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あの日あの時

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会社員( ♀ yGMTnb )
16/09/28 08:04(更新日時)

とあるパチンコ店


後ろを通った男に見覚えがあった、、

確か10年ぐらい前にお金を借りた男だ

一緒にいるのはあの女かまだ付き合ってたんだあの二人

腐れ縁っていうやつか




私の何でもない日常を書いていきます

No.2375091 16/09/08 08:11(スレ作成日時)

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No.51 16/09/17 01:05
会社員 ( ♀ yGMTnb )

「ごめんなさい、また別の日にして欲しいんだけど」




「わかったよ」



「久本さん、日曜日なのに家に居なくてもいいの?子供さんまだ小さいんでしょう?」



「大丈夫だよ!嫁さんがいるから、、子供を上手いこと手なずけているみたいだし




家に帰っても嫁さんは子供達と一緒にいてテレビ見てるだけだから」



「そうなんだ~」




「下の子が小さい時にいつも嫁さんが添い寝してそのまま寝ちゃうんだよ!


たまには寝室に戻って来いと言うけど戻って来ないからよく喧嘩になってそのままなんだ」



「奥さんは子供さんが3人もいるから子育てで疲れちゃうんじゃないの?」




「また、子供が出来たらと思うとそんな気になれないとかいってさ」



「、、、」



「ごめん、こんな事言うつもりはなかったけど」


No.52 16/09/17 07:17
会社員 ( ♀ yGMTnb )

話しをしているうちに家に着いた



息子は家に居なかった





それから数日経ったある日



常務が「桐原さん今日仕事終わったらみんなでご飯食べに行くけど行かない?」と聞いてきた



「行きたいです」と言うと※※苑に7時に集合だよ!と笑いながら言った



焼肉※※苑には同僚が7~8人が集まっていた



2時間もすると帰る事になり常務は帰りに新しく出来たばかりの『A パン』に行こうと言うと事になり『A パン』に行った



『A パン』は大きなフロアのパチンコ店で女性トイレもおしゃれで綺麗だった



「これで打っておいで」常務は私達女の子達に気前よく3千円づつ渡していた




私はパチンコをやるのは初めてだった 


これをきっかけに寂しさを埋めるようにその後パチンコにはまることになる




No.53 16/09/17 07:48
会社員 ( ♀ yGMTnb )

ある日曜日、久本さんと海の近くの河へ釣りに出かけた



釣りをするのは初めてで当たり、のタイミングとかよく解らなかった



ミミズを針の先に付けるのがぬるぬるして上手く出来なかった



釣れても2~3匹ぐらいでボウズの時もあった



それでも楽しかった



帰りにホテルに行ったり、車の中で抱かれたりした




「今度アニキがやってる店で会社のみんなでご飯食べに行くけど桐原さんも来る?」と聞いてきた




「ふーん、どこでやるの?」




「A 駅前の『ふるさと』と言う店だよ」



No.54 16/09/17 08:43
会社員 ( ♀ yGMTnb )

『ふるさと』には同僚の石川さんと行った



店には久本さんと親しい設備関係の同僚が4、5人来ていた



久本さんが隣にきた




この酒飲みやすいよと『姫※』と言う地酒をグラスに注いでくれた




飲んで見るとスパーリングが効いて爽やかな飲み心地だった




「おいしい♪」と言うと




久本さんも「だろ!」と言って嬉しそうな顔をしていた




「じゃあ!」と言って他の同僚の所へ行ってしまった




しばらくすると、突然店内が停電した




何事が起きたのか判らず客たちがざわざわしだした




すると突然私の手に紙切れみたいなものが握らされた




店内がパッと明るくなった




久本さんはみんなに平謝りでテーブルを回っていた




私は握らされたものを見るとそれは紙切れではなくて名刺だった




No.55 16/09/17 15:40
会社員 ( ♀ yGMTnb )

その名刺を見ると隣に座っているK さんからだった




裏を見ると「気が向いたら電話して下さい!よろしくです」と書かれていた




思わずK さんを見るとみんなで話しが盛り上がっていた




Kさんとは仕事で話したことがあるぐらいであまり親しく話したことはなかった




あまりのタイミングの良さに電気を消したのはK さんでしょう?と言いたくなるほどだった




その後、久本さんとは週一でデートを重ねていた




同僚の家の近くを通る時は「近所にH が住んでるからこれをかけて!」と言われてサングラスをかけた




「意外とサングラス似合うね!」




(そんな事言われても嬉しくないんですけど)





運動公園の駐車場に車を止めて夜遅くまで話し込んだりしたりした



No.56 16/09/17 21:52
会社員 ( ♀ yGMTnb )

「唯さん今日うちに来ない?」
いつのまに私の事は唯さんと呼ぶようになった




「でも、奥さんとかいるんじゃない?」




「嫁は子供が夏休みで今日と明日実家に泊まってくるから」




「そうなんだ、、」




30分位走ると久本さんの家に着いた





二階建てのシンプルな家だった、隣の家との距離が近すぎる感じがした




「唯さん、こっちから入って来て」




玄関の横から家に入った




10畳ぐらいのリビングにテレビが置いてある




「ちょっと待っててコーヒー入れるから」と言いながらテレビを付けると





「もののけ姫」のビデオを付けた




落ち着かないのでそれから2時間ぐらいで家を出た






No.57 16/09/18 00:03
会社員 ( ♀ yGMTnb )

