💀ビリケン昭和の短編小説📓
前スレ
🎈手軽に読める短編小説~に引き続き、ビリケン昭和💀の短編小説始まります🎊
笑いあり涙ありシリアスありのテンコ盛り‼貴方も是非📓短編小説の虜になって下さいね💕お便り感想もどしどしお待ちしています💦
さぁて…最初のお話は…👂✨
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>> 50
🔥46🔥
『下の階でまた爆発が起きたみたいだよッ、モリーのおばちゃん…』
ビルの最上階のオフィスにいたシルビナは不安そうにモリーの服の袖を力強く掴んだ…
『大丈夫だよッ、あんな爆発どぉ~って事ないんだからねッッ!必ずお母さんが助けに戻ってくれるから…』
窓の外眼下に白煙が立ち上るのを眺めながらモリーはシルビナに出来るだけ優しい慰めの言葉をかけた…
『けど…こんな場所でじっといつまでもこうしちゃぁいられないねッッ…オマリーはトイレに行ったきりまだ臆病風に震えてるみたいだし…』
モリーはゆっくりしゃがむとシルビナに目線を合わせた…
『いいシルビナ…今からおばちゃんと階段をゆっくり降りてくよッッ?おばちゃん脚腰が痛いから亀さんみたくゆっくりだけど…こんな場所でじっと待ってるだけよかいいだろ?』
『…うん…でもおばちゃん大丈夫?歩けるの?無理しないでッッ!』
シルビナは小さな手でモリーの背中を摩った…
『フフフ、ありがと…アンタはお母さんに似て優しい娘だね…』
モリーはシルビナの前髪を整えながら微笑んだ…
『おいオマリーッッ!何してんのさッッ!非常階段で下に降りてくよッッ!早くトイレから出てきなッッ!』
>> 51
🔥47🔥
オマリー・スワンクはまるでお化けにでも遭遇したかのような青白い顔で男性トイレから出て来た…
『モリー、む、無茶苦茶だよッッ!降りてくなんてよせよッッ…下に行けばまた爆弾がドカン!なんて事になるんじゃないのかッッ?ヤダヤダッ…俺ヤダよッッ…まだ死にたくないッッ!』
『ハァ~…まだ短い付き合いで何だけどさッッ、アンタって野郎はホンット超がつく位の臆病者だねッッ!キンタマついてんのかいッッ!しっかりおしよッッ!アンタが降りないってなら二人で放って降りちまうからねッッ!さっきから薄い煙が立ち込めてただでさえ息苦しくなって来てんだからさッッ!さぁ行くよッッ、早くおし!』
『ねぇオマリーのおじちゃん…一緒に降りようよッ、怖くないから…ね?』
シルビナが震えるオマリーの手を気丈に握った…
『…こんな小さな子でさえきちんと状況飲み込んで対処してんだッ、大人のアンタが出来ない訳ないだろがッッ!』
モリーはシルビナの手を取り愛用の杖をつきながら非常階段の方に向かって歩き出した…
『わッ、分かったよ、行くよ…行くから待ってくれよ~ッッ!』
オマリーは自分の手荷物を担ぐと二人の後に続いた…
>> 52
🔥48🔥
『ウゥッ…い、イタイ…た、助けてッ、クッ…』
『大丈夫ですよッ、さ!傷口をしっかり押さえててッッ!なるべく出血を防いでッッ!』
『お願いッ、…は、早く病…院にッ、クッ…ハアッ、ハアッ…』
『意識をしっかり持ってッッ!寝ちゃ駄目ですッッ!目を見開いてッッ!あなたもですよッッ!』
10階の会議室ではまだ息のある負傷者にルイーザ達が懸命の治療を続けていた…未曾有の事故でビル内の救護室には当然の事ながら軽い応急手当をする程度の必要最小限の救急箱しか備わってなくルイーザの力ではそれ以上物理的にどうする事も出来ない状態だった…
『大変じゃ…さっきまで元気だった人々も次第に精気を失いかけてきとる…早く何とかせねば…』
汗だくのルイーザに先程の協力的な背広の老人が声をかけた…
『…そうですね…やはり私があの犯人と直接交渉してみます…せめて一刻を争う負傷者だけでも解放してくれと…』
『いや、それは危険じゃ…アイツはイカれた狂人じゃ…拳銃も持っておるし下手に刺激せんほうがよい…』
『じゃどうすれば…このままじゃ…!』
『とにかく考えろ…冷静に落ち着いて考えればどうにかなるッッ!』
老人はルイーザに笑いかけた…
>> 53
🔥49🔥
《チームファルコン聞こえるかッッ?チームファルコン応答せよッッ!》
《はい、こちらチームファルコン…現在地はビルの5階ホテル客室階にて生存者の捜索中ですッ!チームイーグルの現状を報告されたしッ!》
《こちらは建物の東部、破壊されたエレベータシャフト内をワイヤーロープにて上昇中…もうすぐ目的地10階に到達する模様ッ!どうぞッッ!》
メルベ班とゴメス班に分かれたS-SWATテロ対策特殊部隊は生存者救出に向けてゆっくりとそして着実に歩を進めた…
『長官の班は10階負傷者の所に向かっている…我々は各階にまだ生存する民間人がいないか、爆弾反応がないかを同時に調査するッッ!』
チームファルコンを指揮するゴメスがシンディ、サム、フローレンスらにいつになく緊張した声をかけた…フローレンスは特殊な金属探知器を背中に背負い、付近一帯をくまなく歩いて回った…
『ここには反応はない…』
『もう爆発物はないのかもしれないな…よしッッこのまま一階ずつ探索しながら上に昇り10階部分でチームイーグルと合流しようッ!』
ゴメス達は辺りに注意を向けながらゆっくり崩れ落ちた非常階段を昇った…
>> 54
🔥50🔥
(ハアッ、ハアッ…1時間切ったわ…ハアッ、ハアッ…)
その頃リサは満身創痍でビルの9階大広間にいた…結婚式の披露宴でも出来そうなきらびやかなシャンデリアとアールデコ調の壁紙を見ていると本当に今ここで大変な大惨事が起きている事さえ忘れさせる、それほど清楚で綺麗な部屋だった…
(ポール…ごめん…どんなに償っても償いきれないッッ!…クッ…)
いつまでもそんな感傷に浸っている場合でない事はリサが一番よく分かっていた…リサはゆっくり腰を上げるとキーホルダーの反応を確かめた…
(ハアッ、ハアッ…この上は10階…とりあえず早くみんなの待ってる10階に行って負傷者の状況を確認しないと…ルイーザ、うまくやってくれてるかしら…ハアッ、ハアッ…)
リサは負傷した肩をもう片方で大事に抱え込むとヨロヨロと大広間を歩き出した…
ピピピッッ!
(!ッッッ…)
リサが歩き始めた瞬間、キーホルダーが赤い光を放ちけたたましく鳴りだしたッッ!
(う、嘘でしょッッ!この階に爆弾が仕掛けられてるのッッ!?)
リサは慌てて辺りを必死に探したがキーホルダーがうるさく鳴る付近には爆弾らしき物体は存在しなかった…
>> 55
🔥51🔥
(嘘ッッ、どこッッ?爆破装置は何処にあるのッッ!?)
リサは考えられる全ての場所を探したが爆弾は見つからなかった…
(だけどキーホルダーがこんなに…こんなに反応しているのにッッ!まさか故障ッッ?)
大広間のど真ん中でリサの脚がピタリと止まった…リサは恐る恐るゆっくりと天井を見上げた…次の瞬間身も凍るような戦慄が身体中を走り回った!
(ま、まさか…あのシャンデリアの…中に…爆弾が…ッッ!)
天井の白を基調にしたシャンデリアの中に明らかに不自然な黒い物体が張り付けられているのがリサの眼にもはっきり解った…
(あそこで爆弾が爆発でもしたら…10階部分の床が抜けて…た、大変ッッ!クソッ、何て酷い事ッッ!)
天井のシャンデリアまでの距離は約6、7mはありリサの身長では到底届きそうもなかった…
(とにかくあの爆弾が起動してるかどうか何とかして確かめないとッッ!)
リサは部屋の隅にあった机や椅子を急いで重ね積み上げると慎重にそれに登った…
(もう少し…もう少しで……う…嘘ッッッ!)
リサの願いも虚しくそのシャンデリアの中の爆破装置は起動していた!
(ひッッ、あ、あと14分で爆発するッッ!ど、どうしようッッ!)
>> 56
🔥52🔥
(ど、どうしよ…あんな高い場所の爆弾私には到底解除出来る訳ないッッ…だからといってこのまま爆発させれば今10階にいるルイーザ達招待客が全員巻き込まれるッッ…となれば答えは一つッッ!)
