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【復讐】‥行き着く先‥

レス93 HIT数 65667 あ+ あ-

美緒( ♀ ZnPK )
10/06/08 15:35(更新日時)

「最初は、ほんの遊びだった。
だけど 今は違うんだ。
本気で想ってる」


夫・チャールズからの言葉。


不穏な空気を感じ取り、泣き出す幼い娘。


「パパ!パパ!
何処へ行くの!?」


それでも、振り返る事なく家を出て行った。



「泣かなくて良いのよ。シャロン。


パパは、きっと此処へ帰って来るわ」


妻・ナンシーが娘を抱き締めて、そう話す。




不敵な




笑みを浮かべて。

No.1263042 10/03/04 00:08(スレ作成日時)

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No.1 10/03/04 00:23
美緒 ( ♀ ZnPK )

‥ナンシーは、人から羨ましがられる程 恵まれた環境にいた。


夫のチャールズの仕事は 大手‥と迄、行かないが なかなかの高収入で
家も立派なもの。


その上、偉ぶる事も無く 優しい人柄だった。



また子供も授かり、3歳になったシャロンは 父と母の良い所を受け継いだ可愛い顔の女の子。



「天は二物を与えず」


と言うが、この家庭には不似合いで 三物も四物も与えまくってる。



そう思われても仕方ない そんな生活だった。

No.2 10/03/04 00:39
美緒 ( ♀ ZnPK )

>> 1 ‥しかし、みんな口にするか・しないダケで有って 何処の家でも 少なからずとも何か問題は有る。



当然、ナンシーの家庭でも同じだ。



最近‥いや もっともっと以前から、チャールズの様子が変だった。



帰宅時間は通常通り。



休日は、家族サービス。


会話だって変わり映えなし。



しかし、ナンシーの目から見て 何かが妙だと感じていた。




チャールズは


“普通”


“いつも通り”



を演じている様に思えたのだ。




それでも、確たる証拠が何も無い。




だから 尻尾を出す迄、様子を伺う事に決める。



それだけじゃない。




然るべき時の為





計画も企てて。




‥いつか、必ず必要になるわ!‥



そう思い 彼女も、またチャールズと同様に


“普通”


“いつも通り”



を演じる。

No.3 10/03/04 01:29
美緒 ( ♀ ZnPK )

>> 2 ‥翌朝。


「行ってらっしゃい。
パパ、帰ったら一緒に
お風呂に入ろうねぇ」


娘のシャロンが、チャールズに言う。


「姫からの お誘いにはパパは断れないな」


と嬉しそうな顔をして、頭を撫で ナンシーにも挨拶を欠かさず、仕事へ出掛けて行く。



これも また日常的な事。



だが 妻が夫に対する気持ちは‐疑心暗鬼‐



‥何かが怪しい‥



と思う様になってから、今まで チャールズとの間に、夜の生活は有る。

シャロンの育児に疲れてる事も有り、新婚当時よりも回数は減ったが 問題は“愛情”を感じない事だ。



誘って来るのは、いつも夫。
それは結婚当初から変わらない。



変わったのは



単にヤリたいからする。


それが、肌を通じて伝わって来るのだ。




ナンシーは その事について何も言わずにいた



大袈裟にならぬ程度で、感じる振りをして 最後は、満足感を味わった微笑みをチャールズに向ける。




尻尾を出さない様に、用意周到の夫。




そんな彼を陥れる計画の一つでも有ったからだ。

No.4 10/03/04 03:04
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 3 ‥賢い女なら、言葉巧みに会話を引き出して上手な方法で証拠を掴むだろう。


だけど、ナンシーは話術に自信が無かったし それで失敗しては元も子もないので止(や)めておいた。



彼女のやり方は、時間が掛かるものだったけれど その分“計画”が着実に進めて行けたのだ。




そして、ようやく
チャールズが尻尾を出した。



彼の方から切り出して来たのである。



それも、自分の欲求を満たす為だけに 激しい事をした後で。




ナンシーは、驚いた様な悲しい様な表情を見せていたものの 内心は 沈んでなんか無い。



企てて来た計画が、芽吹く時期の訪れを喜んでいたのだ。



そんな事とは露知らず‥


欲求を解消して、スッキリしたチャールズは
こう言った。



「僕には、心を支えてくれる女性が居るんだ‥。

家庭を守る事よりも、その人を守ってやりたい


そう強く考えている」

No.5 10/03/04 07:24
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 4 ‥話しによれば、その人とはサイトで知り合ったそうだ。


悩みや質問などを投稿すると それに応じた回答を書き込まれる。



投稿者が、読んで心地良さを感じた回答や もっと話してみたいと思ったら、個人ルームと呼ばれてる所へ誘い 回答者の承諾を得られれば、そこで1対1の書き込みをし合える。


いわばチャットの様なものだ。


個人ルームでの、やり取りは他人に見られないシステムとなっている。



チャールズは、初め調べ物をする為に 携帯を使ったのだが 入力文字をミスしてしまい こう言ったサイトがズラリと出て来た。



そのまま 放っておき、調べ物に戻ろう‐としたのだが 何となく気になって、アクセスしたのが そのサイトなのだ。



色々な悩みや相談、質問が有る中で 1人の話に目が止まった

No.6 10/03/04 07:39
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 5 ‥今まで付き合って来た人は、います。
*好きだから・・・
*一緒に居て楽しいから・・・
*気になる相手だったから・・・

理由は、その人(付き合うヒト)によって違いますが、共通点は好感を持てる。だから交際します。

それなのに、私は本気で人を好きになる!‥そこ迄の気持ちが持てません。


体の関係を持ち掛けられても、本当に好きじゃない人とは出来なくて断ります。


今、付き合ってる人は居ません。


この先 もし誰かと交際しても同じ事の繰り返しになりそうです。


どうすれば良いのでしょうか?



