愛されたかった子供
今から28年前
三人兄妹の末っ子として
この世に産まれました。
小説の主人公から名前をとり
リコと名付けられました。
私の記憶がはっきり残っているのは 三歳から。
嫌な事、嬉しい事、全て覚えています。
つまらない人生ですが
書いていこうと思っています。
新しいレスの受付は終了しました
42: しゃがみこんで
両腕で顔を隠して泣いていると
J君は泣き止むまで
黙って横に座っていました。
暗くなった公園の隅に
泣いてる私とJ君。
なんだか不思議な光景でした。
落ち着いてJ君を見ると
J君は深呼吸を始めました。
『こないだ…せっかく気持ち伝えてくれたのに…
傷つけてごめん』
私は
『そんなこと全然いいよ。私が勝手に一方的に伝えただけだし。それに
私は…』
言いかけた時
J君が
『俺リコの事好きなんだと思う!
いや…す…好きだ!!!
うん、好きなんだ!』
43:私は
『……………………』
言葉がでませんでした。
J君は
『あれから…あれからすごい考えて
毎日リコの事ばっかり見ちゃって
傷つけたのに普通に話してくれるし
いいやつなんだなとか
笑顔…か…かわいいなとか…
俺はふったわけだし、
もし他の誰かと付き合ったりしたらとか
考えたら
腹立ってきたり…』
J君は頭をくしゃくしゃしながら下を向いて話していました。
『傷つけたのに…
我が儘だけど俺…
まだ…間に合う?』
私は小さな声で
『…ま…間に合うよ』
と言いました。
44: J君は立ち上がり、そして私も立ち上がり
お互いの顔を見れないけれど
J君が手を出して
『て、手ぇ繋いで帰って もいいっすか…』
私は笑ってしまい
頷いて
手を繋いで帰りました。
街灯の下で見たJ君の顔は
耳まで真っ赤でした。
大きなJ君の手
ぎゅっと手を繋いでいるわけでもなく
すぐにほどけてしまいそうな位
お互いそっと手を繋いでいて
会話もあまりなかったけれど
私は幸せでした。
私を想ってくれる人がいる
私は一人じゃない
幸せを噛み締めていました。
45:家の近くでバイバイして
少し遅くなったので急いで帰りました。
玄関をあけたとたんに
母のビンタが飛んできました。
『部活はとっくに終わったはずだろう…何やっとった!!!!!!!!!!』
近所中に聞こえるような声で母は怒鳴り散らしました。
私はもう 中学生
殴られた頬を押さえて
母を睨みつけ
『うるせぇよ!関係ねぇだろ!!!!!』
と言い放ちました。
だけど私にはそれが精一杯の反抗で
ぼこぼこに殴られ
夕食はなし
冷蔵庫に近寄ることすら許されず
切れた口の中の血の味を噛み締めて
布団の中で
J君…
J君助けて…
J君会いたい…
呟いて泣きました。
46:次の日から
J君との秘密の付き合いが始まりました。
基本的に学校ではあまり会話をしない
たまに私が手紙を机に入れておく位
だけど部活が終わると
近くの公園で待ち合わせて
手を繋いで遠回りして帰る
誰かに見つかりそうになれば
離れて歩いたり
隠れたり
恥ずかしくて
照れ臭くて
J君といる時間は
嫌な事みんな忘れられました。
心が満たされるってこんな感じなんだ…
と胸が熱くなりました。
47:付き合い始めて2ヶ月位たった頃
私達が付き合っているという噂が 徐々に学校で広まっていき
学校で聞かれる事も多くなりました。
ある日自習の時間 クラスの男子が
『Jってリコと付き合ってるって本当なの?』
クラス中ザワザワし始めました。
私の部活の友達は知っているので
