Butterfly's memoir~第2章 豪欲~
🐚はじめに…🐚
第1章 階段からの続きのお話になります。
この第2章 豪欲では、題名通り…様々な欲や罠との葛藤と戦いになります…。
この回では、『人を助けること』も勿論関係してきますが『人の恨み』も受けて行きます。
勿論…辛い現実を目にもします。
是非、最後まで読んで頂けたらと思います。
🐚ageha↔松岡一葉🐚
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次の日、新しく通う学校へ挨拶に行った。
自主退学と転校の理由は『家庭の事情』ということになっていた。
新しい学校では『曾祖母ちゃんと住んでいること』が家庭の事情と深く関わっていると勝手に判断したらしく
『頑張ってね』
と言われた。
否定して自主退学の理由を再度聞かれてもうまい理由が見つからない…と思い、そのまま話しを合わせることにした。
次の日からは通常通り学校へ行き、学校へ行き初めて一週間後からまた夜の仕事を始めた。
何事もなく1ヶ月が経ち…お金は150万たまっていた。
曾祖母ちゃんには毎月10万渡した。
曾祖母ちゃんは
『こんなにくれなくてもいい、カズハも欲しい物があるだろうに…』
と言ってきたが、あくまでも1人暮らしと同等な扱いでやっていきたかった為、
『毎月10万は最低でも必ず渡す』
と曾祖母ちゃんに約束した。
それに…
夜働いた給料は週3~5日勤務するだけでも毎月平均40万は貰えていた。
貯金も十分出来るし、自分の買い物もできる…
だから月10万渡し余った分も私を置いてくれて日々家事をしてくれる手間賃として渡した。
たまに…
15万位渡したこともあったが…
さすがに普通のバイトで毎月この金額は多いと思われている…と思い、やはり毎月10万に戻した。
新しい学校にも落ち着き、仕事も順調、貯金もたまってきた頃…
私は春のお父さんに会うことにした。
春は真理子の事件の後、少年院に入ってしまった為、春のお父さんに会うには康彦に頼るしかなく…
久しぶりに康彦へ連絡をした。
もし❓カズハ⁉元気してたか❓
うん☺色々あって○○高校に転校したけど毎日それなりに順調で落ち着いてる。
そう。いきなり学校退学したっては聞いてたからちょっと心配してたんだけど。それなら良かったよ。で…今日はどうした❓
……あのさ、ちょっと頼みがあって…春のお父さんと会いたいんだ。春は今いないし…康彦に頼むしかなくて…。
…また会うの❓段取り組むこと位はできるけど…やめといた方がいいんじゃない❓
そう言い心配する康彦に『会うのはこれが最後だから』と言い段取りだけ組んでくれるように頼んだ。
康彦は『とりあえず話しはしてみる。日時が詳しく決まったら連絡するよ』と言ってくれた。
春のお父さんには利子含め200万渡すことにしていた。
本当は一円たりとも渡したくはなかったが、たかがその程度のお金のせいで由美や私とあの春家族が繋がってしまっていることがとてつもなく嫌だった。
『弱みを握られてるのと何ら変わりない』
あんな奴に好き勝手やらせるのもとてつもなく嫌だった。
早く終わらせたくて毎日康彦からの連絡を首を長くして待った。
康彦から連絡が来た日の朝…
いつも私よりも早く起きてご飯を作っているはずの曾祖母ちゃんは台所にはいなかった。
心配で曾祖母ちゃんの部屋へ行くと、曾祖母ちゃんは少し具合わるそうに横たわっていた。
ばあちゃん❓大丈夫❓…どこか…具合悪いの❓
曾祖母ちゃんは私の顔を見てニコニコ笑いながら
ちょっと、冷えたみたいでね。大丈夫。すぐよくなるから。
そう言いまた目を閉じてしまった。
私はお粥を作りおしんこを添えお茶を入れておばあちゃんの布団の横においてから学校へ行った。
