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くそったれな俺の半生

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リョウ( 30代 ♂ CeMSh )
13/04/16 01:07(更新日時)

第一章 人生最初の交差点

当時の俺は大学を中退したものの某一部上場企業に就職し長期出張で相部屋になっていた上司のパワハラで胃潰瘍で血尿の毎日を送り辞表を提出する事を決めていた。

上司の畑中は入社初日から「学生の時にいたムカつく奴に似ている」それだけの理由で俺に毎日早く消えろ、辞めろと言っていたようなどうにもならない男だった。

出張中も常にパシりにされ豪雨の深夜にあれ買ってこいだのと起こされたものだ。

帰社後に部長へ理由を告げ辞表を出し引き留められつつも固辞し退職をした。


これでやっとストレスから解放されると安堵したと同時に既に離婚をしていた母親に対しては申し訳なく思った、母親は一部上場企業を辞めた俺に我慢が足らないと言いつつも帰って来いと言ってくれた。

実家に戻り暫くゲーセンでバイトをしながらのんびりと暮らしていた。

半年ほどしてバイト先の後輩の由紀子とその友人の奈々とよく遊ぶようになった。由紀子はまだ19歳ながらしっかりした性格で顔はあまり可愛くはなかったが気も合い良き理解者で奈々は元気いっぱいのお洒落でスタイル抜群の美人。

よく3人でカラオケや飲みに行きオールで遊んだ。


その頃バイト先の常連だった堀さん(35)が俺を気に入ってくれて何回か飲みや食事に連れて行ってくれた、ある時、堀さんの奥さんもいて俺にこう話した。

奥さん「この人、近々お父様の会社の子会社で代表になるのね。そこで数人この人が気を許せる人を身近に置きたいって、それでリョウ君が良いって。」

俺は話がよく解らなかった。

「え?どう云う事ですか??」

堀さん「どうかな?うちに就職しないか?僕は人見知りでさ、友人とかあまりいなくてさ」苦笑いをしながら堀さんは言った。

「えっと…ちょっと考えさせてもらっても良いですか?」

堀さん「勿論だよ、2週間後に返事もらえるかな?」

「はい、でも何で俺なんですか?」

堀さん「いや、リョウ君の仕事ぶりとか性格とか色々だよ、嫁も大丈夫じゃないかって太鼓判押してくれたしね」

堀さんとは何回か飲食に連れて行ってもらってはいたがまだ知り合って数ヶ月程度だったので驚いたと同時に妙に嬉しかった。

その日にうちに由紀子と奈々に話をした、2人は
「良いじゃん!引き抜き?って言うのかな?やるなーリョウ(笑)」みたいな事を良いながら背中を押してきた。

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No.1779818 12/04/17 18:47(スレ作成日時)

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No.89 13/04/16 01:07
右往左往 ( 40代 ♀ WPjHh )

今日一気に読みました。
浮気ではなかったのですか?
生きて行くって後悔ばかりですが、私も頑張ってこれからの自分をしっかりしていきたいと思います。

No.88 12/11/22 03:50
リョウ ( ♂ CeMSh )

あの日からもう数年が経つ、そろそろ真美の命日なんだ。

お母さんから手渡された遺言みたいな手紙。

どんだけごめんなさいとありがとうが出てくるんだよってラブレター。


いつでも俺は失敗ばかりだった、自分の選択に後悔はないけど…最後に真美の話を聞いてやれなかった事、これだけは死ぬまで悔いるんだろうな。


マジでくそったれ過ぎて疲れてしまった、そろそろ休みたい気分だ。


皆は後悔のない人生を、仕事に遊びに恋愛に全力を出してもらいたい。どんな結果でも受け入れられる後悔しないなんて都合よく格好よく生きるのはほぼ不可能だと思うけど、自分に恥じない生き方は誰にでも出来るはず。これはそんなに難しくないよ。


こんなつまらない回想記を読んでくれてありがとうございました。


No.87 12/11/22 03:35
リョウ ( ♂ CeMSh )

浮気され裏切られた。

信用出来なくなり別れた、けど心はそんなに簡単には変われない、まだ愛していた。だけど許せない気持ちが勝った、浮気は繰り返すのも知ってるし実際疑惑ではなく整理をした捨てる荷物の中にその証拠になるモノがあったりもした。

それでもまだ愛していた。

でも今はやり直す自信なんかなかった、真美が来なくなれば忘れられるだろうと思っていた。

それから2週間ぐらいが過ぎた日の夜に携帯に電話が入った。

真美のお母さんからだった。


真美が亡くなったとの報せだった。

No.86 12/11/22 03:27
リョウ ( ♂ CeMSh )

「見たよ、全部ね」


真美「………」


この無言が俺には答えだと感じた。

「いつから?」

真美「違うよ!あれは違うの!」

俺の目を力強く真っ直ぐに見ながらそう言った。

「何が違うんだよ!?」


真美「信じて、お願いだから…」


真美の反応で「やはりあった」んだと確信した。

それからの数分俺は怒鳴りまくった、初めて真美に対して怒りのまま罵声も浴びせた。怒鳴り疲れ息を切らしていると

真美「ごめんなさい」と泣きながら抱きついてきた。

ただもう俺には真美を抱き締める事は出来なかった。

洗いざらい全て話せと真美に言った。真美曰く「してはいない」と言うが信用など出来なかった。

「悪かったと思っているなら携帯と手帳見せろ」


真美「それは…信じて本当だから」


こんなやり取りを何十分も続けたが真美は見せようとはしなかった。それが答えであり、それが真美の俺に対する誠意なんだと感じて別れを決心した。

「今週中に俺の前から消えてくれ、もう真美の顔を見るのも堪えられない」

こうして真美を追い出した。

ただそれから連日謝りに真美は通ってきた。

料理を作り渡しに来たり、食材だけ買ってドアのぶに掛けてあったり。

3ヶ月が過ぎても週に数回来ていた。会話などしなかったし追い返したり無視をしていたけどある日を境に来なくなった。

No.85 12/11/22 02:54
リョウ ( ♂ CeMSh )

ある夜、真美が風呂に入っている時にバイブの音が何処からか聞こえた。

勿論、真美の携帯だってのはすぐに解ったのだが見える範囲にはなかった。暫くして音は止んだが数分したらまた鳴った。

どうやら風呂の前にある洗濯機の上にあったようだ。

ここでもとても違和感を感じた、風呂中に携帯を身近に置く行為にとても違和感を感じた。

ついに俺は誘惑に負けて携帯を手にしてしまった。

まさか自分がこんな事をしてしまう、しようとするなんてと自己嫌悪になり携帯は見ずにそのまま戻した瞬間風呂から真美が出てきた。

真美「わっ!って…え?何してるの?」携帯の方を見て慌てふためく真美を目の前にしてなぜか俺は自分でも思わぬ事を口走ってしまった。

「携帯があまりにも鳴っていたから見たんだ、俺はもう全部知っているんだけどさ、何か言う事ない?」

真美「え?何それ…携帯…見たの?」

No.84 12/11/22 02:41
リョウ ( ♂ CeMSh )

ある土曜日、真美は美容室に行くと昼前に出掛けて行った。


暇だった事もあり干してあったワイシャツにアイロンでもと真美の衣装棚?などがある真美専用のスペースの手前にあるアイロンを取りに行った。


すると奥の床に写真らしきものが落ちていた、遠目にプリクラだろうとすぐに解ったが写っていたモノに衝撃を受けてしまった。

真美と見知らぬ男がキスをしてハートで囲い愛してる♪みたいな感じのものであり日付まで丁寧に書いてあった。

1年半ぐらい前の日付、真美も常に病院にいた訳ではなく自宅養成もしていたのでその時期のだろう。

身の毛が逆立つとはまさにこれだと言える程に血がたぎると云うか嫌悪感が破裂しそうになった。

このプリクラ1枚で浮気だ!と断罪も出来るかもしれない、けど証拠と言えるほどか…それより信じたい気持ちが強かったために真美が帰宅するまでに気持ちを治めて何もなかったかのように振る舞った。

でも生まれて初めて「嫉妬と猜疑」の獣を宿してしまった俺はそれからの真美の言動に強く猜疑心を膨らませて行く、普段気にならなかった深夜寝静まった後に携帯を布団の中でカチカチさせる音や真美が座っている後ろを通る時に何気なく携帯を隠す仕草、会社の人に誘われてとの外食が急増するなど何もかもが疑わしくなり芝居を続ける気力も次第になくなってきた。


浮気していたらどうする?許すの?許せるの?別れるの?別れられるの?自問自答する日々。

No.83 12/11/22 01:51
リョウ ( ♂ CeMSh )

仕事を始めて真美も元気になり良い流れだった。

俺は終電やタクシー帰りがあったり土曜日も仕事だったりで忙しかったけど。


真美も少しずつ仕事にも馴れて来て結婚も具体的に考えられるようになり親にも話をして、ちょっと反対っぽい空気はあったけどそこは押しきった。

今まで真美と一緒にいて俺は何一つ不満はなかった、真美も取り敢えず不満らしいものはないと言ってくれてたし何しろお互い4年以上付き合っていたがラブラブのままだった。

倦怠期?何それ?な感じ。

「じゃあ日取りとかもそろそろ決めなきゃな、お互いの親の都合とかも聞いておかないとな」

真美「うん!楽しみ~、でも式とかしたくない派なのに私の為にありがとうね」

「まぁ…一回こっきりだしな」


幸せな時間だった、あんなものを見付けるまでは。

No.82 12/11/22 01:40
リョウ ( ♂ CeMSh )

放置大変申し訳ありません。暫く時間がとれそうにない為に強引ながらかなり縮小し一気に終話させます。

続き~

そんなこんなで仕事に関してはグダグダな時期になりそれから暫くして会社を移り多忙を極めた日々を送った。

ただ真美とは婚約をした。
プライベートが順風満帆だと仕事も頑張れるし体力気力も続くものだ。


だけど、真美が病気になってしまったんだ。ちょっと難病で結婚の時期はズラす事に。

真美「ごめんね、こんな体になっちゃって…」

よく真美はそんな事を言ってた、でも俺には正直そんな事は大した問題ではなかった。勿論、病気を軽く見ているとかそう云う意味ではなく病気なんて誰だってするし過失じゃないんだから仕方ないって話で。

「良いって、長い人生の中で数年ぐらい遠回りしたって大したこっちゃないさ」

それから月日は流れた。

実に3年近くだ、婚約したままだったから俺は婚姻届けに記入し判子を押して真美に渡した。

「好きな時に記入してくれ」

真美は泣きながら喜んでくれていた、まだ入退院を繰り返していたけどそろそろ仕事も出来そうになっていたかので体調は良かった。

結婚は真美が社会復帰してからにとの希望があったから急ぐつもりもなく時期は任せていたんだ。

真美が就職をしたのはそれから3か月ぐらいだったかな。


真美「受付の仕事に決まった~♪」

No.81 12/06/29 00:33
リョウ ( ♂ CeMSh )

そして仕事終わりに会社から電話があった。俺はアウトソーシングだった為に所属会社と書けば解りやすいかな、業後に少し話があるとの事で駅前のカフェで待ち合わせをした。

真美には先に帰っててもらうようメールをした。

担当「先ほど課長の黒田さんから連絡あって小笠原君の勤務態度でちょっと苦情言われてさ」

あの事か

「すいません、今日の事ですね。ご迷惑かけました、本当にすいません」

担当「あぁそれもだけど社内メッセンジャーで色々私語したり愚痴ったりしてるって話もあったんだよ」

これについては確かにしていたが上司100%他の社員もしているし仕事の合間であり仕事を疎かにはしてない、それにどうやってそんな話が出る?

「メッセンジャーですか?まぁ確かにたまに私語で使いますが…」

担当「ま、僕もそれはちょっと細かすぎるんじゃないかとは思ったんだけど一応そんな話も出てさ来期はうちに戻ってもらうかもしれない」

そんな話をされた。

「そうですか…解りました。本当にすいません」

担当「いや、謝らなくても良いよ残りしっかり頼むよ」

「はい…」

腑に落ちないのはメッセンジャーの内容がだだもれってところだ、社内システム管理の話だとログは端末毎にしか保存されてないはず、となるとメッセンジャーしていた相手から?いやいや渡辺さんや関ぐらいだし俺より口が悪いぐらいな2人だし。

取り敢えずその日は帰宅した、この件は真美にはまだ伏せておいた。

No.80 12/06/28 16:56
リョウ ( ♂ CeMSh )

真美と付き合ってから4~5か月ほどだろうか、ある日俺の家に忘れ物をして急遽必要だからと昼過ぎぐらいにメールがあった。

「今から鍵リョウちゃんの部屋行きたいけど鍵借りに行っても大丈夫かな?」

14時ぐらいに会社をうまく抜け出すからビルの下で待っててとメールを返した。
トイレに行くと伝えて会社を抜け出して会社の隣のコンビニ前で真美に鍵を渡した。

真美「ありがとうーごめんね!」と抱き着いてきた。
「こ、こら人が見てるよっ!」とちょっと焦ったが真美はギューと抱き着き離れなかった。

真美「照れてる~!じゃ借りるね、仕事終わったらまた会える?鍵もあるし」

「あぁ、一緒に帰ろうか?」

真美「うん、帰る♪」

そんなやり取りを数分して会社に戻ったのだが夕方に上司に呼び出された。

上司「仕事抜け出して女と逢い引きとは良い身分だな?」と。

「え?いや、部屋の鍵を渡しただけで…すいませんでした。」数分で済むからとトイレなどと言わず素直に話していればこんな誤解はなかったと思ったが後の祭りだった。

上司「言い訳はいい、まぁ良い戻れ」

「すいませんでした、以後気を付けます!」

居室に戻ると渡辺さんからメールが来ていた。

「篠崎と山田が君が彼女と抱き合っていた写メを撮って上司に見せたようだよ、でもそれで彼らを問い詰めないように。君は彼らに監視されてたの気付いてないみたいだから注意した方が良いよ」とあった。

渡辺さんはこのグループのリーダーで篠崎と山田がよく俺の粗探しをして報告していたそうだ。

「あの野郎~」と腹が立ったが渡辺さんの立場も考えると詰め寄る訳にも行かず…

No.79 12/06/28 16:37
リョウ ( ♂ CeMSh )

探し当てた出会い系サイトの掲示板には彼氏募○中として俺のアドレス、携帯番号、家電の番号まであった。家電は理恵の事があってから電話線を抜いていたから鳴らなかったが差し込んだらすぐに鳴った。

プロフィールは理恵そのものだった。

「理恵だ…やりやがった…」


真美は驚いて「怖い…」と言った。

流石にこれは許せる範囲を越えた、すぐ理恵に電話をして問い質した。

「理恵、出会い系サイトに俺の番号載せただろ?」

理恵「リョウがいけないんだよ、私の気持ちを理解してくれないリョウが悪いんだから」と落ち着いた様子で話す。

「もう、お前とは連絡を取らない。これ以上するなら警察に言うからな」

そう言って電話を切った。

携帯は使い物にならないぐらい常に着信や受信をし30分もあれば受信履歴が埋まり充電すらなくなる有り様だったので解約をし新規に携帯を契約する事にしたが家電は今後半年ぐらいこの手の電話が絶えなかった。

「ごめんな真美…もう大丈夫だから」

真美「うん、けど大丈夫?家とかにまた来るんじゃない?」

「次何かあれば警察に相談するから」

それから理恵は二回家に来た、一度目はマンション前にいるのを見掛けたので帰らず外で時間を潰したらいなくなっていた。二度目は2ヶ月後ぐらいにドアの前にいて謝られてすがられたが

「話す事はない、警察呼ぶぞ」と言い追い返した。それ以降理恵は現れなかった。

どんな経緯であれ理恵と云う1人の女を不幸にしたのは事実で考えるとスッキリしないモヤモヤ感が残る結末になった。

No.78 12/06/28 16:16
リョウ ( ♂ CeMSh )

この時期、理恵からの連絡は今まで通りあったものの電話はほとんど出ないようにしていた、真美も理解してはいると言っても気分は良いはずがないだろう事と徐々にフェードアウトする為に距離を少しずつ空けていくようにしていた。

ただ理恵からのメールには「裏山の木々が泣いてる…ザワザワザワザワと泣いてるの怖いよリョウ…」

こんな感じの内容が頻繁に増えていた、明らかに精神を病んできているような雰囲気がメールからも感じ取れた。

そしてそんな状態から数週間が経過したある日の朝に携帯が鳴り響いた、メールと着信を繰り返すように常に鳴りっぱなしのような感じで起きた俺は携帯を確認した。

受信メール200件、着信40件とかそんな状態になっている。

真美「う、ん…どうしたの?」

「いや、携帯がうるさくてさ」

メールの内容は
○○ちゃん今から会おうよ、○○ちゃん彼氏になってあげるよ。そんなのがガンガン入ってる、読んでる間もなく着信があった。

「はい」

男「あれ?○○ちゃん?なんだよいたずらかよ」とか言って電話は切れた。それからも立て続けに着信があるのでいくつか出てみた

相手は必ず男で俺を女と思って掛けてきている、俺は「あ、ちょっと切らないで、この電話番号何処で知ったの?」そう聞くと

男「出会い系サイトだよ、○○ってとこの。あんたいたずらされたのか?」

そう教えてくれた。


真美「ねえ、まさかとは思うけど元カノさんじゃない?」

「俺も思った、その出会い系サイトの掲示板とやらを探してみる」

No.77 12/06/25 02:42
リョウ ( ♂ CeMSh )

愛してる

この感情は好きや恋とは異質なもんなんだと初めて知った。

極端な言い方でこの人の為なら死ねるとかあるけどこれも少し違うのでは?と。

俺は逆にこの人の為に健康でしっかりと生きなくてはと思った、だから事故に巻き込まれたらそれが運命なんて考え方を改めるようになっていたしタバコも減らした。

それが無意識に出来ている事に気付き真美に愛してると伝えたくなった。

真美「初めて愛してるって言っちゃった…」

「え?初めて?」

真美「うん、愛してるって言葉嫌いだったの。愛してなくても平気で皆使うでしょ?だからわたしは好きじゃなかったの」

俺と同じだった。

「実は俺も初めてなんだよね、自分から口にしたのは、一緒だな(笑)」

真美「えー?本当にぃ?」

「言わされた事はあるけど自分からは初めてだよ、そもそも愛とか意味解らなかったし(笑)」


俺は不思議だった。真美みたいな太陽のような誰からも好かれるような子が、好意を多く受けてきていたであろう女が愛を感じた事がなかったと云う事に。

No.76 12/06/16 18:34
リョウ ( ♂ CeMSh )

人生の中で最初で最後の相思相愛じゃないかと思った。

プライベートが好調だと寝不足とかそんなの全く関係ない、全然平気だ。

真美と二日間ずっと一緒にいた。お互いの生い立ちや将来の夢にどれぐらい今が幸せかなんて事を言い合ったり。

話していると次第に色々見えてくる、真美は今まで「男にはかなり甘やかされて来た」って事、当然美人だと相手は嫌われたくないから控え目になり我儘を許してそれを「器がでかい、優しい」とアピールする人間はかなりいる、だからある意味仕方なかったのだろうなと。

けれど俺はその手の考え方はなく好きになればなるほど大事なら大事なほど指摘すべき事はする、興味がなかったりすると一切口出ししないしその人がどうなろうと関係ないから叱るなんて事もしない。

だから真美とは凄く愛し合っていたものの結構言い合いをしてしまう事もあった。

「そう云う事はしてもらって当たり前じゃないんだよ?」

真美「でもわたしが何も言わなくても今までそうだったもん…」

こんな事は日常茶飯事だった。

付き合った彼女と頻繁に言い合いしたのは初めてだった、だけどお互い真剣だったから長引いてもいつも必ず解決したし仲直り出来た。

付き合って数週間ほどたった。24、25歳になって初めて女を愛するって意味を知った。

真美、俺「ねえ?」

同時にお互いが話し出した
真美「かぶっちゃった!何?」

「真美こそ何?」

真美「リョウちゃんから言ってよ~」

「ん、いやさ…愛してるよ」

真美「わたしも言いたかったの、リョウちゃん愛してるよ」

俺は幸せ過ぎて怖くなった

No.75 12/06/15 05:24
リョウ ( ♂ CeMSh )

部屋に入ると真美が玄関で座っていた。

「ごめん、変な事に巻き込んじゃって」

真美「ううん、大丈夫だよ。リョウちゃんこそ大丈夫?」

「あぁ大丈夫!こんな事はもうないようにするから」

真美「うん♪でもリョウちゃんの事を今でも大好きなんだねあの人…」

「本当に好きなら困らせる事しないよ、寂しいだけだろう。部屋ちょっとちらかってるけどあがって」


真美「はーい、お邪魔します♪」

真美は不機嫌になる事もなく案外理解をしてくれた、あんな場面に出会したら凹んだって不思議じゃなかっだけにホッとした。

真美「お部屋いっぱいあるね~!リョウちゃんは何処で寝てるの?ここ?」とか何とか言いながら散策する真美

そんな真美を見てて妙に嬉しくなりまた急に真美と付き合ってんだなと実感が込み上がる

後ろ姿の真美に抱き付き

「やっと2人きりになれた」

真美「うん…」

そのままキスをしながら服を脱がした、真美は明るいから電気を消してと懇願したが真美の裸を見たいと押しきり半ば強引に全裸にし何時間も真美を抱き続けた。

1人の女の全てが知りたい見たいと思ったのは初めてだった、それにセックスをして気持ち良いではなく幸せをこんなにも感じた事も初めてだった。

「こんなに好きになってしまって何だか自分が怖いよ(笑)」


真美「わたしも」


人生初幸せの絶頂期!

