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…ただ…とにかく…愛したいだけ…

レス50 HIT数 18847 あ+ あ-

さすらい女( ♀ dEIMh )
12/04/24 17:07(更新日時)

「ねぇ~…貴女に惚れたらダメなの?」

甘い顔立ちをした年下の『彼』は耳元で囁く…

「…無理よ…アタシが興味ない…」

…冷ややかな瞳をした歳上の『彼女』は静かに答えた。

年下の『彼』はいたずらっぽく微笑んだ
「残念だけど…俺が本気になったら逃げ切れないよ。覚悟してて…」

「さぁ…どうかしら…やるだけやってみれば?」

歳上の『彼女』は鼻で笑った。

―私みたいな女
遊ばれて終わりよ…
本気になったら バカを見るだけ…

負けないわ!!

『ゲーム』の始まりよ!!―


~文章力のないド素人😂 どこまで 続くかのぉ🐢~

No.1764109 12/03/15 22:09(スレ作成日時)

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No.1 12/03/16 08:23
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

― スーパーの休憩室前 ―

館川 スズナは立ち尽くしていた

部屋の中から 男と女がイチャついている声が聞こえる。

・・・“あの男”またヤッてんのか・・・
スズナはさほど驚く事もなく ただ呆れていた。

ここで“事”をされて終わるまで待つなんて冗談じゃない 昼休みが終わってしまう

「…って言うか仕事しろよ…」

スズナは呟きながら ノックをし躊躇なくドアを開けた

「キャッ!!」

女はいきなりドアを開けられ 素早い行動で男の胸から離れた

女は後ろ向きになり胸元をゴソゴソしている

そんな事も気にせず スズナはロッカーの扉を開けながら女に話しかける
「町田さん。レジ開けないとお客様が困ってますよ。 店長も探してましたし…」


“町田”はヤバいと言う顔をしながら制服のポケットから手鏡とファンデーションを取り出し 身なりを整え男に

「またね」

と耳元で囁き スズナを睨み付けながら休憩室から出て行った


残された2人の間に…沈黙が続く…


暫くすると男はクスクス笑いながら スズナに近づいて来た。

「イイ感じで邪魔してくれたね…もしかして…妬いてくれた?」


男はスズナの背後から そっと抱き寄せてきた

No.2 12/03/16 08:53
さすらい女 ( ♀ dEIMh )


スズナは呆れ顔でため息をつき 男の胸元に向かって肘鉄をくらわした

男は「うっ」と声を漏らし うずくまった

「…ちょ…不意打ちなしっ…しょ…」
男は 辛そうにスズナの顔を見つめる

スズナは悪びれた様子もなく微笑んだ
「“墨田”君…ここは仕事をする所ですよ
女を“あさり”たければ 他をお薦めします」

男は主人に叱られた仔犬のようにへこんで見せた
「ここじゃなきゃ…面白くねぇ~もん…」


この男 ― 墨田 タカヤ 大学生。 スーパーのアルバイトをしている

歳上の女性から好かれそうな 可愛い顔立ち。
童顔にしては 長身。そして今で言う“細マッチョ”な体型・・・

そのギャップ差に ここにいる“ミセス”の女性からはアイドル的存在になっている

スズナは29歳。独身 スーパーの社員 外見は真面目人間。

“ミセス”パートからは嫌われ的存在。

何がきっかけで タカヤはスズナを気に入って “悪戯”をしているのか…スズナ本人も疑問だった

No.3 12/03/16 10:27
さすらい女 ( ♀ dEIMh )


「何が…面白くないんだか… 貴方は歳上女性にチヤホヤされたいだけなんでしょ?
…しかも…よりによって…既婚者ばかり…」

スズナの怒りが込み上がる

「“何か”あったらどうするの!? 責任は全て私達になるのよ!!
貴方の為に仕事を失うなんて 冗談じゃないわっ!!」

スズナは声を張り上げ訴えた
すると タカヤはゆっくりと立ち上がり制服に付いた埃を払いながら

「大丈夫♪本気じゃないよ…奥までは入り込まないし…」


・・・何を言ってるんだ…この男は…・・・
スズナは眉間にシワを寄せ 一呼吸おいた
「あのね…貴方じゃなく相手が本気になったら どうするの?」


「相手だってわかってるよ。 俺はそう言う女(ひと)を選んでんの♪
“本番”はヤらないんだ。冷めちゃうし…
ヤるまでが楽しいんだよね♪あのドキドキ感…たまんないんだよねぇ~」

楽しそうに話すタカヤをみて…気付くとスズナの手は 拳を強く握っていた

・・・ついていけない…こんな“チャラ男”…やっぱり私は嫌いだ・・・

スズナは無言でタカヤに背を向け バッグから財布を取り出した。

タカヤはスズナの背を見つめ
「…でも…本気な女には…性欲ぶつけちゃうかも…」
ニヤリと呟いた

No.4 12/03/16 10:52
さすらい女 ( ♀ dEIMh )


スズナはタカヤの一言に…“キュン”とする所か…背筋がゾッとなった

スズナは恐ろしい形相で眼鏡を光らせ
「…だったら…そう言う女性をサッサと見つけて落ち着いて下さいね…」
タカヤを睨み付けた

「…出来たら…はい…」
タカヤは今まで見た事のないスズナの形相に 後退りをした

そしてスズナは 昼食を買いに売り場に行こうと休憩室のドアを開けた

そこに短時間パートの女性達が会話をしながら 休憩室に入ってくる
「お疲れ様です」
パート達はスズナに 軽く一礼をすると タカヤの姿を見付けると一目散に駆けつけた。

「タカヤ君!お疲れ~!!今から昼休み?」

「あ…はい…」

「やだっ!!どうしたの?元気ないわよ!?」

「また 館川さんに叱られてたんでしょ? 可哀想…」

スズナはこの場にいると厄介だと思い 休憩室を後にした。

パタンとドアが閉まると同時にパート達がスズナの不満を口に出してきた

No.5 12/03/16 12:22
さすらい女 ( ♀ dEIMh )


「館川さん…男でも容赦しないわよね」

「…真面目過ぎんのよ。面白みも何もない女よね…」
1人のパートが ロッカーを開けながら制服を脱ぎ出す

「だからじゃない?30手前で独身なの…」
もう1人のパートが束ねた髪を緩めながら言った
「まぁ~…あそこまで飾り気がなかったらねぇ~
貰い手いないわよ…
あの娘 ずっと処女かしら?」

「アハハ♪ 可哀想すぎ~!! 誰か貰ってやってぇ~♪ …ねぇ タカヤ君!」

タカヤと歳の近いパート 吉原 ミナが 黙って会話を聞いていた タカヤに話し掛けた

「…そうですね…」
タカヤは静かに微笑んだ

すると髪をとかしていたパートが
「だけど 館川さん。“店長”が好きなんじゃない?
たまに店長を見る目が“女”になってない?」

「えぇ~!? そうなの!? アハハ♪ウケる~っ」
ミナはお腹を抱えて笑い出した

「いいんじゃない?冴えない者同士♪ 眼鏡カップル お似合いだわ」
化粧直しをしながらパートは笑う

スズナの会話に盛り上がるパート達

ただ1人 タカヤの笑顔はなく冷めた目付きで窓の外を見続けていた

No.6 12/03/16 12:58
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

スズナは売り場で 昼食の買い物をしていた

すると背後からスズナを呼び止める声がした
振り向くと 店長の桜田 コウヘイだった

「館川さん 休憩終わったら 緊急の仕事が入ったからシフト入れ替えていいかな?」

桜田は爽やかな笑顔でスズナを見つめた

タカヤと違って 清潔感があり大人な男性。コジャレた眼鏡を 普通につけ違和感がない

スズナにとっては憧れの存在だった

「はい。問題ないです」
スズナは満面の笑顔で答えた

コウヘイは少し申し訳ない顔をしながら
「…実は…その仕事…墨田さんも一緒にお願いしたいんだけど…」

声のトーンを低くして スズナに言った

「えっ!?」
スズナは一変にして 顔を曇らせた

コウヘイを両手を合わせ
「ごめん!! この仕事 結構 力仕事で2人でやらないと 片付かないんだ… 君が墨田さんが苦手なのは百も承知だけど…
仕事だから…」
スズナを説得させた

