続 カヤの依存
カヤの依存
続きです
このスレで終わりますが
完結まではまだ少し時間が掛かります
見て下さっている方…
ここまでも長期に渡ってしまい
すみませんm(_ _)m
今までお付き合い下さいまして
本当にありがとうございます
m(_ _)m
皆様のお陰でここまで来る事ができましたので
完結に向けてもう少し頑張らせて下さい
ちゃら💪
- 投稿制限
- スレ作成ユーザーのみ投稿可
私にもバイトだけど同期がいた
1日違いで入ってきた
歳は一個上だったけど学生でパイロットの卵だった
歩とマナミちゃんみたいに個人的に仲良くはしていなかったけど
職場では仲良かったので
だから歩がマナミちゃんと仲良くなったのも自然と理解出来ていたのかもしれない
その人は中田さんといって
同期といえどとても仕事が出来てあっという間にどんどん私を追い越し先に進んでいった
同期なのに優しく仕事のフォローしてくれた
確か私と同じ様に短期希望だった
丁度一ヶ月位して早番から遅番に変わった
元々遅番希望だったのか、学校の都合なのか、遅番に引き抜かれたのかは忘れたけど
バイト先は社員もバイトも早番と遅番の二交代制で
遅番は深夜まで働くので高時給だったし
同じ仕事内容でも忙しさも全然違っていて
時給の格差はうなずけた
皆仕事が出来る人だった
私は免許も車も持っていなかったので自転車で通うしかなく帰りを考えると抵抗を感じたので
最初から早番希望だったけど
遅番だったらとっくに辞めていたと思うほど
遅番は大変な混みようだと売り上げ見ても需要的に見ても感じたし
早番のヤツは仕事が出来ないって遅番の人たちからバカにされてるのを誰かから聞いていて
早番の人はそれをみんな知っていたから
交代時は早番も遅番もやってた人以外、遅番さんにほとんどの早番スタッフ、特にバイトは萎縮していた
私もだからなんか怖かった
だけど中田さんは仕事が出来たから、遅番に移ってからもすぐに受入れられたみたいで
改めて中田さん凄いなって思った
ある日中田さんが体調を壊したらしく急きょ休みになった
その日遅番はギリギリの人数で、大きな予約も入っていた
交代時、遅番のリーダーの人が
「おい、早番で誰か残れるヤツいる?」
って聞いてきた
私はこの人が一番苦手だった
仕事は凄く出来るけど、偉そうにしてるし、言ってる事は全て正しいけど
早番に対して明らかにバカにしたような傲慢な態度
よく男性バイトを怒ってて
怒鳴るとかじゃないんだけど、雰囲気が怖い、目付きが怖い
引き継ぎ時私も自分が担当した所でミスをした事があって
私が本当に悪いんだけど一回怒られたのが凄く怖かった
この問いに
この人と唯一まともに話せる男の人が
オレ、これからバンドの練習だから無理だわ
って答えた
この男の人は元遅番だし、仕事もできる
遅番リーダーと同じ中学の同級生で呼び捨てでお互い呼びあってた
私が叱られてた時も、
お前そんなにイジメて、コイツが好きなの?
コイツ彼氏いるよ(笑)
って茶化す形で助けてくれた
彼はバンド中心にする事で元々遅番から早番に移ったらしく、
でも彼は私たち早番をバカにするような発言や態度は一度もなく、誰に対しても遅番同様平等に接していた
他、早番スタッフは皆下をむく
遅番チームリーダーが
「明日休みのヤツ誰?」
本当に最悪、私翌日休みだった
小さく手を挙げる
「お前、残れ」
逆らえないし、怖くて言い訳や嘘を付く余裕など無かった
>> 202
兎に角必死だった
中田さんの代わりになれる訳ないし
そこは遅番さんも期待してないとはわかっているが
不本意でも入ってしまった以上、最低限他の人の足は引っ張りたくない
自分が入った事で更に余計な仕事が増えたと思われたくない
せめて猫の手位にはなりたい
バカにされてる早番の名誉も掛かっているプレッシャー
普段挨拶しかした事ない、苦手意識を持った人ばかりの中に放り出された私
萎縮や緊張を
動く事で払拭するしかなかった
それがその時の私の逃げ道でもあった
遅番の人と並べる訳がない
技術もキャリアもない
遅番は愚か早番ですら一番の下っ端なのだから
誰でも出来る初歩的で基本的な仕事を兎に角一心不乱に片付けていった
大きな予約客が無事捌けた後も
安心など出来なかった
やはり早番とは違い、一般客も途切れる事がない
結局忙しい
ペースを崩さずやり続けた
休憩時間どのように過ごしたか記憶に無い
休憩時間も緊張感を途切れさせては行けないと思ったと思う
そもそも苦手意識を持った人達と休憩だからと息抜きできる程器用でもない
食事もまともに喉を通らず、やたらタバコ吸ってたと思う
遅番さんの悪いイメージしか書いてないけど
数少ない女性スタッフさんはみんな通常時も笑顔で挨拶してくれてた
残念ながら担当が違う為、同じ所にはいない事から癒される事も無かった
でも癒されてたら甘えが出て、あんなに頑張れなかったかもしれない
>> 203
もともと煩い程音楽が掛かっている職場だったが
突如ミニモニジャンポンが掛かると
スタッフがフロントにぞろぞろと集まりだした
リーダーに
「戸田!ジャンケンするからお前もこい」
訳わからず、皆とジャンケンした
何が勝ちで何が負けかわからないが
どーやら閉め作業の分担を決めるものらしい
ジャンケンした後にリーダーから
「取りあえず、流しにある食器洗っとけ
でコイツが全フロアーの灰皿回収してくるからそれも全部洗え」
言われたままにやった
途中から蛍の光が流れてきた
時間など気にして無かったけどやっと終われると
この時やっと安堵した
終礼
リーダーが最後に
「今日は中田が休みになって急きょ、早番の戸田が通しでやってってくれたけど、早番もやって疲れてる中、戸田が一番頑張ってたと思う。
戸田、今日はありがとう。本当におつかれ様でした」
遅番リーダーに初めて褒められた
苦手意識一杯だった方々から拍手を貰った
嬉しくて泣きそうになった
>> 205
休みが明けた翌日
遅番リーダーの中学の同級生であるバンドマンの
彼から
「戸田~!昨日ケンがお前の事褒めてたぞ
早番も頑張ってんだなって」
因みに彼の名は尚さん
尚さんの言っているケンさんというのは
それまで私が最も苦手としていながらも、昨日褒めてくれた遅番リーダー
ケンさんって呼ぶのは尚さんだけで
私や他の人は苗字の方の坂本さんと言っていた
他の早番の皆も、一昨日はおつかれ様
大丈夫だった?や
ゴメンネなど
