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空を見上げて

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りのあ( ♀ ij0Bh )
09/04/05 21:03(更新日時)

…パパ



これから
美月のもとへ
行きます


逢えるかは
わからないけれど…



お義母さんにも
美月にも
逢えるかな…?



優月をよろしくお願いします



…ごめんなさい

No.1159197 09/02/22 14:28(スレ作成日時)

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No.201 09/03/11 11:10
りのあ ( ♀ ij0Bh )

痛みに負けてしまいそうになる


『赤ちゃんも頑張っているんだよ! お母さんも頑張って!』


…優月も頑張っている

優月もこの世に産まれたいと今必死なんだ


美月の時は

産む

というより

無理矢理出す


そんな感じがして
痛みに加えて
気が狂いそうな悲しみがあったが


優月は

産むんだ……


私と優月が力を合わせて………



その瞬間光りが見えてきて
私は最後の力を振り絞った



頭が出てきて
続いて身体が出てきた

痛みは一瞬でひいた



『高森さん 赤ちゃん産まれましたよ!』


助産師さんに取り上げられた優月は
急いで身体を拭いてもらう


………フ


………フギャ


…………フギャア



…優月が産声をあげた


『女の子ですよ! おめでとうございます』


私はただ感動して
言葉もなく泣き続けた

元気な産声


おめでとうございます

祝福の言葉


あの時
どんなに望んでも叶わなかったこの光景


あの時の事が思いだされて
あの辛さと
今ある幸せがゴチャまぜになって
ただただ泣いた



修一もやっぱり泣いていた

No.202 09/03/11 14:27
りのあ ( ♀ ij0Bh )

21時02分


3451㌘


優月は産まれた


戸籍では高森家の長女

でも私と修一にとっては次女


身体を拭かれた優月はタオルのようなものに撒かれたまま
まだ分娩台の上で横になっている私の胸の上に抱かされた


初乳をあげるのだ



一生懸命私の乳首に顔を近付けようとする優月


……なんて愛しいんだろう


涙がとまらなかった



小さな目を開けた


美月の固く閉じた小さな目は
一度も私と修一を見ることもなかった



優月はその小さな瞳で初めて見る
この世界の光りを感じているのだろう


小さな唇

小さな瞳

小さな手


そのどれもこれもが
ただ愛しくて





という事はこんなにも尊いものなのかと
ただ泣いた



幸せの涙を流す時


そんな美しい涙を流すことは
一生のうちに一体何回あるのだろうか…



修一もまた
ただただ優月を愛しんでいた


優月を見つめるまなざしは
今までに見たこともないような
穏やかで優しい
幸せに満ちあふれたまなざしだった



分娩室で2時間ほど産後の経過を見ることになった私は
痛みと緊張から解き放たれた事でまたすぐに眠りにおちた

No.203 09/03/11 16:56
りのあ ( ♀ ij0Bh )

優月はキレイにしてもらってから
病室で待っている高森の両親の元へ連れていかれたようだった


スヤスヤ幸せそうに眠る優月を
高森の両親は本当に嬉しそうに
大事に大事に
優しく抱いていたらしい


『すっかりおばあちゃんとおじいちゃんの顔になっていたよ』


修一が後で笑いながらそっと教えてくれた



みんなが幸せだった


…これからは
ずっと幸せなまま
家族3人で歩いていける


心底そう思った



この先何があっても
修一と優月と一緒なら
どんな事でも乗り越えていける…


そう信じて疑わなかった


みんなが帰った後も
軽い興奮状態だった私はなかなか寝付けなかった



病室のカーテンを開ければ
昨日と同じく
美しい月が私達を照らしている



…美月


妹が産まれたよ…


優月っていうの


あなたにそっくりな女の子よ


どうかお空から
ママとパパと妹を見守っていてね……



私は優月を抱きながら
美しい月に祈り続けた


優月のこれからの幸せと

決して美月を忘れたわけではないことも…


私の気持ちが届いたかのように
消灯時間をとっくにこえて真っ暗な部屋の中の私と優月を
月は優しく照らしていてくれた

No.204 09/03/12 16:44
りのあ ( ♀ ij0Bh )

翌日

母がお見舞いに来てくれた


母は無事出産できた事をとても喜んで
優月を大切そうに抱っこしていた



そのまた翌日には弟もお祝いにきてくれた


新生児への感染防止のため
中学生未満の子供は病室には入れない決まりだったので
弟1人だけでお祝いにきてくれた



叔母のあの葬儀の時から
弟との関係も少しギクシャクしていて
病室でもあまり会話もなかったが


『姉ちゃんに似てるな』

寝ている優月のホッペを指で優しく撫でてくれた



高森の両親は毎日優月に逢いにきていたし
修一も職場からまっすぐこちらに来てくれていた



オムツ替え
授乳
着替え
すべてが初めてで
少しでも私が力をいれてしまったら簡単に折れてしまうんじゃないかと思うほどの
小さくて細い腕… 足…


ゆっくり慎重に
慣れない手つきで
優月の世話をする



夜中の授乳は寝不足になって大変だったけど
それでも育児できる喜びで心は満たされていた



沐浴指導は
聞き逃さないように何枚もメモをとった



退院してからも
私はとにかく優月を無事に育てることだけに必死だった



もしかしたら
人よりも何十倍も神経質になっていたかもしれない

No.205 09/03/12 19:13
りのあ ( ♀ ij0Bh )

お義母さんが手伝いに来ていてくれた頃はまだラクだった


家事はお義母さんが全てやっていてくれたから
私は優月の面倒だけを見ていればよかった


お義母さんは三食きちんと栄養バランスの整った食事を作ってくれた


お義母さんの食事のおかげなのか私の母乳もたくさん出るようにもなってきた


冷凍食品やレトルトは一切使わない食事


修一が冷凍食品やレトルトの食品を嫌う理由は
お義母さんの全て手作りの料理で育ってきたためだろう


お義母さんは掃除に洗濯、料理に加えて
修一のお弁当まで作っていた


そして家事の合間には

『優月ちゃんを見てるから千春さん少し昼寝して身体を休めて』


そういって優月を見てくれたりもした


それでいて家事は完璧

いつも明るくニコニコしていて………



とてもじゃないけど私はお義母さんにはかなわない………



お義母さんには感謝しても感謝しきれないほど感謝していたが
それとは別の黒い感情が湧きあがってきたのも事実だった



お義母さんを尊敬している

お義母さんのようになりたいと憧れもある



……でも


嫉妬もあった

No.206 09/03/12 21:56
りのあ ( ♀ ij0Bh )