昨日嫁が「『最近、日曜日は何処にいってるの?』と聞いてきたんだ」



「ふーん、久本さんは何て言ったの」




「うん、滝と設備の事で打ち合わせをしている。といったら黙ってたよ」




滝川さんは同じ会社で設備の仕事をしている人だ



(4ヶ月も日曜日に家に居なかったら普通の奥さんなら疑うかも知れないわ)



久本さんは奥さんと上手く行ってないから私に癒しを求めたのかもしれない




私は外川と別れて寂しくて久本さんと一緒にいたかっただけなのかもしれない



しばらく会わない方がいいのかも知れない



久本さんと一緒にいて楽しかったけど愛しているかと言われると、、そうでもない気がした




外川の時は付き合っていくうちに自然に愛している事に気がついた




人を愛すると言う事は理屈じゃないわ




充分過ぎるほどわかっていた


No.58 16/09/18 00:28
会社員 ( ♀ yGMTnb )

「しばらく会わない方がいいのかも知れないわね」




「え?何?そう言うつもりで言ったんじゃないから、唯さん!」




「でも、奥さんに疑われたらまずいんでしょ!」




「唯さん、何、勝手な事いってんだよ!」




久本さんの目が怖かった





「だってそうじゃない!」





久本さんが私の手を掴んだ





「止めてよ!」





まるでドラマのワンシーンみたいだわ何故か可笑しかった





「今日はもう帰りたいから、、」





久本さんは黙って車を走らせた



No.59 16/09/18 08:27
会社員 ( ♀ yGMTnb )

私の団地の前に着いた



車を降りる時久本さんは「また電話するから」と言った



私は無言のまま車を降りた



しばらく久本さんが私の家の窓を見ていたがそのまま走り去っていった





会社ではいつも通りだった




仕事の帰りに『A パン』の前を通った




常務や会社の人達と行ったのを思い出した



その時は女の子がスロットで大当たりして常務がコーヒーをみんなに奢ってくれたのだった




やってみようかな~気晴らしになるかな?




時間が6時過ぎのせいか客はまばらだった




確か演歌歌手の田川何とかの台をやったと思う短冊みたいなのがヒラヒラ降りてきて大当たりになった





それからは大当たりが止まらなくて8連位したと思う




3万円7、8千円ぐらい儲かってしまった




儲かった~♪嬉しい~♪










No.60 16/09/18 09:46
会社員 ( ♀ yGMTnb )

次の日会社で常務にパチンコで儲かった話しをすると


「それは凄いな~、俺も行ってるけど全然ダメだわ~」と言っていた





土曜日の昼過ぎると何故かパチンコに行きたくなった




『A パン』に行ってしまった




この時は『海物語』と言うマリンちゃんが出てくる台が人気があった




空いてる台をぐるぐるさがしたけどどこも空いてなかった




あきらめきれずに台を探していると見たことがある顔があった




同じ会社の名刺をくれたK さんつまり加藤さんだった




「桐原さんもパチンコをやるのか?」




加藤さんは驚いたようだった





「はい、最近ですけど、、」




パチンコ屋で会社の人に会うなんてなんだか恥ずかしかった




加藤さんは回りを見回して「もし台が空いたら取っておいてあげるよ!」



No.61 16/09/18 10:22
会社員 ( ♀ yGMTnb )

他の台を見て回って『海物語』に戻ると加藤さんの一つ隣の台に男物のハンカチが置いてあった



加藤さんはそこそこと言うようにこちらを見た



私は自分のハンカチを置き加藤さんにハンカチを返しに行った



加藤さんは5連チャンしていた



しばらくやっていると加藤さんがコーヒーの缶をニュッと差し出した



「ありがとうございます、、」




しばらく打っていると単発の当たりがきた



続くかと思ったが終わってしまったそしてその箱一杯の分も入ってしまった



(あ~あ、、)



加藤さんを見るとまだ、大当たりが続いているようだった



気がつくと時計は4時を過ぎていた





(買い物に行かなきゃ!)





加藤さんに「帰ります。頑張って下さい!」と言うと




わかった、と言うように笑って手を上げた


No.62 16/09/18 10:41
会社員 ( ♀ yGMTnb )

それから数日後、加藤さんに電話をした




あの時に渡された名刺、何故か財布の中にいれたままだった





「桐原です。この前はコーヒーごちそうさまでしたあれからどうだったんですか?儲かったんですか?」





「ああ、桐原さんどうもだけど、あれから2杯入ったけど結局5万円儲かったよ!」





「それは凄いですね!良かったですね!





「今度は缶コーヒーじゃなくて本物のコーヒー奢ってあげるよ」と言って





あっはっは!と笑った





「じゃあ、今度の日曜日にモーニングでも行くかい?」





「はーい!じゃあお願いします」








No.63 16/09/18 12:17
会社員 ( ♀ yGMTnb )

