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怖い話

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深夜( Uc1Hh )
10/04/02 17:24(更新日時)

実体験、聞いた話、良くある話、作り話など、自分が知っている怖い話をつらつらと書き記します。

ヤバくなったら封鎖しますのであしからず。

皆様、どうぞ自己責任のもとでお読みください。

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No.1162710 09/11/04 02:37(スレ作成日時)

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No.51 09/11/20 12:38
深夜 ( Uc1Hh )

第三十一話 長い廊下


友達の体験です。

中学生の頃、Aは成績があまり良くなく、しょっちゅう居残り補習を受けていた。
その日も夕方まで補習を受け、一人帰路についた。
校舎の二階と二階をつなぐ渡り廊下の半ばまできたとき、Aは変な気配を感じて振り返った。


夕日に照らされた廊下の入り口に
ボサボサの髪をした女生徒が

ぶら下がっていた。

――首にロープを掛けて。


「うわっ」
Aは廊下を走って逃げた。
ところが、目前に校舎は見えているのに、走れど走れどたどり着けない。
振り返れば、ソレもまだ同じ距離にぶら下がっている。
(帰れへん)
走りながらそう思ったとき、

「A、はよ帰りや」
と先生が後ろから声をかけてきた。

驚いて振り返ると、アレの姿は消えている。
先生について歩くとすんなり廊下を出られたそうだ。

先生いわく、Aは廊下にぼーっと突っ立っていたらしい。



おわり

No.52 09/11/20 13:14
深夜 ( Uc1Hh )

第三十二話 異臭


これもその友達の話。

Aの家族は小さなマンション暮らしなのだが、上の階に住む男性とおりが合わなかった。
その男性の部屋はゴミ屋敷化していて、廊下にもゴミが散乱しているのだ。
Aはなるべくこの男性を避け、関わらないようにしていた。

そんなある日、男性の部屋からとてつもない悪臭が漂い始めた。
迷惑だなぁと鼻を押さえながら、Aは階段から二階を見上げた。

ところが、部屋の前に立っていた男性と目が合ってしまい、Aは気まずくなって逃げるようにその場を離れた。

それから数日異臭は続き、マンションの住人が大家に訴えた。
大家たちが男性の部屋へ行くと……

男性は亡くなっていたそうだ。
警察からの報告によれば、
死後1ヶ月。

Aが見たのは、この世の姿ではなかったのだ。

「その人を見たときさ、目が合ったというか、初めからこっちを見下ろしてた感じやった。
しかも、二階の部屋の前に立つと階段の下に影が映るから、誰かいるってすぐわかる。
それが映ってなかったから、俺は上を覗いたんやけど」
とAは言っていた。



おわり

No.53 09/11/20 22:52
深夜 ( Uc1Hh )

第三十三話 ビジネスホテルの怪


俺が高校生だったころ、後輩が体験した話。

当時俺は剣道部だったのだが、他府県で試合があり、前日に現地に向かってビジネスホテルに泊まった。
一人一部屋をあてがわれ、試合前日とあって皆早々に自室に篭った。

翌朝、ロビーに集合すると、後輩のA(女子)がいない。
なんと、試合の日に寝坊である。
彼女を起し、予定時間を少し遅れて俺たちは会場へ出発した。

試合の詳細は言うまい。

悔しくも誇らしい成績を残して、俺たちは帰りの電車に乗り込んだ。
皆疲れて眠ったが、俺はあまり眠くなく、ちょうどAも起きていたので、二人で話をした。

「てか、よくあの環境で寝坊できるなぁ」
俺がからかい半分で言うと、Aは予想外に暗い表情。
(ヤベ、傷つけた?)
と思って「緊張して寝られんかったんやろ」とフォローすると、
Aは「そうなんです。しかも、変な夢見たんですよ」と言う。


なかなか寝付けなかったAだが、無理やり目を閉じているうちに、少しだけ眠ったそうだ。
ふと目が覚めると、部屋は真っ暗。
(まだ夜やん)
そう思って横向けに寝返りを打ったとき、唐突に金縛りに遭った。



つづく

No.54 09/11/20 22:56
深夜 ( Uc1Hh )

>> 53 そのとき、Aは背後に何かの気配を感じた。
誰かがAのうなじに顔を寄せて、「ブツブツ」と何かを呟いているのだ。

それは老婆の声だったという。

怖くてぎゅっと目をつぶっていると、

なんと、自分の首が真後ろにぐるんと回った。

恐怖のあまり叫ぼうとしたが声も出ない。

ブツブツ言う声を鼻先で聞きながら必死で耐えている間に、いつの間にか寝てしまったそうだ。


「それ、ほんまに夢?」
と俺が尋ねると、
Aは「夢じゃないと困ります」と言って、自分の首をさすった。
「変な人と思われるじゃないですか」

Aはどうも天然で、俺が尋ねなければその話は誰にも話さないつもりだったらしい。



おわり

No.55 09/11/22 14:03
深夜 ( Uc1Hh )

第三十四話 一瞬の闇



近頃のトイレ事情は、暗い、汚い 臭いという3Kのマイナスイメージを払拭しつつある。
だが、綺麗なトイレでもやはり怪異は起こるらしい。

それも、たいがい女子トイレで。



大学で有名だった怖い話。

新しい校舎にあるトイレはとても綺麗で、男女とも中に人が入ると自動で明りが付く。
だが女子トイレでは、女の子が一人で鏡と睨みあって化粧をしているうちに、
センサーが無人と判断して、明りが消えてしまうことがあるらしい。

もちろん、びっくりして動けばすぐに明りは付くのだが、


その一瞬のうちに、
トイレの奥を見てはいけない。


ずぶ濡れの女が、

奥の個室から、

水平に上半身を覗かせて、

こちらを見ているそうだ。



この話を誰が言い出したのか知らないが、当時は噂が回ってちょっとした騒ぎになり、
せっかくの綺麗なトイレを利用する女子は激減したらしい。

しかしその後、
これは綺麗なトイレが混むことに不満を抱いた女子が、トイレを占領するために流したデマではないか、という噂が流れた。

真相やいかに。



おわり

No.56 09/11/22 14:36
深夜 ( Uc1Hh )

第三十五話 押入れの母親


稲川氏の話より。
申し訳ありませんが、うろ覚えです。

幼いAさんの父親は会社を持っており、母親は、週に一度だけその会社の手伝いに行っていた。
そんな日は、近所のお手伝いのおばさんが来て夕食を作ってくれる。

だが、ふとしたことをきっかけに、Aさんはおばさんが家に来ている間、おばさんの家に遊びに行くことが楽しみになった。
おばさんの家には同い年くらいの女の子がいて、一緒に遊ぶようになったのだ。

