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友人に裏切られ、どう対応して良いのか分かりません。
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父の日のプレゼントまだ決まってない…

… 永遠(とわ)に …

レス254 HIT数 18950 あ+ あ-

澪( ♀ ZnPK )
08/10/21 16:42(更新日時)

他の誰も見ないで


私だけを、愛して見つめて…。


貴方は私のものだから。


◆中傷、批判は控えて下さい◆

No.1157702 08/02/24 18:19(スレ作成日時)

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No.151 08/04/12 23:00
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 150 ‥洋館では、色々あった為 改めて、聞く機会に恵まれ無かったから アメリアに訊ねた。




「ええ。知ってるわ。何をしている人(仕事)か迄は、分からないけど。


噂ではね、とても綺麗な方で 話をしていると心が安らぐそうよ。



確か‥此処の通りを真っ直ぐ行った先に お家(うち)が在る筈。歩いてでも行けるけど、30分かかるの。私 そんなに歩いたら、また疲れがでてしまうから、行けないの。



でも 一度会ってみたいって思うんだ」




「本当ね‐‐。私も是非 お会いしてみたいわ。



サマンサ・ルーに‥‥」



彼女が、精神科医である事を ソフィアは 知らずにいた。




新しく入れ直した紅茶に、砂糖を加えてかき混ぜる。





(エドウィンに、近づく女性(ひと)なんて こんな風に 溶けて無くなれば良いのに!!)












ふつふつ‥と、少女の心に、燃え上がる



〔嫉妬の炎〕

No.152 08/04/12 23:28
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 151 ‥ ・2週間後・


これまでの間、ソフィアは 小部屋に行って、お人形と遊んだりもしていた。


その日の夜には、必ず イアンが 少女と重ねて、自分の欲求を満たす。


その人形は その為に作られた物では無いから、完全に満足する事なんて出来なかったが。





それが終わると、使い捨ての様にしたり 無造作に服を着せたりする。



こうしておくと、ソフィアが来た時 丁寧に、直してくれるし 新しい服に取り替え ギュッと抱きしめたり、また違う種類のコロンを付けたりで‥遊びに来る事が増えるからだ。





この日も そうだった。


「私には もう小さくなったお洋服だけどね、綺麗だから」



そう人形に話しかけて 着替えをさせる。




‐小部屋の中は、ソフィアと人形だけ‐


「貴女、こんな お話ご存知かしら?




お人形ってね‥可愛がれば 可愛がる程



‥魂が宿る‥そうよ。





私 沢山 沢山 貴女を大切にする。



本当に そうなるか分からないけど、もし それで、魂が宿ったのなら、イアンの元に行ってあげて。



あの人 貴女を愛してるわ」



人形を通し 自分を見ているとは、思いもせず そう言った。

  • << 155 ‥ソフィアは、初めの内 時々お人形の服が乱れていたり、倒されてたりしている事を、不思議に思っていた。 ひょっとしたら、リーネも 小部屋に来て遊んでいるのでは無いかと、考えた日も有ったのだが それも違う様だった。 2歳の割りには、どんな物でも 優しく取り扱う子であるからだ。 (イアンに、訊ねてみょうかしらね) そう思い、お人形の服を取り替えた時‐‐胸元に ほんの少しだけど“痕”が残っている事に気付く。 その瞬間、ソフィアの白い頬に赤味が差す。 ‐‐キスマーク‐‐ 少女の体にも、エドウィンから贈られたそれが有る。 だから 察知した訳だ。 そこから先で、違う事と言えば イアンは、最後の段階まで踏み込んだが エドウィンは“まだ”である。 お人形の下着が、ちょっと汚れていた事で ソフィアは、イアンが 人形と‥‥‥。と言う事情にも気付いたのだ。 この事は、口外なんてしなかった。 (お互いが、愛し合ってるならそっとして上げましょう) と思った為。 だけど 19歳のイアンが、お人形と夜を過ごす行為を、変だとは思っていない。 少女の“愛の形”が歪んでいるから。

No.153 08/04/13 02:08
あやねこ ( 10代 ♀ v2vCh )

こんばんわ😍!
またカキしちやいました💓
うちこの話にすごいハマ
りすぎてます!✨
ドキドキします~🙈💦
ここに来るのが楽しみに
なりました!😍

更新大変だと思いますが
応援してるので頑張って
ください😉✨

No.154 08/04/13 08:23
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 153 ☆あやねこ🐱さんへ

レスどうも有り難うございます👸


そう仰って頂いて、とても嬉しいですよ。(≧▽≦)💕


頑張って、最後まで書き上げますので
今後とも 応援を🎌宜しくお願いしますね。

No.155 08/04/13 09:24
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 152 ‥ ・2週間後・ これまでの間、ソフィアは 小部屋に行って、お人形と遊んだりもしていた。 その日の夜には、必ず イアンが 少女と重ね… ‥ソフィアは、初めの内 時々お人形の服が乱れていたり、倒されてたりしている事を、不思議に思っていた。


ひょっとしたら、リーネも 小部屋に来て遊んでいるのでは無いかと、考えた日も有ったのだが それも違う様だった。

2歳の割りには、どんな物でも 優しく取り扱う子であるからだ。



(イアンに、訊ねてみょうかしらね)


そう思い、お人形の服を取り替えた時‐‐胸元に ほんの少しだけど“痕”が残っている事に気付く。


その瞬間、ソフィアの白い頬に赤味が差す。




‐‐キスマーク‐‐


少女の体にも、エドウィンから贈られたそれが有る。


だから 察知した訳だ。



そこから先で、違う事と言えば イアンは、最後の段階まで踏み込んだが エドウィンは“まだ”である。






お人形の下着が、ちょっと汚れていた事で ソフィアは、イアンが 人形と‥‥‥。と言う事情にも気付いたのだ。






この事は、口外なんてしなかった。



(お互いが、愛し合ってるならそっとして上げましょう)


と思った為。





だけど 19歳のイアンが、お人形と夜を過ごす行為を、変だとは思っていない。


少女の“愛の形”が歪んでいるから。

No.156 08/04/14 22:57
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 155 ‥** 贈り物 **


数日後、アメリアのリクエスト通りの物を贈ろうと、ソフィアは ケーキ作りに励んでいた。


工夫に工夫を重ねて、とても上手に1人分の物を作り上げる事に成功。




中には‥タップリの〔睡眠薬〕が混じっている。



少女が、生家から小瓶に詰めて ハネムーンにまで持って来た物である。


あの時は 微量の薬を、エドウィンに飲ませ 寝入っている彼を“独占”していた。


ある程度の体力と年齢が有れば、微量程度なら 特に問題は無いが、いくら小瓶と言えども 沢山詰まっている睡眠薬を、年端も行かぬ子供‥ましてや 体の弱い子に 全部、口に含ませれば どうなるか、容易に分かる事であろう。




このケーキは、ソフィアが


「アメリアは、私の大事な友達なの。だからね 自分一人で作りたい!」


と言い出した為、エミリーは、キッチンに入って来なかったのだ。



しかし 少女の元には、リーネが居た。


どうしても


「寂しい‥」


と呟いていた、ソフィアお姫様の表情と心の涙を感じ取って以来‥可哀想に思い 気になって、側に行きたくなるのだ。

No.157 08/04/14 23:24
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 156 ‥エドウィン・イアン・エミリーとは、違う意味では有るものの‐‐‐


リーネも また ソフィアから








‐離れられない‐









◇◇◇



ケーキを、作り終えラッピングをしてから ソフィアは、リーネに話す



「これで アメリアは何も心配せず、安心して眠れるわ。


大親友で、大好きなお友達だからね、お誕生日に“夢”を叶えてあげるの。



“体の痛みや不安なんか気にせずに、ぐっすり眠りたい”