日曜日の朝、加藤さんが車で迎えにきた



しばらく走ると『ハーフタイム』と言う洒落た名前の喫茶店に車を止めた





この店はモーニングの種類が豊富にあった





この地方はモーニングにパンとか玉子が付く事で有名なのだが朝食にご飯があるのは珍しかった





「じゃあ、モーニング定食にしようか?」





「はい、同じものでお願いします」





「桐原さんが電話くれた時、やっとかかってきた!と思ったよ待ってたよ!」





「ふーん、そうなの」





会社では取り立てて話しをする事はなかった下手すると加藤さんが打ち合わせに出ていて顔を会わせない事もあったのだ




「名刺を渡された時は驚いたわ、あまりにタイミングが良かったから」




「いや、真っ暗になった時とっさに名刺を渡すなら今だ!と思ったよ」




実はトイレにたった時にトイレで名刺の裏に書き込みをしたということだった




「そうね、加藤さんとはあまり会社で話しをした事がなかったもんね」





美味しいコーヒーを飲みながらパンやサラダを食べては話しが弾んだ

No.64 16/09/18 13:46
会社員 ( ♀ yGMTnb )

「これからどうしようか?香蘭渓にでも行こうか?紅葉には少し早いけどね」




「今日は特に予定がないからどこでもいいです」




車で1時間も走ると山奥に入って行った



加藤さんは20歳で結婚した事、娘さんは結婚して妊娠中だと言うことを話してくれた



後、息子さんが介護師をしている事もわかった



私も離婚して息子と二人暮らしだと話した



加藤さんは私より5歳年上だとわかった



話しをしているうちに香蘭渓に着いた



駐車場はどこもいっぱいだった



所々に紅く紅葉に染まっていて綺麗だった



名物の五平餅を食べては手を繋いで歩いた



久し振りの遠出のドライブが楽しかった



帰りはファミレスでハンバーグ定食をごちそうになった



楽しい1日が過ぎて行った



No.65 16/09/18 14:22
会社員 ( ♀ yGMTnb )

それから2日が過ぎた日会社で久本さんの所にデータを貰いに行った時に怒ったように紙切れを渡された




「何?これ?」





そこには『あんたは加藤と付き合っているんだろう!加藤と付き合う為におれと別れたのか!いい加減にしろ!ふざけんな!』と書かれていた





『あんたと加藤の事みんなに話してやるからな!』





多分会社の人に話ししたのだろう、久本さんの性格からしたら話すだろうと思った




いつもにこにこ話す岡田さんの態度が変だなとは思ったけど





確かに加藤さんとはドライブに行ったけどまだ、付き合ってはいなかった




次の日も久本さんの所にデータを取りに行った、どうしても必要なデータだった




「私は加藤さんと付き合ってないわ」




「じゃあ何でやつの車があんたの住んでる家の前に止まってたんだ!ふざけんな!」




何を言ってもムダだ、黙るしかなかった




データを貰ってその場を離れた



No.66 16/09/18 14:52
会社員 ( ♀ yGMTnb )

日曜日のお昼前加藤さんから電話がかかってきた



「唯ちゃんお昼は食べたかい?」





「まだ食べてないわ」




「じゃあ、今から迎えに行くから待っとって!」




加藤さんはいつも突然だった




しばらく待っていると携帯が鳴った




「着いたよ!よろしくです!」




車に乗り込むと「今から美味しいキムチ焼きそばを食べさせてあげるからね」




「何?それ美味しそうね」




隣街の『あんぐる』と言う店に着いた




近くに大学があると言う事で若いグループが何組かで食べていた



店員さんがメニューを持ってきた




加藤さんはメニューを見ることなくキムチ焼きそばを2つ頼んだ




No.67 16/09/18 15:40
会社員 ( ♀ yGMTnb )

キムチ焼きそばが来た~!辛そうで美味しそうな焼きそばが!



「美味しい♪」




なんと手羽先が2本ものっている♪




2人してフ~、フ~、言いながら食べた




「ご飯は残さないとキムチ焼きそばが全部食べられないよ!おれでもご飯は全部食べないからね」




「そうだよね~、これだけボリュームあったら全部食べるのはムリだよね」




キムチの辛さがビミョーで美味しかった♪



黙っていようと思ったが加藤さんに久本さんと付き合っていた事、そして手紙を貰った事を話した




「そっかーしかしこれは酷いな、唯ちゃん俺の事は気にしなくてもいいから久本とはどれぐらい付き合ったの?」





「4ヶ月です、、」





手紙を見ながら加藤さんは言った





「お腹がいっぱいになったね。送って行くよ」





「ごちそうさまでした、、」






「今度は藤の花が綺麗な所があるからそこに行こう!」







No.68 16/09/18 16:45
会社員 ( ♀ yGMTnb )

あれから久本さんは何も言って来なくなった




ただ、久本さんと仲がいい人達の私に対する態度が一変していた




加藤さんも仕事の期日を守って貰えなくなって困っていると言う話しを聞いた事があった




久本さんとの事は今さらどうなるものではなかった耐えるしかなかった




加藤さんとは喫茶店のモーニングに行った後、車で1時間ぐらいかかる藤の花が綺麗で有名お寺にドライブに行った




その帰りに小綺麗なシティホテルで結ばれた




それからしばらく経って久本さんが会社を辞めると噂で聞いた










No.69 16/09/18 18:22
会社員 ( ♀ yGMTnb )

いつ辞めるとかは自分も噂をされている事を考えると回りに聞く事が出来なかった




ある日から久本さんの姿を会社で見ることがなかった






加藤さんとはハーフタイムでモーニングを食べた後パチンコに行ったりしていた




ある日、「今日家に来ないか?」と言われた




加藤さんが20歳で知り合いからお金を借りてまで建てたと言う自慢の家だった




確か奥さんは友達と旅行に出掛けていると言う事だった




夕方に加藤さんが団地に迎えにきた




車で30分ほど走ると加藤さんの家に着いた




1階に台所と風呂場があり、階段を上がって2階に奥さんの部屋と奥に加藤さんの部屋があった




奥さんの部屋の布団が畳んであるのがチラリと見えた




「今から夕飯の仕度をするから唯ちゃんはテレビを見ていてよ!」




「おふろのお水入れましょうか?」





「入れてくれたら助かるな!」





私はおふろの水を入れながら夕飯の仕度が終わるのを待つことにした



No.70 16/09/18 18:46
会社員 ( ♀ yGMTnb )

