💀ビリケン昭和の短編小説📓
前スレ
🎈手軽に読める短編小説~に引き続き、ビリケン昭和💀の短編小説始まります🎊
笑いあり涙ありシリアスありのテンコ盛り‼貴方も是非📓短編小説の虜になって下さいね💕お便り感想もどしどしお待ちしています💦
さぁて…最初のお話は…👂✨
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>> 249
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それは決して綺麗な声ではなかった…むしろラジオの雑音のようなちゃんと聞き取る事すら困難な普通の健康な若い女の子が発する事のない…
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~二年後~
〔拝啓、水野愛里様…早いもので愛里が豪州に旅立ってからもう丸二年が過ぎようとしています…来月そちらでの研修を終え日本に帰国すると聞いてお手紙書きました…二年前愛里が突然豪州シドニー市内にあるイルカの調教師の殿堂《DSナショナルドルフィントレーナー養成所》に留学したいと言い出した時、俺も館長もただただびっくりしました…何故ならそれまでの消極的で引っ込み思案だった愛里からは単身海外で暮らすなんて誰も想像もつかなかったからです…きっとあの日のステージでの感動が愛里の中でかけがえのない宝物になったからだろうね…〕
『ハァ~だからッ、何度言ったら解るんだ…きちんと指示しなきゃイルカ達は言う事聞いてくれないぞッッ!』
『あ~ん、だってぇ~鳥羽チーフ、私イルカの調教師に転向してまだ半年ですよッ、うまくいきっこないです~ッ!』
『泣き言言うな与田ッ、野本も水野も泣き言なんて言わなかったぞッ、ほらもう一回ッッ!』
〔こっちのみんなは相変わらず元気だ…館長は毎日会議で飛び回ってるしお前の後継者?…与田も文句言いながらもイルカの調教師として頑張ってくれてる…〕
>> 251
🐬59🐬
〔今回もまた凄い数の手紙が届いたので送らせてもらいます…全てあの日のお前のステージを見たお客さんからの感動の手紙だ…《ずっと学校嫌いで登校拒否でした…けどあの日愛里ちゃんのステージを見て生きる勇気をもらいました…》《私の息子もダウン症の障害者です…絶望の日々を送って来ましたが偶然愛里さんのステージを見てまた息子と頑張れる勇気沸いて来ました…本当に有難う…》…愛里、あのステージでお前は色んな人の人生に影響を与えたんだな…俺は先輩トレーナーとして、幼なじみとしてお前を誇りに思う…お前は障害者でもやれば何だって出来るって事教えてくれた…本当に凄いヤツだ…〕
『…いよいよ来週か…愛里が帰国するのは…』
マリンワールドの休館日、ウミガメの甲羅についた苔をブラシで掃除しながら館長であり愛里の祖父でもある諭吉が言葉を発した…
『…早いな、あれからもう二年経ったんですね…』
浩輝は汗を拭いながら真夏の太陽を見上げた…
『けど帰国してももう南錦島には帰って来ないんじゃな…ちと寂しい気もするが…』
『でもこれで良かったんです…愛里はやっぱりお母さんと一緒に暮らすのが一番だと思いますから…』
>> 252
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帰国したら愛里は山梨にある母、水野朋子のマンションでそのまま一緒に暮らす事になっていた…あの日朋子は15年振りに成長した娘愛里と再会した…朋子は自らを詫び愛里にした仕打ちを心から謝罪した…愛里は涙を流しながら母朋子に抱き着いた…それはずっと母の愛に飢えていた健気な一人の少女の本当の気持ちだった…よって愛里は豪州から帰国すると真っ直ぐ朋子の住む山梨に帰る事になっていた…
『何だ鳥羽君…愛里がいないとやっぱり寂しいのか?』
考え事をする浩輝に諭吉が悪戯っぽく話しかけた…
『え?い、いや…何を言ってんすか館長ッッ、俺はべ、別に…』
『まぁ小学生からずっと兄妹のように側にいたからな…無理もないか、ハハハ…』
諭吉はまた亀の甲羅を磨き始めた…
(…だよな…やっぱり愛里は母親と一緒に住むのが一番だよな…けど愛里、たまには真っ青な空と碧い海の大自然に囲まれたこの南錦島の事、思い出してくれよなッッ…)
浩輝は含み笑いを浮かべると自分も亀の甲羅掃除を再開した…
『あのぉ…貴方がたここの責任者の方?』
諭吉と浩輝に近所の住民らしき人が声をかけてきた…
『はい、そうですが…』
『玄関にお客が来とうよ!』
『お…客?』
>> 253
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『……あ…愛…里…』
『…な、何…で?』
諭吉と浩輝がマリンワールドの入場門の前に行くと何とそこには真っ黒に日焼けし、髪を肩まで伸ばしたあの愛里がスーツケースを持って立っていた…
『只今ッ、おジイちゃん!』
『あ…愛里…お、お前…こ、声…』
『愛里嘘だろッッ、お前言葉ッッ、言葉喋れてるッッ…』
『そんナに不思議ナ事?ハハハ…』
二人は何故愛里が南錦島にいるのかという驚きよりもむしろ彼女の放つ声に驚愕していた!確かにまだ片言で不完全ではあったがそれでも二年前と比べ発声が驚異的に進歩している…
『シドニーノ病院でボイストレーニングに通ってタノ…そしたらコンなに声…アハハ…まだ完璧ジャなイけどね…』
『いやいや…凄い、それだけ話せれば充分じゃ…ハァ~何か二年前の愛里とは別人のようじゃ…』
諭吉はその金髪の容姿も加えて目を丸くした…
『でお前どうしてここへ?山梨に…お母さん所に帰ったんじゃないのかッッ?』
浩輝は久しぶりの再会に、そしてまるで以前よりも増して綺麗になったその愛里の容姿に動揺していた…
『山梨ニ帰る途中だよ!…最後に二人ノ顔…見たくなっテネ…』
愛里はウゥ~ンと背伸びをした…
>> 254
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夕方の《ちゅら錦ケ浜海水浴場》は海水浴客も疎らで波の音だけが耳にまきついて来る…
『ハァ~懐かシイ~ッッ!変わンナイね、ここはッッ!』
愛里はハシャギながら砂浜を駆け回った…諭吉の家でしばしの再会の宴を三人でした後、浩輝と愛里は思い出の砂浜に足を運んだ…
『館長凄いペースだったな泡盛の量…きっと久しぶりの可愛い孫娘との再会に思わず酒も進んだんだろな…ハハハ』
『…浩輝、おじいチャンノ事よろシクね…あぁ見エテ凄ク寂しガリヤだから…』
愛里は椰子の木にもたれかかると淋しそうに海を見た…
『任せとけってッッ!館長の事は心配すんなッッ!』
スキューバの船が何隻か港に帰ってゆく…
『けど良かったな…横浜国際海洋水族館で働ける事になって…あそこのトレーナー達はみんな凄い連中ばっかだからきっと愛里の為になるよ、うん…』
『……』
浩輝は砂浜に倒れ込んで腕を頭の後ろにかざした…
『愛里…ありがとな…俺愛里に出会って色んな事教えてもらった…まだまだ障害者への偏見は無くならないだろけど…お前みたいな前向きな子がいたらきっときっと身体にハンデ背負ってる人の手本になるッッ絶大な勇気に変わるッッ!』
『…有難う…浩輝…』
>> 255
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翌日那覇空港から東京の便に飛び立つ愛里は浩輝や諭吉、かつての仲間達に見送られ搭乗ゲートにいた…
『水野先輩ッッ、お手紙書きますッッ!それと横浜にカッコイイ男いたら紹介して下さぁ~いッッ!』
『って馬鹿ッ、水野はそんな暇ないっつぅのッッ!んな事より律子アンタ早く一人前のドルフィントレーナーになんなさいッ!』
野本麻里の言葉に見送りに来ていた一同皆がドッと笑った…
『水野ッ、元気でな…またこっちに遊びに来なよッッ!』
野本は二歳の息子の聡を抱っこしながら愛里に握手を求めた…
『有難ウ…野本先輩…私の今ガアルのは全部野本先輩ノオカゲ…本当ニ感謝シテマすッッ!』
『馬鹿ッ、助けられたのは私の方さ…水野は最高のトレーナーになるッッ、私が保証するよッッ!ね~聡ッッ!』
野本は息子の頬にキスをした…
『…行かなくていいのかね、鳥羽君…』
遠目からその様子をじっと眺めていた浩輝に諭吉が声をかけた…
『あ、お、俺はもういいですッ、昨日きちんとサヨナラ言いましたから…』