それが アメリアの願いだから」



2歳のリーネには、小瓶に入ってた物が何か まだ分かっていない‥。だから
こう訊ねた。



「お願いを叶えてあげられるのに、どうして泣きそうな お顔をするの?ソフィアしゃま」


見てたら‐思わず、自分も涙が出そうになる。



「もう アメリアには会えなくなるから‥寂しいなって。




だけど やっぱり、
お誕生日に あの子
が欲しがっていた物を差し上げたい」



ソフィアは 涙を拭い 数時間後、アメリアの所へ出かけて行った。














この後・・少女にとって‐‐悲痛な事が起こる事も知らずに。

No.158 08/04/16 22:15
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 157 ‥* 死の贈り物 *


アメリアの誕生日だと言うのに、いつもと変わらぬ彼女の室内。


使用人たちも、お祝いをする気配も無ければ 仕事や旅行で飛び回っている両親が帰って来る様子も無い。



同じ“貴族”なのにソフィアは アメリアの境遇に躊躇してしまった。


ある程度の年齢に、達しているのなら
ともかく まだ家族や友達などが集まり バースディパーティを開いてもらい、楽しむ年頃だったから。



少女を見て、それを察したアメリアが、こう伝えた



「たった1人でも、こうして お誕生日を お祝いに来てくれる方が居て 幸せよ」


パーティを開いても体の弱い彼女に、気を遣ってしまい 疲れる‥そんな理由で 誰も それを開こうとしなかったのだ。


「貴女が倒れたとしても、ちゃんと眠れる迄 側に居てあげる。だから 安心してね」



ソフィアは、誕生日も祝って貰えない友達を 温かく包容した後 贈り物を差し出す。


「おめでとう。アメリア。これを召し上がって下さったら、きっと 恐怖なんて感じずに 気持ちが安定する筈よ。


さぁ 開けてみて」



アメリアは 早速そうしてみると、中には 可愛いケーキが入っていた

No.159 08/04/16 22:34
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 158 ‥眺めているだけで和やかな心地になる様な 形にトッピング。


彼女は とても喜び お礼を述べた後 自身も ソフィアにプレゼントを贈った。

「貴女も お誕生日おめでとう!


これね 海外製品なんだけど、切れ味は最高なんだって」



少女は 目を輝かせて受け取る。



共に 11歳の誕生日を迎え 二人で会話やゲーム、使用人が作った軽食を食べた後‥‥アメリアがデザートに ソフィアお手製のケーキを口にした。



全て 食べ終わり、数分もしない内に
彼女は 立ってられなくなる。


「御免‥ ソフィア。目まいがするの‥‥‥‥」


「気にしないで。ベットまで歩ける?肩を貸すわ」


ソフィアが支えとなり 柔らかい寝台へと運び 布団をかけた。



「今日は 調子が良いと思ってたのにな‥‥‥。折角 来てくれたのに こんな体で、御免ね」


アメリアは 自分の体の弱さを情けなく感じていたのだ


まさか‥大量の睡眠薬が、混入されてたなんて思っていなかったから。




「ううん。私なら大丈夫。そんな事で嫌いにならないわ」



アメリアは その言葉に微笑み 眠りにつく。






もう2度と、彼女の瞳が開く事は無かった。

No.160 08/04/16 23:03
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 159 ‥心地良さそうな、アメリアの


‐‐死に顔‐‐



「これで、痛みも苦しみも無くなったのよ。アメリア。


貴女の、幸せそうなお顔を見てたら 私まで嬉しくなったわ。


お別れは 寂しいけど‐‐アメリアと私いつまでも 友達ね」


冷たくなり始めた親友に、最期の挨拶をしてから 自分が住む 洋館へと帰宅した。








◇◇◇



夕暮れ時



ソフィアが、戻ってくる前に イアン達は、少女のバースディパーティの準備を 手分けして 行っていた。






エミリーが リーネに呼ばれて キッチンを抜ける。





イアンは そこへ入り込み エドウィンの食器の中へ、薬物を塗り込んだ。





そして 彼女が再度
キッチンへ来る前に 退散した。











(エドウィン様。ソフィア様に 愛されてる事が、如何に支えとなって居るのか‐‐気付いて下さい。


そうで無いと、僕は諦めきれず、理性を‐抑え切れなくなってしまう)


そんな事をすれば、一生涯 ソフィアに軽蔑される。


だから 避けたかった。


“少女の心”より、自分が嫌われたくない‐‐そんな、気持ちが優先していたのだ。

No.161 08/04/17 20:55
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 160 ‥ソフィアが、帰宅する途中の事だ。


橋を渡る手前に、黄色で丸い形の何かが動いていた。


(‥‥‥?)


不思議に思い、そっと覗き込んで見ると そこには ヒヨコが足をバタつかせていたのだ。



「可愛い!」


思わず言葉を漏らし微笑み 手に乗せる。


しかし ヒヨコは、他の動物に、噛まれたか何かで もう息が絶え絶えだった。


「苦しいの?辛いよね‥‥。待ってて、直ぐ楽にして上げる。」


苦痛に満ちた 小さな生き物を見て 涙を浮かべながら、ソフィアは アメリアから貰った 誕生日プレゼント


“ナイフ”


を包み紙から 取り出した。



「アメリアは 動物が大好きって言ってたの。きっと 大切にしてくれるわ」



輝かしく光る それを、ヒヨコに貫通させた。



バックから、レースを あしらったハンカチを出して 小動物を包み込んだ。



「さぁ!アメリアが、ヒヨコさんを待っている筈だわ。1人ぼっちで“逝く”のでは無いから、寂しくないわ」



ソフィアは そのまま川に流した。



ー 水葬 ー



少女の手と服、ナイフの刃が赤く染まっていた。




怖い位の‐夕焼け‐の様に。

No.162 08/04/17 22:58
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 161 ‥ナイフの血痕を、ペーパー(ティッシュ)で 拭き取っていると、聞き慣れた馬車の音が耳に届く。

アメリアからの贈り物を、バックにしまうと喜んで 飛び出して行った。



勿論 それに乗っているのは、エドウィン。仕事帰りなのだ。


いつも夜 遅くまで働いているが、今日は特別。ソフィアの誕生日だから いつもより、早く切り上げて来たのである。


「ソフィア。急に飛び出して来たら、危ないよ」


後 もう一歩 少女の足が早ければ 引いている所。


「御免なさい。エドウィンの お帰りが早いから、嬉しくって‥つい‥」


「これからは、気をつけて」


そう言って、彼が馬車を降り ソフィアをエスコートした時 少女の服と手が血に染まっている事に 彼は気付いた。


「一体 どうしたんだい‥?」


「血の痕の事? これなら、苦しんでいるヒヨコさんを助けてあげたくてね ナイフを差し込んだのよ。その時に 飛び散ったもの」


「どうして 殺したんだ?」


「そうしないと、苦しんで 苦しんで 痛い思いを、ずっとしてしまうのよ。そんなの‥可哀想でしょう?」



エドウィンは、言葉が出なかった。


ソフィアを隣に 座らせて、馬車を走らせる

No.163 08/04/17 23:53
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 162 ‥「ねぇ‥ エドウィン。私の事 好き?