そんなある日、Aさんが冗談で「あんたのお母さんどこにいる?」とその子に尋ねた。
もちろん、Aさんの家でご飯を作っているのだが、
その子は「ここにいる」と答えた。

「いないよ、私の家にいるんだよ」
とAさんが言うと、その子も強情に、
「ううん、この家にいるもん」
と答える。

そんなやりとりが続き、Aさんは「じゃあどこにいるのか見せてよ」と言った。
すると、その子は奥の部屋にある押入れを指差した。

「あそこにいる」

押入れにいるはずがない。
からかわれていると思ったAさんは、それが嘘だということを暴こうと、
その押入れを開いた。



つづく

No.57 09/11/22 14:41
深夜 ( Uc1Hh )

>> 56 押入れは、幼いAさんにとっては暗く広い空間である。
奥で何かが動いた気がして、よく目を凝らしてみる。
すると、


押入れの奥に、血まみれの女が座っていて、
こちらをじーっと見つめていた。


Aさんは悲鳴を上げて家を飛び出し、表でわーわー泣いた。
すると、たまたま知り合いのおじさんが通りかかって「どうした?」と尋ねてきた。

事情を話し、おじさんとともにその家に行って押入れを確かめたときには、女の姿はどこにもなかったという。
Aさんは泣きながら家に帰った。



やがて、父親は会社に事務員を雇い、母親が会社に行くことはなくなった。
それとともに、お手伝いのおばさんも家に来なくなった。

さらに月日は流れ、二十歳を過ぎたAさんは、何気なくその出来事を思い出した。
そして、母親にそのお手伝いさんのことを尋ねたのだ。

「あそこに、私と同い年くらいの女の子いたでしょ?」
すると母親は、
「何言ってるの、あの人に子供はいないわよ」
という。


あの子は、おばさんの子ではなかった。
押入れにいた、血まみれの女の子供だったのだ。



おわり

No.58 09/11/22 21:31
深夜 ( Uc1Hh )

第三十六話 廃屋で肝試し


美容師さんに聞いた話だ。

美容師のAさんは、友達5人と肝試しに出かけた。
心霊スポットとして有名な廃病院だ。

Aさんたちは3組のペアをつくり、順番に中へ入ることにした。
屋上まで上がって合図をし、降りてきて交代というルールだ。
最初の一組が入っていくのを見送る。

しばらくして、3階の窓からチカッチカッと懐中電灯の合図があった。
「なんや、3階やん」
「屋上まで行けよー!」
友達と口々に声をかける。

すると、ほどなく屋上から手を振る合図が見えた。
「おー来た来た」
Aさんたちは手を振り返す。


やがて、一組目が戻ってきた。
Aさんと友達が出発しようとすると、一組目のペアがそれを引き止めた。

「無理無理」
一組目の二人は残念そうに言った。
「階段ふさがってて屋上昇れへんわ」
「3階まで行ったけど、それ以上は行けんくて引き返してきた」

Aさんたちは相手がふざけてるのだと思い、「嘘やぁ」「はいはい」と笑う。

「嘘ちゃうわ!行ってみぃ、階段崩れてるから」
二人は怒ったように主張した。

考えてみれば、合図は懐中電灯で、と決めていた。

一体、誰が手を振ったのか。



おわり

No.59 09/11/24 12:08
深夜 ( Uc1Hh )

第三十七話 体育館から



父に聞いた話だ。
父は小学校の教師をしている。
その小学校が、体育館を改装した。
きれいになった体育館にはインターホンがついていて、ボタンを押すと職員室にテレビ電話がつながり、緊急連絡がとれるという仕組みだ。

ある日曜日、父が職員室で仕事をしていると、インターホンがピンポーンと鳴った。
見ると体育館内が画面に映っているのだが、誰もいない。
今日は体育館を使っていないし、鍵も職員室にある。
「故障やろか」
父が職員室にいた同僚に言うと、「かもしれません。前にも鳴ってましたから」という。

数日後、この話を他の教師に話すと、みんな「鳴りますねー」と頷いた。
「幽霊かと思ってビクビクしてました」
そんな会話で盛り上がっていると、
1人の先生が「実は……」と顔を強ばらせた。


「いつも、男の子が映ってるんです」


その先生は、見えるそうで。

後にインターホンは修理されたが、未だに鳴るらしい。
父は、
「もしもの場合もあるし見ぃひんわけにいかんやろ」
と、嫌そうに話していた。



おわり

No.60 09/11/24 15:25
深夜 ( Uc1Hh )

すみません、独り言を言います🙊

ネタが尽きてきたぞ😂

調べるのも何か嫌やし、なんとか自分の頭の中にある話で続けたいなぁ。
頑張って絞り出そう⛲
目指せ一人百物語。


それから、万が一肩が重いと感じたときのために、解消法をお教えします👌✨

椅子に座った状態で、背筋を伸ばして。
両手を前に出し、指先までまっすぐピンと伸ばします。
そのままの状態で、万歳をするように真上へ持ち上げましょう。
深く息を吸って。
背筋は倒さないように、腕だけをできる限り後ろへそらします。
限界まで(というか気持ち良いと感じるところまで)腕をそらせたら、そのまま5秒静止しましょう。
5秒数えたら、ゆっくり息を吐いて手を下ろし、終了。
3セットくらいすると良いですよ。

肩凝りに効くんで😁👍

それでは、今後とも無理のない範囲で、深夜の怖い話にお付き合いください👻
失礼しました。

No.61 10/01/07 10:37
深夜 ( Uc1Hh )

🎍謹賀新年🎍

明けましておめでとうございます。
長い間ご無沙汰しておりました。
ネタを仕入れに行ってたわけじゃないんですけど、かといって霊障に阻まれていたわけでもないです😊

さて、新年早々こんな陰気でいいのかと思いつつ、怖い話の更新を再開したいと思います(もう見てる人いないかもしれないけど)。

本年もどうぞよろしくお願いいたします🙇
皆さんにとって素晴らしい一年になりますように。
って、俺が言っても説得力ないでしょうかね😂

No.62 10/01/07 11:38
深夜 ( Uc1Hh )

第三十八話 後ろの少女



これは友人Aの体験談。
ある日、中学の同窓会の案内が届いた。
そこでAは仲の良かったB、Cと連絡を取り、同窓会の前に3人で会おうということになった。
繁華街で待ち合わせると、お互いちっとも変わっていなくて話が盛り上がった。
だが、Cの様子が少しおかしい。
悩むような顔をしたり、話を聞き逃して「え?あ、おう」と調子ハズレの返事をしたりするのだ。

