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犬に頬寄せて

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ボニータ( ♀ 16kZh )
09/06/07 12:07(更新日時)

私の夢は…

白~い毛の可愛い顔した
マルチーズを飼うんだぁ、、
頭にリボンを付けて
毎日散歩するよ

運命って有るよね?

運命の子と出逢ったら
一緒に暮らすんだぁ…


私と愛犬の
不思議な
実話の物語です。



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No.1159516 09/04/14 02:40(スレ作成日時)

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No.1 09/04/14 02:56
ボニータ ( ♀ 16kZh )

今日は天気が良い。
桜の蕾を気にする季節
春を意識した服に着替えた。

半年スペインに留学してた私は
久し振りに
日本に帰って来てからの
お出掛け…

そして何か良い事が
起きそうな予感がザワザワ
してた。

絵を書く画材でも買いに
ハンズに行こう…

これから始まる
運命の日だとは
予想も出来なかった。

No.2 09/04/14 03:14
ボニータ ( ♀ 16kZh )

久し振りに
昔住んでた街のハンズ迄行く事にした

この街は思い出の街
私はキャバクラで水商売をしてた
2年間No.1~No.3を維持し
自分成りに頑張ってた
雑誌にもテレビにも出た

でも今の私には関係無い
半年前に水商売を上がった。
半年前迄は
夜の街しか知らない風景

空を見上げた…
デパートに
【屋上にわんちゃん猫ちゃん大集合】
垂れ幕が掛かってた

『犬触れるかな…』
犬が大好きな私は笑みが溢れた

気が付くと私は小走りで
デパートに向かってた

No.3 09/04/14 03:28
ボニータ ( ♀ 16kZh )

【催し物会場】
屋上に行くとワンワン犬の鳴き声が聞こえた
ワンワン聞こえるだけでウキウキする

どうやら今日迄
移動のペットショップが来て
仔犬や仔猫を販売してる様だった

私は白いマルチーズを探した
その時、飼う気持ちは無かったけど
見て癒されたかった
『居た!』


勿論可愛いけど
可愛い留まりで
特別な感情が出なかった

でも折角来たので
一周回った

!!
…たぬき?たぬき?
あ。サルか…
『猿?!』

何故か一匹猿が居る…

『すみませ~ん
何で猿が居るんですか?』
近くに居た店員さんに
思わず言ってしまった

No.4 09/04/14 03:39
ボニータ ( ♀ 16kZh )

女性の店員さんが何故か
眉毛を下げてこっちへ来た

『この仔犬、ポメラニアンですよ』

私は目を擦った

顔はハート型に毛が一本も
生えて無くツルツルで
よく見ると体の毛もバラバラ
仔犬なのに円形脱毛症
みたいなハゲも有った

顔に毛が生えて無い処が
猿にソックリだった

『ポメちゃん病気か
何か有ったんですか?』
私はその仔犬に釘付けに成った

No.5 09/04/14 03:53
ボニータ ( ♀ 16kZh )

そしてよく見ると
値段の紙が
24万円が×に成り
18万円が×に成り
12万円に成っていた

すると店員さんは
重そうな口を開いた
『…
この仔犬は…
一度飼われたんですけど
飼い主に虐待されて…
返品されたんですよ』

店員さんのお姉さんは
そう言うと
その仔犬を抱っこして
抱きしめていた

『ストレスで毛が生えないし
食べても吐いちゃうんです
急に悲鳴みたいな鳴き声も出すしストレスでしょう…
この仔犬はお勧め出来ません…』

そう言うとポメちゃんを
小屋に戻した

『抱っこさせて下さい!』
私は両手を伸ばしていた

No.6 09/04/14 04:04
ボニータ ( ♀ 16kZh )

『でも、この仔犬は
人間を信用して無いので
知らない人には噛むかも
しれません』
店員さんは私の目を見て言った

『噛まれてもいいです!』
私は手を引っ込め無かった

店員さんは
『判りました』
私にポメちゃんを
抱っこさせてくれた

『お~よちよち、、』
私が抱っこした瞬間
私の顔をポメちゃんは
ベロベロ舐めた

抱っこしたポメちゃんは
ガリガリで骨と皮だけ。
お尻の下に当てた
私の手には
ポメちゃんのお尻の骨が
尖る程痩せていた



No.7 09/04/14 04:14
ボニータ ( ♀ 16kZh )

私にしがみ付く
ポメちゃんを見て
店員さんは驚いた
『うちの店長は
噛まれるんですよ』

私はポメちゃんの顔を
見つめた
【私が幸せにしてあげたい…】


『私が飼い主に成ります。
このポメちゃんを下さい』
私は決して生き物を
衝動買いする性格ではない
でも
この仔犬が運命の犬だと
強く強く感じた

店長さんは驚いた
そして悲しい言葉を言った
『でも…

No.8 09/04/14 04:24
ボニータ ( ♀ 16kZh )