****


そんな感じの内容。


チャールズが、そのサイトを見るのは初めだったが 他の投稿では


“妊娠しました”


“子供が出来たら、どうしょう”


と言ったものが、ザッと目を通したダケでも大半を占めてる中で


この投稿は、珍しく見えたのである。



本当の事か嘘かは、分からないが ちょっとした軽い気持ちで回答を書き込んでみた。

No.7 10/03/04 15:51
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 6 ‥それがキッカケで、その子は チャールズを
“個人ルーム”へ呼びかけ、幾度となく書き込みを し合ってたとの事だ


そこでアドレスを交換。

暫くは、メールでの遣り取りが殆ど。



話題は広がり、2人で会おう‥そんな流れだった。

No.8 10/03/04 18:52
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 7 ‥チャールズの会社形態は少し変わっていて、一般企業で有るのに午後は3時間~4時間程度の休憩が入る。


勿論、交代制だ。


余談では有るが、休憩時間も きっちり お給料に含まれている。



‐‐サイトで知り合った子と会うとなれば、この時間しか無かった。


休日を潰し、娘・シャロンの相手を放棄する程
彼には その子に対しての気持ちを持てない心境だったからだ。



相手の子は、聞いても無いのに自分の話しをして来ていた。


バイトで自生活していて 休みは不定期の週2日。
仕事が忙しければ、休日が1日しか取れず 就業時間もフルになる。


お洒落が大好きで趣味でも有る その子は20歳になったばかりだと言う。


‥20歳‥


自分よりも10歳も年下の女の子。


送られて来た写メは、当然ながら若々しくって
可愛くて‥大きく開いた胸元の服から 顔を出しているのは柔らかそうなミルクの山。



今までは口約束の様なもので有ったのに、チャールズは 本当に その子と会ってみたいと思う様になった。



リンレイと名乗る女の子に。

No.9 10/03/05 15:15
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 8 ‥リンレイが住んでいる所は、チャールズの家や会社とは反対方向の場所に有る様だ。



‐いつも休日には、家族サービスをしているんだ。
仕事が終われば真っ直ぐ帰宅しているし、たまには・・‐


こんな考えが浮かんで来た。



‐そうだ。たまには、休日の1日ぐらい 俺の好きな様に使ってみたい ‐


勝手とも、そうでないとも取れる言い訳を自分で 自分に正当化でもするかの様にして言い聞かせて、彼女へメールを送信した。



【リンレイさえ良ければだけど、一度お茶でもしたいと思ってるんだ。


もちろん、深い意味は無いから安心して下さい】


‐これで会えたら嬉しい。
無理なら、仕方ない‐


ダメ元で お茶へ誘いかけたので有る。

No.10 10/03/05 15:43
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 9 ‥それから、暫くの間
連絡が途絶えた。


彼女はマメに、返信をする子で遅くても翌日には送られて来る。


なのに幾日たってもメールが来なかった為、チャールズは 出した事に後悔を、し始めていた。



‐ 会えなくても、誘いさえしなければ 今まで通り、やって来れたかも知れないな‐


リンレイに何て言えば良いのか分からず、あれ以来 彼も又 連絡を入れて無かった。



仕事から帰れば、幼い娘の寝顔で癒やされるし、ナンシーも 家事をこなして美味しい食事を出してくれる。


会話だって有るし、何も悪くない。


しかし 家庭とは別にして、常に心の何処かで
リンレイの存在は確かに有った。



夜、妻とベットを共にする時 何故か考えてしまう。



‐ あの子の肌触りは、どんなだろう?


その時の声は‥? ‐



勝手にシチュエーションを浮かべて、想像していた。



今 自分が抱いているのはナンシーなのに、頭の中はリンレイの姿が映る。

No.11 10/03/05 16:01
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 10 ‥そんな事を考えながら、大人の時間を過ごしてるなんて言える筈も無い。


ナンシーに悟られる訳に行かない。


だから


“普通に”


“いつも通り”


の態度で居ようと思ったのだ。


‐ 何も察知されてません様に! ‐


と願いつつ。



*******



リンレイから、再びメールが来たのは一週間ぶりだった。



【お返事遅れて御免なさい。
バイトが、凄く忙しくて 誰からのメールでも まともに読めない程 疲れていました。

やっと休みが取れて、携帯を開き ゆっくり読んでいたら、チャールズからの お誘いを見て・・


お茶の相手が、私でも良いの?


冗談じゃなくて本当に?】



彼は これを読み、ますます会いたくなった。


誘われたからって、簡単にホイホイ着いて来るので無く こうやって躊躇う事に、惹かれたのである。

No.12 10/03/05 22:27
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 11 ‥【バイトお疲れ様。
今日は、久々の休日の様だけど体は休まってる?

お茶の誘い、冗談じゃないよ。
一度で良いから会って話してみたいと思ってます
週末で休み取れる日が有ったら、教えて欲しい。

それに合わせるよ】


そう書いたメールを送信した。



その翌日に、リンレイから返事が届く。


【おはよう。
直ぐに、お返事が出来なくて御免なさいね。


私も貴方に会いたいです。
お話したいです。


だけど色々と考えてたの。


チャールズには、家庭が有るでしょ?


