記憶の扉
暇な時に記憶の扉を開けてみよう。
書いてみよう。
※この作品群はフィクションだ。
誰が何と言おうとフィクションなのだ。
読まれる方はご了承願います…
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皆は最初、意味が解っていない。当然だ。
しかしアゴで指す方向と、俺のにやけながらの西村コールですぐ理解。
手拍子付きの大西村コールが発生する…
『え~…マジでぇ…』
筋肉馬鹿の西村は無茶苦茶性格が良いのである。
雨がぱらつくGW…5月の水は当然冷たい…
ちゅうより気温もかなり低いのだ…
…団体とは多数決で意見が決まる。
パンツ一丁になり、身体を叩いて気合いを入れる西村…
よく考えたら椅子として使う材木…早春水泳はやりすぎだった(笑)
『いやっ!マジで冷たいって!無理無理!』
すねまで水に入り、泣きの入る西村。
『そこまで入ってイモ引くなって!もうちょい入れや!』
『そうだそうだ!』
『重くてお前しか持てない!』
『あとちょっと!』
『飯は落ち着いて食べなきゃいかん!絶対取れよ!取って戻るまで岸には上げんぞ!』
必死だな深…(笑)
岸から3mは確実に離れてるから【ちょっと】では無いし…(笑)
気合いを入れ直して進む西村…
『うぉ~…つめてぇ~ッッッッ!でも行く!』
『うお~~~~~トプンッ…』
消える西村…
距離感見間違え?透明度が良すぎたのか…?
『ぷはぁ!めっちゃ深いやん…』
その場所はかけあがり(岸から急に深くなる場所の事)が急で、しかも透明度が高いために段差が解りにくかったのだ。
その深さは2mを少々超えるほどだった。
『あははは…沈んだぞ…(笑)』
皆爆笑。
『う~…さびい……(泣)』
頭頂までしっかり沈みずぶ濡れで上がってくる西村に、仲間は皆非常に冷たい言葉を投げ掛ける…
『なんで…そのまま取ってくれば良かったのに!』
『そこまで濡れたら一緒!もう一回行け!』
『船を使え!』
『がんばれ~(笑)』
『解ったよ…取ってくればいいっちゃろ!ホントみんな自分じゃないからって好き勝手言って……』
半分…いや、ほとんどヤケになった西村は腰の深さから泳ぎだした。
『気持ちいいよ!ほら、みんなも泳ごう!』
『うそつけ』
『いやたい』
『はよとれ』
『しゃあしい』
極悪…
あきらめた西村は、潜ると生木を小脇に抱える…
あら…浮上…
『枝がついてるしめちゃくちゃ長いよコレ…重いし…』
言葉をさえぎり皆はさらに…『もう一回!』
また潜る西村。
当然潜ってる間は皆超爆笑状態。
すると水面から太い生木が起きる様に出てきた…
水面を割り起き上がってきた太い生木!
一同『おお~!』
『あぁ~…』
沈むんかい!
『お…重いよ…』
『ひきずれって!お前ならやれる!』
………………
『うう…寒い…』
種火を着けたばかりの炭火の前で震える西村…
収穫の長く太い枝付きの生木…
それは立派な六人一列のベンチに早変わりした。
『西村これ…半分に折ったりできねぇ?』
『もう……自分でやりぃよ!』
……………
『さ…じゃあ釣りするか!』
そう。これの旅行の本来の目的は釣りだ。
『最初にボートを使う二人組を決めよう。』
『誰が最初の一匹を釣るか勝負やね!』
盛り上がりながらのじゃんけん勝負。
順番が決まった。
俺はよしのりと一番手の組だ。
あ………
そういえば竿…
マズい…(汗)
『はよ行こう!』
よしのりに急かされしぶしぶ竿を回収に行く俺を見ている仲間達…
『あ~!信じられん!こいつ先に竿だしとる!』
バレた…
『いやぁ…モエビがおったけんさぁ……』
言い訳しながら投げた仕掛けを回収する俺。
なんか重い…
いやな予感…
火に油を注ぎそう…
あちゃぁ…
見事、針先に付いていたモエビは34センチのブラックバスに変身していた…
……………………
『それって反則よね!』
『あい…』
承平が俺を責めたてる…
『俺達がどんなに今悲しいか解る?』
西村まで俺を責める…
『ごめんなさい…』
悲しむほどの問題か??
『罰は飯抜きや』
深は当然の様に言う…
『いや…それは勘弁…』
もうお腹はすいてるし…無理だ。
『俺もズルいと思う!』
章吾よ…お前も責めるのかよ…
すると船からあがってきたよしのりが一言…
『今日は船無しね!』
『決定!』『いい案だ!』『じゃ誰か二回だな!』『俺いきたい!』
四人一斉に…『お前とは船が沈む!!!!』
落ち込むな深…
俺は船ナシだぞ…(泣)
結局その日、俺は岸釣りだけになってしまった。
しかも夕方のゴールデンタイムは夕飯係に…
涙が出る…
鉄板メニューのカレーライスの玉ねぎのせいなのかは解らないが…
ウィリーしたビニールボートが戻ってきたのはもう夜と言っても過言では無い時間帯だった。
二度のボート釣りを堪能したのはよしのり。もやしの根っこ野郎だ。一番最軽量が前、最重量の深が後ろに乗れば当然ウィリーしてしまう訳だ。
『全然進まんとよ!抵抗が半端じゃないもん!』
お前の力も無さ過ぎだよ…(笑)
なんだかんだ言いながら晩飯に。
カレーは完璧自信作。
問題は飯盒で炊いたご飯だ。
3つの飯盒で炊いたのだが、どうも真ん中の飯盒から焦げの薫りが……
おせじでもおこげって匂いでは無いのだ。
この責任は俺にある…
でも多数決で決めた責任は皆だ…。
よって…
毎度の小競り合い開始!
『お前とりすぎたい!』
『ちょっと分けろ!』
『ばかお前…残らんめ~が!!』
『このくらい食べでもよかろうもん!』
一同
『なんばしよるとやぁ(怒)』(はんごうの中に直接カレーをよそおう深)
ニコニコしながら…
『多分これでも足りんよ(笑)』
……………………
結局強烈な焦げ臭さを放つフルおこげの飯盒の食べれる一部分をも喰らい切った深…
『ルー…フィニっていい…?』
どうぞ飲み尽くせ!
晩飯も無事食べ終わり、旅行の目的の1つ…
《夜釣りで一匹》チャレンジタイムが始まった。
ルールは簡単。トップウォータープラグで釣り上げる!これだけなのだ。
ルアー釣りを知らない読者様のために解説を。
ルアー=疑似餌(ぎじえ)
その中でもトップウォータープラグって言うルアーは、水面を浮かびながら這うように動くルアーだ。
多分ブラックバスから見たらカエルや死にかけの小魚に見えるのだろう…
真っ暗闇の中、皆はそれぞれ思い思いのルアーを選んで投げはじめた。
『ポコッ ポコッ ポコッ…………ポコッ ポコッ ポコッ……』
ん~、承平はホッパーか…
『パコパコパコパコパコパコパコ』
よしのりは単純明解引くだけルアーのジタバグだな…
※決して変な行為の音では無いぞ!
俺は当時輝き具合にシビレまくって多用していたスウィッシャー・ベビートピードGフィニッシュカラーをセレクト。
……………………
『釣れんねぇ……』
『お~い西村!そっちはどうや?』
『全然ダメだぁ!』
一番最初に音をあげたのは、さほどバス釣りに執着心の無いのに参加してきた深だった。
『多分釣れんって…やめとこ~ぜ!』
暇つぶしの勧誘にすぐに乗ったのは章吾。
2人でゴソゴソとバーベキューセットの中に残る炭火で何かを焼いている…
『みんな食べる?もってきたよ~!』
章吾の馬鹿野郎!それ明日の昼間のバーベキュー用の豚バラじゃね~かよ!