と心配や労いの言葉を頂けてもらえて
ホントにいい職場だなって思えた
中田さんが出勤した時、代わってくれてありがとうございましたと言ってくれた
まだ中田さんが早番の時、同期ながらもいつも助けてくれてたので
その中田さんへの恩をほんの少しだけ返せた気 がして嬉しかった
まだ本調子じゃなさそうだったけど、中田さんの笑顔に安心した
お礼に今度ご飯奢らせて下さいと言われたが
お世話になっていたのでお礼してもらえるほどの事ではないし、逆に申し訳ない
その様に伝えたが
あの日本当に助かったのでとしきりに言ってくれるので
中田さんの気が済まないのかなと思い
では彼氏に了解取れたらという事になった
中田さんも元早番なので、私に彼氏がいる事は知っていた
>> 206
夜、歩との電話で
その事を伝えた
いいよ、行っておいで
いつも通りの優しい口調
予想通りの答えだった
やはり歩にも同じく同期に仲の良い異性がいるからか少しも躊躇していなかった
私は
歩が私の事を信じてくれてる事が嬉しかった
お互いその様な信頼関係を持て、何でも話せる、話してくれる事が嬉しかった
それから東京の時のバイトの仲間たちのお陰で
男女の友情は成立する事を実感出来た事で、私は異性という枠だけでなく
人として見るフィルターを身に付けた事に自分の成長を実感した
だから、あれだけ嫉妬深かった私が
歩とマナミちゃんに対して疑う事が無かった様に
それを素敵な事だと
思っていた
>> 207
初めて中田さんと外で会った
そのせいか、いつも通りの中田さんなのにちょっと緊張した
しかし中田さんの車に乗ってみるとすぐにその緊張は解けた
確かロードスターとかいう車でとても小さく
外見通りツーシートで中も狭い
その手の車に乗りなれていない私はちょっと苦労した
今はどうなのか知らないがシートも座りにくかった
「狭い車でしょ(笑)」
中田さんの優しい気遣いにも、そんなこと無いですよなんて言えなかった
「初めて乗るタイプの車なんでびっくりしてます(笑)」
中田さんは大笑いした
「戸田さんって正直者ですね
確かに女性を隣に乗せるタイプの車ではないでんすよ」
助手席から見る世界も
今まで乗ってきた車とは全然違った
とても面白かった
その車で中田さんは
峠をよく一人で走っているそうだ
兎に角運転が好きらしい事がよくわかった
「大丈夫です。今日は珍しく女性を乗せているので安全運転で行きますよ
あ、女性じゃなくても人を乗せる時は慎重に運転してます。一応、これでもパイロット目指してるんで、そこは信用して下さい」
仕事の時と同じ中田さんは本当に誠実な人だと感じた
「彼氏さん、本当に大丈夫だったんですか?正直そーゆー男性珍しいと思います」
「大丈夫でしたよ。ちゃんと言ってきました。彼にも同期で仲良い女の子がいるので、理解してくれてます」
「…信用されてるんですね」
「信用してくれてるのもあると思いますが、自信があるのかもしれませんね…私が好きなのよく知ってると思うから」
「…じゃなくて、戸田さんが彼氏さんの事を……………あ、なんつーか、そーゆー信頼しあえる関係って素敵ですよね。羨ましいな、俺も戸田さんの彼氏みたいに器のデカイ男になりたいッスね」
>> 208
中田さんが連れてってくれた場所はハンバーグ専門店だった
内装がとてもオシャレで入った瞬間、感動した
ハンバーグ大好きだったけど、外で食べる時はよくあるチェーン店やファミレス位だった
「素敵なお店ですね…」
席に通され座っても、店内をキョロキョロ見回してしまう
「良かった、気に入ってくれたようで。ここのハンバーグマジ旨いんスよ…って戸田さんそれじゃメニュー所じゃないッスね(笑)」
「あ!すみません!」
「いーですよ(笑)好きなだけ見てて下さい、じゃあ俺のオススメのヤツでいーッスか?飲み物どーします?
俺は運転あるんでソフトドリンクにしますけど、酒もあるんで戸田さん好きなの飲んでください」
勿論法律的にはダメだったが
当時まださほど現在の様に飲酒運転が厳しく無かったので
美也子たちと飲みに行く時は誰の車でも皆飲んでいたので、内心驚いていた
おそらく、警察官でもプライベートではやってただろう
その位誰でもやっていたであろう時代
マジメだな
もしかしてお酒苦手なのかな?
でも本当は飲みたいのに運転の為にガマンしてるなら、私だけ飲んだら可哀想だな…
どちらかわからないけどアイスコーヒーにした
「え?!戸田さん、お酒飲まないんスか?遠慮しないでホント好きなの飲んで下さい」
逆に中田さんが何故飲まないのか聞きたいくらい不思議だったが、結局そのままアイスコーヒーをお願いした
今思えば、パイロットになる為の中田さんの心得だったのかなと思う
後日、彼は相当お酒が強い事が判明したから
>> 209
「美味しい……………」
私は一口食べるとそう呟いた
本格的とか本物とかいうのはこういう事を意味するのか
ハンバーグをマジマジ見つめた
「でしょ?!マジ旨いんスよ!!」
中田さんは嬉しそうに食いつき気味で私の表情を見ながら言った
「ハイ!!マジ旨いっす!!」
中田さんは他にも色々頼んでくれていたようで
サラダやフライなどのサイドメニューが他にもテーブルに並べられていた
ハンバーグは絶品だが、サイドメニューもどれこれも美味しかった
美味しいものを食べて沢山談笑した
何故閉め作業の号令でミニモニジャンケンぴょんが流れるのかと聞いたら
パート社員の○○さんの趣味ッスよ(笑)
と、ちょっとした裏話も聞けて
とても楽しい時間を過ごした
帰り道
「戸田さん……………」
先程までとは違う改まった口調に
私は返事をしながら中田さんの横顔をチラリと見る
まっすぐ前を見つめ真面目な表情で運転したまま
「オレ、戸田さんの事好きなんス…最初に一緒に入った日から…」
驚きのあまり言葉が出なった…
今まで全く気付かなかった…
「だけど、さっき来る途中…彼氏さんの話聞いてたら戸田さんは彼氏さんの事、本当に好きなんだなって…少しも俺が入れる余地はないってのがわかったんで、もう諦めました(笑)
…だけど元々今日告るつもりで来てたんで、もぅ伝えんのも困らせるだけだって思ったけど、言わせてもらいました。すみません」
>> 210
何にも言葉が出てこない
中田さんが誠実過ぎて、まっすぐすぎて
言葉にならない
私は本当にダメ過ぎた
勇気を振り絞って言ってくれたのに
沈黙を再び破ってくれたのは中田さんだった
