こんなはずじゃ…
てめぇ今日こそぶっ殺すぞ!
早く面貸しやがれ!
今無事でも夜中にてめぇぶっ殺す!
さっさと出てけ!
結婚10年目の夫に顔を合わせれば罵られるようになったのは一体いつからだったのだろうか…
こんなはずじゃなかったのに…
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夫と結婚したのは今から10年前
交際期間は数ヶ月だった
夫の前に5年間同棲していた婚約者に本気の浮気をされ
お互いの家庭の事情もあり別れる事になった時
たまたまタイミング良く現れ
君の笑顔をいつも見ていたいから
俺は君を悲しませるような事は絶対しない
君を幸せにする
と何度も言い続け
傷ついた私の心を
いつも暖かく包んでくれた
はっき言ってタイプじゃなかった
だけど…
五年の同棲の末の破局は心身ともに
相当辛かった…
そんな時に
自分の方に振り向いてもらおうと献身的につくしてくれ
時には高級ホテルでのディナーや高価なプレゼント…
ただのサラリーマンだった元カレとは数段違った贅沢を惜しむ事なく施してくれ
何より安定した職業と収入
自営業の家庭で育った私には夢を見るような気分だった
君の笑顔をそばでみたいから
僕と結婚してくれないか
必ず幸せにする
気持ちは100%ではなかったが
元カレと家の事情でなかなか結婚へ発展できなかった事もあり
安定した職業と収入…
結婚とはタイミングと条件
お互い「好き」という感情だけでは結ばれない
裏切られた元カレをふっ切る思いもあり
プロポーズを受けた
交際期間約半年であった…
当時私の仕事はかなりハードで
睡眠時間も少ない時は三時間程しかとれない時もあり
披露宴や新婚旅行の打ち合わせなど時間がなかなか取れなかった
元々旅行が趣味であった彼は旅行先もずっと思い入れがあったというヨーロッパに行きたいと言うので
仕事が忙しく考える時間のなかった私は
お任せするよ
と彼に任せる事にした
彼は披露宴から旅行まで見事なまでのプランを立て
私が意見しようものなら
ここは景色がいいんだよ
これとこれはセットにしないと値段が安くならないんだよ
君は調べてないからわからないだろう?
あれこれ理由をつけて
結局私の意見は通してもらえず
仕事で忙しかった私は彼に任せっきりという負い目もあり、全て彼に委ねる事にした
今思えば
自分の思う通りにいかないと機嫌が悪くなり
いかなる理由をつけ
結局自分の意見を通してしまうのはその頃からだったのであろう
時には平気で嘘をついて話を変えてしまうという事もあった
だが厄介な事に
彼は自分自身が嘘をついているという自覚が全くないという事だった
後に知る事となるがそれはモラハラ夫=モラ夫の特徴なんだそうだ
モラ夫との結婚生活はお互い仕事が不規則な為に殆どすれ違いだった
だからこそ生活できていたのかもしれない
どちらかが帰宅したらどちらかが出勤していた
なのでお互い生活のスタンツは殆ど変わらず
ただ私は今まで一人暮らしをしていた為、光熱費や水道代、全て負担しなくてよい事になった
結婚するとお財布が一緒になるからね
とよく友人が話していたが
私はモラ夫の収入もわからないままであった
私にもそこそこの収入があったので当時はそんな事があまり気にならなかった
モラ夫は新しい電化製品がでると相談なくすぐに買ってきていた
パソコン、デジカメ、ビデオ、一体何回買い替えただろう…
その割に一円でも安い食材が遠くのスーパーに売っているともなると隣街でさえも平気で買いに行き
面倒だから近くのスーパーでいいよ
と言っても絶対聞き入れず
怒って一人で買い出しに行ってしまう事も度々あった
妊娠中は得に問題もなく仕事も続けていた
妊娠三ヶ月に入った頃たわいもない事でケンカをし
家を飛び出した事があった
だが彼は追いかけても来ずメールも一切してこなかった
ちょうど三日間仕事が休みだったのでそのまま遠く離れた長野の実家に新幹線に乗り込み実家に久しぶりに帰った
だがモラ夫からは相変わらず何も連絡は来ないまま三日間が過ぎてしまった
仕事に穴をあけるわけにも行かず
結局新居に戻る事にしたが
一切連絡がない夫に対し母は疑問を感じながらも気をつけてね
と送り出してくれた
そして東京の新居に戻ると
玄関先に目に入った物は
私のパジャマが無惨にも投げ付けられて散乱していた…
何とも言えない気持ちのまま奥に入るとそこには暗闇の中に電気スタンドをつけ
パソコンをいじっている夫の姿が見えた
私が帰宅した事に気づかないわけがない
だが彼は振り向く事も話す事もなく
ただただパソコンをいじっていた
無言に耐え兼ねた私から
あの…せっかく帰ってきたのに玄関先に私のパジャマがグシャグシャに投げ付けられてあったのはどういう意味?