貴方は、いつでもエスコートしてくれるけど、それは‥貴族としても・紳士としても当然のマナーだから してるだけ?」



ヒヨコ殺しの事で、頭が一杯だった為
エドウィンは やや答えるのに 間が空いてしまった。



「それも有るけど、前にも話した通り、僕は、君を大切に想ってもいる。」



「じゃあ どうして、エドウィンの方から キスしてくれないの? いつも 私が頼まないと 口づけをしてくれないでしょう?」




しつこい位、エドウィンを抑えてしまう〔 年齢差 〕


それと 同じ位に、ソフィアを愛する気持ち‐‐



その狭間で、彼の心は苦悩する。




◇◇◇



なかなか 返事をくれない事で、少女の心は 不安に埋め尽くされた。そして、ある考えが、頭に浮かぶ。



(エドウィンは、浮気する人じゃない。

でも勝手に 言い寄ってくる女性<ひと>なら居るのかも知れない。


それと、何か関係が有るのかな)


そこで 思い当たる名前が‐サマンサ‐



(絶対に 突き止めてやる! もし 言い寄ってたなら、2度と
そんな事 出来ない様にしてみせるわ‥‥)


嫉妬の炎が、業火に変わる

  • << 166 ‥洋館に着いた時、エドウィンは 先ずソフィアを、庭へと連れて行った。 井戸のポンプを押して、清水を流す。 「血だらけの手や服で館内に入ったら、皆を驚かせて、心配させてしまうからね。此処で 汚れを取ろうな」 ソフィアを、まるで“小さい子の様に”して エドウィンが、それを落とす手伝いをした。 普通 11歳にもなった女の子なら‐多感な時期‐そういう扱いを嫌がるであろう。 しかし 少女は、それを とても喜んだ。 レディとして、エスコートされる事も嬉しいけれど こうやって、手取り 足取りされる方が 小さな幸せを感じられる。 (やっと‥構ってくれた! 私だけのエドウィン。 貴方に近づく女性<ヒト>は、誰だって容赦しない。 それが例え、雌の動物で有ろうと 小さな女の子で有っても) そう思いながら、彼に寄り添い 口を開く。 「何かの本で、読んだ事が有るんだけど‥〔生き霊〕って 本当に、実在するのかしら・・・」 流れ落ちる血液を眺めながら。

No.164 08/04/18 00:27
アル『日 ( 30代 ♂ ycvN )

澪さん、こんばんは😚

最近、澪ワールドにどっぷりつかり読んでて現実にソフィアみたいな娘がいたら、どうなんだろうとか思ってしまう…
一人で風呂に入って頭流している時に後ろにソフィアが立っていないか振り向いてしまう今日この頃です💦
(幻覚症状が…☝😂)
これからも、仕事などの合間を縫っての更新大変だと思いますが頑張って下さい。
   〆
m⊆(_ _)⊇m

それでは、おやすみなさい👋😪
アル🍺

No.165 08/04/19 19:48
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 164 ☆アルさんへ


レス&応援ありがとうございます👸💕


幻覚症状ですか(笑)

ソフィアは、アルさんの背後に居ません。だって‥‥
















‐‐上(天井)から、アルさんを見おろして、いますもの‐‐

No.166 08/04/19 21:42
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 163 ‥「ねぇ‥ エドウィン。私の事 好き? 貴方は、いつでもエスコートしてくれるけど、それは‥貴族としても・紳士としても当然のマナーだから … ‥洋館に着いた時、エドウィンは 先ずソフィアを、庭へと連れて行った。



井戸のポンプを押して、清水を流す。



「血だらけの手や服で館内に入ったら、皆を驚かせて、心配させてしまうからね。此処で 汚れを取ろうな」



ソフィアを、まるで“小さい子の様に”して エドウィンが、それを落とす手伝いをした。



普通 11歳にもなった女の子なら‐多感な時期‐そういう扱いを嫌がるであろう。



しかし 少女は、それを とても喜んだ。



レディとして、エスコートされる事も嬉しいけれど こうやって、手取り 足取りされる方が 小さな幸せを感じられる。




(やっと‥構ってくれた!



私だけのエドウィン。



貴方に近づく女性<ヒト>は、誰だって容赦しない。



それが例え、雌の動物で有ろうと 小さな女の子で有っても)



そう思いながら、彼に寄り添い 口を開く。



「何かの本で、読んだ事が有るんだけど‥〔生き霊〕って
本当に、実在するのかしら・・・」



流れ落ちる血液を眺めながら。

No.167 08/04/19 23:06
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 166 ‥「どうだろうね。僕は、非科学的な事を信じたりしないから」


そう言って、タオルで ソフィアの手を拭き 服に付着した血痕も丁寧に 拭き取った。



「あのね、エドウィン。何度もお話してるから、しつこくて嫌だと思うかも知れないけど‥ずっと
私の側に居て欲しいの。


生きていても、貴方と離ればなれになる位なら、2人で身を投げて あの世で一緒に居たい。その方が幸せだから。



〔生き霊〕が、存在するなら エドウィンが お仕事に行く時も、外出する時も何処に居ても 付いて行く事が出来るのに‥」



ソフィアは 彼を見上げて 真っ直ぐな視線で話す。



長いブロンドの髪が、秋風に吹かれて漂う。


それは 今にもエドウィンの身体を捕らえ、少女の大きな瞳には 吸い込まれそうだ。


深い海の様な青色の目。



引きづり込まれれば最後‐‐2度と、這い上がれる事は無い‐‐。



そんな雰囲気を、ソフィアは醸し出していた。


それでも 少女から“逃げたい”とは、思わなかった。






そこまで、愛されている事を‐幸せ‐だと思える様になってしまっていたからだ。


それが 永遠に続くものだと 心の何処かで思っていた。


この時は。

No.168 08/04/19 23:52
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 167 ‥* 血色の誕生日 *

‐‐ 夜 ‐‐


ソフィアが、とても綺麗なドレスに着替えて 皆の待つ大広間へ入った。


ほんの少しだけ、露出気味で有ったけれど 決して派手では無く 元々、早熟な体付きの少女には良く似合うものである。




誕生パーティが開かれて、ソフィアは それを心から楽しみ リーネと遊んで、エミリーとは お洒落の話をしていた。



滞りなく 時が進む中、イアンは“薬”を塗布したエドウィンの食器に 料理を盛りつけ 彼の元に運んだ。



「有り難う」


お礼を言い エドウィンが食事をする。


頃合いを見計らって イアンが話した



「もし ソフィア様が妊娠されたら、どうなさいます?」


「急に 何を言い出すのかと 思えば‥」


彼の言葉が途絶えた。



今に始まった事では無いが、イアンはソフィアを 自分以上に 愛おしい視線を送る。



その事が 何故か、やたらと気に掛かり胸騒ぎまで して来た。


「まさか‐‐イアン‥君がソフィアを、妊娠させたのか?」


「‐‐だったら、僕にソフィア様を下さりますか? それとも卸させますか?」


「先ずは 本人に確かめるよ」


エドウィンが 席を立つ

No.169 08/04/20 00:32
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 168 ‥「ソフィア、ちょっと良いか?」


エドウィンが、近づき声を掛ける。


「うん。いいわよ。どうしたの?」


ソフィアが、可愛い笑顔を放って答えた。


子供らしい自然な笑み。



いつもは 此処まで思わないが、それが突然 〔魅力的〕に見え出す。


自分でも どうして突然 そう思えたのか分からない。



丁度 パーティも終わりに近づいていた為 上手に切り上げて ソフィアを、寝室へと連れて行った


◇◇◇



スィートルームに入るなり エドウィンは ベットに、ソフィアを押しつける。


「何なの‥? どうしちゃったのよ?」


いつもの彼とは様子が違った。


「妊娠してるのか?」


「は?何を言ってらっしゃるの?そんな筈ないわ。貴方が一番ご存じでしょ。まだ‥してないんだから」


彼は ソフィアの言葉を信じたのだが、体が言う事を聞かなくなった。



‐イアンが用いた、そういう事柄の薬剤の効き目が効果を表したのだ‐


「やめて!お願いよ!!私 怖い!!!」


“突然”となれば、ソフィアも流石に 泣き叫ぶ。


彼は 今直ぐにでもやめて上げたかったが 歯止めが利かないのだ。





そして‐最後の段階に踏み込む‐

No.170 08/04/20 08:51
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 169 ‥事が終わった後、ソフィアは エドウィンに背を向けて 泣きじゃくっていた。


体の中の痛みと、心の痛みが入り交じる。


「エドウィン‥‥どうして‐‐?」


悲しい声。






彼自身も、何故こんな衝動的な事をしてしまったのか分からず 答えられない。


だけど、ソフィアの心身を痛めつけた事に 変わりは無い訳で‥自責の念に駆られた。



◇◇◇


まだ 夜が明け切れてない内に、洋館の呼び鈴が鳴り響く。


(こんな時間に?)