スズナは“仕事だから”と言う言葉に弱かった
「了解しました」
弱々しい声でスズナは答えた

コウヘイは安堵した顔を見せ スズナの肩に静かに手をのせた
「ありがとう。お願いしますね。この恩はいつか…食事で…」

そう言い残しスズナから離れた

・・・「食事」?ウソ…初めて誘われた!! ヤバい!!嬉しいかも…・・・

コウヘイがスズナに触れた肩がまだ熱い…

スズナは驚きと嬉しさで暫くその場から動く事が出来なかった

No.7 12/03/16 15:53
さすらい女 ( ♀ dEIMh )


お弁当とお茶・パンなどを買い終えたスズナは重い足取りで休憩室に再び戻ってきた

休憩室の中は静まり返っていた

・・・誰もいないのかな?・・・

スズナはノックをしゆっくりとドアを開けた

見ると壁にもたれ掛かって寝ているタカヤしか居なかった

スズナは静かにドアを閉め 椅子に腰掛けた

そして買った弁当を広げ小声で「いただきます」と手を合わせ オカズを口に含ませようとした時

「旨そう…」

寝ていたと思ったタカヤがスズナの背後から話し掛けた

「わっ!?…ビックリした~…驚かさないでよ!」
スズナは 箸で掴んでいた鶏の唐揚げをテーブルに転がしてしまった

それをすかさずタカヤは手で掴み 自分の口に含ませた
「マジでうま…」

嬉しそうにタカヤは 人差し指と親指をペロッと舐めた

何とも色気のある舐め方にスズナは視線を反らした

「貴方…本当…人の背後から来るの好きなのね」
スズナは眼鏡を上に持ち上げ 何もなかったようにお弁当を食べ始めた

「だって…館川さんの後ろ姿 めっちゃタイプなんだもん♪ 一つに束ねた髪から見える…“うなじ”…すっげぇ~…色気あるし…」
タカヤは眩しそうにスズナを見つめ 首すじに軽く口付けをした

・・・!? !?・・・

スズナは声にならない程 驚き 口付けされた首すじをおもいっきりハンカチで拭いた
「貴方ねぇ~っ!! セクハラで訴えるわよっ!!」

タカヤはふてくされた
「…そこまで 嫌がる?
唇にしたわけじゃないじゃん」
そしてタカヤは スズナの隣の席に座った

スズナはタカヤから離れようと席を立った

するとタカヤはスズナの腕を掴み 寂しそうな瞳で見上げた
「…ごめん。もう…何もしねぇから…ここにいてよ…」

「………」
スズナは 腕時計を見ながら仕方なくタカヤの隣に座った
タカヤは少年のように微笑んだ

No.8 12/03/16 19:54
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

窓を背にして2人は並んで座り…
無言の時間が進む

外はまだまだ寒いとは言え 陽射しが差し込む休憩室の中は暖かい

むしろ背中に直接 太陽が当たってくるせいか 熱い位だ

スズナは黙々とお弁当を食べ続け タカヤは携帯をいじっている

ピンと張りつめた空気に限界を感じたスズナは口を開いた
「墨田君…お昼は?食べたの?」

「…苦学生ですから…」
タカヤは頬杖を付き携帯をいじりながら答えた

「バイトがない時とか 大学のお昼はどうしてるの?」

「う~ん…食べなかったり…友達に奢ってもらったり…かな?」
ピコピコと携帯をいじるタカヤは携帯に視線を向けたまま答えた

スズナは椅子から立ち上がりながら
「今日は休憩が終わったら 貴方は力仕事してもらわないといけないの。
今 人手不足だし…
貴方に倒れられても困るから…」

やたら前置きが長いスズナ。 言い聞かせるようにタカヤの前に自分が買ったパンを差し出した

タカヤは携帯をいじる手を止め驚いて スズナを見つめた

「え…?俺に…?」
タカヤの瞳が輝き出した

「嫌なら 食べなくていいのよ」
そう言いながら 食べ終わったお弁当を仕分けしながらそれぞれのゴミ箱に捨てた

「あ…りがと」
タカヤは少し照れ笑いをしながら パンの袋を開け勢いよくかぶりついた
その姿をじっと見守るスズナ

・・・普通にしてたら 可愛い男前なのに…勿体ない・・・

ため息を出し スズナはロッカーを開け歯磨きセットを取り出した

No.9 12/03/16 21:08
さすらい女 ( ♀ dEIMh )


休憩時間が終わると タカヤと2人で商品の入れ替えの仕事が始まった

重い商品などはタカヤが全て 荷台に乗せてくれた

・・・こう言う時は 若い男がいると助かるわね・・・

今のスーパーでは 若い男性従業員が少ない
募集のチラシを貼っても 賃金が安いのもあるのか なかなか 集まらない

短時間のパートも入るがキツい仕事も任されてしまうせいか直ぐに辞めてしまう

スーパーのお客様の間で“イケメンアルバイトが働いている”と口コミがあったお蔭か

タカヤを見たいが為に買い物に来てくれる女性客が…若干だが…増えたのも事実だった


この現状から 女癖が悪いからと言って…タカヤをそう簡単には 辞めさせる事が出来ないのが…何とも 皮肉な事だった


商品の入れ替えをしている間も タカヤ目当ての女性客が タカヤに声をかけていた

No.10 12/03/18 06:59
さすらい女 ( ♀ dEIMh )


ただ…一つ…タカヤは 仕事を任せると 必ず最後までこなしていた

女性客に挨拶をされればいつもの愛嬌で挨拶をし 無駄話はせず 黙々と仕事をする

意外な一面にスズナは 驚きもあり 感心していた
「こんにちは♪墨田さん!!」
今度は若々しい女性が タカヤに挨拶をして来た
「いらっしゃいませ。こんにちは」
スズナは 軽く一礼をし 営業スマイルで挨拶をした