私は再び衝撃をうける
「あ――、やっぱり困らせちゃいましたね
わかっててホント勝手ですみません…
でも気にしないで下さい
オレ、来週で辞めるんスよ。
もともとの予定です。
だからもし付き合えても、今の彼氏さんより遠距離になっちゃうし、だから色々ダメだってわかってたんで遅番移れてからは正直助かりました」
そーいえば、中田さんも短期契約だった
パイロットの資格を取る学校がどのようなものなのか知らないけど
そういう学校があるのは知ってたが、あるのは隣県でなぜ一時的に地元でもないここに来ていたのか、
それからどこかは忘れてしまったけど、今度は四国だったかな…兎に角ずっと遠くの方へ行くと教えてくれた
どこまでも私に気を遣わせない様な言葉を掛けてくれる中田さんの心配りが今思い出しても辛い
「……………私の事、好きになって下さってありがとうございます…………」
やっと言葉にできたものは、こんな陳腐なものだった
だけどこんな素敵な人に好きになって貰えて有難すぎた私なりの精一杯の言葉だった
「いえいえ、てか本当に少しも気が付かなかったんですか?!」
コクリと頷くしかできない自分が本当にバカみたいだった
>> 211
1日違いで入ってきた中田さん
その1日早い方が私だった
中田さんはすぐに私を追い越し
物凄いスピードで仕事を覚え
私と格段の差がついて私はいつも中田さんに助けて貰っていた
何か困っていたらすぐ察してきてくれたり
対処してくれた
私は事実上も頭が悪いので、自分の出来無さぶりに中田さんと比べ落ち込んだりもしてた
でも落ち込んでると笑わせてくれたりした
中田さんは私を助けたくて、必死に仕事を覚えたと打ち明けてくれた
ちょっと困った顔見たら、誰よりも先に気付こうと仕事しながら観察してたと
「女性ってもっとそーゆーのに敏感だと思ってました」
と苦笑した
聞けば聞くほど、自分という人間が痛々しく感じた
「ちょっと本来の意味と違いますが、恋は盲目ってヤツですかね?それくらい戸田さんには彼氏さんしか見えてないんでしょうね……………
……………悔しいんでちょっと強がっていーですか?」
そう言うと中田さんはニッと笑顔を私に向けた
「……………はい…」
「彼氏さんより絶対俺のが戸田さんを幸せにできましたよ!」
「……………?…」
「ヒントあげます…。彼氏さんに了解を得て今日来たと言ってましたよね?」
「……………はい…」
「俺なら絶対に行かせない……………」
>> 212
「さ~て、あっち行ったら早くいい人みつけよーっと」
いつもの中田さんの口調になっていた
家の近くまで送ってもらった
「戸田さん…幸せになってくださいね」
「中田さんも……………」
「これ……………」
何か小さな紙袋を渡された
「あの…っ、コレは」
「大した物じゃないんで、おやすみなさい!」
猛スピードで、走っていってしまい
あっという間に見えなくなった中田さんの車
スーパーマンの様だった彼らしい去り方だった
帰って袋を空けると綺麗に包装された包み紙から
可愛いオルゴールが出てきた
切なさが増した
やりきれない思いがこみ上げる
オルゴールを何度も聞いた
電話が鳴る
歩からだった
>> 213
「どーだった?楽しかった?」
「うん、楽しかったよ」
「何したの?」
「ご飯ご馳走になって話しただけだよ」
まるでわかっていたかのように切り出す歩
「ふ~ん…口説かれた?」
「……………口説かれたとかじゃない
……………告白してくれた…」
「で、断ったんだろ?」
「断ったとかじゃない、諦めたって先に言われた」
「へ~、いいこだね」
歩は楽しそう
なんだろな
なんだろな
「私もそろそろ契約切れるからそっち帰るね」
「あー、もぅそんな経つか……早く会いたいだろ?」
「うん、会いたい」
「それだけ?」
歩が何て言葉を望んでるかわかってる
「したいよ」
歩がクスッと笑う
「カヤのそーゆートコやっぱたまんね~」
そんなやりとりを手短に終え電話を切った
さっきまでなん度も聴いていたオルゴールを急に聴く事が出来なくなった
なぜだろう
どこかで綺麗な物は私には相応しくないって思ったのかも、わからない
久々に聞いた支配的な口調の歩に相変わらず応えようとする自分
好きだから
やっぱり歩が好きだから
中田さんの綺麗な気持ちを汚したみたいな苦さが入混じるのがキツクて
それを自覚したくなくて
何も考えたくない
思考から逃れる様に眠りについた
>> 214
「俺だったら絶対に行かせない……………」
翌日中田さんのその言葉が蘇る
歩からは心配する素振りも感じられず、昨日の一件は楽しむ様に聞いていた
違う、信頼関係があるから余裕で聞けていたのだ
「口説かれた?」
そうなる展開をわかっていたの?
私を試したの?
バイト終わり、遅番との交代時、中田さんは昨日
今までの気持ちを打ち明けてくれたにも関わらず
気まずさを微塵も感じさせずいつも通り変わらず接してくれた
有難かった
夜、いつも通り歩から電話がきたが、支配的な歩ではなくいつもの優しい歩だった
歩は優しい人、今まで私に優しい気持ちをいっぱいくれていた事をいくつも思い出した
今は優しい歩だけを感じていたい
>> 215
「みんな翌シフトは明日までに出すように」
朝礼で社員から言われる
「あの、私は今月までの契約なんですが…」
「…?……………あぁそうか、戸田はじゃあ今シフトまでって事か……………遅番は確か中田が来週でぬけますよね?」
社員が店長に確認する
「あぁ、戸田の契約忘れてたな……………求人早番も出さなきゃな……………まぁ、残念だけど仕方ないな…わかった、戸田はじゃあ今月までって事で…後三週間ないのか…じゃあ戸田以外は明日までに翌シフト出すように」
朝礼が終わると、早番のみんながそれぞれ声を掛けてくれた
残念がってくれた
送別会やろうねって言ってくれた
皆の気持ちが有難かった
辞めたくないな……………
でも歩の所に戻らなきゃ、突如襲ってきた得体の知れない不安な感情に早く会って安心したい
結局私は何よりも歩を選ぶのだった
>> 217
バイトが終わるのも後10日切るか切らないか位だったと思う
いつもの歩からの夜の電話
でもいつもと違う雰囲気だった
歩のモシモシから始まる声がいつもと違った
「……………ごめん…別れて……………」
「どうして…?!」
「本当にごめん…全部…俺が悪い……………」
「理由教えて!納得出来ない!!別れたくたい!