昼休みに康彦から連絡があり、春のお父さんとは『明日の夜9時に○○の小さなパブ』で会うことになった。
前回春のお父さんに散々やられた件もあり、今回は康彦と康彦のお兄さんもついてきてくれることになった。
私は忙しい中、付いてきてくれる康彦に感謝をしお礼を言った。
康彦とは『夜8時に私の高校近くの駅』で待ち合わせすることになった。
春のお父さんと会う日取りも決まり、スッキリした気持ちで家に帰った。
…家に帰ると、家中真っ暗でシーンと静まり返っていた。
おばあちゃん❓
私はおばあちゃんの名前を呼びながらおばあちゃんの部屋へ行った。
おばあちゃんの布団の隣には私が朝作っておいたお粥が手もつけられずそのまま置いてあった。
お粥もお茶も…スッカリ冷え切っていた。
…おばあちゃん❓大丈夫❓
何度か声をかけ、体を揺すってみると…
…カズハ❓あれ…もう学校終わったの❓…もうそんな時間になってたんだねぇ…。
と弱くか細い声で言った。
学校は終わったよ。ばあちゃん…まだ具合悪いの❓
…ちょっと胸が苦しくてね…。ちょっと寝てればすぐ治るからね…。
そう答えるばあちゃんは本当に具合が悪そうで…とりあえず何か食べさせなきゃ…と思い、朝作ったお粥の乗ったお盆を持ち台所へ向かった。
具合悪い中…食べられる柔らかいもの…
何度が考えたけどレパートリーの少ない私はやはりお粥しか頭に浮かばず…
とりあえずお粥を作り、梅干しを添えて持って行った。
おばあちゃんは梅干しが好きらしく、少しの量だが口に運んでくれた。
おばあちゃん❓私…明日、ちょっと用事があって…少しだけ家留守にするんだけど大丈夫❓
そう聞くと、
大丈夫☺明日にはよくなってるからね☺
と返事をした。
『明日さっと話しを終わらせて早く帰ってこよう…』
私はそう決め、曾祖母ちゃんを寝かせ、残ったお粥を食べ、いつも通りお風呂に入り早めに眠りについた。
次の日の朝…
…やはり曾祖母ちゃんは寝たきりだった。
…ばあちゃん❓明日、私、学校休み取るから…。一緒に病院に行こう…。
…いいのよ。寝てれば治るし…病院代が無駄になるだけよ…。今までも具合悪かったことあったけど寝てれば治ったんだから。大丈夫よ。
そう言う曾祖母ちゃんは…寝てれば治る…とは思えないくらいで誰が見ても具合が悪い…と分かるくらい顔色は悪かった。
…ばあちゃん…お金の心配はしなくていいから。私…明日学校休むからね。ばあちゃん病院連れてく。もう決めたからね。
私はそう伝えると朝ご飯を布団の横に置き学校へ向かった。
学校の先生には放課後に
『曾祖母ちゃんの具合が悪く、明日病院へ連れて行く為、明日は休みます。』
と伝えた。
先生は
『もし容態が悪ければ休む時は電話連絡くれればいいから』と言ってくれた。
先生と話しが済み、また急いで家に帰った。
曾祖母ちゃんの部屋へ行き、ご飯を食べているかチェックした。
少しだけど食べてくれているようで安心した。
私はご飯を片付け、着替えを済まし曾祖母ちゃんの夜ご飯を作り、曾祖母ちゃんの体を拭き着替えさせてから、春のお父さんに渡すお金が入った封筒を持ち足早に家を出た。
駅へ到着し、康彦に連絡をした。
康彦はお兄さんと車できていた為、車に乗せて貰い春のお父さんとの待ち合わせ場所に向かった。
店に入ると春のお父さんはもうきていた。
誰かと思えば。あの女じゃねーか。
春のお父さんは私を見るとそう一言いった。
あの、由美のお金、持ってきました。
私はそう言いバックからお金の入った封筒を出した。
なる程。なら早くよこせ。
春のお父さんは手を差し出してきた。
私はその差し出された手には気にもせず私も手を差し出し、
お金の前に、証書を渡して下さい。
と言った。
春のお父さんは暫く何も言わず私の方をジーッと見ていたが康彦のお兄さんが一歩前に足を踏み出した瞬間…
『ふんっ』