修一はお義母さんがいる間は
ずっとずっと機嫌が良かった


夕食が終われば
自分からすすんでお義母さんの食器洗いを手伝っていた


妊娠していた時
修一が洗い物をしてくれた事は度々あったが
私が洗い物をしている時に
修一が一緒に手伝ってくれたことなんて結婚してから今まで一度もなかった


ニコニコ笑って楽しそうに話しながら食器を拭く姿



私には見せたことのないような笑顔


修一の全てを委ねているような
絶対的な信頼


その修一の全てを
受け止めるお義母さん


2人の間には
誰も入る隙間はない


疎外感を強く感じた



夫の実の母親に嫉妬するなんて
そんな事あり得ない


この光景を見るまでは
この2人の仲を感じるまでは

私だってそう思っていた


確かに修一はお義母さんに依存していると感じた事はあったし
お互い親離れ子離れできていない
それはいつも思っていた


でも

男はみんなマザコン

雑誌でも
テレビでも
そんな言葉を目にしたことがあったから


…そういうものなのか

そう自分に言い聞かせていた



お義母さんに嫉妬なんてする自分も異常の様な気がした

No.207 09/03/12 22:10
りのあ ( ♀ ij0Bh )

夕食の片付けが終わり
お風呂に入れば
またこたつでお茶を飲みながら
お義母さんと修一は仲良くずっと話していた

優月を抱きながら
2人の話しを黙って聞いている私は

ただそこにいるだけ

それだけの存在のような気がした



眠くなるまで何時間も話し続ける


よく毎日こんなに話すことがあるよね…


私が呆れるくらい
2人はずっと楽しそうに話していた


私とこんな風に毎日楽しそうに何時間も話すことなんてなかったよね…


修一は私と2人の生活だった時
仕事から帰ってきて
夕食とお風呂が済めば
パソコンを開いて
1人の世界に没頭していた


この2人の会話に比べたら
私と修一の会話なんてほとんどないに等しかった気がする



自分の家なのに
自分の家じゃないような気がして
2人を見ているのが苦しかった



それでもお義母さんがいてくれる事で私はものすごく助かっていたし
やはり感謝もしていたから
私は何も言わず気持ちを顔にも出さずに
ただ黙って2人を見ていた

No.208 09/03/12 22:26
りのあ ( ♀ ij0Bh )

お義母さんにいくら感謝をしていても
それが1ヶ月も続くとさすがに私のストレスにもなっていた


優月よりお義母さん


…それはあまりにもあきらかだった


この子が産まれたらどんなにかわいがるのだろう


優月が産まれるまでは私はずっとそう思っていたし
修一も

『俺は間違いなく親バカになる』

そう笑っていた


でも実際産まれてしまえば
特別かわいがっている様子もなく
私の思い描いていた理想とはまったく違っていた



優月が泣いていても

『千春 優月が泣いてる』

泣いてる優月をあやすわけでもなく抱くわけでもなかった



……修一の目に映っているのはお義母さんだけ


私でもなく
優月でもなく

お義母さんだけ……



妊娠中
私だけを見つめていてくれたあの頃の修一はもういなくなっていた


あまりにもその2人を見ているのが苦しすぎて
お義母さんがお風呂に入っている時に


『仲いいね。うちの母と弟とはまったく違うわ』


修一に一度だけ嫌味っぽく言ったことがある


『キミの育った家庭環境と一緒にしないでくれ』


修一はボソッとその言葉を吐き捨てた



修一の目はあきらかに怒っていた

No.209 09/03/12 22:59
りのあ ( ♀ ij0Bh )

確かに私の育った家庭環境は
決して人に自慢できるようなものではない


むしろあまり人には話したくないくらいの家庭環境だ


でも…環境の良い家庭で育った息子と母親の全てが
こんな修一とお義母さんのような関係だとはとうてい思えなかった


実家の母はよく

『千春も雅樹もちっとも連絡してこない』

そう言って怒っていた


『いくら可愛がっても息子なんて嫁さんをもらったらもうダメね。嫁さんの言うなりなんだから』


母や叔母からそんな話しを聞いたこともある

弟が母をないがしろにしている事に腹がたつ部分も実際多々あるが
嫁という立場からしてみたら
修一にもむしろ今の弟のようであって欲しかった


たとえ私がそう言ったところで修一は

『育った環境が違いすぎる。 キミの弟と母親となんて一緒にしないでくれ。 』

そう言い返されるのは分かっていた


『…家庭環境……確かにそうだね』

何も言い返せない私に

『…まぁ 育った家庭環境ももちろんだけど、母親にもよるからね』


修一は鼻で笑っていた


俺の母親はキミの母親とはまったく違う



とでも言っているかのように………

No.210 09/03/12 23:25
りのあ ( ♀ ij0Bh )

うちの母は確かに

料理は苦手
掃除はもっと苦手

家事能力のまったくない母親だった


亡くなった父との仲も険悪だったし

妻としても
母親としても

他人に自慢できるような母ではないとは思う

でも私や弟にとってはたった1人の母親だ


修一にとっては
自分の母親は

料理は上手
掃除も上手

家事能力に優れていて
夫である修一の父親とも仲がよく

妻としても
母親としても

最高に誇れる母親なのだ


そこまで差のある私の母と修一のお義母さんを
同じ土俵に立たせた事自体が修一にとっては許せなかったのだろう


私の母の家事能力の低いこと
亡くなった父にたいしての妻としてのあり方
どこの世界にそんな母親と仲良くする息子がいるのか


修一はまたことごとく私の母をバカにしてきた


私が修一に何かを言えば修一はそれを10倍にして返してくる


その度に私は傷ついて
でももう傷つきたくないから結局何も言えずに謝るしかなかった



言葉じゃ勝てない



その事だけが
どんどん心に刻まれていって

“傷つきたくない”

そんな自己防衛のために
私はストレスを修一に吐き出すこともできずに
1人で抱え込むようになっていった

No.211 09/03/13 12:01
りのあ ( ♀ ij0Bh )

1ヶ月検診で
優月も私の産後の経過も順調だったためお義母さんはその週末に帰っていった



お義母さんが帰ってからの生活は
私の想像をはるかに超えるほど大変なものだった


優月は私が抱いていないと寝ない


やっと寝てくれたかと思いベビーベッドに寝かせた瞬間に火がついたように泣き始める


抱いていれば何時間でも寝てくれるのに……

実家の母は

『多少放っておいても大丈夫よ。 赤ちゃんは泣くのが仕事なんだから』

そう笑っていたが
私には泣いてる優月を放っておくことがどうしてもできなかった


どこか具合でも悪いんじゃないかというくらいの激しい泣き方


優月が泣く度に
私は家事を中断して様子を見に行き
優月が落ち着くまで抱っこをする


放っておいて万が一何かが起きたら……


それは

万が一

かもしれない


何かが起きるなんて

ものすごく確率の低い話しかもしれない


…でも

私は美月の時にその万が一を経験しているのだ


原因不明の死産


普通に出産する人と比べれば確率はかなり低い死産という
その悲劇が私には起こってしまったのだ



もうあんな悲しい思いはしたくない



その一心だった

No.212 09/03/13 12:19
りのあ ( ♀ ij0Bh )