『でも…
この仔犬は
長く生きれるか判りません。
仔犬がご飯を食べないのは
命取りです。
生きてる間、
顔の毛は生え無いでしょう…
疎らな毛は一生
このままかもしれません

ペットショップの掛かり付けの
お医者さんに言われたらしい。

『では、何故この仔犬は
売られているんですか?』
私が聞くと

『店長が…』
店員さんは小声で
言いにくそうに店長の方を
チラッと見た

…とても正直な店員さん

No.9 09/04/14 04:45
ボニータ ( ♀ 16kZh )

>> 8 『大丈夫です!
私は最後迄責任持ちます』
私はぎゅっと
ポメちゃんを放さなかった

『…判りました!
有難うございます』
初めて店員さんは笑ってくれた

そして契約書
血統書の手続き
3ヶ月以内に死亡したら
お金の返金保証が有る…
と言う紙を渡された
私は
『絶対3ヶ月以内に
死なないので
この紙要りません』
若かった私は強気に
死亡保証書を拒否した

手続きが終わり
お金を支払う時に
店長さんが来た

『わざわざ死にそうな犬を
買うなんて優しいね~』

私はムッとした
『この仔は死なないし
優しいから
買うんじゃ有りません!
この仔犬がいいんです!』

No.10 09/04/14 05:05
ボニータ ( ♀ 16kZh )

店長さんは
『あ、、そ、
そうだよね、そうだよね
ごめんね。ごめんね。』

とサービスにポメちゃんを
入れて帰れる
立派な持ち運びゲージをくれた

『有難うございます』
私はゲージには入れず
服に隠す様に抱っこして
タクシーで帰る事にした。
ゲージと餌とペットシートと
仔犬を抱えて
大荷物に成った
帰り道ポメちゃんを
ゲージに入れるのが
可哀想な気持ちがした。

帰り道タクシーの運転手さんに
『猿?』
と驚かれた
『いいえ、ポメラニアンです』
ポメちゃんは
本当に仔猿みたいだった

No.11 09/04/14 05:26
ボニータ ( ♀ 16kZh )

『お母さん~ただいま~』

玄関迄母が出迎えに来た

『お帰りなさい~
…貴女、画材を買わないで
猿買って来たの?!』
母は目を丸ん丸くして
私が抱っこしてる
ポメちゃんを見た

『ちーチャン、
白いマルチーズが欲しいって
ずーっと
言ってたじゃない
ポメちゃんにしたの?』
母は本当に犬か
まだ凝視していた

『突然連れて来て
ごめんなさい…
でも、この仔犬が
私の運命の仔だったの!』
と母に言うと
『…判りました』

すんなり
受け入れてくれた

No.12 09/04/14 06:03
ボニータ ( ♀ 16kZh )

ダイニングにポメちゃんと
荷物を降ろして
私はソファーに座った

ポメちゃんは
良い仔にお座りして
凄く笑っていた
『なんて可愛いんだろう…』
私はこの時既に
親バカだ
可愛くて可愛くて仕方ない

このポメちゃんは生後4ヵ月
男の子
名前はスペイン帰りに肖り
【ボニータ】と名付けた

でも呼ぶ時は
ボーと呼んだ

部屋に入り少しすると
ボーはダイニングで
一周駆け回り
私の膝に戻り笑い
笑いながら又
ダイニングを走り回った

始めて逢った犬なのに
昔から居る様な空気だった

No.13 09/04/14 06:20
ボニータ ( ♀ 16kZh )

そしてボーは
私に金魚のフンの様に
付いて来る

ガリガリで体重が軽いからかピョンピョンジャンプしながら
ボーは走る


私はトイレに行こうと
はしゃいで疲れて
床に横に成った
ボーの顔前を通過しようと
した時…

『ヴー!ガウガウ!!』
私は足を噛み付かれた
私も母も驚いた
始めて私はボーに
噛み付かれた

母は
『ガリガリだし
毛もパサパサでハゲてるし
噛み付くんじゃ
返して来たら?』
と言った

私の足からは
少し血が出ていた

No.14 09/04/14 06:36
ボニータ ( ♀ 16kZh )

でも私は
不思議と噛み付かれた
理由が判った気がした

【もしかしたら
虐待されてた飼い主に
足で蹴られてたから
足が怖いのかもしれない…】

本当の理由は判らないけど
理由が無くて
噛み付く筈が無い

ボーを見たら
私に噛み付いた事で
怯えていた

私はすぐ抱き締めた
『大丈夫だからね…』

私はボーを絶対叩かない
信頼関係が出来る迄
絶対に怒らないと決めた

ボーに足りないのは愛情…
抱き締められた
ボーは涙を流していた
『犬も涙流すんだ…』

私は母に言った
『ボーは愛情が
足りないだけだから
お母さん、
2度と返してくれば…
って言わないで』
そして
ペットショップで聞いた
ボーの説明を母にした。

母は2度と
返してくれば…って
言わなかった

No.15 09/04/15 00:19
ボニータ ( ♀ 16kZh )