と鼻を鳴らし胸ポケットから証書を出して私に渡してきた。
私は証書を受け取り中身を確認すると春のお父さんに封筒を手渡した。
春のお父さんは奪い取るように封筒を取り上げ、私の目の前で札束を数え始めた。
数え終えたのを確認し、
今後、由美にも私にも一切関わらないで下さい。あなたと私達はこれでもうなんの関わりもありませんから。
そう一言投げつけるように言い店を後にした。
康彦とお兄さんにお礼を言いうと、康彦のお兄さんにご飯を食べに行こう…と誘われた…。
本当はお世話にもなったし、たまに息抜きもしたかった為、行きたかったが、曾祖母ちゃんのことが気になっていた為、後日改めて時間を作ると話し、この日は自宅前まで送ってもらった。
自宅へつき、曾祖母ちゃんの部屋へ真っ直ぐ向かった。
ご飯はほんの少し食べてくれているようだったが…
曾祖母ちゃんは眉間に皺を寄せ、倒れ込むように眠ったままで…私が来たことにも気づかないほどだった…。
私はお粥を片付け、台所でおしんことご飯を勢いよく口の中へ放り込み、そのままお風呂へ入った。
お風呂はシャワーだけにし、寝支度を済ませると自分の布団を抱えて曾祖母ちゃんの部屋へ運び、曾祖母ちゃんの隣で眠りについた。
次の日…
朝早く起きて、だるそうにする曾祖母ちゃんを着替えさせ、自分も軽く着替えてタクシーを呼びそのまま病院へ向かった。
タクシーの中でも曾祖母ちゃんはぐったりしていて私に寄りかかったままだった。
病院についても覚束無い足でヨロヨロと歩いた。
曾祖母ちゃんの診察や検査は夕方近くまでかかり…
曾祖母ちゃんはそのまま入院することになった。
検査の結果は後日改めて…ということだったが、熱と体の衰弱が酷かった為、大事をとっての入院だった。
私は、病院を出てすぐにお母さんとお父さんに曾祖母ちゃんが入院したことと曾祖母ちゃんの様子を伝えた。
明日、お父さん、お母さんがこっちに向かう…との話しをし電話を切った。
今後、どうなるか未定だった為、明日も学校は休み父と母、親戚含めての話し合いに私も参加するこっになった。
次の朝早くに父と母、父方の親戚が集まり、曾祖母ちゃんの家で今後の話し合いがあった。
病院からは入院期間は未定だと言われていた為、そのまま伝えた。
親戚の人から出る言葉は、曾祖母ちゃんの面倒のことやお金のことばかりで…
曾祖母ちゃんの安否を気遣う人は1人もいなかった。
結局…みんな個々の生活がある為、月に何度か交代で世話をしに来るとのことで話し合いは終わってしまった。
お金に関しては曾祖母ちゃんの貯金を調べ、足りないようなら各々少しずつ出し合うということだった…。
『人の命ってこんなもんなんだ』
私は親戚の人達の話し合いを聞きながらずっとそう思っていた…。
親戚の中には私がいるから
『月に一度世話をしに来る必要はないんじゃないか❓』
と言う馬鹿なことを言う人もいた…。
その意見に関してはお父さんが
『カズハは学生だから勉強を優先しなければならない。学生しながら娘に介護は無理だ』
と強く言い切った。
この日は親戚が帰った後、父と母と曾祖母ちゃんの病院へお見舞いに行った。
曾祖母ちゃんは薬と点滴のお蔭か随分と顔色は良くなり、ご飯もちゃんと食べるようになっていた。
おばあちゃんは
『すぐに退院するからね☺』
と言い終始ニコニコしていた。
曾祖母ちゃんの顔を見て私も父も母も安心し、それぞれ家に帰った。
家に入るとまた静まり返り真っ暗だった。
曾祖母ちゃんのいない家は広すぎて…凄く寂しかった…。
『曾祖母ちゃんは長い間、こんなに寂しい生活を1人でしてきたんだ…』
そう思うと涙が出てきた。
広すぎる家に1人…というのが寂しさを増徴させているようだった。
私は…曾祖母ちゃんが入院してからは殆どの時間を自分の部屋で過ごすようになり、家にいる間は自分の部屋に引きこもるようになっていった。