台所に行っては洗いものをしながら料理をする加藤さんを手伝ったりした




出来上がった料理をテーブルに並べながら




「わあ~♪美味しそう♪」




と言うと加藤さんも嬉しそうだった




カレイのフライにあんかけをのせたものとか手の込んだ料理を作ってくれた





食事が終わると加藤さんはギターを持ち出しては弾いてくれたりした




2人で洗いものが終わると「コーヒーでも飲むかい?」



とコーヒーを入れてくれた




その後は2人でお風呂に入って私の体を丁寧に洗ってくれた



そして2階にある加藤さんの部屋で激しく抱かれた


No.71 16/09/18 19:13
会社員 ( ♀ yGMTnb )

それから2年が過ぎたある日「昨日うちの奴にもう別れよう、と言ったら特に嫌だとか言わなかった」とポツリと言った



「ふーん、奥さんは加藤さんと別れたいのかな?」




「わからん、、熟年離婚と言うやつかな、、」



たまに家をあける加藤さんに愛情はなくなったのかも知れなかった





何日かしてハーフタイムでモーニングコーヒーを飲んでいる時




「うちのかみさんと別れる事が決まった」と言われた




「あの家を売ったお金をかみさんとおれとで折半する事になった」




「そうなの、、」




「新しく住む所を探さなきゃ!唯ちゃんも手伝ってくれるかい?」





「もちろん、、」





本当に別れるんだろうか、、いつか加藤さんの家の前で見かけた奥さんの顔が目に浮かんだ









No.72 16/09/19 00:31
会社員 ( ♀ yGMTnb )

何時ものように『ハーフタイム』でコーヒーを飲んだ後、車を走らせていると




「あの家が売れたよ!うちのやつに余計な事かもしれんけど800万円渡す時に




おまえももう歳だからマンションの一つも買っといたらいいぞ




と言ったら珍しくそうするわといっとったわ」





「ふーん、そうなんだ、でも売れて良かったね」





800万円か私だったらどうするかな、、やっぱりマンション買うだろうな中古マンション安いから





「おれは100万円借金を返したら後は貯金でもするよ、唯ちゃん今度住む所一緒に見に行ってくれないか」





「何処にあるの?見に行ったの?」





「だいたいの見当はついたからね。新築でいい感じだったから唯ちゃんも気にいるよ」








No.73 16/09/19 01:09
会社員 ( ♀ yGMTnb )

部屋を見に行こうと言われてから1週間後部屋を見に行くことになった





隣町のK 市にある4階建ての2階にその部屋はあった





ダイニングキッチンと部屋が3つもあり広く感じた




一人住まいには十分過ぎる広さだった
建物は綺麗でオシャレな感じだった




「凄いね!綺麗だし素敵な部屋だわ♪」




「気に入ったかい?ここに決めようか!」



「いいんじゃない♪」




「じゃあ明日にでも大家さんの所に行ってくるわ」




部屋が決まったのが嬉しいのか加藤さんもあちこち触ったりしていた




No.74 16/09/19 07:12
会社員 ( ♀ yGMTnb )

『来週の日曜日に引っ越しが決まったよ!夕方にでも遊びに来ないか?』と加藤さんからメールが届いた



『わかりました、引っ越し祝いを持って行きます』



今までは奥さんの目が気になってメールをして来なかったけどたまにメールが来るようになった



引っ越し祝いは何にしようかしら?



コーヒーが好きだからオシャレなコーヒーカップをプレゼントする事に決めた



贈答品の店を回って4000円のコーヒーカップのセットをペアで買った



『引っ越し終わったよ、6時過ぎにおいで』



『了解でーす』



私は車を運転して家から30分ぐらいの所にある加藤さんのマンションに行った



車を停める場所は前に確認しておいた場所に停めた



No.75 16/09/19 07:42
会社員 ( ♀ yGMTnb )

ピンポーン!



チャイムを鳴らすとガチャ!と音がして玄関が開いた




「唯ちゃんいらっしゃい!」



と加藤さんが両手を広げて迎えてくれた



玄関マットとかオシャレな感じ!



「はい、お引っ越し祝い♪」



「おーありがとう♪開けていいかな?」




「いいですよ~♪加藤さんコーヒーが好きだからいいかなと思って」




「おー♪これはいいな!高かったんじゃあないの?」



「さっそくコーヒー入れるから座ってて!」



テーブルを見渡すと新聞紙の横の灰皿に口紅がついた煙草の吸殻が目に入った



「ねぇ、奥さん来たの?」




「ああ、娘夫婦に引っ越しを手伝って貰ったからうちのやつに孫を見て貰ってただけだよ」



そっかー、離婚すると娘とか孫に会えなくなるのが嫌だから籍はそのままにしておくんだ



今さらながら勝手な人だわ、、と思った



No.76 16/09/19 09:13
会社員 ( ♀ yGMTnb )

部屋の隅には段ボールがいくつか重なっておいてあった




「お待たせ!美味しいコーヒーをどうぞ!」




「ありがとう♪いただきまーす」




「俊さんのコーヒーは特別に美味しいわ」



加藤さんの俊彦の名前をいつの間にか俊さんと呼ぶようになった



「そうだろう!俺の愛がいっぱい入っているからな~」



2人でまったりとコーヒーを飲んだ



そして隣のリビングのソファーにもたれてテレビを見ていた



「唯ちゃん、写真を撮ろう!」



そしてデジカメを持ち出すと私を写し出した


「2人で撮ろうよ♪」



すると俊さんはタイマーシャッターをおして写る瞬間に私にキスをした



アハハッ!



