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闇の中の天使

No.36 13/02/19 19:15
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

≫35


呼鈴が鳴り、仕立屋が来ると私の体のサイズを丹念にチェックし、書きとめていった。

私は黙って、されるがままに腕を水平に伸ばしたり、背筋をぴんと張って立っていた。果ては、椅子に座って、足の型を縁取って、足のサイズもメジャーでいろいろな角度から採寸した。
少し離れた場所のロッキングチェアーに座っている美恵さんは、時折手にした本から目を離し、私を見ては満足そうな笑みを浮かべ、また視線を本に戻した。

翌日の朝、真っ白なロールスロイスが洋館の前に停まった。
運転手の三十代半ばの男は素早く後部のドアを開けて、美恵さんと私が乗り込むと、丁寧にドアを閉め、運転席に回るとエンジンをかけた。
「奥様、ご自宅でよろしいでしょうか?」
「いいえ。その前に寄りたいところがあるの」美恵さんは運転手にデパートの名を言った。

「では、二時にまた迎えに来てちょうだい」
「はい」運転手は返事をすると一礼した。

「さあ、いろいろ買い揃えなくてはね」と、美恵さんが私に言った。「あちらの家では、着る物がわたしの娘のものしかなくて、あなたに嫌な思いをさせてしまったことでしょうね」
「そんな…、申し訳ないとは思いましたが、嫌だとは思いませんでした」
「そうでしたか」

美恵さんは、優しく笑った。


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