『くだらない事きかないでよ!男子はすぐそうやって騒ぎ立てる』
とフォローしてくれました。
でも騒ぎ立てる男子が一人増え 二人増え
『付き合ってるんだろー?』
『リコの事好きなんだろー?』
J君の周りにふざけた男子が集まってきました。
48:私もJ君も黙っていましたが
J君がバーンと机を叩いて立ち上がり
『あーもぅ!うっせーな!俺らは付き合ってるし 俺はリコが大好きだー!!なんか文句あっかー!!!!』
何故かクラス中に笑われ
『よくいったー!』
とか
『男前ー!』
とか
女子からは拍手までいただき…
みんな私達を応援してくれるようになりました。
ただ根掘り葉掘り聞かれるのは嫌でしたが、
J君があんな風に言ってくれるとは思わなかったので
益々 益々大好きになりました。
49:その日の帰り
待ち合わせた公園で
会うなりJ君は私を抱きしめました。
J君のドキドキがすごく伝わって
私は最初硬直していましたが
優しいJ君の匂い…
なんて安心感だろうと
私もぎゅっと抱きしめ
しばらくそのまま
抱き合ったまま無言でした。
やっぱり耳まで真っ赤なJ君の顔を見上げていると
J君が私にキスをしました。
でも優しいキスではなく
音で表すと
『ガツン…』という感じでした
J君の前歯が直撃して
初めてのキスはとても不器用でしたが
嬉しくて泣けてきました。
その後何回もキスをして
優しい優しいキスになりました。
50:私はその日
一睡もできませんでした。
布団の中で
嬉しくて泣きました。
J君とずっとずっと付き合っていけますように。
J君を失う事のないように
この恋を大事に大事にしなくちゃ…
母には絶対ばれないように…
貧乏という事も
ばれないようにしなきゃ。
嬉しいのと
不安と
二つの気持ちが
入り混じりました。
51:冬が終わり春が来て
私達はあっという間に受験シーズンへと突入しました。
J君が塾に通い始め
会えない日が続き
私はだんだんと寂しくて我が儘をいうようになりました。
たまのデートでも
『J君、私の事好き?』
『好きだよ☆』
『ずっと好き?一生好き?結婚したいくらい好き?』
『……リコ……………こないだから何回も同じ事聞くねぇ…』
塾の時間になっても
泣いて我が儘を言って遅刻させてしまったりしました。
頭の中はJ君だらけで
周りも見えておらず…
本当最低でした…。
52:私はJ君に毎日手紙を書きました。
好きで好きでおかしくなりそうでした。
ある日
私はJ君に会いたくて
塾が終わるのを勝手に待っていました。
塾が終わって、J君はびっくりしていましたが、
相変わらず優しいJ君でした。
『リコこんな夜遅く大丈夫?待っててくれたの?』
『会いたかったの、ごめんね勝手に待ち伏せして…』
『俺は嬉しいよ~☆でもこんな時間に出てきて怒られない?』
『大丈夫!J君は気にしないで!』
危ないから送っていくと言ってくれたJ君。
でも私のせいで…
53: 家の近くまで送ってもらい
バイバイしようとした時
『おい…』
私の後ろから母の声がしました。
私は真っ青になり
『J君早く帰って!早く』
と言いましたが
初めて母に会うので丁寧に挨拶をしてくれたのですが…
『初めましてJと申します。送っていくのが遅くなってしまい申し訳ありません。』
深々と頭を下げるJ君。
母はJ君の胸ぐらを掴みました。
『お母さんやめて!!!!!!!!』
『最近帰りが遅い日があると思ったら…
おまえかー!!!!!!!!!!!おまえはリコのなんなんだ!?
あ!?彼氏とでもいうのか!
こんな馬鹿女の彼氏なのか!!!