ちょっとひどいんじゃない?
それにこんな体で三日間も帰ってこないのに何の連絡もないなんて心配じゃなかったの?
するとマウスを握っていた手を止めて睨みつけながらこう言った
あのさー、あんたが勝手に出て行ったんだよねぇ?それで勝手に帰ってきたんだろ?だから何なんだ?
妊娠中?だからなんなんだ?
何かあったら連絡くるだろ。何もないから大丈夫なんだろ!
パジャマを投げ付けた理由?
てめぇあん時俺のパジャマを放り投げたよな?
その仕返しだ!!
……
そういえばケンカした三日前、口達者のモラ夫に言い負かされて頭にきた私は泣きながら思わず側にあった彼のパジャマを床に投げ付けてしまったのだった
三日ぶりに帰ってきた私は夫が優しく迎え入れてくれ
ごめんね…
と抱き寄せてくれるのではないかと期待していた
あまりのギャップにぽろぽろと大粒の涙が流れてきていた
モラ夫はまたパソコンの方を向き泣きじゃくる私の事など視界に入っていないかのように画面を見ていた
モラ夫は気に入らない事があったりすると無視をするようになった
無視の期間はまちまちで
翌日に何事もなく話しかけてくる事もあれば
一週間口を聞かない事もあった
それでも作った食事はきちんと食べ
不機嫌そうな顔をして家には帰ってくる
私にはわけがわからなかった
かと思えば突然
外食しよう
旅行に行こう
と高級レストランで食事をしたり
一流ホテルで宿泊したり
私がお洒落なマタニティがないと言えば
ネットで探してとても素敵なマタニティドレスを購入してくれたりもし
化粧品も買いに行く暇がないと言えば品番を控えてデパートの化粧品売り場に足を運んでわざわざ購入してくれた
私に常に
いつまでも綺麗でいて欲しい
これがモラ夫の口癖だった
私にはどちらが本当の彼の姿なのかまだわからずに
私の為に色々してくれる
感謝しなきゃ…
と思いつつも
何故か何かが違うと感じていた
妊娠も中期に入った頃
突然家を買う
と言い出した
私は仕事も忙しくましてこれから子育てという大きな仕事が待っている中
今じゃなくてもいいんじゃないの?ちょっと考える余裕が私にはない
と何度も言ったが
いつか買う物なら早いうちがいいに決まってる
と強引に不動産を回ってモラ夫の実家の近くの物件を探し回り私の意見など全く聞き入れてくれなかった
産休に入り長野の実家に帰る事になった
モラ夫は新居のハウスメーカーから何から何まで殆ど一人で決めてしまっていた
初めての妊娠、出産を控えた私は家の事など考える余裕もなく何の相談もしてくれないモラ夫に対し
今は妊娠中だから仕方ないんだ
と自分で自分を納得させていたのかもしれない
それが後に大きな壁になる事になろうとはこれっぽっちも想像していなかった…
土地と家で合わせて8000万
さすがにモラ夫一人では借りる事が出来なかったが
土地名義を私
建物名義をモラ夫
とし、お互い知名度のある企業であった為銀行から融資してもらえた
土地はお前の名義
だから借金4000万一生かけて払ってもらう
もちろん俺だって40000万の借金背負うんだから同じだろ?