だってもぅすぐそっち帰るんだよ?!何で?!どうして?!」
「ごめん、もぅ連絡できない……………」
ブチッ……………
一方的に電話を切られた
何度も掛け直した
何度も何度も
お願い出てってって祈りながら
泣きながらリダイヤルボタンを押し続ける
そのうち電源が切られたのか
機械的な女性の声のアナウンスが流れる
なんで ばかりが頭の中で反芻し
苦しくて苦しくて呼吸が乱れる
>> 218
どんなに泣いても
泣き疲れて眠りにつく
なんてレベルのものじゃなかった
一睡もできなかった
泣くだけ泣いて朝を迎えたらすっかり覇気がなくなり
魂を抜かれたような状態だった
仕事…
非現実的な状態で現実の事を考える不思議な感覚
そこに感情など無かったと思う
朦朧とした意識で顔を洗いに洗面所に行く
母親が私の顔を見て驚いてたと思う
鏡を見ると泣き腫らし、充血しながらも真っ黒なクマに虚ろな瞳
多分そんな感じだったと思う
だけど別に何とも思わなかった
メイクも普通にした
いつも通りの一連の流れ作業的な
化粧が出来ない程でも
メイクで少しでも誤魔化さなきゃと思える程の
どちらでもなく
ダラダラと勝手に覚えてる動きに任せて
ご飯だけは食べる気にならなかった
>> 219
明らかにいつもの姿、様子と違っても誰も何も言って来ない、聞いてこない
とても触れられる状態ではなかったのだと思う
それを不思議とか当たり前だろうなとか、自然に繕えてるんだとか
思える思考も持ち合わせていなかった
朝礼が終わるといつも通り店内の掃除から取り掛かる
普通に出来ていたと思う
するとそこへ尚さんが私の前にきた
「…戸田、ちょっと来いよ…」
掃除の途中だったが言われるまま黙って尚さんの後について行った
まだ始まったばかりだというのに休憩室だった
パイプ椅子に座ると尚さんはタバコに火を付けた
尚さんの正面に座ると私もタバコに火を着けた
暫くお互い煙を吐き出す音だけが続く静寂の中
尚さんが静かに切り出した
「何があった?」
「別に何もないですよ…」
「なんも無いワケねーだろ、その顔で」
内心めんどくさいと思いながら諦めて打ち明けた
「……………彼氏と別れただけです」
「なんで?」
「わかりません。昨日一方的に電話でフラれただけですから」
「わかった。今日は帰れ」
「嫌です。仕事はちゃんとします」
「はぁ?新人が思い上がんじゃねーよ、その面で客の前に出るつもりかよ」
「なら裏仕事します」
「つか正直に言わせてもらうわ。他のヤツらはどー思ってっか知んねーけど、公私混同すんなとかプロ意識持てとか仕事がどーこーとか言ってんじゃねーから、今のお前見てると俺が不快だから帰れっつってんの」
この言葉で漸く私は顔を上げ尚さんの顔を見た
不快
本当にその言葉そのままの尚さんの表情に
涙が出た
「泣いてもいーけど、あんま泣きすぎんなよ
ブスが更にブスになんぞ」
言葉は荒いが、尚さんの口調から先程の吐き捨てる様に言った刺はもう無くなっていた
店長には俺が話しておくから誰にも挨拶もしなくていーから兎に角帰れ
そう言って一人先に休憩室から出ていった
尚さんの心遣いに感謝した
>> 220
不快だと尚さんに言われたけど
尚さんだけじゃなく、他の皆も今の私とどう接したらいいか困惑し、やりづらくなってたと思う
尚さんは、他の皆の事を思って自らが悪役となり私にその事を気付かせてくれたのだった
私は一人休憩室で再び泣き、何本目かのタバコを吸い終わると
ノロノロと着替え、静かにバイト先を後にした
途中CDショップにより適当に何枚かアルバムを買い帰宅した
幸い誰もいなかった
妹は学校、父母は仕事の様だ
買ってきたCDを爆音で流し
ベットに入る
どうせ眠れないが
しかし
尚さんに気付かされると私はとても自分が仕事など出来る訳がないほど疲れているとやっと自覚した
天井を見上げる
あんなに泣いても
再び涙が頬を伝う
何故?
が何度もまた
私の脳内を駆け巡る
気が付くと声をあげ、嗚咽交じりに泣き叫ぶ
呼吸が乱れる
苦しくて苦しくて
必死で出てくれるはずもない電話を歩に掛け
出ないという
現実を突き付けられ
そうやって自ら更に苦しみに追い打ちを掛けた
苦しくなればなる程
歩を好きだと思い知らされ
耐え難い痛みに頭を掻きむしり
疲れている体に更に鞭を打ち続けるほど錯乱状態に陥り泣き叫んだ
>> 222
お母さんは悲しそうだった
朝見た以上に目を腫らし、手当たり次第部屋を散らかし憔悴しきったその光景は恐怖でさえあったと思う
お母さんは
「……………当たり前じゃない…あなたが出てった時も言ったけど…ここはあなたの家なのよ……………」
それだけ言って後は何も詮索してこなかった
その光景で全てを察したのだろう
ご飯を呼びに来てくれても
いらない
と言えば無理に食べなさいとも強要せず
そっとしておいてくれた
トイレやお風呂に行く時チエと会ってしまう時
チエはまた悲しそうな瞳をしてた
内心母も悲しませ、私も悲しんでる
私はこの子に何度こんな辛い思いをさせたか……………
一人篭れば歩の事ばかりだったが
チエと会えばまた違った悲しみと罪悪感で苦しくなった
お母さん
チエ
ごめんなさい
>> 223
家族に悲しい思いをさせているとわかっていても
歩への気持ちを諦める事や封じる事などできなかった
歩が毎日電話をくれていた頃の時間になると毎日数度電話をした
すればするほど
惨めになり苦しむというのに
電話に出ないが歩の答えと思い知らされ
わかっていてもその衝動をやめる事はできなかった
責める対象は自分だった
何故、歩から一時でも離れてしまったのか
こんなに苦しむなら
苦痛になって決断した、夜の営みなどガマンすれば良かったと
眠れず、食べれず
美也子が気晴らしに私を連れだそうと思ってくれた心遣いにも応える事ができなかった
あの日からバイトは行かなくなっていた
気力も無かった
休む連絡を入れていたか記憶していないが
あの時の精神状態を考えれば
きっと無断欠勤だったと思う
そうやって私は大切な人たちの気持ちを踏みにじって、義務や責任まで放棄した
>> 224
シフト最後の日
散々シフトに穴を開け
もぅ用済みだろうけど、最後に多大なる迷惑を掛けてしまった事、逆に皆の気持ちを逆撫でするだけで、自己満足かもしれないが
お世話になった感謝の気持ちを込めてお礼をする為出勤した
出勤前日菓子折りを買ったはいいが
尚さんの言っていた言葉を思い出すと、行こうか行くまいかとても悩んだ
今更どんな姿であろうと、無責任な事をした私を見るだけでも嫌悪感を抱く人もいるかもしれない
が
行くならせめて、あの日の様な姿は晒せないと思い
久々まともにご飯を食べた
挨拶に行く為に皆と顔を合わせる事に緊張し
その日は自然と歩の事を考えなかった為
あれだけ眠れなかったのに、一時的でも歩から解放された脳内は
ようやく体に睡眠という安息を許し
とても早くに眠りにつく事が出来た
>> 225
翌朝、引き篭もりスッビンにスウェットが定番になっていた私は久々まともなメイクをした
昨夜まともにごはんを食べ、睡眠を得る事が出来、泣く事もしなかった私は
まるでゾンビだった姿から
たった1日でも少し私らしさが戻っていた事や、客観的にそうやって自分を見る事が出来た事に安堵した
荒んだ数日を送っていたのでやつれはあるが、若さというのはそういった回復力はめざましいなと
今思う
メイクもいつもながらの流れ作業ではなく、少しでも健康的に見える様にチークを使い血色をよく 見せようとか
見る相手側を考える様に心掛けた
朝ご飯も食べ、緊張を振り払うかのように元気に家を後にした
いざ着いてみるとやはり緊張と一抹の不安はあったが
最後
という今日に私は気持ちを切り替えた
女子更衣室に入る
いつも何故か一番だったが、その日もやっぱりそうで、早々に着替えるとメイクや表情を何度もチェックした
制服はブカブカになっていたが、それでも大丈夫と言い聞かせ
今日だけは元気な私を演じよう
そして心から感謝の気持ちを態度や言葉だけでなく
最後の仕事も精一杯頑張ろう
>> 226
休憩室で仕事前の一服をしていると
次々にスタッフが入ってきた
みんな私を見るなり
笑顔で「おはよー」と言ってくれた
良かったー
来てくれてありがとう
大丈夫だった?