答えろー!!!!!』
54:J君は抵抗もせず
『すみませんでした!本当に…すみませんでした!』
なんども謝り
私は
『お母さんもうやめてよ!J君は悪くない!私が勝手に…』
言いかけた時
母はJ君をビンタしました。
『な…なんて事すんの!!!!!お母さんしねば!いますぐしんでよ!だいっきらい!あぁぁぁぁ!!!!!!!!』
J君の前で狂ったように泣き叫びました。
J君にはすぐに帰ってもらい
私はまた髪の毛を捕まれて 家の中へ…
母の力は強く
中学生の私でさえ
全然かなわない相手でした。
帰宅しても呼吸がずっと荒いままで
落ち着く事もできず
ひたすら叫びました。
55:
『あぁぁぁぁ!あーー!!!!!!!!!』
声が枯れるまで泣き叫びました。
もうパニック状態でした。
机の上にあったカッターを手に取り
太ももを切りつけました。
なんどもなんども。
痛みを感じる間は
冷静さを取り戻した気がしたからです。
腕は目立つから
太ももばかり切りました。
56:深く切る勇気のない私…
太ももの無数の赤い傷から
血が滲む程度しか切りつけられず…
この気持ちをどこにもぶつけられず
小さい時
夜中に借金取りが来た時と同じく
布団の端を噛み
朝まで号泣しました。
57:もう終わりだ…
J君にばれた
しかも母はJ君を殴った…
J君悪くないのに
私が勝手に会いに行ったから…
私のせいで
J君を傷つけた
ちょっと考えたらわかる事なのに
あの母が何をするか
どんな行動を起こすのか
私は甘かった…
もう顔も合わせられない…
絶対嫌われた
軽蔑された…
学校も行きたくないし
誰にも会いたくない…
私は次の日学校を休みました。
58:夕方家の電話が鳴った
母がでていた。
何か相手に怒っている。
『あのなぁ!すいませんじゃないんだよ!
子供の分際で
夜に会うとか大人びた事してんじゃねぇよ!
まさか変な事までやっとるんじゃないだろうな!あぁ!?』
もしかして…J君??
私は電話をしている母を突き飛ばし
受話器を奪いました。
私が母を突き飛ばしたのは初めてです。
今までは抵抗なんてしませんでした。
でも自分でも制御できませんでした。
『もしもしJ君??』
『リコ?!大丈夫か?俺の事は気にしなくていいから。俺全然気にしてないから。
とにかくリコが心配……
』
プー…ップー…ッ
電話が切れました。
59:電話栓を抜いた母がこっちをみて睨んでいました。
ぼーぜんとする私にむかって
母は近くに置いてあった、飲みかけのお茶のペットボトルを投げつけてきました。
顔面に直撃しました。
私は痛みより
悲しみと悔しさが込み上げ
自分の部屋に逃げ込みました。
何も考える事ができず
座り込んでいたら
顎や口のあたりが暖かくなっているのに気づきました。
床にはポタポタと血が落ちて止まりません。
鏡をみると
大量の鼻血で鼻や口の周りが真っ赤な自分がいました。
流れる血は暖かく
私はそのまま
何もせず
静かに泣きました。
60:あの日から
私はだんだんとJ君に依存するようになりました。
当時携帯などはないため、J君の家に何回も電話 り
突然会いに行ったり…
県内で1番レベルが高い高校を受験するJ君にとって
大事な勉強時間を削られる…
迷惑以外のなにものでもありませんでした。
わかっていましたが
止められませんでした。
やがてJ君に
『ごめん…もう限界…
別れよう…』
と言われました。
唯一の心のよりどころを失い…
黙々とリストカットをする日々が続きました
涙も出ません。
感情を出す事に疲れたからです。
61:
授業参観
進路相談
個人面談 …
母がきた事はありませんでした。
いつも父です。
フラフラして低収入の為
母との喧嘩も絶えず
頼りない父ですが
行事に来てくれたりする優しさに
嫌いにはなれませんでした。
高校に入る頃
私の頭の中はお金一色でした。
貧乏はいやだ
たくさんお金を稼いで
家をでていかなくちゃ…
アルバイトを3つかけもちして
自分の欲しい服や
携帯を買い
お金があるって幸せだと
しみじみ感じていました。
62:私の物欲は凄まじく
稼いだお金をあっという間に使ってしまい
必要じゃないものも
可愛ければ買う
とりあえず買う
異常でした。
アルバイトだけではお金は足りず
体を売る事を始めました。
傷つきもしないし
罪悪感もありませんでした。
お金がないと
あの頃に戻ってしまう…
それだけが恐怖でした。
63:ある日
帰宅すると姉が来ていました。
姉は20歳で家を出て一人暮らしをしていました。
昔より話しやすく
色々な事を話して盛り上がっていると
母の話題になりました。
『お母さんてさ…ほら自律神経だか総合失調症だか…病気だったじゃん』
私は知りませんでした。
だいぶ長い間
母は心の病にかかっていたなんて。
でもなんにも思いませんでした。
