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雨が降っていた2

No.29 17/09/19 02:19
パンダっ子 ( FWvYnb )
あ+あ-

「史織さんを好きだって気付いたのはいつからなの?」
「史織と同室になって、仲良くなった私達は何でも話したけれど、不思議と男の子の話はしなかったの。ある時その事に気がついて考えてみたんだけど、二人で居るのが本当に楽しくて、どうせ年頃になったらお見合い結婚をするんだから、今恋をしたって仕方ないと思っていたの。きっと彼女もそうだろうと思っていたわ。」

「・・・あれは、入寮して半年経ったある秋の夜だった。大きな台風が来て、雷が酷くて・・・私は小さい頃から雷が苦手で、怖くて怖くて耳を塞いでガタガタ震えていた。そのうち停電もあって、あの頃は頻繁に停電していたの。・・・その時だった。史織が私を抱きしめて、『大丈夫、私がここにいるから』って言ってくれたの。二人で頬を寄せて、固く抱き合って、いつもよりずっと強く石鹸の香りがした。胸が圧迫されて、私の鼓動が史織に聞こえているかもしれないと思った。時々青白く光る稲妻が私達を照らして、その時だけ史織の顔が見えた。彼女は私をずっと見ていてくれたわ。とても優しい、美しい表情をしていた。大嫌いな雷が、永遠に鳴り止まなければいいとさえ思った。私は・・その時から史織を意識するようになったの。」

「おばあちゃん、雷が怖くてドキドキしていただけとは考えなかったの?」
「もちろん考えたわよ。何度も何度も。あれは史織の優しさであって、恋愛感情を抱く私がおかしいのだと。史織はああやって震えていたのが私じゃなくても、きっと同じようにするのだと自分に言い聞かせた。だけどね、何度考えても、あの夜の史織の肌の感触も、香りも、私が感じた胸の高鳴りも、全てが素敵に思えた。」



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