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友人に裏切られ、どう対応して良いのか分かりません。
父の日のプレゼントまだ決まってない…

… 永遠(とわ)に …

レス254 HIT数 18952 あ+ あ-

澪( ♀ ZnPK )
08/10/21 16:42(更新日時)

他の誰も見ないで


私だけを、愛して見つめて…。


貴方は私のものだから。


◆中傷、批判は控えて下さい◆

No.1157702 08/02/24 18:19(スレ作成日時)

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No.51 08/03/08 20:17
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 50 ‥バランスが取れた脚を軽く持ち上げ、指で一部分の中に射し込む。


彼の方でも、ソフィアの様子を見ながら加減していた。


「力を抜いてみて」


エドウィンからの声が、遠くで聞こえてくる様な感覚の中、ソフィアは言われた通りに 少しずつ力を落として行く。


すると“痛 気持ちいい”気分だったのが、痛みは消え“心地良さ”のみ残った。


「x x x x x ー!」


エドウィンの指先だけでなく、脚の内側へのキス。温もりある大きな手で、包み込みながらの撫でつけ。


ソフィアは絶頂に達したのである。



一方 エドウィンの体と言えば、少女を傷つけない様にする緊張感も多少 手伝っていたせいか、反応はしなかった。



「・・エドウィン‥」

小さく かすれた声で名前を呼ぶ。


「約束を守るよ。ソフィアが眠るまで、此処にいる」


「ありがとう。これからも、ずっと約束した事は守ってね」


隣に寝そべる エドウィンの腕を枕にしながら、囁く。


「可能な限りは、必ず守る」


「うん。そうしてね。交わしたお約束‥ずっと守るのよ」


似た様な事を、繰り返し言い続けて 目を閉じ深い眠りに落ちた。

No.52 08/03/08 21:14
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 51 ‥「お休み」


完全に眠ったソフィアの額へキスをした後、少々 乱れの目立つ衣服を取り払い新しい衣装へ身を包み、部屋を出る。


時刻は、午後3時過ぎ。


イアンを別室に呼び話を進めた。


「仕事の事が気になってね。今から、行って来るよ。それと僕が居ない時は、代わりにソフィアを守って欲しいと思っているんだ。


だけど〔人形〕の様に、動かすんじゃない」


エドウィンは、自分より年上のイアンの〔少女趣味〕〔趣向〕を知っていたし、ソフィアが、彼好みの少女である事も存じていた。


いくら 家同士が勝手に決めた結婚であっても、年端のいかぬ子を放っておいたり 見捨てたりする程、エドウィンは非情けにはなれない。


「それは残念」


イアンが冗談ぽく、笑いながら答えて
こう続けた。


「ソフィア様は、エドウィン様以外の男の言いなりになんてなりませんよ。彼女とは 今日、会ったばかりですが それでも良く分かる位に 貴方へ愛情を持たれてますからね。

No.53 08/03/08 22:49
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 52 ‥ちょっとや、そっと位の言葉や態度では見向きもしませんよ」


「とにかく、ソフィアを君の玩具にするな」


念を押してから別室を抜け、足早に玄関を出て 馬車へ飛び乗り 仕事先に馬を走らせた。



◇◇◇


・小瓶と疑惑・


暫く経ってから、階下にある一室でエミリーが、ソフィアの旅行カバンの中を整理していた。


最後の衣類を取り出した時 小瓶が転がる。


(これ‥睡眠薬だわ)

ソフィアの生家でも、自分の故郷でも見た事があった。


エミリーは小瓶を拾い不思議に思う。


(どうして10歳の子が睡眠薬なんて‥。何故 ハネムーンに持って行ったのかしら?)


それをテーブルに置き、次は エドウィンの荷物整理に取りかかった。


ソフィアの時と同じ様にして“色物”と“白”に分けて行き籐のカゴへ入れる。

一枚“浸け置き”洗いの上着があった為それだけを、腕に掛け運ぼうとした瞬間・・頭に鋭い痛みが走った。


角の尖ったプラスチック容器が視界に入る。


ゆっくり顔を上げると、昼寝から起きたソフィアが立ち、言い放つ。


「エドウィン様のお洋服を、どうして、そんなに大事そうに抱えてるの‥?彼の全ては、私のものよ!!肉片もね!」

No.54 08/03/09 21:27
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 53 ‥もう一度、その容器を振り上げ エミリーの頭上をめがけた時 イアンがソフィアの腕を掴んだ。

「何か様子が変だと思って来てみたら‥暴力は、感心しませんね」


「だって!エミリーがエドウィン様の物を愛おしそうに、持ったんだもの!!」


「それは ソフィア様の勘違いです。そんな事ばかり仰っていたら、エミリーは エドウィン様の洗濯すら出来ませんよ」


ソフィアの手の力が緩み、彼は容器を取り上げる。


「この事は、エドウィン様が帰宅されましたら伝えなくてはなりませんよ」


そう話しながら、少女をソファーに座らせ 次は、エミリーを気遣う。


「私なら平気です。傷も無いし、痛みも一瞬だけでしたから」


気持ち的に、ソフィアから少しでも早く離れ様と思い 洗濯カゴを抱えて 部屋を出て行った。



◇◇◇


「ねぇ! イアン。エドウィン様は、どんな女の子が好きなの?自分でも出来る限りの努力をしたいのよ」


ついさっき、エミリーを殴りつけた事など、何も無かったかの様に話し出すソフィア。


イアンは驚いてしまったのだが、少女の質問に答える。


「派手な服や露出度が高い物は、好みませんね。シンプルな装いが好きですよ。

No.55 08/03/09 22:41
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 54 ‥今 ソフィア様がお召しになってる衣装など好まれてるかと思います」


それを聞き、笑顔で答えた


「良かった!私 シンプルなお洋服しか持ってなかったから。じゃあ次は、髪型。どういったスタイルが好きなのかなぁ?後ね‥」


次々に質問を投げかけても、面倒がらずにイアンは応じる。

結果として、エドウィンは ソフィアが気にする程 そこまで、事・細かく外見に拘ったりしない事が分かった。


「最後に、もう一つだけ教えて。幾ら、そんなに拘りが無いと言っても限度ってあるよね。エドウィン様って痩せてる子が、お好き?」


「普通が好きですよ。ソフィア様のように」


抜ける様な真っ白い色の頬。そこには、目を凝らさないと分からないが、薄い傷跡がある。


イアンは 少女の頬へ手を伸ばし そっと触れた。


「此処‥どうされたのですか?」


「カミソリで、切り落とそうとしたの」


あの時の話を、ソフィアが伝えた後 彼は 突如として抱きしめる。


「そんな事をしなくても、素敵です!」


ー イアンが伝えた好みのタイプ‥全部〔自分の好み〕しかし 同時にエドウィンのタイプでもあったのだ。彼の場合“年齢差”が壁となっているだけー

No.56 08/03/10 23:41
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 55 ‥「有り難う・・」


力強い腕の中、イアンから告げられた言葉ーそれは、エドウィンに取って貰いたかった事。


(この人は、エドウィンじゃない!)


