを求めるのです

アタシは都度都度にその媒体や被写体となりきってあげて欲求を満たさせてあげることにより

今ではお客さんのご指名が来ずに悩むこともなく、店でも人気嬢になっていました

そんな“まー君”以外の陰径をくわえて舐めて、他人を癒していあげている日々を過ごしているうちに


皮肉なことに今では、いちばん癒してあげたい“まー君”とはセックスレスになっていました

そんな圧倒的少数な入浴と身支度を終えて12月23日の勤務に向かうアタシでした

No.98 10/06/29 12:54
ゆま ( us5Xh )

そして、12月24日

・・・・大阪にはたくさん数あれど一際、圧倒的な存在感を示すホテル

ロビーには花の薫りが充満し、ラウンジから聴こえる生演奏

飾られたアートフラワーを見た時にアタシは昨日までの心配や不安が嘘みたいに感じたのでした

“まー君”が守ってくれた“約束”は本当に素敵なプレゼントで、淡い淡いピンクの花束のメッセージカードには

“いつもありがとう”
“大切なゆまさんへ”
とプリントされていました

これには、自分の字で書いて欲しかったな……って、一瞬思ったけど“おばあちゃんのゆまちゃんへ”のお年玉袋が頭によぎったのは直ぐに消しました



そんな、高層階の部屋から見る景色はアタシが住む街や欲情CITYも眺められ、普段は下から見上げると下品なイルミネーションも

上から眺めると原色を散りばめられた“夜景”に感じました

No.99 10/06/29 12:56
ゆま ( us5Xh )

・・・・日常と非日常の交差

アタシは飛べない蝶だから、気球に乗って景色を眺めているようで、黒く塗りつぶしたココロは…


花束の原色が降り注ぎ


夜景の原色が降り注ぎ


そんな気球に乗ったアタシを“まー君”は雲母のシーツに導きました



耳元でそっと“ゆま、ずっとずっと大切にするよ”って、後に







“ゆま、結婚して2人で僕の田舎に帰ろう”







それは、プロポーズでした

それは、“まー君”からの新しい“約束”でした

No.100 10/06/29 12:58
ゆま ( us5Xh )

昨日のシゴトで付けられた左内もものアザを“こうやって舐めれば消えるんだ”って、言わんばかりに固執している“まー君”の愛撫の中のアタシ


プロポーズ


“まー君”はシゴトを辞めて、田舎に帰って畑を耕して父母と同じ屋根の下で暮らす

そこは、アタシにとっては真逆の環境

そこへ、導いてくれるのは素敵な素敵な生活だけど……


……でも

いつか実った果実を収穫する頃には“まー君”の子供を産んでってイメージがどうもつかないのと

“まー君”がシゴトを辞めるから田舎に帰ることと、アタシが全てを預けて極東の果てに思える場所へ移り住むことが

それが、果たして2人にとって正解なのかな?って、曖昧な四捨五入のような違和感が残りました

No.101 10/06/29 12:59
ゆま ( us5Xh )

アタシはやっぱり、瞳を閉じました

今日は素敵な“約束”を守ってくれた日でした



でも、アタシはやっぱり、瞳を閉じました

あの日、雨宿りに来たかのようにお店に来た“まー君”を思い出していました



でもでも、アタシはやっぱり、瞳を閉じました

“お店では着てないよ”って、いちいち説明しないといけなくなった、シニカル混じりのランジェリーを脱がす“まー君”




・・・・そして“まー君”がアタシに入ってきました

・・・・アタシは吐息とため息が混じり合った息をペパーミントが鼻から抜けるみたな声を出して“いちばん幸せな日”に“いちばん大切な人”と過ごしているハズなのに、気が付けば“レナ”で演じていました




様々な原色の絵具を混ぜれば黒色になるように


アタシのココロはその色に染まったように思え


気球は乱気流にさらわれたみたいに思え



だから、アタシは



深く深く瞳を閉じました



深く深く瞳を閉じました



深く深くです



深く深く

No.102 10/06/29 13:01
ゆま ( us5Xh )

〈揺れる揺れる電車〉

無言劇を演じているような2人でした
アナタは左手側の車窓の向こうの雨雲が掛かる山並みを眺めていました

年が明けて直ぐにアナタは耐えられない拷問から逃れるように退職届を出して部屋を解約をしました

描いた人生の青写真や設計図が崩れてしまい、激流のような不安を紛れさす為にモノやヒトに八つ当たりすることの知らない性格のアナタは、落胆や重圧をポリ袋に入れて“月”“木”の燃えないゴミの日に出すような小細工ができるような余裕がありませんでした


弾きだした計算や予想図が誤算と誤差を表す中で、仮病をつかって一息をつくのにズルもウソもつけない真っ直ぐな性格のアナタは、唇を真一文字にして仏頂面でふて腐れて、クボミのエクボはすっかり更地に造成されてしまっていました


そんな、アナタの横顔は大手メーカー勤務だったハシクレもハシキレもなく、魂の抜けた脱け殻のようで、その雨雲にすら焦点が合っていないように見えました

No.103 10/06/29 13:02
ゆま ( us5Xh )

〈叩く叩く雨の飛行場〉

廻廊西側の長いエスカレーターを上がり…
発着ロビーのベンチに腰を掛けて並んで手を繋いで搭乗までのカウントダウンを刻んでいました

互いの絡み合わせる指には、焦げる匂いがするほどに熱を帯びているけど、絡みついていた赤い糸は色褪せてゆくように想えました

そんな、アナタはそれを認めたくないように苦悶の表情のまま、哀調を帯びた声で


“田舎の空気は澄んで綺麗で”

“魚や野菜は新鮮で美味しくて”

“小鳥の鳴き声が空に突き抜けて”

“見たことのない蝶々が飛んでいて”


「ゆま、いいとこだよ?」

「ゆま、必ず、おいでよ?」

って、何度もリピートして

 南から太陽が昇るような…

 時差があるように感じる…

その最果ての故郷に、それでもアタシを導いてくれようと一生懸命に一生懸命に話してくれました

最後に発したアナタのその悲壮感を帯びた祈りのようなリピートは…
事務的な場内アナウンスで冴え渡るロビーの高い天井の吹き抜けに物悲しく…
かき消されたのでした

No.104 10/06/29 13:06
ゆま ( us5Xh )

そんな、アナウンスが聴こえなかったかのようにアナタは


“ホワイトソースのオムライス食べたい”

“ホワイトソースのオムライス食べたい”

“ホワイトソースのオムライス食べたい”

“ホワイトソースのオムライス食べたい”

“ホワイトソースのオムライス食べたい”


と、止めどなくあふれ出る涙の中で、断ち切れない思いの丈を連弾のようにぶつけました

 汲み取れきれないよ…
 だけど、「うん、うん」とアタシ

そこには、あの凛々しいアナタの面影はなくて…
ないがしろにされて待ちぼうけの真っ只中の連続で、幾度も月の満ち欠けを見上げながら過ごしていた平日の夜の

アナタの本当の姿…

裸のシゴトのアタシの帰りを待ちわびていた、週末をココロ待ちに待ち焦がれていた
アナタのそんな姿を初めて目の当たりにしたようでした

No.105 10/06/29 13:07
ゆま ( us5Xh )