『そうじゃないだろッッ!もうッッ!』
『…は、はぁ?』
浩輝は何故か横で苛立つ諭吉を見て首を傾げた…
>> 256
🐬64🐬
『じゃあ皆サン…ソロソロ私、行キます…色々お世話ニなりマシた!』
愛里は仲間から贈られた花束を抱えたままカバンを担いだ…浩輝の元にツカツカと野本が寄って来て浩輝の手を引いた…
『!ッ、ち、ちょっと何だよ野本ッッ、』
『何だよじゃないでしょうがほらチーフッッ!』
野本は強引に浩輝を愛里の前に連れて来た…野本はさぁ行くよみんなッッ!と号令をかけると見送りに来ていた仲間を無理矢理二人から離した…
『な、何なんですか野本先輩ッッ、』
『野暮な事は聞かないのッッ、ほら撤収撤収ッッ!』
愛里と浩輝は二人きりになった…
『あ…アハハ…な、何なんだろな野本のヤツ…』
『……』
浩輝は愛里との異様な空間に頭をかいた…
『ねぇ浩輝…アのステージの日…無事ショーが終わったら私ニ話ガアルって…確カそう言わなカッた?』
愛里はわざと視線を反らした…
『い、言ったっけそんな事…アハハッッ…』
しばらく沈黙が続いた…東京行きの便の搭乗締め切りが近付くアナウンスが鳴った…
『ソッカ…空耳…だったノカ…フフフ、だヨね…じゃね、浩輝ッッ!』
愛里は一度息をはくと踵を返し浩輝に背を向けた次の瞬間!愛里の身体は浩輝の太い腕の中にあった…
>> 257
🐬最終章🐬
『こ、浩輝ッッ!』
『…好きだ愛里ッッ、俺と結婚してくれッッ!』
それはまさに浩輝の溜まっていた愛里への想いが爆発した瞬間だった…
『浩輝……』
愛里は胸の前で組まれた浩輝の腕に自分の手を重ねた…優しい浩輝の温もりだった…
『ずっと好きだった…今まで言えずにいたッッ、水野愛里、俺と結婚して下さいッッッ!』
愛里の目から大粒の涙が溢れ出し浩輝の手にポタポタと落ちた…
『う…嬉しい…ホント最高ニ嬉シイ…ダケド…』
『だけど?』
浩輝は愛里の横顔を見た…
『愛里ハ障害者ダヨ?きっとコノ先沢山浩輝ニ…迷惑カケるカもしんないよッ?ソレでも構わナイ?』
『ばッ、馬鹿ッ!んな事百も承知だッ、そんな愛里も全部ひっくるめて俺はお前が好き、たまんなく好きなんだよッッッ!』
浩輝の愛里を抱く腕がさらにきつくなった…
『…愛里ハ我が儘デ浩輝ジャ手に負えナイカモ…ソレでもイイの?』
『大丈夫ッ、そん時は俺がお前を調教すっからさッッ!』
愛里は振り向くと浩輝と長いキスを交わした…東京行きの飛行機はもうとっくに飛び立った後だった…
🐬~光の愛里~完
>> 258
【⑥】
~銀龍と赤虎~
👓1👓
『ぎッ、銀兄貴ッ…ひ、東町の山瀬の組事務所が赤虎の組に襲撃されやしたッッ!くッ、くッ、組員7名の命と来月黒原の親分に納める予定だった上納金500万もガッツリ奴らにッッ!』
『!ッッ、…ん、んだとぉグォラァァァァ!』
都内のとある麻雀荘で組員幹部と麻雀をしていた銀龍の元に部下から悲報が入ったのは夜中の2時過ぎだった…それを聞いた銀龍は鬼の形相で顔を赤らめ前の麻雀台を蹴飛ばし怒鳴りながら暴れた!
『ぎッ、ぬぁ、ぬぁめた真似してくれっじゃねぇか赤虎ァァァァッッ!おぃおめぇらッッ、山瀬ん仇取りに行くぞッッ!チャカ持ってワシに続けヤァッッッッッ!』
『おッ、落ち着いてくだせぇ銀兄貴ッッッ!』
『ボケがぁァァァッッ、7人も殺られて落ち着いていられっかァァァッッッッッ!』
銀龍は宥める部下の顔面に蹴りを入れると半狂乱で麻雀荘を飛び出した!
『殺すッッ、ブッ殺したる赤虎るァァァァッッッッッ!』
銀龍は部下にシルバーのセルシオを店の前につけさすと猛スピードで敵対する暴力団組織、赤虎の事務所に車を向かわせた…
>> 259
👓2👓
銀龍会と赤虎連合は町の東西を二分する日本有数の巨大組織《黒原組》の傘下で新鋭勢力の公益指定暴力団組織である…それぞれの組長である銀龍と赤虎は元々は同じ黒原の兄弟師弟であったがある出来事を期に兄弟の縁を切り仲間割れし、それぞれ縄張り争いをする犬猿の組織と相成った…銀龍と赤虎は互いに血の気の多い狂犬肌で近年の町の縄張り争いでは互いの野心を剥き出しにし、手段を選ばない非道なやり方は暴力団組織の中でも有名で他の組織はその余りの傍若無人なエスカレートさに誰も相手にはしなかった…
赤虎連合の事務所の前に車を停めると銀龍の組員は一斉に玄関に数十発もの拳銃の弾丸を撃ち込んでドカドカと中に入って行った…
『ゴゥッラァァッッッ、出てこいやぁ赤虎ァァァァッ、ナメタ真似しくさりよってッッッ!』
銀龍は事務所の扉をバン!と蹴破ると事務所中に侵入した…
『ぎッ、銀兄貴…い、居ません、もぬけの殻ですわッッ!』
『捜せッッ、動いてるモン片っ端からブチ込めヤァッッッッ!』
興奮さめやらぬ銀龍は拳銃を数発放った…しかし赤虎連合の組事務所には誰も居なかった…
『に…逃げくさりよったなぁ、ハアッ、ハアッ…ええ度胸や…』
>> 260
👓3👓
『銀の野郎今頃アタフタして小便漏らしとるでッッ、ギャハハハ!』
『我々が仕切ってる西のシマは港が多いでっからな、コンテナ埠頭虱潰しにまわったとしても一生見付かりっこありまへんわ兄貴ッッ!』
事務所からまんまと逃げ延びた組員達と一緒に真っ赤なスゥエードのシャツをたなびかせながら赤虎は煙草をくわえて苦笑いをした…
『銀は単細胞のアホやさかいな、こういう頭のいる緻密な作戦には向いとらんッッ、ま、いつかこの赤虎様が銀のドタマに鉛弾ブチ込んだるさかいに…』
赤虎は口笛を吹きながら乱れた髪の毛を櫛で丁寧に直した…
『へい、へい…え…へい…』
その時組員の一人の携帯電話に連絡が入った…
『ん?何や誰からや?』
『へい…そのぅ、黒原の…親分から…』
『!ッッッ、……』
赤虎の表情が一変した…
『な、何て…親分何ちゅうとる?』
『へい、明日2時に俺の屋敷に来いと…けど…』
『…けど…けど何じゃ?はっきり言えッッ!』
『どッ…ど、同時刻に…ぎッ、ぎ、銀龍の奴も呼んどると…』
『!ッッッ、なッ、なッ、何やとォォォォォォッッッッッ!?』
赤虎は余りの驚きにくわえていた煙草を地面に叩きつけた!
>> 261
👓4👓
翌日赤虎は千本松が鬱蒼と生い茂る《黒原組》グループ最高幹部組長、黒原一美の屋敷前に車を付けた…
(黒原の親分、何考えとるんや…まさかワシだけが丸裸やないやろなッッ…)
前日黒原の指示で屋敷に来る時は一切の拳銃刀器類を置いてくるように言い付けられていた赤虎は今日の銀龍との顔合わせに一抹の不安を抱えずにはいられなかった…昨日銀龍会との闘争があっての後のこの異例の互いの組長呼び出しに一体どんな意図があるのか…黒原の組員に促され長い廊下を赤虎は緊張の面持ちで歩いた…
『おぉ虎ッッ、来たか…まぁ座れやッッ!』
両端に30人程の組員が鎮座した大広間の一番奥に組長、黒原一美が着物を着て座っていた…
(…銀龍の奴はまだみたいやな…まさかこんだけの組員と組長の前でワシに向かってハジキブッ放つとも思えんな…)
いくら昨日の闘争で腹ワタが煮え繰り返っているとはいえ世話になっている組長の目の前でそんな暴挙に出る程銀龍も馬鹿ではないだろう…緊張感漂う広間の真ん中に赤虎は胡座をかいて座った…数分後廊下をバタバタと広間に向かって来る足音がした…赤虎は喉をゴクリと鳴らした…
『親分お待たせしやした…』
赤虎の真横に銀龍が鎮座した…
>> 262
👓5👓
銀龍は一度も赤虎の方を見る事なく赤虎の真横にドカッと座った…暫くの沈黙の後、黒原が言葉を発した…
『フゥ~…しょうのない奴らやなぁ…昔はホンマの兄弟みたいに仲良うやっとったのにのぅ?え?龍、虎ッッ!?』
銀龍は瞬きもせずじっと黒原の目を見ていた…赤虎はじっと俯いたまま畳を見ていた…
『おいッッ!』
『へいッッ!』
黒原が傍の若頭に顎で指示を出すと若頭は部屋の奥から酒のビンと盃を持って来た…
『な、何の真似ですか親分…』
赤虎が不思議そうに見つめた…
『見て解らんか?盃じゃッッ!ワレらにはもっかい兄弟盃を交わして貰うッッ!』
黒原の衝撃の言葉に銀龍と赤虎は互いに驚きの余り身を乗り出したッッ!
『なッ、何でワシがコイツと兄弟盃交わさなアカンのです親分ッッ!?だ、大事な組員殺され揚げ句の果て上納金までくすねよったんですよこのクソガキッッ!親分の前やなかったら今この場でワシこのガキブッ殺してまっせッッ!』
『なぬかすッッ、それはこっちの台詞じゃオンドリャッッッッ!いつまでも頭でおれる思うなよッッ!』
銀龍と赤虎は今にも掴みかかりそうになった!