「こんにちは♪」
そこには タカヤと同年か年下であろう2組の女性がスズナに笑顔で挨拶をした

・・・うっわぁ~! スゴい可愛い顔…モデルさんみたい… しかも 脚ながっ!! 細い足首…素足…う…羨ましい…・・・
スズナは目を細め…その2人組を見つめた

一方 タカヤは横目で見ただけで 素っ気ない感じで2人組に挨拶をし 仕事を続けた

・・・? ? ・・・

スズナは タカヤの余りの愛想のない顔に 拍子抜けした
そして 一言 小声で
「お客様に笑顔じゃない?」
囁いた

No.11 12/03/18 19:05
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

タカヤはスズナの言葉に ムッとした顔で
「…すみませんでした…」
一言 返して 商品を並べ出した

2人組は 気まずい顔をしていた
「ごめんなさい…バイト先に来るな…って言われたけど…墨田さん。 学校でも無視するし…」

茶髪で サラリとしたストレート・自然なお化粧で目がクリクリとしてまつ毛が長い彼女。
中村 エリナは 可愛らしい声で今でも泣きそうに タカヤに謝ってきた

・・・あたし…ここにいない方がいいかも・・・
スズナは他に仕事を見つけたかのように
静かに 去ろうとした


すると タカヤはスズナの目の前に立ち
「何処に行くの?」
鋭い目付きで スズナを見つめた


「え…と…あっ…!この商品を取りに行くの…」
スズナはプリントにあった商品の写真を指さした

「俺が行くよ」
タカヤは エリナの言葉を無視をするかのように バックヤードへと歩き出した

スズナは慌てて タカヤの後を追いかけ腕を掴んだ
「待ってよ!! いいから 私に行かせて」

「何で?」

「この状況…考えなさいよ!! よくわかんないけど… 彼女と話し合ったら?」
スズナは 彼女達に聞こえないように タカヤに小声で訴えた

タカヤはニヤリと笑い スズナに耳打ちをした
「焦ってる 館川さんも 可愛いくて 面白いね…」
スズナは顔を紅潮した
「貴方…マジで 私に殴られたい?」

「こわっ…冗談だよ」
タカヤは少年のように 舌を出し エリナの方に歩き出した

No.12 12/03/19 08:09
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

「終わったら 電話する…それで イイ?」
低い声。 冷めた目付きでタカヤはエリナに言った
「…うん!」
エリナは 嬉しそうに微笑んだ

「ごめんなさい…お邪魔しました」
エリナはスズナに軽く一礼をし 女の子2人はその場を離れた

「…………」
スズナは 女の子2人組の後ろ姿を見送った

・・・若いって いいわね・・・
スズナは そう思いながらバックヤードへと向かった

「…特に 興味…なし…か…」
タカヤは小さなため息を出し 寂しそうな瞳で
スズナの後ろ姿を見送った


No.13 12/03/19 11:27
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

スズナはバックヤードにある段ボールを持ち上げ 荷台に運ぶ 作業をしていた

かなり重い段ボールもあり スズナの額に汗が吹き出ていた

「あつ…」

スズナはポケットから タオルを取り出し 汗を拭った

外気は寒いが力仕事をしているので顔が火照っていた
そのせいで 眼鏡が若干 曇り 仕事の妨げになってしまう

「曇り止めの眼鏡…買うべきね…」
スズナは呟き 眼鏡を外しポケットに入れた


「なんだ…眼鏡ない方が 全然イイじゃん…」

いつの間にかスズナの背後に タカヤが声をかけてきた

・・・!! !! !!・・・

「なっ…墨田君!? いつの間に!?」

「さっきの間に♪」
タカヤは悪戯っぽく笑い
驚いているスズナの荷物を横から 奪い取った

「何で 呼んでくれなかったの? 結構…重いじゃん! これ…」

「なっ…何言ってるの!?貴方 売り場の作業は どうしたの?」
スズナは 動揺しながらも冷静を装うように タカヤに厳しい口調で質問をした

「指示された所は 一通りやったよ。 だから 館川さんにチェックしてもらおうと こっちに来た迄ですけど?」
タカヤは マジマジとスズナの顔を見ながら 答えた

スズナは ポケットから眼鏡を取りだし 眼鏡をかけようとした


すると タカヤはスズナの手を取り 顔を近付けた

No.14 12/03/19 11:49
さすらい女 ( ♀ dEIMh )


「やっぱり…目 大きかったんだ… 俺のタイプだったりして♪」
タカヤは 目を細め スズナにますます 近付いていく

スズナは逃れようと 必死にタカヤの手を振りほどこうとするが タカヤは力強く スズナの手を握っていた


「…仕事中よ。貴方は仕事中は“こういう事” しない人だと思ったけど…」
スズナは タカヤを睨み付けた

「言ったじゃん。本気の相手には性欲 ぶつけちゃうって♪」

「…やめなさい…人が来るわよ…
それに私も言ったでしょ?“興味ない”って…」

タカヤの瞳が 更に“男”の目になる

「俺…貴女の前だけは
“M”なのかな♪
痛い目にあっても…追いたくなる♪
狙った獲物は逃がさないんだ」

壁際に追いやられたスズナは 逃げ場がなかった

タカヤの整った顔が 近付いてくる…

・・・負けてはダメっ!!・・・
スズナは心の中で叫び タカヤの足をおもいっきり 踏みつけた

No.15 12/03/19 22:11
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

「い~っ!!…ってぇ…」
タカヤは 大声を張り上げそうになったのを必死に こらえ疼くまった

「…懲りない…男ね…貴方も…」
スズナは タカヤに強く握られた手を摩りながら言った

「…“M”だから…」
タカヤは冗談まじりに 痛々しい顔で苦笑した

「全ての女性が 貴方を求めてるわけじゃないから…」

・・・ヤバ…アタシ…動揺してる・・・

スズナは 震える手をタカヤに気付かれないように作業を始めた

「…そんなに 年下が嫌い?」
作業をするスズナの後ろ姿を見つめながら タカヤは質問した

「…年下とかじゃなくて 貴方の性格と 合わないだけ」
スズナは 冷静に答えた


すると…

「“遊ばれて捨てられるのが 嫌なだけよ”」

何処からともなく 女の声がした

タカヤとスズナは驚いたように顔を見合せ 声がする方に視線を向けた

No.16 12/03/20 06:47
さすらい女 ( ♀ dEIMh )


段ボールが山積みされた 場所に 町田 カナ が腕組みをして立っていた

「いつから いたんですか?」
スズナは 困惑した顔で カナに質問した

「そうね…貴女がタカヤ君に 足を踏む前・辺り かしら」
カナはニヤリと片方の口角を上げ答えた

「…だったら…助けてくれるべきでは?」

「あら? 助ける程でもなかったでしょ?
って言うか…助けて欲しい顔じゃないように 見えたけど?」

カナはクスクス笑いながらスズナに近付いてきた
…そして…

「“処女”じゃないんだから“キス”くらい どうって事ないじゃない」

厳しい口調でスズナに言った

「仕事中なんだから…“注意”するのが 普通なんじゃない?」
スズナの声が 低くなった

「“相変わらず”真面目ちゃんよね…“スズナ”は」
カナの顎が上を向く

「別に…大人しとて当たり前の事でしょ…」
スズナは 眼鏡をかけカナを軽く睨んだ

2人の間に 見えない火花が放つ

タカヤはただ…見守るしかなかった

No.17 12/03/27 07:44
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

「あっ!! 館川さん!いたいた♪」

睨み合っている間を割るように 遠くから コウヘイの声がした
何も知らないコウヘイは陽気な顔で2人に近付いた


「どうかされました?」
先にカナから視線を反らしたスズナは何もなかったように 笑顔でコウヘイに話しかけた


小さく舌打ちをしながら
「貴方も物好きな子ねぇ~。あんな色気のない女のどこがいいんだか…」
スズナを横目にカナはタカヤに囁いた


「物好きかなぁ~…十分色気あると思うよ♪」
タカヤはスズナとコウヘイが会話している姿を じっと見つめながら 笑顔で答えた

「目が笑ってないわよ」
カナはクスクス笑いながら タカヤの肩を軽く叩き 耳打ちをした
「…バイト終わったら 電話して。今日は旦那は帰ってこないから…
何時でも 構わないわよ」

