怖い話
実体験、聞いた話、良くある話、作り話など、自分が知っている怖い話をつらつらと書き記します。
ヤバくなったら封鎖しますのであしからず。
皆様、どうぞ自己責任のもとでお読みください。
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第一章 人影
俺が中学校に入ってまもなく、宿泊研修という行事があり、1年全員で田舎の山奥にある宿泊施設へ行った。
ようは初めて出会うお友達と仲良くしましょう、という恒例行事だ。
夜は男女別の小グループに分かれて、それぞれバンガローで眠るのだが、俺たちの泊まったバンガローは、なぜか窓が開かない。
まぁクーラーも付いてるし問題ないだろう、と、そのときはまったく気にしなかった。
夜になり、中1坊主がそう簡単に寝るはずもなく、消灯時間を過ぎてからも、友達と遅くまで遊んでいた。
暗い中で懐中電灯を寄せ合い、トランプをしていたときのこと。
なぜかはよくわからないが、妙に窓の方が気になってふと顔を上げると、暗い窓に、くっきりと人影が浮かび上がっていた。
「えっ?」
と思わず声を漏らすと、隣に座っていた友達が「うわーっ!」と叫び、窓を指した。
「誰かおった!」
彼も、人影を見たらしい。
しかし、他の友達には見えなかったらしく、「ビビるやんけ、いきなり叫ぶな」「どうせ見回りの先生やろ」と、俺たち2人は口々に批判を浴びた。
そのとき。
続く
第二話 ラブホの怪
※これは雑談のとあるスレッドにも載せさせていただいたものです。
これは最近の出来事だ。
家からバイクで20分くらいのところに、彼女とよく行くラブホがある。
ラブホでお気に入りってのも変な話だが、そこそこ値段がするだけあってインテリアも洒落ており、Hだけではもったいないくらいのホテルだ。
ある土曜日、彼女とそこへ行った。
フロントは無人で、部屋がパネルに表示されていて、希望の部屋をタッチするとチェックインが完了する仕組み。
使用中の部屋は暗く表示されるのだが、さすがに土曜だけあって、光っているパネルは1つだけだった。
「よかった、最後の一部屋だ」
てなもんで、何も考えずにパネルをタッチ。
けど、すぐに「しまった」と思った。
宿泊で1万3千円くらいする他の部屋の中で、なぜかその部屋だけ8千円だったから……。
しかし部屋に変わった様子はなく(逆に言えば、他の部屋と変わらないのに値段だけが安いという不可思議さはあるのだが)、いつもどおり2人の時間を楽しむと、明日はドライブの予定なので、早々に寝ようということになった。
続く
>> 3
しばらくして、俺はふと目を覚ました。
(なんで目が覚めたんだろう)と思ったとき。
ドンドンドンドン!
いきなり激しいノックが響き、俺はびっくりして跳ね起きた。
寝過ごした!?
と思ったが、時刻は午前3時。
ドンドンドン!
異常なくらい激しい。
火事か!?と、普通なら思っただろう。
だけど、俺はなんだか不気味でベッドを降りることができなかった。
ノックはなり続けたが、チャイムが鳴らされることはなく、何の呼びかけもない。
ありえない、何か変だ。
彼女を揺する。
「なあ、なんかヤバい」
けど、彼女は睡眠薬でも飲んでいるかのように、まったく起きなかった。
ドンドンドン!
ガチャガチャガチャ!
何者かが、ドアノブまでひねりはじめたのだ。
完全にヤバイ。
お守りにしている数珠のブレスレットを握り、恐る恐る玄関に向かう。
ガチャガチャガチャ!
人の気配がないのに、ノブが動いてるってかんじだった。
俺はすばやく数珠をノブに引っ掛けた。
その途端、ぴたりとノブは静止した。
音はそれきりしなくなったのでほっとしたが、安心はできず、結局照明をフルに灯して、眠れぬ夜をすごした。
おわり
第三話 訪問者
これは友人に聞いた話。
彼の妹が体験したそうだ。
当時彼らは、路地の中にある一軒家に引越ししたばかりだった。
それぞれ一人部屋をもらい、兄は二階の奥の部屋、妹はその隣の道路側の部屋だった。
ある夜のこと。
ピンポーン…
妹はふとチャイムの音で目を覚ました。
ピンポーン… ピンポーン…
人が訪ねて来るような時間でもない。
不審に思いつつ、彼女は一階に降りてインターホンに出た。
そのインターホンにはカメラが付いていて、玄関に誰が立っているのかを見ることができるのだが、そこには誰も立っていなかった。
そして、チャイムの音もぷっつり途絶えたという。
彼女は恐くなって両親を起したが、「明日にしろ」と起きてくれない。
友人も、「ただのピンポンダッシュやんけ」と、てんで取り合わなかったのだという。
しかし、次の日の夜もチャイムは鳴ったという。
やはり、インターホンに出ると誰もいない。
それを翌朝聞いた友人は、「絶対ピンポンダッシュや。お前、自分の部屋の窓から玄関見張ってろ。俺が犯人捕まえたる」と言ったそうだ。
けれども1時を回ったあたりで、彼は眠ってしまったらしい(薄情な兄だ)。
続く
>> 5
ところが深夜になって、妹が乱暴に友人を起した。
「おにぃー!でたぁー」
そう言って、妹はその場でシクシク泣き出したのだ。
明かりを付けて事情を聞くと、友人は真っ青になってすぐに妹の部屋と玄関に盛り塩をして、その日は二人一緒に眠ったそうだ。
というのも。
けなげにも寝ずに起き続けていた妹は、やはりチャイムが鳴るのを聞いた。
ピンポーン… ピンポーン…
カーテンの隙間からこっそりと外をうかがうと、
そこには髪の長い女が。
妹はすぐに「ヤバイ」と思い、慌ててベッドにもぐりこんで、「ナムナム」と適当なお経を唱えた。
すると、チャイムの音はしなくなった。
ところがしばらくして、彼女はギギ……と何かの音が鳴っていることに気付いた。
聞き覚えのあるその音は、エアコンが風向を変えるときに鳴る音だった。
(エアコン付けっぱなしだ)
そう思い、油断した妹はふと布団から顔を覗かせ、そして見てしまったそうだ。
髪の長い女の上半身が、
エアコンから
ダラリ……と。
おわり
第四話 目の端に
目の端で何か動いたような気がして、そちらをふと見やることはないだろうか。
俺は多々ある。
誰かが立っているような気がしたり、何かが横切った気がして、「あれ?」っと目をやるのだ。
大抵の場合、そこには誰もいなかったり、違うものが人のように見えていたりするだけなんだけど。
けれども、それが本当にヤバいときもある。
とあるスナックのボーイをしていた頃、先輩に聞いた話だ。
またその店が“出る”とのことで、大小の幽霊話が噂されるようなところだった。
ある日、その先輩が休憩室で椅子に座り、タバコを吸っていたときのこと。
壁際にある背もたれのない椅子で、先輩は壁にもたれかかっていた。
ふと、目の端に白い何かが見えた。
しかし、彼は少し目をそちらに向けたものの、(うわっ!)と思い、むしろ顔を背けてぎゅっと目を閉じたそうだ。
その白い影は、先輩の背後から彼の顔を覗き込む、真っ白な人の顔だったのだ。
「壁からな、にゅーっと首を伸ばしてたんだ」
と先輩は言った。
怖っ!
