記憶の扉
暇な時に記憶の扉を開けてみよう。
書いてみよう。
※この作品群はフィクションだ。
誰が何と言おうとフィクションなのだ。
読まれる方はご了承願います…
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『独身よ♪』
『わぉ!じゃ…約束を果たそうか♪』
『ふふ…コブが3つ付いてくるけどいいの?(笑)』
『結婚してたん?ちゅうか離婚してたんや!』
『ふふふ…しかも私は×2よ…(笑)』
天真爛漫なこころちゃん…
天真爛漫すぎでしょう…
連絡先を交換せずにサヨナラしたのは言うまでもない話だった。
6章 淡い想いから
完
夏休みも終わり、幼稚園に通い始めた僕。
ん~…変だ…
姫が輝いてるように見えないのだ。
何故か興味がもてない…
何故なのかは…のちに判明した。
【ゆきおに汚された感】があるのだ。
ごめんよじゅんこ姫…
その後…
おままごとゴッコも僕の興味はこころちゃんに向いてしまう…
2つ歳上の姉が2人には居て、もともと母親同士が知り合いって事もあり…
距離は急速に縮まっていった。
天真爛漫なこころちゃん
『【あたしね、囲炉ちゃんのお嫁さんになる~♪】
って言ってたよ!』
こころちゃん家族とうちの母親がスーパーなどで会うといつも言われていたらしい…
照れる僕は『僕は好きじゃないもん~』
と…去勢を張っていた。
……………………………
一年半ほど前に偶然こころちゃんと小料理屋にて再会。
凄い素敵な笑顔だ。
『俺の嫁さんになってくれるって言ってたの覚えとる?』
『え~…なんとなく記憶にあるけどぉ(笑)よく覚えとるよね!』
『そりゃそうさ。当然まだ結婚してないんやろ?』
ゆきおは僕が叩かれている一部始終を見ていた。
涙で視界が歪む眼(まなこ)を拭う僕。
ガラスの向こうにいるゆきおの姿がはっきり…
両手の親指を耳に入れ、指をヒラヒラと…
舌を出して目を真ん中に寄せてやがる姿が見えた!
その仕草の憎らしい事と言ったら…
僕は
『もいちど泣かす!』
心に決めた。
先生だけが【うめぐみ】に帰り、さようならの挨拶をした。
ぞろぞろと出てくる園児に混じり、ヤツが僕を通り過ぎる。
『ばかや~~ん』
通り過ぎながらの一言…(怒)
これが悪かった…
反射的に追いかけてアントニオ猪木の必殺技、【延髄切り】を蹴ってしまった。
しかもメガヒット!!!
だだだ~っと走り込み、これ以上無い角度で首筋に勢いを付けた延髄切り(蹴り)
ぶっ倒れるゆきお。
右手親指で自らの鼻をピンとはじき…
『くらすばぃ!』
(殴るばいって意味)
決まった!
我ながら完璧♪
まさにブルース・リー♪
『い"~~~~ろ"~~~~~!!』
うわわわわわわ~!
逃げろ~~~~!!!
《ぎゅっっっ》
ん?
んんっ???
いや…なんか首が痛いんですケド…
《は~い先生…捕まえたわよ~♪》
てめぇ園長…お前も仲間かぁぁ!!??
たかが女
されどはばぁ…
幼稚園児の親な皆様は試してみたら解るはず…
女の力でも、首元をギュっと後ろから掴まれたら……
ガキは子猫のように力が入らなくなるのだ。
《へへへっ……ようやく捕まえたわよ…さて………………どう料理してやろうかしら…♪》
的な目線を投げかけながら近寄ってくる鬼…
いやだぁぁぁ~(泣)
当然のように下半身をむき身にされ…
《バシっ》
『あ゛ぁっ』
《バシっ》
『いぃっ』
《バシっ》
『うぅぅ…』
《バシっ》
『ええぇぇ』
《バシっっっ》
(誤)『おぉぉぉふ…♪』
【いや…なんか間違えましたね♪】
(正)『うわ~~~~~~~~~ん(泣)』
ま…5連発生尻叩きは定番でありながら最強の罰だった訳で…
痛さにより、とめどなく頬を流れ落ちる涙…
涙に濡れた視界に映る憎らしい影…
ゆきおだ。
グラウンドに立たされる僕。
窓際を見ていると…
ゆきおが《あっかんべ~》をしていた!
腹が立っておもわず足元の砂を集めてゆきおにむかって投げた!
『ぱちぱちぱちぱち』
ぐぅぅぅ…ガラスの向こうにいやがった…
しかも開いている窓際にいる他の園児には砂があたってしまい、《うめぐみ》は阿鼻叫喚の世界に…
『こりゃぁぁぁぁぁ~!いろ!なんばしよるとねアンタはぁぁぁぁぁぁ!(怒)』
うわぁ…
僕は反射的に逃げてしまった。
逃げる僕…
追う鬼ばば先生…
ちぢまる距離…
間一髪ですべり台付きのアスレチックの中に逃げ込む僕…
ほえる鬼…
『こ゛ら゛~!こ゛っ゛ち゛に゛こ゛ん゛か゛ぁ゛ぁ゛~!』
これが怖い事怖い事…
『いやばぃ!せんせ~叩こうが!』
『あ゛~た゛~り゛~ま゛~え゛~や゛~ろ゛~も゛~~~ん゛!』
そんなのそっちにいけるかっ!
その時、園長先生が登場♪
『いろちゃん…大丈夫。出てきなさいな。』
救いの神が降臨した!
まるでホントのばあちゃんに甘えるようにアスレチックから出る僕。
『は~いみんな~、明日から夏休みですよ~♪
棚のお荷物も全部持ってきましょ~ね~♪』
『は~い』『は~い』『は~い』
ぞろぞろと棚に集まる園児たち。
その時僕は、おそらく長期間逢えない事になるだろう姫の姿を目で追っていた。
『あ~あ… さみしいな…』
その時姫は僕の目線に気がついて…
《にこっ》
ん~♪かわゆいっ♪
って思った瞬間に姫に近づく影が!
《ぶちゅっ!》
そいつは人混みにまみれてほっぺにキスして逃げていく!
僕はしっかりこの目で見た。ゆきおだ!
キョトンとして動かない姫から目線を外した僕は…
『ゆ~き~お~ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』
だだだだ~っと人混みに突っ込み必殺のライダーキック!!
《バキッ 『ぐぇ』 ドテン 『うぇぇぇん』》
ふんっ!人の女に手を出しやがって…
『なんしよるとね いろ!』
うわぁ…鬼ばばあ先生やん…
『いっつもあんたは…皆が帰るまでおもてに立ってなさい!(怒)』
『ちがうとよ先生、ゆきおが…』
『ちがうくない!いいからグラウンドに出てなさい!』
『あぃ……』
その日から何かがかわった。
同じ組で同じ時間に帰るはずの《ゆきお》が僕より先に…
僕と一緒に手をつないで帰る姫の家の前でまっているのだ。
《あいつまたおる…》
これが僕の考えれる思考レベルである。
それは3日に一度…
僕が姫の家にいくスパン通りに思う事。
それ以降、ゆきおがつきまとい家に帰るときはほとんどなかった。
そう。ヤツは毎日のように姫の家にいっていたのだ。
今になれば解る事だが、当時は抜け駆けするなんか当然解らない。
しかし解らないのには理由がある。
園での《おままごと》ではずっと僕は王子(父親役)なのだ!
そりゃゆきおの行動にも気がつかない。
ちなみに…
唯一、母親役がこころちゃんになった時だけは…
姫とは密着できない日になる訳だ…
そんな日々をすごし、明日は夏休みに…
そこで事件は起こった。
当時の僕は予想をはるかに超える衝撃を受けて…
かたまった!!!!!!
『うふふっ ゆきおくん、たのしい?』
『うん、たのしい』
僕はたのしくないゾ…
『ま~だ~?』
『ま~だ~!』
ちくしょ~この野郎…
ゆれるブランコ…
『ふふふっ たのしいネ♪』
『うん、たのしい♪』
でも僕はたのしくないんだよね…
『もうよかろ?』
『ま~だ~!』
むかっ!
ゆれるブランコ…
はげしくゆれるブランコ…
土台までゆれるブランコ…
『わぁ~♪恐いね~♪』
『ひぐっ…ひぐっ…うええぇぇ~ん』
また泣いた…
『いろちゃんとめて!』
『あい…』
ブランコから降りる2人…
しゃがんで泣いてるゆきお。
なんとあろう事か、姫は『怖かったねぇ、よしよし』
頭を撫でて慰めている…!
俺に膝枕してくれる時だけじゃないのかよぉぉ…(泣)
『いろちゃん!』
『あぃ!(きおつけの姿勢でピシッと)』
『泣かせたらダメでしょ!』
『あい…ごめんなさい…』
『もう大丈夫だからね~』
姫、布団叩き持ってないよね…?
ゆきおを招き入れた姫の手を僕は引き、ブランコに戻った。
『ゆきお、いっしょにあそんでやるからブランコ押せ』
『うん』
ゆれるブランコ。
『うふふ』
『あはは』
ん~、甘い時間だ♪
『ま~だ~?』
『ま~だ~!』
またゆれるブランコ。
『うふふふ』
『あははは』
『ま~だ~?』
『ま~だ~!』
さらにゆれるブランコ。
『うふふふふ♪』
『あはははは♪』
『ひぐっ…ひぐっ…』
『ぼ ぐ も゛の゛り゛だ い゛~~~』
また泣きやがった…
だからヤなんだよなぁ…
すると姫が『わたしがおすから♪』とブランコを降りた。
ぐずりながらもブランコに乗るゆきお。
何が悲しくてこの野郎と向かい合ってブランコに乗らなきゃいけねぇんだょ…
ゆれるブランコ…
『グスっ…』
『むす~(顔色)…』
『ま~だ~?』
『ま~『もういいよ~♪』
ったく…姫に要求するなんて10年ぐらい早いったい!
『よし、次はゆきおが押せ!』
『えええぇ~…』
『だめよいろちゃん、つぎはいろちゃんでしょ?』
『あい…』
姫のお叱りをうけてしぶしぶと降りる僕。
『じゃあ押すよ~』
ゆれるブランコ…
ゆきおから逃げるのには実は訳がある。
帰宅の時間の後のお楽しみ、じゅんこ姫との密会を邪魔されたくなかったのだ。
じゅんこ姫の家は、園から100m程度しか離れていない。
家とは真逆の方向なのだが三日に一度は訪れて遊んでいた。
ほとんど二人きり、たまにこころちゃんが入り三人で…
そんなスイートな時間をゆきおに邪魔されてしまう事件が起きてしまった…
逃げる振りをして隠れ、道を引き返しじゅんこ姫の家にスキップで向かう俺の後ろ姿を睨む目が…
ゆきおに見つかってしまっていたのだ!
『じゅ~んちゃん♪ あ~そ~ぼ♪』
『はぁ~い♪ちょっとまってね~♪』
ガチャっと扉を開け出てくるお姫様。
まばゆい♪
毎度のように庭にむかい、2人で向き合う小さな白いブランコに座る♪
『うふふっ』
『あははっ』
そんな目で見つめちゃ照れちゃうよ♪
しかしかわいいなぁ♪
なんて思っていると…
『い~ろちゃん♪あ~そ~ぼ~♪』
かぁぁぁ…ゆきおの声だ…
『うぇぇ…なんでくるとかいなアイツ…』
しかし姫は初めて来るお客様を気遣い、僕に優しい声で『いっしょにあそびましょ?(ニコ)』
その笑顔にはかないません…
ゆきおはまるで金魚のフンのように僕についてまわる。
園内だけならまだしも…家もそこそこ近いので、帰り道もついてくる。
『えんちょ~せんせ~ばいばい~!』
『さようならせんせ~…あ、いろちゃんまってよ~』
だだだだ~っと駆けて逃げる僕。
くにゃくにゃクネクネ変な走り方で追いかけてくるゆきお。
『まってよ~…はぁはぁ…ひっぐ…うえぇぇ~~ん』
泣かれちゃこまる…
ご近所の《おばちゃん》にみられたら、また怒られるからだ。
『あんたまた意地悪しよ~とね!僕ぅ、大丈夫よ。おばちゃんがいろちゃんに仕返ししてあげるからね♪いろちゃ~~ん!覚悟しなさいよ~!』
ひきつる。
これほど恐い事は無い!
毎日通る道で必ずエプロンを着て片手に布団叩きをもつ《おばちゃん》の家を通り過ぎるまでに彼をなだめなきゃいけないのだ。
『ゆきおが足が遅いのが悪いとよ!』
『泣くなって!ほら…これやるけん』
手渡したモノを見ながら『ひぐっ ひぐっ…何これ?』
『とかげの尻尾よ』
ポイッ
『うぇぇ~~ん!!!』
ったく… どうすりゃいいんだよぅ…
姫に何故かヨシヨシされて至福な僕に…
『はやくアタシもぉ~』
じゃまするなこころちゃん!
きみは笑顔が素敵な可愛いコなのだが…
いかんせん姫の幼児体型特有の、腹部の柔らかさには代え難い…
しかしあまり長期に渡る抱きつきも自然では無い訳で…
しぶしぶこころちゃんの膝枕に移動…
ひとときのやすらぎのあと…
『よ~~くねた!』
ごめんクミちゃん!
体積の多いからだはあつそうだし…ごめ~ん!
そんな至福な時を過ごす僕を射るような視線が、砂場の山越しに刺さっているのには当時は気がつかなかった。
その男の名は《ゆきお》
途中で入園してきたいわゆる転入生だ。
やつは僕に近づいてきた。
『いろちゃん、家がそばだし遊ぼうよ』
汚ねぇヤツだ…
母親に迎えにこられた時に言うもんだから…断れねぇ!
母親も『囲炉ちゃん、仲良くしてねぇ』
『うん。』しか言えないよ…
しかしコイツが何も楽しくないんだ…
ちょうど1章の年上達とか、近所の年上連中と遊びはじめた時だからなおさら…
ぶさいくなヤツなのに虫は怖がる、川で魚を釣っても怖がる…
自然に付き合いは園内だけになっていく訳だ…
『おかえりなさい お父さん♪ごはんできてるわよ~』
エリアには何故か母役のじゅんこ姫と娘役2人…
ま…2人でおままごと…は、かなりのスリリングな訳だけれども…(笑)
答えが1つに限定された砂団子を食べるふりをする僕…
周りには砂を集め山作りに夢中な男共…
『おなかいっぱいになった。もうねるばい!』
想定に無い台詞に戸惑う三人…
『お父さん、布団敷いてないよ~』
ん、想定内♪
『知らんとや!夜じゃなけりゃ大人はひざまくらで寝るっつぇ~!』
ハテナな三人。
『はい!おかあさん座りせんや!』
正座する三人。
『こうするったい!』
当然のように姫の太ももに突入♪
『おれの父ちゃんはな、こっちむきで寝るんばい!』
親父をダシに姫の腹部に抱きつく僕…
ん~…至福♪♪♪
『わたしも~!』
『クミにも~!』
ん~…クミちゃんはぶちゃいくだしイヤかも~!(汗)
6章 淡い想いから…
時期は前後して…
幼稚園の年少組の頃のお話
幼稚園に通い始めた4歳の頃…
自我が芽生えたのは多分その頃だと思う。
我が《うめ組》の担当の鬼ばばぁ(多分20代)に虐待されまくった記憶があるから、間違いないはずだ!