「立ち話もなんやし、どっか店入って座ろ」
やがて、Bが提案した。
すると、Cが「その前にA、あっちまで歩いて『遊んでおいで、ばいばい』って言ってき」と言い出した。

「は?なんやねん気持ち悪っ」
もちろん、そうなる。
AとBが半信半疑で笑っていると、業を煮やしてCが言った。

「ほな言うけど、お前の後ろに幼稚園くらいの女の子が立ってんねん。はよ言って来い」

びっくりして振り返ったが、AにもBにも見えない。
怖くなったAは、Cに言われたとおりにした。

戻ってくると、少女は無事に離れたらしい。
Cは笑いながら「はじめお前の子かと思った」と言ったそうだ。

ちっとも笑い事ちゃうわ!とAはぼやいていた。



おわり

No.63 10/01/07 12:00
深夜 ( Uc1Hh )

第三十九話 霊媒体質



前話で登場した友人Aは、霊に気に入られる体質らしい。
だが、本人いわく霊感は皆無だそうだ。
要するに、霊から投げっぱなし。
彼の肩こりが治ることはないんちゃうかな、なんて思ったりする。

そんな彼の部屋に遊びに行ったときのこと。
彼は実家暮らしで、結構な豪邸に暮らしている。

Aに従ってリビングを抜け、キッチンに向かって、
「おじゃましますー」
と声をかけたら、奥から女の声が「はーい」と答えた。

その直後に、Aが笑った。
「いま誰もおらんっちゅーねん」

いや、誰かおったっちゅーねん。

不思議なことに、俺はAを取り巻く幽霊を見聞きすることがちょくちょくあるのだが、悪意を感じたことはほとんどない。

これで彼に霊感があれば、幽霊と友達になれるんじゃないかと思うくらいすごい体質だと思うのだが……

きっと、彼は何も知らないままニコニコしているのが良いのだろう、彼にとっても、霊にとっても。



おわり

No.64 10/01/07 12:36
深夜 ( Uc1Hh )

第四十話 逆さまのダンサー



音楽と霊は親密らしい。
俺もコンサートホールなどで音楽鑑賞をすると、毎度のように幽霊らしきものを見る(この話したっけ?)。
俺が感じる限りでは、悪意ではなくただ音楽を鑑賞している、という感じなのだが、どうやらそれ以外の霊も集まりやすいようで。



今回は、バンドをしている先輩の話。

彼らがまだ駆け出しのころ。
尊敬するバンドのライブに呼ばれ、一緒に演奏させてもらえることになり、先輩たちは有頂天だった。

ところがリハーサルで舞台に立つと、どうも居心地が悪い。
先輩はベース担当なのだが、同じように、相手バンドのベースも「なんか落ち着かん」と言い出した。
音響機器の配置などを修正しても、どこか納得できない。

結局、先輩たちは妥協してそのまま本番に挑み、無事にライブを終えたそうだ。

ところが、ライブ写真を見て皆が怪訝な顔をした。
ベースの上だけ、スポットライトが陰っていたのだ。
アマチュアバンドとはいえ音響照明には入念なチェックが入っているし、会場スタッフだって素人じゃない。

そもそも、なぜ誰も気がつかなかったのか……。



つづく

No.65 10/01/07 12:39
深夜 ( Uc1Hh )

「ライブ自体はうまくいったし、まあええやんか」
メンバーはそう言っていたが、ベースの二人だけは複雑な心境だった。
「なんか変やったやんな?」
と、お互い顔を見合わせ話し合ったそうだ。

それからしばらく経ったころ、先輩はとある音楽会場で、たまたまそのバンドのヴォーカルと再会した。
「久しぶりッスね~」
みたいな話をしていると、ふとヴォーカルがあのときのライブの話をし始めた。

「あの後な、ベースのやつが妙に気にするもんやから、写真を霊感ある人に見てもろたんや」

その人いわく。

「舞台の上から、女が逆さまにぶら下がって、光を遮ってるらしい……」

「マジっすか!?」
先輩はまさに身の毛がよだった。
それは明治時代ごろのダンサーだそうだ。

「だいたいどこのステージにも怖い話ってあるけど、その女の霊は明らかに邪悪なんやって。あそこはもう使わんほうがええぞ」

先輩はそれ以来、どの会場でも盛り塩を欠かさない。



おわり

No.66 10/01/07 13:20
深夜 ( Uc1Hh )

第四十一話 誰?



聞いた話だ。

Aさんの祖母が亡くなった。
その葬式が終わった日から、夜ごと玄関の戸が開く音がするようになった。
引き戸がガラガラッと鳴り、家を歩き回る気配がして、明け方に再び戸を開けて出て行くのだ。
家族全員がその音を聞いており、もしや祖母が天国にいけず訴えているのかもしれない、と思ったそうだ。
だが、遺品を整理してもそれらしい原因はわからない。

やがて、祖母の初七日を迎えた。
法要後に怪異のことを住職に相談すると、住職は
「どうもお婆さまの霊とは思えません。御札をお渡しておきますので、様子をみてください」
と言った。
御札は玄関に貼られた。

その夜、Aさんは物音で目を覚ました。
カタカタと、戸が揺れる音だった。
玄関に様子を見に行き、「おばあちゃん?」と呼びかけると、

バンッ!

いきなり、ガラス戸に手が押し当てられた。
それは祖母のものではなく、明らかに大きな、男の手だったという。
手は、バンバンと激しく戸を叩いた。
Aさんは恐怖のあまり気絶してしまった。
翌日、話を聞いた家族はすぐさまお祓いを依頼した。
その男の霊の正体は不明である。



おわり

No.67 10/01/09 09:47
深夜 ( Uc1Hh )

第四十二話 いつもの通り道



俺がバイトに通うときに通る道。
飲食業なので、帰りは深夜になる。

そこで、毎度のように、ギョッとして二度見してしまう場所がある。

日本家屋の古い建物で、いわゆる町屋風の家なのだが、昔はなにか小さな商店だったらしく、軒先に「〒」の看板がぶら下がっている。
今は雨戸を閉め切っていて、人が住んでいるのかさえ怪しい。

その雨戸の前に、いつも老人がしゃがんでいるのが見えるのだ。

雨戸の横の壁が出っ張っているので、初めは見えない。
だけど、通り過ぎようとする一瞬だけ、そこに人影を見る。

ちゃんと直視すると見えないんだけどね。
見間違いかなぁなんて思ったりするが、毎度のことだ。

いい加減慣れそうなものなのだが、どうも油断してしまうのか、毎回その家の前でビクッとする自分がいる。



おわり

No.68 10/01/09 10:38
深夜 ( Uc1Hh )

