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千尋( 40代 ♀ BO8Jh )
10/02/04 07:09(更新日時)

(父遍:単略)
父は知能障害を持って生まれました。昔の典型的な長男が1番という家に次男として生まれ親に疎まれ若い時はよく家出をしたそうです。それでも父の稼ぐお金は妹達の学費や生活費に無くてはならないもので家出する度に連れ戻されたようです。

No.1220293 10/01/12 15:01(スレ作成日時)

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No.101 10/01/16 13:35
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

マサは体の調子が悪いと言っては店を休み美久を連れて夜の町をうろついた。スナックから多額のツケの請求書が送られて来る様になった。マサは見栄っ張りで計画性の無い人間だったから電気製品などローンを組んではキャンセルしたり質屋に持ち込んだりした。借金取りが訪ねて来るようになった。今日は来そうだなという日はマサはパチンコだと言っては家を留守にした。鉄の扉をドンドン叩き「奥さん❗居るんでしょ❗わかってますよ❗開けてください❗」と言葉は丁寧だが毎日毎日来られた。借金取りだって仕事である。貸したお金が返って来ないでは怒るのも無理はない。

No.102 10/01/16 13:42
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

1才を過ぎた美久は片言ながらお喋りをするようになった。物覚えの良い利口な子だった。その頃、電話に興味をもって電話がなると「もしもし?」と出てしまうのだ。借金取りは帰らない。ドアの前で粘る。私は美久を抱いてうずくまる。「もぅ、嫌❗」私の中で何かが弾けた。私が稼いでもマサが夜の町で使うお金とパチンコで使われてしまって義母からは千尋の家計の仕方が悪いと叱られ凹むだけ凹んだ。お水をやればどの位稼げるかも学習した。私は19才になっていた。

No.103 10/01/16 13:53
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

私は美久を連れて実家に帰る事にした。バスを降りて実家までは歩いて40分かかる。私の家の辺りまでバスは通っていなかった。美久を抱いたりおんぶしたりしながら長い距離を歩いて帰った。帰った私に父母は何も言わなかった。良いとも悪いとも何も言わなかった。夜、パチンコから帰ったマサが「出て行きます」と書いた私の手紙を見て激怒して電話をかけてきた。電話をとった母はアッサリと「千尋?ここに居るよ」と言った。長く歩いた道程も車だと早い。怒り狂ったマサが怒鳴り込んで来た。「帰らない」と頑張る私を親の前で引きずり倒した。「あれあれ。そんなにせんでも」と言う母に「関係ないもんは黙っとれ」で終わってしまった。私は力ずくで引き戻されてしまった。

No.104 10/01/16 15:00
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

私はもう殺されてもマサとは口をきかない。と決めた。黙々と家事育児をこなし夜は美久を託児所に預けて店に出た。そんな日が幾日か過ぎた頃マサが「千尋は育児ノイローゼになってるんじゃないか?2~3日美久を連れて実家に帰ってゆっくりしたら?」と言い出した。初めての譲歩である。私はその言葉通り美久を連れてサッサと実家に帰った。この時はマサが車で家まで送ってくれた。とにかく2~3日頭を冷やせる。……筈だった。

No.105 10/01/16 15:25
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

たった一泊しただけでマサから電話がかかってきた。理由も何も無し。とにかく帰れと。マサは電話を切るとすぐに迎えに来た。また大声を出されたりも近所の手前恥ずかしいのもあって仕方なく帰る事にした。家に帰ったけど何となく違和感がある。女の勘ってやつかも知れない。私と美久を連れて帰って安心したのかマサはビールを飲みながらマンガを読み出した。私は家の中をぐるりと一周した。ベッドシーツがはがされて洗濯機の中に放り込まれていた。普段からそんな事に気を使う男ではない。もしや?と思ってゴミ箱をひっくり返すと使用済みのコンドームが見つかった。私は前日のゴミをゴミ箱に残したまま眠る事はしない。外で遊ぶ分には割り切っていたが夫婦の寝室に女を連れ込み性交渉をした事がどうしても許せなかった。それも私の為と嘘ぶいて実家に帰らせての浮気だ。これはマサもやり過ぎだ。