《虐待の理由は我にアリ!なのだが…(笑)良くも悪くも厳しい先生でした》
ま…当然鬼ばばぁには憧れなど抱く訳もなく…
年長さんをフルパワーの頭突きで泣かせて、彼らの遊んでた遊具を強奪したり…
可愛いやんちゃな時代のお話です
その幼稚園のうめ組にはお姫様がいた。
その名も《じゅんこ姫》
なんと表現したらいいのだろう…
幼稚園生なのに面長な顔形に、決して大きくは無いのだかクリっとした二重の…
上品な顔立ちなのだ。
生まれて初めて、彼女から異性を意識しはじめた僕なのだ…
幼少時代によくある話…
好きなコには意地悪をしてしまう…
まだそんな感覚はなかった。
同年代の男児が…
砂場でだれが一番大きな砂山を作るか!ってので勝負をしてる横で…《お父さん役》をするのが至上の喜びと優越感に浸れる瞬間だった。
いわゆる《おままごと》だ。
2つ上の姉がいる身…
そりゃ馴れたモノなのだ!(笑)
『うわぁ…めっちゃ食いしん坊や…(笑)』
『怒ってるかな?』
『大丈夫!論で攻めりゃ馬鹿やし納得するよ』
『うわぁ…大鍋もったデブは目立つねぇ…』
『これ以上は無い組み合わせだぁ(笑)』
改札を通り抜けた深は我々に気がついた。
緊張の一瞬だ…
なにしろ彼は不良なデブ。喧嘩になると俺も手を焼くどころではない。力でかなうのは優しい西村ぐらいしかいないのだ。
彼がこちらに来た。
はにかんだ顔だ…
『なんで鍋よ!恥ずかしかろーもん!せめてテントとか…』
『お前テントなら置いてくるやろ!?自分のやけんちゃんと持って帰ってきたったい(笑)』
『お似合い!』
『そうだそうだ!』
『同情するよ深…』
『この面子だからしゃあないよ(笑)』
『やけんって鍋って…
目があう皆からニヤけられるっちゃが…滅茶苦茶恥ずかしかったんばぃ!』
『じゃあ痩せろ!』
……………………………
よしのりの毒をもってこのストーリーは終了です。
ちなみにその後…
深は40キロのダイエットに成功し…
22歳で中学の同級生と結婚。
四年ぶりに吐いたよしのりの毒…
なぜか最後に悪い癖が出た…
承平が『起こそうか…』
『待て。静かに…』
皆を静かに誘導(電車なので騒がない程度のレベル)して、到着駅へそなえた。
『プシュー』
扉が開くと皆で静かに荷物を下ろす。
《ピリリリリリー》
《プシュ~…》
扉は閉じた。
中では…
ガラス窓にほっぺたをつけて眠る深。
隣の席には当然……
金色に光る大鍋♪
動きだした電車を追いかけて、窓を《コンコン》
薄目を開ける深。
ヤツの目には窓際を走って笑ってる我々が映ったはずだ。
だが…
瞳を閉じた!(笑)
加速する電車…
追いつけなくなった我々はあきらめ荷物まで戻りながら…
『深、また寝たな…』
『多分気づいてないね…』
『どこまで行くんやろ…』
『門司(終点駅)までは…いきそうやねぇ、深やし…』
『だいたいやりすぎやん…』
相談の結果、駅前で待つ事に。
下り電車が10回ほど過ぎたぐらいに…
大鍋を抱えた深が下車してくるのを確認した…
久しぶりに感じた一服を終了し、飲み物も満喫した我々は駅へ向かった。
……………………………
荷物を1つの山のように盛り、電車を待つ皆。
『疲れたねぇ…』
目の前の逆車線のホームの向こうは一面に広がる田畑と遠く見える山々。
涼しい風達が正面から流れ、我々をすり抜けていく…
言葉を発さずに皆は風に身を任せていた…
こういう時期もあともう少しで…
『腹がやべぇ…冷たいジュース飲みすぎたみたい…便所いってくる!』
空気感を無視する発言で笑いをとる男よしのり…
胃腸の弱さも天下一品だ。
よしのりもトイレから帰還し、しばらくして到着した電車に乗る。ガラガラだ。
ドアの脇のスペースに荷物を盛り、相席4人の座席に2人づつ贅沢に座る。
地元までは乗り換え1回だ。
……………………………
『…い、おきろよ…囲炉、乗り換えるよ』
いつの間にかうたた寝してた俺を承平が起こしてくれた。
乗り換え駅を降りるとすぐに次の電車が来て、バタバタと荷物を抱え乗り込む。
そこそこ乗客も座ってて、よしのりと俺が荷物の上に腰掛ける事に。
………………
あと2つで地元の駅だ。
よしのりの意見は皆もスルー。
深の一口は半分を飲み干す恐れがあるから当然だ。
回し飲みもいいが…
俺はここでお願いしてみた。
『あのさぁ…1つお願いがあるっちゃけど…』
『ビールは駄目ばい。高いし。』
『違う違う…煙草が欲しいとよね…』
『駄目くさ!残金無くなるやん!』
『いや…だからさ…ショートホープ120円やん…?駄目?』
『駄目たい!』
『つまらん!ジュースかアイスにすべきだ!』
『俺はカレーパン♪』
『多数決で囲炉の負けやろ…』
『ちょっと待ってくれ…俺な、このキャンプに煙草八箱持ってきたんばぃ。誰のせいで無くなったか解るやろ?』
ならない口笛を吹くデブ(深)と章吾。
《《こいつらポケットに入った1箱だけでバカバカ他人の煙草を吸いやがって…しかも二日目には勝手に開けて1箱ずつキープまで…(怒)》》
『お前らは反対せんよな?』
『ん…俺はもうお腹たぷたぷ』
『カレーパン~~(泣)…煙草もらわんどきゃ良かったょ…』
『な?半数確保や。割れたぞ承平、どうする…?』
……………………………
朝から吸ってない上に、いつもより重い煙草の先から煙をくゆらせて…
三人並んでクラクラクラクラ…
クタクタに疲れながらも明るく愉しく駅前商店街に到着。
『の゛ ど が ぁ゛ が わ゛ い゛ だ ぁ゛……』
3日ぶりの自販機に群がる我々。
深は何故か自販機に抱きつき『気持ちいい…』
どうも利用方法に誤りがあるようだ。
『承平、500mlのコーラ!』
大蔵省を勤めあげる承平にすがる皆。
『電車賃が問題やけん、駅で調べてからな!』
『そんならはよ調べに行け!俺たちゃもうココを動かんぞ!』
『……………分かった…待っとって』
荷物をその場に置き歩く承平によしのりが一言。『走れボケぇ!』
承平は当然無視。
深にヘッドロック(脇に頭を挟み締め上げるプロレス技)をかけられて苦しむ生意気なよしのりを見ながら笑ってると、承平が帰還した。
『大丈夫。ちょっと余裕あるし買おう!』
……………………………
『はい!あと480円。次は何がいい?』
『もいっちょコーラ!』
『ジンジャーエール!』
『多いのやないと揉めるよ!ただでさえ深の一口は二倍なんやけん…』
『ふふふっ…あなどるな。皆の三倍だよ(笑)』
またよしのりが得意の《歳の離れた姉2人で長男末っ子》のワガママを…
『俺つぶつぶみかん!』
当然却下(笑)
『ったく…お前くらすぜ!(怒)【殴るぜ】』
『だって重いっちゃもん!』
『みんな重いくさ!グダグダ言うな。行くぞ』
横一列&後ろに1人遅れながら歩く我々。
丘を下り、田畑に囲まれた一本道を歩く。
西村が一言…
『花が綺麗やね~』
『顔に似合わんったい!』
後ろからよしのりが毒を吐く。
そんなやりとりを皆で笑いながら歩いてると…章吾が歌い始めた。
『ええんじゃない♪
はずふぁ~ん♪
へねへに~ふぉ~ん♪
へんざむぅん♪
るぶぅりおんるぃ♪
らくうぃるし~♪
《ここらで皆は何の歌か気がつき、各々なりの解釈で同調しはじめた》
うぉないろん♪
びあふれ~♪
のああああうぉん♪
びあふれ~♪
じゃすあずろん~♪
にゃにゅすてん♪
すてんばいみ♪
そ だーりんだーりん
スタンド~バイ~ミ~♪
おおおおスタンド・バイミ~♪
お~すてん♪
すてんばいみ♪
すてんばいみ♪』
『かっかっか…メロディー合ってりゃなんとかなるなぁ!』
『無茶苦茶な歌詞やしな!』
『歌はハートで伝えるもんたい!』
唯一まともな英語力を持った承平に正しい歌詞を教えてもらいながら…
駅までの道を楽しんだ。
とりあえず一旦西村を休ませる我々。
西村の着替えはもう無い…自然乾燥に頼るしか無い状況だ。
『とりあえず荷物を減らそう』
俺の案で、ボートを焼却処分。
現在でこそ、やれ『野焼きは有害物質が!』など言われるが…田舎だし関係は無いのである。
当然のように…
『ついでにゴミも燃やしちゃえ!』
釣り糸のカスや紙皿…ビニール袋や菓子の袋…
それこそ缶類などの鉄以外で炎が着くものは全て焼却。
西村の服を乾かす材料になった。
※
(決して真似はしない様に…地方自治体により罰則も多分様々です。当時は我が地方にはその様な条例もありませんでした。これは我々の決めていた、《石油製品は【釣り糸やルアーのケースなど】焼却処分の徹底》というルールに基づいた行動の結果です)
野鳥や野生動物などの二次災害を減らすための我々なりの…
[燃やして固めて土に帰せばいずれは石油に…石の様に丸く固めれば被害は出ない]と、ガキなりの思考をフルに使った………
荷物を減らす方法でした(笑)
大量のゴミは一気に1/4程度まで減り…
よし。丘を下れば駅まで4キロ!
『行くぞ!』
よしのりが俺に呟いた。
『これ燃やしたらダメ?』
俺のテントぉ?
①②③の動きを繰り返す西村。
こちらからは彼の姿は見えないが…
アメンボのように《すいっ すいっ》っと…ちょっとずつではあるが、こちらに近づいている。
しかし…ガマクチが閉じる動きが慌ただしくなってきた…
章吾が一言…
『あのさぁ…あれってさ…溺れてない?』
ん…そうかも…
『西村ぁ!大丈夫かぁ?』
『大丈夫ばん!!』(大丈夫では無い!)
そりゃ確かにそうだ
全体的に七割以上沈んでるし…(笑)
浮き輪より心もとない程度の空気を含んだガマクチの上部がペコペコ閉じたり開いたりって感じだからだ。
『諦めろ~!泳いで戻れ~!』
承平の叫びに反応し、ボートから脱出し泳ぎはじめた西村。
左手にはボートの先端にある紐を持ちながら、それは見事な平泳ぎで岸まで帰還。
『はぁはぁ…死ぬかと思った…はぁはぁ…』
ここは突っ込まなきゃだ。
『西村お前…はなっから泳げよ!』
『はぁはぁ…だって…ボートを捨てれんやん!』
『あのな…そんなポンコツなボート…今更必要なくねぇや?』
『あ…そうかも…』
優しい男、西村は…
共同出資のビニールボート・1人千円以内の出資額のために命を賭けるほど優しい男なのだ…
『頑張れ西村ぁ~!みんながついてるゾ~!!!』
『助けてくれんくせにぃ~!』
よしのりが冷静に一言呟いた。
『そこはスパルタ!』皆は大声で
『そうそう!スパルタだぁ!』
『そうだそうだ!』
承平も元気に『獅子は我が子を千尋の谷に…うちのコはダムに落とすのだぁ!』
こいつの言う事はいちいち難しい…(笑)しかし元気になった!
『真価を問われてるぞ西村ぁ!お前の力を見せてやれぇ!』
ここで一旦説明を。
解りやすく説明すると…ボートはガマグチ財布の鉄の部分の動きをしているのである。
パコっと閉じて水中に半分沈んでは漕ぐ瞬間に少し開く感じだ。
『どげん(どう)すればいいとよぉ!?』
『伸びろ!』
『何を!?』
『背伸びしてボートを伸ばせ!』
『解ったぁ!』
ボートの内部で頭と足を突っ張る西村。
こちらからは消えた状態だ。
ボートは弱々しくも、普通のボートの形をした。
『そのまま漕げ!』
手だけがボートから伸び、オールを掴む。
あら…
①ガマクチは閉じた!
②次の瞬間、オールが白波を立てた!
③ボートが伸びた!
想像力を働かせて欲しい…
しゃくとり虫のさかさま…逆になった感じだ…
ラストの荷物を積んで戻ってきたボートは、ちょうどオールの部分がヘタレて水が入りそうなほど空気が抜けていた。
『やばいってコレ!絶対空気抜けてるって!』
『気のせい気のせい♪』
『いや!騙されんよ!溺れたらどうするん?』
『泳いで帰ってこいよ♪』
『みんな…冷たかぁ…』
『だいたいさぁ西村、ポコポコ空気の抜ける音はしてないだろ?ゆっくり抜けてるだけよ!章吾迎えに行って戻ってこい!』
『ん~…わかった…』
『行ってらっしゃ~い♪』
西村が出発し、しばらくすると森からガサゴソと人の気配が…
章吾だ。
『あ~…きつぅ…
あんなボートで帰るより森抜けたほうが安全や…』
見捨てられた西村に大声で『章吾こっち来たから戻れ~!』
しばらくするとバシャバシャと水を掻く音と共に西村の『ひぃ!ひぃ!』と言う声が…
木の影からボートが見えた。
『あ……折れてる…』
ボートの空気は体重を支える限界を超え、完全に《くの字》を超える程に。
『西村頑張れ~!』
『頑張れん!進まんとよコレ!』
確かにそうだ。折れ曲がって縦に抵抗ができた状態…さらにオールも自由に動かせないような感じになってる…
頑張れ西村!!
『せっかくやしボートで運ぼうぜ~!』
確かに的を得てる発言だった。行きより軽くなった手荷物だけを背負い陸地を歩いて、大物類はボートで運ぶ。
荷物受け渡しのため1人残り、最後は荷物と2人がボートで帰ってくる。よしのりにしちゃナイスな案だ。
さすが力仕事の手を抜かせたら仲間で一番なだけはある。
漕ぎ手は怪力西村に無条件で決定。じゃんけんで負けた章吾が渡し役として残り、あとは森を通って脱出する事に…。
我々が到着すると、すでに西村は荷物を積んで待っていた。『はやっ!』
『だってほぼ直線でここまで着くからね。ほら、荷物受け取ってよ』
『よし。じゃ、また頑張れ~』『うん…なんか俺一番キツい気がするっちゃけど…』
『気のせい気のせい!』
『おかえり西村』
『はぁはぁ…はい荷物』
『行ってらっしゃーい』
『いや、俺じゃんけんもしてないよね?キツいんだけど…』
『気のせい気のせい♪』『そうかなぁ…行ってくる!』
『おかえり西村♪♪♪』
『はぁはぁはぁはぁ… なんかだんだんボートが重くなってきたよ!空気抜けてない?』
『気のせい気のせい♪』
だんだんくの字に折れていくボートに皆は…
『行ってらっしゃーい♪(笑)』
『ぶん投げて終わりぜ~』
疲れた西村は超低空飛行でよしのりを投げてしまった。
水深40センチ程度の場所に投げられたよしのりは、勢いよく《ジャボっ》水平より少し角度を付けた程度で真っ直ぐ水中に突っ込んでいき…
『は・はな・鼻に水がぁ…背中もいてぇし!』
あわれよしのり。
最終日に背中に擦過傷を負ってしまった…………
ほんのり赤くすりむいたって程度だけどね…
……………………………
『さて…じゃあしまおうか…(片付けようか)』
落ちついてまったりする我々に承平が促した。
……………………………
意外な事にテキパキと皆は動き、あっさりと片付けは完了。ま、テントなどは畳んで収納するだけなので設置と比べるのもナンセンスな訳だが…。
片付けて掃除をしていると…承平が暗い顔をして水辺を見ている…
『どうしたん?』
声をかけて近寄ると…
忘れてずっと水中に放置してたブラックバスを発見してた。
例の承平のバスだ。
『昨日食べてやればよかった…無益な殺生をしてしまったよ…』
一度暗くなった彼は復活するまで時間がかかる…
リーダー代行を俺が引き受け『さぁ荷物は皆で持てよ!』
よしのりが一言。
『いやだ』
『なにを意味のわからん事をしてるのかお前たちは…』
的な冷たい目線で虐げられている4人…(実際は言ってないが)
フォローを入れる様に章吾が『すげ~!何匹おるんコレ?』
やさぐれた気持ちの我々を代表して深が一言。
『一匹ずつ数えて逃がせばいいやんか…』
ああ可哀想な章吾。何も悪いことなどしていないのに…(笑)
すると…
『こんなの…おりゃ!』
囲いの一角に蹴りを入れて破壊する足。
よしのりだ!
シュっと逃げる魚…
続いて逃げる二匹目…三…
シュシュシュシュシュ…
群れながら一瞬で出て行く様は爽快ではあった。
しかしよしのりには腹がたつ…
俺は背後からフルネルソンに固め…(羽交い締めって事)
『西村ぁ!足を抱えろ!』
水に投げいれるつもりの西村は両手で両足首を確保。
『馬鹿!脇に抱えろ!』
『え??どうすると?』
『お前の馬鹿力でジャイアントスイングたい!(笑)』
やらせたのはいいが…
これが…回る回る!
スピードも半端ではないし時間も…
まさに馳弘(プロレスラー兼元議員)も真っ青だった。
回る西村が一言…
『…これ、いつ終わればいいとぉ?』
知らんのかいっ!
祝!100回
万歳\(^O^)/
ん…失礼しました…
……………………………
ブルーギル祭り…それは延々と続く面白みの全く無い釣りだった。
タナ(狙う水深)をかえてもブルーギル…
横に投げてもブルーギル…
兎にも角にもブルーギル…(泣)
工場の流れ作業のように黙々と…
ツマラナイ…
いっそのこと皆をビビらすか…
西村と2人、石を拾い集めて浅場にイケスを作製。
釣れたブルーギルを片っ端から入れていった。
たまっていく魚…
全く意味は無いが仲間の驚く顔を想像すると…
自然と竿にも力が入る!
……………………………
陸地を移動しながら釣りしてた2人と、途中でボートを替わり…承平と深が森から帰ってきた。
『うわっ…何コレ!』
『どうしたん?』
『ミミズ取ってこい!まだまだ釣れるぜ』
4人体制でさらに…
……………………………
よしのりと章吾が帰ってきた。
イケスの中は酸欠になり、ウヨウヨぎらぎら光るブルーギルで底が見えなくなるほど釣った後だった。
反応を期待しながらもわざとアピールをしない4人…
よしのりが気がついた!
『きもちわるっ…』
そんだけかよ~!!!!(泣)
ばたばたと仕掛けを回収し、ミミズをつけて投げてみた。
浮き釣りのウキは海用の4号ウキ。
大きさが解らない人が多いだろうから簡単に説明すると…
卓球のピンポン玉程度の大きさで、ある程度おおきな魚じゃないとウキが沈まないって感じなのだ。
最初にきたアタリは浮き釣りだった。
《モゾモゾ…モゾモゾ…ピクン…ポコ(一瞬水面から消える)プカン(浮いてくる)…モゾモゾ…》
なんかが喰っているのは確かだが…
無茶苦茶小さな何かだ…
あのビッグな鯉なら、一瞬で浮きを消し去るはずだ。
一応軽く合わせるが抵抗無し。ま…巻いてみよう…
《ひらひらひら》
あらら釣れてた…手のひら程度のブルーギルだ。
ここで少し横路にそれてみよう…
ブルーギル…
超馬鹿魚。どのくらい馬鹿か説明すると…
水面から落ちてくるモノ全てを餌だと勘違いし、とりあえず口に入れるヤツなのだ。
小学生の頃はその習性を利用して、針に消しゴムを付けてよく釣っていた。
釣った魚に目印として背ビレに切れ込みを入れて放流…
次の日に同じ仕掛けで同じ魚が釣れちゃう…
そのくらい馬鹿な魚なのだ。
この魚、群れを作るからさらにタチが悪い…
そう…ブルーギル祭り開催だ…
そこからの行動は…
今書くのも恥ずかしい…
水辺に散らかっている米を拾い集め…
ぶよぶよに膨れた米を潰してコネて…
針を包めるような固さじゃ無いって事でなぜか乾いた赤土をまぜてコネコネ…
できた餌は赤土団子(若干…米風味♪)
いやぁ…ピクリとも反応無しでした(笑)
浮き釣りでも…
吸い込み仕掛けを作っても…
……………………………
『だめやね…』
『どこいったんやろ鯉の野郎…』
『西村、じゃんけん!』
『え?なんで?』
『後ろの森でミミズを探してこようぜ』
『おぉ!囲炉頭いいかもっ!』
いやぁ…泥団子作る前に気がつけばね…
じゃんけん勝負に負け、紙皿を片手に森へ…
最初に足を踏み入れた時は固い土壌だったが、雨の影響で土も比較的軟らかくなっていた。
枯れ葉の堆積した場所を選び、その葉をズラすと…
赤ちゃんミミズ発見♪
しかし針と同じぐらいの大きさなのでリリース。
また森を進むと…朽ちた倒木が。
ひっくり返してみるとウジャウジャいた♪
全部皿に乗せ、帰還。
『どうよコレ!はよリール巻いて餌を付け直そうぜ!』
そんなこんなでエロ話に花を咲かせながらも就寝。
その晩は、《山犬騒動》って話もあったが…ただの首輪をつけた放し飼いの飼い犬だったってオチなので端折ります。
当然出口は俺で最奥側が西村に。あとはじゃんけんで…
……………………………
『もうっ…やめろってぇ!』
その夜も章吾の悩ましい声が湖畔にこだまするのであった…
……………………………
最終日。
前日の早寝が効いたのか、まだ暗い状態で起きる我々。
昨日のビッグバスで朝からやる気は満々。
しかし西村と俺はボートの順番が最後になりふてくされていた…
『岸から何百回投げただろう…もうバスいねぇよね』
『魚も、またルアーだ!って気がついてるよ(笑)』
だらだらと一応は投げていると…
『うわっ!西村来い!でけぇのがおるぞ!』
食べ終わった飯盒や皿を軽く水洗いしてた場所に巨大な魚の影が…!