  損傷 痙攣 麻痺


アナタのココロの本当の傷口の深さを知りました

 違う…知らないフリをしてたんだ…
 

そんな“月光の下”で都会の見えない星に願い事をするように
アナタがアタシを待っていた姿は

ギロチン台で泣き叫び、喚き叫び、断末魔で絶叫している

冤罪を被らされた善人の命乞いのようにも見えました


「ホワイトソースのオムライスね」

「また、作ってあげるからね」って、そんなアナタの頭を撫でるしことしかできませんでした

No.106 10/06/29 13:09
ゆま ( us5Xh )

既に遠距離恋愛になったかのように愛情が失調しているアナタのココロ…
アタシは惜しむように繋いでいる手を離してアナタと向き合いました


「まー君、ずっと、大事にしてくれるんでしょ?約束してくれたこと忘れないからね」


「結婚はアタシにも考える時間を頂戴」


「・・・・ね?」




・・・・そんな2人にも

進む秒針の1秒は正確で

泣き沈むアタシを抱き起こし



・・・・搭乗口へ

進む歩幅の1歩は貧弱で

活路を見いだした歩みに程遠く


・・・・握りしめたチケット

進む縦列の1人は孤独で

色褪せた赤い糸では手繰り寄せるほどのチカラもなくて



・・・・その先の

進む未来の1日は雲泥で

輝かしい光は決して見えなくて、少しだけ、背中にシワがついたジャケットをもう、直してあげられないと思うと涙がこぼれて



「・・・・まー君」

小さく呟いていたら

「・・・・ごめんなさい」

小さく呟いていたら










まー君の背中が見えなくなりました

No.107 10/06/29 13:10
ゆま ( us5Xh )

ため息と嗚咽が漏れました
それは、空港の人波の中、空調の微風に流されて

音も立てず
色も示さず
香りも残さず

新たな現実の1秒に消し飛ばされました

アタシはそのまま1人でしばらく



     ぽ つ ん



と立っていました

ぽっかりと穴の開いたような、ココロを埋めるものは“まー君”が契約してきて手渡してくれた2人専用の真っ白い携帯電話でした



その待ち受け画面には


楽しく笑って頬を寄せ合って写る






あの頃の2人がいました

No.108 10/06/29 13:11
ゆま ( us5Xh )

〈甘い甘いミルクティ〉


琥珀と乳白の色を混ぜた白いカップの湖には微粒子の湯気が舞い上がっています

アタシは空港のカフェに入り、それを飲んでサヨナラを耐えていました


アナタと初めて会った日

アナタからの指名があって

飲めなかったミルクティ





あの日は、まだまだ暑くて

冷えたミルクティでした



・・・・・・アタシが無邪気にアナタと最果てに飛び立てない、呪いの黒アリが足元でアタシを蝕む現実


アタシはあの日、神様にお願いをしたことを叶えて貰えた幸せなハズなのに・・・・


って


微粒子の湯気を眺めていたら、こんなアタシでも、逆運を少しだけ恨みました

No.109 10/06/29 13:13
ゆま ( us5Xh )

〈白い白い飛行機〉


1人で眼下に広がる領空の雲母の中で、アナタは広がるそれを眺めてサヨナラを耐えているのでしょうね・・・・


あの“約束”の日に


アナタに見せて貰えた


気球からの景色は


いつまでも忘れません


・・・・だから
アタシは・・・・


ありありと痛々しいアナタの今日の背中を見て思いました


アナタの

ずっと、大事にしてくれるって“約束”を信じようって


でも・・・・
・・・・プロポーズは


そんなことを考えながら、甘い甘いミルクティを飲み終えた頃には涙雨は晴れていました

行方知らずだったハズのさっきのため息と嗚咽がひらひらと蝶々のように飛んでいて

その蝶々の後を着いて行ったら

アタシはその日もお店に辿り着いているのでした

No.110 10/06/29 13:14
ゆま ( us5Xh )

「レナちゃん、また…」

「…携帯?」

他の嬢達からの失笑を受けて“まー君”の愛の失調を示す携帯電話のバイブが唸っています

まだ、離れて2週間も経たないけれど、通話料がかからない専用電話は幾度となく唸り“せせこま狭い嬢の部屋”の中では、既に話題の中心でした

そんな“まー君”の

募る募る募る不安は、携帯での通話が癖のように変化してゆき
紡ぐ紡ぐ紡ぐ愛情は、受話器のデシベルで伝えることでした

・・・・それは

生理休暇の偏頭痛に耐えるベッドの中でも…
ペディキュアを片方しか塗れていない時でも…

・・・・そして、

今のように待機している時もです

さすがに、シゴトをしている時は話せないけれど、寄り添い、付き添えない分、アタシは時間が許す限り、お話を聞きました

同じ時を過ごしていた2人の時間は
あの飛行場までの電車の中で“まー君”の焦点が合ってないように感じた
雨雲のようにぼやけるように感じながらも
“約束”を胸に刻みながら、アタシは不平や不満を言わずにお話を聞いていました

No.111 10/06/29 13:16
ゆま ( us5Xh )

暖冬とはいえ寒い冬を越すのには“まだまだの都会”にいながらの“まー君”からの写メの春が近い装いが、より一層の距離感を感じさせました

乾燥した緑も土もない都会の空気を吸いながらの“まー君”からの写メには
少しだけ髭が生えていて大根の収穫している一生懸命な姿の画像には土埃が舞い
綺麗なエメラルドグリーンの海を背に笑顔の画像には砂煙が舞い
なんとなくアタシが抱えているシリアスを気にしてくれているとは感じられませんでした


・・・・その反面


幾度も月の満ち欠けを見上げながらの待ちぼうけで、もがき苦しむことは
離れている距離には関係ないようで


 不服や焦り

 嫉妬や鬱憤


時折、“まー君”の言葉の端々に自分だけが辛いような灰汁(あく)が感じられました
それでも、アタシは時間の許す限り、お話を聞いていました

No.112 10/06/29 13:17
ゆま ( us5Xh )

そんな、二次元の世界の画像を眺めながら、アタシなりにその地に移り住むことをイメージしたりしました

流木や貝殻を集めてアートを作ってみたり

小舟に揺られて夜の沖で月明かりを浴びてみたり

岬の突端に立ち大空へ向けて限界まで両手を広げてみたり


どれも素晴らしい生活や人生のように思えるけれど


・・・・どうしても
・・・・今すぐってワケにはいかないよ
・・・・もう少しだけ、時間が欲しいよ


アタシの現実が頭をよぎった瞬間に鮮やかだったイメージは、蜃気楼がドロドロにただれてゆくように消えるのでした

そんなため息をつきたい時にでも
アタシの感情の所在に関係なく
荒れ狂い激しく打ち寄せる波のようにバイブは唸り

所用や不在のウソは自分を苦しめるように思えるし
何より“まー君”の淋しさを癒してあげたくて


「・・・・もしもし」
出来るだけ明るく努めて電話に出るのでした

No.113 10/06/29 13:19
ゆま ( us5Xh )

愛情があるとはいえ、度々の電話での会話には時折、花も咲かないこともあり、少しずつドライな会話も増えてゆきつつありました

それでも、電話にしがみつくことでしか存在を示すことが出来ない“まー君”は
時代遅れのペアルックをアタシに強要し、自分だけ寸足らずのそれを着ているような独走や1人よがりみたいなものを感じ