No.74 12/05/13 01:30
リョウ ( ♂ CeMSh )

マンションに着いた

深夜料金で遠回りにて料金は12000円オーバー、これは高い

運転手「請求書の方は分散させときましょうか?」

「すいません、助かります。次回以降何回かに分けてお願いします」

運転手「いえいえ、大丈夫ですよ」

タクシーを降りてマンションのエレベーターに乗り部屋階に着くとそこには理恵がいた。

携帯の電源を切っていた事が仇となった形だ、あまりの出来事に一緒固まった、そして真美もすぐに悟ったようだった。

「ちょ、何してんだよ…」

理恵「リョウが携帯の電源切るからいけないんじゃん!」真美を見ながらそう言った。

「真美、さっき話した…ちゃんとけりつけるから少し話してくる。部屋入って待ってて、すぐ終わるから」

真美「うん…」

「理恵ちゃんとここじゃ声響くからマンションの下で話そう」

理恵を連れて一階のエントランスへ移動した。正直ここまでやるか?と嫌悪感が次第に沸き上がる。

「どう云うつもりだよ、別れたんだぞ俺達は」

理恵「リョウが約束破るのがいけないんじゃない!約束したよね?」

「俺もいつでも電話に出れる訳じゃないと言っただろ?マジこんな事するんじゃもう止めるよ」

理恵「さっきの子がリョウが好きになった人?なんで私じゃダメなの?ワガママだから?近くにいないから?お金?」

「理恵がどうこうじゃないんだ」

理恵「私は二番目でも三番目でも良いから、お金も風俗でも何でもして稼ぐから、だから別れたくない!」

「そんな事求めてない、理恵には悪いと思っているけど他に好きな女が出来た。ただそれだけなんだ、だからもうダメなんだよ。解ってくれ。次こんな事したらもう連絡もなしだからな」

理恵「…それだけはイヤ…」

そう言うと理恵はエントランスから出て行った。


No.73 12/05/12 04:03
リョウ ( ♂ CeMSh )

真美「駅着いたらもうタクシー乗っちゃう?」

「うーん時間もう1時過ぎてるしなぁ」

真美「そっかぁ…」

今まであまり意識した事はなかったが軽いとか思われたくないから初デートで泊まりとかあまり遅くまでとかは控えようとか頭にあった。

駅前にはタクシー待ちの人達が並んでいた列の最後尾に付いた。


「聞いてなかったけど門限とか大丈夫なのか?」


真美「今は学校近いからお父さんのところから通っているけどお父さん夜仕事だから大丈夫なの♪」

「そっか、なら良かった」
タクシーに乗り込み真美の自宅住所を運転手に伝えた

真美「う~、まだ一緒にいたいよ」

真美が駄々をこねるように言った

「俺も…じゃあうち…来るか?」

真美「本当に?良いの?」

「もう付き合ってるんだしな」

真美「うん♪」


当初のこだわりなんてもう吹き飛んでいた

「真美は分かりやすいな(笑)」


真美「え?え?わたし?初めて言われたよ!?」

「本当?凄く分かりやすい気がするんだけどな」

真美「そうなんだ~、でも分かりにくいって言われるより嬉しい♪」

そんな会話をしながらタクシーは俺のマンションへと向かった。

No.72 12/05/09 02:43
リョウ ( ♂ CeMSh )

初デートみたいなものだった割には変に硬くなったり緊張したりって事はなくそれでいて子供のようにワクワクドキドキしていた。


「そろそろ終電になるんじゃない?行こうか?」

真美「リョウちゃんの方が終電時間早いでしょ?大丈夫なの?」

「俺?本当はダメなんだけど配布されてるタクシーチケットあるし馴染みの個人タクシーの運転手には領収書改竄してもらえるから(笑)」


真美「そうなの!?じゃあわたしの時間気にしなきゃまだ一緒にいられる?」

「あ、方向は一緒だから少し回り道して真美降ろせば良いんだな」

真美「うん♪でも大丈夫?」

「全然大丈夫、毎回贔屓してるからかなり融通利かしてくれるんだよ」

あんまり褒められた事ではないが当時は大半の社員がやっていた。

話ながら歩きたい

真美と2駅分ぐらい深夜のオフィス街を歩いた。

知れば知るほど話せば話すほど真美に惹かれていく


今まで出会った好きだなとかそんな感じの女ではなく「惚れた」って言葉がしっくりと来た初めての女


真美「ねぇリョウちゃん」

「うん?」

真美「ほっぺが筋肉痛になりそう♪」

「はは、俺も。何時間もずっとだから明日ヤバいよ」
真美「顔の筋肉痛ってどんなだろうね」

そんな他愛もない話が楽しくて。

女の事でトラウマになったのを癒せるのは時間だけだと思っていたけど癒してくれるのもまた女なんだ、男女逆にしてもこれは成り立つ。

No.71 12/04/27 14:09
リョウ ( ♂ CeMSh )

真美には全て話しておくべきだと思い、俺は夜景を見ながら話た


「実はさ」

真美「うん?」

「元カノが少し面倒な事になってて、今電話やメールだけは続けているんだ」

真美「どういう事?」

俺は別れるに到った経緯を話した、そして別れを告げてからの今も。

真美「そうだったんだ…でも別れはちゃんと伝えたんだよね?」

「勿論、性格の不一致と好きな女が出来たから別れてくれと伝えてある。何回も。」

真美「うん、それなら信じてるから♪」

「ごめん、ありがとう」


真美「でも無理しないでね、そこまでしているんだからそれでもダメなら仕方ないんだし」

「あぁ、時期を見て伝える」

真美「でも話してくれてありがと♪」

もっと揉めるかと思ったが真美は意外にも理解を示してくれた。逆に話した事により俺は隠し事をなくし真美も信用してくれてプラスになった。


真美「わたしからも伝えときたい事があるんだぁ…」

「うん?何でも聞くよ」


真美「心臓に小さな穴があるの…だからもしリョウちゃんといる時に発作が起きたらこれ飲ましてくれる?」薬ケースを鞄から取り出して言った。

「そんな事か、大丈夫任せとけ!」

真美「ごめんね、健康な女の子じゃなくて…ありがとね」

「別に真美の責任でなったんじゃないし謝るような事じゃないさ」

真美「うん、元気だし!」笑顔でそう言った。


「他に何か覚えておかなきゃいけない真美の取扱説明書はある(笑)?」


真美「うーん…そうだなぁ…えっとね、多分ヤキモチ妬きだから覚悟してね♪」

「えぇー(笑)誤解されないように気を付けるよ」


真美「後ね、キャビンアテンダントなれないかもなの」

「そうなの?やっぱりコネ社会だから?」

真美「さっきも言ったけど健康上の問題もあって」


「そうなんだ~、けどまだまだ可能性はいっぱいあるさ」

真美「うん、そうだよね♪」

そんな話をたくさんした。もっともっと彼女の事を知りたかった、自分の事も知って欲しかった。初めての感覚だったな。

真美「リョウちゃんはいつもニコニコしてるよね」

こんな事も今まで言われた事が一度もない、寧ろたまに怖い顔してるとか言われていたぐらい。


こうして俺はこの出会いによって大きく変わって行く。

No.70 12/04/25 02:05
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

真美と電話を切り携帯を見ると着信メール受信が数十あった…


メールには「他の女といるんでしょ?許さないから」
「家電繋がらない!他の女と話してほったらかしは許さない!」そんな内容が羅列されていた。

メールを見ているとまたすぐに携帯がうなった。

「はい…」

理恵「何で出ないの?約束したじゃん」俺との電話は理恵の精神安定剤みたいになっているようだ

「俺も用事がある時は出れないから時間出来たらメールとかするからそんなにかけなくても大丈夫だよ…」

理恵「用事って女でしょ?ずっと家電繋がらなかったもん」

「だから…落ち着けよ」泣きながら理恵は声をあらたげる。


「そんな無茶な事言うならもう電話も出来ないよ」強気に言うと理恵は弱気になり落ち着きを取り戻した

理恵「ごめんなさい、それだけは嫌…でも約束守って」

「理恵が落ち着くまで約束は守るから」そい宥めて電話を切る


ふー…こんなんで良いのか俺…

真美にあっという間に恋に落ちて今までの自分の臆病だったモノが吹き飛んだ変わりに理恵には傷を付けてしまった。


無責任な責任感


だけど今振り返ってもあの時に理恵を切り捨てていたとしても良い方向に向かった自信もない。

真美とは翌日会社帰りに会う約束をした、幸せな自分と重荷を引きずる自分が同居していた。


「真美」

真美「リョウさん♪」
白いコートに赤いマフラーで遠目でも少しウキウキしているのが伝わる仕草の真美がまた男心をくすぐった

「さん付け何か恥ずかしいな(笑)」

真美「じゃあちゃん付けにする♪」

「そっちの方が恥ずかしくないか…」

真美「リョウちゃんに決定~」アルバイト中は凄く礼儀正しく昨日もまだそんな感じはあったが本当の真美は随分と明るいオチャメな子だった。

「まぁそれで良いや…(笑)」

真美「手繋いで良い?」

「繋ごうか」真美の手を握り夜景スポットに行った。
ポケットにある携帯がまたうなっている。頻繁にうなる携帯は理恵だとすぐ解る…

一通だけメールを返信した

「仕事中終わったらメールするから」と。暫くは携帯が沈黙してくれた

夜景を見ながら自分の言葉で面と向かって言いたかった言葉を真美に言った

「会ってちゃんと言いたかったんだけどさ」

真美「うん、なぁに?」


「俺の彼女になって欲しい」


真美「はい、不束者ですがお願いします」と照れくさそうに言ってくれた。


いつまでもこの幸せな時間をと夜景に願った。

No.69 12/04/25 01:27
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

それからは1日に2~3通メールをするようになった。

他愛もない朝の挨拶や、大学の事とかそんな内容ばかりが続いていたがある時

矢部さん「恋愛とかはしてますか?」そんな質問が来た。

「過去に色々失敗して少し臆病になってて、それでも年末ぐらいに最近付き合った子がいたんだけど結局ダメでした。自分から好きになった人としかこれからは付き合わないようにしようと思いました。矢部さんは?」核心部分に遂に辿り着いた。


矢部さん「そうだったんですか、恋愛って難しいですもんね…私も色々あって少し臆病でした。けど自分が好きって思った人とならまたしたいと思うようになりました、それと真美で良いですよ、敬語も使わないで良いです」

「じゃあ俺にもさん付けはいらないし敬語はいらないよ。うん、受身な恋愛じゃ良い恋愛出来ないよね。」

真美「はい、敬語やめるね。でも歳上なんだからリョウさんはリョウさんで♪今は恋愛してないの?」

「今?今してるよ、自分から好きになった人がいるよ。その人とはまだメールでしかやり取り出来てないけどね」

真美「じゃあ私と一緒だね」

これは?まさかの?早とちりして恥をかくか?返信に戸惑っているとまた真美からメールが。

真美「私、リョウさんが好きになっちゃいました」


(゜ロ゜)!!!


「えぇぇ!?本当に!?俺も真美を好きになりました。多分一目惚れで、真美を好きになりました。」

こんな経験はなかった。学生時代も含めてこんな相思相愛からのスタートなんてなかった。嬉し過ぎてプルプルするのも初めての経験だ。

真美「嬉しい!でもね多分好きになったのは私の方が早かったと思うんだけどな~、私自分から告白したのも初めてで何かいきなりでごめんなさい」とかそんな感じになって

「そんなの全く気付かなかったよ、声聞きたいんだけど電話しても良いかな?」

真美「恥ずかしいな…番号○○○○~」

その夜は人生初の3時間とか電話していた。

真美は短大生で当時20歳で顔は榎本加奈子にそっくりで一緒にいて間違われた事も何回かある子だった。

キャビンアテンダント科を専攻していて研修の一環であのホテルでバイトをしていたと。しかも3ヶ月だから来月までとの事で名刺を渡す機会は後1~2回しかなかったらしい。

真美「リョウさんの外見私のドストライクだったんです。それと雰囲気が好きだったの」そんな夢のような時間も携帯が先程からずっとうなっていた事に気付き水を挿されてしまうが俺は真美との電話を続けていた。

No.68 12/04/25 00:48
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

これ飲まざるを得なかったと云う事でもあったが理恵をいきなり地獄に落としたようなもんだから罪滅ぼしになるならって贖罪の気持ちもあった。

1~2週間ほどは1日1回ほど電話とメールを返していたからか少し落ち着いていたようだった。

渡辺さん「ははは、リョウ助(飲んでる時はなぜか助を付けて呼ばれていた)下手うったな~。切る時はバサ斬りしなきゃなバサ斬り(笑)」

「でもあの状況じゃ帰らなくてそうせざるを得なかったんですよ」

渡辺さん「そんなの知ったこっちゃないだろう!寒かろうと死ぬ訳じゃないんだしさ、ははは」

「そこまで非情にやらなきゃ不味かったですかね?」

渡辺さん「俺ならするよ、別れるって事はあんたなんかどうなろうが知ったこっちゃないよ!って意味と大して変わらないんだから(笑)」


「そうかぁ~そう云うもんですかねぇ…やっぱり少しは申し訳なさもあったんでそれが甘いんですかね」


渡辺さん「別に何か恩があるとかじゃないんだろう?」

「ないですよ」

渡辺さん「1,2ヶ月しか付き合ってないんだから気にするような事じゃないよ、俺は刺された事あるけどね!ははは」

「ちょ(笑)マジですか!?」

渡辺さん「浮気がバレた時だけどね(笑)」


この人に相談したのは間違いだったな。


それからまた数日してクライアントとの打ち合わせにまたあのホテルに行く日が来た。内心俺は楽しみにしていた。

矢部さん「小笠原様、お久しぶりです」

「やあ、久しぶり。」

矢部「今日は寒いですね」とかそんな世間話を少しした。

俺は名刺にプライベート携帯のアドレスを書いて矢部さんに渡した。

「いきなりすいません、もし良かったら連絡下さい、それじゃ」

矢部さん「え?あ…」そんな反応だったかな、その場にいる勇気もなく俺は立ち去った。

その夜に早くも彼女からメールが来た。

「お疲れ様です、矢部真美です。名刺ありがとうございました、少し驚いたけどメールしちゃいました」


うおぉぉ!メール来たー!!!!な俺だった。


すぐさま「矢部さんメールありがとう!まさか貰えるとは思ってなくて嬉しいです。あんなナンパみたいな事して迷惑だったかなと思いましたが、仲良くなれるきっかけが他に思い付かなくて…すいません。」

矢部さん「迷惑だなんて事ないですよ。私も小笠原さん印象的だったので…今日は遅いのでもう寝ますね、おやすみなさい。また明日」


「良かった、俺はいつでも構わないのでまた暇な時にでもメール下さい、おやすみなさい。」

そんなやり取りを初日に出来た。久しぶりにテンションが上がっていた。

No.67 12/04/25 00:01
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

それからの日々は何十もの着信とメールが来るようになった。

メールには「すまない、考えは変わらない。近いうちにまた連絡するから」と返すも納得行かない理恵からの追撃メールや電話は収まる気配がない。


放置したからと沈静化はしないだろうし、俺は俺でちゃんと説明はしたしこれからもするつもりだった。

しかし話を聞けるような状況ではない理恵とは暫く時間を空けたかった。


メールも留守電も当初の懇願する内容から荒々しくなって来た。

一度会って話したいと言う理恵の希望に沿って外で落ち着いて話せるならとカフェで話をした。

「ごめんな、でも考えは変わらないんだ許してくれ」

理恵「わたしを嫌いになったの?好きだって言葉は嘘だったの?」

「好きではなくなった…あの時は嘘ではない。話していて一緒にいて楽しくいられなくなったし俺には理恵の不安を解消させる方法はないと感じた」

理恵「じゃあ一緒に住もう?それならわたしは大丈夫だから」

「そう云う話じゃないんだよ、ごめん」

理恵「本当は好きな人が出来たのが理由でしょ!?」

「それもある。けどその前から考えていた事なんだ」
話しても話しても平行線のままだった。

理恵のすがる姿を見るのが辛かった、だけど中途半端はダメだと思い恨まれて別れた方が早く忘れられると思い突き放した

「もう会えない。これで終わりにする。ごめんな」と店を出た


結局これも俺の選択ミス、それで理恵を傷付けた事は事実。いつもいつも失敗ばかりだ…

それでも理恵からの着信やメールは減らなかった。

数日は無視をしていた。

ある日、帰宅するとマンション前に理恵がいた。

理恵「リョウなしじゃ生きていけないよ!」と泣きついてきた。

理恵「リョウが言う通りにするから別れたくない。リョウが
たしを好きじゃなくても良いからそばにいさせて下さい」


「理恵…俺は中途半端な事は出来ないんだよ…本当にごめん」

泣き叫ばれたが俺は謝り続けて帰るように促したが帰ろうとしない。

理恵「リョウとこれっきりなんて嫌だ!」理恵が帰るからお願いがあると言った条件を飲む事になった

電話はたまにしたい、メールもたまにで良いから返して欲しい、それがあれば帰ると

「あぁ、解ったよ約束する」

理恵「ありがとう…」と泣きながらその日は帰って行った。

No.66 12/04/24 20:49
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

そんな程度の会話しか交わさなかったが凄く印象に残った、それと同時にアルバイトだと長くいないかもしれないと思い、これっきりになる可能性もあるんだと思った。


とは云え一度挨拶を交わしたばかりの人にいきなりアタックはないし、そもそも俺は理恵と付き合っていたのだからそれはな…と。

ただ理恵とは改善に向かう気配なく俺はもう気持ちが離れてしまった。ハッキリさせなくてはと思うようになる。

それでも理恵の不安とやらを和らげる為にまだ会ったり電話は付き合っていた。

もう仮面夫婦ならぬ仮面彼氏のように芝居じみた形になりつつあった、そんな時に彼女を駅の切符販売機で見掛けた。

「あ、○○ホテルの」
名札で名前は矢部さんとは知っていたが名前を呼ぶのは気が引けた。すると彼女は。


矢部さん「あ、小笠原さん?お仕事この近くなんですか?」と答えてくれた。

「よく覚えてましたね、はい。会社からは最寄り駅なんですよ」

矢部さん「お名前覚えるのは得意なんです、お疲れ様です」

「これからアルバイトですか?」

矢部さん「はい、これからです。」

そんな立ち話をして改めて「良いな」って思ってしまう。出勤中の彼女を引き留めては悪いと思い会釈をして別れた。

その夜は彼女が頭から離れなかった。そして理恵と別れようと決心した。


理恵からの電話が来た。

理恵「今日もお疲れ様」

「あぁ…ありがとう。ちょっと話があるんだ…」

理恵「何?悪い話なら聞きたくない」と察したかのように言った。

「ごめん、別れたいんだ」

理恵「なんで?どうして?わたしがすぐ泣くから?電話ばかりするから?」慌てた様子で質問責めをしてきた。

「それらもある、正直かなり重かった。理由のない不安不安ばかりで一緒にいても疲れて楽しくなくなってきたし、それに…好きな女が出来た。ごめん」

理恵「どうして?そんなの信じない!わたしがいつも一緒にいなかったから?」
なぜか理恵はいつも一緒にいなかったから他に目が行ったと解釈した。

「いや、そうじゃないよ。好きな女が出来た出来ない関係なくもう限界に近かったんだ、いつも電話でも不安だと泣く理恵を慰めて会ってても気が晴れない事が続いたから」この日は一時間以上説得を続けたが全く平行線で俺は一方的に

「明日も早いんだ、またちゃんと説明するから」と電話を切った。

No.65 12/04/24 20:05
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

元々電話とか毎日するのすらちょっと面倒だった俺はやはり次第にストレスを感じるようになる。

朝や夜に電話に出ないとメールにて追撃をしてくる事も多々あり、泣かれるからやんわりながら電話は出れない時は出れない。付き合いもあるし仕事もあるのだから理解してくれと話すもあまり効果はなかった。

しかし会っている時は不安ではない為か落ち着いていた。

理恵「ごめんね…直すから」

「これ以上は勘弁してくれよ、楽しく付き合えないだろ」

理恵「はい…」

こんな調子だったが同じくあまり効果がなかった。


当然こういった不満が募ると萎えてくる、電話に出ないと次出た電話ではグズっていたりすると負の連鎖でますます電話に出たくなくなる。

そうなったら恋愛は重荷にしかならなくなる。持続させるのが厳しくなる。


そんな時にタイミング悪く俺はある女と出会ってしまう。

以前からたまにクライアントと試験打ち合わせに使っていたホテルの受付をしていたその女は人生で出会った中で一番美しい人だった。

たまたま1ヶ月で2回ホテルを利用した時、その子は俺を覚えていてくれた。クライアントが来るまでに受付近くで待機していたのだがその時に少し話し掛けた。

「今月から受付されているんですか?」

受付「あ、はい。バイトなんですけど今月からです」

どうやら俺はこの子にまさかの一目惚れに近い状態に陥った。

No.64 12/04/24 16:15
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

20年30年生きてきて恋人と呼べる人が過去5人いたとしてその5人と本気で恋愛出来ていた人ってどれぐらいいるだろう?

若ければ若い程、何となくで付き合ったり押しに負けて付き合ったり、恋人がただ欲しいから、性欲、そんな理由で作った恋人は結構いるんじゃないか?

俺は少なくとも本気で恋愛をして付き合ったと言える女はまだいなかった。

毎回毎回本気、なんて恋愛だと惚れやすいとも言えるし毎回流れでだと軽いとも言える。

理恵は俺に本気で恋愛したと、でなければこんな風に会えなかったと。

俺は前回の失敗で「誠実で一途な女」を探していた。

だからそれが備わり性格、外見がそれなりに好ましいならと考えてしまった。

「付き合おうか?」

理恵「本当?わたしで良いの!?本当に?」凄く喜んでくれた、涙浮かべて。

「あぁ、勿論」

こうして俺は理恵と付き合った。理恵は箱入り娘ながら我儘な性格ではなく尽くしてくれるタイプだった。
イブの翌日は土日だった事もあり付き合ってから丸2日一緒にいた。

初日は敢えてしなかったが2日目は一緒に風呂に入りセックスもした。

家の事も色々してくれて洗濯や掃除に料理も作ってくれた。

とても家庭的な良い子だった。

もっと一緒にいたいと帰る時は涙ぐんでいたが

「会いたくなったらまたいつでも来な」と宥めてその日は別れた。

理恵はかなり寂しがり屋だった。2日もしたらまた会いたいとグズる。

平日だが仕事終わりになるけど待ち合わせをして家に行った。

理恵「お泊まりの支度してきちゃった」と。

「時間遅いからな、俺は朝早いけど理恵は好きな時間に帰れば良いよ」と合鍵を渡して言った。

理恵「わーい♪ありがとう。いっぱいお掃除しておくからね」

翌日の朝に俺は理恵を残して会社に行った。

理恵「いってらっしゃい♪」

帰宅する頃に理恵はいなかったが置き手紙があり

理恵「お疲れ様。すっごい幸せ、ご飯作ってあります」とか書いてあった。

こんなのも良いもんだなと思った。

年末年始の休みも初詣に行きまたうちに泊めた。

付き合ってから数週間ほどで俺は少しばかり気が重くなりだしていた。会うのは構わないのだが会わない日は最低1日5回は電話をしてくる。

朝、昼、定時後、夜、寝る前。一言の電話なら良いがそうでもないだけにちょっと面倒になってきた。

「電話は朝晩ぐらいにしてくれないかなぁ?会社にいる時間は厳しいんだよな」

理恵「迷惑?会えない時は不安になるんだもん…」

こんな調子で暫く俺が我慢をして電話に付き合う事が増えて行く

No.63 12/04/24 03:46
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

そういった背景もあり俺は理恵との距離を縮める事にあまり気を病む理由がなかった。

性格的に細かい事は気にしなかったし、何かあっても自分だけの問題なら何とかなるって考えだったし。


確かその日は金曜日だった。仕事終わりに理恵との待ち合わせ場所にした駅のホームの階段下。

理恵が降りてくるのはすぐ解った。

「よっ、こう云うのって初めましてなのか(笑)?違うよな」と言って手を差し出した。


理恵「初めましてじゃない、でもやっと会えた」とちょっとぎこちない笑顔で言いながら理恵は俺の手を握った。

理恵「スーツ似合うね♪わたしスーツ好き、リョウのスーツ姿好き」とか何かはしゃいでた。

珍しく予約なんかしたフレンチの店に連れて行った。理恵もクリスマスだけあってめかしこんでいた。

理恵「フレンチレストランなんて家族で何回かしかないしマナー大丈夫かなぁ」と不安そうだった

「俺も3回しかないから大丈夫、音だけ気を付けてような(笑)」


理恵の反応が可愛かった、後から聞いたが彼女はまだ学生だからこう云う世界は初めてな事ばかりだったようだ。

2人で少しぎこちなく食べた。店を出てすぐのところに観覧車がある、それに乗る事にした。こう云うベタなデートってあまり経験がなかったから少し新鮮だった。

観覧車の中では手を繋いでいた。

実はホテルなどは予約してない、成り行きに任せれば良いと思っていたし会って理恵が帰りたいまたは俺が帰りたいとなったら予約なんかしていたらバカな話だから。

理恵が帰れる電車の時刻は結構早く来た。

「理恵、電車の時間そろそろだけど帰る?それともうち来るか?」

理恵「リョウのうち行きたい…」

下りの電車はまだ余裕があったから少しイルミネーション街を歩いてから家に向かった。

マンションに理恵を招いて買ってきたシャンパンを2人で飲みながら話をした。

理恵は自分でもおかしいと思っていたけど文字だけの時から俺を好きになっていたと打ち明けた。

理恵「リョウは顔も知らない人に恋愛感情は持てないって話していたからずっと言い出せなかった、だから顔を知って欲しくて写真見せたんだ」って。

「惚れられるような事は一切してないと思うんだけどなぁ…何かしたかな(笑)」

理恵「何もしてないよ、いっぱい話したのに下心なくて自然体でサッカーしていたけど補欠だったとかそう云う話を聞いてて好きになったの、あぁこの人は嘘とか見栄とか無縁な人なんだなーって」


「そんな理由で?」

理恵「良いの!それにわたしの直感当たってたし」


説明されてもそれが好きに繋がるのが何だかよく解らなかったな。そんな人間くさるほどいるだろうに…

No.62 12/04/24 03:00
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

少し遡る

理恵と電話を初めてした日より数日前に俺はナオとの微妙な関係は終わった。

プロポーズをされたとナオから聞いた。

会社の同僚で他部署の先輩らしく会社の飲みで告白されたと

ナオ「結婚前提での付き合いをして欲しいって言われたの」

「いきなりプロポーズ?どんな人なの?」

ナオ「周りの評判は良い人、まだどう云う人なのかは解らないけど純粋そうな人かな」

「そうなんだ」俺は複雑な気持ちだったな、当然恋人って言い合う関係ではなかったけどナオは好きだったから少なからずショック、いやそれを話してきたナオにショックだったのかな?そう云う気持ちとナオみたいな女は有無を言わさずに幸せにします!って尽くしてくれる男の方が良いんだろうなって気持ちと。