No.106 10/01/16 15:30
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

「貴方、私達のベッドに女の人を連れ込んだわね」とだけ言って兄さんの家に行った。「今回ばかりは目を潰れない。もう限界。離婚する」私が初めて離婚を口にした。いつかは来る日だった。ほんの短い時に色々な事があり過ぎて1年がやたらと長い。その間に兄さんは彼女と結婚式を挙げキチンとした家庭という形を取っていた。義母は「千尋も結婚式を挙げるかぃ?」と言ってくれた事もあるけれど、それは私達には無駄な事だと感じていたから角が立たない様にお断りした。どうせ別れるのに…という思いがずっとあった。大きなきっかけが掴めなかっただけ。今回のはチャンスだと思った。兄さんも兄嫁もマサも驚いた。それまでの私はマサに「でも」とか「だって」という言葉を発した事がなかった。一言いえば十になって返って来るのが嫌だったから。

No.107 10/01/16 15:40
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

新幹線を乗り継ぎ義母も帰って来た。私は義母と義母の友人夫妻、マサと兄と兄嫁に囲まれてたった一人ぼっちだった。最初は、なだめようとしていたけれど、私が折れないと知ると強く出だした。離婚するに至ってマサの車のローンが150万電気製品とか色々な物の借金が150万あったがそれを私に払えと言い出した。マサは離婚しないと言うのに千尋が一人で別れたいって言うんだから誠意を示せ!と言われた。まだ19才の私には全く知識が無かった。大人達に囲まれて法律とはそういうもんだ。とねじ込まれると、そうなにのか?と信じてしまった。それと美久は渡せない。と言われた。

No.108 10/01/16 15:53
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

私はもう心底疲れていた。もう何でもいいから自由になりたいと思った。電気製品とかの借金は私が払う。でも免許も持ってない私が車のローンを払うのはどう考えてもおかしい!とそれは断った。しかし、そのローンの連帯保証人は私の母で後にその事でも一悶着が起きる。美久の事はよくよく考えた。私に渡さないと言ったところで面倒をみる人が向うには居ない。どうせすぐ根をあげるだろうと踏んでアッサリ了解した。肩透かしをくらった感じで「では念書を書いてください」と言われて名前を書き印鑑を押した。お金の事は頭に無かった。お金は働けば稼げる。さぁ美久は?何日もつかな?かなり意地悪い気持ちになっていた。話し合いが終わると私はサッサと実家に帰った。美久は泣いてないだろうか?気にはなったがどうせ1週間ももたないから。と気持ちを奮い立たせとにかく体を休めようと決めた。ママに事情を話して暫くお休みを貰った。

No.109 10/01/16 16:05
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

1週間位は頑張ると思っていたがマサから電話があったのはたった2晩しか経っていなかった。私は笑い出したい気持ちになった。「あれから美久がずっと泣いている。お前は美久だけは離さないと言うと思っていたし、言って欲しかった」と情けない声で訴えた。とにかく美久に会いに来いと言われた。マサは思っていた以上に落ち込んでいた。「女は百人居ても女房は別だ」と常々言っていた。今まで見た事の無いマサが居た。「お前が望むようにする。俺とやり直してくれ。俺にはお前しか居ないんだ」と言われたが私はやり直す気は無かった。暫くうなだれた後でマサはこう言った。「それなら最後に1度だけ千尋を抱かせてくれ。俺の女房だったお前の最後の思い出をくれ」

No.110 10/01/16 16:16
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

何を今更…と思ったがマサの余りの消沈ぶりに遂、魔が差した。私は野良犬に餌を投げ捨てるような気持ちでマサの好きなようにさせた。暫くすると待ち合わせていた様に兄夫婦がやってきた。「千尋も強情張らずにマサとやり直せ。美久が片親になるのが可哀相だと思わないのか?」と持ち掛けてきた。「もう済んだ話。念書も書いた」と言うと、マサが逆上しだして自分の言ったセリフをスッカリ忘れたかの様に「そしたら、やり直す気持ちが少しも無いのに俺にだかれたんか!お前は淫乱か」と悪態を突いた。これにはショックを受けた。私は美久を連れてママの家に向かった。