リサは疲れた身体に鞭打つように非常階段めがけて走り出した!
(少しでも被害が少なくて済むように10階にいる人々を上階に避難させないとッッ!)
リサは階段を駆け上がると10階に人影がある会議室の扉を開けた!
『ねぇみんな落ち着いて聞いてッッ!この下の階にばッ…爆…だ…んッッ!』
『へぇ~爆弾が何だってぇ~?』
次の瞬間リサの左頬に鉛色の銃口が埋もっていた…
『!ッッ…あ…カッ…な、何…で…』
『死にたくなけりゃそのままゆっくり両手を挙げて部屋の真ん中まで来いッッ!下手な真似すると引き金引いちまうからなッッ!』
リサに銃口を突き付けたのは赤いシャツの髭男だった…
『貴方…どうして…さっきはあんなに…』
『リサさんッッ!そいつが貴方を狙った爆弾犯人だったのよッッ!』
側に座っていたルイーザが思わず声をあげた!
『う…嘘でしょ?…貴方が…そんな…』
『残念ながらその通りだ、リサ・ボナコフ君…』
リサの頬に銃口がさらに食い込んだ!
>> 57
🔥53🔥
『ねぇ貴方自分が何してるか解ってるのッッ!さぁ早く下の階のシャンデリアの爆弾の起動を解除しなさいッッ!今ならまだ間に合うッッ、罪を償えるッッ!』
『うるせぇッッ、てめぇこそ自分の置かれてる立場少しは考えたらどうなんだッッ!』
リサは思いきり床に叩きつけられた!
『ねぇお願い早くッッ、もう後何分もないのよッ、今すぐ爆弾を止めるかここにいる人々を避難させないと大変な事になるッッ!』
リサは赤いシャツの男に必死で掴みかかった!
『や、やめてリサさんッッ!』
『やめんかお嬢さんッッ!刺激するでないッッ!』
会議室はまさに一触即発の事態だった…
『てッ、てめぇ死にたいのかッッ!離せッッ!』
『こんな馬鹿げたゲームは終わりッッ!さぁ早く爆弾を止めるのよッッ!さもないと貴方一生後悔する事になるわよッッ!さぁ早くッッ!』
赤いシャツの男はウワァ~と叫びリサを振りほどくとリサの目の前に銃口を向けた!
『ケケケ、そうかいそうかいッッ、そんなに早死にしたいなら今すぐブッ殺してやらぁッッッッッッ!』
『キャァァァァァァァ!』
(殺されるッッ!)
リサはその瞬間思わず覚悟を決めた!
『死ねぇぇぇッッッッッッッ!』
ズキュゴォォォォォォォォォォ~ン…!!
>> 58
🔥54🔥
『……クッ、クソ……グ、グギャァァァァァァァァァッッッッ!痛ぇ痛ぇッ、ち、チキショォォォ~!』
リサは生きている事を実感した…同時に目の前で赤いシャツの男が鬼の形相でスローモーションのように床に倒れ込んでいくのが見えた…
『動くなッッ!そのまま頭に手を乗せて床に臥せろッッ!』
手にショットガンを持った迷彩服の数人が赤いシャツの男の回りを取り囲み一斉に銃を構えた!
『イテ…アガッ…い、痛ぇヨォ~ッッチキショッッ!いきなり撃つこたねぇだろがッッ!』
男の大腿部から鮮血が流れていた…どうやら迷彩服の部隊が放った弾が男の脚を貫通したようだった…男は隊員達に押さえつけられ観念した…
『お怪我はありませんかッッ?もう大丈夫ですから安心して下さい…』
隊員の一人がリサの手を取り安否を気遣かった…
『あ、貴方達は…?』
『世紀軍のテロ対策特殊部隊で派遣されたスワットチームです…長官のメルベ・シルバーマンと言います…爆弾テロの通報を受けこの階の負傷者達を救出せよとの任務を受けました…でもまさか爆弾犯人がこの場に潜伏していたとは計算外でしたが…でもまあ結果オーライですッッ!』
メルベはリサに微笑んだ…
>> 59
🔥55🔥
『良かった~…警察が助けに来てくれたんだ~』
リサの横にいたルイーザはホッと肩の力を抜いた…
『ま、待ってッッ!ここで落ち着いている場合じゃないのッッ!このすぐ下の広間のシャンデリアの中に今にも爆発しそうな爆弾があるのッッ!それを早くッッ!』
リサは再び火が着いたようにメルベに擦り寄った…
『爆弾ってもしかしてこれの事ですか?』
メルベはリサの眼前にあのシャンデリアにあったであろう爆弾を見せた…
『ヒッ、そ、それですッッ…で、でもどうして?』
メルベは他の隊員達と顔を見合わせ笑い出した…
『大丈夫ッ…これが貴方が言ってる下の階にあった爆弾装置ですよッ…さっきここに来る前に我々が火薬を察知出来る特殊金属探知器で解除しておきましたッ!だからもう心配ありませんッッ!アハハハ!危うくあと2分半って所でしたがねッッ!』
『よ…良かったぁ~爆発せずに済んだんだ…ありがとう、本当にありがとうございますッッ…私もう駄目かと…』
リサは緊張の糸が切れヘナヘナとその場に膝から崩れ落ちた…
『我々が来たからにはもう安心ですッ、さ、とりあえず重症の負傷者から順にあの壊れた出窓からヘリで輸送しましょうッッ!』
>> 60
🔥56🔥
《応答せよ、こちらチームイーグル、たった今ビル10階部分にいた負傷者約35名の安全を確認した!同時に今回の爆弾テロ犯人であると思われる男を確保、直ちにビル10階東側吹き抜けの割れた大きな出窓付近にヘリを付けて欲しい、繰り返す、たった今…》
メルベは無線機で地上で待機していた空挺部隊に連絡を入れた…負傷者達は隊員達に抱えられながら次々にヘリの到着するであろう出窓付近に集められた…助けられた人々は皆安堵の表情を浮かべ中には生きている事に感謝し、手を合わせる者もいた…
(終わっ…た…ハァ~…)
そんなにこやかな負傷者達の顔を横目で眺めながらリサはゆっくりため息をついた…そして引きずる脚でうなだれるあの赤いシャツの男の前に立った…そして持っていたウサギのキーホルダーを男に向けて思いきり投げ付けた!
『こ、こんな手の込んだ馬鹿やるんならその頭をもっと他の人々に役に立つ事に使ったらどうなのッッ!この場でアンタを無茶苦茶に捻り殺したい心境だけど…せいぜい刑務所でゆっくり亡くなった人々に詫びて生きなさいッッ!』
バチン!…リサのビンタが赤いシャツの男の頬に激しくヒットした…
>> 61
🔥57🔥
『痛ぇなッッ、俺が何したってんだよッッ!』
赤いシャツの男はリサを睨み付けた…
『まだとぼけるの?何十人もの命を奪ったこの殺人鬼がッッ!アンタがこのキーホルダーの無線機を使い私に爆弾処理ゲームを仕掛けた張本人じゃないッッ、しらばくれたって全部お見通しよッッ!』
リサは男の胸倉を掴んだ!
『ま、待てよッッ…そ、そんな事俺知らねぇよッッ!』
『嘘よッ、この人爆弾犯人だってさっき自分から言ったんだからッッ!』
今度はリサの横からルイーザが男を睨み付けた!
『いいかッ、聞け、俺は爆弾犯人なんかじゃねぇ!つぅか爆弾なんて作れる頭なんてないってッッ!』
『とぼけないでッッ、じゃぁ何故人質を取ってまで会議室に立て篭もってたのよッッ!』
『俺はただ金持ちそうな奴らが祭りに集まってたからよ、ちょっと脅かして軽く金品奪うつもりでこのビルに侵入したら偶然爆弾テロが起きて…ならこのまま爆弾犯人って事にしてた方が後々都合がいいかなって…』
リサは動揺した…同時に背中に言いようのない嫌な冷や汗が流れた…
『…それ本当なの?嘘じゃ…ないわよね?』
『この期に及んで嘘付いたって仕方ねぇよッッ…』
リサはキーホルダーを見た…
(嘘でしょ…!)
>> 62
🔥58🔥
『…ま、まさか…そんな事って…』
リサは男に投げ付けたキーホルダーを恐る恐る拾い上げた…
『どうしたのリサさんッッ!?』
心配そうにルイーザが言葉をかけた…
『…このキーホルダーが爆弾犯人との通信機になっていたの…もしこの男が爆弾犯人でないとしたら…』
『リサさんッッ!?』
リサの顔色がみるみる青白くなっていった…その時だった!キーホルダーのウサギの目が青く光った!
