Everlasting Love☆

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RIN( ♀ loeN )
13/05/05 04:32(更新日時)





あたしは
今あたしの隣りで
スヤスヤ眠るこの男に



何度 傷つけられ
何度 泣かされてきたか………。




「終わりにしなきゃ」
そう思う度、
離れられないのはあたしだった。



この暖かくて綺麗な手を
離したくないのはあたしだった。




…◇◆…………………………………◆◇…


小説と言える程、上手く書ける自信もありません。
読んで辛くなる方や不快に思う方がいると思います(*_ _)m

そんな方は是非スルーしてくださいm(_ _;)m


No.1886962 12/12/09 04:42(スレ作成日時)

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No.101 13/02/06 23:35
RIN ( ♀ loeN )

>> 100


寝起きの悪い織田さんも目をまん丸くして起きた。―そして―、あたしが投げつけた物をあたしに投げ返した。


初めて見る織田さんだった。
マジ切れしている。


お互いに興奮していたから何を言われたか、よく覚えていないが…
織田さんが自分の感情をむき出しに言葉を発する事はまず ない。 俺だってこれでも精一杯 努力してるんだ的な事を言われた気がする。



それでもあたしは納得出来なかった。


無言になったあたしを見る事もなく、織田さんはベッドに戻る。今までの興奮はどこへ?と思う位 また寝てしまった。



仕事が忙しくて疲れ果てて寝たならいい。けど、楽しく飲んで、酔っ払って寝る。あたしを呼んでおきながら。



あたしはずっと我慢してきた。嫌でも言わずに頑張って自分の気持ちをこれでも多少なり抑えてきたつもりだった。




あたしは1人ホテルを出た。


No.102 13/02/06 23:53
RIN ( ♀ loeN )

>> 101



追いかけてくる訳でもない。



もうボロボロだった。
あたしの想いは届かない。
言っても伝わらない。
我慢するのも もう限界だった。



既婚者と独身。
同じ「好き」でも違うんだ…。気持ち的な余裕も違う。



さて、凛…どうする?





このまま帰るのか?




追いかけても来ないのに
もう戻れないよ?




このまま帰ったら あたし達は終わるだろう。
そこまでの覚悟は出来てるのか?凛。




こんな事を自分に聞きながら
でも抑えきれない涙を流し あたしは歩いていた。




電話が鳴った。




出るか?
出ないか?




出た。

「お前…帰る奴がいるか!戻ってこい!」




「…わかった」



これだからダメなんだ。
結局いつもあたしは最終的に許してしまう。だから同じ事ばかり繰り返す。

わかっているのにバカなあたし………。


No.103 13/02/07 02:33
RIN ( ♀ loeN )

>> 102



ホテルに戻るとドアが開かない。



…。


開かない。


…。


やっぱり開かない。



一瞬、織田さんの仕返しかと思った。開かないから入れない。こんな惨めな姿…あたしは何をしてるんだろう…。


もう1度だけ試して開かなければ帰ろうと思った。
その時「ドア固いんだよ」と織田さんが開けてくれた。
この言葉がこの日の最後の声だった。



そこからはメールでのやり取りだった。織田さんがメールで言ってきたからメールで返した。同じ部屋にいるのに…。



この人は思った事を口で言うのが苦手なんだと理解した。
「戻ってこなかったらアウトだった」「せっかく一緒に寝たくて呼んだのに帰ったから、もう呼ばないと思った」




お互い無言のまま
泣き続けるあたしは織田さんの腕枕ですっぽり顔を隠すように………寝た。


No.104 13/02/09 01:37
RIN ( ♀ loeN )

>> 103



喧嘩しては仲直りし
また喧嘩しては仲直りする。
こんな毎日がダラダラと続いた。



喧嘩の理由がいつも似たり寄ったりの中身だから、2人の間での「5箇条」を作った。




◆サシで飲みに行かない
◆必ず最後は連絡する
 (無断外泊禁止)
◆約束を守る
◆嘘をつかない
◆隠し事をしない




最後に織田さんに足された。
◇妄想で泣かない
◇すぐくじけない
◇お互い他の異性との余計な接触は控える




ありがちな当たり前の様な内容だが、







、守れるのかい?
織田さん。



あたしは守れる自信はある。
あとから足された上の2個だけは自信がない。

だが、2人で決めた事。
出来なければ作った意味がない。
………出来る限り 努力しなきゃ!




さて、5箇条の効力はあるのか!? ないのか!?


No.105 13/02/11 00:15
RIN ( ♀ loeN )

>> 104




この5箇条………。
思っていたより効果があった。


織田さんは約束した。
極力、女性がいる飲みには行かないと。この「極力」には前島の存在が邪魔をする。前島は上司だから あまり断れない、と。そこの部分は仕方ない。



織田さんは飲みに行かなくなった。仕事が忙しくなったのもあるが…。飲みがなくなると喧嘩も減った。それはそれで、ほんの少し罪悪感も感じた。




あたしは元々 飲まないが、たまには飲みたい日もあるだろう。仕事に追われ疲れた日なんかは特に息抜きに飲みたくもなるだろう。



あたしとの約束で飲みに行けない。ストレスはたまんないか。


次はそんな事が気になるようになった。




あたしは重くないだろうか………。




No.106 13/02/11 00:34
RIN ( ♀ loeN )

>> 105



「ねぇ…織田さん。あたしが言いたいのは、ずっと逢えてなくて寂しい時に他の女の子と飲んでるのが嫌なだけ。必ず連絡さえくれれば、飲みに行ってもいいんだよ?」




「いや…俺ももう喧嘩はしたくないんだ。凛を泣かせたくない。それに今は仕事がめちゃくちゃ忙しいから飲んでる場合じゃないし。…大丈夫。心配するな!たまには断れなくて行く時もあるけど、必ず連絡するから。余計な心配しない事!」




「そっか…わかった。なんか、ごめんね」




織田さんは優しい顔で微笑む。そう、あたしが大好きな織田さんだ。




そして織田さんは日に日に仕事に追われていく。織田さんはあまり身体が丈夫じゃないから、心配だった。 終電で帰っても朝が早いから睡眠時間も少ない。


かと言って会社に連泊するのは奥さんが許さない。



喧嘩は減った。
あたしが嫌だった女性がいる飲み会にも行かなくなった。
ホッとしたような、可哀想なような。身体だけは大事にしてね!と言いたいが あたしが仕事を代わってやれる訳でもない。


そんな中、あたしの不安は的中する。


No.107 13/02/11 01:00
RIN ( ♀ loeN )

>> 106



ある夏の日の夕方。


「凛、すまん。今日は戻りが遅くなりそうだ。心配しないで先に帰るように!」




「トラブル?」




「ちょっと具合が悪くなって今、病院。少し落ち着いたから心配いらないよ!」



そこから連絡が途切れた。
暑い日だったから熱中症かな?と思っていた。



心配するなと言われても…
心配しないわけがない。
あまり遅くまで残っているのも不自然だよな、と思いチラッと時計を見る。


連絡があってから既に2時間経っている。



周りは知らないのか知っているのか分からない位 織田さんの事は話題にもなっていない。


情報がつかめない。
どうしよう………。



やっと連絡が来た!