それは赤と白の綺麗な錦鯉と、1mに近いほどの超巨大な野鯉だった。
米の匂いにつられて浅瀬にやってきてたのだ…
2人の意見は一致した。
『バスはもうやめて鯉を狙うぞっ!』
㊗ 5000hit記念
皆様ありがとうございます🙇
え~…ちょっと前に新スレを立ち上げました。
感想や叱咤激励・なんでも書いていただくためのスレです☺
よろしければ…匿名で書ける場所なので、足跡がわりに何か一言残して頂ければ幸いです☺
さぁ、タグの囲炉裏男をクリックして…
ここまで見てくれてる読者様は僕の期待に応えてくれるはずだから…😁
レッツくりっく🎵
よろしくね❤
兄貴を送り、皆で残り火を囲み談笑。
流石に小説(ココ)では書きづらい内容だ…
『かおりちゃんがデカいやろ!』
『いやいや…お前は体育の時のマラソンで揺れるチエコちゃんのを知らんもん… すげえぜ!』
『馬~鹿、大きさじゃないぜ~ 色たい色!……ミオちゃんの先っちょを俺は知ってるし♪』
『『『『『えっ!いつ見たと!?』
『小6の夏だねぇ…』
『そんなん変わってるやろ!』
『馬~鹿、二年じゃ変わらんよ。6年でな、真ピンクやぞ!眩しくて目が閉じそうになったもん!』
『とじたん?』
『馬鹿か!皿のような目で凝視するくさ! 今でも瞼を閉じると………《ゴクン》』
いきなりよしのりが『西村ぁ、ただでさえエロな顔がドエロな顔になっとおぜ!』
『そ・そ・そ・そんな事無いよ!!!』
『嘘言うな!お前テント張っとるやろ!!!』
手を伸ばすよしのり。
『や、やめろって!』
深が『みんなでおさえろ!』
………………
捕獲され身をよじり抵抗する西村の股関を、よしのりチェックが入る…
『でけ~!ムースの缶や!!!』
『マジや、ちょい俺にも触らせろ!』
『俺も俺も!』
『やめんかっ!』
キレた西村の恐いこと…(笑)
『ありますよぉ!
でかいの釣れたんですかぁ?』
『はぃ…まあまあです』
着岸。
『おぉ…デケェ…!』
『俺のバスぅ…』
『いや、俺の…』
まだ言ってる…
メジャーで測定。
54センチ!
俺の過去最大より2センチもデカい…
『何のルアーを使ったんですか?』
『スピナーベイトですよ…安物の…』
確信した。やはり道具では無いと。
俺の記録も安物偽グラブで釣ったし。
……………………………
『やっぱりデカいのおるんやなぁ…』
『そりゃそうさ、こんだけデカいダムなんやし。諦めるな中学生よ!』
『兄貴も大学諦めるなよ!』
『俺は二浪はしたくねぇ』
『ご近所様に恥ずかしいよね(笑)』
『ぐぐぅっ…』
快進の一撃を受けた兄貴と承平は…
黙り込んだ…
……………………………
『ごはんたけたぞぉ!』
二人に一づつのサンマの蒲焼き缶詰めでごはんを食べる我々。
『汁をとるなぁ!』
『馬鹿、体重的にいったら2対1の割合で正しいっつぇ!均等に分けてやったんやから汁ぐらいよこせ!』
結局バスは釣れず、塩をかけたご飯と缶詰めでなんとか満腹に…
おかずが欲しいという希望は無残にも打ち砕かれ、米だけがさらに増えてしまった…
『オラお前等、次行くんやろ!?釣ったバスは全て持ち帰りや!人数分頼むぞ!』
『えぇ~…またバスぅ?』
『嫌なら米だけ喰えばいいよ。焼く手間がはぶけるし』
『…………喰う』
ちょい半泣きの極細男よしのり。
今冷静に考えると兄貴に買い出しを頼めば良かったと思うのだが、我々には帰りの電車賃と少しのお金しか残っていなかったので、当時の選択は致し方ない訳だ。
……………………………
3つの飯盒に米を炊く用意をしていると…
水面をゆっくりこちらに向かってくる一人乗りのゴムボート。
『なんやあいつ…』
『オッサンや』
『囲炉・深…喧嘩腰になるなよ…』
なるかよオッサン相手に…(笑)
近付いてきたボートから《オッサン》が一言。
『すいませ~ん。メジャーとか持ってませんかぁ??』
『ゲェ…多分デカいの釣れたんやろな…』
『どうやろ…』
『俺のバスになるはずやったのに…兄貴と囲炉のせいや…』
『馬鹿、俺のたい!』
『うるせぇブタ!』
『マッチ棒は黙れ!』
お前達じゃ無理だと思うよ(笑)
『みんなゴメン!遅かったのはこれで許してくれ!』
兄貴の顔が引きつった。
今から起こす行動に気がついたのだ。
もう遅いよ♪皆より大きなバスを釣った怨みと、俺をからかいまくった怨みを思い知れ!
『とうっ!』
空気のパンパンなボートの横の部分に、ジャンプしてケツから飛び乗る俺。
《バッシャーン》
俺はそのまま水中に落ちた。
兄貴は?
波で濡れてはいるもののボートにしがみついて無事だ…(怒)
慌ててボートを漕ぎだし着岸を試みる兄貴。
逃がすか!
ボートの下に潜りこみ、自分が乗っていた部分を持ち上げる。
兄貴を支点にゆっくりウィリーするボート。
『まじ落ちる!
俺、車できてるんだぞ!
服も無いしヤバいってマジで!
お前おぼえ…』
《バシャーン》
『これで仲間だ!』
『許す!』
『俺も許す!』
『よくやった!』
『ボート許可!』
『無茶するねぇ…』
……………………………
弟の着替え一式を借りて自前の服を乾かす兄貴。
『せっかくお土産持ってきてたのに…もうあげる気が失せた…』
『なに?』
『食い物?』
『ビール?』
『煙草?』
『エロ本?』
『お米!』
いらんわ!(怒)
間違い無く水中メガネがあれば楽だったはずだ。
最初は目を瞑ったまま潜ったが、当然ルアーは解らない。
何度か手探りで探したが、針が手に刺さる恐怖もあり大胆にはできなかった。
『びびるなよ囲炉。目を開けても大丈夫だって!(笑)魚も開けてるんだから』
そういう問題かぁ?
しかし仕方がないので恐々水中で目を開けてみた。
あら意外♪海やプールなんかと違い痛さなどほとんど感じない♪
さすが真水だ。
難なく銀に光るルアーを確認し回収。
また転覆させぬようにゆっくりと這うようにボートに上がる。
服を着て、煙草に火をつけて俺は一言…
『疲れた…もう釣りはいいや…』
『もう終わり?なんやお前も根性が無いねぇ(笑)』
《今までの事を何も知らないくせに…
こっちはしこたま疲れてるんだぞ!》
と思いながらも黙って帰路につく。
陣が近づいた。
岸まであと五メートル。
『おせえぞ!』
『長いったい二人は!』
『暗くなるやんか! 』
『明日もボート無しにするぞ!』
『ゴメンゴメン…ちょっと道具を受け取って!』
道具を投げ渡す。
兄貴『岸につけりゃいいやん』
『いや、お詫びのイベントがあるけん』
しつこく絡んだバックラッシュをようやく解き、ようやく戦線復帰。
長かった…
まさに前レスから今までの間ぐらいに感じた程だ…(笑)
すぐにルアーを付け替えて大物狙いに切り替える俺。
確かハスティー?ミスティー?とか言うクランクベイトの大きなヤツに替えた。
リールを巻いたらケツを振りながらグングン潜るやつだ。
一投目。
岸から平行なラインに向けてキャスト。
底に着く感触は無い。相当深いのだ。
二投目。
岸に向かって斜めにキャスト。
ゴリゴリとリップが底を削る感触。
途中から急に深くなるようで底の抵抗が無くなる。
ん~。底がとれない。
三投目。
岸に向かって真っ直ぐに投げてみた。
カリカリカリカリカリ…
《ガツン》
『きたぁ! ぁ ぁ 木が…』
物凄い大物で、ボートを真下まで移動させて引っ張るが浮いてこない…
《ブチっ》
切れた…
見えているのに…
『兄貴ぃ泳がない?』
『なん言いようとや!(笑)行ってこい。散々泳いだやろお前等は』
またもや真っ裸になり、ボートを転覆させぬようにゆっくりと入水。
足は届かないしやはり潜るしか無い…
兄貴の竿はかなり曲がっている…
ボートも回るように回転しだした…
デカいバスがかかるとこの状態によくなるのだ。
悔しい…
『バシャバシャ』
ボートから3メートルほど離れた所でエラ洗い(ジャンプ)を見せた。
でかい…けど無茶苦茶って程ではなかった。
ラパラのミノーにはトリプルフックが3つ付いている。そのうちの2つががっちり口と頬にフッキング。
抵抗もむなしくバスは捕獲された。
もうちょい抵抗しやがれ!(笑)
サイズを測ってみる。
43センチ。
これだから兄貴は嫌いだ…
ひょこっと来て一番デカいバスを釣って、にやにやしながら『頑張れよ』と帰る…こんな姿を何度見せられた事か…(泣)
『まぁまぁやね』
うるせぇよこんちくしょう…
『囲炉もデカいの狙わなきゃ。子供と戯れるのもほどほどにして…ね。』
ぐぎぎぎぎ…
煮えくり返りそうな腑(はらわた)を内に秘めて、ルアーをキャスト。
《ウワワワワン》
なんてこった。ベイトキャスティングリール特有のトラブル・バックラッシュ…
『お前なん動揺してるんだよ!』
えぇ…そりゃ動揺しますがな…(泣)
『あっちとあっちは承平と俺で攻めた。左側は深とよしのりコンビが攻めてたけど…』
『あいつらなら場所も荒れてないな。なんてったってヘタクソだしな…(笑)』
しかし…他人が一度攻めた場所ってのはどうも気が進まないもので…
そのまま通過し新たな場所へ…
その先に…
立ち木があり、木がオーバーハングしていてついでに流れ込みがあるっていう最上級ポイントがあった。
『うわ~…知らんやった…』
『囲炉、全部回らないかんぞ!いいポイントは沢山あるし』
『そんなん言ったって…ボート一時間半で交代やけんさ…遠くにいけんやん』
『そりゃそうだな(笑)』
『よし兄貴、釣ろう!』
兄貴は彼の中でのフェバリットなルアー、ラパラのミノー(11インチかな?結構でかいやつ)
カラーは超ベタなゴールドに背中がオレンジ色。
これをかなり速いスピードでリトリーブして、反射的に喰わすのを得意としている人なのだ。
対して俺は…
付けっ放しのペンシル・ビッグラッシュで勝負。
いきなり一投目で水面が割れた!
《バシャ》
明らかに小物だ…
25センチ程度の若者バスだった。
兄貴は五投目あたりに…
『んん…きた!』
突然の来訪者。
その正体はリーダー承平のつ6歳上の兄《雄介さん》だった。
『あ!承平の兄ちゃんや!』
皆は当然びっくり&歓喜の出迎え。
面倒見が良く、皆から慕われている兄貴なのだ。
小さい頃にイジメられてた恨みを残す弟以外に…(笑)
実はこの場所、高校生だった頃の兄貴とその友達連中でキャンプを張った場所だった。
中学生の我々は釣りをしながら兄貴よりその話を聞き、彼達が実行した時期より早い時期に経験したいとこのキャンプを計画したのだ。
『お~、皆無事みたいだな。ははっ。
ところで…釣りはしてないの?』
《そんな状況では無い!》
すぐには解らない説明をだらだらとしていると…
『囲炉!出るぜ!』
兄貴からの突然の誘い。
付き合いの長さと距離の近さもあった訳だが…
釣りの世界でゴールデンタイムに二時間程早く…
兄貴は弟のフルセットを強奪して俺を誘った。
これ…勝負だよな?
かゆいホッペを掻きながら…
疲れて完璧では無いフリをしながら…
兄弟撃破タイミング到来♪
夕方17時スタート!
俺は喜び勇んでボートの後方に飛び乗った!
『んんん……
かゆぃぃ!』
あまりの痒さに飛び起きると、手足と顔には無数の蚊の痕跡…
森から這い出てテントに行くと、皆は先に音をあげていた。
『よく寝れたね…』
『みんな耐えれんかったんよ』
『かいかいかいい…』
短パンで寝てた章吾の足なんか、ぼこぼこに変形(笑)
ここで大変な事実が発覚。
《かゆみ止め》の薬は皆他人任せで持ってきていないのだ!
殺虫剤や蚊取り線香・蚊よけスプレーなどは完璧に用意されているのに…
なんだろう…このツメの甘さは…(泣)
発狂したように足をかきむしる章吾は、なにをトチ狂ったのか殺虫剤《キンチョール》を足に噴射!
多分何らかの効果がを期待したのだろう…
『し… しみる…
痛い!痛い…!』
また水辺に突入!(笑)
かきむしった傷口に殺虫剤…そりゃ効くでしょ(笑)
皆は静かに水辺で傷口を冷やして我慢していた…
すると…森の中からガサガサと音がする…
人数は全員この場にいるはずなのに……
何だ??
悪い事などしてないにもかかわらず、あいもかわらず静かになる皆…
『おっ!おった!』
『ん……
ふかぁ~!』
ま…見てなくても、だいたいの目安は付く…
『何や?』
奥歯に獲物を送った深は平然と質問に答える…
『章吾章吾!』
他人に濡れ衣を着せるとは汚ねぇヤツだ…(笑)
しかしココで真に章吾が仲間に入った感じがしたのを覚えている…
章吾は見た目一番不良な深の顔に手を伸ばすと…
ほっぺたをアイアンクロー!(親指と薬指&小指で締め付ける技…本来ま眉間を絞める。プロレスでエリック家の得意技)
『なんなの…この奥にある肉片は……!深…答えろよ(笑)』
一目おいたね…
俺以外にリアルに文句言えるヤツがいるとは……
深は強制的にムンクの叫びの表情をしながら……
『がへんなはい…』
《読者様…試してみたら多分わかりますよ(笑)》
なんとか皆はそれなりに食べたが…
罰として塩やら醤油だけで残りを完食しなきゃいけない深がいつ完食したかは誰も解らなかった。
何故か?