写真を見ると私の頬に目をつぶってキスをしている俊さんの顔が可笑しかった


2人で大笑いした



あっと言う間に12時近くになった



「そろそろ帰るね」



「また遊びにおいで、おやすみ!」



玄関でおやすみのキスをすると駐車場まで送ってくれた



バックミラーを見ると俊さんがいつまでも手をふっていた






No.77 16/09/19 09:37
会社員 ( ♀ yGMTnb )

その頃は俊さんもたまに家に来るようになり拓也とも話しをするようになった



拓也も働き始めたばかりで人間関係で悩んだりしていた



俊さんはそんな拓也の相談相手にもなってくれた



ある日、俊さんは拓也を誘って釣りに行く事になった



拓也に安い釣りの道具を買って揃えてくれた



3人で夜釣りに出掛けた



俊さんとは拓也は釣糸を垂らしては何やら話しをしていた



私は車の中で助手席を倒しては横になり音楽を聞いたりして過ごしていた




No.78 16/09/19 12:53
会社員 ( ♀ yGMTnb )

それから1年近く経ったある日、俊さんが「今度の日曜日にうちのやつと息子の所に行く事になった」と言った



息子さんは27歳で一人暮らしをしていると前から聞いていた



ただ、情緒不安定な所があり病院にかかって薬を飲んでいるけど最近はあまり良くないと言っていた



息子さんは彼女と別れてから思い詰めるようになりリストカットを繰り返していたらしい



仕事を辞めてしまい家に閉じ籠りがちになり俊さんの奥さんが心配して息子さんの所に通っているとの事だった



明日病院に息子さんを連れて行くので奥さんが俊さんに相談してきたとの事だった




確かに自分の息子が大変な時に私の事どころじゃないわね



奥さんが心配するのもわかるし、、俊さんの所に息子さんがしばらく居候する事になった




息子さんが落ち着くまでしばらく会うのは止めようと言う事になった




No.79 16/09/19 20:35
会社員 ( ♀ yGMTnb )

そうこうしているうちに俊さんが会社を辞める事になった





昔の会社の社長がうちの会社に戻って欲しいと言われて戻る事になった





会社の業績が悪くなり製品の注文が少なくなって来ていたせいか社員も2人辞めていた




バブルの時は社内旅行で飛行機に乗って長崎のハウステンボスに行ったり、中華街で中華料理を食べたりした事もあった




世の中が不景気になり会社にもしわ寄せが来ていた




俊さんは仕事と息子さんの事で忙しそうだった




私とはたまにメールのやり取りをするだけになってしまった




それは仕方のない事だった



No.80 16/09/20 08:16
会社員 ( ♀ yGMTnb )

俊さんと久し振りに『ハーフタイム』でモーニングを食べた



奥さんも働いているから日曜日になると息子に会いに俊さんのマンションに来ると言う事だ



休みの日はゆっくりしたいのに奥さんがやって来ては家の中でバタバタするから落ち着かない




誰の家だと思ってるんだ!とイライラいていた




「息子さんを奥さんのマンションに連れて行ったらいいんじゃないの?」と言うと



「前に息子のアパートに行ってた時にリストカットをしてわめいていたから、私にはとても面倒が見きれないけど心配だから」と言う事らしい




息子さんのアパートの家賃も払っているとの事だった





「大変なんだね、、」




会社の方はなんとか上手くやっているとの事だった



後に私も俊さんの会社で働く事になるとはこの時は想像もしなかった






No.81 16/09/20 12:41
会社員 ( ♀ yGMTnb )

それから4ヶ月経ったある日、私は社長の娘の美枝さんに呼ばれた




「桐原さん、言いにくいんだけど仕事が少なくなっているから会社を辞めて欲しい」と言われた




「もちろんこちらから辞めてもらうので退職金は出しますので、よろしくお願いします」と頭を下げた




私は「わかりました、仕事が減っているから仕方ないですよね」





と言うと申し訳なさそうな顔をしていた





最近は事務の仕事は石川さんが主にやっていて現場を手伝う事が多かった





有休を使って今月いっぱいで辞める事にした

No.82 16/09/20 18:03
会社員 ( ♀ yGMTnb )