「今から戻るよ!心配かけてすまん」



「熱中症?」



「いや…胸…狭心症だと言われた。まぁ大丈夫だよ」



「狭心症って…。どこの病院?」



病院はそう遠くない。
忙しい振りをして帰りを待った。


思ったより元気そうに帰ってきた。男性社員との間で茶化されながら笑って話している。



1人じゃないし大丈夫かな!?
顔も見たし帰ろう。
詳しい事は夜聞こう。



No.108 13/02/11 01:20
RIN ( ♀ loeN )

>> 107



あたしは若い頃に父を心筋梗塞で亡くしている。
狭心症と聞いただけで不安でいっぱいになる。父も真面目で仕事一筋の人間だった。




夜。



「突然、胸がグッと痛くなったんだ!死ぬかと思ってすぐ一番近い病院に駆け込んでさ。そしたら待ってる間に痛みがなくなった(笑)」



「絶対、我慢しないでね!発作が起きたらすぐ救急車だよ!我慢するとお父さんみたいに死んじゃうよ!」



「俺をそんな早く殺さないでくれよ(笑)発作起きたら飲む薬ももらったし今 嘘の様に全然 元気だから心配すんな!」



「………うん」




「大丈夫だよ」



優しい声。
愛おしい。



織田さんは…
織田さんは…
あたしの彼氏の前に
大切な大切な、可愛い可愛い子ども達のお父さん…なんだからね…。


お父さんを亡くすにはまだまだ幼なすぎる子ども達。仕事も大事だけど、もっと身体…労ってね…。



そう告げると
「はいよ!全く心配性だなぁ」
と笑う織田さん。



けれど、織田さんの身体の異変はこれだけじゃなかった。


No.109 13/02/11 01:36
RIN ( ♀ loeN )

>> 108



またある日の朝
いつもの様に朝一のメールを楽しみに待っていると…。
織田さんからの着信音が鳴った。



「あっ!織田さんだ♪」



ルンルンしながら携帯を開くと
「凛~!具合悪くなってもうたぁ~今、便所!」



「…胸?Σ( ̄□ ̄;)!!」




「いや…下痢と嘔吐。吐きっぱなしで○○駅から進めない、ちょっと遅れるから心配しないで行ってくれ」




「○○駅なら…戻って病院行ってきなよ!今日は休みなよ!」


「いや…気合いだ!大丈夫。なんとか行くよ!」




大丈夫なのかな…。
風邪かな…?



しばらく経っても来ない。
○○駅からなら普通にくれば40分位。1時間経っても来ない。




「ねぇ…大丈夫?」




「今、向かってるんだが、吐き気で降りて、また乗って…の繰り返しで。今○○駅!もう少しだ!」




○○駅なら…あと5駅。
ここまで来ちゃったなら頑張れ!としか言えなかった。



ただの風邪ならいいが…。
病院に行かせよう。


No.110 13/02/11 01:51
RIN ( ♀ loeN )

>> 109



何事もなかったかの様な顔をして入って来た。遅刻の理由を何と言ったのかは知らないが…。


普通に仕事している。
大丈夫なのかな…。



あまり仕事中はメールしても携帯を見れないから「大丈夫?」とだけ一言メールした。
返事待ち。



返信がないから「病院行ってね」と言って帰った。
返信が来たのは終電間際。



「今日は会社に泊まるよ!」




「病院行ってって言ったのに。…大丈夫?」




「朝、歯磨いてたらオエってなって血吐いたんだ。明日も続くようなら病院行ってみるよ!」


「明日も…って…今日、日中も続いてたの?」



「ああ。しんどくて…もう寝たい」



「なんかあったらすぐ連絡して!」



「わかった。すまない」




この人は意外と頑固だ。
次の日は治ったと言い病院には結局、行かなかった。



No.111 13/02/11 02:13
RIN ( ♀ loeN )

>> 110



この日以来、あたしの知る限り…血を吐く事もなく平穏な日々が続いた。



夏はあたし達の記念日がくる。
4年記念日。



職場にも家庭にもバレたらイケない関係は、プレゼントが難しい。 身につける物は奥さんのチェックが入る為 NGだ。



必然的に選ぶ物は会社で使える物になる。だが4年にもなると 段々とネタ切れ寸前だε-(‐ω‐;)



ペアの物…なんて絶対的に無理だからペアは買った事がない。




なんかないかな…?




すごーく考えた。
いい案が浮かんだ!
織田さんが喜ぶかは分からないけど、織田さんが必ず使う物。そして、あたしも使える物。




4年記念日は初めてお揃いの物を買った。「手帳」…と言っても中身を自由に入れ替えられる手帳。織田さんが中身は好きな物を入れて使えばいい。
あたしは毎日 書いている日記用にした。そして、家で使う。




ペアだけど、一緒の場所で持たなければバレない。色は織田さんが好きな茶にした。



しばらく使ってなかったから…気に入らなかったかと思った。

No.112 13/02/11 02:26
RIN ( ♀ loeN )

>> 111



ちゃんと使ってくれていた。
「会議なので、しばらく抜けます」と言った織田さんの右手に手帳があった。




こんな些細な事が嬉しい。
あたしが選んだ物を織田さんが使ってくれている。



織田さんからはピンクのハートのピアスをもらった。実はあたしは肌が弱くピアスはカブレるのでしばらく付けていない。
だが嬉しくて速攻つけてみた。
夏と言う事もあり、さっそく耳がパンパンになった。


消毒しながらつけている内に慣れた。




忙しくて無い時間の中でこれを選んでくれた事が何より嬉しかった。織田さんはどんなに忙しくても必ずプレゼントはくれる。


物は何でもいい。
その「気持ち」が嬉しい。




この幸せな気持ちがいつまでも続きますように…。




No.113 13/02/11 02:40
RIN ( ♀ loeN )

>> 112



幸せ。
幸せってなんだろう。



どんな事が幸せで
どんな事が不幸せ?



好きな人とただ一緒にいたい。
好きな人とただ一緒にいられる。



あたしにとっては幸せ。
じゃあ、家族は?



あたしは嘘をついて騙されるのは嫌。
けど、嘘の塊で騙している現実。



喧嘩ばかりしては葛藤してきた。こんな関係を続けてていいのか…。



答えなんて分かってる。
ただその真実からは目を背ける。自分の欲望だけを必死に守る。



胸の痛みは消える事はない。
ただ、忘れてしまう瞬間がある。「幸せ」を感じている間は自分達の都合のいいように…。



No.114 13/02/11 03:06
RIN ( ♀ loeN )

>> 113




めったに休む事のないあたしだが、突然39度の熱が出た。
まだインフルエンザが流行る時期ではない。



よく見れば喉の奥が白くなっている。
扁桃腺か…!



仕事を3日間休んだ。
いつもと逆パターン。
けど、熱で辛くて休んだのは最初の2日間だけ。3日目はズル休みだった。


初日の織田さんはとても優しく 合間を見ては連絡をくれた。


「大丈夫か?」
「少しゆっくり寝てな!」


それじゃあ寝れないぞヾ(^-^;)と思うくらいマメに連絡をくれて優しかった。



病院に行ける気力もなく病院は2日目の午前中に行った。抗生物質をもらい熱は夕方には下がっていた。


これなら明日は行ける!
仕事を休むと織田さんの顔が見れない。早く行きたくて仕方なかった。



忙しくてプライベートではなかなか逢えなくても職場が同じだと毎日 顔だけは見れる。
唯一のメリット。



「織田さん!熱下がったよ!」



あれだけマメに連絡をくれていたのに突然、返事が来なくなった。



忙しくなっちゃったんだな…としか思ってなかった。熱が下がったあたしは身体もだいぶ楽になり、織田さんの帰りを待った。




しかし、終電を過ぎても連絡が来ない。久しぶりに不安がよぎった。


No.115 13/02/11 03:39
RIN ( ♀ loeN )

>> 114



織田さんの仕事が忙しくてしばらく逢えていない時期だった。


終電が過ぎ
深夜0時…1時が過ぎる。
まだ連絡は来ない。



電話は繋がるが…出ない。
と言う事は帰ってはいない。
飲んでるんだ。



誰と飲んでる?
前島と飲む日は遅くても前島の終電には解散する。
他に誰かいるんだな。



やっと深夜2時を過ぎてメールが来た!

