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闇の中の天使

No.66 13/02/19 20:38
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

≫65


「私、虐めに遭っているようです」
マグカップをテーブルに置きながら微笑して答えた。

佐伯さんは、急にぎゅっと私を抱きしめた。
「なんてことを…」佐伯さんの口からは、洩れるように繰り返し「なんて、酷いことを…」とつぶやくように言葉がこぼれ出た。
「佐伯さん?泣いているの?」
佐伯さんは、私を強く抱きしめたまま、何も言わなかった。

「佐伯さん、私は大丈夫です。心配しないでください」
やっと顔を上げた佐伯さんは「いいえ、そういう訳にはまいりません!」と涙で潤んだ目、だが力強い目で私に言った。
「私は…」佐伯さんが私から目を逸らすと話し始めた。「私は、高校の教師でした」「ああ、それで、あんなに勉強を教えるのが上手いんですね」私は努めて明るい口調で言ったが、佐伯さんはそれには答えず話を続けた。
「私が担任をしていたクラスの男子生徒が自殺をしました。その生徒は虐めを受けていると、何度も私に相談にきていました。私は、虐めている者の自宅に行き、指導しました。虐めをやめるように、と。その内、これまで相談してきていた生徒は私の所に来なくなりました。ですから、私はてっきり虐めが無くなったものだと安心していました。それからしばらくして、その男子生徒は自宅で手首を切りました。虐めは続いていたのです。私に告げ口したと、虐めはエスカレートしていたのです。学校はその事実を闇に葬りました。男子生徒は幸い、一命をとりとめましたが、その後、ご両親は何度も学校に来て真実を明らかにするようにと求めてきましたが、学校側は相手にはしませんでした。教頭は私に‘何も話してはいけない’と言いました。その時に、私は逃げたのです。高校を辞職しました」

思いがけない佐伯さんの過去。
おば様の娘さんも虐めが原因の事故で娘さんを亡くしている。
私の弟は、虐めに加担して被害者を死に追いやった。
そして、今…私自身が虐めに遭っている。
佐伯さんは、私の顔を見ると「もう、繰り返してはいけません」と言った。

部屋にノックの音が響いた。
「入ってもいいかしら?」おば様の声。
「どうそ」

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