ソフィアを、気に掛けつつ 側にあった服に腕を通して 部屋を出ようとした時 先に、応対していたイアンが こちらへ やって来る所だった。



「エドウィン様‥。ソフィア様は?」



「ちょっとね‐‐。何か遭ったのかい?」


「悲しい知らせが、入って来ました。ソフィア様の ご友人
アメリアさんが‐亡くなったのです」


「どうして!?」


事情を知らないエドウィンは 驚いて訊ねる。


勿論 少女が、アメリアを殺害した事など イアンだって存じて無いのだから、つい先ほど 通知を受けた時は 彼と同じ反応をしていたのだ。

No.171 08/04/20 09:32
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 170 ‥「様子が変だと思い、使用人が部屋を覗いた時には もう‐‐。元々 虚弱体質だったせいも有ったのか、急死‐だったそうです」



自由奔放な彼女の両親も、娘の死には飛んで帰って来たのだが 死因まで追求しようとしなかった。

それは この時代 まだ、そこまでの医学が発達していない為である。



「‥アメリアさんの遺体を発見してから 色んな取り次ぎがあったそうで、こちらへの連絡が この時間帯になった様です」


彼の報告を聞いた後、エドウィンは再び ソフィアの元へ。




◇◇◇



・小部屋・



イアンは 人形に口づけてから話す。



「エドウィン様を、見た所 やはり急激な行為に及んだ様子だよ。


そんな中で、あれ程仲良しだった友人を亡くされたソフィア様‐‐。



愛くるしい‥お嬢様を救えるのは、僕かエドウィン様か どっちだと思う?」



今度は 人形の首筋に、キスしてから
自室へと引き上げて行った。










彼の背を見送る人形








それは 僅かでは有るが 確かに‥














動き出す。

No.172 08/04/22 22:29
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 171 ‥「ソフィア・・」


エドウィンが、寝室に戻り 声を掛ける。


しかし 少女からの返事は無く、シーツを頭から、すっぽり被り すすり泣いていた。



「‐‐そのままで良いから、聞いて欲しい。


僕自身 君に対して
あんな行動を取ってしまったのか‥分からないんだ。


だけど、行為をするだけして 後は放っておく様な事はしない。


そう誓うよ」




エドウィンからの言葉。


嬉しい筈なのに、今は まだショックの方が大きくて 答えられなかった。



◇◇◇



・翌朝・


二人とも、一睡も出来ないまま 朝を迎える。


いつもなら


「おはよう!エドウィン。大好きよ」


明るい声で、そっと抱きつき キスをするソフィアだが 今朝は、それが無い。


まだ 何も身に着けず、シーツに くるまり涙を流していたのだ。


「‥おはよう。ソフィア‥」


挨拶をして、ベットから降り 身支度を整えると部屋を出て行った。


今の彼の気持ちとしては、自責の念と共に‐ソフィアが、自分から離れて行ってしまうのでは無いかと言う不安もあった。




少女と同様に、エドウィンも また いつしか



深い‥深い愛‥を持つ様になったから。

No.173 08/04/23 14:09
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 172 ‥朝食の席でも、エドウィンは ソフィアの事を考えていた。


(どうして、こんな事になったんだろう‥。


あんなに 泣いて怖がっているのを、目の当たりにしていたのに。


僕が ソフィアの体を、無理矢理に開かせてしまった事に変わりは無い。



あの子の口から“別れ”を告げられたら とても辛いけれど 受け入れるしかないな‥)



そんな思いを破る様に、エミリーが声を掛けて来た。



「エドウィン様!さっき イアンからアメリアさんの事を聞いたのですが‥ソフィア様の様子は?」



「あぁ‥。まだ話して無いんだ。伝えられる様な状況で無かったからね。仕事が終わってからでも、話すつもりだ」



「それでしたら、私が伝えておきますわ」



何が遭ったのか、エミリーは分からなかったが 何となく、いつもと様子が違った為 そう申し出たのである


「有り難う 頼むよ」


それだけ言うと、彼は仕事先へと向かって行ったのだ。



◇◇◇



階段を登りながら、エミリーは ソフィアが、感情的にならない様に伝える言葉を考えていた。しかし その反面 あのワガママ娘が“ショック”を受ける顔も見たいと思っていたのである。

No.174 08/04/23 19:53
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 173 ‥滅多に無い事だがたまに、ソフィアは寝坊をしてエドウィンと朝食が取れない時がある。


今朝 一緒に食卓へ来なかったのも、きっと そんな事だと思い、エミリーはノックと共に挨拶をして 寝室へと入る。




ベットの墨で、身を縮こまらせて 泣いているソフィア。



「ソフィア様。どうされました?」



(今度は、何が お気に召さなくて泣いてるのよ!)


心配そうな口ぶりとは裏腹に、そう思いながらも 今では すっかり慣れた手つきで、優しくユックリとシーツをめくった


そこで見た光景。



真っ白で綺麗な体‥何も身に纏わず、体を丸くしている少女の姿‐‐デリケートな箇所から、流れ出る軽血がシーツを汚していた。


大きな瞳は 真っ赤になるまで、泣き続け 今も尚 こぼれており、華奢な腕がエミリーの手首を掴んだ。



「‥“やめて”“怖い”と、何度もエドウィンに訴えたのに・・・」



弱々しい声で、ソフィアは そう言った。




エドウィンとソフィアは夫婦。だから、体の関係が有っても不思議では無い。


それでも まだ11歳になったばかりの女の子に、無理矢理‥となれば 話は違う。



流石に、エミリーも心が傷んでしまい

No.175 08/04/23 21:49
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 174 ‥温かい介抱と、着替えを手伝い 少女の好きな飲み物を入れて、ソファーに座らせ その間シーツの交換を行った。


ソフィアの元にリーネが、やって来て 近くの広場で摘んで来た花を 差し出す。


「イアンがね、ソフィアしゃまの元気が無いって聞いたの。

だからね‥お元気出ち(し)て、欲ちくて。これ あげる」



2歳児なりに考えて出した結果 ソフィアが大好きだと言っていた その野花を摘んで渡す事にしたのだ。


リーネからの心遣いを、素直に喜び 頬へキスして受け取った少女に少し笑顔が戻る。



その後 直ぐエミリーは、花を摘んだ際少し指を切った妹へ駆けより“過保護”に接して 消毒の為部屋を出て行った。


一人残されたソフィアは、贈り物を花瓶に入れ 目の奥を光らせる。

















(アナタの望みを聞いて 叶えてあげるわ‥。どんな事でも。





























最高に心に残る方法で。













‥許さない‥)






ソフィアも、部屋を抜け出し 小部屋へ向かう。




そこに居れば、必ず彼が来る事を知っているから。

No.176 08/04/23 23:23
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 175 ‥人形がいる小部屋に行き ソフィアは
いつもと変わらず、それを可愛がった。

そして こう話し掛ける。



「今日はね、朝食の席で 一度もイアンと顔を会わせて無いの。なのに 何故、彼は私の気分が優れない事を 知っているのかしらね。


エドウィンが話していたのなら、エミリーだって知ってる筈だけど あの人は何にも存じて無かったの。


だからね“鍵”はイアンが握っているに違いないわ」


一瞬 人形の顔が動いた様に見えて、驚いたけれど 恐怖心は不思議と無い。


それより 真剣に訴え様とする視線が気になった。


振り向くと そこには、少女の話を聞いていたイアンが立っていたのだ。


だが 少しも動じず答えを返す。


「僕は ソフィア様の事なら、手に取る様に 体の事から全て分かるのです」


「そうだったの‥。他に 何かお話は無い?隠してる事は?」


「いえ。別に 何もございません」


エドウィンに、用いた薬の事など言わず そんな嘘を付く。


彼は ソフィアの絹の様な、長い髪に触れ愛おしい想いで一杯である。しかし そんな彼に対して、少女は 思う。








(嘘つきは泥棒の始まり。泥棒には、罰を与えないとね‥)