だから複雑だった。俺にこの話をしたナオの気持ちも複雑だったからじゃないかと頭では解ってた。

ひょっとしたら俺が断れって言うかな?とかそんな気持ちもあったのかもしれない。

でも俺は

「良い人そうじゃん」って言った。それが意味するのは2人の関係を「終わりにしよう」って事。

ナオには変な男が付いて欲しくなかった、それは本音。だけど俺も変な男みたいなもんだなって考えたら会わない方が良いんだよな、本当はって答えになる。

綺麗事だけじゃない、俺はまだ色々引きずっていたからこのぬるま湯に浸かっていると楽だった、だからナオと付き合う事も離れる事も選択出来なかった訳で。

ナオ「うん」

不思議とナオとはあれこれ言葉を交わさなくても意図が読み取れた。

ナオもハッキリさせたかったんだろうな、28歳だったし。

だからその日はチョコと遊んでナオとはセックスしないで帰った。

帰る時のナオはいつもと変わらなかった。

ナオ「気を付けてね」

だけど俺はいつもの「またな」ってキスはしないで


「じゃあな」って別れた。

逃した魚はデカイ、多分そんな女だったと思う。


ナオは幸せになれてるだろうか?書きながら思った。

No.61 12/04/24 01:42
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

俺は理恵に一枚写真を見せた。

理恵「イメージしていたより怖くない、もっとゴツい人かと思ってた(笑)」

「全然ゴツくないよ、寧ろ逆じゃないか(笑)?」

理恵「でも本当背高いね、私リョウの顔好きだよ」どうイメージしていたのかは知らないがイメージより良かったらしい。

理恵「声聞きたいなぁ…」確かそんな風に言われた。

「電話?電話したいの?」

理恵「うん…イヤ?」

「別に良いけど、今?」


理恵「ダメ?」

「良いけど番号は?電話代掛かるから俺からかけるか?知らせたくないなら理恵からでも良いし」

理恵「わたしから電話したいって言ったんだから掛けるよ」俺は番号を知らせた。

理恵「今から掛けるね、緊張する♪」

「解った」

ブブブブ ブブブブ

バイブが鳴った。

「はい、もしもし」

理恵「理恵です…リョウ?」

「そりゃ俺だろ(笑)」

理恵「リョウだ♪」

「理恵の声小さいな(笑)」

理恵「き、緊張しちゃって、リョウはしてないね」


「いや、してるよかなり」

こうして理恵とは電話をするようになった。当時俺は自分の失敗からまずは真面目で一途な子と以外はもう恋愛はしないと決めていてネットって云う特殊な状況もあってか理恵が随分と真面目な子に思えていた、それにプライベートな時間の大半を俺とに費やしていたっぽい理恵からは一途な面も感じていた。

電話をするようになってからの理恵は俺に対しての気持ちを遠慮はしながらも表現するようになる。


俺って云う人間は多少変わり者らしいがそれでも平凡だし外見も別にイケメンではない、ボランティア精神も特にないし綺麗事ばかりが罷り通る世の中じゃない事も知っている、どちらかと言えば汚れた部類。

まぁそれでもフィーリングと云うか相性ってのはあるみたいで「安心する」と理恵に言われた、だから「好き」だとも。


文字から始まった理恵との関係は今では声で繋がりそしてその日は来た。

理恵「クリスマスまで後少しだね、リョウは予定あるの?」

「いや、仕事して帰るだけじゃないかな」

理恵「んっと…」
大体解るさ、じゃあ俺から言うか…って感じで

「理恵も空いてるなら会うか?」実際、住んでいるところは隣県でその気にさえなればいつでも行ける距離だった。

理恵「本当?良いの?本当に!?」

「理恵が良ければな」

理恵「リョウ~」泣いてた

この辺りでは俺も理恵が良い子だなって思うようになってたんだよな。素直だし真面目で。

No.60 12/04/24 00:37
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

理恵に聞いた

「どっちが理恵?」

理恵「向かって右の背が低い方」とか何とか

150センチぐらいしかなさそうな小さい子、顔は名前が出てこない。ナイナイだかに出てた元グラビアアイドルに少し似てたかな。

理恵曰く「リョウは顔も知らない人には気持ちは入らないって言ってたから…可愛くないけど」って。

普通の子だな、本当に普通にその辺にいる女子大生だった。

「イメージしていた訳じゃないからコメントしようがないけど可愛いじゃないか(笑)もらいっぱなしじゃあれだから俺もいつか送るよ」とあまり深く考えずに伝えた。

でも顔を知ると確かに少しリアリティーが出てしまいただのバーチャルだろ?って気持ちより一歩現実に近付いた気分にはなる。


恋愛に発展する切っ掛けなんて何処に転がっているか解らないもんだ。



渡辺さん「おかしいんだよ、今月は請求額が10万越えているんだよ…これならプラチナコースの風俗に二回行けたよ!」

関「ケーブル抜いててもですか?明日ノート持ってきてください」

翌日渡辺さんのPCを調べると何やら怪しげな接続ポートがあり。

経験者の男子諸君ならピンと来たのではないかな?

そう、0990と国際電話経由に切り替える怪しげなアイコンが出来ていた、1分200円とかそんなとんでもコース。

関「渡辺さん、PCの先生として言わせてもらいますけど…あーたエロサイトやアングラサイトばかり行き過ぎですよ(笑)」


渡辺さん「いやぁ、あっははは、面目ない!助かったよ、これでもう大丈夫なんだな?」

関「大丈夫じゃないですよ、また何処かで踏みますよ」

渡辺さん「安全安心のエロサイトライフを送るにはどうしたら良い?」

「そっち(笑)」

関「CTにでもしたらどうですか?それなら多分切り替えられないで済むと思いますよ」

渡辺さん「そうかそうか、ありがとうそうしよう!それより昨日またネットで知り合った女に会ったんだけどさ~」こんな人、身内なら嫌だけど好きだな俺。


性欲はないよりある人の方が多分何かとパワフル。

No.59 12/04/23 22:28
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

渡辺さんからこんな話を聞かされた

渡辺さん「あっははは、昨夜はさチャットで知り合った女とやってきたよ、はははは」ちょっと渡辺さん(笑)

「ちょっとマジですか??」

渡辺さん「何人かにはぶっちされたけど昨日の女とは会えたよ」信じられないぐらい行動力がある…(笑)

「すげーなぁ渡辺さん(笑)しかし怖くないですか?何かとありますよ?病気とかも美人局みたいのとかも」

渡辺さん「無駄金は持ち歩かない、カードや身分証も持ち歩かないようにしていれば大丈夫」どうやらヤバい風俗に行く時の心構えらしい。どんなとこよそれ?

渡辺さん「取り敢えずネットが一番コストパフォーマンスが良いね!はははは」

そんな話を聞いた夜に理恵に

「会社でチャットとかでバンバン会ってる36歳がいるんだけどアグレッシブ過ぎてヤバいよな」

理恵「同僚さん怖いもの知らずなんだね(汗)」

「チャレンジャー精神旺盛なんだろうけど、本当凄いな」

理恵「でもネットでもチャットでも皆が皆変な人ばかりじゃないでしょう?」

「まぁ普通の人もいるだろうけどネットだけでは判断するのは簡単じゃないだろうなぁ」

理恵「そっかぁ、そうだね。」

「男はまだ予防しやすいけど女は特に気を付けなきゃだろ、ネットに限らないけど」

理恵「うんうん、そうだよね。女の方が慎重にならないと傷つきやすいもんね」

「そう云う事、失敗したって大人なら自業自得になるんだから自分で選択して守るしかない」あれこれ言っても結局その場になれば忘れてしまう事ばかりだけどな

理恵から写真を添付したものを送ってきた。

そこには数枚の写真があり実家の舞踊教室もあった、他には理恵らしき女の子も写っていた。

No.58 12/04/23 21:56
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

全体的な雰囲気は福山雅治とか沢村一樹とか見たいなパッと見爽やかでエロ男爵ってキャラクター。

週末渡辺さんを交えて飲みをした。

酒がかなり好きなようで普段以上に流暢に話す、俺は渡辺さんから学んだのは「愚痴でも悪口でも言い方次第」って事だ。

同じ内容を話しても笑顔で明るく話すだけで随分とライトなもの聞こえる。

渡辺さん「いやぁ彼は変人だよね、ちょっと湿気があるのが残念だね、あっははは。」万事がこんな調子で爽やかな人だが酒が入り女の話になると別人のように語り出す。


ここでは文字にするのも憚れるような内容で俺とはやたら盛り上がってしまい、変な意味で仲良しになった。

渡辺さん「あっははは!よし俺もパソコン買うかな。AVビデオなんて時代は終わりだ、これからはワールドワイドだね、はははは」

即ノートパソコンをゲットし休み時間に関と俺に色々訪ねて来た。

オススメのサイトは何処か?お気に入りに入れるからURLを教えてくれと、仕事以上に熱心な渡辺さん。


36歳で婚約者もいる渡辺さんだが曰く、俺の性欲は彼女1人では受け止められない事は話してあるから公認なんだよと、即ち浮気と言うか性欲処理での事なら了承を得ているんだとか。


渡辺さん「いやぁ昨夜は前々から気に入っていた高島屋の化粧品売り場の28歳とさ、コンビニのバイト学生と週末デート取り付けたよ」こんな話ばかりのリアルヤリチン。下手なホストより凄いよ渡辺さん。

女からしたら近寄ってはダメな人間だが同性からすると楽しいってタイプ。

渡辺さんが来てから1ヶ月ほど過ぎて

渡辺さん「関君、プロバイダは何処にしてる?」

関「俺すか?俺は○○ですよ」

渡辺さん「うーん、請求が先日来たんだけど8万円なんだ。これなら風俗5回は行けたよ!」

関「それって定額じゃないからですよね?まさかダイヤルアップですか?」

渡辺さん「ISDNだったかな?」

関「ダイヤルアップじゃないですか。あれ危ないですよ?」

渡辺さん「でもそんなにやってないんだよなぁ」

関「繋いでない時はケーブル抜いておいた方が良いっすよ」

渡辺さん「そうか!はははは」

翌月もっと面白い事になるがそれはまたいずれ書く。

No.57 12/04/23 20:09
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

理恵は俺の子供時代とか学生時代をよく聞いてきた。

どんな子供だった?どんな遊びしていたの?彼女とかいつ頃作ったの?自分から告白する?される方?とか。


子供時代の話も俺と理恵は全く違う、男女差があるからそりゃ違うだろうけど山川走り回り悪さしては怒られていたずらばかりしていた俺と理恵はご両親に心配掛けないようにしていたなんて良い子の見本みたいな子供。

理恵「そんな事して怒られなかった?怪我しなかった?大丈夫なの?犯罪じゃないの?」と随分カルチャーショックを受けてるような。

因みに理恵は日本舞踊の家元の娘つーのを知った

「家元!?何かサスペンスドラマに出てくるような事件現場になるあれだな!?」ぐらいの認識がない俺には逆に理恵にカルチャーショック。

チャットとかネットだったから出会えた人種だってのがよく解る話だ。

最初信じてなかった(信じてはいたがノリで信じてなかったように接してた)から理恵が

理恵「じゃあ今度写真とか見せてあげるよ~」とか言ってた。今と違ってまだ写メとか全機種にあるような時じゃないから話だけだと思った。

仕事は随分と慣れてきた。

俺を含めて初日からいたスタッフは今は2人減って8人。またメンバーが個人プレーばかりするのが問題にもなりリーダー役を連れてきた。

渡辺さん36歳
爽やかな笑顔と柔らかい雰囲気の良い感じの兄さんだ。因みにPCは触った事はありますって程度だからシステム的な話は厳しいがメンバーの管理が仕事。

この人は強烈な人だったからかなり覚えている、仕事上の顔と業後の顔が違いすぎてね。

ただ篠崎やチーズにしても権力者が大好物なので渡辺さんには随分と摺り寄っていた、お陰で暫くは円滑になる。

渡辺さん「やぁ!小笠原さんも電車こっちなのかい?」

帰りに改札で会った。

「はい、○○線の○○駅住みです」

渡辺さん「そうかぁ、僕も○○線なんだよ。割りと近いね!」

そんな事もあり結構仲良くなれた。

No.56 12/04/23 19:06
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

暇を見て相変わらず俺はチャットしたりして遊んでいた。

ある時、理恵からメッセンジャーってのがあるって聞かされた、社内でも使っていたので俺は知っていた。
プライベート用のメッセンジャーを関にインストールや設定してもらい理恵にもやり方を教えてやり取りを始めた、2人きりのやり取りだから会話内容は次第に濃密なものとなる。

元々理恵もPCには詳しい訳でもなく暇潰しでしていたチャットで俺や中学生とのやり取りが楽しくなり今に至ったようで、恋愛とかで寂しさを紛らわしていたとか言っていた。

俺もそこまで鈍感じゃないからこの時期ぐらいから理恵に好意を持たれているのは何となく解っていた。


好意を持った相手の事は色々と知りたくなるのが人間だ。過去や現在も含め恋愛観とかにも踏み込んで聞きたくなるだろう、俺と理恵との会話はだいたいそんなものに偏っていた。

でもね、俺は顔も知らない人には惚れないよ!

そんなスタンスは変わらなかった。

理恵「リョウみたいな人には出会った事ないなぁ」変わり者と言われる事は嫌いじゃない、俺も認識はあるし。

「そうなの?何が普通なのかとか基準が解らないけどあまりいないんだ?」


理恵「うん、いない。そもそもチャットで仲良くなったりしてもアドレス聞かれなかったのはリョウだけ」

「アドレス?そうなんだ、確かに聞いてくる人は女でもやたらいるなぁ。」

理恵「教えてるの?」

「あんな誰が見てるか解らないところでアドレスなんか貼れないよ(笑)」

理恵「だよね♪」

こんな事を言うとあれだけど「俺飢えてねーし」ってのが当時の本音だったかな。

理恵には良い事だけを言われた訳ではない。

理恵「リョウは何でも話せる空気あるんだけど、リョウは話してくれないよね」

あぁ、話さないな。話す事もあるけど聞かせて引かれるのも経験で予測付く事が多々ある。そう云う事は相手を選ぶから、そうは言わなかったが

「話すような事がないんだよ(笑)」とはぐらかした。理恵は育ちの良いお嬢様、色々聞くとどうにも一般的ではない。小、中流家庭では普通実家が何軒も家を所持していないし親から金カードを渡されてるような学生もいない。

理恵から見たら俺はおそらく今まで関わりのなかったアウトローな雰囲気がある男だったんじゃないかな。

勿論、俺なんかがアウトローなら本当のアウトローな連中に申し訳がないのだけど。理恵は少しそう勘違いしていたっぽい。

No.55 12/04/23 17:22
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

愛子はどう考えても好きな男を忘れるきっかけにとたまたまいた俺を選んだんだろうな、多分それは間違いない。

吸い込まれるように愛子とキスをしながら頭をよぎった感想

かなり長い事キスをしてた、それはもう濃いキスを。

舌を絡めてお互いの口に舌を入れ合いながら舌を吸うよなキスを。

唇が離れた後はお互いの顔を直視出来なかったからそのまま向かい合って抱き付いた。

酸欠になりそうなぐらいキスをしていた事と初めてキスをしてこの後を意識してか心臓が2つあるみたいな鼓動感じた。

冷静な俺もまだ3割ぐらい残っていた、だからそのまま何もしないでいられた。葛藤していた、そのお陰で愛子の携帯が鳴った。

我に還った愛子は俺から離れて電話に出た、志保からだった。2人共現実に戻った瞬間だ、愛子は志保に俺とは一緒にいるとは言わずに友達とカラオケにいると話した。


危なかった…我ながら何をしているんだとホッとした。

愛子はこのカラオケから歩いて何とか帰れる距離に住んでいるみたいだった。

「愛子はもう帰れよ、タクシーならワンメーターだろ?」

愛子「でもリョウ君はどうするの?」

「またファミレスで朝まで時間潰すさ」

カラオケを出て愛子を見送りファミレスに入って自分の甘さにちょい自己嫌悪した夜だった。

これ以降愛子とは2人きりで会う事はなかった、お互い避けていたからだろう。

志保は勘が鋭いから何かあったんだろうと見抜いている節があったな、それが理由かは解らないが志保も愛子と何か喧嘩をして少しの間疎遠になってたぽい。

面倒嫌いなのに面倒に巻き込まれたり招いたり俺も相変わらずしょーもねぇ。


それなのに愛子とやっとけば良かったか?勿体ない事したかな、とか思うバカ(笑)


関にはどうやら彼女がいるらしい、聞いた話だとオタクカップルで良い塩梅なんだとか。

関「彼女と来年一緒に住みたいんですよね」

「同棲か、結婚前に同棲で最終テストってのもありだな」

関「結婚は解らないけど実家出たいんですよ、俺も相方も」

山本さん「そろそろ僕も彼女作りたいな」

山本さんは何か古風な雰囲気で着物が似合うような女性が好きそうだと話したら意外な事を言った

山本さん「いや、ギャルが良いな。イケイケなギャルと付き合いたい」

マジかよ(笑)

恋愛観や好みのタイプは本当に様々だ、自分に合う相性と好きなタイプが一致しない事もよくある。

No.54 12/04/23 16:43
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

愛子は愛子で悩んでいると言う、かなり辛いしまた前の男みたいに遊ばれている可能性も高いのは解っていると。だけど好きになっちゃったんだもん。

これが愛子の主張だ。

愛子「志保にも呆れられちゃった…」

「心配だから言ってくれるんだろ?」そこまで言わない俺はそこまで踏み込むつもりがないからで薄情なのかなとか思う。

愛子「そうかもしれないけど…志保はいつもわたしの好きな人を悪く言うし反対するもん…」お前達親友じゃなかったのかい?

「前の男もだけど客観的に見たら賛成しにくい男なら反対するもんじゃない?当事者は冷静ではいられないんだから」ヤバいな終電が…

愛子「そうだけど…グスッ」また涙ぐましむ愛子

参ったな、俺は慰め役とかは苦手なんだよ。

「泣くなよ、皆にみられるぞ」

「じゃあ人少ないとこでなら良いでしょ?」カラオケに移動した、歌う訳じゃなく話しやすいからって理由で。オール決定、俺も流されてるじゃねーか…


愛子「同性から見たらやっぱりないのかなぁ?」


「本音言って良い?」

愛子「うん…」

「まぁないな。ホストの時点でないし、ホストががっつり本命作るなんてのはあまりない。あっても前々からいたとか余程金あるとかそれなりの理由がある」


「恋人になれたとして枕営業許してやれる?」


愛子「やだ、無理」

少し現実的な話を続けたら愛子はまた泣き出す。

女の涙ってマジ勘弁だ。俺には彼女いないから誰に義理立てする必要もないからこのまま抱きしめて慰めてもありなんだが友人だからそこには越えちゃならないモノがあるしとただ隣にいるしか出来ない。

「俺みたいな男探せよ(笑)恋愛に器用過ぎる奴は危ないぞ」

愛子「そうだったら良かったのに、リョウ君みたいな人ならこんな思いしないで済んだのにな」

そんな話しながら随分長くカラオケにいた。

志保から「今日はお疲れ様」メールが来ていたがスルーした。


愛子「わたしね男の人の手好きなんだ、リョウ君の手も結構大きいね」なんかそんな話をして手を見せたかな

手のひらを合わせて…ちょっとヤバいかもよ?と感じたんだけどね。

こんな他愛もない事してる方が泣かれないし気楽だったから続けてた。

俺の最大の短所は情に流されるところ、親にも和人にも言われた事がある。不義理な事は嫌いだから彼女でもいれば流されないで踏ん張れるのにいない時は本当に短所が出てくる。


そしてまた流されちゃった

No.53 12/04/23 16:18
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

愛子がホストにハマッてると志保から聞いた。


ホストに惚れたって話らしい、志保曰く愛子は1人が嫌いな女らしく俗に云う恋愛体質って感じだ。

今度3人で飲みに行こうと約束をした。

何をやっているんだか…

男も女もその人生において出会う異性で道を大きく踏み外したり影響を受けて悪い方向へ流される人間がたくさんいる。ただ逆に良い影響や良い道へ誘導してくれる異性もいるはず。

3人で飲んだ時に愛子にそれとなく話を振ってみた。

「最近好きな人が出来たんだって?前の人とは終わったんだ?」

愛子「志保から聞いたの?」とちょっと余計な事をしやがって的な雰囲気で志保を見る。

志保「大した話はしてないよっ」ちょっと慌てて。

愛子「うん…まぁ…」

「どんな人なんだよ~?」

愛子「……ホスト…」

やっぱりそうなのか。

「マジかよ(笑)付き合ってるの?」

愛子「解らない、多分違う」

愛子は結構可愛いタイプで外見では絶対モテるはずなんだよな、しかしなぜかおかしな男にしか惚れてないような女。

アウトローが好きとかって女は実は結構いるんだよね、真面目な人を退屈だとか刺激がないだとか無い物ねだりをして結果アウトローに流れたり、自分に自信がないからかしっかりとした男と不釣り合いと感じて自分から離れる女とか色々。

「何でまたホストかなぁ…」

愛子「好きになっちゃったもんはしょうがないじゃん…」

まぁな、別に俺が口出しする事じゃない。しかし志保は反対意見を言う、友人歴が長いならそれぐらいの権利はあるだろうな。

志保「あの人の携帯とかだって営業用のでしょ?本命ならそんな扱いじゃないんじゃないの?」

愛子「だけど彼から連絡はよく来るし…」

グダグダな感じで志保がしっかりしなよ!みたいに諭して愛子は怒られてるみたいな雰囲気でテンションがた落ち。

俺はあんまり楽しくねーなって思いながら飲んでた。

でも愛子みたいなタイプって個人的にはかなり多いと思う、別に変わり者でもだらしない訳でもないけどズルズル流されて行く女は珍しくもない。男にもいるし。

志保と愛子とはそのまま別れて帰り道に愛子から電話があった。泣いていた。

ほらそこに落とし穴があるぞ、何となくそんな気配を感じたが結局少し心配で引き返して愛子とファミレスで会った。

俺はトラブルホイホイなのかもしれない。それも自業自得、自分で選択したんだから。

No.52 12/04/23 04:41
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

実際PCは未経験な訳でもなく父親と暮らしていた頃は家にもあったがゲームぐらいしかしていなかった。

また学生時代にも操作経験はあったがいくつかのソフトウェアをいじる程度。

関に品定めをしてもらいノートPCを購入した。

まずはブランドタッチが出来るぐらいにはなりたい!

関「遊びながら学ぶのが一番っすからチャットが良いですよ。」そんなお勧めからチャットをよくやるようになった。

これが結構面白かったりして暫くしてハマッていく。
そんな折りある女とチャットで知り合う。

同い年の理恵、学院生で真面目で女の子らしい性格。
何度かチャット内でやり取りをした。当時、いや今もそうなのかもしれないがラウンジみたいな感じの区分分けがされ同地域内の人達が集う部屋でなぜか中学生2人と理恵と俺のセットで仲良くなった。

その場かぎりの大した中身のない会話ばかりだったと思うしその程度だから記憶に残るようなやり取りもあまりない。

理恵「リョウは本当に自然体な人だね~」とかそんな事をよく言われていたかな。

「顔も知らない人に対して取り繕う必要ってあるの?」

理恵「逆に顔も知らないからこそあれこれ盛る人が多いような気がするけど?」

「そうか、それは気づかなかった!」

中学生のガキんちょ達には何か理恵と俺が夫婦みたいだとかからかわれていたけど顔も知らない女に惚れるような俺ではない!

それにまだ女にはちょい抵抗があった。

こうして俺のタイピングスキルは日夜磨かれて行く。

この頃は、たまにナオとも会っていた。

けどいつしか「ナオに甘えている」そんな気がして来ていた。このままで良いのかなとか、無駄に思案したり。

相変わらずナオはあまり詮索をしないし、話を聞いてくれるし居心地は良かった。

ナオ「そろそろ仕事慣れた?」

「まだまだかな、早くもっと色々出来るようになりたいよ」

ナオ「リョウなら出来るよ、飲み込み早いもん」

ナオは俺をどう云う風に見ていたんだろう、思えばお互い愛しているとかそう云う言葉を交わした事もなかった。

仕事は拘束時間だけはやたら長く終電間際や土日の出勤も増えて来て次第にナオと会う時間も減っていった。

No.51 12/04/23 00:31
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

山田以外は取り敢えず挨拶をしてくれて仕事を始めた。

もう一度書くが当時の俺はIT知識もスキルもほぼ皆無である。

篠崎やチーズや山田辺りはそれを小馬鹿にした態度がありありとしていたがやる事は皆未体験システムの仕様や操作な訳で基本知識の差はあれ何とかやって行く。


親睦会のような飲みを上司の関根さんが主宰で行った。

その席で山本さん、関とはある程度打ち解けた

関「家にもパソコンないんすか?マジすか(笑)?ある意味凄いっすね」

とかそんな調子で。

山本さん「僕はこんな人間だから誰も近寄って来ないんだよね」こんな人間とは見た目と声がゴツい、雰囲気も寡黙な感じ

「そうなんですか?声めちゃ渋いじゃないですか。俺その声だけで尊敬ですよ(笑)」

山本さん「ありがとう」と渋い声で。日本酒が似合う男だ

しかしながら直感とは結構当たるもので篠崎、チーズ、山田はどうにも好きになれそうになれなかった。

仕事も慣れて来た頃になると暇な時間帯も嫌でも出てくる。システムを試験的に利用している企業からの設定やテストに立ち会うなどが主な業務だが待ち時間みたいのが出てくる為だ。


関「パソコン買わないんすか?」

「いや、近々買うよ。何買って良いのか解らないんだけどさ、今度仕事あがりに付き合ってよ」

関「良いっすよ」

俺はパソコンを購入する事にした。


「つかさ、PCで何やる訳?ネットとかってもよく解らないんだがゲームとか?」そんなレベルの俺。


関「まずはネット環境作ってからすね。会社でもインターネット出来るじゃないですか、それで暇な時に色々遊べるし。」

よし!暇な時間に会社でちょいインターネットやるか!と悪巧み。当時って社内セキュリティも甘くインターネットはやり放題でした。

仕事中に暇な時間では色々なサイト巡りなどをしメッセンジャーやチャットとかその類いのものも関から教わり遊んだ。

オタクの世界つーか、意外におもしれーな!って感じになっていた。

山本さん「小笠原君は前職は何をしていたの?」

「バイトですけど酒飲んでました」

山本さん「お酒飲む仕事なんかあるのかい?」

「あ、いや水商売ですよ」

山本さん「おぉ…何だか面白そうな世界だね」

「いや、しょーもない世界でしたよ(笑)」

数週間もすると関や山本さんとはかなり仲良くやれるようになった。

そして遂に念願のPCを買ったぞ!