第四十三話 暗示

以前アルバイトをしていたスナックの話は、前にしたと思う(第4話)。
そこで聞いた不思議な話。

「高見さん(仮)の息子さん、亡くならはったんやて」
ある日、ママが悲痛な面持ちで言った。
高見さん親子は店の常連で、某会社の社長だ。
「ええ!?いつですか?」
「昨日」
俺が驚いたのは、知人の死を知らされたからというだけではない。
その息子さんはつい一昨昨日、つまり亡くなる二日前に、この店を訪れていたからだ。
「元気そうやったのに」
「事故やったらしいわ」

人の人生とはわからないものだ。
すると、ママが言った。
「ここに来る前は、グリルの四つ葉さんとこに寄ってはったらしいわ。一昨日は寿司屋の葛西さんとこに、その夜はバーR」

俺が首をかしげていると、ママは不思議なことを言った。
「この一週間で、お気に入りやった飲食店全部まわってはったんよ。滅多にメールもしはらへんのに、友達のところに“また飲もうな”ってメールが送られてたんやて」

事故で亡くなるなんて、予想もつかないことだろうに。
人の人生って……わからん。



おわり

No.69 10/01/09 18:25
深夜 ( Uc1Hh )

第四十四話 月夜アパート



バンドをしている先輩から聞いた話。

先輩の友達で大学生のAは、ゴールデンウィークに地元に帰省した。
そして、仲の良い友達5人と連絡を取り合い、地元の心霊スポットに肝試しに行ったそうだ。
そこは廃墟になったアパートで、かなりヤバいという噂がある。

初めはビビリつつも冗談を飛ばしながら建物を進んでいたのだが、やがて口数も減り、それぞれが本当にヤバい、と感じ始めた。
胸を締め付けるような圧迫感と、明らかな敵意をひしひしと感じたそうだ。

やがて三階の突き当たりまでくると、仲間の一人が部屋のドアを開いてみようと言い出した。
Aは(やめたほうがいいんちゃうかな)と思いながらも、否定はしなかったそうだ。

そして、鉄の扉が開かれる。
その瞬間、

真っ白な女の人が両手を振り乱すように飛び出してきて、
彼らの身体をすり抜けて消えた。

「うわあー!」
全員が悲鳴を上げ、猛ダッシュで逃げ出した。
競うように車に乗り、その場所を離れたそうだ。

やがて休日も終わり、Aは大学のある他県へ戻って何事もない日々を過ごした。



つづく

No.70 10/01/09 18:42
深夜 ( Uc1Hh )

>> 69 ところが、その夏休みのこと。
Aは再び地元に帰省した。
夜、何気なくコンビニに赴いたAは、そのアパートの側を通った。
アパートは月夜を背景に、不気味にそびえ立っている。
あの日のことを思い出し、Aは足早に通り過ぎた。

翌日、Aは一緒に肝試しに行ったBに会った。
「あれ以来、何ともないか?」
Bに尋ねると、彼は言葉を濁した。
「何ともないっちゃないけど……」

やがてBは言いにくそうに、
「実は、あのアパート取り壊されたんや。肝試ししてからすぐくらいに」
と言った。
「でも俺、見えるねん。取り壊されたはずのアパートが」

地元で働くBは、通勤でアパートの側を通る。
そして月の出る夜に限り、そのアパートを見るというのだ。

Aは真っ青になり、「俺、昨日見た……」とBに告げた。
言われてみれば、月夜である。

身の危険を感じた2人は仲間と連絡を取り、すぐに御祓いを受けた。
それ以来、アパートは見えないそうだ。


「でもな、ドアを開けたヤツだけ連絡が取れんかったんやて。未だに音信不通らしい」
先輩はそう言って、この話を締めくくった。

その一人がどうなったかは不明である。



おわり

No.71 10/01/09 19:14
深夜 ( Uc1Hh )

第四十五話 雪山遭難



有名な話を挟みます。

あるカップルが雪山の登山中に遭難してしまった。
吹雪で視界はゼロ、下山途中だったために食料もわずかだ。

極限状態に陥った男は、生き残りたいがために、女の首を絞めて殺してしまった。

彼女の遺体を雪に埋め、1人テントで助けを待った。
しかし猛烈な睡魔に襲われ、ウトウトと眠ってしまった。
やがて、男がふと目を覚ますと……


死んだはずの彼女が、自分に寄り添って眠っていた。


「わっ!」
跳ね起きると、彼女は死んでいる。
「死体が歩くなんて、そんなバカな!」
男は遺体を引き摺ってテントを出ると、再び彼女を雪に埋めた。

だが、やはり睡魔に襲われ、目を覚ますと、


彼女が横にいる。



つづく

No.72 10/01/09 19:17
深夜 ( Uc1Hh )

>> 71 男は恐怖で憔悴し、この怪奇現象を解明しようと、テントの中にカメラを仕掛けた。
タイマーで、数分おきにシャッターが切れるように設定し、テントの中を監視させたのだ。

三度目に目を覚ますと、やはり隣には彼女の遺体が横たわっていた。

そのとき、男はテントの外からヘリコプターの音が聞こえていることに気付いた。
救助が来たのだ。
男は大急ぎで女を雪に埋め、救援灯でヘリに合図を送った。
男は無事に救助されたが、彼女は行方不明のままとされた。

だが、男は病院に入ってすぐに逮捕された。

「失礼ながら、デジタルカメラの写真を見させていただきました」
警察はそう言って、彼にカメラを渡した。

そこには、


眠ったはずの自分が起き上がり、テントを出て、

彼女の遺体を担ぎ、

寝袋の隣に横たえる姿が映っていたという。



おわり

No.73 10/01/10 20:13
深夜 ( Uc1Hh )

第四十五話 一言怪談①



俺の姉貴は、


真っ暗な寝室の電気をつけようと電気の紐を手探りで探していたとき、


ながーい髪の毛の束を掴んだことがあるらしい。



おわり

No.74 10/01/11 19:24
深夜 ( Uc1Hh )

第四十六話 きゅっ



ネットで有名な話を。

女子中学生のAはいじめをしていた。
標的はBという少し暗い女の子で、Aは何かにつけて仲間とBをからかったり、物を取ったりした。
やがて、Bは学校に来なくなってしまった。


