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闇の中の天使

No.38 13/02/19 19:22
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

≫37


デパートを出ると、近くのフレンチレストランに入った。

ランチの時間にしては少し遅いせいか、ちらほらと食事をしているお客がいるだけで、静かだった。

「いらっしゃいませ、曽根崎様」
店のオーナーらしき年配の蝶ネクタイ姿の男がすぐに出てきてテーブルに案内してくれた。
美恵さんは「お久しぶりですね。今日のお勧めは何かしら?」と聞くと「新鮮なホウボウが入っております」「では、お願いします」

美恵さんは「テーブルマナーも覚えなくてはなりませんね」と、言った。

私は、美恵さんのすることを真似て、ナプキンを半分に折った。
「ゆかりちゃん、ナプキンは、折り目の付いた方を自分に向けて、膝におきます。目上の者が先にナプキンを膝に置いたら、それに従います。食事が終えたら、ナプキンは簡単にたたんで、テーブルの左側に置いて下さい」
と、教えてくれた。そして急に声を潜めると
「もしも、お料理が粗末なものだと思ったら、ナプキンは、きっちりと綺麗にたたんで、テーブルの左角にまたきっちりと合わせて置いてください」
と、少し微笑んで言った。
私も声を小さくして「どうしてですか?」と、聞いた。
「お食事がおいしくありませんでした、しっかりしなさい!と、戒めのサインなのです」
と、また美恵さんは子供のように少し肩をすくめて笑った。たかがナプキン…、こんなにたくさんの意味があることを知らなかった。

こうして、次々に運ばれてくる料理のマナーを美恵さんは、丁寧に教えてくれた。私が恥をかかないように、小さな声で。

デザートが運ばれてきた時に、シェフが席に挨拶に来た。


「曽根崎様、ご無沙汰しております」


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