No.50 12/04/20 20:38
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

第3章 パソコンとストーカー

久しぶりにサラリーマンに復帰した。

8月の暑い日の昼間に着るスーツの非効率的な事を思い出した。暑がりな俺は汗だくの毎日。

パソコンが今よりかはまだ普及していない時代、それでもITバブルと言われるこの時期、俺のように未経験でのエンジニアやプログラマーを目指す輩が沢山いた。

ブラインドタッチは勿論出来ない、インターネットの知識もソフトウェアの操作経験すらほとんどない。

1ヶ月は社内にてお勉強をしてから当時よくあったアウトソーシングで都内の超一流企業に入る。

ふ、ホストよりまだこっちの方がしっくりくるわ…

そして配属先の部署にて新プロジェクトの一員として横一線のスタートをきった。

挨拶と自己紹介を済ませて仕事の説明を受ける、しかし新プロジェクトなので役割すらまだハッキリしていない。当面は試験運転中のシステムの仕様と操作などを身につける事から始める。


同期の面々を見渡すと

デブ、白髪、デブ、オタク、茶髪、デブ、オタク…

何?俺が一番まともに見えるぞ?間違いなく俺が一番まともだ。

大部屋の隅っこに10人ほどのエンジニアがシステム仕様の勉強などを黙々とカタカタやっているうちの1人として在籍する。

最初に白髪メッシュのデブが話し掛けて来た。

メッシュ「君何処から来たの?」

「○○からです」

メッシュ「あ、俺篠崎。よろしく」

一際異彩を放つこのデブは白髪に染めてメッシュすら入っている。エンジニアとしては優秀な部類だからこんななりでも許されてるようだが痛いのも間違いない、32歳とかだったかな。高飛車。

その隣にいるデブが俺がチーズとあだ名を付けた下川34歳の典型的な変態型オタクの陰気な根暗男。

俺の正面に座るのが茶髪の変な奴、山田。ホラ吹きで勘違いしてるタイプの変人、口数は少ないがいつもモニター見ながらニヤニヤしている、23歳。


俺の隣がオタクぽい風貌の小柄な男、見た目は怪しくはないが歳上かと思いきや22歳の最年少の関。

その隣にいる角刈りのメガネを掛けた人、山本。28歳、声が藤岡弘と同等の渋い声をしている。

他は取り敢えず割愛する。

以上が暫く関わりがあるメンバーだ、異様過ぎる面々であり今までとはまた違ったヤバさがプンプンする。

「小笠原です。よろしくお願いします。」


No.49 12/04/20 19:07
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

叔父の陽気さとは裏腹に俺は気が晴れない日々を過ごしていた。

就職活動をしながらバイトして大した目的もやりたい事もなくただ生きてるだけ。

人生はクソだな!そう思ってた時期だった。

哲学者みたいな事とか考えてたと思う、考えたからといって答えなんか出ないんだけどね。

モヤモヤするとナオに会いたくなる

ホスト辞めてから1ヶ月ぐらいが過ぎた頃、叔父宛の書類が届いた。そこには養老施設からの入所時期の確認とかそんな書面だった。

え?何これ?

叔母が勝手に契約していたらしく老人ホームへの入所申し込みをしていた。

しかし叔父はそれを見て


叔父「俺入るぞ」と言い出した。

「はぁ?何でさ?どうして?」

叔父「良いんだ良いんだ、お前にも迷惑掛けたしな。客気分で施設に入る方が気楽だ」

「じゃあここ売るの?」


叔父「ここは売らない、お前が住め。好きにして良いけど俺がたまに帰ってくる時は飯出してくれよ」

本当にあっという間に叔父は施設に入ってしまった…

何だよそれ。こんなん俺は望んでなかった、それにちょっと重荷だし俺は就職したら職場近くに引っ越しするつもりだったのにって気持ちもあった、何より叔父は大好きだったから悲しかった最後まで反対した。

けど叔父は月1で帰ってくるからよ、と悠々と出て行った。

あのバカ笑い声が聞こえないのもなんだかつまらん


俺はその年の夏にベンチャー企業のシステムエンジニアの卵として就職をした。

第2章 完

No.48 12/04/20 18:43
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

結果は黒だった

マンションは叔父が亡くなったら叔母の物になると云う内容の契約をされていた。

しかしこれには叔父の同意が必要不可欠である。

叔父は実際かなり物忘れは激しい、状況の認識力も低下している。叔父に身に覚えがないか聞くとどっかの事務所に叔母と行った事が何度かあると言うが何しに行ったのかは知らないと(汗)

司法書士?「そうなると法的には有効ですよ…」

叔父「洋子になんか何一つやらないよ!」

司法書士「ですが…破棄しないとこのままですと」

叔父「破棄するから手続きしてくれ」

司法書士「破棄にはその妹さんの同意が必要になるんです…」

うわぁ(-_-;)

これはプロの仕業だなってぐらいガチガチの契約をしたようだ。

叔父は収まらない、顔を赤くして「絶対に渡さん!裁判してでも取り返す」と息巻く。


事前に母に話をしていたので顛末を叔父から話をすると「兄弟会議するしかないわねぇ…」と。

母「私じゃお姉ちゃんは聞く耳持たないしお兄ちゃんがこの調子じゃダメでしょうから、直治お兄ちゃんに相談してみたらどう?」

三男の叔父

この叔父も怖い人で曲がった事にはうるさい人だ。

結果的に直治叔父さんを含めた4兄弟(他にもいるが遠方な為)による話し合いがもたれた。

裁判になれば叔母が不利だろう?素直に返せば通帳の件は半額で良いと叔父の提案を直治叔父さんも叔母に飲むよう勧めた。

無事取り戻しに成功したが俺は叔母から最後に

叔母「この恩知らずめ!」と残金返済時に金を投げつけられた(-_-;)俺かよ…

今も法事などで顔を合わせても目は合わせてこない。

本当に良い迷惑だ!ま、叔父に恩返し出来たかなとも思うからよしとするか。

人間関係の真の修羅場は恋人夫婦ではなく肉親です。

故に骨肉の争いなどの言葉が生まれたんだろう。

叔父もこれで安心して暮らせるだろう、通帳管理は母に任せた形だが元金は直治叔父さんも把握し俺も把握、相互監視じゃないけど面倒な形だが不正出来ない状態で行う事になった。

叔父「わっはははは!」

そんな叔父は「お母さんと一緒」を見ながら呑気に大爆笑している。

No.47 12/04/20 18:13
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

ホストを辞めて数週間はブラブラしてた。金の事もあるから近所の結婚式会場兼ホテルで配膳のバイトをしながら。

この頃は志保や愛子ともちょこちょこ遊んでた、一度だけユウも交ぜて。

ナオとはお互い会いたくなったら連絡して泊まりに行ってた。

叔父「洋子こねーなぁ」

「自分からは来ないでしょ」

叔父「リョウ、呼んでくれよ」

ま・た・か!?

「えー?俺もう嫌だよ、恨まれるの俺だよ?」

叔父「頼むよ~、お前しか頼れないんだよぉ~」

いつもこの調子だ、何だかんだで老人は強かで小賢しい、伊達に長生きしてないんだよな。

「乗り掛かった船だから仕方ないけど俺はフォローするだけで叔父ちゃんがちゃんと主導でやってくれよ?」

叔父「解ってるよ~」

本当かよ…

叔母に時間がある時で良いから通帳持って来てと叔父からの伝言をした。

数日後叔母が来た。

叔母は席に付くとカバンから通帳の束や印鑑などをドサッとテーブルに置く、いつもの笑顔はなくかなり不機嫌そうだ。

叔母「はい、これで良いわね?じゃあ帰るわよ?」

「ちょっと待ってよ」

叔母「忙しいのよ、何かあれば電話ちょうだい」そう言うと俺を振り切りとっとと帰ってしまった。

ただここで問題なのは叔父が貯金額を把握していない事だ。しかし通帳を見ていくと驚く出金が多々ある。
特に叔父の奥さんであった喜美子叔母さんの保険がおりた数ヵ月後に800万とか出てる。

「こう云う出金は叔父ちゃんは把握してたの?こんなに早い時期から通帳渡してたの?」

叔父「喜美子が死んで少ししてからだよ、金は洋子に任せていたから俺は解らない」との事、トータル2000万ぐらいこの3~4年で使われているんだけどやり過ぎじゃね(笑)と流石に俺も呆れた。

しかし叔父にとっては笑い事ではない。法的手段に訴えてでも取り返すと言い出した。

叔父「知り合いに弁護士がいるから相談する、リョウも来てくれ」との事、マジ面倒~

数日後に叔父に連れられ、いや叔父を連れて事務所に来た。

細かい事は忘れたが立証が難しいとの問題がある、叔母は叔父が脳梗塞でまだらボケなのを利用して嘘を付くだろう、認めないだろうと。

いくつかは追及出来るかもしれないが全部は不可能だと、また弁護士が云うには「渡したのは通帳だけですか?権利書などは大丈夫ですか?」と。

権利書…マンションのか!?

帰宅して探したがない…ありませんでした(笑)

叔父は渡してないとの事で不安になり権利が今どうなっているか調べてもらう為に確か司法書士だかに依頼した。

No.46 12/04/20 13:58
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

ナオはあれこれ聞いては来なかった。

黙って味噌汁作ってくれた。

ナオ「顔…殴られたんだ!?大丈夫?見せて」

「大丈夫…」

ナオ「ふふ、リョウのそう云う顔初めて見た」

「そう云うの良いから」

今日の経緯を話した

ナオ「らしくて良いと思うよ」

「よくないよ、俺がキャッチしなきゃこんな事にはならなかったんだ」

ナオ「17歳だってもう大人の仲間入りしてる年齢だよ、人に勧められたからって良いか悪いかの判断ぐらい付いて自分で選択したんだと思うよ?」

「…」

ナオ「リョウは潔癖よね(笑)」

「うるせー、自分でも理解してる」

ナオ「そう云うとこ好きだけど」

こんな会話をした。ナオは包容力ある女だったな、だから変なのが寄ってくるんだ、俺みたいのも含めて。
女も良いもんだなとか思い直してた気がする

夕方まで寝かしてもらいナオの家から少し早めに店に行った

「ありがと、店行ってくる」

ナオ「このまま行かなくても良いんじゃない?」

「スーツとコートもあるし取り敢えず辞める事だけは伝えてくるよ」

ナオ「気を付けてね、行ってらっしゃい」

店の前で鍵を開けてる名無しホストがいた。一緒に中に入り暫くするとオーナーが来た。

「すいません、辞めさせてください」

オーナー「あん?そうか、今月の給料なしか来月までただ働きかどっちが良い?」

「給料なしでお願いします。」

オーナー「ご苦労さん」

他のホスト達が出勤してくる前にとっとと店を出た。

こことも今日でお別れだ…あんま感慨深くもねーけど、色々勉強になったな、なったか?とか思いながら店を後にした。

帰り道でユウとヒロさんにだけはメールしといた。あっけないもんだ、遊び友達すら出来なかった勤め先は初めてだったな(笑)

また無職だぜ…そろそろ戻らなきゃなと考え出してた。


志保や愛子も辞めて良かったと言ってくれた。

亜衣には知らせてない、千夏にも連絡はしてない。ホスト用の携帯はすぐ解約したからその後の事は知らない。

経験者だからこそ批判する資格もある、学ぶ事もあるけど失う方がデカイ気がする世界、基本的にろくでなしが多い世界、欲まみれの世界。こうして俺の短いホスト生活は終わった。

No.45 12/04/20 13:02
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

母に話したら今度叔父と話してみるとの事だった。

これ以上矢面には立たない方が良いとも言われた、そりゃ俺も好きで出た訳ではないから控えると伝えた。

同時期に店でもゴタゴタがあった。

千夏と愛奈がしているバイトとやらが売春だった事を知る


千夏に当然恋愛感情なぞない、好きかと聞かれてもそれすら怪しい。ただ17歳のガキが不必要に汚れていく様を見ていたくなかった、それが俺を指名する金欲しさだったなんて、見て見ぬふりをしていられなかった。

知ったきっかけは愛奈がポロリしたからだ

愛奈「今日の客マジキモいおっさんでさ、サービスしてくれたら倍出すとか言って~」確かこんな会話をしていて突っ込みを入れて発覚。

「お前ら何してる訳?バカなの?」

千夏、愛奈「そんな言い方される覚えないし!余計なお世話だよ!」

「余計じゃねーだろ、ふざけんな、そんな金で来るなよ!だいたい販売のバイトじゃなかったのかよ?いつからだよ?」

千夏が指名で来たある日、俺はナオに指名されヘルプに晃が付いた時、勧められたと言う。俺は取り敢えずこの2人に二度と来るなと追い返した。

他のホスト達にも聞こえていた。

俺は晃に詰め寄った。

「晃さん、俺の客に余計な入り知恵すんの止めてもらえませんか?」

晃「はあ?何だおま?誰に口聞いてんだよ!!」

胸ぐらを捕まれたが楓さんが来て2人共連れ出された。当然俺が殴られた

事、ここに到ってはもはやホストなぞ続けて行く気もなくなった。

晃には帰り際に「バックレんじゃねーぞ!」とか脅されたが知るかタラコ唇が!と思った。
その日は説教をされたが話なぞ聞いちゃいなかった。
仕事終わりにまだ寝ている時間帯なのは解っていたがナオに電話した。ナオは意外と早く電話に出た。

「朝早くにごめん、ホスト今日で辞める」

ナオ「どうしたの?何かあったの?」

「大した事じゃないけどホストやってて俺は染まらないと思っていたけど間違っていた」

ナオ「今から来る?」

「うん…」

17歳のガキがどうなろうが知ったこっちゃなかった。
けどあいつらが道を外した原因は俺にもあった、大人なら自業自得だって鼻で笑えた事も大人に騙されて唆されて道を踏み外すのを目の前では見たくなかった。
なぜか落ち込んでしまった。こう云う時はナオに会いたくなっていた。

ピンポーン

ナオ「あがって」

「仕事これからだろ?ごめん」

ナオ「風邪引いたって休んだ(笑)」

こう云うのに弱かったんだよな当時、女に甘えたのはナオが始めてだった。

No.44 12/04/20 11:57
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

叔母「なぁに?リョウ」変わらずの笑顔だ

「叔父ちゃんに頼まれてさ、この前これ銀行から取り寄せたんだ」入出金履歴を叔母に見せる

するとみるみるうちに叔母の顔面が硬直していく…

叔母「何かしらこれ…」少し引きつった顔で目を通す

「これを見ると本来なら元金と年金の入金で1000万近くあるはずなんだけど500万ほどしかないんだよね、叔父ちゃんはこれらの出金が何に使われたのかを説明して欲しいって事で今日来てもらったんだ」

叔母「これはね…」少しピクピクしていた叔母はまた笑顔に戻って

叔母「これはあれよ、リフォーム、リフォームよ。」

「え?リフォームの代金なの?」

叔母「そうよ~、リフォームよ。お兄ちゃんまさか忘れちゃったの?困ったわねもう」笑顔に戻り饒舌に話し出す叔母

叔父「リフォームなんてしたっけか??うーん…」叔父は考え込む

「リフォームなんかしたんだ?何処も変わってないけど、何処をしたの?」

叔母「えーと…床下よ、そう床下や水道管とかよ。」
「そうなんだ、領収書はあるんだよね?」

叔母「ど、どうかしらね~お兄ちゃんに渡してあるわよね?」

叔父「もらったかぁ?うーん…」オイオイいくら物忘れがあるとは言え押し切られるのかよ

「リフォームはそれなら良いや、でもさ出金はここ3年に渡り5回に分けてされてるよね?こことここと…」

叔母「あら…」また顔がピクピクしてくる叔母

叔母「何に使ったかしら…随分前だからねぇ…」

叔母「あ、そうよ!金利が悪いから他の通帳に移したのよ」

「じゃあその通帳今度見せてくれる?叔父ちゃんもそれで良いよね?別に叔母ちゃんを疑ってる訳じゃないんだし移しただけなら問題ないもんね?」

叔父「お、おぉそうだな。うん、洋子悪いが今度持ってきてくれな」

叔母「今度…?」

叔父「それとお前には他の通帳も預けてたな、確か○○信用金庫のとか○○銀行のもあったな?」ここに来てノリノリである

叔母「え、えぇ…でも私も店があるから忙しくて」

「あぁ、だったら取りに行くよ?」

叔母「あら…悪いわそれじゃ…じゃあ私は用事あるからまた寄らせてもらうわね」叔母は足早に逃げ出した

「あー緊張した…こりゃ俺叔母ちゃんに恨まれるよ」

叔父「ありがとうな、リョウうんうん」今度は満面の笑みを浮かべるのは叔父だった

下手な事になる前に母にも話しておくか、はぁ気が重いつーか何か損な役回りだぜ…

No.43 12/04/20 11:35
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

ナオにしても亜衣にしても女が体を委ねる時は多分男よりかは複雑な理由があるんだろうとは思う。良い意味でも悪い意味でも面倒なんだけどね。

男だって勿論、誰彼構わずオッケーなんてのはアホな訳だが…


さて、夜はこんな事ばかりをしていた時期だが昼は昼で叔母との話し合いがあった。

まず叔父から委任状を託された俺は銀行にて叔父の入出金履歴を数年遡って見せてもらう事が出来た。コピーをいただき叔父と確認するとそこには!


「この金の動きは勿論報告ないんだよね?」

叔父「ある訳ないだろ!何に使ってるんだ!?」

ざっくりと言えば預けた当初から500万減っている。

100万単位で5~6引き出しがある。しかし通帳はこれ1冊ではない、他にも数冊あるとの事、中には叔父の妻である叔母の生命保険の保管通帳も。

「で、どうするの?」

叔父「どうするもこうもないよ、少しぐらい使ったって預かってくれていたんだから構わなかったけどやりすぎだ!バカにしやがって」

温厚な老人に変身した叔父もこの時は随分怒っていた。

「けどなぁ、こう言ってはなんだけど俺あまり首突っ込みたくないんだけど…」
叔父「そんな事言うなよぉ~」

すがるような顔で言う…

叔父「俺は金の事は喜美子に任せきりだったから細かい事は解らないけどよ、人が汗水垂らして老後に蓄えた金をこんな風に取られたんじゃ喜美子に合わせる顔がねぇよ…」

ごもっともだ

「まずは叔母ちゃんと話し合うしかないか、叔父ちゃん自分の口からちゃんと話してくれよ?」

叔父「勿論だよ、リョウすまんな」

こんな流れで俺は叔母を呼び出した

叔母「はい、お邪魔します」

「いらっしゃい」

叔母「改まって話って何?」叔母はニコニコして聞いてきた、普段から愛想の良い叔母だ。

「叔父ちゃんが話したい事があるんだってさ」

叔母「お兄ちゃんが?何?」ニコニコ笑顔で叔父に聞く

叔父「あのよぉ…えっとな…」

叔母「何よ~?私も暇じゃないのよ~?」ニコニコ顔である

叔父「っとよ…お前に預けた…えっと…通帳なんだけどな…」歯切れが悪く何だか弱々しく切り出す叔父

叔母「通帳がどうしたの?」相変わらず笑顔だ


叔父「返してくれ、頼む」

叔母「何でいきなり?何か買うの?ん?」笑顔だ


叔父「いや…っとよ…」
叔父はなかなかそれ以上切り出せずに数分黙り込む

叔母「無駄遣いしちゃうから買う物もないのにお兄ちゃんに渡したら義姉さんに申し訳立たないわよ~」叔母はこう切り返した

叔母「それだけなら私も用事あるから行くわよ?」

叔父「お、おい…」

ふー…仕方ないか

「叔母ちゃん」

No.42 12/04/20 02:14
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

ナオ「こんな時間になっちゃってごめんね」

「あぁ良いよ、ドタキャンされなくて安心した(笑)」

ナオ「人聞き悪い~用事あったから遅くなっただけ!」

「はは、ごめん。解ってる」

ナオが居酒屋とかが良いって云うんで適当に安居酒屋で最初は飲んだ。

ナオ「何かさ、こうやって男の子と遊んだり飲んだりしたのって本当久しぶりなんだよね、だから凄い楽しい♪」

「そうなの?男友達いないの?意外だなぁ」

ナオ「いたけど元カレ、あ、レイね。あいつが嫉妬深くて携帯捨てられたり友達でも男は許さないみたいな奴だったから」

うーむ、金には汚い、嫉妬深く自由を与えない、しかしホストはやる。良いとこあんのか?とか思ったが当人にしか解らないもんがあったのかな

「そりゃハードだ、束縛は度越すと嫌だな」

ナオ「リョウは束縛しないタイプでしょ?」

「俺?さぁどうかな。ナオは?」

ナオ「はぐらかした~。わたしは少しするよ、嫉妬もね♪」

「へぇ、でも嫉妬は少しぐらいならされた方が嬉しいわ。束縛は内容による(笑)」

こうやってお互いの性格を知って行く過程が楽しい、ガッカリする事もあるけど

思い出した、ナオは菊川れいに似てた。菊川れいは嫌いだけど(笑)

居酒屋を出たのは1時過ぎ。

終電はない訳でオール決定な状況で2軒目がなかなか見付からない。

ナオ「うちで飲む?ここからタクシーで20分ぐらいだし、チョコにも会いたいんでしょ?」チョコって名前だったかは失念したがポメラニアンを飼ってると話てた

「ナオの家?お邪魔していいなら行く!」

ナオ「今日一番の笑顔だし(笑)」

とか突っ込まれた


タクシーの中で手が触れた時にナオから握ってきた。ナオからのサインだと思った。


部屋に入ったら玄関でお互い抱き合いキスをした、滅多にある事じゃないがお互い求め合ってるのが解ってる時は言葉なんかなくすぐ始まる。

そのまま服も脱がして部屋に辿り着く前にナオも俺も全裸だった。朝までずっとしてた。

昼前に起きてもまたした。
でも俺だけじゃなくナオも恋人は暫く作りたくないそんなところがあった、セ○レじゃないけどはホストを辞めた後もたまにナオの家に泊まってた。

こんな俺をナオはよく

「リョウは誠実だよね♪」
とか意味不明な事を言っていた、そこまで男運がなかったのかと。


こんな関係が続いたのはお互い傷付きたくなかったからだと今は思う。恋愛に臆病になった男と女の小さな言い訳で成り立っていた関係

No.41 12/04/20 01:31
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

ドンペリっても一番安いのね

5万~70万の差があったかな確か、酒だけが飲みたいなら酒屋で1万あればロゼや金以外なら大体買えるからそっちオススメ


亜衣とは枕でした訳じゃなく本当流れと性欲で。

始めて店に来てくれた時にすでに結構酔っててうちで潰れた。

送迎はもうなかったみたいだし家知らないしで俺が連れ出して店近くのホテルに連れてけってなりそのまま。

亜衣も俺に惚れてる訳でもなくそれから数回お互い性欲を満たす為にセックスを重ねた。

水商売人同士でお似合いな関係

指名に付いてもあまり無駄話はしない、しても亜衣の苦労話を聞いていたぐらい。

亜衣「付き合う男付き合う男が借金まみれか暴力男か浮気者ばかりでさ、まともな男なんかいないよね」

「男も女も似たようなもんだな」

亜衣「見る目がないだけ?」

「見る目は俺もない。でもさ自分の居場所にも問題あるんじゃね?」

亜衣「居場所?」

「夜の街にいたら出会うのも俺みたいのばかりだろ(笑)」

亜衣「あはは、確かに。」

亜衣「でも今更水以外でやっていけないもん」

「22歳で何言ってんだよ」

亜衣「リョウは違うの?」

「俺は他の人とは違うとかそんな事は言うつもりはないけど、ホストは長くても今年末までって決めてる。またサラリーマンに戻るつもりだよ」

亜衣「そうなんだ~、偉いね」

亜衣とまともな話をしたのってこれぐらいしか記憶にない。

良い子だったかどうかもよく解らない女だったけど、他のキャバとはちょっと違うタイプだったかな。

5月ぐらいから俺は結構汚れてく、枕営業はしてないが女関係はちと乱れてた。
店には来なかったけどキャッチで声掛けた子とプライベートで会ってセックスした事もあったし

ナオとも2回目のデートでセックスした。

セックスに金を絡めるのがなぜか今も昔も抵抗あったんだよな、一晩限りでも損得なしでしたいつーか…

最初のデートはナオから誘ってくれたから次は俺が誘った

「もしもし、ナオ?」

ナオ「リョウ、どうしたの?」

「明日定休日だからどっか行かない?」

ナオ「明日か~」

「何か用事あった?」

ナオ「うーん、何時から?」

「ナオの空いてる時間で」
ナオ「夜遅くなるけど良い?」

「ナオが良いなら何時からでもオッケー」

そんな感じで時間帯からして飲みに行く事になった。

No.40 12/04/20 00:06
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

千夏と愛奈が来た。愛奈は晃を指名していたユウ残念がる。

千夏「今日は金持ちだよ~ドンペリ入れてあげるよ♪」

「また給料日?先々週ぐらいも言ってなかったか?」
千夏「給料入ったの!」

「バイトって何だっけ?販売員とかだったか?」

千夏「もう辞めたよとっくに」

「そうなんだ、今は?」

千夏「色々してる~、そんな事よりドンペリ入れてあげるよ?」

「バカ、高いんだぞ?無駄遣いしないでジンロ飲んでなさい」

千夏「子供扱いしないでよー!うぎー!」みたいに騒いでいたがバイトちょこっとやった金で足りる訳ねーだろうが。

千夏「でもリョウはいつまでたっても売れないね!頑張らないとダメだぞ営業も」

「売れねーなぁ本当に、営業ねぇ~向いてないんだよなぁ」

千夏「もっと顔見たいとか会いたいとかメールとか電話したり枕とかもやるもんでしょホストなんだから!」

「そうだなぁ~がんばるよー」

千夏「ヤル気なっ!売上の順位貼り出し見たけど下の方じゃんよ~」


「上から10番ぐらい下から8番とかね」

千夏「もっと上行ってよーあたしも協力するから♪ねっ?」

子供だからか解らないが千夏はマジホストにハマる要素満載過ぎる。これぐらいから少し心配になって来た

俺には志保、愛子、千夏の他にもう1人キャバ嬢の亜衣って女が毎週指名に来てくれていた。

ラーメン屋で酔っていたのもあって支払いで一万渡した時に少し離れたカウンター席にいた亜衣も会計待ちしてて店主が亜衣がカウンターに出していた一万見て、俺への釣り後に細かいのがないとボソッと話したからそこの人の分も俺の金から引いてって事にして店出たら困るみたいに亜衣に言われて