そう分かっていても、10歳で故郷から遠い地に嫁ぎ、親元・友人から離れて来た幼い心は、少なからずも〔寂しさ〕が有ったのだ。だから イアンからの包容に、つい甘えてしまった。


そして、ソフィアをゆっくり離して、こう伝える。


「エドウィン様が、歓ぶ事を教えて差し上げましょうか?」



キスやその先の事だ・・。だが、いくら何でも そこまで、イアンがエドウィンの事を知る筈が無い。


〔少女趣味〕の彼は、ソフィアのエドウィンを想う‥‥一途“過ぎる”心を利用して、自分が少女に その様な事をしたかったのである。



「エドウィン様が、お歓びになるのなら是非 伺いたいわ!」


10歳の女の子に、“歓び”の内容など分かる訳ない。


ソフィアは、てっきり どんな お話が好きなのか。何の音楽が好きかー趣味的な事を教えて貰えると 思っていた。

No.57 08/03/11 22:49
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 56 ‥扉がノックされ、エミリーが戻って来た。


「ソフィア様、お手紙が届いております」


少女を余り刺激しない様に、気を遣いながら それを手渡した。


「(故郷の)お友達からだわ!すっごく仲良しの子なのよ。嬉しいな」


無邪気に、可愛い笑顔を浮かべるソフィア。


しかし ほんの数分前、仕事をしていただけなのに“焼きもち”を妬かれた挙げ句 殴られたエミリーにしてみれば、その驚きは イアン以上であり、思わずソフィアの神経を疑ってしまった。


だけど これから先、少女に仕えていかなくてはならない。

(相手は、6つも年下の子供なんだから!)


そんな風に思い、自分に言い聞かせたのである。


「では 失礼します」


エミリーは、夕食の準備の為 引き下がりドアを閉めた。



◇◇◇



早速 仲良しの友達からの手紙を読み出すソフィア。


故郷を離れて、それ程 月日も経ってないのに気持ちは、懐かしさで一杯となって、読み耽っていた。


・・直ぐ 横にいる
19歳の男の“趣味・趣向”も知らずに。


少しずつ、気持ちが抑え切れなくなって来たイアンの〔魔の手〕が 少女へ確実に忍び寄る。

No.58 08/03/12 23:11
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 57 ‥ソフィアに、ぴったり付いてイアンが座り 肩へ腕を回し始める。


少女の手から、便箋が舞い落ちた。


彼は ソフィアの胸を触れて来たからである。


「やめてよ!イアン!」

そう声を上げたと同時に、イアンは少女の身体を ソファーに押し沈めて 手で口を塞ぎ 耳元へ囁く。


「静かに‥。エドウィン様が“歓ぶ事”を知りたいのでしょう?」


ソフィアは、怖くて‥怖くて 涙を流す。


「泣き顔も綺麗ですよ。ソフィア様」


必死に、逃げ様とするソフィアへ 追い打ちを掛ける様にして、彼は又 話し出した。


「貴女が、愛する方(エドウィン)も 僕と同じ様な事を、する可能性が全く無いとは言い切れません。

そんな時、逃げ出そうとすれば‥あの方は 多少なりとも傷つくでしょう。


そうしたいのなら、僕から逃げても構いません。


エドウィン様を傷つけたく無いなら、じっとして下さい」


言われた事は、理解出来たけれど 心が追いついていけない。



神の力か‥偶然か‥〔食事のベル〕が鳴り響き、その音に一瞬 驚いたイアンの隙を突いて ソフィアは 床に落ちた手紙を急いで拾い、部屋を飛び出した

No.59 08/03/12 23:34
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 58 ‥食卓へ向かい、エミリーを見て 抱きつく。


「お友達からの手紙、悲しいお知らせでしたか?」


何もしらない彼女は、声をあげ泣きつくソフィアに声を掛ける。


「違う‥。あのね、イアンが‥」


説明をしようとした時、今度は呼び鈴が鳴った。


「ここで待ってて下さいね。私 出てきますから」


エミリーが、ソフィアを心配そうにしながらも そう言うと


「やだ!やだ!1人にしないで。お願い!」

と わめく。



玄関先から 話し声がして来て、どんどん近づいた。


ソフィアとエミリーがいる食卓に、イアンとエドウィンが入って来る。


「お帰りなさいませ。エドウィン様!お出迎えが出来ず、申し訳ございません」


エミリーは頭を下げたのだ。


「あぁ。別にいいよ。気にしないで。それより、ソフィアは何で そんなに泣いてるんだい?」


エドウィンが、少女に歩み寄る。


そして ソフィアよりも早く、イアンが口を開いた


「ソフィア様は、少し熱がある様でしたので、僕が様子を見ようとしたら、怖がったのですよ」


「嘘よ!!そんな筈ないわ」


エドウィンに しがみつき やっと抗議の声を ソフィアが出す

No.60 08/03/13 00:09
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 59 ‥イアンの言葉を聞き、エミリーが ソフィアの額に手を当てる。


「確かに 熱がありますね」


実際“衝撃的な事”から、少女は微熱を出していた。


あんな言動を、幼い女の子に取れば よっぽどで無い限り、少なからず心身にダメージを与える位、誰だって分かる。



「ソフィア。部屋で休んだ方がいいね。動き回って、熱が上がったら大変だ」


エドウィンは、屈み込んで ソフィアを小さな子みたいにして 頭を撫でた。


ソフィアの大きな瞳の中は、涙で一杯である。


そっと エドウィンに寄り掛かって、ギュッとして 泣きながら呟いた



「私に‥熱を出させたのは、イアンなのよ。信じて・・・」


エドウィンは、何も答えない。


ソフィアを抱っこして、エミリーに


「申し訳ないけど、後で 部屋に食事を運んで欲しい。またその時は声を掛けるから」


と伝え、食卓を出た。


ーソフィアの姿に、イアンは 意味深な笑みを浮かべるー



部屋に向かう時も、幼き彼女は 言葉を繰り返していた



「この、お家(うち)で頼れるのは‥エドウィン様だけなのよ。私を見捨てないで・・・。お話を信じて」

No.61 08/03/13 22:43
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 60 ‥部屋に入り、ベットへソフィアを座らせる。


「眠りたくないわ。お昼寝したもの。

それより‥私の事を信じて」


ポロポロ・・真珠の様な涙を落としながら、訴えた。


「何が遭ったんだ?」


エドウィンは、椅子に腰を掛け 向かい合わせで問いかける。


「あのね・・・」


あの時の状況を、ゆっくりと説明しながら 感情的に、なり始めた。


「お洋服の上からでも エドウィン以外の方になんて触られたく無いの!!


確かに、私は子供よ。だけど‥本気で、愛してるのよ! 一時的な気持ちなんかじゃない。


永遠に貴方だけ!


本当なんだから。この心が真実だって、見せてあげる!


イアンの事も嘘じゃないもん!!!」


そう言った途端、ベットから 飛び降りて、引き出しを開け短剣を取り出す。



「切り開いて‥私の心を見せてあげる‥。想いも、何もかも真実だと分かって欲しいから」


カミソリで、頬を切り落とそうとした様に、今度は 自分の心臓をめがけ 短剣を向けた。


「やめるんだ!ソフィア!」


エドウィンが、素早く動き 短剣を叩き落として

No.62 08/03/13 23:48
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 61 ‥ソフィアを、抱き上げた。


「エドウィン!私の事を、信じてくれて無いんでしょう!?だから、証拠を見せたいの!!」


聞き分けの無い だだっ子みたいに、少女は泣き叫ぶ。


「そんな事までしなくても、君の気持ちは充分な程 よく分かってる。僕を好きでいてくれて嬉しい。

イアンの事も、嘘では無いと思ってるよ。


今後は なるべくなら、彼の側に1人で行かない方が良い。

エミリーの近くに居る様にするんだよ」


ソフィアの背中を、優しくさすり そうエドウィンが話した。


「エミリー ‥私、あの人を容器の角で、殴ったの。


エドウィンを、盗られるかも知れないって思ったからよ」


洗濯物の事も、包み隠さず説明する。



エドウィンは 自分に対するソフィアからの〔執着心〕に、改めて 息を飲んだ。


そして イアンの事に対しては‥


(ソフィアが話した通り、あのタイミングで食事のベルが鳴ってなければ きっと、この子は イアンに無理矢理‥!)


