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女です。大食いすぎて悩んでます。
考え無しで発言する旦那に疲れた
義母との関わり方

山川弘美の日常

レス316 HIT数 86024 あ+ あ-

モモンガ( PZ9M )
12/05/26 20:38(更新日時)

あたしは今人生最大の崖っぷちだ



外見はめちゃくちゃダサいわけでもないがナイスバディでもない



彼氏は(当然)いないしお洒落でもない





家の中でコタツとマッタリするのが好きで黒色の長い髪は常にでこだし2つ分け




極度の近眼なのでカワイクない細い黒色のフレームの眼鏡をかけて生活をしている




家にいるときは常にピンクのプレイボーイのジャージ


ベランダにキティちゃんのサンダルだってある(しかしヤンキーではない)






ちなみに彼氏いない歴は22年
ときめいた事もない


自他ともに認める『ダサ川ダサ美』である




だってしょーがないよ
キレイになる方法もわかんないしセンスのいい友達もいないんだもん




あたしの回りにはいつも『平凡』『並』『普通』しかいない




このまま平々凡々なOL生活が続いていくかと思われたあたしの毎日を激変させたのは





一本の『眼鏡』だった



しかしこの眼鏡
そんじょそこらにあるヨン様眼鏡とはちょっと違う




『欲しいものが見える』



魔法の眼鏡だったのだ!
(^_^)v




一人で吉牛が食べれちゃう22才のちょいダサOLが魔法の眼鏡を手にしたら…?

No.1158277 08/12/03 15:07(スレ作成日時)

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No.101 09/07/28 17:10
モモンガ ( PZ9M )

『ねえねえ



その万年筆ってブルガリの限定だよね




本物?』



さえない眼鏡くんが胸ポケットから会社の手帳にささっている万年筆を取り出した




さすがまみちゃん


見てるとこが違うよ


あたしは感心しながらじゃこおろしに醤油をかけながらやり取りを見守った




『よくわからないな…



うちにあったのを持ってきたから、別に何でもよかったんだけどね』



『えっ、本物?』


まみちゃんの声がまた1タ―ブほど上がって眼鏡くんを見つめた




おいルパンはどうしたルパンは



そのやりとりに半ばトンビにあぶらげのルパンが観念したように眼鏡くんの肩に手を回した





『あきらめろ



お前に身に付いた金持ちオ―ラはそうかんたんには消えないみたいだぞ



なんでそんな高ぇ万年筆もってくんだよ

バレバレじゃんか~』



ルパンは眼鏡くんの肩をパンパン叩くと胸から取り出したタバコに火をつけた




その隣ではまみ兄が笑いをこらえた顔をしている

No.102 09/07/28 18:29
モモンガ ( PZ9M )

『うっさいな


俺はいやなんだよ、あの世界と関わるの』



眼鏡くんがブルガリの万年筆を胸ポケットにしまった



『あの~



お父様ってなにされてるんですか?』




眼鏡くんはまた携帯に目線をおとしバツが悪そうに小さなため息をついた



『こいつね、呉服屋 の若旦那



しかもおっかさんは旅館も経営してて姉さんはレストラン経営してて



いわいる勝ち組家族

…だよな!若旦那』



ルパンが眼鏡くんの背中をバンバン叩く



『お前やめろってベラベラと…


若旦那なんて関係ないよ、俺あと次ぐ気なんてサラサラないし




親父の会社の中から選抜すりゃいいんだよあんなの』





ありゃりゃ残念



ただのお金持ちのボンボンじゃないんだね




でもいるとこにはいるもんだなぁ




ほら~


まみちゃんの視線釘付けだよ



めっちゃわかりやすいんすけど




こういうわかりやすい態度が幸せにつながるのかねぇ…




あたしはじゃこおろしを噛み締めながら考えていた

No.103 09/07/28 20:58
モモンガ ( PZ9M )

まみちゃんの意思とうらはらに若旦那は携帯に視線を落としたままなかなか会話に入ろうとはしなかった





業を煮やしたまみちゃんが席替えタイムを要望したがあえなく却下





『お金持ちだけど



まみの隣にはイマイチ地味かな



今日のストライクかと思ったのになぁ』



トイレの鏡の前でまみちゃんが誰かに携帯電話電話を始めた



『あっ♪まさひろくん~?


ごめんねこんな時間に~



ん?


まみ…何だかまさくんに会いたくなっちゃって…



こんなの迷惑だよね


えっ?迎えに?


悪いよそんな…


そう?いいの?



うん♪わかった♪



今から出るね~』




さっきまでルパンにあなたみたいな優しい彼氏が欲しいって言ってませんでしたっけ?



あたしが手を洗っていると


まみちゃんが至近距離で耳打ちした



『彼氏ならルックス



旦那なら財力だよ




顔は一年で見慣れてもお金は一年限りじゃ困るもんね




山ちゃんも手近で手をうっちゃだめだよ♪




ちなみにうちのお兄ちゃんは辞めといた方がいいよ』

No.104 09/07/28 21:11
モモンガ ( PZ9M )

『顔はいいけどお金ないからね



好きになると苦労するよ』



新色の口紅らしき真新しい箱を取り出すと手慣れた様子で中身を取り出した



『あの人ね



昔の彼女に大金つぎ込んで大変みたいだし



見た目がいいからモテる割には誰にも本気にならないしね



まぁ、補足ね』



唇に『内緒ね』のサインをするといたずらっぽい顔をした



ふ―ん…




前の彼女に一千万…




どんな理由があるか知らないけどめちゃくちゃ大金だよね




そんだけ好きだったって事か…




あたしはまみ兄はアホやなぁって思う反面




それだけ真剣に誰かを好きになれるなんて羨ましいな…




そんな風に思った




気楽なお一人様が今のところ一番あたしにはいいけど




誰かを好きになってみたい



なんてね

No.105 09/07/29 08:58
モモンガ ( PZ9M )

あたしが席に戻るとまみちゃんは忽然と消えており




ルパンと河村さんもいなくなっていた



なんやねん、もう
コンパのビギナーを一人残すなんて姉さんあんまりだよ



浮かない足取りで座席に戻るとまみ兄がご機嫌な様子で待っていた


『お~山ちゃんも早く早く




なんかみんな帰っちまってな花が足りないとこよ




まぁ早く上がれ上がれ』




あたしは靴を脱いで二人の前に鎮座した



あたしがすっかり冷めたほっけに箸をのばすと眼鏡くんが口を開いた




『…和食好きなの?さっきから渋いのばっかり食べてるよね



おもしろいね』



あたしはほっけを口にしながら回りを見回した




サラリーマン達に挟まれている通称『女子』のみなさんは大抵が



ビールではなくサワ―を片手に



サラダやスパゲッティやら


ポテトやらウインナーやら



小さくて食べやすそうな一口サイズをマイ小皿に移して食べていた



けしてあたしのように


冷奴やらじゃこおろしやらもろきゅうやらほっけではない



この変からしてあたしには『女子力』が足りないんだろうな…

No.106 09/07/29 20:22
モモンガ ( PZ9M )