『コッラッッやめッッ、親分の前やぞコラァッッッッ!』
>> 263
👓6👓
『おい虎ッッ、貴様屋敷から一歩出たら覚悟しとけグォラァッッ!』
『己れこそ生きたままコンクリ流して港に沈めるどコラァッッッ!』
黒原の若頭に怒鳴りつけられ銀龍と赤虎は互いに掴んだ襟を外すとまたその場に荒々しく座り込んだ…
『えぇか龍、虎?お前らのシマで起きた事はワシは関知せんて以前に言うた…けどな、あんまり無茶苦茶な事されたら黒原組組織全ての迷惑になるんや、言うてる事解るな?どや、元々仲良う組切り盛りしてた二人や、この辺りで終戦…ちゅう訳にはいかんか?』
『……』
『……』
銀龍と赤虎は互いにあちらの方向を向き黙っていた…
『この酒な、ただの酒やないんやでッッ…』
黒原はおもむろに盆の酒を盃にトクトクと注いだ…
『ワシの知り合いのインドの僧侶がな、ほら、ダライラマって聞いた事あるやろ?そいつの一番弟子っちゅう奴が10年間毎日念を込めて熟成したっちゅうインド神秘の酒やッ!』
(ダライ…?フン、嘘臭ッッ!)
(親分もたいがいミーハーやな…)
二人は内心呟いた…
『龍、虎…ほれ、飲めッッ、飲んで全部忘れッッ!』
黒原は並々に酒の入った盃を二人の前に置いた…
『飲めっちゅうたら飲まんかいッッッ!』
>> 264
👓7👓
黒原に一喝され銀龍は仕方なく盃を取った…
『一杯の盃の酒を二人で仲良う飲み分ける…これが一心同体っちゅう奴やなッッ、ほら龍、もう半分は虎に渡せッッ!』
銀龍は視線を合わせずに残り半分入った酒の盃を赤虎に無造作に手渡した…赤虎はそれを一気に飲み干した…
『ょっしゃよっしゃ、な、これでお前らは黒原組の銀龍赤虎組やッ、ガハハハ!』
手をパチパチと叩き黒原は嬉しそうに二人の肩を抱いた…
(…こんな事で兄弟やとぉ?ハハン、ちゃんちゃら可笑しいわッッ!)
(組長の前やから仲良う演技しとんねやッッ、一歩表出たら秒殺じゃガキャッッッッ!)
黒原の思いも蚊帳の外で銀龍、赤虎とも盃を交わしたといえ仲直りするなど互いの頭の片隅に微塵もなかった…
『来月はお前ら仲良うなった合同事務所からの上納金楽しみにしとる、よし、もう行ってもえぇぞッッ!』
黒原は扇子をパタパタと仰ぎながら満足げに奥の部屋に消えて行った…
『とりあえず今日の所は機嫌のえぇ親分に免じたらぁッ、次逢ったら最期じゃ、覚えとけよッッ!』
『怖がって国外逃亡しても追い掛けてドタマに弾撃ち込んだるさかいッッ、覚えとけクラァッッ!』
銀龍と赤虎は屋敷の前で別れた…
>> 265
👓8👓
『銀兄貴ッ、赤虎と手組むんでっか?』
『おいコラァ、ナメタ事抜かしとったらブッ殺して埋めるぞッッ!誰があんな鼻糞と手組まなアカンのじゃッッ!』
帰り道銀龍は組員を引き連れてクラブでやけ酒した後、ヨタヨタと繁華街を歩いていた…銀龍はシマの縄張りで用心棒の契約を交わしてある商店街を闊歩しながら昼間の赤虎との和解話を思い起こしていた…
(絶対あんな鼻糞だけとは組まんッッ…いくら親分の頼みでも…クソッボケッボケッボケがぁッッッッ!)
商店街の真ん中で銀龍は小柄なパーカーを着た男と肩が触れ合った!
『!ッッ、おいゴラァッッ、謝らんかいッッッ!?』
銀龍が拳を握ろうと手を挙げた次の瞬間、男が銀龍に重なるように触れるとズンという鈍い音がした!瞬く間の出来事で銀龍の組員達もなすすべがなかった!
『!ッッ、いッ、い…いっだぁァァァァァァッ、いだだだだだッッッ!』
『あッ、兄貴ッッッッ!?』
パーカー男はまるでチーターのような足の速さで逃げていった…組員が見ると銀龍の右の腿にグサリとナイフが突き刺さっていた!
『イデェェェイデデッッ、ぬッ、抜けッッ、早くッッ!チッキシォォォォォッッッッ!』
>> 266
👓9👓
『どッ、何処の差し金じゃァァァッッッ、追い掛けッ、追い掛けてブッ殺せェェェェッッ!』
組員が男を追い掛けたが逃げ足の速い男の姿はもうなかった…
『銀兄貴ッ、だ、だ、大丈夫でっかッッ!』
『ボケがぁッッ、んなモンかすり傷じゃッッ、クッソォォォッ、ぬぁめた真似しやがってェェェッッッッ!』
銀龍は傍のビールケースに雪崩れ込むように座ると勢いよく腿に刺さったナイフを抜いた!
『おい喜一ッッ、中島の医者に連絡せいッッ、兄貴が刺されたッ、今すぐ連れて行くからっ用意しとけってッッ!』
へい!と青ざめた新米組員は銀龍会掛かり付けの医院に携帯電話で連絡を取った…
『クッソォォォッッッッ、赤虎の鼻糞ォォォッッ、こ汚い手使いやがってェェェッッッッ!いっだだだだッッ!』
組員は血だらけの銀龍を車に乗せると中島医院まで急いで車を走らせた…
(あんのガキャッッ、正々堂々と勝負も出来んのかあのボケッ、殺すッ…絶対ブッ殺すからなぁ!!)
銀龍は血が滲み出るズボンを押さえながら改めて赤虎への猛烈な復讐心をたぎらせた…
>> 267
👓10👓
銀龍は内腿を7針縫う怪我をしたが幸い大事には至らなかった…入院中も卑劣な暴挙に出た赤虎への怨みは消える事はなく毎日のように血眼になり若い組員に赤虎の足取りを追わせていた…脚の痛みも癒え何とか歩けるまでに回復したある日、銀龍のもとへ組員からの情報が入った…
『ワレそれほんまかッ、?』
『へい…赤虎の奴病院に入院しとるらしいですッッ、城島第2病院ですッッ!』
西の赤虎の縄張りに潜伏している情報屋の証言で銀龍と時を同じくして赤虎も病院で療養中との情報だった…
『フフ…病院かぁ…赤虎の鼻糞ッ、どうやら年貢の納め時っちゅ~奴っちゃ、おい、2、3人だけワシについて来いッッ、今から鼻糞のおる病院へ殴り込むッッ!』
『なッ、殴り込むって待って下さい銀兄貴ッッ、あそこはカタギもおる一般病院ですッ、そんな場所でやりおぉたら黒原の親分に迷惑がッッ…』
銀龍はいきなりその組員を殴り倒した!
『じゃっかぁしわボケッッッッッ!んな事構うかいッッ、ワシはどないな手使てでも赤虎の鼻糞葬らな気ぃ済まんのじゃァァッッ!』
銀龍はまだ痛みのある脚を引きずりながら病室の扉を開けた!
『佐田ッッ、吟太ッッ、お前ら二人ついて来いッッ!』
>> 268
👓11👓
昼前の城島第2病院はまだ外来患者で一杯だった…ドヤドヤと玄関口から銀龍達が入って来るとそこにいた外来患者達は皆人相の悪い見るからに暴力団員という銀龍らを見て尻込みした…
『赤虎は何処やッッ!?この上に入院しとるやろッッ?』
受付にいた女性に銀龍はぶっきらぼうに声をかけた…
『あ…赤虎…あぁ赤木虎之助様ですか?あ、あわわ、貴方様はどちら様で?』
『どちら様もこちら様もあるかいッッ、何処やって聞いとるんやッ、耳ついとるんかぁ、おぅ!?』
受付女性は睨み付ける銀龍の姿に完全に竦み上がっていた…
『人に物を尋ねる時は聞き方ってものがあるでしょ?小学生で習わなかった?』
待合室の誰もが怖がり竦み上がっている中、静寂を破るかのように横暴な銀龍の前にスクッと立ちはだかる一人の看護師がいた…
『ぬぁんやとぉッッ?コラァお前誰に対して口聞いとるんじゃッッ!』
『一般患者さんの大勢いる病院の中で威張り腐る常識知らずの貴方によッッ、威嚇してビビらせ自己満足に浸ってるつもりでしょうけどここは病気で苦しんでいる病人さんを収容している病院なのッ、さっきの言葉使いといい態度といい非常識にも程があるわッッ、帰りなさいッッ!』
>> 269
👓12👓
一歩も怯まない勇気ある看護師の態度に待合室の患者がオォ~と拍手をした…
『こッ、コラァ、拍手すなッッしばくぞボケッッッ!』
銀龍は再び看護師ににじり寄った!