それを聞いて以来、俺も目の端に何かが見えたときは、あまりすぐに見ないようにしている。
おわり
第五話 メッセージ
これは、俺の体験の中で最もドラマチックな話。
俺が高校2年のとき、狭いマンション暮らしだった俺たち家族は、念願のマイホームを手に入れた。
中古建てだったのだが、前の持ち主・A婦人いわく別荘として使っていたそうで、なかなか小奇麗な家だ。
母と姉がそのA婦人と直接話しをしたらしいのだが、なんでもご主人が亡くなられたとのことで、別荘を手放すことにしたのだそうだ。
さてある日、ふと姉が「なんかさぁ、二階の和室、足音みたいなんせぇへん?」と言い出した。
俺は「そう?」と答えたが、母が「やっぱり……私も実はそう思う」と告白し、「まさかの幽霊屋敷!?」と、家族間に不穏な空気が流れた。
しかし、俺はそれからも何も聞かなかった。
それでも母と姉は、「すり足のように畳をこする音がする」と言い続けた。
続く
>> 8
それからしばらくして、その和室にネズミが出た。
部屋のどこかに穴を開けて、天井裏から降りてきているようで、その穴を探し出して塞ごうということになった。
天井付近を探しているとき、母が、壁に渡された梁がポケット状になっていることに気付いた。
「あ、ここちゃう?」そう言って手を差し込んだところ、なんと一通の便箋が出てきた。
「なにこれ?」
その便箋の表には「Aへ」と書かれてあり、A婦人に宛てられたものだった。
なんと、闘病の末に亡くなられたA婦人のご主人の“遺書”だったのだ。
その遺書は、すぐにA婦人の元へ届けられた。
それきり、母も姉も足音を聞かなくなったそうだ。
俺は姉より霊感があるんだけど、最後まで足音を聞くことはなかった。
A婦人と直接会った母と姉だけに聞こえていたんだ、と思うと、少し残念な反面、なんだかとても納得したよ。
おわり
第七話 最後のお願い
※これは友達の体験として聞いた話だけど、調べてみると過去にテレビで芸人さんが話していたもののようです(おい)。
が、一応友達の話として書きます。
女友達が、ある日夢をみたそうだ。
家中の窓という窓、ドアというドアを全て閉めていくという、奇妙な内容のものだった。
やがて、最後の一つの窓を閉めようと手を伸ばしたとき、横から誰かが、彼女の手首をガシッと掴んだ。
びっくりしてそちらを見やると、親戚のおじさんが窓際にうずくまって、彼女をじぃーっと見ているではないか。
その手を掴む力があまりに強いので、「おじさん、痛い!放して!」と叫ぶと、おじさんが口を開き、かすれた声で言った。
「……って。……って」
何かをして、と訴えているようなのだが、肝心の部分が聞き取れない。
「何?わからへん」
そんなやり取りをしているうちに、目が覚めたという。
なんとなく胸騒ぎを覚えた彼女は、すぐ実家に連絡をしてみた。
すると案の定というべきか、「おじさんが亡くなった」ということを知らされたのだ。
続く
>> 12
悲しみにくれる中、彼女はふと、おじさんが夢の中で何かを訴えていたことを思い出した。
彼女はバレエを長く習っていたのだが、おじさんは過去に何度か、公演を見に来てくれている。
そういえば、この秋に行われるコンテストにも「行くからね」と言ってくれたじゃない。
「そっか、おじさんは『踊って』って言っていたんだ……」
その日の夜。
彼女は家中の窓という窓、ドアというドアを閉めている夢をみていた。
あれ、この夢……と思っていると、やはり以前と同じように、手を誰かにつかまれた。
おじさんだ。
「……って。……って」
そう訴えるおじさんに、彼女は言った。
「ごめんね、もうおじさんのために踊れへん。おじさん、死んじゃったんよ」
ところがよく聞いてみると、どうも「踊って」ではないようだ。
「……わって。……わって」
「え?何て?」
彼女はおじさんに近づき、耳を澄ませる。
すると、おじさんは彼女の腕を強く掴んだまま、ハッキリと言った。
「代わって」
おわり
第八章 崖の上の……
去年だか一昨年だか。
アウトドアサークルの先輩を助手席に乗せ、深夜の国道を走っていた。
女の先輩で、他愛ない話をしながらドライブをしていたのだが、ふいに俺は、ゾクゾクッと背筋に悪寒が走るのを感じた。
すると、その瞬間から先輩が全然しゃべらなくなってしまった。
その人も霊感があるらしかったので、もしかして何か見たかなー、と思いつつ、無言で車を走らせる。
しばらく走り、立ち寄ったサービスエリアで、思い切って聞いてみた。
「大丈夫っすか?」
すると先輩は「もう平気」と答え、彼女が見たものを話した。
「実はさっきね、カーブのところの崖の上に、大人とか子供とか、事故で亡くなった人たちがしがみ付いてて……首だけ真後ろに向けて、こっち見てた」
なんていうか、ドライブが終わってから報告して欲しかった。
おわり
第九話 うるさい読経
小さい頃から霊感があったらしい俺が覚えている限りで、一番初めの不可思議体験である。
幼稚園の低学年くらいだったろうか。
父の知り合いの3家族と、俺たち家族の計4家族で、夏にキャンプ場へ行った。
しかし雨でキャンプはできず、広いコテージを借りて皆で一緒に泊まる事になった。
俺たち子供は大はしゃぎ。
部屋中を走り回って遊んでいた。
しかし、遊びの最中。
俺はふと、外の森の奥から、変な声が聞こえてきていることに気が付いた。
それは大勢の男の声で、「オンオン」と何かを唱えながら、コテージの方に近づいてくるようなのだ。
続く
>> 15
だが、幼い俺にはその奇妙さがわからず、(一体何が始まるんやろう?)などと考えていた。
何しろ、初めての場所でお泊りというだけで異世界なんだから。