『私が受けた傷は、病気だったから~じゃ済まされないよ。未だにお母さんとは話さないし。話したくないし。』
母への怨みは日に日に増すような気さえしました。
64:私は高校時代は
平日はラーメン屋さんでバイト
土日は友達と遊ぶか
違法なバイトをして
なるべく母と顔を合わせないようにしていたため、
比較的心穏やかでいられました。
ただ昔のトラウマで
彼氏を作る事
異性を好きになる事
全くできませんでした。
母の存在がばれるのが
何より怖かったからです。
65:ある日たまたまバイトを休んだ日
帰宅すると母がいました。
母はパートをやめて
専業主婦になったというのです。
ものすごく嫌でした。
いなくて当たり前の生活をずっとしてきたので
何かまた監視されたりしないだろうかとか
色々な不安が出てきました。
予感は的中し
母は毎日私のバイトが終わる時間に
迎えにくるようになりました。
迎えにきたといっても、
帰り道はお互いものすごく距離をあけて歩いています。
67:私はJ君と別れたあの日の夢を頻繁に見るようになりました。
あの日
部活が終わり
いつもの公園でJ君と待ち合わせをして
一緒に帰宅する予定でした。
待ち合わせ場所にいたJ君の顔は
眉間にシワを寄せて
怒っているような
悲しいような
そんな顔をしていました。
『リコ…話が…ある』
J君が何を言いたいか察した私は
『やだ!やだやだやだ!』
耳を塞いでしゃがみ込みました。
『リコ!リコ!ちゃんと聞いてくれよ…こんな形で終わりたくないよ…』
『…お…終わり?』
J君の言いたい事が
わかっていたくせに
手が震えて
頭は真っ白でした。
68:
『終わりなんて嫌だ!ずっと好きって言ってくれたじゃない!ずっと側にいるって言ってくれたじゃない!』
涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃでした。
J君がいなくなる悲しみより
恐怖に近いものがありました。
『リコ…俺…』
『悪いとこさ、直すからさ…お願いだから
別れるなんて言わないで…J君いなくなったら私…生きていけないよ』
泣きすぎてうまく喋れませんでした。
J君に抱き着いて離れませんでしたが
J君は私をゆっくり引き離しました。
J君は泣いて言いました。
『ごめん…もう限界…別れよう』
69:部活の荷物をもって去ってゆくJ君
追いかける事もできず
泣きすぎで呼吸が苦しくて
その場に座り込んだままでした。
夢の中では
必死に追いかけるのですが
全然おいつかないのです。
そして朝泣きながら目を覚まします。
私はまだJ君が大好きでした。
別れて2年もたつのに…
J君は希望の高校に合格し
男子校で陸上をやっていると聞きました。
優しくて頭もよくて
裕福なJ君。
私は我が儘で頭悪くて貧乏なリコ。
釣り合うはずがない。
でも忘れる事はできませんでした。
70:高校二年のある日
クラスメイトのM子に
『彼氏の高校の文化祭があるんだけど、一人じゃいきにくくて…一緒にいかない?』
と言われました。
なんだ…ただの付き添いか…
私じゃなくてもいいじゃん。
断ろうとした時
『〇〇高校なんだけど、男子校だから、運命の出会いがあるかもよ~』
といわれ、心臓がドキッとしました。
J君の高校…
行ったら会えるかな
話せなくても
姿だけでも見たいな…
M子の誘いにのって、一緒に文化祭に行く事になりました。
71:文化祭当日
私なりの精一杯のオシャレをして
(でも服は制服)
J君の高校に行きました。
M子も彼氏やその仲間に会うのを楽しみにして
いつもよりメイクが派手でした。
M子とたくさんお喋りしながら高校に向かい
高校の門をくぐって
M子が彼氏を見つけた途端
『彼と色々回ってくるね~☆帰りは夕方だし怖いから一緒に帰ろうね~』
といって
彼氏とその仲間3人ほどと
ワイワイ言いながら校舎の中に消えていきました。
ぽつんと残された私。
なんだか悲しくなってきて
帰ろうかと思いましたが
一目J君が見たくて
出店で賑わう校庭のすみに
ずっと座っていました。
72:
ぼーっと座っていると
赤い風船をもった男子生徒がこちらに歩いてきました。
『M子ちゃんの彼氏の友達です!なんだか一人で寂しそうだから、俺だけ戻ってきちゃった!俺K太、よろしくね』
さっきM子と一緒に校舎に消えた仲間3人のうちの一人だ…
私はチャラチャラした男は嫌いなのだけど
K太はそうは見えませんでした。
超頭のいい学校だからか、制服もキチッと着ているし、坊主頭の笑顔がかわいい男の子でした。
『はい、お土産~』
と言って
赤い風船をくれました。
M子においていかれて悲しい気持ちが和らいだ気がしました。
73: 私は
『あ…ありがとう…私もう少ししたら帰るから、みんなのところ戻ったほうがいいよ…』
K太はびっくりした顔をして
『今来たばかりでもうかえるの?一緒に回ろうよ!うちの高校の文化祭結構面白いよ!