【おいおい、スワット部隊の力を借りるなんてルール違反だぞッ、リサ・ボナコフ君…フフフ…】
『!ッ、う、ウワァッッッッッ!』
リサは思わず尻餅を付いた…
『そ、そんな…嘘だッッ!』
【君とのゲームはまだ終わってはいない…一度目の爆弾処理男の時は大目に見てやったが再びスワット部隊の力を借りた君には今からペナルティを受けて貰うよッッ!】
リサの身体は恐怖にガタガタと震え出した!
『あ、アンタ…何処よッ、隠れてないで姿を現しなさいよッッ!』
リサは突然走り出し狂喜に狂ったかのように喚き散らした…
『落ち着いてリサさんッ、リサさんッッッ!』
『くそッ、出てこいクソ野郎ッッッ!そんなに私が憎いなら殺せばいいでしょッッ!ほら、容易なんでしょ、やりなさいよッッ!』
>> 63
🔥59🔥
『何だ、どうかしたんですかッッ?』
ヘリの到着を無線で指示していたスワット部隊長官のメルベがリサの異変に気付き近寄って来た…
『奴がッ、奴がまだ生きているッッ!』
興奮した顔でリサがメルベにしがみついた…
『お、落ち着いて下さい…奴って誰なんですかッッ?』
『奴よッ、あのクソ野郎の爆弾犯人よッッ!爆弾犯人はこの男じゃないッ、まだ他にいるのよッッ!何処かで私達を見てるのよッッ!』
『爆弾犯人はこの男ではない?それは本当ですかッッ!?』
『奴…スワット部隊の協力を得た罰だって…また何かしようとし…ッッ!』
その時リサは咄嗟に次の爆弾犯人の行動を予想した!
『だ、駄目ッッッ!ここにヘリを寄越しちゃ駄目ッッッ!お願いッ、みんな出窓から離れてッッ!奴は、奴はきっと爆弾でッッ…』
『落ち着いて下さいッ、大丈夫ですからッッ!もうすぐヘリが到着します、そして負傷者を全員救出しますからッッ!』
メルベはリサの肩をとり必死で宥めた…
『ちッ、違うのッッ!奴は見てるのよッッ、そして爆弾も遠隔操作する技術も持ってるのよッッ!お願いだから言う事聞いてッッッ!』
次の瞬間眼を覆うような光が辺りを包むと激しい衝撃と爆音が起こった!
>> 64
🔥60🔥
グゴゴゴゴォォォォォォォォッッッッッッ!!
『キャァァァァァァァッッッ!』
『ウ、ウワァァァァァァッッッッ!』
リサ達はあまりの爆風で身体ごと吹っ飛んだ!ヘリを待っていた負傷者がいた出窓のある踊り場は一瞬フワッと持ち上がったかと思うと次の瞬間床にひびが入りそのまま下階に真っ逆さまに崩れ落ちたッッ!
『ギャァァァァァァッッッ!た、助けてッッッ!』
『お、落ちるッッッッ!』
ひび割れ崩れ落ちた床に次々とヘリを待っていた負傷者達が落ちて行った!
『長官ッッ、!こ、これはッッ!』
『ま、まずいッ、ヘリをッッ、ヘリを引き揚げさせろッッ!グホッ、ゲホッ…爆弾犯人はまだ生きているッッ!』
ゴゴゴゴォォォォォッッッッ!
爆風で飛ばされたリサの周りの床も爆発の影響で今にも崩れ落ちそうだった!
『キャァァァッッ、リサさんッッ!』
『!ッッ、ル、ルイーザッッ!』
まるで蟻地獄にでも吸い込まれるかのようにルイーザの身体が割れた床の中央に吸い込まれていった!
『ルイーザ、手をッッ!』
『ハッ、…ングッ!ハッ…』
リサは間一髪ルイーザの手を掴むと何とか引き揚げようと力を入れて踏ん張った!
『ルイーザ、しっかり!』
>> 65
🔥61🔥
『ウワッッッ、な、何だッ、爆発かッッ!?』
上階での突然の爆発に10階に向かおうとしていたシンディ達チームファルコンのメンバーは一瞬その場で身構えた!
『おぃ、東側のすぐ上だッッ!みんな行くぞッッ!』
ゴメスの号令でチームファルコンは急いでフロアを走り抜けた!
『う、嘘だろッッ、まだ他にも爆弾が仕掛けられてんのかよッッ!冗談じゃねぇぜッッ!』
ひび割れた壁と濛々と立ち込める煙と砂埃が爆発の凄まじさを物語る…
『ねぇゴメスッッ、メルベ長官率いるチームイーグルはもう既に10階部分に到着しているはずッッ、…今の爆発はおそらく10階付近からッッ…』
『ッッてか、まだ運び出されてない負傷者もいるんだぞッッ!チキショめッッ!』
途中幾つもの壊れた鉄筋の間を潜り抜けるようにシンディ達チームファルコンは爆発のあった10階に懸命に急いだ…
『!ッッひッ…な、何て事だッッ!』
先頭を走っていたサムが立ち止まった!
『!ッッう……』
『まさか…嘘だろッッ!?』
チームファルコンが見たものは瓦礫の中に埋もれもう既に息絶えている負傷した民間人達だった…!
『あァ…あ、悪夢だ……』
『さっきの爆発で…な、何て事をッッッ!』
>> 66
🔥62🔥
『長官ッッ、今の爆発でスティーブとハリソンが…カッ、アァ…あとスペイシーの姿も見えませんッッ!…おそらく今の爆発で床が抜け…』
悲痛な面持ちでチームイーグルの生き残りの若い隊員がメルベの所へやって来て報告を入れた…メルベは唇を噛み締め悔しそうに拳を割れた床に叩き付けた後ゆっくりと歩伏前進しながらリサとルイーザの元に歩み寄った…
『だ、大丈夫ですかッッ?一体これはどういう事なんですか説明して下さいッッ!』
メルベは眼を真っ赤にしてリサに詰め寄った…
『ば…爆弾犯人はどういう訳かこの私を標的に爆弾解除のゲームを仕掛けて来たんですッッ、2時間以内にビル内全ての爆弾を解除しないとビルの何処かに備え付けたプラスチック爆弾でビル毎破壊すると…もう後40分あまりしかありませんッッ!』
『ぷ…プラスチック爆弾だと…チキショッ、ふざけた真似しやがってッッ…』
10階部分は床の殆どがさっきの爆発で抜け落ちそこから落下した負傷者達の身体の一部分しか確認出来ない状況、まさに地獄絵図と化していた…
『とにかくあなた方はそこを動かないでッッ!もうすぐチームファルコンが合流して生存者がまだいるか確認に向かいますッッ!』
>> 67
🔥63🔥
『大丈夫ですかッッ!?奥さんしっかり息出来ますかッッ!?』
『出血が半端じゃねぇ…おいフローレンスッッ!こっちにも包帯を投げてくれッッ!早くッッ!早くしろッッ!』
崩れ落ちた瓦礫の中をチームファルコンは必死で生存者の救出に当たっていた…
『おいシンディッッ!お前は10階に上がりチームイーグルと生存者の安否を確認しに行ってくれッッ!』
瀕死の老婆に人工呼吸を施していたシンディにゴメスが声を荒げた…
『わ、解った…此処は頼んだわよッッ!』
シンディはレスキュー用のワイヤーロープを割れた10階部分の床に投げ入れるとそのロープをゆっくり伝い登っていった…
『ゴメス…た、大変だ…スペイシーとハリソンが…ウゥッ』
サムに呼ばれゴメスが駆け寄るとその瓦礫の中にチームイーグルの一員であった二人のスワット隊員の無惨な死体が転がっていた…
『ち、チキショ…な、何て酷い事しやがんだ…』
ゴメスは目の前の辛い現実をどう受け止めていいのか解らなかった…
『…二人共こんな小さい時からのマブダチだったんだぞ…ち…チキショッッ、爆弾魔ッッ、何処だッッ、出てこいッッ!ウワァァァァッッッッ!』
落ち着け!とサムとフローレンスがゴメスを宥めた…
>> 68
🔥64🔥
『ち、長官ッッ!』
10階フロアに到着したシンディは爆風で全身血だらけのメルベと合流した…
『大丈夫ですか長官ッッ…その傷…硝子の破片がッッ…』
『私の事なら心配するな…それよりその瓦礫の向こう側の部屋の隅に女性の生存者が2名いる…救助部隊が来るまで側についていてやってくれ…恐怖でかなり動揺しているみたいだから…』
『了解しました…』
『どうやら爆破装置はまだ何処かにあるかもしれない…それに犯人は我々の行動を逐一見ているようだ…とにかく救助部隊が来るまで人命救助第一で我々は出来る限りの事をせねばならない…』
メルベは顔に刺さった硝子の破片をまるで髭でも抜くかのように簡単に抜き出した…
『では二人を頼んだぞッッ、俺はパウエルバースと一緒に崩れ落ちた下の階の生存者救出にあたるッッ!』
『落ち着いたら私も後で手伝いますッッ!』
シンディはメルベに一礼するとゆっくりとリサとルイーザがいる奥の部屋に歩み出した…シンディがまさに第一歩を踏み出したその時だった!