俺は親たちを捕まえては、「なぁ、あれ何の声?」と聞いて回った。
ところが、親たちの答えは「子供たちの声」とか「虫の声」とか、てんで話しがかみ合わない。
そうしているうちに声はどんどんでかくなり、しまいには大声を出さなければ自分の声すら聞こえないほどうるさくなった。
まるで、コテージを取り囲まれたかのようだった。
俺は幼心にも、それが「おきょう」だと思った。
「お坊さんの修行中?」
俺は大声で大人に聞いて回ったが、笑って誤魔化したり、「せやね、修行中やね」と適当に相槌を打つ始末だった。
つまり、俺にしか聞こえてなかったのである。
やがて声は遠ざかったが、実に不可解な出来事だった。
おわり
第十話 歪む鏡
昔通っていた小学校で有名だった怪談。
昔、小学校には「幽霊が映る」と噂される鏡があった。
1階の男子トイレにある鏡なのだが、まるで高熱を浴びたかのようにグニャッと表面が波打っている。
新しい鏡に変えても、なぜか歪んでしまうのだそうだ。
「その鏡を夜中の2時きっかりに覗くと、幽霊が映るんだって」
そう言って児童たちが騒ぐので、あるとき担任の先生が「明日は宿直だから、俺が確かめてやろう」と言った。
そして宿直の夜、勇敢にも本当にその鏡の前に立ったそうだ。
しかし時間になっても、結局何も起こらなかった。
歪んだ鏡に映る自分の顔をみて、「どうせ、これを幽霊だと思い込んだのだろう」と思った先生は、次の日児童にその話をいって聞かせた。
すると、皆は顔を見合わせ、口々に言った。
「あの鏡は、昨日掃除当番の子が割ってしまったから、今はないよ」
それ以来、その場所に鏡が掛けられることはなかったそうだ。
ちなみに俺が在校していたときも、そのトイレの3つある洗面台のうち1箇所だけ鏡がなかった。
おわり
第十一章 肝試し
大学生になって間もない頃、よせばいいのに肝試しに行った。
車でしか行けない山中の墓場だ。
行きは皆テンションが高く、ワイワイうるさくしゃべりながら墓に着いた。
しかし、そこは予想以上に手入れの整った綺麗な墓で、結局大した事件も起きぬまま、俺たちは帰路に着くこととなった。
「ただの墓やったな」
「ほんま、肩透かしや」
俺たちは「次はもっとヤバいとこにしよう」などと話しながら、車に乗り込んだ。
墓を出てしばらく走ると、この墓場を管理している寺が見えてきた。
するといきなり、寺から着物姿のオッサンが、拳を振り上げて車の前に飛び出してきた。
「あぶなっ!!」
俺は思わず叫び、過ぎた寺を振り返る。
路肩にたたずむオッサンがカーブで隠れた。
「マジ轢くとこやったなー。しかもめっちゃ怒ってたで、ヤバいんちゃう?」
そう言いながら車内に目をもどすと、全員がきょとんとして俺を見ていた。
「え、轢くって何を?」
俺にしか見えなかったらしい。
かなり怒った形相だったことから、ヤバいかも、という事になり、みんな後ろを振り返り振り返り帰路についたのだった。
おわり
第十二話 送迎バス
メディアで仕入れた話だ。
2人の男が、山道を車で走っていた。
慣れない道で、しかも真夜中だったのだが、まぁ迷うこともないだろうと、軽い気持ちで車を走らせていた。
ところがどこで間違ったのだか、2人は現在使われていない旧道へ入り込んでしまったのである。
崖沿いの道にはガードレールもなく、ヘタをすると転落してしまう。
「大丈夫かな、この道」
「まぁ、獣道ってわけでもないし、どっかには続いてるやろ」
2人はそんな調子で、慎重に車を進めた。
すると、運転していた男が、「ん?」と、首を伸ばしてフロントガラスを覗いた。
「子供がおる」
民家なんてあるはずもない山奥である。
見ると確かに、路肩の草むらに大勢の子供が集まっているのだ。
みんな幼稚園の黄色い帽子を被っている。
車はその横を通り過ぎたが、子供たちは身じろぎ一つせず、ただボーっと立っていた。
「おかしいやろ」
言い聞かせるように助手席の男が言った。
「子供やったら、もっとワイワイ騒ぐで。それに、引率者もおらん」
つづく
>> 19
不自然なことは明白で、2人は真っ青になりながら、とにかく早く山を出ようとした。
しかし、道のすぐ脇は崖で、車は思うように進まない。
すると、向かいから車が1台近づいてくる。
「バスや……」
この狭い道に、バスである。
運転手は路肩ギリギリに車を寄せ、バスをやり過ごすことにした。
近づくにつれ、2人はそのバスの異様さを目の当たりにする。
タイヤがない……
歪んだ車体はさび付いている。
2人は顔を伏せて、念仏を唱えた。
だが、つい、運転手の男が通り過ぎるバスの窓を見てしまった。
「わああ!」
彼は叫び、バスが通り過ぎるとすぐに車を出した。
沈黙の末、車はようやく旧道を抜けた。
「おい、大丈夫やったか」
助手席の男が言うと、運転手は冷や汗を浮かべながら答えた。
「引率者がおった……」
顔が半分潰れた血まみれの女が、じーっとコチラを見ていたのだそうだ。
おわり
第十三話 真夜中の弔い
『日本むかしばなし』から怖い話を。
山岡大二郎(仮)という、立派な侍がいた。
勤めの後に知人と酒を飲み、ちょうちんを片手に帰路についたときだった。
向こうから、ぞろぞろと大勢の足音がする。
不審に思いながらも歩みを進めると、ちょうちんも持たない喪服の一団が、棺を担いでやってくる。
「はて、このような時間に葬式とは」
大二郎は道端によけて、その列の者を呼び止めた。
「これは、どなたの葬式じゃ」
すると、老人は答えた。
「山岡大二郎様の葬式じゃ」
大二郎は恐ろしくなって屋敷に飛んで帰ったが、屋敷はがらんとして誰もおらず、線香の煙が漂っていた。
すっかり肝を潰した大二郎は、今来た道を引き返し、友人の元へ走った。