「遅くなってごめん。具合どうだ?」



「熱はないけど…ちょっと寂しかった」



「ごめん。西さんが酔いつぶれて歩けなくてさ。北川さんと会社まで連れてきて。そのまま3人で会社泊まり。………凛に逢いたい…」



「ちゃんと連絡くれたからホッとした。約束守ってくれてありがとう!やっぱり織田さんはあたしを裏切らなかったね!」



「…俺、そんなちゃんと出来てない…凛が具合悪くても来て欲しい…」



「だって会社でしょ?」




「…うん。でも逢いたい」




珍しい。恥ずかしがり屋の織田さんは普段こんなストレートに物を言わない。
でも、少し酔っているのかと思い あまり疑いもしなかった。


「ちゃんと治ったら逢おうね」



「…凛…」
泣き顔の絵文字が何度か続き、そのまま おやすみ と言って寝た。



メールでは笑って見せたが久しぶりの待ちぼうけで少し疲れ、熱は下がっていたが次の日も休んでしまった。



その後 何日間かの織田さんは今から思えば何か言いたくて でも言えなくて、罪悪感と戦っていたのだろう………。
とても優しくて あたしが復帰した日には「逢いたい」と言ってあたしを抱いた。



No.116 13/02/11 04:24
RIN ( ♀ loeN )

>> 115



「抱かれる」事は効き目抜群であたしのちょっとした怒りと寂しさもどっかへ飛んでった。
単純な女。



「抱いた」事により あたしのご機嫌も治り 安心したのか織田さんも普段の織田さんに戻っていた。





―それから一週間経ったある日―



この日、久しぶりに木村さんが一緒に帰ろうと待っていたので一緒に帰った。



聞きたくない真実を耳にする。単純なあたしは、もうすっかり忘れていたのに。




「こないださぁ!…『もう俺、飲みには行かないから』、とか前に言った癖にさぁ!織田さんと飲んじゃったよ!!超~ぉ久しぶりなんですけど(笑)」





え…?




織田さんと?




飲んだ?





「ふ~ん!いつ?」
体が震えているのが分かる。
けど、平常心を装って精一杯 冷静に聞いた。




「あ!凛ちゃんがお休みしてた時!しかも飲み屋じゃなくて蕎麦屋で朝まで!(笑)」



「ふ~ん」
もう言わないで…。
それ以上 言わないで…。
自分で体の震えが止まらないのが分かる。
これ以上 聞いたら泣いてしまいそう。



あたしは話題をすり替えた。
だが、余程 嬉しかったんだろう。木村さんはまだ話し足りない様子で話を元に戻す。



無理。
もう聞きたくない。
「あたし銀行寄りたいから…お疲れ様でした!」
笑顔でバイバイし、用もないのに銀行に入った。





出たら木村さんが待っていた。
まだ話したいの?



怒りの矛先は木村さんじゃないはずなのに…怒りを覚えた。
殴ってやりたいくらい憎かった。



「待っててくれたんだ?ごめんね」




「でね!――――――」
話は続いた。




「ねぇ…蕎麦屋で朝まで飲んでたの?すごいね!」




「いや…蕎麦食べて帰ろうって話だったのに夜中まで飲んでた(笑)」




この木村さんの口っぷりは織田さんと2人きりの様な話っぷりだった。他の男の名前は出てこない。




どっちの話が本当なの?
あまりしつこく話が続くので、一瞬 試されてる様にも感じ あたしは少しだけ冷静さを取り戻す。



最後は嫌な女になった。
「木村さん嬉しそう(*´艸`*)よかったね!久しぶりに飲めて!((*´艸`*))じゃあ、お疲れ様でした!」



無理やりバイバイした。
ためらう事なく携帯を手にするあたしがいた。


No.117 13/02/11 23:15
RIN ( ♀ loeN )

>> 116



初めてだった。
仕事中に「専用携帯」に電話をするのは。しかも時刻はまだ、誰か残っているかもしれない早い時間。


いつもの織田さんなら、まず出ないはず。
しかし織田さんは出た。
あたしが木村さんと帰ったのを見ていて
「ヤバい」とでも思っていたんだろうか。





怒りと言うべきか
ショックで悲しくて悔しくて
電話に出るなり あたしは泣きじゃくる。
「織田さん…!………なんで嘘ついたの?なんか隠してる事ない?」





「待て、凛!…どうした?」





「織田さん嘘ついた。あたしを騙した。
………なんで?」





「西さん事件の日の事か?」





「………他にもあるの?」





「ない!ちゃんと話すつもりだったよ
…ごめん…タイミングが分からなくて。
でもちゃんと話すつもりだった」





認めた。
隠すなら…
完璧に隠し通して欲しかった。
以前から言っていた。
木村さんはお茶する度 織田さんの話ばかりする、織田さんの話しか出てこないと。
木村さんは男好きだが、織田さんを特に気に入っている。
だから あたしは木村さんと織田さんが飲みに行くのを1番嫌ったよね?
知ってたよね…織田さん。





木村さんがあたしに話さないとでも思ってた?
だとしたら…
とんだ誤算だったね…織田さん…。





もう…声にならない。
「織田さん、今どこで話してるの?」




「…倉庫。…凛…」




もうショックで言葉を失った。あたしは一方的に電話を切った。この普段では有り得ないあたしの状態が心配でたまんないのか何度も何度も電話が鳴る。




No.118 13/02/17 20:20
RIN ( ♀ loeN )

>> 117



今更 何を聞いたって それは言い訳に過ぎない。事実を変える事はもう出来ない。




こんな事で?
別に浮気されたわけでもないのに。ただ女と飲みに行っただけ。それが許せない? 器ちっちぇ~!




そう思う人もいるだろう。




あたしは体調が悪くて休んでいた。高熱が下がり、健気に織田さんの連絡を待っていた。
深夜に連絡は来た。そこに木村さんの名前はなかった。男性が酔って一緒に会社に泊まる、と言った。


後日 逢えた日もその日の話には触れて来なかった。2人で決めたはずの 決めたばかりの5箇条、後半3つをあっけなく破った。




仕事が忙しいから、と しばらく逢えていなかった。
何も知らないあたしは…ただ織田さんを信じ 織田さんに抱かれた。


忙しいから、あたしとは逢えないのに…飲みに行ける時間はあるのか…。



悲しかった。
悔しかった。
騙されたようで裏切られたようでバカにされたようで…情けなかった。


あたしが好きな織田さんは…もっと優しくて誠実で思いやりがあった。


そんな織田さんはどこへ行ったの?