チュゴォォォォォォォッッッッッッッッ!
再び猛烈な熱と共に爆風が吹き上げ辺りが一瞬ねじれたかと思うような感覚の後大爆発が起きた!
>> 69
🔥65🔥
『ウワァァァァァァァァッッッッッ!』
シンディは猛烈な爆風と雨のような硝子の破片を浴びその場から数m吹き飛ばされた!シンディが後ろを振り向くと想像を絶する光景が広がっていた…
『そ…そんなッッ!』
パチパチと燻る火の粉の向こうでビルの10階部分の殆どが爆弾の衝撃で飛ばされまるで外にいるかのようにはっきりと夕方の空がそこに広がっていた…
『嘘ッ!ち、長官ッッ!長官ァァァァッッッッん!』
シンディは脚を引きずりながら必死でメルベ達の姿を捜したがそこは無残な瓦礫の山と化していて誰一人返信はなかった…
『チキショ…チキッッッ…ショ…クッッ!こんな事って…こんな事ってあるかよッッ!ウォぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッッッ!』
シンディは怒りのやり処が解らずただ喚き散らして持っていた銃を乱射した!
ズガガガガガッッッ!
『でッ、出てこいこのクソ野郎ッッ!出て来てこのアタイと勝負しろぉぉぉぉぉッッッ!チキショッッ、チキショォォォォォォッッッ!』
シンディは暫く喚き散らすとゆっくりと我に返っていった…
『フゥ~…フゥ~…チキショ…絶対にッ、絶対に長官達の仇は取りますからッッ!』
>> 70
🔥66🔥
シンディは生存者確保の為に西側奥の部屋に駆け出した…
『大丈夫ですかッッ!?誰かいますかッッ!?いたら返事して下さいッッ!』
生存者がいたであろうその部屋は濛々とあがる砂埃と爆弾の火薬の臭いが支配していた…
(チッ、さっきの爆破でもしかしたら…チキショッッ、野郎一体何人の命を犠牲にしたら気が済むんだッッ!)
シンディは部屋の奥から返事がない事を確認すると重い足取りで引き返そうとした…
『ま、待って下さいッッ、ここにッ、ここに2人いますッッ!』
『!ッッ…えッッ!?』
砂埃の向こう側から弱々しい若い女性の声がした…
『だ、誰か居るんですかッッ?』
おそらく声の主はメルベの言っていた2人の生存者らしかった…
『よかった…無事だったんですねッッ…今行きますッッ!』
シンディは袖で口元を押さえ埃を吸わぬようにゆっくりとガラスの破片の上を声のする方に向かって歩いた…
『大丈夫ですかッッ?お名前はッッ?』
シンディはぐったり倒れている女性と意識はしっかりしているが脚に大怪我をしているらしい女性を確認した…
『ルイーザ…ルイーザ・バーネット…』
『こちらの女性は意識ありますか?』
シンディはゆっくりと横たわる女性を見た…
>> 71
🔥67🔥
『さっきの爆風で壁に頭を強く打ち付けたみたいで…多分脳震盪を起こしてます…』
ルイーザが言葉をかけた次の瞬間シンディは思わず自分の目を疑った…
『…って…リサ?…おぃまさか冗談だろッッ!?リサッッ!何でアンタがこんな所にいんだよッッ!リサッ、リサァァッッ!』
シンディはこの女性はあのリサ・ボナコフに間違いないと確信した!
『えッ!リ…リサさんをご存知なんですかッッ?』
リサの目を醒まさせるよう必死で頬を叩くシンディにルイーザが問い掛けた…
『ご存知も何もッ、リサはアタイにとって忘れたくても忘れる事なんか出来ねぇ大切な友達だよッッ!おぃリサッ、起きろリサッッ!』
パンパンと頬を叩かれリサは次第に意識を取り戻し始めた…
『…ウゥ~ン…ン…!ッッ、…え?…シ…シン…ディ?…シンディッッッ!?嘘ッッ!』
リサは余りの驚きに咄嗟に跳び起きた!
『な、何でシンディがこんな所にッッ!?』
『それはこっちのセリフだっつぅのッッ!しっかしまさかこんな場所で再会出来るとは夢にも思わなかったよッッ!やっぱアタイらは赤い糸で結ばれてんのかな?』
リサは思わず少女のようにシンディに抱きついた…
>> 72
🔥68🔥
『世紀軍東海岸の特殊部隊に配属されたって風の噂には聞いてたけど…まさかこんな所で再会出来るなんて…嬉しいッッ!』
『アタイもビックリだよッ…モスクワに帰還しててっきり地元の新聞社に戻ったのかとばっかり…まさかアメリカ、それもこのシカゴにいたなんてッッ!』
二人はしばしの再会を喜んだ…
『あ、あのぅ…お二人は一体どういうご関係なんですか?新聞記者とスワット隊員…どう考えても結び付かないんですけど…』
傷ついた自らの脚に包帯を巻き付けながらルイーザは不思議そうに尋ねた…
『なぁ~に、5年程前とある場所で一緒に脱出ゲームをしたちょっとしたネズミ仲間だよッッ!なッ!』
シンディがそう冗談混じりに話すと全てを理解しているリサがフフッと笑った…
『アタイはシンディ…シンディ・モーガン…世紀軍対テロ特殊部隊S-SWATの隊員だッッ、よろしくお嬢さんッッ!』
シンディはルイーザに自己紹介した…
『あッ、さっき貴方と同じスワット隊員が助けに来てくれて…したら物凄い爆発が起きて…彼らは大丈夫ッッ?』
『……』
シンディは俯きがちに沈黙した…
『う、嘘でしょ…ま、まさかさっきの爆発で…嘘ッ…』
>> 73
🔥69🔥
『なぁリサ…一体ここで何が起きたのか説明してくれないかッッ?』
リサはシンディにこれまで起こった大惨事の一部始終を細かく説明した…
『なるほど…つまり犯人はリサを標的にこのビル数ヶ所に爆弾を仕掛け、それを2時間以内に解除させるゲームを仕掛けてきたって訳だ…それが出来ない時はビル毎吹っ飛ばすプラスチック爆弾が起動…何て事をッッ…狂ってやがるッッ!』
『このキーホルダーが爆弾探知器になっていて爆弾が近付くと赤い光を放つ…そして青く光ると爆弾犯人からの通信機器になるみたい…けどこっちからは呼びかけられなくなってる…用がある時向こうから話し掛けてくるの…』
『チキショッッ…ふざけやがって…で、爆弾は全て解除出来たのかいッッ?』
『解らない…奴は全部で10個仕掛けたと言ってたけど解除したのを合わせたらもうあと3つ位だと思う…』
シンディはゆっくり立ち上がり一度息を整えた…
『で…制限時間はあとどれくらい?』
『そうね…30分切った所かしら…』
『よしッッ、そのキーホルダーを貸してッッ!アタイが残りの爆弾を探して解除してくるッッ!』
シンディはリサにそのキーホルダーを渡せと手を出した…
>> 74
🔥70🔥
『シンディ…だ、駄目ッ…それは駄目よッッ、爆弾犯人はどういう方法か解らないけどこのビルの何処かに潜伏しているみたいなのッ、もし爆弾探しを私以外の人間がやってると知ったらきっとまた報復に出るッッ!』
『…そうね…ここまでの事やる奴だもん、それくらいはやりかねないかもねッッ!じゃぁどうするのさッッ!?』
リサは頭を抱えてゆっくり立ち上がった…
『私もッッ、私も一緒に行くッッ!プラスチック爆弾なんてそう安々と爆破させてなるもんですかッッ!』
『だ、大丈夫かよリサッッ、アンタ怪我してんだろッッ、無理すんなって!』
シンディはリサの細い肩を優しく抱えた…
『私が行かなきゃ…この馬鹿げたゲームは終わらない…クッッ、シンディ…悪いけどまた協力してくれるわよねッッ?』
リサはシンディを見上げた…
『あったりめぇじゃんかよッッ!アタイだってまだメルベ長官達の仇取ってないんだからねッッ!』
リサとシンディは固く握手をした…
『フフフ…5年振り、伝説の名コンビ復活だねッッ!』
リサが苦笑いするとシンディは口元を緩ませた…
『ルイーザ、貴方はここに居てッ!必ず助けに戻ってくるからッッ!』
>> 75
🔥71🔥
かくしてリサとシンディはあのサガンの捕虜収容所の時と同じように再び走り出した!