「そんなに慌てて、どうしたのじゃ」
不思議がる友人に、大二郎は「今、ワシの葬式をみてしもうた」と言った。
だが2人して屋敷へ行ってみると、明かりが煌々と灯り、家の者たちもいつもどおり働いていた。
つづく
第十四話 長い死体
中学校のときの担任が、実際に体験したらしい(テレビでも放送された)。
担任の先生とその友人、合わせて5人が、夏休みに海水浴に行った。
水着に着替えて浜辺で遊び、海の家に寄って昼飯にしようということになったのだが。
「いらっしゃいませ」
女性店員が運んできた水は4つ。
「すみません、一つ足りないです」
「え?あら、ごめんなさい」
すぐに水が出され、先生たちはカレーを5つ頼んだ。
しかし、運ばれたカレーもやはり4つ。
なぜか友人のBさんのところにだけ何も置かずに、店員は去ろうとするのである。
「すみません、5つ頼んだんですけど」
「え?」
店員はまるで初めてBさんを見たかのような顔をして、すぐにカレーを運んだ。
そのときは皆、「お前、影薄いな~」とからかっていたのだそうだ。
ところがその午後。
日光浴を楽しんだり、海で泳いだりしているうちに、Bさんの姿が見えなくなった。
あちこち探したが見つからず、日が暮れる前に警察を呼ぼうということになった。
つづく
>> 23
やがて夜になったが、捜索ははかどらなかった。
結局その日はBさんを見つけられず、先生たちは宿舎で夜を明かした。
その翌朝。
「Bさんが見つかりました」
という報告が入り、先生たちは警察へ行った。
「残念ながら、亡くなられていました。遺体を確認していただけますか」
そう言われ、遺体安置所へ通されて、先生は目を疑う。
シーツを掛けられて横たわるその人物は、2メートル以上の長身なのだ。
だが、シーツをめくると、そこに横たわっているのは確かにBさんだった。
「間違いありません」
悲痛な面持ちで答えると、警察の人が、「もう一体、確認してもらえますか」と言った。
「え?」
どういうことだ、と思っていると、警察はシーツをさらにめくった。
Bさんの下半身に、まるで見覚えのない白髪の老婆が、がっしりとしがみついていたのだという。
おわり
第十五話 じいちゃんとテレビ
怖くはない話です。
母方の祖父が、長い入院生活の末に亡くなった。
祖父が退院したときに寝たままテレビが見られるよう、寝室の天井近くに小さなテレビを設置していたのだが、結局、祖父はそのテレビを見ることなく逝ってしまった。
葬式が終わった日、俺は大好きだった祖父のベッドで寝ることにした。
その夜、ふと目が覚めると、暗い部屋の中で煌々とテレビが付いている。
テレビの画面には、空を飛行しながら街を撮影しているような映像が流れていた。
ぼんやり眺めているうちに、俺は再び眠ってしまった。
翌日、祖母や家族と話しているうちに、テレビの話になった。
「せっかく、おじいさんのために買ったのにねぇ」
と、祖母が寂しそうに言うので、
「そういえば夜、ばあちゃんテレビ見ててんな。寝ながらでもよぉ見えたわ」
と俺が言うと、祖母は「何言うてんの。テレビなんて付けてへん」と笑った。
「あれ?ホンマ?」
目を丸くする俺を、いつもなら「寝ぼけてたんちゃうん」と切り捨てるような母が、少し涙ぐんで言った。
「お父ちゃん、最後にテレビ見ていったんやね……」
おわり
第十六話 目と目
俺は霊感があるのかないのか、正直自分でもよくわからない。
霊視なんてできやしないし、出ると有名な場所に行ったからといって確実に見えるわけでもない。
けど、友達の間では、俺は“見える人”ということにされている。
あるとき、大学で同じゼミのAさんが俺を呼びとめて言った。
「私の部屋、ヤバいかもしれへん。ちょっと見に来て?」
そんなことを言われたって、俺に何が出来ると言うのか。
少し人より怖い体験をしてるからといって、稲川淳二よりも役に立たちはしないのだが……。
しかし、恐がっているのを独り帰すのも可哀そうなので、ゼミ仲間数名とその子の住むアパートに行ってみた。
「お邪魔しま……うわ」
部屋に踏み込むなり、俺は違う意味で驚いた。
6畳の部屋の中は、壁という壁にポスターが隙間なく貼られていたのだ。
関ジャニ、嵐、上地、東方神起、etc。
それはもうひしめき合っていた。
「どう?」
と彼女が聞くので、「別になんとも。めっちゃ視線感じるけど」と笑って答える。
正直、霊がどうのという前にポスターを何とかしたほうが……と思った。
つづく
>> 26
Aさんは、最近毎晩のように金縛りに遭うと言う。
かといって解決策もわからない俺たちは、酒とお菓子でAさんの気を紛らわせることしかできない。
その夜はAさんの要望で、俺と、Aさんと一番仲良しのBさんが、その部屋に泊まることになった。
俺は床で、2人はベッドで眠った。
夜中。
俺は自分の頭のすぐ横を誰かに踏まれた気がして、ふと目が覚めた。
AさんかBさんが、俺の頭をまたいだのだと思った。
けれど、立ち歩く人影はない。
気のせいかとも思ったが、どうも足音がする。
ミシミシと、右から左へ俺の頭をまたいでいくようだった。
たまらなくなって起き上がると、すぐ横で2人がすやすや眠っていた。
起すのも悪いので、俺は布団に潜ってどうにか眠った。
変に怖がらせるのも可哀そうだと思い、その話はAさんにはしなかった。
ただ、明るくなって気付いた。
俺が寝ていた頭の位置に立ち、右を見ると上地と目が合い、左を見ると錦戸と目が合うのだ。
足音のこともあり、「合わせ鏡みたいで気持ち悪いから、ズラしたら?」とだけアドバイスしておいた。
その後はなにも聞いてないが、解決したとしたら、俺が唯一役に立った出来事と言える。
おわり
第十七話 行っちゃだめ!