タカヤは コウヘイに向けたスズナの笑顔を 見つめ 寂しそうに目を伏せ カナに返事をした
「……わかった……」

No.18 12/03/27 08:21
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

その後の タカヤとスズナは仕事上の会話以外は全くなく 黙々と作業を続けた

「もう…こんな時間か…」
スズナは腕時計を見ながら大きなため息を 出した

「墨田君…貴方は 時間でしょ? いいわよ あがって下さい」

「え?…だってまだ 終わってないじゃん。 いいよ 最後までやるよ」


「大丈夫よ。墨田君の素早い作業のおかげで 後は私1人でも 終わらせそうみたいだから」
スズナは 優しくタカヤを諭した

タカヤは スズナの微笑みに 照れながら視線を外した

「…そう言う事でしたら…お先に失礼します」

タカヤは軽くスズナに 一礼した

「お疲れ様でした。 今日はありがとうね。 また1週間後になるのかしら」


・・・ラッキー♪1週間会わなくてすむのね・・・

スズナは嬉しそうに タカヤに質問した

タカヤはスズナの笑顔の理由が自分だと気付き 面白くない顔をした

「館川さん。何だか…嬉しそうだね…。 俺と1週間 会わなくてすむもんな…」

「そっ…そんな事ないわよ。 他のパートさんが 淋しがってるわよ!」

スズナは自分の考えが
タカヤに知られた事に気付き 焦りながら フォローした

No.19 12/03/30 08:07
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

「って言うか!店長のご厚意で1週間も休みあるんだから!!
きちんと 大学通いなさいよ!!」

タカヤの顔がますます 面白くない顔をし出す
「別に…“ヤツ”に“恩”売られたくねぇし…」

「貴方ねぇ~…店長を“ヤツ”呼ばわりしないの!!
社会人になる人間なら名前に“さん”って 呼びなさい!!」

スズナはムッとしながら タカヤに一喝した

タカヤは冷ややかな目でスズナを見つめた

「年上面すんなよ…」

そう言い放ち サッサッとバックヤードへと向かって行った

スズナの手が 拳に変わりワナワナ と手が震える

・・・はぁ~っっ!?わ・た・しっ! 年上ですけど!?・・・

「何なの!? アイツ!? やっぱり 嫌い!!」

スズナはブツブツ 小声で呟きながら 残りの作業を続けた

No.20 12/03/31 09:58
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

タカヤはタイムカードを切り 休憩室に入った
そこに コウヘイが遅い昼休みをとっていた。
カップ麺をすすり タカヤに話しかけた

「お疲れ様」

「……お疲れ様です…」
タカヤはそっけない返事をした

コウヘイと視線を合わせようとせず コウヘイに背を向けロッカーの鍵を開けた

コウヘイは少し困惑し タカヤに話しかけた
「…バイト 頑張ってるね。直ぐに辞めるかなと思ったけど…」

「……………」
タカヤは無言で 帰り支度をした

構わず コウヘイは話しかけた
「カオリ……君のお母さんは 僕がここで働いているのは…知っているのか?」

「……知ってたら 反対してるよ」
タカヤは低い声で 答えた
そして 誰にも見せた事のない 憎しみを込めた厳しい顔でタカヤはコウヘイを睨み付けた

「勘違いすんなよ…あんたの為に言わないんじゃない!! 母さんの為に言わないんだ!!」

「…わかってるさ…」

コウヘイは寂しい瞳で 答えた

「それとっ!! 何 考えてんのか 知らねぇけど…
金を送ってくるの あんただろ?
もう 送ってくんなよ!迷惑なんだよ!!」

「…………」

コウヘイは ただ静かに目を伏せているだけだった

No.21 12/04/02 18:13
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

静かにコウヘイは 口を開けた

「…すまない……“慰謝料”として受け取って欲しい」

「…慰謝料だと…?」

タカヤの眉が険しくなる そして おもいっきり ロッカーの扉を閉めた

「“慰謝料”って何だよ!? そんな事してくんなっ!!
俺には初めから “父親”なんていねぇんだよ!!
母さんは…“あの金”に一切触れてない…

送り人がわかれば
いづれ返すつもりだっ!!……
二度と金なんて 送ってくんな!!」

吐き捨てるようにタカヤは言った
そして 休憩室のドアを力強く閉めた
休憩室内にけたたましい音が響いた

暫くボー然としていたコウヘイは

「俺だって…好きでお前達を見捨てたわけじゃ ないんだ…」

寂しい瞳で遠くを見るように
ドアに向かって 呟いた

No.22 12/04/02 19:02
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

―閑静な住宅街―

そこに 町田 カナの家があった

開拓されたばかりだろう
周りの住宅は全て 真新しかった

カナの二階建ての家は 一際 大きく うっすらとピンク色が入った壁
可愛らしい家だ

カナの夫は カナと同い年(29歳)
サラリーマンをしている
スピード出世で かなりの上の役職に就いている
カナがパートとして 働く必要がなかったが…カナが専業主婦でいる事が 苦痛になり 夫に無理に言ってお願いした

そして「短時間パートなら」という条件で 働かせてもらっていた

カナと夫の間に…子供はいなかった…

時計は午後8時を回っていた
カナの夫は 出張で北海道に行っていた

広いリビングにカナは 見るからに高級そうな ソファーに 静かに座り テレビを見ながら アルコールを口にしていた

「つまんないわね…」

カナは リモコンを手に取り テレビの電源をオフにした

すると テーブルの上に置いてあった 携帯の着信音が鳴り響いた

No.23 12/04/02 19:27
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

携帯を開くと 夫の“マサト”からだった

「…はい…」
カナは 静かに声をだした

「お疲れ…今日は…いきなり出張が入って
ごめんな…」
マサトが申し訳なさそうな声で 謝ってきた

「大丈夫よ…いつもの事じゃない…もう…慣れたわ」
カナは優しく諭した

「本当に…ごめん…ご飯は? もう食べたの?」

「エェ…軽くね。貴方が居ないから 味気もなかったけど…だから お酒で口直ししてるわ」

「ハハ…相変わらずだな…君は…
あまり飲みすぎるなよ」

ホッとしたようなマサトの声・・・
・・・ただ カナの瞳は 笑っていなかった…冷たい瞳で 遠くを見ている・・・

「そうね…気を付けるわ…そっちは?北海道はまだまだ寒いでしょ?
風邪ひかないでね…」

「え?アァ~…まだまだ寒いなぁ~…
もう1着服を増やして行けば良かったよ…
…それじゃぁ~…明日は 遅くなるかもしれないけど…帰るから…おやすみ」

「…エェ…おやすみなさい…」

カナは電源を切り
「フッ…わかりやすい “ウソ”だこと…」
鼻で笑い 携帯をソファーに軽く放った

「“ウソ”をつくと 貴方は早口になるのに…
自分で 気付かない物ね…」
カナは ブランデーを手に取り グラスに注ぎ それを一気に 口に含み
喉を鳴らしながら飲み干した