数日してお昼休みに石川さんが「桐原さん会社辞める事になったのね」と言ってきた




「それでね、桐原さんの送別会をやろうと言う話があるのね、決まったらまた連絡するね」




「ありがとうございます。楽しみにしてます」




それから1週間後に会社を辞めた。残りは有給休暇を使って次の仕事を探す事にした




数日すると石川さんから「桐原さんの送別会の日にちが決まったから」と連絡があった




当日『さくら』と言う居酒屋にドキドキしながら行くと石川さんがもう来ていた




会社都合で辞めると言う事で社長と娘の美枝さんは来なかったけど久本さんの設備の人達も来ていてくれたのが嬉しかった




社員で来ていないのは2人だけだったこんな私の為に送別会をやって貰えるなんてありがたかった




会社であった嫌な事はみんな忘れてしまおうと思った




「桐原さんは今まで会社の為に一緒に働いてくれました。頑張ってこられた事の感謝の気持ちと新たな職場が早く見つかるように」




「乾杯!!」




「ありがとうございます!」





私は涙が出そうだった、なんて素晴らしい人達と仕事をしてきたんだろう




今はこの会社はなくなってしまったけどこの人達はみんなどうしているのだろうか





No.83 16/09/20 18:46
会社員 ( ♀ yGMTnb )

次の日、ハローワークに失業手当てを貰う手続きに行った後俊さんにメールをした




すると俊さんからお昼休みにメールがあった




「うちの会社で測定をやる人間を募集しているから面接を受けてみないか?」



と言う事だった詳しい事は会ったときに説明すると言う




前の会社からは十分な退職金が振り込まれていたから、しばらくは休もうと思っていたけど生活の事を考えるとそうも言ってられなかった




そうだ!頑張った自分へのご褒美にノートパソコンを買おう!




次の日からパソコンショップをあちこち見て回った




ある店でよさそうなノートパソコンをあれこれ見た結果16万円のノートパソコンを奮発して買った




すると2万円分のお食事券が特典で付いてきた♪



私はルンルン気分でノートパソコンを家に持ち帰った


No.84 16/09/20 19:58
会社員 ( ♀ yGMTnb )

週末の土曜日俊さんと『ハーフタイム』でコーヒーを飲んでいる時




「唯香は図面が見れるだろう?図面が見れるなら図面を見ながら品物を計ればいいから測定の仕事ができるよ」



確かに図面は書けるし見ることは出来るけど測定と言う仕事はやったことがないからよく解らなかった



社長に「45歳過ぎてるけど図面を書けるし見れる人がいるから」と話しをしたら話しを聞きたいと言われたとの事だった



「でも、何で測るの?測定の仕事は何をするのかよくわからないんだけど」




「マイクロメーターと言う物を使って物を測るんだよ、まあ唯香は俺の仕事を手伝って貰うと言うことで話しをしたるから」




「俊さんが仕事を教えてくれるんなら安心だわ、その時はよろしくお願いします!」



「じゃあ、面接の日が決まったらまた連絡するから」



やった事がない仕事は不安だったけどやるしかなかった


No.85 16/09/22 09:37
会社員 ( ♀ yGMTnb )

面接の日が来た




ドキドキしながら会社に行くと受け付けで「こちらでお待ち下さい」と応接室に通された





しばらく待っていると応接室に男の人が入ってきた「私は社長の上原です。桐原さんですね。話は加藤さんから聞いております」と履歴書を見ながら話しをされた




「ではこれを見て下さい」と図面とある製品を出された




「これはどういう形をしていますか?三角法で教えて下さい。この書かれているマークの意味はなんですか?」





簡単な図面の見方のテストだった、知っている限りの事を答えた




「はい、結構です。桐原さん来週から来て下さい」





「ありがとうございます」






やった、俊さんありがとう♪





その夜俊さんに電話をすると「よかったな」と喜んでくれた











No.86 16/09/22 11:16
会社員 ( ♀ yGMTnb )

初めて会社に出勤する日がきた




私が入ったA 精機は当事全面改築中で2箇所に分かれて仕事をしていた



その内の1ヶ所で働く事になった、社員の人に簡単に紹介された後俊さんに付いて仕事をする事になった




まずマイクロの持ち方から教えられる




これを測ってと言われ測ろうとすると




「持ち方が違う!」



容赦なかった



「じゃあこれを測って見て!寸法はいくつになる?」



「15.556です」



1000分台の数値を出すのは難しかった



「もう一度測って!」




「15.560です」




「何やってるんだ!さっきより0.004大きいぞ!3回測ったら3回とも同じ数値にならないとダメだ!現場が混乱するから!」





こんな特訓のお陰もあって何とか毎日データを取り記録出来るようになった

No.87 16/09/23 01:36
会社員 ( ♀ yGMTnb )

仕事に馴れた頃本社が完成して盛大に竣工式が行われた






社員は合わせて70~80人もおり思ったより人数が多かったのには驚いた





みんな正装していて普段は髪をひっつめにしている人達もお洒落におろしたりして見違えるようだった





社長の音頭で乾杯して会社の益々の発展を祝して無事に終わった






私の職場は品質管理になり俊さんは係長から課長になった






私は三次元測定器と言う機械を使って製品の品質管理をする事になった






新しく覚える事も多くなり仕事にかってない充実感を覚えた





俊さんの息子さんの体調は一進一退であまり外に出なくなり奥さんも落ち着かなくなって会社を休んでいると聞いていた





そんな頃ベテランのおばさんから俊さんが昔会社の人と付き合っていたと言う話しを聞かされた



No.88 16/09/23 07:18
会社員 ( ♀ yGMTnb )