『おぃコラァ偉そうな看護師ッ、赤虎は何処やって聞いとるんや?何やったら病室一個一個虱潰しに回ってもえぇんやどコラァッッッ!』
『もうここには居ません…昨日退院しましたッッ!』
『!ッッ、なッ、何やとォ?退院したぁ?嘘付くなよゴゥラァッッッ!』
本当です、と受付の女性が恐る恐る退院記録の帳簿を銀龍に見せた…
『…チッ、おらんのか…無駄足やったなッッ…クソッ…』
銀龍は組員を連れて玄関口を出ようとした…
『謝ってッッ!』
銀龍が振り向くとさっきの看護師が銀龍を睨みつけていた…
『怖がらせて迷惑かけましたとここにいる患者さんに謝ってッッ、早くッッ!』
『何やとコラァッッ?己れ何様のつもりじゃいッッ!』
銀龍は看護師の白衣の襟を掴み上げた!しかし看護師も一歩も引く様子もなく大きな瞳でじっと銀龍を見ていた…
『……チッ、す…すまんかったな…怖がらせて…これでえぇか?』
看護師の余りの目力に銀龍が折れた…銀龍達は渋々と引き上げた…同時に待合室から拍手が沸き起こった…
>> 270
👓13👓
『しかし驚いたなッ…今までならあんなコ生意気な女はシバイてでも言う事聞かす銀兄貴がいとも簡単に折れるたぁ…』
帰り際銀龍の後ろで子分の吟太が呟いた…
『銀兄貴、大丈夫でっか?』
佐田も労うように銀龍に声をかけた…
『ボケッ…引き下がった訳やないわいッッ、黒原の親分に迷惑かけたぁなかっただけじゃいッッ、勘違いすなボケッッッッ!』
銀龍は少し脚を引きずりながら車に乗り込んだ…
(あの看護師のあの目…素人やない…何やこの胸騒ぎはッッ…)
銀龍は自分を睨み付けていた看護師のあの研ぎ澄まされた視線がまだ脳裏に焼き付いていた…
『!ッッぎッ、ぎぎぎ、銀兄貴ッッッ!』
10分程車を走らせた時だった…運転手の佐田がいきなり叫んだッッ!
『な、何じゃい佐田ッ、どないしたんじゃッッ!?』
『あ…あそ、あそこ…あか、赤、赤虎がッッッ!』
佐田の指差す先に何と蕎麦屋から偶然出てくる赤虎の姿があった!
『!ッッッ、むぃつけたドォォォォォォォッ、赤虎ァァァァァッッッッッ!おいッ、車出せッッ、早せぇボケッッッ!』
銀龍は運転手佐田の頭を張ると赤信号を急発進させた!
『殺すッッ、ブッ殺すゾォォォォッッッ赤虎ァァッ!』
>> 271
👓14👓
赤虎と取り巻きの二人の組員が車に乗り込もうと駐車場に入った瞬間、
グゥオォォォォ~ン!キュイキキキッッッッ!
爆音とともにシルバーのセルシオが横付けされた!
『!ッッ、ぎッ、銀龍ッッッ!』
取り巻きの組員が見慣れたセルシオを見て咄嗟に拳銃を構えた!セルシオの後部扉が開き中からゆっくりと銀龍が現れた!
『ぎッッ、銀、テメェッッッッ!』
赤虎は拳銃を構えた組員の前にスクッと立った…
『おい鼻糞野郎ッッ、コソコソと死にかけのゴキブリみたいな真似しやがって覚悟は出来てんやろなァクォラァァァァァッッッ!』
銀龍が今にも襲い掛かりそうな鬼のような形相で赤虎を睨み付けた!
『ケッ…ここで決着つけるんかいワレッッ、えぇどッ、かかって来いやッッ!』
赤虎が挑発すると銀龍の二人の子分が拳銃を構えた!
『おいゴゥラァッ、お前らチャカしまえやッッ、こいつとは一対一のどっちか死ぬまでの殴り合いのタイマン勝負やッッ、えぇのぅ鼻糞ッッ!?』
『…弱いくせにキャンキャン吠えるなゴゥラァッッッ!かかって来いッッ!一発で決めたらぁ!』
銀龍と赤虎は拳銃を地面にほうり投げるとゆっくり互いに向かって歩を進めた…
>> 272
👓15👓
銀龍と赤虎は拳一つ入るか入らないか位の間隔で睨み合った…
『おいコラァ赤虎ッッ、こないだのドブ鼠は己れの差し金かいッッ?随分ナメた真似してくれたやないかッッ!その前に襲撃され殺された組員の分までここで己れギタギタにしたるからなッッ!?』
『何の事じゃッッ、銀己れドタマいかれたんと違うやろなッッ?』
赤虎は苦笑いした…
『こないだのワシの傷害の件は大目に見たるッッ、けどなワレッ、組事務所襲撃して組員の命奪った事ぁワシ絶対に許さんからのッッ、お?』
『何の話じゃ?ワシは己れの組事務所から上納金盗んだんは事実やが己れん所のヘボ組員なんぞ一人も殺すかいッッ!』
『とぼけんなグゥオラァ!んな事すんのは赤虎ッッ、己れに決まっとるやないけッッッ!』
次の瞬間銀龍の拳が赤虎の頬目掛けて発射されたッッ!
『ま、待たんかいッッッッ!』
銀龍の拳が赤虎の左頬にヒットしたッッ!赤虎は思わずその場から大きく吹っ飛んだッッ!
『オゥラァッ、これからじゃァァッッ!』
銀龍が畳み掛けようと前に出た瞬間、銀龍の左頬に激痛が走った!これはまさにこれまで何度となく経験しているあの拳で殴られた痛みだった…
『いっッッ、イダダダダッッ!』
>> 273
👓16👓
『!ッ、な、何でやッッッ、イデデデデッッッ!』
銀龍は左頬を両手で押さえのたうち回った…
『ど、どないなってるんや…?殴ったはずの銀兄貴が痛がってるッッ、』
銀龍の子分の佐田と吟太は訳の解らない状況に頭を抱えた…
『ウッオラァァァァァッッッッ、死ねヤァァァッッッッ!』
今度は殴られて倒れていた赤虎が銀龍の腹目掛けてズシン!とラグビータックルのような頭突きを喰らわせた!
『グブッッッ、…グッ…クッ…』
『あ、銀兄貴ッッッッ!』
余りの衝撃に銀龍はその場で蹲った…
『!ッッ、あ、赤虎兄さんッッッ!』
赤虎の組員が叫んだ!次の瞬間今度は頭突きを喰らわせたはずの赤虎が銀龍と同じように蹲って動けなくなった!
『イデデデデッッ、なッ、何でやッッ、ど、どうなってるんや一体ッッ、イデデデデッッ!』
『な、二人になッ、何が起こってんだぁ?』
二人の組長のただならぬ雰囲気の異様な喧嘩に互いの組員達もただ唖然としていた…
『ふッ、まさか冗談でこんな事してないよな…』
『当ッッたりめぇだろッッ!何処の世界に相手殴って自分に傷負う人間いんだよッッ!』
イデデデデと蹲まる銀龍と赤虎を見て組員達はただ驚いていた…
>> 274
👓17👓
バスッッッッ、ボゴォォォッッッ!
その後も銀龍と赤虎の互いのプライドをかけた壮絶な殴り合いが繰り広げられたが不思議な事に何故か殴った方も殴られた相手と同じ衝撃を受けていた…つまり相手を殴れば殴る程自分にも同じ衝撃が来るのだ!まるで互いの身体中の神経を共有しているかの如く…銀龍も赤虎もその異様な事実に気付き始め次第に戦意を喪失しだした…
『ハアッ、ハアッ…何なんやチキショッッ、いくらハアッ、殴っても…何か逆にボコボコにされてるみてぇだ…ハアッ、ハアッ、』
『おい銀ッ、ハアッ、ハアッ…下手な小細工すんじゃねぇッッ、そんなにしてまでこのワシに勝ちたいんけッッ!』
『ぬ、温い事言うてたらブッ殺すぞボケッッ…ハアッ、ハアッ…』
銀龍と赤虎は性も根も尽き果てたようにその場に大の字になって倒れ込んだ…
『ハアッ、ハアッ、ハアッ…』
『ハアッ、ハアッ…ハアッ…おい銀ッ、ちょっと手で自分の耳タブつねってみぃ!』
『!ッ、な、何でワシがんな事ッッ…』
『えぇがらやれっちゅうたらやれッッ!思い切り抓れッッ!』
不満そうに汗だくの銀龍は自分の耳タブを抓った…
『いッッ!イッタァッッッ!』
『う…嘘やろオイ虎ッッ…』
>> 275
👓18👓
『有り得へんッッ、んな事絶対有り得へんッッ!』
『んな事言うたって事実やないかッッ!寝ぼけてんちゃうどドアホがッッ!』
同じ箇所に同じだけの傷跡を残し銀龍と赤虎は現場の駐車場に座り込んだまま今起きている現実をまだ受け入れられずにいた…
『銀兄貴ッッ、つ、つまりこういう事でっか?互いに互いの身体を傷付け合えば合うだけ互いが傷付く…』
『何じゃワリャッッ、もっと解り易ぅ説明せんかいッッ!』
赤虎は銀龍の子分の佐田に食ってかかった…
『チクッッ、事務所の金盗まれるわ組員殺されるわッ、揚句の果て脚刺されるわッッ、マジえぇ事なしやないかッッ!』
『お、おぃちょっと待たんかい銀ッッ、脚って己れそれいつの話じゃッ!?』
『とぼけんなゴゥラァッッ、己れの差し金やっちゅう事はもう察しついとるわボケッッ…見てみいホラッッ、ここ刺されたんじゃッッ!』
銀龍は先日暴漢にナイフで刺された内腿の傷痕を赤虎に見せた…
『…う、嘘やろッッ、ワシもほらッッ、こないだこの同んなじ場所に行きなり傷痕出来て…』
赤虎は銀龍に脚の内腿の傷痕を見せた…一寸の狂いもなくそれは紛れもなく銀龍の傷痕と全く同じものだった…
>> 276
👓19👓
『何じゃ虎ッッ、こんな埠頭に連れてきやがってッッ、此処を己れの死に場所に決めたんかゴゥラァッッ!?』
『銀よ、そうカッカすなボケッ!…海はえぇ…煮えきったドタマん中冷やすんにゃ持ってこいのシュミレーションじゃッ!』
『ボケッッ、それを言うなら《シチュエーション》やろが鼻糞ッッ!』
赤虎は互いの子分達を廃除すると自分の縄張りである港の第三埠頭にわざわざ銀龍を連れ出した…
『えぇか銀ッ、そのシワのない脳みそ捻ってワシの言う事よう聞けやッッ!』
『イチイチ向かっ腹の立つ言い方すんなボケッッ、殺すぞッッ!』
赤虎は煙草を出すと銀龍に吸うか?と奨めたが銀龍は断った…
『で話って何じゃいワレ…』
赤虎は眉間に皺を寄せたまま煙草の煙をゆっくり吐いた…
『どういう訳か解らんがぁ…どうやらワシら双子ちゃんになってもたみたいじゃ!』
『……はぁッ?ふッ、双子…ちゃぁんヤァ?己れワシを馬鹿にしとんのかボケッッ!?』
赤虎は最後まで聞かんかいッッ!と銀龍に煙草を投げ付けた!