No.111 10/01/16 16:26
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

ママは大体の事を把握していた。私の親がちっとも役に立たない事も知っていた。ママが私にひとつの提案をした。もう行く所が無いならいっその事遠くに行くのはどうだろう?ママの弟が神奈川に居るからそこで住み込み出来る店を探してみたら?と…。私はすぐにその話に乗った。ママが10万円を持たせてくれた。交通事情に疎い私を店の信用出来るお客さんが送ってくれた。住民票も移せない私が出来る仕事などあるのか?とか美久をどうしたらいいか?とか考え込んで無口になる。緊張をほぐそうとお客さんが色々と話しかけてくれるが上の空で引きつった笑顔を作るのが精一杯だった。

No.112 10/01/16 16:33
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

ママの弟さんはとても気安い人で安心した。夜中、店が終わった頃にママに電話をしようとしたが極度の緊張からか指がキチンとダイヤルを回せなかった。その夜は電話をする事を諦めた。翌日ママから電話がかかってきた。私が家を出て美久の手をひいて駅に行くのを見たっていう人が居てマサが必死で捜しているようだけど何も聞いてないで通すからね。という内容だった。

No.113 10/01/16 16:51
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

地理に疎い私の為に弟さんがつきっきりで役所や職場を回ってくれた。福祉の方へも相談に行った。でも1才の子供がいる余所者の私に仕事はすぐには見付からなかった。1件住み込みOKのスナックがあったが私一人で店をやれ。という話で前のママはシャブ中で捕まって店を閉めたとか物騒な話まで出てきて私は震え上がってしまった。ここは田舎とは違うんだ。と実感した。そうして思わぬ時間を食っている間に田舎では大騒ぎになっていた。

No.114 10/02/04 01:43
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

マサが実家に毎日押しかけ怒鳴っているという。実家に電話をいれると母が出て「もうお前のせいで困っている。お前も大人なんだから自分のやった事の後始末をしに帰って来い」と言われた。新たな出発の筈がほんの何日かの逃避行で帰る事になった。その際に母は私を受入れる気は無いから。と国のシェルターへ私を引き渡した。

No.115 10/02/04 01:51
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

そこは夫の暴力から逃げて来た駆け込み寺のようだった。怪我をして入所してくる人、雪の降る日に赤ちゃんを連れて逃げ込んでくる人、体に煙草の火傷を沢山つけた人、色々だった。実は私も実家に帰ったところを捕えられ無理矢理マサに連れて帰られた。言葉の暴力が力任せの暴力になり家を逃げ出してシェルターに駆け込んだ時は太股にアイロンを当られて火傷をし包帯を巻いていた。

No.116 10/02/04 02:00
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

慣れない環境で緊張はしたがそこは辛い思いを共有できる人も居た。お互いに過去を話したりする事はなかったが瞳に宿る哀しみの色と言うんだろうか…カウンセラーも居た。命の危険も考慮して外出は一切禁止だった。私達は内職をしたりして時間を潰した。子供が病気になったりしたら担当の先生が付き添ってくれた。自由は無かったが安心して眠る場所が出来た。シェルターから裁判所へ月一で通った。勿論、先生が付き添ってくれた。

No.117 10/02/04 02:08
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

調停は思ったようには進まなかった。マサが別れないと言い張ったからだ。1年という月日がそこで過ぎた。私は20才になった。美久は2才。オムツが取れるか?取れないか?と言う年頃だった。親戚の大伯母さんが「たまには娘の顔を見に行きなさい」と両親を説得し時々面会に来るようになった。小遣いらしい小遣いを持たない父が私に千円札を握らせてくれた。その千円札は余りに嬉しくて使う事が出来ずに今でも私のアルバムに貼ってある。