鳴り続ける電話に…出た。
「…なんで切るんだよ!…んで出ないんだ!」




「何を言いたいの?」



No.119 13/02/18 02:27
RIN ( ♀ loeN )

>> 118



「今日なるべく早く上がるから逢おう!今どこにいるんだ?もう暗いからフラフラしないで欲しい」




「こんな顔で帰れないから」




「………ごめん。どこにいるんだ?」




「…いつもの公園」




「少し落ち着いたら帰れよ。俺は凛が好きだ。言うのが遅くてすまなかった。でも、やましい事は一切してないからな」




「もう戻らないとマズいでしょ。戻って、大丈夫だから」




「…わかった」




あたしは落ち込んだり嫌な事があると夜ブラブラ歩いたり この公園でボーっとしたりする。

タオル片手に珈琲を飲みながら考えていた。いつまでも止まる事を知らない涙がポロポロポロポロこぼれ落ちる。



周りに何人か人はいたが
恥ずかしいとかカッコ悪いとか考える余裕もなかった。




でもいい加減 帰らないと…。
泣きはらした顔で帰宅したあたしはこの日 トイレ以外 出る事もなく部屋に引きこもった。



No.120 13/02/18 02:44
RIN ( ♀ loeN )

>> 119



織田さんからメールが来た。
急いで終わらせたようで
「今から行く」と…。




だが、初めて拒否した。
「今日は1日考えたい。せっかく早く上がってくれたのにごめんね…」




「いや…俺が悪い。凛にずっと逢えてなかったから やっと逢えた日に喧嘩したくなかった。だから、やっと逢えた時は言えなかった。あの日からずっと凛に逢いたくて仕方なかった」




返す言葉が見つからなかった。しばらく返信出来ずにいた。




「凛を壊しそうで怖い…凛を失いそうで怖い…」




また泣いた。
そして次の日…
またズル休み。
織田さんにメールする事もせず休んだ。




まだ あたしの中で答えが見つからずにいた。




凛…………
どうする?
どうしたい?
許すのか?


それとも、終わりにするのかい?



自分の気持ちにまっすぐ向き合ってみた。



その時 織田さんからメールが来た。
「顔…腫れたんだね ごめん…」





No.121 13/02/20 02:01
RIN ( ♀ loeN )

>> 120



「好き」


この気持ちは変わる事はない。
どんなに辛くても
悲しくても
酷い!と思っても………



好き。



憎む事が出来ない。
いっそ大嫌いになれたら どんなに楽か…と何度も思った。



大好きと言ってくれても
いくら優しくしてくれても
あたしを真剣に想ってくれてても…
織田さんには家庭がある。



「ずっと一緒」
こんな約束が叶わない事くらい分かってる。



随分 悩んだ。
布団の中に丸まってティッシュを抱え込んだまま 考えちゃぁ涙がポロポロ出て こんなに泣いたら もっと目が腫れるのに… 涙ってこんなにとめどなく出るモノなんだ…と思うくらい泣いた。



蓮や母はそんなあたしを
「どうしたの?」と聞きに来る事もなく放っといてくれた。
それがありがたかった。




「好き」
でも
「許せない」


「そばにいたい」
でも
「悔しい」



しばらく葛藤した。



No.122 13/02/20 02:19
RIN ( ♀ loeN )

>> 121



返事を出来ずにいたあたしに
織田さんからメールが来る。




「ほんとにすまなかった。俺は凛が好きだから、凛が落ち着くまで待つ。せめて会いたかったが…今日は帰るよ…凛。…あまり泣くと顔腫れるから。もう泣くな!」




決めた。
ずっと返信しない訳にもいかないし、決めた。



「今回の事はかなりショックだった。まだ辛い。…けど、織田さんが嫌いになれない。好きなまんま。だから…決めました。今回の事は許せない。だけど、あたしは織田さんが好きです。…もし、次…こんな事があったら あたしは全て終わりにします。」



「わかった、約束する」



織田さんが駅に着きメールが終わると やっと重たい身体を起こしてリビングに行った。
蓮や母の前に出るのは初めて。


あたしの顔を見て蓮が言った。
「ひでーブスっ面してんなーぁ(笑)」



やっとニコッと素直に笑えたあたしがいた。


No.123 13/02/20 02:31
RIN ( ♀ loeN )

>> 122



蓮…。
こんな親でごめんね…。



ハッと思いメールをした。
「今回の事は『知らなかった』『聞かなかった』事にする。だから織田さんもこの話はもう一切しないで下さい」




あたしは考えてみればいつもそうだった。
いつも蓮に癒されてきた。
蓮は親の恋愛事情には一切 触れてこない。
悲しい時
辛い時
いつだって蓮があたしをからかってオチョくって笑わせてくれた。


愛おしい蓮。
ありがとう

ごめんなさい

お母さんの胸はいっぱいです。



何らかの形で自分なりに決め事を作らないと いつまでもダラダラするだけだと思った。
だから
「もし次こんな事があったら終わらせよう」
そう決めた。


No.124 13/02/23 14:06
RIN ( ♀ loeN )

>> 123


季節は冬。
織田さんが苦手な寒い冬。
あたし達は相変わらず一緒にいる。



12月~3月は織田さんの忙しさが最もピークな時期。
日中は会社にいる時間が殆どなく外を動き回っている。そして夜は報告書作成や事務的な仕事をする。


なかなか逢えない時期。
4年以上経った今でも…1日顔を見れないのは寂しい。


逆に織田さんは4年以上経って安心しきっている様に感じる。 言葉がなくてもお互いの行動が読めてくる。



逢えない日々を乗り越える為にあたしも何か始めてみようかな、と思い織田さんに相談した。



「あたし、夜バイトしようと思って」




「なんで?困ってんのか?金…」



「そうじゃなくて!」
始めようと思った経緯を話した。



「ふふっ(笑)馬鹿者め。夜のバイトはダメだ!危ないし体力的にもダメ。その代わり…凛が夢中になれる物あげるから。楽しみにしてな!」




あたしが夢中になれる物ってなんだろう…。



No.125 13/02/23 22:55
RIN ( ♀ loeN )

>> 124



「あげる」って事は
「逢える」って事だよね!?




あたしはプレゼントの中身より むしろ逢える事が嬉しくて待ち遠しかった。



今日かな…?…今日…かな?と思いながら何日も過ぎていく。







……………あれ?Σ( ̄□ ̄;)!!






それは郵送で贈られてきた(笑)
残念でした!凛ちゃん。


何やら大きな箱…!
なんだろう…。



開けてみると、パソコンとプリンターだった。




こんな高いモノ………。
あんなに忙しいのに、これ…いつ買いに行ってくれたんだろう。



メールしても読めないだろうな、と思いながらも お礼が言いたくてメールした。




「織田さん…パソコン届いたよ!あんな高いモノ悪いな…。でも嬉しい!ありがとう♪」




珍しくメールが返ってきた。
「今日…逢えるか?」




ヤッタヽ(*^∇^*)ノ
「うんッ!!」




「じゃあ頑張って早く切り上げるから支度して待機してて」




「はーい!頑張ってね」
久しぶりにダブルの喜びだった。


No.126 13/02/24 06:17
RIN ( ♀ loeN )

>> 125



急いでシャワーを浴び化粧をしているとメールが来た。



「もうすぐ終わるよ!どんな感じ?」




早ッッッ!
こんな早い時間に逢えるのは本当に久しぶり。


「化粧が完成したら出れるよ!…10分位かな」



「よし!会社出たらメールするから慌てないでいーよ」



「はーい♪」



この日は週末で織田さんは週末は泊まれない。子供のサッカーのコーチをしているから。
それでも久しぶりに逢えるから あたしはいっぱい話がしたかった。普段メールじゃ話せない事もある。



メールだ!
「ごめん!駅で偶然○○さんと会っちゃってさ…もうすぐ着くよ。慌てなくていいから○○駅集合で!ごめんな…」



「大丈夫。あたしも今出るね!」



急いでタクシーを拾い向かった。あれ?まだいないなぁ…


No.127 13/02/24 06:40
RIN ( ♀ loeN )

>> 126



寒かったのでとりあえず近くの本屋に入った。



メールしてみよッ!
「着いたよ。寒いから本屋さんに入ってます」




「俺も本屋さんにいます(笑)」



見渡すと……………いた!