『双子ちゃん…つまり一心同体っちゅうこっちゃ!』
『いッ、一心同体ィ?寝ぼけとんのかワレ鼻糞頭カチ割るぞコラァッッ!』
赤虎は真剣な顔付きで銀龍を見た…
>> 277
👓20👓
『すると何け虎ッ、己れが病院に入院しとったゆぅのはその脚の怪我が原因やったんやなッ?』
少し冷静になった銀龍は赤虎の話しを時折ブチ切れたりしながら何とか聞いていた…
『…さっきのタイマンで分かったやろがッ、ワシらは殴り合えば合う程相手に同じだけのダメージだけを与えてまうんじゃい…』
『!ッ、ま、待たんかいッッ、ほならワシ己れの事ブチ殺したら…ほならッッ!?』
『おぉ、単細胞の癖にえぇポイントに気付いたなッ、そや、傷付け合うだけでこれだけの怪我や…もしどちらかが命落とすような事になったら…』
『…な、なったら何じゃいッッ!?』
銀龍は恐る恐る次の言葉を待った…
『もう一方も死ぬ…マンマンチャンアンじゃッッ!』
『つ、つまりワシは目の前におるこのコ汚い鼻糞男のドタマに風穴開けたら…開けたら…』
『そうじゃ…自殺行為じゃッッ…』
赤虎の言葉に銀龍は耳を疑った…
『つまり自分が死にとぅなかったら…命が惜しけりゃ互いが互いを守り抜くしかないッッ!犬猿の仲のワシらじゃき、考えただけで死ぬほどヘドが出そうな話じゃが…どうやらそれが現実じゃ銀ッッ!どうじゃ、分かったけッッ!』
(あッ、有り得へん…)
>> 278
👓21👓
組事務所に戻った銀龍は組員の佐田に傷の手当てをしてもらっていた…
『何か不思議な話でんなぁ、これじゃぁ亡くなった組員の弔いも出来ん事になりますな兄貴…もしワシらが赤虎のガキブッ殺してもたら銀兄貴も死んでまう…そういう事ですやろ?』
『おぃワレらッ、だからっちゅうてワシ殺して赤虎も死んで組牛耳ろうなんて事考えんなよコラァ!』
とんでもない!ワシらは兄貴を慕ってますと佐田や吟太らは銀龍に頭を下げた…
『ほんまに困ったで…』
銀龍は頭に包帯を巻いてもらいながら腕組みしながら何かを考えていた…
『ん?どうしました銀兄貴?』
『…いやぁな、赤虎の鼻糞、帰り際にワシにボソッと真顔で言いよったんや…《これだけは信じてくれッ、ワシらはお前ん所の組員は殺してないッッ!》…あの目…嘘ついてる目やなかった…』
『そんな戯言信じるんでっか兄貴?』
銀龍は箱から煙草を取り出すと火を付けた…
『…ほな誰じゃい?…ワシらん組員殺った奴はッッ…』
銀龍の顔付きが豹変した…
『銀兄貴ッ、ワシら銀龍会舎弟一同何があっても銀兄貴について行きますさかいにッッ!ワシらのつまらん命も銀兄貴のモンですよって…』
銀龍は黙って煙草を吸っていた…
>> 279
👓22👓
赤虎の携帯電話に銀龍から電話があったのはそれから数日後だった…
『己れワシの携帯番号何処で調べたんじゃッ!…んな野暮な事は聞かん…何の用じゃ銀?』
赤虎はまるで銀龍からの電話を待ち構えていたかのように冷静な対応だった…
《商店街で脚刺されたんも…己れん所の組の仕業やないんちゃうかと…ただそれだけじゃッッ…》
『…銀ッ…己れ《白狼商会》って聞いた事あるけ?』
《白狼商会…あぁ、黒原組から破門された連中が集結してあちらこちらで無茶苦茶な事しとるあの白狼商会じゃろ!それが何じゃい?》
『最近この辺りのシマで幅効かせ始めとるぞッ、注意しといた方がえぇかもな…』
《フッ、所詮親分に見切られ破門になって寄り集まるような女の腐ったような連中じゃ!放っとけッッ何もようせんわッッ!》
そやなッ、と赤虎が電話口で笑った…
『!ッッあ、痛ッッ、コラァ銀お前今何かしくさったやろボケッッッ!』
《デコを携帯電話でコツいたんじゃ、どや、やっぱり痛いか?戻っとらんか?》
ブッ殺すぞッッ!と電話口から赤虎の声がした…
《はよう元に戻らんと己れのドタマに風穴開けれんのじゃ!鼻糞ッッ!》
それだけ言うと赤虎の電話が切れた…
>> 280
👓23👓
(《白狼商会》かぁ…確かに何するか解らんタチ悪い連中っちゅう事だけは確かやな…)
人が3人並んで寝れる程に広いダブルベッドで銀龍は一人眠りについていた…隣の部屋では佐田ら組員達が見張りを兼ねて麻雀に勤しんでいる…
(ワシは一生あの赤虎の鼻糞野郎と運命を共にせなアカンのかいッッ…クソッ、むかつくッッ!)
銀龍は何度も寝返りを打ちながら眠れない夜を過ごした…考えてみればヤクザの世界に足を踏み入れてからというもの銀龍はまともに熟睡出来た事がなかった…たいていの場合は横に女が眠っていて少しは安らいだがそれは心から銀龍の気持ちを落ち着かせる物ではなかった…
『!ッッ、なッ、な…何やッッ、何が起きたんじゃッッ!?』
突然銀龍は布団から跳び起きた!銀龍はおもむろに自分の股間を見た…何とすこぶる元気になっていて何処に触れる訳でもないのに何故かとてつもなく気持ちいい…
『なッッ、何が起き…アァ…た…アァアアアッッ…』
数分もしない内に銀龍は果てた…
『…まさかッ、赤虎のガキ、女とセックスしたんやないやろなッッ!?て事ぁつまりワシはバーチャルで…タハハ』
こんな事まで運命共同体なのかと銀龍は思わず肩を落とした…
>> 281
👓24👓
数日後銀龍は持てるだけの赤い薔薇の花束を抱え城島第2病院の外来にいた…
『…す、すまんが看護師…看護師呼んでくれへんでっか?』
銀龍は緊張の余り変な言葉になった…外来受付はあのいつかの女性だった…
『あ…はぁ…か、看護師と言われましても…』
『あッ、な、名前は解りまへんのや…その、こないだワシと言い合いになったあの胸デカ、あ、いや、び…美人看護師さんですわ、ハハハ…』
受付の女性は半分肩を竦めながら恐々病棟に連絡を入れた…数分後あの看護師が階段で降りて来た…看護師は銀龍を見て一瞬戸惑った顔をしたが平静を装うように淡々と銀龍の前に来た…
『御呼びでしょうか?』
『あ…ハハハ、よっ!ヨッッ!』
『……で?用件は?』
こないだは余り真剣に眺めなかったが看護師は背は低いが目が大きななかなかの美人だった…
『あッ、これ…プレゼントふぉ~ユゥやッッ!』
銀龍は看護師の顔の何倍もある薔薇の花束を差し出した…
『……』
『受け取ってくれるけ?ワシの愛の形や…』
『私ヤクザは大嫌いなんですッッ!』
銀龍にとってそれは衝撃の言葉だった!