  • << 179 ‥「ねぇ!イアン。私とお人形さんの、お洋服を見て」 そう言われ、彼は名残り惜しそうにしつつ 手を離し 見比べる。 「お揃いの服ですね。色ちがいだけど、どちらも お似合いですよ」 「良かった!前にね、他国へお嫁に行った お姉様が贈ってくれたの。私 お人形さんと仲良しだから お揃いで着てみたかったんだ」 ソフィアは、11歳の割に体付きが早熟な方である。着る物によっては、一人前のお姉さんに見える事もあるのだ。 しかし そんな外見とは反対に、こういった幼い一面が多々あり そのギャップも彼が持つ“興味の的”を突いていた。 この事に ソフィアは、全く気づいていない。 「貴方も、お人形さんを大切にしてあげてね。‥無理に‥乱暴したら、お人形さんだって‐悲しむし傷つくわ‥‥」 俯いて そう伝えた。そんな姿を見て、イアンは とうとう気持ちを押さえ切れずに、ソフィアを抱き締める。 「今 私にしているみたいに、お人形さんにも優しくしてね」 「分かりました。人形を、ソフィア様だと思って大事にしますよ」 「‐‐絶対ね。少しでも、乱暴したら‥お人形さん 怒るわよ‐‐」 少女だけ 人形と目を合わし 微笑する。

No.177 08/04/24 00:45
カズ ( 10代 ♂ wYw8h )

>> 176 失礼します。
(o_ _)o

澪さん。

読ませて頂きました。

もう😂

永遠に…ワールドに完全に浸かっちゃいましたよ😂

怖いけど…😨

めちゃ続きが気になります笑

応援していますのでこれからも頑張って下さいね。

ではでは
失礼しましたぁ

ε=ε=┏( ・_・)┛

No.178 08/04/24 07:51
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 177 ☆カズさんへ


レス有り難うございます👸


最終回に向けて、少しずつ頑張りたいと思ってますので これからも、応援よろしくお願いしますね。
(^-^)


カズさんも、お仕事🚒や📖_✏頑張って下さい❤

No.179 08/04/24 08:47
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 176 ‥人形がいる小部屋に行き ソフィアは いつもと変わらず、それを可愛がった。 そして こう話し掛ける。 「今日はね、朝食の席で 一度も… ‥「ねぇ!イアン。私とお人形さんの、お洋服を見て」


そう言われ、彼は名残り惜しそうにしつつ 手を離し 見比べる。


「お揃いの服ですね。色ちがいだけど、どちらも お似合いですよ」


「良かった!前にね、他国へお嫁に行った お姉様が贈ってくれたの。私 お人形さんと仲良しだから お揃いで着てみたかったんだ」



ソフィアは、11歳の割に体付きが早熟な方である。着る物によっては、一人前のお姉さんに見える事もあるのだ。


しかし そんな外見とは反対に、こういった幼い一面が多々あり そのギャップも彼が持つ“興味の的”を突いていた。


この事に ソフィアは、全く気づいていない。



「貴方も、お人形さんを大切にしてあげてね。‥無理に‥乱暴したら、お人形さんだって‐悲しむし傷つくわ‥‥」


俯いて そう伝えた。そんな姿を見て、イアンは とうとう気持ちを押さえ切れずに、ソフィアを抱き締める。


「今 私にしているみたいに、お人形さんにも優しくしてね」


「分かりました。人形を、ソフィア様だと思って大事にしますよ」



「‐‐絶対ね。少しでも、乱暴したら‥お人形さん 怒るわよ‐‐」


少女だけ 人形と目を合わし 微笑する。

No.180 08/04/24 09:37
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 179 ‥* リーネの涙 *


2歳にしては、我慢強い方だ。施設の環境と元来の性質も有るのだろう。


正直 11歳のソフィアより、忍耐力がある。そんな リーネにも涙する時も有った。


それは 時々 広場に来る男女の双子‐‐とても意地悪なのだ。年は 4歳位。


身元も分からず、付近の親達は 子供を側に行かせたく無い程の悪戯をする。



今朝だって、リーネは ソフィアが元気になって欲しいから 広場に向かい 花を摘んでいただけなのに、双子が わざと 棘がある所へ突き飛ばしてみたり、鉄の棒を振り回して 目に当て様としていたのだ。



双子に会いたくなくて、余り外に出たくないけど たまには
外で遊ばないと姉が心配する。


だからと言って、その話しをすれば もっと心配してくる事を 幼いながらも感じていたので言えなかった。




◇◇◇



小部屋から出て、ソフィアは、一人で絵本を広げているリーネに声を掛けた。


「お外は、凄く良いお天気よ。遊ばないの?」


「あしょばない(遊ばない)だって 意地悪されるもん」


「誰が そんな事するの?」


どんなに、辛抱強くても限界は有る。


ソフィアの言葉に、泣きながら 全てを伝えたのだ

No.181 08/04/24 10:06
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 180 ‥「まぁ!何て事‥」


双子のリーネに対する意地悪は、他にも山ほど有ったのだ。

「私が見ても、直ぐに その子達だって分かる?」


「うん。すっごく、ボロボロのお洋服だもん。でも!この事は、誰にも言わないで」


「そう‥。リーネや他の子達が 楽しくお外で遊べる様にしてあげる。勿論、誰にも話さない。内緒にするわ」


小さな優しい気持ちを、いつも 自分にくれるリーネ。


ソフィアは 助けてあげたくて‐‐そっと洋館を出て行った。


◇◇◇


双子の存在は 直ぐに分かった。


見た所 スラム街から出て来た様である。


広場は 貴族だけでなく、色んな家柄の人達が集まり 遊ぶ場所なので、そう言った子が居ても不思議では無い。


「それ、とっても綺麗だね」


いつの間にか 双子が、足下に来ていたのだ。


ソフィアの装飾品‐本物のダイヤ‐金目の物‐


双子は 欲しくて仕方が無い。自分達の生活の為。


人々から“意地悪”だと言われても、金持ちそうな子を狙い 僅かなお金でも奪いたくて、攻撃を繰り返していた訳だ。

でも ソフィアには通用しない。


「あの中に入って、出て来れたら あげるわ」


指さした場所



‐焼却炉‐

No.182 08/04/24 12:05
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 181 ‥「あそこに?そんな簡単で良いの?」


双子が声を揃えて話す。


「私が“出て来ていい”と言ってから、出るの。声を掛けて5分経っても、出て来なかったら 何もあげない」


「分かったよ。でも焼却炉に入って、そのまま お姉ちゃんが逃げるのは無しだからね」


「そんな事しないわ」

ソフィアは 時計台に目を向けて、時間を計算する。


適度に話しを延ばしてから、双子を焼却炉へと向かわせた。


場所的な事からか‥同じ広場に それが有るのにも関わらず誰も 気に止めていない。




双子は裏側から、扉を開けて中へ。


ゴミの匂いなんて平気だ。食事に有りつけない日は 漁って口にする時だって有るから。



ドアを閉め 後は、ソフィアからの声を待つのみ。






ある時間になると、焼却炉に火を着ける作業員が来る。ソフィアは それを知っていて、タイミングを見計らい 双子を誘導したのだ。



「お嬢さん。危ないですよ」


その人がやって来て収集したゴミを入れ‥火を投げ入れる。

そして 直ぐ又 別の作業をしに広場を出て行った。



煙突から 吹き出す煙と共に、中から断末魔の様な声が聞こえてくる。


だけど それは

No.183 08/04/24 12:32
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 182 ‥焼却炉の至近距離でないと、聞こえないもの。


つまり ソフィアにしか聞こえない。


“外から”頑丈に掛けられた鍵。



「双子さん。出て来ても良いわよ。“簡単”な事なんでしょう?」


ソフィアが声を掛ける。


5分が経過しても、双子は出て来ず‥叫び声も聞こえなくなった。




‥クスクスっと少女は、笑いながら 洋館へと戻る



(これで、リーネが安心して お外で遊べるわ。


双子さん達だって、これで 衣食住に苦しむ思いをしなくて良いものね)




◇◇◇



洋館に着くと、エミリーが ソフィアを探していたと言い、その後 こう告げた


「本当は 早く話すべきでしたが、なかなか言えなくて‥。実はね アメリアさんが亡くなられまして 午後から、葬儀に」

その言葉を喜ぶソフィアに 彼女は、驚きを隠せない。



「もう2度と、アメリアのお顔を見れないと思ってたの!