No.118 10/02/04 02:17
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

シェルターでの生活も1年を過ぎた頃、先生からそろそろ自立してみるか?との提案があった。内職もあったり無かったりでお金が無かったので物凄く安い物件…と言っても間借りみたいな感じの部屋を探して貰って仕事を見つける事にした。その報告を親にしたら後日、大伯母さんから連絡があった。普段、言葉を余り発しない父が今回だけは絶対譲らないと言うのだと。「千尋は家の子なんだから家に帰らせる」と。私は正直言って余り気乗りしなかったが父の気持ちに負けて帰る事になった。

No.119 10/02/04 02:26
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

マサは調停に出て来なくなっていた。私は運転免許を持っていなかったので自転車で通える職場を探した。私の住んでいた田舎は元々島だったのが工業地帯で埋め立てられ繋がった場所で以前にも触れたように町に出るには自転車で1時間以上かかるのだ。たまたま知り合いが持って来た話に工業地帯の中の子会社で清掃をしてみないか?というのがあった。私はとにかく仕事をしたかった。面接に行くと「若い女の子がする仕事ではないよ?」と言われたけれど、とにかく雇って欲しいとお願いして勤めることにした。確かに姑みたいな人ばかりだった。

No.120 10/02/04 02:38
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

おばさん達は2っの派閥に別れて常にいがみ合っていた。私はどちらにも付かないように極力努力した。その中でもボス格の人が居てその人のイビリは酷かった。勿論私をターゲットにしていたのではなく誰に対しても攻撃的でその人の機嫌が悪いと昼休みでも誰一人口をきかないという具合だった。女の人なのに口が悪くて余りの言い様に私もトイレでよく泣いた。中で優しいおばさんも居て「千尋ちゃん泣いてるの?ここで辛抱出来たら何処ででもやっていけるから」って慰めになるのかならないかって言葉をかけられた。言葉はどうであれ擦ってくれた手の平の温もりは未だに忘れがたく今は80才に近いそのおばさんとは年賀状や近くに寄ったら顔を見に行く事にしている。

No.121 10/02/04 02:45
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

私が仕事に行っている間は母が美久を見てくれた。父が初めて強く言った事の中に美久を家でみるという事が含まれていた。まぁ大伯母さんの睨が効いたんだと思うけれど見てくれた事には感謝している。お金も貸してくれて車の免許も取った。美久を見てくれている御礼として休みの度にドライブを強要された。隣りの県まで走る事もあった。若かったから出来たんだと思う。

No.122 10/02/04 02:56
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

そうこうしている、ある日突然の来客があった。両親より少し若い夫婦で県の西の方の人だった。奥さんの方がとんでもない事を言い出した。頭を深々とさげ「奥さんお願いですからマサさんと別れてください」と…私は「はっ?」と言ったきり何を言われたのか理解出来なかった。話を聞いているとその夫婦は今マサと一緒に住んでいる女性の両親でその女性は妊娠していてもう赤ちゃんが生まれるそうだ。マサは両親に「千尋が別れてくれない」と話していた。その夫婦も田舎の人で素朴な感じだった。マサを入婿に迎えたいとまで言った。この来訪は私には好都合だった。離婚調停を申し込んだのはこちらの方からで別れてくれないのはマサの方だと伝えると1週間後に裁判所から連絡がきて「調停に応じる」との事でめでたく?離婚出来た。

No.123 10/02/04 03:06
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

調停員から慰謝料や養育費の話もでたがマサは仕事をしてなくて車のローンもあるので、詰るところ「無い袖は振れない」で終わってしまった。私はマサが残した150万の借金と国選弁護士への報酬を払うべく夜は従姉妹が経営している料理屋でバイトをした。朝、出掛ける時も夜、帰った時も美久は寝ていて中々スキンシップが取れなくてイライラした。休みの日のドライブも助手席には母が座るので美久とは離れている感じだし遊園地とかの乗り物も母は私と乗りたがり美久は父と乗るのが当たり前になった。なぜ今頃になって母が私を独占したがるのか訳が解らなかったた。