やっぱり可愛い女の子は難しいな


ほっけもじゃこもお新香もあたしには必要なんだもん




『やめた

無理は体に悪いや』



あたしは正座していた足を崩して前髪をピンで固定すると深く深呼吸をした


『あ―やっぱり外見だけかえても中身はかわらないや』



あたしが言うと



『中身をみずに外見や価値観だけで判断されるよりマシだよ』




携帯から目線を外すとあたしの方をみて言った




『若旦那はすぐ外見で判断されちゃうの?』



『ああ、どの女もどの上司も同僚も俺の中身なんかみちゃいないよ



知りたいのは僕の資産やステイタス



素敵な生活だけ



もううんざりでね、親父の反対押しきってサラリーマンに転身したけど結局どこも一緒




やっぱ若旦那はそんなにいいのかね』



眼鏡くんは携帯を折り畳むと天井にむかって軽く伸びをした



『おいおい



俺はお前が金持ちだろうが貧乏だろうが


財テク上手な同僚だと思ってるぜ



みんながみんなお前の外側しかみてないわけじゃないさ



金があろうがなかろうがお前はお前



…な?山ちゃん』

No.107 09/07/29 20:35
モモンガ ( PZ9M )

あたしが慌ててうなずくとまみ兄は話を続けた



『お前さ、もっと自信持てよ



金持ちのお前もサラリーマンのお前も違いなんか最初からないさ



あるとしたらお前自身の引いたラインがそうおもわせるんじゃねぇか?




金持ちなお前にすりよってくる女がいたとしてもお前がそいつをコントロールしてやりゃいいだけの話だろ?





お前がふるいにかけられるんじゃなくて


お前がふるい落としてやれよ』



眼鏡くんは黙っていたがあたしは何回も深く頷いた






お金があってもなくても



素敵な外車があってもなくても




あたしなら



ジャージにすっぴんでゴロゴロしてても眉毛にマジックで落書きされても




こたつの中でくっついて寝転びながら日曜日にはサザエさん とか見て




まったり過ごしたい



それがあたしの『幸せ』なんだと思う




お金よりも

セレブな生活よりも


好きな人と同じように笑えたり



悲しいときに聞いてくれたり



情けない顔でも『ぶさいくやなぁ』って笑いとばしてほしい



見た目が綺麗になっただけじゃ


幸せはつかめないんだ

No.108 09/07/29 20:48
モモンガ ( PZ9M )

『飲もう!


ね、今日は三人で飲みましょう!



明日は土曜日だし大通りでタクシーもあるし




みんなで飲みましょう!』




あたしが言うとまみ兄が立ち上がった




『よし!飲むぞ!俺も今日は飲む!!




お前も今日は飲め!』




ビールの入ったジョッキを眼鏡くんに傾けた




『女の子からのお誘いじゃ断れないですね




今日は三人で飲みますか』




あたし達はあらためてグラスを傾けた




前の彼女に大金を出したまみ兄も




家柄と自分の間で悩む眼鏡くんも





消えかかった眉毛で笑うあたしも



みんな




みんな幸せになりますように






この日は結局閉店近くまで楽しく飲みあかしあたし達はタクシーを相乗りしてそれぞれの家路へとついた




あたしが目を冷ましたのは次の日のお昼も近い頃で




お天道様はとうに高い位置へと上がっていた




『ん…



頭が痛…』



無意識にさわるといつものジャージじゃなくて安物の薄いパンツになぜかしらサイズのでかいシャツを着ている



『…?…こんなの


あたし…もってたっけ…』

No.109 09/08/01 14:57
モモンガ ( PZ9M )

足の裏で確認中…



うんいつもの畳



横をチラリと見るとコンパの為に引っ掻き集めた服が散乱している




見慣れたカレンダーのかかった壁に天井も異常なし





あたしはほっとした




なぁんだあたしの部屋じゃんか



OKOK




しかし予想に反した結果が三秒後に待っていた




あの




足の裏に何かあたるんですけど…





恐る恐る布団をめくると見慣れない大きな足の裏





あたしは目をつぶり神様に祈った




『神様あたしの初体験はこたつの中だなんてあんまりです



パンツもこんな安物じゃなくて可愛いリボンがついたのがよかった~



あぁ…しかも昨日のブラは上下違うやつだ




もうショックすぎます




寝てるまに終わってるし』




本気で泣きそうになりながらあたしはその場に座り直した




あたしいったい誰とやっちゃったんだろう…





こたつをはさんで反対側にごつごつした長い手が見える




心臓がいつもの100倍の早さで動いている

No.110 09/08/01 15:13
モモンガ ( PZ9M )

こたつの腕組みしながらうなだれた




チェックのシャツから香るかすかなタバコの匂い…




シャツのボタンは意外にも一番上までしっかりかかっていた


パンツにも…違和感はない…けど




ブラもないしパンツ一丁でまさかほうりださないよね



組んだ腕の隙間から放り出した手が動いて見えた




『ふわぁぁ…


んだこれ…背中がいてえなぁ…




おっ、目が覚めたか山ちゃん』




むくりと起き上がったランニング姿の爽やかなまみ兄があくびをしながら起き上がってきた





『あ…おはようございます


あの…これは一体』



『お前なぁ



ここまで大変だったんだからな~』



まみ兄があたしの鼻をこついて窓にほしてある昨日のワンピースとブラを指差した




あぁ死んでしまいたい…




ブラ干されてるし…




あたしは顔を伏せながら事実を半分思い返していた





タクシーで相乗りしたあたしたち





まずはいちは近い場所にある若旦那をおろして次はあたしの番になった





しかし不覚にも降りたところで滝のようなゲロ…




担がれたあたしはアパートの鍵を兄に渡し意識がとんだ…




おそらくゲロまみれのあたしを介抱してくれたんだろうな…

No.111 09/08/01 15:27
モモンガ ( PZ9M )

『すいません…』



蚊の鳴くような声で謝ると笑いながらまみ兄が答えた



『気にすんな


ゲロの介抱なんて毎月何人もしてるし



まぁ…女の子はそんなにないけどな



でも山ちゃん気を付けないと



俺みたいなのじゃなかったらやられっちまうぞ



簡単に鍵なんて渡すなよ




友達だとしても信用すんなよ』



まみ兄の顔が少し怖く見えた



『な~んちゃって』


笑ってあたしの頭を撫でてみせる




パンツ一丁でブラもつけずにあたしは何を初対面の人と話をしてるんだろう…




『ごめん山ちゃん喉乾いたからお茶かなんかあったらもらえる?』




『あっ、はい


冷たいのでいいですか?』




立ち上がったあたしにまみ兄は苦笑しながら顔を下に向けて指を指した




『やまちゃんパンツみえすぎ』



『ぎゃああああっ』



近くにあった服を適当にたぐり寄せて慌てて着替えを済ませた




着ていた借り物のシャツを軽く洗濯するとよく晴れた空のしたベランダに干すことにした



土曜日の午後




同僚の兄とお茶を飲みながらまったりしているなんて…



数時間前の生活からは想像もつかない

  • << 113 …前言撤回 デリカシー不足だよパンツパンツって… 『まみちゃんのお兄さんこそよく飲むんですか? 彼女ができてからも飲み会とかに参加しちゃうタイプとか? っていうか彼女いないんですか?あたしと一緒ですね』 『いやぁお誘いは無限大なんだけどいまいちピンとこなくてね~ 理想が高いんかな』 麦茶を飲みながら勝ち誇った顔でにやにや笑う なんかむかつくなぁ 『な~んて まみちゃんが言ってた昔の美容師の彼女が忘れられないんじゃないですか? おもいっきし派手に振られたとか』 まみ兄の表情がこわばった あたし 踏んじゃいけない地雷をふんだのかな なんか嫌な雰囲気… 『あの…ごめんなさい あたしあんまりよく知りもしないのに… 思い出したくないよね、きっと…』 しゅんとするあたしにまみ兄があたしの頭を撫でた 『違う違う 山ちゃんのせいじゃないよ ちょっとね 思い出しただけ 気にすんな』 大きな手が何だかあったかい