「お疲れ様!何見てるの?」
見るとそこはパソコン関係の棚だった。
織田さんの手には既に本が2冊あった。



「凛が覚える為の一番分かりやすい本を探してたんだ!いいのあったよ」



「ありがとう♪」
と言いながら、あたしも1冊の本に目に止まった。
中をパラパラ見ていると あたし好みの本だった。でも値段が意外と高い。



「凛も何かいいのあったか?」


「ううん!まだパソコン関係は全然分からないから…」



するとあたしが見ていた本をあたしの手からサッと取り、
「やっぱり凛はこういうの好きだと思った!他も見てみ!」



もう1つ欲しいのがあった。
これは自分で買おう!



織田さんはその本まであたしの手から取り会計に向かった。



「織田さん…お金使いすぎ!…はいっ!本代!」


受け取ってくれず
「飯でも食うか!」と言った。


この近くに完全個室の居酒屋があり いつもそこに入る。
「お決まりだけど○○でいい?」


「うんッ!」



まだ終電まで時間に余裕があった。
嬉しかった。


No.128 13/02/24 07:16
RIN ( ♀ loeN )

>> 127



人目に付かない個室に入ると やっとホッとするんだろう。
いつもの織田さんになった。



「ねぇ…あんな高いの…ありがとう!大丈夫なの?」



「今回ボーナスの他にさ、残業代がすげー入ったんだ!残業代の分だけ別の口座に入るようにしたんだ!だから大丈夫。心配すんな」



話せる事が嬉しくて
注文の事などすっかり忘れてた。


とりあえず、ビールとホット烏龍茶で乾杯! もう注文する物はいつも決まってる。



織田さんが続ける。
「実はあのパソコン、俺も同じの買ったんだ!色違いだけどね(笑)凛がしたがってた、一応 お揃いだよ!…休みの日も『同じ物を使ってる』と思えば凛も寂しくないかな、と思ってさ」


「あと前に凛が言ってたの思い出したんだ。ボーナス入ったらパソコン買いたいなぁ…って言ってただろ?年末年始、凛に寂しい思いさせちゃうからさ‥凛に宿題出すぞ!年明けまでの宿題!」



「宿題?…なんだろ?」



「逢えた日とケンカした日を月別に表にする!パソコン初心者の凛にはなかなか難しい宿題だぞ!出来るかなぁ~Ψ(`∀´)Ψ」


「それに同じパソコンなら凛がつまずいた時、説明しやすいしね」



こないだ言った
「逢えなくて寂しい日々を乗り越える為」の話をここまで真剣に考えてくれてたんだ…と思ったら急に涙が出てしまった。



No.129 13/02/24 13:20
RIN ( ♀ loeN )

>> 128



「全く泣き虫だなぁ~凛は。
見た目と違って」



そう。あたしは強い女に見られがち。男なんていなくても生きていける!って雰囲気で近寄りがたい…とよく言われた。



「ごめん…ちゃんと考えてくれてるんだな…と思ったらつい…。放置が続くとね…信じてるクセに悪い方にばかり考えちゃって…悪いクセだよね」



「そうだ!何も心配いらないって俺はずっと言ってる。ちゃんと毎日 忘れてないし ちゃんと考えてる。余計な妄想は禁止だ!って何度も言ってる!」



「はいっ!
…で…好きなのか?(*´艸`*)



「うーん………まぁまぁ…かな!(-.-;)」


「ちょっとぉぉぉ!┗(`皿´)┛」




ああ…幸せな時間!
時計を見ると終電が近づいていた。
一緒にいられる時間はあっという間に過ぎていく。


No.130 13/02/24 13:33
RIN ( ♀ loeN )

>> 129



「そろそろ終電の時間だよ」




時計を見て
あたしをチラッと見る織田さん。



「泣かないよ!」
あたしはニコッと笑って返す。



「今日…泊まろう!凛、平気か?」



「あたし平気だけど…織田さん平気じゃないじゃない!今日、金曜日だよ」



「朝早く帰ればいいよ。泊まろう!」




久しぶりで嬉しかった。
「プッ(笑)………ちゃんと起きてね!」



ブスッと膨れっ面をする織田さん。
「…俺だって久しぶりに逢えたら離れたくないって思うんだ!………まぁ、凛が泣くから仕方なく!だけどね」
また あたしをイジメる。




2人でホテルに向かった。


No.131 13/02/24 13:56
RIN ( ♀ loeN )

>> 130



たわいもない会話。
あたしはあまり甘えるのが得意じゃない。
2人寄り添う事もなくテーブルを挟んで話している。



時計を見るともういい時間だった。



「凛、今日も疲れてるだろうから眠いだろ。寝ようか」



「うんッ!織田さんも朝早いしね(笑)」
織田さんは極端に朝が苦手だった。まず起きない。



「あーあ!」
苦笑いをした織田さんがあたしの方に来て仕返しにくすぐりの刑を与える。



「ごめんなさい!降参!」
満足げな顔をした織田さんの唇があたしの唇に触れた。



初めはソフトに軽くチュッと。あたしが微笑むと2回目のキスはしばらくあたしを見て濃厚なキスに変わった。



「何日ぶりだ?」
織田さんが聞くから あたしが答える。



「15日ぶり」


「そんなか…待たせてごめんね」



首を横に振るあたし。
手を引かれベッドの前でまたキスを交わし優しくベッドに倒される。


荒くなっていく織田さんの息づかいがとてもエッチだった。
あたしの充電は満タンになった。


No.132 13/02/24 14:14
RIN ( ♀ loeN )

>> 131



あたしが付き合ってきた男性は淡白な人ばかりで あまり満たされるエッチを知らないあたしは織田さんのエッチで「満たされる」事を知る。




あたしを充分に感じさせてくれる。
この日は逢えなかった15日分の隙間を埋めるように…何度も身体を重ね合った。




グッスリと眠ったあたし達。







のはずが……………。







朝 織田さんの咳と異様な雰囲気で目が覚めた。隣りに織田さんの姿はない。




洗面台の灯りが付いている。と同時に織田さんの咳払いと 何だかゲホゲホする音がする。




慌てて行ったあたしは青ざめた。来るな!と言う様にあたしをストップさせようとする織田さんの素振り。




織田さんの咳と共に洗面台には血が流れていた。
パッと織田さんの顔を見ると 初めて見る青白くなった苦しそうな織田さんがいた。




「どうした?大丈夫?」
と聞くと
また咳と共に血が出ている。



No.133 13/02/24 14:55
RIN ( ♀ loeN )

>> 132


気がつけば織田さんはもうスーツ姿だった。背中をさすってあげる事くらいしか出来ない自分。



「織田さん!救急車呼ぼう!」
首を横に振る。




「でも…」



「喉が塞がる。息が…出来ない」
そう言った織田さんは自ら指を喉に入れ また咳と一緒に痰のような血の塊を吐いた。



「…救急車!」
電話に向かうあたしの手を掴み首を横に振る。



しばらく洗面台に両手を置き苦しそうにしている。



こんな時 どうしたらいいんだろう…。



しばらくして織田さんがベッドに座り込み
「死ぬかと思った」
と言った。



朝 苦しくて目が覚めたらしい。喉が塞がりそうで息が出来なかった…と。



そして
「少し眠りたい」
と言ってベッドに横になった。




普段、織田さんはいびきがすごい。なのに今日はいびきもかかず静かに身動き1つしない。心配で不安で仕方ないあたしは織田さんの鼻息を何度も確かめた。




色々考えた。
こんな時 救急車を呼んでも乗った先はラブホテル。後々 知られたらマズい場所。



あたしが付き添って同乗したとする。誰が家族に伝える? 医者に伝えて欲しいと頼んで帰ったとしても 「通報者は女性」とバレるだろう。



でもこのまま眠らせといて大丈夫だろうか…。万が一、何かあったら あたしは後悔しない?