俺を含め皆は日陰がある森の中でお昼寝に入ったからだ…
言葉の魔法はいまだに効力を残しているが…そんな事はどうでも良い。不味いツマミを喰うよりは自分で作った方が良いのは当然だからだ…
……………………………
ご飯も上手に炊けた。
でもオカズの豚肉とソーセージは大半を失っていた…
『ソーセージは生でも食えるっつぇ!』
『解っとるけど早かろうもん!』
『盗るな馬鹿!俺の育てたヤツを!』
『ん~♪最高な焼き加減♪』
『あ…信じられん…俺が完璧に焼き色つけたウインナー…』
《パキン》
『シャウエッセン気味で旨いぞよ…よく育てた!次を頼むぜ(笑)』
読者の皆様も似た経験はあるだろう…
特に同性…男だらけだったらこんな絡みは顕著な発生率なのだ…。
実際に米が炊きあがって、蒸らしを無視した状況で…。
1人あたりに残った肉は豚バラ二切れとソーセージ二本…
普通はありえないが、この面子では超ありえる集団なのだ…
米…余りまくり…(笑)
身体と同様に食べるスピードの遅い…
よしのりが最初のターゲットに…
《すぱんっ》
網の上に閃光が走る…
よしのりの肉が消える…
『こ~め!こ~め!』
なんだよその米コールは……
次第に皆も同調し、炊かずにはいられない空気に…
正直、カレーの時の失敗があとをひき…炊きたく無かったのだ。
対策ははっきり解ってはいた。飯盒を入れ替えて火力を均等にしながら炊けばいい。それだけだからだ。
しかし納得いかない…
なぜ昨日からずっと食事の用意はほぼ俺なのだろう…
他の奴らは《のびのびミックスラーメン》だけだ…
とりあえず聞いてみた。
『なんでまた俺が母ちゃんせにゃいかんとや??』
『料理天才やん囲炉』
『一番旨いし』
『なんかアウトドア慣れしとるしね』
『料理できる男はモテるらしいし』
『よっ!迷コック!』
なんだよキミたち…
解ってんじゃないのよ♪
はじめから言いなさいよ♪
もう…しょうがねぇなぁ♪♪♪
『いいかぁ…まず米ってのはなぁ…こう洗うんじゃぁ!』
……………………………
言葉の魔法はなかなか解けないモノだ…
おだてられる事に極単に弱い俺は、現在でも仲間と集まる時には迷コックの座に君臨しているのである…
『あの《めい》は(まよう)の《めい》やったんよ』
こないだ帰郷した時のよしのりの一言だ…
『痛いし…もぉ…べちょべちょやん…』
たいして怒らないのが西村のいいトコロ♪
『ほら、お前だけ水遊びしてないからさ(笑)』
『だいたいなんで素っ裸なんだよ…?』
『自然に還るためだ!』
『その通りだ!』
『はやく脱げ!』
『恥を捨てろ!』
『裸祭りじゃ!』
『もう…恥ずかしいやん…』
裸で西村登場。
股間には…大蛇がぶら下がっていた…
『す…凄い…!』
『西村でけぇな』
『ちょっと尊敬』
『無用の長物』
『変態顔に似合う…』
『そんな凝視せんでよ!』
……………………………
向こう岸まで約150Mを競争したり、なんだかんだで昼過ぎまで遊びきった我々はまたお腹をすかせて陣営に帰還した。
『肉ぅ~!』
そう。前日夜に少しでおあずけをくってしまったバーベキューだ。
幸い、大量の氷をいれたクーラーボックスに入れていたので悪くはなってないハズ。
材料を見ると……
ソーセージと豚バラ肉ばっかり…(笑)
『だって旨いやん』
平然と言い放つ深。
ま…腐りにくいちゃ腐りにくい訳なのだが…
皆で手分けし木材調達、意外と簡単に火もついた。
『米くいてえ!』
あぁ…面倒くさい…
『あ…ずりぃぞ!自分達だけ泳ぎやがって…俺も!』
《すぽぽん》と全裸になり飛び込む承平。
『くせえって何?』
気になったので聞いてみた。
『あ、そうそう…よしのり!お前やろ!?トイレは奥までいってしろって言ってたのに(怒)』
ばつが悪そうによしのり
『いやぁ…暗いし怖かったし…』
『寝てたのはいいけどなんかクサくてさ…風向きで耐えれんようになって、そばの枯れ葉の盛り上がりを足で払ってみたら…山盛りなんやもん…足にゃ付くし…』
哀れリーダー…汚物と添い寝。
あと1人で全員集合なのにまだ西村は寝ている…
『やろっか…?』
『怒るぞ~?』
『大丈夫だって。俺が主犯にならなきゃ怒らないよ』
『『『じゃ…やろう!!!』』』
ゆっくりテントに近づき様子を伺うと、いびきをかいて気持ち良さそうな西村。
爆睡だ。これは何をしても起きそうにない。
『いいや?一気に走るんやぞ!』
『深、遅れんなよ?』
『いくぞ…
1
2
3
GO!』
手足頭を支え運ばれ彼は水面に投下された。
すごい浅瀬に…
『いったぁ~』
この仲間のいいトコとは、よくある学校での立ち位置などが全く関係無くはしゃげるトコだった。
当時の不良で一番デブ(デカいし)な深に、学校で一番モヤシで根っこ程細く弱々しいよしのりが悪態をついても許される…
…………………………
『よしのり待たんやって!お前覚悟しろよ!(怒)』
『はぁはぁ深…それ以上近づくと……四組の女子にドリチンをバラすぞ……はぁはぁ…』
『それは止めろ!マジで言われたらキレるぞ!!!』
『どうする…?(ニヤリ)』
『ゆ…許す…言うなよ…』
『お願いしますは?』
『くそぉ…お…お願いします……』
強いぞよしのり!(笑)
怒りの矛先は章吾にむいた…と思ったら…
『章吾は許す。』
なぜ通じあっている…
気持ち悪いぞ…(笑)
何故か三人に囲まれる俺…
なんて馬鹿な奴らなんだろう…
当然の様に言う。
『いや…俺は学校中にふれ廻るよ?』
『じゃ俺ご近所さん!』
『じゃ俺はうちの姉ちゃん!あ、親戚の姉ちゃんにも!』
…この身の翻し方の速さもいいところ(笑)
『もう…ゴメンってぇ…』
弱いなお前(笑)
そこに現れたのは承平。
『くさっ!』
幼児用プールぐらいの深さしかない場所に脳天から真っ逆様に落ちた俺を見て、章吾は大爆笑…
『ひっ ひっ ひっ… く…苦しい…』
『つ~…おめ~人がマジで痛がっとるっちゅうのに……』
『だって刺さってたし丸見えやもん(爆)』
そう…ピン女芸人のネタ、《犬神家》そのままの体勢だったらしい…
当時、ちん○んは多少の自信があった…しかしお尻の穴を見られるのはさすがに頬が染まる…
当然今でも恥ずかしい…
『くそっ…お前達のも見てやる!』
『いやたい馬~鹿!逃げろ!』
何の意味があるのか全く分からない肛門拝見鬼ごっこ開始…
そこに現れたのは全てを脱ぎ捨てて再登場した深…まさしくダイナマイトなバディ…
俺
『お前のなんか見らんぞ!見たくても肉に阻まれて見えんめ~が!(笑)』
章吾
『そうだそうだ!』
よしのり
『だいたいそんなきったねえケツ出すな!!このドリチンが!!!』
あ~ぁ…言っちゃった…(笑)
一同大爆笑…
『ド…ドリ……ドリチンとか言うなぁ~(怒)』
いつの間にか鬼ごっこの種類が変化。
ドリごっこ開始!
当時の中学生は猪木や馬場を見て育った時代…プロレス技なんか皆知っていた。
『おらおら…誰が最初に俺様のフランケンシュタイナーを喰らいたいんだぁ?』
強がってにじりよると…
深は岸に上がった。
チャンスだ♪
『おらおらよしのりぃ…』
必殺!生ウナギ式フランケンシュタイナー!!!
さすがによしのりも生は嫌みたいだった…
太ももの間に挟むつもりがスネまで逃げられ、それでも強引にフランケ…《ズンっ》
意識が軽く遠のく…
あ…コイツは力が無いんだった…
説明しよう。
当時まだ50キロも無い俺の体重を支えきれず、膝が落ちたと同時に仰け反る俺。
まさに殺人パワーボム!
前のめりに顔から水に突っ込む深。
まさにボブサップに倒される曙状態(笑)
豆腐が崩れおちる感じだ(笑)
かたや俺は浅瀬で無謀なドロップキック…脇腹が痛い…
深はうつ伏せ状態からおきあがる。ちょっと怒った顔をしている…
『やんのかこの野郎!』
プロレスラーが組み合う前の体勢、ロックアップの形を取る俺。
それを見た深の表情は一気に変わり…『なんで裸なんだよ!(笑)』
にやりと笑う俺。
その時…
『とうっ!!!』
もやし野郎が俺にドロップキック。
今度は俺が飛ばされた。
顔をぬぐい、立ち上がろうとしたその時…
『うぉりゃ~♪』
章吾のフライングボディプレス。
見えてたが固まってしまう…
2個のいなりずしから頭を覗かせた…ちょっと立派な黒い亀…(笑)
俺の左頬は最初で最後の体験をしてしまった…
『きったねぇ!お前…普通胸か腹からくるやろ!』
『動くからやん』
『動いてねぇよこの野郎…ちょっと来い!』
章吾を高々と持ち上げてブレインバスター♪
よしのりには投げっぱなしジャーマン♪
すると共に倒れる俺に深が百キロプレス!
溺れそう…
『3対1か…舐めんなよ…』
昼を迎えた我々はだらけていた。
満腹感はある…
なので眠くてたまらない…
日光に当たるのは暑くて辛い…
テントの内部は灼熱地獄だ。
そんな中、荷物用テントの中で西村だけは睡眠不足で大の字になって寝ていた。
ドーム形テントは小さいが通風機能に優れているのだ。
囲炉『どうしよ…』
よしのり『暑いし釣らんでいい…』
章吾『俺もいいかな…』
深『俺水に足をつけて休んどく…』
承平『俺森ん中で日陰探して寝たい…』
皆主張はバラバラだ…
テントの雨よけシートを外し日陰を作り、その場に残った章吾とよしのりと俺。
深は折り畳み式の小さな椅子を水中に半分沈めて、まさに《コーナーポストで灰になったあしたのジョー》状態だった。
ずいぶんと肥えてはいる訳だが…
しかし暑い…
まだ5月だと言うのに…
もう限界…
俺は服を脱ぎ捨て生まれたままの姿になった…
そのまま水辺に一直線に走って…
深の背中にドロップキ~ック!!!!
『ほら…もうなくなるぞ~!』
焦る俺。
ヤツを止める種類の人間は同じボートの中にしか残ってないからだ!
『おら承平!急がんか!』
テンションだだ下がりの承平をせかしてようやく着岸。
カレー用の金と言うか黄色の大鍋には、かろうじて2人分のスープは残っていたが、麺は約1人分しかない…
『ったく…なんやお前らは…』
ぶつぶつと文句をいいながら取り分ける俺。
承平の…俺の…承平の…俺の…俺の…承平の…俺の…承平の…俺の…俺の…承平の…俺の…よし均等!
弱った精神力の承平は文句など言わないのだ。
しかし…これは何ラーメンだ?
茶色に濁ったドブ的な色だ…(汗)
深に質問。
『何味のラーメンなん?』
『全味♪』
意味が解らない…
あ…解った…
『てめぇなんで全部一気に作るとや!(怒)あとの事を考えろよ!』
マジで叱ってしまったが…
『米は沢山あるし大丈夫!』
……ったく…怒るだけ損だ…(泣)
しかし…
とんこつ味噌醤油塩味ラーメンは、思いのほか旨かったのである…空きっ腹と化学調味料の素敵な出会いだった。
『ね!?全味で正解だったやろ??』
うるさい!(怒)
この動作がスムーズにいけば最小限のダメージで水に帰す事ができるはずだ…
これが多々ワームを飲ませてしまった経験から、どうにかあみだした俺なりのオリジナルの外し方だ。
…………………………
『よし…ハズれた…』
しかしバスは血だらけだった…
承平のこねくり回しでエラからは大量の出血…
『無理かもね…』
ゆっくり水に帰すと、自力で泳いだが…少し進むと腹を上にして浮いてくる…
『ありゃ~駄目ばぃ…』
竿先でチョンと触ると一瞬反応するが、また浮く。
承平のテンションはただ下がりだ。
『ま、ぐるっと回ってまだ浮いてたら…深に食べさせよう!』
この一言でなんとか笑顔が出た。たまには役に立つヤツだ。
その場所で俺がさらに一匹追加、時計を見ると制限時間が迫っていたので納竿。
バスは…浮いていた…
拾うと一言…
『俺…漕ぐよ…』
ま、当然ちゃ当然なのだが(笑)
湾をこえ立ち木ゾーンも馬の瀬も越え、キャンプをはった陣が見えてきた。
深が何か叫んでる…
『延びるし無くなるぞ~!』
げっ…勝手にラーメン作ってやがる…
説明しよう…
食道から胃袋までの場所にフッキングっていうのは…
致命的なダメージになりかねないのだ…
テレビなどではなかなか見せないが…
あっさりと大物カジキなどを揚げれた時などはほとんどが飲み込ませたショックで無力化していたのだ。
俺自身、バスの場合は食道までしか無い。しかし下手な外し方をしたら…
その場は泳いで逃げても…五割を軽く超える確率で後から死んだり弱ったりして浮いてくる。
引き抜いたりしたらほぼ間違い無く死ぬのだ。
当時、ゲームフィッシングでターゲットを殺すのは現在とは逆で罪だった。
外すのが苦手なバザーがこの物語を見てるなら参考にして欲しい…
…………………………
『囲炉…とれる?』
自分では無理と判断した承平は俺を頼ってきた。
『うわ~…がっちりやんか…』
正直、外すのは問題無くできる…しかし時間と与えるダメージ量はやってみないと解らない…
暴れられたら1からやり直しになるからだ…
まず…フックの向きを考慮しながらラインとの結束部分をどちらかのエラから出す。
すると針のふところ部分が口先の方に向く。
結束部分をしっかり固定し、ふところ部分に指をひっかけ引き抜く…
『ふんっっ』
《すかっ》
まさに空振り合わせ…
『っっっ…あれ??』
状況が良く解らない方に説明しよう。
落ちてきたルアーを口にくわえたバスは、そのままその場所に居続ける訳では無い。大半が移動しながら、飲み込みやすい方向に獲物を喰わえ直すのだ。 しっかりラインを見ていたら何らかの形で変化に気がつくが、承平は俺と目を合わせていたので全く気がついていなかったのだ。
『離したみたい…』
『馬鹿ちん!まだ解らんやろ!!合わせまくれ!』
空振りポンピング状態とでも名付けてもいいような動き…
たるんだラインを巻いては《ビシッ》
(すかっ)
カリカリ 《ビシッ》(すかっ)
『まだワームの重さすら感じん…ふんっ!』(すかっ)
ラインはボートの真下にきている…
真下を超えたあたりで…
『ついとるついとる!』
竿が曲がっている!
軽く…(笑)
少しの抵抗しかせずに上がってきたバスは30センチを少し超えたぐらいの若者バスだった。
『でかいかと思ってたのにぃ…』
ついてただけマシだろ!
しかし…
長時間ワームを喰わえてたバスは、食道に針先がフッキングしていた…
障害物の際やオーバーハングした枝の下にワームを投げ入れる俺。
着底して、《チョンチョン》ポーズを五秒…《チョンチョン》ポーズを五秒…
《カリカリカリカリ》すぐに巻きとり別の場所に投入…
作業効率の良さは抜群だ。
ライバル承平は律儀に岸からボートの真下までアクションを続けている。
《ちゃぽん》
『ちょっっ!そこは俺が次に投げようとしてたのに!向こうに投げろよ…』
『そんなの早いモン勝ちたい(笑)ほら…あと2投ぐらいで移動するぜ!』
『もぅ…早すぎるとって囲炉は…』
ちょっと横に移動して再開。
そこには太い木の根元がえぐれ、水面に根が何本も入っている絶好ポイントがあった…
《絶対おるぞ…》
2人の思いは同じだった。
《ポチャ》っと俺のワームが水面に落ちた直後にもう一つの落下音。
隣を見るとにやけた承平…
ルアー同士の距離は50センチ程度しか離れていない。やるやんか承平♪
着底し一度目のアクションを取る…ポーズ…
『いやに深いねココ…』
ぬぁにぃ?んな事は無いはず…
『多分きとるぜ…』
『嘘やろ』
『だって俺が底についてだいぶたつよ』
『マジ?!』
あわてて合わせる承平。
先に説明しておこう。
本来バスの口は硬い。大きな強い合わせが必要だ。しかし何故大きな合わせをしないのか…
答えは簡単。もし強い合わせですっぽ抜けしたら…
水の抵抗の限りなく少ない水面での釣りだ。こちらにルアーがすっ飛んでくるのだ。
過去何度も顔面に向かってきたルアーを避けたり、掌で受け止めた事がある…
特に今回はボート釣りだ。ボートに直撃したら…って事なのだ。
………………………
『おぉ…引くねぇ!』
ボートが動く。
『おぉぉぉぉ…元気いいぞコイツ!』
《ばちゃばちゃ》
がっちりと親指を口の中にいれてランディング成功。
37センチの野池サイズだ。
『でかいダムだからかね?ずいぶん引きが強かったぞ…』
あまりにも浅はかな解釈だが、2人は強引に納得。
それが真実なら琵琶湖のバスは…って事までは考えて無いのである(笑)
これでとりあえずプレッシャーからは解放された。
ここからはサイズupに全神経を集中できる。
もともとダラダラとルアーを巻く行為は苦手な俺…
ゲーリーヤマモトのグラブに酷似した偽安物グラブ・SSSグラブのテキサスリグでポイント直撃落とし込み作戦を決行。
馬の背のかけ上がり部分を狙い一投目。
浅い場所なのでワームはすぐに着底する。
《チョンチョンチョンチョンチョンチョンチョンチョンチョンチョンチョン》
細かくシェイクし、シンカーとビーズをぶつけさせてカチカチと音を出す。
その音の効果っていうのはあるのか無いのかはいまだに解らない…現在の俺の中ではナシだと思う(笑)
無反応。さらに投げてみる…また無反応…
『はい!場所移動!』
『はっ…はやくねぇ!?』
『気配を感じん…』
『………』
そこは同意のようだ。
ちゃぷちゃぷと移動再開。
立ち木が乱立する特上ポイントを『暑いから!』と言う単純な理由でスルーして向かった先は…
水面まで森に囲まれたようなワンド(湾的?な場所)だ。
日陰は充分。いつもの野池で釣るような感覚が戻ってくる。
こうなると…またトップウォーターで攻めたくなる。
ベイトタックルにビッグラッシュを付け直し、いざ…
『チャポン』
完璧だ…
水面に着いている枝から30センチ以内に投入…ポーズを…
『ボコん』
波紋を残し、水中に引き込まれるペンシルベイト。
『おっしゃきた!』
軽く合わせるとズシリと重い。
デカいんじゃ!?
《シュ~ チャポン》
20秒間ポーズ(停止)を取る…
たるむラインをゆっくり巻き取り…
《ちょん ちょん ちょん ちょん》
竿先で軽くアクションを入れると首を左右に振りながらクネクネとルアーが水面を泳ぐ。
まさに無機物に命を吹き込んだ様な感覚だ。
しかし1投目にはヒットせず…
竿を持ち替えてミノーで攻めてみる。
トゥイッチを入れながらじっくりと攻めるが…反応無し。
こうなると悪い癖が出てしまう…
集中力の半減だ。
もともと飽きっぽい性格の俺は、ルアーを頻繁に変更する事で集中力を保つタイプだ。
まず冷静に考えると、時間と場所…トップで狙うのは正解では無い(笑)ま、好きだから仕方ないが…
ちゅう事は…
やはりソフトベイトの類になる。
俺が数十種類あるワームの中からチョイスしたルアーは、ワッキーワームのブラスシンカー+ビーズのテキサスリグだった。
※現在では古い手法かもだけど…
当時は高いし斬新だったのだ!
ちゃぷん ちゃぷん
手漕ぎのビニールボートは全く波の無い水面(みなも)をよちよちと進む
早朝で無風ならば…
浮かぶボートに座っていると、水面から胸の高さまで霧が出て、とても幻想的なのだ…
しかし順番は三組目…
もう9時をこえているしお天道様もかんかんなのだ。
『あちいって…お前も漕げよ!』
『逆から漕いでもあまり進まんやん。帰りはじゃんけんしてやるから頑張れ♪』
『約束ぜ!』
ん~、なんか引っかかるのは気のせい??
汗だくになりながらも目指したポイントに到着。
通称《馬の背》と呼ばれる、岬状の盛り上がりが水面下までずっと続いている場所だ。
水通しが良く、小魚が集まる場所…などと雑誌などには書いてあるが、浅いのではっきり解る…
小魚など全くいない気配だ(笑)
スピニングの竿にはトップウォーターのプラグ・バルサ50のビッグラッシュを着ける。当時で¥2800もする代物だ。
アンバサダー・ライト+を装着したベイトタックルにはZaurusのブラウニーってミノーを。
承平はいきなり得意技のスライダーワームのジグヘッド仕様で全層を探るつもりだ…
どちらが先に釣るか…
いざ勝負!!