No.112 09/08/01 18:20
モモンガ ( PZ9M )

>> 111 『麦茶しかないけど…暖かいコ―ヒ―とかじゃなくていいです?』




『うん全然平気


ありがとな』




なんとなくまったりしているしている…



男の人と二人きりだって言うのにあんまりドキドキもしない



まぁ借金一千万もあるんだからドキドキしてもあかんのだけどね



『なぁ』




まみ兄が話を切り出した




『若旦那がさ誉めてたぜ



あんた若いわりに金持ちに全然媚びなくて新鮮だったってさ



山ちゃんって昨日がコンパデビューって本当?




まみからちらっと聞いた感じだと男っけなしの今時いない地味なOLがくるから楽しみにしててって言ってたけど全然可愛いし…




飲み会とかもっと参加すりゃあいいのに』





可愛い…





可愛いだって!



聞いた?




いや、あたしは聞いたことない単語だよ



耳の穴からはなの穴から口の中から煙がでそう~






もう後頭部陥没で死んでもいい~




『山ちゃん聞いてる?顔赤いぞ



ちゃんと腹巻きしとけよ



薄いパンツもいいけど女の子は子供も生むんだし気を付けないとな』

No.113 09/08/01 18:32
モモンガ ( PZ9M )

>> 111 『すいません…』 蚊の鳴くような声で謝ると笑いながらまみ兄が答えた 『気にすんな ゲロの介抱なんて毎月何人もしてるし … …前言撤回



デリカシー不足だよパンツパンツって…




『まみちゃんのお兄さんこそよく飲むんですか?





彼女ができてからも飲み会とかに参加しちゃうタイプとか?



っていうか彼女いないんですか?あたしと一緒ですね』



『いやぁお誘いは無限大なんだけどいまいちピンとこなくてね~




理想が高いんかな』



麦茶を飲みながら勝ち誇った顔でにやにや笑う



なんかむかつくなぁ



『な~んて

まみちゃんが言ってた昔の美容師の彼女が忘れられないんじゃないですか?




おもいっきし派手に振られたとか』



まみ兄の表情がこわばった




あたし



踏んじゃいけない地雷をふんだのかな



なんか嫌な雰囲気…



『あの…ごめんなさい



あたしあんまりよく知りもしないのに…



思い出したくないよね、きっと…』



しゅんとするあたしにまみ兄があたしの頭を撫でた



『違う違う



山ちゃんのせいじゃないよ



ちょっとね



思い出しただけ



気にすんな』




大きな手が何だかあったかい

No.114 09/08/01 18:56
モモンガ ( PZ9M )

『昔の話しはもうおしまい!



しかし今日もさみぃなぁ…麦茶飲んだらトイレ行きたくなった




ちょっと行ってくんわ、貸してね』




まみ兄は立ち上がると携帯を無造作にこたつにおいた





シルバーのauか



機種はおんなじか…



なんとなく開いた携帯をあたしは慌てて閉じた




中の待ち受けには短い髪の綺麗な女の人が優しそうに笑っていた




隣でブイサインをしているのは今より少し若いまみ兄だった




なんだ…



やっぱり忘れられないんじゃんか…




あたしは携帯を元の位置に起きなんとなくうつ伏せた




なんなんだろう




なんかむかむかする




昨日飲みすぎたのかな



それとも本当にお腹が冷えたのか…




あたしがもんもんしていると



『やまちゃん腹減った



何か食いにいこう

奢るよ』




ベランダに干してあったシャツを羽織ながらまみ兄が言った





みなさん

山川弘美




22年で初めての食事のお誘いです




壁にかかったプレイボーイのうさぎが



『やったじゃんか』


と話しかけているように見えた…

No.115 09/08/02 03:59
モモンガ ( PZ9M )

あたしとまみ兄は何を話すわけでもなく自然に駅の方へと向かった




あたしはブラを洗いパンツに失笑したちょっと背の高いまみ兄の後ろをちょこちょこついて歩いた




ようこさんのところで買った可愛いブ―ツにあう服もなく



結局スニーカーにいつもねGパン


それに不思議な柄のTシャツにグレーのコ―トだ




あたしは両手をポケットに入れなんとなくやりきれない思いでいた



目元には結局いつもの黒い眼鏡だし



理由はわからないがなんとなくテンションも上がらない…



あたしの二、三歩前をあるきながらまみ兄が不思議そうに聞いてきた



『なんなん山ちゃん

そんな後ろ歩いて、寂しいから横おいでよ



不自然やで


一列って』




あたしは少し歩幅を会わせたが


タイミングを見計らい少しずつ


また後ろにずれた




だって



みんながまみ兄を見てる




明るい街中だとよりわかる




少し柔らかい癖のある長めの髪




肩幅もあるからスーツ姿もかっこいい




さらにイケメン



さらに爽やか




さらに優しい




もう無理だよ


隣に並んだらあたしなんて伊勢海老の隣にあるツマ…



いや



バランか…

No.116 09/08/02 04:11
モモンガ ( PZ9M )

急にまみ兄が立ち止まった




『山川


手ぇだせ』



『え?


転ばないですよあたし



それに寒いし』




あたしが驚くとまみ兄はあたしの左手をポケットから取り出した



『確保完了』




そういってなに食わぬ顔であたしの左手を繋ぐと顔色一つ変えないで歩き始めた



左手の



いや



体の左側が全部もっていかれたような気分




思った通り大きなあったかい手



手袋なしでも身体中が熱い




口から心臓が飛び出るってこういう時に使うのかな



駅前に差し掛かった時に携帯電話のお店のガラスに映るあたしは




格好は変わらないけど



やっぱりほんの少しだけ女の子みたいに見えた




『せっかくだから遠出しない?



一回ウチに帰って車出すから




付いてきてくれる?』




あたしが黙って二回頷くとまみ兄は『待ってて』と改札券を買いに駅の中に入っていった





ほどいた指はまだ暖かくてなかなかあたしの高揚はおさまらなかった

No.117 09/08/02 04:30
モモンガ ( PZ9M )

うちの駅から一つ乗り換えた線の終点にまみ兄の



いや




まみちゃんの家は建っていた




なかなかの豪邸





でも意外



なんだかまみちゃんにもまみ兄にも似つかわない(余計なお世話か)純和風な日本邸宅




入り口は横開きで門には大きな表札



『…?白川流?』




あたしが表札の隅にかかれていた言葉を読み上げると



『父親がね、お茶やってるんだ



ちなみに母親はいないから気ぃつかわなくていいよ、入っておいで』




まみ兄はおもむろに扉を開けて中にはいった




扉の中にはそりゃあ見事な日本庭園が広がっていた



松なんてあたしの実家にもないよ



凄いなぁ


あたしが感心していると中から黒いタ―トルに花柄のミニスカートのまみちゃんが現れた



『うそっ


やまちゃんお持ちかえっちゃったの?