だけど 今日また見る事が出来るのね」



「ソフィア様‥。私が言った事 お分かりですよね?貴女の親友が亡くなられたのですよ!」


思わず肩を揺さぶって話した。



「勿論 理解しているわ。貴女の方こそ、親友の姿を見れる喜び 分かってる?」

No.184 08/04/24 14:55
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 183 ‥エミリーは、頭が混乱して来る。


「取り合えず お昼過ぎに、エドウィン様が一度 勤務先からこちらへ戻られて、葬儀に参列されるそうですよ。それが終われば 又 仕事へ向かわれます」



「エドウィンが‥?」


今度は、悲しげな表情。


「大丈夫です。あの方は、もう絶対 ソフィア様の体を傷つける事などしませんよ。エドウィン様の事 信じてらっしゃるのでしょう?」


「そうなんだけど、でもね!エミリー‥」


初めて 彼女に相談をしてみよう と思ったけれど、エミリーは リーネの声に直ぐ 反応し、ソフィアを置いて出て行く。



また イアンは、葬儀に間に合う様に考えながら 人形を包み込んで 馬車に乗せ、製作した友人の元に向かっていたのだ。



◇◇◇



「ソフィア様。リーネが腹痛を訴えてまして、今から お医者さんの所へ行って参りますわ。呼んで待っているより、早いですから」


そう告げ 彼女は、妹と一緒に出て行く



静まり返った洋館。



独り残されたソフィア。








「独りは嫌よ‥。寂しい・・。寂しい」


同じ言葉を繰り返す

真っ暗闇に、突き落とされた様な感覚‥



「助けて‐‐エドウィン‐‐」

No.185 08/04/24 20:47
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 184 ‥皆が出て行き、一時間しか経過していないのに ソフィアには、遙かな時の中に漂っている気分だった。



最初 帰宅したのはエドウィン。洋館の扉を開けた時、玄関の隅端で 膝を抱え、怯えている少女を見て駆けよる。


アメリアの事で、ショックを受けたのかと思ったが それにしても、尋常でない恐がり方だ。


「どうした?ソフィア‥」


本当は、自分が少女を しっかりと支え包んであげたかった。だけど 昨夜“あんな事”をしてしまった為 今‥ソフィアに触れたら 余計怯えさせてしまう。
そんな思いから、声を掛けるだけに留まった。



「独りぼっちになってしまったの。皆が‥エドウィンが‥このまま戻って来なかったら、胸が張り裂けそうで‐‐」


ただの“お留守番”だけで、此処まで思い詰める事に エドウィンは 珍しいと感じる。


それでも、少女を安心させる言葉を掛け様とした時 エミリーとリーネが帰宅をして 言えないままとなった。



腹痛は、大した事ないが 今日一日 安静にする様に、医師から宣告され エミリーが付き添う為 姉妹は葬儀に出られなくなったのだ。



◇◇◇



それぞれ、着替えや看病などをしている間に イアンが帰宅していた

No.186 08/04/24 21:47
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 185 ‥自分と同じ様な
“趣向”を持ち、人形の製作をした友人に頼み 少しだけ手を加えて貰った。


見た目は、全く同じ。違う点と言えば デリケートな部分。
彼の欲求に応えられる様、改良されたのだ。



「君をソフィア様だと思って 大切に‥愛するよ」


人形に約束をして、何度もキスした後 彼は エドウィンとソフィアを葬儀へ送る用意を始めた。



それの顔が動き、自分の背中を見ている事に 気づかず‥。



◇◇◇



洋館を出る前‥ソフィアが、エドウィンにアメリアとの思い出を話した成り行きで、殺害の事を知る。


だが 少女を責めたりなどしない。


こんな時 必ずソフィアは、最もらしい言葉を並べて 反論出来ない様にするから。


〔罪の意識‐欠如〕

でも、このまま野放しには出来ない。


「今日は、出来るだけ早く仕事を切り上げて戻るから‥今夜一緒に来て貰いたい所が有るんだ。3人で話す事になるか、彼女と君が2人で話すかは分からないけど」


「彼女?」


ソフィアの目の色が変わる。


「サマンサ・ルー。精神科医だ」


少女の心は、嫉妬で燃え上がる。


医者で有ろうと、その女は


‐彼に近づいた‐


そう思ったから

No.187 08/04/25 23:35
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 186 ‥葬儀は、何事も無く進んだものの アメリアが眠る棺が、深い土の中へ納められた時‐‐ソフィアは目まいを起こす。

一瞬の差で、エドウィンよりも イアンが少女を支えた。


「真っ青ですよ。最期の挨拶も済みましたし 戻りましょう」

ソフィアが頷き、3人は馬車へと乗り込む。


立場上として、イアンは“御者台”


エドウィンと少女がボックス席(馬車の中)だ。



その扉を閉めると‥2人きり。



◇◇◇



「もし、吐き気がしたら直ぐに言うんだよ。無理しなくて良いから」


エドウィンは ソフィアに手を触れる事をしなかったが とても心配をしていた


「有り難う‥。私ねアメリアが土の中へ入れられた時、もし自分だったら・・って想像したの。そしたら、気が遠くなったわ。


あの子は、暗闇にも孤独にも強かったけど‥私は ダメだから。


“独り”も“闇”も‐‐」


そう言い 彼に持たれ掛かる。



「‥君は、僕の事を警戒しないのか?


あんな行為を働き、傷つけてしまったのに」


少々 驚き訊ねた。



「あの時は‥ショックだったけど、もう平気。だって 私、貴方を愛してるもの。離ればなれになる位なら、一緒に身を投げたい程にね」

No.188 08/04/26 00:18
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 187 ‥あの夜の一件で、一途に想ってくれているソフィアでも、流石に 自分から離れて行く‥そうエドウィンは、覚悟していた。


身勝手ながらも、心が苦しく感じていたが 少女は、相変わらず こうして寄り添ってくれる‐‐‐

それが、彼の心の中で“頑な”に立ち塞がっていた

〔年齢差の壁〕


を墜に打ち砕く。




裏を返せば、ソフィアの【 執念 】が、それに‐勝った訳だ。




◇◇◇



「僕も ソフィアと別離しないとならない位だったら‐‐2人で身を投げたい。


誰にも邪魔されずにね」



今までの傾向から、少女は エドウィンが‐死‐の事で、抵抗的な様子を見せると思っていた為 ビックリして、彼を見上げた。



「まだ、顔色が良くないね。館(洋館)に着けば 運んであげるから、眠ってて良いよ」



“初めて”エドウィンの方から 愛を込め、ソフィアへ口づけ‐‐。



この日を境にして、2人は 互いの気持ちを確かめ合い 無理なく、夜を共に過ごす事となる。



◇◇



馬車の中で、より一層 エドウィンに執着する少女は こう告げた



「今夜‐まだ具合が悪くても サマンサの所に連れて行ってね」



‐嫉妬の業火が燃え広がる‐

  • << 190 ‥馬車を、洋館の前に止めて その扉をイアンが開く。 結局 ソフィアは、眠らずにいたけれど足下が ふらつく為 エドウィンが部屋まで抱っこして 運んだ。 そんな2人の姿を、イアンは なるべく視界に入れない様にして 玄関のドアを開いた。 報われない想い‐‐未だに くすぶっていたから。 ◇◇◇ “一日安静”と、お医者から申し渡されたリーネだったが、もう腹痛など 何処にも無くて、姉の言う事を聞かず 館内を元気に走り回っていた。 しかし 孤児院でもエミリーからも“上下関係”と“礼儀作法”を、教え込まれているので エドウィンとソフィアが入って来た時は、足を止めて挨拶をする。 「ソフィアしゃま。お顔の色が変よ。シンドイの?」 まだ青ざめている少女を、気に掛けて訊ねた。 「リーネは、優しいのね。少しだけ寝てれば きっと直ぐ良くなるわ。 それより 明日から広場へ安心して、遊べるからね。双子さんは、現れない様になったわよ」 後半の言葉だけ、リーネにしか聞こえない声で囁く。 双子の事は 2人だけの秘密だったから。 「有り難うごじゃいます。ソフィアしゃま」 本当に嬉しくて、