そんなある日、下校中にAはBを偶然見かけた。
それも、少し様子が変である。

「きゅっきゅっきゅっ……」

そう言いながら、マンホールの上で飛び跳ねているのだ。
しかも、満面の笑みで。

「なにしてんのよ、気持ち悪っ」
Aが声をかけたが、Bはまるで無視である。

すると、だんだんマンホールの上で「きゅっきゅ」と言いながら飛び跳ねることが、とても面白そうに見えてきた。

私もやってみたい……。

「ちょっと、どきなさいよ」
ついにAはBを押しのけ、マンホールの上で大きく飛び上がった。


その瞬間、Bがマンホールの蓋を素早くどけたので、Aは深い穴の中に転落した。


Bはマンホールを再び閉めると、何事もなかったかのように、その上で飛び跳ねた。

今度は、

「じゅうっじゅうっじゅうっ」

と、嬉しそうに言いながら。



おわり

No.75 10/01/14 03:12
深夜 ( Uc1Hh )

第四十七話 こっくりさん



怪遊戯『こっくりさん』についてはご周知のことと思うが、知らない人のために、俺が知っている方法を説明しておく。

まず、“こっくりさん”とは獣の精霊(狐狗狸)、あるいはお稲荷さんだと言われている。

白い紙の中央上部に鳥居を書き、その左右に「はい」「いいえ」、「男」「女」と書く。
その下に、「あ」から「ん」までの五十音表を書く。
十円玉を鳥居のところに置いたら、準備完了。

こっくりさんを行う者は人差し指を十円玉に乗せ、力を抜いて「こっくりさん、こっくりさん、来てください」と呼びかける。
すると、十円玉が勝手に動き出すのだ。
尋ねごとをすると、十円玉が五十音をたどって答えてくれる。
(かなりの確率で当たるらしいよ)

そして最後には「こっくりさん、こっくりさん、お帰りください」と唱える。
十円玉が鳥居に戻ったら、儀式は終了だ。
もちろん、途中で離脱することはできない。
たまに、こっくりさんが鳥居に戻ってくれないときもあるそうだが……。


さて、今回は、そんなこっくりさんを実際にやったという人の体験談である。



つづく

No.76 10/01/14 03:27
深夜 ( Uc1Hh )

>> 75 当時小学生だったAさんは、同級生3人と、妹を含めた5人で、実際にこっくりさんを呼んでみようということになった。

公園で紙を広げ、その上に十円玉を置いて呼び出すと、本当に十円玉が動き出した。
「僕の名前、わかりますか?」
「僕の好物は何でしょう?」
といった質問をしてみると、なんと見事に言い当てるではないか。

すっかり興奮したAさんたちは、夢中になって質問をした。
やがて、日も暮れ始めたので、「こっくりさん、お帰りください」と呼びかけ、こっくりさんを終了した。

そのときは、特に何事もなかった。
ところが、夕食のときになって。

Aさんは妹の様子がおかしいことに気付いた。
眉間にしわを寄せ、何を尋ねても返事をしない。
おまけに、箸を持つどころか、犬の様に皿に口をつけて食べ始めたのだ。
母親はふざけていると思ったようだが、Aさんは不安になった。

その夜、突然ドタドタと廊下を走る音がしたので、Aさんは驚いて部屋の外を覗いた。
すると、妹が玄関から出ようとしている。



つづく

No.77 10/01/14 03:38
深夜 ( Uc1Hh )

>> 76 「どこいくんだ!」
と、声をかけると、妹が振り返り、

ニタリと笑った。

眉間に深いシワを刻んだままの笑顔は般若のようで、妹とはまるで別人だった。

妹はそのまま外に出て行った。

だが、親を起し、妹の部屋に行ってみると、彼女はちゃんとベッドにいた。
彼女いわく、頭がボーっとして、夕食のときから半分眠っているような状態だったそうだ。



おわり


追記:

十円玉が動くという現象は、自己暗示だといわれている。
指を置いたものが質問の答えを知らない場合、十円玉の動きが鈍ったり、答えを間違ったりするらしい。

けれども、こっくりさんを呼び出した直後に精神に異常をきたしたという報告は実際にあり、怪現象的な体験をした人も少なくない。

このスレを読んで『こっくりさん』を知り、やってみたいと思った方は、どうぞ個人の責任の下で試してみてください。
俺は……一切責任取りません。

No.78 10/01/15 17:28
深夜 ( Uc1Hh )

第四十八話 コンサートホール



第四十話でチラッと話したとおり、俺はコンサートホールなどに行くとかなりの確率で不可解な体験をする。

高校生のころ、近くのコンサートホールでクラシック音楽の鑑賞会があった。
安いチケットだったので、座席は舞台の後ろ。
つまり、俺たちの席はオーケストラを後ろから見下ろし、その向こうに客席が広がっている、という場所だった。
(奏者の手元が見えるので、結構穴場だ)

やがて演奏は進み、3曲目に差し掛かったあたり。
なぜか、猛烈に鳥肌が立った。
俺にも音楽に感動する繊細な心があったのか!と一瞬思ったが、そんなはずはなく(笑)、それはいわゆる悪寒だった。

すると、客席の後ろにある入場口が開き、外の光が差し込んだ。
そこからぞろぞろと人が入ってくる。

何気なく見つめていて、俺はその光景の不可解さに気付いた。

演奏中は、席の移動や会場の出入りは禁止なのだ。

あれ?
と思った瞬間には、光も人影もなく、扉はちゃんと閉まっていた。



つづく

No.79 10/01/15 17:36
深夜 ( Uc1Hh )

また、知人のピアノのコンサートでは、演奏中に二階席をうろつく人を見た。
そのときに一緒にいた母は、明らかにこの世の者でない人が、にこやかに廊下を歩いているのを見たそうだ。

某バンドのコンサートでは、白い何か(よくわからない)が無数に浮遊していた。
見たというか、感じたというか……どうにも説明が難しいんだけど。

人が集まるところには、霊も集まる、とよく聞く。

だけど俺は、音楽会場に集まる霊のほとんどは、音楽を聴きに来てるんじゃないかな、なんて思ったりする。



おわり

No.80 10/01/15 17:52
深夜 ( Uc1Hh )

第四十九話 無人島



人に聞いた話だ。

ある日、某県の無人島が知る人ぞ知る釣りの名所だというので、何人かの釣り師がその島に渡った。
本島から船で島に着くと、その日はテントを張って野宿をし、翌日の迎えの船を待たなければならない。

無人島に明りなどなく、夜は真の闇である。

身を寄せ合って寝ようとすると、島の奥から猫のような声が聞こえ始めた。
その声は徐々に数を増して近づいてくる。

発情した野良猫かと思っていたのだが……。

彼らは気付いてしまった。



「おぎゃあ、おぎゃあ」



なんと、無数の赤ん坊の泣き声だったのだ。

声は次第に大きくなり、しまいには「うわああああ」と叫ぶような声になった。

釣り師たちは耳を塞いで、ひたすら朝になるのを待っていたそうだ。



その島は昔、近隣の島で間引きをした子どもを捨てていた場所だったらしい。



おわり

No.81 10/01/15 21:17
深夜 ( Uc1Hh )