『ハアッ、ハアッ…12階から上は企業オフィスになってるの…急いで回れば何とかなるッッ…あ、そだシンディッッ、爆弾の解除の仕方解るッッ!?ハアッ、ハアッ…』
『アタイを誰だと思ってんのッッ!?泣く子も黙るあのシンディ・モーガン様だよッ!爆弾の一つや二つ何て事ないさッッ、ハアッ、ハアッ…』
14階まで何事もなくクリアすると二人は次の階に向かって階段を駆け上がった!
『!ッッ、し…シルビナッッッ!』
15階に向かう階段の踊り場でリサの目にモリーに抱き抱えられた愛娘シルビナの姿が現れた!
『ママッ!ママァァァァッッッッ!』
シルビナは思い切り母リサにしがみついた!
『良かった…アァ…本当に良かった…怪我はない?』
『うんッッ、シルビナ強かったよッ、モリーおばちゃん連れて階段ここまで降りて来たんだからッッ!』
『うんうん、いい子ッッ、シルビナは本当にいい子だよッッ!』
リサはシルビナに頬ずりして再会を心から喜んだ…
『ホンット…オマリーの奴こんな時男の癖に全然役に立たないんだからッッ!』
『モリーッッ、ありがとう…今までシルビナを守ってくれて…』
リサはモリーに抱き着いた…
>> 76
🔥72🔥
『あ…リサ、こちらの方は?』
シンディの存在に気付いたモリーがリサに尋ねた…
『彼女は世紀軍テロ対策特殊部隊S-SWATの隊員シンディ・モーガン…ほら、モリーにいつか話しをしたじゃないッッ!』
『!ッ…シンディって…も、もしかしてサガンの捕虜収容所から脱出したっていうあの相棒のッッ!?うわぁ凄いッッ、嘘みたいッッ!どうしてここにッッ!?』
『…ども、シンディ・モーガンです!大変でしたねッッ…もう安心して下さいッッ!』
シンディはモリーに軽く会釈した…
『ママのお友達なんだ…よろしくねッッ!私はシルビナ・ボナコフですッッ!』
シンディの足元にシルビナが親しげに近寄ってきた…
『初めましてお姫様ッッ…へぇ~、リサにこんな可愛い子供がいたなんてビックリだよ…』
『皆でゆっくりお茶して世間話をしたい所だけどもう余り時間がないッッ!行くよリサッッ…』
シンディがシルビナの髪を撫でるリサに早く爆弾をと声をかけた…
『そ、そうね…シルビナ聞いてッ?ママ、シンディと一緒に行かなきゃなんないの…このままモリーとゆっくりと下に降りて行けるわね?』
シルビナは不安げな顔をしたがゆっくり母の言葉に頷いた…
>> 77
🔥73🔥
『み、みんな待ってくれよ~、置いてかないでくれヨォ~ッッ!』
リサとシンディが再び歩みだすと上から腰をカタカタ震わせたオマリーが降りて来た…
『ちょっと大丈夫オマリーッッ、歩けるッッ!?』
登山にでも行くのかと思うくらい大層なデイバックを背中に下げ、モリー達と一緒に階段を下りてきたオマリーが合流した…
『ホンット役に立つ所か足を引っ張ってばかり…どうしようもない男だねアンタはッッ!』
『ダダダだっていつまた爆弾が爆発するかと思うだけで腰がッッ…ガハッ…』
『あの人は誰?』
シンディがリサに尋ねた…
『あぁ、彼は最近ウチの編集部に入った新米記者よ…どうも臆病者でモリーも手を焼いてるみたいだけど…フフフ』
『……そっ…んな事より急ごうリサッッ!』
『オッケー、行くよシンディッッ!オマリーッッ、二人を頼んだわよッッ!男なんだからこういう時位しっかりしてねッッ!』
リサはシルビナに手を振るとシンディと一緒にさらに上の階に駆け上がって行った…
『こ、怖くないのかな…爆弾の真っ只中に突っ込んで行くなんて人間じゃねぇよ、自殺行為だって!アァまた下痢が…ウッ…』
オマリーはそう言うとまたトイレに駆け込んだ…
>> 78
🔥74🔥
『16階部分は爆弾反応なしッッ、次は17階よッ、ハアッ、ハアッ…』
静寂な空間にカンカンカンと二人が金属性の非常階段を昇る音だけが兒玉していた…17階の貿易会社のオフィスを隈なく捜索しながらリサは10階に置き去りにしてきた看護学生のルイーザの事が気にかかっていた…
『シンディ…家族とはどうなの?ハアッ、ハアッ…上手くいってるの?』
リサはシンディに話し掛けながらも神経はキーホルダーに向いていた…
『……旦那とは去年離婚したよ…一人息子も彼が引き取ってさッッ…今は華の独身貴族さッ…そういうリサこそいつ結婚したんだい?子供までこしらえてさッッ…ハアッ、ハアッ…』
シンディはいつ爆弾が見つかってもいいように解除キットの工具をポーチから出した…
『私は…主人は結婚してすぐに交通事故で亡くしたの…お腹にまだシルビナがいた当時にね…』
『…そっか、すまない…悪い事聞いちまったねッッ…』
『うぅん全然…でもあれから互いに色々あったんだね…何かあの頃が懐かしいわ…』
『おぃおぃ…アタイはもう砂漠はウンザリだよッッ!』
二人は顔を見合わせ微笑んだ…
ピピピッッッ!
その時キーホルダーの目が青く光った!
『!ッッ、奴よッッ!』
>> 79
🔥75🔥
【どうだね…残りの爆弾は発見出来たかね…フフフ】
リサとシンディは立ち止まり声のするキーホルダーを凝視した!
【どうやらさっきの爆発でスワット部隊は全滅したようだね…俺の怖さを思い知ったかい?】
『ふ、ふざけるなこのケダモノッッ!さっきの爆発さえなけりゃ重症の怪我人だってもう少しで病院に輸送出来たはずだったのよッッ!それを…ひ、酷いッッ!』
今度はリサが持つキーホルダーをシンディが取り上げた!
『おぃコラてめぇ爆弾魔、耳かっぽじってよォ~く聞きやがれこのブタ野郎ッッ!残念ながらな、スワット部隊は全滅しちゃいねぇ!まだここに生きてるぜッッ!死んだ仲間の分までテメエに生き地獄味わせてやっから覚悟しとけッッ!』
【……おや…リサ君約束が違うじゃないか…君はまたスワット隊員の力を借りて爆弾を処理しようとしてるのかね?…仕方のない奴だ…また罰を受けさせねばなるまい…】
『あ…アンタ一体誰なのッッ!?何処にいるのよッッ!?いい加減姿を現したらどうなのッッ!?』
【フフフ…私は君達を見ている…残りの爆弾を解除出来ないとあと15分足らずでプラスチック爆弾の起爆スイッチが入る…まあせいぜい頑張りたまえッッ!ガハハハ!】
>> 80
🔥76🔥
『チキショッッ!絶対に爆弾は爆発させないッ…ハアッ、ハアッ…』
20…25階と二人はがむしゃらに爆弾を捜索していったが反応はピタリと止まっていた…
『しかし妙だね…奴はどうしてリサだけを標的にしてきたんだろうね、ハアッ、ハアッ…』
『まぁ私もジャーナリストというこんな因果な仕事してるんだから記事を載せたら殺すとかいう内容の脅迫めいた電話やメールもしょっちゅうだけど…ハアッ、ハアッ…確かに今回の犯人は特別私個人に怨みを持ってるみたいねッ…』
二人は遂に29階部分の機械室に到着した…
『ここをクリアすればあとは30階最上階の私のオフィスだけ、ハアッ、ハアッ…』
『爆弾反応はッッ!?』
シンディは大きな機械の周りを懸命に捜索した…
ピピピ…ビビビビビッッッ!
その時キーホルダーから今までより一番強い光と音が響いた!
『!ッッシンディッッ、あるわッ、この部屋よッッ!…ま、まさか嘘でしょ…それも3個同時に反応してるッッッ!』
『まッ、マジかよッッッ…ど、何処だッッ、探せッッッッッ!』
二人は灰色の太いパイプの中を反応のある方へ必死に走った…もう二人の体力は限界に近付いていた…
>> 81
🔥77🔥
『!ッッ、あった…シンディあったわッッ!こっちよッッ!』
爆弾は機械室の一番奥の金属性のパイプの底に3個並んで粘土のような物でしっかり張り付けられていた…
『…さ、最悪だわ…』
『どうしたリサッッ!』
後から駆け寄って来たシンディもその爆弾を見て絶句した!