優月に手をかける分だけ
当然家事はおろそかになっていった


もともと
テキパキ効率よく家事をこなしたりもできなかったし
あれをしながらこれもする
そういう事も私にはできなかった


掃除機の音で優月は目を覚ます


食器を洗う音で目を覚ます


洗濯機が回る音で目を覚ます


音に敏感なのか
生活の音のひとつひとつに優月は目を覚ましていた


午前中いっぱいかけてやっと洗濯を干せるほどだった


夜は修一が帰ってきてからやっと夕食作りにとりかかるほどで
夕食を作って食べ終わる頃には10時半くらいになっていた


修一は後片付けを手伝ってくれるわけでもなく
夕食を食べ終われば1人でさっさとお風呂に入ってしまう


優月を見ながら後片付けを終える頃には夜中になっていた


夜中の授乳に加えて優月がグズグズ泣く度に起きて抱っこをしていたので
毎日が睡眠不足だった


思い通りに運ばない家事

思った以上に大変だった優月の世話

毎日の睡眠不足

修一が家事と育児に協力的ではなかったこと


全てが積み重なって私のストレスはピークになっていった

No.213 09/03/13 16:07
りのあ ( ♀ ij0Bh )

ある晩

修一がお風呂からあがると
やっと優月を寝かせて
これから夕食の後片付けを始めようとしている私がいた



『……千春 』


修一は私の身体に触れてきた



とっさに私は

『やめて!』

強い口調で修一の手を振り払った


修一は驚いたような顔をして私から一歩後ずさりをした



『……ごめんなさい これから後片付けしなくちゃいけないから』

思わず強い口調で修一を振り払ってしまった自分自身に驚き
また修一の顔を見たらなんだか申し訳なく思えて私は謝った



『……後片付けなんて明日したらいいじゃないか』


修一の言葉に私の中で溜めていたストレスが弾けた


『後片付けは明日?! 誰がすると思っているのよ! 私がするのよ?! 修一はなんにも手伝ってくれないじゃない! 』


今まで抱えてきたストレスはとまらなかった

『お義母さんには手伝って…… なんで私には手伝ってくれないの………?』


ストレスが涙となってハタハタとこぼれて床を濡らす



『感情的にならないで話し合おうよ… それだったら“手伝って”って言ってくれたら良かったのに… 』



修一はいきなり爆発したストレスにとまどっていた

No.214 09/03/13 17:52
りのあ ( ♀ ij0Bh )

……言ってくれたら手伝う


そうじゃない……

そういうことじゃない………

お義母さんには自分から手伝うのに
なんで私には…私が言わなきゃ手伝ってくれないの…?


お義母さんに嫉妬している自分を修一に見せるのが恥ずかしかった

だからその一番辛い気持ちを
修一に伝えることができなかった



『千春が俺に求める改善点を教えてくれれば改善するから… 』


改善点……


どうしていつもそんな言い方なのよ……


『疲れてるの…… いっぱいいっぱいなの……… 』


そう言って泣く私に


『……泣いてたって分からないよ。 言ってくれなきゃ…』


修一は呆れたように私から離れ
電話を寝室に持って入っていってしまった



……またお義母さん?

何を言うの…?


私が抱かせてくれないとでも言うの…?



疲れきってダイニングテーブルに座ると
隣りの部屋で眠る優月の泣き声が聞こえてきた



疲れた………


いつまでこんな風なの………?


優月を愛しくて
大切にしなきゃいけないと思えば思うほど
私自身が苦しくて
家事も何もかも思い通りに行かないことに苛立つばかりだった

No.215 09/03/13 19:01
りのあ ( ♀ ij0Bh )

しばらくして寝室から出てきた修一は

『来週お母さんが手伝いに来てくれるから』

修一はお義母さんを呼んだのだ…



…この人は何もわかってない



脱力感しかなかった


きちんと自分の気持ちを伝えない私も悪いとは思う


言葉に出さずとも理解してくれる


そんな関係は
理想でしかないこともわかっている



私が口に出さなきゃ修一には伝わらないが
口に出してもやはり変わらないだろうとも思った



お義母さんが手伝いに来てくれるのはありがたいが
根本的な解決にはならない



私は修一に自分から進んで手伝って欲しいだけ…


ほんの一言

『毎日大変だね。 ありがとう』

そのたった一言を聞きたいだけ………



修一はお義母さんが来た時は何かにつけて


『お母さんありがとう。 本当に助かるよ』

そう言っていた


なのに私には何ひとつ労るような言葉はかけてくれなかった


修一のひとつひとつを
お義母さんへの態度と比べてしまう


比べてもしかたない事くらいわかっていても
比べずにはいられなかった



…私は修一のなに?



……苦しかった

No.216 09/03/13 22:17
りのあ ( ♀ ij0Bh )

修一にとっては
私のストレスは優月の世話と家事に追われること
それぐらいにしか考えてなかったのだろう


自分にも原因がある


そんな事はほんの少しも思っていなかった


だから
お義母さんが手伝いにくることで
私のストレスは軽減されていくと思っていたのだ



だからお義母さんが手伝いに来ると決まった日から
夜になると必ず私を求めてきた



でも優月に母乳を与えていたことも影響してなのか
私はまったくその気にはならなかった


むしろその行為にたいして嫌悪感すらあった

身体も心もその行為を拒否しているのに
私が修一を受け入れられるハズもなかった



『本当にやめて… 疲れているの』


毎日修一に背をむけた

優月も物音や話し声に敏感な子だったから
少しの話し声にも反応して泣いていたため
修一はそれ以上しつこく求めてくる事もなかったが
お互いが
“その事”
でストレスを溜めていた



修一にとってみたら


自分の母親が家事や育児を手伝ってくれるのだから
せめて妻として夫の求めに応じるべきだ


と考えていたのだろう

夫の求めるセックスに応じるのが妻の義務


…そういう考えの人だった

No.217 09/03/13 22:45
りのあ ( ♀ ij0Bh )

私からしてみたら
母乳を与えている事で身体はそれを拒否していたし
その事にたいして少しは私の身体を思いやってくれてもいいんじゃないかと思っていた


私にとってセックスは

心と心の結びつき

だったから

義務とか

妻の務めとか

そういう感覚では考えられなかった



『俺はママが大変だと思ってお母さんを呼んだんだ。 それなのにママは“俺がママとしたい”という気持ちを分かろうとしないじゃないか。』


『パパは何にもわかってない。 私がパパに求めていることはそうじゃないのよ。』


こんな言い争いが何回もあった


いつも同じ言葉で言い争い
いつも結論がでないまま優月が泣いた時点でその話しが終わる



私がどれだけ神経を磨り減らしながら優月を育てているか


家事がなかなかできない事で
修一が私とお義母さんを比べているんじゃないかという不安


修一はそんな私の気持ちには微塵も気付こうとしなかった



そんな気持ちのすれ違いが続き
それは目に見えないくらいほんの少しずつだけど
だけど確実に私と修一の間に距離を開けていった……

No.218 09/03/13 23:40
りのあ ( ♀ ij0Bh )

お義母さんが手伝いにきてくれている時
その時だけは修一は当然私を求めてくる事もなかったし
修一はやはり機嫌が良かった



2人の関係に疑問を思う事はあっても
お義母さんがいることによって修一が私を求めてこないのならば
2人の関係は私にとってはもうどうでも良かった



お義父さんも一緒に来てくれる時は
修一もなぜかそれほどお義母さんにはベタベタしなかったので
私としてみたら高森の両親が揃って手伝いにきてくれる事が一番ありがたかった