その女の人は俊さんより9才年上で今はこの会社にはいないと言う事だった



にわかには信じがたかったが嘘を言っている顔ではなかった




次の日曜日に俊さんと『ハーフタイム』でモーニングしているときに俊さんに聞いてみた




「ねぇ、会社の人に聞いたんだけど俊さん前に会社の女の人と付き合っていたの?」





「あ、ああ杉山さんと言う人でね、会社の通勤に杉山さんの家の前をいつも通るので




杉山さんは車の免許を持っていないと言う事で仕事の送り迎えをしているうちに親しくなって付き合うようになったよ」





「その人の写真もあるよ」





「今も持っているの?」





そう言うとポケットの中から財布を出して写真を見せた





「捨てようと思ったけど入れっぱなしになってけど、、」





ぽっちやりした小柄な派手めな女の人が写っていた






「なんか奥さんが噂を聞いて会社に怒鳴り込んできたと聞いたけど」





私の知らない俊の顔だった




No.89 16/09/23 21:14
会社員 ( ♀ yGMTnb )

「それはうちのやつが勝手にやった事だから」



(ふーん、だから奥さんは別居したかったんだ)




「社長の娘が物凄く嫌な顔してね」





社長の娘は現場で生産課の課長をやっている、いわゆる同族会社と言うやつだ





まあ、奥さんが会社に怒鳴り混んで来たのにどの面下げて会社に戻って来たのか?と思っただろうな、、、





皮肉な事に一緒に働くと今まで知らなかった俊の嫌な部分を否応なしに知らされる事になった





私の知らない所で今度は私が俊の紹介で入ったと言う事で





私と俊の事が噂になっていると親切?な会社の人が教えてくれた















No.90 16/09/23 22:34
会社員 ( ♀ yGMTnb )

そんな時、外川から携帯にメールが来た




『元気にしてますか』




なんて返事をしようか




『元気です』




すると『久し振りにコーヒーでも飲もうか』




『はい』




短いメールに思いがこもっていた




そして外川と3年ぶりに再会した




顔を見た時に懐かしさが込み上げて来た



コーヒー好きな外川は夏でもホットコーヒーだった




「実は唯香と別れてから半年後にお袋が死んで離婚したんだ」




「そっか、、、」





「あのまま唯香と付き合っていたらと何度も思ったよ」





時はなんて残酷なんだろう



No.91 16/09/23 23:44
会社員 ( ♀ yGMTnb )

「あの時グループにYちゃんと言う看護師をしている人がいたの覚えてる?」




「確か旦那さんがトラックの運転手をやっていて外川を殴ったとか言ってた」





「そうそのYちゃんと付き合って一緒に住んでたんたけど、、」





「、、、」





そんな話聞きたくなかった





「Yちゃんは俺が飲みに行って帰りが遅くなるのが気に入らないみたいで





『どうしてもっと早く帰って来れないの』と毎日言われて、俺は酒が好きだからさ



もう毎日喧嘩になってさ、酒飲んで家に帰っても気が休まらなくなって




もうダメだからと別れ話になってもなかなか出て行ってくれなくてね、、、」





「、、、」





「Yちゃんのお姉さんに間に入って貰って実家に連れて帰って貰ったんだよ」





「大変だったんだね、、」






「唯香は今好きな人いるの?」





「うん、、、」





時間さえあれば俊と別れてまた外川とやり直せるのだろうか





自分でもわからなかった、、、















No.92 16/09/24 00:30
会社員 ( ♀ yGMTnb )

外川ほどではないけど今は俊に支えて貰っている




「そうだよな、、」





「私もいろいろあったの、、」





お互いに時間が必要だと思った





「拓也は元気か?」





「うん、今は働いてくれてるから助かってるよ」





「それは良かったな!」





それからは昔みたいにお互いの仕事の話しをしたりして気がつくと2時間近くが過ぎていた





「これから友達と用があるから、また連絡するから」






「今日はごちそうさまでした」





喫茶店を出てそれぞれの車に乗って別れた





No.93 16/09/24 08:45
会社員 ( ♀ yGMTnb )

その頃私は休みになるとパチンコをやりに出かけていた




俊とコーヒーを飲んだ後に2人で行く事もあったがたまに仕事帰りにも1人で行っていた



永島敏行似の人はAさんと行って奥さんを病気で亡くしていた



何回か顔を会わせるうちにお昼にご飯を食べに行く事になった




ある日オムライスのお店にお昼ご飯を食べに行った




いろいろ話しをすると会社の営業をやっていて歳は私より1つ上だと言うことだった




「オムライスを売りにしているわりに味は大した事ないな」



同じ事を思っていたのかと2人で思わず笑ってしまった



「ごちそうさまでした」




「ああ、またな!」




Aさんはそのままパチンコをやりに台に戻って行った



私は買い物をするために近くのスーパーに出かける事にした


No.94 16/09/24 09:18
会社員 ( ♀ yGMTnb )

会社で私と俊の事が噂になっている事を俊に話した





「そうかおばさん連中もしょうがないな、気にすることないぞ」





現場には瀬川さんと言う女の人が新しく入って来た




常務の紹介で飲み屋で知り合った人だと言うことだった




瀬川さんは私と年も近いので話すようになり





「今度現場の人と飲みに行くから桐原さんも来ない?」とさそわれた





「飲みに行きたいな、よろしくお願いします」




仕事が終わってから瀬川さんのマンションで待ち合わせる事になった




瀬川さんのマンションに行くと瀬川さんが待っていて地下の駐車場に車を止めて




10階の瀬川さんの部屋に行く事になりエレベーターに乗った









No.95 16/09/24 10:43
会社員 ( ♀ yGMTnb )

瀬川さんの部屋の前に着いた




「さあ、上がって」




廊下を抜けると奥に広い部屋が見えて来た、クーラーが付いていないのに部屋は涼しかった




「半年ほど前に泥棒に入られてね、、」





「え~、でもここは最上階でしょう?」




「上から入られてやられちゃったんだ、旦那に貰った指輪とか宝石とかみんな持ってかれちゃって、、」





「警察が来たの?」




「もちろん呼んだよ!盗まれたものいろいろ聞かれてあ~思い出しても腹が立ってくる!