『…む、無理だわッッ!』
爆弾は3つとももう既に爆発へのカウントダウンを開始していた…それもあろう事か全て同じ時間を刻んでいたのだ!
『こ、これを3つ同時に時間内に外せってかッッ!チキショッッ、どう考えたって不可能に決まってるッッ!』
シンディは汗を拭った…
『どうするッ、ねぇどうするのシンディッッッ!』
『待て待て待てッッ、い、今考えてるッッ………』
シンディは腕組みをして考えていた…3つの爆弾の制限時間はあともう3分を切っていた!
『し、シンディ早くッッッ!』
『…リサッ、このビルに屋上はッッ!?』
『あるわッッ、うちのオフィスの非常口を抜けて真っ直ぐ昇る階段がッ…でもどうしてッッッ!?』
『よし、それだッッ!』
シンディは爆弾を粘土から取り外すと両脇に抱えた!
『リサッ、さぁ爆弾を持って!このまま屋上で爆発させるからッッ!』
>> 82
🔥78🔥
『爆弾を屋上で爆発させるなんてッ、無茶よッッ!』
『じゃぁこのまま爆発すんのを指くわえて見てるのかいッッ?3つ同時に爆発したらこのビル自体どうなるか解んないんだよッッ!こうなったら一か八かやるしかないだろッッ!ハアッ、ハアッ…さぁ走れリサッッ!死ぬ気で走れッッッ!』
二人は爆弾を抱えながら最上階世紀軍国際日報シカゴ支部オフィスに到着した!
『ハアッ、ハアッ…あ、あと一分半ッッ、リサどこだッッ、どのドアだよッッ!』
『その突き当たりの銀色の奴ッッ、ハアッ、ハアッ…』
シンディは言われた通りのドアのノブを持ってドアを開けようとした…
カチャ…カチャカチャ…
『!ッッ、ってこったいッッ、鍵が…鍵がかかってるよチキショッッ!リサッここの鍵はどこだッッ!?』
『嘘ッ…鍵が掛かってるはずないわッッ!確かそこはいつも解放してあったはずッッ!鍵は守衛さんが持っるけど…』
『チキショッ、それじゃ間に合わないんだよッッ!』
シンディは爆弾を少し離れた場所に置くと鍵のかけられたドアに腰にかけていた隊員護身用のマシンガンを構えた!
『ウッラァァァァァァァァッッッッ!』
ズガガガガッッッッ!
>> 83
🔥79🔥
火薬の猛烈な臭いと銃撃音が部屋中を支配した…
『ウリャッッッッ!』
ドアに何十発か弾を撃ち込んだ後シンディは思いきりドアをガンッ!と蹴破った!
『さぁ急げリサッッ、あと50秒だッッ!』
『う、うんッッ!』
リサとシンディは3つの爆弾を抱えると非常口の階段を屋上に向かって駆け登って行った!
『あと30…29秒…落ち着けッッ、ハアッ、ハアッ…間に合うッッ!』
『もう、もう駄目よシンディッッッ!爆発しちゃうッッ!』
『アタイを信じろリサッッ!火事場の糞力を出せッッッ!』
カンカンカンッッッ…
二人は遂に屋上に到着した!
『イヤァ、あと10秒…どうするのシンディッッ、シンディッッッッッッ!』
『思い切りッッ、思い切り空に向かって投げろッッ!早くッッ!オッリャァァァッッッッ!』
シンディは持っていた二つの爆弾を夜の闇にほうり投げた!
『フンッッッッッ!』
続いてリサも最後の爆弾を空にほうり投げた!
『伏せろリサッッッッ!』
『!ッッ、…ッッ!!』
次の瞬間漆黒の摩天楼に花火のようなまばゆい光が現れたかと思うと同時に激しい爆発音が二人の上空を包んだ!
ピー~…
…ドォゴォォォォォォォォォッッッッ!
>> 84
🔥80🔥
パチパチと白煙とともに爆発した爆弾の破片がまるで季節外れの粉雪のようにハラハラと辺りに散らばった…
『………大丈夫…リサッ、…ハアッ、ハアッ…』
『…ハアッ、ハアッ…お…終わったの?…私達助かったの?…』
服に振り注いだ破片や細かな瓦礫をパンパンと払い落とすとリサとシンディは互いに支え合うようにしてゆっくり立ち上がった…
『ハアッ、ハアッ……』
『間一髪ッッ、3つともうまく空中で爆発してくれたわね…ハアッ、ハアッ…』
『これで全部…全部の爆弾を解除出来た…ハァ~…良かったァァ~』
リサは緊張の糸がプツリと切れたようにその場にまたヘナヘナと崩れ落ちた…シンディがリサの肩を叩いた…
『よくやった…よく頑張ったよリサッッ!アンタはやっぱり最高の女だよッッ!』
『うぅん…シンディが…あの時と同じようにシンディが、シンディが私の側で勇気をくれたから私頑張れたんだよッッ、…有難うシンディ…貴方こそやっぱり凄い女性だよッッ…』
リサはシンディに抱き着いた…同時に堪えていた大粒の涙がポロポロとリサの頬を伝った…
『…さぁ、娘さんの所に行こッッ!』
『……うん…』
リサはシンディに抱えられ立ち上がった…
>> 85
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【ブラボーブラボーッッ!お見事だったよリサ・ボナコフ君…まさかここまでやるとは想像も出来なかったよ…ククク】
階段を下っているといきなりリサのキーホルダーが青く光った…
『どうッ、見ての通り爆弾は時間内に全て解除したわッッ!ざまあ見ろッッ!後は能無しのアンタを捕まえて捻り殺すだけッッ!アンタの負けよ爆弾魔ッッ…観念しなさいッッ!』
リサはキーホルダーに怒鳴り付けた…
【おぃおぃ…まだゲームは終わっちゃぁいないよッッ…フフフ…】
『!ッッてそれどういう意味よッッ!?』
リサは目を見開いた…
【今…ビル毎木っ端みじんに出来る高性能のプラスチック爆弾がビルのほぼ中央、15階にある…フフフ、それを阻止したければ今すぐ15階に来いッッ!最期に素晴らしいショーを見せてやるッッ!】
『ま、待ちなさいッッ、それって…』
キーホルダーの光が消えた…
『奴…プラスチック爆弾を起動させるってッッ!?』
横で話を聞いていたシンディが唇を噛み締めた…
『15階にプラスチック爆弾があるって…シンディッ、行きましょッッ!』
『ッしゃ!それを解除して全て完全に終わらせてやるッッ!』
リサとシンディは駆け出した!
>> 86
🔥82🔥
『プラスチック爆弾は何処ッッ?ハアッ、ハアッ…』
15階に到着したリサとシンディは血眼になってプラスチック爆弾らしき物体を探した…
『ないッ、この部屋にはないわッ、後はあの奥の倉庫だけッッ!』
リサとシンディは資料倉庫と書かれたドアを勢いよく蹴破った!そこは電気も停電し真っ暗な闇が広がっていた…
『シンディッ、明かりはある?』
『あぁ……』
シンディはポーチから懐中電灯を取り出し光をともした次の瞬間、信じられない光景を目の当たりにした!
『!ッッ…モ、モリー…モリー?…モリーッッッッッ!?』
『まさか…う、嘘…だろ…そん…な…』
二人の足元に何とモリーの無惨な首を切られた死体が転がっていたのだッッ!
『モリーッッッ、そんなァッッ、モリーッッッッッッッ!』
リサの必死の呼び掛けにモリーの死体は答える事はなかった…
『ひ…ひでぇ…最悪だ…何、何て事ッッ…』
シンディはあまりの非情さに思わず目を背けた…
『ウゥ…モリー…そんなぁ…酷いッ、酷すぎるッッ!』
『ママァッッッッ!』
次の瞬間倉庫の奥で娘シルビナの叫び声がリサの耳にはっきり聞こえた!
『!ッッ、し、シルビナッッッ、シルビナァァァッッ!』
>> 87
🔥83🔥
『シルビナ何処ッッ、シルビナァァァッッッ!』
リサは必死に声がした方を探した…
『!ッッ、り、リサッッ、見ろッッッ!』
先にシンディがシルビナを見つけた…
『シルビナッッッ!』
そこには鉄の支柱に身体を縄で巻かれたリサの愛娘、シルビナの姿があった!
『シルビナッッ!』
『ママァァァァァァッッ!』
リサがシルビナに駆け寄ろうとした時、キーホルダーからまた声がした!
【動くなッッ、そこから動くと娘の命はないぞッッ!】
『きッ、貴様ァァァァッッッッ!シルビナにッ、娘に何をしたッッ!?』
シンディは人の気配がして思わず銃を構えた!