お義父さんは厳しい人だけれど
いつでも冷静に中立の立場として周りを見ていたし
修一が悪いと思えば私の事で修一を叱ったりもしてくれていた



お義父さんは優月を溺愛していたから
お義母さんが家事
お義父さんが優月の面倒
そんな形ができあがっていた


だから高森の両親が来てくれた時に私は美容室に行くこともできた


修一もなぜか
普段はあまりいい顔をしない私の美容室のお金も
高森の両親の前で私が修一に頼むと
『行っておいで』
とすんなりお金を出してくれた



2人の関係にさえ目をつぶれば
私にとって高森の両親が来てくれる事はいい事づくめだった

No.219 09/03/13 23:54
りのあ ( ♀ ij0Bh )

その分
高森の両親が帰った後が大変だった



修一にとっては

両親に手伝いに来てもらうように頼む事

それが私に対しての家事と育児への協力だと思っていた


『俺は充分に協力しているよ』


いつでも修一はそう言っていた


私だけではなく
高森の両親にも

『俺は協力しているよ』

そう言っていた


実際は電話をかけてお義母さんに手伝いを頼むだけで
他に私の家事の手伝いをしてくれるわけではなかったが
修一にとってはそれが最大の協力だったのだろう



俺はこんなに協力しているのだから
俺の欲求に応えるべきだ


高森の両親が帰ったその日からそれは始まる


でも何を言われても
どんなに説得されても
受け入れられないものは受け入れられないのだ


だから私は拒絶した



身体は受け入れられなくても
もし修一がもっと私の気持ちに気付いてくれていたら…
お義母さんに対する優しさを私に少しだけでも向けてくれたら

…心は受け入れられたのかもしれない



修一は拒絶する私を無理矢理どうこうするような男でもなかったから
私が強く拒絶すれば
それはそれであきらめていた



そんな毎日だった

No.220 09/03/14 00:19
りのあ ( ♀ ij0Bh )

そんな日々が半年ほど続いた


優月は相変わらず手がかかっていた


他の子は早ければ半年になるくらいにはハイハイをしたり
ずりばいをしたりするというのに
優月はまだ寝返りすらできなかった



『のんびり屋さんなのよ優月ちゃんは(笑) 寝返りを始めると目が離せなくなるから遅くていいのよ』

心配する私にお義母さんはいつもそう言ってくれていたが
私には心配でしかたがなかった


いろんな育児書を読みあさったり
ネットで子供の発達を調べたりした


相変わらずよく泣くし
昼はもちろん
夜も2時間に一度は起きて泣いていた


体重の増え方だけは標準だったので
私の母乳だけでも栄養は足りていたと思う


家事と育児の疲れに加えて
優月の発達の心配


頭の中は常に悩みだらけだった


何も考えたくなくて

息抜きがしたくて


『休日に家族3人でどこかに行かない?』

修一にそう提案してみても
いつも決まって


『疲れているから日曜日くらいはゆっくり休みたい』


そう断られていた



結局
いつも行く近所のスーパーに3人で行って買い物をして帰ってくる
という休日をいつも送っていた

No.221 09/03/14 09:59
りのあ ( ♀ ij0Bh )

お義母さんが

『たまにはどこかに行こうか』

そう誘えば修一は一生懸命どこに行くか考えるのに
私が同じ事を言っても何も動かない


誕生日もそうだ


私には何ひとつプレゼントしてくれた事はなかった


『欲しいものがあるならカードを渡すから買ったらいい』

私の誕生日には修一はそう言っていたが
お義母さんの誕生日が近くになれば自分でデパートに出向き
必死にお義母さんのためのプレゼントを選んでいた



修一がお義母さんを思えば思うほど
私の中にはやりきれない感情だけが募っていくし
修一が夜になって私を求めてくれば

“これだけはお義母さんには相手できないものね”

“私はあなたの性処理道具じゃない”

絶対に口にこそしなかったけれど
とにかく自分の存在はそれだけのためにいるだけの気がして
修一の求めを拒否し続けた



修一が嫌いなわけじゃない


…ただ私は修一に
私と優月だけを見ていて欲しかっただけ



ただそれだけだったのに
修一は絶対にその事に気がつこうとしなかった

No.222 09/03/14 10:28
りのあ ( ♀ ij0Bh )

お義母さんがいない時は相変わらず優月に手がかかって
家事は思う通りに進まず
一日かけて掃除に洗濯に料理やその後片付けをしていた



見兼ねた修一がしぶしぶ料理の後片付けをしてくれた事もある


そんな日が続いたある日
新聞の折り込み広告を見ていた修一が


『食洗機買おうか』


そう言ってくれた



食洗機があればすごく助かる


嬉しかった


『高いけど… いいの?』

食洗機が普及してきた事で値段はかなり下がってきたとはいえ
まだまだ私にとっては高価に感じられた


『いいよ。食洗機があれば俺もラクになるし、お母さんもラクになるから。 お母さんが“手が荒れて痛い”って言ってたし』



……私のためじゃないんだ


胸が締め付けられて
顔は微笑んでいるのに
心は悲しくて涙が溢れてきそうだった



『そうだね。お母さん行ったり来たりして大変だもの。』


私にはそういうだけで精一杯だった



修一はさっそく電気店に行き
洗うたびに除菌できるという6人用の食洗機を買ってきた


それはうちの分だけではなく
高森の実家にも同じものを買ってプレゼントしていた事を
お義母さんからのお礼の電話で私は初めて知った

No.223 09/03/14 11:24
りのあ ( ♀ ij0Bh )

実際私は修一名義の通帳にいくら貯金があるのか知らなかった


聞いても教えてくれないだろうし
聞いたら
『なんでそんな事を教えなきゃいけないんだ?』
とまた説教じみた事を言われそうだったから
私は聞かなかった



家賃や光熱費やカードに携帯電話など毎月引き落とされるお金の口座の通帳は引き出しの中に入っていたから
それを見ることはできたが
それには必要最低限のお金しか入金されていなかった


優月が産まれてから
優月のものを買うのに一応カードを持つことだけは許してもらえたが
それも毎回修一に

『優月の靴を買ってもいいですか?』
『優月の服を買ってもいいですか?』

とお伺いをたててから買わなければいけなかった


生活費は相変わらず3000円を渡されて
なくなればまた3000円をもらうの繰り返しを続けていた


優月が産まれてからというもの洋裁も全くできなかったから
当然母の知り合いの店にも私の作った商品を置かせてもらうこともできなかった



お金に困っているわけでもないのに
欲しいものを自由に買えない


そんなこともまたストレスだった

  • << 225 はじめましてm(__)m 途中ですみません⤵ この話は義理姉さんの話なんですよね? どうしてそんなに詳しく事情や気持ちがわかるんですか?? すみませんm(__)m すごく気になって💦

No.224 09/03/14 11:44
りのあ ( ♀ ij0Bh )