「あー大丈夫大丈夫」みたいに言ってたら

亜衣「○○のホスト?」

とか言われた。

「よく知ってるね、当たり」

亜衣「わたし前に何回か行った事あるし、ヒロとかとキャッチしてるの見た事あるもん」

繁華街の住人はよく見てます。ヒロさんは有名人だかし

亜衣「わたしもここで働いてるけどね」と名刺渡されたから名刺交換した。

それがきっかけで仕事あがりにたまに来てくれるようになった。

顔は化粧ありだと今で云う押切もえ?素っぴんは千秋

実は何回かした(笑)

しかも売上は亜衣が1人で稼いでくれてるような感じでよくドンペリ入れてくれた。

No.39 12/04/19 23:29
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

駅から少し離れた港の見える公園をぶらついた、もう初夏を思わせる5月だった。

ナオ「こう云うデート何か久しぶり~風が気持ちいーね♪」

「俺も久しぶり、汚れが洗われるみたいだ(笑)」

ナオ「ふふ、リョウはホストだもんね」

むう…可愛い顔しやがって、好きになってしまいそうだぜ

「ぽくないけどね」

ナオ「でも皆最初はそうだったよ、辞めたショウヘイ君とかも最初は凄いウブだったけどやっぱ3ヶ月もしたら変わったもんなぁ」

「俺も3ヶ月目だ」

ナオ「にしては板に付いてないね(笑)ホストしてるって信じてもらえないでしょ?」

「そうだなぁ、そもそも俺はバーテン募集だからホストやるタイプですらないから」

ナオ「そうだったね!それじゃあ馴染まない訳ね」

「そろそろ行こうか?」

ナオ「うん」

映画は確かハンニバルってのを見た(笑)お互いアクションとかが好きだったから下手な恋愛ものとかよりよっぽど楽しめた。

ナオ「これからお店?」

「そうなんだよなぁ~ナオともっと遊んでたいけど休むとヤバいからそろそろ行くよ」

ナオ「同伴してあげよっか?」

「え?うーんいいや(笑)」
ナオ「言うと思った♪」

「試された…じゃまたね、気をつけて帰って。」

ナオ「今日はありがとう、楽しかった。また遊ぼうね」

「俺も、またメールするよ」

マジでナオにちょい惚れかけてたね、でも出会いがあれだからなぁとか。

それから少しして店でヒロさんがキレた。

ワキガもといアケミが明日香に掴み掛かって喧嘩になり仲裁していたヒロさんに水を掛けたからだ

ヒロ「てめぇ調子に乗ってんじゃねーぞ!!」バシッ!

いいぞ、やれ!ってダメか

アケミはヒロさんに叩かれて反抗しようとしたが更に追い討ちで叩かれてごめんなさいさせられてた

指名客同士のこうした嫉妬から来る喧嘩やいざこざはたまーにある。

ま、雑魚ホストの俺には関係はない訳だが

ヘルプオンリーな日は尋常でない量を飲まざるを得ない為に閉店後は真っ直ぐ歩くのも簡単じゃない、1年前に酔い潰れ犯された俺はもうないない。頭痛や吐き気は限度を越えれば起きるが意識喪失はしなくなった。

No.38 12/04/19 22:41
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

叔父に聞いて郵便の年金額を見せてもらった。

2ヶ月間で50万近い額…ぬぉ、意外と高い(笑)


それで叔父に掛かる金額は光熱費、管理費、程度

月3万の小遣いだから月15万は残る計算か、となると叔母に預けた期間4年とかぐらいだと満額あるならその通帳には最低500はある。


なぜこんな計算をしたかと云うと叔父がもう返してもらう、返さないなら法的手段も辞さぬ!と言い出したからだ。

「叔父ちゃん、取り敢えず叔母さんが使い込みしたかどうかも解らないし貯金しててくれたらあんまりだから調べてからにしようよ?」

叔父「どうやって調べるんだ?」

「そうだなぁ…例えば銀行に入出金記録を見せてもらうとかかな。本人証明か代理人たてれば数年間のは見れるはずだよ」

叔父「それじゃリョウ頼むな」

なにぃ?

「俺がやるの??何でさ?」

叔父「頼むよ、俺じゃうまく説明出来ないんだよ。な?」


利用されてるんじゃないだろうな(笑)?

取り敢えず委任状が必要だから手続きをして銀行へは後日行く事にした。叔母がどう云う運用しているかによっては…面倒くさそうだな。

今日は昼過ぎにあのナオさんとデートの約束、映画に誘われた、いや流れでそうなっただけだが。

ぶっちゃけるとナオさんタイプだった、当時は少し年上が好きだった事もあり興味はあった。

女恐怖症でも性欲はあるしね!

駅前で待ち合わせをし改札前の壁に寄りかかって待っていたら正面から色っぽい女が小走りで来る、Ohh…

やっぱ綺麗だ。

ナオ「ごめん、ちょっと遅刻?」

「ナオさん、ジャスト」

ナオ「うーん…店とは雰囲気違うね、リョウ君!」

「あ、君付けいらないよ。客とホストじゃないなら変わるでしょ(笑)」

ナオ「じゃあ私の事も呼び捨てで♪」

「うん、時間まだあるからちょっと歩こうか?」

ナオ「うん、任せるよ」

店では少し大人びていた彼女もプライベートじゃ普通の女なんだなって改めて思った。

こんな気持ちだけで済むなら楽しいのにな、付き合う前が一番楽しいとか好きになり掛けが一番ワクワクするとか何か解る気がする。

「港行こうか?」

ナオ「うん行く♪」

No.37 12/04/19 18:47
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

叔父「今日昼過ぎから洋子来るから頼むな。」

遂にか…

母には一応話はしたが詳細解らないし叔父に頼まれたわけでもないからあまり首を突っ込みたくないようだった。まずは話を聞かないと何も出来ないし叔母の言い分もあるだろう。

叔母「あらリョウ、いつもありがとうね。お兄ちゃんの世話も大変でしょう?」

「いや大した事はしてないし大丈夫だよ」

世間話をしてから叔父が何やら言いたげな感じでいる。

「叔父ちゃん叔母ちゃんに何か話したいとか言ってなかった?」

叔父「おぉ、実はよ洋子…」

叔母「なぁに?」

叔父「生活費がないから通帳返してくれないか」

叔母「お兄ちゃんあるだけ遣うじゃないの、だから預かっててって押し付けたんじゃない。」

叔父「だけどよ、金がもうないからよ。頼むよ」

叔母「私が取ったみたいな言い方やめてよお兄ちゃん」

話を聞いていると要するに叔父は確かに預けた、しかし叔母はすんなりは返さないそんな雰囲気か。

叔母「じゃあお兄ちゃんあるだけ遣うから私が生活費渡すから1日2000円とかで良いわよね?足りるでしょ?」

叔父「あ、あぁ…」

ふむ、何やら…しかしこの段階で俺は口出しするのは面倒になりそうだから黙っていた。

叔母が帰り叔父は以降お小遣いを貰いに叔母の家に通う事になる。

母にも顛末だけは話しておいた。

それ以来、やたら叔母は叔父の家に来る。俺は昼間は寝ているがお構い無しに掃除機でガーガー洗濯機グワングワ。

叔母「あら、ごめんね。起こしちゃったわね(笑)」

いつもそんな感じでちとウザかった。

叔父のステータス
当時は確か70とかぐらい。仕事は家業の庄屋若旦那1年(笑)騙されたか何かで取られ→ヤクザ→船乗り→海上保安庁?とか→役所勤務→今に至る。脳梗塞前まではヤクザな風貌の豪快そのものだったが今や見る影はない優しいじいさん。

俺はこの叔父に昔、養子に請われた経緯もありかなり可愛がってもらった記憶がある、亡くなった叔母からも同様に。だから親子とまでは行かなくてもただの叔父甥の関係でもない。

今思えば叔父叔母の養子話の理由も理解出来て、断らない方が良かったのかもしれないとかちょっと思う。

この辺りから次第に不穏な空気が漂ってくる。まさに鬼との遭遇だ。

ある日、叔父が
「小遣い1000円にされた」

と愚痴って来た。

「1000円?まぁ食費は気にしないで良いけど1000円はなぁ…」

叔父はコーヒーを飲みに近所のカフェによく行っていたからキツイとか。

No.36 12/04/19 17:10
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

女に限らずだが恋をすると本当人間は盲目になる。

気付かないのではなく気付こうとしない、見てないのではなく見て見ぬふりをする。

でなきゃ恋愛なんて成立しないんだろーな。

「厳しい事を言うけど友達だと思うからなのであって気を悪くするなよ?」

愛子「うん…」

「家に連れて行ってくれないだけじゃなくおかしい事は他にもあるんだろ?二股なら泥沼だし、二股じゃないのにそれなら全く目がないんじゃないか?と俺は思う。後は愛子が決めろ」

愛子「ヒック…ヒック…うん」

泣かしちゃった…

後は知らん、自分で決めれば良い。

その日はバイバイして帰宅すると和人からメール。

和人「飲もうぜ!」

2人でビリヤードやってから居酒屋へ

和人「ホストどう(笑)?」

「楽しくはないが金は普通のバイトよりかは良い、そんだけ」

和人「女は?女♪」

「ホストに来る女だぜ?変わり者か傷ありかの確率高過ぎ」

和人「ま、お前あんまり女女してねーもんな。」

「ってもお前も入れ込む事はないよな」

和人「だって男同士で遊ぶ方が楽しいべ(笑)」

相変わらずだな。

「まぁ解らなくもないが」
和人「お前奈々とは付き合わなかったんだな」

「由紀子の事もあるしな、俺等は付き合っちゃいけないんだよ、もう忘れた(笑)」

和人「ホストで稼いだら何かやろーぜ(笑)女用風俗とかどーよ(笑)?」

本気か冗談か知らんがたくましい発想だわ。

「やらねーよ!」

俺には親友が少ない、ただの遊び友達とかならちょこちょいいたが親友はコイツだけ。だから和人と仕事とかねーよ

異性関係と金はどんな仲すらも引き裂く可能性があるからね。

それから半月ぐらいが経っただろうか、店にまた千夏が指名で来た。

千夏「今日はお金持ち~♪ピンドンだって入れてあげれるよ!」

「バイト給料日か?バカな事言ってないでジンロにしとけジンロ」

千夏「バカにした!」

「ちげーよ、気持ちは嬉しいがそんなに遣うな。服でも買え」

千夏「ブー!」

不機嫌になっちまった。
その考え方がホストにハマるんだよ、抜け出しの大変なんだぞ…

俺は千夏の本当のバイトが何かまだ知らなかった。

知らずに済めば良かったんだけどな。

No.35 12/04/19 16:21
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

大体この時期にプライベートも色々な出来事が起きる。

叔父は奥さんに先立たれており先妻との間に子はあれど20年以上連絡も取っていない。即ち完全な独り身のようなもんだ、脳梗塞をしてから近所の妹、俺の叔母が面倒を見ていた時期がある。最近はあまりないようで俺が住んでからたまに顔出ししていた。

叔父が言うには

叔父「洋子は俺の通帳とか全部持ち出して手元にあるのは郵便局のしかないんだよ、リョウ取り返してくれ」

おいおい、そんなハードな話聞いてないぞ。

「マジで?でも叔父ちゃんが渡したんだろ?」

叔父「泥棒とか危ないから預かってくれるって言うから預けたんだがあいつ使い込んでるんだよ」

むむむ、何処でも金で揉めるんだな。嫌な世界だぜ。

「俺がいる時に叔父ちゃんがその話をしてよ、叔母さんの出方次第で俺が話を聞いて考えるから」

叔父「おぉ頼むぞ」

昼はこんな事が進行していた。

夜は夜で男と女のばかし合い、昼は肉親同士の金銭争い。20代前半で見なくて良いものを沢山見た気がする。

ついでに叔父に聞いてみた。

「生活費は大丈夫なの?郵便局にあるの?」

叔父「もうねぇぞ、だから返してもらわないと困る。預けた通帳の中には年金振り込まれてるのもあるからな」

「場合によっては事は急を要するのか…母さんにも聞いてみるよ」

ま、母、叔父、叔母でやり取りをすれば良いだけの話だ。

何度も言うが俺は面倒事が大嫌いだ。

定休日の午前中に愛子から電話があった。

愛子「今日休みー?」

「休み、暇」

愛子「アウトレットのお店出来たじゃん?暇なら行かない?」

「昼過ぎからなら良いよ」
珍しいな、と思いつつ出掛けた。

愛子「やっぱ若い(笑)学生みたい」

とか言われた気がするな、これぐらいの年頃の男には褒め言葉にならない不思議。

「何処にお供すれば良いんですか?愛子さん(笑)」

愛子「やめてよー(笑)」

元気はありそうで何より。

店を回って夜ご飯食べてた時にやっぱり恋愛相談開始

愛子「彼さ家に絶対連れてってくれないんだよね、本命じゃないからだよね?」
そらそうよ

「まぁ可能性はいくつかあるけど怪しいは怪しいな。住所知られたくない、結婚か同棲してる、彼女の持ち物沢山ある、部屋が汚いから嫌だ等々」

愛子「部屋汚い以外アウトじゃん…でもいつもいつも部屋汚いからなんて理由おかしいよね」

そらそうよ

「かもねー。二股されてたらどうすんの?奪うぐらいの気はあるの?諦めるの?」

愛子「解らない…」

困ったもんだ。

No.34 12/04/19 15:52
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

ナオ「アイツに300万貸してるんだよね、返済しないでバックレたんだよアイツ。店に来てるかと思って何度か来てみたけどダメみたい」

何と!しっかりしているように見えたナオさんだがそっちはしっかりしてなかったか、でも人間そんなもんだパーフェクトなんていない。

「これだけ休んだら店にも来れないでしょうから多分もう来ないとかヒロさんも話してました。」

ナオ「はぁ…みたいね。やになっちゃう。」

「レイさんの事はまだ好きなんですか?」

ナオ「まさかー、もう愛想尽きたわよ」

でもこんな話はホストにとっちゃ珍しくもない。

ここは金欲と肉欲に野望を満たす男が集うところだ。

改めて俺は不釣り合いな場所にいるなと思った、どう自分に言い訳してもホストには変わらないのだけど。

店を出る前に
ナオ「わたしもうここには来ないから、店の外で良ければ今度遊ぼ?」とアドレスを教えてくれた。

恋愛はする気もない、女を今はまだ信用しきれない、けどナオさんも同様にそんな雰囲気があった。彼女に少し興味を持った。

翌日昼ぐらいに志保からメールが来た。

志保「今夜愛子がユウと同伴するらしいんだけどわたしも行くからリョウ同伴して♪」みたいな内容だった。

出勤前にジョナサンで待ち合わせしてから同伴した。
勿論半額持ち。

ユウは多分「てめっ空気読めよお前ら!」だった筈だが恨むなら志保で。

この日、ショウヘイ君(笑瓶)が来月辞めると挨拶があった。田舎に帰るそうだ。こうやって夢敗れ帰郷するのもまたホストの世界。

ホストからとは云え夢や野望があるギラギラした人が少しだけ羨ましくも感じる、俺にはないパワーだ。


ユウ「愛子もうそんな奴諦めろって、良いとこなんてないじゃん」

何か愛子は好きな人がいても振り向いてくれず遊ばれてるだけの状況らしい。自分で選択した道だろ、嫌なら止めれば良い。口にしそうに何度かなるぐらいグダグダな感じ。

ユウは愛子がお気に入りだからガツガツ言ってるけど(笑)

志保から俺への愚痴話にも愛子が可哀想とか出てくるけど、自業自得だろ?が俺の本音である。

ま、感情はコントロール出来ないから悩むんだけどね。でも完全には出来なくても人によってはある程度可能な人だっている。

やっぱり恋愛ってめんどくせー、とかこの頃は思ってた気がする。

No.33 12/04/19 15:29
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

何が理由か何て知るよしもないがオーナーがお客さんの髪の毛を鷲掴みして振り回して殴っていた…

マジやだ、女殴るのとか見たくねー…本当にヤクザと変わらない。暫く叩かれてた女の人は泣きながら謝ってた。

すぐ店じまいにしてオーナーがいるカウンターには近寄らずに掃除して楓さんだけ残り皆遁走。

頻繁ではないが何度かこんな光景を目にした、他にも指名客に水掛けられたホストが殴ったりしてたな。

数日して千夏が指名で来てくれた。嬉しいような悲しいような複雑な気分。

指名だから俺はちょい本音で話した、まぁ言い方変えると説教に近い。

「学校はもう行ってないのか?」

千夏「つまんねーし、もう辞める」

「高校ぐらい出ておけって、損はしないぞ?」

千夏「バイトしてた方が金稼げるし友達あんまりいないしつまんねーもん」

「うーん、もうちょい考えてからにしろ、辞めるのはいつでも出来るんだしさ」

千夏「こう云う話つまんない、リョウ君は彼女とかいねーの?」

「いたらこんな仕事やるかよ(笑)」

千夏「えー!?真面目(笑)」

バカにされてんだか解らないがこれぐらいの年頃が口にする真面目にあまり良い意味はない。

千夏「うちが彼女なってやろーか(笑)?」

「ありがとう、でもホストしてる間は多分作らないよ」

千夏に脛を蹴られた覚えがある。

ここで不貞腐れるなよーとかご機嫌取りのニャンニャンすべきなんだろうとは思うが、俺はやらない、いや出来ない。

この17歳の千夏は多分一番指名に来てくれた。学校も親ともうまくいかずグレちゃった感じの子。

この日、何と新規指名が来た。ナオさんだった。実は本指名のレイってホストは行方不明で連絡が付かないみたいで前回ナオさんが来た時もだが店に来てない。
俺も挨拶した程度で顔すら覚えてない。だからナオさんは俺を指名してくれた。

千夏からのブーイングを浴びながら晃さんがヘルプに来てくれてナオさんのところへ行った。

「ご指名ありがとうございます、でも俺で良いんですか(笑)?」

ナオ「わたしホスト嫌いだから、リョウ君で良いの」
ホスト嫌いなのにホストクラブに来るナオさん。

何やら色々ありそうな感じだなと思った。

ナオ「わたしさレイと付き合ってるんだよね、ホストやる前から。」

「そうだったんですか、レイさんは暫く来てないですけど」

ナオ「バックレやがった」
ナオさんの口からバックレやがった発言

No.32 12/04/19 15:06
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

翌日出勤したら楓さんに怒られた。

楓「ぺーぺーが休むんじゃないよ、熱なんて気合いでどうとでもなるだろうがよ?」

「すいません、吐き気がかなりあったんで迷惑になるかと思って…以後気を付けます!申し訳ありませんでした!」謝罪だけは板に付いてきた…

ユウ「大丈夫?明日さ愛子同伴だぜ!ま、こっち持ちだけど…」

「粘った甲斐あったじゃん(笑)」

その日は勿論、指名なぞない。故に俺はヒロさんのヘルプにアケミに付いた、ワキガのアケミ。

ワキガ「ヒロは?何で来ない訳?」

「すいません、もうすぐ来ると思いますよ、後でまた呼んできます」

ワキガ「ムカつく、まぁいいわ。これやる」ポイと何か絨毯に放り投げた。


これは!高価な!


「ありがとうございます、頂戴します。」

……なんだこれは?

○ィズニーのミッ○ーマウスのパチモンみたいなキーホルダー?ストラップかな?

「○ッキーマウスみたいですね(笑)」

ワキガ「ヘラヘラしてんじゃねーよ」と俺の手からミ○キーマウスもどきを奪い投げ付けた。

コイツね、本当に性格終わってるんだ。いつもイライラしてるし何より臭いの。
ヒロさんが少ししてから来た。

ヒロ「悪いな、もう良いよ。あそこのヘルプよろしくな」

「お疲れ様です、解りました。アケミさんご馳走さまでした」

足早に逃げ出すとワキガがヒロさんに食って掛かってる声が聞こえた。

ワキガ「あんな女のとこ行かないでよ!前にも言ったじゃん」みたいになんたら

「失礼します、リョウです」

ナオ「初めまして、新人さん?わたしナオね。よろしくね」

なかなかの美人で大人な感じのナオさん、この人はたまにレイって先輩の指名に来てる人。で27歳とかだったかな。

ナオ「何かホストぽくないねリョウ君て」

「ダメですよね馴染めてなくて、苦労してます」

ナオ「ホストなんかに馴染んでも良い事ないわよ、そのままでいいんじゃない?」

なんて言ってくれたのもこの人だったな。

うちの店の客層は風俗3割水3割普通の人3割で他学生主婦みたいな感じで平均年齢も多分25歳とかぐらい。

オーナーのお客さんだけ35オーバーがいたぐらいな気がする。

そしてその日の閉店間際、オーナーが来ていてカウンターで常連の指名といたのだが事件発生

ガッシャーン!オラァ!!
店内にオーナーの怒声が響き渡る。

No.31 12/04/19 02:27
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

この時期は志保と愛子とは外で遊んだり普通にしていた、たまに店来てくれたりそのお礼にご馳走したりとかユウも含めて4人で。

4人って数字は本当によくないよね、3人もだけど4人は複雑になるんだよな。


ホストは未だに板に付かない、もう俺は板に付く必要性も感じていなかった。だって少しだけのつもりだし金貯めたら就職活動開始しなきゃと考えていたから夜に染まるのはマイナス

志保は何か知らんけど俺に「何か弟みたい、童顔だから二十歳ぐらいに見えなくもないし(笑)」とか弟扱いを始めたがどう考えてもお前よりしっかりしてるぞ!

愛子は逆に俺を男として見ている感じだった。良い意味でも悪い意味でもね。

ユウは愛子とやたら2人きりになりたがるから若干露骨なんだよ、って皆から見られてた。

仕事終わりにヒロさんが焼肉屋へ後輩連れて行くのでお供した。

名無しホスト「どうやったらヒロさんみたいになれるんすかね?マジ教えてくださいよ~」

名無しホスト2「マジヒロさん憧れっす!」

こんな感じなのね、ヒロさんはあまり説教しないんだけどこの日はホストのタイプを話していた

ヒロ「ホストって色々だからな。俺はプライベートは見せないし介入させない。会いたいなら店に来い。たまにご褒美でって考えだ」

なるほどなるほど、解らん

ヒロ「楓さんとかは逆だろ?客は全部食う、嫉妬で競わせる事で売上確保じゃん?」

確かに確かに、解らんが

ヒロ「他には絞り取るだけ取ったらバイバイって1人に短期吸収型な、晃とかお前のやり方な(笑)」

晃「勘弁してくださいよ、へへ」

悪人だぜ晃、顔通りじゃないか。

まぁこんなアドバイスしてくれてた。ヒロさんは取り敢えず優しい、しかし客の女が調子に乗れば店で叩くぐらいは何度かしていたからやはりホストだ。月400以上とか言ってたかな?確か…

で、俺は風邪で39度出てしまった訳だ。休みたいと連絡したらペナルティ1万と引き換えに休んで良いと言われた。休日は1万で買うのかよ…いや違った、月に1日目は1万2日目は2分3日目は4万4日目は8万5日目は16万となります。遅刻もです。

インフルエンザや事故したら詰むんですね。辞める時はラストの月はただ働きしてからでないとダメとかね、逃げ出せば良いけど正規に辞めたいなんてのはほぼ不可能。

俺は1万で休日をゲットした!