【ぉっと…隣のスワット隊員さんもその銃を下ろして貰おうか…早くしろッッ!】
シンディはゆっくり銃を置いた…
【まさかまさかだよ…最後の手段まで出させるとはさすが元マスランダ軍サガン捕虜収容所から脱出しただけの事はある…フフフ】
『な、何でその事をッッ!?』
シンディとリサは息を懲らして辺りを注意深く観察した…
『出て来て顔を見せなさいッッ!そこの影に隠れてるのはお見通しよッッ!』
リサはシルビナのいるすぐ横の柱の影を凝視した!
コツ…コツ…
爆弾犯人が初めて姿を見せた!
『!ッッッ、う…嘘ッッ!?』
>> 88
🔥84🔥
『し…信じられないッ…貴方が…貴方が爆弾犯人だったの?』
リサとシンディはあまりの驚きで身動き出来なかった…
『もっと早くに気付かれると思ったけどね…二ヶ月もの潜入期間、馬鹿で臆病者の演技をするのはほんと~に疲れたよッ…フフフ』
リサとシンディの前に現れたのはあの新米編集部員のオマリー・スワンクだった…
『オマリー…ど、どうして…貴方なのッッ?』
『冥土の土産に教えてあげよう…何故私がお前を標的に選んだのか…』
『そんな事どうでもいいッッ、早く娘を解放しなさいッッ!』
『最後まで聞けッッッッ!』
オマリーはリサの言葉を制止した…
『…アンタまさか…マスランダ軍の残党…』
シンディがオマリーを睨み付けた…
『……おぃおぃ…そこのスワット隊員…もしかしてお前シンディ・モーガンかッッ?…ハハハ、こりゃぁ驚きだッッ!まさかこの場でシンディ・モーガンにも逢えるとはなッ、サガン捕虜収容所解放の英雄二人がここに集結した訳だッ、ガハハハ、俺は何て強運の持ち主なんだッッ!』
『あ…アンタ一体何者なのッッ?』
リサとシンディは不気味に笑うオマリーを睨み付けた!
>> 89
🔥85🔥
『ダイー・ムハマドを覚えているかッ?』
リサとシンディの表情が一変した!
『えぇ…忘れたくってもあのヘラヘラした髭面は今もまだ脳裏に焼き付いているわッッ…5年前灼熱のサガン捕虜収容所で身柄を世紀軍に拘束されたマスランダ軍最高司令官…それがどうかしたのッッ!?』
『ムフフ…まだ気付かないのか…私はそのダイーの息子、ラビモー・ムハマドだッッ!』
『!ッッ、な…何ですって!?』
二人は驚きの余り思わず声を上げた…
『あの日お前らのせいで我がマスランダ軍はペルシャ湾一帯の前線基地を世紀軍に次々と爆撃され事実上軍の崩壊へと繋がっていったのだッッ!お前らさえ逃げ出さなければ我がマスランダ軍は有利に戦争を牛じれたものをッッ…だから俺は誓ったんだ…まずはお前ら二人、手始めにまずリサ・ボナコフ…お前から復讐しようとなッッ!シンディ・モーガンはこの後ゆっくり血祭りに上げる予定だったが…まさかこの場に二人いたとは好都合だったぜッッ!』
『ダイーの息子…まさか、そんな残党がまだ生き残っていたなんて…』
リサはこれで今回の事件の全てを飲み込めた…
『それだけの為にこんなにこんな爆弾ゲームを…許さない…絶対に許さないッッ!』
>> 90
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『ケッ…それだけの為に随分尊い命を犠牲にしてくれたもんだな糞野郎ッッ!…その罪はデカイぜ…きちんと償ってもらわねぇとなッッ!』
シンディはオマリーことラビモー・ムハマドをさらに睨み付けた!
『さぁ、プラスチック爆弾は何処ッッ?素直に出せば少なくともこの場では絞め殺したりはしないから…ま、世紀軍の軍国最高裁判では死刑判決は免れないだろけど…』
『強がっていられるのも今のうちだ…縛られている娘の首を見るがいい…』
リサはシルビナの首に見慣れない鉄製の首輪を確認した…
『……アンタ…まさかッッ!』
『そう…そのまさかだよッッ…娘の首にはまっているのがまさしくプラスチック爆弾さッッ!』
ラビモーはそう言うや否や右手に持っていたプラスチック爆弾の起動装置をオンにした!
ピピ…ッッ!
『き、貴様ァァッッ、やめろォォォォォッッッッッ!』
『イヤァッッ、ママァ!ママァ助けテェ~ッッッッ!』
その時一瞬のスキをつきシンディが床に置いていたマシンガンを手に取ると倒れ込むようにラビモーの脚めがけて乱射したッッ!
ズガガガガガァァァッッッ!
『!ッ、い…ヒッ…いてッ、ウギャァァァッッ!』
>> 91
🔥87🔥
脚を撃ち抜かれたラビモーは悲鳴を上げながら転がるように壁に激突した!
『こんの野郎ッッッ!』
シンディはラビモーに馬乗りになると顔に数発のパンチを浴びせ羽交い締めにした!
『フグッ…ゲハッ、ゴホゴホ…』
『とうとう捕まえたぞこの糞野郎ガァッッッッッッ!さぁ今だリサ、娘をッッ!』
リサは飛び付かんばかりに愛娘シルビナに抱き着いた!
『ママァ~ッッッ!』
『シルビナ…アァ、シルビナ…大丈夫、もう大丈夫だからねッッ、怖い思いさせてゴメンね…ゴメンねッッ…』
リサはシルビナの縄をほどくと壊れるくらい強く抱きしめた…
『シルビナ…もう二度と離さない…もう何処へも行かないからねッッ…』
『ママァ…怖かった…怖かったヨォ~!』
気丈なシルビナが初めて母の前で見せた涙だった…
『おぃ糞野郎ッッ、シルビナの首に掛かったプラスチック爆弾の起動を今すぐ止めろッッ!さぁ早く、早くしろッ!』
『ヘヘヘ…無駄だ…そいつは一度起動したらもう無理だ…イヒヒ、貴様らの頭では爆弾を解除等不可能…娘もろともあの世に行きなッッ!ケケケ…』
『てんめぇブッ殺してやるッッ!』
シンディはラビモーを幾度となく殴り付けた!
>> 92
🔥88🔥
『どうしよ…アァ、どうすれば…』
リサはシルビナの首に巻かれたプラスチック爆弾を何とかして取り外そうと死に物狂いだった…
『ママァ…もういいよ…シルビナを置いて逃げてッッ…でないとママやシンディおばちゃんまで死んじゃうよ?』
『ばッ、馬鹿ッッ!そんな事出来る訳ないじゃないッッ!貴方を置いて逃げる位ならママもここで一緒に爆発して死ぬわッッ!もう二度とシルビナから離れないッッ!』
リサは娘にどうしてやる事も出来ないふがいなさに涙が溢れた…
『チキショ…アタイの処理技術じゃ到底無理だよ…すまないリサ…』
シルビナの首に掛かったプラスチック爆弾を何とか解除しようとシンディも試みたがやはり無理だった…
『シンディ…もう諦めた…だから貴方だけでも逃げてッ!』
『バカヤロウ!アタイだけオメオメと逃げてたまるかよッッ!…リサッ…アタイ達は無二の親友だろ?親友ってのはな、友達の危機に最後の最後まで一緒に居るもんなんだよ…』
シンディはリサの横にドサッと胡座をかいて座った…そしてゆっくりとリサの手を握った…
『シンディ……ありがとうシンディ…』
プラスチック爆弾のタイマーはもうあと4分を切っていた…
>> 93
🔥89🔥
『おい糞野郎ッ、テメェも今回の責任を取ってアタイらと一緒にあの世に逝ってもらうからなッッ!』
シンディは負傷して動けない爆弾魔のラビモーを睨み付けて言葉を放った…
『ひ、ヒイッ…た、助けてくれッッ、頼む…』
『何十人もの人間を爆弾で殺しておいてこの期に及んで命ごいかい?今更調子のいい事抜かしてんじゃないよッッ!潔く一緒に死ねッッ!』
ラビモーは頭を抱えて震えていた…
『シルビナ…怖くない?』
金髪を撫でながらリサは胸で抱く娘に優しい言葉をかけた…
『ママと一緒だから全然怖くないよッ!』
シルビナは迫り来る恐怖に打ち勝とうと必死に笑顔を繕っていた…リサにはそれが切ない程伝わりまた堪え切れない涙が溢れた…
『ねぇママァ~…天国に行ったらお仕事しなくていいんでしょ?だったらシルビナと一杯一杯遊んでねッッ!』
『うんッ…ゴメンね…今迄淋しい思いさせて…シルビナのしたい事沢山しようね?』
親子の会話をシンディは優しく微笑みながら横で聞いていた…起爆装置のタイマーはあと3分を切っていた…
『シンディ…有難う…シンディに出会えた事、私絶対忘れないよ…』
『フッ…アタイもさ…有難な…』
二人はゆっくり目を閉じた…
>> 94
🔥90🔥
…誰かが叫んでいる…
その声が段々近付いてくる
…て事はここはもう天国なのかな…?