大変だったね
などと優しさばかり溢れる言葉を掛けてくれ、私の不安と緊張感を取り払い、自然と笑顔にさせてくれた
内心、有り難くて泣きそうになったが必死で堪えた
折角みんなが笑顔にしてくれた
どんな感情でも今は泣いてはいけないとガマンした
事務所に行くと、店長はおう来たか!
と責める事もなくいつも通り接してくれ
通常通り朝礼があり
その日の予約状況や新しく導入されたものの説明を受け
何かあるヤツいるか?
という質問がされた
これはスタッフが、改善点や問題点など意見がある人が挙手しそれを今後皆で考えていこうという
意見交流のようなものだ
私は挙手し
穴を開けた事やみんなに掛けた迷惑や非礼を心から詫び
今日まで良くしてくれた事に感謝の気持ちとお礼を言い
今までありがとうございました
今日は一生懸命働きます
心ばかりで恐縮ですが皆さんで召し上がって下さいと持ってきた菓子折りを皆の前で店長に渡した
>> 228
朝礼終わりに店長に事務所に残る様に言われた
店長から今回の事は全て尚さんのお陰だった事を知った
あの日、私を帰した後尚さんは店長に私の事情を話し
休んでいた間も、もし私が来たら残してやって欲しいとお願いしたらしい
店長と尚さんが話し合った結果
プライベートな事だけど、私が来たら皆には普通に接する様にと早番の皆には話したと
尚さんと店長の心遣いに感謝した
そんなありのままの私を優しく受け入れてくれた皆にも感謝した
この日私はこうして何度も泣きそうになった
尚さんはこの日休みだった
明日、お礼言わなくちゃ……………
働く事で歩を一時的にも忘れられる時間の大切さ
居場所を与えてくれている皆の人柄や、その気持ちの大切さに
気付かされた日となった
>> 229
翌朝出勤すると
「おい、ブス!元気か~?」
尚さんだ
私の感謝の気持ちが一瞬消えかけてしまった位あまりにも脳天きな口調と言葉につい笑ってしまった
「お陰様で元気ですよ、色々ご迷惑掛けてしまいすみませんでした
後、私を残す様にしてくれたのって尚さんなんですよね、店長から昨日聞きました
あの、 …本当にありがとうございました!」
頭を下げお礼を言う
尚さんは少しの遠慮もなくマジマジ私の顔を見て
「てか、相変わらずすげぇーブスだな(笑)
一体どーゆー生活してたらブスがそこまでブスになれんだよ(笑)」
え?!私、今この人にお礼言ったよね??
さすがに唖然とする私を気にも止めず
今度は遠目にしてみて全身を見る
「ゲーッ!!しかも痩せ過ぎできめぇ…
まぁ、確かにちょっとは元気になったみたいだけど、あんま自分虐めんなよ……………
あ、それから最終的にお前残すの決めたのは店長だから、俺にそんな権限あると思う?(笑)」
慰めてんのか貶してんのかわかんない言葉に結局また笑ってしまった
違う
尚さんは笑わせてくれたんだ
>> 230
それから尚さんとはそれまで以上に仲良くなり、私は年齢も、仕事も上であるのに呼び方は尚ちゃんに変わり自然とタメ口になっていった
他のスタッフとも同じでまるで学校や部活に行ってる気分だった
それ位楽しかった
相変わらず、歩が電話をくれていた時間になると
虚無感や孤独感、悲しみと寂しさで一人ひっそり涙を流していたが
親も妹にも、ちゃんとご飯を食べ、休まずバイトにも行き、休日は美也子やサヤカたちと遊んだりできるようになった姿を見せる事で安心させてあげられてたと思う
そうする事が自分の為であり、家族の為にもなるとわかっていたし
与えられている自分のそれぞれの居場所や一緒にいてくれる人達を大切にしたかった
時が癒してくれる
という言葉があるが、時とは一体どの位経てばその傷が癒えるのか
人に癒されても時間を少しずつ消化していっても
歩を思い出さない日なんてなくて
そのいつか癒えるであろう時間が本当にくるのか、どの位待てばいいのかと考えると
途方に暮れた
美也子が、スッキリしたいなら
東京へ行って会ってこい
と言ってくれた
以前、黒澤さんへの気持ちを打ち明けた時もそんな風に背中を押してくれた
あの時は本当にそれでスッキリできた
しかし、歩の新居は知っていても
別れた理由を知りたい気持ちを強くもちながらも
なぜだか知ってしまうのがとても恐ろしくて
どんな現実を突き付けられるのか
その真実を、私は一体受け止めきれるのか
スッキリする所かあの時の様にまた錯乱する自分に戻るのではないか
どうしてもどうしても
出来なかった
>> 231
「それはさ~、完璧オンナだろ」
休憩中の尚さんのストレートな言葉に
女性たちは私の心中を察してか、少し俯向き加減で眉間に皺を寄せ黙り
男性たちは遠慮がちにも小さくうんうんと頷く
この頃になると私は自分から自分の地雷であった部分を少しずつみんなに打ち明けられる様になっていった
正確に言うと
そうやって私の心を開かせていってくれたのはみんなのお陰だった
「友達にも言われた…」
友達とは美也子たちの事である
「でも、毎日電話くれたんですよ?」
安心材料であったそれに
愛されていたと思わせてくれたそれに
私は縋り付いていた
「だから毎日出来てた事が急に出来なくなるから別れるって事だろ
忙しさや、仕事に集中したくて恋愛どころじゃなくなったってんなら、自然とその回数は減ってくだろ
それが急に全く出来なくなる状態ってのは、他に好きなオンナが出来てうまくいったか、いきそうだったからじゃねーの
そもそも美容師って出会いも多そうだし、仕事上だとしても客やスタッフと密接になりそうじゃん
直接触る訳だし、それが仕事なり練習台とか?なり」
「でも、出会いや密着感だったら学校でも沢山ありそうじゃん、その時は私凄く不安だったけど大丈夫だったんだよ!」
そうやって私は築いてきたと思っていた信頼関係を主張する
納得出来ない部分を主張する
言ってくれなかった
知りたかった
何度も電話した
だけど少し経てば逆にとてつもなく怖くなり東京へ足を運ぶ事さえ考えられなくなってしまった
歩に問い質す事が出来なくなってしまった真実
それでも取り憑かれたかのように消えてはくれない
押し寄せる何故?
尚さんにその疑問をぶつける
「その時とはそもそも状況が違うだろ
一緒に暮らしてたんだろ?