No.30 12/04/19 00:53
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

まだ指名でもねーのに不機嫌にさせてんじゃねーよ!との事。ふざけんなこの野郎!を圧し殺す。

でもガキんちょの1人千夏になつかれた。お兄さんみたいだとよ、またホストとしては違うんじゃないって。
千夏「リョウ君さ他に指名あるの?」

「いや、ないよ。まだ1ヶ月目だし全く気配すらない」

千夏「マジー(笑)じゃあうちらがたまに来てあげるよ」嬉しいが、17歳騙せない…

「年齢的にまずいんだぜ実はさ、金だって安くないんだし毎回出してやれないよ俺」

千夏「バイト代入った時だけだけど指名してあげるって」

この子達は別に可愛くはないんだよね、ちょいぶーちゃんだったし。けど良心がどうにもね、割り切れなかった。このガキんちょ達は後々俺が店を辞めるきっかけになってしまう。

志保と愛子が指名でまた来てくれた、友達に会いに来たみたいな感じだけど充分有難かった。


愛子の恋愛相談とか志保の愚痴とかマジ友達会話、ユウが愛子の恋愛相談で破談にさせようさせようと頑張っていた。このエロ河童はアグレッシブだからホスト向いてる。

この2人だけは指名でもいつも半額出してあげる事にしていた。初の客だし友達みたいだし、あまり遣わせたくなかった。


この頃、俺は引っ越しをした。実家を出て一人暮らし…ではなく同居人がいる。
母の16歳上の兄、要は叔父だ。俺は叔父には可愛がってもらっていたし叔父が脳梗塞で体が不自由になってしまい生活が大変だってのもあり家賃いらんから来てくれとリクエストがあった。店にも少し近くなるし叔父は好きだから即決めた。

叔父「悪いな、頼むな」

「飯ぐらいは作ってやれるけど大して役に立たないよ」

叔父「一人暮らしはこの年だと不安でな、助かるよ」
叔父は脳梗塞でまだらボケってのもありたまに意味不明な事したり言ったり物忘れしたりするが普段は特に問題ない。

叔父「おい、リョウ!蛇だ蛇!大蛇がベッドの下にいるぞ!」

たまにこんな事を言うが暫くすれば慣れた、例えコーンスープをレモン汁うめぇと言おうと屁のつもりが実を出していようと慣れた。

ただし換気せずに魚を焼いて消防警報を鳴らすのは止めて欲しい。そんな叔父との2人暮らしは楽しかった。

叔父「リョウ!蛇だ蛇!」

「あぁ、蛇ね。もういなくなってるよ大丈夫」

ホストを初めてから2ヶ月、もう桜の季節になっていた。

No.29 12/04/19 00:32
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

店に電話を入れた

「リョウです、ユウと一緒に新規二名様お連れします」

店に入ると

ホスト一同「いらっしゃいませぇ~!」

てな流れで2人を席に案内する、新規客は大事で新規客を連れてくる事はなかなか良い事なのね、この2人がいる間はキャッチに行かないで良い訳でそれが一番だ。

「おしぼりどうぞ、あ、俺リョウです、よろしく」

ユウ「ユウね、よろしく~」

2人組「こっちが志保で私が愛子、よろしくね」

この2人とは長い付き合いになる、出会いってどんな形であれ「何か」に繋がる事はあるんだな。


志保「リョウ君達は何歳なの?」

「俺は24です」

ユウ「俺も24だけど学年はリョウより1上」

志保、愛子「あたし達はユウと同い年だ、リョウは年下だね」

ホストっても自分の客だとただの飲み会みたいな…なんつーか仕事してる感じがない、プロ意識皆無

志保はぽっちゃり型で背も165ぐらいあったか?顔は名前が出てこないな、普通だな。愛子はスレンダーで背は平均的で顔は可愛いタイプで童顔

当時は恋愛とかどうでもよかったからある意味失格だったかもしれない友達みたいな感じでしか接してなくて

愛子からは「ホストの割には妙に礼儀正しいよね(笑)サラリーマンみたい」とか
志保からも「うちら友達みたいだね(笑)」とホストとしては微妙な話

一時間はすぐ過ぎてしまったが指名料延長の一番安いジンロキープでチビチビやれば安上がり出来るって提案に乗ってくれて3時間いてくれた。

帰りに店の外で半額渡して連絡先交換した。

ユウ「グフフ…愛ちゃん良いなタイプだマジ」と喜んでいた。

取り敢えず、お仕事として2人にはすぐさま有難う気をつけてお帰りをメールをしておいた。


そんなこんなで似合わなくても馴染めなくてもホスト歴1ヶ月が経過していた。

給料は結構良かった。

あれから新規客は4組いてそのうちの2人が入店させてから知ったが17歳だった。勿論法的にはアウト、しかし店的にはオッケー、俺の良心アウトな感じだった。

その2人は千夏と愛奈

17歳だぜ…入店させた時に年齢を知り2人に微妙な説教モード発動させてしまいガキんちょ達が不機嫌になった。ヘルプで来ていた先輩にトイレに呼び出されて殴られました。

No.28 12/04/18 23:50
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

またホストに年齢は関係ない、年功序列と実力が全てだし派閥もある。

うちはわりかし派閥争いみたいのはなかったがNo.1の楓さんとNo.2のヒロさんとで別れてる感じではある。

楓「おい、新入り」

「はい?」

楓「お前なんでうち来たの?金?女?両方?」

「金です。でもホストクラブって知らなくてバーテン希望で入店したらオーナーにホストやれと言われまして」


楓「オーナーにか(笑)ま、努力すりゃバーテンなんかより何倍も稼げるからよ、しっかりやれよ」

No.1の楓さんだが実はメタボ体型である。数年前の写真はイケメンで石黒ケンみたいな顔してた、その頃の客がまだ離れてなくてNo.1をまだ維持してるみたいだけど新規が付いてない模様。

性格は大雑把でちょい下品で笑い方もギャハハな人、でもこの人も女には鬼だったな。つかホストの大半は最終的に女には鬼だけどね、やり方は様々だとしても。

こんな所だからか友人らしい人は出来そうにない、何しろ人種が違い過ぎて価値観が全く合わないのだから仕方ない、実際俺の本音は幾ら稼いでいようとホストを見下していた訳で。

ある日、キャッチに同期のケンジもとい源氏名ユウと外に出た。繁華街からショッピングモールをふらつくも当たりなし。

ユウ「リョウ、あの2人行かない?」

前を2人の女が歩いていた時間は既に23時を過ぎてる。この時間にうろついているならオールの可能性はあるし2人組が一番可能性がある。

「すいません、僕等を助けると思ってお店にいらしてくれませんか!?」

女2人組「え?え?何?」

ユウ「あ、この店なんですけど」ユウが名刺を渡す。
女2人組「ホストクラブー?えー行かないよ」

立ち止まって話をしてくれるだけかなり脈あり、初客ゲットとそれ以前にクソ寒いところから早く脱出したい一心で俺達はある提案をした

「実は初入店のお客様には一時間で3000円でジンロとソフトドリンクは飲み放題なんです、一時間だけでも構わないのでお願いします、寒くて」

2人組「うーん…どうする?」

ユウ「2人で3000円で良いっすよ、俺達が半分出しますから」ナイスアシストだエロ河童!

2人組「一時間飲み放題2人で3000円で良いの?」

「良いですよ!ささ、行こう!寒いから!」

俺達は遂に初めてのお客さんをゲットした。この2人が指名にならなくても俺は別に構わない、暖房のある部屋へ

No.27 12/04/18 21:21
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

「失礼します、リョウです。」

明日香「うん?あら新人さん?」

「はい、今日からです」

明日香「そうなんだ、わたしは明日香、よろしくね」

ま、こんなやり取りでお酒いただきお酒注いで話聞いたりして、まともなお客さんなら良いんだ、まともならね。

でもホストクラブに来る女はやはりおかしいのが多少いる、それが次に会ったヒロさんの客の1人アケミとか言ったかな。

「失礼します、リョウです。」

アケミ「ヒロは?」

「もう暫くお待ち下さい」

アケミ「いつまで待たせるんだよ!」おしぼり投げつけられる。因みにこいつワキガでマジヤバいメンヘラ。

仕事内容は暫くキャッチとこんなヘルプを繰り返す。

酒を飲み干して新チャージゲットさせる為に一晩でボトル四本飲まされたりそんな日々が続く。

俺は何やってんだろうなぁ…

朝方店を出て歩く事すらままならない有り様で慣れないウィスキーやらワインやらシャンパンやらを飲み倒した為に意識はあるものの視界はグルングルンで人のいない繁華街の端で仰向けになりながら思った

あれ以来、女恐怖症じゃないけど女を信用出来ないようになってた。そんな俺がホストとは笑えない、バカな話だ

しかしホストは入るのは簡単だが抜けるのは実は大変、店によるルールが違うだろうがホストクラブはヤクザ経営当たり前な訳で抜けるって行為に対してはネガティブなんだ。

そう言えばあの新人、ケンジだっけか、何か張り切ってたな…俺とは真逆だ。


取り敢えずこの日は駅でも寝てしまい帰宅したのは10時だった。6時には店を出たのに。

慣れないホストも一週間、ホストに休みはない。定休日以外に休む事は基本的に許されてない。

休むと鬼のような展開があるのも入店してから知る、辞める事も容易でない事も入店してから知る。そして数ヵ月しても指名がない奴の扱いがどうなるかってのは今日知った。

ショウヘイと呼ばれるその二十歳の先輩は3ヶ月前に入店したがまだ指名がない。ショウヘイとは笑瓶に似ているとかで客に付けられたアダ名で今やそれが源氏名になっていた。

小間使いパシりイビられて叩かれてもヘラヘラしてる。それぐらいは知っていたがやはり陰気な部分がある仕事だなと思った。


こう云う損な役回りって学校でも社会でも大抵決まったタイプだったな…

No.26 12/04/18 20:31
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

ヒロ「おはようございますっ!!」

ホスト一同「ざいまっす!!」

ホストってめちゃくちゃ体育会系なんだよね、俺の苦手な世界、体育会系苦手。ダルダルな俺には早くも異世界に来たと感じる行事が始まる。

先日の売上発表と上位5位の発表を大声でしたり何か訓示みたいの読み上げてた…

マジやべーよここ。俺場違い過ぎるんだけど…

で、今日から働く新人として俺ともう1人が挨拶をする為に前に呼ばれた。

ヒロ「新人のリョウとケンジね、皆色々教えてやって。それと2人共源氏名決めて」


源氏名?あー芸名みたいなのか…

ヒロ「ケンジ決まったのある?」

ケンジ「えっとユウでお願いします」

ヒロ「リョウは?」

「いや決めて来てないです、さっきホストになったので…」

ヒロ「じゃあ本名で良いんじゃない?被るのいないし」

「あ、じゃあそうします」
ヒロ「じゃあ今日もよろしくお願いしまっすー!」

ホスト一同「お願いしまっす!」

こんな感じで1日が始まる、21時。

店での俺は小間使いでヘルプってのを最初はやらされた。外では客引き、ポン引きとか呼ばれるキャッチをやる、2月末なんだぜ今、寒い寒すぎる。

俺は晃って先輩と名前忘れたもう1人の先輩に連れられキャッチをしに繁華街に出た。

この2人の先輩はこの先あまり出てこないが晃って人は20後半でホスト前は犯罪まがいの追い込みしていたような人らしくスーツがいかがわしい白、裏地に龍とかそんなヤバさ。

キャッチでお客さん捕まえないと店に戻れないって罰ゲーム、先輩にすれ違う女には片っ端から声掛けろと言われてビジネスナンパをせざるを得ない状態になった。

いきなりノウハウなくナンパしろってそりゃ成功しません。プライベートナンパじゃなく金出させる訳だし簡単じゃない…

その日は他のキャッチが連れてきたお客さんや指名が増えてきたのでヘルプに呼び出された。

暖かい部屋!それだけで幸せだ、なんて仕事か!

俺はヒロさん指名で来ていたお客さん達数人を持ち回りで接客する事となる。

意外や意外、皆若い…30代すらあまりいない、25以下とかばかり?みたいな客層だった。

これがホストクラブか…


最初のヘルプはヒロさんの本命客の1人、明日香。

生意気にもなかなか綺麗な女だった、けしからん!しかし俺には結構優しかった人で今でも覚えてる。

No.25 12/04/18 20:05
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

第二章 金と女と老人

地元に帰り、また1ヶ月ぐらい廃人のように過ごした。またこの始まりか…全滅したら実家からってRPGの教会じゃねぇんだぞ。

就職活動の前に取り敢えずバイトなりして資金稼ぎしなくてはならい、色々探したがこのバーテン時給1800円に惹かれ面接に行った。

すんなり受かりすぐさま働く事になった。バーに面接に行って気付いたがここってホストクラブじゃん、そんな場所が俺の新しい職場だった。

初日から波乱があった。

オーナーに挨拶をして着替えると酒の作り方なぞ教えてもらえるのかと思いきや。

オーナー「お前酒は?」

「はい?大丈夫です、人並みですが好きです」

オーナー「女とは話せるか?」

「別に問題ないです」

オーナー「おし、お前バーは良いからホール出ろ、時給に歩合付けてやるから」

「へ?それってホストやれって事ですか?」

オーナー「おい、ヒロ!」

オーナーは俺を無視して奥にいるホストを呼んだ。

ヒロさん「はい?呼びました?」

オーナー「こいつ今日からホールな、教えてやってくれ。じゃ後は頼んだぞ」

このオーナーは吉川光司にそっくりな年齢不詳のヤクザみたいな人。あまり関わらないけどマジ危ない人。

そして奥から出てきたヒロさん24歳、店のNo.2でめちゃイケメンの司法書士試験勉強中の頭も良い人、顔は似てる人は思い浮かばないが宝塚の人みたいな綺麗な顔をしてて一番優しい人でもあったけどたまに本性らしきものが垣間見える。

ヒロ「お、新入り?」

「あ、はい!バーテンで来たんですが…小笠原リョウです。よろしくお願いします。」

ヒロ「バーテンだったの?あらら、ホストやるの?」

「よく解らないんですがさっきオーナーに言われました。」

ヒロ「じゃやるしかないか、俺はヒロね、よろしく。ボチボチ教えてくからさ」

「よろしくお願いします」

うーむ…俺がホストだ…と?

こうして俺はまた怪しい世界に片足を突っ込んでしまう事になる。ま、金良いしやるだけやってみるか。

先輩ホスト達に挨拶をして不安な1日が始まった。

まずは掃除やおしぼり作りや烏龍茶や紅茶などの作り置き等々の開店準備

ホストは総勢20人ほど、大半は名前すら記憶にない連中ばかりだが。

こうしてクズとも云えるホストの仲間入りを果たした。

No.24 12/04/18 17:22
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

引っ越し手前に力也ともお別れ飲みをした。

力也「堀さんから聞いたけどやっぱりあの会社税金対策だかなんだかみたい、どう云う仕組みか解らないけど(笑)」

「ほらな、やっぱり。ヤル気感じなかったもんよ」

力也「堀さんは大きくしたかったみたいだけど採算が合わないんだってさ」

「遅かれ早かれ俺は辞める事にはなったなぁ、まぁ良い経験にはなったけどね」

力也「リョウ君これからどうすんの?」

「まだ決めてない、また実家に出戻りとかダサい話だけどさ(笑)」

力也「まだまだ若いすからね俺等」

とか何とかそんな話して最後別れた。力也とはその後にたまに電話とかしていたけど疎遠になってしまった。

和人が車を出してくれて引っ越しも終わり正月を実家で過ごした。

和人は奈々と結局別れたのは1月の下旬ぐらいだったかな。

和人の話だと奈々は2月に入院するって話だった。大した事はないみたいだけど喉の手術をするんだとか。

奈々に会いたくなった

和人には断りを入れて見舞いに行ってくると話した。

和人「奈々はお前の友達だろーがよ、何で断る必要あんのさ(笑)」

そう言って和人は病院を教えてくれた

和人「病室は知らねーよ、入院前にちらっと聞いただけだから」

奈々に連絡をしないでいきなり見舞いってのもどうかとは思ったが俺は案内所で奈々の病室を聞いて奈々を尋ねた。


「よっ、久しぶり」

奈々「え??ちょっと!?」

化粧をしてない素っぴんを隠すようにシーツで目から下を隠して慌てて奈々は言った

奈々「なんで?リョウ~!」

「和人に聞いてさ、体調どう?元気だっ…じゃないよな(笑)」

奈々「心は元気!快晴だよ!」

「素っぴんも悪くないじゃん(笑)」

奈々「ちょっと!」

そんな雑談をして少しして

奈々「リョウさ、由紀子との事は聞いたよ。大変だったみたいだね…」

「あぁ、本当にな(笑)」

奈々「ごめんね」

「何で奈々が謝るんだよ?」

奈々「色々、色々だよ」

「じゃあ俺もごめんね、色々。俺奈々の事好きだったのに時間掛け過ぎた」

奈々「うん、わたしも」

今日俺は奈々にさよならを言いに来た。

「奈々、これやるよ」

奈々「良いの?これリョウのお気にじゃん?」

友人のDJに作ってもらったMD二枚を渡して。

「じゃあ元気でな、幸せになれよー」最後に奈々とバグした

第一章 完

No.23 12/04/18 16:56
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

週末和人が来た。

和人「おう、たまには洋酒ってな事でこれ」ウィスキーやワインの類をいくつか持ってきた。


和人「でさぁ、由紀子ちゃんってマジそんなだったの?お前見る目ねーよ」

「おいおい、お前だって良い子だとか言ってただろうがよ、俺は女の嘘は見抜く自信ないな。無理だよあれは」

和人「それは言えてる、嘘が巧すぎるよなぁ。後ろめたくないんかな。でもよあんまり気落ちすんなよな」

「あぁ、解ってるよ」

実はまだまだ睡眠障害みたいな症状はあったし気分は落ち込み気味ではあった。

和人「俺も奈々とはもう1ヶ月会ってねーよ…なんつーか強引だったとこもあったからか付き合ってはくれたけどテンション低いんだよね、何か」

「奈々が?意外だなぁ」

和人「だろ?つーか相性良くないのかもな(笑)」

「まぁそう云う事もあるかもだけどちゃんと話し合えよ、そんなくだらない理由で別れてたら長続きもしねーよ」

和人「タイミング合えば考えとく。」

それから仕事の話とかして遅くまで飲み明かした。


朝歯磨きしていると

和人「なぁ」

「あん?」

和人「お前さ、奈々俺に譲ったろ?」

「ゴホッゴホッ」

和人「やっぱなー、何となくそうじゃないかって気はしてたんだよなぁ(笑)」

「まだ何も言ってねーだろうが!」

和人「良いって良いって、別に怒ってねーし。あん時のお返しか?とか思ったりしたけどさ」

あん時とは、高校の時に和人が付き合ってた彼女がいた。その彼女は俺を好きになってしまったらしく和人は別れて俺にあいつと付き合ってやれとか言ってきた。実際、和人はその彼女とは何となくで付き合ってて当時は今以上に恋より友情がハッキリしてたタイプ。
俺は気まず過ぎると断ったが暫くして告白されて和人に背中を押されて付き合ったなんて過去がある。親友ではなく心身証明の穴兄弟である。ま、すぐ別れちゃった訳だけど…

「そんなつもりじゃないよ、流れで結果的にこうなっただけだよ」

和人「そっか(笑)まぁどっちでもいっか、そんな事は」

「おう、どっちでも良いべ」


「年末にさ地元戻るから引っ越しまた手伝ってよ(笑)」

和人「またかよ?」

「おめーの結婚の時と離婚の時に手伝ったのは俺だろ?」

和人「むうぅ…焼肉な」

「オッケー」

こうして俺はこの街を去る事になった。

No.22 12/04/18 15:24
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

力也「マジ辞めちゃうんですか??暇なら暇でも金は半分だけど貰える訳だし良くないですか?」

「まぁそうなんだけどさ、俺は力也君と違って身内じゃないから先は見えてるからさ」

力也「うわぁ、会社つまんなくなるわ~つまらないおっさんしかいねぇんだもんなぁ…女いねーし」

とか言ってたな。

マンションを出るまでに何度か力也とは遊んだ。地元離れて友人みたいのは俺しかいなかった訳だしそりゃ心細いだろいなと思った。因みに力也は23歳でずっと無職だったのにBMW乗ってやがったんだ。

ナンパがやたら好きで何回か付き合わされた。女はBMWが好きだと知った。


和人から電話があった

和人「おう、調子どーよ?」


「ボチボチつーか由紀子と別れたよ、2ヶ月前になるけどな」

和人「あぁ?結婚はよ?結婚?つか何で言わない訳?」

「あれ?奈々から聞いてないの?」

和人「いんや、聞いてないと言うか別れそうだしこっちも(笑)」

「おいおい、マジかよ」

「ま、こっちの事はまだハッキリしてないから良いんだよ、何で別れた訳?」

俺は部分的にははしょりながらも大体の事は話した。
和人「何だそりゃ(゜ロ゜)!!酷すぎるぜ、頭来た!由紀子ちゃんそんな女だったのかよ!」

「まぁ、それはもう良いんだよ」

和人「良くねーよ、何で金まで払ってんだよ!貰う側だろうがよ、何か納得いかねーよ!」和人が結構マジで怒ってるのが伝わってきた。

「ありがとうな、ムカついてくれて」

和人「あぁ?おめーにもちょっとキレてるけどな!今度行くわ飲もうぜ?」

「はは、解った。連絡くれ」

和人「おう、またな。元気出せよ」


和人は普段あんまりシリアスにはならないし不思議とお互い相談とかはあまりしない間柄で過去一度だけ相談されたのは和人がデキ婚した時だけだった。
実はこいつはバツイチで子持ちなんだ。だけど離婚理由は和人が悪いとかじゃなくまぁお互い様つーかあの奥さんじゃなぁみたいな話。

文字ではチャラけてる感じに映るだろうけど義理人情に篤いノー天気の器用な秀才肌。

だから奈々と付き合った時も俺は和人ならありって気持ちになれた。

だから和人と奈々も別れそうってのは残念だった。

女運と仕事運はないが友人の運はある、それだけでもまだましだな。多分…

No.21 12/04/18 14:49
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

力也に聞いた事は内緒にしておかなきゃならないから堀さんには何も聞けないし、かといってこのままって訳も行かず随分悩んだ。

ただ思わぬ事が起きた。

俺の部下として入社した3人が来月付けで解雇される事になった。ただし解雇ではなく経歴詐称が理由だとの事だ。堀さんの話だと3人のうち2人は前歴の勤め先に連絡したが在籍記録なし、もう1人は車検切れの車に乗っていた為に指摘したら自分から辞めると申し出たと。

ただし普通は入社前に確認する事だし、タイミング見計らっての解雇だと感じた、最初から怪しい人だったし俺は採用に反対だったのもそれが理由だったし。

ただこれで会社を存続させる気がないんだなと感じた、少なかれ半年以上働いて経験も漸く付いて来た人材を半分近く切って成り立つ訳もなく。

俺は堀さんに焼肉屋でご馳走になっている時に聞いてみた。

「また社員募集するんですか?」

堀さん「うーん、その予定は今のところないかなぁ」
「仕事はどうするんですか?現場まだ秩父のありますよね?」

堀さん「大変かもしれないけど3人で何とか頑張ってくれないかな?」

力也「えぇー?3人でですか?きっついなぁ」

「その後の予定はどうなっているんですか?」

堀さん「うーん、常務に聞いてみるよ」

最近気付いたのだが堀さんは良い人だ、だけどどうにものんびりし過ぎていて危機感とかが全くない、それに何を聞いても最終的に「常務に聞いてみるよ」になる。

これでは常務の方が権力持つのもちょっと頷けてしまう。

結局は来月からは仕事がない、って事で。設備会社とは云え少し特殊な仕事なだけにやるからには技術者を育てなきゃならない、それなのに半分解雇でその後は予定なしと来たらもう先は見えた。

最後の現場が終わるとやる事もなく事務所にいるだけの日々になってしまう。

俺は堀さんに辞表を出した。色々な理由があったがこの街から離れたいって云うのも理由の1つだった、あの部屋は何かと思い出が有りすぎる。

堀さんは引き留めてくれたが奥さんは「あら、残念ね。お疲れ様」とあっさりし過ぎてて参った、何となく予想はしていたけど。


年内にはマンションを出て行く事になった。

後1ヶ月か…

No.20 12/04/18 14:26
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

由紀子にもう帰れと促した。

由紀子「今日が最後じゃないよね?まだ会えるよね?」

「…病院の費用もあるからな、また会いに来るよ…」

そう言って由紀子と別れた。

こうして俺は婚約を破棄した。中絶させてしまう事や母に対しての申し訳なさはいつまでも消えなかった。
同時にあれだけ俺を好きだと言っていた由紀子が浮気をした事、それに全く気付かなかった事、そんな事を考えるとまたどす黒い気分にもなった。

後日、中絶費用を渡しに由紀子の家に行った。ご両親は出掛けてて暫く帰らないとの事だった。

俺は由紀子に気になっていた事を聞いた。

「付き合う前だけどさ、奈々との事はどうなってたの?」

由紀子「…リョウと奈々が両想いなのは知ってた、けど最初は奈々にはまだ彼氏がいたからあまり気にしてなかったんだ…」

由紀子「でも奈々が彼氏とは別れるって言い出して、そしたらリョウと付き合うって解ってた。奈々には私がリョウを好きだって事は何となくは伝えてたけどハッキリは言ってなかったから…だから…嘘ついて…」

「そうだったんだ。」

由紀子「奈々はまだリョウが好きだと思うよ、多分だけど」

「和人と付き合っててそれはねーよ、それに今更だよ…」

由紀子「これが最後なのかな…?」

「あぁ…」

随分長い間の沈黙が続いた。

「体…体気を付けてな…じゃあな」

由紀子「嫌いになった女にそんな事言わないでよ~!」また号泣して叫んで背中叩かれた。

何だかよく解らない涙が俺も出た。

そのまま由紀子の家を出てった。最後に振り返ると由紀子がドアから出て泣きながら手を振っていた。


それからの俺は暫く睡眠障害みたいになってしまった。仕事も変わらず忙しくあまり休みもなく不満も募り。

会社の人にはよく死人みたいな顔してるぞとか言われるぐらいになってた。

ある時、力也が
「リョウ君、叔母から聞いたんだけどさ。この会社長くないかも、黙ってろと言われたけどリョウ君には言っとかないとと思ってさ」
「マジで?何で?」

力也「よく解らないんだけど元々税金対策だかなんだかで作るって話だったからとかなんとか?よく解らないけどね」

「何だよそれ…じゃあ意味ねーじゃん」

力也「ま、俺は家賃が無料だからどっちでも良いんだけどね(笑)」

この野郎!気楽なやつだな!と思いつつ話してくれて有り難かった。

No.19 12/04/18 13:57
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

お父さん「リョウ君よ、俺はこの前言ったよな?中途半端な事はするなってよ?」

そう言うと湯飲みを俺に投げ付けた。ガンと鈍い音がして頬骨辺りに直撃した。
由紀子のお母さんと由紀子が止めに入り、由紀子の弟も止めに来た。母は俺を気遣いハンカチでお茶を拭きながら「大丈夫かい?」と聞いた。

「あぁ、大丈夫…」かなり痛かったが。

再び土下座をし
「本当にすいませんでした」と言った。

由紀子も「お父さんやめてよ!リョウが悪い訳じゃなくて2人で決めた事なの!」そう庇い泣きながら謝っていた。

由紀子のお母さんが
「子供はどうするんだい?」

由紀子「おろします…」

由紀子のお父さんが「バカ野郎!そんな話があるか!」と怒鳴る。

まさに修・羅・場!