奥様も子供さんもいる。それなのに、週末に私と会ったりなんかしたら、怪しまれない?】


‐確かに、その可能性も出て来るけど‥ ‐


読みながら そう思ったが、その反面


‐ 後 ひと押しだ! ‐


と言う気持ちにも駆られた。



暫く、似た様な感じのメール交換をしていたのだが リンレイから、こう告げ来た。



【ねぇ!
チャールズの会社って、午後に3~4時間程度の休憩入るんだよね。


だったら、その時間帯に会うのは どう?
いけない?】

No.13 10/03/06 00:16
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 12 ‥これで、話は決まった。
リンレイの気が変わらぬ内に さっさと待ち合わせ場所・時間を設定したのだ。


日程近くになって、断られる可能性も有るが そんな事を言っていたらキリが無い。


だからチャールズは、来るべき日が来るまで待った。



******


当日。

休憩時間と共に、会社を離れて車を走らせた。


約40分弱の所にある、待ち合わせ場所へ。



大きな噴水広場。
側の駐車場に停め、歩みを進めて行くと まばらな人並みの中 噴水のヘリに座っている女の子が目に入った。



今朝、貰ったメールには チャールズが分かりやすい様に 着ていく服や髪型まで書かれて有ったので、一応 確認してみる。



‐ ‥‥‥‥ ‐


携帯画面と女の子を、何度も見比べた後 どんどん足早に近付く。



「失礼ですが、リンレイ・ファームさんですか?」


そう声を掛けた。


「はい。そうです。
チャールズ・スミスさんですよね?」


彼女も聞き返し、彼が頷くと リンレイは笑顔を向けた。

No.14 10/03/06 00:33
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 13 ‥「こんにちわ!
会えて凄く嬉しいです」

以前 見た携帯での写真よりも、ずっとずっと可愛い子。


身長は、想像していたより小柄だったが チャールズの好みでも有った。

髪も長くて、綺麗なブロンドヘアーに毛先を巻いていて‥リンレイの魅力を引き出している様に思えたのだ。



外見だけでも、より一層 惹かれ その後に約束通り カフェでのティータイムで会話をした時も、彼女は メールで受けていた印象と全く変わらなくて、とても楽しい時間を過ごせた。



会社へ戻る時間が近付く頃、チャールズはリンレイに また誘いの言葉を掛ける。



答えは “イエス”



彼女と一緒に居る時は



ナンシーの事も



シャロンの事も



頭に無かった。

No.15 10/03/08 10:52
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 14 ‥こうして、リンレイと会うのは 大体週1程度。
たまに彼女の仕事の都合で、2週間に1度くらいとなった。



会って話せば、話す程
彼女は 内面的な所も外見も両方 魅力を増してる気がしていたのだ。



その内に、チャールズは 10歳も年下で 20歳のリンレイの素肌の感触を、楽しみたくなった。


最初の頃よりも、その気持ちは増大して行き


“あわよくば‥”

な思いが立ち込め出したのだ。



悪魔か天使か‥


誰かが、彼の願いに微笑みかけて



それを叶える日が来たのである。

No.16 10/03/08 15:48
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 15 ‥その日は、どちらとも無く そう言う方向へ話の流れになった。


そんな風になる様、チャールズが考え・考え持って行ったとも言えるが。

会社には、早退届を出した。
長年 勤めて来た職場で 欠勤も遅刻も早退も、一回も無く 仕事の能率も良い彼だった為、すんなりと受理されたのだ。



ナンシーは、家計を握っているが貰って来た給料の明細は見ない方だった。

見ているとしても、収入欄のみである。


と言うのも会社の明細の表示の仕方が、ややこしい書き方をしているからだ。

よっぽど 細かい人間じゃないと見ないであろう‥。


早退等の表示を、妻は目を通さない。


だから チャールズが、それを利用したのだ。



*******


ホテルでは、リンレイが凄く緊張しているのが、よく分かった。


初めてサイトで知り合った時も、メールをした時も 彼女は

【経験ありません】

と言っていた。


だが、彼は半信半疑でも有ったのだ。


好みは人それぞれと言えども

No.17 10/03/08 15:58
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 16 ‥リンレイは、本当に可愛い容姿をしていたし、会話の節々に、ちょこちょっと軽い感じの言葉が出ていたからだ。


しかし、もし経験あったら こんな事は言わないだろうな‥と思う言葉も有ったりで、真相は分からないままだった。



気にはなったけれど、彼女に経験あっても
無くても チャールズは結局の所 どちらでも良かったのだ。



リンレイは、あくまでも浮気‥不倫相手だったから。



たった一回きり。
関係を持てれば、それで満足。



彼は、そう考えていた。

No.18 10/03/09 13:29
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 17 ‥服を脱ぎ、シャワーを浴びる時・ベットへ入る時も リンレイは、いつもと違って恥ずかしそうに・・ぎこちなく動いていた。


その様子や、仕草だけで充分 チャールズは興奮気味になってしまったのだが、彼女を怖がらせない様な配慮は忘れない。


シーツの上で触れるリンレイの柔肌は、驚く程
艶やかで弾む様な手触りだ。


首筋もミルクの山も、沢山 吸い付いてしまう。


自分の指を、どんどん下へ這わせて行き デリケートな部分へ差し掛かった時に 彼は、リンレイが


“経験なし”


そう言っていた事が、嘘では無く 事実で有った事を知る。

No.19 10/03/10 00:26
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 18 ‥そこから先は、とても慎重に彼女の反応を伺いながら、ユックリと指で広げて行き いよいよ本番となった。



痛みを訴えながらも、自分を求めてくる若い・若いリンレイの姿。


ナンシーとは全く違う快感。


これ程までに無い濃厚な味わいを、奥深く堪能した。



******


情事を終えた後も、チャールズは リンレイと又 会いたいと思う様になる。


身体が良かった事も有るけれど、それだけじゃなくて 相手の人柄とか‥そう言った部分も、今まで以上に知りたいと感じたのだ。



ホテルからの帰り道、彼女が希望した場所まで車で送り届けた時に、チャールズの方から


「また会える?」


と訊ね、リンレイが答えた。


「奥様や子供さんにバレたりしない?
大丈夫なら、私も貴方と同じ気持ちよ」



‐ナンシー‥シャロン。家庭を捨てたくない。

だが、リンレイも手離したくない ‐



勝手だと分かっていたが 気持ちは変えられず、
彼女を繋ぎ止める為


「ああ。平気だ。
妻には愛情が無いから」

そう伝えた。

No.20 10/03/10 16:26
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 19 ‥「えっ?どうして?
仕事が終われば、真っ直ぐ家に帰って 休日には家族サービスを怠らない程、大切にしてたんじゃないの?」