事実上距離が出来たわけじゃん
ズルイ男だったら相手が遊びなら、本命やキープしておきたい女にはちょっとでも時間作って電話くらいして安心させる事もできる
それくらいお前より本気になる女ができた
そもそもそんなに好きだったならなんで離れたんだよ
その期間限定の同棲解消みたいなのはいったいなんだったわけ?」
>> 233
尚さんはオシャレでカッコ良くて音楽もやっていたからお客さんにファンもいて
だけどいつも片想いだった…というか
面白いのが、スパンがとても短く切り替えが早く
告らずしてその対象者が次々に変わってゆくのだ
その都度傷心の身でもある私にさえ気を遣わず
どこで出会ったとか今度ご飯行くとか話してくれる
目を輝かせて意気揚々とするその姿は
純粋に恋を楽しんでる
正にそんな言葉がピッタリな感じ
正直告白したらOK出してた子の方が多いだろうし、期待して告白待ちしてる子が殆どだと思う
「尚ちゃんってなんでそんなにすぐ違う子好きになれちゃうの?」
私とは余りにも対照的過ぎて皮肉ではなく素朴な疑問だった
いや、確かに素朴な疑問でもあったが自分の状況と女の子たちの心境を勝手に重ね少しは皮肉も入ってたかも
「わっかんねー、でもその時は本気でどの子も好きだって思ってる訳、メールとか電話してご飯行ったりして徐々に距離縮めてっていつ告ろうとかちゃんと考える訳。でもその間に違う子とたまたま出会っちゃって、恋に落ちちゃうんだよなー」
あっけらかんと悪気無く本当に素直な人で笑ってしまう
その割に紳士なので付き合うまで手を出さない
が彼のポリシーらしくある意味では最終的に誠実でもある
「逆に戸田はなんでそんな一人に執着できる訳??しかも別れた相手に対してって、それって楽しいの??」
悪気がないのはわかるがさすがにグサッとくる
「楽しい訳ないじゃん!嫌いになって寧ろ楽になりたい位だよ
……………でもそれが出来ないんだから理屈じゃないんだよ」
「理屈?シンプルに楽しいか楽しくないかで考えられないって事?」
なんだか私の頭がカタブツで融通のきかない馬鹿みたいに思えてくる
議論にならず結局また笑うしかなくなる
>> 234
夜になると苦しくなるが
尚さんと職場で話せばそれがどんな意味でも結局楽になれたので助かった
遅番と交代時、遅番リーダーの坂本さん
「今日、あそこやったヤツ誰?」
恒例のダメ出しだ
しかも今回私だ
これで二度目だ
「私です」
「戸田かよ、ったく何やってんだよ!普通考えれば分かるだろ!」
ミスと説明を受ける
以前の通しでの頑張りは評価してくれたが、当たり前だけどだからと言ってそれはそれ、これはこれといった感じで
前回怒られた時同様、容赦なく語気が強い
楽しそうに笑顔で尚さんが寄ってくる
「ケン~、戸田オトコと別れたばっかりで落ちてんだからあんまイジメてやるなよ」
「え?!お前、カレシと別れたの?!」
私の事情は早番止まりだったので、遅番である坂本さんも勿論知らなかった
「はい…まぁ…」
険しい表情が驚きから今度はニタニタとうすら笑みに変わる
「落ちてるってフラれたのか?!」
私の気持ちなど汲むどころか不躾に好奇心のまま言葉を選ばない
「はい、そうです…」
「ダッセーツツ!!」
超笑顔
他人の不幸をこんなに面白がる坂本さんに対し
前回の感動も無かった事になったくらい
私やっぱりこの人本当に苦手だわと再確認した
前回同様、助け舟のつもりで話をすり替え回避させようとしてくれたのであろう尚さんも
助け舟所か坂本さんと一緒に笑ってるし
尚さんに対してもこの時ばかりはチッと舌打ちしたい気分だった
>> 235
ある日
「おい、戸田」
尚さんに声を掛けられる
「遅番で俺ら付き合ってる噂になってたみたいだわ」
何の事かサッパリわからないが噂なんてそんなものだろう
私と尚さんは確かに仲良かったけどそれは職場だけの中の話であって、尚さんのライブに皆で行ったりする程度で
プライベートで会ったり遊んだりする事は無かった
早番の皆とは近いし仲良いので、私と尚さんが付き合ってるのではないかなんて疑問を持つ人なんかいないが、交代時にしか関わらない遅番にはそれがわからないのだろう
「えー!本当に?ウケんね~」
「おいおい、気にする奴もいるかもしんないし、一応否定しておいたけど気をつけよーぜ」
尚さんの事好きな人が遅番にいるのかなと思った
職場内での恋愛禁止なんて無かったし、現に遅番には付き合ってるカップルが数組あったし
皆、店長含めて公認だ
早番の私たちすら知ってるのだから、仕事をちゃんとやってさえいれば今更公私混同と釘打つわけ無い
いつものノリやジョークが好きな尚さんらしくない言葉だったけど
尚さんにはマジメな部分も強くあるのは、私が歩にフラれた時にそのままバイトへ行った私を帰したり、店長に期限後も残す事や皆に迎え入れてやろうと掛け合ってくれたのもあって
身をもって知っている
それから、私だけではなく皆に対しても尚さんは平等で誰かが落ち込んでればいち早く察して
話を聞くなり、励ますなり、笑わすなり
そういった全体的ムードメーカーな役割をスマートにこなせる才能があり
見た目は派手だしチャラチャラした印象だが、意識的でも無意識でも根っこは回りに配慮ができる、思いやれる優しいマジメな人
「わかった!でも気を付けるって何を気を付けたらいーの?」
「ん~そーだな、取り敢えず遅番が出勤してくるちょい前になったら距離おこーぜ、後は今まで通り!」
それとも遅番に仕事中ふざけてると思われ注意されたのかな?