そんな母は
元々犬は好きでは無い。

どう扱ったら良いか
判らないと言った感じだ

私は子供の頃から
犬が欲しいとずっと
念仏の様に言っていたが

『大人に成ってから
飼いなさい』
母はそう私に
言い続けていた

そして念願の犬が
やって来た…

私の思い描いていた
白いマルチーズでは
無かったけど

何故だか私には
この仔犬が運命の犬だとしか
思えなかった

No.16 09/04/15 00:30
ボニータ ( ♀ 16kZh )

さて、
ボーにご飯をあげないと…

カリカリをお湯でふやかして
あげて下さい
でもきっと
吐いてしまうので
気長にあげて下さい

と言われていた

私は膝の上にボーを乗せて
ふやけたカリカリを
手であげてみた

ボーはお腹が空いてたらしい
凄い勢いで完食した

『ゲフー』
ボーは可愛いゲップをした

ガリガリの体に
お腹だけポンポンに成り
私はお腹をずっとさすって
吐かない様に念じていた

するとボーは眠ってしまった

No.17 09/04/15 00:42
ボニータ ( ♀ 16kZh )

私はお風呂に入り
ボーとの未来を考えていた
私はボーが来てくれて
嬉しくて堪らない


すると突然母が
血相を変えて飛んで来た
『ちーちゃん、大変!
早く来て!早く!』


私は身体も拭かずに
急いでボーの処に行った


ボーは寝ている

でも…
『ヒュン!ヒュン!
キューイ、キューイ…ガルガル…』

南国のオウムみたいな
声を出しては唸り
前の足はピーンと伸び
カクカクと痙攣している


『ボー!大丈夫?!』

私はボーを抱き上げ様とした


ガブ!
又噛まれてしまった

No.18 09/04/15 00:52
ボニータ ( ♀ 16kZh )

ボーは悪い夢を
見ていた様だった

噛んだ瞬間私と判り
夢から覚めた様子で
何だか申し訳成さそうだ

ボーは目をシバシバし
優しい顔に戻った


私はボーに頬をよせてキスをした

どれだけ人間に
虐められたんだろう…

可哀想で私は涙が出た

ボーは私の涙をペロペロ
必死で舐めてくれた

No.19 09/04/15 01:06
ボニータ ( ♀ 16kZh )

翌日


『おはよ~』
私がダイニングに行くと
母は猫じゃらしで
ボーと遊んでいた


2本足でボーはピョンピョン飛び
その姿はやはり
仔猿ソックリだった


ボーは私に気付くと
凄い勢いで
飛んで来たと思ったら
ウンチをした

下痢もせず良いウンチで
私は安心した


どうやら
吐いてもいないらしい

頭が良い様で
トイレもオシッコシートに完璧だった
私はボーを
褒めて褒めて褒めまくった

そんなボーは家の中で
ずーっと笑っていた

No.20 09/04/15 01:15
ボニータ ( ♀ 16kZh )

ボーを抱っこして
ボーの顔をマジマジ見た


どうしたら
こうなるんだろう…

と言う位
顔はハート型に
毛が一本も生えていない


犬にしてはお鼻も低い
目も小さい
ハゲも有る


でも私には全てが可愛くて
愛しくて
生きてくれてるだけで
充分だった


何故ここまで
特別な感情が有るのか
不思議な程だった

No.21 09/04/15 01:34
ボニータ ( ♀ 16kZh )

ボーが来てくれて
1週間後…


ボーは1度も
食べた物を吐かず
病気もしないで
【ガリガリ】から【ガリ】位に
体重も増えた


そして奇跡が起きた!

私の掛かり付けの
獣医さんにも
『根毛が無いので顔の毛は
一生生えないかも
しれませんね』
と言われていた

しかし!

顔にポツポツ毛が生えて来た
ハゲにも同様
ポツポツ毛が生えて来た


チョット毛が生えると
【仔猿】から【アザラシ】
にソックリだった

でも毛が生える事は嬉しい

ボーに頬寄せて
『良かったねぇ』
『良かったねぇ』
小躍りをすると
ボーはカハカハ笑っていた

No.22 09/04/15 01:58
ボニータ ( ♀ 16kZh )

私はこの時
婚約をしていた

キャバクラで働いていた時の
お客様だ

このお客、婚約者は
【春彦】と言う名前だ

春彦は私に
とにかくベタ惚れだった

そして凄いお金持ち。
スペインに行くお金や
当時住んでた
家賃55万円も払ってくれていた

逢う度にお金や宝石
プレゼント品は100万単位。
食事は帝国ホテル。

何より私にベタ惚れで
楽だった

私は母に楽をさせたい
理由だけで
結婚を呑んだ

仕事は
外務省と言われていた

でも
この生活は
長く続かない

激動波乱の人生の
幕開けだった

そして
ボーが居なかったら
私は今
生きていないかもしれない

No.23 09/04/16 01:38
ボニータ ( ♀ 16kZh )