リンレイが驚いて問いかける。


「それはシャロン‥子供が居るからだよ。

妻に愛情が有れば、君と関係を持とうなんて考えない。

リンレイを愛したいと思ったから、誘ったんだ


メールを始めた頃から、今日までの間 妻には貰った事の無い愛情や気持ちを、君は俺にくれた。

とても感謝しているんだよ。


子供でしか繋がっていない家庭に戻っても、心は冷たいだけだ」



嘘・半分 真実・半分って所だが、そんな言葉を彼女に向けた。



「そうだったの‥。
何も知らなくて。

私で力になれる事あったら言ってね。
頼りないけど、出来る限りの事をしたいの」


「有り難う。
いつもの様に会ってくれるだけで、充分 心が満たされるよ。


俺にはリンレイが必要なんだ」


最後の言葉が決め手となり、彼女は これまで以上にチャールズへ親密な想いを寄せる様になった

No.21 10/03/10 16:39
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 20 ‥2人で会う時間は、今までと変わらず チャールズの会社の長い休憩時間とリンレイの休みが会う時だった。


早退は、繰り返す訳に行かなかったので 休み時間を利用したのだ。


少し せわしなかったり
もしたが、それでも美味しい想いをする事が出来たし リンレイも又 チャールズから、妻よりも愛されてると思い 幸せであった。



お茶のみで済ます日も有ったし、彼女が女の子の日に当たった際には 何も出来ないので、ナンシーで欲を満たす。



そんな風な状態が続く中で、彼は 最初の頃と違いリンレイに愛情を持つ様になって行った。

No.22 10/03/10 16:56
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 21 ‥毎日、毎日が平穏で平凡な家庭。


ナンシーにも特別な不満が有る訳じゃない。


娘は可愛い。



だけど



刺激が無かったのだ。




それを与えてくれたのが リンレイ。



刺激に飽きたら、子供を引き合いにして別れるつもりだった。



だけど いつまで経っても飽きない。



知らず知らずの内に、
ナンシーとは違う魅力を持つ彼女へ 心が傾いていた様だ。



自分の気持ちを、何度も再確認してからは
1人暮らしをしているリンレイが気掛かりになった。



ナンシーなら、自分が居なくてもシャロンが居る。


でも彼女には何も無い。両親や兄弟もバラバラで、連絡先すら分からない身の上‥。



どうするべきか、彼は悩み それを一気に晴らすかの様に 妻で激しく処理をした。



でもナンシーは


“普通に”


“いつも通り”


の表情を向ける。



‐リンレイだったら、こんな時は‥‐


そんな気持ちと、スッキリした体感とが合わさり 彼は、妻に話したのだ。

No.23 10/03/10 17:06
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 22
彼女との出会いから、これまでの事を。


「最初は、遊びのつもりだった。

だけど今は違う。
本気で思ってるんだ」


と、その言葉で締めくくった。



ナンシーは、チャールズを責めたりしない。


泣く事も怒る事もしない。



ただ 夫の方に向き直り 一言を告げた。



「貴方は此処へ戻って来るわ」



薄明かりの下で




一生 忘れない程の





笑みを浮かべて。

No.24 10/03/12 12:20
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 23 ‥「何だよ。
その意味深な言葉は。


シャロンの事か?
俺が、いざとなれば子供を手離したくない!‐そう思ってると考えての事か?」


ナンシーからの発言に、チャールズが切り返す。

「さぁ‥?
どういう意味かは、これから貴方自身が身を持って体験する事。


私が 今の時点で言える事は、さっきと同じ。


“貴方は此処へ戻って来る”」


そう言うと妻は、再びベットに潜り込んだが夫には背を向けた。



そんな態度や淡々とした言い方をされても、当然だし 文句は言えない。


チャールズも頭では理解している。


しかし身勝手ながらも、気持ちとしては暖かさを求めた。


リンレイの存在が、また大きくなる。



「・・早速だけど、明日からは暫く帰らない」


とチャールズが言い、彼も またナンシーに背を向けてベットへ潜った。


自分が



‘既に’


妻からの罠に



“嵌っている事”


“陥ってる事”


にも気付かず。

No.25 10/03/15 15:45
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 24 ‥その日の夜は、なかなか寝付けない。


チャールズは


‐ナンシーもか?‐


と思ったが、背中を向けていたし確かめ様ともしなかった。


結婚当初 些細な事で喧嘩して、こんな風に互いが背中合わせのままだった時もある。


だけど、その時は いつだってチャールズが妻の顔を覗き込んだり、キスしたりして仲直りとなっていた。



‐いつから、それを しなくなったんだろう‥‐

もぅ思い出せなかった。

シャロンが産まれて、間もない時は 子育てに奔走してて喧嘩どころじゃなかったし、少し大きくなれば 仲良くしてないと泣き出す様になったのだ。


娘が居るから平穏な生活を保てているのに、娘が居る事で夫婦間の関係は冷め始めていた。


本当の所、努力や歩み寄りの問題なのだが チャールは気付いておらず、

ただ ただ



刺激の中にも安らぎを求める事しか、頭になかったのである。

No.26 10/03/15 16:04
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 25 ‥ベットから抜け出し、大きめの鞄を取って
取り敢えず、必要最低限の荷物を詰め込む。