いや、元々は長く遅番やってた尚さんなのだから
そこは遅番もわかるはず
兎に角、尚さんに迷惑掛けたく無かったが
後は今まで通り
の言葉に安堵した
>> 236
それから私は尚さんに言われた通りに
自分が考えられる余裕を持ってラスト30分前位になると
尚さんに話掛けたり、出来るだけ側にいない様にした
尚さんだけでなく、早番皆の評価を自分のせいで下げたくないので
みんなと距離をとった
勿論その時間以外は普通通り
ある日
バイトが終わりいつも通り一服しに休憩室に行く
扉を開けると坂本さんがいた
私服だった
「おつかれ様です、どうしたんですか?」
誰からともなく自然に出るであろう疑問
坂本さんが遅刻とか珍しい
「おつかれ、あ、今日オレ休み、忘れ物取りに来ただけ」
休憩室にはいつも誰かの私物が無造作に置かれていた
マンガとか、プラモデルとか……………
席に座り、タバコに火を着ける
こんな時に限って尚さんは休み
早番みんなにとっても、最も苦手な存在に
一同、緊張感からいつもの様に談笑出来ない
気まずい空気……………
「てか戸田、お前チャリだろ?」
「はい…」
「送ってくわ、この天気じゃチャリとか無理だろ」
外は大雨暴風の日だった
>> 237
確かに自転車で帰れそうな状態ではなかった
坂本さんの言葉に早番のスタッフが数名送ってくれると名乗り出てくれた
苦手意識を持つ道中の気まずさに配慮してくれたのであろう
結局、方角が一緒であり自転車をつめる一番大きな車である坂本さんに送って貰う事になった
後ろのシートを全部倒して自転車を横にし乗せる
たったこの作業でかなり坂本さんは濡れてしまった
横殴りの激しい雨
悪い事してしまったなという気持ちと、本当にこの雨なら自転車どころか徒歩でも大変だと痛感し、有難い気持ちになった
二人車に乗り、各々濡れた顔や頭を適当に拭く
一息付いて冷静になってみると坂本さんの車がかなり綺麗な事に気付く
「もしかして新車ですか?!」
「去年買ったけど」
私は雨に汚れた自転車をとっさに振り返る
気付いた時にはもう遅く
「すみません‼車まで汚してしまって‼」
「いや、いーよ。家○○だったよな?」
「はい…本当にすみません…」
車が動き出す
申し訳無い気持ちでいっぱいになった
今まで嫌な人だと思ってた事にも後ろめたさを感じ俯向く
「プッ…なんつー顔してんの?」
坂本さんが私の顔を見て吹き出した
きっと苦々しい気持ちが顔に出ていたんだと思う
「あー、腹減った~、メシ付き合って貰っていい?」
「あ!なら私に出させて下さい‼お礼させて下さい‼」
「いーよ、別に。つか何か食いたいもんある?」
「それより自転車一回置いてきていーですか?もう遅いけどご飯食べるならその間に車どんどん汚れちゃう!」
「は?もぅ別にいーし」
「嫌、ダメです!それとも一刻を争う位に腹空いてます?!」
坂本さんが再び笑いだす
「チャリと車にどんだけ必死だよ
わかった、わかった、それじゃ食ってても急かされそうだし先お前んち寄らせて貰うわ」
自宅の目の前まで送って貰い、自転車を出して貰う
げっ……………
今度は再び坂本さんを濡らしてしまった
本末転倒とは正にこの事
>> 238
バイト先を出た時より更に酷い雨になっている
私は急いで自転車を置き
バスタオル二枚と傘を持って
慌てて坂本さんの車に戻る
「大丈夫ですか?!
本当にすみません!これ使って下さい!」
一枚を坂本さんに無理矢理押し付けると後部座席の扉を勝手に開けようとする
開かない
「すみません!後ろのロック解除してもらえます?!」
「ちょちょ、何やろーとしてんの?!」
「後ろ濡れちゃったのでタオル引きます!」
「マジいーって早く乗れよ!」
「でも!!」
「いーから早く乗れって!!」
数回の押し問答の末、かなりテンパっていたが、坂本さんの言葉にようやく従い車に乗る
「テンパり過ぎだろ、落ち着けよ」
「すみません、あ、坂本さんも早く拭いて下さい!」
「はいはい。わざわざありがとね」
苦笑しながら坂本さんは大袈裟に拭いて見せると私を安心させた
安心からようやく少し落ち着きを取り戻した私に
「…あのさ、自分も拭いた方がいいと思うけど? 」
「あ、私は大丈夫です!これはあとで後ろ拭く時に使うので」
「…むしろ着替えてきた方がいいレベルだと思いますが…俺的にもそうしてきて貰えると有難いんですけど…」
あの坂本さんが言葉を選んでいる事に気付き自分を見る
!!!
押し問答してる間に坂本さんより雨に濡れ過ぎてしまっている自分
Tシャツから下着が透けている
「しばし、お待ちを!!」
慌てて再び車から降りる
何しても空回り
最早、恥ずかしいとかの次元を超え、もうヤダと猛ダッシュ
>> 239
「ちょっと、あんたさっきから行ったり来たりバタバタと何してるの?」
母親だった
「お母さん!ごめん、今から職場の人とご飯食べてくるから今日のご飯いらない」
私は手早く着替え、乱雑に頭を拭くと
メンズブランドのTシャツを持ち家を出た
――――――――――――
ちょっと脱線します
父親と母親は一度別れていまして、この時既に父親は居なかったと思います
今後出てくるか未定ですが後二人は寄りを戻します
離婚した理由は父親の借金や相変わらず職を転々とする、改善が見られない事が原因でした
再婚理由は兄が複雑に絡んでいますがここは今の所伏せさせて頂きます
○○週間とか○○ヶ月とか○○日は曖昧で適当に書いてますので時系列の狂い時代背景の狂いがとてもあると思います
ぶった切る様な書き方や、逆に無駄に回り道したり
順を追って思い出すがままに、また思い出せない部分は適当に繋ぎ合わせて書き出している為、色々な多くの表現の仕方、意味でも雑な部分が目立ち読みにくい事と思います
本文戻ります
――――――――――――
「お腹空いてる所、本当に何度もすみません、良かったらコレ着て下さい」
Tシャツを差し出す
「コレお前の…?」
「そーですよ、メンズ物だし坂本さん細いから全然着れると思いますよ」
坂本さんはTシャツを着てくれた
サイズは余裕だった
「坂本さん、ヤッパリ細いですね~」
「俺は気を付けてんの!」
そう言いながら漸く今度こそ坂本さんは車を発進させる事が出来た
「戸田って飲めんの?」
「飲めますよ、強くはないですけど好きですね」
国道沿いの新しくできた居酒屋に行った
>> 240
「今日は有難うございました」
乾杯をして改めてお礼を言った
なんだか不思議だな……………
バイト先で一番苦手だった人と二人で飲みに来るなんて
様々なアクシデントがあってそれどころじゃなかったけど、改めて向かい合わせに座ると急に緊張してきた
「戸田って、意外と喋るんだな」
「人見知りは激しいですよ、慣れたら喋りますけど…」
「俺って怖い?」
ストレートな答え辛い質問がいつもの坂本さんらしくて困った
「正直……さっきまではちょっと苦手でした」
ちょっとを付けるのが精一杯だった
「やっぱりな~
結構嫌われてんだろーなとは思ってたけど
想像以上に嫌われてるって実感した、さっきお前送ってくって店で言った時
戸田は硬直するわ
みんな、守るように自分が自分が…って言い出しただろ
あれ見てそんなに?って結構ショックだったわ~ 」
思い出してちょっと笑ってしまった
「どこら辺が怖いの? 」
またまた答えづらい
「……………雰囲気ですかね…」
「具体的には?」
流石にそーゆートコですよなんて言えない
タバコに火を着け考える…慎重に…言葉を選ぶ…
「……………」
「え?そんなに難しい事聞いてる?」
「そーゆーとこですよ!!」
……………言ってしまった
>> 241
「は?ますます意味わかんね」
大丈夫、響いてない
イラッとした
お酒を勢い良く飲み欲し
「だから、そーやってこっちに隙を作ってくれないじゃないですか!
何でもストレート過ぎるんですよ、ハッキリしすぎなんですよ!白黒付けたがる、言いにくい事言うし言わせようとするし、もぅちょっと言葉選んだり、気持ち汲んだり、オブラートに包んだり…
だいたい人の気持ち考えた事あります?