父と母が来た次の日からは通常通り学校へ行き夜は仕事に行った。
変わったことと言えば、曾祖母ちゃんが入院してからは自分の物は一切買わず、お金をなるべく使わないようにしたことくらいだった。
話し合いの場でお金の件が出た時から、何かあった時の為にお金は貯めておこう…と決めていた。
曾祖母ちゃんがいない寂しさを紛らわすかのように…私は夜の仕事に打ち込んだ。
仕事をしてもしても満足出来なくなり、無我夢中で接客に励んだ。
私の精神状態は徐々に悪くなり、いくら稼いでも満足いかなくなり、何に関してかは分からないがいつも切羽詰まった状態になって行った…。
端から見れば…どこかに借金をしていて大変なことになっているんだろう…と見える程の切羽詰まりようだった。
そんな私を心配してくれるサチさんとママ…
でも私にはそんなサチさんとママの声すら聞こえなくなってしまっていた。
学校が終わり、真っ直ぐ病院へ行き、帰宅後夜の仕事へ行くという多忙な日々が続いた。
曾祖母ちゃんが入院してからあっという間に2ヵ月が過ぎた。
曾祖母ちゃんは入院したまま帰ってくることはなく、予定は未定のままだった。
毎日忙しくしていたせいで家のことは疎かになり…家中誇りだらけになっていった。
私は寝る為だけに家に帰宅している感じになってしまっていた。
そんな中…ついに一線を越えてしまう出来事が起こる…。
この日も曾祖母ちゃんの病院へお見舞いに行き洗濯物を持ちいつも通り家に帰宅すると…
家の前に見覚えのある車が止まっていた。
それは康彦のお兄さんの車だった。
私はお兄さんに挨拶をした。
お兄さんは
前に約束したご飯の件、今日でもいいかな❓
と聞いてきた。
この日は夜の店はお休みだった為、即答でOKした。
即答でOKした理由は…ただ単に1人で家にいたくなかったからだった。
私は急いで着替えてお兄さんの車へ乗り込んだ。
お兄さんは康彦同様、優しくて気さくでとても話しやすい感じの人だった。
お兄さんと2人で少し洒落たバーに行き色々話した。
お兄さんには話し易くて自分でもビックリするくらい自分のことを話していた。
お兄さんはそれを相槌をうちながら時には返事も返してくれながらゆっくりと聞いてくれた。
気がつくとお兄さんのことは“竜彦”と呼ぶようになっていた。
バーで私も竜彦もかなり飲み、ほろ酔いのまま車に乗り込んだ。
車に乗り込むと竜彦が真面目な顔をして話をしてきた。
前に会った時からカズハのこと気になってた。今日、カズハに会ってカズハのこと色々知ってカズハのこと本気で好きになった。カズハ…俺と付き合わないか❓
…
私が黙っていると…竜彦はまた話しを始めた。
カズハに付き合ってる奴がいるのは分かってる。別に…別れてくれとは言わないから。それと…俺も毎月お金はカズハにあげることは出来る。カズハが仕事しなくても生活出来る分くらい用意するなんてすぐ出来る。協力させてくれないか❓
『お金』……
その言葉を聞き…私の中で何か凄い執着心が湧き上がり…
私も竜彦と付き合いたい…
…気づいた時には心にもない言葉を口にしていた…。。。
そんな私の胸のうちは知らず喜ぶ竜彦…。
…この後、竜彦と私はホテルへ向かった。
ホテルの部屋につくなり竜彦に強く抱き締められ、キスされた。
この時も…私の頭と心は『お金』のことだけしかない…。
竜彦に服を脱がされブラを取られ…
乳房を揉まれながら乳首を舐められる…
私は『お金』の為に…竜彦が喜ぶように演技でいつも以上に喘ぎ演技で『竜彦が好き』と何度も囁いた…。
あっんっっ…きもちぃぃ…はっ…あんっ…竜彦…大好き……
竜彦も『俺も…まじでカズハが好き…』
と甘く囁きながら私の中に指を入れてきた…。
クチュクチュ………
と音が鳴る…