これは有名な話、かな?
2組のカップルが旅行に出かけた。
A子はB雄のバイクで2人乗りし、C美とD介は車で移動する。
しかし、途中でB雄は仕事が入ってしまい、一足先に帰らなければならなくなった。
A子はC美とD介の車に乗せてもらい、遅れて3人で帰ることにした。
疲れが出たのか、A子は車内でぐっすり眠ってしまったそうだ。
やがて目を覚ますと、C美とD介が心配そうに覗き込んでいる。
「大丈夫?」
そこはA子の部屋だった。
A子が目を覚まさないので、D介が運んでくれたのだという。
そして、2人がとんでもないことを彼女に告げた。
「実は、B雄が事故に遭って……死んだ」
「ガードレールに突っ込んだって」
あまりに唐突で信じられず、A子はぽかんとしていた。
だが、2人の話を聞いているうちに、泣き崩れてしまった。
そのときだった。
ドンドンドン!
突然、ドアを乱暴に叩く音が響いた。
つづく
>> 28
ドンドンドン!
「A子……A子……」
それは、B雄の声だった。
A子は、思わず立ち上がってドアを開けそうになった。
それを、C美とD介が必死で止める。
「だめだよ!」
「B雄はもう死んでるんだ!あっちに連れていかれるぞ!」
しかし、彼女を呼ぶB雄の声は続く。
ついにA子は、止める2人を振り切って、玄関のドアを開けてしまった。
「行っちゃだめー!」
「A子、よかった……!」
B雄の顔が、そこにあった。
A子が辺りを見回すと、そこは病院のベッドだった。
「お前たち3人が乗った車が事故に遭って。俺、必死でお前のこと呼んでたんだ」
そう言って、B雄は泣き崩れた。
C美とD介は、即死だったそうだ。
おわり
第十八話 13階段
芸人・島田秀平の有名な話。
島田の後輩芸人が「引っ越す」という連絡をしてきた。
その後輩は貧乏だったので、(良く引越しができたなぁ)と思い、「場所は?」と聞くと、「下北沢です」という。
そんな家賃の高いところに!?驚く島田に彼は「いい物件見つけたんですよ」と得意げに言った。
「階段を上がってすぐの201号室なんですけど、他の部屋は家賃10万なのに、そこだけ1万以下なんです」
絶対にヤバいだろうと、島田はその後輩を連れて不動産屋に行って聞いてみた。
すると不動産の人は普通に「ヤバいですよ」と答えた。
「1年間で4人入居者がいましたが、誰も2週間持たないんです」
なんでも、3人は2週間以内に夜逃げし、残った一人は2週間目に謎の窒息死を遂げという。
しかし、後輩は聞く耳持たずで、「ネタにもなるし大丈夫ですよ」と言い、引越ししてしまった。
その翌日、後輩から電話が掛かってきた。
「島田さん、マジでヤバいみたいです」
夜中に目が覚め、無数の子供たちがアパートの下に群がって「ワー!」と騒いでいるのを聞いたというのだ。
つづく
>> 30
そこで、島田と後輩はもう一度不動産屋へ行って事情を聞いてみた。
その不動産屋が言うには、一般的にアパートなどの階段は14段が多いのだが、まれに13段のところがあり、13の階段を上った先の201号室は“出る”という。
これは不動産業界では有名な話らしい。
調べてみると案の定、そのアパートの階段は13段だった。
だが、それでも後輩は住むと言い出した。
こんなに安くて、良い部屋なんだからと。
2日目の夜。
やはり夜中に目が覚めると、子供たちの「ワー」という声が聞こえる。
そして。
カン、カン……。
階段を登る音がしたというのだ。
3日目には、カン、カン、カン……。
4日目には、カン、カン、カン、カン……。
何者かが、日に日に階段を登ってくるのである。
そこで、後輩は不動産屋が言っていた「入居者は誰も2週間持たない」ということの意味を知った。
それは、13段ある階段を登りきり、14日目に部屋に来てしまうからだ、と。
つづく
>> 31
それでも後輩は、恐怖に耐えて住み続けたそうだ。
そして、13日が過ぎたとき、島田に電話が入った。
それまで粘っていた後輩が、「先輩、マジで俺殺されます。今から引っ越します」というではないか。
話を聞くと、昨晩、それまで子供の声だったものが男のうめき声に変わったそうだ。
そして、大勢の足音が、階段を、
ダダダダダダ!