待ったをかけ、被害を最小限に食い止めたが…
皆の興味は釣れない釣りより食い物に移行してしまっている…
仕方が無い。
前日にバッグに忍び込ませたよからぬモノの出番だ。
『ちょっとまっとけ、取ってくるけん』
到着後すぐに水中に隠し冷やしていたモノ、キリンビール3Lビッグ樽だ。
『じゃじゃ~ん♪』
一同『おぉ~!』
そして左手にはブラックバスが…
実は餌で釣ったバスを樽の持ち手部分に糸で繋いでキープしてたのだ。
『クックック…喰っちゃうぞ!』
皆一斉に
『おぉ~!』
俺達の地元の池の水は緑色で汚い溜め池ばかりで、《食べる》という発想はまず出てこない。
なので水の綺麗なこのダムで、一番の盛り上がりを見せたイベントがこの《バス料理》の時だった気がする…。
『さて…どう料理して食べるん?』
『そんなの…丸焼きにきまっとろ~が!』
面倒臭いのでバーベキューセットに残る炭火の中に魚をそのまま投入…
《バタンバタン》
魚はまだ活きていた(笑)
『うわっ…可哀想やん…!絞めてやり~よ!』
『もう遅い。じきにおとなしくなるよ…』
承平…相手は火の海の中だぞ!?やれるもんならお前がしやがれ!
しかし体の大きな魚はなかなか体力がある訳だ…
俺は炭火をかき集め、魚をまんま埋めてしまい石を重りに…
静かになった。
直接火につけているが見た目は蒸し焼き風だ。(笑)
『よし…あとは待つだけ!ビールでも飲みながら焼けるのを待つぞ!』
トクトクトクトク…
章吾が…『俺はじめてやん』
深も『俺も…祭りの射的の景品のウイスキーの小瓶しか飲んだ事無い…』
…
『よし、皆持ったな!?』
『では今回の旅行の成功を祈って』
『バスの冥福を祈って』
一同『乾杯~!』
開始早々酔いがいきなり回るリーダー承平。
『だぁかぁらぁ~、俺はテントの中では煙草を吸って欲しく無いと!焼けたらど~するとよ?責任とれると?』
『いや…テントは俺のだし…』
『燃えて死んだらよ!』
一同『テントぐらい破いて逃げろよ!(笑)』
『だいたい承平は大袈裟すぎるったい!』
承平…よしのりに言われたら終わりだよ(笑)
たわいもない話に花を咲かせてると深が一言…
『そろそろいいっちゃない?』
『まだだ。ちゃんと火が通らんと淡水だし心配やろ?』
『そりゃそうやけど…焦げて炭にならんと?』
『大丈夫や、心配すんな!まぁ呑め!遠慮せず呑め!』
こいつは弱らせなきゃいけないヤツだ…
皆の食べる分まで食い尽くすハズだからだ…
少しずつだが深も酔いが回りはじめたようだ。胃に油モノを注入してみよう…
『お前スナック菓子を沢山買っとったろ~が?ちょっと取ってこい』
こんな時の深は体型に似合わず俊敏に動く…
『どれ食べる?』
全部もってくんなよな…
『お前の好きなのでいいぜ』
…とは言ったが、何故四袋も出すのだ…(笑)
『みんなもたべていいよ~♪』
ちょいと待て…皆の金だぞ!(怒)
『だいたい…お前が買い出し行ったらなんで菓子だらけなん!?意味が解らん…』
『そうだそうだ!』
ただの合いの手も今は力が入る…
『ごめんって…』
『承平も承平やん…なんでチョコと乾パンがあるとや!非常食の前に普通の食材やろうもん!』
『いや…なんかあったらいかんやん…』
『この状況の方が逆に非常事態だぞ!』
『そうだそうだ』
『…だから…ごめんなさい…(泣ベソ)』
深の様子が変わった(喜)
『反省しとるとや?』
『うん』
『本当や?なら皆にもう一回謝れよ』
『みんな…ごめんなさい…』
『やけんカボチャって言われるっつぇ!』
『ごめんなさい…』
『無駄にブクブク太りやがって』
『ごめんって…』
『食べるけん太るったい!絶食や!』
『あやまってるやん…ごめんってぇ…』
よしのり…言い過ぎ…(笑)
『本当の本当に反省しとるん?』
『うん…』
『食材足りなくなったら走って買い出しぜ!』
『ごめんなちゃいって…解ったから…』
………エンドレス(笑)
Sの集団に囲まれる一番デカい真性M…(笑)
なんか最後は《ばぶ~口調》になってるし…(笑)
さて…イジリも飽きたしそろそろ魚も焼けただろう…
他の奴らは酔ってるし正確な判断ができるか心配なので、とりあえず俺がテントから出て魚の様子を見にいく。
すると外は霧雨が降りだしていた…
《ありゃ…こりゃ消えてるかも…》なんて思いながら重りのかわりの石をどけてみると、しっかり火種は残っていた。
トング(ゴミ挟みみたいなの)を使い、炭火から魚を掘り出してみる。
ん~…デカさといい重さといいコレだな。なんか堅いケド…
懐中電灯も持たず真っ暗闇の中なので、はっきりは解らない…
多分これだ!と信じて、新聞紙に包みテントへ戻る…
……………………
一同
『真っ黒やんかぁ!!!!!』
『これ食えるとや?』
『癌になる!』
『俺は承平が食うなら…』
『囲炉が毒見役やろうもん!
『ぼくはたべゆ~』
深…幼児化しても食欲は変わらないんだ…(笑)
『解ったたい!毒見役は俺がしちゃる!』
っつ~ても黒こげの塊をガブリと喰いつくような勇気はさすがに持ち合わせては無い訳で……
割箸を真ん中にプスっと差してみた。
『開くぞ…』
皆の視線は箸の間に集中している…
《ゴクリ…》
唾を飲む音が聴こえるような緊張感だ…
《ぱかっっ》
《もわわわ~ん》
魚の切れ目から真っ白な湯気が立ちのぼる。
ぷりぷりと輝き身離れのよさそうな白身…
一同
『うお~!!』
『めっっちゃ美味そうやん!』
当たり前だ…
『囲炉料理天才や』
もっと誉めやがれ…ほおっておいただけだけど…
『でも本当に上手く焼けてるよ。表面は真っ黒だけど…』
そこは仕方が無いでしょうよ西村クン…
『じゃ…先に食いたい人、手を挙げて!』
《しゅぱっ!》
案の定、深だけが酔いに任せて挙手
毒見の話はどこいった?(笑)
『じゃ、塩を振って…』
箸でちょいとひとつまみ。
口の前まで持っていくと《あ~ん》をして待っている。
何故か気持ち悪い…(笑)
『頂きますは!?』
『いったらっきま~しゅ』
《パクっ》
さあどうだ!?
旨いか不味いかは皆まだ解らないのだ…
深のコメントに皆注目する…
『んっめ~!ばり旨い!』
《パキ・パキン・ピシッ・パキン・パキ》 一斉に箸を割り手をつけはじめる皆。
『マジや…滅茶苦茶旨いやん』
確かに旨い…カレーなんかの比では無い…
キャンプマジックだとは思うが旨すぎる…
ちょっとビールを…と、餌から離れる俺……………
大人な皆様は覚えているだろう、麒麟の作りものの口から出るビールをコップに注ぎ、戻ってくると…(小さなテントの中の移動だけ!)
