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闇の中の天使

No.17 13/02/19 18:34
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

≫16

私は覚悟を決めると、母を抱きかかえるようにして家から出た。

小柄な体格の私は、必死で母を支えた。

フラッシュが眩しいほどに焚かれ、たくさんのマイクが私達母子を取り囲んだ。
母は
「あら、たくさんお客様がお見えなのに、お茶もお出ししませんで…」
と言い、お辞儀をした。

「息子さんがした虐めについて、謝罪は無いのですか?」
マスコミのそういった質問に、母は「あの子はまだ学校から帰っておりませんが…」と答えた。

私は無言で母を引きずったが、マスコミ達を撒くことなんて出来なかった。
タクシーを捉まえると、母を押しこんでから私も乗り込み、運転手に大学病院の名を告げた。
後ろからは、マスコミ達の車が追いかけてくる。
病院に到着して、タクシーから降りた私達をまたマスコミが囲った。
病院の一階のフロアは一時騒然となり、何事かと警備員や看護師達が入口に立塞がると、マスコミを制止した。

こうしてやっとのことで母を医者に診せることができた。
医師から聞かされたのは、「精神的なショックが原因…」と、分かりきった診断結果だった。
入院の手続きをした私は、これからあの家に帰る勇気も無くフロアに並んだ椅子に座った。
これから…どうしよう。
改めて見た曽根崎先生は、薄く化粧を施していた。
私が幼稚園の頃には、すでに髪に白いものが見えていたことを思い出した。

曽根崎先生は、私の家族があの事件に関わっていることを知らないんだ…。


私は、大好きな曽根崎先生に知られていなくて良かったと、胸を撫で下ろした。



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