『凄い濡れてるよ…』
竜彦が私の耳元で囁いた…。
あんっ…アッアッんっ…いやっ…だめっ…あんっ………
演技で…少し嫌がって見たりもした…。
それを見ていた竜彦が
『入れてもいい❓』
と聞いてきた…。
私は…また『お金』の為…と止まらない欲求を抑えながら…
まだ…まだ入れちゃダメ…
そう言い……竜彦のものを口に含んだ…。
『アッ…カズハ…まじいい…』
竜彦は喘ぎながら私の頭を押し付け私の口の奥まで自分のものを押しこんだ。
この時…かなり苦しかったが、竜彦を満足させる為だと割り切り…気づいた時には自分から竜彦のものを奥まで入れ手を使いしごいていた…。
私が竜彦のものを口に含んでいると
彼氏1号と…俺、どっちがでかい…❓
と聞いてきた。
私は迷わず『竜彦の方が大きい…』と返した。
それを聞いた竜彦は私をベッドに寝かせ、私の中に入れてきた…。
久しぶりだから…気持ちいいかな…と思っていたが…その思いとは裏腹に
『全然何も感じなかった』
入れられている感触もしっかりあり…それなりに喘ぎ声も出るが…
一輝とした時とは違い、演技をしながら冷めている自分がいた。
ホテルの天井を見ると…鏡張りになっていて、竜彦に腰を振られている自分と目が合った………
演技をしながら冷めた目でずっと見つめていた…。
竜彦が
『アッ…アッ…俺もういきそう…カズハは…❓』
と聞いてきた為、我に帰り
私も…すぐ…いっちゃいそう……
と答え…竜彦がいくのと合わせ私も演技をしいった不利をした…。
竜彦は、終わった後も私のことをずっと抱き締めていた。
私は最後の最後まで…演技しきった…。
『竜彦…大好きだよ…』
眠りにつく寸前まで…竜彦にキスをされながら竜彦に囁き続けた…。
次の朝…
竜彦から『同棲しないか❓』
と持ち掛けられた…。
竜彦は『本気で私と付き合っていきたい…』と言ってきた。
普通のカップルなら…いくら浮気でも嬉しくて堪らないのだろうが、喜びの眼差しの裏ではまた冷めた自分がいた…。
曾祖母ちゃんのこともあるから…曾祖母ちゃんのことが落ち着いたら一緒に住もうね☺
と約束し、竜彦にキスをした。
竜彦は、何も言わず納得してくれ、私のことを家まで送って行ってくれた。
そして……
帰り際に財布からお金を出し、
入院費の足しにして☺
と言い…30万を渡して帰って行った…。
自分の部屋へつくなり、竜彦からもらったお金を数えてホッとしている自分がいた。
この日から、仕事が終わった後に『竜彦と会う…』と言う予定が1日のスケジュールに加わった。
学校へ行き、病院へ行き、自宅へ戻り、曾祖母ちゃんの洗濯物を洗濯し、仕事へ行き、竜彦に会う…
この日々がまた暫く続いた…。
毎日忙しく過ごしていた頃…
お母さんから一本の電話が来た。
曾祖母ちゃんのことで病院から話しがあるから一緒に来る❓
との内容だった。
私は、即答で『行く』と返事をし、病院に話を聞きに行く日は学校、仕事、竜彦、全て休み予定をあけた。
…この時、『竜彦と会うこと』も私にとっては仕事と同じ扱いになっていた為、竜彦が『会えない…』と落ち込んでいても何とも思わなかった。
病院で話しのある日の当日…
私と母は曾祖母ちゃんのお見舞いをした後に先生の元を訪れた。
先生の話……
それは……
曾祖母ちゃんの病気の説明と…
余命に関しての話しだった…………。
曾祖母ちゃんは末期の癌だった…。
余命は一年…とのことだった………。
曾祖母ちゃんは歳をとっている為、癌の進行自体は遅い…とのことでの余命宣告だった。
曾祖母ちゃんの歳では血管も脆く…手術には耐えられないし、手術しきれない程癌は転移しているから…と………。
入院生活をとるか、最期まで自宅療養をするか…を選択してください…との話しを最後にして話しは終わった…。