…ってか…一緒に回って下さい!』
頭を下げられてしまって
断れませんでした。
K太とたくさんの教室をまわって
最初は私も黙っていたけど
自然に笑うようになりました。
手には赤い風船の他に
バルーンアートの犬とか
ビーズの指輪とか
K太がいろんな教室のゲームで勝ち取った景品であふれていました。
74:
休憩に学内の食堂に行った時
私は凄い勢いで食堂からでて
廊下の自販機の横に隠れました。
J君がいたからです。
K太は
『何?どうしたの?』
心配そうに声をかけてくれましたが
J君の事は言えず
そのかわり泣きそうになっていました。
相変わらずのJ君の笑顔、声、背はのびたから前よりスラッとしてる…
会いたかったJ君。
気づいてほしいけど
恥ずかしくて
怖くて話せない。
でも気づいてほしい…
私は涙を流しました。
75:食堂からJ君が出てきました。
私と目が合ったはず…
確かに目が合ったはずなのに
J君は校庭に向かって歩いていってしまいました。
何を思い上がってたんだろう…
気づいてほしいとか…
姿が見たいとか…
またよりが戻れたらと… 密かに期待なんかして。
J君と私はもう終わっていて
もう過去で
過去にしがみついてるのは私だけで
J君の中には私はいないのに
つくづく自分が馬鹿だと思いました。
私は気分が悪いからとK太に告げ
うちに帰りました。
私の部屋で
母が私の日記を読んでいました…
『な…に…してんの?!』
76:
母はうっすら笑みを浮かべて
『あんたがまた変な、いやらしい絵でも書いてないかチェックしとったんよ(笑)』
小さな頃の嫌な記憶が蘇り、気持ち悪くなりました。
私は
『いつもそうやって監視して…傷つけて…自分の気分次第で殴るわ暴言はくわ…
いい加減にしてよ!!!!!!!!!!』
そして私は
『私がしねば満足?いなくなれば満足?私なんかいなくなればいいんでしょ?!』
ずっと言いたかったけど言えなかった言葉でした。
沈黙の後 母が手をバンバン叩いて大笑いしました。
『あーはっはっ!何それ?!なんかのドラマのセリフ?あははははは!おかしいー!』
77:私はベランダに向かいました。
飛び降りてやろう
そう思いました。
ベランダの手摺りから下を見ると
情けない事に足がすくんで動けませんでした。
母は私が死んでも悲しまない
私が傷ついても悲しまない
これじゃ復讐にならないじゃん。
私は重いあしどりで自分の部屋に戻り
母が荒らした部屋を片付けました。
片付けながら
何をすれば母が困るだろう
何をすれば母を傷つけられるだろう
そればかり考えていました。
78:
母は相変わらず
狂ったように叫んだり
暴力したりしていましたが
専業主婦になって
少しずつキレる回数が減り
私に普通に話し掛けてくるようになりました。
私は母に話し掛けられても完全無視していました。
今更なんなの?馬鹿じゃないの?
