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幸太郎( 20代 ♂ C0qai )
11/01/05 21:49(更新日時)

静かな住宅街。ここに俺は住んでいる。辺りには家から数分のとこにコンビニと美容室があるだけで本当に何もない。

「幸太郎、おはよう。」

「おはよう。美海。今日はやけに化粧濃いなぁ。」

幼なじみの美海とデリカシーのない俺は同じ高校に通っている。

「あんた女に向かって朝の第一声がそれ?マジ最低!」

彼女のかばんが俺の背部を直撃した。こんな感じで俺の一日は始まる。

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No.1498116 11/01/03 18:01(スレ作成日時)

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No.1 11/01/03 18:19
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

「じゃあ、また昼休みね!」

俺と美海はクラスが違うので一旦別れる。俺は美海の一組を少し奥の三組だ。

「よう、幸太郎。」

声をかけてきたのは康介だった。彼とは小学校からの仲である。

「よう、康介。さっそくだが宿題を見せてくれ!頼む!」

「またかよ。まあ、3時間目だからいいけどよ。ささっとやれよ!」

「超サンキュー。さすが俺の救世主。」

康介はプリントを俺の机に置いて自分の席へ向かった。俺はすぐさま筆箱を取り出して宿題に取り掛かった。

No.3 11/01/05 00:10
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

どうにか宿題を提出できたが、3・4時間目は寝てしまった。

「幸太郎起きろ!昼休みだぞ。屋上行くぞ。」

「もうそんな時間か……行こうか」

康介に起こされて俺は起きた。いつも昼休みは屋上で弁当を食べる。

「もう、二人とも遅い。私たち先食べてるよ。」

「わりぃ、幸太郎が寝ててよ。」

美海とその友達である由紀子が先に弁当を食べていた。俺と康介も小走りで彼女たちの方へ向かった。

No.4 11/01/05 00:24
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

当時、俺達四人は別に恋人関係にあるわけではなく、ただの友達同士の感じだった。いや、俺だけが、意識してなかっただけかもしれない。

「ねぇ幸太郎と康介、ちょっと目つぶって……」

由紀子が俺達二人に言ってきた。

「いいって言うまで待ってね…………よし開けて」

そこには、やたら歯をむきだしにして顎を前に出して「どや!」というような顔をしてた。

「だから?」

康介が言った。美海も唖然としている。

「別に…ただ見せたかっただけよ!おもしろかった?」

可愛いのだが、不思議すぎる性格が災いして由紀子はクラスで浮いているらしい。事実、屋上で一人彼女が弁当食べているのをきっかけに俺が誘ったのだが、時々彼女が分からない。