やめてよ~


いくらなんでも自宅に連れ込むのはルール違反だよ兄ちゃん




あたしにだって心の準備があるんだからね!



ってか山川さん…



食われちゃったのか…』




あたしが頭を左右にぶんぶん振るもおかまいなしに



『忠告したのにねぇ…



苦労の連続だよ、山ちゃん』



まみちゃんがあたしの肩をポンと叩いた

No.118 09/08/02 08:32
モモンガ ( PZ9M )

『あほな事言っとらんと勉強してらっしゃい、まみさん

今日は親父様の手ほどきがある日でしょ?』



まみ兄はまみちゃんの顔を不細工にひっぱりながら遊んでいる




『おにぃひゃんだけずるひよ』



『なんだぶさいく聞こえないなぁ』



『おにいちゃんだけずるいよ!おんなじ兄妹なのに…』



まみちゃんがそこまで言うと奥の座敷から人の声がした



『何をしているんだ


早く稽古に入るぞ』



白髪混じりの長髪に着物姿の男性




『わかりました


今参ります』




まみちゃんが聞きなれない丁寧な言葉で受け答えしている



『今 帰ったのか



相変わらずだな』



お父さんらしき人の視線が兄とあたしに移った




『あっ


はじめまして

お邪魔しております

私は…』



そこまで言うとまみ兄が言葉を遮った




『おやじ殿


おはようございます



まみのお友達の山川さんですよ



まみに会いに来てくれたらしいです』



あたしは慌ててまみ父に深く頭を下げた


『生憎だがまみは今から稽古でね



申し訳なかったね



また日を改めてもらえますかな』




何だか凄い迫力




あたしは頷くだけで精一杯だった

No.119 09/08/02 08:48
モモンガ ( PZ9M )

『山ちゃん悪いけど門の所で待っててくれる?



すぐ着替えて車出すわ』




あたしは頷くとさっきの大きな門の前に出た





間もなくして銀色のアウディからクラクションが鳴らされた



『お待たせ山ちゃん

乗って乗って』



助手席の扉があくと共に中からスローテンポのバラードが流れてきた




『お邪魔します』



足と手が同時にでるくらいの緊張



シ―トベルトが体に食い込む感じだ



『さぁ、行くか』



まみ兄は手慣れたバンドルさばきで車を動かすとしばらく楽しそうに車を走らせた





『山ちゃんさっきはごめんな



俺あの人はどうも苦手でさ




まぁ、まみから聞くと思うから白状するけど俺とまみは本当の兄妹じゃないんだ



正確にはまみがあの家の長子




俺は母の連れ子でね


父の血筋は入ってないの




正当に父の血筋が流れるサラブレッドはまみだけってわけ




だからお茶の世界に俺は関係ないってわけ




はなから期待されてなくてめっちゃ楽だよ



まみには可哀想だけどね』




あたしはうまい返し言葉もみつけられないまま黙って兄の話に聞き入っていた

  • << 121 『大将変わってないっすね~ 久しぶりっす 今日は妹の友達連れてきましたよ うまいもん食わせようかな~って思ったらここしか思いつかなくて』 『嬉しいこと言ってくれんなぁ もぅチャーシュー大盛りにしとくよ あれでいいんだろ?』 『あ!ネギも大盛りで!』 カウンター越しに話すまみ兄はなんだかイキイキしていて 笑った横顔も素直な感じ ちいさな見開きのお品書きを見ていると 『断然塩味がオススメ 予想を裏切るうまさだよ 期待してて っていうか食ってみて、是非』 あたしは軽くうなずくとまみ兄と同じ塩ラ―メンを一つ頼んだ 『ここさ昔に結構かよっててさ 見かけはいまいちなんだけど味は日本一 古いし汚いし流行ってないし でもめちゃくちゃ旨いしめちゃめちゃいい大将なんだよ だからすっごいここはとっておきなんだ まみだって連れてきてないんだぜ』 うわぁ これって『お前は特別だよ』 って事? 免疫のない女にはいったらあかん~ あたしはお水を飲みながら気を落ち着かせた

No.120 09/08/02 20:07
モモンガ ( PZ9M )

>> 119 その場の雰囲気で当たり障りのない会話で話をつないだものの気の利いた言葉もやはり出なかった




車は10分ほど走るとあたしの予想を反して意外な場所に止まった




『着いたかぁ



やまちゃんそっち降りれるか?』




『あ、はい大丈夫です』



大丈夫…ですけど




何故にラ―メン屋なん?




よくわかんないけどドラマとか小説とかだとコジャレた洋食屋とかじゃないの?



まぁ…



付き合ってもないし友達でもないし


ブラまで洗った女なんかラ―メン屋で充分ですな



すいません



『山ちゃん早くこっちおいで



入り口狭いけど気をつけてな』




そこは見た目にお世辞にも素敵なラ―メン屋という感じではなく






屋根が水色のトタンで覆われて白い木の壁には『一心』と書かれていた



『営業中』という赤い暖簾をくぐり店の扉を空けると中はカウンター席のみ



10人も座ればいっぱいっていう感じの店だった




『いらっしゃ―い



おぅ!久しぶり

なんだお前


彼女連れなんて久しぶりじゃねぇか~』



ねじり鉢巻にピンクのポロシャツが似合ってる元気のいい店長が1人




まみ兄は店内を大きく見回していた

No.121 09/08/02 20:28
モモンガ ( PZ9M )

>> 119 『山ちゃん悪いけど門の所で待っててくれる? すぐ着替えて車出すわ』 あたしは頷くとさっきの大きな門の前に出た 間もな… 『大将変わってないっすね~


久しぶりっす



今日は妹の友達連れてきましたよ



うまいもん食わせようかな~って思ったらここしか思いつかなくて』



『嬉しいこと言ってくれんなぁ



もぅチャーシュー大盛りにしとくよ



あれでいいんだろ?』



『あ!ネギも大盛りで!』




カウンター越しに話すまみ兄はなんだかイキイキしていて



笑った横顔も素直な感じ




ちいさな見開きのお品書きを見ていると



『断然塩味がオススメ




予想を裏切るうまさだよ


期待してて




っていうか食ってみて、是非』




あたしは軽くうなずくとまみ兄と同じ塩ラ―メンを一つ頼んだ




『ここさ昔に結構かよっててさ




見かけはいまいちなんだけど味は日本一



古いし汚いし流行ってないし




でもめちゃくちゃ旨いしめちゃめちゃいい大将なんだよ





だからすっごいここはとっておきなんだ



まみだって連れてきてないんだぜ』





うわぁ



これって『お前は特別だよ』


って事?




免疫のない女にはいったらあかん~





あたしはお水を飲みながら気を落ち着かせた

No.122 09/08/02 21:38
モモンガ ( PZ9M )

『へい!お待ち!



ネギ塩チャーシュー大盛りに塩チャーシューね




共にチャーシューは俺のおごりね』




額に滲んだ汗を手で軽く拭うと熊みたいな笑顔で店長が笑った


『いっただきます』



箸を両手に挟むとどんぶりに一礼して



まずは麺を食べる



『…!おいしい!