この春彦と言う男
実に胡散臭い。

婚約しといて
他人事みたいな事を
言わせて貰うが
今考えれば全てが変だった

出会いはこうだ


私は池袋の有名キャバクラで
働いてた

当時【ナイタイ】と言う
風俗誌が有り
キャバクラの枠で毎回の様に
自分は載っていたので
雑誌指名も多かった

ある土曜日
雑誌指名で春彦は来店した

『ご指名です』

No.24 09/04/16 01:51
ボニータ ( ♀ 16kZh )

私は当時売れっ子なので
土曜日となると
1時間に5分~10分しか
ご指名でも席に着けない

『ご指名有難うございます』

春彦は私の顔を見て
一瞬ビックリしていた
春彦は口下手で
あまり話さない

するといきなり札束を出した
『ラスト迄延長するから
これで居させて欲しい』

この日から春彦は
毎日店に来る様になった


毎日店に通うある日
春彦は私を誘って来た

『ホストクラブでも一緒に
行きませんか?』


『ホスト?』

No.25 09/04/16 02:06
ボニータ ( ♀ 16kZh )

当時の私は
ホストクラブに行った事が無く
本気で、店の近くに有る
ファミレスのロイヤルホストかと
思ってしまった


『いいですよ、私
ステーキ食べたい気分です』

『?』
春彦の頭の上には大きな
ハテナが有る感じだったが
私とのアフターに喜んでいた


店が終わり
丸井の前で待ち合わせをした


『お待たせ致しました』
私が行くと
タクシーでは無くハイヤーの中で
春彦は待っていた

『お疲れ様でした』
春彦はサッと降り
ドアを開け私をエスコートした

『いつも接客してので
接客されて気晴らしして
下さい』
春彦はそう言うと

『新宿まで…

No.26 09/04/16 02:22
ボニータ ( ♀ 16kZh )

『新宿…?』
私は首を傾げて
春彦に言った


『ああ、これですよ
1度行ってみたいと
思ってたけど男1人じゃ
行きにくいですからね』
春彦は
ナイタイの新聞を広げ指を指した
【愛本店】


『ホストクラブ?!』
私はやっと分かった
ロイヤルホストと勘違いしてた事は
言わない事にした


新宿歌舞伎町のホストクラブ
愛本店に到着した


私は始めて春彦と
ホストクラブの階段を降りた


『いらっしゃいませ~

No.27 09/04/16 02:34
ボニータ ( ♀ 16kZh )

金ピカでピカピカな店内
生バンドを背に
お客さんとホストが踊っている

多分私は口を開けて
ぼーっと見てたに違いない

『ご来店有難うございます
ご指名は?』


有る訳が無い。
始めて来たお店だ

『フリーでお願い致します』
私は貰ったオシボリで
手を拭きながら答えた

すると店員は
『お飲み物は
何に致しますか?』

春彦はすぐ答えた
『ドンペリ3本』


『!!しょっ…少々
お待ち下さい』
店員が厨房に走った

…と思ったら今度は
テレビで見た事が有る
社長が出て来た

『ようこそ…

No.28 09/04/16 02:53
ボニータ ( ♀ 16kZh )

ニコニコした社長さんは
私にお辞儀をして
春彦の隣にピタッと座った

すると社長は小さな声で
『当店は…1…なの…
に…成りますが…』


勘の良い私は
料金の説明をされてると
すぐに分かった


『はい、大丈夫ですが
3本は無理ですか?』
春彦は私の手前だからか
大きな声で言っていた


『大変失礼致しました
冷たいのを
ご用意しますので
1本ずつお出しします』
社長は軽く手揉みをし
従業員に指示を出した


すると最初に着いていた
ホスト達は乾杯の前に
『失礼します』
と席を立ち

違うメンバーに
入れ替わっていた



『乾杯~

No.29 09/04/16 03:08
ボニータ ( ♀ 16kZh )

入れ替わったホスト達は
一瞬で立場の偉いホストと
判った


ホストクラブに来て
こんな事を言うのも変だが
私はホストとバンドマンだけは
恋愛対象に成らない

私の頭の中はそんな
仕組みに成っている


でも、接客されるのは
勉強に成るし
良い気晴らしだった


春彦はホスト達の前で
私に言った
『好きなホストを指名して
下さい』

…結構失礼な話だ

席に着いてるホスト方は
偉い立場の人間と判る


私は2度と来ないと思い
『今着いてる3人
このまま指名をお願い
致します』

ホスト達は顔を見合わせて
喜んでいた

No.30 09/04/16 03:50
ボニータ ( ♀ 16kZh )