No.24 12/04/02 20:56
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

カナは音をたて グラスをテーブルの上に置いた

「フフ…皮肉だわ…“奪略”して “奪略”されるなんて……
“あの女”に知られたらきっと“ざまぁ~”なんて…笑われるわよね…」

カナはクスクス笑いながら 天井を見上げた

「久しぶりに…煙草でも 吸ってやろうかしら…」
カナは軽くため息を出し また 携帯の電源を入れ 登録していた タカヤの番号を探した

“タカコ”念のために
女の名前で登録していた
「こんな 必要もなかったかしら…」

カナは“タカコ”の番号を見つけ 通話ボタンを押そうとした

すると タイミング良く タカヤからの電話が かかってきた

「あら♪ 丁度いいタイミングだわ」
カナは嬉しそうに 通話ボタンを押す

「は~い♪ 待ってたわよ」

「……あぁ……」
力のない タカヤの返事
「どうしたの?珍しく 辛気臭そうね…」

「別に…ムカつく事が あっただけ…」
タカヤの声が 低くなった
「家…来る?」

「……イヤ…やめとく」
「あっ…そ! つまんない」
カナはブランデーを
コップに注いだ

「飲んでんの?」

「いけない? アタシもムカつく事あったから」

タカヤが何か考え事をしているのか 返事がない

No.25 12/04/02 21:16
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

カナはタカヤの返事を待つように ブランデーを注いだグラスを 手に取り 片手で グラスを軽く 揺すった

「……ねぇ…家…来なさいよ。 心配しなくても“本番”はしないから」
カナは甘えるように タカヤに電話口で囁く・・・

暫くの沈黙・・・


「……ごめん……今日は無理」
タカヤは 静かな声で謝る

「本当に今日は“その気”ないみたいね」
カナは つまらなさそうにグラスを口に付けた

「……聞いて いい?」
タカヤが問いかけた

「なぁ~に?」

「前々から思ったんだけど… 館川さんとカナさんて 知り合いなの?」

・・・やっぱり…きたか・・・
カナは目を伏せた

そして ブランデーを一口
「聞きたい?」

「…そりゃ…まぁ…」

「気になるわよね…“愛しい館川さん”の事だから」
冗談まじり カナは言う
「…………」

「…本気…なのね…」
カナはタカヤの無言に 寂しそうに呟いた

No.26 12/04/03 10:33
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

・・・どいつもこいつも…っ!!・・・

カナはグラスを強く握りしめ一呼吸をし 話し出した

「まぁ~…簡単に言えばアタシが“スズナ”の男を寝取ったのよ…」

「え?…?」
簡潔に言われた タカヤは戸惑いながら 言葉を返した

「寝取った…って? 何で?」

「さぁ~…アタシも“ある意味”スズナが好きだったのかもね
好きな娘程…苛めたくなるって…ヤツ?」
カナはクスクス 笑い出した

いまいち 話しが見えてこないタカヤ
「…? いつからの知り合い?」


「大学からかなぁ~。当時は 仲良かったから…」
カナはソファーから 立ち上がり冷蔵庫に向かい 冷蔵庫から氷を取り出した

「スズナに超イケメン彼氏が出来た時… 何とも言えない“嫉妬”を感じた……
昔からスズナは“あぁだった”のよ……

私には チャラいだけの頭の軽い男しか寄って来なかったわ……

だから…寝取って 妊娠してやったの」


「……え?妊娠?」


「そっ♪妊娠♪ そして 結婚♪」


「それって……」
電話の向こうでタカヤの言葉が つまる


「そうよ…それが 今の私の旦那サマ…」
カナは 冷ややかに笑みを浮かばせ 氷をグラスに入れた

「 …だけど…結婚したと同時に 流産しちゃったわ……
罰が与えられたのね…」

No.27 12/04/03 12:03
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

事情を聞いた タカヤは言葉が出なかった…

「アタシの事…軽蔑した?」
カナは自分の細い人差し指で グラスの中の氷を かき回した

「……イヤ…俺も 今は…人の事 言えねぇし…」
タカヤは 答えた

そして 一時の沈黙・・・

カナは人差し指を ペロリと舐め 悩ましい声で
「…ねぇ~…今日は “電話”でいいから…お願い…」
電話の向こうのタカヤに 囁いた

「……フッ…何それ?めっちゃ エロいね」

いつものタカヤに 戻ったのか…タカヤの声のトーンが高くなった

「寂しい者同士… たまには いいんじゃない?」
カナはクスクス 笑いながら 自分の右手を スカートの中に滑り込ませた


「寂しい者…同士ね…」
タカヤはゆっくりと静かに…

電話口で囁いた・・・

No.28 12/04/03 23:38
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

―独身専用のアパート―

103号・ワンルーム

時間は午後10時を回っていた

スズナは1日中立ち仕事をしていたせいか 足がパンパンだった

ふらつきながら 玄関の鍵を開け 倒れ込むように ベッドに向かった

「もう…ダメ…」

スズナは目を閉じ 暫く 動けずにいた


「アァ~…お風呂 入んなきゃ…汗臭かったんだわ」
スズナはゆっくりと 身体を起こし お風呂場に向かった

ユニットバスにお湯を張り スズナはお風呂場の鏡に映る自分の顔を マジマジと見つめた

・・・・なんて… 張りのない肌・・・

「目の下の“クマ”目立ってきたなぁ~」
スズナは 自分の手で顔を優しく触れた


・・・カナと比べてしまう・・・

・・・私と違って…29歳とは思えない若々しさ
しっかり 手入れされているスベスベの肌

何の不満もないはず…ないだろうに…

何故?何故カナは…わざわざ 私がいる職場を選んだのだろう・・・

「私に見せつけるため?」

スズナは悲しい瞳で 鏡に向かってシャワーを大量にあてた

鏡に映る自分の顔が くもって見えなくなるまで・・・

No.29 12/04/03 23:57
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

※主です🙇※

もし💦読んで下さっている方へ💦

誤字・脱字があまりにも多い為
読みづらくて すみません⤵🙇🙇🙇

読み返しているのですが…😭

かなりのド素人ですが🙇
今後とも宜しくお願い致します🐢

No.30 12/04/04 00:19
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

スズナは 部屋へと戻り 冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出した

そして それを直接 口につけ勢いよく飲んだ

そこに バックから携帯の着信音がバイブの振動と共に 響いた

スズナは 急いでバックから携帯を取り 携帯を開いた

見ると着信相手は 昔からの友人である “夏木 ユウ”からだった

「なんだ…」

・・・店長から…なわけ ないか・・・

スズナは独りで笑い 通話ボタンを押した

「はい。」

「スズナ♪お疲れ~っ!! 」
陽気なユウの声が耳元で 響く

スズナは少し 携帯を耳から離した

「お疲れ…相変わらず 元気ね…ユウは…」

「何言ってんのぉ~っ!! 今日だって 旦那とチビがさぁ~…」

・・・また 始まった…・・・

スズナは 目を伏せ ユウの愚痴を聞いた

No.31 12/04/10 07:41
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

ユウの愚痴話しから 30分後・・・