アタシが相違する意見を言えば・・・・

・・・・1分

・・・・5分

いいえ、時には20分以上もの間、受話器の向こうで沈黙することがありました


そんな、裏目裏目に流れる膠(こう)着する時間に諭す労力は相当に必要で
ぶつけようのない不満を撒き散らすことを知らない性格の“無言”は耳をつんざくようでもありました

それは、互いのイコールから離れる価値観を示しているようで
そして、無言のまま突然に電話を切られちゃうと…

仲直りまでの時間は、壊れた硝子の破片を一片ずつ

拾い集め

寄せ集め

接着剤で元に戻すような気の遠くなる作業に感じました

No.114 10/06/29 14:11
ゆま ( us5Xh )

それでも、アタシは“愛情”をたくさん抱いているし…

きちんと、2人の未来のことも話したいし…

だから、価値観をちゃんと埋め合わせたいし…

何よりも“約束”を信じているから…



アタシは“まー君”には内緒で飛行機のチケットを予約しました


少し、黙っておいて驚かせてあげたくて


・・・・なにより


向こうへ着いたら抱き締めてあげたくて


ご両親にもきちんとご挨拶をさせていただきたくて



・・・・そして



特大クリームソースのオムライスを作ってあげたいって思いました

No.115 10/06/29 14:13
ゆま ( us5Xh )

・・・・だけど


あの平日の知らなかった“まー君”の本当の姿を見た日を思い出しました


求心すればするほどに遠心に向かい

愛の継ぎ目も繋ぎ目も破損してしまい

手暗がりにしたダイヤモンドが輝きを失うように


軋み軋み軋む程に何より尊くアタシを愛していてくれているハズだった“まー君”はアタシに


何の通知もなく

何の相談もなく





契約を突然に解約をし

アタシに手渡した携帯電話を血の通わないモノにしました


・・・・シゴト帰りのアタシ

もう、アンテナが立たない白い携帯電話を開いたまま

点滅している青信号で立ち止まり







「・・・・どうして?」

「・・・・なんで?」って

頬を寄せ合って笑っている二次元の2人の上に涙を落としました



2010年2月23日

都会の冬月の下、アタシ達の愛は

あの日、唄の歌詞を間違えたかのようにアタシのメルアドを聞いたように突然に前触れもなく

“約束”を果たされないまま


“サヨナラ”も言わないまま


終わったのでした・・・・

No.116 10/06/29 14:15
ゆま ( us5Xh )

次の日だけは、シゴトを休みましたが、家にいると“まー君”を思い出して、泣いてしまうだけだったので今日は、シフト通りに出勤していました


“まー君”との携帯電話が息を吹き返してくれるんじゃないかって?
限りなくゼロに近い可能性を抱き何度も何度も電話を開きましたが、やっぱり・・・・


・・・・なにより


解約した理由も言ってくれないことが、アタシをどん底にたたき落としました


アタシは“自分の黒い携帯電話”を開き“まー君”からの返信がこちらにもないことを確認して・・・・

ため息をつきました










「・・・・どうして?」


「・・・・なんで?」




2010年2月25日

悲しみの中の手持ちぶさたでした


“まー君”からの電話は鳴りません


少しでもと気晴らしのつもりで


指名が入るまでの時間潰しのつもりで



掲示板サイトへアクセスしました



“せせこま狭い嬢の部屋”のソファーに座り


“まー君”を想いながら


【甘い甘いミルクティ】を飲んでいたアタシは





偶然に〈テレクラ〉って名の





匿名の方が書くレポート作と出会いました

No.117 10/07/01 13:41
ゆま ( us5Xh )

その匿名筆者は新人さんのようです
少し、おどおどしている様子だけど、読者からのレポート更新の仕方に関して、ご注意をうけたカキコミには

「じゃぁ、読んでくれなくて結構です」

と何故かキッパリと返しています

少し笑え…
少しハマりました





「レナちゃん、ご指名が入りました」

・・・・あ

「はい」と慌てて携帯を閉じて身支度をしました

・・・・ご新規のお客さん

ホームページでアタシを見つけて来てくれたようでした

No.118 10/07/01 13:43
ゆま ( us5Xh )

“キン”と音が鳴りそうに冷えた道路標識

縦列に並ぶ車輌の先頭は停止線を越えて赤信号の間もヘッドライトを点灯したままで

歩行者用信号機の薄い青色が急かすように点滅したので、アタシは、ご新規さんと腕を組みながら走り

横断歩道を渡る横顔をそのヘッドライトに照らされて、瞬間的に長い影を作ったのでした

・・・・あの日

非日常で眺めた原色の中の1色になってるアタシ

あの部屋で今頃、誰かが眺めている景色の1つとなっているアタシ




・・・・あの日のピンク色の花束は

・・・・ずいぶん前に

色褪せて

朽ち果て

しなだれてゆき


・・・・枯れました

No.119 10/07/01 13:44
ゆま ( us5Xh )

・・・・ドライフラワーは嫌いです

呼吸を失い死体になってもなお、茶褐色を帯ながら飾られ続けているのが残酷な姿に見えるから

・・・・ブリザードフラワーも嫌いです

花の不機嫌を無視して、強制的に可憐のみを装い続けさせられているように見えるから
 

寒さとココロの傷で

引きつる頬で

微笑みを浮かべながら

いつもの色欲Hotelで原色のドレスを脱ぎました


・・・・ホームページの中のアタシ


プロのカメラマンにランジェリー姿で撮影された姿

白い脚が“売り”になるとカメラマンさんに言われました

だから、アタシの写真は脚が強調されたものばかりで、ホームページを見たお客さんは“脚フェチ”の方が多いのです

No.120 10/07/01 13:49
ゆま ( us5Xh )

・・・・バーチャルで見つけた疑似恋人のアタシ


ホームページを見たお客さんは、悶々とした性欲をアタシにぶつけることが多く


・・・・例えば

来る前に家でアタシの脚の画像で妄想を膨らませて自慰行為をしてくるお客さん

リアルのアタシの脚に執拗に触れて、擦り、舌を異様に這わせるお客さん

家に帰ればアタシの感触を思い出して、リアルの後の空想で自慰行為をするお客さん


アタシの脚はカメラマンさんの言う通り“売り”にはなったけど、変態の遭遇率や乱暴に扱われる確率が増えました


ご新規さんは執拗に脚に触れています

No.121 10/07/01 13:51
ゆま ( us5Xh )

・・・・やっぱり

“まー君”の手触りには程遠く感じます

でも、シゴトをしないと家では涙が出るし…

ココロの支えを失って…
欺瞞(ぎまん)の施しのキモチだけで触られることに耐えるのは
空虚に投身しているように感じました

・・・・だから

蓄積していた今までのアタシの我慢も、もう限界を越えました


“もう、どっちでもいいや”


って、ココロの悪魔が怠慢を囁きました

アタシは奉仕を放棄して横たわるだけのマネキンになり
ご新規さんと赤線を越えて本番に至りました

抱かれている間に“まー君”を思い出してみても、あの土埃と砂煙の中、消えてゆきました


瞳を閉じた時に

一筋の冷たい涙がつたい

いつか、枯れて捨てた

ピンク色の花束がゴミ箱の中で泣いている姿が見えました

No.122 10/07/01 13:52
ゆま ( us5Xh )