私の思った通り
指名した3人は幹部や
派閥のトップだった


指名を入れた事は
成功だった
ホスト達は指名からか
終始楽しい話は
途切れ無い。


春彦は大満足の様で
『また一緒に来て頂け
ますか?』
と上機嫌だ

結局ラスト迄飲んでしまった



私は
『御馳走様でした
おやすみなさい~』
春彦に営業スマイルをして
タクシーに乗った


ホストクラブなんて
正直私は1度で充分。

仕事が終わったら
帰って早く
眠りたいからだ

私は
指名の為にアフターや同伴は
馬鹿馬鹿しいと
冷めた考えの持ち主だ

同伴やアフターしないと
お店に来ないなら
どうぞ来なで下さいと
頭を下げたくなる

そう、私はいつも
何処か冷めている

子供の頃から考え方が
冷めていた

だけど唯一
心の底から好きなのは
【犬】だった


犬の事だけは熱く成れた

No.31 09/04/16 04:06
ボニータ ( ♀ 16kZh )

翌日


お店の店長に出勤早々
呼ばれた

『昨日、店終わった後
愛本店に行っただろう?
困るよぉ』

!!??
何故かバレていた

『はい、アフターで
ロイヤルホストとホストクラブを
間違いました』

店長は一瞬吹き出して
続けて言った
『貴女は有名なんだから
そんな処に行ったら
噂はすぐ広まるし
イメージが悪くなるから
今後気を付けなさい』


『はい判りました』
と言う私は
小さくガッツポーズをしていた

次誘われても
断る理由が出来た


お店のバックで
化粧をしていると
すぐ指名が入った


『いらっしゃいま…

No.32 09/04/16 04:36
ボニータ ( ♀ 16kZh )

指名のお客様は
昨日の
愛本店指名ホスト3人だった


うちの店は
ホスト、ヤクザ、サンダルは
入店禁止だ

でも3人は髪は黒く
ホストには見えないと
言えば見えない

入口の厳しい入店チェックを
クリアして入って居た


『あれ?でも…どうして?
お店が判ったんですか?』
私は昨日、
自分のお店処か名前さえ
言わないでいた

3人は顔を見合せて
『入って来た瞬間から
何方様か判りましたけど』
そう言っていた

ナイタイはホストの
愛読書の様だった


3人は昨日のお礼を
言いに来ただけと言う

凄い営業熱心だ
ホストはホステスの何倍も
頑張っている事が判った


『わざわざ御親切に
お時間を割いて頂き恐縮です』
私は頭を下げた

すると
春彦が来店して来た

春彦の知り合いだと
言う事にして
同じ席に座らせた


春彦は上機嫌で
お酒を飲んでいた

No.33 09/04/16 04:54
ボニータ ( ♀ 16kZh )

ホスト達は3時間で帰った

残った春彦は
『良かったら今日も
仕事が終わったら新宿に
行きませんか?』
と言って来た


春彦は外務省って
言ってるけど
そんな行動…何か変だな

でもキャバクラに来る常連様は
何か変わってる…

少し変わって無いと
大物に成れないのかな?
…と解釈してしまった


春彦には
店長にホストに行った事を
注意された事を話した

『そうですか
すみませんでした…』
春彦は私に何度も
謝って来た


沢山お金を遣って頂いてる
のに一生懸命謝ってる春彦を
良い人なんだと
思い始めてしまった


全部嘘だと知らずに

No.34 09/04/16 13:31
ボニータ ( ♀ 16kZh )

その日を境に
春彦とのアフターは増えた


来てくれてる情と
控え目な態度の春彦に
好感を持っていた


でも最近体調がおかしい
腰が鉛の様に痛い…


ある日
アフターの最中、新宿の
かに道楽で倒れてしまった




どれくらい眠ったのだろう

目を開けると
真っ白な天井
広い部屋…

新宿ヒルトンのデラックスルームだった


部屋を見渡すと
春彦はスーツを着たまま
ソファーで寝ていた


私も着衣の乱れは無い


私はアフターの最中
倒れた事を思い出した

『春彦さん、春彦さん』
私は声を掛けると
春彦はカバッと起きた


『大丈夫ですか?
無理をさせて
すみませんでした!』
春彦は謝って来た

No.35 09/04/16 13:52
ボニータ ( ♀ 16kZh )

私は起き上がろうとした時…

『痛い!!!』
あまりの激痛に泣いてしまった


腰の痛さが
ただ事では無い。


『病院に行きましょう!』
春彦はホテルの従業員を呼び
隣の東京女子医大に
連れて行く助けを呼んだ

車椅子に私を乗せて
物々しく裏口から
病院に運ばれた


病院に着くとすぐに
尿検査、血液検査、熱を調べた
熱は42度

すぐに病名が判った


【腎盂炎】


余り馴染みが無い病名…

私も始めて聞いた


最近で言うと
飯島愛さんも苦しんでいた
病気だ


白血球と赤血球の数が
異常な数値に成り
腰の痛さは腎臓で
悲鳴を上げる程痛い


お医者さんは言った

『このまま入院です』
子供、産めなく成りますよ

すぐに抗生物質の点滴をされ
私はまた眠ってしまった


話をする事も
しんどい…

No.36 09/04/16 14:13
ボニータ ( ♀ 16kZh )