そう考えると、胸が苦しい気がしてくる。

No.63 08/03/15 00:07
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 62 ‥数時間後‥


エドウィンが、階下へ降り 先ず イアンを小部屋に呼び出した。



「ソフィアを、落ち着かせて‥今は シャワーを使ってるから、その間に話そうと思ってね。


イアン、僕は君に言っておいた筈だよ。

ソフィアを“人形”の様に扱うな!と」


「確かに、ソフィア様を怖がらせてしまいましたが、熱っぽい姿を見て 放っておく事なんて出来ませんよ。それとも、エドウィン様は 僕が信じられないとでも‥?


エドウィン様を想う余りに、自分の侍女(エミリー)を殴ったソフィア様の お言葉を信用されるのですか?」


そう言われてしまうと、エドウィンは言葉に詰まる。


ソフィアが 感情にまかせて、突発的に取る態度は 誰が見ても“やり過ぎ”で“正常では無い”為だ。


しばしの沈黙の後、エドウィンが ようやく口を開く。


「でも、ソフィアは嘘をつく子じゃない。
だからと言って、全てにおき イアンを信じていない訳でも無いんだよ。

ただ、君がソフィアに対し“恋愛”“性的”対象として見ているのを知っているから“その点だけ”が 心配なんだ」


「それは‥彼女の心身に対して、心配なのですか? それとも・・・」

No.64 08/03/16 01:27
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 63 …もしも、イアンが少女に手を出したならば 彼を“使用人”として雇う様に言い渡したエドウィンの父に話しが行く。
すると 生家の“家柄”“家名”に傷がつくのだ。


当然 ソフィアの生まれ育った所にも影響は出る。


それだけでは無い。
エドウィンが今、勤務している仕事にも差し支えがある筈だ。


“貴族の男”としての〔プライド〕ー彼には有った。名門と言うだけでなく、自身の知性なども必要とされる“職”に就いており、出世への夢が無いと言えば 嘘になる。


出来れば 悪影響など及ぼしたくない気持ちだって有るのだ。



◇◇◇


少し間が空いてしまったけれど、エドウィンは イアンからの質問に答える。


「ソフィアの事が、心配だからだよ。あの子は、まだ ほんの子供だ。辛い思いなんて させたくない」


「本当に、ソフィア様の事を思われてるのでしたら 何故 彼女を今1人にさせてるのでしょうか? また刃物で、ご自分の身体に傷を付けてしまうのでは無いか‥などと、思わないのですか?」


彼の“本心”を見透かした様な視線で、イアンが切り返し静けさが流れた。


その時、叫び声にも似たエミリーの言葉とノックの音が、部屋の静寂を切り裂くー!

No.65 08/03/16 22:39
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 64 ‥「エドウィン様!いらっしゃいますか!?」


1番 ドアの側に立っていたイアンが扉を開けた。


「随分 騒々しいですね。何か遭ったのですか?」


「ソフィア様が、もの凄く取り乱して、手が付けられなくて!」


少し耳を澄ませてみると、ソフィアの
わめき声が聞こえてくる。


「‥とにかく、様子を見て来るよ」


エドウィンが、イアンとエミリーの脇をくぐり抜けて 階段を駈け上がった。


広く長い廊下の中間にある部屋、扉は全開だ。


ーーエミリーの私室ーー

「エドウィン!!何処なの!?隠れてないで出て来てよっっ!」


もう既に 金切り声に変わっていたのだ。


エミリーの部屋は、強盗の方が まだ丁寧なのでは?‥と思える程 乱暴・乱雑に荒らされまくっていた。


「ソフィア!」


エドウィンは、思わず声を上げてしまう。


ソフィアの動きが止まり、振り向くと
そのまま 彼に泣きながら 飛びついた。


「バスルームから、出た時 エドウィンが居なかったんだもの。エミリーは、何も言わないけど‥きっと 貴方の事が、お好きよ。だからね私が居ない間に、自分のお部屋へ連れ込んだと思ったのよ

No.66 08/03/16 23:37
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 65 ‥それで お部屋の隅々を探し回っていたの」


「だからと言って、確かめもせず こんな事をしては駄目だよ。」


余りにも酷く散乱した部屋を見渡して、エドウィンが窘めた。


「エミリーを庇うの?」


エドウィンから、少し身を離して 悲しい瞳で、問いかける。


「そういう問題じゃない」


ちゃんと説明をしょうとした時、ソフィアは 部屋を荒らした際に、割ってしまった鏡の破片を手に取った。


少女の視線の先には様子を見に 後から駆けつけて来た、エミリーとイアンがいたのだ。


「嬉しいでしょう!?エドウィンが、庇ってくれて!!私を見て心では笑ってる癖に!」


気違いの様な声を上げ、ソフィアがエミリーに素早く突進して行き 彼女の腕をガラスの破片で切り裂いた。


血が瞬時に流れ、痛みにエミリーは腕を押さえ座り込んだ。

そして、ソフィアがエドウィンに質問をする。



「エミリーを介抱する!? それとも私の側に居てくれる?‥どっちなの!?」




ーこんな状況の中にも関わらず、イアンはソフィアを‥心から、愛おしく感じていたー

  • << 71 ‥「・・イアン、エミリーに消毒を。傷が深ければ、医者を呼ぶ様に。 僕は、ソフィアの側にいるよ」 エドウィンからの言葉を聞き 彼は我に返る。 「承知致しました」 イアンは ソフィアと居たかったけれど、立場上 エドウィンに従わなくてはならない。 「エミリー 立てますか?」 そっと手を差し伸べ彼女が 頷きながら立ち上がり 別室へと向かって行った。 2人の姿が見えなくなると、少女は 破片を放り投げて 涙を拭き‥それは、それは とても愛くるしい笑顔を向けたのだ。 演技でも何でもない自然な笑み。 「大好きなエドウィンが、私の お側に居てくれるなんて、凄く嬉しいな!」 本当に 幸せそうな姿をするソフィアに エドウィンは〔違和感〕を感じたのだが、それが“何”なのか‥分からなかった。 ゆっくりと、ソフィアに進み 視線を合わせる様にして 身を屈める。 「今から話す事は、エミリーを庇う訳でも 味方をする訳でも無いんだ。それを覚えておいて欲しい。 ソフィア、僕はね 君から逃げもしないし 隠れもしない。 約束するよ。 だから 僕の姿が見当たらないからと言って、人の部屋を荒らしたりするのは

No.67 08/03/17 21:01
アルミ‡ ( uF4N )

>> 66 澪さんこんばんは🙋


なんか俺には刺激的なストーリーですね😂

これからもっとドロドロになるんですかね😂


楽しみ読ませてもらいます👮

頑張って下さい😊

No.68 08/03/17 21:27
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 67 ☆アルミさんへ

読んで下さって有り難うございます😊


今は、色々なパターンを考えていて どれにしょうかと考え中です💦


また良かったら、📖遊びに来て下さいね😃


それから、応援のお言葉 嬉しいです😊

No.69 08/03/17 21:50
アルミ‡ ( uF4N )

>> 68 澪さん🙋

あまり色々悩むとお話がぐちゃぐちゃで訳わからなくなるよ☝

一通り考えをまとめて書いたら良いよ😊

俺もいっぱい失敗したからね😂

また、お邪魔します🙋

No.70 08/03/17 21:54
澪 ( ♀ ZnPK )

☆ アルミさんへ


アドバイス有り難うございます✨💡✨


参考にさせて貰いますねo(^-^)o


是非 また お越し下さいませ👸💕

No.71 08/03/17 22:21
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 66 ‥それで お部屋の隅々を探し回っていたの」 「だからと言って、確かめもせず こんな事をしては駄目だよ。」 余りにも酷く散乱した部屋を… ‥「・・イアン、エミリーに消毒を。傷が深ければ、医者を呼ぶ様に。