スズナは眠くなっていきアクビばかりが出る
ユウの話しが耳に入ってこない

・・・お風呂…入りたいんだけどなぁ~・・・

スズナは時計をチラチラ見ながら ユウの問いかけに対する返事は 『そうなんだぁ~』のみ

さすがに限界がきたのかスズナは 申し訳なさそうにユウの話しを中断させた

「ごめん!! ユウ!あたしまだ…お風呂 入ってないんだ。 また聞くから…」

「えっ!? そうなの!? やだぁ~ ごめん!!」

「うん…大丈夫。また 聞くね!」

「うん! わかった!……あっ!! 待って!!待って!!」

「……?どうしたの?ユウ…」

「…“あの女”まだ スズナのトコで 働いてんの?」

ユウの声が 低くなる

事情を知っているユウは
“あの女”カナの事をそう呼ぶようになった

「……うん。いるよ…」
スズナは 静かに答えた

No.32 12/04/10 10:12
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

ユウは戸惑いながら 口を開く

「…あのね…こんな事 スズナに言っていいのか…わかんないんだけど…」

「何? どうしたの?」

「2、3日前…マサトの友達の橋田と偶然、デパートで会ったんだけど…」

・・・“マサト”懐かしい名前… ・・・
スズナは そっと目をふせる…

「…そう…」

「橋田見ちゃったんだって… 隣り街で マサトが若い女と歩いてたトコ…」

「え? 会社か何かの関係じゃなくて?」


「橋田も最初そう思ったらしいけど… 若い女が マサトの腕 組んでて… まるで 恋人同士が歩いてる…そんな感じだったらしいよ…」

「…そう…なんだ…」

スズナは 小さくため息をついた

・・・何処までも…馬鹿な男…・・・

「“あの女”とマサトって どうやら “例の事”が原因で ずっと“レス”だったみたいよ」


「カナは?…あれから 子供は?」

スズナは寂しげな瞳で ユウに質問した

「……橋田から聞いたのは “出来にくい身体”になったとか…」

・・・だったら!! 尚更 マサトはカナの側に いるべきでしょっ!!・・・

スズナはそう思うと 憤りを感じた

「最低すぎるわ…あの男…」
スズナの声が 震える…

「……スズナって 人が良いわね… アタシはそれを聞いて悪いけど…“ざまぁ”だと思ったわ…」

ユウの声が冷たく感じる・・・

No.33 12/04/10 17:45
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

友達想いのはずたったユウ…

ユウはカナとも仲が良かった
大学時代は 3人いつも行動を共にしていた

“あんな事”さえがなければ…

・・・ある意味…私のせいなのかもしれない…・・・

「カナの流産がなければ…私だって カナを鼻で笑ってたかもしれない…」

スズナは 答えた

「そうかもしれない…でも 結婚しようかって言ってた マサトとスズナの間にっ…!!」

ユウの声が 怒りへと変わる…それを遮るように

「もう 昔の事よ… 町田君もその程度の男だった …それだけよ」

スズナは 諭した

「……ごめん…」

「何で? ユウが謝るの?」

「だって…嫌な事 思いださせちゃったから…」

ユウが鼻をすすり出した

「大丈夫!! 若気のいたりってヤツ?
いい勉強になったわ♪
おかげで…今では“鉄の女”になったわよ♪」

スズナは冗談まじりに 明るく話す


「やだぁ~ アラサーが“鉄の女”になって どうすんのよ!
一生なんてやめてよ~♪」

ユウの笑い声が聞こえる

・・・良かった…いつものユウだ…・・・

スズナはホッとしながら2人で笑いあった

No.34 12/04/10 18:20
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

―タカヤがバイトを 休んで3日経った―

スズナにとっては毎日が
平和だった

タカヤからの“悪戯”が
ないと…こんなに清々しいものなんだと
スズナは実感した

・・・しかし・・・
パート達の活気がない…

タカヤ ひとり居ないだけで スーパーの雰囲気がこんなにも違うとは…

どれだけ タカヤの存在が大きいか…スズナは 皮肉に感じた


何故か カナまで“持病が出た”という理由で スーパーを休んでいた

「いやぁ~。 まさか 墨田さんが 長期休みだと ここまで 雰囲気が悪くなるとは… 1週間休ませたのは…失敗だったかぁ~」

発注している スズナの隣で コウヘイは頭をかきながら 呟いて来た

「そんな事ないです!! 墨田君は 大学生なんですから!
毎日 仕事されても困ります!
単位はきちんと取ってもらわないと!!
バイトのせいにされても
困りますよ!」

・・・と言うか…毎日 お盛んな事されたら それこそ 冗談じゃないわ!!・・・

スズナは手を拳にし
力説した

コウヘイは クスッと笑い 優しい眼差しで

「舘川さんって 墨田さん想いだね
何だか 墨田さんのお姉さんみたいだ…
“頼りになるお姉さん”って感じかな」

スズナの肩を優しく置いた

「そんな…お姉さんだなんて…」

スズナの頬が 紅く染まる
・・・やっぱり…店長って…大人だなぁ~・・・

スズナは眩しそうに コウヘイの横顔をチラチラと見ていた

・・・と 何故かスズナの背後に 殺気を感じる…

スズナは 恐る恐る後ろを振り返ると


・・・冷めた目付きで スズナを見つめる タカヤの姿があった

No.35 12/04/11 08:31
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

「げっ…」

スズナは無意識に 言葉が漏れてしまった

「“げっ”…??」

コウヘイはスズナの意外な言葉を聞いて 戸惑いながら 聞き返した


「あっ!……いっいえ 何でもないです!! ホホ…」
スズナは慌てて 手を口にあてて 上品に笑って見せた

すると スズナの背後から 手が伸びてきた・・・ッと スズナが 気付くか気付かない間に タカヤから 抱きつかれてしまった

・・・ッ!?ッ!?ッ!?・・・

スズナは驚き動けなかった

そして スズナの耳元で 囁いてきた

「会いたかった…」

その光景を見たコウヘイは 驚いたように目を丸くし 固まってしまった

スズナは顔を青ざめながら 必死にタカヤから逃れようとするが 腕がしっかり からまれて スズナの力では放せない

「ちょっ…!! ちょっと!! ここは 売り場よ!!
お客様に 見られたら 誤解されるでしょ!!
離しなさい!!!」

「何で?俺は 構わないけど?」

タカヤは悪戯っぽく スズナに微笑みそして コウヘイを睨み付けた

「この女(ひと)は俺のもンだから」

「あ…あぁ…」

暫く固まっていた コウヘイは タカヤの行動に圧倒され ただ一言返す事しか出来なかった


タカヤの言葉に
スズナの怒りが爆発する
「ちょっと!!! 誰が貴方の物よっ!! 私は 誰の物じゃないわよっ!!!」

No.36 12/04/11 08:42
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

スズナは紅潮した顔で コウヘイに一礼した

「店長 すみません!! 発注の処理をして来ます!」

「あっ…!はい。お願いします」

コウヘイは スズナの紅潮した顔に笑顔で応えた

そして スズナはタカヤの腕を引っ張り バックヤードへと姿を消した

一人残された タカヤは ただ ボー然と見送っていた

そして クスッと笑い

「…タカヤのヤツ… 本気か… あんな必死な目
カオリにそっくりだ…」

コウヘイは懐かしそうに目を細め 呟いた

  • << 45 ※主です🙇※ 今さら💦気付いてしまいました 『一人残された タカヤは~』 ↓ 『一人残された コウヘイは~』 でした🙇🙇🙇 アァ~っ‼😱 間違いだらけで本当に‼すみません🙇💦