暫くビジネスホルにでも泊まるつもりだ。


‐ナンシーから離れ、落ち着けば 今後の事もユックリ考えられる‐


と思って。




*******


・翌朝・


“いつも通り”


“普通”


の妻。


そして変わらない食卓。


全て、シャロンに不安を与えたくないと感じたナンシーの配慮。


「でね!でね!昨日、キャロライン(友達の名前)の弟がね カニさんとジャンケンして負けたんだよ。後ねぇ‥」


娘は、ペラペラペラと
よく喋っていて 何も知らず朝から賑やかだった。



「あっ!パパ。
おはよう。
見て見て!ママがね、パンに ジャムで猫さんの
お顔を書いてくれたのよ。
ブタさんみたいだけど、猫さんよ。
食べ過ぎたのかなぁ」


と食パンを見せて来た。

「パパ‥?」


いつもなら、返事を返してくれるのに 今日は無い。

No.27 10/03/15 16:19
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 26 ‥今になって、心苦しくなり シャロンの目を見る事も出来なくて 出されたコーヒーでサラダを流し込み、さっさと支度を済ませて玄関へと向かった。



いつもとは違う父親の気配。


そして、不穏な空気。



シャロンは チャールズを追いかけた。



「パパ!パパ!待って。
何処に行くの!?」



会社だと分かっているのに、どうしてか不安になる。



“行ってきます”


の言葉も無い。



「ねっねっ!
今日はね、お絵かきして遊ぶのっ。
パパのお顔も書くから、見てね」


そう言っても答えない。


振り返りもせず、家を出て行った。



訳が分からず 大声で泣く小さな娘・シャロン。

ナンシーが側に来て、娘を暖かく抱き締めて



「泣かなくて良いのよ。シャロン。
パパは、必ず帰って来るわ」



と微笑を称えながら、宥めた。

No.28 10/03/15 16:26
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 27


我が身の快楽の為だけに


道徳心から道を外し




それを



刺激だの、何だのと言ってのけ



“正当化”


したチャールズ。



最終的に、シャロンを傷つける事にも気付かなかったチャールズ。




ナンシーの企てた計画。




【復讐】



の扉は



完全に





開いた。

No.29 10/03/15 22:40
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 28 ‥** 午後 **


午前中は、いつもの倍
仕事に集中して精を出した。


そうしていれば、シャロンの声を思い出さずに済む。


あの時、振り返っていたら決心が鈍る。


そんな事になればナンシーの思う壺で‥


ちゃちな大人気ない、プライドが邪魔をしてチャールズは、自分の器の小ささを感じながらも家を後にしたのだ。



そして、午後の休憩に入った。



今日は、愛を深める日。


車に乗り いつもの場所へリンレイを迎えに行く。

No.30 10/03/16 07:50
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 29 ‥待ち合わせ場所に着くと、リンレイが駆け寄り 車に乗った。


「どうかした?」


様子を伺う感じで、彼女が訊ねる。


「‥家を出たんだ。
まだ離婚までには至ってないけど、それも時間の問題だな」


そう言った事も嘘じゃない。


しかし、もう一つの気持ち・シャロンの事は話さなかった。



愛情の有無は別として、離婚してない限り


リンレイは不倫相手。


関係を持っている男の家族‥妻や子供‥の話なんて聞きたくないだろう。

もし、それが良くない事(愚痴や不満・悪口)なら耳を傾けると思うが。


妻とは別れても良いけど、子供とは離れたくないし リンレイとも続けて行きたい。



流石に 此処までの事は
言えやしない。

No.31 10/03/16 08:11
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 30 ‥「それで、これから
どうするつもりなの?」

少し間を置いて、リンレイが口を開いた。


「今日は、取り敢えず仕事が終わったらビジネスホテルに泊まって 今後の事を考えるよ」


チャールズが答える。



「・・それなら、私の所に来ない?

そんな立派なマンションでも無いけど、ホテルの様にチェック・アウトを気にしなくても良いんだから」


その言葉を皮切りに、リンレイとチャールズの会話・雰囲気・そして、双方の合意の元 同棲が決まったのだ。



それから2人は、予定していた通り この時間を利用してラブホテルへと向かった。



‐今夜から、一緒に過ごせる‐


チャールズもリンレイも同じ気持ち。


しかし その反面


‐口約束かも知れない‐

これも2人同様に思っていた。




もしかしたら、今日が最後になる可能性が有る為 忘れられない様な、甘美な時間を過ごす事にしたのだ。

No.32 10/03/16 21:37
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 31 ‥事を終えて、2人は
夜に会う時間を決めた。

チャールズは、リンレイの家を大体でしか知らなかった為 道案内をして貰う事にしたのである。


*******


その後、仕事に戻り 再び勤務に集中する。


何かに没頭して無いと、直ぐ 娘の姿を思い出してしまうのだ。



そして、リンレイは自宅に帰り チャールズが泊まれる様に掃除をして、消耗品や必要な物を買い足しに行ったが、ついつい携帯へ気が向いてしまう。


一緒に暮らす事のキャンセルをされるのでは無いかと。


‐仕事中だから、メールや電話なんて出来ない。私もバイト中は同じ‐


そう思う事で、準備に取り掛かるものの


どうしても感じてしまう。


‐ 一言で良いから、言葉が欲しい。
安心出来る言葉を。‐



彼女は、もうチャールズに“ 愛されてる ”と思っていた。


間違いでは無いけれど、彼にとっての「一番」は 子供‥シャロン‥で有るなんて考えて無かったのだ。


『家を出た』のは、妻と子供に未練が無いから!