修一の妻としての私の存在価値も見出だせず
ただ優月の母として私は一日一日を過ごしていた



同じマンションに住む男の子を持つ母親が

『この子は私の小さな彼氏なの』

とよく言っていた



お義母さんにとって修一は30歳を過ぎても
いつまでも小さな恋人なのだろう


…そして修一にとってもお義母さんは
誰よりも必要で大切な存在だったのだと思う


私よりも

優月よりも

一番大切なのはお義母さん……



美月や優月を妊娠している時には決して見せなかったその姿



あの時の修一に戻って欲しかった



私と優月だけを見て…………


何もしてくれなくていいから


私達だけを見て……



時間が経てば経つほど
その切ない思いだけが募っていった


お義母さんさえいなければ
私達だけを見ていてくれるのに……


お義母さんにはたくさん感謝しているのに
こんな事を思う自分が怖かった


家事がおろそかになっている私に修一が文句を言わなかったのも
お義母さんが手伝いにきてくれたからこそなのに……


その時の私には
それすらわからなかった




………そして私達の全てを変えた一本の電話が鳴った

No.225 09/03/14 11:48
みーママ ( 20代 ♀ nTv7h )

>> 223 実際私は修一名義の通帳にいくら貯金があるのか知らなかった 聞いても教えてくれないだろうし 聞いたら 『なんでそんな事を教えなきゃいけない… はじめましてm(__)m
途中ですみません⤵
この話は義理姉さんの話なんですよね?
どうしてそんなに詳しく事情や気持ちがわかるんですか??
すみませんm(__)m すごく気になって💦

No.226 09/03/14 12:42
りのあ ( ♀ ij0Bh )

>> 225 みーママさんはじめまして🙇

この小説は義理姉の話しですが
今までの中で千春と真耶の関係はよくないものだったので
みーママさんがそう思われるのも当然ですよね💦💦

今後の千春と真耶の関わり方で
少しずつみーママさんの疑問が解けていくのではないかな、と思います😊


もちろん同じ女性として感じた私の義姉への気持ちも
千春の言葉や気持ちとしてこの小説には書かれていますのでご了承いただけたら嬉しいです😊

No.227 09/03/14 15:02
みーママ ( 20代 ♀ nTv7h )

>> 226 そうですか😲
すみません💦 ありがとうございますm(__)m

これからも楽しみに見てますので、頑張ってください😄

ちなみに子供の名前が同じで、二人目(まだですが)出来たら“優”って字を使いたいなぁと思ってたので、偶然にびっくりしました💦

No.228 09/03/14 17:15
ふぅ ( ♀ snGXh )

>> 227 レスの93を見て下さい。

No.229 09/03/15 10:33
りのあ ( ♀ ij0Bh )

夕方洗濯物を取り込んでいると電話が鳴った

着信を見ればお義父さんの携帯…


お義父さんは優月を溺愛していて
毎日のように優月の写メを送るように催促してきていたから


また催促の電話かな…

と思い電話に出た


『もしも… 』


私が言い終わらないうちに


『千春さん! お母さんが亡くなった!』


ひどくあわてた様子のお義父さんの言葉を私はすぐには理解できなかった


『……え?! 』


『いきなりものすごく苦しみはじめて…… すぐ救急車を呼んだけど…… ダメだった… 心筋梗塞で……』


お義父さんは声をつまらせながら状況を説明してくれたが
私は混乱していてその話しに頭がついていかなかった


『とにかく修一にすぐ連絡してくれ。 修一の携帯に電話したけど通じなかったんだ』



私は

『わかりました』

まだ理解できていなかったが
お義父さんがひどくあわてた様子だったのでとりあえずそう返事をして電話を切った




……お義母さんが亡くなった?


今朝私はお義母さんと電話で話したばかりだった


『来週にまた手伝いに行くからね』


優月に逢えるのを楽しみにしていたのに………

No.230 09/03/15 10:50
りのあ ( ♀ ij0Bh )

お義父さんの悪い冗談かとも思った


だって今朝は本当に元気だったのだ


手伝いにきてくれる事に感謝の言葉を伝えたら

『優月ちゃんに逢えるのが楽しみだからいいのよ』

と笑っていたのに…


それに今まで心臓が悪いなんて聞いたこともない……


ふと

『なんか左肩が痛いのよね…… 歳とるとあちこち悪くなってイヤよね(笑)』


今朝の電話のなにげない会話でお義母さんがそう言っていたのを思いだした


もともとお義母さんは肩こりだし
実家の母も肩が痛いとよく言っていたから
まったく気にもとめていなかった



……でももしかしたらそれも関係あったのかも



私は修一に電話をするにあたって
私があわてていたら修一はもっと動揺するだろうと
とりあえず自分自身を落ち着かせようとした


でも左肩の痛みの事がひっかかって


私があの時に病院への受診を勧めていたら…もしかしたらお義母さんは死ななくてもすんだんじゃないか……


そんな激しい罪悪感からなのか
なかなか冷静になることができなかった



それでも早く修一に連絡しなければ…
その思いだけで普段は電話しない修一の勤める会社に電話をかけた

No.231 09/03/15 11:47
りのあ ( ♀ ij0Bh )

修一の会社に電話すると
修一は会議中で電話に出られないと言われたために
義母が亡くなったのですぐに連絡して欲しいことを伝言して電話を切った


優月をおぶいながら支度を始める


喪服の用意
とりあえず1週間分の私達の着替え
優月の支度


約一週間家を空けることになるから
家の中の掃除など
とにかくバタバタしていた


1時間後修一があわてた様子で自宅に帰ってきた


私に修一から折り返しの電話がこなかったところを考えると
修一は直接お義父さんに電話をしたのだろう


『すぐに行かなきゃ』

修一はすすり泣いていた


部屋を片付けながら用意をしている私に


『早く! 早く用意をしてくれよ!』

修一が怒鳴った


『……』


修一に怒鳴られたのは初めてだった


怒鳴られたショックに身体がなかなか動かない


『足りないものなんて向こうで買えばいいじゃないか! 部屋なんて散らかったままでいいよ! 頼むから早くしてくれよ!』


すすり泣いていた修一は号泣しながら怒鳴り始めた


修一の声に驚いた優月は大泣きし始めるし
修一は号泣しているし
私は何をカバンに詰めたのかもよく分からないまま
急いで用意をした

No.232 09/03/15 12:13
りのあ ( ♀ ij0Bh )

急いで車に飛び乗った私達はすぐに高森の実家に向かった


以前住んでいた場所ならば3時間程度で高森の実家に着くが
今住んでいる場所から高森の実家までは遠く
多分着くのは夜遅くになるだろう



修一はとにかく車を飛ばしていた


いつも安全運転の修一の運転からは想像できないほどの荒い運転に私は恐怖を感じ

『優月もいるし少しスピードを落としてもらえる…?』

と修一の様子をうかがいながら頼んでみた



『じゃあキミが運転しろよ! 』


修一はまた怒鳴った


私が車を運転できないのを知っていて修一はそう怒鳴ったのだ



『急ぐ気持ちはわかるけど…… 』


私の言葉に


『キミになんてわかるものか! キミになんて……… 』


修一はまたさらに号泣した


優月は大泣きするし
修一は号泣するし
その車の中はハタから見れば異常な光景だったと思う



美月の時にさえ見せなかったほどの修一の取り乱し方に
私も混乱していた



……とにかく無事に高森の実家に到着さえすればそれでいい



スピードを上げ荒い運転を続ける修一の車の中で
私はただそれだけを祈った

No.233 09/03/15 16:58
りのあ ( ♀ ij0Bh )