腰が強いですね


それに小麦の味もちゃんとする



こんなに麺にス―プが絡んでるのに麺自体の味も負けてない



ス―プもさっぱりしてるのにコクがあって…




ダシに少しするめ入ってます?


少し香ばしいような…


なんだろう?


とにかくめちゃめちゃ美味しいです!』



店長は感心したようにあたしをのぞきこんだ



『お嬢ちゃん



ラーメン食べなれてる感じだね




あたり

少しだけするめも入ってます


なかなかこれ当てる人いないよ




若ぇのに大したもんだよ



うちでバイトしない?可愛いし大歓迎だよ』



『すげぇ


山ちゃん実はラーメン通選手権とか出てんの?』



あたしは手を左右にして苦笑いをした



『実家も作ってるんですラーメン



中華料理屋なんです』




『まじっ?うわぁ…


俺もう撃沈や…やべぇな』



まみ兄はわざと小さくうなだれてみせた

No.123 09/08/03 14:14
モモンガ ( PZ9M )

『やっぱしうまいわここのラ―メン


久しぶりでもあの頃と一緒ってわかるもんな




…!あ―もうなんだよ』



まみ兄のポケットから携帯の着信音が聞こえた




『ごめんちょっと電話してきていい?



まみ兄は片手でごめんを大将とあたしにしながら小さく背をかがめて一端外へと出ていった



『お姉ちゃん



アイツと付き合ってんの?』



期待に目を潤ませ店長が聞いてきた




『違います違います


本当にあたし妹さんと同じ会社なだけで



ちょっとお世話になったのが縁っていうか何て言うか』




『そっか…




あれからまだ三年だもんな




まだちょっと時間はかかるわな』




店長が店のカウンターに貼ってある一枚の写真に手をやった




見覚えのある二人





まみ兄の携帯に映っていた彼女だ




そのとなりには何人かの友達とおぼしき人に混じりまみ兄と大将も写っていた



『店長何気に若いですね



ここで撮ったんですか?』




店長は外のまみ兄をチラッと目で確認すると氷の入った水をゴクリと飲み干した



『そう


この日はねこの子の誕生日会だったんだよ』

No.124 09/08/03 14:27
モモンガ ( PZ9M )

『この子ね



内緒だけど昔のあいつの彼女




二年くらい付き合ってたかなぁ…




優しい子でさ




美容師だったんだけどね』




『…別れちゃったんですか?



お似合いに見えるのに』



店長はもう一度まみ兄の様子を確認すると



少し口ごもった声で言った





『…自殺




しちゃったんだよ』




あたしは思ってもみない返事に言葉を失ってしまった





何で?っていう気持ちは勿論あるけど





それ以上に何で好きな人を残して死に急いでしまったのか




写真の中で優しく笑う彼女に胸が傷んだ




『あれから今日までどうしてたのか…






アイツも相当へこんでてね





でも良かったよ




またアイツの笑った顔みられてさ




お姉ちゃん、自覚ないけどひょっとしたらひょっとするかもよ??』



店長が豪快に笑った



『なになにたのしそうやん




俺も混ぜてよ』




まみ兄がまた小さく背をかがめて暖簾をくぐってきた




『な~いしょ



俺とお姉さんの秘密の花園だもんね~』



『うわ~でたよ



あまりのフルさにひいてまうわぁ』



まみ兄がおどけて笑った

No.125 09/08/03 14:35
モモンガ ( PZ9M )

そのあともまみ兄と大将は昔話に花をさかせて会話を楽しんでいた



きっとこの店はまみ兄にとったらとても大事な思い出の場所で





きっと

良いこともそうじゃないことも



いっぱい詰まった場所なんだなぁ





何でまみ兄はここへあたしをつれてきたんやろ



あたしはどんぶりに残った麺を勢いよくすすりとった

No.126 09/08/03 22:46
モモンガ ( PZ9M )

『そんじゃあ…ぼちぼち行くか山ちゃん



何か久しぶりにきたのにおまけまでもらって申し訳ないっす



また…ちょくちょく来ると思うんで



また寄らせてもらいます』



『おお~また来いよ



期待しないでまってっから



またな』





お会計をすますと(勿論まみ兄のおごりで)



最初にきたように背を縮めて店を出た





あたしが最後に振り返ると『頑張れよ』と何かしら激しく誤解している店長はあたしに口パクでエ―ルを送ってきた




まぁいいんだけどね




外に出ると店との温度でか鼻先がキンとした

『うお~長居しすぎたか?


何か冷えてきたな…


つまんなくなかった?




よく考えてみたら女の子にトタン屋根のラーメン屋なんか恥ずかしかったかな




ごめんな



俺そういうのダメなんだよな~』




まみ兄はしまったなぁ



って顔をしてたけどあたしは久しぶりに実家にいたような気持ちになりどこかホッとしていた




大きな寸胴から香るラーメンの匂い



壁一面にもられた食器やお品書き





懐かしい記憶が呼び起こされた

No.127 09/08/03 23:00
モモンガ ( PZ9M )

『そんな事ないですよ



凄い美味しかったし

思わず実家に帰りたくなっちゃいましたよ、本当』



『そっか



ありがとな




山川はいいやつだな


まぁ…だから誘ったんだけどさ




時間…まだいいならちょっと腹ごなしに歩かない?』




まみ兄が車のロックを確認して歩き始めた




住宅街に挟まれている細い通りをまっすぐ歩くとしばらくして上り坂が現れた





日頃出歩かないなまかわOLにはキツイ斜面だがこれも何かの縁だ





頑張るけどさ…




本当に



あたし、体が重いんだな~前に進まないよ




IKKOさん見習ってあたしも朝から歩くか?



…夢の中でしか無理だな…



額と背中に汗がジンワリしてきた頃



まみ兄が後ろを振り返った




『あと少しだから頑張れ



手ぇ貸すか?』




つかまりたいのは山々だけどそんなんできるわけないじゃんか~





さっきのもそうだけどまみ兄は天然スキンシッパーだな




よくいるじゃん



(あたしは知らんけどさ)



『何かあれば話聞くし、連絡いつでもしろよ』とか




『あんまり無理すんなよ』




とか言ういう人

No.128 09/08/03 23:10
モモンガ ( PZ9M )

ほんでもってやたら頭を撫でたりとか



荷物とかさりげなくもったりする人~




(しつこいようだがあたしはされた事ないけどね)




あ、いいの?
ひょっとしたら行っちゃっていいの?




って思うんだけどいざ頑張ってみると




『ごめんな


お前の事そんな風にみた事なかったから…




でもこれからも友達でいてくれるか?』


みたいなさ~




じわじわせずに早く殺って下さい(泣)




未練でちゃいますから…



ってね


どうもそんな気がするよ




簡単に言うと優しい



勘違いしちゃうよね



あたしも時折ぐっとくるもん




あたしは息を小さくまとめながらほはばはせまくと




そんな事を考えていた





坂を上がりきると住宅はまばらで道なりに遊歩道のような大きな公園につながる道が伸びていた




『うわぁ大きな公園



久しぶりだな~近所にもあるけど凄い小さいから




なんかいい気持ち』





しゃがみこんで道端の花を見ているとまみ兄が話し出した

No.129 09/08/03 23:23
モモンガ ( PZ9M )

『ここさ


さっきのラ―メン屋くると必ず腹ごなしに来ててさ





何かちょっとすっきりしたろ体も』




あたしが頷くとまみ兄は無造作に遊歩道の柵を乗り越え芝生の上へと寝転んだ




『すっげ―…


空が高いなぁ



めっち気持ちいいぞ



山ちゃんもこいよ』




えっ



隣で寝るの?