と判断していたから。

No.33 10/03/17 16:17
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 32 ‥愛されてると思っているなら、何も不安になる事は無い。


それなのに、不安になってしまう矛盾に気持ちが悶々としていた。



気を紛らわせながらの掃除と買い物を終えた頃には、夕暮れ時となっていて リンレイは夕食の支度を始めた。


レストラン並みの食事は作れないけれど、出来るだけチャールズの好みに合わせた料理を



精一杯 頑張って作る。



彼の為に。

No.34 10/03/17 16:24
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 33 ‥テーブルをセッティングして、後はチャールズが来たら 食事を温め直せば良い様にしておいた。



暫くしてからメールの着信が鳴り、リンレイは携帯を開く。


【予定通りの時間、待ち合わせ場所へ行けそうだよ。会えるのを楽しみにしている】


何気ない内容。


特別な言葉は含まれて無いが、好きな人からのメールに彼女は 心が弾んだ。


早速 返事を入れて、待ち合わせ場所へ。


約束通りの時間に彼が来て、2人でリンレイの住むマンションへと向かった。

No.35 10/03/17 16:40
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 34 ‥ * 夕食 *


リンレイのマンションは、彼女が口にしていたより 遥かに広くて大きい所だった。



「お料理を温め直してる間、ホットドリンクでも飲んで楽にしててね」



手際良く飲み物の用意をして、チャールズに差し出す。


「これって自分で作ったオリジナル・ドリンク?

初めて嗅ぐ良い香りだ」

と彼が言う。


「そうよ。ミルクと合わせて‥美味しくないかも知れないけど」


その言葉を聞きながら、チャールズは ドリンクを飲んだ。


「凄く美味しいよ。ありがとう」


と御礼を述べると、リンレイはホッとして キッチンへ向かった。



しかし その数秒後
チャールズは、何となく胃に不快感を感じる


だが 我慢出来ない程じゃないし、直ぐ治りそうだったから黙っていた。


「お待たせ‐」


リンレイお手製の食事が並べられる。



どれも これも良い香りが立ちこめ、胃の不快感なぞ忘れてしまう位だ。

「頂きます」


彼は、お肉を口にする。


好みの味付けで、最高なのに


胃が受け付け様とせず、苦しい感覚が身体を巡る。

No.36 10/03/17 19:09
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 35 ‥「口に合わない?」

なかなか食が進まないのを見て、リンレイは訊ねた。


「いや。そんな事ないよ。ナンシー‥妻が作る料理は、いつも辛くも無ければ甘くもない平凡な味つけばかりだから、家庭で しっかり味の染み込んだ手料理を食べたのは初めてなんだ。


それでビックリしただけだから」


そう言って、一気に出された食事を口にしては、何度か 飲み物で流し込んだ。


「ありがとう。リンレイ。とても美味しかった。また食べたくなる位だよ」


と食後に御礼を述べる。

「さっきは、要るのか要らないのか分からない程、ちまちま食べてたのに 今度は 誰かに盗られるかの様に、急いで食べる貴方の姿の方が驚きよ。

でも気に入って貰えたのなら良かった」


ナンシーの様に、冷笑などせず リンレイは温かな笑みを浮かべて話した。


「全部 俺の好きな味付けばかりだったし、嬉しかった。


え‥と。トイレを借りたいんだけど 何処にある?」


とチャールズ。


胸やけがして仕方ない。


「此処を出て、直ぐ右の扉にあるわ」



その声と、ほぼ同時に立ち上がり 御手洗いへと足早に向かった。

No.37 10/03/17 19:18
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 36 ‥御手洗いの中で、音が響かない様にしてチャールズは、胃の中身を出そうとしたのだが 一滴も出て来ない。


気分が悪くて、悪くて
堪らなくなり そこを出てから、自分の持って来た手荷物の方に行った。

ボストンバックの内側のポケットには、幾つかの薬が入っている。


吐き気止め(胃薬)を取り出して口に含み、職場で飲んでいたミネラルウォーターの余りで(ペットボトル)飲み込んだ。


‐ これで暫くしたら、治まる筈だ ‐



‐ 胃腸は至って丈夫なのに、こんな事は初めてだ ‐



色々と思いながら、再びリンレイが居る場所へと戻る。

No.38 10/03/23 14:31
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 37 ‥「顔色、悪い様だけど大丈夫?」


リンレイが駆け寄って来た。


「有り難う。平気だよ」

と答えたが、彼女は心配気に見て こう話す。


「色々あって疲れが出たのかも知れないね。

今夜は、早目に休んだ方が良いわ」


そう言って、彼にシャワーを貸し ベッドルームに案内した。

No.39 10/03/23 22:33
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 38 ‥リンレイが使っているベッドは、セミダブルだった。


「ナンシーさんと貴方が夫婦で使ってるベッドより、小さいと思うけど‥御免なさいね」


と彼女が、布団に入ったチャールズに言葉を掛けた。


「いや‥。
大きさなんて関係ないよ。

ダブル(ベット)で有ろうが無かろうが、必要なのは互いの愛情だ。


ナンシーとは、その大事な事が薄れ行き もぅ何も無い。冷めたものだよ」


彼は、リンレイに そう答える。



まるで、ナンシーとは
夜の生活が全く無かったかの様な口調。


ニュアンスで‥。



本当は、愛情の有無は別として 妻との間で、その行為は有ったのに。



此処まで来て、リンレイとの関係を壊したく無かった為 つい、そんな言葉を口にしたのである。

No.40 10/03/23 22:57
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 39 ‥「俺にとってリンレイは、特別な存在だ」


“特別な存在”


そう言われて、彼女は
とても嬉しい気持ちになる。


奥さんより、子供よりも自分が特別で有る事に。


‐チャールズが、こんなに愛情を求めていたのに 何にもして上げないなんて!