No.189 08/04/26 20:33
×1 ( ♀ zzMCh )

>> 188 初めまして🙇

この話を発見してから、読み続けています。先が気になってしまって毎日見てします☺

怖い😨ですが…面白いので☺

更新大変だと思いますが、頑張って💪下さい🙇

最後まで読み続けます🙋☺

  • << 192 ☆×1さんへ 初めまして👸 こんな作品を、読み続けて下さって有り難うございます。 ラストまで更新して行ける様に、頑張りますね(^-^)

No.190 08/04/26 22:21
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 188 ‥あの夜の一件で、一途に想ってくれているソフィアでも、流石に 自分から離れて行く‥そうエドウィンは、覚悟していた。 身勝手ながらも、心が… ‥馬車を、洋館の前に止めて その扉をイアンが開く。


結局 ソフィアは、眠らずにいたけれど足下が ふらつく為
エドウィンが部屋まで抱っこして 運んだ。


そんな2人の姿を、イアンは なるべく視界に入れない様にして 玄関のドアを開いた。



報われない想い‐‐未だに くすぶっていたから。




◇◇◇



“一日安静”と、お医者から申し渡されたリーネだったが、もう腹痛など 何処にも無くて、姉の言う事を聞かず 館内を元気に走り回っていた。


しかし 孤児院でもエミリーからも“上下関係”と“礼儀作法”を、教え込まれているので エドウィンとソフィアが入って来た時は、足を止めて挨拶をする。


「ソフィアしゃま。お顔の色が変よ。シンドイの?」


まだ青ざめている少女を、気に掛けて訊ねた。


「リーネは、優しいのね。少しだけ寝てれば きっと直ぐ良くなるわ。



それより 明日から広場へ安心して、遊べるからね。双子さんは、現れない様になったわよ」



後半の言葉だけ、リーネにしか聞こえない声で囁く。


双子の事は 2人だけの秘密だったから。


「有り難うごじゃいます。ソフィアしゃま」


本当に嬉しくて、

No.191 08/04/26 23:37
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 190 ‥こちらも、ソフィアにだけ こそこそっと御礼を述べた。


愛くるしい顔をした寂しがり屋の、ソフィアお姫様。包容して貰うと甘くて良い香りがする。


リーネは大好きだ。


そんな お姫様が、焼却炉に双子を誘導して 焼き殺す様に仕向けた‐‐‐。



そうとは知らず、2歳の子は‐ただ純粋に喜んでいたのだ。


イアンとエミリーは距離的に 会話が聞き取れていなかったけれど、近場に居たエドウィンの耳には入っていた。


しかし 何の事かサッパリ分からなかったし“聞きたがり”な性分でも無かった為、口を挟まずにいたのである。



◇◇◇



・イアンの願い・


数時間後‥エドウィンが、再び勤務先へ戻り ソフィアは一眠りした後 気分も良くなり‐‐また小部屋に向かう。



人形と遊んでいれば 彼は、間違い無くソフィアの元に来る。



「ねぇ。イアン。お葬儀で 私が目まいを起こした時、支えてくれて有り難う。

何か 御礼をしたいわ。何がいい?」



「御礼なんて良いですよ。僕は、ソフィア様の笑い声を いつも聞く事が出来れば、充分ですからね」



ソフィアを“モノ”に出来ぬのなら‥せめて それ位は‐‐
イアンの ささやかな願いだ。

  • << 193 ‥「じゃあ それを叶えてあげるわね! そうだわ。この前もお話したけど、絶対に お人形さんを大事にしてね」 そう言って 彼の手を引き 人形の小指と絡ませて 〔 指切り 〕 「安心して下さい。僕は、人形を傷つけたりしません」 「うん。そうしてあげてね。この子‐貴方の事 とても気に入ってるわ。 ね!お人形さん‥」 ソフィアは、まるでそれが“ 話せる ”かの様に、目を合わせて喋りかけていて言葉では 言い表せない独特の雰囲気がイアンを包んでいた。 ◇◇◇ その日の夜、約束通り エドウィンが早めに帰宅。夕食を皆で取ってから ソフィアを連れ、サマンサの元に行く。 彼が初めて訪れた時 思った様に、少女も此処が“診療所”とは信じられ無かった。 外観から中身まで、邸宅そのものだったからだ。 (きっと、精神科医なんて嘘だわ。 そんな風に言って、周りを騙して エドウィンにも声を掛けたのよ!) サマンサが、2人の前に現れる。 とても綺麗で親しみやすそうな女性(ひと) 「貴女が ソフィアさんね。私は サマンサ。よろしく」 「・・こちらこそ」 俯くソフィアの姿は

No.192 08/04/26 23:40
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 189 初めまして🙇 この話を発見してから、読み続けています。先が気になってしまって毎日見てします☺ 怖い😨ですが…面白いので☺ 更新大変だ… ☆×1さんへ


初めまして👸


こんな作品を、読み続けて下さって有り難うございます。


ラストまで更新して行ける様に、頑張りますね(^-^)

No.193 08/04/27 00:14
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 191 ‥こちらも、ソフィアにだけ こそこそっと御礼を述べた。 愛くるしい顔をした寂しがり屋の、ソフィアお姫様。包容して貰うと甘くて良い香りがす… ‥「じゃあ それを叶えてあげるわね!


そうだわ。この前もお話したけど、絶対に お人形さんを大事にしてね」


そう言って 彼の手を引き 人形の小指と絡ませて


〔 指切り 〕


「安心して下さい。僕は、人形を傷つけたりしません」


「うん。そうしてあげてね。この子‐貴方の事 とても気に入ってるわ。


ね!お人形さん‥」



ソフィアは、まるでそれが“ 話せる ”かの様に、目を合わせて喋りかけていて言葉では 言い表せない独特の雰囲気がイアンを包んでいた。




◇◇◇



その日の夜、約束通り エドウィンが早めに帰宅。夕食を皆で取ってから ソフィアを連れ、サマンサの元に行く。




彼が初めて訪れた時 思った様に、少女も此処が“診療所”とは信じられ無かった。


外観から中身まで、邸宅そのものだったからだ。




(きっと、精神科医なんて嘘だわ。


そんな風に言って、周りを騙して エドウィンにも声を掛けたのよ!)




サマンサが、2人の前に現れる。


とても綺麗で親しみやすそうな女性(ひと)


「貴女が ソフィアさんね。私は サマンサ。よろしく」



「・・こちらこそ」


俯くソフィアの姿は

No.194 08/04/27 01:30
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 193 ‥恥ずかしがっている様に見えた。


でも 勿論 そんな筈は無い。



(エドウィンは、私だけのもの!! 貴女のものじゃない!


分からせてやらなきゃ!)



燃え広がった嫉妬の炎は、勢力を増す。






最初のカウンセリングは、3人で。



何気ない会話の部分から サマンサは、ソフィアが


ー 思い込みの激しい性格ー


だと読み取った。




「今日は これ位にしましょう。この続きは 又 次回にね。その時‐‐ソフィアさんと私 2人で」



玄関先まで、見送りながら 少女には分からぬ様 サマンサは、エドウィンに耳打ちをする



「次の時までに、貴方だけ一度 来て下さい。なるべく早めに。今日の結果報告と詳細を お伝え致します」


彼が軽く頷き、ソフィアの所へ向かった。


エドウィンと手を繋ぎ 少女が彼女の方へ振り向く。


「さようなら。サマンサ先生。次に会える日を、楽しみにしてますね」


「私も楽しみよ。ソフィアさん」











(本当に‐‐楽しみね。サマンサ・・



再び会う日



その時が、貴女の‥






〔 命日 〕になるのよ)



そんな思いを胸に、蒼い月を眺めた。

No.195 08/04/27 07:23
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 194 ‥翌日は、エドウィンの仕事が休み。