『ヤクザ…ヤ…ハハハ、ヤクザってはっきり…』
『だってヤクザでしょ?あなた…』
>> 282
👓25👓
『…受け取ってくれても…アハハ、ね?』
『…ヤクザは、ヤクザは懲り懲りなんですもう…』
看護師は視線を反らした…
『懲り懲りて…前にヤクザに何かされたんけッッ?そ、それ何処の輩じゃ、よっしゃワシが行って半殺しにッッ…』
『そうやって何でも暴力で解決しようとする事が嫌なんですッッ、失礼します…』
看護師は踵を返すとスタスタと階段を駆け上がって行った…
(クゥ~たまらんナァ…えぇ女や…一目惚れや…もうあの女しかおらんッッ!あの胸ッッ、クゥゥ~たまらんッッ!)
銀龍は受付の女性にこれアンタにやる!と薔薇の花束を渡すと病院の玄関を出た…
(クックック…ちゃんと名札確認させてもうたでエンジェルちゃん…《吉村岳美》…クックック、岳美ちゃんか…オイシソ~ッッ!)
『銀兄貴ッ、どうでした?上手い事行きそうでっか?』
車で待つ佐田と吟太に銀龍は当たり前やろがッ、ワシを誰やと思っとるんじゃボケッッ、と激しい蹴りを喰らわせた…
(ヤクザを一蹴するだけの度胸と気の強さ、クゥ~気に入った!最高やッ、絶対ワシの顔の前で股開かせちゃるけん、クックック!)
『銀兄貴ッ、鼻の下ビロンビロンに伸びてまっせ!』
>> 283
👓26👓
『ぎッ、銀兄貴ッ、さっき納谷の事務所で小耳に挟んだんでっけどなッ、なッ、何でも昨日の深夜赤虎の組事務所が白狼の襲撃におうたみたいですわッッ!組員数名が大怪我したって…』
『!ッ、な、何やとォォォッッッ!?』
銀龍が組事務所で出前のかつ丼を食べている最中銀龍の子分の吟太が血相を変えて駆け込んできた…
『で、赤虎はッッ、赤虎はどないなったんじゃいッッ!?』
銀龍は吟太に掴みかかった!
『あッ、さ、さぁそこまで詳しい事はッッ、イテ…け、けど銀兄貴ッッ、今銀兄貴の身体何ともなかったら多分向こうも無傷やったんと…違いますかッッ!?ちょっと兄貴痛い痛いッッ、』
『なるほど…そやな…』
銀龍は吟太の襟を解いた…
『銀兄貴ッ、これではっきりしましたなッッ、こないだウチの組襲ったんもおそらく…』
佐田が立ち上がった…
『白狼や…間違いないッッ…』
銀龍はソファーにかけてあった銀ラメの背広の上着を取ると走り出した!
『ぎッ、銀兄貴何処へッッ!?』
『ワレらはここにおれッッ!赤虎ん様子見に行ってくるッッ!』
銀龍は一人車に乗り込むと愛車セルシオを急発進させた!
(クッソォォッッ、白狼の死に損ないガァッッ!ブッ殺すッッ!)
>> 284
👓27👓
赤虎の組事務所がある西町の商店街の外れには人だかりが出来ていた…
『おらドケおばはんッッ、見せモン違うぞッッ!』
車をつけた銀龍は野次馬を掻き分けるようにガラスの破片が散乱した事務所の中に足を踏み入れた…
(!ッッ…こりゃ酷い…無茶苦茶やッッ!)
こんな状況に馴れている百戦錬磨の銀龍でさえも無惨な赤虎の事務所の惨劇を目で覆いたくなる程だった…
(!ッッ……)
銀龍は荒れ果てた事務所の一番奥の机に赤虎が呆然と座っているのが見えた…
『とッ…虎…これ…』
銀龍はガシャリとガラスを踏み締めながらゆっくり赤虎の傍まで来た…
『…若い衆な、病院で二人息引き取りよった…心臓メッタ刺しで2時間も生きよったんやで…グッ…』
『と…虎……』
赤虎は虚ろな目で窓の外を見ながら唇を噛み締めていた…
『白狼かッッ?そやなッ、これ白狼のボケがやりやがったんやなッッ!?』
銀龍は虚ろな赤虎の袖を持ちしっかりせぇよ!と揺さぶった…
『……悪かったな虎…お前を疑うて…』
『あのガキいよいよこの地域の黒原一家の聖域侵し始めよったッッ!ワシ黒原の親分に報告してくるでッッ!』
赤虎が席を立った時突然携帯が鳴った…
>> 285
👓28👓
電話は赤虎連合傘下の組員からだった…
『おぅワシじゃ!虎じゃ…おぅ…何や…おぅ…おッッ…!な、何やてワレもう一度ゆうてみッッ!……う、嘘やろッッ…』
『おぃ虎ッッ、どないしたんじゃ!』
様子のおかしい赤虎を見て銀龍が言葉をかけた…
『…アァ…まさか…アァ…』
『ゴゥラァ虎ッッ、何なんじゃいはよぅヌカせッッ!』
赤虎は事務所の玄関を飛び出した!銀龍も赤虎の後に続いた!
『おぃ銀ッッ、車あるかッッ!?乗せてってくれッッ!』
『コラァ虎ッッ、何があたんじゃボケッ、説明せぇワレッッ!』
『くッ、く黒原のッ、黒原の親分の本家が…身体にダイナマイトの爆弾巻き付けた白狼の鉄砲玉に突っ込まれて…屋敷毎爆発したんじゃッッ!』
『!ッッッッ、なッッ、なッッ、何やとォォォォォォッッッッッッッ!』
銀龍は思わず怒鳴り声を上げた!
『とにかく車じゃ、己の車借りるぞッッ!』
銀龍と赤虎は銀龍のセルシオに飛び乗ると一目散に黒原組の屋敷に向かった!
『コラッもっとスピード出さんかいワリャッッ、ビビっとん違うどッッ!無視じゃッ、信号なんか全部無視して飛ばさんかいッッ!』
『やッ、やっとるわボケッ、ガタガタ抜かすな鼻糞ッッ!』
>> 286
👓29👓
『そッ、…そんなぁ…う、嘘やろ…お、親分ッッ、親分ッッッッッッッ!』
黒原の屋敷に到着した銀龍と赤虎は余りにも凄惨な光景に目を疑った!屋敷の半分は爆弾の爆発で倒壊し、あちらこちらに爆風で飛ばされた組員の死体が転がっていた…
『お、親分ッッ、おぃ虎ッッ、親分やッ、親分捜せッッッ!』
壊れた瓦礫を掻き分けるように銀龍と赤虎は必死に黒原組総長、黒原一美の姿を捜した…
『こッ、この部屋にはおられんぞ銀ッッ!』
『グッゾッダリャャャャャャャッッッッッ!白狼のガキぬぁめた真似しやがってェェェェェェェッッッッッ!捜せッッ、親分は絶対生きてるッッ、黒原一美はこんな事位でくたばる男やないッッ、グゾォォォォォォッッ!』
親分ッ、親分と声が枯れる程叫び続けながら銀龍と赤虎は無惨に吹き飛ばされた瓦礫と化した屋敷内を歩きまわった…
『!ッッ、お…親分ッッッッ、黒原の親分ッッッッッ!虎ッ、親分がおられたッッ、こっちじゃッッッ!寝室じゃッッ!』
銀龍は一番奥の部屋で瓦礫に埋もれて虫の息の黒原一美の姿を確認した!
『親分ッッ、親分ッしっかりしてくなはれッッ!』
『カ…龍、…虎カ…ガハッ…や、油断…カ…』
『親分ッッ、親分ッッ!』
>> 287
👓30👓
『白狼ッ、白狼がやったんでんなッッ!?親分ッッ!』
銀龍は黒原の身体を抱き抱えるように持ち上げた…
『龍…クッ、と、虎ァ…よ、よう聞け…グッ…いッ、今すぐ…組のモン…つッ、…連れて街…出ろッ…グッ…』
『逃げろっちゅうんでっかッ、親分こんなにされてオメオメと己れらだけ逃げろっちゅうんでっか!?』
銀龍と赤虎は血だらけの黒原の顔を優しく撫でた…足元からはドクドクと鮮血が溢れ湧いて出ている…
『白狼は…カハッッ、知らん間ニッ…グッ…とんでもなく…ハアッ、お前らの手に…おえる相手や…な、ガハッ…ない…』
『何温い事言ってるんでっかッッ!こんなにされて黙って引き下がれっちゅうんでっかッッ、そんなん黒原の流儀に反する最低な事じゃッッ!』
銀龍が目の色を変えて叫んだ!