僕は、ソフィアの側にいるよ」


エドウィンからの言葉を聞き 彼は我に返る。


「承知致しました」


イアンは ソフィアと居たかったけれど、立場上 エドウィンに従わなくてはならない。


「エミリー 立てますか?」


そっと手を差し伸べ彼女が 頷きながら立ち上がり 別室へと向かって行った。


2人の姿が見えなくなると、少女は 破片を放り投げて 涙を拭き‥それは、それは とても愛くるしい笑顔を向けたのだ。


演技でも何でもない自然な笑み。



「大好きなエドウィンが、私の お側に居てくれるなんて、凄く嬉しいな!」


本当に 幸せそうな姿をするソフィアに エドウィンは〔違和感〕を感じたのだが、それが“何”なのか‥分からなかった。



ゆっくりと、ソフィアに進み 視線を合わせる様にして 身を屈める。


「今から話す事は、エミリーを庇う訳でも 味方をする訳でも無いんだ。それを覚えておいて欲しい。


ソフィア、僕はね
君から逃げもしないし 隠れもしない。

約束するよ。


だから 僕の姿が見当たらないからと言って、人の部屋を荒らしたりするのは

No.72 08/03/17 23:16
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 71 ‥やめるんだ。


確認もせずに、こんな事をしていたら、この先 この地で友達が出来たとしても嫌がられてしまうよ」


「・・此処で、新しいお友達なんて出来るのかなぁ‥。故郷では、仲良しの子が一杯いたけど、新しい土地でも 同じ様に出来るとは限らないでしょう?・・お友達は 欲しいけれど、それが不安なのよ」



年相応の女の子に、ありがちな小さな悩み。


例えて 言うならば
転校生の様なもの。


「きっと、出来る筈だよ。確か 橋を渡った先に ソフィアと似た様な年齢の子がいたと思うんだ。

一度 会ってみたら?

行動してみないと、上手く行くか どうかも分からないだろう?」


エドウィンからの言葉に、心が軽くなり少女は 微笑んで頷く。


「明日 お天気が良かったら、早速 行ってみるね。ありがとう!エドウィン」


小さくて可愛い腕をそっと 首に回して
エドウィンの頬へキス。


「私‥エミリーのお部屋を綺麗に、お片づけするわ」


と、ソフィアが言いエドウィンも 一緒に手伝い始めた。






自分が、ソフィアの“囚”になってしまっているとは この時のエドウィンは、気づかずにいたのだ。


歯車は、少しずつ‥確実に狂い始める。

No.73 08/03/18 23:49
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 72 ‥その頃、階下ではエミリーの腕を消毒し、イアンが包帯を巻いていた。



「ソフィア様は、私を嫌ってるのでしょうか?」


彼女が、ふいに言葉を漏らす。


「エミリー。僕達は同じ立場(使用人)の者同士だから、丁寧な言葉でなく普通に話そう。その方が、喋りやすいと思わないか?・・・ソフィア様と貴女が、故郷で どんな暮らし‥互いの接し方などが分からないから、今の段階では“好き”か“嫌い”か‐‐僕には分からないな。

でも ソフィア様がエドウィン様を深く愛しているのは確かだから、同性であるエミリーの存在は、気になってしまうんじゃないかな。


ちょっとした事でも敏感に反応する。


ソフィア様は、感受性が強いんだよ。きっと 人一倍に」


イアンは そう分析しながら、エミリーに伝えた。



「それなら、先ず 私はエドウィン様に恋愛感なんて 持ってない事を分かって貰わないとならないわね。‐‐此処の仕事を、辞めたくないから」


その理由は1つだけ。何処よりも“お給料”が素晴らしいからである。



とにかく、お金が第1。何がなんでも必要であった。



その為なら、例え‐硫酸をかけられても平気な女性‥エミリー。

No.74 08/03/19 22:27
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 73 ‥エミリーには、まだ2歳にしかならない妹がいる。


両親を不慮の事故で亡くし、他に身よりが無かった為 妹は孤児院へ預けられる事になった。


一緒に暮らせる様になるには、それなりの収入・生活・基盤などが必要なのだ。

小さな小さな妹と、2人で過ごせる日を夢みて 16歳のエミリーは働らかなくては、ならない。


だから 沢山‥沢山
お金が要る。



(あんな子供になんか、負けてられない!)


そんな強い意志を持った。



イアンは、エミリーが どんな理由で、此処に居たいか‥なんて、気にもしなかったし 訊ねもしない。


彼女の、生々しい傷を手当てしていても心配すらも しなかった。



気になって仕方が無いのは“階上”にいる2人の事。



ー エドウィンとソフィア ー



(彼の慰め方や、励まし方なら 大体の想像は付く。・・・それに ソフィア様は、一体どんな表情で応えているんだろうか‥?)



頭の中で、お人形さんの様に可愛いソフィアの姿を 鮮明に思い浮かべる。



そして、抱き締めたくて 抱き締めたくて‥たまらなかった

No.75 08/03/19 23:17
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 74 ‥暫く経った後、エドウィンとソフィアが やって来た。


彼に促され エミリーの前に立つ。


「あの‥エドウィンに言われて・・・御免なさい」


ソフィアの言葉に、エミリーが そっと微笑み こう答える。


「怪我の事なら、気にしないで下さいね。平気ですから。


それより おなか空いてませんか? 昼食を、お召し上がりになってから まだ何も口になさって無いでしょう?」



時計の針は、既に23時を示していたのだ。


「うん‥。おなか空いてるの」


まだ 少し熱っぽい少女を見て


「何か さっぱりした物を お作りします。エドウィン様のお食事も 後で御一緒に、お持ち致します」


エミリーが立ち上がり ソフィアは、素直に 御礼を述べた。


「有り難う。エミリー」


「当然の事ですから、御礼なんて仰らなくても 構いませんよ」


優しく笑みを浮かべて、頭を撫でるエミリー。


その笑顔の裏側には

(全ては、お金の為。妹の為。こんな子の為じゃない)



そんな気持ちが隠されていたのである。

No.76 08/03/21 22:59
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 75 ‥エミリーが、キッチンへと向かった後イアンは 突然 ソフィアの手を取った。

「お怪我、されておりますね。直ぐに手当を致しましょう」


部屋を荒らした際に出来てしまった“かすり傷”


「エドウィンも、気に掛けてくれたんだけどね。これ位の傷なら平気よ。血だって出てないもん」


「いいえ。駄目です。もしも、ばい菌でも入ったら大変ですから」



誰がどう見ても、エミリーの傷口の方が酷いのだが、イアンは ソフィアを心配した。



丹念に消毒を施す。



真っ白で、滑らかな肌。細く長い指。



そっと ソフィアの顔に視線を移す。



“お嬢様”としても“末の娘”としても生家で、大事に育てられて来た事・苦労知らずだと言う事も分かる程、愛らしい姿である。




「イアン!」


少し 声を上げたのは、側にいたエドウィン。



あのまま 放っておけば、彼は確実に
少女へ口づけをしていたであろう。



「何でしょうか?僕はソフィア様の頬の傷も、見ていただけですけれど」



少しばかり、頭を働かせて そんな言い逃れを口にした

No.77 08/03/21 23:27
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 76 ‥イアンとソフィアの位置は、確かに、その言い逃れが通用する位の距離間でもあった。