・・・・アタシをむさぼるご新規さん


アタシは


瞳を閉じて

心を閉じて

胸を痛めて

喘ぎも出ず

胃袋は痛み

呼吸を忘れ

鼓動は乱れ


“まー君”のいない現実を噛み締めていました

精神病(やまい)の中でトランキライザーを切らして重く垂れこめる孤独の世界で

夜更け

朝焼け

日暮れ

のいずれも途方にくれるアタシの現実



・・・・横着で緩慢(かんまん)なピストン運動の中


・・・・下手な独唱みたいな唸り声を出し


ご新規さんはアタシに身を預けて果てました

「・・・・レナちゃん、良かったよ」と耳元で囁くご新規さんの声が鼓膜に届いた時に



“まー君”
“まー君”
“まー君”

“まー君”
“まー君”
“まー君”

“まー君”
“まー君”
“まー君”


・・・・・・・・

ココロの中で“まー君”を呼び続けていたんだ…

そのことに気が付いたのでした

No.123 10/07/01 13:53
ゆま ( us5Xh )

・・・・気だるい

呼吸すら気だるく感じる愛のないお客さんとのセックス
戻ってきた“せせこま狭い嬢の部屋”でやっぱりの


 手持ちぶさた


いくら“まー君”の名前をココロで呼んでも白い携帯は息を吹き返さなくて
やっぱり、黒い携帯で時間を潰そうと思いました


あのレポートはトツトツと続いていて、匿名筆者さんには数名から応援のカキコミも入っていました


アタシも悪く言えば、ほんの冷やかし感覚で、そのレポート作のNo.22の欄にカキコミをしました

No.124 10/07/01 13:55
ゆま ( us5Xh )

――――――――――――――――――
No.22 10/02/25 21:36
――――――――――――――――――
続きが楽しみです
人の意見なんか気にせずにのびのび書いて下さい
楽しみに読ませて頂きます
――――――――――――――――――



「あなたも、読んでくれなくて結構です」

って、アタシもカキコミされたらどうしよう…?と不安に思いましたが、言われたら言われたで読まなければいいだけか…って思いました





――――――――――――――――――
No.24 10/02/25 21:41(匿名筆者)
――――――――――――――――――
22さん
ありがとうございます。
とりとめないのに感謝します。
今日は温かい日でしたね。
花粉は大丈夫ですか?
ありがとうございます。
――――――――――――――――――


って

意外とまともな

お返事をいただいて

少し安心しました

No.125 10/07/01 13:56
ゆま ( us5Xh )

結局、今日はご新規さんお一人のお客さんでした

アタシは定刻になったので帰り支度をします

お店での長居は無用なのは、今からお客さんが入れば最終電車に間に合わなくなるからです
タクシーで出退勤する風俗嬢は今は一昔前のおとぎ話の時代です


「店長、あがります」

〈あ、レナちゃん、お疲れさん、じゃあ、今日の分ね〉


アタシは本日分のお手当てを店長からいただきバッグにしまいました


〈明日もよろしくね〉

「はい」


別に明日から行かなくても“あり”の世界だけど、アタシは明日、出勤するいつもの約束をしました


そんな、口契約を交わして店を出ると、まだまだ、寒い夜でした


“あ、そうだ、あの匿名筆者さんにお返事しなきゃ”

No.126 10/07/01 13:58
ゆま ( us5Xh )

――――――――――――――――――
No.28 10/02/25 22:15
――――――――――――――――――
とりとめなくなんかないですよ!
とてもリアルに想像できて面白いです
周りは花粉でしんどそうでしたが、私は大丈夫です
わざわざありがとうございます
続き楽しみに読ませて頂きます
――――――――――――――――――



結局、今日は他の嬢の誰とも話さなかった部屋のことをお返事しました

“恐らく、アタシのことOLさんくらいに思うんだろうな”





――――――――――――――――――
No.29 10/02/25 22:18(匿名筆者)
――――――――――――――――――
22さん
ひょっとしたら、僕の返信がうざいかも知れませんが、ありがとう。
本当にありがとうね。
――――――――――――――――――



って、また、

まともなお返事が

地下鉄の駅までの道中で入りました

No.127 10/07/01 13:59
ゆま ( us5Xh )

改札口を非接触カードで抜けてプラットホームのベンチに座りました


――――――――――――――――――
No.30 10/02/25 22:25
――――――――――――――――――
全然ウザくなんかないですよ!
むしろ嬉しいです
丁寧な方ですね
みなさん続きが読みたくてウズウズしてると思いますよ
――――――――――――――――――


近未来形の地下鉄が駅に入ってきました
相変わらず“まー君”からの連絡はありません


ため息をつきながら電車に乗り込みました

No.128 10/07/01 14:00
ゆま ( us5Xh )

――――――――――――――――――
No.32 10/02/25 22:36(匿名筆者)
――――――――――――――――――
ありがとう。
これは、僕が僕なりにとりとめもなく書きたいので書いているだけなんです。

だから、日記でも、小説でもないですから、あなたのように感想を書いてくれる方に感謝するんです。

こういうのって匿名だし、顔が見えないからすぐに批判したりするのは簡単じゃないですか?

でも、その中であなたの様に読んでくれて、なおかつ批判ばかりでなく素直に気持ちを書いてくれるのがうれしいです。

だから、ここを借りる訳ではないですけど僕は不特定多数を楽しませたり読ませる為には書いていません。

あなたのように興味をしめしていただけるかたと交流したいです。

よろしくお願いします
――――――――――――――――――



匿名筆者さんとのやり取りは、手持ちぶさたの時間潰しにはなりました

・・・・でも

少しだけ季節外れの暑苦しさを感じました

No.129 10/07/01 14:02
ゆま ( us5Xh )

――――――――――――――――――
No.35 10/02/25 23:04
――――――――――――――――――
文章書くのお上手だと思います
内容が内容ですので批判される方もこれから出てくると思います
でも気にせずに続けて下さいね
まだテレクラがある事、話の続き気になります

それではしばらく読んでいる皆さんの為に更新を見守りたいと思います

無理せず更新して下さいませ
――――――――――――――――――





家までの道中で客あしらいならぬ、“匿名筆者あしらい”のお返事を入れました

No.130 10/07/01 14:03
ゆま ( us5Xh )

“あ、明日の朝食”

コンビニへサンドイッチを買いに立ち寄りました



――――――――――――――――――
No.36 10/02/25 23:09(匿名筆者)
――――――――――――――――――
ありがとうございます。
自分でも社会的な立場がありながら何を一生懸命にこんなことを書いているのか?と冷静に考えるとただのバカだなと思うのですが、とりあえず、書いてみるよ。
ありがとうね
――――――――――――――――――





受信を見て、匿名筆者あしらいは終えたと思ったけど

手持ちぶさたの時間潰しは、とりあえず明日も続いて欲しいな…って、思いながらコンビニを出ました

No.131 10/07/01 14:05
ゆま ( us5Xh )

・・・・次の日

この日はご飯を食べる暇もないくらい、お客さんの指名が相次ぎました

忙しさに身を投じている間は気も紛れるけれど、シゴト終わりの帰り道

“まー君”の白い携帯は息を吹き返さないままなのを見ると
閉じていた傷口が途端に開いてしみるように痛みだし

“まー君”がいない中の寒風が吹く現実は、世の中の全てから隔離されているように感じるのでした


――咄嗟に淋しが襲い

咄嗟に孤独に苛まれる――



そんな中、何気に開いたアタシの黒い携帯には受信記録を知らせるランプが点滅していました

No.132 10/07/01 14:06
ゆま ( us5Xh )

ハッ!として

    “まー君”??