と上り下りし、ドアを一晩中叩いていた、という。
そこで、島田と何人かの仲間が、後輩の引越しの手伝いをすることになった。
念のため、神社で御札やお守りを買い込んで。
やがて日も暮れ、なんとか夜中までにここを出ようと荷造りをしていたところ。
突然、部屋のブレーカーが落ちた。
その場はパニックになり、「はやくブレーカーあげろ!」と後輩の名前を呼ぶ。
しかし、後輩は床にうずくまり「う~う~」と苦しそうにうめいていた。
マズいぞ、となって、すぐに救急車が呼ばれ、後輩は運ばれていった。
幸い、後輩は一命を取りとめた。
後に聞いたところ、後輩の喉には、そのとき皆が買っていった御札やお守りが、
人間の力では不可能なくらい、ぎゅうぎゅうに圧縮されて詰まっていたのだという。
おわり
第十九話 いたずら電話
メディアより、海外(アメリカかな?)の怖い話を。
A夫妻が一軒家を購入した。
二階建てで敷地も広く、中古なので値段も安い。
とても良い買い物をしたと喜んでいた。
2人は新居で幸せな生活を送っていたのだが、ある一点だけ、2人を悩ませている問題があった。
毎日、夜11時に掛かってくる、“いたずら電話”だ。
電話に出ても何の音もしない、無言電話だった。
それは毎日続き、2人のうちどちらかが電話に出るまで鳴り続ける。
2人はうんざりして、11時に電話線を抜くようにしてみたのだが、すると翌日、電話線を元にもどしたとたんに電話が鳴った。
無言……まるで、待ちかねていたかのように。
そこで、ついに警察を呼んで逆探知をかけることになった。
11時。
電話が鳴り、警察が機械を始動させる。
電話はやはり無言だった。
やがて、警官は「逆探知できました」と言い、なんとも怪訝そうな顔をして夫妻を見た。
「おたくの2階からですね」
誰もいない2階の子機を使って、何者かが電話を掛けてきていたのだ。
おわり
第二十話 隣の部屋で
俺が高3の頃の話だ。
ある日、夜の1時ごろまで受験勉強をしていたときのこと。
隣の部屋で姉がなにやらうめいているのが聞こえてきた。
ドン!ドン!
と、壁を蹴るような音もして、何だうるさいな、と思っていたら、にわかに男の声もする。
「なんや、彼氏とハッスルかい。勉強の邪魔すんなや」
すっかりやる気がうせた俺は、勉強をやめ、音楽を聞きながら眠ることにした。
翌朝、朝食を取っていると、疲れた顔の姉が起きてきた。
「しんちゃん(俺)、昨日1時ごろ寝てたん?」
と姉が聞くので、なんとなく気まずく思った俺は「おう」と、嘘をついた。
すると姉が言った。
「めちゃめちゃヤバい金縛りやってん。黒い影がのしかかってきて、息できひんくて。しんちゃ~ん!って呻いてたんやけど、寝てたら聞こえへんわな」
「え……あ、そうやったん……」
姉の部屋に来てたのは、彼氏でも人間でもない男だったようだ。
ちなみに、金縛りの姉が壁をドンドンと蹴れるはずもない、ということに、今書いてて気付いた。
おわり
第二十一話 金縛りショートショート
何度か体験した金縛り。
俺自身も夢だったのではないかと疑っている、微妙なものをいくつかまとめてどうぞ。
①
夜中、ふと目が覚めると、いきなり金縛りに遭った。
「ウ~ッ ウ~ッ」と男のうめき声がすぐ耳元でするので、恐くなって「南無阿弥陀仏」を唱えようとしたら、
その声はいきなり大声で「ウェアアアア!!」と叫び出し、俺はひたすら「ごめんなさい!」と念じた。
気が付いたら朝だった。
②
夜、目が覚めて、金縛りに遭う。
体の自由が利かないのに、何者かが俺を引き起こしては倒し、引き起こしては倒す。
もみくちゃにされて、ベッドから落ちたところで金縛りはとけた。
③
夜、眠りに落ちそう……ってところで金縛りに遭う。
ヤバいと思って目を閉じて耐えていたが、息が出来ない、とにかく苦しい。
耳元で、「ギリリ、ギリリ」と、きつく縛ったロープが軋むような音が聞こえていた。
やがてふと楽になった途端、そのまま寝てしまった。
おわり
第二十二話 ベター
金縛り体験の中で、一番恐かった出来事を。
雑談の某スレにも載せました。
数年前、霊感がまったく無くなってしまった時期があった。
幽霊を信じなくなった、というべきかな。
何かのきっかけで、全ての怪奇現象は被害妄想と自己満足とヤラセだ!と思った。
それまで自分が体験した怪奇現象も、勘違いと思い込みだったことにして、幽霊を恐れない日々を送っていた。
そんなある夏。
心霊特番をみて、「あーまたヤラセかよ」と呆れて眠った夜のこと。
内容は忘れてしまったが、怖い夢を見て目が覚めた。
それからボーっと天井を眺めていたが、やがて意識がはっきりしてきて、あることに気付いた。
自分の胸の上に……頭が乗ってる。
つづく
>> 36
自分の身体を見下ろすように首を持ち上げると、長い髪の分け目が見えた。
寝ぼけた俺は一瞬(彼女?いや、ショートヘアだったはず……)とか思った。
よく見たら、ずぶ濡れの白い服の女だった。
壁から胴体が伸びていて、俺の胸に上体を乗せている。
そいつが、長い髪の隙間から、にわかに顔を上げて何か呻いた。
顔は緑色だった。
当然、パニックだ。
しかし、金縛りで叫ぶことも出来ない。
出し得る限りの声をふり絞ってうめいていたら、姉が気付いて、ドア越しに声を掛けてくれた。
その途端、女は消えた。
後のことは良く覚えてないけど、たぶん姉に抱きついたと思う。
冷静になってから、(髪の長い女なんて、ベターだな)と思ったけど、実際その姿だったんだから信じるしかない。
おまけにそれ以来霊感が復活して、良かったのか良くなかったのか。
おわり
余談ですみませんが。
快調にヒット数が上がってるのですが……皆さん大丈夫ですか?😥
もういい加減やめてくれと思ってる方、
リアルに問題が発生した方がおられましたら、
「『怖い話』やめろ」っていうスレでも立てて訴えて💧
どうでもいいけど、No.36の投稿時間4:43やん😲
おしい😏
第二十三話 無念
これは姉の体験。