片身は残らずつつかれてる…(怒)
それもほじるように非常に汚く…
『待て待てお前達…(怒)俺が分けるから箸をつけるな!』
ったく…
そのまま尾の骨らしき黒い塊をつまみ、中骨から頭までハズす。
『次は醤油で食うから…まだ手をだすなよ!』
念を押して醤油をとりにいく俺。
戻ってくると…
内輪揉め(笑)
『少しぐらいわからんって!』
『駄目だって。囲炉は一口しか食べてないんやし…』
『そうそう、判らんよ!』
『わかるにきまっとろうがお前達!(怒)お前達はカスだけの刑やな…』
承平…お前は少し多くしてあげるぞ!
よしのり&深はカスだ…
しっかりと罰を加味した分量で分け、2人はぶ~ぶ~不満を言いながらも完食。
醤油の塩分によりビールもなくなり………………………
6人並んでおやすみタイムになった。
事前にじゃんけんで決めてた順に並ぶ。奥から順に出口に向かい…
(奥)
よしのり
承平
深
省吾
囲炉
西村
(出口)だ。
出口の3人がお願いする…
『深、トイレは済ませて寝てくれ!』
>> 63
おでぶちゃんにトイレにいってもらい、さて睡眠…
『かさかさかさ』
『ふふふっ』
『お前どこ擦っとるとや!?』
『違うって!夕方蚊に刺されたとこがかゆいんよ…』
『お前今、間違い無く股を掻いてたやろ?』
『内股やもん…』
『かさかさかさ…』
『ふふふふっ』
『クックックッ』
『ぶぁっはっは!』
『お前たいがいにしろよ!笑わすなって!』
寝れません…
そのうち隣の省吾に…深の魔の手が伸びる…
『抱きつかんでよ!』
『いいやん…落ち着くもん♪』
『ちょ…やめ…』
『だめって…』
文章だけならヤラしいが、野太い声だ…
『ちょっ…囲炉、交代して!』
死んでもイヤだ!(笑)
そのうち寝息をたてる者が1人2人と増えていき、俺も寝てしまった。
なので省吾の操は守られたのかは解らない…(笑)
……………………………
目が醒めると、まだ薄暗い程度の状態だった…
隣の西村がいない…
テントから出ると、出入り口は踏まれてぬかるみ、雨水が泥水になり溜まっていた。
あたりを見渡すと西村は火を起こしていた。
『おはよ~』
『………』
無視?
もう一度。
『おはよ!早いねぇ西村!』
『………』
確実に無視だ…
虫も殺せない程(魚は喰うが…)の優しい男、西村が何か変だ…
『どうしたん?』
そばに寄って肩を叩いてみた。
『囲炉、無茶苦茶やね…(怒)』
ぶるぶる震えながら西村は呟く。
へ………??
何が???
優しい男の発する予想外の態度にあっけにとられる俺…
寝起きだし頭の中が整理できない…(・_・)....?
『何?意味わからんし、どうした?俺なんかしたや?』
すると西村はビニールに入ったジャージを俺の前にだしてきた。
昨日の晩に着ていた服だ。
なんでこんなに泥だらけ?
ウソ…俺?
『寒くて起きたら水たまりの中で寝てたんよ!(怒)
テント見たら端まで囲炉来てるし…
間違い無く押し出されたんよ俺…(怒)』
知らねえよ(微笑)
ふふっ
『ずっと?』
『上着まで全て濡れてるから…ずっとだよ!』
普通気がつくだろ(笑)
クックックっ…
『泥水にはまった時に起きなかったの?』
『だって昨日疲れてたから…』
あ…こいつ水泳までしてたしな…
『泳いだって思えばいいやん♪』
『そんな問題じゃ無い!(超怒)
>> 65
『そうゆう問題じゃないっ…って、普通押されたら起きるし水たまりん中で寝らんやろ!!!!(爆笑)』
俺の大笑いする声で目が覚めたのか皆がゾロゾロとテントから出てきた。
皆も俺が悪いと言いながら…西村を笑っている…
そりゃ当たり前だ…
寝耳に水って本当なのだ…
やられたら解る。
飛び起きちゃうモノだ。
霧雨の中、泥水に浸かりながら眠り続けれるヤツなんか誰も知らないからだ。
凄いね!と、誉められながらも嘲笑のマトにされている西村の表情は微妙にはにかむ…いや…苦虫を噛む…いや……
苦虫を噛みながら横目で俺を睨んでいた…………
あれから現在まで………誰にでも優しいハズの西村が俺にだけ常に厳しくなったのは言うまでもない話だ…
………………………………
なんやらかんやら問題は盛り沢山。
しかし早朝!
またしてもボートじゃんけんだ!
残念ながら熱い時間は逃し、最後の組にリーダー承平と御一緒…
さぁ船出だ!
って、また俺が漕ぐのかよ!(怒)
※次回より本格的釣りストーリー開始。
興味の無い方々はする~っと流して下さい。(詫)
ちゃぷん ちゃぷん
手漕ぎのビニールボートは全く波の無い水面(みなも)をよちよちと進む
早朝で無風ならば…
浮かぶボートに座っていると、水面から胸の高さまで霧が出て、とても幻想的なのだ…
しかし順番は三組目…
もう9時をこえているしお天道様もかんかんなのだ。
『あちいって…お前も漕げよ!』
『逆から漕いでもあまり進まんやん。帰りはじゃんけんしてやるから頑張れ♪』
『約束ぜ!』
ん~、なんか引っかかるのは気のせい??
汗だくになりながらも目指したポイントに到着。
通称《馬の背》と呼ばれる、岬状の盛り上がりが水面下までずっと続いている場所だ。
水通しが良く、小魚が集まる場所…などと雑誌などには書いてあるが、浅いのではっきり解る…
小魚など全くいない気配だ(笑)
スピニングの竿にはトップウォーターのプラグ・バルサ50のビッグラッシュを着ける。当時で¥2800もする代物だ。
アンバサダー・ライト+を装着したベイトタックルにはZaurusのブラウニーってミノーを。
承平はいきなり得意技のスライダーワームのジグヘッド仕様で全層を探るつもりだ…
どちらが先に釣るか…
いざ勝負!!
《シュ~ チャポン》
20秒間ポーズ(停止)を取る…
たるむラインをゆっくり巻き取り…
《ちょん ちょん ちょん ちょん》
竿先で軽くアクションを入れると首を左右に振りながらクネクネとルアーが水面を泳ぐ。
まさに無機物に命を吹き込んだ様な感覚だ。
しかし1投目にはヒットせず…
竿を持ち替えてミノーで攻めてみる。
トゥイッチを入れながらじっくりと攻めるが…反応無し。
こうなると悪い癖が出てしまう…
集中力の半減だ。
もともと飽きっぽい性格の俺は、ルアーを頻繁に変更する事で集中力を保つタイプだ。
まず冷静に考えると、時間と場所…トップで狙うのは正解では無い(笑)ま、好きだから仕方ないが…
ちゅう事は…
やはりソフトベイトの類になる。
俺が数十種類あるワームの中からチョイスしたルアーは、ワッキーワームのブラスシンカー+ビーズのテキサスリグだった。
※現在では古い手法かもだけど…
当時は高いし斬新だったのだ!