私は昔から不思議な癖が有る

辛い時、しんどい時
犬の事を考えると落ち着く

いつか出逢える犬を想像すると
安定剤の様に心が落ち着くのだ


点滴の最中夢を見た

私の前を走る
仔犬を追う夢だ

今考えると不思議と
その仔犬はボー、
そのものだった気がする


春彦は私の容体を心配し
会社に行っては
病院に来た


倒れて24時間経った頃

やっと私は物事を考えられる
状態になれた

幸いにも
働いているお店は
自分は公休日だった


でも入院は出来ない
どうしよう…

考えて居ると
小走りで春彦が
私の病室をノックして入った


『少し元気に成りましたか?』
春彦は
甲斐甲斐しく私を看病した

『お店、暫く休んで
入院して下さい』
春彦は言った。

No.37 09/04/16 14:31
ボニータ ( ♀ 16kZh )

『でも…』
私は視線を下に落とした


すると春彦は
『失礼かも知れませんが
お世話をさせて下さい
お店のお給料分は僕が全部用意します!
入院費も全て…
だから心配しないで下さい』

病人に成ると
人の優しさが倍にも
身に染みる


現実的にも私は
外出禁止な程様態も悪く
歩く事も不可能だった


春彦は
隣のヒルトンホテルにそのまま
私が入院中住む事に成った

お店へ入院の事を伝えると
想像とは違い
体を心配され
快く入院の承諾を貰った


私は社会人に成ってから
始めてゆっくり
休む事が出来た


私は18歳で
水商売を選んだ理由が有る

No.38 09/04/16 14:56
ボニータ ( ♀ 16kZh )


私は母子家庭だった
父の酒乱が原因で家庭崩壊

幸せな家庭を
私は微塵も知らない


母1人子1人
ボロボロの家に住み
給食費は払えず
お昼は家に帰り
自分で芋を蒸かして
食べていた

母は働いてはいたが
精神が弱く
いつも真っ暗な部屋で
寝ていた


私は男子に
『貧乏、貧乏』
と虐められた

でも私は負けなかった
虐めて来る男子に股がり
『貧乏だけど
お前に迷惑掛けて無い!』
対等に戦っていた


そんな私は
子供の頃から
母に楽をさせたかった


母の笑った顔が
見たかった


私は高校迄
行かせて貰ったが
親戚から援助をされて
生きて来た


私は美術の教師に
成りたかった夢も有った

でも大学に行ってる
場合では無い


早く働いて
親戚にも借金を返し

母に楽をさせたかった


高校を卒業すると
フロムエーを見て寮付きの
ホステス募集に電話した


私は借金を返しながら
母に仕送りをした

夢中で働いていた

恋愛もしなかった

走り続けて3年…

21歳の時に
入院では有ったが
やっとゆっくり
休む事が出来た…


No.39 09/04/16 15:39
ボニータ ( ♀ 16kZh )

入院をしている間
春彦は毎日私の世話をした

私は春彦を
信用してしまった


病気も徐々に良くなり
お店の復帰を考えていると…

春彦は
店に戻って欲しく無い…
と言い始めた
すると
『結婚して下さい』

大きなダイヤの指輪を
差し出され
春彦は土下座をしていた


私は言った
『私は母と同居
してくれる方で無いと
結婚出来ません』


春彦は土下座したまま
『同居させて頂きます!
一生幸せにします』


因みにこの春彦
当時42歳
私と21歳年が離れていた

今考えると、この状態
チョッとしたSMクラブの様だ

私を女王様扱いだった


私は正直言うと
春彦に恋愛感情は無い

でも…結婚すれば
母を楽にさせる事が出来る

それだけ

それだけが理由で
結婚にOKを出した

『判りました
結婚をお受けします』


春彦は泣いて喜んだ

私は全く
何の感情も湧かず
ただ春彦を見ていた


私はこんな場面でも
他人事の様に冷めていた



これが
春彦と出逢い
結婚に至った理由だ

No.40 09/04/16 15:59
ボニータ ( ♀ 16kZh )

結婚が決まり

店は
病気を理由に退店した


私は結婚前に
『スペインに行って
ガウディの建築物を見て
絵の勉強がしたいです』

学生の頃に到底出来ない
我儘を春彦に言った


婚約した春彦は
益々私の言い成りだった


母と超高級マンションに
住ませて貰い

スペイン留学

帰国して

桜のツボミが膨らんだ季節に
ボーに出逢った

運命の愛犬

私は幸せだった

ボーは
私と暮らしてから
みるみる元気に成った


私は贅沢な冷めた暮らしより
ボーと出逢えた事が
最大の幸せだった

ボーの事に成ると
私は
心の底から心配し、感動し

人間らしい感情と
私に笑顔を与えてくれた

どんな高価なプレゼントも
ボーより大切な物は
私には何も無かった

No.41 09/04/16 16:11
ボニータ ( ♀ 16kZh )