モラ夫はそう言った
半分ずつだし…
しょうがないよな…
そう自分に言い聞かせ銀行から融資を受ける=4000万の借金をする事になった
まもなく第一子が産まれた
小さくて可愛い女の子だった
初めて顔を見た瞬間
嬉しくて無事に産まれてきた我が子に感動して涙が出てきた
名前は故郷の長野にちなんで
「梨緒」とつけた
モラ夫とモラ夫の両親は翌日長野の病院まで来てくれ梨緒を見に来てくれた
お疲れ様だったわね
でも出産時間が早くて安産だったわね
うちの娘は丸一日痛みに来るしんで大変だったのに
あなたは早いから楽だったでしょう
娘は本当に大変だったんだから
本当かわいそうだったわ
あなたはいいわね
と義母が開口一番に私に向かってそう言った
出産時間が長いのはさぞかし辛かっただろう
だが決して楽でもなく痛みの閾値など他人にわかるわけもない
一概にあなたの方が楽している
なんて言われたくなかった
義母は続けて
あらこの子髪の毛が随分生えてるわね
うちの子は全然なかったわよ
うちの子??
娘の子の事だと察した
梨緒は息子の子供でも
「うちの子」
じゃないんだ…
ささいな言葉だったが私にはすごく響いた一言だった
梨緒が一ヶ月検診に行く日が近づいきた
モラ夫から連絡があり
その検診の日に義理両親を連れて行くから検診のあと、お宮参りをしたい、と
検診のあとでお宮参りかぁ…
ちょっとハードじゃないかな?
と言ったが
検診について行きたいし仕事も長くは休めないから一緒にやってしまわないとスケジュールが都合つかない
と言われ
せっかく東京から義理両親と一緒に来てくれるんだからしょうがないか
と納得させてやむなく承諾した
それからまた数日後モラ夫から連絡があり
お宮参りのあと梨緒も連れてみんなで温泉に一泊しないか
と提案してきた
これにはびっくりしてしまい
一ヶ月たったばかりの赤ちゃんを温泉旅行に連れていくのはさすがに気がすすまないんだけど
と反論した
直ぐさまモラ夫は
わざわざ東京から長野の田舎までうちの親に来てもらうんだぞ!その位してやってもいいんじゃないのか!うちの親の事を何だと思っているんだ!
電話口で物凄い勢いで怒鳴られてしまった
この人は梨緒の事が一番じゃなくてお母さん達が一番なんだ…
でも私は梨緒の母
梨緒を守るのは私しかいない
地元の保健センターにすぐさま電話し、
一ヶ月の赤ちゃんを温泉旅行はどう思いますか?
と聞いてみた
ムリムリ!お母さんも体調崩しちゃうからやめときなさい!
その返事にホッとし
モラ夫に伝えた
モラ夫は私の意見ではなく
第三者のそれなりの地位がある人の意見には刃向かわない
私はそれを知っていた
保健センターの保健師がそういうならしょうがないか
とやっと一泊旅行は諦めてくれたようだった
一泊の温泉旅行は諦めてはくれだが
うちの親に東京からわざわざ来てもらうんだから
温泉宿に泊まってもらってそこで宴会がてら夕飯をみんなで食べる事にしよう
梨緒もそこに連れて来て宴会が終わったらお前達は帰ればいい
梨緒の御祝いなんだから梨緒がいないわけにはいかないだろ?泊まるのがダメなら帰ればいいんだ
この発想には返す言葉がなかった…
この人は
やっぱり
梨緒より妻より
自分の親が大事なんだ…
私は一ヶ月になったばかりの梨緒を連れて
一ヶ月検診の後お宮参り
そして義理両親が宿泊する温泉宿まで連れて宴会に行く事に渋々同意するしかなかった
私の母は
梨緒がかわいそう
とずっと心配してくれていたが
最初の温泉街に一泊旅行の話しを聞いていたので
宿泊するよりまだいいのかもね…
と梨緒を抱きながらなんとも言えない表情をしていた
モラ夫は
うちの親が来たから迎えに行ってくる
え?
梨緒の検診まだ終わってないよ?
お前達は検診終わったらタクシーで実家に戻ればいい
長野に土地勘がない両親を俺が案内しなくてどうするんだ!お前はそんな思いやりもないのか!
怒鳴られた
私と梨緒は病院に取り残されたままなんとも言えない気持ちのまま
検診を受けてタクシーで実家へと戻った
お宮参りを無事に終え
義父母とモラ夫は
さぁて飲みますか~
こんな田舎温泉くらいしか楽しみねぇもんなぁ~
義父とモラ夫は笑いながら話していた
温泉宿についてからはもっと悲惨だった
義父母とモラ夫の三人で盛り上がり
東京のデパートに○○の新作がでたのよ、あれより去年の方が良かったわ
などとブランド物や東京の事情のわからない母が入り込めない話ばかりを楽しんで
三人で盛り上がっていた
梨緒が泣こうが何をしようが大声で話し談笑し義父はタバコを吸い始めた
何なんだ
この人達は…?