よく眠っていたが、お昼が近づいていたので織田さんを起こした。




「織田さん!大丈夫?」




パッと目を開け
「心配かけてすまん」
と起き上がろうとした。



「息…出来る?ゆっくり起きてね」



織田さんの顔にまだ笑顔はない。
「織田さん…救急車がダメならタクシーで病院行こう!」



織田さんは立ち上がり
「さっきより随分ラクになったから大丈夫。帰ったらすぐ病院行くよ」
と言った。




とは言え
ここから織田さん家までは1時間半かかる。大丈夫だろうか…。



不安な顔をするあたしに織田さんが言った。




「もう1回して帰る(*´∀`*)ノ」



スーッと気持ちがラクになったのを覚えている。エッチする元気があるなら大丈夫かな…と。



「バカ!!!!!」
と言ってあたしは抱きついて泣いた。本当に死んでしまうんじゃないか、と思うほど心配だった。




No.134 13/02/27 02:00
RIN ( ♀ loeN )

>> 133



「手前の駅まででも送って行きたい…ダメ?…だよね…」




「ダメ!誰がどこで見てるか分からないしね。もう大丈夫だから心配すんな」




「じゃあ約束して。必ず病院に行って、必ず報告入れて!」




「わかった。約束する」




「絶対ね…」




「はいよ!全くぅ心配しすぎ!」




その後ちゃんと病院には行ったようで報告が来た。地元の町医者では無理だと言われ大きな病院を紹介されたらしい。




『喉が偉く炎症起こしてる』と言われ抗生物質を投与された…と。…喉の炎症が酷いだけで、町医者は大きな病院を紹介するのだろうか…。



何か隠してないか…と、偉く気になった。だが後日 織田さんに頼まれお財布を開けた時に、紹介された病院の診察券が入っていた。



本来3日後にまた通院しなくてはならなかったはずの織田さんは「もう治ったから」と言って病院には行かなかった。



本当に喉の腫れだけ?
気にはなったが、この日以来 あたしの知る限り血を吐く事はなかった。



そして―
織田さんはより一層多忙な日々が続いていった。



No.135 13/02/28 00:12
RIN ( ♀ loeN )

>> 134



出逢った頃は日課だった朝のメールも日に日に回数は減っていく。



『バッタリ同級生と会っちゃって…』
『朝は鬼混みでメール出来なかった』



1度きりのメールで日中はもうメールがないのが『普通』になってしまった。
『タイミングがない』…と。



夜は夜で帰り道になるまでメールはない。残業なのか飲みに行ってるのかすら分からないまま あたしはひたすら待ちぼうけ。



付き合い始めから こんなペースのやり取りだったら きっとあたしもそこまで気にしなかったと思う。



でも…
しばらくは頻繁にメールして 頻繁に逢ってた。贅沢に慣れていた。



だからこそ今が寂しい…。



会社でも顔を合わす時間はほとんどなく、会話なんて全くない。



今 別れたら………
今 別れたら、織田さんも辛い?



きっと織田さんは
忙しい毎日に追われ
あたしの事なんて簡単にすぐ忘れちゃうんじゃないか………。


そんな想いが
あたしの中で毎日毎日ウロつき始めた。あたしがこんな事を毎日 悩んでいるなんて、きっと今の織田さんには気づく事すらないだろう。



No.136 13/02/28 01:24
RIN ( ♀ loeN )

>> 135



あたしの悩みを
不安を
聞いてくれるのはいつ?


1日過ぎ…2日過ぎ…3日過ぎ…
結局 話せないまま月日は流れていく。




もうあたしの寂しさも我慢も限界…。
別れたら辛い。
好き…だから。
大好き…だから。



でも、今のままでいても
別れても
辛いのはおんなじ。



こんな事を毎日毎日 考えては1人悶々としていた。




そんな中 もう音信不通になっているような友達から やたらメールがくるようになった。



内容はみな同じ。
「ねぇ凛、○○やってる?」

今 流行りのコミュニティーサイトだ。
「やってない」
と言うと連絡はもう来ない。





そうか…これかも!
なんで気づかなかったんだろう。



その日の夜、ふと思いついた。


No.137 13/03/02 14:13
RIN ( ♀ loeN )

>> 136



この日はタイミングよく帰り道メールが出来た。ちゃんとゆっくり話せるのは何日かに1度の帰り道のメールだけだった。




何度かやり取りをした後に
「聞いてみよう」と思った。
少し意地悪な聞き方をしてみた。



「ちょっと怖いんだけど…織田さんに聞きたい事があるの」




「どうした?」




「見に覚えは?」




「ん?…ゲームの事か?」




ゲーム?
なんだ、それ(・_・?)
○○…以前、織田さんに
「凛は登録しちゃダメ」
と言われた事があった。
みんなの会話によく出てくるが興味もなく、どんな物なのかさえ あまり内容も知らなかった。




「織田さん…○○ってやってる?」




送信した途端に聞くのが怖くなった。
「ごめん…やっぱり聞きたくない!答えなくていいや」




遅かった。
あたしの送信と同時に返信がきた。
「ゲームが○○の中のゲームだよ。他との絡みはないが、男連中4人とチーム作ってゲームだけしてる。けど、他との絡みはないから大丈夫だよ」




「それさ…前にあたしに登録するな!って言ったやつだよね?そのゲームって…いつやってるの?」




「一服の時とか昼とか夜間当番の時…ごめん…」




あたしは勘違い?していてこの○○で女の子とも絡んでいるのだと思っていた。
いや…実際には絡んでいるのだと思った。




「そっか。あたしにメールするタイミングはないけどゲームが出来る余裕はあるんだね…なんだかショック」




少しグダグダと何やら言ったあとに
「…言い訳だよな」
と返ってきた。




「別にやるな、とは言わない。でも、寂しいって言っても織田さんは変わらなかった。それがあたしへの想いだってわかった」



あたしにとっては大事なやり取りだったのに、この後 返信はなくモヤモヤした。
だが、この男………電車で寝始めたらしい。
呑気な男だΣ(・ω・ノ)ノ



No.138 13/03/02 14:34
RIN ( ♀ loeN )

>> 137



別に本当はゲーム位したって全然 構わない。
ただ…
頻繁にしてたメールも
『バタバタしててメールも出来ない』
『タイミングがなくてメール出来ない』
と言う理由でメールのやり取りが段々と無くなって行き あたしは寂しさを感じていた。




本当にたった1度のメールも出来ない程 忙しいなんて有り得ない。
あたしはタイミングは無いんじゃなくて作るものだ!と言う考え方。
実際に織田さんの仕事ぶりを見ていて感じてもいた。





あんなに悩んだ。
寂しさはあたしが耐えていくしかないんだ…と思って我慢していた。



それが…ゲーム?
ゲームで遊んでて あたしにはタイミングがない?