「頬の傷?‥よく そんな事が言えるな。君は ソフィアに‥」

エドウィンは、言いかけた言葉を 最後まで話さず飲み込んだ。



ある程度の年齢が達した女の子なら、口にせずとも その場の空気で、イアンがしょうとしていた事が分かる筈だ。



しかし ソフィアは少々 ませている と言っても、まだ幼い子供。そこまでの事は 読み取れていない。


だから イアンが“キスしようとしてた”なんて言えば、心に少なからず衝撃を与えてしまうであろう。


そうでなくとも、数時間前に、ソファーで 身体を押さえ付けられ‥怯えていた所だったのだから。



「イアンが何‥?」



不安な様子で、少女はエドウィンを見上げた。



「いや‥。何でもない。気にしないで」



そう言いながら、紳士的態度で さりげなく、イアンからソフィアを引き離す。

「今夜は、遅いから
ゆっくり休んでくれ。色々と時間を取らせて、すまなかったね」


エドウィンが、部屋を立ち去る時 彼に告げた。



「お休みなさい。イアン」



ソフィアが、笑顔で挨拶をして

No.78 08/03/22 00:26
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 77 ‥「消毒、ありがとう」


そう御礼を述べてから、エドウィンの後に くっついて部屋を出て行った。



しん…と静まり返った室内。


イアンが、消毒液を片づける。


椅子に目をやると、さっきまで ソフィアが使っていたクッションが映った。


それを 手に取ると
まだ 少女の ぬくもりが残っていて‥石鹸の良い香りまで伝わってくる。



クッションを、胸に強く抱き締め イアンは 思う…。




(どうしてだ!? 少女に、興味も愛も持てないエドウィン様がソフィア様のような子と結婚する事が出来て、小さな女の子に 興味・愛を持ち
注げる僕には…!)



どう仕様もない歯がゆい気持ちが、駆け回る。



このまま、エドウィンが ソフィアに恋愛感情など抱かずにいてくれれば それなりの方法で、彼女を奪えるであろう。

勿論 エドウィンが持っている“貴族としてのプライド”
“世間体”“職務”に一切 傷など付けずに。




一歳しか違わなくても、幼少の頃から彼に仕えて来たイアンには‐‐もう察しが付いていたのだ。


今の‐エドウィンが、もしも聞いたら 頑なに拒否するだろうが。


(エドウィン様は、必ず ソフィア様を〔強く〕愛する…)

No.79 08/03/22 22:51
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 41 ‥「どっちが“幸せ”なのかは、その人によって違うから、断定なんて出来ないし、僕の気持ちとしては その時にならないと分からないよ。 ソフィアは… ‥2人の食事は、私室へと運ばれた。


向かい合わせになり、それを口にしながら ソフィアがエドウィンに話しかける

「何度も言ってるけれど‥私、貴方が大好きよ。離れたくないって思ってるの。ハネムーンで観た映画の様に、どんな状況になっても2人・一緒がいいな。それが1番の幸せだわ」



気性が激しいのかと思えば、こんな夢見がちな事を考えて、(この時代には有りがちな)ぬくぬく育って来た お嬢様らしい発言。



(一体 ソフィアは、どういう子なんだ?)


そんな疑問が、彼に浮かび上がってきたのだ。



“2人で居れば、幸福”



しかし 現実なんて、そんなに甘く無い。


経済面・生活面などの基盤が ある程度シッカリと固めておくべきだと、エドウィンは 考えていたのだ。だけど 10歳の子に、そんな話をして“夢”を壊すのも どうかと思い


「そうだね。折角 縁が有って、暮らせる様になったのだから、それが良いね」


と答えておいた。



その後 エミリーの話になり ソフィアが こんな事を話し出す



「明日、エドウィンが教えてくれた、橋の向こうのお家(うち)を 訪ねてみたいけど‥エミリーは着いて来てくれるかなぁ?

No.80 08/03/23 00:06
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 79 ‥私ね、この辺りの土地 初めてだし、1人で出歩くのが不安なの。イアンと2人きりになるのは・・・ちょっと怖い。

エドウィンかエミリーが、側に居てくれてたら良いけど‥」



「エミリーは、君の侍女だろう?ソフィアに仕える事が 先ず第1条件だ。だから、頼めば来てくれる筈だよ」


「お家の用事(家事全般)が お忙しいかなぁ‥って思ってたんだけど、明日の朝にでも聞いてみるよ」


笑顔を向け、そう言ったソフィア。



エドウィンは 少女が荒らした部屋を、片づける時と同じ感覚となる。


(何かが、おかしい。でもそれは何なのか‥?もの凄く単純だと言う事は、確かなのに‥何故か分からない)


もやもやっとした妙な、固まりの様なものが胸で つかえてるみたいだ。


何度 考えても答えは出ない。


頭を振り、ふと顔をあげると ソフィアはスプーンを手にしたまま 幼子の様にうつら‥うつら‥眠り込んでいた。


時刻は0時を回っていて、ソフィアは睡魔に勝てなかったのだ。


エドウィンが、少女を抱え上げて寝室に運ぶ。


そして ハネムーンに旅だった時に 船内で貰った医者からの、カウンセラー紹介の事を思い出した。


(行ってみるか‥)

No.81 08/03/23 22:42
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 80 ‥あの日 貰ったメモ用紙を探して、取り出す。



名前と連絡先、時間帯・その診療所までの地図が書かれてあった。



(結構 夜、遅くまで診療してるんだな。明日 仕事場から連絡を入れてみよう。

ソフィアの耳に入れば、不安にさせてしまうからな)


記憶力が良いエドウィンは、そのメモを 2回程 目を通しただけで 全て覚える。


しかし 念の為、それを ソフィアに見つからない様な場所に保管しておいたのだ。



*** 翌朝 ***



ソフィアが、目を覚ますと既に エドウィンは仕事へ行っていた。


慌てて 階下にある食卓へ向かう。



ソフィアの表情を見て、エミリーが先に答えた


「お早うございます。ソフィア様が、非常に良く眠られておられる為、ゆっくり寝かせておく様にとエドウィン様から、申し出が有ったのですよ」


これは 事実である。


(先に言っておかないと、私のせいにされちゃうわ!“何で起こしてくれなかったのよ!?”ってね)


心では、そう思いながら。



「そうだったの…。“お早う”と“行ってらっしゃい”のキス位したかったな」


少し ガッカリしながらテーブル席に着いた

No.82 08/03/23 23:09
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 81 ‥「ご帰宅されたら、沢山のキスを差し上げてみては?」


エミリーが、話ながら ソフィアに朝食のパンを お皿の上へ乗せた。


「うん!そうする!」


その案に賛成をした後、こう続けた。


「ねえ!橋を渡った先にある お家(うち)を訪ねたいんだけど エミリーに 着いて来て貰いたいの。いい?」


「午後で宜しければ、お付き合い致しますよ。午前中は‥申し訳ございませんが お医者様に、腕を診て頂きたくて」


ソフィアが、ガラスの破片で切りつけた傷。時折 鋭く痛むのである。


だが 少女は、袖口から、顔を覗かせているエミリーの腕の包帯を チラッと見ただけで、何も言わず


「橋の向こうに、お住まいの子と仲良くなりたいなぁ」


と、声を弾ませていた。




・・ 一方 イアンは‥ソフィアが食卓に着いた事を 確認してから、寝室へと忍び込む。



足を踏み入れた痕跡を残さぬ様にして‥ソフィアの下着を、1枚 自分のポケットへと押し込んだ。

その後 そこを抜け出したのだが、その際に 何らかの弾みで、あのメモ用紙が床に ヒラヒラ舞い落ちた事に 彼は気付かなかった。

  • << 85 ‥ソフィアが、用意された朝食を口にしている間 エミリーは 部屋の掃除をしに清掃用具を持ち、階段を上がる。 エドウィンと少女、2人の室内。 高級スィートルームの様だ。 (妹が見たら、きっと驚くわね。“お姫様みたいなお部屋!”だと言って 喜びそうだわ) 幼い 幼い妹の事を思い浮かべながら、掃除をし始めた。 (・・・・?) 弾みで イアンが落としていった メモ用紙を、見つける。 折り畳んであるものを、広げて読むのは失礼な事。 エミリーは それを拾い、テーブルに乗せて置いた。 各部屋の清掃と洗濯や洗い物を、済ませてから 彼女は イアンとソフィアに声を掛ける 「ソフィア様、イアン 私 今から病院と妹が居る施設へ出かけても 宜しいでしょうか?」 その言葉に、ソフィアは顔色を変え 反対をしたのだ。 (イアンと2人きりに、なりたくない!!) しかし そんな事、本人がいる前で 流石のソフィアも言えない。 だから 理由を述べずに 「そんなの嫌よ!お医者様なら 此処に呼べば? 施設には‥私も行きたい!!」 訳を知らないエミリーにしてみれば ソフィアに対して