姉が彼氏の部屋に遊びに行くと、彼氏の友人Aが来ていた。
Aと姉は顔見知りだ。
「ええところに来た。恐いもん見せたるわ」
と彼氏が言うので、「なになに?」と近寄ると、コタツ机の上に写真を広げている。
「この間、会社の人らと旅行いったんや」
そう言って、Aは1枚の写真を姉に見せた。
それはAたちが泊まった山荘で、ガラス窓を背景に数名が記念撮影をしたものだった。
窓の外は夕焼だったと言うのだが、なぜか暗幕を張ったように真っ暗。
そしてガラスいっぱいに、無数の白い手形が浮かび上がっていた。
「テレビ局に送ったんねん」
とAは得意げに言った。
そのとき、彼氏が「え!?どうしたん、そんな怖かった?」と言って姉を覗き込んだ。
姉は、無意識に涙を流していた。
これには姉が一番驚いて、「違う違う」と言いながら涙をぬぐう。
しかし、止まらない。
姉自身はけろっとしているのに、なぜか涙だけが流れ続けた。
結局、Aはその写真をテレビ局に送った。
放送されたのか知らないが、霊視の結果、その土地で亡くなった農民たちの無念が、無数の手形になって現れたとのことだ。
おわり
第二十四話 あかずの箱
聞いた話です。
Aさんは、仲の良い3人の部下(B君、C君、Dさん)と、仕事終わりに居酒屋へ寄ることが多かった。
ある日、飲んだ帰りにB君がリンゴ1個が入るくらいの木箱を取り出した。
それはルービックキューブのような模様があり、模様を揃えないと開かない仕掛けになっていた。
B君が言うには父からもらったもので、かなり古いものらしい。
「開かないし、戦後の焼け跡で拾ったものだから」と言っていたそうだ。
その箱が未だに開かないと言い、C君やDさんと試行錯誤を始めた。
Aさんはなんとなく恐怖を感じ、その木箱には触れなかった。
結局、その日は箱を開けられなかった。
次の日、B君はその箱を会社に持ってきた。
「開けないほうがいいのでは?」というAさんの忠告も聞かず、パズル感覚で箱を開けるのに没頭していた。
その日、仕事の後に花見をしようという事になり、4人で近くの公園へ行った。
すると、ポラロイドカメラで撮影をしていたC君が、「何か変だ」と言い出した。
B君が写っている写真だけ、赤いフィルムを通したように景色が赤くなるのだ。
つづく
>> 40
さらに、B君1人を写した写真では、数え切れないほどの黄色い手がB君の身体に覆いかぶさっていた。
それを見たB君は、「実は今日、仕事の合間に木箱をいじってたら、開いたんです」と、怯えた様子で話し出した。
「中から布袋が出てきて、『天皇万歳』みたいなことが書かれてました。
袋の中には大量の爪と髪の束が入ってて、怖くて焼却炉に捨ててしまいました」と。
その後、Aさんたちはすぐにお寺に行って写真の供養を頼んだが、「木箱を供養しなければ霊の怒りは静まらない」と言われ、その日はひとまず帰ることになった。
しかし、B君は翌日に事故に遭い、そのまま帰らぬ人となった。
Aさんたちは木箱をB君の母親から譲ってもらい、お寺に持って行った。
「この箱は、怨念そのものです。供養には時間が掛かります」
と住職は言う。
箱を開けた翌日に亡くなったB君のことを思うと、それでは間に合わないかもしれない、と、それぞれ読経をすることにした。
だが、半年ほど経ってその怨念を忘れた頃に、Dさんが火事で亡くなり、数年後にはDさんが自殺をした。
次は自分の番かもしれない、と怯えるAさんは、毎日読経をかかさないという。
おわり
『あかずの箱』読み返して思ったけど、焼却炉に捨てた木箱をなんで母親が持ってたんだろうね😥
ここから先は、俺自身の体験ネタ切れ(また思い出すかもしれないけど)のため、聞いた話とメディアで仕入れた話が多くなると思いますが、上記のような矛盾に関して俺は責任もちません🙅
あー作り話なんだな、と思っておくことにしましょう🙊
以降はなるべく余談を控えますので、季節はずれの夜話をお楽しみください。
第二十五話 コンコン
姉が大学生のころ、中国へ短期留学をした。
宿舎は二人部屋で、二十人ほどの仲間がそれぞれ二人ずつペアを組み、一つの部屋に泊まる。
ある夜、コンコンとノックが鳴った。
くつろいでいた姉とその同室者Aは「はーい」とだけ答えたが、いっこうに入ってくる気配がない。
不審に思ってAが様子を見に行ったが、のぞきレンズを覗いただけで戻ってきた。
「誰もいなかった」
姉いわく、この時彼女がドアを開けなくてよかった、という。
なぜなら、寝る前にもう一度ノックが聞こえたからだ。
Aには聞こえなかったようなので、姉がこっそりドアのレンズを覗きに行くと、
明らかにこの世の者じゃない見知らぬ男が、ドアの前にぼーっと立っていたそうだ。
おわり
第二十六話 第二の顔
聞いた話だ。
英語の書き取りの授業中、高校生のAは妙に視線を感じて顔を上げた。
皆頭を伏せてノートにかじり付いているのだが、前列の左端に座るBが、その姿勢のまま顔だけこちらを向けて、Aをじーっと見ている。
Aは怪訝に思いながら、再び課題に取り組んだ。
しかし、まだこちらを見ている気配がある。
気が散るのでやめさせようと、もう一度彼を見ると、ニタニタと不気味に笑っていた。
それがあまりに気持ち悪い笑みだったので、
「なんだよ、B!」
と注意すると、
その顔はなんと、ぐるりとBの背中に回った。
首だけで真後ろを向いたのだ。
そして本物のBの顔が、こちらを見ていた。
Aを見て笑みを浮かべていたのはBではなく、Bの後頭部に浮かび上がった、他の何者かの顔だった。
Bが顔を戻したときには、第二の顔は消えていたそうだ。
おわり
第二十七話 真夜中の客
稲川氏の話を又聞きしたものだ。
田舎で美容院を経営するAさんは、年明けの忙しい日々を送っていた。
その日も朝から休む間もなく仕事をして、ようやく最後の客を見送ったのは夜の八時を回っていた。
店の片づけをしていると、アシスタントのBさんが「外に誰かいるようですけど、お客さんでしょうか」と言う。
窓から店の前を窺うと、寝間着にガウンをはおった、若い女らしき人影がみえる。