ボーが来てくれて
1週間…


私の恋人はボーかと思う程
ボーが大切だった


ボーも
始めてデパートで逢った時の
淋しそうな顔はもうしない

いつでも何処へ行くにも
ボーを連れて歩いた

頬寄せて…

毎日毎日
ボーに頬寄せて…

私は
毎晩寝る前
神様にお願いをした

『私は何も要りません
ボーを長生きさせて下さい…』


そして2週間後

又奇跡が起きた

嬉しい奇跡だ

No.42 09/04/17 09:41
ボニータ ( ♀ 16kZh )


『うわぁ
可愛いポメラニアンですね~』

犬好きに声を掛けられる


そう

散歩をしていると
ポメラニアンと判る位に
ボーの毛は生え揃って来た


家に来て1ヵ月弱
ボーは立派な
ポメラニアンに変身した

お医者さんに
毛が生えないと言われた
顔にもクリーム色の毛が
生えている


誰が見ても
デパートで逢った仔猿は
想像出来ないだろう


でも
ボーは心の傷を忘れない


前の飼い主に虐待されてた
であろう
恐怖の顔を時々私に見せる

『大丈夫、大丈夫』

私はそんな時は決まって
ボーに頬を寄せてから
抱き締める


私も子供の頃に
沢山心に傷を負っている

もしかしたら
私はボーの背景に
自分自身を見ていたのでは
なかろうか


私もボーも
お互いが居なかったら



運命の出逢いに感謝しない日は
無かった

No.43 09/04/17 10:14
ボニータ ( ♀ 16kZh )

ポストに1通の手紙が届いた

【血統書】

後日送られて来ると
言われていたボーの血統書だ


私はボーが
雑種でも何でも
ボーで居てくれれば良い


余り興味が無いが
ボーの出生が判る
人間の戸籍標本みたいな物
開封してみた

『?』
でも全て英語でイマイチ判らない
ボーの目薬を貰うついでに
動物病院に血統書を持参した


私は先生に血統書を見せた
『今日届いたんですよ』


先生はまず
毛が生え揃い
可愛く成ったボーに驚いた

先生は
『やはり愛情に勝る薬は
有りませんねぇ
良かった、良かった』

そして
血統書に目を通した

『ボニータ君のお祖父さん
チャンピオンですね』


何だか判らないけど
ボーは血筋の良いポメラニアンらしい


血筋がいくら良くても
仔犬の時に虐待されていたら
意味が無い


血統書と言うのは
所詮紙切れで


育った環境
生きて行く過程が大切な事を
感じた



すると
自分に疑問が生まれて来た

好きでも無い男性と
今後生涯共にする私は
どうなんだろう


春彦の存在が鬱陶しく
思い始めていた頃だった

No.44 09/04/17 10:52
ボニータ ( ♀ 16kZh )

春彦とは
その年の8月に椿山荘で
結婚式を挙げる予定だった

今は4月
結婚式迄あと約4ヵ月…


変な話に成るが
春彦とは一度もSEXはおろか
キスもしていない


キャバクラのホステス時代
一度も他のお客様とも
エッチをする関係に
成った事が無い


自分で言うのも変だが
私は切り抜けるのが上手い

しかし
婚約してる春彦と
まだエッチをして無いのは
どうなんだろう…


その頃…
春彦は新居のパンフレットを
集めてるから好きな家を
選んで欲しい
と言う時期だった


2億位ならすぐ買えると
私に電話で熱く語る


でも特に嬉しくない
『あそぅ…判りました』

私がそっけなく
電話を切ると
すぐ掛け直してくる
『2億じゃ不満かな?
3億位なら大丈夫?』


そんな態度の春彦に益々
嫌悪感が募る


私は好きな人と結婚したい…

春彦とSEXすれば
春彦を愛する事が
出来るかもしれない…


私は春彦に
抱かれる決心をした


そして私はSEXを目的に
春彦を誘う事にした

『春彦さん
お泊まりがしたいので
帝国ホテルに予約お願いします』

春彦は3回
『はい!』と言った



私は春彦に抱かれる日
真っ赤なドレスで
帝国ホテルに向かった

No.45 09/04/19 21:56
ボニータ ( ♀ 16kZh )

『帝国ホテル迄
お願いします…』

タクシーに乗り込み窓外を見た

この日流れ行く景色は
ぼんやり見える


真っ赤なドレスとうらはらに
私の心は暗い…


好きでも無い男性と
結婚を背負う私は

抱かれると言う事に
覚悟をせねば成らない…


一筋涙が落ちる


何故悲しいのかさえ
判らない
これ以上涙が落ちない様
上を見よう…



タクシーは見馴れた
帝国ホテルに到着した

私は気を引き締める


遅いのだろうが

この日が私にとって
春彦に向き合った
最初の日なのかもしれない

No.46 09/04/20 11:20
ボニータ ( ♀ 16kZh )