馬の背のかけ上がり部分を狙い一投目。
浅い場所なのでワームはすぐに着底する。
《チョンチョンチョンチョンチョンチョンチョンチョンチョンチョンチョン》
細かくシェイクし、シンカーとビーズをぶつけさせてカチカチと音を出す。
その音の効果っていうのはあるのか無いのかはいまだに解らない…現在の俺の中ではナシだと思う(笑)
無反応。さらに投げてみる…また無反応…
『はい!場所移動!』
『はっ…はやくねぇ!?』
『気配を感じん…』
『………』
そこは同意のようだ。
ちゃぷちゃぷと移動再開。
立ち木が乱立する特上ポイントを『暑いから!』と言う単純な理由でスルーして向かった先は…
水面まで森に囲まれたようなワンド(湾的?な場所)だ。
日陰は充分。いつもの野池で釣るような感覚が戻ってくる。
こうなると…またトップウォーターで攻めたくなる。
ベイトタックルにビッグラッシュを付け直し、いざ…
『チャポン』
完璧だ…
水面に着いている枝から30センチ以内に投入…ポーズを…
『ボコん』
波紋を残し、水中に引き込まれるペンシルベイト。
『おっしゃきた!』
軽く合わせるとズシリと重い。
デカいんじゃ!?
先に説明しておこう。
本来バスの口は硬い。大きな強い合わせが必要だ。しかし何故大きな合わせをしないのか…
答えは簡単。もし強い合わせですっぽ抜けしたら…
水の抵抗の限りなく少ない水面での釣りだ。こちらにルアーがすっ飛んでくるのだ。
過去何度も顔面に向かってきたルアーを避けたり、掌で受け止めた事がある…
特に今回はボート釣りだ。ボートに直撃したら…って事なのだ。
………………………
『おぉ…引くねぇ!』
ボートが動く。
『おぉぉぉぉ…元気いいぞコイツ!』
《ばちゃばちゃ》
がっちりと親指を口の中にいれてランディング成功。
37センチの野池サイズだ。
『でかいダムだからかね?ずいぶん引きが強かったぞ…』
あまりにも浅はかな解釈だが、2人は強引に納得。
それが真実なら琵琶湖のバスは…って事までは考えて無いのである(笑)
これでとりあえずプレッシャーからは解放された。
ここからはサイズupに全神経を集中できる。
もともとダラダラとルアーを巻く行為は苦手な俺…
ゲーリーヤマモトのグラブに酷似した偽安物グラブ・SSSグラブのテキサスリグでポイント直撃落とし込み作戦を決行。
障害物の際やオーバーハングした枝の下にワームを投げ入れる俺。
着底して、《チョンチョン》ポーズを五秒…《チョンチョン》ポーズを五秒…
《カリカリカリカリ》すぐに巻きとり別の場所に投入…
作業効率の良さは抜群だ。
ライバル承平は律儀に岸からボートの真下までアクションを続けている。
《ちゃぽん》
『ちょっっ!そこは俺が次に投げようとしてたのに!向こうに投げろよ…』
『そんなの早いモン勝ちたい(笑)ほら…あと2投ぐらいで移動するぜ!』
『もぅ…早すぎるとって囲炉は…』
ちょっと横に移動して再開。
そこには太い木の根元がえぐれ、水面に根が何本も入っている絶好ポイントがあった…
《絶対おるぞ…》
2人の思いは同じだった。
《ポチャ》っと俺のワームが水面に落ちた直後にもう一つの落下音。
隣を見るとにやけた承平…
ルアー同士の距離は50センチ程度しか離れていない。やるやんか承平♪
着底し一度目のアクションを取る…ポーズ…
『いやに深いねココ…』
ぬぁにぃ?んな事は無いはず…
『多分きとるぜ…』
『嘘やろ』
『だって俺が底についてだいぶたつよ』
『マジ?!』
あわてて合わせる承平。
『ふんっっ』
《すかっ》
まさに空振り合わせ…
『っっっ…あれ??』
状況が良く解らない方に説明しよう。
落ちてきたルアーを口にくわえたバスは、そのままその場所に居続ける訳では無い。大半が移動しながら、飲み込みやすい方向に獲物を喰わえ直すのだ。 しっかりラインを見ていたら何らかの形で変化に気がつくが、承平は俺と目を合わせていたので全く気がついていなかったのだ。
『離したみたい…』
『馬鹿ちん!まだ解らんやろ!!合わせまくれ!』
空振りポンピング状態とでも名付けてもいいような動き…
たるんだラインを巻いては《ビシッ》
(すかっ)
カリカリ 《ビシッ》(すかっ)
『まだワームの重さすら感じん…ふんっ!』(すかっ)
ラインはボートの真下にきている…
真下を超えたあたりで…
『ついとるついとる!』
竿が曲がっている!
軽く…(笑)
少しの抵抗しかせずに上がってきたバスは30センチを少し超えたぐらいの若者バスだった。
『でかいかと思ってたのにぃ…』
ついてただけマシだろ!
しかし…
長時間ワームを喰わえてたバスは、食道に針先がフッキングしていた…
説明しよう…
食道から胃袋までの場所にフッキングっていうのは…
致命的なダメージになりかねないのだ…
テレビなどではなかなか見せないが…
あっさりと大物カジキなどを揚げれた時などはほとんどが飲み込ませたショックで無力化していたのだ。
俺自身、バスの場合は食道までしか無い。しかし下手な外し方をしたら…
その場は泳いで逃げても…五割を軽く超える確率で後から死んだり弱ったりして浮いてくる。
引き抜いたりしたらほぼ間違い無く死ぬのだ。
当時、ゲームフィッシングでターゲットを殺すのは現在とは逆で罪だった。
外すのが苦手なバザーがこの物語を見てるなら参考にして欲しい…
…………………………
『囲炉…とれる?』
自分では無理と判断した承平は俺を頼ってきた。
『うわ~…がっちりやんか…』
正直、外すのは問題無くできる…しかし時間と与えるダメージ量はやってみないと解らない…
暴れられたら1からやり直しになるからだ…
まず…フックの向きを考慮しながらラインとの結束部分をどちらかのエラから出す。
すると針のふところ部分が口先の方に向く。
結束部分をしっかり固定し、ふところ部分に指をひっかけ引き抜く…
この動作がスムーズにいけば最小限のダメージで水に帰す事ができるはずだ…
これが多々ワームを飲ませてしまった経験から、どうにかあみだした俺なりのオリジナルの外し方だ。
…………………………
『よし…ハズれた…』
しかしバスは血だらけだった…
承平のこねくり回しでエラからは大量の出血…
『無理かもね…』
ゆっくり水に帰すと、自力で泳いだが…少し進むと腹を上にして浮いてくる…
『ありゃ~駄目ばぃ…』
竿先でチョンと触ると一瞬反応するが、また浮く。
承平のテンションはただ下がりだ。
『ま、ぐるっと回ってまだ浮いてたら…深に食べさせよう!』
この一言でなんとか笑顔が出た。たまには役に立つヤツだ。
その場所で俺がさらに一匹追加、時計を見ると制限時間が迫っていたので納竿。
バスは…浮いていた…
拾うと一言…
『俺…漕ぐよ…』
ま、当然ちゃ当然なのだが(笑)
湾をこえ立ち木ゾーンも馬の瀬も越え、キャンプをはった陣が見えてきた。
深が何か叫んでる…
『延びるし無くなるぞ~!』
げっ…勝手にラーメン作ってやがる…
『ほら…もうなくなるぞ~!』
焦る俺。
ヤツを止める種類の人間は同じボートの中にしか残ってないからだ!
『おら承平!急がんか!』
テンションだだ下がりの承平をせかしてようやく着岸。
カレー用の金と言うか黄色の大鍋には、かろうじて2人分のスープは残っていたが、麺は約1人分しかない…
『ったく…なんやお前らは…』
ぶつぶつと文句をいいながら取り分ける俺。
承平の…俺の…承平の…俺の…俺の…承平の…俺の…承平の…俺の…俺の…承平の…俺の…よし均等!
弱った精神力の承平は文句など言わないのだ。
しかし…これは何ラーメンだ?