第五十話 夢の中の心霊写真



これも聞いた話。

Aさんは夢を見た。
自分の家を写真で撮っている夢だ。

ポラロイドカメラで撮影し、その写真を見ると、その全てが心霊写真だった。

白いもやが掛かっていたり、歪んでいたり。

中でも、窓を写した写真には……


明らかにこの世の者ではない女が、Aさんの部屋を覗き込んでいるのが写っていた。


Aさんは自分の悲鳴で目が覚めた。
その途端に、金縛りである。

怖くて、ぎゅっと目を瞑った。

バキバキと、激しく天井や床が鳴っていたが、やがて音がしなくなった。
安心して目を開くと、


目の前に、窓から覗いていた女が。


気がついたら、朝だったそうだ。



おわり

No.82 10/01/15 22:02
深夜 ( Uc1Hh )

ちょっと一休み☕

やっと50話。
半分まできました😃
長いな、100話は……😏
まあそのうち到達するでしょう。

それはそうと、感想スレッド立てました💧
感想というか、皆さんの怖い話が聞きたくなって。
絡み薄かもしれないですが、気が向いたらお立ち寄りください。

ちなみに、ネタ切れだからといってそのスレッドからこっちに話をパクることはしないんで(笑)

気軽に覗いていただければと思います🙇

No.83 10/01/15 22:24
深夜 ( Uc1Hh )

第五十一話 一言怪談②



お風呂で頭を洗っているとき、

「だるまさんがころんだ」と、

言ったり、考えたりすると、霊を呼び寄せる……らしい。


とか言われたら、考えてしまうやん。



おわり

No.84 10/01/15 23:41
深夜 ( Uc1Hh )

訂正です。

ご指摘いただいたのですが、第四十五話がダブってました。
というわけで、最新が五十二話、次レスは五十三話からとさせていただきます。

大変失礼いたしました🙇

No.85 10/01/16 17:15
深夜 ( Uc1Hh )

第五十三話 嫌いなキャラクター



彼女と一緒に買い物をしていたとき、雑貨屋さんで彼女がぬいぐるみを買うと言い出した。
おいおい、もう23歳やろ……と思うのだが、彼女は可愛い小物に目がない。

そのとき、彼女がふと「そういえば、○○○○○(有名な犬のキャラクター)が大嫌いっていう友達がいたわ」と言い出した。
その話によると。

高校のとき、その友達Aと好きなキャラクターに関する話になった。
彼女が「○○○○○も可愛いやんな」と言うと、
Aはすごい剣幕で「いや!気持ち悪い!」と言う。

「なんで?」
と、尋ねると、

「小さいころ家にあった○○○○○のぬいぐるみ、ウチが寝てると身体の回りをぐるぐる走り回るんよ。
怖いから泣きながら部屋を出ても、ずっと追っかけてきて。
しょっちゅうお母さんの部屋に逃げてた」

だから○○○○○は嫌いなのだそうだ。

「子どものころって、不思議な体験するよね」
そう言って、彼女はぬいぐるみをポンポンと叩いた。

※個人的な体験話ですが、不愉快に感じる方もおられると思うので伏字にしておきます。
ちなみに俺はこのキャラ大好きです。



おわり

No.86 10/01/16 18:12
深夜 ( Uc1Hh )

第五十四話 招かれざる客



元バイト先のスナックでのこと。

その日は花の金曜日だというのに客足がなく、ママは機嫌が悪いので、俺たち従業員はママを敬遠するように店内を掃除をしていた。
従業員は俺と先輩2人。
一時間もすると拭き掃除に飽きてきた。

そこで、どうせ暇やし、店の奥にあるエアコンを徹底的に掃除しよう!ってことになった。

ところが、エアコンのカバーを外し、掃除機で本体をブイブイ吸っているところで、先輩の1人が「掃除機とめろ!」と怒鳴った。
何事かと思っていると、彼は大急ぎでおしぼりを取り出し、それをトレーに乗せてフロアへ。

え、お客さん?
と思ったが、誰もいない。

「あんた、なにやってんの?」
カウンターからママが言うと、本人も奥のソファー席の前で戸惑い、

「人が座ってるように見えたんで……」

つなぎを着た作業員風の男だったらしく、いつの間にか客が来たのだと思ったそうだ。

ママは「すんまへんけど、帰っとくれやす!」と言って盛り塩をし、その従業員をつまみ出して塩まみれにした。
すると、驚いたことに予約が一気に三件も入った。

ママ強し。



おわり

No.87 10/01/18 01:22
深夜 ( Uc1Hh )

第五十五話 山の少女



俺が小学生のころの話。

父の田舎に家族で出かけた。
辺りには山と田んぼしかない、まさにド田舎である。

俺たちは朝から山菜を摘んだり筍を掘ったりしていたのだが、昼を過ぎたころ、
「お父さんの生まれた家見にいこか」
と父が提案した。

父の生家は山の中で、今は無人である。

俺は父と並んで山を登った。
家が空き家になって以来人が通らなくなったため、道はもはや獣道である。

しばらくして、俺はふと、俺たちの前を赤いスカートでおかっぱ頭の女の子が進んでいることに気付いた。
いつの間に現れたのかはわからない。

彼女は慣れた足取りで木立の間を駆けていき、立ち止まっては、俺たちを待つように振り返るのだ。

不思議なことに、俺は何の違和感も感じず、むしろ彼女を追いかけて走り出していた。
「迷たらあかんで」
と父が言ったが、なぜか迷う気はしなかった。

俺は彼女を追いかけて、一足先に父の生家に辿り着いた。
だが、そのときには彼女の姿は消えていた。

家族は誰も彼女の姿を見ていない。
彼女が何者だったのかはわからないままだ。



おわり

No.88 10/01/18 01:39
深夜 ( Uc1Hh )

第五十六話 黒い人



人に聞いたのか、本で読んだのか忘れました。

とあるアパートの二階に住むAさんが、一階の郵便受けを覗いていると、その隣の部屋でガサッと音がした。
そちらをみると、カーテンが閉まった窓に明りが付いていて、黒い人影が浮かび上がっている。

部屋の住人が、カーテンの隙間からこちらの様子を伺っているようだ。

気持ち悪いな、と思って通り過ぎると、影は部屋の奥に遠ざかった。



その翌日。

洗濯物を干していたAさんは、手元が滑って、枕カバーをベランダから落してしまった。
「あっ」
カバーはアパートの庭にひらりと落ちた。
「あーあ……」

取りに行くの面倒くさいなぁ、と思いながら見下ろすと、
下の部屋の住人がベランダから身を乗り出して、落ちた枕カバーを見ている。

その部屋は、昨日人影を見た部屋である。



つづく

No.89 10/01/18 01:43
深夜 ( Uc1Hh )