距離はどこら辺まで?





あたしはとりあえずまみ兄の近くでちょこんと座って空を見上げてみた





日頃、朝早く黙って歩いて帰るときは目をつぶって寝るように電車に乗り込むあたしは




こんな風に空の高さや青さを感じる時もなかなかなかった




空には




絵の具て書いたような青じゃなくて



少しグレーっぽい水色




やわらかい空の色をしていた



大きな長いふんわりした雲が風の力でゆっくりと流れていく




なんだかめちゃくちゃ癒される



昨日うっかりルームで泣いてしまったような




胸がホカホカと暖かくなる感じがした

No.130 09/08/03 23:38
モモンガ ( PZ9M )

『お兄さんのお気に入りの場所なんですか?ここ…』



『ああ、最近は来てなかったけど昔はよく来たなぁ…




嫌な事とか煮詰まったりした時もね




落ち着くしね





山ちゃんさ



さっきの店最初に見た印象と出るとき何か感じなかった?』




『入るとき…は



まぁ…トタン屋根かぁ、凄いなっていう位で…





出るときは大将おもしろかったし!美味しかったし




またきたいなって思いました』




『だろ?




何かさ山ちゃんもさ


外見や性格に色んな悩みあるみたいだけどさ





俺は山ちゃんの中身っつうか



中にあるもんのほうが見た目より大切だと思うぜ』




『でも…



でもさ、お兄さんも山田花子より海老ちゃんのが可愛いなぁっておもうでしょ?



森三中よりスザンヌのが可愛いと思うでしょ?





何ていってもはじめは見た目だよ



見た目から入ってはじめて性格や中にあるもんじゃないのかなぁ…』

No.131 09/08/03 23:54
モモンガ ( PZ9M )

『確かに好みは海老ちゃんやスザンヌだよ



でもさ




花ちゃんには花ちゃんの



森三中には森三中の魅力があんだよなぁ




まぁ価値観かもしれないけどね





俺なら




海老ちゃんとスザンヌと花子ちゃんと森三中が混ざったタイプがいいなぁ






何でもポジティブシンキング



あきらめないへこたれないくじけない



綺麗になる努力もちゃんと続けて




まわりにもちゃんと気がつかえる


ただ可愛いいよりうんといいよ





今すぐにってわけじゃないけど




今からそれのうちの『何か』を変化させながらちょっとずつ変えて生けれは




スザンヌみたいな森三中や




海老ちゃんみたいな花子ちゃんも




ひょっとしたら相武紗季みたいな光浦康子もできるかもしんないぞ』





あたしは想像しながらおもわず吹き出してしまった




まぁ




でも言ってることはだいたいわかるよ




発展途上でも



努力すりゃ中身も外見も光る




そういう事だよね

No.132 09/08/04 00:23
モモンガ ( PZ9M )

説明は回りくどいけどそれがまみ兄があたしを励まそうとして言ってくれているという事はすぐにわかった






誰だっておいしいご飯食べたいよね




そんな時に『これしか作れない、嫌なら食べなくていいよ』



って出された見た目の悪い開き直りのご飯より



『こんなんしか作れないけど一生懸命作ったんだ』って言われた何となく見た目の悪いご飯なら




だいたい後者のほうが美味しく感じるんじゃなかろうか?



人は中身か外見か?




恋する乙女の永遠の課題だよね




でも答えは意外な所にあった




外身がいいだけでもだめ



中身だけでも評価されにくい




やっぱり



どっちかじゃなくて


どっちも頑張ろうって気持ちが大切なんだね




外身がわかった上で中身も



中身がわかった上で外身も




どんな風にでも変えていける




そんな風に



まみ兄の言葉がすんなりと心の中に入り込んできた

No.133 09/08/04 18:19
モモンガ ( PZ9M )

『は~っ


風呂に入りながらのオロナミンCの美味しさをみんなに教えてあげたいよね』




しかし…足が痛い




はきなれない靴に


見慣れない洋服



小さくまとめられた頭に




信じられない出来事



人間ちょっとした事がきっかけで色んな事がおきるんだな~




あたしは左手をお湯から出してまじまじと見つめた




『成り行きとはいえ男の人と手までつないだんだよな~



車に乗って


塩ラーメン食べて



公園行って…』





あれからあたし達はたわいもない会話を楽しみ(…と思ってるのはあたしだけかもね)




少したってからまた店まで帰り


ここまで送ってもらって別れた




帰り際に


『またラーメン巡りしよう』




と、まみ兄に携帯番号を書いた紙を渡された





ラーメンめぐりなら家族でいってほしいよ




世の中のカップルはだいたいこんな感じで付き合ったり





連絡をとりあったりしてるんだろうか…



QVCの通販にもびびっていまだに電話 できないあたしが



『ラーメン食べにいこうよ』なんてどうしたら言えるんだろうか





ああ…もう

No.134 09/08/04 18:32
モモンガ ( PZ9M )

鏡に映ったあたしは少し前のあたしとどこが違うんだろう




髪型が短くなって



髪の毛の色が違うだけだよね





でも、たったそれだけの事をあたしは22年間自分からしようとは思わなかった




わからない



はずかしい




どうせこんな感じ




って簡単に諦めたり



傷つく事からいかに素早く遠ざかるか




自分を守ることばかりで



自分から変わろうなんて真剣に考えた事もなかった





可愛い人は元からかわいいし



美人な人は作りが違うんやろうって思ってた





でも店長やケンジくんは不細工な眼鏡OLのあたしをハサミで



言葉で励ましてくれた





ヨウコさんは白髪の髪をひとつにまとめて杖をつきながら綺麗な赤色のワンピを着ていた


歳なんか関係なくお洒落を楽しんでいて



あたしに洋服で勇気を与えてくれた




『なにもできない』んじゃない



あたしは



『やらなかった』だけだ





あたしは曇った鏡をてでなぞると



『絶対綺麗になるぞ


眼鏡なんかにたよらなくたって





自分の目で乗り越えなくちゃいけない』




そう呟いた

No.135 09/08/04 20:29
モモンガ ( PZ9M )

『かと言って一体何からすればいいのか…



う~ん…』




頭をドライヤーで乾かしながらない知識を前回にして考えてみた






まずは見かけから





安易だけど一番手っ取り早い




月曜日…は美容院は全国的に休みだよね



じゃあ



服…でも買うか




上級なOLには敷居が高いから



まずは初級のOLからだな



あたしはアカマルのついたユニクロンやしまむらやのチラシをくずかごに捨てた




『まずは手当たり次第やってみよう』




明日はまみちゃんのいつも読んでいるねえさん雑誌に挑戦だ



中身は?





う~ん


1日一膳?