茶色に濁ったドブ的な色だ…(汗)
深に質問。
『何味のラーメンなん?』
『全味♪』
意味が解らない…
あ…解った…
『てめぇなんで全部一気に作るとや!(怒)あとの事を考えろよ!』
マジで叱ってしまったが…
『米は沢山あるし大丈夫!』
……ったく…怒るだけ損だ…(泣)
しかし…
とんこつ味噌醤油塩味ラーメンは、思いのほか旨かったのである…空きっ腹と化学調味料の素敵な出会いだった。
『ね!?全味で正解だったやろ??』
うるさい!(怒)
昼を迎えた我々はだらけていた。
満腹感はある…
なので眠くてたまらない…
日光に当たるのは暑くて辛い…
テントの内部は灼熱地獄だ。
そんな中、荷物用テントの中で西村だけは睡眠不足で大の字になって寝ていた。
ドーム形テントは小さいが通風機能に優れているのだ。
囲炉『どうしよ…』
よしのり『暑いし釣らんでいい…』
章吾『俺もいいかな…』
深『俺水に足をつけて休んどく…』
承平『俺森ん中で日陰探して寝たい…』
皆主張はバラバラだ…
テントの雨よけシートを外し日陰を作り、その場に残った章吾とよしのりと俺。
深は折り畳み式の小さな椅子を水中に半分沈めて、まさに《コーナーポストで灰になったあしたのジョー》状態だった。
ずいぶんと肥えてはいる訳だが…
しかし暑い…
まだ5月だと言うのに…
もう限界…
俺は服を脱ぎ捨て生まれたままの姿になった…
そのまま水辺に一直線に走って…
深の背中にドロップキ~ック!!!!
前のめりに顔から水に突っ込む深。
まさにボブサップに倒される曙状態(笑)
豆腐が崩れおちる感じだ(笑)
かたや俺は浅瀬で無謀なドロップキック…脇腹が痛い…
深はうつ伏せ状態からおきあがる。ちょっと怒った顔をしている…
『やんのかこの野郎!』
プロレスラーが組み合う前の体勢、ロックアップの形を取る俺。
それを見た深の表情は一気に変わり…『なんで裸なんだよ!(笑)』
にやりと笑う俺。
その時…
『とうっ!!!』
もやし野郎が俺にドロップキック。
今度は俺が飛ばされた。
顔をぬぐい、立ち上がろうとしたその時…
『うぉりゃ~♪』
章吾のフライングボディプレス。
見えてたが固まってしまう…
2個のいなりずしから頭を覗かせた…ちょっと立派な黒い亀…(笑)
俺の左頬は最初で最後の体験をしてしまった…
『きったねぇ!お前…普通胸か腹からくるやろ!』
『動くからやん』
『動いてねぇよこの野郎…ちょっと来い!』
章吾を高々と持ち上げてブレインバスター♪
よしのりには投げっぱなしジャーマン♪
すると共に倒れる俺に深が百キロプレス!
溺れそう…
『3対1か…舐めんなよ…』
当時の中学生は猪木や馬場を見て育った時代…プロレス技なんか皆知っていた。
『おらおら…誰が最初に俺様のフランケンシュタイナーを喰らいたいんだぁ?』
強がってにじりよると…
深は岸に上がった。
チャンスだ♪
『おらおらよしのりぃ…』
必殺!生ウナギ式フランケンシュタイナー!!!
さすがによしのりも生は嫌みたいだった…
太ももの間に挟むつもりがスネまで逃げられ、それでも強引にフランケ…《ズンっ》
意識が軽く遠のく…
あ…コイツは力が無いんだった…
説明しよう。
当時まだ50キロも無い俺の体重を支えきれず、膝が落ちたと同時に仰け反る俺。
まさに殺人パワーボム!
幼児用プールぐらいの深さしかない場所に脳天から真っ逆様に落ちた俺を見て、章吾は大爆笑…
『ひっ ひっ ひっ… く…苦しい…』
『つ~…おめ~人がマジで痛がっとるっちゅうのに……』
『だって刺さってたし丸見えやもん(爆)』
そう…ピン女芸人のネタ、《犬神家》そのままの体勢だったらしい…
当時、ちん○んは多少の自信があった…しかしお尻の穴を見られるのはさすがに頬が染まる…
当然今でも恥ずかしい…
『くそっ…お前達のも見てやる!』
『いやたい馬~鹿!逃げろ!』
何の意味があるのか全く分からない肛門拝見鬼ごっこ開始…
そこに現れたのは全てを脱ぎ捨てて再登場した深…まさしくダイナマイトなバディ…
俺
『お前のなんか見らんぞ!見たくても肉に阻まれて見えんめ~が!(笑)』
章吾
『そうだそうだ!』
よしのり
『だいたいそんなきったねえケツ出すな!!このドリチンが!!!』
あ~ぁ…言っちゃった…(笑)
一同大爆笑…
『ド…ドリ……ドリチンとか言うなぁ~(怒)』
いつの間にか鬼ごっこの種類が変化。
ドリごっこ開始!
この仲間のいいトコとは、よくある学校での立ち位置などが全く関係無くはしゃげるトコだった。
当時の不良で一番デブ(デカいし)な深に、学校で一番モヤシで根っこ程細く弱々しいよしのりが悪態をついても許される…
…………………………
『よしのり待たんやって!お前覚悟しろよ!(怒)』
『はぁはぁ深…それ以上近づくと……四組の女子にドリチンをバラすぞ……はぁはぁ…』
『それは止めろ!マジで言われたらキレるぞ!!!』
『どうする…?(ニヤリ)』
『ゆ…許す…言うなよ…』
『お願いしますは?』
『くそぉ…お…お願いします……』
強いぞよしのり!(笑)
怒りの矛先は章吾にむいた…と思ったら…
『章吾は許す。』
なぜ通じあっている…
気持ち悪いぞ…(笑)
何故か三人に囲まれる俺…
なんて馬鹿な奴らなんだろう…
当然の様に言う。
『いや…俺は学校中にふれ廻るよ?』
『じゃ俺ご近所さん!』
『じゃ俺はうちの姉ちゃん!あ、親戚の姉ちゃんにも!』
…この身の翻し方の速さもいいところ(笑)
『もう…ゴメンってぇ…』
弱いなお前(笑)
そこに現れたのは承平。
『くさっ!』
『あ…ずりぃぞ!自分達だけ泳ぎやがって…俺も!』
《すぽぽん》と全裸になり飛び込む承平。
『くせえって何?』
気になったので聞いてみた。
『あ、そうそう…よしのり!お前やろ!?トイレは奥までいってしろって言ってたのに(怒)』
ばつが悪そうによしのり
『いやぁ…暗いし怖かったし…』
『寝てたのはいいけどなんかクサくてさ…風向きで耐えれんようになって、そばの枯れ葉の盛り上がりを足で払ってみたら…山盛りなんやもん…足にゃ付くし…』
哀れリーダー…汚物と添い寝。
あと1人で全員集合なのにまだ西村は寝ている…
『やろっか…?』
『怒るぞ~?』
『大丈夫だって。俺が主犯にならなきゃ怒らないよ』
『『『じゃ…やろう!!!』』』
ゆっくりテントに近づき様子を伺うと、いびきをかいて気持ち良さそうな西村。
爆睡だ。これは何をしても起きそうにない。
『いいや?一気に走るんやぞ!』
『深、遅れんなよ?』
『いくぞ…
1
2
3
GO!』
手足頭を支え運ばれ彼は水面に投下された。
すごい浅瀬に…