母は、私が大変だから…と入院生活をさせようと言ってきたが…。
私は曾祖母ちゃんが家にいた方がいい…とずっと母に訴え続けた。
曾祖母ちゃんがいないあの家に…1人でいることに耐えられなくなってきていた…。
とりあえず…お父さんに相談してみるから…。
と言い母は帰って行った。
私はその夜、父に電話をし、
曾祖母ちゃんの面倒は私がちゃんと見るから…だから自宅療養にしてあげて…。
とずっと…泣きながら頼んだ。
この日は父は結果は出さず、『親戚と話してから折り返す』とだけ言い電話を切った…。
私の心の中は満たされないものだらけになり…父と電話を切った後、1人大声で泣き続けた…。
何をしても満たされない…
何を手に入れても満たされない…
満たされないことだらけの生活に疲れ…
気がつくと私は化粧をし、服を着替え髪をセットし始めていた…。
無心で出かける準備をしてる自分に気づいたが準備をする手は止まらず…
準備ができると
そのまま家を後にした……。
私が向かった場所は…
竜彦に告白された日、初めての食事で訪れたバーだった…。
私はバーにつくとカウンター席に座り、ワインとえびの入った辛めのドレッシングのサラダを頼んだ。
このバーは、一度来た時から料理の美味しさにはまりまた来たいと思っていた。
カップルも多く、通常であれば誰かを誘ってくるようなバーだが…
この時の私はとにかく疲れていて…1人でいたかった。
バーのカウンターには1人の男の人が入っていてこの店の店長だった。
店長は男前でカッコ良くて店長の笑顔と聞き上手な性格に癒された。
『こうゆう人と一緒になれば…幸せなんだろうな…』
そんなことを思いながらお酒を飲み料理を食べながらマッタリと過ごした。
この日から、仕事が終わった後は1人…又は竜彦と一緒にこのバーに行くのが日課になっていった。
バーに通っている間に名前を覚えられ、すっかり常連になった。
『気持ちの休まる場所が出来た…』
私は毎日バーに通った。
竜彦がいる時は終始明るくよく話すようにしていたが、1人の時は…カウンターで静かに飲む…そんな感じだった。
本音は…竜彦といるより…1人で飲む方が落ち着いた…。
こんな日々が続く中…
バーによく来ていたお客さん“弘和”に告白された。
弘和は普通のサラリーマンだったが彼女は長い間いなくて顔もまぁまぁ良かった…。
何をしても満たされない私は弘和とも付き合った…。
ただ…弘和とセックスしても…やはり竜彦の時と同じ…
ドキっともせず、ただひたすらセックスの流れをこなす…
まるで…仕事をしているようだった…。
『全然満たされない…』
私の中で満たされない欲求が溜まり、『欲』は次第に膨れ上がり…悪魔のようになっていった…。
弘和も私の家の状況は知っていた…。
付き合って1ヶ月が経った頃…
弘和が私に1つの封筒を出し話しをしてきた…。
カズハの助けになりたい…。大した額じゃないけど、将来の為に貯めてきたお金から少し下ろしてきた。俺、カズハと将来一緒になりたいと思ってる…。だから、これ、良かったら使って。
そう言い…封筒を差し出した。
その封筒を受け取り中を見ると…
帯で纏められた束が2つと束の半分くらいのお金……
数えてみると…
250万入っていた………
弘和…こんなに…いいの❓
私は…演技をした…。
うん。カズハの力になりたいんだ。俺にはこれくらいしか出来ないから。ただ…これからもっと仕事頑張ってカズハを幸せに出来るように頑張るから‼
そう言い…弘和は私を抱き締めた…。
私は何も考えず…人形やロボットのように弘和を抱き締めた。
弘和を抱き締めながら…心の中で何かが呟いた…。
『今私が弘和にすること…それは弘和が満足するように振る舞うこと…そうすればまたお金を持ってくる…』
…そう…それは悪魔だった…。
悪魔……❓悪魔じゃない……悪魔は…私…。
