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ユースケは普通の恋愛がしたい

No.15 21/04/06 23:34
修行中さん0
あ+あ-

文字数縛りは半ば諦めて、「あと5日で終わらせる」ように頑張る。
毎日連載出来る作家さんって凄い。

06/10ページ


「次、自己紹介お願いします!」

同僚が美人さんを指名した。

「クレハと申します」
「どんな漢字書くの?」
「もみじ、です」
「ユースケ、もみじってどんな字だっけ」

紅葉さん。
名前も声も美しい気がしてくる。

「揉み……いや、こうようだろ。くれないにはっぱだよ」
「紅だァー!」

わかったから落ち着け。

「セラピストをしています」
「どんな仕事?」
「アロマを使ったボディエステとかです」
「凄いお仕事ですね!」

揉む仕事だった。いい匂いなのも仕事柄かな。

「ご趣味は!」
「趣味は……ドライブですね」

きっと車を持っているのだろう。
僕は電車通勤のペーパードライバーだ。

さらに聞きたがる同僚を制止して、次の人を指名して貰う。
地味子→派手子→友人、最後に僕。
趣味は無難に旅行と読書を挙げた。

美人……紅葉さんには同僚が食いついてるので、
僕は友人と女性二人に話を振るが盛り上がらない。
幸いか、友人のほうがウケている。

あれっ、僕の魅力、低すぎ……?

紅葉さんを眺める。漫画の話をしているようだった。
目が合う。
僕に笑顔を向けてくれた気がした。

「ユースケは、かぐや様とか読んでんだろ」

それはラブコメじゃん、と言いたい気持ちをグッと抑える。

「圭ちゃんが可愛いよね」
「誰?」
「読んでないんかーい!」

紅葉さんは楽しそうにしている……ように見える。
営業スマイルだとしても、本心を見抜ける自信は無い。

話題は車に移り、同僚が連絡先交換にこぎつけた。
ついでとばかりに僕も交換して貰う。姉と同じアプリだ。

「LINE無いんすか?」

同僚は急いでアカウントを作成している。

「お客様の個人情報を取り扱う仕事なので」
「ですよね! もう古いですよね!」

微妙に会話がズレている。

「ユースケさん、あちらもお願いします」

紅葉さんが促す。3対3なのに輪が完全に二分されていた。
友人たちの会話にも入れず、座ってるだけ。
やがてトイレに立つと、同僚がついてきた。

「俺はもうダメだ」

紅葉さんはその後、同僚をあしらったようだ。

「お前ならいける」

そう言われたものの、一次会で解散。
ここからでもチャンスはあるのだろうか。

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