くらいしか思い付かないなぁ…



そうだ


いつものス―パーでの買い物




お会計の時に


『ありがとう』って言ってみよう




1日三回、朝昼番


ちょっとした事でもいいから感謝してみよう



そしたら何か変わるかな…




『…今日はとりあえずよく頑張ったね




あたし


…ありがとうね』




薄れいく意識の中でいつものようにプレイボーイのジャージを着て眠った




神様、夢の中ではまみ兄に堂々と電話できますように…

No.136 09/08/04 20:53
モモンガ ( PZ9M )

翌日いつもより30分早く起きて朝食を食べた



今までならさっと後ろを縛るだけでよかったが短くなった髪をどうにかこうにかセットしなくてはならない



これは大役だ




鏡の前で左から右へ右から左へと髪を流してみる




『う~ん…どっちがいいんだろうかわからん…』




まぁいいや走ってるうちにまた元に戻るだろうし




とりあえず適当にしておこう服は…




まさかオレンジのワンピースをきていくわけにもいかないよね





やはりいつものGパンにTシャツしかないわな

でも気のせいかいつもより何だかましな気がする




『さて、行きますか!』




あたしは足早に駅までの道を急いだ




歩きなれた道も何だか髪が軽いだけで少し明るく見える





たまに信号で止まるたびにウィンドウに映る自分をチェックしたりとかね






なぁんだなんかなんか幸せな感じじゃんか






ちょっとした早起きや頑張りで髪を綺麗にまいたり綺麗にお化粧する電車でのOLさん達の気持ちがほんの少しだけわかった気がした

No.137 09/08/05 02:14
モモンガ ( PZ9M )

定刻よりかなり早く会社についたあたしはデスクのまわりを整頓して駅についた時にキオスクストアーで買った『アネキャンパス』を取り出した




雑誌を買うなんて中学の時に好きだった芸能人の切りぬきを集めた以外にはほぼゼロに等しい




そんなあたしがファッション雑誌を読むなんてのは


ある日倖田來未と蛭子よしかずがフライデ―されるくらいないんだから、本当人間わかんないもんだよね



今月号は(先月号はしらんけど)


『夏かわスタイル売れ筋100アイテム

人気スタイリストも大人買い秋の最新アイテム50』



だって夏のアイテムも揃わないうちに秋のアイテムもなぁ



…しかもみんな顔小さいなぁ…


足は長いし


手は長いし



背は高いし



おっといかん、ひがみ根性がまたうっかり顔を出してしまう


あたしでも着れそうな無難なやつで会社にも着てこれるようなカジュアルなやつは…



あたしがパラパラと雑誌を読んでいると珍しくまみちゃんが足早に向かってきた

No.138 09/08/05 02:27
モモンガ ( PZ9M )

『おはよう山ちゃん』


『あ、おはようございます



昨日はどうもお邪魔しました』



あたしが言い終わるのを待ちかねたようにまみちゃんが切り出した



『ねぇ、やった?』


『…は?』



『だから!兄貴と!



やっちゃったのかって聞いてるの



山ちゃんわかる?』



…何で朝イチ番の質問がこれなんだろうか…



やったって…多分アレの事だよね




あたしは無言で頭をふった



『え―



あいつやんなかったんだ―




さすが真面目がとりえだねぇ…




てっきりお泊まりで着替えにきたのかと思ったよ



違うんだぁ』




いや…あながち違わなくもないけど




いいや




面倒くさいから黙っておこう…



『でもさ、手くらいはつないだっしょ?



キスは?』




一瞬



まみ兄と繋いだ手の感触が左手に蘇った



いかん…



顔が緩む…




まみちゃんはすかさず言った




『それはしたんだ…



そうか…兄貴にはやまちゃんだったかぁ



河村さんなんかいいかなぁって踏んでたのになぁ



わかんないもんだよね』




そういうとまみちゃんはあたしの両手をギュッと握った



『至らぬ兄だけどよろしくね』

No.139 09/08/05 02:42
モモンガ ( PZ9M )

『いやあの…


あたしは別に』



『いいのいいの




そっかぁ、ついに兄貴も恋する気持ちになったかぁ



うんうん



苦節三年




まみちゃんよく頑張ったよ~



自分で自分を誉めたくなっちゃうね』





三年…


まみちゃんの言っている三年は



おそらくラーメン屋の大将が言ってた



『まだ三年しかたってないもんな』



の三年と一緒なんだろうな…



まみ兄は亡くなった彼女をまだまだ忘れていないと思う




あたしは何だか急にむなしい気持ちになってきてしまった




『あれ、山ちゃん



それって最新のアネキャンパス?




え~?どうしたの?読んだら回してほし~な』




『あ…いいですよ



差し上げますよ


読みたいところもう終わったし…



はい、どうぞ』




『えっ♪まじで♪



山ちゃんサンキュー♪♪



ちょうど買いたいカバンが載ってたんだぁ♪』





そう言って笑ったまみちゃんはやっぱり可愛い



アネキャンパスもよくにあってる





あたしはさっきまでの活力は消え、やるせない気持ちになってしまった

No.140 09/08/07 02:33
モモンガ ( PZ9M )

お昼を知らせるチャイムが鳴った


あたしのお昼は屋上へ行く事が多い


社員食堂もあるんだけどパチンコ玉みたいにひしめき合うなかで食べるのはなんだか落ち着かない



料理の苦手なあたしが作るお弁当は大概しゃけおにぎりに茹で玉子


それに麦茶



ちょっと贅沢をしたい時はコンビニで買ったお菓子なんかもつくのだが…




『えっ~?山川さん髪の毛切ったんだ?凄い~お似合いだね~』



この反応もう朝から何回聞いたのだろうか


世の中の人はよくテレビなんかで『ばっさり切っても全然気づかれないんですよ』



と怒っているがあたしに至ってはさすが地味道まっしぐらなだけあり周りの反応が早い



『ありがとうございます』



とりあえずスマイルしとく


『だけど寒いのに思いきったね~心境の変化?』



これもみんな言うがあたしは失恋の前に恋もしたことないんだよ



『いえいえ知り合いの美容院で頼まれただけです』



世の中見た目が変わると反応が早い内面に比べると評価しやすいんだろうな



見た目も充分大事な要素ってことだな~



あたしは頭を下げてエレベーターに乗り込んだ最近はめっきり寒いので屋上にはほとんど人の姿はない

No.141 09/08/09 01:11
にーぴったん ( ♀ 2uyEh )

つい見かけて全部読んじゃいました。
続き楽しみにしてます。
手もお大事にされてくださいね。

ちなみに私、山川弘美さんと一字違いです(笑)

No.142 09/08/09 02:45
モモンガ ( PZ9M )

に―ぴったんさん🌱



はじめまして🙇ももんがといいます


山川さんといち字違いとは!



