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闇の中の天使

No.62 13/02/19 20:25
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

≫61


夕食の席で「ゆかりちゃん、学校には慣れましたか?」とおば様に聞かれた。
「まだ、三日目ですからなかなかうまくいきません。実は、今日は先生に反論してしまいました」
「反論?」
「はい…」
私は、ぽつぽつと今朝のホームルームでの出来事を説明した。
おば様は数秒黙ってから「よく言いました。ゆかりちゃん、あなたは曽根崎の名を守ってくれたのですね」と、嬉しそうに言った。「それで、その三枚の紙をあなたはなぜ捨てたのですか?」と聞かれた「手違いがあって、捨てざるを得なかったんです」そう答えた。
「そうでしたか」
おば様はそれ以上のことは聞かなかった。

翌日、矢島さんにいつものように車で送られて登校した。
下駄箱に向かう途中、校庭の真ん中に椅子が一つ、ぽつんと置かれていたが、気にせずに教室に入った。
私の席に行くと、椅子が…ない。

さっき校庭で見た、あの椅子…

私は教室を出ると、靴を履き替えて校庭に出た。椅子は登校してきた時のまま校庭の真ん中に置かれていた。
私は椅子を持つと、教室に戻って何も無かったように置いて座った。
クラスメートは私の方を誰一人として見なかった。

ただの悪戯ではない、これは悪質な虐めだ…
私はやっとそれを認識した。
ホームルームが始まり、いつものように舛崎先生は教室を見回して、私の顔を見るとそこで一瞬睨みつけるような顔をしたが、何も言わずにホームルームを始めた。
「もうすぐ春休みに入ります。成績の悪かった者は春休みの特別授業に出ていただきます。曽根崎さん、あなたはまだ転校してきたばかりで、学力を把握していませんから、特別授業には必ず参加してください」
「はい」


木曜日。

いつものように帰宅して宿題を終え、いつものように佐伯さんにチェックしてもらい、予習をした。
この予習の成果が出て、授業も宿題も苦痛では無かった。
「佐伯さん、今日は合気道のお稽古ですが佐伯さんは合気道も教えて下さるのですか?」
「いいえ。合気道は他の方に教えていただくことになっています」
「そうですか」
「では、これに着替えてください」
佐伯さんの出したまっ白な道着に着替えた。
「こちらのお部屋です」佐伯さんに付いて行くと、十二畳の和室に通された。
男の人が道着に黒帯を締めて、正座している。
「では、矢島さん。よろしくお願いいたします」
「矢島さん?」


いつも、スーツ姿できっとりとネクタイをして白い手袋をしている運転手の矢島さんとは、まるで別人に見えた。


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