『いったぁ~』
『痛いし…もぉ…べちょべちょやん…』
たいして怒らないのが西村のいいトコロ♪
『ほら、お前だけ水遊びしてないからさ(笑)』
『だいたいなんで素っ裸なんだよ…?』
『自然に還るためだ!』
『その通りだ!』
『はやく脱げ!』
『恥を捨てろ!』
『裸祭りじゃ!』
『もう…恥ずかしいやん…』
裸で西村登場。
股間には…大蛇がぶら下がっていた…
『す…凄い…!』
『西村でけぇな』
『ちょっと尊敬』
『無用の長物』
『変態顔に似合う…』
『そんな凝視せんでよ!』
……………………………
向こう岸まで約150Mを競争したり、なんだかんだで昼過ぎまで遊びきった我々はまたお腹をすかせて陣営に帰還した。
『肉ぅ~!』
そう。前日夜に少しでおあずけをくってしまったバーベキューだ。
幸い、大量の氷をいれたクーラーボックスに入れていたので悪くはなってないハズ。
材料を見ると……
ソーセージと豚バラ肉ばっかり…(笑)
『だって旨いやん』
平然と言い放つ深。
ま…腐りにくいちゃ腐りにくい訳なのだが…
皆で手分けし木材調達、意外と簡単に火もついた。
『米くいてえ!』
あぁ…面倒くさい…
『こ~め!こ~め!』
なんだよその米コールは……
次第に皆も同調し、炊かずにはいられない空気に…
正直、カレーの時の失敗があとをひき…炊きたく無かったのだ。
対策ははっきり解ってはいた。飯盒を入れ替えて火力を均等にしながら炊けばいい。それだけだからだ。
しかし納得いかない…
なぜ昨日からずっと食事の用意はほぼ俺なのだろう…
他の奴らは《のびのびミックスラーメン》だけだ…
とりあえず聞いてみた。
『なんでまた俺が母ちゃんせにゃいかんとや??』
『料理天才やん囲炉』
『一番旨いし』
『なんかアウトドア慣れしとるしね』
『料理できる男はモテるらしいし』
『よっ!迷コック!』
なんだよキミたち…
解ってんじゃないのよ♪
はじめから言いなさいよ♪
もう…しょうがねぇなぁ♪♪♪
『いいかぁ…まず米ってのはなぁ…こう洗うんじゃぁ!』
……………………………
言葉の魔法はなかなか解けないモノだ…
おだてられる事に極単に弱い俺は、現在でも仲間と集まる時には迷コックの座に君臨しているのである…
『あの《めい》は(まよう)の《めい》やったんよ』
こないだ帰郷した時のよしのりの一言だ…
言葉の魔法はいまだに効力を残しているが…そんな事はどうでも良い。不味いツマミを喰うよりは自分で作った方が良いのは当然だからだ…
……………………………
ご飯も上手に炊けた。
でもオカズの豚肉とソーセージは大半を失っていた…
『ソーセージは生でも食えるっつぇ!』
『解っとるけど早かろうもん!』
『盗るな馬鹿!俺の育てたヤツを!』
『ん~♪最高な焼き加減♪』
『あ…信じられん…俺が完璧に焼き色つけたウインナー…』
《パキン》
『シャウエッセン気味で旨いぞよ…よく育てた!次を頼むぜ(笑)』
読者の皆様も似た経験はあるだろう…
特に同性…男だらけだったらこんな絡みは顕著な発生率なのだ…。
実際に米が炊きあがって、蒸らしを無視した状況で…。
1人あたりに残った肉は豚バラ二切れとソーセージ二本…
普通はありえないが、この面子では超ありえる集団なのだ…
米…余りまくり…(笑)
身体と同様に食べるスピードの遅い…
よしのりが最初のターゲットに…
《すぱんっ》
網の上に閃光が走る…
よしのりの肉が消える…
『ん……
ふかぁ~!』
ま…見てなくても、だいたいの目安は付く…
『何や?』
奥歯に獲物を送った深は平然と質問に答える…
『章吾章吾!』
他人に濡れ衣を着せるとは汚ねぇヤツだ…(笑)
しかしココで真に章吾が仲間に入った感じがしたのを覚えている…
章吾は見た目一番不良な深の顔に手を伸ばすと…
ほっぺたをアイアンクロー!(親指と薬指&小指で締め付ける技…本来ま眉間を絞める。プロレスでエリック家の得意技)
『なんなの…この奥にある肉片は……!深…答えろよ(笑)』
一目おいたね…
俺以外にリアルに文句言えるヤツがいるとは……
深は強制的にムンクの叫びの表情をしながら……
『がへんなはい…』
《読者様…試してみたら多分わかりますよ(笑)》
なんとか皆はそれなりに食べたが…
罰として塩やら醤油だけで残りを完食しなきゃいけない深がいつ完食したかは誰も解らなかった。
何故か?
俺を含め皆は日陰がある森の中でお昼寝に入ったからだ…
『んんん……
かゆぃぃ!』
あまりの痒さに飛び起きると、手足と顔には無数の蚊の痕跡…
森から這い出てテントに行くと、皆は先に音をあげていた。
『よく寝れたね…』
『みんな耐えれんかったんよ』
『かいかいかいい…』
短パンで寝てた章吾の足なんか、ぼこぼこに変形(笑)
ここで大変な事実が発覚。
《かゆみ止め》の薬は皆他人任せで持ってきていないのだ!
殺虫剤や蚊取り線香・蚊よけスプレーなどは完璧に用意されているのに…
なんだろう…このツメの甘さは…(泣)
発狂したように足をかきむしる章吾は、なにをトチ狂ったのか殺虫剤《キンチョール》を足に噴射!
多分何らかの効果がを期待したのだろう…
『し… しみる…
痛い!痛い…!』
また水辺に突入!(笑)
かきむしった傷口に殺虫剤…そりゃ効くでしょ(笑)
皆は静かに水辺で傷口を冷やして我慢していた…
すると…森の中からガサガサと音がする…
人数は全員この場にいるはずなのに……
何だ??
悪い事などしてないにもかかわらず、あいもかわらず静かになる皆…
『おっ!おった!』
突然の来訪者。
その正体はリーダー承平のつ6歳上の兄《雄介さん》だった。
『あ!承平の兄ちゃんや!』
皆は当然びっくり&歓喜の出迎え。
面倒見が良く、皆から慕われている兄貴なのだ。
小さい頃にイジメられてた恨みを残す弟以外に…(笑)
実はこの場所、高校生だった頃の兄貴とその友達連中でキャンプを張った場所だった。
中学生の我々は釣りをしながら兄貴よりその話を聞き、彼達が実行した時期より早い時期に経験したいとこのキャンプを計画したのだ。
『お~、皆無事みたいだな。ははっ。
ところで…釣りはしてないの?』
《そんな状況では無い!》
すぐには解らない説明をだらだらとしていると…
『囲炉!出るぜ!』
兄貴からの突然の誘い。
付き合いの長さと距離の近さもあった訳だが…
釣りの世界でゴールデンタイムに二時間程早く…
兄貴は弟のフルセットを強奪して俺を誘った。
これ…勝負だよな?
かゆいホッペを掻きながら…
疲れて完璧では無いフリをしながら…
兄弟撃破タイミング到来♪
夕方17時スタート!
俺は喜び勇んでボートの後方に飛び乗った!