料理も終わった所で
もう梨緒が眠いみたいだから帰るね
やっと解放してもらえた
時間は21時をすぎていた…
翌日モラ夫一家は東京に戻って行った
本来なら私達も東京に戻るべきなのだろうが
建築中の新居がまだ未完成だという事と
モラ夫の勤務が不規則で育児にあまり関われないだろうからと
私達がもう少し安定するまで長野の実家にゆっくりしてきなさい
と云われていたので梨緒が2ヶ月を過ぎた頃まで実家にお世話になった
そしてあっという間に東京に戻る日がきてしまった…
東京の新居は義父母宅が窓から見える程近い場所であった
モラ夫には祐子という妹がいて二歳になる弘人という息子がいた
祐子は弘人を毎日のように実家に預けては遊び歩いていた
義母は事あるごとに弘人と梨緒を比べていた
梨緒は泣くだけだけど弘人は優しいから~
弘人はね~
弘人はね~
弘人はね…
逢えば弘人の自慢ばかりしていた
ある日梨緒と弘人の写真を撮った義母はその写真を見て
梨緒は田舎の子って感じよね~
なんと言ったらいいのか言葉に詰まってしまった
そんな毎日を過ごし
私は一年間の育児休業を終え
職場復帰をする事になり
梨緒は保育園に通う事になった
保育園に通ってからは風邪などひいた事のなかった梨緒はしょっちゅう熱をだし保育園を休む事も度々あった
私も早々職場を休めない為
義母に
梨緒が熱を出したので見てもらえませんか?
と頼む事が多くなった
義母の予定がない時は心よく
いいわよ、ママも大変よね
と言ってくれたが
今日は弘人が遊びに来るからダメ
今日は編物教室だからダメ
今日は絵画教室だからダメ
今日はお友達と白金台の○○でお食事会だからダメ
映画を見に行くからダメ
自分の予定が入っている時は梨緒がどんな状態だろうと絶対見てくれる事はなかった
それでも時々梨緒を見てくれる事に感謝しなくちゃ
と義母には常に感謝の気持ちで一杯だった
モラ夫は不規則勤務の為
私が仕事に復帰してからは殆ど顔を合わせる事がなくなった
だからこそお互いの事があまり気にならず
夫婦としての生活が成り立たっていたのかもしれない
こんな状況だったので夫婦生活は殆どなく第二子を妊娠したのも不思議な位であった
二人目を妊娠し6週目に入った頃
仕事中に出血してしまい
切迫流産で入院する事になってしまった
私は梨緒の事が気掛かりでしょうがなかったが
義母が
私が面倒みるから大丈夫よ
と言ってくれたので入院する事にした
私が入院中梨緒は義父母宅でお世話になった
時々義母は梨緒を連れて面会に来てくれ
やっと言葉が出てきた梨緒が
ママ、お腹痛いの?ヨチヨチ
とお腹をさすってくれ涙が溢れてきた
梨緒は来る度に新しいブランドの服を着て来た
義母が購入してくれたらしく
うちにいるのに変てこな服着てたらみっともないでしょ
という理由で高価な洋服を買ってくれていたようだった
梨緒の洋服は長野の親が送ってくれた物が殆どで
それを義母は知っていた
私は母の送ってくれた洋服をへんてこだなんて思った事もなかったし
一歳半の梨緒にブランドの洋服はもったいないんじゃないですか?