と思って開いたけど…




あの、手持ちぶさたの時間潰しのレポート作が更新されたメール案内通知でした

あの、匿名筆者さん
  継続していたんだ…


今日は必要のなかったレポート作だけど、家に着いてから読んでみて


――――――――――――――――――
No.45 10/02/26 00:33
――――――――――――――――――
読ませて頂きました
想像したより過激な内容でしたが、大変興味深いものでした
女性とのその後のお話を楽しみにしてます
お疲れさまでした
――――――――――――――――――



隔離を否定したかったのかも…

そんな気持ちでカキコミをしました

No.133 10/07/01 14:07
ゆま ( us5Xh )

…………それから数日



あのレポート作には、たくさんの方々がカキコミをするようになっていました

アタシもカキコミを続けていました


手持ちぶさたの時間潰しは


隔離を否定したい媒体となり


徐々にアタシの中では単調で孤独な生活の中で“日常にあるべきもの”へと不思議に変化してゆきました




匿名筆者さんは


“りいち”と名乗りました


りいちさんは、カキコミしている方々へ出来れば匿名でなく、名前を記載して欲しいと呼びかけていました


・・・・じゃぁ
アタシも自分に名前を付けなきゃ



No.22へのカキコミから始まったから


“ニィニィ”


これでいいか…


とりあえず、名前を付けました

No.134 10/07/01 14:14
ゆま ( us5Xh )

りいちさんは、筆者と読者の交流掲示板を設けました


その交流掲示板で分かったこと


りいちさんの職場とアタシの家が歩いて15分にあること

アタシの最寄りの地下鉄の駅は、りいちさんもシゴトの移動で頻繁に使用していること

“まー君”が3回美味しいと言ったあのおでん屋さんの常連であったこと


そして、アタシがりいちさんに伝えたことは


…………風俗嬢であること




なんとなく、伝えておきたい気持ちになりました


何よりも…
世界で駅や道で、すれ違っている可能性があると思うと少しだけリアリティを感じました

No.135 10/07/01 14:16
ゆま ( us5Xh )

“せせこま狭い嬢の部屋”で似つかわしくない小説本を持参することが多いアタシ


どちらかといえば愛読家の部類に入ると思います


他の嬢達との色んなお話もするけれど、基本的には話の輪に入らずに小説を読んでいることも多かった


“現実逃避”ではなくて
単純に小説が大好きなのです


小説が大好きな風俗嬢…


バカに思われがちなシゴトだけど意外に難しい本も大好きなのです

No.136 10/07/01 14:17
ゆま ( us5Xh )

りいちさんは、レポート作をトツトツと進めてゆきます


女性を追いかける内容が滑稽ながらも、興味を深くそそられ
読者好きなアタシに更新を渇望する気持ちを宿させました


本編は終了したけれど〈番外編〉がスグに始まりました


普段、歓喜の感情が小さなアタシでも珍しく胸が踊る気持ちになりました

〈番外編〉の内容はタイのバンコクでの旅行記で、アタシのシゴトと重なる部分もあり

更新の度にココロがレポート作にシンクロし、そうやって自身をなぞらえて読んでいると感情の移入が深くなってゆくのでした

No.137 10/07/05 08:34
ゆま ( us5Xh )

・・・・でも、ついに


最初、匿名筆者あしらいをしたレポート作でしたが、完結を迎える淋しさを感じた時に


“まー君”の白い携帯を幾日も確認していないことに気が付きました


夢が醒めたように開いた携帯電話はやっぱり、死んだままでした


“まー君”

元気かな?

食べてるかな?

病気していないかな?


“ずっと、ずっと大事にするよ”って
あの日、耳元で囁いてくれた“約束”は?



あ、

・・・・“約束”
・・・・“約束”

りいちさん、レポート作終わってしまったけど

ずっと前にアタシと交わした小さな“約束”をしたの忘れてるだろうな


たくさん色んな方にカキコミに答えてきたから、忘れられても仕方のない“約束”か…


そもそも“約束”にこだわるアタシの過去は関係ないしね…

No.138 10/07/05 08:35
ゆま ( us5Xh )

りいちさんの執筆活動の拠点が小説サイトに変わりました

アタシもりいちさんの新たなその場所についてゆきました


・・・・今まで

誤字
脱字
時には更新するページ間違いも

少しだけ、おっちょこちょいのりいちさん


アタシは都度都度にりいちさんの顔が潰れないようにと注意を払って報告しました


やっぱり、新しい作品でも間違えているりいちさん

いつものようにアタシは指摘します


今までと全く違うのは

不特定多数が閲覧する掲示板でなくて
直接、りいちさんだけに知らせられる
メールでが出来る環境に変わっていることでした

No.139 10/07/05 08:37
ゆま ( us5Xh )

・・・・言わば密室


直接、やり取り出来るからこそ、“公平平等”のスタンスを崩さないと公言しているりいちさん

律義な人

信頼出来る人

アタシは疑うことすら頭によぎりませんでした

りいちさんが書き始めた新作のヒロインとの愛は切ないストーリーでした

アタシは文章を読んでの涙を久しぶりに流しました

そんな新作の更新を渇望したけど

そんな環境の中での

りいちさんと1日1回あるかないかのメールのやり取り

いつしか、その1日1回のメールも渇望していました


この人にアタシを知って欲しいな…

この人にアタシを伝えたいな…

だけど、公平平等を掲げているりいちさんに負担をかけたくないな…


アタシは考えました

どうすれば、りいちさんの言う“公平平等”を崩さずに


“まー君”とののことや

風俗嬢のシゴトのことなんかを

りいちさんに伝えられるか?


凄く考えました

No.140 10/07/05 08:39
ゆま ( us5Xh )

・・・・アタシは


“月光”という名の


暗証番号を設定した、りいちさんだけに読んでもらうための小説を書き始めました


赤裸々にアタシを書いた“月光”

特に望んではいなかったけど


りいちさんからの感想や意見は来ませんでした


少し
引かれちゃったかな…


たまに届くメールには全く“月光”に触れないし


だけど、閲覧カウントが上がっているみたいだし


たぶん


見ていてくれているんだろうな…

No.141 10/07/05 08:40
ゆま ( us5Xh )

執筆で?
他の理由で?

よく分かりませんが

酷く悩んでいる様子のりいちさん


気分転換になれば…

レポート作のリメイク版を執筆したらどうですか?

と小さな提案をしたアタシ


りいちさんからのお返事には

リメイク版でなく続編を書くと記されていました

アタシのおかげで“ひらめきました”とお礼が付け加えられていました


いえいえ
アタシがチカラになることならなんでもします

ココロで呟きました


・・・・何よりも


アタシはまた、小さな歓喜で胸を弾ませました


テレクラ2(電脳)の執筆の開始されることに

No.142 10/07/05 08:43
ゆま ( us5Xh )

りいちさんは連載開始を目前にして

何故?