『そ、そやッ、ここにいる犠牲になった黒原の組員の為にもワレらは仇取っちゃるッッ!白狼ブチ殺したるッッッ!』
赤虎が続いた…
『アホンダラッッ、お…お前らはまだ若いんじゃ…カハッ…ハアッ、ハアッ…命を粗末に…粗末にすんやないッッ…グバッ!』
黒原は大量の血を吐いた…誰が見てももう助からない、そんな状況だった…
>> 288
👓31👓
『カハッ…お、お前らに…飲ませた盃の酒…あれなッ、ハアッ、ハアッ…《絆酒》っちゅうてなッ、…グッ…互いに…盃で酒飲み合ったら身体の中の神経が…一心同体になるっちゅう…インド古来の伝説の秘酒なんや…グッ…』
『やっぱり…あの酒が原因やったんか…』
銀龍と赤虎は顔を見合わせた…あの日この屋敷に来てから以降互いの身体に変化が現れた…だから痛みの共有はどう考えてもあの時飲んだ酒に何かカラクリがあったとしか二人共考えられなかったからだ…
『親分…酷い事しまんなぁ…よりによってコイツと…ハハハ』
銀龍は赤虎と顔を見合わせた…
『…龍、虎…お前ら身寄りがのうてワシが親代わりに引き取って…グゴッ…ガキの頃からずっと仲良ぅしてきてたのにハアッ、ハアッ…どこでどう間違うたか下らんいさかい始めよって…クッ、そ、そんなお前らワシ…ワシ見とれんかったんじゃ…ハアッ、ハアッ…』
『お…親分……』
銀龍と赤虎は始めて明かされる黒原の自分達への思いに目頭が熱くなった…
『お前ら二人にはいつまでも生き抜いて欲しい…せやからハアッ…辛さも共有…痛みも共有じゃ…仲良ぅやって欲しいワシの切なる最後の苦肉の策じゃ…ハハハ、わ、悪い事した…な…グッ…』
>> 289
👓32👓
黒原の息使いが荒くなってきた…
『親分ッ、もぅ解りましたよってッ…喋ると傷口がッッ…』
『た…頼んだぞ…ハアッ、ハアッ…仲良ぅな、仲良ぅ…ハアッ、ハアッ…』
銀龍は何かを覚悟したかのように溢れる涙を必死で堪えた…
『龍、虎…ハアッ、ハアッ…ハアッ、ハアッ…子供の頃ワシと三人で川に蟹採りに行ったんハアッ、ハアッ…おッ…覚え…ハ…と…る…ッ…ッッ……』
『!ッッ、おッ、親分ッッッッ!』
『親分ッッ、しっかり、しっかりして下さいッッ、親分ッ、親分ッッッッッッッッッッ!』
黒原は銀龍と赤虎の手を握り締めたまま満面の笑顔で息を引き取った…
『おッ、おやッ…おッッッ、ちッ、チッキショォォォォォッッッッ、ウラァッッッッッッ!』
赤虎はやり所のない怒りを爆発させ所構わず周りにあった瓦礫のガラス破片を足で割りまくった!
『カッ…か…必ず…グッ…必ず仇ッッと、とり…グソッダリャァァァッッッッッッッ!白狼のガキッブチ殺したるッッッッッ!ウォォォォォッッッッッッ!』
銀龍は断末魔のような雄叫びをあげると動かなくなった黒原のを抱えたまま鳴咽した…
>> 290
👓33👓
黒原一美の亡骸は郊外の霊園で荼毘に臥された…黒原組傘下の組員達誰もが厳しさの中にも子分達の事を第一に考える人望厚かった親分の死を傷んだ…
『銀兄貴ッッ、このままじゃ…済ませまへんでっしゃろ…』
『当たり前じゃボケッ、このままノコノコ隠れてたら黒原組の名が廃るわいッッ!』
子分の佐田の言葉に銀龍はいつになく低い声で答えた…
『昨日も南町の岡野んトコの組事務所も白狼のガキの奇襲受けた…組員全員半殺し、たまたま中におった若いアルバイトの女も連中にボロボロに犯された…おぃ銀ッッ、ぼちぼちあの調子コイとるガキャにけじめつけさす時が来たんちゃうけッッ!』
後ろから葬儀に参列していた赤虎が声を掛けて来た…
『…白狼のガキ知らん間に北部の勢力牛耳ってとてつもない組員の数になっとるそうじゃ!』
『数はどんくらいじゃッッ!?』
赤虎の組員が顔を出した…
『聞いた話ではざっと150人…くたばり損ないやはぐれ者ばっかりっすがみんな何等かの形でうちら黒原の人間に怨みを持っとる奴らの集まりですッ…』
『ボケッがッッ…くたばり損ないどもにこれ以上調子乗らせてたまるかいッッ、!』
銀龍が思いきり唾を吐いた…
>> 291
👓34👓
『…な、何の真似じゃ銀ッッ!?』
銀龍が赤虎の前で手を出し握手を求めて来た…
『勘違いすなッッ、この一件全部カタついたらまた己れ潰すッッ!…けど殺られたんはあの黒原の親分やッ、ここは一時休戦といこうやないけッ、お?』
『フッ…己れのドタマかち割るんはしばしのお預けって訳やなッッ…フッ、昔からそうや、いちいち格好つけるヤッチャなぁワレッッ!』
銀龍と赤虎は初めて手を握った瞬間だった…昨日までいがみ合っていた両方の組員達も組長の一時的和合に一斉に肩を叩き合った…
『で、どないするつもりじゃ銀ッ、こっちの戦力は傘下の組事務所の組員とこいつら合わせてもせいぜい2、30人てとこやどッッ!相手は約5倍の戦力…勝ち目はあるんかいッッ?』
『己れもたいがい温いのぉ!んなもん玄関から正々堂々と殴り込むに決まってるやろがッッ!黒原組は百戦錬磨のプロ集団じゃッ、数だけのガキのよせ集め集団なんかに負ける訳ないやろがボケッッッ!な、己れらそうじゃろッッ!?』
銀龍の言葉に周りの組員達は口々にそうだそうだ!と拳を振り上げた…
(やるしかないんじゃやるしかッッ、白狼のガキの首落とすまでは…)
>> 292
👓35👓
各方面の情報屋の証言で白狼商会の正確なアジトの位置が判明した…銀龍会と赤虎連合は共に協力し武装集団《龍虎》を結成し、白狼のアジト襲撃のXデーに備えた…
『北町のここッ、この山の中の廃墟が奴らの拠点らしいですわッッ!』
『ケッ、日の目を見れん正に汚ったないどぶ鼠どもが住むに相応しい場所じゃのッッ…』
銀龍の言葉に赤虎が苦笑いした…
『まずワシらが玄関から一斉に兄貴達の盾になり突入をかけまっさかいに兄貴達はワシらに構わず真っ直ぐこの奥の白狼の部屋に突っ込んで下さいッッ!』
佐田は情報屋から仕入れた廃墟の見取り図を指差し説明した…
『ま、待て…待たんかいッ…んな事したら己ら無傷で済まんぞッッ!』
佐田ら組員達は笑った…
『言いましたやろ?ワシらの命は兄貴達の為にあるんやって…それに兄貴達どっちかにもしもん事あったら共倒れになりますんやでッ…ここはこうするしか方法はありまへんッッ!』
佐田の言葉に両方の組員が頷いた…
『…わ…ワレら…』
銀龍と赤虎は子分達のただならぬ覚悟にさらに身を引き締めた…
『白狼のガキは手段を選びまへんッ、今のうちに身辺整理しときまへんと…』
佐田は腕組みをして二人を見た…
>> 293
👓36👓
『ハァ~…またあなたですか…』
翌日銀龍は城島第2病院の待合室の椅子に座り看護師の吉村岳美を待った…エンジのセーターにベージュのライトジーンズ姿の岳美はちょうど仕事終わりのようだった…
『あのね、前にも言いましたけど私ッ…』
『…忘れてくれッ、岳美さん…ワシの事は…もう今からアンタとはアカの他人じゃ…』
銀龍は視線を反らしたまま元気なく岳美に言葉をかけた…
『はぁ…元々そうでしたけど…あのぅ…何かあったんですか?』
岳美はあのいつものテンションとは違う銀龍を不思議そうに見つめた…
『ワシと一緒におるとアンタを命の危険に晒すかも知れん…せやからラブイズオーバーじゃ…悲しいけれど終わりにする…ほなッッ!』
『あッ、ち、ちょっとま……ッッ』
銀龍はゆっくり病院の玄関を出た…
(…ってゆっか…以前からずっと恋人同士みたいだったような言い方しないでよッッ!)