No.124 10/02/04 03:15
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

休みの日の夜、眠る時の美久は可愛かった。「おかぁしゃんとオテテちゅないでねんねするぅ」と嬉しそうだった。その可愛さについ私は美久に「次の休みは二人で遊園地に行こうか?」と言ってしまった。美久は大喜びした。次の休みに「ちょっと美久と買い物に行って来る」とだけ言って隣りの県の遊園地と動物園が一体になったテーマパークへ遊びに行った。その時は特別な日でパンダが来ていた。美久は私の手をずっと握っていた。乗り物にも二人で乗った。凄く凄く楽しかった。美久には「ばぁばには内緒だよ」と言っておいたが、そこは子供の事。よっぽど楽しかったのだろう。しっかり、ばぁばにおしゃべりしてしまっていた。

No.125 10/02/04 03:23
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

翌日仕事から帰ると鬼の様な顔をした母が私の帰りを待っていた。「免許を取るお金も車を買うお金を貸したのも美久と二人で遊ばせる為じゃない!どうして私を連れて行かなかった!」と延々怒り、最後には泣き出してしまった。なんなんだろう?この人は…事あるごとに「お前は美久ばかり可愛がる」って…当たり前じゃないか?と思う事を言って拗ねるようになった。母は美久に嫉妬していた。この件があってから私は母の前で美久を可愛がる素振りを見せない様に努力しなくてはいけなくなった。

No.126 10/02/04 03:31
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

そんな私が職場で怪我をした。外の草むしりをしていて例のボスの機嫌が悪く立上がる事が出来ずに足が痺れてしまって休憩時間に痺れた足のまま事務所に歩いていてひっくり返ってしまったのだ。両足を捻った。痛くて立てなかったけどボスに「この忙しい時に怪我やしてないやろな!」と怒鳴られその日は無理をして仕事を済ませた。翌日は休日出勤の日で休めない日だったが足がパンパンに腫上がり階段をお尻で降りて仕事に行こうとする私を母が見つけて会社に休みの電話をした。

No.127 10/02/04 03:41
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

休日だったので行った当番院が事故専門マンションと呼ばれる藪医者だと知るのはそう時間はかからなかった。捻挫だと言われた。通うのも大変だろうと入院を進められ1週間入院した。何やらわからない注射を毎日された。退院しても治らないので他の病院に行くと「冬だから痛むんだよ。暖かくなれば治るよ」と言われ春まで軽い作業に回してくれたがボスの嫌味は酷くなった。「お家で置いてくれるお嬢さんはええなぁ」「私ら寒いとこで冷たい水使って仕事して同じ時給かぁ?」とか…毎日言われた。もう辞めたい。

No.128 10/02/04 03:50
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

それでも折角ついた仕事だし我慢した。優遇されているのは事実だし春になると治ると信じていた。治らない…また病院を替えてみた。比較的大きな総合病院「筋をやってるみたいなぁ。うちでは治せないよ」と言われた。慌てて国立病院に行くと足を触るなり「こりゃ筋切れてるよ。足首ぷらぷらや。痛かったやろ?切れた物は繋がないと治らないよ」と言われベッドが開いたら即、手術が決まった。両足なので片足ずつ時期をずらして2回の手術が必要だった。

No.129 10/02/04 03:59
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

ここでとった母の態度は凄かった。会社にバンバン電話して「会社内での事故だから労災!」一歩も引かなかった。そのやりとりの内容は私はわからないんだけれど後で「あんたって里子?」とか「本当の親?」とか妙な事を言われた。初めての手術は怖かった。病院は3っ離れた町だったので母は「そういう病院は完全介護やろ?私が行っても何もできんしな」と言って本当に来なかった。私はたった一人で手術室に行く事になった。後に心無い看護士さんに「貴方は孤児?」と聞かれたりした。