私達は夜遅く高森の実家に到着した


夜遅くとは言っても
私が予想していた時間より1時間以上は早く到着した


荷物もおろさずに修一は家の中に走って入っていった


私は寝ている優月をチャイルドシートから起こさないようにそっと降ろして抱いた


私が玄関を開ける前に
家の中から修一の泣き叫ぶ声が聞こえてきた


そっと玄関を開けて家の中へ入る


修一の泣き叫ぶ声のする方へと向かうと
リビングの隣りの和室に亡くなったお義母さんが寝かされていた



……そしてその横たわるお義母さんに抱きついて修一が泣き叫んでいた


『やだよ! やだよ! お母さん! やだよ! 置いていかないでよ!』


お義母さんに抱きついて泣き叫ぶ修一
それはまるで幼い子供のようだった



冷静

理知的


…そんな私の愛した修一の姿はどこにも見えなかった



私の目の前にいるのは
人目もはばからず
我を忘れて
ただ子供のように泣き叫ぶ修一の姿だった

No.234 09/03/15 17:14
りのあ ( ♀ ij0Bh )

突然母親を亡くした悲しみやショックは理解できるが
一緒にいたお義姉さんや義妹さんの方がよほど冷静だった


『優月ちゃん2階に寝かせる? 』

『疲れたでしょう…』

お義姉さんは私と優月の事を気にかけてくれていた



『………なんでこんないきなり…… 』

修一はずっと泣いて
お義母さんの身体から離れようとしなかった


…お義母さんはお昼を過ぎた頃に突然激しく苦しみ始めたらしい


あまりの苦しみに部屋中をのたうちまわり
それに異常を感じたお義父さんが救急車を呼んだ


ただ救急車が着いた時点でお義母さんの意識はもうすでになくなっており
救急車に乗って病院に搬送された時には心肺停止状態だったそうだ

病院についてからも
30分以上心臓マッサージをずっと受け続けたが心拍が戻らず
そのまま医師による死亡確認が行われた


死因は
【急性心筋梗塞】
だった



お義姉さんからその説明を受けた私は
お義母さんのもとへ寄り
優月の顔を見せて
手を合わせた



……あまりにも突然すぎる死だった

No.235 09/03/15 17:29
りのあ ( ♀ ij0Bh )

私はお義姉さんに

『今朝…私お義母さんと電話で話したばかりだったんです…… その時は元気だったのに……… 』

そして

『その時…… お義母さんは左肩が痛いって言ってたけど…… まさか……こんな事になるなんて……』


私がそれを話した時
ほんの一瞬だけど
その言葉に反応した修一が私の方に顔を向けたのがわかった


『中性脂肪とか悪玉コレステロールとかの値が高かったみたいでね… こんな事になるなら…無理矢理でも…病院に連れて行けば良かった……』


お義姉さんも涙で声を詰まらせていた



あまりにも突然すぎる死は
みんなを混乱させ

『もっとこうしていたら…』

みんながそんな風に自分自身を責め
やるせない気持ちにさせていた



もっとこうしていたら……


それを今さら後悔してもお義母さんは生きかえるわけではない


でも誰もがそう思わずにはいられなかった



高森家の太陽だったお義母さんは亡くなった


太陽を失った高森家はもう明るさを取り戻す事は2度とない



……それは小さな小さな命


優月でさえも


高森家に光を与えることはできなかった

No.236 09/03/15 17:47
りのあ ( ♀ ij0Bh )

お義母さんのお通夜と葬儀はしめやかに行われた


実家からは母が出席した


修一は通夜の席でも葬儀の席でも
ただただ号泣し続けた

あまりの取り乱し方に
通夜が終わってから


『長男として弔問客の方々に恥ずかしくない振る舞いをしなさい』

とお義父さんに叱られるほどだった


でもお義父さんに叱られても
修一は変わらなかった


かたときもお義母さんの側から離れることもなく
ただただ悲しみにくれていた


私はもちろん他の誰とも口をきかずに
ただお義母さんの側にいた



火葬場に行った時には
気が狂ってしまったんじゃないかと
本当に心配になるくらいの泣き方だった



美月が亡くなった時でさえ
あんな泣き方はしなかった



『嫌だよ 嫌だよ! お母さんを連れて行かないで! 嫌だ 嫌だよ!』


お義母さんを運ぶ火葬場の職員の人にそう泣き叫んで
お義母さんの棺にしがみついて離れなかった


修一のあまりの取り乱し方に
お義父さんが

『修一! いい加減にしなさい! 』

と一喝するほどだったのだ


修一の
お義母さんを失った悲しみは
美月の時とは比にならなかった



私はそんな修一を
ただ黙って見つめていた

No.237 09/03/15 18:01
りのあ ( ♀ ij0Bh )

灰と骨になったお義母さんを骨壺に納める時がきた


修一がどんな話しをお義父さんにしたのかは分からないが
お義母さんの遺骨はお義父さんと修一に分骨されることになっていた


分骨とはいっても
小さな小さな箱のようなものに入る程度の少しの遺骨を入れて
修一が保管するような感じのものだった


位牌もまた同じく分牌という形で
通常の位牌よりも小さな位牌を修一が受け取っていた


もちろんそこには私への相談なんてものはない


全て修一が勝手に決めた事だ


葬儀が終わった後も
高森の実家にはお墓がなかったために
新しくお墓を建てなくてはいけないし
仏壇も買わなくてはいけなかったり
その他いろんな後始末もあり私は優月を抱えながらバタバタしていた


そんな私とは逆に修一はただ悲しみにくれていた


リビングの隣りの和室に設けられた祭壇の前で一日中お義母さんの遺骨に手を合わせ
泣き続け
何かを語り続けていた


長男としての役目


そんなものをまったく果たすこともせず
ただただ悲しんでいるだけで一週間が過ぎた


そして初七日を終えて
私達は分骨、分牌されたお義母さんの遺骨と位牌を連れて
自分達の住むマンションへと戻った

No.238 09/03/15 18:50
りのあ ( ♀ ij0Bh )

美月の時に用意してもらった小さな仏壇に
修一は大切そうにお義母さんの遺骨と位牌を置いた


そしてまた手を合わせ始めた


私は優月をおんぶしながら
車の中から一週間分の荷物を出して家に運ぶ事を何度も繰り返していた


修一はそんな私に気がついているハズなのに
ずっと手を合わせ続けた


全て荷物を運び終わり
やっと一息ついた私に

『お茶ちょうだい』


修一がそう声をかけてきた



私だってクタクタなのに………

優月をおんぶしながら6階から駐車場まで荷物を何度も運ぶのはかなりの重労働だった



……修一はなんにもしてないじゃない



『お茶の葉っぱならあの戸棚の2段目』


私はそこを指さしながら少し苛立った口調でそう言った



そう言った私に
修一は私を思いっきり睨んで
戸棚にあるお茶を取り出すと

バンッ

戸棚をの戸をすごい力で思いっきり閉めた



……なんでそんなに怒るの?!