No.83 08/03/25 18:40
アル『日 ( 30代 ♂ ycvN )

>> 82 澪さん、こんにちは!
(^O^)/

いや~ッ
澪さんに教えて貰ったこの作品

…永遠(とわ)に…

昨日、仕事が定休日だったんで、一気に読ませていただきました😚
初めは、ピュアな話しと思っていたのがジワリジワリと闇が広がる様な、エドウィンに対するこのソフィアと言う少女の一途なまでの純粋過ぎる愛…そして更にイアンやエミリーといった独特なキャラクターの思考が交差する…
自分がこの物語の虜になってしまった😱ヒィ~ッ
それにしても、とても読者をグイグイとストーリーに引き込む文章力には感服しました😲ヌオッ
これからも忙しい中、更新頑張って下さい😉

アル🍺

No.84 08/03/26 22:06
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 83 ☆アルさんへ


レス有り難うございます📝💕


文章力に、自信が無いので お褒めの言葉 嬉しかったですよ。


これからも、少しずつですが 頑張って書き進めて行きますね❤

No.85 08/03/26 22:28
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 82 ‥「ご帰宅されたら、沢山のキスを差し上げてみては?」 エミリーが、話ながら ソフィアに朝食のパンを お皿の上へ乗せた。 「うん!そう… ‥ソフィアが、用意された朝食を口にしている間 エミリーは 部屋の掃除をしに清掃用具を持ち、階段を上がる。



エドウィンと少女、2人の室内。


高級スィートルームの様だ。



(妹が見たら、きっと驚くわね。“お姫様みたいなお部屋!”だと言って 喜びそうだわ)


幼い 幼い妹の事を思い浮かべながら、掃除をし始めた。



(・・・・?)


弾みで イアンが落としていった メモ用紙を、見つける。

折り畳んであるものを、広げて読むのは失礼な事。


エミリーは それを拾い、テーブルに乗せて置いた。



各部屋の清掃と洗濯や洗い物を、済ませてから 彼女は イアンとソフィアに声を掛ける



「ソフィア様、イアン 私 今から病院と妹が居る施設へ出かけても 宜しいでしょうか?」



その言葉に、ソフィアは顔色を変え 反対をしたのだ。



(イアンと2人きりに、なりたくない!!)


しかし そんな事、本人がいる前で 流石のソフィアも言えない。


だから 理由を述べずに


「そんなの嫌よ!お医者様なら 此処に呼べば? 施設には‥私も行きたい!!」



訳を知らないエミリーにしてみれば ソフィアに対して

No.86 08/03/26 22:56
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 85 ‥(ワガママな子!) としてしか、思えずにいた。


よほどの事が無い限り、ソフィアの侍女でもあるエミリーは逆らえない。


立場的な事もあるが、彼女が少女に従う理由は もう一つだけあった。



もしも ソフィアのご機嫌を損なって、追い出されたら 職を失う結果になるからである。


次の所と言っても、アテは無いし 元いたソフィアの生家も人手は足りている為 戻れない。


此処よりも 良い金額を出してくれる家庭なんて無いのは、これ迄 苦労して、色々と働き 稼いで来たエミリーは分かっていた。



エドウィンなら間に入り、取りなしてくれるだろうが そうなったらなったで、お嬢様(ソフィア)が 激怒するのは、目に見えている。



(厄介事は 極力避けないと‥)


心の中で、ため息をついて ソフィアの言う通りにしょうとした時ーーイアンが 彼女へ助け船を出した。



「ソフィア様。エミリーは 此処に来てから、一度も外へ出ておられません。あるとしても 洗濯干しに、庭へ出る程度です。買い物も、食料庫に沢山の食材が有る為 それを購入しに行く事すら されておりません

No.87 08/03/26 23:34
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 86 ‥例え 行き先や病院や施設でも、気分転換に 此処から、出させて…たった一人の妹さんと、限られた時間だけでも“水入らず”で過ごさせて上げては?」



そう言われると、ソフィアは考え込んでしまった。


自分付きの侍女・エミリー。でも“束縛”して迄 側に居て欲しいとは思わない。


別段 彼女が嫌いなのでは無く、そこ迄の“思い入れ”に達してない為だ。




ー束縛しておきたいのは、エドウィンだけー



(エミリーが帰って来るまで お部屋に鍵を掛けて待っていょう…)


そう思い直して、ソフィアは 顔を上げた



「一人で行って来ていいよ。でも お昼までには、絶対 帰って来てね。お約束だよ」



ハネムーンの船内で、エドウィンと した様に…今度は、小指をエミリーへ差し出した。



こうして見ると、やっぱり 子供らしい(子供だけど)一面が伺える。



その“指きり”に、付き合い エミリーは、そっと(助け船を出してくれた)イアンに 御礼を述べて、身支度を済ませると 家を出て行った。





◇◇◇



ソフィアは、一目散に 自分の部屋へと飛び込んで 内側からシッカリと鍵を掛けて イアンが入って来ない様な体制を

No.88 08/03/27 00:08
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 87 ‥整えた。



一方 イアンは、玄関先で 自分宛の荷物を“配達人”から受け取っていた。


茶色い包み紙に、覆われていて 中身が何かは記されていない。



自分の室内へ それを運び込んだ。


中を開けると、ソフィアと余り変わらない身体の女の子が、箱に入っていた。



人間の様な〔人形〕

イアンの友達で、彼も又 同じ趣向の持ち主。その者が知り合いの、人形師に頼み 精密に作られたそれを 送ったのである。



生き人形の様で、今にも動き 話し出しそうだ。


しかし ソフィアに似せて作られた訳では無いので、顔も髪型も全然違っている。



類似点は“雰囲気”だけだ。



お人形には、何も着せられていない。


“素の姿”‥頭からデリケート部分に足先まで 人間の女の子と殆ど変わらない程 繊細に作られていた。



イアンが、ポケットから 盗んだソフィアの下着を 丁寧にお人形へ履かせる。



「全部‥手に取って持ち出す訳には、いかないんだ。でも、いつか必ず 一式全て 着せてあげるよ」

お人形に話しかけて、それを抱き上げ
自室の奥にある小部屋に置いた。


「僕と君だけの部屋だ‥」


口づけ‥。ソフィアと重ね合わせて。

No.89 08/03/27 22:46
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 88 ‥その頃、エミリーは 病院で 怪我の処置と薬を貰った後 施設へ向かった。