そこまで?

と思うくらいに神経をピリピリと尖らせている様子でした


元々、気の短い方だとは知っていたので

いつもいつも細やかな言葉ながら励ましてきたように

アタシは何気なくこの時も励ましたつもりでした


・・・・だけど


拒絶と謝絶の返事でした


“アタシなんかに気持ちが分かるワケがない”と書かれていました

そして

“アタシの言葉なんかいらない”趣旨が記されていました

ストイックに執筆する人だとは分かっていました

でも、今までと全く異なり

ナーバスのメーターは完全に振り切っている様子でした

No.143 10/07/05 08:44
ゆま ( us5Xh )

アタシはりいちさんが好きでした

アタシはりいちさんの文章が好きでした

何度も何度も何度も読み返して暗記する程に好きでした

いつも、重荷にならないことだけを考えていました

いつも、律義のルールを守ることだけを考えていました

何かあれば、アタシが出来ること全てをしてあげるつもりでした


・・・・でも


アタシのこんな考えがきっと

りいちさんに迷惑を掛けるんだと思いました

きっと、余計なことを言ったんだ…


アタシは書き続けていた“月光”を削除しました


もう、りいちさんに連絡するのも辞めよう


サヨナラもアリガトウも言わずに



小説サイトから去りました

No.144 10/07/05 08:47
ゆま ( us5Xh )

・・・・そんな中で始まった


テレクラ2(電脳)


アタシの大好きな比喩のオンパレード

“小説の開始冒頭での日常の羅列”

創作セオリーとしてNGを意図的にやっている意思は

何度もりいちさんの文章を読み返してきたアタシには分かりました

賛否は必ず、分かれるとは思いました

でも、

アタシは
アタシは
アタシは

あの日、コンビニのサンドイッチを買いに向かった時に

少しだけ季節外れの暑苦しさを感じたカキコミに

“不特定多数を楽しませたり読ませる為には書いていません。”

と書かれていたのを思い出しました


そのセオリーNGと比喩のオンパレード

あの日にカキコミした
あの人のスタンスは
なんにも変わっていないんだ

それを作品で示している

不器用で真剣な人だと思うと

涙が流れてきました

あの日、アタシが偶然に見つけた匿名筆者

アタシはやっぱり、この人の文章が大好きでした

No.145 10/07/05 08:48
ゆま ( us5Xh )

小説サイト
掲示板サイト

2つでのサイトの同時連載


(電脳)は両方のサイトで猛烈なスピードで更新されてゆきます


アタシは全部を追いかけていました


・・・・そして


更新が終われば何度も何度も何度も読み返しました



・・・・でも



何故?そこまで?ストイックになるのかな?とは思いました



・・・・理由は



作品に示されていました



アタシは(電脳)を読めなくなりました



アタシは大好きな文章が読めなくなりました

No.146 10/07/05 08:50
ゆま ( us5Xh )

・・・・恋?
恋?・・・・


アタシと同じように応援している方との恋が綴られていました

その方がお亡くなりになられていたのは聞いていました


・・・・でも


・・・・恋?
恋?・・・・


最初、理解するのには相当の時間が必要でした

まるでフィクションのような悲劇的なお話でした

亡くなられた方は以前から、かわいい子だなとは思っていました


・・・・読み直ししても
・・・・やっぱり


・・・・恋?
恋?・・・・


劇中にりいちさんは“律義のバットを置いた”と記していました


アタシはあなたが律義な人だと信じて

ずっとずっとずっとずっとずっとずっと

“公平平等”のカテゴリーから、律義のボールを投げていたのに…



あの落ち込んでいた時…
ナーバスになっていた理由…


全てが繋がり感じたのは


悲劇的なストーリーには胸を痛めました


・・・・だけど



偽善者で詐欺師みたい・・


アタシはそう思いました


2度とこの人は信じない


アタシはそう思いました

No.147 10/07/05 08:52
ゆま ( us5Xh )

柔らかな日差し

この時期の気温の寒暖は落差がとても激しい

今日は寒いハズなんだけど
緊張して背中には汗が滲んでいる


大阪南港WTC内1階にある珈琲館のいちばん奥の席


灰皿のタバコの煙は垂直に舞い上がっています


優しい笑顔

大きな瞳

青いチェック柄のYシャツには貝ボタン




アタシが飲んでいる



甘い甘いミルクティーの向こう側



あの匿名筆者だった



りいちさんが



小さな“約束”を果たしに




アタシとテーブルを挟み




ブラックコーヒーを飲みながら




座っています

No.148 10/07/06 03:08
ゆま ( us5Xh )

〈りいち〉

5番ユーティリティのゴルフクラブは杖(つえ)代わりに丁度良い

道端で寝転がって見ているお月様

自分が東西南北のどちら向きに寝ているかも分かりませんでしたが

お月様はどこから見ても丸いカタチなのと

上着のポケットのサイフは取られていたことは分かりました

「まぁ、いいか…」

そのまま、再び眠りに着いたけど…

明け方の再びのそれには目を覚ましました


「せっかくだけど、もう盗られた後だよ」


と声を掛けると

ホームレスらしき50くらいの男は


「ひぇ…」と、小さな驚愕を漏らして逃げて行きました


「さぁ、仕事に行こうか…」


無一文にキャッシュカード無しの明け方の僕

強烈な二日酔いの頭痛

昨夜を思い出すのは不可能に近いけど

前から欲しかった5番ユーティリティを呑む前に買っておいて正解でした

今から、地下鉄の3駅分を歩いて出社するのに

杖代わりに丁度良かったからです

No.149 10/07/06 03:10
ゆま ( us5Xh )

「・・・・おい」

機嫌の悪いザビエルヘアスタイルの部長

「はい」とガラガラに酒焼けした声の僕

「永山執行役員が東京に帰られるのお前、知ってたよな?」

「はい」と“エヘン虫”全開の声

「なんでお見送りに参列しなかった?」

「いえ、別に…」

「もう少し…ちゃんとサラリーマンしろよ?お前?」

ロッカーの中のストックのYシャツの襟が少しだけ窮屈なのが神経質な僕は気になりました

襟を指で直しながら、僕が役員なら従業員に頭など下げささないよな~と思いました

何故なら、社内で下げる頭に1円の利益もないと思うからです

誰でも知ってる会社名のサラリーマン
別にもう、出世はしたいと思ってません

って、いうか、サラリーマンに未練はありません

と、いうより、向いてません


でも、一応、成績だけはトップです

負けず嫌いを棄てるのは未練があります


社内受けは悪いけど

客受けは良いみたいです

要するに外面が良いのです

No.150 10/07/06 03:12
ゆま ( us5Xh )

・・・・昨夜の接待先からのお電話

「最高でした
お腹の底から笑いました」

僕にとっては最高の誉め言葉


受話器を持ちながら、ザビエル部長を盗み見する

今日のお見送りで、自分の顔が立たなかったことに憤慨している様子でした


僕にとっては、ザビエル部長のご機嫌の斜め具合より気になったのは…

ロッカーにしまった5番ユーティリティのヘッドが傷まみれになったことと

昼飯代をザビエル部長からでなく、部下から借りなければならない現実でした

No.151 10/07/06 03:14
ゆま ( us5Xh )