と義母に言ったが
うちにいるのに
不自由させるわけにいかないでしょう
お金だったら心配しなくていいから
どうやら梨緒を連れ歩いていたようで
仕方ないんだろうなと思った
面倒みてもらっている上に梨緒も新しい洋服買って頂いて本当にすいません
と思い感謝の言葉を口にしたが内心は
かなり複雑だった
そんな一ヶ月の入院生活を送り症状が安定したので退院する事になった
退院後は職場復帰せずそのまま有休を使い産休に入った
今度は経過が経過だったので長野の母に来てもらい東京の病院で分娩する事になった
まもなく第二子を出産
胎盤早期剥離で大出血をしたがなんとか母子ともに無事であった
可愛い女の子であった
この子には生きる希望と勇気をもらった
名前を「勇希」と名付けた
今生きている事に感謝をした
産まれてきてくれてありがとう
そんな思いで一杯だった
モラ夫は二人の子供がいても決して自分のペースを崩さなかった
独身の頃から旅行が趣味のモラ夫は年に10回前後の旅行に行く
それは結婚してからも同じだった
数人で行く事もあれば一人の事もあり
会社の団体で行く事もあった
二人の子育てにいっぱいいっぱいになっていた私は
旅行に行くのを少し控えてくれない?
子供達を少しは見てよ、私だって息抜きしたいよ
頼んでみた
俺だけじゃない他の人も一緒に行くのにキャンセルなんかできない!
あんたが気分転換したけりゃ勝手にすればいいだろ?
何月何日何時に行きます、だから子供達見てて下さい、って言えばこっちだって家にいるよ!
旅行のお金は俺が稼いだんだ!
お前には関係ない!
一言言えば倍に返ってくる
口達者なモラ夫に私では太刀打ちできなかった
遊びに来た義母に何気なく言ってみた
元々旅行が好きだから今よりもっと沢山行ってたのよ~
そのくらいいいじゃない~
従うしかなかった
モラ夫はまもなく二泊三日の旅行から帰ってきた
彼は上機嫌で子供達へのお土産も沢山あった
その旅行を機にモラ夫は携帯を離さず、ずっと誰かとメールのやりとりをするようになった
怪しい…
モラ夫が寝静まった頃
携帯を開けてみた…
「来週そちらに行けると思うよ
早くミカちゃんに逢いたいな」
「何人で来るの?
また逢えるの楽しみにしてます」
相手は旅行先のキャバクラ嬢らしかった
モラ夫は私に嘘をついて来週は泊まりの出張だと言っていた
私はキャバクラ嬢とのメールのやりとりはどうでも良かった
嘘をついて旅行に行くという行動が許せなかったのだ
このまま黙って嘘の出張とわかっていながら送り出すのか
それとも問いただしてモラ夫に謝罪させようか迷った
私は後者のモラ夫に問いただす方を選んでしまったのだった…
翌日子供達が寝静まったあと
帰宅したモラ夫に
来週の出張なんだけど…
本当に出張なの?
「どういう意味だ?
出張に決まってるだろ!
何が言いたいんだ」
実は携帯を…
と言いかけた途端
「てめぇ人の携帯見たのか!
ふざけんじゃねぇ!!」
腕を捕まれた
怖くなって玄関先に逃げ出した
モラ夫は追いかけてきて私を捕まえた
てめぇ~
ぶっ殺す!!
壁に頭を何度も打ち付けられ
首を絞められた
その瞬間、誰かが通りかかった
モラ夫はその手を緩めた
私はその瞬間裸足で急いで逃げ出したのだった
私は初めて男の人に暴力を振るわれて
何が何だかわからなかったのと
恐怖と驚きで一杯だった
しばらくは近くの公園で立たずんでいた
何分たったのだろう
置いてきた子供達の事が心配になった
静まり帰った家の前でしゃがみ込んでいると
モラ夫が突然出てきて
いつまでそこにいるんだ!みっともねぇんだよ!
家に引きずり込まれた
モラ夫は私を引きずり込むと何事もなかったかのよう寝室に入りベッドに潜り込んで寝てしまった
私は汚れた足を洗い
涙で一杯になった顔を何度も何度も洗っては拭いた
鏡に写った首にはうっすら赤い小さな斑点ができており
腕にも捕まれたアザがのこっていた
その晩は子供達の顔を眺めながら一睡もする事が出来なかった
幸いな事に出勤が早かったモラ夫は一人で起き
顔を合わせずに朝を迎え一日を過ごす事ができた…
夕方モラ夫が帰宅する時間だ…
「ただいまー
これお土産…」
テーブルにケーキの箱が置かれた
でも謝罪の言葉はない
モラ夫はいつも喧嘩の後はケーキを買って私の機嫌をとる
いつも謝罪の言葉はない
今回もそう
昨夜の事も謝罪一つなく
ケーキで済まそうとしている
私は無言のまま夕飯の支度を続けた
ぎこちない夕飯を無言のまま食べ
お風呂に入りそのまま就寝した
モラ夫も無言のままだが
私も話す言葉もなく無言だった
週末までそんな状態が続いたが
義父母達が親戚を呼んで庭でホームパーティーをするから
とお誘いがあったので
渋々義父母宅に出掛ける事になった
そこでは上機嫌で滑舌も良く愛想の良いモラ夫がビールを注ぎながら舅達の相手をしていた
私はまだ赤ちゃんの勇希を抱っこしながら
高級そうなつまみだらけのテーブルに梨緒の食べれそうな物を探して食べさすのに必死だった
私達って何なんだろう?