古くは無いが、新しくも無い。中は 広いけれど、雑然としている。程々の部屋数。どの室内も全て6人部屋で・勿論
男女は別々だ。



各部屋に1人づつ、最年長の子供をあてがい 最年少の子の面倒を見る決まり。

室内の中は 無機質で、並べられたベットなんて病院の様だ。


勉学が必要な年齢の子達は 施設内にある小さな図書室を利用する。



これが、エミリーの妹が入っている“施設”なのだ。



そこの先生の案内で、彼女は妹と再会をした。姉妹にとって“月に一度”の楽しみだ。



本当は もっと会う回数を増やしたいが、身寄りの無い子供達に 嫉妬心が芽生えると 苛めに繋がる恐れがある為 “月一”で 面会時間も短い。



それでも 姉妹は、その僅かな時間を充実させていた。



2歳の妹が、ポケットから 湿ったクッキーを取り出す。


「あしゃ(朝)の おやつに貰ったの。一緒に食べようね」


小さい手で ふにゃっとなっている それを半分こして 姉に差し出した。


「これが 一番 豪華なお菓子よ!」


嬉しそうな顔で、話す。

No.90 08/03/27 23:11
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 89 ‥施設にいる子供達が、皆 それを食べてる間 2歳の妹は姉にもあげたい一心で、頑張って 口にしたい気持ちを抑え込んでいたのである。


「嬉しいけど、貴女のお菓子なんだから 皆と同じ様に食べていいのよ」


優しく頭を撫でて、エミリーが伝える。

でも 妹は頭を振り


「だって こんなに美味しいクッキー、食べた事 無いでしょ?」


そう無邪気に答えた。


毎日、毎日 質素な食事。“カビ臭いチーズ”か“味の無いチョコレート”がデザート。


“湿ったクッキー”は 施設の中で、最高級品。



それが“当たり前”の生活。



エミリーは、ついソフィアと妹を比べてしまう。



生まれながらにして、裕福な家庭の子。

生まれながらにして、困窮家庭の子。



妹を優しく抱きしめて こう囁いた。



「どんなに、頑張って働いて 稼いでもソフィア様のように“ぬくぬく”した生活を、貴女に与えてあげられない。

でもね 安定した生活位は させてあげたいと思ってるの」



世の中の“不平等”を 改めて感じながら、キツくなり始めアチコチ ほつれが目立つ服を着た 小さな妹に 愛情を込めたキスを額に送る。

No.91 08/03/28 22:04
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 90 ‥エミリーは、食事も服も何とかしてあげたかったのだが、幾ら 血が繋がった妹だと言っても一人だけ 特別扱い は出来ない。かと言って施設にいる子供全員に、綺麗な服や豪華な食事を与える事も出来ず もどかしい限りであったのだ。




◇◇◇



さて、ソフィアの方は 部屋の中で、縫いぐるみやらアンティークドールやらを 引っぱり出して来て“お茶会ごっこ”をして遊んでいた。


少女の目と鼻の先に、エミリーが置いた あのメモ用紙があったのだが“灯台もと暗し”ソフィアは 全く気づいてなかったのである。



時計を見て 独り言を呟いた。



「遅いな。エミリー。お昼までには、帰って来るって お約束したのに」



もう12時を過ぎていたのだ。



扉の向こう側から、ノックとイアンの声がした。



「ソフィア様。エミリーが まだ戻って来られてません。軽食で宜しければ 僕が、直ぐに御用意しますよ」



おなかが、空き始めていたソフィアは、その言葉に喜んでしまい つい ドアを自ら開いて 嬉しそうな瞳で彼を見上げる


「有り難う!イアン。楽しみにして、お食事を待ってるね」



まさか ソフィアが飛び出して来るとは思ってなかったので

No.92 08/03/28 22:23
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 91 ‥ちょっと 驚いてしまったが、ほんの少し考えて こう話した。



「ソフィア様は、人形がお好きですか?


実はね 友人がそれを送って来たのですよ。こちらから ある方に贈って欲しいとの事で。


しかし 僕は男ですし 人形に、どんな服を着せていいのやら‥それも分からないので、是非 ソフィア様に 着せて貰いたいのです。


人形が苦手でしたら仕方ありませんが」



「お人形さん 大好きよ。縫いぐるみも好き!‥いいわ。お洋服 着せるね。でもお人形の大きさは、どれ位なの? 私が持っているアンティークドールとサイズが合えば 良いけど‥」



イアンは 怯えさせない様、慎重にソフィアの背中へ手を回す。



少女の気持ちを、考えての事では無い。


自分が ソフィアに避けられたく無い為である。



今度は 上手く行き
イアンは、少女を自室へと連れ込んだ。

そこに ある小部屋に通すと、ソフィアと余り変わらない大きさの 人形がベットに座っていた。



「わー!可愛い。これなら 私のお洋服でも着れそうね。待ってて!何か取って来るから」


そう言って 再び、自分の部屋に戻るソフィア。


イアンが“人形”に囁く。

No.93 08/03/28 22:47
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 92 ‥「君が居れば、ソフィア様は 此処に来る。僕の元に・・。だから 僕は、君を手放さない」






5分もしない内に、ソフィアは 服や下着を抱え込んでやって来た。



「さぁ!イアン。此処は、貴方の お部屋だけど‐‐御免なさい。席を外してくれない? この子は、お人形さんと言っても“女の子”よ。男の方に、お着替えを見られたら きっと恥ずかしい筈だもの」



「承知致しました。それでは 僕は食事の支度を しますが、何か御用の際は いつでも お申し付け下さい」



目の前にいるソフィア。閉ざされた小部屋。


今なら、きっと力づくで 全てを自分のモノに出来るチャンスだ。



だが イアンは、グッと堪えて 部屋を後にする。



(もう少し待てば
〔薬〕が手に入る。それを飲ませれば‐間違いなく ソフィア様は我が手に…)



そんな思いを、胸に秘めていたのである。




◇◇◇◇



彼が出て行き、お人形を覆っている毛布を ソフィアは外した。


(本物の人間みたい)

驚いてしまったのだが、もう一つの驚きは‐‐その人形の履いているショーツが 自分の物であったからだ。

No.94 08/03/29 07:36
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 93 ‥(どうして、お人形さんが・・?)


不思議に感じたけれど、まさか イアンが盗んだなんて思わなかった。まだ幼い心を持つソフィアには そこ迄 人を疑う面は無かった為である。



だが 見れば見る程
今にも動きだし、お喋りをしそうな人形に 女の子らしい興味を抱き、着せ替えを始めて行く内に その疑惑は 忘れていった。



「お人形さん このお洋服は、殆ど お袖を通してないから、新品同様なのよ。ちゃんと お洗濯とアイロンがけした(‥のは、使用人)し、傷んで無いからね」


“お人形遊び”で、ソフィアは 話しかけ、自分が持っている人形専用のブラシで 髪の毛をとかす。


「故郷に居た頃ね、お友達同士で こうやって、髪を結んだり とかしたりしてたんだ。勿論 お人形遊びもしたのよ」



その時の事を 思い出しながら、涙を滲ませ それは 粒の様に転がり落ちた。





「私ね‥すごく寂しいの。それを、埋めてくれるのは エドウィンだけ。



でも‐‐構ってくれない。優しいけど、何処か 私に対して冷たく感じる時があるの」

No.95 08/03/29 22:51
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 94 ‥「何が原因なのかな・・?」