>> 88 Aさんは最初、その住人が黒い服を着ているのだと思っていた。
だがよく見ると、服から覗く手や首も、墨のように真っ黒である。

(下の住人って黒人だったっけ。それにしても、何か変だ)

違和感を感じたその瞬間、Aさんは「やばい!」と思った。


その住人は、

枕カバーを見ていたのではない。

首をひねって、

Aさんを見上げていたのだ。

真っ黒な顔で……。


後日、下の階で異臭騒ぎがあり、その部屋で死体が発見された。
死後かなりの時間がたっていたらしく、黒く腐乱していたらしい。

当然、Aさんが目撃したときには、住人は亡くなっていたのである。



おわり

No.90 10/01/18 08:28
深夜 ( Uc1Hh )

第五十七話 寒い寒い



これは聞いた話。

ある夜のこと。
主婦のAさんは真夜中に目を覚ました。
いつも熟睡型なので、このような時間に目覚めるのは珍しい。

すると。

「寒い……寒い……」

誰かが呟くのを聞いた気がした。
(気のせいかしら)
そう思って再び寝ようとしたのだが、

「寒い、寒い……」

やはり声がする。
かすれた、女の声が。

「寒い、寒いよ。寒いよ……」

気味が悪くなり、Aさんは布団に潜って耳を塞いだ。
その瞬間、氷のようにつめたい手が、Aさんの腕をガシッと掴んだ。

「寒い!寒い!」

声が耳元で聞こえ、Aさんは気を失った。
しかしこの怪異、それから毎晩のように続いたのである。
Aさんはすっかり衰弱してしまった。

だが、しばらくして。
庭先に放置していた骨董品のツボに、人の髪の毛が大量に入っているのを見つけた。
旦那が買ってきたもので、その購入日が、怪異の始まった日と一致する。

それをお寺に収めて以来、その声はしなくなったそうだ。



おわり

No.91 10/01/19 14:26
深夜 ( Uc1Hh )

第五十八話 エレベーター①



読者さんの体験を聞いて思い出しました。


俺の知り合いで、警備会社に勤めている人がいる。
委託された会社のビルを警備する、派遣型の仕事だ。
もちろん、深夜の巡回も彼らの仕事である。

彼によると、巡回はいつでも不気味なものだが、場所によっては怪奇現象に遭遇することもあるという。
誰もいない部屋から椅子を引く音を聞いたり、トイレの水が勝手に流れたり……。

しかし、どんな出来事もスルーは出来ない。
侵入者かもしれないからだ。

「お前がこの仕事やったら、朝には白髪になってるわ」
俺の性格を知る彼は言う。
もちろん俺はやらないが。

そんな彼の体験に、エレベーターにまつわる話がある。

とある社ビルの巡回をしていたときのこと。

懐中電灯を片手に1階を回っていると、なぜか、エレベーターが作動している。
館内のブレーカーは全て落したはずなのに、エレベーターのドアの窓に、煌々と明りが灯っているのだ。

(消し忘れか?)

彼は無線で警備室に連絡をして、後輩に「エレベーターの電源落しといてくれ」と告げ、巡回を続けた。



つづく

No.92 10/01/19 14:29
深夜 ( Uc1Hh )

>> 91 しかし、2階に上がってもまだ明りが灯っていた。

(さっさと消せや……)

そう思いつつ、彼はなおもビルを進む。
3階、4階、5階……エレベーターは最上階についても灯ったままだった。

そこで彼は再び警備室に連絡を入れた。
「エレベーターはよ止めろ。無駄遣いやぞ」

すると、後輩は不満そうに「落ちてますけど」。
さらに、「カメラで見てますけど、エレベーター動いてないっすよね?」と言う。

ぎょっとしてエレベーターを見るが、やはり明りが灯っていた。

彼は真っ青になってビルを駆け下りた。


「エレベーターの窓に明りが見えるってことは、エレベーターはそのフロアに止まってるってことやろ?」
彼は言った。

確かに、エレベーターがそのフロアになければ、窓は暗いはずである。

「俺の後を追うように、エレベーターは上がってきてたんや」

もしも、開いたり、乗り込んだりしていたら……と、彼は身震いしていた。



おわり

No.93 10/01/19 15:07
深夜 ( Uc1Hh )

第五十九話 エレベーター②

メディアで仕入れた話。

会社員のAさんは、午前の取引を終えて会社に戻った。
午後は会議というハードスケジュールだが、取引が長引いたせいで遅刻である。

会議室は11階だが、エレベーター前には大勢の人が集まっていた。
とても待つ気になれず、彼は階段を上った。
4階でエレベーターを覗くと、2…3…と、エレベーターが昇ってきた。
(丁度いい、ここから乗ろう)

到着したエレベーターには、大勢の男女が乗っている。
Aさんが乗ろうとすると、乗っていた和装の老婆が「ダメ!」と怒鳴った。
「でも、まだ乗れますよ」
なおも乗ろうとするAさんを、老婆は両手を振って追い返す。
「あなたは乗っちゃダメ!」

エレベーターはそのまま行ってしまった。
「なんだよ今のは!」
Aさんは結局階段で会議室に向かった。

だが、そこで上司から思わぬ事態を聞かされる。
「たった今、エレベーターの墜落事故があった」
1階の人だかりを見たのが、まさに事故直後だったのだ。
乗っていた人たちは即死だったという。

しかし、死亡した人の中に、着物の老婆はいなかったそうだ。



おわり

No.94 10/01/20 01:48
深夜 ( Uc1Hh )

第六十話 ゴム人間



漫画の主人公じゃないのですが。

この世には、ゴム人間なるものがいるらしい。

そいつらは半透明で、緑色。
骨がないのか手足をくにゃくにゃさせながら、俺らに混じって普通に町を歩いているそうだ。
幽霊というよりは、異次元生物らしい。

友達が「絶対いるんだって!俺2回も見たし!」と言い張るのだが……。

「自分も見た」という人、ぜひご一報を。



おわり

No.95 10/01/20 18:19
深夜 ( Uc1Hh )