>> 65
『そうゆう問題じゃないっ…って、普通押されたら起きるし水たまりん中で寝らんやろ!!!!(爆笑)』
俺の大笑いする声で目が覚めたのか皆がゾロゾロとテントから出てきた。
皆も俺が悪いと言いながら…西村を笑っている…
そりゃ当たり前だ…
寝耳に水って本当なのだ…
やられたら解る。
飛び起きちゃうモノだ。
霧雨の中、泥水に浸かりながら眠り続けれるヤツなんか誰も知らないからだ。
凄いね!と、誉められながらも嘲笑のマトにされている西村の表情は微妙にはにかむ…いや…苦虫を噛む…いや……
苦虫を噛みながら横目で俺を睨んでいた…………
あれから現在まで………誰にでも優しいハズの西村が俺にだけ常に厳しくなったのは言うまでもない話だ…
………………………………
なんやらかんやら問題は盛り沢山。
しかし早朝!
またしてもボートじゃんけんだ!
残念ながら熱い時間は逃し、最後の組にリーダー承平と御一緒…
さぁ船出だ!
って、また俺が漕ぐのかよ!(怒)
※次回より本格的釣りストーリー開始。
興味の無い方々はする~っと流して下さい。(詫)
もう一度。
『おはよ!早いねぇ西村!』
『………』
確実に無視だ…
虫も殺せない程(魚は喰うが…)の優しい男、西村が何か変だ…
『どうしたん?』
そばに寄って肩を叩いてみた。
『囲炉、無茶苦茶やね…(怒)』
ぶるぶる震えながら西村は呟く。
へ………??
何が???
優しい男の発する予想外の態度にあっけにとられる俺…
寝起きだし頭の中が整理できない…(・_・)....?
『何?意味わからんし、どうした?俺なんかしたや?』
すると西村はビニールに入ったジャージを俺の前にだしてきた。
昨日の晩に着ていた服だ。
なんでこんなに泥だらけ?
ウソ…俺?
『寒くて起きたら水たまりの中で寝てたんよ!(怒)
テント見たら端まで囲炉来てるし…
間違い無く押し出されたんよ俺…(怒)』
知らねえよ(微笑)
ふふっ
『ずっと?』
『上着まで全て濡れてるから…ずっとだよ!』
普通気がつくだろ(笑)
クックックっ…
『泥水にはまった時に起きなかったの?』
『だって昨日疲れてたから…』
あ…こいつ水泳までしてたしな…
『泳いだって思えばいいやん♪』
『そんな問題じゃ無い!(超怒)
>> 63
おでぶちゃんにトイレにいってもらい、さて睡眠…
『かさかさかさ』
『ふふふっ』
『お前どこ擦っとるとや!?』
『違うって!夕方蚊に刺されたとこがかゆいんよ…』
『お前今、間違い無く股を掻いてたやろ?』
『内股やもん…』
『かさかさかさ…』
『ふふふふっ』
『クックックッ』
『ぶぁっはっは!』
『お前たいがいにしろよ!笑わすなって!』
寝れません…
そのうち隣の省吾に…深の魔の手が伸びる…
『抱きつかんでよ!』
『いいやん…落ち着くもん♪』
『ちょ…やめ…』
『だめって…』
文章だけならヤラしいが、野太い声だ…
『ちょっ…囲炉、交代して!』
死んでもイヤだ!(笑)
そのうち寝息をたてる者が1人2人と増えていき、俺も寝てしまった。
なので省吾の操は守られたのかは解らない…(笑)
……………………………
目が醒めると、まだ薄暗い程度の状態だった…
隣の西村がいない…
テントから出ると、出入り口は踏まれてぬかるみ、雨水が泥水になり溜まっていた。
あたりを見渡すと西村は火を起こしていた。
『おはよ~』
『………』
無視?
大人な皆様は覚えているだろう、麒麟の作りものの口から出るビールをコップに注ぎ、戻ってくると…(小さなテントの中の移動だけ!)
片身は残らずつつかれてる…(怒)
それもほじるように非常に汚く…
『待て待てお前達…(怒)俺が分けるから箸をつけるな!』
ったく…
そのまま尾の骨らしき黒い塊をつまみ、中骨から頭までハズす。
『次は醤油で食うから…まだ手をだすなよ!』
念を押して醤油をとりにいく俺。
戻ってくると…
内輪揉め(笑)
『少しぐらいわからんって!』
『駄目だって。囲炉は一口しか食べてないんやし…』
『そうそう、判らんよ!』
『わかるにきまっとろうがお前達!(怒)お前達はカスだけの刑やな…』
承平…お前は少し多くしてあげるぞ!
よしのり&深はカスだ…
しっかりと罰を加味した分量で分け、2人はぶ~ぶ~不満を言いながらも完食。
醤油の塩分によりビールもなくなり………………………
6人並んでおやすみタイムになった。
事前にじゃんけんで決めてた順に並ぶ。奥から順に出口に向かい…
(奥)
よしのり
承平
深
省吾
囲炉
西村
(出口)だ。
出口の3人がお願いする…
『深、トイレは済ませて寝てくれ!』
《もわわわ~ん》
魚の切れ目から真っ白な湯気が立ちのぼる。
ぷりぷりと輝き身離れのよさそうな白身…
一同
『うお~!!』
『めっっちゃ美味そうやん!』
当たり前だ…
『囲炉料理天才や』
もっと誉めやがれ…ほおっておいただけだけど…
『でも本当に上手く焼けてるよ。表面は真っ黒だけど…』
そこは仕方が無いでしょうよ西村クン…
『じゃ…先に食いたい人、手を挙げて!』
《しゅぱっ!》
案の定、深だけが酔いに任せて挙手
毒見の話はどこいった?(笑)
『じゃ、塩を振って…』
箸でちょいとひとつまみ。
口の前まで持っていくと《あ~ん》をして待っている。
何故か気持ち悪い…(笑)
『頂きますは!?』
『いったらっきま~しゅ』
《パクっ》
さあどうだ!?
旨いか不味いかは皆まだ解らないのだ…
深のコメントに皆注目する…
『んっめ~!ばり旨い!』
《パキ・パキン・ピシッ・パキン・パキ》 一斉に箸を割り手をつけはじめる皆。
『マジや…滅茶苦茶旨いやん』
確かに旨い…カレーなんかの比では無い…
キャンプマジックだとは思うが旨すぎる…
ちょっとビールを…と、餌から離れる俺……………
他の奴らは酔ってるし正確な判断ができるか心配なので、とりあえず俺がテントから出て魚の様子を見にいく。
すると外は霧雨が降りだしていた…
《ありゃ…こりゃ消えてるかも…》なんて思いながら重りのかわりの石をどけてみると、しっかり火種は残っていた。
トング(ゴミ挟みみたいなの)を使い、炭火から魚を掘り出してみる。
ん~…デカさといい重さといいコレだな。なんか堅いケド…
懐中電灯も持たず真っ暗闇の中なので、はっきりは解らない…
多分これだ!と信じて、新聞紙に包みテントへ戻る…
……………………
一同
『真っ黒やんかぁ!!!!!』
『これ食えるとや?』
『癌になる!』
『俺は承平が食うなら…』
『囲炉が毒見役やろうもん!
『ぼくはたべゆ~』
深…幼児化しても食欲は変わらないんだ…(笑)
『解ったたい!毒見役は俺がしちゃる!』
っつ~ても黒こげの塊をガブリと喰いつくような勇気はさすがに持ち合わせては無い訳で……
割箸を真ん中にプスっと差してみた。
『開くぞ…』
皆の視線は箸の間に集中している…
《ゴクリ…》
唾を飲む音が聴こえるような緊張感だ…
《ぱかっっ》
『だいたい…お前が買い出し行ったらなんで菓子だらけなん!?意味が解らん…』
『そうだそうだ!』
ただの合いの手も今は力が入る…
『ごめんって…』
『承平も承平やん…なんでチョコと乾パンがあるとや!非常食の前に普通の食材やろうもん!』
『いや…なんかあったらいかんやん…』
『この状況の方が逆に非常事態だぞ!』
『そうだそうだ』
『…だから…ごめんなさい…(泣ベソ)』
深の様子が変わった(喜)
『反省しとるとや?』
『うん』
『本当や?なら皆にもう一回謝れよ』
『みんな…ごめんなさい…』
『やけんカボチャって言われるっつぇ!』
『ごめんなさい…』
『無駄にブクブク太りやがって』
『ごめんって…』
『食べるけん太るったい!絶食や!』
『あやまってるやん…ごめんってぇ…』
よしのり…言い過ぎ…(笑)
『本当の本当に反省しとるん?』
『うん…』
『食材足りなくなったら走って買い出しぜ!』
『ごめんなちゃいって…解ったから…』
………エンドレス(笑)
Sの集団に囲まれる一番デカい真性M…(笑)
なんか最後は《ばぶ~口調》になってるし…(笑)
さて…イジリも飽きたしそろそろ魚も焼けただろう…
開始早々酔いがいきなり回るリーダー承平。
『だぁかぁらぁ~、俺はテントの中では煙草を吸って欲しく無いと!焼けたらど~するとよ?責任とれると?』
『いや…テントは俺のだし…』
『燃えて死んだらよ!』
一同『テントぐらい破いて逃げろよ!(笑)』
『だいたい承平は大袈裟すぎるったい!』
承平…よしのりに言われたら終わりだよ(笑)
たわいもない話に花を咲かせてると深が一言…
『そろそろいいっちゃない?』
『まだだ。ちゃんと火が通らんと淡水だし心配やろ?』
『そりゃそうやけど…焦げて炭にならんと?』
『大丈夫や、心配すんな!まぁ呑め!遠慮せず呑め!』
こいつは弱らせなきゃいけないヤツだ…
皆の食べる分まで食い尽くすハズだからだ…
少しずつだが深も酔いが回りはじめたようだ。胃に油モノを注入してみよう…
『お前スナック菓子を沢山買っとったろ~が?ちょっと取ってこい』
こんな時の深は体型に似合わず俊敏に動く…
『どれ食べる?』
全部もってくんなよな…
『お前の好きなのでいいぜ』
…とは言ったが、何故四袋も出すのだ…(笑)
『みんなもたべていいよ~♪』
ちょいと待て…皆の金だぞ!(怒)
俺達の地元の池の水は緑色で汚い溜め池ばかりで、《食べる》という発想はまず出てこない。
なので水の綺麗なこのダムで、一番の盛り上がりを見せたイベントがこの《バス料理》の時だった気がする…。
『さて…どう料理して食べるん?』
『そんなの…丸焼きにきまっとろ~が!』
面倒臭いのでバーベキューセットに残る炭火の中に魚をそのまま投入…
《バタンバタン》
魚はまだ活きていた(笑)
『うわっ…可哀想やん…!絞めてやり~よ!』
『もう遅い。じきにおとなしくなるよ…』
承平…相手は火の海の中だぞ!?やれるもんならお前がしやがれ!
しかし体の大きな魚はなかなか体力がある訳だ…
俺は炭火をかき集め、魚をまんま埋めてしまい石を重りに…
静かになった。
直接火につけているが見た目は蒸し焼き風だ。(笑)
『よし…あとは待つだけ!ビールでも飲みながら焼けるのを待つぞ!』
トクトクトクトク…
章吾が…『俺はじめてやん』
深も『俺も…祭りの射的の景品のウイスキーの小瓶しか飲んだ事無い…』
…
『よし、皆持ったな!?』
『では今回の旅行の成功を祈って』
『バスの冥福を祈って』
一同『乾杯~!』
暇つぶしの勧誘にすぐに乗ったのは章吾。
2人でゴソゴソとバーベキューセットの中に残る炭火で何かを焼いている…
『みんな食べる?もってきたよ~!』
章吾の馬鹿野郎!それ明日の昼間のバーベキュー用の豚バラじゃね~かよ!
待ったをかけ、被害を最小限に食い止めたが…
皆の興味は釣れない釣りより食い物に移行してしまっている…
仕方が無い。
前日にバッグに忍び込ませたよからぬモノの出番だ。
『ちょっとまっとけ、取ってくるけん』
到着後すぐに水中に隠し冷やしていたモノ、キリンビール3Lビッグ樽だ。
『じゃじゃ~ん♪』
一同『おぉ~!』
そして左手にはブラックバスが…
実は餌で釣ったバスを樽の持ち手部分に糸で繋いでキープしてたのだ。
『クックック…喰っちゃうぞ!』
皆一斉に
『おぉ~!』
晩飯も無事食べ終わり、旅行の目的の1つ…
《夜釣りで一匹》チャレンジタイムが始まった。
ルールは簡単。トップウォータープラグで釣り上げる!これだけなのだ。
ルアー釣りを知らない読者様のために解説を。
ルアー=疑似餌(ぎじえ)
その中でもトップウォータープラグって言うルアーは、水面を浮かびながら這うように動くルアーだ。
多分ブラックバスから見たらカエルや死にかけの小魚に見えるのだろう…
真っ暗闇の中、皆はそれぞれ思い思いのルアーを選んで投げはじめた。
『ポコッ ポコッ ポコッ…………ポコッ ポコッ ポコッ……』
ん~、承平はホッパーか…
『パコパコパコパコパコパコパコ』
よしのりは単純明解引くだけルアーのジタバグだな…
※決して変な行為の音では無いぞ!
俺は当時輝き具合にシビレまくって多用していたスウィッシャー・ベビートピードGフィニッシュカラーをセレクト。
……………………
『釣れんねぇ……』
『お~い西村!そっちはどうや?』
『全然ダメだぁ!』
一番最初に音をあげたのは、さほどバス釣りに執着心の無いのに参加してきた深だった。
『多分釣れんって…やめとこ~ぜ!』
ウィリーしたビニールボートが戻ってきたのはもう夜と言っても過言では無い時間帯だった。
二度のボート釣りを堪能したのはよしのり。もやしの根っこ野郎だ。一番最軽量が前、最重量の深が後ろに乗れば当然ウィリーしてしまう訳だ。
『全然進まんとよ!抵抗が半端じゃないもん!』
お前の力も無さ過ぎだよ…(笑)
なんだかんだ言いながら晩飯に。
カレーは完璧自信作。
問題は飯盒で炊いたご飯だ。
3つの飯盒で炊いたのだが、どうも真ん中の飯盒から焦げの薫りが……
おせじでもおこげって匂いでは無いのだ。
この責任は俺にある…
でも多数決で決めた責任は皆だ…。
よって…
毎度の小競り合い開始!
『お前とりすぎたい!』
『ちょっと分けろ!』
『ばかお前…残らんめ~が!!』
『このくらい食べでもよかろうもん!』
一同
『なんばしよるとやぁ(怒)』(はんごうの中に直接カレーをよそおう深)
ニコニコしながら…
『多分これでも足りんよ(笑)』
……………………
結局強烈な焦げ臭さを放つフルおこげの飯盒の食べれる一部分をも喰らい切った深…
『ルー…フィニっていい…?』
どうぞ飲み尽くせ!
『いやぁ…モエビがおったけんさぁ……』
言い訳しながら投げた仕掛けを回収する俺。
なんか重い…
いやな予感…
火に油を注ぎそう…
あちゃぁ…
見事、針先に付いていたモエビは34センチのブラックバスに変身していた…
……………………
『それって反則よね!』
『あい…』
承平が俺を責めたてる…
『俺達がどんなに今悲しいか解る?』
西村まで俺を責める…
『ごめんなさい…』
悲しむほどの問題か??
『罰は飯抜きや』
深は当然の様に言う…
『いや…それは勘弁…』
もうお腹はすいてるし…無理だ。
『俺もズルいと思う!』
章吾よ…お前も責めるのかよ…
すると船からあがってきたよしのりが一言…
『今日は船無しね!』
『決定!』『いい案だ!』『じゃ誰か二回だな!』『俺いきたい!』
四人一斉に…『お前とは船が沈む!!!!』
落ち込むな深…
俺は船ナシだぞ…(泣)
結局その日、俺は岸釣りだけになってしまった。
しかも夕方のゴールデンタイムは夕飯係に…
涙が出る…
鉄板メニューのカレーライスの玉ねぎのせいなのかは解らないが…
水面を割り起き上がってきた太い生木!
一同『おお~!』
『あぁ~…』
沈むんかい!
『お…重いよ…』
『ひきずれって!お前ならやれる!』
………………
『うう…寒い…』
種火を着けたばかりの炭火の前で震える西村…
収穫の長く太い枝付きの生木…
それは立派な六人一列のベンチに早変わりした。
『西村これ…半分に折ったりできねぇ?』
『もう……自分でやりぃよ!』
……………
『さ…じゃあ釣りするか!』
そう。これの旅行の本来の目的は釣りだ。
『最初にボートを使う二人組を決めよう。』
『誰が最初の一匹を釣るか勝負やね!』
盛り上がりながらのじゃんけん勝負。
順番が決まった。
俺はよしのりと一番手の組だ。
あ………
そういえば竿…
マズい…(汗)
『はよ行こう!』
よしのりに急かされしぶしぶ竿を回収に行く俺を見ている仲間達…
『あ~!信じられん!こいつ先に竿だしとる!』
バレた…
その場所はかけあがり(岸から急に深くなる場所の事)が急で、しかも透明度が高いために段差が解りにくかったのだ。
その深さは2mを少々超えるほどだった。
『あははは…沈んだぞ…(笑)』
皆爆笑。
『う~…さびい……(泣)』
頭頂までしっかり沈みずぶ濡れで上がってくる西村に、仲間は皆非常に冷たい言葉を投げ掛ける…
『なんで…そのまま取ってくれば良かったのに!』
『そこまで濡れたら一緒!もう一回行け!』
『船を使え!』
『がんばれ~(笑)』
『解ったよ…取ってくればいいっちゃろ!ホントみんな自分じゃないからって好き勝手言って……』
半分…いや、ほとんどヤケになった西村は腰の深さから泳ぎだした。
『気持ちいいよ!ほら、みんなも泳ごう!』
『うそつけ』
『いやたい』
『はよとれ』
『しゃあしい』
極悪…
あきらめた西村は、潜ると生木を小脇に抱える…
あら…浮上…
『枝がついてるしめちゃくちゃ長いよコレ…重いし…』
言葉をさえぎり皆はさらに…『もう一回!』
また潜る西村。
当然潜ってる間は皆超爆笑状態。
すると水面から太い生木が起きる様に出てきた…
皆は最初、意味が解っていない。当然だ。
しかしアゴで指す方向と、俺のにやけながらの西村コールですぐ理解。
手拍子付きの大西村コールが発生する…
『え~…マジでぇ…』
筋肉馬鹿の西村は無茶苦茶性格が良いのである。
雨がぱらつくGW…5月の水は当然冷たい…
ちゅうより気温もかなり低いのだ…
…団体とは多数決で意見が決まる。
パンツ一丁になり、身体を叩いて気合いを入れる西村…
よく考えたら椅子として使う材木…早春水泳はやりすぎだった(笑)
『いやっ!マジで冷たいって!無理無理!』
すねまで水に入り、泣きの入る西村。
『そこまで入ってイモ引くなって!もうちょい入れや!』
『そうだそうだ!』
『重くてお前しか持てない!』
『あとちょっと!』
『飯は落ち着いて食べなきゃいかん!絶対取れよ!取って戻るまで岸には上げんぞ!』
必死だな深…(笑)
岸から3mは確実に離れてるから【ちょっと】では無いし…(笑)
気合いを入れ直して進む西村…
『うぉ~…つめてぇ~ッッッッ!でも行く!』
『うお~~~~~トプンッ…』
消える西村…
距離感見間違え?透明度が良すぎたのか…?