そんな言葉を呟いた時 昼食の知らせが届き ソフィアは、涙を拭いて 人形に包容し 部屋を後にした。



綺麗な‥綺麗な‥生きている様な人形。

何も喋らない。



ただ これから先、起こりうる事を 見透かしているかの様に ソフィアの姿を瞳に映していたのだ。



「幸」とも「不幸」とも言える色を浮かべて。



◇◇◇



いつもより、遅めの昼食。


「ソフィア様 申し訳ございません。こんな物しか お作り出来なくて」


イアンが、軽食を差し出した。


「どうして 謝るの?
私 リゾット大好きよ」


ニッコリして、それを美味しそうに口に運ぶ。




「‥目が少し赤くて潤んでますけど(涙目)泣かれてたのでしょうか?」


食事を終えた頃に、イアンが問いかけ
ソフィアは こう答えた。



「笑わないで聞いてね。エドウィンの事を想って、お人形の前で泣いてしまったの。私が、エドウィンを好きでいる程
向こうは 私を好きで無いのかなって。
冷たくされるのも、そういう所から 来てるのかしらね‥」



シュンとして俯く。



これを聞いて、イアンは 直ぐ彼の心境が分かった

No.96 08/03/29 23:24
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 95 ‥それは、エドウィンが 確実に、ソフィアの事を“気に掛けている”つまり、“愛情”が芽生え出している訳だ。


少女が言った“冷たく感じる”のも、勘違いでは無い。しかし、その理由は違う。


18歳である自分が10歳のソフィアに そんな恋愛感情を持った事に対する、抵抗心‐‐‐エドウィンの〔心の葛藤〕が そう感じさせていたのだ。



だけど、イアンは その事実を 少女に伝えなかった。



ソフィアを、手に入れたかった為である。だから こんな風に、話して 少女の純粋な心を不安にさせた。



「申し上げにくいのですが、お2人の年齢差が問題でしょう。18歳から見たソフィア様は まだ子供ですからね。


恋愛としての愛情に ご期待なさらない方が良いかと 僕は思います」



分かりやすい位に、落ち込んだソフィアの側へ イアンは、すかさず駆け寄る。

「僕なら エドウィン様の分‥いいえ、彼以上の愛情を ソフィア様に捧げる事が出来ますよ」


今度は 押し倒したりせず、強く抱きしめただけだ。


「有り難う‥。イアン。でもね やっぱり私は エドウィンが好きなの」


そう言って、彼から身を離そうとした時‐‐エミリーが戻って来た。

No.97 08/03/29 23:43
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 96 ‥エミリーが見たのは、イアンがソフィアを抱きしめている所。しかし 声までは聞き取れてなかった。



「一体 どういう事なの‥?」



訳が分からず エミリーは 思わず口にした。




イアンから、身を離した ソフィアが彼女に食って掛かる。


「どういう事なの?って、私が貴女に聞きたいわ!!お昼までには、帰って来るとお約束したのに もう随分と時間が経ってるじゃない!!それは、一体 どういう事
!?」



「申し訳ございません!施設からの帰りに、食材を買う為
市場に寄っていたら時間が掛かったのです。食料庫に、保存している物で 少なくなってる分も有りましたから」



「でも!でも!お約束を破った事に 違いは無いのよ!“指切り”したのに‐‐!」

怒りから来る涙が、溢れ出す。


「橋の向こうの子と、会えるのを楽しみにしてたんだよ!!」


「今からでも、行けますよ。まだ13時ですし 橋の向こうの方とは、お会いになる約束して無いのでしょう?」


そう言ったのはイアンだ。


「そうよ!その子とはお約束して無いけど行きたかった!でも、今日は無理!!こんな真っ赤な目じゃ恥ずかしくて出られないもん!」


と、大声で泣き叫んだ。

No.98 08/03/30 07:09
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 97 ‥「御免なさい。ソフィア様。明日なら必ず・・」


エミリーが、頭に手を触れ様とした時、ソフィアは それを払いのけて 自分の部屋に駆け上がって行った。



ソフィアの“楽しみ”を壊してしまった事よりも、自分が此処から追い出されてしまうのでは無いか‥と言う気持ちの方が エミリーは強かった。


対処方を 頭の中で考えている時、それを遮る様にして イアンが口を開く。



「僕が ソフィア様を抱きしめた理由(わけ)いずれ分かるだろうけど、先に言っておくよ。



ソフィア様を愛しているからだ」



一瞬 耳を疑いたくなる発言。だが エミリーは すぐ思い直して


「え‥?あぁ!“妹”の様に思っているのね。確かに ソフィア様って、可愛らしい顔しておられますもの(性格は、ともかくとして)」


と答えた。




「妹の様だなんて、一度も思った事は無いね。


一人の女の子として見ている」



世の中には そう言った“少女趣味”の者が居ると知っていたが まさか、目の前にいる19歳の男が そうであるとは存じて無かったのでエミリーは、衝撃を受けてしまった。

No.99 08/03/30 08:08
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 98 ‥「その事、エドウィン様とソフィア様は ご存じなの?」


動揺を隠せず、少し声が震えた。


「エドウィン様なら知ってるよ。だけどソフィア様は、知らない」


「それを 私に聞かせて、どうするつもりなの?‥どうして欲しいの?」


「どうもこうも・・。エミリーの方から最初に聞いてきたんだよ。僕がソフィア様を、抱きしめている時に“一体 どういう事なの?”ってね。だから それに答えただけ」


淡々と伝えた後 こう続けた。


「1時間程 出かけて来るよ」




◇◇◇



イアンが外出してから、エミリーは混乱する思考を 何とか落ち着かせて、取り合えず 今するべき事を考えた。



(イアンの趣味と趣向は、私が どうにか出来るものじゃないわね。取り合えず今は あのワガママなお嬢様(ソフィア)の ご機嫌を直さないと。これも 私の“仕事”=“お金”)


そう思う様にして、ソフィアの元へ。




確かに 少女の言動は“ワガママ”と捉えられても、仕方が無いであろう。

  • << 103 ‥「ソフィア様・・。エミリーです。先程は 失礼致しました」 少女の部屋の扉を、ノックして ドア越しに声を掛けた。 ー 無反応 ー (お金の事さえ‐‐妹との生活の事さえ無かったら、こんなワガママに 仕える必要なんて無いのに!) 心で重い溜め息を付き、何の返事もしないソフィアへの“ご機嫌”を取る為、エミリーは 市場で買って来たキャンディーを ポケットから取り出す。 (ちょっと、喉が傷むから 自分の分として買った物だけど‥仕方ないわね) 無駄遣いしない彼女が、購入したキャンディーは とっても安い物である。 産まれた時から、立派な家柄・裕福に育って来ている お嬢様の口に合うかどうか‥。それが問題。 (余計 怒らせない様に 話し方を考えて伝えよう) アレコレと、悩み(?)そして また喋りかけた 「あの‥お話したい事が御座いまして・・・。扉を開けさせて頂きます」 ゆっくりと、ドアを押し開ける。 少女は ソファーに座り 肩を震わせ、すすり泣いていたのだ。 エミリーが近づくとソフィアは 洪水の様な涙を流していて“メモ用紙”を突きつける

No.100 08/03/30 08:39
澪 ( ♀ ZnPK )

>> 99 ‥あの年齢で、合意とは言え 故郷から
遠く、遠く・・離れた地に身を置くソフィア。




寂しくて 寂しくて‥そんな、少女にとっての拠り所は、大好きなエドウィン。


だけど その彼からは、充分な愛情を注がれていない。




他の誰も見ないで。


私だけを愛して。



貴方は 私のもの。



振り向いて‐‐。



寂しさから生まれた感情は、依存心となっていた。





情緒不安定な気持ち。



上手く感情のコントロールが出来ない。




******



そして、いつの間にか‐自分でも気づかない内に ソフィアへの“愛”に気付いたエドウィン。




それを表現出来なかったのは、勿論〔年齢差の壁〕も有るのだが もう一つ訳があった。




もし 自分が“少女”を愛している事が世間に知られれば、彼自身 批判的な目で見られる気がしたからである。




その事は、彼が持つ貴族としてのプライドを傷つけるのだ。

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