私は残った食べ物を食べながらもモラ夫が上機嫌でいるのにイラついていた
なんとかパーティーも終わる頃
義母が
「梨緒と勇希は見ているから」
後片付けは私に…という事だと察した
それでも子供達を見ていてくれるだけマシか、と思いつつ
これが嫁の役割なんだ
と言い聞かせ後片付けを黙々としていった
義母は
ありがとう、本当に助かるわ、ごめんね
と言ってくれたのが数日間口を聞いていないモラ夫との生活から嬉しく感じた
この人ならわかってくれるかも?
そんな期待が胸を過ぎった
お義母さん…
実は先日モラ夫さんの携帯を私が見てしまい…
と話し始め暴力を振るわれた事も話した
すると義母は
「携帯を勝手に見るのは悪い事よね
あなたは謝ったの?
暴力?本当にあの子がそんな事するかしら?ほんとにそんな事したとしたら怖いわ~」
それだけだった
むしろ私に謝罪しなさいと言っている
私だけが悪い?
納得いかなかった
モラ夫からは謝罪の一言もないまま時は過ぎた
私は勇希を出産し
一年が過ぎ職場復帰する事となった
復帰先は今までとは違う配属先であったが残業がなく
定時に帰宅できた為
家事に支障はなかった
私の収入のうち月10万は住宅ローンに振込みは変わらずだった
もちろんモラ夫も同額の住宅ローンを振り込んでいた
私は相変わらずモラ夫がいくらの収入なのか知らずにいた
というか教えてくれなかった
お前は口座に決まった額を振り込めばいいんだ
それしかモラ夫は云わなかった
まもなくモラ夫の祖母が他界したと連絡が入った
モラ夫の祖母は初孫であるモラ夫をとても可愛がっていたそうだ
義父母が結婚した当初は同居していたらしいが
祖父に対し祖母が異常なまでの執着が強く
ささいな事で浮気を疑い黙っている祖父に祖母が腹を立て
寝ている祖父に冷水をかけたり
物を投げ飛ばしたり
喧嘩は堪えなかったそうだ
酷い時は警察を呼んだ事もあると聞いた
そんな祖父母の喧嘩が嫌で義父母は家を出たのだそうだ
45歳で孫ができた祖母はモラ夫を本当に溺愛していたそうだ
それは数回しか会った事のない私が見ても一目瞭然であった
その祖母が亡くなったのである…
モラ夫は当然哀しんでいるのだろうと私は思った
所が祖母が亡くなったと聞いても表情一つ変えず
で、お通夜と葬儀はいつ?
この一言だった
お通夜には殆どの方が義父の会社関係と義母の親戚といった顔ぶれだった
確かおばちゃん…
義父さんの他に二人娘さんがいたはず…?
そういえば私達の結婚式にも義父さんのお姉さん達は来ていなかったし…
どうゆう事??