『ぷはぁ!めっちゃ深いやん…』
読者の皆様の記憶には残っているだろうか…
幼き頃の記憶…
公園の砂場の砂を食べて強がる子供…
アリをすっぱ甘いとか言いながら食べてみる子供…
例えるならそれの延長みたいなモノだ。
意味の無い行為で威圧するというか…一目置かれる快感ってのはやったヤツしか解らないモノだ…。
俺はその大型モエビを…
食べねぇよ!(笑)
缶の中へ丁寧にモエビを戻し、急いで竿と仕掛けを用意する…
しかしテント設営の皆に隠れて準備するのは凄く大変な作業なのだ…
投げ釣りの様にワーム用の7gシンカーを四連で通し、スナップを付ける。
ハリスを付けて小バス用に使っていたチヌ針を装着。これだけの行為なのだが、行って帰ってちょい作り…の繰り返しを重ね、ようやく完成♪
モエビの頭を針先にちょん掛けして遥か沖に投入。
よし…バレずにすんだ…
テントの設営が終わった頃合いを見計らったかの様に船で二人組が帰還。
『椅子が無いやん…』
確かに無い。角材の様なモノがあればいいのだが…
そこで水中に太い生木が横たわっているのを発見!
俺はアゴで皆に合図を送りながら『にっしむら!にっしむら!』
あまりにも頼りにならない白に青のラインが入った色合いのビニールボート…
さらに安全面で問題が。
前後の別にあるべき空気穴が無いのだ…
ゴムボートなどに必ずある、その仕切り。
片方の空気が抜けても救助を待てる、浮き輪のように活用するタメの仕切りなのだ。
ま…所詮3980円で買えるモノなのだ…(笑)
『なんかあったらボート使えんくなるけん、下に毛布引いて荷物載せろよ』
皆納得。まだ一度も使って無いのに【パンっ】と破裂は勘弁なのだ。
ちゃぷちゃぷと頼りない軌道を水面に浮かべてビニール号は荷物の方向へ漕ぎだした…
『さて…じゃ、テントを張ろう!』
さすが承平。そつがない。
対して俺。
常識が無い…
皆がテントを張る平たい部分を探索している間、探し出したモノは水中のサビまくった空き缶。
『なにが出るかな♪なにが出るかな♪』
などをフジTVがしてた時期だったのかは解らないが、岸際で缶をひっくり返してみると…
ビンゴ!大型モエビ発見♪♪♪
悩んだ…
あえて皆の前で食うか…
ルアー旅行なのに餌釣りをしてみるか…
すっごい悩んだ…
不毛な争いは30分以上は続いただろうか…
『道路に置きっぱなしぜ~。持って行かれたり車に踏まれたりしても知らんぜ~』
非常に他人行儀な俺…
ここで顔色を変えたのは深。
『踏まれるのはイカン!ちょっ…ちょ…はよ行けってお前達!』
一人は嫌だと、結局三人中二人選抜じゃんけん勝負。
それも五回勝ち抜け勝負……
なげぇよ(笑)
結局、よしのり&章吾のペアに決定。
ま…当然ちゃ当然だし順当だった。
しかしよしのりから予想を裏切る一言が…
『重いし長い道だからボートで行く!』
プシュ・プシュと空気を入れ始める二人…
ここで読者の皆様に告白。
旅行の一月前頃に、俺とよしのりで近所の池でゴムボートで釣りをしている最中に…
【パンっっ!】
よしのりのルアーの針が見事にボートに刺さり後部が破裂。承平&よしのり&俺で買った3万円の二人乗りゴムボートは、一分も持たずに哀れ半分浮き輪状態に…
片手にタックルボックスと竿を抱えなんとか着岸…
こんな事がありまして…
買いなおすお金などある訳も無く、今回の旅行は夏の海辺で使うビニールボートなのだ…(笑)
そりゃ重いでしょうよ…
覗いて爆笑してしまった。
1.5Lのコーラやスプライトなどのジュースが四本!さらに何故か五キロの米袋がそのまま入っている…
どれだけ滞在する気なのだろう…(笑)
とりあえず一度には無理だったので、往復を覚悟して一度目出発。
遠い……林の中でモノは枝に引っ掛かるは、やむを得ず迂回を強いられるは…
なんとか到着した場所は、パラパラの赤土で風や波に侵蝕された様な草木のほとんど生えて無い絶好の場所だった。
しかも回りからは全く見えない完璧なシュチュエーション。
『う~みよ~俺のう~みよ~~』
ん…ダムだよね章吾クン…
って、そんなキャラなのか!?
とりあえず一服…
空気が異常に美味く感じる…
休み時間が長ければ長いほど、動きたく無くなるのが心情ってものだ…
『先陣を切った奴等で残りを取りに行けって。俺達めちゃくちゃキツかったんばい!!一人でいける量やけん、誰か取りに行け!』
代表して俺が発言。
否定は当然おきない…
『お前菓子だけやろうが!』
『お前だって毛布やん!』
『まぁまぁ…』
二人… 『『お前もたいッ!』』
なんだかんだで現地に到着。
荷物を降ろすと、すぐに両親は帰っていった…
どうかバレてクビになりませんように…(笑)
到着したダムは珍しい形をしている。
ちょうど手の平そのまま、中指の部分だけ長いって形だ。
その中指の根元部分がキャンプ予定地なのだ。
荷物を降ろした場所からは徒歩で300m程…
しかし山道…いや、道など無いに等しい。
林をつっきる感覚だ。
俺と西村&深の体力馬鹿トリオに重い荷物を全て任せ、菓子袋をぶら下げて先陣を切るよしのり…
ま…許す。お前はモヤシっ子を超えたモヤシの髭っ子だからな…
毛布2枚で付いて行く章吾。ま…まだ怒れないよな…新人クンだし…
ドーム型テントと寝袋を持って続く承平…
ん~、寝袋は個人でしか使わないだろうけど…
それに続いてやたらと荷物を抱える西村…
六人用三角テントにボート…さらには背中に背負ったリュックには20リットルの飲料水用水袋…
さすがだ!
残った深と俺は食材の入ったクーラーボックス2個とバーベキューセット&炭…他に小物類…
一番軽いバーベキューセットを死守する深…
『だって俺のバッグ重いんだって!』
当日の朝。
車を勝手に拝借して我らがリーダー・承平の家の前に行くとメンバーはすでに揃っていた。
『す…すくなっ!』
想像以上に皆の荷物は少なかった…
皆、釣り具とバッグ一つで足りている…
荷物を載せ、承平が道案内で助手席に…皆も保冷車の後ろに乗り込み出発!……のはずが…
『深クン、きみは助手席に来なさい。バランスが悪くなる!』
あわれ深クン(笑)
悲しそうな目線で荷台から降りる深…
挿入歌が流れるなら間違いなくドナドナだ。
仔牛では無いけれど…
道中で追加買い出し。お金は承平に預けていたので我々は荷台でポーカーに興じていた。
ここで思わぬ誤算があった。
買い出しに一緒に付いて行った男が深なのだ…
思わぬ出費、お菓子の山…
これが2日目に思わぬトラブルをうむ事になるとは…(笑)
詳細はこういう事だ。
母親のパート先は、毎日晩ご飯のオカズを軽自動車のトラック保冷車で各家庭に届ける会社の事務を担当している。
GWなので当然休みだった。
保冷車は動かず余っている訳だ。
『だから…バレないって!三時間ぐらいだから借りても大丈夫!』
『ちょっと!お父さんもなんとか言ってよ!まったく…駄目よ!汚れたらどうすんの!』
『毛布があるって!ひけば大丈夫!だから~、片方の車には荷物でもう片方は後ろに六人乗れば大丈夫やん?』
ああだこうだゴネまくる俺。
なんとか説得成功して、安心してその夜は眠りについた…
はずだったのだが、やはりイベント前日の夜…なかなか眠れないモノだ…。
真夜中、荷物によからぬモノを追加し…
とりあえず安心して就寝。何が安心なのかは解らないが…(笑)
『お願いがあるんやけど…』
『ん…なんだ?』
『明日から釣り旅行に行くって言ってたやん、ちょっと荷物が多いけん送って欲しいんよね…』
『あぁ…確かにそれを一人ではムリだろうな…わかった』
よし!任務完了!
『所で…駅に集合か?』
『いや、現地。』
『は?一緒に行くんじゃ無いのか?』
『そりゃ一緒に行くくさ。』
『はぁ?……』
当時のうちの車はアルトっていう無駄をはぶいたコンパクト&ソリッドなボディーの名車(迷?)だった。
いわゆる軽自動車だ。
ついでにクラッチ板がすり減りまくり、当時の俺が運転してもエンストしない程のシロモノだった。
まず目的地の山を越える事ができるような車では無いのだ…(泣)
絶句状態で意味が解って無い親父に説明。
『いや、一応案を考えたんよ。明日さ、お袋休みやろ?』
ただただ話を聞いてたお袋は何故か否定…
俺の目的を理解した様な気配だった。
『な…駄目よ!私はパートなんだから!そ、な、駄目よ!駄目駄目!そんな…クビになってしまうわよ!』
無視して親父に…
『二人で片方荷物、片方は人間を積んだらさ…完璧やろ?』
※読んで頂いてる皆様へ🎵
こんなつまんない話に応援コメントありがとうございます🙇
創作意欲をつつかれてしまう程💪【ちから】になります☺
コナン様・朴様…
叱咤激励今後ともよろしくお願いしますね🎵
大歓迎で早く返レスしたい気持ちはあったんですが、色々考えまして…
一応今後、章が終わるまでは御礼レスを書かないようにしたいと思いました…🙇
話の腰を折らない様にというか…そんな感じデス😊
章が終わればお返事や謝罪…(笑)
個別に出させて頂きます☺
ご了承下さい🎵
ではでは今後ともよろしくお願いします👮
成績・性格・クラス・いわゆる人種の違うメンバーが集まった理由は当然共通の趣味、バス釣りだ。
一学年11クラスもあるマンモス校。
池で初めて知り合った同級生の集まりって感じだった。
話を戻そう。
決定事項を書いたノートを見せてもらう俺。
テント1→囲炉
テント2→囲炉
毛布→承平・よしのり
バーベキューセット→囲炉
はんごう→囲炉裏
大鍋→深
米→深
調味料類→西村
『なんかさぁ…俺多くない…?しかも大物類はほぼ俺やん…』
『当然!』
『三時間待ち!』
『いないのが悪い』
『カレーの具は…』
『あい…すいませんでした…』
カレーの具は知らないけど…
『ちょっ…これマジかい?』
ある項目を見てびびってしまった。
『だってこの量の荷物…電車で運べんよ…』
『そうだそうだ』
『三時間の罰だ』
『帰りは俺様が食べて軽くする!』
深、なんか心強い台詞だぞ!
とりあえず理不尽な振り分けの項目を個別に書き写して帰宅。
『親父、お袋…ちょっと……』
ここでメンバーを紹介しておこう。
かなり特殊なメンバーの集まりなのだ。
承平…
仲間をまとめるリーダー的存在。生真面目で頭が固く、成績優秀。良くも悪くも普通のヤツ。むっつりスケベだと思うが本人は否定。
よしのり…
中学入学式にて残念ながら出席番号が俺の前に…。階段八段飛びのブルドッキング・ヘッドロックを見舞う。何故か親友に。未だに俺との初対面の印象が最悪だったと言っている…
変態度はかなり高め。
西村…サッカー部。全身筋肉で包まれた馬鹿力の持ち主。
テリーマンの様な見た目と違い、のちに高校・大学共に美術専攻。絵の実力は誰もが認める程。
変態度は低いし真面目だが、顔がエロい。
深(フカ)…
ちょい不良なブッチャー。イメージは【ごくせんの熊井クン】
この時点で110kを達成している。
カボチャと言うと怒る。
幾度となくマジな殴り合いの喧嘩をしたが、必ず上手投げをされる…(笑)
本人は相撲未経験だと言うが…嘘だ。
スケベな話になると満面な笑顔になるドM。今回の旅行で性癖発覚。
章吾…
転校生。なぜ・誰が連れてきたか解らない、俺にとってこの時点では謎の男。
後に登場。
五章 GW釣り旅行
久々に記憶を遡ってみよう…
あれは中学2年に上がったばかりのGWの出来事。
『やっぱりここにいたか!』
日曜日、まったりとパチンコ屋で平台・マジックカーペットを楽しんでた俺。
友人【承平】に肩を抱かれ店の外に出ると、承平入れて悪友四人勢揃い。
『三時間待っとったっつぇぇ!』
はっっ…
GW釣り旅行の予定を12時集合で、承平の家で立てる日は今日だったのだ…
皆の怒りのボルテージは最高潮
たまたま1台終了させて、現金と玉を合わせて15000円ほど手元にはある…
皆にラーメンを奢り怒りを鎮める俺。
やはり中学生…餃子も追加してあげれば、怒りなど簡単に消えてしまうのだ…(笑)
満腹になり、承平の家に再度集合。
さて…『どうするや?』
仕切ってみたが大失敗。
『あらかた決まったわ!』
『お前が遊びよる間にな!』
『もう…ホント信じられん神経やん』
『寝た子を起こした…お腹減った~…』
んん??
なんか変なコメントが…
最終話 罰
秒数にして15秒たらずの出来事であったであろう吸引地獄…
あっさり回避した俺に対する二人の意見は非常に厳しいモノだった。
「お前もっと耐えろよ!」
「意外に根性無いねぇ(笑)」
しるかっちゅう話だょ…
しかし…一番恐怖心を感じて震えてしまった言葉があった…
いまだに恨みを持つ村田さんの一言…
「お前…
今度仕事で失敗なんかした時はハチミツだぞ。」
恐怖心でお尻の穴が『キュっ』と締まってしまった…
最強の罰だ…
今だに仕事のたびに『ハチミツ』って言葉の恐怖に怯えている俺なのだ……
恐怖が解らない読者の方々、大きめの瓶(コップ可)で試してみて…
貴方も…虜になるかも………
四章 完
九話 泣き
あまりのリアクションの大きさと、『めくれる』と言う言葉に過敏に反応してくれる和泉さん…羽交い締めを解放してくれた。
急いで瓶をハズす俺…
ハズす俺…………
ハズす俺!!!!!
ハズれねぇ~(泣)
豊富に余る腹部のお肉をがっちり喰い込んで離さないハチミツ。
斜めにしても痛いしなすがまま普通にしてても痛い…
捻るとさらに痛いし引いたら無茶苦茶痛い…
村田さん…コレをよく耐えたね……
尊敬だょ…
しかし俺は今、感慨や尊敬に浸る暇など全く無い訳だ。
でも触ると痛いし…
打つ手無しな空気だった。
『ポク ポク ポク チーン』
一休さん並なトンチが発揮されたかどうかは定かでは無い…
そんな余裕は全く無いのだ。
俺は人差し指をピンと伸ばして、瓶の際の肉を突き刺した…
『ぷっ ぷっ ぷっ ぷっ ぷっ ぶぶ~~』
ふぅ…取れた…
七話 めくれる感覚
村田の野郎がハチミツ片手に狙った場所は…
身体の中心の場所だった…
はいそこの女性読者!エロスな目線で作品を見ない!
中心=おへそ!
な~にをドキドキして展開を期待してるのよっ!
ったく…エロ女性読者どもめ………
ん…失礼…(笑)
無防備なヘソの穴を中心に、半端では無い炎が燃えた状態のまま俺と連結するハチミツ。(瓶ね!)
あなどっていた…
大幅にあなどっていた………(汗)
若干の炎が連結したまま消えていくハチミツ…
俺の余ったお肉を『ぐぅんぐぅん』吸いとるハチミツ…
いや…そんなに吸われたら…うそっ…まだ吸うの??いや…もうダメ……
基本、責められるのには弱いのだ…
最近…Mってアルファベットに親近感を覚えてきた程弱いのだ…
正直…
途中までは身を任せた…ハチミツに身を委ねた…
しかし何事にも限界ってある訳で……
「いかんって!なんかひっくり返る!もうヘソ出てきてるし…!!」
そうデス…
泣き入りました…
六話 復讐
目線の送り主はもちろん村田さんである事は言うまでもない…
「おぃ、次はお前だぞ」
「いや、俺はどこも痛く無いし…(汗)」
無理だった。
笑いながら俺をいきなり羽交い締めする和泉さんの存在があるからだ。
………ずるいよね…
一緒に笑ってた筋肉マンからの羽交い締め…
味わった人しか解らない…
誤解を恐れずに表現するならば…
まさにレイプされる直前の女子高校生の様な気分…
『あぁ…敵わない…
ヤられちゃうのね…
くやしい……(泣)』
だって力がね、どうあがいても敵わないの…
目の前でベンチプレスで160キロあたりを持ち上げられたのも見た事あるしね…
現役で180キロ上げてたって言ってた…
ん?20キロしか下がってないやんっ!
ってヤツの羽交い締め。無理だょ…(泣)
村田のヤツは(こっから恨みが入るから二人は呼び捨て!(怒)…)ニヤニヤしながらハチミツを片手にティッシュを取る……
あぁ…神様……
哀れな小豚に吸いの手を……
まてまて…
吸われても困るし、小豚も心外だ…!