『あっちとあっちは承平と俺で攻めた。左側は深とよしのりコンビが攻めてたけど…』
『あいつらなら場所も荒れてないな。なんてったってヘタクソだしな…(笑)』
しかし…他人が一度攻めた場所ってのはどうも気が進まないもので…
そのまま通過し新たな場所へ…
その先に…
立ち木があり、木がオーバーハングしていてついでに流れ込みがあるっていう最上級ポイントがあった。
『うわ~…知らんやった…』
『囲炉、全部回らないかんぞ!いいポイントは沢山あるし』
『そんなん言ったって…ボート一時間半で交代やけんさ…遠くにいけんやん』
『そりゃそうだな(笑)』
『よし兄貴、釣ろう!』
兄貴は彼の中でのフェバリットなルアー、ラパラのミノー(11インチかな?結構でかいやつ)
カラーは超ベタなゴールドに背中がオレンジ色。
これをかなり速いスピードでリトリーブして、反射的に喰わすのを得意としている人なのだ。
対して俺は…
付けっ放しのペンシル・ビッグラッシュで勝負。
いきなり一投目で水面が割れた!
《バシャ》
明らかに小物だ…
25センチ程度の若者バスだった。
兄貴は五投目あたりに…
『んん…きた!』
兄貴の竿はかなり曲がっている…
ボートも回るように回転しだした…
デカいバスがかかるとこの状態によくなるのだ。
悔しい…
『バシャバシャ』
ボートから3メートルほど離れた所でエラ洗い(ジャンプ)を見せた。
でかい…けど無茶苦茶って程ではなかった。
ラパラのミノーにはトリプルフックが3つ付いている。そのうちの2つががっちり口と頬にフッキング。
抵抗もむなしくバスは捕獲された。
もうちょい抵抗しやがれ!(笑)
サイズを測ってみる。
43センチ。
これだから兄貴は嫌いだ…
ひょこっと来て一番デカいバスを釣って、にやにやしながら『頑張れよ』と帰る…こんな姿を何度見せられた事か…(泣)
『まぁまぁやね』
うるせぇよこんちくしょう…
『囲炉もデカいの狙わなきゃ。子供と戯れるのもほどほどにして…ね。』
ぐぎぎぎぎ…
煮えくり返りそうな腑(はらわた)を内に秘めて、ルアーをキャスト。
《ウワワワワン》
なんてこった。ベイトキャスティングリール特有のトラブル・バックラッシュ…
『お前なん動揺してるんだよ!』
えぇ…そりゃ動揺しますがな…(泣)
しつこく絡んだバックラッシュをようやく解き、ようやく戦線復帰。
長かった…
まさに前レスから今までの間ぐらいに感じた程だ…(笑)
すぐにルアーを付け替えて大物狙いに切り替える俺。
確かハスティー?ミスティー?とか言うクランクベイトの大きなヤツに替えた。
リールを巻いたらケツを振りながらグングン潜るやつだ。
一投目。
岸から平行なラインに向けてキャスト。
底に着く感触は無い。相当深いのだ。
二投目。
岸に向かって斜めにキャスト。
ゴリゴリとリップが底を削る感触。
途中から急に深くなるようで底の抵抗が無くなる。
ん~。底がとれない。
三投目。
岸に向かって真っ直ぐに投げてみた。
カリカリカリカリカリ…
《ガツン》
『きたぁ! ぁ ぁ 木が…』
物凄い大物で、ボートを真下まで移動させて引っ張るが浮いてこない…
《ブチっ》
切れた…
見えているのに…
『兄貴ぃ泳がない?』
『なん言いようとや!(笑)行ってこい。散々泳いだやろお前等は』
またもや真っ裸になり、ボートを転覆させぬようにゆっくりと入水。
足は届かないしやはり潜るしか無い…
間違い無く水中メガネがあれば楽だったはずだ。
最初は目を瞑ったまま潜ったが、当然ルアーは解らない。
何度か手探りで探したが、針が手に刺さる恐怖もあり大胆にはできなかった。
『びびるなよ囲炉。目を開けても大丈夫だって!(笑)魚も開けてるんだから』
そういう問題かぁ?
しかし仕方がないので恐々水中で目を開けてみた。
あら意外♪海やプールなんかと違い痛さなどほとんど感じない♪
さすが真水だ。
難なく銀に光るルアーを確認し回収。
また転覆させぬようにゆっくりと這うようにボートに上がる。
服を着て、煙草に火をつけて俺は一言…
『疲れた…もう釣りはいいや…』
『もう終わり?なんやお前も根性が無いねぇ(笑)』
《今までの事を何も知らないくせに…
こっちはしこたま疲れてるんだぞ!》
と思いながらも黙って帰路につく。
陣が近づいた。
岸まであと五メートル。
『おせえぞ!』
『長いったい二人は!』
『暗くなるやんか! 』
『明日もボート無しにするぞ!』
『ゴメンゴメン…ちょっと道具を受け取って!』
道具を投げ渡す。
兄貴『岸につけりゃいいやん』
『いや、お詫びのイベントがあるけん』
『みんなゴメン!遅かったのはこれで許してくれ!』
兄貴の顔が引きつった。
今から起こす行動に気がついたのだ。
もう遅いよ♪皆より大きなバスを釣った怨みと、俺をからかいまくった怨みを思い知れ!
『とうっ!』
空気のパンパンなボートの横の部分に、ジャンプしてケツから飛び乗る俺。
《バッシャーン》
俺はそのまま水中に落ちた。
兄貴は?
波で濡れてはいるもののボートにしがみついて無事だ…(怒)
慌ててボートを漕ぎだし着岸を試みる兄貴。
逃がすか!
ボートの下に潜りこみ、自分が乗っていた部分を持ち上げる。
兄貴を支点にゆっくりウィリーするボート。
『まじ落ちる!
俺、車できてるんだぞ!
服も無いしヤバいってマジで!
お前おぼえ…』
《バシャーン》
『これで仲間だ!』
『許す!』
『俺も許す!』
『よくやった!』
『ボート許可!』
『無茶するねぇ…』
……………………………
弟の着替え一式を借りて自前の服を乾かす兄貴。
『せっかくお土産持ってきてたのに…もうあげる気が失せた…』
『なに?』
『食い物?』
『ビール?』
『煙草?』
『エロ本?』
『お米!』
いらんわ!(怒)
おかずが欲しいという希望は無残にも打ち砕かれ、米だけがさらに増えてしまった…
『オラお前等、次行くんやろ!?釣ったバスは全て持ち帰りや!人数分頼むぞ!』
『えぇ~…またバスぅ?』
『嫌なら米だけ喰えばいいよ。焼く手間がはぶけるし』
『…………喰う』
ちょい半泣きの極細男よしのり。
今冷静に考えると兄貴に買い出しを頼めば良かったと思うのだが、我々には帰りの電車賃と少しのお金しか残っていなかったので、当時の選択は致し方ない訳だ。
……………………………
3つの飯盒に米を炊く用意をしていると…
水面をゆっくりこちらに向かってくる一人乗りのゴムボート。
『なんやあいつ…』
『オッサンや』
『囲炉・深…喧嘩腰になるなよ…』
なるかよオッサン相手に…(笑)
近付いてきたボートから《オッサン》が一言。
『すいませ~ん。メジャーとか持ってませんかぁ??』
『ゲェ…多分デカいの釣れたんやろな…』
『どうやろ…』
『俺のバスになるはずやったのに…兄貴と囲炉のせいや…』
『馬鹿、俺のたい!』
『うるせぇブタ!』
『マッチ棒は黙れ!』
お前達じゃ無理だと思うよ(笑)
『ありますよぉ!
でかいの釣れたんですかぁ?』
『はぃ…まあまあです』
着岸。
『おぉ…デケェ…!』
『俺のバスぅ…』
『いや、俺の…』
まだ言ってる…
メジャーで測定。
54センチ!