言い方も怒鳴るのとはまた違う高圧的ってゆー かバカにしてるってゆーか上から目線だし
そーゆーのがもう目とか雰囲気に全部出てて近寄り難いし萎縮しちゃうし怖いんですよ!
賢い、仕事出来る、俺は間違ってないオーラが!!」
言い切って呼び出しボタンを押す
「それのどこがいけないわけ?
むしろ長所だろ
ストレートでハッキリしてる方がわかりやすいだろ
仕事にグレーゾーンなんてあんのかよ
言葉選んだりオブラートに包む必要もなくね、時間の無駄にならなくてお互い合理的だろ
大体隙ってなんだよ
言い訳する時間くれって事?」
「お待たせしました。ご注文で宜しいでしょうか?」
「すみません、同じの下さい…」
「こっちも!」
「かしこまりました。少々お待ち下さいませ」
「上からってのも当たり前だろ、上からなんだから、バカにしてるっつーのはそっちの被害妄想だろ
寧ろバカにされてるって思うって事はそっちに非があるって認めてる証拠だろ言い返せないんだからさ」
坂本さんは口が達つが、間違ってない、だけどそーゆー事でもありそーゆー事だけでもない
追い詰められる
「…確かに間違ってませんし長所かもしれませんが、私は怖いと思う理由を聞かれたので正直に答えた迄です!」
「大変お待たせ致しました~」
>> 242
「ごゆっくりどうぞ~」
私は試合を放棄し、投げやりにお酒に口をつけた
「それ、正論!」
「何がですか…?」
「そうだ、そうだ。
あ――っ!俺とした事が……!!」
悔しそうな表情で坂本さんもお酒に口を付ける
「…主旨ズレしてたわ。
そうそう、俺が聞いたのにその答えに主張してどーする…
論点のすり替えだろ!
俺のミスだ……………悪い…
つまりさ、俺が効率的に良かれと思ってしてた事が全部裏目に出て戸田に怖いと思わせてたって事だろ?」
えぇ――っ?!
こっちは無理矢理さじ投げる為の捨て台詞でしたけども
「いや、そう言われるとそーゆー意味ではなく…」
「いやいやそーだよ、とにかくスマン!
でもさっき言った通りの意味があって、そこは今後も直せないし直すつもりもないから慣れてってくれると有難い!」
もぅ本っ当に勝てない
私のは感情論だと終始論破されまくった訳だ
「もーいーですよ!わかりました!
こちらこそ何か、すみませんでした!」
こんどこそ気持ち良く負けた
>> 243
「やっぱ、おまえ結構喋れるんだな」
「だから、慣れればですって!」
「じゃあ、俺にはもう結構慣れてくれたんだ」
「まぁ、だいぶ慣れたかもしれないですね…お陰様で…って、どんなヤツだと思ってたんですか?」
「陰気でウジウジした感じ(笑)」
「…まぁ、それも当たってますよ」
「こないだ…悪かったな……………」
「こないだのどれですか?」
「そんなにねーだろ!」
「結構ありますよ……(笑)
ウソです、何がですか?」
「元カレの…」
自覚してたのか
「いーですよ、確かにダサイですもん」
「いや…マジごめん……………」
「……………はい」
「お前って尚の事どー思ってんの?」
あー、尚ちゃんの言ってた遅番の噂ってやつか
「好きですよ、先輩として、尊敬してますから…てか早番はみんな男女関係なく、尚ちゃんの事好きですから。そーゆー意味の好きです」
「アイツ、遅番でもそんな感じだったもんな」
「坂本さんも尚ちゃんと仲いいじゃないですか、確か中学の同級なんですよね、聞きました」
「そうそう、アイツ昔からあんな感じ、自由でかっこよくて、優しいんだよな」
「ぷっ… 坂本さんにも優しいとかわかるんですね」
「は?俺どんなヤツだよ!ひでーな」
「先輩としてのあり方が真逆ですもん(笑)
でも、だから坂本さんと合うんじゃないですか」
「まぁね、アイツ早番移るって聞いた時、俺含めてみんなショックだったわ…キャラもだし、仕事も出来るから勿体ねーって」
「ほら、やっぱり早番バカにしてるじゃないですか!」
「……………あ、」
「もーいーですけどね(笑)」
>> 244
その日お互い打ち解け色々話せた
坂本さんの印象が今まであまり良くなかった分、その振り幅は大きく
新鮮だった
正直楽しかった
今までストレート過ぎてデリカシーに欠けると思っていた部分は悪気無くただただ正直なのだと
理屈っぽいと思ってた部分はなんでも頭で考える事ができ、頭脳派というか知的なのだと
でもその分、誤解もされがちで、ある意味不器用なんだと
私の中の受け止め方が変わった
お礼をしたかったが、誘ったのはこちらだと結局奢ってもらってしまった
車に戻るが坂本さん はなかなか車を出そうとしない
あのさっきまでの豪雨は嘘みたいにすっかりあがっていた
「…あのさ、俺戸田の事すきなんだわ…」
さっきまで皮肉を交え楽しく飲んでいた為、あまりの展開に
酔っていた私は
「またまた~、まさかこの短時間で好きになれちゃうんですか?」
と笑いながら返した
そんなノリ的返しをしたがあまりにも唐突で予期せぬ言葉に内心ドキドキしていた
「…違うって。
……………今日、忘れ物取りに来たって言ったけどあれ嘘。
さっきの雨で…自然に誘う形にするなら今日しかないって思った…
だけど、他にも送るって名乗り出てきて、失敗したら今後お前に更に警戒されて二度と誘えなくなるって焦った
だから、方角が一緒とか自転車乗せれるとか最もらしい事言って、無理矢理みんなを黙らせたけど…」
気付くと私は
また歩の事を考えていた
歩の事を考えながら坂本さんの言葉に耳を傾ける
歩が好きだと思い知らせれる瞬間はいつだって
私の中に更に歩が刻まれるようで痛い
付き合える訳がない
「あの……………私」
「待て、
あのさ……………もし元カレ引きずってるとかならもうよくねー?
いい加減さ…自由になれよ」
自由?
>> 245
「考えさせて下さいってゆーのやめて
今考えても後で考えてもどーせ答えなんて一緒だろ
でも急だし10秒やるからそれで答え出して」
そう言うと坂本さんは当然カウントを始めた
パニクる
動揺する
緊張感から物凄く動悸がした
「……………9…」
「お願いします‼」
自由ってよくわからない
でも心がいつまでも歩に捕らわれている感覺の自分に疲れ
自由という言葉に憧れた
「…え?!マジ……………?!絶対ダメだと思ってた…」
強気だと思われてた坂本さんの声色が拍子抜けした物と変わった
「はい…私で良ければ……………」
お互いしばらく放心状態
「戸田の事、大切にするから…
元カレの事、引きずってるなら…忘れさせる様に……………俺も頑張るから…」
本当に坂本さんの私への気持ちが
このとき要訳伝わってきて
歩の事は忘れよう
この人を大切にしていこう
好きになろう
私はそう決めた
お互い、携帯番号とメアドを交換して
私は自宅まで送って貰った
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
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