No.130 10/02/04 04:10
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

麻酔がきれると足がザクザク痛んだ。心細さと情なさで泣けて来た。23才だった。美久に会いたかった。毎日電話した。美久の声を聞くと余計に会いたくなった。美久も同じだろう。手術から半月が経った頃、父と美久が病院にやってきた。父が美久を自転車の後ろに乗せて、病院を道行く人にたずねながら来たのだと言う。幼いながらも凄い冒険だったのだろう。娘は27才になった今でも昨日の事の様に言う。片道3時間で来れるだろうか?イヤもっとかかるだろう。この時程、父親の愛情を感じた事はない。感無量だった。美久は私の車椅子を押したがり売店に行ったり庭に出たりして嬉しそうにしていた。その分別れの時間が切なかった。

No.131 10/02/04 04:25
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

1度会うと会えない事に耐えられなくなり私は地元のタクシー会社に電話をしてこれから美久達が病院に来る往復の運賃は私に請求して欲しいと伝えて了解を得た。早速家に電話をして「タクシー料金は私が払うから美久を時々連れて来て」とお願いした。両親は美久を連れて時々面会に来るようになったがその前に病院とは反対側の町に寄って買い物をするという訳のわからない行動をした。同じ系列のスーパーが病院の近くにあるのに、母は変なところにこだわっていて同じスーパーでしか買い物をしない。買い物のついでに病院に来るという感じだ。タクシーは下で待たせておいてそそくさと帰る。母は人を信用しない人なのでタクシーに買い物をした荷物を積んだままにしていると運転手に盗られると思い込んでいるのでいつも両手一杯の荷物を持っていた。文句を言いたかったが言えば美久に会えなくなると思い我慢した。お金は働けばなんとかなる。いつもいつもそう思った。

No.132 10/02/04 04:37
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

大きな病院なのでベッドはいつまでも貸してはくれない。1ヶ月ほどでギプスと杖のまま退院となった。病院と違って家での生活は不自由だった。トイレ、階段、全てにおいて不自由だった。私が実家に帰ってからは朝御飯は仕事に行く前に作っていた。夜はそのままバイトに行くので母にお願いしていた。ギプスで杖の生活は結構大変だったのでつい甘えた考えをして夕方、横になっていると母が部屋に怒鳴り込んで来た。「子が腹すかせて泣きよるが!はよ、晩御飯の仕度せぃ」…こんな時くらい助けてくれるかと期待した自分が悪いんだけど台所で杖をついて片足で包丁を持ちながら悲しくて涙が止まらなかった。腕を動かすから杖が倒れてそれを拾うのも大変で本当に情けなかった。

No.133 10/02/04 04:47
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

そんな私が初めて恋をした。病院に通う内に仲良くなった男性、哲哉さん。私よりずっと年上で落ち着いていて三浦友和に似た爽やかな男性だった。私は強烈な勢いで彼に惹かれて恋に恋した。止めるに止められない流れに呑まれたようだった。一目ぼれだった。彼の笑顔も声も仕草も全てを好んだ。彼からのデートの誘いに迷う事なくOKした。

No.134 10/02/04 04:53
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

彼はアチコチと私をドライブに誘っては楽しませてくれた。優しさに餓えていた私は彼の腕にすがった。薔薇色に染まる24才の私は美しかった。足を痛めている私を砂浜でお姫様抱っこしてくれたり私も後ろから彼に抱き付いたりドラマのような恋に夢中になった。だって初めての恋愛ですもの。舞い上がってしまいました。

No.135 10/02/04 04:59
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

でもこの恋はあってはならない恋でした。そんなに素敵な彼ですもの。彼に奥さんがいて子供も2人いる事を知らされた時にはもう引き返せない状態になっていました。麻薬中毒の患者のように私は彼を求めました。彼も私という新しい刺激に夢中だったのは間違いありません。