俺の過去最大より2センチもデカい…
『何のルアーを使ったんですか?』
『スピナーベイトですよ…安物の…』
確信した。やはり道具では無いと。
俺の記録も安物偽グラブで釣ったし。
……………………………
『やっぱりデカいのおるんやなぁ…』
『そりゃそうさ、こんだけデカいダムなんやし。諦めるな中学生よ!』
『兄貴も大学諦めるなよ!』
『俺は二浪はしたくねぇ』
『ご近所様に恥ずかしいよね(笑)』
『ぐぐぅっ…』
快進の一撃を受けた兄貴と承平は…
黙り込んだ…
……………………………
『ごはんたけたぞぉ!』
二人に一づつのサンマの蒲焼き缶詰めでごはんを食べる我々。
『汁をとるなぁ!』
『馬鹿、体重的にいったら2対1の割合で正しいっつぇ!均等に分けてやったんやから汁ぐらいよこせ!』
結局バスは釣れず、塩をかけたご飯と缶詰めでなんとか満腹に…
兄貴を送り、皆で残り火を囲み談笑。
流石に小説(ココ)では書きづらい内容だ…
『かおりちゃんがデカいやろ!』
『いやいや…お前は体育の時のマラソンで揺れるチエコちゃんのを知らんもん… すげえぜ!』
『馬~鹿、大きさじゃないぜ~ 色たい色!……ミオちゃんの先っちょを俺は知ってるし♪』
『『『『『えっ!いつ見たと!?』
『小6の夏だねぇ…』
『そんなん変わってるやろ!』
『馬~鹿、二年じゃ変わらんよ。6年でな、真ピンクやぞ!眩しくて目が閉じそうになったもん!』
『とじたん?』
『馬鹿か!皿のような目で凝視するくさ! 今でも瞼を閉じると………《ゴクン》』
いきなりよしのりが『西村ぁ、ただでさえエロな顔がドエロな顔になっとおぜ!』
『そ・そ・そ・そんな事無いよ!!!』
『嘘言うな!お前テント張っとるやろ!!!』
手を伸ばすよしのり。
『や、やめろって!』
深が『みんなでおさえろ!』
………………
捕獲され身をよじり抵抗する西村の股関を、よしのりチェックが入る…
『でけ~!ムースの缶や!!!』
『マジや、ちょい俺にも触らせろ!』
『俺も俺も!』
『やめんかっ!』
キレた西村の恐いこと…(笑)
㊗ 5000hit記念
皆様ありがとうございます🙇
え~…ちょっと前に新スレを立ち上げました。
感想や叱咤激励・なんでも書いていただくためのスレです☺
よろしければ…匿名で書ける場所なので、足跡がわりに何か一言残して頂ければ幸いです☺
さぁ、タグの囲炉裏男をクリックして…
ここまで見てくれてる読者様は僕の期待に応えてくれるはずだから…😁
レッツくりっく🎵
よろしくね❤
そんなこんなでエロ話に花を咲かせながらも就寝。
その晩は、《山犬騒動》って話もあったが…ただの首輪をつけた放し飼いの飼い犬だったってオチなので端折ります。
当然出口は俺で最奥側が西村に。あとはじゃんけんで…
……………………………
『もうっ…やめろってぇ!』
その夜も章吾の悩ましい声が湖畔にこだまするのであった…
……………………………
最終日。
前日の早寝が効いたのか、まだ暗い状態で起きる我々。
昨日のビッグバスで朝からやる気は満々。
しかし西村と俺はボートの順番が最後になりふてくされていた…
『岸から何百回投げただろう…もうバスいねぇよね』
『魚も、またルアーだ!って気がついてるよ(笑)』
だらだらと一応は投げていると…
『うわっ!西村来い!でけぇのがおるぞ!』
食べ終わった飯盒や皿を軽く水洗いしてた場所に巨大な魚の影が…!
それは赤と白の綺麗な錦鯉と、1mに近いほどの超巨大な野鯉だった。
米の匂いにつられて浅瀬にやってきてたのだ…
2人の意見は一致した。
『バスはもうやめて鯉を狙うぞっ!』
そこからの行動は…
今書くのも恥ずかしい…
水辺に散らかっている米を拾い集め…
ぶよぶよに膨れた米を潰してコネて…
針を包めるような固さじゃ無いって事でなぜか乾いた赤土をまぜてコネコネ…
できた餌は赤土団子(若干…米風味♪)
いやぁ…ピクリとも反応無しでした(笑)
浮き釣りでも…
吸い込み仕掛けを作っても…
……………………………
『だめやね…』
『どこいったんやろ鯉の野郎…』
『西村、じゃんけん!』
『え?なんで?』
『後ろの森でミミズを探してこようぜ』
『おぉ!囲炉頭いいかもっ!』
いやぁ…泥団子作る前に気がつけばね…
じゃんけん勝負に負け、紙皿を片手に森へ…
最初に足を踏み入れた時は固い土壌だったが、雨の影響で土も比較的軟らかくなっていた。
枯れ葉の堆積した場所を選び、その葉をズラすと…
赤ちゃんミミズ発見♪
しかし針と同じぐらいの大きさなのでリリース。
また森を進むと…朽ちた倒木が。
ひっくり返してみるとウジャウジャいた♪
全部皿に乗せ、帰還。
『どうよコレ!はよリール巻いて餌を付け直そうぜ!』
ばたばたと仕掛けを回収し、ミミズをつけて投げてみた。
浮き釣りのウキは海用の4号ウキ。
大きさが解らない人が多いだろうから簡単に説明すると…
卓球のピンポン玉程度の大きさで、ある程度おおきな魚じゃないとウキが沈まないって感じなのだ。
最初にきたアタリは浮き釣りだった。
《モゾモゾ…モゾモゾ…ピクン…ポコ(一瞬水面から消える)プカン(浮いてくる)…モゾモゾ…》
なんかが喰っているのは確かだが…
無茶苦茶小さな何かだ…
あのビッグな鯉なら、一瞬で浮きを消し去るはずだ。
一応軽く合わせるが抵抗無し。ま…巻いてみよう…
《ひらひらひら》
あらら釣れてた…手のひら程度のブルーギルだ。
ここで少し横路にそれてみよう…
ブルーギル…
超馬鹿魚。どのくらい馬鹿か説明すると…
水面から落ちてくるモノ全てを餌だと勘違いし、とりあえず口に入れるヤツなのだ。
小学生の頃はその習性を利用して、針に消しゴムを付けてよく釣っていた。
釣った魚に目印として背ビレに切れ込みを入れて放流…
次の日に同じ仕掛けで同じ魚が釣れちゃう…
そのくらい馬鹿な魚なのだ。
この魚、群れを作るからさらにタチが悪い…
そう…ブルーギル祭り開催だ…
祝!100回
万歳\(^O^)/
ん…失礼しました…
……………………………
ブルーギル祭り…それは延々と続く面白みの全く無い釣りだった。
タナ(狙う水深)をかえてもブルーギル…
横に投げてもブルーギル…
兎にも角にもブルーギル…(泣)
工場の流れ作業のように黙々と…
ツマラナイ…
いっそのこと皆をビビらすか…
西村と2人、石を拾い集めて浅場にイケスを作製。
釣れたブルーギルを片っ端から入れていった。
たまっていく魚…
全く意味は無いが仲間の驚く顔を想像すると…
自然と竿にも力が入る!
……………………………
陸地を移動しながら釣りしてた2人と、途中でボートを替わり…承平と深が森から帰ってきた。
『うわっ…何コレ!』
『どうしたん?』
『ミミズ取ってこい!まだまだ釣れるぜ』
4人体制でさらに…
……………………………
よしのりと章吾が帰ってきた。
イケスの中は酸欠になり、ウヨウヨぎらぎら光るブルーギルで底が見えなくなるほど釣った後だった。
反応を期待しながらもわざとアピールをしない4人…
よしのりが気がついた!
『きもちわるっ…』
そんだけかよ~!!!!(泣)
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