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闇の中の天使

No.54 13/02/19 19:55
中谷月子 ( ♀ ezeSnb )
あ+あ-

≫53


「ごめんなさい」

私は、近藤さんと真田さんに丁寧に頭を下げた。
「私、おば様には言えませんでした。どうしてもソノハラに行きたいと思われるのでしたら、やはりちゃんと予約をとるべきかと、思いました」
二人は、顔を見合わせると「ああ、気にしないで。そうよね、こんな無理なお願いをして、こちらこそごめんなさい」そう言ってくれた。

私は、おば様の言葉に従って良かったのだと思った。

お昼になり、私はプレートに好きな物をとり、テーブルに着いた。
すぐにあの三人が寄ってきた。
「今日もご一緒してもいいかしら?」園田佳奈美が優雅な口調で言った。
「はい。どうぞ」と、私が返事をすると、昨日と同じ席にそれぞれが座った。
「曽根崎さん、このお二人のお願いを断られたそうですね?」と、パンを一口大にちぎりながら横を向いて園田佳奈美が私に話しかけた。
「ええ…、近藤さんと真田さんには申し訳ないと思ったのですが…」
「いいえ。こちらのお二人とも、由緒あるお家の方ですから、私はもっとプライドを持って人と接するべきだとこれまでも思っておりました」
園田佳奈美にそう言われ、二人は複雑な表情を見せた。
そして「曽根崎さんのご判断は、正しいと思います」と、はっきり言うと園田佳奈美は目の前の二人を見た。
それは、まるで無言の圧力のようでもあった。

私はまた気不味くなってしまい、黙って食事をした。
二人は早々に食べ終わると、「お先に失礼します」と言って、席を立った。
園田佳奈美は「曽根崎さん、この高校はいかがですか?」と私に聞いた。
「まだ二日目ですから、クラスの方々のお名前も覚えられません」
「それは仕方がありません。少しずつ慣れていかれると良いかと思います」
「ありがとうございます」
「これからは、ずっと日本にいらっしゃるご予定ですか?」
「はい」
と、他愛ない会話をしながらランチタイムを終えた。


午後の授業は古文だった。
教科書を出そうと、机の中を探ったが無い。鞄の中にも無い。
おかしいな…、
昨日、予習をした後で佐伯さんと一緒に忘れもののないように気を付けながら鞄に入れたはずなのに…

チャイムと共に、担任である舛崎先生が教室に入ってきた。
園田佳奈美の「起立」「礼」に合わせ、皆が立ち上がると「よろしくお願いいたします」と、声を揃えて言った。


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