常にイライラしていました。
どういうつもりなのか
高校のPTAにまでなって
私の学校に来るようになりました。
学校内で手を振られても
私は無視。
ニコニコしていると母が
気持ち悪いとさえ
思っていました。
79:文化祭の日からしばらくして
K太に告白されました。
私はやっぱり過去を思い出すと
彼氏とかは作れませんでした。
ごめんなさい…
と断るとK太は
いきなり号泣してわぁわぁ泣き始めました。
私は走って帰りましたが
携帯の留守電に
『今からしぬから 』
『こんなに傷ついてる人間の気持ちわかる?…ねぇわかるの?』
何件か留守電が入っていて
着信も凄い数でした。
K太の異常な感じと
母を重ねてしまい
携帯が鳴るたびに
心臓がバクバクしました。
80:何度も学校近くで待ち伏せされ
泣きじゃくるK太に
何故か強い口調でものが言えず
毎回なだめて落ちつかせていました。
K太の執着はずっと続きました。
高校を卒業する時
携帯も変えたし
もう学校近くで待ち伏せされる事はないだろうと安心していました。
K太の恐怖から
逃れられた気がして
ホッと安心していました。
81:高校を卒業して
私は販売員になりました。
毎日必死になって働いて、
一人暮らしの貯金をしていました。
ある日
職場の先輩とご飯を食べに行った時
窓際に座った私は
外を見て
真っ青になりました。
道路の向こうで
K太が睨みながらこっちを見ています。
先輩に気づかれないように
普通に楽しく食べていましたが
K太はその場所から離れず
雨の中傘もささずに
ずっと見ていました。
恐怖が再び襲ってきて
先輩に迷惑をかけまいと
体調が悪いと嘘をついて
先に店をでました。
82:K太と
人がたくさんいるファミレスで話し合う事になりました。
振るえる手を
ギュッと握って
『もう…怖いよ。待ち伏せとかやめてよ…。』
と言いました。
K太は
『だって愛してるから。一生愛してるよ。俺の家族にもリコの事いってある。みんなリコが大好きだよ』
今までの恐怖が
一瞬にして消えて
怒りが込み上げてきました。
コイツの自分勝手な妄想で
待ち伏せされて
怖い思いして…
K太の腕をつかんで外にでました
83:ファミレスの駐車場で
私はK太に怒鳴りました。
『いい加減にしろ!いつまでネチネチしてんじゃねー!!!!!!!
迷惑っていってんだろ! そんな事も理解できないなんて馬鹿じゃないの?』
K太は
私がこんな口調で話す子だとは知らなかったみたいで
ぽかんと口をあけていましたが
やがてK太も怒鳴ってきて
互いに怒鳴り合いになりました。
『M子から、お前んち超貧乏ってきいて
可哀相だから声かけてやったのによ!!!!!付け上がりやがって!
お情けで付き合ってやるっつってんだろ!』
84:
何度怒っても
話しの通じないK太に
最後に
『これ以上関わるなら、警察に逮捕してもらう。
お前は立派なストーカーなんだよ。気持ち悪い。
私はあんたなんかと一生付き合わない。』
そして嘘をひとつ
『私にはもう彼氏いるの。結婚の話もでてるから!』
うなだれてK太は帰っていきました。
ホッとしたのか涙が溢れてきました。
本当は怖かった…
自分の中にある母が出てきたようなきがして
暴言を吐きまくった自分にも少し反省しました。
85:私は何もかも嫌になり
会社をやめました
毎日遊び歩いて
貯金も使い果たすと
消費者金融に手を出しました。
借金は増えていくばかりでした。
そんな時
ある一人の男性に出会いました。
私より15歳も年上の彼。
足が悪くて
常に杖をつきながら歩く人でした。
何故か私はその人といると安心して
閉じ込めていた過去も
自然と話すようになりました。
86:私の話を聞いても
否定しなくて
遊び歩いて借金まであると話しても
『そんな時期あっていいと思うよ』
なんて言う人でした。
彼は小さな頃から足が悪く
いじめ 差別 色々経験してきたみたいでした。
いつも落ちついていて
優しい彼を
ダメだと思いつつ
好きになってしまいました。
心を入れ替え
アルバイトを始め
借金を返す日々が続きました。
新しいレスの受付は終了しました
お知らせ
小説・エッセイ掲示板のスレ一覧
ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。
- レス新
- 人気
- スレ新
- レス少
- 閲覧専用のスレを見る
-
-
束の間の現実逃避 無意味な文字の羅列 幸せへの片道切符3レス 47HIT 小説好きさん