日本刀が本物だったら俺はそこで死んでいたかもしれない。

由紀子のお母さんも泣いていた。理由はどうあれ俺は心底申し訳ない気持ちになった。特に由紀子のお母さんは俺を気に入ってくれていたみたいで残念がっていた。

正しいとか正しくないとかは今でも解らないが俺は費用は全て自分が出すと話した。由紀子のお父さんは慰謝料も払えと怒鳴ったが由紀子とお母さんがそれは制止してくれ、怒りの収まらないお父さんに

「とっとと出ていけ!」と言われる由紀子の家を後にした。

帰り際に母に「本当に申し訳ない、ありがとう。ごめん1人になりたい」と。母はとても心配そうだったが「大丈夫、自殺なんてしねーから」と笑って見せ別れた。

1ヶ月前に見た公園の木々はもう綺麗な紅葉色になっていた。

それから少しして由紀子が追い掛けて来た。

由紀子「ごめんなさい、ごめんなさい」また泣いていた。力が抜けたからか由紀子への怒りも今はなかった。

「ご両親には本当に申し訳ないない事したな…お前ももう泣くなよ」

由紀子「うん…あのさ…無理だと思うけど、解っているけど…結婚ダメになったけど別れたくないよ」と言った。

情に流されて曖昧な事を言いそうになったが、拳を握り

「それは無理だよ、仕方ない事だろ」

由紀子「解ってる、解ってるけど…リョウと別れたくない~」公園で由紀子は俺の胸で号泣した。

何でこうなるんだろうな
何でこんな事になったんだろう
どうして、どうして

何処で道を間違えたんだろう、ずっとそんな事を考えていた。

No.18 12/04/18 13:24
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

由紀子はまた黙り込み下を向いた。

どの道、結婚は出来ない。由紀子が産む産まないは決めれば良いがご両親には伝えなくてはならないし真実を隠したまま話して納得などしてもらえる筈がない。少し思案しているとガラガラとベランダを開ける音がした

由紀子が四階から飛び降りようと手摺を乗り越えようとした

慌てて何とか取り押さえたが号泣しながら暴れ

由紀子「リョウと結婚出来ないなら死ぬ!」と叫んだ。

部屋に引き戻して暴れる由紀子を諭すが泣きじゃくって会話にならない。

時間を掛けてなだめ、今は由紀子を落ち着かせようと抱き締めた。

由紀子「うっ、ひっく、ごめんなざいぃ」と泣きながら始めて謝った。

嘘泣きか本心かは解らない、けど怒りは鎮まって来ていた。あまりの事に驚いたからだとも思うが、可能な範囲で穏便に済ませようと考えた。

「ご両親にはお互い気持ちが離れてしまった。無責任な形になったが別れはお互いが望んだ結果です」って話すか?

由紀子「いやだ~結婚したいよ~」とまた泣く由紀子。

「自分がした事を考えろよ、結婚はもう無理だよ。」

由紀子「うえーん、やだよぉ~」

一時間ぐらい泣き続けたが落ち着きを取り戻して

由紀子「ごめんなさい、リョウに任せます」と小さな声で言った。

ただそんな理由でお父さんが納得してくれるのかが不安ではあった。だからお父さんが納得しない時は由紀子が説得する事で浮気とお腹の子供の話しは伏せる事にした。

もう10数年前の事だが今でも10月16日だったのは覚えてる。

実は母には破棄の理由を話した。しかし母はそれだとしても破棄は破棄だ親だから一緒に行くと譲らず当日母を伴い由紀子の実家に来た。

この日は挨拶に来たあの日以上に緊張した。俺はお父さんの立場を考えたら殴られるぐらいの覚悟はあった。

由紀子の案内で居間に入るとお母さんもお父さんも強張った表情をしている、由紀子が事前におおまかな事は話してあるからだ。

「この度は誠にすいませんでしたm(__)m」産まれて始めての土下座をして謝った。

お父さんは黙ったままだったが、お母さんが

「どう云う事なの?ちゃんと説明してちょうだい」と言った。

頭をあげてから由紀子との打ち合わせ通りに説明した。

由紀子も「ごめんなさい、でも結婚は考え直す事にする」

それから少ししてお父さんが口を開いた。

No.17 12/04/18 12:32
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

あれから俺は受精日の逆算に関する資料をいくつか調べた。

精子の生存可能期間を鑑みて由紀子は明らかに俺以外の男とセックスをし妊娠したのは確実と見て良いようだった。

水族館から出て外食をしてから俺の家に移動した。

そこで俺は切り出した。

「なぁ、由紀子」

由紀子「うん?」

「俺に隠し事はないか?俺に言わなくてはならない事はないか?」

由紀子「え?どうしたの?何もないよ?」

由紀子は動揺も見せないでサラッと答えた。それが余計に腹立たしかった。

「何も?本当にないんだな?」

由紀子「ちょっと何それ?何か疑ってるの?」

またしても動揺しない。俺の目をハッキリ見ながら毅然とした態度だった。ここまでされると逆にあれ?ってなりそうだった。

「そっか…由紀子の口から聞きたかったんだけどな、残念だ」

由紀子「だから何よ?」

「俺さ全部知っているんだぜ?」

由紀子「え?」

「由紀子も知っていると思うけどよ、俺そんなに甘くないよ?」

由紀子「だから何が!?何の事!?」

この時の俺はいたって冷静だった。それでもなぜか小刻みに体が揺れてしまったが頭は冷静だった。

「俺に全部言わせんなよな、腹の子は誰のだよって話だよ。」

由紀子「!!」

始めて由紀子が明らかな動揺をした。絶句した由紀子は下を向き暫く黙ると圧し殺したように

由紀子「酷いよ…」

そう言いながら涙を流した。

誰が相手だって女の涙なんか見たくない、それだけでこちらが悪になるぐらいの威力抜群の技だ。だけど逆にここまで出来る由紀子に正直怖さを感じ出した。

「酷い?もう全て解ってんだよ?もし違うと言うなら今度ご両親も連れて産婦人科で受精日を聞きに行こうか?産まれてからのDNA検査でも良いがお前結果がどうなるか解ってても産むの?」

唯一、負い目に感じたのは罪もない命を場合によっては俺の言葉で絶つ事になるって事実。正直これは結構キツかった。


由紀子はそれから黙り込み言い訳も弁解もせずに下を向いたままだった。

俺は続けて
「結婚は白紙だ、ご両親には俺から伝える」

由紀子「ま、待って!親には言わないでお願い!」

そんな都合の良い事なんてあるか!そう思った。でも別に由紀子のご両親まで巻き込んでめちゃくちゃにしたい訳ではない。

「理由を言わないでどう破棄を伝えるんだ?」

由紀子「それは…」

No.16 12/04/18 12:03
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

「先月由紀子とかと沖縄に行ったよね?」

友人「うん、行ったよ」

「その時の事を聞きたいんだけどさ」

友人「良いけど…」

明らかに乗り気ではない雰囲気がにじみ出て来ていた。困った顔、引きつったと言えば良いか。

「単刀直入に聞くけど、由紀子沖縄で浮気してなかった?」

友人「え?さぁ…多分してないんじゃないかな…」

「大事な事なんだ、頼む本当の事を話してくれないか?頼む」

友人「…」

この沈黙がある意味答えだとは解っていても俺はどうしても真実が知りたかった。

「頼む、言いにくいのは解ってる、由紀子に君に聞いたなんて事は口が避けても言わないから」

友人「ナンパで…一緒のホテルだった男の子達とナンパで」

そう言うとまた黙り込んでしまった。

「ナンパで?由紀子は付いて行った訳?」

友人「うん…男の子達の部屋に泊まったり出入りしてた…」

「!!」

確信に変わった瞬間は怒りにすぐ切り替わった。

「他に何か解らないかな?」

友人「リョウ君と同じ血液型だとか言ってた男の子と多分してた…」

「ありがとう、本当にありがとう。迷惑にならないようにするから。ありがとう」

そう言ってバーを出た。

人間の心には鬼も住んでるんだよね、どす黒い負の感情と云うか殺意みたいなものなのかな、あれは心臓にはよくないもんだろう。それぐらい皮膚を突き出して飛び出て来そうなぐらいのどす黒いモノが俺の中に芽生えて支配された。

この日は一睡も出来なかった、翌日も寝れなかった。仕事中に意識が朦朧とするぐらい寝不足になり3日目にやっと眠れた。

由紀子からは電話やメールは来たがそこは上手くやった。

心はもう決まっていたんだ、婚約したが破棄しようって。自分の子供じゃない、浮気してあの飄々とした態度、全てが許せなかった。
惚れて来たのは由紀子だった、奈々との仲を裂いてまで強引な手を使ったのにまさかの浮気をして浮気相手の子供を俺の子供と錯覚させて結婚しようなんて手口、こんな悪どい人間だったと気付きもしなかった自分も憎い。

そんな感情が何をしてても抜けなかった。

10月になりすっかり涼しくなった。由紀子とその日は水族館へデートをしに行った。

俺はもう決心していた、今日言うぞ、と。

No.15 12/04/18 11:41
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

どうにも計算が合わない。

何度やっても受精日は予測した日より10日ほど遡る。勿論、この計算とやらは確実ではないみたいながら誤差は前後の数日とある。

となると…受精日は由紀子が沖縄にいた頃になる…

あれ?なんだ?おかしくね?

嫌な事はすぐピンと来てしまうもんだ、だって誤差数日。多く見積もっても5日としても俺はその前後の5日を含めても由紀子とはしていない。

一番近い日が11日離れた沖縄からの帰宅日だ。

嫌な汗と今まで感じた事のない動悸、嗚咽に近いようなものを感じその雑誌を手早く閉じて戻した。

隣で雑誌を見ていた由紀子が「どうしたの?体調悪い?」と聞いてきた。

「い、いや、ちょっと腹痛いかも」とトイレに入った。

頭が混乱しているとは言え事の重大さには気付いている、考えれば考える程に。

由紀子が沖縄で浮気をしそこで妊娠したんじゃないかって疑惑、そしてそれを万が一の為に帰宅して半ば強引に中出しさせた事、浮気をしておいてあんなに飄々としていられるものなのか?とか色々頭を駆け巡る。

目の前がチカチカするような目眩を覚えるほどに人間はショックで体調に異変を来すのを始めて体験した。

取り敢えず、何事もなかったかのように振る舞い由紀子のところへ戻った、医者からの話やら由紀子との会話はほとんど耳に入っていないながらも腹痛でと誤魔化し由紀子と別れ1人で帰宅した。

それからの俺は考えがまとまらないまま数日を過ごした、確証まではないながらもこのままの気持ちでは由紀子と一緒にはなれないと思い唯一の出産経験のある地元の友人に電話をした。

友人曰く「あんたやられたんじゃない?お医者さんに聞かないと確実な事は言えないけどそれなりにあれ当たるし」との事だった。

疑惑は次第に確信に変わりつつあった。そうなるともう止まらない、一緒に沖縄に行ったと云う友人の1人とは面識があった、バイト先も知っている。その子に聞いてみようと決心してバイト先のバーにその夜行った。常連らしき客が数人しかいないバーのカウンターの中にその子はいた。

顔を見るなり「あれー?久しぶり」と。覚えててくれたようだった。そして「結婚するんだって?おめでとう」とも。

「あ、ありがとう。ちょっと聞きたい事があるんだけど大丈夫?」彼女の顔色がなんとなく変わった気がした。

友人「うん、大丈夫だけど…何?」

No.14 12/04/18 11:16
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

由紀子「ただいまー」

ドアを開けると由紀子の「お帰り、いらっしゃい」と言ってお母さんが部屋から出てくる。

会うのは初めてだ。

「は、初めまして小笠原リョウです。」

由紀子のお母さんは「どうぞ」と笑顔で迎えてくれた。

この時はかなり緊張した、萎縮するとはこの事なんだろうなと思った。

由紀子のお父さんが待つ居間に行くと柔らかいタイプのお母さんとは真逆のいかつい風貌のお父さんが座っていた。松方弘樹を少し細くしたようなタイプ。

「は、初めまして小笠原リョウです」

由紀子が紹介する前に挨拶をしてしまい少し焦ったがお父さんに顔をまじまじと見られてから「突っ立ってないで座りなさい」とか言われ会釈をし着席した。

まず最初に謝り、それと結婚を認めてくれるようお願いをした。セリフはよく覚えていない、多分自分の仕事や年齢とかそんな事も言ったと思うのだがやはり細かくは思い出せない。

ただ一通り話した後にお父さんから「2人で決めた事だろうし、由紀子もリョウ君と一緒になりたいって事なら反対する理由はないよ」と「ただし中途半端な事したら許さねぇからな」と言われた。

「はい、ありがとうございます!ご迷惑を掛けないようしっかり頑張ります。」
と由紀子と一緒に頭を下げた。

由紀子のお父さんは「リョウ君は飲めるんだろ?」と日本酒を薦められ、少しいただきそれからは軽い談笑をしたと思うがこれもあまり覚えていない。

部屋の奥に日本刀が飾ってあったのだけはよく覚えているのだが…

ただ反対もされずに思った以上にすんなり許しを得たのは安心と共に少し拍子抜けでもあった。お母さんにもとても良くしてもらい、その日はまた母を連れてご挨拶に伺う旨を伝え失礼した。

帰り道由紀子に「よく出来ました、頑張ったね」とか言われたっけな。

公園の木々も色付き出し秋がそこまで来ていた。


由紀子もそれから何度か通院などしてまだ何が何だか解らないレントゲン写真のような物を見せてくれたりした、ある時一度産婦人科に一緒に行った。

待合室で待っている時に育児関係のたまごクラブだかの雑誌をパラパラ見ていると受精日の特定計算みたいなのがあった。特に興味もなかったが暇だったので計算をしていた。

俺はあの中出しをしてしまった由紀子が沖縄から帰って来た日がズバリ出るもんなのかと思っていたら…

No.13 12/04/18 03:10
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

まだ若造だった俺はそれで大分安心した。

そして翌月、その時は来た。


由紀子が妊娠した。

凄く嬉しそうに俺に報告してきた、産婦人科には1人で行ったらしく何やら色々見せられたがあまり覚えていない。由紀子を悲しませるのも嫌だから直ぐ様「そうか、これからの事考えなきゃな」とかそんなような事を話した。

由紀子は少し不安そうな顔で「産んで良いよね?」と聞いてきた。

結果に対する選択肢は1つしかない「勿論、俺の子でもあるんだから」そう答えた。前後はよく覚えてないがこのセリフはハッキリと記憶にある。

由紀子「嬉しい!」そう言って満面の笑顔で抱き付いてきた。半年近く付き合っていれば何だかんだで俺も由紀子を好きになってきてはいたし、何より由紀子は俺をとても愛してくれているようだったからこれもありかなと、思った。

そこからは怒涛のイベント盛り沢山だった。

まず母に話した。
当然怒られた、少し反対したそうでもあったが妊娠している以上仕方ないとなり後日由紀子を会わせる事にする、また由紀子のご両親にも挨拶に行かなくてはならない為に由紀子からご両親に日時を取り決めしてもらいう。日程的な都合で俺の母からになり由紀子を会わせた。

2人揃って母と姉夫婦がいる前で妊娠した事と結婚をする事の了承を得いとお願いする。

母は「簡単な事じゃないのよ?責任持ってしっかりやるのよ?これからは計画ぐらい立てながらやりなさい」と言った。

ただ何となく直感で母は由紀子を気に入らなかったなと思った。

姉夫婦にも「何かあったら言ってね、協力出来る事はするから」と。

一先ず少しほっとした。

由紀子もかなり緊張していたようで
由紀子「心臓ヤバかったよ~」と泣き出しそうな顔をしていた。

母は「由紀子さんのご両親への挨拶はいつなの?母さんも行かなきゃならないでしょ」と言ったが最初は俺だけで行くよ、その後にお願いする事になるから日時決まったら連絡すると話、実家を出た。

後日、由紀子のご両親に挨拶に向かう、久しぶりのスーツを来て人生でもかなり上位にくる極度の緊張が襲ってきた。

「お父さん怖いんだったよな…?」

由紀子「うん、ちょっとね」

マジかぁ…何度か深呼吸をしていざ鎌倉へ!と由紀子の家の敷居をくぐる。

No.12 12/04/18 02:41
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

奈々「はぁ?嘘って何それ?」

奈々が声をあげたのでハッと由紀子と和人を見る

2人とも口を開けてガッツリ寝ているようで胸を撫で下ろした


「由紀子から聞いたし、まだ別れてなかったって。」

奈々「ちょっと待ってよ、わたし嘘なんてついてないよ。リョウに会いに行く前にちゃんと精算しなきゃって、ちゃんと別れてきたもん!」

その言葉に俺はハッとしてしまった。聞きたかった言葉であり聞いちゃいけない言葉だった。奈々もそれにすぐ気付き黙り込んでしまった。

お互いそれ以上話せなかった、それ以上話したらこの4人の関係は全て壊れるのが解っていたから。

由紀子が狸寝入りをしてないかどうか何度も確認してから

「何か踊らされてたんだな」

奈々は無言で頷いた、少し涙ぐんでいるように見えた。

でも既に手遅れ、もう過ぎた事、和人を巻き込む事が一番嫌だったからこれ以上は話さなかった。言いたい事はたくさんあったし今にして思えばあの時、本音を奈々に話していたら…全く違う未来があったんだろうなって。所詮は今更ながらの後悔であり当時出来なかった事を悔いてもね。


これ以降、奈々とは1年以上会わなかった。


奈々と久しぶりの再会をした時の俺は何もかも失ない生きる屍になっていた


事の始まりは夏に由紀子が10代最後の旅行したいって事で友達数人で沖縄に2週間旅行に行ったところから

同時に俺は常務が送り込んで来た人の部下にされてしまった。理由は退職者が多い、君の責任だと常務に言われた事だった。堀さんも反対したが常務の「彼はまだ若いプレッシャーで潰れられたら困る、もう少し経験を積んでから戻すべき」

一見、正論だが回し者は聞けばただの運転手をしていただけの人で人事も庶務万端全くの素人でヤル気もなく「俺はお払い箱みたいなもんだ」と言っていた。

俺は管理職ではなくなったので残業代出るし気楽になれたかな?休みは当たり前に休めるしと思ったが肩書きと権限は剥奪されたがやる事は何も変わらない有り様だった。この頃から会社に対して不満が膨らんできた。

2週間後由紀子が帰ってきた。

南国の人かってぐらい黒々と日焼けしてて意外と似合っていた。


この日、久しぶりだったためもあり由紀子が上に跨がりゴム装着をさせる暇も与えずに中出しをさせられた、人生初だった。青ざめた俺はシャワーをと急かしたが由紀子は安全日✌、と。

No.11 12/04/18 02:09
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

力也「俺は無職だったし家賃も出してくれるみたいだし給料そこそこだからってだけの理由でここ来たから気楽なもんだけどさ」


「でも軌道に乗ればまた違うんじゃないの?」

力也「わかんね(笑)けどせっかく都会に出てきたんだし俺も長くはいたいけどね、家賃掛からないし」

力也は細かい事は考えないって見た目ど同様な豪快なタイプ、運転中に何かをはねたような感触と音がした時も何か落ちてたけど人じゃなかったのは間違いないと停めないし携帯紛失しても買い換えるから良いかな?とか言って探さなかったし貯金何それ?旨いの?みたいな人…

ただ仕事は真面目にやってたから一切問題なし。


そんなこんなで休日もなぜか出社させられていた、常務曰くそれが管理職だとか意味不明発言。


それでも日々が過ぎて行き俺は由紀子とも付き合いながら仕事をしていたある日

和人から
「やったぜー!奈々ちゃんと付き合う事になった✌」
みたいなメールが来た。


正直複雑な気持ちだったけど和人ならって気持ちも結構あって「やったな!お前しつこいもんな(笑)今度また皆で遊ぼうぜ」って返信した。


翌月、皆の都合が良い時に飲みに行った。奈々とはあれ以来連絡もしてなく少し気まずかったけど普通に接して来て俺も今まで通りに出来た。

何となく由紀子が観察している雰囲気があったのが少し嫌だった。

二次会はまた俺の家になった。

和人は何しろ酔うとかなりの確率で寝る、爆睡だ。この日も家飲みを始めて二時間ほどで寝出した。

暫くすると由紀子も前日バイトの歓迎会か何かでオールしたとの事もありイビキをかいて寝出した。

奈々と2人きり、少し沈黙が続く

奈々「由紀子とはうまくいってる?」

「え?そうだね…いってるよ」

奈々「そっか。ここでわたしと和人が寝てる時にキスしたんでしょ?」

「みたい…寝てたから記憶はあまりないけど何となく覚えてる」

よせば良かったのに俺は話続けてしまった

「そもそも由紀子からもその時の話はされてないし俺は夢かも?ぐらいの記憶しかないから実感なかった」

奈々「嘘だぁ、由紀子はキスされたって話してたし言い訳らしくなーい」

「い、言い訳なんかじゃない。ここでこうやって寝てた時に上からされたんだし俺からじゃない、って奈々だって元カレと別れたとか嘘ついてたじゃないか」

No.10 12/04/18 00:51
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

「ありがとうございます、頑張ります!」


奥さん「でも常務は良いって言うかしら?」

堀さん「うーん…大丈夫じゃないかなぁ?」

常務とはこの子会社ではなく運輸会社の専務を兼ねてる老齢のやり手な人であり実質No.2で若社長の堀さんよりある意味発言力も権力もありこの子会社の設立も常務主導だったようだ。