私はドレスの裾を
片手で少し持ち上げながら
1Fのカフェを見渡す



春彦はスーツ姿で眼鏡を掛け
英字新聞を読んでいる

これがいつもの
待ち合わせスタイルだ

春彦は
何時に待ち合わせても
必ず先に来ている


『春彦さん
お待たせしましたか?』

私は春彦の斜め後ろから
声を掛ける


『いえ…』

読んでいた新聞を2つに折り
私を見る



『綺麗ですね
そのドレスもとても似合ってる』

春彦はお世辞を言う

そしてフレンチでフルコースディナーを頂き
さよならする


いつものデートは泊まらず帰るが
今日は違う

今夜
私はこの男性に抱かれる

春彦は私の決意を
知らないまま
いつものフレンチレストランへ
私をエスコートした

No.47 09/04/20 11:58
ボニータ ( ♀ 16kZh )

いつも座る席に通され
シェフが挨拶に来る

春彦は
お勧めの料理をシェフに任せると
何か耳打ちをした

次は飲み物だ
『今日は何飲まれますか?』

私は夜の事を考え
お酒は控えたかった
今日はエビアンが良いと
言おうとした時

春彦はすぐ
『彼女のドレスに合うワインを』

満足そうに言ってのけ
私に前のめりに話をする

思わず愛想笑いをする私


すると春彦が言った
『今日は何だか
雰囲気が違いますね』

『何故そう思います?』
私は問い返した

すると
『何か考えてますか?』

春彦は何か勘付いてる

それなら話は早い
『今夜を楽しみにして下さい』
私は謎掛けた

するとワインが運ばれて来た

グラスに注がれたワインは
私のドレスの様に赤い

春彦は注がれたワインのグラスを
少し上に挙げ
『乾杯』
上機嫌に笑った

No.48 09/04/20 12:28
ボニータ ( ♀ 16kZh )


食事を終え
次はデザートだ

デザートと紅茶を終えれば
私達は部屋に行く

私は春彦の指を見た

意外とゴツゴツした男らしい
手をしている

この手で触られるのか…
私は春彦を少し男性と意識した


私はこの頃
ダークチェリーをリキュールで火で炙り
白いアイスに掛けるデザートが
大好きだった

そのデザートはテーブル席で作る
用意に少し時間が掛かるのだ


そのタイミングで
黒スーツのホテルの方が
深紅の薔薇の花束を抱えて来た

私の前で止まる

『お連れの方からです』

100本有る薔薇の花束は
春彦がさっき
耳打ちして頼んで居た様だ

春彦はこんなプレゼントを私に
よくしてくれた


でも…
私は嬉しく無い

贅沢なプレゼントは
私の心に負担を掛ける

喜ばない私の態度に
春彦は熱く成る

悪循環だったのかもしれない


綺麗過ぎる花束を横に
デザートを終え

話に夢中に成る春彦に

『お部屋に行きましょう』
私は話を折り
立ち上がった

『そうですね』
春彦は花束を抱え
私達はレストランを後にした

No.49 09/04/20 13:29
ボニータ ( ♀ 16kZh )

チーン…

エレベーターに乗り
『御馳走様でした
それと花束有難うございます』
私はお辞儀する

春彦は私に言う
『…余り
心配させないで下さい…』

私は意味判らず首を傾げる

『綺麗に成られると
自分と釣り合わないと不安に成ります…』

春彦は少し怖い顔で
『心配と不安で
狂いそうに成ります』
言葉を付け加えた

私は春彦のそんな気持ちを
知らなかった

私は言葉を探せない

無言のままエレベーターを降りた

『この部屋です』
春彦は私に部屋の鍵を渡した

『え?』
部屋は隣合わせに
2部屋用意されていた

『明日朝食食べたい頃コールして下さい…』

春彦は私に花束を差し出す

『春彦さん…
お部屋で薔薇に水をあげてから
春彦さんのお部屋に行っていいですか?』
私が言うと

『勿論です』と笑った

私は自分に割当てられた部屋の
バスハブに水を溜め
花束の底を切り水に入れた

私は化粧を直し
髪をアップに束ね
春彦の部屋のドアを叩いた

No.50 09/04/20 13:52
ボニータ ( ♀ 16kZh )

春彦は
スーツを着たまま私を出迎えた

『先程、大人気無い事を言って
すみません…
少し酔ったみたいです』

バツの悪い
言い訳みたいに言う


私は無言で電気を消した

『春彦さん
私の背中のリボン
ほどいて下さい』

このドレスは
背中が編み上げのリボンに成り
自分で脱げない

春彦は固まっていた

『私の体は興味無いですか?』

私はベッドに斜めに座り
春彦を呼ぶ

春彦は電池切れのロボットの様に
ゆっくり来た

こんなに近く
春彦の側に寄った事も
始めてだ

背中のリボンをほどく
春彦からは
エタニティの匂いがした

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