誰かが叫んでる
…叫んでる…
『おいッ、リサッッ!リサしっかりしろッッッ!起きろッッ!』
誰かが叫んでる…リサが目を開いた時、そこに何処かで見た顔があった…
『ぽ、ポール…あなたポール…どうして此処にいるの…あ、そっか…そうなんだ、此処は…もう天国なんだ…』
『え?…おぃリサ大丈夫かッッ?』
『だってあの時爆発で死んだポールが今ここに…私の目の前にいるんだもん…』
『爆発で死んだぁ?この俺がぁ?頭でも打ったんじゃねぇのか?』
リサは跳び起きた!
『ハッ…ここは…?』
リサの周りを慌ただしく救急隊員が駆け抜けていく…紛れもなくリサが今いる場所は地上だった…この時リサは初めて自分はこの世にまだ生存している事を悟った…
『う、嘘でしょ…あの時私…爆弾を解除出来ずに…ハッ!シルビナ…シンディッッ!二人はッッ!?二人は何処にッッ!?』
ポールは向こう側にある救急車を指差した…
『し、シンディッ、シルビナッッ!』
二人の姿を確認したリサは救急車に駆け寄った…
『リ…リサッッ!』
『ママァッッッッ!』
>> 95
🔥91🔥
『リサッッ…!』
リサとシンディ、シルビナの3人は互いに抱き合って今生きている事を再確認した…
『リサ…アタイ達一体…』
頭に包帯を巻いたシンディが不思議そうにリサに事のいきさつを尋ねた…
『私にもさっぱり…』
すると側で話しを聞いていた一人の救急隊員がリサ達の元へ寄って来た…
『皆さん無事でよかった…皆さんは全員大佐に助けられたんですよッッ!』
『は?…た、大佐ッッ!?』
救急隊員が指差すその先にあのポールがいた…
『大佐って…ポールがまさか…』
リサはシンディに事件当時爆弾を一緒に解除して回ってくれていたポール・ベルグマイヤーの素性を話した…
『彼は元世紀軍北欧州支部対テロ最高軍事司令官で地位は空軍名誉大佐であり何度もペルシャ湾岸に派遣され指揮を取られた我が世紀軍の英雄ですッッ!』
救急隊員は目を輝かせながらポールの話しをした…
『じゃぁシルビナの首のプラスチック爆弾は彼が?』
『はい…爆発で瓦礫に埋もれて何とか脱出した後ずっと生存者が居ないか歩き回っておられ…たまたま貴方方に遭遇したようで…咄嗟にお嬢さんの首にかけられていた爆弾に気付き間一髪で解除出来たそうです…正に奇跡としか…』
>> 96
🔥92🔥
ビルの周り一帯には数え切れない程の救急車やパトカーが止まり救助隊員らによって瓦礫の中から次々と人が運び出されていた…
『…娘を助けてくれて本当に有難う…』
リサは所轄の刑事達と話すポールに声をかけた…
『…ハハハ、残りあと23秒だったよ…冷や汗かいちゃった…』
雰囲気や喋り口調を見る限りリサにはポールは世紀軍を指揮するそんなに偉い人間には到底映らなかった…しかしそこが彼の最大の魅力なのかも知れない…リサは苦笑いを浮かべた…
『あの時貴方…正直もう死んだのかと思ってた…』
『ほら、言ったろ?俺は宝くじを当てる程強運の持ち主なんだってッッ!』
照れ臭そうにポールが笑った…
『爆弾魔はマスランダ残党軍の生き残りでダイーの息子、ラビモー・ムハマドの仕業だった…さっき軍のヘリで連邦局に身柄を引き渡された…何十人もの民間人も巻き添えにしてるからまぁ極刑は免れないだろな…』
『そう……』
リサの元にシンディが駆け寄った…
『大佐有難うございましたッッ!貴方は命の恩人です!』
シンディは軍の指揮官に一例するとポールはよせやいッ!と高らかに笑ってみせた…
>> 97
🔥93🔥
『リサさんッッ!』
『ルイーザッッ!』
救急隊員に抱えられあの看護学生ルイーザ・バーネットがリサの元にやってきた…
『良かった…無事だったのね…』
『うん何とか…あの後懸命に負傷者の手当てにあたってたの…お役に立てたかは解らないけど…』
リサはルイーザの肩を抱いた…
『そんな事ない…貴方はきっと素晴らしい看護師になれるッッ!この私が保証するッッ!』
ルイーザは感激の涙を流した…
『さぁ、怪我の手当を病院で…』
救急隊員に促されリサはゆっくり娘シルビナの待つ救急車に向かった…リサの元にシンディが歩み寄って来た…
『じゃぁアタイは向こうの救急車で行くよ…色々と有難うなッ、リサ…今度こそ本当のサヨナラだね…』
感慨深げにシンディがリサに握手を求めて来た…
『こちらこそ…また貴方に助けられたわ…本当に感謝してる…有難うシンディ…』
リサは握手を交わすとシンディは少し照れ臭そうに視線を反らした…
『こんな非常識な状況下でなく…今度は一度ゆっくり普通に逢いたいもんだねッッ?』
そう呟くとシンディ・モーガンは別の救急車に乗り病院に向かった…
(ありがとうシンディ…本当にありがとう…きっとまた逢えるよね…)
>> 98
🔥最終章🔥
今回の爆弾テロでの死者は58名…負傷者14名が救急車で病院に搬送された…
『長い一日だったな…ご苦労様ッッ!』
救急車で病院に搬送される間際、リサと娘シルビナの元にポールが最後の挨拶にやって来た…
『本当にありがとう、おじちゃん!』
『うん、よく頑張ったねシルビナちゃん…ポールおじさん花丸あげちゃう!』
ポールがシルビナの頬に優しくキスをした…リサはフフッと笑った…その姿をシルビナはじっと何か言いたげな様子で見つめていた…
『じゃ、じゃぁ俺はこれで…』
ポールは二人に手を振ると救急車の扉を閉めた…
『…ママァ…いいの?このままサヨナラして…』
『ん?…な、何がよッッ?』
明らかに慌てる母を見てシルビナは悪戯っぽく微笑みを浮かべた…
『救急車出ちゃうよッッ、さ、早くッッ!』
シルビナに促され、リサは俯き加減で救急車を降りてポールの元へ歩み寄った…
『?…ん?どうしたの?』
『あ、いぇ…あのぅ…そのぅ…私も…結構強運の持ち主で…その…何かと…』
ポールの口が先に開いた…
『…今度晩飯でも一緒にどう?勿論シルビナちゃんも…!』
『え…ッッ!?』
シカゴの夜景がまるで宝石のように二人を包み込んだ…
🔥ESCAPE-GAME~完
>> 99
🍵🍘
ゆうママ様💕
バトー様💕
アル様💕
🐯ちゃま💕
そして数少ない全国のビリケンファンの皆様こんにちは💀✌暑中お見舞い申し上げます🎐毎日暑いですがお身体壊されてないでしょうか…
さて長編になりました🔥ESCAPE-GAME🔥…何とか無事終了致しました…後半は怒涛のレス更新で指がつりそう😭(嘘)でしたが内容の方いかがだったでしょうか😉…またファンの皆様からの感想等頂けましたら次回作への意欲となりますのでどうかよろしくお願いいたします✌
新規の皆様からのご意見ご感想も大大大歓迎🎊✨おだてられて伸びていくビリケン💀でございます‼
次回作は🔥とはうって代わり少しロマンチックな作品を更新したいと考えています💕
夏バテ気味のビリケン昭和💀でした😢
- << 104 ビリケン㍼💀さん、暑中お見舞い申し上げます🍧 いや~ッ💦 この暑さにもメゲずビリケン💀さんの怒涛のレスラッシュ📱🔥🔥🔥👈💨には驚きです💦 😲ヌオッ escapeーgame②が最終章までいったので一気に読ませて貰いました😚💦 感想はハラハラドキドキ😨💓の展開が続き、💈の✂👨お客さんをほったらかして📱👀読破しました グハッ😂🔥👊😠客ナメルナ💢 でも、それくらい目が離せないダイハードみたいな展開は流石はビリケン💀さんハイクオリティ☝😚 あっ、夏バテにウナギを… ウッ…資金無いけんうちの庭におるカラスヘビで我慢して下さい😚宅配で送っときます🚚💨 草場の陰から応援してるアル🍺より😜
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