祈りは…通じなかった………
五話 疑問点
導かれるとゆう言葉が適切なのかは解らない。
神の啓示…欲望…
何かにつき動かされるように、厳かな気分で瓶を両手で持つ俺…
厳かは嘘だけどね♪
腰を落とし、後は引くだけ…
「ふんっっ!」
予想以上だった。
何がだって?
吸引力の凄さ♪
『ドッテ~ン』
スローモーションで覚えているので説明しよう。
瓶を引く…
中の肉がそのまま残り…
身体から皮と肉が想像以上に伸びて伸びて…
椅子から引きずり倒れていく村田さん…
椅子から落下していく時の角度により瓶と身体の隙間ができていき…
『ガボッっっっ!』
んふっ♪
取れたょ♪
「いってぇ~」
転んだからでは無かった。わき腹に残る半月形の瓶のくちあとが物語っていた。
「お前ヒドいな(笑)真っ直ぐ引っ張っただろ(笑)」
和泉さんはまたもや爆笑…俺もほっぺたが痛くなる程笑ってしまった。
なんか…怒りの視線を感じてきた……
四話 引力対吸引力
村田さんは吸い込み強度に慣れたのか、静かに突っ伏している…
上司の和泉さんの爆笑も落ち着いた様子だ。
面白かったが、なんでかモノ足りない俺がいる…
15分程たっただろうか…
和泉さんからの「そろそろ外して大丈夫だ」という言葉を受け、外す作業に入る俺。
ここで解りやすく説明しよう。
壁に大きな瓶が張り付いている様な状況だ。
『ちょん』と弾くというのか、触りたくなるのが心情なのだ。
『ちょん』
『びょょん』
「いてぇって!はずしてんのか!?」
「外してますよ!」
ふふっ…甘いね…
この程度で満足なんかする訳ないでしょ…(笑)
次は瓶をおおきく下に押してみた。
肉が引っ張られている。
「痛いって」
『びょょょょん』
引力に逆らい、瓶は上下にバウンドしている…(笑)
腹を抱えて笑う二人。
「てめぇ…ホントに痛いんだぞ!」
知らないよ♪
俺は痛くないし♪
「いいから早く外せ!」
ラジャー(^^ゞ
では思いっきり逝かせて戴きます♪
俺は瓶を両手で持つ。
あぁ…真っ直ぐ引っ張りたくなった…
三話 悶絶
ハチミツの瓶を小脇に抱え、ティッシュを三枚取り点火する俺。
本来、一枚で十分なのだ…中の空気を膨張させればよい訳だから…
瓶の中にティッシュを詰め込むと、炎は妖しくメラメラと燃えている。
入り口を下に向けているので酸欠で消えはしないのだが、ゆっくりじんわり燃える感じだ。
じっと瓶を見てると…
言い方は間違っていると思うが、俺も萌えてきた!
頃合いだ!
『ガボッ』
「ぅぬぉ……」
村田さんは上手く表現できない言葉を発した。
肩が痛い村田さんの右わき腹には何故か強力な吸引力を持つハチミツの瓶。
「てぇっめ~(怒)!
あとで覚えてろよ…
あぁぁぁぁ
痛い、ぐぅ…」
俺は爆笑しながらも尊敬してしまった。
脂肪の多い《わき腹》とはいえ、尋常じゃ無い吸い込みに耐えている村田さんの根性にだ。
近づき、瓶を眺めてみるとまだ吸い付きが進んでいる…
『むふぅ…ぐぅ…ぁいたた…テメェ…く~…』
ちゃんと喋れ!(笑)
和泉さんは涙を流しながら一部始終を見て笑い転げていた…
二話 不満
ここで一応解らない方に説明しておこう。
和泉さんの背中の丸い八個の跡、それは瓶による吸引施術跡なのだ。うっ血した血によって丸い跡がつき、その跡はなかなか取れないモノである。
和泉さんはティッシュを手にとり、いきなり火を付けた。
そのティッシュを瓶の中に入れて、ある程度燃えて酸欠により消える直前に…『ペタ』
肩につけた。
「あつっ… いや、大丈夫…」
その様子を見ていると、なるほど確かに皮膚が瓶の中に吸い込まれていっている…
「おぉ…結構来るっ」
村田さんは上半身裸で机に突っ伏して、時が経つのを待っている…
『面白く無いなぁ…』
率直な俺の気持ちだった…
マズぃ…俺の中の蟲が騒ぎだした様だ…(笑)
俺は辺りを見渡した。
むふふっ
あった♪♪♪
それは巨大な…
章のタイトルにもなっている…
『ハチミツの空き瓶』だ。
ワクワクしている…
どうなるんだろう……
村田さんは目を閉じている…
俺は和泉さんに向かい人差し指を縦に…
『シ~!』
うなずく和泉さん
開始だ!
四章 ハチミツ
この話はごく最近の話だ…
忘れる前に書いておこうと思う。
1話 三人の男
俺の勤める会社の上司で元ボディービルダー『和泉さん』は国際結婚をしている。
最近、嫁さんの実家、中国に2週間程里帰りして帰ってきた。
よからぬ事も色々してきたようだ…
帰国して三日目、その出来事は俺と同僚の男、『村田さん』の一言から始まった。
『寝違えて左肩は上がらないし首は左に向かないんだよなァ……』
和泉さんはいきなり服を脱ぎだした。
今まで、何かにつけて裸を見せたがる馬鹿な人だし確かにモノ凄い身体をしているのだが、今回はちょっと違った…
丸い跡が八個背中についているのだ。
「プロレスラーですか!(笑)」
「いや~、これ効くよ」
まてまて、ツボとか知らんし…
和泉さんは、いきなり食器棚をあさりはじめ、小さなコップを持ち出した。
「肩を出してみろ!」
村田さんは当然イヤがる。 「嫌だって!」
しかし相手は無茶マッチョ!反抗は無駄に終わる…
「四千年に触れてきた俺に任せろ~」
危うし村田さん!
最終話 謎解き
「あのさぁ…なんで名札が?」荒ちんが素朴な疑問をターボにぶつけた。
「わからん……
ぁ……」
俺は聞き逃さなかったが、解った。
置いたのを思い出した顔をしているのだ…
『マズぃ…バレたら皆から責められる…』って顔だ。
いや、もっとヒドい事がバレて大問題になっちゃったんだから…(笑)
「しかし何で俺達今、水槽の掃除しとるん?」
白い水の、何もいない水槽を洗っている俺達…
「いやぁ…掃除のつもりで………」
「ターボ…何した?!(怒)」
「ママ…… レモン 」
この大馬鹿野郎!!
後から聞いた話だが、朝方に登校した生徒が見たモノ…
水槽はフィルターから何から泡だらけ。
周りは弾けた泡でベチャベチャ…
フィルターのモーターの電気を止めるまで、ずっと泡が作製されていたそうだ。
俺は馬鹿を独り行動させた責任を深く感じながら……
なかなか綺麗にならない砂を並んで洗い続ける三人だった。
ちょ~っと待て!
荒ぁ!テメェ何で三人を観察してんだよっ(怒)
三章 完
九話 往生際
またもや校長室に全員集合…
解ったよシゲ…泣くな…
俺達の目を真っ直ぐに見れないし、とりあえず泣いてるのも読めてるからさ…
「全員でやったんだな!」
「あい」
「へ~ぃ」
「グスッ」
「はい」
「荒〇…お前は連れ廻された訳じゃないのか?」
「違います。一緒です」
やっぱ差別だよなァ…
大問題は荒ちんの案だったのに…(泣)
発覚し認めた一時間後には続々と四人の母親達が学校に呼び出された。
母ちゃんは先生に謝り、先生が見てない瞬間に…
『バチン』
後頭部に母ちゃんの手の平が飛んできた…
「痛ってぇ…悪戯やん…」
「アンタ達のは度が過ぎとると!」
先生がこちらを向くと母ちゃんの顔色が変わる。
愛想を使うなっ!
その頃は魚が酸欠で死ぬとか、塩素(カルキ)で死ぬとか知らない訳で…
『度』なんて物差しの測り方なんか当然しらない訳で……
結局、金魚は母親達が弁償…迷惑をかけたクラスには我々が謝罪という結末を迎えた。
ただ…いくつかの納得できない謎を残して………
八話 質疑応答
我々は一人一人別けられた状態で質問を受けた。
「お前達がしたのは解っているんだぞ!」
「知りませ~ん」
「嘘をつくな!」
「だから知らんって!」
「ちょっと待っとけ…」
『えぇ、待ちますとも!好き放題いたぶりやがってこのホホボクロのクソジジイめ…たいがいにせんとお前の教卓に強烈な悪戯するぞ! そうや!ターボに〇〇をさせて…』
と、妄想を駆け巡らせる俺。
しかし心配なのはシゲだ…
あいつは根性がふにゃふにゃしているのだ…
『ガチャ』
戻ってきやがった。
『バン』
机の上に置かれたそれは…ビニールケースに入った見慣れたモノだった。
「これがな…金魚を飼ってた教室にあったんだぞ。まだ知らんと言うとか?」
それは…黒地にオレンジ色が燦然と輝く…
彼の名札だった。
『た~~~ぼ~~~!(泣)』
しかし掟は掟!
これはカマをかけているに違いない!
…そうであって欲しい…(泣)
「やけん俺は知らんって言いよろうモン!」
『ガチャ』
「先生…〇〇が(シゲ)…」
「ぐぅ………」
七話 追求回避
荒ちんだけは先生の後ろを歩いてついてくる…
俺とシゲは先生の前を変な恰好で歩いている…
「痛てえちゃ!」
「ごめんなさいごめんなさい…」
馬鹿かシゲ!まだ謝るには早かろうもん!!
なんて表現したらいいのだろう…
首根っこをおもいきり捕まえられてるので顔は上を向き…
下に押さえつけられてる感じなので若干しゃがみ気味で…
歩いているので上半身は前に傾き…
はいそこの貴方!
再現しない!!(笑)
結構身体に負担のかかる恰好なのだ…
負担のかかる、その前向きで活発なおじいちゃんのような恰好で連行される我々…
連れられたのはいきなり校長室だった。
『あ……ターボがいる』
俺達はヤツがチクるとは思ってない。
鉄の掟(理屈)があるからだ。
①バレて仲間を吐いても罪は軽くならない!
②大人はカマをかけてくる!
③いざとなれば泣け!泣きマネでいいのだ!
それよりも、何故このメンツがダイレクトに呼び出された(拉致だが…)のかが疑問だった。
その理由が解った時…身体中の力が抜けた……
六話 発覚
これは幼少時代を思い出したら皆同じだと思う…
思いたい…
前日にどんな面白い事があっても、記憶がもたないのだ。
毎日の様に朝起き、朝飯を食べてギリギリで学校に到着…
大騒ぎしてる女子トイレの横の階段を登ってる途中に気が付いた…
『あ…金魚みつけたんや!』
クラスにダッシュする俺。
「荒ちん、騒ぎは見た?シゲは見たや?」
「いや、俺達もさっききたばっかりやし…」
まだ教室にターボはいなかった…
奴は基本的に行動は一番早いやつなのだが…
なんてったって馬鹿だからね…
二時間目の授業が体育で、マラソンした時に…
家の前を通りそのまま帰宅して先生に迎えに来させる程の男前な馬鹿なヤツなのだ。
知恵遅れでは無い…
普通な大馬鹿野郎なのだ。
奴は授業が始まっても登校しなかった。
二時間目が始まる前の10分休みも終わる頃…
担任のホホボクロ先生からいきなりの拉致…
呼び出しとかでは無い!
首根っこをこれでもかって力で掴まれ、俺とシゲは廊下に連れだされた…
「荒〇~、一応キミも来なさい」
差別だっ!!
🎊開設おめでとう🎊
『先生~まぁ一杯🍶💕』
『くぅ~❗イイ飲みっぷりで御座いますぞ✨』
な~んて(笑)
囲炉様…
折角の話を割る形になっちゃうかな?って悩んだのですが…
囲炉様のコト😃
きっと、許して下さるかと思い、待てきれず暴走しちゃった😂
【ふうてんの囲炉様の作り方】
いや…
【酔いどれ男の作り方】
あぁ…なんざんしょ😂
【囲炉裏男の作り方】
ですねっ😁✨
この後の展開を楽しみに、一区切りついた所でコメントさせて頂きますね😃
五話 荒流の悪戯
水槽?何が…?……
そう…彼の言う水槽とは、和風便器の前の部分の水溜まりだ。
なんて案を出しやがるんだ!
皆は明日の朝を想像する…
女子達が尿意を催しトイレに…
パンツを下げて座り込む、その瞬間に気がつく…
金魚がスイスイ泳いでいる!
「きゃ~♪」
♪は良く解らないが……甘美な響きだ…
廊下に響き渡る黄色の悲鳴……
なにより面白ろすぎる!!!
さすが荒ちんなのだ。
俺達は指令を出した。
「隣にある網で!!このバケツに入れて持ってこい!」
誰に?決まっている…
だってここは女子便所…奴を独りにしたら何をするか予測不可能だからだ。
「イィー♪」
ショッカーか!
しかし…
やはりターボはターボだ…
オチは彼が作る…
金魚を10匹程持って帰ってきたターボ…
とりあえず女子便所の全てに金魚投入。
明日の朝の楽しみを残してその日は解散した…
四話 LvUp
禁断の地…我々にとっては…《神々の都》に到着した。
皆が躊躇する中、ここは俺の出番だった。
『ズカズカ…』
堂々と入る俺…
姉貴の存在もあるのと同時に、幼稚園児の頃に〈いわゆるB〉まで経験済みな強みなのだ。
神殿に皆が入る……
すると…
テテテ テッテ
テッテ~♪
(ドラクエLvUp音…)
荒ちんのLvが上がった!
前回初登場の荒ちん、いわゆる真面目に見えて(仲間内では…)・端正な顔立ち・基本的には静か・しかし…
その半端ではないムッツリ度合い(今考えるとデス!)と異常な思考…
黙る色男・荒ちんは、いきなり全個室のドアを開けて中を覗く。
「ないね…」
なにがだよ!!!!
ったく…冷静な気配で何て事を抜かしやがるんだよ…
しかし荒ちんはレベルが上がっていたのだ…。
それも、結果を予測できる程の成長度合いだった。
「これさ…水槽みたいになるよね……」
三話 トイレ
『ブチッ』
案の定、亀の重さに耐えれない金魚の首がちぎれてしまい、水槽の中に落下…
『バッシャー』
亀を飼った事のある人は解るだろう…
糞尿混じりの臭い水を頭からかぶるターボ…
「うぇっ くせぇ! いかん…ホントにくせえぞ!かぁ~、たまらん!」
なんか恍惚の表情にも見えるのは何故だターボよ…
「シゲ~!顔拭かせろ~!」
逃げていくシゲと追いかけるターボ…
ったく…片付けは誰がすんだよ!!
勝手に生徒の椅子から雑巾を取り、しぶきを拭き取る俺と荒ちん。
金魚の身の部分も亀の水槽に返してやり、掃除も終わると半泣きのシゲ&にこやかターボが帰ってきた。
シゲ…ご愁傷様だ…
拭かれたんだね…
「まだくせぇよ」
だからなんで嬉しそうな顔なんだ!?
ターボが騒がしくて仕方がないという訳で我々はトイレを目指した。
しかし目的地が微妙にズレる…
目指せ、禁断の地《女子トイレ》!!!
二話 ハンティング
「喰うかいな…」
「とりあえず入れてみようぜ…」
亀の水槽の水深は5センチ程しかない。
金魚がようやく泳げるぐらいだ。
『チャポン』
「おぉ…!気が付いたぞ!」
「寄っていきよる…こりゃ喰うばい!」
ドキドキだ。
皆の頭の中ではすでに《ジョーズのテーマ》が鳴り響いている…
デーデン
デーデン デーデン
デデデデデデデデ
『バチャバチャ』
「お~~! 避けたぜ!」
「いや、また行くぞ…行く行く!行った!」
『ガブッ』
「おお…喰った~!」
しかし金魚の体は体高もあるし何よりお腹がでかい!
皆黙って凝視している…
亀は金魚の頭あたりを噛みついたまま、両手をジタバタさせながら引きちぎるようなポーズをしている…
「なんか気持ち悪いね…」
一番小心者のシゲが一歩下がって見ていると、 ターボがまた問題行動を…
水槽に手を突っ込み、ギュっと金魚の尾の辺りを掴むと亀ごと持ち上げた。
「へへっ 釣れた!」
この馬鹿野郎め…
重さを考えろ!!!!
三章 金魚
1~2年生が同じクラスのままで繰り上がって、濃密な関係だった猛牛軍団はあまりの素行の悪さにより3年生からは同じクラスにはならなかった。
素行…その中でも今考えるとひどい悪戯があった。
1話 放課後
当時、学校生活じたいが大きな遊び場のようなモノだった。
一番の楽しみは当然放課後だ。
しかしまだ所詮2年生…遊びの幅は狭いのだ。
放課後の学校内を探索…冒険心あふれる我々の仲間は、四人で入れる教室全てを探険していく。
「うぉ!でけぇ亀がおるぜ!」
「餌喰うかな…」
「喰った喰った!」
ここで終われば可愛げがある…
「そうや!隣に金魚がおったやんか!」
全く…ろくな事を考えない連中なのだ…
「ターボ、取ってこい!」
「とってきたぜ~」
あぁターボ…
なぜ袖まで濡れてるのだ…
水槽の隣に網があっただろうに…
あいかわらずお前は面白いやつだが馬鹿なやつだ…
ちなみに後で隣の教室に行った我々は、ターボの引っ掻き回した水槽回りを念入りに清掃したのは言うまでもない…
最終話 どんでん返し
「キミたち、もう一回聞くけど…なにしてたの…」
「いや~ん…言えない…」
などとホザける訳は無く…
「なにかイケナイ事をしてたよね?」
ハっと気がつき、歳上二人を見た。
何故か睨んでいる。
ちょっと待て!恨まれる筋合いは無いはずだ!