No.136 10/02/04 05:14
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

母は私にかかってきた電話でも相手が男性だと「留守だ」と言って切ってしまう人でした。子供の頃から私に来た手紙も中身を読んで渡してくれました。内容が気に入らないと勝手に捨てたりしていました。それは美久が大人になってから渡そうと思っていたお宮参りの両親が揃ったたった一枚の写真を勝手に捨てられた事からもわかるようにとにかく私を独占する事に躍起になっていました。

No.137 10/02/04 05:27
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

私は親子電話を部屋にひきました。会えなくてもせめて電話で話がしたかったからです。当時は携帯電話が無かったので彼も公衆電話を探して寒い夜も震えながら電話をくれました。私は彼を追い彼も私を追う毎日でした。ある夜、彼と電話で話をしていると途中でプツンと電話が切れました。後で彼に聞くと母が親子電話を切り替えて「私よ。何か話して。」と彼に言ったそうで気味が悪くなって電話を切ったそうです。

No.138 10/02/04 05:30
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

それから母は私が仕事に行っている間に部屋中を調べ私の日記帳から預金通帳まで全て見ていました。「千尋は男にお金を貢いでいるんだろう」と言われました。どうしてそこでお金の話になるのかよくわかりませんが心配の第一がそれだったようです。当時給料が7万だった私が元夫の借金に毎月5万払い残りの2万でガソリンや母を楽しませる為に使っていた(母は今でも私と出掛ける時は財布を持ってこない)のはわかっていたと思うのですが。

No.139 10/02/04 05:39
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

不倫を正当化するつもりはありませんが初めての恋に私は狂っていました。母の過干渉にうんざりして家を出ようと思い詰めました。彼も1度家に来て私の両親の前で「必ず離婚するから、交際を認めてください」と頭を下げました。この上昇気流の頂点に居た時に黙っていてくれたら今頃私は彼の奥さんになっていたかも知れません。勿論大きな痛みを負わせる事は罪悪ですけれど…母は奥さんに電話をして「お宅の旦那が家の娘を慰み物にしている。家の娘はヒヨッコで騙されている。どうしてくれるんだ」と詰め寄ったそうです。

No.140 10/02/04 05:48
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

こうなると彼の奥さんも彼の両親も放っておく訳にはいけません。私はデートから帰ったところを奥さんと彼の父親に後をつけられそのまま彼の実家に連れて行かれました。彼も家に帰ったところを電話で親に呼び出され後から彼の両親と奥さんと私が居るところにやってきました。自業自得ですけれど回り中が私に色々と聞いているところに彼が入って来たので彼も頭に血が上って私の腕を引っ張って「千尋、帰るぞ」と一言いって私を送ってくれました。私が居なくなった後で色々と話をしたようです。

No.141 10/02/04 05:58
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

私は甘えられる人が欲しかった。彼の前でだけは一人の可愛い女になれた。彼は美久の事も可愛がってくれた。美久も父親を知らないせいか彼を慕った。私はどうしてもどうしても彼を失いたくなかった。私はアパートを探した。彼の事がなくても美久は町の小学校に入れると決めていたからいいタイミングだと思った。美久は来年小学校に行く年になっていた。

No.142 10/02/04 06:04
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

アパートが決まり母に報告した。「ここで住むから」と連れて行った。「ここなら学校も近いしいいんでない?」と言って帰ったが翌日、不動産会社を調べて「家の娘に物件を貸さないでください」と電話していた。それを聞き今度は母には知らせないで引越しをしようと決めた。前のアパートを探す時に年が若くて母子という事で全く相手にしてくれなかったり嫌味を言われたりしたので今度は市会議員で不動産をやっているところに行った。同じく市会議員をしている伯父の名前を出したら1発で好条件の物件を紹介してくれた。

No.143 10/02/04 06:10
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

荷物らしい荷物もなかったので引越しは簡単に済んだ。会社の所長が軽トラを出してくれて手伝ってくれた。母は一言も口をきかなかった。父には悪い事をしたと思っている。今回の不倫騒動で私は初めて父に拳で殴られた。私は咄嗟に「どうしてもっと早く殴ってくれなかったの!」と泣いてしまった。どうしてこんな事になってしまったんだろう?と頭の中はぐるぐるしていた。