私が、妻だったら寂しい思いなんか させない。


世間では、不倫や浮気を下劣に扱うけど そんな風にさせてしまう方が悪いのよ ‐


リンレイは、そう考えた。


そして こんな風にも思ったのだ。



‐好きになった人が、たまたま既婚者だったダケよ‥‐

No.41 10/03/23 23:12
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 40 ‥「お休みなさい。
チャールズ。ゆっくり休んでね」


そっとキスをしてから、リンレイが部屋を出て行った。



ベッドルームには、とても良い香りが漂っている。


芳香剤なのか、それとも 棚に飾ってある花々の香りか‥
チャールズには分からなかったが。



ナンシーは、花を飾る事もしなかったし 芳香剤も無臭タイプを使っていたから、リンレイの部屋が とても新鮮で、また
心地良く感じていた。



目を閉じて、寝返りを打つ様に 体を横にした途端


彼は妙に息苦しさを感じ始める。

No.42 10/03/27 01:51
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 41 ‥それは、どんどん酷くなりチャールズはベッドから飛び降りる様にして 窓に駆け寄った。


部屋の扉よりも、一番近い場所に有った為 よろけながらも そこに着くと鍵を開けて、空気を吸ったのだ。


最初は、息苦しさに伴って息切れをしていたが夜風に包まれてる内に 落ち着きを取り戻す。



普段なら寒く感じる空気も、今は とても気持ちが良かったし夜景も綺麗で暫くの間 窓の外を眺めていた。



そして、少しだけ自分の事を振り返ってみる。



‐ ナンシーは、俺が家に戻って来る‥とか言ってたな。でも、その家を出て行く事に反対はしなかった。


リンレイと関係を持ち、同棲する事となったのも 別段、強引に迫った訳じゃなく 押しかけた訳じゃない。

合意の上だ ‐



人の道を外している事は分かっていたが、罪の意識から逃れる為 そう考え 気持ちを誤魔化した挙げ句・遂には



‐ナンシーさえ、刺激を与えてくれれば良かったんだ ‐



責任転嫁マデし出した。


‐悪いのは自分じゃない‐


時と共に、そんな心境に変貌して行く

No.43 10/03/27 19:26
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 42 ‥ = その頃 =


チャールズの娘・シャロンは父親の帰りを待っていた。


いつもなら、もぅベットに入り ナンシーに寝かし付けられている時間なのだが、今日は部屋へ行こうともしない。


「パパが帰って来るまで、起きてゆ(る)!!」


と言いリビングのソファーから頑として動かなかった。


朝、チャールズが無意識に放っていた不穏な空気を忘れられずに居るのだ。



「シャロン‥。パパはね 今夜、とても楽しい場所で お泊まりしてるのよ」



ナンシーが、娘を抱き上げる。


日本では 子供が幼い間、親と同じ部屋で寝る事が殆どだけど 海外では
赤ちゃんの頃から別室が主流。



彼女の家庭でも同様だ。


「今日は、一人でネンネじゃなくてママと寝ようか?


‥パパが帰って来るまでね」



その言葉に、気持ちが少し変わったのかシャロンは大喜び。


「うん!
ママと一緒にネンネする‐!!

パパの代わりに、なっちぇ(なって)あげるねぇ」


そう言い、母親に抱きついた



‥‥‥‥。

No.44 10/03/31 18:13
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 43 ‥「ねぇ。ねぇ。ママ!パパが、お泊まりしてる楽し‐い所って どんな所??」


ナンシーに甘えながら、シャロンが訊ねる。


「さぁね。それは、ママにも分からないわ。


でも、きっと家に帰って来るから。待ちましょうね」


小さな娘の頭を撫でながら話す。


その時、シャロンは母親が うっすら涙目になったのを見た。



まだ3歳で有るが、父・チャールズよりも母・ナンシーの方が強い!


と言う事は分かっていた。



強くて、怒ると怖い母親。
今まで そんな瞳を見た事なんて無かった為、シャロンは驚いたのだ。



「ママぁ。どちたの?
(どうしたの?)」



そう声を掛ける。



「何でも無いわ。
ママは大丈夫だからね。さぁ。シャロン。もう寝なさい。
ネンネの時間は、とっくに過ぎてるのよ」


と言い、娘を抱き寄せた時には いつものナンシーの表情に戻っていた。


シャロンは、こんな時どう言えば良いのか全く分からない。



凄く凄く困ったけれど、頭を振り絞って こう伝えた。


「ママ大好きよ」

No.45 10/03/31 18:39
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 44 ‥ = 不倫部屋 =


自宅が、そんな光景になっている事など考えもせず、チャールズは未だに窓の外を眺めていた。



「何してるの?」



リンレイが部屋のドアを開けて聞いて来る。



「ちょっと、外気に当たりたくてね。
勝手に窓を開けて悪かった」


チャールズは、彼女の部屋が息苦しいとは言えず そう伝えたので有る。



「謝らないで。
私の部屋は、今日から貴方の部屋でも有るの。
自由に使ってね」


文句も言わず、笑顔を向けるリンレイに彼は心が和んだ。


「ありがとう。
でも、もう閉めるよ。

夜景も綺麗だけど‥君を見てる方が良い」


窓を閉めた後、チャールズがリンレイを抱き締めた。



何処にでも有る様な室内が、心地良い空間になる。



「ずっと一緒に居たい」

自然に言葉が漏れ、それに応える様な彼からのキス。



‐チャールズは、きっと離婚して私の所へ来てくれる ‐


それがリンレイの気持ち。


不倫=不道徳。
最初は理解していたのに、彼と過ごす内


好きな人と一緒に過ごしたいのは自然な感情‥。

純愛に似ている‥。


そんな解釈をする様になった。

No.46 10/03/31 21:43
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 45 ‥「・・私、シャワーを浴びて来るね」