私には修一が怒る理由がわからなかった


修一はわざと音をたてながらヤカンを出してお湯をわかすとお茶を入れた


そしてそのお茶を仏壇に置いて
また手を合わせ始めた……

No.239 09/03/15 22:34
りのあ ( ♀ ij0Bh )

私はそんな修一を横目で見ながら
優月をお風呂に入れて寝室で寝かしつけた


優月を寝かせてから部屋の片付けをするつもりだったが
一週間分の疲れがドット出てきて優月を寝かしつけるつもりが
いつの間にか私まで眠っていた



翌朝
少し早めに目を覚ますとすでに隣りには修一はいなかった


リビングに向かうとお線香の匂い……


リビングのドアを開けると
修一はまた仏壇に手を合わせていた



『……おはよう 』


私の言葉は無視して手を合わせ続ける



…昨日のことまだ怒っているの?



『あの… 昨日はごめんね 私もちょっと疲れていて… 』


私が謝ると修一はゆっくりこちらを向いてきた


『俺が今日から仕事なの知ってるよね?』


『……うん 知ってるけど…? 』


私がそう答えると


『じゃあ もっと俺よりも早く起きてきてよ』


……私には修一の言っている意味がまったくわからなかった


甘えていただけかもしれないが
今までは私はもっと遅くに起きていた


むしろ今日なんて少し早いくらいだ


修一だって今までそんな事は一度も言わなかった


なのになんで今になって……?


突然すぎて私には理解できなかった

No.240 09/03/15 22:55
りのあ ( ♀ ij0Bh )

『え… えっと…… ごめんね 明日からはもう少し早く起きるね』

寝起きであまり頭が回っていないせいか
いまだによく修一が言いたい事がわからなかったが
私はとりあえず謝った


謝った私は朝食を作り始めた


いつもはパン食なのでトースターでパンを焼いて目玉焼きとコーヒーだけの簡単ないつもの朝食を作り修一に出すと

『俺本当は和食がいいんだ』

修一はそう言って
いただきますも言わずに黙って食べ始めた



確かに高森の実家の朝食は和食だった


手伝いに来てくれた時はお義母さんは朝から
卵焼きや焼き魚に野菜にお味噌汁などバランスのとれた朝食を作ってくれていた


でもお義母さんのいない普段はパン食だったし
それは結婚してからずっとそうだった


朝一番に言われた

もっと早く起きるように

という言葉にこの朝食の件


私にはさっぱり意味がわからず

修一が何を考えているのかがまったく理解できなかった



理解できないまま修一はさっさと仕事に行ってしまい
優月の世話に追われながら
結局私はいつものようにその1日を過ごした

No.241 09/03/16 12:15
りのあ ( ♀ ij0Bh )

修一の悲しみはよくわかるつもりだ


覚悟もないまま突然母親を亡くせば
修一じゃなくても誰だって辛いはず


その気持ちは痛いほどわかる


私だってお義母さんが亡くなったのは悲しい

あんなに優月をかわいがっていたお義母さんの事を想えば
私だってやはり涙は出てくる



……でもこれで修一は私と優月だけを見つめてくれるんじゃないかという気持ちがあったのも事実だった



この世にお義母さんはもういない



だから私と優月だけを見てくれる



そんな気持ちがあったのも本当だ



お義父さんと修一の関係は
お義父さんが厳しい人である分だけ尊敬しながらも修一は距離を置いていた


その分すべてをお義母さんに依存してきたといっても過言ではない

そのお義母さんがいない今
私達はやっと本当の家族になれるような気がしたし
修一にも期待していた


私はただ修一に
私を見て欲しかっただけ………


ただそれだけだった

No.242 09/03/16 12:33
りのあ ( ♀ ij0Bh )

その日の夜


ピンポン

修一が帰ってきた


『おかえりなさい』


『……ただいま 』

修一はいつものように着替え
カバンをしまい
手洗いうがいをする


優月に手がかかるから夕食の用意は修一が帰ってきてからになる


いつもなら
修一が優月を見ていてくれて
その間に私が夕食の用意をする


優月を見ているといっても
優月と遊ぶわけでもなくただ黙って見ているだけだが
それでも私にとっては助かっていた


手洗いうがいを終えた修一がリビングに入ってきた


いつものように食事の準備をしようとすると

チーン
チーン


『お母さんただいま…』


…修一は仏壇に手を合わせ始めた


ただ手を合わせるだけならいい


でも修一はずっと手を合わせ続ける


『……お母さ…ん 』

修一は泣いていた


『うっ…… なんで…… なんで……』


修一の涙はとまらない



……いつまで手を合わせているつもり?


私はそんな修一に腹がたってしかたなかった


『……ご飯用意したいんだけど』


私の苛立つ口調に気づいているはずなのに
修一は無視したまま手を合わせ続けた

No.243 09/03/16 12:45
りのあ ( ♀ ij0Bh )

…修一だって辛いんだ

私はそう思うようにして
1人で夕食の用意を始めた


途中で優月が泣いたりしても
修一はおかまいなしに手を合わせ続ける


私は優月をあやしながら夕食の準備をしたりして
とにかく忙しかった


なんとか夕食の用意ができた頃
修一も仏壇から離れてダイニングテーブルに座ってきた


目の前のベビーチェアに座る優月に
『ただいま』
と声をかけるわけでもなく黙って座ったままだ


『……いただきます』

家族で食事を始めるが会話はない


黙々とただ食べる


私が
『今日ね優月が…』

優月の事を修一に話しても

『そぅ…』
『へぇ…』

それだけでまったく会話は続かない


ただ重苦しい空気だけが流れ

『優月たくさん食べようね』

『おいしいねぇ 優月』

優月に離乳食を食べさせる私の声だけがただむなしく部屋に響いていた



夕食が終わっても修一は1人でさっさとお風呂に入り
パソコンに向かって1人の世界に没頭していた



私には修一が何を考えているのかわからなかった


でも聞けなかった


お義母さんへの熱い想いを聞くのが
私には耐えられなかったから……


だからあえて聞かなかった

No.244 09/03/16 12:57
りのあ ( ♀ ij0Bh )

そんな生活が2週間ほど続いた


私はそんな修一に文句も言わずに黙っていた

朝だって修一に言われた通りに
早く起きるようにしたし
朝食だって和食に変えた


でも修一は何も変わらなかった


私に対しての不満でもあるの……?


いつまでそうやって悲しんでいるの…?


黙って修一を見守っていたが
私にもストレスのピークはやってくる



その日もやっぱり帰ってくるなり
仏壇に手を合わせていた



……いい加減にしてよ


『少しは優月を見ていてよ』

私がそう修一に声をかけようとした瞬間


『仏壇の花が枯れかけてるよ。 ちゃんと水を替えてるのか?』


修一が仏壇に供えている花の花瓶を持って私にそう言ってきた



……仏壇の花の事はめざとく気付くのに私の気持ちには気がつかないの?