本当は自分自身が悪魔だと気付いていた…。
それに気づきながらも…『欲』は物凄い勢いで湧き上がり、物凄い勢いで渦巻き…
…自分自身では止めることができなくなってしまっていた。
学校、病院、仕事、竜彦、弘和…この全ての『仕事』を1日に完璧にこなさなければならず、次第に私は痩せて行った。
そんな生活が続き、季節も寒くなってきた頃…
父から連絡があり、『曾祖母ちゃんの一存で自宅療養をすることに決まった』と話しがあった。
曾祖母ちゃんは自分の病を知った上で自ら自宅療養を希望したとのことだった。
私は嬉しさから涙が止まらなくなった。
ひたすら涙を流しながら手帳を見てスケジュール管理をし始めた。
曾祖母ちゃんが帰ってくる日から仕事、竜彦、弘和のスケジュールを減らすことに決めた。
仕事の方は話し合いの結果週3日出勤になり、竜彦と弘和にも『自宅療養』の件を話し週1~2回にデート回数を減らしてもらうことにした。
この頃には竜彦からの毎月のお金や弘和からのお金、夜の仕事の給料で貯金も優に一千万を超えていた。
その為か…この家に来てから初めて『満たされた』気分になれた。
『これだけあれば曾祖母ちゃんを温泉旅行にも連れて行ける…生活の心配もない…』
満たされた気持ちの中、曾祖母ちゃんが帰ってくるまでに家中をピカピカにしようと決め、通帳を引き出しにしまい掃除を始めた。
家が思ったよりも広く、掃除する場所も沢山あった為、全て掃除し終わるまで3日程かかった。
いよいよ…明日は曾祖母ちゃんが帰ってくる日…
楽しみで高鳴る胸を押さえながら眠りについた。
朝起きると…
外は晴れていて日が差し朝から暖かかった。
ご飯を食べ、食器を洗い、着替えて曾祖母ちゃんの布団を綺麗に敷いた。
全て終わった所に…
『ピンポーン…』
ベルが鳴った。
私は急いで玄関へ行きドアを開けた。
母と杖をついた曾祖母ちゃんがニコニコ笑いながら立っていた。
おばあちゃん‼おかえり‼
私はそう元気に言い曾祖母ちゃんの腕をとった。
ただいま☺
そう答える曾祖母ちゃんはとても末期癌とは思えず、とても健康的に見えた。
曾祖母ちゃんが帰ってきて1ヶ月が経った…
曾祖母ちゃんは月に3回は病院に通い、毎日沢山の薬を服用しなければならなかったが前の様に具合が悪くなることはなく順調に平和で平凡な日々が流れた…。
季節は12月になり…
街は🎄クリスマス🎅一色になっていった…
そんな中…一輝から手紙が来た。
『クリスマスは日本に帰るから会おう…』
との内容だった…。
私は一輝に電話をかけ…
『楽しみにしてる』
と伝え、曾祖母ちゃんの家の住所を教えた。
『クリスマスもお正月も…曾祖母ちゃんも一緒…』
私はそう決めていた。
冬休みは…仕事を休み曾祖母ちゃんとずっと一緒にいると決めていた為、夜の仕事は12月20日までして、新年明けてからまた仕事を始めることを予めママには伝えてあった。
竜彦と弘和にも
『おばあちゃんと一緒にいてあげたいから…』
と言い、クリスマスと新年は纏めて後ですることにしていた。
優しい竜彦と弘和は…何も言わず納得してくれた。
私は2人に
『もし…寂しかったら遊んでもいいし他の女の子と過ごしてもいいよ』
と伝えた…。
2人共…
『カズハ以外となんて絶対ない…』
と言い抱き締めてくれた。。。
『ごめんね…。私1人…好きな人と過ごして…』
心の中で……2人に謝った。
この時…私の精神状態は既に落ち着いていて…『欲』自体も薄れ初めていた…。
だから、
『2人共…浮気でもして…私のこと捨ててくれたらいいのに…』
…と本気で思っていた…。
2人を見てると…切なくて…
私の心は罪悪感で溢れ出していた…。
それに……
この時…竜彦も弘和も私が3股していることにはとっくに気付いていた……