No.5 11/01/05 00:44
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

「由紀子ったら、ホントアホっぽい。というかそうよねぇ。」

「最高の誉め言葉ね。そうあたしはバカよ。」

「まあ、どうでもいいけど、明日よ遊びにいかねーか?暇だし。」

康介が話を切り替えた。明日は土曜日だ。

「あたしはOKよ!由紀子はどうする?」

「ゲーセン行こっ!幸太郎と久々に対戦したいしね!」

「俺もいいぜ。」

「ゲーセンも行ってやるよ。てゆうかジャスコいくだけだし。」

俺達は休みの日も一緒だった。別にいつもと変わらない毎日だったけど、明日は俺達の関係が大きく変わる日になるとはこの日思いもしなかった。

No.6 11/01/05 00:54
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

学校が終わるのはいつも4時だ。俺はこのあと焼肉屋のバイトに行くのだが、今日は休みになった。先週入りすぎたので今日は出なくていいと店長からさっき電話があった。

「美海、帰ろうぜ!」

「バイトはどうしたの?」

「今日休みになった。」

「そっか……でも私まだ勉強して帰るから先帰ってて。」

「大変だなぁ。看護師の学校って入るのそんなにむずいの?」

「念のためよ。じゃあまた明日!」

「おう、じゃあな」

俺は自転車置き場へ向かった。

No.7 11/01/05 01:08
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

自転車置き場へ行く途中、空き教室から出てきた由紀子に会った。

「幸太郎、帰るの?」

「ああ、バイト休みだし。」

「クビになった?」

「ちがうわ!由紀子こそ何やってたんだよ。」

「面接の練習よ。」

「相手いないのに?」

「うるさいわね。あたしの勝手でしょ。」

「暇だし、面接の練習相手になろうか?」

「別に……いや、やっぱお願い。6時から先生と面接するから」

「OK!じゃあやろうぜ!」

由紀子は友達が少なく受験の面接練習の相手にも困るほどだった。だけど、こうやって努力しようとする子だから基本的にはいい子である。

No.8 11/01/05 01:26
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

「あなたの志望動機は?」

「はい、私の志望動機は…………」

由紀子の言ったとおりに練習していく。

「完璧じゃん。これなら大丈夫じゃない?」

「ありがと、まあ、私できる子やし。」

「そうだな…すげぇよ由紀子は」

実際、由紀子は学校でも常にベスト3に入るぐらい頭が良い。受ける大学も県内の国立大学と俺が頑張っても無理なとこを平気で合格ラインにいる。

「幸太郎はどこ受けるの?美海も知らないって言ってたけど……」

「俺はまだ決めてない。」

「それって大丈夫?だって願書も皆出しはじめてるけど……」

「まあ、そのうちな。それより、面接の時間そろそろだろ。俺帰るわ。頑張れよ!」

由紀子の声が聞こえたような気はしたが、振り払うように教室から出ていった。

No.9 11/01/05 01:42
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

10月も半ばを過ぎた頃だったから帰り道も最近涼しい感じだった。

「進路か……俺はどうしたいんだろう?」

自転車をこぎながら呟いた。康介と由紀子は教師に、美海は看護師が夢だそうだ。

当時を振り返ると俺は何も考えていなかったバカだった。

(あ~あ、皆は良いよな普通の才能があってよ……俺みたいなバカはどうすりゃいいんだ?まあ、バイトしてりゃ何とかなるか。あいつらにはあいつらなりの人生があって俺は俺だしな)

中学生の時は成績が良くて特別に何か努力したものはなかった。それがいつの間にか慢心を招くこととなり、自分は特別な人間だと信じてやまなかった。

No.10 11/01/05 01:53
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

自信過剰となりすぎて、自分が高校に入って勉強ができなくなった理由が自分にあることを当時は意識することはなかった。いや、わかっていてもそれから逃げることしかしなかったから進路も決まらなかったと今ではそう思う。

そして、忘れもしない、ただ遊びに行っただけのあの日が俺達のいや正確に言えば俺の人生を変えることになった。

No.11 11/01/05 02:09
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

土曜日の昼少し前、俺はジャスコの一階のレストランコーナーにあるベンチに座っていた。いつも遊びに行く時は必ず昼食を皆一緒にとることが恒例となっている。三人が来ているのが見えた。

「よう、やっぱお前が一番か」

「さすか幸太郎ね。」

「別にどーでもいいけど、何食べに行く?」

「あたしグラタン食べたいな。」

「よし、他は?なかったら由紀子の意見でいくぞ」

「グラタンでも何でもいいから行こうぜ。なんか妙に腹減ったんだよ。」

「よし、決定。じゃあ行こうか」

康介がそう言うと、すぐ近くにある洋食店に足を運んだ。

No.12 11/01/05 21:49
幸太郎 ( 20代 ♂ C0qai )

入った店はこれまでに何度か来ている店だった。俺達は入って適当に注文した。

「今日どこ行くの?」

「楽譜買いに行きてんだよな。B'zの楽譜新しいやつでたからね。それに弦買いたいし。」

康介はギターが上手くて素人から見ただけだが、かなり上手いと思う。

「康介、また新しいやつ買うのか。また教えてくれよ。」

「ああ、そうだな次はHOMEでもいこうか。」

「あたしその曲知ってる。由紀子が買ったアルバムに入ってたやつよね?」

「そうそう、あたしB'zで一番好きなんだよね。」

俺達の年代でB'zばっかり聴いてるのは康介と由紀子ぐらいで珍しかった。俺は康介の家に遊びに行った時ギター教えてもらって聴くようになった。美海も由紀子と話合わせる程度に知っている。メシも来たあともその話で盛り上がった。

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