🙇💦



しかし…




実はこのお話のタイトルの山川さんは私の前の会社の後輩からかなりの字を頂戴しています🙆




名前ってかなりの確率でももんがは身近な人の名前をつけちゃいます✨




また良かったら遊びにきてくださいね🌱



ももんが

No.143 09/08/11 17:09
幸 ( 10代 ♀ VMXe )

やばい…ファンになりました(笑)物語に引き込まれてしまいました💦

他の方のレス読んだら他にも作品あるみたいなので読んでみます😃
頑張って下さい✌

No.144 09/08/11 18:16
モモンガ ( PZ9M )

>> 143 幸さん🌱



山川さんのお話読んでくださりありがとうございます😺



ももんがと申します🌱



今までの作品は2作品で



『きらきらぼし』と


続編の『ラブレタ―』です



山川さんとはだいぶ内容が異なりますがよろしかったら覗いてみてくださいね😺




お話しできて嬉しかったです😺🌱



ももんが

No.145 09/08/11 18:28
モモンガ ( PZ9M )

知ってるかな



最近の屋上事情ってすごいんだよ




国の温暖化防止にかける意気込みだと思うけど




屋上もかなりのエコなんだよね



うちのビルはかなりの高層だけどなんと屋上には木が生えている




花もある




なぜか野菜もある





そしてあたしはたまにお弁当の際にくすねたミニトマトなんかをのせてみたりもする(よい子のOLは真似しないでね)



あたしにはお気に入りの場所がある




屋上にエレベーターがつき短い階段を上がると中央の階段を更に左に曲がる




突き当たりに給水塔が並んで置いてあるんだけど



その一番端のタンクの脇にここを管理している腰の曲がったじいさんがいる部屋がある





そこにいるじいさんがあたしの弁友のマッキ―である



マッキ―はくれよんしんちゃんのヒロシの父ちゃんみたいに万年つるぴかの陽気なじいさんで




たまに下ネタなんかも言ういやらしいが働き者のじいさんだ



あたしがこの会社に入ってはじめて話したのもマッキ―かもしれない

No.146 09/08/11 18:47
モモンガ ( PZ9M )

入社後入ったはいいが完全に浮いていたあたしは会社のみんなとランチに行く事もできず机の上でいつもマイ弁当を食べていた



『なんや若い女の子が一人で弁当かそんなんじゃ他フロアーのイケメンとランチデ―トできんぞ』



それがマッキ―の第一声だった



つるつるの頭にたれ目の可愛いおじいちゃん



白いポロシャツに薄いベージュのチノパンに白いスニーカー



マッキ―はいわゆるビルの管理人でお掃除おじさんだ



あたしは不信に思いながらも会話を続けた結果マッキ―による『この会社の穴場』である屋上を教えてもらったのである



それから3年



雨が降ろうが風がふこうがあたしはマッキ―とのランチを意外と楽しみにしている




小さな管理室兼掃除道具入れにつくとあたしは小さなノックを二回した




『マッキ―お昼食べよ!』




『おっ、ひろちゃんいいよ入って―



見てみて~可愛いやろ!『ぱふゅ―む』の新しいポスター



あ―ちゃんめっさ可愛い!



…ってやまちゃん可愛らしくなったなぁ!茶色い頭にあっとるなぁ



俺は染める髪もないけどなぁ



おっさんが染まるのはあ―ちゃん一色やし』

No.147 09/08/11 19:07
モモンガ ( PZ9M )

『マッキ―…


それ、絶対他の社員の前でやったらいかんよ



どんびきだよ、もぅ』




あたしはアルミホイルから朝握ったおにぎりを取り出していた



『お茶入れるわな』



手慣れた様子でマッキ―はいつもの玄米茶を入れてくれる




マッキ―の部屋は六畳くらいのコンクリート続きの部屋だ



真ん中には事務机に書類があり電話に伝票が積み上がっている



その奥には小さな白い冷蔵庫や電子レンジがあるが掃除のいき届いた綺麗な部屋だ





そしてその壁一帯には『ぱふゅ―む』のあ―ちゃんが丁寧に一枚ずつ貼られている



御年65歳



すばらしいアイドル魂だよね




『ねぇマッキ―』


『なんや』




『マッキ―は奥さんとかいないの?』



『ふ―ん…奥さんねぇ…


おったようなおらんような…



今は一人でおる方がええわ、性にあっとるよ』






そう言って偽物ブランドのセカンドバックから上品に笑う白髪頭の女の人の写真を 見せてきた




『嫁はんや



もう10年以上前に病気でいってまいましたがな』




玄米茶から柔らかい香りと白い湯気が立ち上ってきた

No.148 09/08/12 14:13
モモンガ ( PZ9M )

『ひろちゃんはアルツハイマ―って知っとるか?




うちの嫁さんなぁそれにかかってしまいましてなぁ




最後なんかは徘徊する元気もなくてな




車イスに座りっぱなしで…



親切な方ですねって


わしをわからんまま一緒に過ごしてましたわ




まぁ…



介護もキツくていつもしんどい思ってたけど





死んだら死んだで



あぁ…もっと優しくできんかったかいなぁなんて思うだけですわ




でもできるだけの事はしたから後悔らしい後悔はありませんな、はいひろちゃんお茶』



『まっき―も大変だったんだね



アルツハイマ―って痴呆の事だよね



前に見たよ


役所こうじぃの『明日の記憶』だっけ…




アルツハイマ―ってゆっくり進行するんだよね




うちはおじいちゃんもおばあちゃんもまだ元気だから実感はないけど…



奥さん



まっき―と最後まで一緒できっと幸せだったろうね



あたしならそう思うけどな…』



『幸せだったかどうかはわかんねぇけど、頭で忘れててもどっかでいい記憶だけ持って嫁が天国いけりゃあ俺はそれでいいんさ』


マッキ―は雲の隙間からこぼれる太陽の光を優しい顔で見ていた

No.149 09/08/12 14:28
モモンガ ( PZ9M )

『さ、それよりメシメシ




見て、今日わしロッテリアンの絶妙バ―ガ―買ったの



どんだけ絶妙か気にならない?



半分食べて不味かったら返金してくれるんやって



うまくても半分食べれば返金やに』




マッキ―は玄米茶を飲みながらハンバーガーをほうばった



あたしもマッキ―から受け取ったお茶に口をつける



甘くてほっとする味だ



『ねぇマッキ―



マッキ―はあたしの事どう思う?』




マッキ―は口から食べかけのレタスとお茶を吹き出すと口もとを押さえた




『ひろちゃん



いや、まずいって



わしは確かにこの会社の中ではひろちゃんはかなりのマブダチだけど




わしはまだ嫁さん一筋やし



わし65歳やろ、ええと…ちょっとまってや』



『マッキ―…




本気ならおしりひっぱたくよ』




マッキ―は肩をすくめながらお茶をつぎなおした




『ちょっと聞きたいんだけど



あたしってやっぱりブサイク?




周りより性格もいかん?






やっぱり内面より外見なんかな



マッキ―はどう思う?』

No.150 09/08/12 19:54
モモンガ ( PZ9M )

『ははん…


さてはひろちゃん気になる男ができたな?



わしに隠し事はなしやで~


そやろ?違うか?ズバリやろ』


マッキ―は残りのハンバーガーを半分残すところが指についたタレも綺麗に食べきっていた




あたしはしゃけのちょっと焦げた所を指でよけながら言った


『違うよ、好きな人なんかいないけどさ


ちょっと色んな人と出会う機会があってさ



自分を変えるにはどうしたらいいのかなって考えるようになってね



それであたしなりに思ったのは外も中も少しずつ変えていったらいいんじゃないかなって…



でもさ



なんか自分が頑張っても目標っていうか自分が変わった姿なんか誰も望んでないんじゃないかって…



虚しくなったりしてさ、変わることに意味なんかそもそもあるのかな…』



『う~ん…わしは女心にはとんと疎いからなぁ



だけど死んだ嫁がないっとったわ



ちゃんとこっちを向いて下さいって



いつも一緒におるのに何をいっとるんかいなって思ってたけど…




嫁がなアルツハイマ―にかかってから何の因果かその通り嫁を四六時中見ることになった時に色んな事がわかったんや』

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