私の中でプツンと何かが切れた



『ねぇ! 一体毎日毎日なんなの?! 悲しい気持ちはわかるけどいつまでそうやって悲しんでるつもり? 』


私の大きな怒り声に優月が反応して泣き始めた


『……仏壇の花の事を言ったくらいでなんでそんなに俺が怒られなきゃいけないわけ?』


修一の口調は冷静だったが
あきらかに怒っていた

No.245 09/03/16 13:11
りのあ ( ♀ ij0Bh )

修一が怒っていても
何かが切れた私はとまらなかった


『いつまでもいつまでもそうやって悲しむのもいい加減にしてよ! 仏壇に手を合わせるのは結構だけど私だって大変なんだから少しは手伝ってよ!』


私の怒鳴り声に反応してさらに大泣きする優月を修一は抱き上げて

『ママが大きな声だすから怖いねぇ』



いつもは優月になんて見向きもしないくせに
こんな時だけ………



私は修一の腕から優月を奪い返した



『こんな時ばかり優月を抱かないでよ!私に文句や不満があるなら言ってよ!』


もう私も泣いていた




『……じゃあ言わせてもらうけど。 お母さんが亡くなった日の朝に“左肩が痛い”って言ったのをキミは聞いていたんだよな?』


修一は私を睨みながらゆっくりとその口を開いた


『なのにキミは何もしなかった。 俺に教えてくれたらよかったのに。 左肩の痛みは心筋梗塞や狭心症の前兆でもあるらしいよ? なのにキミは何をした? キミはお母さんに病院に行くように言ったのか?』


冷静な口調とは裏腹に
修一の目はあきらかに私を責めていた

No.246 09/03/16 13:23
りのあ ( ♀ ij0Bh )

『…………』

私は何も言えなかった

あの朝お義母さんがそう言った時
私はただの肩こりだと思っていたから

『あんまり無理しないでくださいね?』

としか声をかけなかった


何も言えずに黙る私を見て


『キミがもっとちゃんとしていたらお母さんは死なずに済んだんだ! 美月だってそうだ! あれほど俺が“帰ってこい”って言ったのに俺の言うことを聞かないから美月は死んだんじゃないか!』


そして最後に


『キミがお母さんと美月を殺したんだ!』


ずっと冷静な口調だった修一も
その言葉だけは怒鳴っていた



私は何も反論できずにただ泣いていた


私のせいだ……


美月が亡くなったのは私のせいだ……


わかってる……


そんな事は誰に言われなくたって自分が一番よくわかってる


美月を失ってからのこの数年間、そしてこれから先の一生
私は自分を責めて生き続ける


わかってるわよ……




美月が亡くなったのは
私が原因だということは充分わかっていたが
修一にまでそれを言われた事が私には苦しくて辛くてたまらなかった


でもその通りだから何も言い返せなかった……

No.247 09/03/16 13:48
りのあ ( ♀ ij0Bh )

何も言い返せずにただ泣いている私に


『…キミみたいな妻をね“有責配偶者”って言うんだよ』



……有責配偶者?


私は法律の事は全く知識がない


初めて聞く言葉だった

『……有責配偶者?』

私がそれについて聞くと


『妻として家事もおろそか。夫の求めにも応じない。一体どのくらい長い期間セックスをしてないと思ってるんだ? 美月だってキミの責任だろ! そういう離婚の原因になる配偶者を有責配偶者って言うんだよ。』


修一はフッと鼻を鳴らして笑った


私が有責配偶者…?


修一は私と離婚したいの…?


何をこの人は言いたいの…?


なにがなんだか分からなくなり
頭の中がずっと混乱していた



優月を抱きしめ泣いている私に見向きもせずに
修一はさっさと1人でオカズを作り
黙ってご飯を食べ始めた



……全部私が悪いの?


その日から私はそればかりを考えていた

No.248 09/03/16 14:26
りのあ ( ♀ ij0Bh )

その日を境に修一は
とにかく私の家事や育児について口を出すようになってきた


『オカズの品数が少ない』

『栄養のバランスが悪い』


最初は料理からだった

お義母さんの作る食事といつも比べられ
修一が風邪をひけば

『実家にいた頃は風邪なんかひかなかった。栄養バランスが良かったから』


と嫌味を言われ続けた


料理から始まったそれはいつの間にか家事全般に及び
すべてをお義母さんと比べ
私の中にお義母さんを求め始めた



お義母さんの家事は完璧だった


育児も3人の子供を育てたベテランだ


そして太陽のように明るかった


修一は私に

完璧な家事

完璧な育児

太陽のような明るさ

それを求めた


夜になれば
毎日のように身体を求めてきた


家事 育児 明るさ

そのどれかが欠ければまた嫌味を言われた



そんな修一に私が身体を許せるハズもない


夜は当然拒み続けた



…私にはわからなかった


なぜ私に嫌味を言ったりけなしたりするのに
身体だけは求めてくるのか……


普段修一の愛情なんてカケラも感じられなかった


なのになぜ身体を求めてくるの……?



性処理道具と見られているようで虚しかった

No.249 09/03/16 14:40
りのあ ( ♀ ij0Bh )

修一の嫌味は日を追うごとにひどくなっていった


『こんなんだったら家政婦を雇った方がマシだ』

『ママを扶養しなきゃいけない分だけ光熱費や食費の経費がかかって損だな』


そんな言葉に当然言い争いは増えていった


『優月の面倒すら見ないくせに仕事しているってだけで偉そうな事を言わないでよ!』


『じゃあママは自分が母親として完璧だとでも思っているのか? お母さんの足元にも及ばない未熟な母親じゃないか!』

『私が未熟ならパパは父親失格じゃない!』

『子供をお腹の中で殺すような母親に父親失格なんて言われる覚えはない!』


修一は何も言い返せなくなるといつも美月の事を持ち出してきた


私が何も言えなくなるのを知っているから……


そんな言い争いの毎日が続いていた



私達の言い争いを毎日のように聞いて育つ優月


優月にとっては
とてもじゃないけど
【いい環境】
で育っているとは思えなかった


もともと音や気配に敏感な子だったが
この頃にはさらに敏感になって一日中泣いている状態だった



まだ生まれてから8ヶ月しか経っていない優月…


幼いながらも何かを感じていたのだろう…

No.250 09/03/16 14:54
りのあ ( ♀ ij0Bh )

優月は8ヶ月でやっと寝返りができるようになった


それから少しして自分でお座りもできるようになった



『里桜と野映なんてその頃にはもうつたい歩きしてたわよ』

実家の母の言葉にも傷ついていた



毎日家にこもっているから悪いのかな…


毎日私達の言い争いを見て育っているから
情緒不安定になっているのかな…


修一へのストレスはもちろんだが
優月の発達の事も情緒不安定の事もすごく心配だった



そんな時に優月のポリオの2回目が地区センターであり
地区センターへ行ってみると

【ふれあいクラブ】
【たけのこハウス】

などの無料で利用できる母親と子供のための支援センターの案内が置いてあったので
歩いて行けそうな場所数ヵ所のパンフレットをもらって帰った



他の子供と交流を持てば
優月も刺激をうけて少し成長するかも…


そんな期待もあった


相変わらず人付きあいは苦手だが
もしかしたら仲良くなれるお母さんに出会えるかも……


私自身にもまたそんな期待をしていた

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