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散文】思春期

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自由なパンダさん
21/08/07 10:22(更新日時)

　太っちゃって、
　わたし止まります、何倍しても、何倍しても０であるところの力によってどんどん静止するわたしに慣性がはたらいてものすごい速度で、止まっているわたしはいつの間に意味に抜かされたりしたのかな。だれかれとなく、果てしなく前方から、わたしの意味を盛り立てる声たちがいつだって、わたしの知らないところでわたしに共感している。どこに行ったのさ、ランナーズハイに陥ったわたしの意味はこうやって、無限大にも等しい力で止まっているわたしを引き離して、生のほうへも死のほうへも、瞬間に倒れこめるほど疲れてる、もうだめ、太っちゃってこんなランナーズウェアは似合わない、わたし止まります、わたし止まらせて、沿道からの声を振り切って
　「おれがわかってもいいのか。お前の人生や思想について残らず了解してしまってそれでいいのか。お前の何十年を五分ほどで超えてしまうがいいのか。いいのか！！！！　お前は走れ、お前の意味よりも速く！」
　「意味よりも速く！」
　「意味よりも速く！」
　「意味よりも速く！」
　どうしてただ止まっていられないのか、わたし言葉になりたい、意味と添い寝しながら辞典に挟まって眠りたいの、帰ってきてよ、このままじゃわたし
　いつまでも
　意味が無いまま。