2人とも心ゆくまで愛に満ちた時間(とき)を、ベットの中で過ごした。



◇◇◇



翌日の昼下がり‐‐リーネが友達と、楽しく広場で遊んでる中 悲鳴が聞こえて辺りは騒然となる。


焼却炉の中から、2体の白骨が発見された為だ。



子供達は勿論、直ぐに帰宅させられ その話しは、瞬く間に世間を騒がせた。



エドウィンの耳に入った時、彼は ソフィアがリーネに囁いていた話しを思い出す。


そして‐‐発見された白骨。


確かめなくとも分かる。


スラム街の双子を、死に追いやったのは

愛する‥ソフィアだと。




心の中で、深い溜め息を着き 彼は立ち上がり 少女がリーネと遊びに夢中となっている間に、サマンサの所へ向かう



◇◇◇



少し混んでいたが、それでも 順番は直ぐに回って来た。


サマンサから ソフィアの診断結果を聞き、その後‥


「まだ 2人での対話をしてませんから、何とも言えないけど

“精神科への入院”

を頭に入れて置いて下さい」



当然の事なのに、突きつけられた現実に衝撃を感じてしまった。


「もし 何らかの拍子に、ソフィア様の感情が高ぶれば

No.196 08/04/27 07:49
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 195 ‥これを、飲ませて下さい。精神安定剤です。かなりの速攻性が有りますよ」


綺麗な包み紙の中に入ったそれを手渡した。


次の患者が待っている為 エドウィンは
もう 退散せざるを得なくなり 家路へ。



◇◇◇



次の人が、入ってくる迄の間 サマンサは その者のカルテを用意していた。



背後から 忍び寄るソフィア。



棘が混入された紐でサマンサの首を締めあげる。



「エドウィンの様子が、急に変わったから 後をつけたの‥。


貴女 私を病気扱いして‐入院させ、あの人と一緒になりたいのでしょう!?



そんな事させない!」


ただの紐だけなら、少女が力を入れた所で 死に至りはしないが 仕込まれた棘が彼女の首に突き刺さり‥‥サマンサは息を引き取る。







「泥棒はね、絞首刑よ‥」



激しい思い込みと嫉妬で、埋め尽くされたソフィアは サマンサを見おろした後 自分も洋館へと戻って行った。




◇◇◇



この事件も、世間を騒がせていたが 約
1ヶ月もの間 犯人は捕まらなかった。

それは この時代の警察達の捜査の目が甘過ぎだと言う点から、来るもの。



だけど‐いつか必ず真実は浮かび上がる

No.197 08/04/27 08:14
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 196 ‥このまま隠し通せる訳が無い。


ソフィアは 確実に捕らえられる。


きっと〔罪の意識〕が芽生える迄 入院させられて、その後それを償う為に牢へと入れられるだろう。



エドウィンは、世間体やら 貴族としてのプライドやら‥そんなもの どうでも良くなっていた。


どんな風当たりになっても、ソフィアが出て来る迄 待つ。



しかし‐‐少女の方は 間違い無く 殺人を犯してでも‐‐そこを抜け 彼の元に来る。




‐これ以上 その小さな手を赤く染めて欲しくない‐




ある日の夜。


深く愛し合った後、彼は 飲み物に、サマンサから貰った薬を、バレぬ様に溶かし入れた。



用途は違ったが、早く ソフィアに眠りを与える為だ。




何も知らず 少女は
それを受け取り 飲み干した。



あっと言う間に、睡魔が襲って来たが
なかなか目を閉じ様とはしない。



朦朧とした意識の中で 時計を見る。


針は、残り僅かで
0時‐‐日付けが変わる瞬間だった。



一秒毎に激しく襲う眠気。



それでも まだ目を開こうとする











(私は眠らないわ!



エドウィンに‐‐







‐真‐の話しを告げる迄は‥)

No.198 08/04/27 09:18
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 197 ‥ 側に付いていたエドウィンだったが、外が ざわついているのを感じ 窓辺へと向かう。


ランプを灯し カーテンを開いて‥窓の下を見た。



警官達が この洋館へ来る所だ。


1ヶ月の時を経て、“犯人”を捕らえる為に。







ほぼ同時に、時計が0時を示し 日付けが変わった。



今日‐‐エドウィンは、19歳の誕生日を迎えたのだ。


だから ソフィアは
どうしても起きていたかった。


彼への贈り物‐‐小さな幸せの報告‐‐真の話し。



「エドウィン‥‥あのね‥赤ちゃんが、おなかに来て下さったのよ」



この言葉が、聞こえていたのなら また違った手段を エドウィンは取っていただろう。


しかし その声は、激しい睡魔の中で伝えたので‥余りにもか細くて消え入りそうであった。


だから 彼の耳には


‐届いていない‐








やっと寝息を立てて深い眠りへ陥った少女。



ソフィアの願いは、離ればなれになる位なら、2人で身を投げ 黄泉の世界で‐一緒にいる事。



その願いを、エドウィンは叶えてあげたいと強く感じた。




「僕も 君を愛しているよ」

No.199 08/04/27 09:42
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 198 ‥罪無き・殺人鬼となり果てる‐その前に‐


彼は ソフィアが親友から贈られたナイフを取り出し、少女の胸を貫いた。



「今すぐに、君の所へ行く」



同じナイフで 彼は自分の喉を裂いた‥



◇◇◇



その頃、イアンは
人形を愛した後、自室へと向かおうとした時 それが ゆっくりと歩き始めた事に、驚きと恐怖を覚えて 思わず 人形を突き飛ばしてしまった。


壁に頭を打ち付け、ずるずる‥と床に崩れ落ちる。



そして あの唄が聞こえて来た。



だけど ソフィアの声じゃない‐‐。



(人形!?)



知らぬ間に、至近距離へと来ていた人形。


可愛いがれば、可愛いがる程 魂が吹き込まれると‐ソフィアが話していた。




‐生き人形‐は、イアンの小指に触れる


〔ユビキリ ゲンマン・・ウソ ツイタラ ハリセンボン‐‐‐ノマス 〕



最後のフレーズに、差し掛かる時 それは 彼の 小指を



ー噛み 切るー




〔ユビ キッタ 〕


そして 彼の脳裏にソフィアの笑い声が響く。



ずっと 聞いていたいと願った声‥。





少女は 常に考えていた。


嘘つきは泥棒の始まり。泥棒には罰を‥と。

No.200 08/04/27 13:50
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 199 ‥深夜 0時を越えて、警察達が洋館へと足を運ぶ。



呼び鈴が館内に響き渡った。



“夜中の訪問者は、危険な場合が有るから、その時間帯は僕が応じるよ”


そう言っていたのはイアンなのに、一向に出る気配が無い。


主人であるエドウィンを、出させる訳にも行かず 渋々と上着を羽織り エミリーが玄関へ。




警官が、殺人の疑いでソフィアと話しがしたいと言う。



「お嬢様は もう、お休みになられてます。申し訳ございませんが、明日の朝にして頂けませんか?」


ワガママ娘の奇行には、頭を悩ませた事も有るが 流石に、犯罪まではしてないだろうと思っていた。


だが 警察は、彼女が ひょっとしたらソフィアを逃がすかも知れないと予測を立て‐‐館へ乗り込み 3組に分かれて
各部屋を捜索し始めたのだ。




相手は怪しい者で無いが、いきなり入り込まれれば 幼い妹は 怯えてしまう。



急いで リーネの部屋へと走って行った。

  • << 201 ‥last‐case‐ ・・イアン・・ 1組目の警察隊が、ドアを押し開ける。 生き人形は 椅子に座っていて、その直ぐ側で 彼が頭を抱え込んでいた。 指先から 血がしたたり落ちている。 誰にも聞こえない。 イアンにだけ響く、ソフィアの笑い声。 ‥クスクスクス‥ 「許して欲しい! もう2度と、あんな事をしない。 ひたすら 君を愛し続ける。 人形としてではなく‥ソフィア様と考えて‥」 冷たい視線で、それが自分を見おろしているのを 肌で感じ顔を上げられなかった。 しかし 実際は違う お人形は 悲しかったのだ。 突き飛ばされた事よりも‥ 愛してしまった彼が いつまで経っても、自分では無くて ソフィアを強く想っているから。 生き人形も‐‐永久的に 報われぬ愛に痛感していた。
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