-
わたしはあなたたちがきらい7レス 188HIT 瑠璃姫 (10代 ♀)
-
勉強する皆、すとぷり、アイドリッシュセブン、嵐0レス 40HIT 小説好きさん
-
満員電車とアタシとイケメン痴漢50レス 1776HIT 修行中さん
-
君は私のマイキー、君は俺のアイドル9レス 198HIT ライターさん
-
束の間の現実逃避 無意味な文字の羅列 幸せへの片道切符
酒姫に捧げる唄。 心に思い浮かぶことも 目に見える景色も 優しい…(小説好きさん0)
3レス 47HIT 小説好きさん -
満員電車とアタシとイケメン痴漢
Y社は通りそう…ただし、ブラック臭くて、給与も期待できなさそう… …(修行中さん0)
50レス 1776HIT 修行中さん -
仮名 轟新吾へ(これは小説です)
お互いに「Win-Winの関係」じゃないとね! 女性の行きたい所…(匿名さん72)
212レス 3158HIT 恋愛博士さん (50代 ♀) -
神社仏閣珍道中・改
本日は地元の方々の厚い信仰心で今日まで大切に守られ続けている、地図にも…(旅人さん0)
362レス 12383HIT 旅人さん -
私の煌めきに魅せられて
「凄いもの,,,ねぇ。。まぁまぁ、呑んじゃいなよ!」 ? 意味わか…(瑠璃姫)
91レス 1137HIT 瑠璃姫
-
-
-
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②4レス 151HIT 小説好きさん
-
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?11レス 170HIT 永遠の3歳
-
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令1レス 204HIT 小説家さん
-
閲覧専用
また貴方と逢えるのなら16レス 489HIT 読者さん
-
閲覧専用
今を生きる意味78レス 539HIT 旅人さん
-
閲覧専用
また貴方と逢えるのなら
『貴方はなぜ私の中に入ったの?』 『君が寂しそうだったから。』 『…(読者さん0)
16レス 489HIT 読者さん -
閲覧専用
🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 151HIT 小説好きさん -
閲覧専用
人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 170HIT 永遠の3歳 -
閲覧専用
酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 204HIT 小説家さん -
閲覧専用
おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1431HIT 檄❗王道劇場です
-
閲覧専用
サブ掲示板
注目の話題
-
昭和生まれ、集まれー!死語、何が浮かぶ?
死語。何か浮かぶこと、思い出すのは? 若い頃、「そうは問屋が卸さない!」と、たまに言うこと言わ…
105レス 2766HIT 匿名 ( 女性 ) -
彼氏が他人の子供を面倒みています
付き合って半年程の彼氏がいます。 お互いに同い年のアラサーです。 彼氏は以前から年3回ほどシ…
37レス 1795HIT 匿名さん (20代 女性 ) -
どうしても結婚したいです。
40代婚活男性です。55歳の相手とお見合いをしました。結果は、お断りです。自分よりどんなに年上や不細…
15レス 463HIT 恋愛好きさん (40代 男性 ) -
愛猫の病気で遠方の葬儀に参加しない件について
愛猫の事で遠方の葬儀、49日に参加しない私は非常識でしょうか? 旦那の父親のお兄さんが先日亡くなり…
44レス 2342HIT 結婚の話題好きさん (30代 女性 ) -
退職しようとしてる人がいるとして、どういう人なら引き止める?
諸々の理由があり、仕事を辞めることを決めました。 非常にお世話になった先輩(私は派遣なので、先輩と…
21レス 476HIT OLさん (20代 女性 ) 名必 年性必 1レス -
胸のサイズの相談
胸のサイズ、Gカップあると困ること多いと、女友達に言うと嫌味かと言われました。 困ることたくさんあ…
11レス 248HIT 美容に興味あるさん (20代 女性 ) - もっと見る