その後、たまたま喫煙所でバッタリ織田さんと会った。
喫煙所に織田さんは1人だった。
携帯を連打してる織田さんが
ハッ(」゜□゜)」!っと、あたしを見る。




くだらない。
「今日も忙しそうだね…」
と言ってあたしは右手を出した。



「なに?」
驚いた織田さんがあたしに聞いた。




「頂戴。違う方の携帯…もう必要ないでしょ」



No.139 13/03/02 17:04
RIN ( ♀ loeN )

>> 138



「凛携帯の事?」




「うん」




「あっちは登録してないよ‥」



「そうじゃない。○○を止めろと言ってんじゃない。必要性を感じないから携帯を下さいって意味」




「…………ヤダ!連絡取れなくなる」




「今だってほとんどしてないじゃない」




「返さない。ちゃんとするから…」




あたしは知ってる。
喧嘩して次の日は改めてくれる。あたしの気持ちが落ち着くと 織田さんは元に戻るんだ…。



怒りん坊の凛は
「はい!」
と言って あたしの携帯を手渡して喫煙所を出た。




この意味が分かりますか?
織田さん…。



No.140 13/03/02 17:21
RIN ( ♀ loeN )

>> 139



本当は返してもらわなくたって解約してしまえばいい。
解約する前に着拒だっていい。



ただ…、
あたしの考えて悩んで寂しかった日々の真実味を真剣に考えて欲しかった。




あたしは携帯を見られても別に何も問題はない。
織田さんが何かをあたしに伝えたい時にあたしは携帯を持っていない。
持っているのは織田さんだから。



伝えたい事、言いたい事、聞きたい事がある時に相手と連絡が取れない時…
あなたはどんな気持ちになりますか?




不便だと感じるか
辛いと思うか
ラッキー!と思って飲んだくれるのか…




ちょっとは考えてくれるのかな…という思いが込められている。


連絡がつかない事が
ある意味で楽チンなのであれば あたしから求める事はもうしない。
それが織田さんの気持ち。
―真実―。



No.141 13/03/03 13:01
RIN ( ♀ loeN )

>> 140



あたしがこんな事までしたのにはもう1つ理由があった。




ある日『どうしても伝えたい事』があったあたしは織田さんに
「今日、聞いて欲しい話があるから時間作って下さい。大事な事だからね」
とメールを入れていた。




待っても一向に連絡はなく
深夜になって
「遅くなってごめん。前島さんと飲んでて今、会社」
と連絡がきた。




この際メールでもいいか!とも思ったが、やはり逢って話したい内容だった。



この日も織田さんは睡魔に負け あたしの
『聞いて欲しい話』の件など頭にはなく、次の日もその次の日も忘れてしまっていた。



こうしていつも
あたしが聞いて欲しい話は後回しにされていた。




これはあたしにもイケない部分がある。
織田さんは あたしの
「話したい事」=「別れ話」
だと思っているから…。



No.142 13/03/03 20:38
RIN ( ♀ loeN )

>> 141



喫煙所を出たあたしを追いかけようとしたんだろう。
とっさに立ち上がったのが分かった。でも、あたしと入れ違いに他の女の子が数名 喫煙所に入って行った。
織田さんは出て来なかった。




職場に戻って仕事をしていると 織田さんも戻ってきた。
しばらくして あたしをチラチラ見ている。
と、同時に紗織が遠目から
「ねー!凛ちゃ~ん!メール見てくれたぁぁぁ?」
と言ってきた。
紗織は声がデカいから目立つ。



あ~携帯がブルブルしてたのね(・_・;)と思ったら何だか少し面白かった。



イケない遊びをして楽しんでいるようで少し悪いな…とは思ったが…
1日だけこのままでいてみようと思い あたしも遠目から少し大きな声で


「ごめーん!今日、携帯忘れた」と言った。


No.143 13/03/06 02:52
RIN ( ♀ loeN )

>> 142



その会話が聞こえたようで
とっさに織田さんが来た。




なんだろう…。
と、思ったら
「中川さん携帯 忘れたなら不便だろ?今日これ使いな!」
と織田さんが普段 使っている会社用の携帯を手渡された。



「俺宛てに電話がきたら俺の個人の携帯に電話するように言ってくれればいいから」




「…あ、はい。…ありがとうございます」
ちょっと予想外の展開になった…。




そこへ前島が
「中川さん今日これ行って欲しいんだけど行ける?」




うわぁ~( ̄○ ̄;)
見るとクレーム対応だった。
行きたくないが仕方ない。
「…はい。行ってきます…」




心の中で
『クレームは大抵、男の仕事じゃねーか(-"-;)』
とつぶやきながら 準備した。



「…中川さん、本当に大丈夫?俺、行くよ!」
あ…織田さんだ。
………ありがとう。




「大丈夫です。頑張ってきます!」
と言おうとしたら…



「織田!」
織田さんを呼ぶ前島。
織田さんは別の仕事を頼まれていた。
やっぱり前島は嫌いだ(-"-;)




仕方なく出掛けた。

No.144 13/03/07 02:47
RIN ( ♀ loeN )

>> 143




ピンポーン…!を押すまでもない。客は玄関の前で待ちかまえていた。挨拶する間もなく怒鳴りつけられた。




恐ろしく興奮状態なおじさんの後ろには奥さんもいる。2人に同時に怒られるあたし…。




その時 胸ポケットにしまってあった携帯が何度も鳴っている事には気づいていた。だが、とても出れる状態ではない。客の興奮がとりあえず落ち着いたら出ようと思っていた。




客は一方的に怒るばかりであたしの話に聞く耳を持たない。そして携帯はまだ鳴っている。




大事な用件だと困ると思い
「お客様…申し訳ありませんが少し失礼します」
と言って電話に出た。




「もしもし…」と出ると
「おい!人が話してる時に失礼じゃねーか!」
と、また怒鳴らた。




思わず「すみません、かけ直します」と言って切ってしまったが電話は織田さんからだった。
客の興奮状態が電話口でわかった様で駆けつけてくれた。




だが、織田さんが来てくれた時には既に解決して帰る所だった…。
自分のミスな訳でもないのに こんなに怒られて悔しかった。


あ~怖かった _| ̄|○


No.145 13/03/18 02:21
RIN ( ♀ loeN )

>> 144

「大丈夫か?」



「…うん。来てくれてありがとう。怖かった…。あ、電話ごめん」



「すげー心配したぞ!ずっと電話してんのに出ないし 」



「出れる状態じゃなくて。…でも最後は納得してくれたよ」



「そっか…ごめんな。とにかく無事でよかった」



色々と事の事情を説明した後に織田さんがあたしに携帯を差し出した。
「なきゃ不便だろ」


「本当に連絡したい時に連絡つかないってイヤなモンでしょ」



織田さんはそっと頷いた。
この日から織田さんはほんの少しだけ変わっていった。


「凛…随分、待たせたけど話したい事あるって言ってたよな?今日、逢うか?」



「うんっ!」


この日の夜やっと話す時が来た。
本当は…あたしも話すのが怖かった…。
別れの危機とも言える重大な話だったから…。

No.146 13/03/18 02:58
RIN ( ♀ loeN )

>> 145

少し早めに切り上げて逢いに来てくれた。いきなり本題に入るのは怖かったから今日の出来事の反省会なんかをしながら最初は普通に話していた。



…ちゃんと言わなきゃ。



「ねぇ織田さん。怖いけど言うね!あたしね…生理が来ないの…今日、来なかったら検査薬やってみようと思ってたんだ…あたし、蓮の妊娠の時以外 遅れた事ってないんだ」


冷静さを保とうとしながらも顔つきが変わった織田さんをあたしは見逃さない。



「…ごめんね。言われる言葉は覚悟してる…ただ、知っといて欲しかった」



「どのくらい遅れてるんだ?




「あたし…周期が少し早いから遅くても今日来ないと…。普段のあたしの周期だと1週間近く遅い感じ。言うの怖くて。検査薬してから言えば良かった」



「…そっか…体調は大丈夫なのか?」



「うん。全然、普段と変わらず」



その後しばらく無言のままの織田さんだった。
「凛は俺の言う事 関係なく産むって言うよな。…俺も産んで欲しい。…ただ、今すぐに色んな事を無責任に決断出来ないから、少しだけ待って欲しい」



…え?
…産んで欲しい?