私が疑問感じていたのを察したのか
義母が葬儀の控室で話し始めた
おばぁちゃんね
あんな感じだったから子供達ともうまくいっていなかったのよ
娘二人と何があったかは私もしらないけど
遺産放棄してまで縁も切る
といった位だから
相当な嫌われようよね
お父さんだけはおばあちゃんを捨てられなかったみたいだけど…
でもおばあちゃんの暴力は本当に酷かったわー
と義母は話しはじめた
その時私は
モラ夫が以前私に対して手をあげた事が
幼少期に祖父母宅で同居し
自分を溺愛してくれた祖母の暴力を見て育ち
配偶者に暴力をふるう事が悪いことではない
むしろ暴力をふるわせる相手が悪い
と暴力に対し
モラ夫は全く反省すらしていなかったという事に私はまだ気付いていなかったのだった
義母の話しを聞きながら
お義母さんも大変だったんですね…
と言いかけた時
モラ夫が控室に入ってきた
「お母さん、疲れたんじゃない?少し休んだら?今日は僕らと帰れるの?」
この人はいつでもそう
私達より義母が第一
「大丈夫よ~
でも今日はここにいないとまずいみたいだから一緒には帰れないわ~
ありがとう」
「梨緒達を理由に一緒に帰ろうよ
梨緒がばーばが一緒じゃないとぐずって手に負えないとかいってさぁ…」
「でもお父さん一人にするわけにいかないわ、ありがとう、本当にあなたは優しいわ」
眠そうにぐずっているのは梨緒
もうすでにねんねしている勇希を抱っこしながら梨緒をあやしている私は
一刻も早く家に帰りたかった
モラ夫は私の方を見るなり
「しょうがない、お母さん置いてくのは気がひけるけど…
帰ろうか梨緒も眠いみたいだし
あんたも疲れたでしょ」
モラ夫は私の事は一度も名前で呼んだ事がなかった
それは今でも変わらないのだが
久しぶりに聞いたモラ夫の優しい言葉だった
それからもモラ夫は気に入らない事があると
物を投げたり
ドアを蹴飛ばしたり
時々爆発したかと思えば
急に優しい言葉をかけてきたり
義父母を交えて避暑地に旅行に連れて行ってくれたり
記念日や誕生日には必ず
結婚指輪と同じブランドのカルティエのアクセサリーをプレゼントしてくれた
そんな中ある事件が起こった
不規則仕事のモラ夫とは元々寝室が別々であった
勇希を妊娠してからは切迫流産で入院したり経過が思わしくなかったので夫婦生活は一年以上なかった
子供達が寝静まった頃
モラ夫が突然襲い掛かってきたのだ
嫌だ!嫌だ!やめて!お願い!
私にはその行為がとても負担になっていたのだ
モラ夫は嫌がるその行為を止めてくれなかった
夫婦生活がこれほどにも苦痛に感じたことはなかった
たった一度の事であったが
私は妊娠してしまった…
妊娠がわかったかわからない位に
私はまた出血してしまい仕事に穴をあけざるおえなかった
今度で二回目という事もあり二人の子供達もいたので私は入院せず自宅で安静と内服治療を選択した
職場は泣く泣く退職した
症候状態ながらも妊娠は継続できたが妊娠四ヶ月に入った頃
勇希が肺炎で入院する事になった
病院は小児の為に付き添わなければいけなかった
付き添いは誰でも良かったのだが
切迫流産で自宅安静だった私は勇希が心配だったので梨緒は義母がみてくれるというので付き添う事にした
だが思ったより付き添い中は手がかかり
具合が悪くぐずる勇希を常に抱っこしたりご飯を食べさせたり
勇希がやっと寝たかと思えば
その間に自分の食事や家に帰ってお風呂に入ってまた出直す
切迫流産の体にはかなりの負担だった
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子あり夫婦と子なし夫婦は、どちらが老後安泰? 子どものデキにもよるけど…
38レス 1182HIT おしゃべり好きさん -
昭和時代の方々に質問!
スマホやネット、SNSが普及した平成後期から令和の時代に産まれたかったと思ったことはありますか? …
22レス 458HIT おしゃべり好きさん -
女前の画像見つけた 女性の方意見求む
この子めっちゃ女前じゃないですか かわいいです~
21レス 443HIT 恋愛好きさん (30代 男性 ) -
子どもができたら
付き合って1年半の年上の彼氏がいます。 彼氏30代、私は20代後半です。 私の友人が子どもが…
15レス 275HIT 恋愛中さん (20代 女性 ) -
あなたならどっちを選ぶ?
お金が全くないけど超大好きな人と、 お金は沢山あるけど全く好きじゃない人、 どちらと付き…
11レス 245HIT 恋愛好きさん (30代 女性 ) -
マッチングアプリで知り合っていきなりお泊まりを誘われました
マッチングアプリで知り合って、会うことになったのですが、1回目から泊まりでの旅行と言われました。 …
15レス 290HIT 恋愛好きさん (20代 女性 ) - もっと見る