No.37 12/04/11 09:10
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

バックヤードに入ると パートのミセス達が 驚きと喜びで 一瞬でタカヤを囲った

「やだぁ~ タカヤ君じゃない♪」

「どうしたの? まだ 休みでしょ?」

省きにされた スズナは 呆れ顔で その様子を見届けている

「皆さんに会いたくて 遊びに来ちゃいました♪」

陽気にタカヤは 応える

「キャー!! 嬉しい!! 私達も 会いたかったわ~」
「やっぱり…タカヤ君が居ないとこの仕事楽しくないもんねぇ~」

パートさん達の歓喜の悲鳴が バッヤードで響きわたる

・・・ある意味…アイドルね・・・

スズナは その光景を鼻で笑い 怒りもいつしか治まり 二階の処理室へと向かった


「全く… 皆も 何しに仕事に来てるんだか…」

誰も居ない 個室で スズナは 独り小言を言いながら パソコン作業をしていた

ふと…コウヘイの姿が頭に想い浮かぶ…

「アァ~…完璧 誤解されたよなぁ~…」

スズナはうなだれるように 机に顔をつけた

・・・涙…出そう…・・・

スズナは 人差し指でゆっくりと キーボタンを押しながら パソコンの画面を見つめる

『コンコン』

個室の扉からの ノック音に無意識に スズナは返事をする

「は~い」

「………」

「…?…どうぞ?…」

扉が開くと同時に 個室の電気が 消えた

No.38 12/04/11 10:10
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

「えっ!? 何っ!?」

スズナは 立ち上がり 部屋の電気を点けようと 入り口に手を伸ばす

すると スズナの腕を“誰か”が 掴んだ
スズナは “誰か”の正体に気付き 驚きもせず

「墨田君…何の真似?」
「何だ…バレてんの」

パソコンの光から照らされるタカヤの悩ましい顔

タカヤが そっとスズナを抱き寄せる

「……仕事中なんだけど…」

スズナの冷めた一言に タカヤは

「俺は 休暇中…」

陽気な声で囁き 内側から鍵をかけた

「ちょっ!? 何するつもり!? 大きな声 出すわよ!!」

スズナは声をあらあげ タカヤから離れようとする しかし タカヤはしっかりと スズナの腰を持ち 離そうとはしなかった


「…お願い…止めて…?」

スズナは目を潤わせ 静かに抵抗をする


「…やだ…」

タカヤは スズナの瞳を愛おしそうに見つめ 更に
顔を近づける

「セクハラで訴えても いいの?」

スズナはタカヤの口元を自分の手で遮った

「舘川さん…俺の事 嫌いじゃないでしょ?」

タカヤはスズナの手を握りしめ 手の甲にキスをした

・・・っ!?・・・

「きっ…嫌いよ!!!」

スズナは 慌てて タカヤから手を振りほどいた

「舘川さんが嫌いでも 俺は 本気…」

そう言いながら タカヤの細長いがしっかりとした 指先が スズナの胸元に近づいていく・・・

No.39 12/04/11 10:14
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

※主です🙇※

すみません💦

『館川』が途中から『舘川』になってました🙇

『館川』で統一しますので 読みづらくて申し訳ございません‼🙇🙇🙇

No.41 12/04/11 11:29
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

「だ~から… 止めてってば!!」

スズナは タカヤの手が
その先を進ませないように 必死に 抵抗する


「…ッたく! 素直じゃないなぁ~」

タカヤは スズナの耳元で囁きながら 首すじをゆっくり上から下へと口付けをした


ビリッと スズナの背中に 何かが走った


・・・やっ ヤバい…・・・


スズナは声を 出しそうになるのを 堪え 両手で口をふさいだ


「あっ♪ 無抵抗になっちゃっうよ♪」

タカヤは楽しそうに スズナの胸元に すかさず 手を入れた

「だめっ!!」

スズナは 声をあげ タカヤの手を止めるが 間に合わなかった

タカヤの大きな手の平が スズナの胸を包んだ

「あっ♪ 意外に胸あるんだ♪」


「…止めて… 貴方には 町田さんが いるじゃない! それで十分でしょ?」

スズナの目頭から 涙が浮かんでくる

タカヤは 悪戯っぽく目を細め


「言ったじゃん。“本気じゃない”って…
それに カナさんとは “本番”も“キス”もした事ないんだ」

「?…なに?それ?…」

タカヤは ゆっくりとスズナの乳房を持ち上げた

「…っ!!いやっ!!…」

スズナは か細い声で 抵抗をする


「館川さん…の その声 …マジで 興奮する…」

タカヤの目が“男”になる


「カナさんとは…“前戯”だけの仲だから
俺…ここだけの話し… “イッた事”ないんだよね」


・・・えっ?・・・


スズナの抵抗する手が 止まる

No.42 12/04/11 12:05
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

驚いてるスズナに タカヤは 微笑み スズナの頬にキスをする

「詳しく言えば…“女の中で”かな?
勿論!!女の子好きだし♪

女の身体を見て反応もするし

…けど…いざ 中に入れちゃうと “前戯”で盛り上がってた物が 一気に冷めちゃうんだよなぁ~」

タカヤは 悩んだ様子もなく 明るくスズナに語る

「…だったら…私も 同じでしょ?」

スズナは タカヤから目線を反らし 離れようとした

「それが…違ったりして♪」

タカヤは しっかりとスズナの腰を掴み 乳房を持ち上げていた指先が 乳首の方へと ゆっくり触れてきた

・・・ッ!?・・・

「…やっ!!…」

スズナは 悩ましい声をあげ 手を口にあて
タカヤを睨み付ける

タカヤは 構わず スズナに顔を近付けた

「館川さんは 特別みたい♪ 館川さんとだったら…俺…」

スズナの唇とタカヤの唇が 触れる

「…っん!!」

スズナは 抵抗しようにも声が出ない

激しい中にも優しいキス…

手慣れたキス…

スズナにとっては久しぶりのキスと言うのもあり 頭がボー然とする

・・・あ~…っ!! ダメ!おかしくなりそう・・・

スズナはされるがままに力が抜けていく…

タカヤの手がスルスルとスズナの仕事用パンツへと ゆっくり近付いていく…

No.43 12/04/11 17:01
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

我に返ったように スズナはタカヤの手を止めた

「こっ…ここまで!!」

「何で? 今からがイイとこじゃん」

タカヤは 面白くなさそうに スズナにまたキスを迫ろうとした

「私っ!! 仕事中なの!! クビにさせるつもり!? 貴方…責任取ってくれるの!?」

スズナはタカヤの顎を両手で持ち 顔を遠ざけた

「…チェッ…真面目ちゃんめ!」

タカヤは スズナに聞こえるように呟き
ようやく諦め スズナから離れた

スズナは髪と服装を整え部屋の電気を点けた
そして 鍵を開け タカヤを外に出るよう 促した

「今日の事は 黙ってて あげる…でも 仕事場で またこんな事したら… 本当に 訴えるから…」

「……わかったよ……」

タカヤは寂しそうに 肩を落としながら 部屋から出ようとした

すると 何かを思い付いたのか 振り返り 素早い行動でスズナに近付き

「じゃ♪ “仕事以外で” だったらイイんだよね?
俺 絶対! 諦めないから」

そう言うか言わないかに スズナの頬にキスをし
手を振りながら部屋から
出て行った


「仕事以外で 会う事なんて!! 絶対!! ないわよ!」

タカヤに聞こえたのだろうか・・・

タカヤが勢いよく階段を降りる 音が 響き渡るだけだった


スズナは扉を閉め 大きく深呼吸をした

「ヤバかった…」

そして フラフラと椅子に座りパソコンを打ち込んだ

