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砂の歌

No.3 08/03/19 02:40
光跡 ( Uc1Hh )
あ+あ-

第1章 奇術師の遺産



青々とした空に細波が立っている。
のどかな日和のもと、王都メネフィはいつもと変わらぬ風景を見せていた。

市場では季節がもたらす果実や野菜、他の町から運ばれてきた魚が威勢よく売られ、
中央の円形広場では、老若男女が思い思いの昼下がりを過ごしている。
楽しげに合奏する街角楽団の姿も見え、実に賑やかだ。



スッと吹き抜けた風が、首もとの毛先を持ち上げた。
その時初めて、リリアは自分が少し汗ばんでいることに気付いた。
気候は決して暑くはなかったが、さすがに半日歩き通しでは身体も熱る。

短いアイボリーのマントの下に、白い長袖シャツと、濃紺で袖なしの上着を重ねてまとい、腰を太い皮のベルトで締めている。
歩きながら、彼女はその両袖を肘まで捲り上げた。

今彼女が歩いているのは、雑踏を離れた、高台の住宅街だった。
先ほどまでのざわめきは嘘のように消え去り、静かで穏やかだ。
道の左右には、立派な造りの屋敷が土地を持て余すように建ち並んでいる。

それらを横目に、リリアはズボンを詰めたブーツを高らかに鳴らして歩いた。

再び、風が癖の強い茶色の髪を躍らせる。

もう秋だ、と、リリアは思った。

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