・・・・しかしながら

すさんだ生活

不倫愛…
テレクラ遊び…
痛飲…

正体不明になるまで浴びるように飲み、カプセルホテルやビジネスホテルに泊まれるなら、まだマシで

酷い日には昨夜のように道端で寝てしまい

もっと、酷い日には、最終電車で和歌山県まで寝過ごしてしまう

まだ、暖かいうちはいいけど

凍死する季節には、その和歌山県からタクシーで帰ることもしばしばありました

時には最後の1台のタクシー目掛けて、同じサラリーマン風のおじさんとロータリーで徒競走をして

ヘッドスライディングで後部座席に乗車し、行き先を告げたまま
到着時にも、ヘッドスライディングのままの体制で寝ていることに気付くこともありました

No.152 10/07/06 03:16
ゆま ( us5Xh )

そんな、僕の生活の転機が携帯小説でした


不倫愛の清算

テレクラで出会った人との別れ

執筆で激減した酒量



最初、本当に何気なく、テレクラに行った時のレポートを書いただけでした



でも、あの日、それを書いた時から



導かれるように


誘われるように



・・・・まるで



まばたきを1回しただけのような時間感覚で




今、テレクラ2(電脳)に真剣に向かい合ってる僕がいます

No.153 10/07/06 03:17
ゆま ( us5Xh )

毎日、泣いていました

不思議でした

顔も知らない子との淡い恋でしたから

僕の書いたレポート作は何故か、応援してくださる方々を連れてきてくれました

僕は応援してくださる方々へ大前提としている“公平平等”のスタンスを破りました

僕は、あの子と恋をしました

非現実のような恋だけど

心の情熱は確かに現実でした



でも、あの子はこの世から居なくなりました




本当に唐突でした




嘘みたいに突然でした

No.154 10/07/06 03:20
ゆま ( us5Xh )

テレクラ2(電脳)で
あの子との恋を書くか?書かないか?

かなり、悩んでいる最中にニィニィや他の方々からの励ましがありました

僕はかなりナーバスになっていたと思います

正直、放っておいて欲しかったのかも分かりません

僕が突き放したのかも知れません

何故か、ニィニィや他の一部の方々もいなくなりました

当時の僕にそれを解析する能力はありませんでした

ただ、僕は去る者は追いません

あの子とのことを書き残してあげやすくなるとは思いました

書き終えて1人ぼっちになってかまわないと思いました

どうせ、始めた時も1人でしたから

No.155 10/07/06 03:21
ゆま ( us5Xh )

比喩まみれの文章にしました

答えはシンプルです

僕が書く比喩が大好きなあの子を想って書いたからです


あの唐突で突然に消えたことで

精神は確かに侵され

神経は何かに蝕まれ


睡眠導入剤を焼酎で胃袋に流し込み

虫の息のうつろな僕

心の虫の居所はふざけながら飛び回り


夜中にテレビが砂嵐になっていることも気付かず


その砂嵐を眺めていたら本当にお釈迦様が映ったと思ったり…


そんな中で、テレクラ2(電脳)の下書きを続けていました

No.156 10/07/06 03:23
ゆま ( us5Xh )

リアルな世界で、あの子を知る人達が必ず見ている…

不確かながら

その確信がありました

僕は彼女の顔すら知りません
目を隠した写真しか知りません
僕は彼女の何も知りません
1億2千分の1も知りません


だけど

あの子がバーチャルながらも、亡くなる前に僕と出会い

何を想ってくれたか?

何を好きになってくれたのか?


僕は書く使命を感じました

だから、僕に描かれたあの子が“羨ましい”と嫉妬されるような作品を書こうと思いました


ただのスケベなレポート作の筆者に惚れたなどという
烙印だけは死んでも押させるつもりはありませんでした





それが、僕に出来る唯一で
そして、男の意地でした

No.157 10/07/06 03:25
ゆま ( us5Xh )

いよいよ、テレクラ2(電脳)の連載・掲載を目前にしました

凄く孤独でした
普段から、僕は執筆は孤独だと言ってきました

凄く孤独でした
凄く不安でした


・・・・消えたニィニィ


僕が右も左も分からない掲示板サイトで書き出したとき
初めてカキコミしてくれてからの“戦友”でした


いつもいつも僕を助けてくれました

いつもいつも感想文を送ってくれました



彼女がいなければ


“テレクラ”も


“テレクラ2(電脳)”も


あの子との出会いもありませんでした



透明のような女性でした
存在感を消せる人でした



それが、現実に


今まで支えてくれたニィニィ


いつも助けてくれたニィニィが透明になって



小説サイトからいなくなったのは孤独と不安を感じました

No.158 10/07/06 03:29
ゆま ( us5Xh )

ついに、テレクラ2(電脳)の連載を小説サイトと掲示板サイトで同時に開始しました

僕は連載と併せて、掲示板サイトでメッセージ用の掲示板を作りました


そこで
“戦友”ニィニィへ向けて
メッセージを送りました

No.159 10/07/06 03:31
ゆま ( us5Xh )

――――――――――――――――――
No.2 10/04/13 18:10(りいち)
――――――――――――――――――
何にも言わずに行くから、おっさん泣いたよ(笑)

マジで泣いたよ(笑)

理由は自分でも分からない。

でも、あなたらしいよ(笑)

気持ちは伝わりました。

でも、ありがとう。

あなたがいなければ、脳みそから「比喩」も「確信誤字」も出て来なかったよ。

いや、なんにも書いてないよ。

とにかく、晒し者のピエロで仕上げるよ。いつでも、あそこで待ってるから。

某店の某食を一人で食べてる女の子を見つけたら、必ず、声を掛けるから一夜だけでも、二人で手を繋いで月光の下で歩こうよ。

その後に考えて考えての文章であなたを綴ってみたい。

それをあなたに送りたい。
って、言いながら明日、すれ違ったりしてね(笑)

晒し者のピエロは恥じらいもなく、全部書き進めます。

だから、また、感想を聞かせてよ。

だから、また、お願い。

お願い。
――――――――――――――――――


必ず、見てくれる確信はありました
必ず、感想をくれる確信はありませんでした

No.160 10/07/06 03:33
ゆま ( us5Xh )

治まらない嗚咽の中で書きました

病的に手を震わせながら書きました


あの子との僅かな時間でしたが、あの子を書くことができました


書いてあげたい100分の1も発揮出来ませんでしたが


あの子が照れて

少しだけ怒りながら

でも、喜んで笑ってくれている様な気がしました

No.161 10/07/06 03:35
ゆま ( us5Xh )

テレクラ2(電脳)を終えました

作品は予想していた以上に万人に受けず、陽の目をみませんでした

凄くめげたし、しょげたけど

あの子と世に出る作品を1冊は作ると“約束”をしました

だから、また、書かなきゃと思いました


そんな僕は、49日間を喪に服して過ごしていました

無信教者の僕は唱える念仏も知らないし、だからといってデタラメなお経を創るワケにもいかないし…

胡散臭い“律義”であらゆる欲を棄て喪に服しました

結果、女性の子宮を追い掛け回すレポート作を書いていた僕が

女性が抱けなくなっていました…

そんな抱きたいって、欲求の本能と悪戯な煩悩がよぎった瞬間に、あの子のあの目を隠した写真が“脳表”に現れました

それは、自慰行為も然りとなってしまい…

まるで、スケベなレポート作を書いていた男の哀れな末路でした

No.162 10/07/06 03:37
ゆま ( us5Xh )