予想外の言葉に
嘘でもホッとしたあたしがいた。
間違いなくおろして欲しい、と言われる覚悟だった。



「絶対、おろせって言うと思ってた…別れるってなりそうで怖かった」
ホッとしたら涙が出てきた。



「凛。別れないよ!ずっと一緒って約束だろ?」



「…うん。ありがとう」



この日はあたしを大事に大事に包み込むように2人寄り添って寝た。
次の日、検査薬をやってみるつもりでいた。

No.147 13/03/18 03:27
RIN ( ♀ loeN )

>> 146


次の日、あたしの住む街では珍しい程の大雪が降った。こんな日に限ってあたしは外回りとぶつかった。


途中 何度も織田さんからメールが来た。
「凛、大丈夫か?」


「大丈夫だよ!慎重にやってるから」


「凛、転んでないか?」


「大丈夫」


こんなやり取りを何度も交わした。



夕方になって
あれ?…………もしかして( ・_・;)???




トイレを探して入ってみると………
(*゚ロ゚)あぁ~~~~~~~!!



織田さんごめん( >_<)
生理が来た!


ホッとした様な残念な様な複雑な想いだった。


「織田さん!大事な話なんだけど…そんな大事な事メールで言うな!って怒るかな?」



「いいよ。どうした?」



「生理きた(>_<)」



「あぁ~!お仕置きだな、凛!」



「ごめん( >_<)」



「気をつけて帰っておいで(*´∀`)」


帰社したあたしに優しく微笑む織田さん。あたしの妄想で終わったけど、色々考えさせられる出来事だった。



その後しばらくして次は織田さんに大阪移動の話が出た。



ちゃんと書類に大阪移動と記してある。




No.148 13/03/24 01:49
RIN ( ♀ loeN )

>> 147


「凛…今日 逢えるかな?」




「うんっ!」
大事な話が待ち受けているとも知らずにあたしのテンションは上がっていた。



いつもの居酒屋で待ち合わせる。
なんとなく元気がない。



「織田さん なんかあった?」



「うん…。凛…俺、移動だ!」



「…えっ…?移動?…どこに?」



「…………大阪だって」



「え………大阪?そんな遠くに?突然すぎない?」



「突然すぎだよなぁ…しかも大阪って…」
一瞬にして不安がよぎる。
しばらく言葉が出なかった。



「凛について来てって言いたいけど 蓮がいるもんな…本当に参ったよ」



「断ったらどうなるの?家族は?」



「学校もあるし単身赴任だろうな。いずれ移動は覚悟してたけど まさか大阪とは……!」



「遠距離恋愛になるんだね…」
ついて行きたいが蓮を置いてく訳にも連れてく訳にもいかない。


「凛…頑張れるか?凛は寂しいのがダメだし泣き虫だから心配だ…」


「頑張る!…大丈夫」



「ごめんな…あっ!凛、この話は発表があるまで誰にも言うな!知ってるのは上の人達と前島さんだけだ」



「うん!わかった」
頑張るとは言ったものの、今にも寂しさが溢れ出しそうな位 悲しかった。



織田さんに詳細が書いてある紙を読ませてもらった。


………本当に行っちゃうんだね………。







No.149 13/03/24 08:14
RIN ( ♀ loeN )

>> 148


移動の日まで あと10日しかない。



出来るなら…
出来る事なら…
毎日 一緒に居たかった。


でもそれは あたしなんかより…
家族と過ごすべき時間。
寂しさは我慢し
「家族と…子供といてあげて」
と、伝えた。



「話変わるけど、凛さ…その携帯もう古いよな? 携帯そろそろ変えないか?」


ピンと来ないしあたしは
「ん?これ? 変えない!だってこの携帯には思い出がいっぱい詰まってる。まだ全然、壊れてないし!


「そうか……」
何だか少し困った様な寂しい顔をする織田さん。



「ん?なんか変えて欲しい理由があるの?」



「いや…金の掛かる事だから無理強いは出来ないが…凛が携帯変えてくれたら 今よりもっと連絡取りやすくなるんだ!」


今より逢えない・顔も見れない
だから せめてメールだけでも 出来るようにしてあげたい。
それには凛に携帯を変えてもらう必要がある。
散々、寂しい想いさせて泣かせてきたから…なかなか逢えなくなるのにメールだけでも キチンとしたいな、と思って。




俺も…寂しいんだ…。


そう言うと 何故 携帯を変える必要があるのか、変えると何故 連絡しやすいのか説明してくれた。


気に入ってた大切な携帯だっただけに ものすごく抵抗があったが…あたしの為に織田さんが考えてくれた案。
あたしは携帯をすぐに見に行った。

No.150 13/03/24 08:51
RIN ( ♀ loeN )

>> 149

こういったモノに疎いあたしは、定員さんに聞いてもサッパリ分からず…
結局 迷った挙げ句、携帯は買わずにショップを出た。


「織田さんごめん。なんだか どれがどう違うとか どれがいいとか全く分からなくて買わずに帰って来ちゃった」


あたしは携帯は長く使う方だから新しい物や機能などはあまり重視しないが…長く使うなら 使いやすい物がよかった。


「プッ( ´艸`)
明日、一緒に行こう!」



「うん!お願いします!…ごめんね」





次の日、早く終わらせてくれて一緒に選んでもらった。あった方がいい!と言う物も一通り揃えてくれた。


「じゃあ、ゆっくり使い方 教えよっか!」
ホテルに入り色々と教わった。
慣れないだけなのだろうか…?
使いにくくて仕方ない。


織田さんが言った連絡しやすい物をとりあえずやってみた。



おお!
これは納得(・∀・)

だが、このやり取りは実際、凛携帯ではなく織田さん自身の携帯でのやり取りになる。
無難な内容でのやり取りしか出来ない。



「凛携帯はどうするの?」



「凛携帯もそのまま持つよ(*´▽`*)
写メ…逢えない時に見たいし」



ありがとう。
思い出の2人を繋いだ携帯。



智恵や織田さんに色々聞きながら新しい携帯に慣れてくのに必死だった。
驚く事に携帯を変えたら1日のメールの回数は3倍近くも増えた。



そして遂に、発表の日が来た…!




  • << 151 移動する人達の名前・部署・地域などが部長より淡々と発表されている。 織田さんの移動を知っている人はほんの一握り。 どんな顔をしたらいいんだろう…。 織田さんは今、どんな気持ちでいるんだろう。 みんなはどんな反応をするんだろう…。 そんな事ばかり考えながら聞いていた。 「ーーーー以上!」 あれ? 織田さん…呼ばれてないよね!? あたしが織田さんの名前を聞き逃すハズない! どういう事なんだろう…。 忘れた? チラッと織田さんを見ると前島とニヤニヤしている。 ちょっと混乱した。 移動なし? それなら嬉しいけど。 発表が終わり、それぞれの階に戻る。 その時メールが鳴る。 織田さんだ! 「凛~!俺、移動なし!!!!!ヤッタ!!もう少し一緒に出来そうだ(^_^)ゞ」 「よかった!ホントよかった!…でも…あれは何だったんだろうね…」 大阪移動の話も用紙も前島のイタズラだったらしい。わざわざ紙まで似せて作ったと…。 どんだけヒマな奴なんだ(-_-#) 前島にはムカついたが、素直に嬉しかった。 織田さんも本当に嬉しそうだった。 そしてまた…葛藤と戦う新たな年度が始まった。 この時期はお互いが自分の気持ち、相手の気持ちを考える為の時期だったように感じた。
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