・・・身体が熱い…久しぶりに“あんな事”するなんて…しかも 仕事中に… ・・・

No.44 12/04/11 17:21
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

タカヤのアツい眼差しが 頭から 離れない・・・

・・・悔しい!! 完全にアイツのペースに ハマり込んでる!!・・・

スズナは 頭を抱え 自分の両頬を2・3回 叩いた
「しっかり!!! もう あんなヤツの手には 乗らないんだから!!!」

スズナは自分に 言い聞かせ パソコンの作業を続けた





タカヤは店を出ると 一呼吸をした

「ヤベェ…何ムキになってんだろ…俺…」


スズナに迫った自分を思いだし 恥ずかしさのあまり 自分の手で口を抑えた
スズナの濡れた瞳を 思いだし タカヤは頭をかく

・・・あの顔は マジでヤバいじゃん…・・・

タカヤは バイクに股がり エンジンをかけた

「“アイツ”には 負けない!!
絶対に俺のもンにする!」

自分に言い聞かせ ヘルメットを被り 勢いよく バイクを発車させた


No.45 12/04/11 18:18
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

>> 36 スズナは紅潮した顔で コウヘイに一礼した 「店長 すみません!! 発注の処理をして来ます!」 「あっ…!はい。お願いします」 コ… ※主です🙇※

今さら💦気付いてしまいました

『一人残された タカヤは~』


『一人残された コウヘイは~』

でした🙇🙇🙇

アァ~っ‼😱
間違いだらけで本当に‼すみません🙇💦

No.46 12/04/12 08:11
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

―某大学―

エリナは 学食で一人紅茶を飲んでいた

「あっ!! いたいた!」
エリナの背後から 河島 ミクが息を切らしながら 小走りに 近付いて来た

「どうしたの?」

エリナは キョトンとした顔で 呼吸を整えているミクの横顔を 覗き込んだ

「もぅ!! ここの大学 学食広すぎ! 増築し過ぎでしょ」

ミクは 一呼吸をし エリナの前の席に座った

「本当♪カフェコーナーまで出来ちゃってシャレてるよね♪
よっぽど 学生を増やしたいんだろうね」

エリナはクスクス笑いながら紅茶を 一口飲んだ

「それより!! エリナ!
あれから 墨田さんから 連絡あった?」

ミクはテーブルをドンッと叩いて エリナに顔を近付けた

「……ううん…」

エリナは寂しそうに 目を伏せ 紅茶カップをゆっくり コースターの上に置いた

「……ダメかぁ~…」

ミクはガクッと 肩を落とし頭を抱えた

「やっぱり…私の事…許せないよね…」

エリナは肘を付き 紅茶カップをじっと見つめた

No.47 12/04/12 08:40
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

「でもっ!! あれはっ………っ」

ミクは大きな声をあげ 周りに学生が 数人いる事に気付き 静かに話しだした
「“アイツ”が悪いんじゃないっ!!!
ほとんど 強姦だったんでしょっ!?」

エリナは “ある男”の顔を想い出し…首を横に振った

「……そうなんだけど……私… ミクだから…言うね…」

「うん…?」

エリナは自分の手を胸元に置き 震える声で 囁いた

「強引だったけど……私……嫌じゃなかった……」

「……え?……」

「…途中から…私から求めてた …」

エリナは 恥ずかしそうに 両手で顔を隠した

「…………」

ミクは何も言葉が 出なかった

「墨田さんから “あんなに”強く 求められた事…なかったから!!
“あの人”に強く求められて 嬉しかったのかもしれない……
…私… 最低だわ…」

エリナは涙を堪えながら 鼻をすすり出した


「エリナは…悪くないよ… 墨田さんがずっと エリナの事 構ってなかったんだから……」

ミクはエリナの手を取り 優しく 諭した

「……だけど……墨田さんにとっては 許せない事だよね…」

エリナは涙ながらにミクの顔を 見つめた
ミクは暫く 考え込んでいるのか 押し黙っていた


一時の沈黙に ミクはようやく重い口を 開いた

「エリナ…はっきり 言うね…」

「……うん」

「傷付けるかもしれないけど………
第三者から見て…墨田さんとエリナ… 付き合ってる感じ しなかった…」

No.48 12/04/22 21:21
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

エリナは“やっぱり”と言う顔で ミクの話しを黙って聞いていた

「エリナは中学時代から 墨田さん一筋だったから…エリナから付き合うって聞いて スゴく嬉しかった…」

(・・・そう…自分の事のように喜んだよ…
私だって…エリナと同じくらい…・・・)


「だけど…あの男(ひと)の瞳は…エリナの事 ちゃんと 見てなかった気がする…」


エリナは両腕を組み 顔を伏せた

「… ミクからでも わかる位…墨田さんは 冷めてたのね…」

「…エリナ…」

(・・・だけど…エリナには言えない事…私は気付いたの・・・)

ミクは テーブルに肘をつき
外の景色を眺めた

(・・・“あの女(ひと)”を見る瞳だけが…違ってた事…・・・)

No.49 12/04/22 22:15
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

―スーパーの事務室―

スーパーの閉店後・・・ スズナとコウヘイは残業中だった

「すみません…私のミスで残らなくてもいい 作業を増やしてしまって…」

スズナは申し訳なさそうに パソコンを見つめているコウヘイに 謝った

「大丈夫…だけど…珍しいね。 館川さんがレジミスするなんて…何か あったの?」

コウヘイは いつもと変わらない 優しい瞳でスズナに質問した

「……いっ…いいえ…何も…」

・・・全て…!! あの男のせいだわ!!…・・・

スズナは悔しそうに 顔を俯き拳を強く握った

「……。」

コウヘイは特にスズナの返答を強く求めず 黙ったまま パソコンのキーを打ち続けた


― 暫く 2人がパソコンのキーを打つ音だけが 事務室の中で 鳴り響いていた ―

コウヘイが手を止め 深く呼吸をした

「…やっと…終わった…」

スズナもようやく 手を止め コウヘイに向かって 一礼をした

「店長…申し訳ございませんでした…2度とこの様な事がない様…気を付けます」

「うん…お願いね」

コウヘイは眼鏡を取り ハンカチで眼鏡を拭きながら スズナに微笑んだ

・・・うわっ…眼鏡ない方が スゴく男前…・・・
スズナは じっとコウヘイの顔を見つめ 赤面した

No.50 12/04/24 17:07
さすらい女 ( ♀ dEIMh )

「僕の顔に 何か付いてる?」

コウヘイは眼鏡をかけ直し スズナに微笑みかけた
「あ…いいえ…すみません! 店長が眼鏡を外した姿を 初めて見たので…」
スズナは 慌てて視線を反らし帰り支度をしだした
「そうだっけ? 更に冴えない顔だから ショックだった?」

「いっ…いいえ!! むしろハンサムだったのでっ…驚いたというか…」

「アハハハ… 有難う。社交辞令とは言え 嬉しいよ」

コウヘイは軽く笑い 椅子から立ち上がり 帰り支度を始めた

「社交辞令なんて…」


「…………館川さん…………。
今日…何か予定ある?」


・・・えっ?・・・

「いいえっ。私っ いつも暇です!!」

スズナの返答にコウヘイは お腹を抱えながら 笑い出した


「アハハハ♪そうなんだ。良いのか・悪いのか・わからないけど♪
今日は丁度 良かった。 前のお礼…晩飯 奢りたいけど…どう?」

・・・うわっ!本当にきた・・・

スズナの鼓動が早まる…
「はいっ!! 是非っ!」

スズナは 今までにない満面な笑顔で返答した

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