そんな風に過ごしていた頃、ニィニィからメールが着ました


いえ、ニィニィからでなく


“ゆま”からでした


それは、いつもの作品への感想ではなく


“アタシも好きだったのに・・”

“アタシは信じていたのに・・”


そんな風に記されていました



偽善者で詐欺師みたい
ゆまの声が聞こえてきそうでした

No.163 10/07/06 03:47
ゆま ( us5Xh )

ただ、ゆまだけに限らず

僕は愛する人に座ってもらう

“心の椅子”

そこに誰かに座ってもらう余裕がありません


恋や愛に

身を焦がし
胸を弾ませ
命を響かせ


そんな

淡い心は朽果ててしまっています

もしも、息を吹き替えして魂を宿したとしても

唐突に突然に消えていなくなる余韻と余熱が消えないままの僕は
その恐怖心に苛まれ“愛する”本質を見失うような気がしています

人の数だけ愛のカタチがあれど、その愛が終わる時に互いの言葉と意思で
“サヨナラ”を告げられる“愛の終焉”にはまだ、命や形があるだけ救いがあります

No.164 10/07/06 03:50
ゆま ( us5Xh )

僕が経験した“愛の終焉”は

愛の残骸も焼け焦げた灰すらもなくて

記憶も残像も追い掛けられなくて

褪せる色彩もなく、脈打つ音色も知らないから

もし明日、僕はあの世に導かれたとして

そこであの子を捜してもいいよって神様に許されても

目を隠した顔しか知らないし

声色すら知らないから

捜すことも

呼ぶこともできずに

無縁を彷徨うしかなくて…


それで愛してるだなんて矛盾だって一言で片付けられてしまうと
感情的にも論理的にも説明なんか出来ないから



だから、だから

せめて、せめて、せめて


せめて、一目だけでも


せめて、せめて、せめて、せめて、せめて、せめて、せめて、せめて


せめて、一夜だけでも






あの子に会いたかった





あの子に触れたかった






そうやって彷徨う僕の


“心の椅子”


だから、誰も座れないのです

No.165 10/07/07 02:31
ゆま ( us5Xh )

ゆまからは、心の椅子に座るつもりはなく


座れないよと言われました


騙した人は信じられないし…



でも

“約束”を守ってくれませんか?


切なる想いを訴えています


“月光”で描かれたゆま…

僕は“月光”を何度も読んでいました

寒風が吹くような生い立ち
羽根のない夜の蝶になる経緯
未来を約束した人との別離


彼女が迷惑にならないようにと選択したカタチでの一生懸命な僕へのメッセージでした



“約束”

守ってもらえなかった
守ってあげられなかった
だまされて逆運に導かれた



そんな“月光”の中の


ゆまの優しく清らかな気持ちを踏みにじった僕の罪滅ぼし… 感謝…



“戦友”ニィニィ



“月光”ゆま

との



小さな

“約束”を守ろうと思いました

No.166 10/07/07 02:34
ゆま ( us5Xh )

青いチェックの生地で誂(あつら)えた、こだわりYシャツ

プリント柄じゃなくて全て編み込まれているチェック柄

今日、着てゆくスーツより高い



人から見れば“テレコでヘンテコ”でも、僕のこだわりです

そして、紫が混じる深いブルーの貝ボタンに、左腕には薄い糸で刺繍したイニシャルが入っています

これ見よがしのイニシャルの刺繍はセンスがないと思います

見えるか見えないかの糸の色が品良く見えます


ポール・スミスのストライプのネクタイの裏柄はかわいい薔薇の花が咲いています


失敗したソフトモヒカンの頂をワックスで立てました


アゴ髭は久しぶりに伸ばしてみました

No.167 10/07/07 02:36
ゆま ( us5Xh )

コツコツと靴の音が響く屋内駐車場

入り口の灰皿にマイルドセブン10ミリを根元まで吸わずに放り込みました









“相棒”メタリックシルバー


光源薄き、ほの暗い駐車場の中でもヘッドライトを青く尖らせ、手塩に磨いた褒美に煌々と反照しています


Keyを挿した瞬間
メーター類は光を宿して、それぞれの位置に配置に着きました

電子音と共にエンジンは限りなく静かに回転を始めました




「・・・・さぁ、行くか」


珍しく独り言を呟いて

僕はアクセルを踏みました

No.168 10/07/07 02:38
ゆま ( us5Xh )

百貨店のセトモノ売場の僕

「白いお皿をください」

僕は店員さんに声を掛けました






――――――――――――――――――
No.78 10/02/27 07:56(匿名筆者)
――――――――――――――――――
ボンテージですね
しかし、ビンテージって…。
ご指摘ありがとうです。
22さんへは「1ポイント券」を差し上げます
ありがとうね
――――――――――――――――――


〈このポイント券が20ポイント貯まれば白いお皿をプレゼントします〉




僕はゆまへカキコミしました
冗談半分のカキコミでした


僕はレポート作のSMパブへ行った時の記述で“ボンテージ”を“ビンテージ”と誤って記載していました


僕がまだ“匿名筆者”



ゆまがまだ“No.22”

だった日の

ゆまからの最初の“誤字”の指摘でした


あの日以来、ゆまは文章校正係のように、何度も何度も何度も僕の文章を読み返してくれたのでした


20ポイントはずいぶん前に貯まるほどに彼女は影から支えてくれました

No.169 10/07/07 02:41
ゆま ( us5Xh )

・・・・待ち合わせは15時





知らない者同士としてすれ違っていたであろう街



普段時間に遅れない僕はこの日に限って遅れてしまいました

メタリックシルバーを駐車する場所もない喧騒と雑多が混じる街の交差点を左折しました



行儀の悪い二重駐車…

待ち合わせ場所は急遽、このメタリックシルバーを駐車できた場所に変えてもらいました











僕は車から降りました

もうすぐ、あの交差点の角から現れるであろう女の子が










ゆまなんだろうな…














スケベなレポート作を書いた末路が女を抱けなくなった哀れな男と



羽根をむしり取られて毎晩、裸を晒す“約束”にこだわる女が


白いお皿を渡し、月光の下を歩く“約束”を果たすために














もうすぐ、巡り合います

No.170 10/07/12 23:17
ゆま ( us5Xh )

◆読者の皆様へ


皆様、今までありがとうございました。ミクル版でのテレクラ3(約束)に関しまして、私の事情により更新が定期的に行えなくて皆様へご迷惑をお掛け致しました。


そんな私事で大変申し訳ございませんが、ミクル版の本作は現時点にて終了とさせていただきます。


この先の物語は原版筆者様が悪戦苦闘しながら書いて下さっており、現在もまだ不定期にて連載継続中です。


本作の続きをご覧になりたいといって下さる方は原版筆者様の元へたどり着ければお読みいただけると思います。


この度は、急な話で大変申し訳ございません。


本当にありがとうございました。




ゆま

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