舌を絡めた濃厚なキスを何度か交わした後、リンレイが そう話してクローゼットからパジャマを取り出し、部屋を出て行く。



チャールズは側に有ったソファーに座り、こんな事を考えていた。



‐夫婦愛に恵まれていないと思っていたが、なかなか運は良い方だな。


リンレイは、俺が家庭持ちだと知りながらも愛情と刺激を与えてくれる。

若いし、全てにおいて魅力的だ。


ナンシーは俺と別れない気でいる。


まぁシャロンが居るからだろうけどな。


どちらにしろ、自分には帰る場所は確保されてるんだ。


“家庭”か“不倫相手の場所”か‐‐。



俺も、まだまだ捨てたモンじゃない‐



そう思えば、気が楽になる。

No.47 10/04/01 16:25
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 46 ‥一方、シャワーを浴び終えたリンレイは部屋へ行く前に、リビングへ向かい自分の鞄から携帯を取り出す。


友達からのメール。

通販の広告メール。

芸能ニュース。


それぞれをチェックした後、サイトへアクセスする。


サイトとは、チャールズと知り合うキッカケとなった、あの掲示板だ。


彼とデートをして肌を重ねる様になってからも、此処を訪れていたが投稿はしていない。


専ら見ているだけの事。


今も同じ様に読んで行くと、不倫に悩む女性からの投稿が有った。



《‥‥先が見えません。でも彼とは別れたく無い。不安と相手を好きな気持ちに、挟まれています。どうすれば良いのでしょう》



それに対しての回答の殆どが『別れ』を促していた。


〔奥さんが可哀想〕


〔彼に子供は居るの?
その子の事、考えた時ある?〕


〔本当に相手が貴女を、想ってるなら奥さんとの離婚を進めてる筈〕


〔あ‐あ!遊ばれてるのも知らず、何を言ってんだか〕

No.48 10/04/01 16:54
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 47
〔大体、不倫なんてする奴は

・自己中心的

・妙に自信を持っている
・わがまま

・常に自分が正しいと思っている。

・人と何処かズレているが、それに気付いていない


‥‥〕



その他にも類似た事が書かれて有り、投稿者を慰めて励ます回答は、指で数えられる程しか無い。


リンレイは、自分自身に直接 言われてる言葉じゃ無いと分かっていても 気分が悪かった。



‐不倫を経験した事の無い人に(投稿者も)これだけの言葉を吐かれたく無いでしょうね!!


経験した者にしか分からない感情。愛情の深さ。想い‥。


“恋愛”なら誰もが応援してくれる。


同じ心境でも、それが
“不倫”になれば、大部分の人が冷たくなる。


‥その考え方の方が理解出来ないわ!


人を好きになる気持ちは一緒なのに ‐



そう心の中で思った。



携帯を閉じて、再び鞄を探り 小袋を取り出す。



買い物のついでに購入したナイト・コロン。



ほのかに香る甘い誘惑。

時間の経過と共に、匂いが変化するコロン。


最後は激情の香りが漂う。



それを首筋に付けて、彼の元へ向かった。

No.49 10/04/03 00:26
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 48 ‥真っ白なワンピース型のパジャマに身を包んだリンレイが、チャールズの側にやって来た。


近寄ると滑らかな体の線が、うっすら透けて見える。



彼は その上からシャワーを浴びさせたい心境になりながら、彼女を引き寄せた。



キスをしながら胸元のボタンを外す。


そこから手を滑り込まして、豊かなミルクの山を触り 舌先で飲み口を転がし‥綺麗な足を撫で付け、デリケートに有る豆を刺激しつつ リンレイの反応を見て、チャールズは自分のモノを入れて行く。



ホテルの時も、今も 彼は彼女の着ている衣類全てを脱がさない。


ショーツは仕方ないが、それ以外の部分は 乱れた状態のまま残すのだ。


最中の間、リンレイは思う。


‐・・今まで一緒に居られる事が幸せだったから、深く考えて無かったけれど、チャールズはナンシーさんとも こんなプレイ的(?)な事をしてたのかしら‥? ‐



そんな思いと同時に、突かれ続け 思考が定かで無くなりかけた。

No.50 10/04/03 00:51
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 49 ‥それでも、頂点に達する前に感じた思いは 根強く残る事となる。



‐そんなの嫌だわ!
私以外の女と同じ事を、して欲しく無い。


チャールズは、ナンシーさんより子供よりも私を選んでくれた。



この人を癒やし励ませるのは、私よ!


家庭じゃない!!
戻らせたくない!!


誰にだって、幸せになる権利は有るのよ! ‐


と・・・。




対するチャールズは、家庭の事も不倫愛の事も‥何も考えて無かった。


ただ ただ、リンレイの身体に溺れていたダケ。


彼女から放たれたコロンの香りは、最初から最後まで彼を誘惑。



‥‥‥



事が済み、チャールズは爽快感を味わった時だった。


風邪でも引いたかの様に咳が出だしたのだ。



一旦 出ると、なかなか止まらない。



「大丈夫!?
待ってて。今お水でも持って来るから」


リンレイは急いで部屋を出て行く。



それから彼女が戻ってくる迄の僅かな間、少し治まった時も有るが また直ぐに咳込んだ。



一晩中、その状態は続いく。
置き薬の咳止めを貰っても同じ。




チャールズは苦しみ続けた。

ずっと‥

  • << 51 ‥結局、その日の夜は自分の咳で寝付く事も出来ず 翌朝 リンレイが用意した食事にも手が付けられない程だった。 「今日ぐらい会社を休んだら? そんなに咳込んでたら、仕事にならないでしょう? 私も今日はバイト休みだし」 彼の身体を心配する気持ちも勿論あったけれど、チャールズが休めば一日中一緒に居られる‥そんな思惑も、少なからず有った。 「そうしたいけど、こんな日に限って大事な会議が入ってるんだ。 だから行って来るよ」 そう言って身支度を整え、彼は出勤する。
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