そろそろ店に行く?歩いて直ぐの所にあるから」





瀬川さんと常務の行きつけの店だった





そこは「深雪」と言う名前の店だった




「唯ちゃん、なに飲む?」




「なに飲もうかしら」





「ここの芋焼酎飲んでみる?美味しいから」





「じゃあ芋焼酎飲もうかしら」






私がいまだに芋焼酎を飲むようになったのはここで美味しさを知ったからだった



No.96 16/09/24 11:03
会社員 ( ♀ yGMTnb )

その店で1時間近く飲んだ後、中華料理屋さんに歩いて行った




するとそこに現場で働いているテイホウさんと言う中国の人がいた




テイホウさんは測定をしている私の事を前から知っていたとの事だった




テイホウさんはなかなかのイケメンで日本語が上手かった





中国では犬や鳩を食べるとか面白い話しをして3人で盛り上がった





11時近くになり明日も仕事だからと言うことで帰る事になった





「また飲みに来ようね~」





これを機会に会社の中国の人を交えた6~7人で毎月飲み会をする事になるのだった


No.97 16/09/25 01:07
会社員 ( ♀ yGMTnb )

それから10日ぐらい過ぎたある日外川からコーヒーでも飲まないかと電話があった




外川とはどうなるのかしらと思いながらも断り切れずに会うことにした




今は特に付き合っている人はいないから私の事が気になるのかしらん、、などと勝手に思っていた




「Yちゃんと別れてからここが痒くて違和感があったから病院へ行ったら前立腺肥大だと言うことで手術をしたんだよ」




「それは知らなかったわ、大変だったでしょう」





「実はその時に優しくしてくれた看護師さんとお茶をしたりしているうちに付き合うようになったんだけど、、




その人はバツイチでね、高校生の娘がいたんだ




その娘が学校に行っている間にその人の家にいって愛し合おうとしたら




玄関が開いて娘が帰って来たんだ、、それですごい目で俺の事を睨んで出て行った事があったんだ」




「高校生の娘さんは感受性が難しいから大変だったんじゃない?」




「うん、ある時にその娘に呼び出されて『お母さんがあんな風になったのはあんたのせいだからね!』と言われてね




彼女に『俺たちが付き合っているだけで何で娘にあんな事を言われなきゃいかんのか。もう別れよう!』と言ったら





『ごめんなさい、娘には何とか話しをしておくから考え直してほしい』と言われてね」




「、、、」





「それからも何も変わらないから、もう無理だからと別れたんだ、、」





「そんな事があったの、、、」






思えば私が病気になって手術をしたとき外川は助けてくれたんだったあの時の事は今も忘れないわ
















No.98 16/09/25 01:46
会社員 ( ♀ yGMTnb )

今でも貴方の微笑みを♪感じる事があるのよ♪



思い出は美しくすぎて♪それは悲しいほどに♪



今はもう手の届かない♪あなた遠い人♪




偶然にも私の好きな矢神純子の曲がかかっていた




そうなんだ外川との8年はもう過去の事なんだ



曲を聞きながらそう思った





「今は体は大丈夫なの?」




「今は月に1回病院で見てもらってるし抗がん剤をしばらくは飲んでいるよ」




外川は髪の毛も少し薄くなって来ていた




私も少し太ったかもしれない





「お互いにもう若くないんだから無理しちゃいかんよ!」




「そっちこそ飲みすぎて道端で寝込んだらいかんよ!」




お互いに減らず口を叩いては笑って過ごせる相手はそんなにいないだろう




何か切なかった



「もう帰ろうか、、」



もう外川と会うことはないだろう

 

あなたの事一生わすれないから、そんな人に巡り合えただけでも幸せに思うよ












 






No.99 16/09/25 09:12
会社員 ( ♀ yGMTnb )

外川と最後に会った喫茶店『マルシェ』は今は無い





過ぎ去った思い出は色褪せない






あんなに愛された日々があった






外川との思い出はスクリーンシーンのように思い浮かぶ





今を思い出にするのは辛いけど






さようなら、、






外川のスクリーンシーンに私は浮かんでくるのだろうか







外はもう秋の気配だった






No.100 16/09/25 09:36
会社員 ( ♀ yGMTnb )

寂しさを埋めるように仕事が終わるとパチンコに行った




するとNがいた




「おっ!久し振りだな、最近来なかっただろ」




そんなに毎日行けるほどお金があるわけないわ




「どう、儲かってる?」




「いいや、今日はもう止めるからご飯食べに行かないか?」




駐車場でNの車に乗った




しばらく走って車を止めた




「なんか疲れているみたいね、、」




「最近出張が続けてあってね、、家に帰っても小さい孫がバタバタ走り回っているし」




「はあ~」




そしてため息をついた





「あなたは俺のタイプだし気になるし」




そう言うと肩に手を回してキスをしてきた





舌が絡んできた深い大人のキス






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