第六十一話 ギシギシ



大学の先輩に聞いた話です。

その日、先輩の友達Aは彼女と車で海に行った。
春先の海はまだ寒かったが、2人は浜辺に腰を下ろして、潮風と景色を満喫した。

やがて青空は夕焼けに、そして夕闇へ移ろう。
暗くなる前に浜を出ようと、水平線に沈む太陽を眺めつつ駐車場に戻った。

すると、彼女が立ち止まってAの腕を引いた。
「ねえ、あれ」

彼女があごで示した方を見ると、知らない車の上に男の子が乗っていた。

ギッシギッシと車を軋ませながら、ボンネットの上を飛び跳ねている。

「いたずら坊主やな」
Aはそう言ったが、彼女は不安そうに男の子を見ていた。
「なんか変じゃない?1人で飛び跳ねて……気持ち悪い」
「誰もかまってくれへんから1人で遊んでるんやろ」
そういうことにして、2人は海をあとにした。

その帰り、2人はラブホテルに立ち寄った。
チェックインを済ませ、シャワーを浴びると、早速ベッドに入った。



続く

No.96 10/01/20 18:23
深夜 ( Uc1Hh )

>> 95 薄明かりの中、正常位でことにおよんでいると、突然彼女が彼の肩を叩き、つかみ、揺さぶった。

感じ方にしては妙だと思い、彼女の顔を覗くと、

目をいっぱいに見開いて、Aの肩越しに背後を見つめている。

「どうしたん……」
と言いかけて、Aも強張った。

ギッシギッシギッシ……

自分は動いていないのに、ベッドが揺れている。

恐る恐る振り返ると、

ベッドの端で、男の子が飛び跳ねていた。

無表情に、2人を見下ろしながら。

2人はベッドから転がり落ち、部屋の隅で抱き合って震えた。

「お願い、どっかいって!」
彼女がそう叫ぶと、男の子はすーっと消えていったそうだ。

2人がすぐにホテルを出たのは、言うまでもない。



おわり

No.97 10/01/22 19:22
深夜 ( Uc1Hh )

第六十二話 心霊写真



あれは大学1回生のころ、近所の神社の祭で。
親戚が遊びに来ていたので、俺はカメラで親戚や祭の風景を撮っていた。

家に帰ってデジカメを確認すると、線香の煙のようなものが写っている写真を見つけた。
「タバコか?」
と思ったが、筋を描くようにくっきり写っている。
次の写真では、さらに濃くなっていた。
そして、その次では。

煙は、真っ白な無数の蛇になっていた。
目の部分が光っていて、それは確かに蛇だった。

「なんやこれ……」

それをパソコンに取り込んでプリントアウトし、母に見せた。



つづく

No.98 10/01/22 19:24
深夜 ( Uc1Hh )

すると母は感心しながら、
「あの神社は、昔この土地を荒らしていた蛇神さんを鎮めるために建てられたんやて」
と言った。

ってことは、神様が写ったのか!
俺はとても得意げな気持ちになった。

しかし後日、友人にその話をして「今度見せて」と言われ、探してみると、写真はなくなっていた。
パソコンのデータも消えている。
家族に聞いても、「知らん」と言うばかりだ。
結局、未だに写真は見つかっていない。

なんだか、とても残念な気持ちになった。



おわり


追記:
感想スレの書き込みで、「騒いだのがアカンかったんやなぁ」と反省しました。
神様に見捨てられてなければいいけど😂

No.99 10/01/22 19:42
深夜 ( Uc1Hh )

第六十三話 窓



サークルの友達との会話で。

独り暮らしの彼は、最近、大学に近い部屋に引越しをしたという。
そこは、家賃がめちゃくちゃ安い。

なぜかって、裏が墓地なのだ。

彼は3階に部屋を借りたが、窓からはバッチリ墓を見下ろせるそうだ。

「よぉそんなとこ住めるなぁ」
と俺が感心すると、
「信じてなかったからね」
と、彼は笑った。

「でも、引越した初日ね」

夜、コンコンと窓を叩く音がする。
「マジで出た?」と思い、彼は布団を被って無視していた。
やがて音がしなくなり、恐る恐る顔を出すと……

「引越ししたばっかりでカーテン掛けてなかったから、もろに窓見ちゃって」

青白い顔のおじさんが、頬をガラスに押し付けて、部屋の中にいる彼をじーっと見ていたそうだ。

「こりゃ覚悟しないとなって思った」
彼は爽やかに言った。

「お前の部屋には絶対行かんしな」
俺もにこやかに言った。



おわり

No.100 10/01/24 01:00
深夜 ( Uc1Hh )

第六十四話 生霊



バンドの先輩に聞いた話です。

あるバンドのヴォーカルAさんには、熱烈な女性ファンがいた。
ファンと言っても、友達の知り合いという近い関係だ。
だが、その女の子、少し変わっている。

ファンレターに、『Aさんには女の生霊がついています。祓ってあげたい』という一文を添えて送りつけてくるのだ。

「生霊!?昔捨てた女ちゃうん」
バンドのメンバーはそう言ってからかうが、Aさんにはまるで心当たりがなかった。

手紙の内容はだんだん生々しさを増す。
『ライブのとき、女が背後にボーっと立っていました』
『マイクの音出にくそうでしたね。女が遮っていたからです』

「ホンマにヤバいんちゃう?」
見かねたメンバーが言った。
Aさんは幽霊など信じていなかったが、今は駆け出しの大切な時期である。
(変な噂が広まっても困るしな)
結局、Aさんはその子と会う約束をした。

いざ会ってみると、彼女は普通の女の子だった。
彼女は持っていた水をAさんにふりかけ、背中を叩いた。
「たぶん、これで大丈夫だと思います」
そして神社に行き、お参りをし、一緒にお守りを買った。



続く

  • << 101 彼女は「Aさんは引き寄せやすい体質だから気をつけて」と言ったそうだ。 それから一月。 再び送られてきたファンレターに、『また霊が憑いたようです』と書かれていた。 しかしライブが忙しく、彼女とは会えなかった。 その数日後、Aさんは突然の熱で倒れた。 原因は不明。 Aさんは無理を押して練習に顔を見せたが、見る影もなく衰弱していた。 「毎晩金縛りに遭うんや。部屋の隅に誰か立ってて……あの子が言ってた霊かも」 幽霊を信じていなかったAさんが、そんなことを言う。 「このままやったら殺される」 すると、スタジオに居合わせた音響の男性が、 「今すぐ霊感強いやつ呼んだるわ」と言ってくれた。 現れた女性は、Aを一目見るなり「生霊やね」と言った。 「今、お守りにしてる物ある?」 彼女に言われて、Aは以前ファンの子と買ったお守りを出した。 すると彼女が言った。 「原因これやわ」 「えっ?」 「女の子の生霊。これに宿ってる」 なんと、 生霊はあの女の子だという。 ファンレターの話は、Aに近づくための嘘だった。 そして、彼女自ら生霊となってしまったのだそうだ。 おわり
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