堀さんも実は常務には頭が上がらないところがあるので常務が反対したら厳しいのだ、それに入社してから感じる事は

常務と若社長は微妙に対立している?現社長が引退したら二代目が跡継ぎになる流れはあるはずながら常務の権力は社内でも大きく堀さんは常務の息が掛かっていない部下を増やす為に俺を含め他2人を独自に入社させたのだと思われる。

因みに常務には俺の入社を若すぎると反対されたそうだが、堀さんが珍しく押し切ったらしい。


それから数日して部下の1人がまた遅刻をした。

「野田さん、現場に行く時間考えてください。運転手の野田さんが遅刻じゃ話にならないんですよ」

野田「あー申し訳ない、ちょっと道が混んでてね」

前回と同じ言い訳だった。
入社して2週間足らずで33歳にもなってたいした理由もなく2回も遅刻した彼に怒りを覚え

「野田さん、次回またあれば社長に伝えますのでこれっきりにして下さい」

野田「次したらクビって事?」

「いや、それは社長が考える事だと思いますけど、そう云う事もあるかもしれませんから」

野田は翌日から会社に来なくなり連絡も取れなかった。逃亡1名

運転手がいなくなったのでまた募集する必要があったが親会社から運転手を1人回すと常務が手配してきた。

この人が常務の回し者だったとは若造な俺には気付く事も出来なかった。それと同時に堀さんの奥さんが甥を入社させた。

俺と同年代で俺と同役職での採用だった、彼は安岡力也そのものの風貌ながら良い奴ですぐに打ち解けた。
また住まいも同じマンションの一室に入居したので何かとプライベートでも行動を共にする事になる。

力也「リョウ君はこの会社大丈夫だと思う?」

2人で夕食を食べてる時に力也はストレートに聞いてきた

「どうだろうなぁ?でも立ち上げ時のメンバーなら努力次第で上行けないかな?」

力也「でもさ、叔母さん(若社長の奥さん)の話ぶりだとここって若社長の体験社長みたいな為に用意した会社みたいなんだよなぁ」

「マジ??」

No.9 12/04/18 00:22
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

5回、10回…コールを続けるも出ない、留守番電話に切り替わる。家電に今度は掛ける。

「はい、山瀬です」

「あ、小笠原です。こんにちわ、奈々さんいますか?」

「あら、小笠原君、ちょっと待っててね」

奈々はいるようだった。意外と待たされた

奈々「はい…何?」

冷たい声で明らかに不機嫌だった

「ひ、久しぶり…」

奈々「…」

「あのさ…」

奈々「おめでとう、由紀子と付き合ったんだってね、良かったじゃん」

「え、いやそれは」

奈々「和人君もいた飲みの時とかキスされたって由紀子から聞いたし、そう云う人だったんだねリョウは」

「それは俺覚えてない、俺からしたんじゃないよ」

奈々「何それ、したのは変わらないんじゃん!お幸せに!」ガチャン、奈々は勢いよく電話を切った

それからメールしても携帯に電話をしても奈々が出る事も返信してくる事もなかった

何が何だか解らなかったが奈々はもう話を聞いてくれる気はなかったし奈々の言うようにキスをしたのも事実だった、言い訳にしかならない。

由紀子に対してもこんなんじゃ失礼だと思い奈々に説明するのも止める事にした。

この段階で俺は腹をくくった。

この無意味な責任感のようなものが自分の首を絞めていく。

丁度仕事も忙しく皆で一緒に遊ぶ時間も減った。

それから2ヶ月ぐらいが経過した。

仕事も本格的に始まり、皆年上ばかりだったが部下も数人出来た。

ただ俺も面接官をしていたが常務の独断で受かった変人ぽい人がやたら多く困った。

上司とは言え一回りも年下に対してリスペクトなぞなく微妙にズレた人が多かった為にタメ口やら従わなかったりしたので俺は若社長の掘さんにあるお願いをした。

「社長、ご相談があるのですが…」

堀さん「じゃあ終わったら焼き肉行こう、そこで聞くよ」

「はい、ありがとうございます」

恒例の奥さん同伴で焼き肉屋で肉をついばみながら

「社長、今回入社した5人なんですが僕の指示を聞きませんし、遅刻を咎めても反省の色すら見せてません。僕はどこまで彼等に対してアクション起こせるのですか?」

堀さん「もう遅刻してるの?注意してもダメなの?アクションって?」

奥さん「権限って事じゃない?」

堀さん「権限?クビにしたりとかそう云う事かな?だったら小笠原君がダメだなって思ったら僕に話してよ、そうしたら考えるし」

No.8 12/04/17 23:04
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

本音を書くと俺は何んて事をしてしまったんだ、って気持ちだった。後悔が後から後から襲ってきた。

けど由紀子を抱いたのも事実、責任がある。そう思った、奈々も手の届かないところに行ってしまったし…と。

由紀子は「奈々に話しても良いよね?」と聞いてきた。


「…あぁ…」割りきれなかった、まだ割りきれてなかった、けど自分のした責任は取らなくてはならないと、俺はそう思い返事をした。


由紀子「本当?嬉しい」

由紀子が喜んでいる顔を見てこれで良かったんだ、そう思い込もうと本音に背を向けて作り笑いをしている自分がいた。

由紀子は友人としては凄く好きだった、女としてもテキパキ働き者で賢くて気遣いも出来る女だった。実はバイトしていた時には由紀子を好きな男もいた。

バイト先の店長も「良い嫁さんになるタイプだな!」とか言っていたし同意見だった。

ただ俺は奈々が好きだった、いや今も奈々が好きだ。でも奈々は好きな男が他にいて仲違い中に俺に少し揺れた程度だったんだろうなと。

それから由紀子はシャワーを浴びて帰った。

俺は部屋で1人いまだに後悔をしていた。

奈々にメールをしたい、電話をしたい、けどそんな資格はもうない、そう思いそれ以来自分から連絡をするのを控えてしまった。奈々からも連絡はなかった。


それから由紀子は2日に一回は家に来るようになり、奈々には付き合った事を話したら喜んでくれていたと聞かされた、何となく由紀子は当て付けかのように奈々が元カレとの話を生々しく話してくる、苛ついた態度を取れば奈々に未練たらたらなのがバレてしまうから黙って聞いていた。

ある時、和人から電話が来た

和人「おい、由紀子ちゃんと付き合ったんだってな!何で教えてくれないんだよー?」

「別にわざわざ報告するこっちゃねーしよ、由紀子から聞いたの?」

和人「いや、奈々ちゃんから♪」

「え?奈々から?」

和人「おう、俺も奈々ちゃんにアタックすんぜ!」

「おいおい奈々元カレと元サヤだろ?」

和人「は?いや今彼氏いねーって昨日も聞いたぞ?好きな人は最近までいたみたいだけど今はいねーって、タイミングばっちりだろ(笑)?」


ナンダソレ?


「わり、ちょい用事出来たから切るわ」

奈々に確認しなくては、考える暇もなく俺は奈々に電話をした


No.7 12/04/17 22:40
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

それから暫くして仕事終わりに由紀子からメールが来た

由紀子「今駅前のミスドにいるんだけど暇?」

「おう、良いよ仕事終わったから行くよ」

ミスドに着くと由紀子を見付けた

「よっ、お疲れ」

由紀子「お仕事お疲れ様、仕事は慣れた?」

「いや、慣れない。研修も再開したけど難しいし朝早いし休みすくねーし(笑)」

由紀子「管理職なんでしょ?大変だよね」

「管理職?いや雑用つーか何でも屋だよ…ま、遣り甲斐はあるかな?」

そんな話をしていると由紀子から思いもよらない話を聞かされた

奈々が元カレと元サヤになったと

「え?マジ?でも愛想尽きたとか言って別れたんだろ?」

由紀子の話だと奈々はそんな感じで昔からダラダラ別れずに付き合ったり別れたりしているとの事だった

マジかよ…

由紀子「奈々はモテモテだし昔から友達たくさんいるからね、メールや電話もない時は彼氏とうまくいってる時だし」

俺は奈々にそろそろ告白しようって考えてた、仕事が少し落ち着いたら告白しようと。

「そうなんだ」

由紀子「ショック?」

「え?いや、別に」

ショックだった、奈々は派手な子だけど凄く真っ直ぐで裏表が全然ない子だったし尻軽なタイプでもなく結構時間掛けるタイプに見えていた

由紀子「飲もうか?」

「これから?」

由紀子「まだお酒残ってるでしょ?」

「あぁ、あるよ」

由紀子「決まり♪」

促されるまま由紀子と家飲みをした

飲んでる時に奈々から由紀子へ電話があった

ベランダに出て由紀子は話をしていたので内容はあまり聞こえなかったがベランダに出るまでの話だと、俺の家にいるって話をしていた

それから数分で由紀子が部屋に戻ると

由紀子「元カレと仲直りしたから今度飲もうみたいな話だった」

「そうか」
おそらくかなり凹んでいたと思う。

由紀子「飲もう飲もう!」

度数の強い酒ばかり残っていた為にまた酔い潰れてしまったようだった、この時も記憶が朦朧としていた中でベッドで由紀子とキスをしている記憶が僅かにある、その後の記憶は部分的ながらより強く覚えている。

由紀子に「暑い?苦しいよね?」と言われながら服やジーンズを脱がされて由紀子と抱き合いフ○ラや69、そして最後までしてしまった記憶がある

我に還ったのは終わってから由紀子に「好きだった」と言われた時だった

No.6 12/04/17 22:07
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

奈々「まだまだ朝まで時間あるし飲むぞ~」

とかなんとか。

帰りも奈々と手を繋いで帰った。幸せを凄く身近に感じた。

家に付くと由紀子が和人を起こして水飲ませていた

和人「おー、くるしゅうない、酒をちこうよれ」

とかほざいていたがギリギリしらふな和人に飲ませたらヤバい酒ばかりだった。

それでも二次会とばかりに再開した、奈々も酒は強いし由紀子はもっと強い。和人と俺の方が弱いつー残念な状況。

朝方になると和人は再び爆睡をし奈々も居眠りをし俺も意識朦朧で酔い潰れる出前、いやこの辺りの記憶はかなり怪しくこの後は寝てと思う。

どれぐらい経過したのか解らないが次に俺の記憶にあるのは由紀子とキスをしているシーンだ

由紀子が俺の上に乗ってキスをしている、いやされているようなシーン

何が何だか解らないが体も動かないし意識も朦朧として思考も停止していた

それが全てを狂わす事になった、後日談だが奈々はそれを知っていた、由紀子が話したそうだ。

そこから更に記憶がなく次に目覚めたのは和人の声でだった

和人「おい、奈々ちゃん達帰るってよ!起きろ!」

「う、うん…おぉ…」

奈々「リョウ?帰るよ?大丈夫?」

由紀子「片付けしといたよ、じゃあまたね」

「うん?あぁ、またな」

和人「またねー!メールするからね♪」とか言ってた、ゲットしやがったのかと思ったがボーとしていた。

俺は由紀子にキスをされたようなおぼろ気な記憶があったがあまりにも現実的でもなく夢か何かかと思っていた程度だった。

和人「奈々ちゃんマジ乳デカイよな!おっぱい星人\(^_^)/おっぱい星人\(^_^)/」とかそんな調子で朝からテンション高くてうるさかった

和人「お前、由紀子ちゃんと良い感じじゃね?」

「はぁ?な事ねーよ、友達だ友達」

和人「そうかぁ?由紀子ちゃんお前好きそうだけどなぁ」

「なんだそれ」

そんな話しながら和人も帰って行った。

この日を境に俺の意図に逆らうかのように全てがちぐはぐに狂って行く事になるとは思いもよらなかった


奈々から「寝足りないでしょ、おやすみ、またねリョウ♪」

とのメールに何か距離が縮まったような気がして嬉しくて「今度は2人で飲もうな」って返した

寝る前に奈々から
「本当?うん約束ね」

でもこの約束は守れなかった…

No.5 12/04/17 21:40
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

何やら奈々の元カレか何かの名前やらが出て別れた別れてないの話のようだった

由紀子「てか出て話そうよ」

奈々「良いよ、リョウごめんね」

そう言いながら2人は出て行った…

俺は何が何やら解らず呆気にとられてしまっていた、情けない…

それから暫くメールや電話をしても奈々とは連絡が取れなかった。

由紀子からはごめんね、今度穴埋めするからとメールが来た。

そんな時に和人から電話が
和人「よー、今度飲まねぇか?もちろん奈々ちゃんも(笑)」

「あー、良いけど、じゃあ2人に聞いてみるわ」

和人「うほっ!じゃあ日時決まったらメールくれや」

「おう、またな!」

奈々と由紀子にメールで和人からの誘いがあった事を伝えた。

まだ足があまりよくなかった事もありまた家飲みになった。

当日、奈々が時間より早く来た。

雑談していると奈々は肩痛い凝った~と言うので

「俺上手いぞマッサージ!してやろうか?」

奈々「本当♪わーい」

そんな事を言い奈々の肩を揉んだ、また嫌な汗が出てしまったけど何か嬉しかった。

奈々「あー気持ち良い、マジ上手いじゃん♪」

「だろ?昔よく親にやらされたんだよな(笑)」

奈々「リョウのご両親に感謝」とか言ってた気がする

奈々「わたしさ」

「うん?」

奈々「何でもない、リョウといると落ち着く…」

「え?あ、俺も。それにめちゃ楽しいし」

奈々「ふふ、一緒だ♪」

ピンポーン、由紀子が来た。

「おう、入れよ」

由紀子「おじゃましまーす、奈々早いじゃん」

奈々「バイト早く上がった(笑)」

仲直りはしているみたいで安心、それから和人も大量の酒を持ってやってきた

和人「ちーす!奈々ちゃん由紀子ちゃん久しぶり!今日も朝まで飲むぞ!」

「朝までかよ(笑)」

和人「そらそうよ!」

奈々や由紀子は俺や和人の昔話を聞き和人や俺は奈々や由紀子の昔話を聞いたりして楽しいし時間はすぐ過ぎて行った

相変わらず和人は爆睡を始めた、俺はタバコが切れたからコンビニに行くと奈々が付いてきてくれた

奈々「まだビッコじゃん、お酒なくなったし、わたしも行く」

「あぁ、ありがとな」

行く途中に並んで歩いていたら奈々が手を差し出して
奈々「転ぶぞ(笑)」

奈々の手を握るのはあの日以来だった、また手汗が出てきた。

コンビニで奈々は度数の強い酒ばかりを買った

No.4 12/04/17 21:16
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

奈々「じゃあカレーにする?」

「うーん、奈々の手料理食べたいなぁ」

奈々「よし!任せなさい!好き嫌いないよね?」

「いんげん豆は嫌い」

奈々「いんげん豆(笑)解った、何か買ってくるよ」

奈々が買い出しから帰るとテキパキと料理を開始した

「何か手伝う?」

奈々「狭いし足悪いんだからあっち、ゴールーム!」

そんな事を言われて俺はおとなしく奈々の料理姿を眺めてた。多分ニヤニヤしていたんじゃないかな

奈々「出来た!ジャーン!いんげん豆抜きの肉じゃがと鮭のムニエル♪」

「おー、旨そう!料理上手いんだな」

奈々「うち、小料理屋だし当たり前♪」

奈々のご実家は小料理屋をやってる、市内にあるので閉店後に奈々と由紀子と3人で貸し切りにして飲み食いした事があった。

「いただきます!」

奈々「召し上がれ♪」

奈々の肉じゃがはうちの母が作る肉じゃがと味が似ていて凄く旨かった。

食べ終わり奈々がキッチンを片付けをしていると奈々のPHSが鳴った。由紀子だった。

奈々「もしもし?由紀子?うん、うん、今?今リョウといるから。なんで?」

そんな話をしているようだった。奈々は少し不機嫌そうに解った、電話を切った。

奈々「由紀子も来るって」

「由紀子?そうなんだ」
うーん、2人きりが…残念な気分になった。

「なんで喧嘩したの?」

奈々「え?あーうん、大した事じゃないよ本当に」

「そっか、奈々達も付き合い長いんだっけ?」

奈々「うん、小学生の頃からだからもう10年ぐらい」
そんな話をしてたら由紀子が来た

由紀子は部屋に入るなり

由紀子「奈々、ちょっと外良い?」

奈々「何で?ここで良いじゃん」

何やら口論を始めた

由紀子「奈々っていつもそうだよね、何で邪魔する訳?」

奈々「はい?邪魔なんかしてないし約束とか何もしてないじゃん、由紀子こそいつもそうだったよね、中学の時だって」

口喧嘩が始まると2人はヒートアップしお互いを責めあった

「ちょ、ちょっと何だよ落ち着けよ」

奈々、由紀子「リョウは黙ってて!」

「うぇ?は、はい…」

2人の剣幕に押され黙って静観する羽目になった

由紀子「奈々はまだ○○と終わってないんでしょ?何してる訳?」

奈々「はぁ?もう別れたし!」

由紀子「嘘!いつもそうやってダラダラしてるじゃん」

奈々「だから別れたっての!」

No.3 12/04/17 20:48
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

20~30分ぐらいしても奈々も由紀子も来なかったので窓から外を見ていたら由紀子と奈々がマンション入り口で何か話していた。

ちょっと口論しているようだった。

少しして奈々はそのまま帰った。

由紀子「ただいまー」

「あれ?今奈々もいたよね?窓から見えたよ?」

由紀子「あ、うん。ちょっと昨日帰りに喧嘩しちゃってさそれでまだ仲直りしてなくて、あはっ(笑)」

「マジかよ、それで奈々帰ったの?」

由紀子「うん、みたい」

「なんだよ~仲直り早くしろよな」

由紀子「大丈夫だよ、奈々とは付き合い長いしよくある事だよ」

そう笑って言うと料理を始めた。

奈々にはメールで
「何か喧嘩したんだって?帰るなよ、せっかくうちまで来てくれたのに」

そうメールしたがやはり返信はなかった。

正直かなりガッカリした、昨夜の事もあり俺は奈々を本格的に好きになってしまっていたのだ

その日は由紀子のカレーを食べた、なかなかの味だった。由紀子は洗い物までしてくれて俺に「出歩くんじゃないぞ!酒飲むなよ!」と言って帰った。


奈々からは返信もなかったが結構男っぽいところがありメールは頻繁にしない子だったからあまり気にはしてなかった。

翌日、午後から松葉づえで会社に行き研修は暫く休みをもらい診断書を渡して社内で面接官などして定時には帰れた。

奈々からメールがあり

奈々「足どう?夜空いてる?」

「足はダメ(笑)もう帰るから空いてるよ」

奈々「じゃあ今から行く♪」

奈々が家に来る、2人きり、心踊りワクワクしながら帰宅した。

暫くして奈々が来たピンポーン

足を引きずりながらドアを開けると

「久しぶり!」そんなに久しぶりじゃないが俺も「久しぶり!」満面の笑顔だっただろ。

奈々「おじゃましまーす、って足見せて?うわ、腫れ過ぎ!痛い?骨は大丈夫?」

「いや痛いね、けど骨は異常ないみたいだから大丈夫だよ」

奈々「そっか、良かった。心配したよ」

「ありがとう、けどこの前由紀子と喧嘩して?帰っちゃったじゃん」

奈々「あーうん、でももう大丈夫だよ」

「そうか、なら良かった」
奈々「ご飯は?何か作ってやろーか(笑)?」そう言いながらキッチンに行く

奈々「カレー?作ったの??」

「いや、由紀子がね」

奈々「ふーん、由紀子かぁ…」

No.2 12/04/17 19:48
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

「えっ…いや緊張しちゃってさ、はは」

奈々「わたしも、けど落ち着く」

「奈々…」

奈々の手を握った、奈々もギュッと握り返してきた。お互い手汗が凄かったのを今でも覚えてる。

そんな姿勢のまま暫く奈々の話を聞いていた。

緊張からかこの時の話の内容をあまり覚えてない。

すると由紀子がムクッと起きた。
俺と奈々は思わず離れて

奈々「ちょ、由紀子大丈夫?お水飲む?」

由紀子「うん…頭痛いかも…」
とボソボソ話て水を飲んでから帰る~と言い出した。
奈々「じゃあわたしも一緒に行くよ」

俺も「送るよ」

奈々「大丈夫だよ、リョウは片付けもあるし疲れたでしょ今日は」

そう言うと2人は支度をして帰っていったい。

翌朝和人が

「うぉー!奈々ちゃんのPHS聞いてねぇ!不覚!不覚過ぎる」
とのた回っていた。

そんなこんなで由紀子と奈々がいる街での新生活がスタートした。

仕事は今思えばあまりにもお粗末で準備不足だったんじゃないかと思うような出だしで朝6時から夜22時ぐらいまで研修→面接→事務所の支度や備品の発注など休みもなく2週間が過ぎた。

ある日、研修中に足をくじいてしまった。捻挫だ、床に油をこぼしたまま拭かない人がいたために俺の責任ではなく怒られはしなかったが異様に腫れ最初は骨折じゃないかと思うほどだった為に病院→早退→翌日は午後からで良いとの事になり昼過ぎに帰宅した。

奈々に電話をしたが出なかった、メールはしておいた。由紀子からメールが来たのはそのすぐ後だった。

捻挫して歩けないぐらい腫れちゃったよ(笑)

とメールを返信したら由紀子は今から行くよと電話をくれた。

由紀子の家からは自転車で10分ぐらいの距離だったのですぐ来てくれた。

由紀子「ちょっと大丈夫?ってうわ…腫れ過ぎじゃない?」

「バキッて音したから骨折れたかと思ったよ、つか靴履けないし歩けねーし…」
由紀子「じゃ何か作ってあげるよ、リクエストは?」
昼飯前に病院直行だったので空腹だった

「マジ?ありがてー!カレーとか食べたい」

由紀子「カレー??材料何にもないじゃん、じゃあ買ってくるよ」と由紀子は出ていった。

それとほぼ同時に奈々からメールが

「捻挫?大丈夫?バイト夕方からだから今から行くよ」と。

「大丈夫じゃないかも(笑)由紀子も来てくれてるんだ」

そう返したが返信はなかった。

No.1 12/04/17 19:19
リョウ ( 30代 ♂ CeMSh )

俺は嬉しいと同時に少し不安もあった。

サラリーマンとして勤めた2年半での思い出には何一つ良い事などなかった為、それと堀さんは中堅運輸会社の次期社長とは言え設立する子会社が設備会社との事ながら「大丈夫なの?」と云う気持ちもあった。

ただチャンスだとも思った、それは由紀子や奈々も

「設立当初からいれば出世間違いなし!しかも側近みたいな扱いで入社なんでしょ?」とはしゃいでいた。

帰宅し母にもその話をすると母は

「大丈夫なの?その人は信用出来るの?でもあんたがやりたいようにしなさい」
と言った。

10日ほどだろうか悩んだ結果堀さんにお世話になりたいと思いますと伝え細かい仕事内容や待遇を聞いた。

俺はどうやら課長クラスのポストで数人の管理をしてもらうつもりだと云う事と面接官もしてもらうと、また仕事は未経験からになる為に会社立ち上げ前の1ヶ月は同業者にて研修をしてもらう事になる旨を伝えられた。

堀さん「住まいはうちで用意する、早速来週からそこから出社してほしい」

話しはトントン拍子に進み俺はバイト先のあった街に引っ越しをした。

引っ越し後に手伝ってくれた由紀子と奈々に親友の和人にお礼を兼ねて家出前の寿司を肴に飲みをした。

和人「奈々ちゃん彼氏いるの?彼氏は?」と明らかに奈々に興味津々な様子

奈々「2ヶ月会ってない(笑)もうダメだねこれは」

和人「マジで!別れちゃいなよ!」

そんな感じで初対面だった和人も含めて4人で仲良くなった。

実は俺も奈々が気になっていたんだ、奈々から彼氏の相談とかもよくされてて泣く奈々を慰めたりしているうちになんとやらで


和人は幼稚園時代から気が付いたらよく遊ぶようになっていたような親に次ぐ付き合いのある唯一の親友だった、性格も気さくでおおらかで2人で犯罪ギリギリの悪さもしていた仲だ。

その夜、和人と由紀子は酔い潰れイビキをかいて熟睡してしまった。

奈々「由紀子まで酔い潰れた(笑)珍しいね」

「一番強いのにな、家飲みはやっぱり危険だ(笑)」

部屋の壁にもたれて並んで座りながら奈々は

奈々「実はさ彼氏と昨日別れてきたんだ…」

「そうだったんだ…後悔はしてない?」

奈々「うん…してない。」そう言いながら頭を俺の肩に乗せた

俺は心臓がバクバクして固まった。

奈々「リョウの心臓の音聞こえる(笑)」

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