しかし子供特有の感覚なのか、道連れとゆう術(すべ)を選んだ表情なのだ。
経験上、「ちょっとまて」で良い事は無い。
だいたいバレてる訳だ。
なにも言えず、黙る我々。
「これ、きみたちが捨てたんだよね」
「あい…」
「駄目じゃないか。そんな歳で…」
「あい…ごめんなさい」
誉められて表彰も視野に入れていたはずなのに…
奴等のせいで発覚し、後々我々に付いて回って汚名…
前代未聞!小学校2年生で喫煙…
校長・教頭・担任の学校三役に緊急家庭訪問を受けたのは言うまでもない… 二章 完
十一話 英雄?
火も鎮火し、安堵に包まれる我々。
ほっと一息…のはずが、耳にきき馴れた音が…まさか…!
最悪だ。山の下の道を見ると案の定、消防車三台&救急車だ。
しかし少し考えた。
焦るな。
俺達は善意の第三者のはずだ。
ババァと一緒に誉められて当然のはずだ。
消防⇒救急⇒警察官と現場に続々と大人が登場。
大の西部警察ファンだったターボだけはずっと高テンションのままだ。
お前は幸せ者だな…
警察の現場検証か何か解らないが、色々聴かれた。
「家の前の山で遊んでただけデ~ス」
「騒いでたから行ったら燃えてた。おばちゃんも後から来たよ」
ん、我ながら子供っぽさMAXなコメントだ。
事実、警察官からは「よくやったね」と誉められ、解放された。
「ターボ、帰ろうぜ…」
変な解放感と達成感に包まれた我々は帰路についた。
「あ~…キミたちちょっと待って」
「 ギク… 」
十話 昇進
6時ババァ…
必ず6時に俺の家の前を通り、スーパーにお決まりの恰好で自転車に跨がり立ち漕ぎで颯爽と通りすぎるババァ。 顔もいつも般若の様な表情なのだ。
最初は鬼ババァだった。
しかしババァ率の高めな地域だ。鬼ババァは沢山いる。
彼女は俺が一年生の時に6時ババァに呼び名が出世したのだ。
6時ババァには今まで何度もピンポンダッシュを待ち構えられ、ゲンコツ貰ったりお尻を叩かれた事も数知れず…
悪戯はするが怒ると恐い、なんとも手強いババァなのだ。
「まぁ~たあんたらか!」
「ばばぁ違うって!俺達は助っ人!!」
「ホントね?」
ババァはやはりただのババァじゃなかった。
スコップを使い、赤土や砂を樹にかけるかける…
びっくりした。
消えるもんだねぇ…
「よっしゃ」
俺達二人+歳上一人は、両手で砂を拾い投げて加勢する。
残り一人はダダ泣き…
「かぁ~、お前もせんや!」
ババァパワーは半端じゃなく、一本は完全に焼けて裸の樹になっていたが火が移った樹は半焼で済んだ。
もうね…6時ババァから砂かけババァに昇進決定!(笑)
九話 6時ババァ登場
棒きれを携え現場に颯爽と登場した我々。
びびった!
身の丈の四倍ぐらいある松の樹が火に包まれつつあるのだ!
「なんでお前らこんなでかい樹を…」
と、言う前にターボがめちゃめちゃに奴等に暴言を吐いていた。
「やけん笑いよったったい!馬鹿やないやお前達。なん泣きよ~とや、泣くな!泣くぐらいならこんな事すんな!このばーか!」
ん、言い過ぎだターボよ… そこまでイジメんでもいいし、なにより消さないと…だよ。
「どうすると~」
「ヤバいってコレ、消えんよ~(泣)」
「泣かんでいいけんとにかく枝を落とせ!」
「泣きよらん!煙いだけたい!」
「いいけん消せ!」
しかし物事には限界がある。手の届かない場所の枝は火の勢いを止められ無いのだ。
やばい、隣の樹に燃え移った… 本気でヤバくなってしまったぞ…
焦りを隠せない俺とは違い、炎の中でテンション上がるターボ…
どっかの部族の舞いを舞っているみたいだぞ…
そこに我々を震え上がらせる登場人物が!
乱れた白髪・紺色のエプロン・何故かスコップ……
「げっ… 6時ババァや!」
八話 樹脂
「馬鹿だ!馬鹿発見だ!」
笑い転げる我々を若干気にしながら、燃える樹を叩いて消火する彼等。
消火も終わり、近づいてくる彼等。
「なんが楽しいとや?」ちょっと怒り気味…(笑)
「なんで自分達で火ば着けて消しよるん?(笑)意味わからんやんか!やけん笑いよったったい。」
「やったら楽しいっつぇ!お前達もやってみろや」
「いやたい。笑わるぅ(笑われる)やんか」
「ちっ…行こうぜ」
そうして奴等は次の樹を捜して場所を移動しだした。
俺はターボに「あれ、広がったら大変になるぜ……」
当時、小刀とライターは遊びの必需品で持っていた。火遊びなど慣れっこで、家から出る燃えるゴミなどをドラム缶で焼く事は俺の仕事だった。
生の樹は、火は着きにくいが一度発火するとなかなか消えないモノだと、すでに知っていたのだ。
案の定、泣きが入った。
それも本気の泣き声で…
「消えん!ヤバいって~!」
「ほら…やっぱな…」
若干8歳、猛牛レスキュー隊出動!!!
七話 傍観
相手は歳上だった。しかし普段なら何て事は無い。無視するなり退治しちゃえば良い訳だ。
しかしこちらも弱味を握られる行為を目撃されていた…
ターボが言う。
「言うなよお前ら」
「チクッたらくらすけんね(殴るけんね)」
「お…おぉ…言わんよ」
姉貴と同じ4年生に言い放つ台詞でも無い…(笑)
「お前らはなんばしよっとや?」
二人組の奴等は、片手に棒を携え何故かニヤけながら山の頂上付近まで登っていった。
弱味を握られている我々は、とりあえず付いて行ってみる…
ぽつんと一本生えている、身の丈程の樹の前で
「はじめるか」
奴等はいきなりマッチを擦り、樹に火をつけた。
「奴等、何するんだろ……?」
ちょいと離れた場所から見守っていると…
だんだん炎は広がり、ぼうぼうと樹全体を包む炎。
そこで彼等のした行動に、思わず苦笑してしまった…
「そろそろ消すぞ!」
「おう!」
何???
もしかしてこいつら…(笑)
六話 来訪者
蜜月…それは儚く短いものだ…
集めたお宝コレクションもさらには増えず、飽きて暇を持て余す我々は、次第に人数が減り近所の二人だけになっていった…
彼のあだ名はターボ。何故ターボなのかは解らない…
ただ、名前の頭文字と、一旦火がついたら止まらない気性からきたあだ名だと思う。
仲間内でもその特殊な気性で一目置かれている、彼と二人…
暇を持て余す我々が起こす行動、また波乱を呼ぶ訳で……(汗)
それは突然の出来事だった。
「誰かおるぜ…」
言われた本人達が我々だ。
これって、言われると結構緊張しちゃうセリフな訳だ。
いけない行為をしてた我々は、すでに気配を察知されてるのに息を潜める…
※《いけない行為》、誤解なき様に!!
断じて男色系では無いので御了承を!(笑)
案の定発見された我々の態度は非常に太い。
「なんの用があるとや貴様(キサん)」
「しゃあしかったい、はよどっか行け!」
二年生のガキの台詞では無い…(笑)
しかし、歳上には二目以上置かれる程荒い二人だから当たり前なのだ…
五話 探検隊
そんなマセガキだった俺達猛牛軍団は、ある行為にハマっていた。
その地域唯一の山に登る事だ。
その山とは、標高100m無い程の赤土のちいさな…通称ハゲ山と呼ばれる山だ。
「ハゲ山の頂上に集合ぜ~!」
「わかった!待っとってね~!」
当時、放課後の恰好の遊び場になっていた理由…
落ちているのだ…
いや、正確には棄ててあるのだ。
エロ本だ。
たぶん多感な時期にそんな生活をしてたので現在の俺がいる…そんな事は今はどうでもいい話だ。
なにしろ環境が良い訳だ。
探した本を隠す場所など無限にある訳だ。
当然、いわゆる《基地》は作る訳で、薮の中に、ちゃんと黒のゴミ袋をガムテープで張り合わせた屋根、拾った鏡や椅子、枯れた笹を集めて上に毛布を引いた簡易ベッドまで作る程の熱の入れようだった。
ま、そこでお宝鑑賞に興じる訳だ…(笑)
「お前ちんち〇たっとるやんか!」
「たっとらんって!(汗)」
「うわっ…これやらしか~…」
「きもち悪いね…」
なら見るな!!(笑)
四話 鉄板
考えてみたら解る事なのだ…
しかし考える力はまだ無い奴等の集まりだ…
自らの年齢から…二つ歳上…4年生だ。
「〇〇ちゃ~ん❤」
どすっ……
あれ?ぷにゅんは…?
悩んだ…
確認が必要になった…
いわゆる愚行、まさぐり抱っこを狙う。
実行した。やはり無い!
そこで…まさに落とし穴だった!
どこかで情報を仕入れていたのか…
足技の達人・姉貴の登場。
「あんた達、なんばしよるとね!?」
反射的に棒立ち状態になってしまった。
腹部にソバットを蹴り込まれ、のたうち悶絶する俺を尻目にちりぢりに逃げていく軍団員達……
せめて……
〇〇ちゃんに蹴られたなら納得だったのに何故姉貴なんだろう……
息が止まり遠ざかる意識の中、この遊びを封印する事を決めたのは言うまでもない……
三話 お嬢様シスターズ
この話の主人公には二つ上の姉がいる。
(話は続いてるよ)
姉の友達にはお嬢様的な凄い美人がいたりする訳だ。
しかも、シスターズでお嬢様的な気配・空気感・育ち…なのだ。
(幼き日に姉と共に家に連れられた事が多々アリって事で…知ってるのだ)
ターゲットは自然とそこに向いてしまう…
性(さが)と言うには早すぎる年齢だが、逆に言うと素直なのだ!!
姉妹の姉はちょうどターゲットと同じ年齢。
対して猛牛達は一度オンブをみられた事も、プラスにしか考えない素敵な年頃だ(笑)
「あ~!〇〇ちゃんの姉ちゃんや~❤」
ぴょ~ん
ふふっ…
上手くいっちゃう(笑)
エスカレートしていく軍団の好奇心…
全ての《お姉ちゃん》に対する甘えん坊度合いといったら…
「おれ今日は二回いけたばい!」
「おれ四回やったぜ!」
どさくさ…になるのか?
触った…正確に言うと揉んだ回数になっていくのだ…(笑)
しかし、妹にもいったのが失策だった…
二話 下心おんぶdeだっこ
お兄ちゃんは、いらないのだ。
「おね~ちゃ~~ん❤」
ガキなりの眼力をフルに使って、休み時間に廊下や校庭を捜す猛牛軍団。そりゃ発見しますがな!
それほど感動の再会では無い。だって1日二回以上は会うのだからだ。
しかし軍団の皆は、相手の思考まで考えた作戦だ。
《同級生と一緒の時にチビッ子に人気があって悪い気分の女子はいないハズだ!》
末恐ろしい……
他の奴等はどんな大人になったのだろう…
あ…フィクションだからね(汗)
テロ的な攻撃で後ろからいきなりオンブで抱きつかれたお姉ちゃんは、甘える軍団員も含め優しく相手をしてくれる。
テロも普通におこるなら慣れてしまうモノなのだ。
そのうち、真っ正面から胸元めがけてダイブも許されるのだ!
《ぷにゅん》
何故かにやにやしてしまう…
ここで終われば可愛げがある。
しかし終われる訳が無い…
反省と予測がつかない訳だからだ。
二章 どんでん返し
小学2年生の頃だった。
好奇心は昔から旺盛、《反省》や《ちょっと待て!》などの感情はまだまだ無い頃の話だ。
偶然同じクラスになった悪ガキ達と、野球のヤの字も知らないのに…
近鉄バッファローズの《角》が強そうってだけで、同じ帽子をかぶって遊ぶぐらいの年頃だ…。
ちびっこ猛牛軍団は、常に刺激を求めていた。
とにかくマセていた。
どのくらいマセていたかを、あくまでもフィクションなのだが…(笑)説明しよう。
読者の皆は歓迎遠足というイベントをご存知だろうか…
解らない方に説明すると、最上級生が1年生と1対1でペアを組み、手を繋いで遠足に行き面倒を見てくれるのだ。
まだ手を離せない2年生は5年生が2対1の二人で面倒を見る。
遠足のお兄ちゃん・お姉ちゃんと二人に面倒みてもらうのが2年生なのだ。
遠足で可愛がってもらい、覚えてもらっている。
学校の休み時間などに会う機会は多々ある訳だ。
ここでマセた猛牛軍団の本領発揮なのだ。
回転輸送
悪巧みをする時とは、次から次に案が出てくるものだ…(笑)
民家の裏を探すより効率的な方法…
賢明な読者の方々はもう読めただろう…
そう、酒屋の裏が宝の山なのだ。
瓶が満タンに入ったケースごと裏から店頭に運び現金を手に…
これが巧くいってしまうのだ…
しかし…四回目にはバレてしまい、しこたま店主から怒鳴られたのだが…(笑)
しかしあの時代は悪戯で終わらせてくれる良い時代だったのだ…。
反省した俺達は、地道に民家の裏で行為を繰り返す…
反省の意味はまだ解らない年頃だ…(笑)
しかし当時の俺達レベルでのバブルはすぐに弾けてしまうのだ…
アイスや菓子を両手に持ち、有頂天の俺達を偶然発見したその男によって…
そう。親父だ。
世間の常識…地震・雷・火事・親父…
いわゆる恐ろしいモノを順に並べたって例えだ。
ふざけるな!
ウチの常識…親父・婆ちゃん・母親・地震ってぐらいだ。
首根っこを捕まえられ、借りてきた猫の様になった俺は二度と瓶を換金する事は無かった。
一章 終了
換金
酒屋につき、先程の綺麗に洗った瓶を挙動不審なガキは店頭に…
驚いた…
500mmの瓶は10円に…
1Lの瓶は30円に化けるのだ…!
なんと計六本、180円の収入!
「お前の取り分、こんだけやるぞ。」
ヤツは俺に80円渡した。
《今考えるとズルいな…
しかし、当時は…
………燃えた!》
金の成る樹を見つけた俺は、その日から同じ歳の友達とは遊ばなくなった。
手順も多少は考えた手法で宝に近づくようになっていった。
自転車の前タイヤに軟らかい黄色のボールを挟み、民家の裏側に投げ入れる…
そこに空き瓶があるかどうかを確認する訳だ…
ガキの癖に下調べをかかさない俺達は、毎日駄菓子屋で遊ぶ分の金を調達し、贅沢な毎日を送っていた…
はずだった。
さらに荒稼ぎする手法を俺が発見してしまったのだ。
逃走
????…花?
ヤツの狙いは違った。
周りを囲む冊の代用品として使われていた、コカ・コーラ系統の空き瓶だった。
ヤツに言われるまま、疑問を抱きながらも二本抜いて持ってヤツの元へ帰る。
「まだいける!早く持ってこい!」
ヤツは自転車後部横に付いた、折り畳み式のカゴを開きながら言う。
訳も解らず言われるままに、計六本の土・泥だらけの瓶をカゴに詰めて現場から逃走。
着いた先は河川敷とも呼べないようなドブ川のほとりだ。
「洗うぞ」
泥だらけの瓶の中に水を入れ、振ったり枯れ枝を突っ込んでみたりしてなんとかキレイに。
その瓶をたずさえ向かう先は…先程の酒屋兼駄菓子屋だった。
お散歩
食い付いた俺が若かった。そりゃまだ五歳だから当たり前だが…
それまでに、万引きは罪だとは知っていた。お店で勝手に袋を開けて、商品を食べてしまい母親にしこたま怒られた記憶が残っていたからだ。
しかしアレが犯罪になるのだとは…その時はつゆ知らず……(汗)
そのまま俺を自転車の後部座席にのせ、住宅街を徘徊しはじめた。
ヤツはいきなり急ブレーキをかけると、花壇を指差し「アレを持ってこい」
「えっ……
花を??」
まずは…
過去の扉、記憶に残る最大限まで遡り…
毎日が愉しくて仕方なかったあの頃に……
序章 自我発動
まだ自我も芽生えたての幼稚園児だった頃の話だ…
近所の4つ歳上の男に毎日のように連れ廻されていた日々…(付いていってただけなのか?)
その日、いつもの様に近所の酒屋兼駄菓子屋に行った。
ヤツは100円を握り締めて駄菓子を買っていた。
もちろん俺はお小遣いなどもっていない。
ヤツは菓子の一欠片すら分け与えようという気配すら無い。
そりゃ多少の期待もあったので、「ちぇっっ…」っと…
イジケながらもその場にいるしかない俺に、ヤツは一言、衝撃的な発言をした。
「小遣いの貯め方を教えてやるぜ!」
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今を生きる意味78レス 526HIT 旅人さん
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黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 982HIT 匿名さん
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🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 143HIT 小説好きさん -
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人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 150HIT 永遠の3歳 -
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酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 154HIT 小説家さん -
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おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1410HIT 檄❗王道劇場です -
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今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 526HIT 旅人さん
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注目の話題
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この人はやめるべき?
文章に誤りがあったため訂正します。 アプリで知り合った人に初めてドタキャンをされすごくショックです…
22レス 618HIT 恋愛好きさん (20代 女性 ) -
女子校に通ってた人は恋愛下手?
高校生の頃女子校に通っていて恋愛はしませんでした。 異性とあまり喋る経験がないまま社会人になりまし…
14レス 389HIT 恋愛初心者さん (30代 女性 ) -
エールをください
17歳年上の男性(独身)を好きになりました。年齢やお互いの環境を気をしにしながらも周囲に内緒で付き合…
9レス 330HIT 匿名さん (20代 女性 ) -
余裕を持った行動はしないのでしょうか。
例えば、13時頃待ち合わせの場合。 電車で行くとして、12:40着と13:05着の便があるとします…
10レス 293HIT 教えてほしいさん -
ファミサポで預かってもらっていたのですが・・・。
2歳の娘がいます。 月2回の2時間〜4時間ほど、ファミサポを利用しています。用事がたくさんある時や…
6レス 251HIT 子育てパンダさん (30代 女性 ) -
食後。お茶でブクブクうがい、その後ごっくん!何が悪い
食後。 お茶で、 お口ブクブク、 その後、ごっくん! 何が悪い? 何が汚い? それを指…
11レス 225HIT おしゃべり好きさん - もっと見る