No.144 10/02/04 06:20
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

とにかく私は家を出た。母の目から逃げたかった。でもそれは今から思うとズルイ男を一人作ってしまっただけだった。私が家を出た事で自由に会えるようになった。借金も払い終わり夜のバイトも辞めた。5時に会社を終えて美久を迎えに行って買い物をして夕飯を作り彼と3人で食卓を囲んだ。彼の好きな煙草もダース買いして置いてあった。彼の仕事は不規則な時間割りだったので食事をして仕事に戻る事もあったり、そのまま3人でひっついてテレビを見たりして過ごした。小指の先でも触れていれば満足だった。

No.145 10/02/04 06:28
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

私は幸せを感じていた。こういう男の人も居るんだと思った。愛してる。と生まれて初めて感じた。美久が彼を「パパ」と呼ぶようになった。彼も自然に受けていた。3人での幸せが永遠に続くような錯覚をおこした。事実は真逆だった。私に会いたい思いが高じて進んでいた離婚話が私が家を出た為にストップしてしまった。いつでも会える。無理に離婚しなくても…子供も居るし…

No.146 10/02/04 06:37
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

彼の奥さんは辛抱強い人だった。彼より一つ年上でシッカリした人だった。短い髪には白髪が交り化粧っ気のない素顔に眼鏡をかけていて服装もポロシャツにタイトスカート、素足に白い靴下、それにスニーカー。お世辞にも美しいとか可愛いとかおしゃれとかとはかけ離れていた。素敵な彼の奥さんをイメージしていた私がガッカリする程だった。その頃は彼の薬指に私とのペアリングが入っていた。離婚は秒読みだと私は信じていた。決して「離婚して」とか「結婚して」とかは私の口からは言った事はなかった。

No.147 10/02/04 06:44
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

2人の女が何も言わない事によって彼は2っの家を行ったり来たりする生活をした。千円亭主だった彼はたまに「小遣い貸してくれ」と言うことがあった。稼ぎが少ないので1万円とかだけど返す時は何か一言いった。嫌な言葉だった。それでも好きで好きで仕方が無かったので大概の事は許した。車上荒らしにあってお金を盗まれた。嫁には言いにくいと言われてボーナスをそのまま渡した事もある。

No.148 10/02/04 06:49
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

今になって思えばちょうどボーナス時を狙った様に車上荒らしに合うのも変だな。と思う。私の目は曇ってしまっていた。淋しさと嫉妬から何度も別れを告げては泣かれ別れられなかった。長い年月が経っていた。2人には9年の歴史が出来ていた。どんなに淋しくても耐えていた。

No.149 10/02/04 06:58
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

とうとう耐えられなくて私が切れてしまった。「どんなに待っても腰にゴム紐が付いた様に最後は家に帰るんだ。私と一緒になるつもりがないのならまだ私に若さがある内に私を解放して」何が気に触ったのか彼は私の頬を平手打ちした。この人は女性に手をあげる人手はないと信じていたのでビックリしてしまいその場にへたりこんだ。「10年は待てない」私の最後の言葉だった。彼もマサと同じだった。最初は違っていたけど最後は同じ。マサの「女は女。女房は女房」という言葉が浮かんだ。

No.150 10/02/04 07:09
千尋 ( 40代 ♀ BO8Jh )

愛されたくて愛されたくてもがいた初めての恋が終わった…私は30をとうに越えていた。もう男を愛するのは止めよう。愛せば愛すだけ傷付く事を学んだ。私は職場をかえ新しい一歩を踏み出した。9年間には辛い事もあったがとてつもなく幸せな時期もあった。私の人生はここで完結してもいいと思える程の熱を持っていた。もう2度とあのような甘美な世界には入れないだろう。男性に尽くす喜びも手放した。後は美久を一人前な大人に育てる事。それ以外は人生の残りのオマケだと思った。

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