岳美は力ない銀龍の後ろ姿をずっと見つめていた…
『!ッそうだ、こんな事してらんないッッ!人に逢う約束があるんだった!』
岳美は腕時計を確認すると約束の場所に急いだ…
>> 294
👓37👓
『眠れんのか…銀』
その夜《龍虎会》と変更された組事務所の玄関口で夜空を眺めながら銀龍と赤虎は眠れない夜を過ごしていた…
『いよいよ明日じゃのぅ…おぅ虎ッ、煙草あるけ?』
赤虎は銀龍に煙草を差し出すとライターで火をつけてやった…
『星はえぇのう、ほら見てみぃ虎…』
『ケッ、何センチメートルになっとるんじゃボケッ…』
『…それ言うなら《センチメンタル》ッ!己れ中学出たんかッッ!』
『小卒じゃ悪かったなアホンダラッッ!』
銀龍と赤虎はフフフと笑い合った…互いが寄り合うと決まっていつもこの調子だ…だがこの緩い感じが二人共決して嫌いではなかった…
『…なぁ虎…あの酒の効き目いつまで続くんやろな…!ッッ、いッ、痛ァッッ、何すんじゃボケッッッ!熱いやないけッ!』
『ガハハハ…ほら、まだ効いてる証拠じゃ…残念やったなッ!』
赤虎は自分の手の甲に煙草を近づけると銀龍にもその熱が伝わり銀龍はクッソ~と悶えた…
『銀ッ…死ぬなよ…』
『あん?何じゃそりゃ…それはどっちの意味じゃ!ワシの事が心配なんか己れの命の心配してんのか…』
自分の命に決まっとるやろ!と赤虎は銀龍の頭を自分も痛くない程度に軽く叩いて笑った…
>> 295
👓38👓
秋が深まりこんな都会の真ん中でも虫の鳴き声が聞こえる…
『今日な虎、ワシ女と別れて来たんや…辛かったァ~』
『嘘付けボケッ…そのクッサい顔で女寄り付く訳ないやろがッ!』
銀龍は切なそうに空を見た…赤虎は横で黙っていた…
『惚れとった…心底惚れとった…こんな事態やなかったらワシもう今日とっくにあの熟れた身体ホテルで抱いてたやろナァ~…アァもったいな…』
『ケッ、どこまでメデタイんじゃ己れッッ…』
赤虎はどうせいつもの銀究極の片思い失恋パターンを思い浮かべながらにやけ顔で煙草を吹かした…
『看護師なんや…そらもぅ何もかもモロタイプ…ハァ~…生きて帰れたらプロポーズしたいなぁ…なぁ虎、女紹介してくれやッ!』
『コラッ己れ言うてる事メチャメチャやないけシバくぞボケッッッ!』
『…ワシらがこんなアホな話してる時親分ホンマに楽しそうやったよな…』
銀龍の言葉に赤虎は黙った…
『…そろそろ寝よか、銀…』
『…そうやなッッ…神棚に手叩いとくわッ…何もかも上手く行って白狼のガキの首落とせますようにってなッッ!』
赤虎は銀龍の肩を叩いてワシも拝むわ!神さんはクソ嫌いやけど…と笑った…
>> 296
👓39👓
机の上所狭しと小型トカレフ拳銃とドスと呼ばれる暴力団が使用する短刀が並べられ組員それぞれがそれらの入念な準備にかかっていた…
『よしッ、えぇかワレらッッ!ほな今から黒原組事務所爆発させて組長の命取った白狼の糞ガキのドタマかち割って同じ目に遭わせに行くからなッッ、準備はえぇかッッッッ!』
白狼商会事務所襲撃決行の当日、銀龍の掛け声とともに30人余りの組員は一斉に声を上げた!
『!ッッ、虎?赤虎はどこじゃいッッ!?こんな時に何しとんじゃあんの鼻糞ッッ!』
銀龍が捜していると奥の部屋から携帯電話を耳にかけたままの赤虎が悲痛な面持ちで現れた…
『コゥラ鼻糞ッッ、皆の士気を高めとる最中に何を電話さらしとんじゃボケッッ!』
『……おらん…何べん掛けても家に居てない…』
『あん?…どないしたんじゃワレ…』
『妹が…マンションに帰ってるはずの妹が…何べん電話しても…』
『い、妹ぉ?おぃ虎ッ、己れ妹なんかおったんけッッ?』
組員達が色めき立った…
『赤虎の兄貴…ま、まさか…!?』
『……う、嘘やろおぃ虎ッ、それまさか…まさか白狼商会にッッ!』
じゃぁかしい!黙っとけ!と赤虎は真っ青な顔色で取り乱していた…
>> 297
👓40👓
ジリリリリリンッッッ!
その時突然組事務所の黒電話が鳴った!
『もしもしッッ…』
赤虎が受話器を取った…
《クックック…気持ちえぇ…ホンマにもっそ気持ちエェ…たまらんわッッ…ヒッヒッヒ…》
『だ、誰じゃいッッ!その声ッッ、オンドレ白狼かッッ!白狼やなッッ!?』
受話器口から気味の悪い白狼の細い声が聞こえてきた…銀龍達は白狼からの電話に身を乗り出した…
《なぁ赤虎…己れの妹ホンマに気持ちエェ…こら何回弄んでも飽きへんなぁ~ウッヒャヒャ!》
『!ッッ、きッ、お、オンドレャャャャッッッッ、い、妹に何したッ、妹に…ワシの妹に指一本でも触れたら頭かち割るッッッ、てッ、手ぇ出したらマジ百回ブチ殺すぞッッッ!ゴゥラァァッッッッッッッッ!』
赤虎は真っ赤な顔で汗だくになりながら受話器に怒鳴り付けた!
《妹返して欲しかったら…ホレホレ、此処まで取り返しに来てみぃ!ウッヒャヒャヒャヒャヒャ!ワシの腰それまで持つかナァ~ガッヒャヒャヒャヒャ!》
『ゴゥラァァッッッ、ゴキブリがぁッッ、卑怯な真似しやがってェェッッッ!岳美はッ、岳美は何も関係もないやろガァァッッッッ!』
(た、岳美…岳美やとぉ!)
>> 298
👓41👓
『ブッ殺したるッッ、あんのガキ岳美にッッッッ、クソォォッッッ、どけッ、どけやゴゥラァァッッッッッ!』
赤虎は机のトカレフを無造作に腹にしまうと鬼のような形相で組員を振り払うように玄関から出ようとした!
『兄貴ッッお、落ち着いて下さいッッ!赤虎兄貴ィィィィィィッッッ!』
『こ、コラァ虎ァッッ、落ち着けッッ、落ち着くんじゃいッッッッ!』
銀龍や佐田達が荒れ狂う赤虎を羽交い締めにし必死に宥めた…
『ゴゥラァ離せッッ、離さな己れらからブチ殺すぞッッ!』
『虎ァッッ、聞けッ、ワシの話をッッ…』
『ジャカシィ!離せッッ、離せコラァ銀ッッ!』
バスッッッッッッッ!
次の瞬間赤虎の顔面に銀龍のパンチがヒットした!
『ハグァガッッッッッ!』
赤虎は勢いよく壁に飛ばされた!
『いッッ、痛いやないがッッ何すんじゃワレャ……ワ…ッッ!』
赤虎が銀龍を見ると銀龍も同様に頬を押さえて蹲っていた!
『ぎッ、銀ッッ!?』
『…フゥ~我ながらえぇパンチや…ヘヘ…最高や…イデデ…』
『銀…ワレ…』
落ち着いたか?と銀龍は自分の頬を押さえながら赤虎に手を差し延べた…
『…これで分かったけ?傷むのは己れだけやないッッ!ワシも同じ気持ちじゃ!』
>> 299
👓42👓
情報屋から詳しく道を聞いた吟太に道案内をさせ銀龍と赤虎達は険しい山の中をひた歩いた…
『兄貴ッ、あそこですッ!』
ひっそりとした山林の真ん中にまるでお化け屋敷のようにその廃墟は聳え立っていた…
『おぃ吟太ッ、見張りはどんな具合じゃ!?』
『へい…表にざっと15人ってとこですやろか…』
『15人け…虎ッ、どない思う?…おぃ聞いとんのか鼻糞ッッ!』
銀龍は手で顎を摩った…此処に来るまで赤虎は何も喋る事なくただ精気を抜かれた廃人のように銀龍に連れられて横にいるだけだった…余程さっきの白狼の電話がショックだったのだろう…よって今の赤虎の精神状態では白狼の姿を見た途端血相を変えてただ野獣の如く敵に真っ向から飛び掛かるに違いない…痛みを共有している銀龍にとり、赤虎のその行為は間違いなく共倒れの自殺行為と考えていた…
(しかし…虎の妹があの岳美ちゃんだったたぁ…クッソ、何から何までツイてねぇ…)
銀龍は一目惚れのあの看護師が赤虎の妹だと知り動揺を隠せなかった…
『銀…白狼のガキはワシが殺るッ…銀は手ぇ出すなッッ!』
『…なぁえぇか虎?お前の無茶な行動が即ワシの命にも繋がる、それだけは肝に銘じとけッッ!』
- << 301 👓43👓 『おぃ銀ッッ、ワレら忍者やないぞッッ!コソコソ隠れながら殴り込む機会待っとるのはワシの気性にゃ合わんッッ!玄関から堂々と行ったるッッ!』 赤虎は我慢に耐え切れなくなり立ち上がった… 『まッ待てや虎ドアホッッ!もうすぐじゃッッ、佐田ん奴が現れるまで待たんかいッッ!妹捕まってて苛立つ気持ちは解るがぁ事は慎重に起こさんとエライ目見てまうどッッ!』 その時バタバタとバイクの音がした… 『!ッッ、き、来たッッ、佐田やッッ!』 銀龍の子分の佐田はピザのバイクで廃墟に横付けした… 『な、何じゃいワリャ!』 『あ…へい、ピザの出前です…確かここで合ってると…』 ピザ屋の配達員に変装した佐田は地図を広げて考え込んでいた… 『おぃ、聞いてたか?』 『いや、ピザ頼んだなんて知らんど!』 玄関口の白狼の見張りの組員が顔を見合わせた… 『おぃ、頼んでないッッ、何かの間違いじゃッッ、失せろボケッッッ!』 白狼の組員は佐田をこついた… 『いや…せやけど確かにここに…』 『ワリャあんまりひつこいとノバすぞゴゥラァァッッッ!?』 組員達は佐田を囲むように睨み付けた…
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