「今日はもう遅いし、悪いけどお断りしてくれる?」
と、AさんはBさんに頼んだ。
Bさんが表に出て断りを入れると、女は黙って去っていったそうだ。
さて、片付けを終えてBさんを帰らせると、Aさんは夜食を食べて寝支度をし、明日に備えて早々に横になった。
やがて深夜になり、Aさんはふと目を覚ました。
カタリ、コトリと、店からなにやら物音がする。
つづく
>> 45
泥棒かと思い、Aさんは恐る恐る寝室を出て店へ向かった。
真っ暗な店の中を、外の雪明りが青くぼんやりと照らしている。
店内には大鏡が3つあるのだが、はたして、
入り口に一番近い鏡に、髪の長い女が座っていた。
じっと鏡を見つめ、手にした櫛で髪をとかしている。
スッ。
女の手が動くたびに、黒い髪がバサッと束になって床に散った。
バサッ
バサッ
Aさんは身体が凍りついたように動けず、目も離せない。
そのとき、鏡越しに女がコチラをみた。
真っ黒にこげた顔、髪もまばら。
白い目だけが、じーっとAさんを見つめていた。
そして、ポツリと言った。
「オネガイシマス……」
その瞬間、Aさんは気を失った。
「おはようございます」
Bさんの声で目が覚めると、Aさんは寝室で寝ていた。
夢だったのか。
そう思いながら、Aさんは慌てて店に出た。
「ごめん、寝坊しちゃった」
すると、Bさんはにこやかに笑って、「いえ。遅くまでご苦労様、だったんですね」と言った。
床に散らばった、長い髪の毛を箒で掃きながら。
以前、美容院の近くで大規模な火事があり、若い女性がなくなったという事実をAさんが聞くのは、後々のことである。
おわり
第二十八話 宝船
七福神を乗せる宝船は、縁起の良いものというイメージがある。
だが一部では、死の前兆という話があるそうだ。
近くの祭りに参加していたAさんは、祭り行列の途中で突然気分が悪くなった。
そのまま意識をなくし、病院に運ばれた。
突然の心筋梗塞だったそうだが、どうにか一命を取りとめた。
見舞いに来た友人たちに、「丁度、宝船の山車を見たときに気を失った」と話すと、友人は首をかしげる。
「あの祭り、宝船なんて出ないぞ」
また、F1レースでは宝船は不吉の象徴で「見てはいけないもの」といわれているらしい。
かつて宝船とは、あるはずのない極楽浄土を目指して、報われない民たちが旅立った船だ。
民は楽園を夢見ながら、踊り浮かれて海に出る。
当てもなく漂った船には、船頭もいなければ櫂もない。
海流に流されるがまま、やがては海の底へ沈んでいったのだそうだ。
ちょっと不気味なマメ知識である。
おわり
第二十九話 先住人
聞いた話です。
友人Aが引っ越すというので、BとCは手伝いに行った。
安アパートの一室で、その部屋には前の住人が使っていたという洋服ダンスが残されていた。
「大家さんが使ってもいいと言ったから、そのまま使うことにした」という。
整理が終わったのは夜で、2人ともAの部屋に泊めてもらうことになった。
翌朝になりAは仕事で出て行ったが、BとCは仕事も休みだったので、「まぁゆっくり寝てろよ」というAの言葉に甘えてそのまま寝ていた。
どのくらい経ったか、Bはふとドアが開く音を聞いた。
Aが戻ったのかと思っていると、足音が入ってきて、寝ているBの周りをグルグル回り、何かを探している。
やがて、足音はBの枕元で止まり、じーっと見下ろしている気配がある。
気持ち悪いな、と思って目を開けたが、
そこには誰もいなかった。
変だなぁと思いながら起き上がると、支度をしてCとAの部屋を後にした。
そこで、何気なく「さっき、Aが帰って来なかった?」とCに聞いてみると、Cは神妙な顔をして、
「実は俺も足音を聞いたが、誰もいなかった」という。
つづく
>> 48
怖がらせるのも悪いからAには黙っておこう、ということになった。
しかし数日後、Aが2人に相談を持ちかけてきた。
「部屋で寝ていたら、ドアが開いて誰かが入ってくる音を聞いた。足音が部屋を歩き回り、枕元で止まった。目を開くと誰もいなかった」という。
ただ事ではないと感じ、3人はAの部屋を調べに行った。
そして、洋服ダンスの裏に押入れのドアが隠されているのを発見した。
ドアを開くと
真っ暗闇の中に子供が座って、こっちを見ていた。
「うわああ」
悲鳴を上げると、子供の姿はすっと消えた。
そこには小さな日本人形がポツリと残されていた。
その人形を大家のところに持って行き、事情を話すと、大家がこんな話を始めた。
「前の住人には病気がちの娘がいた。娘が退院したら戻ってきます、といってこの部屋を留守にしたが、しばらくして「もう部屋はいらなくなりました」という連絡があった。娘が亡くなったようだ。その娘が、人形を探していたのだろう」
しかし、3人はそうではないと思った。
足音が入ってくるときのドアの音、あれは押入れのドアだったのではないか。
人形のほうが、亡くなった娘を探していたのではないか、と。
おわり
第三十話 猫
些細な出来事ですが。
彼女と食事をした帰り道。
信号のない道をブラブラ歩いていると、前から真っ白な猫がトコトコ歩いてくる。
堂々と、道の真ん中を。
彼女が猫好きなので、「白猫やん、珍しいな」と声を掛けた。
が、あっさり無視された。
ちょっと凹んだので、一人ですれ違う猫を観察した。
腹がたるんでいて、出産したメス猫かな、と思った。
やがて俺たちは右に曲がり、また左に曲がって、最初と同じ方向に歩いた。
すると、また猫がやってくる。
腹のたるんだ白猫が。
「あれ、さっきの猫ちゃう?」
と言うと、彼女が「え、さっき猫なんておった?」と目を丸くした。
「いたっちゅーねん。無視されたけど」
彼女は「そんなん聞いてない」と主張する。
そしてすれ違う猫を振り返り、「消えた!」と怯えて俺の腕を掴んだ。
どこかの家にでも入ったのだろう、ということにしておいた。
おわり
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