なのに…責めることもせず……私に優しくし…私を大事にし続けていた…。
正直……
辛くて…苦しくて…
『限界』だった…。
…何度も別れ話をした…けど…2人共…納得はしてくれなかった……。
『ずっと…このままではいられない…』
そう思いながら…頭が痛くなる程考えながら日々過ごしていた。
『股をかけるのも楽じゃない』
股をかけられても…『それでも構わない…』っていう位真面目な恋愛の場合…遊びでは続かなくなる…。
『遊びなら楽なのに…』
…何度思ったか…分からない…。
股かけてる方も…かけられてる方も…駆け引きが出来ないくらい本気で相手が大切な場合…
どうすればいいんだろう…。。。
竜彦と弘和……2人共私に関わらなければ今頃…私とは違う彼女と純粋な恋愛をして…幸せになっていたかもしれない…。
『なんで出会ってしまったんだろう…』
私は人生で初めて出会ったことに後悔していた…。
竜彦と弘和からは変わらず…毎日私と曾祖母ちゃんの体を労るメールが届いた。
『寒いから体気をつけて』……
『勉強も仕事も絶対無理するな』……
『何かあれば、すぐに連絡しろ。とんでいくから』………
その1つ1つのメールが優しくて…余計心が痛んだ…。
この時…私はあることに気づき…ある…1つの別れを決心していた…。
それは……
『一輝と別れる』こと…。
竜彦と弘和と付き合いが進む中…
『一輝のことは…愛していない…恋愛ではない…』
と気付いてしまった自分がいた。
じゃぁ…一輝への気持ちは❓何故…付き合ったの…❓
…それは…
『…同情…』
一輝に告白された時の言葉………
『アゲハみたいにいなくならないで…』
そう言われたその時から…『恋愛』ではなく『同情』になってしまった…。
でも…一輝と付き合って一輝と初体験をし、一輝と一緒にいれたことは本当に幸せだったし…
『後悔はしていない…』
あの時…途中までは私は一輝に本気で『恋』をしていたから…。
『同情』に変わりさえしなければ…私と一輝の未来も変わっていたかもしれない…
でも…そう気づいた時にはもう遅かった…
クリスマスの日…
私は一輝と別れることにした…。
…一輝に別れを告げる時の言葉……それは…もう準備できていた…。
一輝のこと…傷付けることは間違いない……けど、私なんかのことは…恨んで…嫌いになって…忘れられるくらいの存在に思って欲しかった…
そうして…すんなり別れて欲しかった…
『一輝は…大切で掛け替えのない人』
には変わりないから…。
なるべく、引きずらないように…
それだけを考えた。
12月中旬が過ぎた頃から雪が降り初め…一気に冷え込んだ。
曾祖母ちゃんと2人…暖かいお茶をのみながら
『クリスマスはホワイトクリスマスだね』
と話した…。
曾祖母ちゃんは子供のように目をキラキラさせて
『そうだね』
と言いとても嬉しそうに微笑んだ。
仕事納めの日…竜彦と弘和とも会い、少し早いクリスマスプレゼントを渡した。
竜彦も弘和も年明けに会った時にプレゼントを渡す予定だったらしく
『用意もしてなくて…ごめん…』
と謝っていた。
私はこの時、プレゼントにはこだわりがなかった為、
『気にしなくていい』
と軽く返事をした。
一輝との関係が終わった今…『恋愛』に関して冷めている自分がいた。
『私は…恋愛したことがない』
一輝との出来事が恋愛ではなく『同情』だと気づき恋愛すらしたことがない事実に気付く…。
竜彦も弘和も恋愛ではなく…『取引』に近い付き合い…。
『恋愛』って何なのか…『人を好きになる』ってどうゆうことなのかも分からなくなってしまっていた。
竜彦と弘和とわかれた後…何故かいつも以上に疲れて暗い顔で帰宅した。
家の中へ入ると冬独特のストーブの匂いと暖かさが体を優しく包み込んだ。
『スーッ…フゥー…』
思いっきり深呼吸をした。
『癒される…』
外で何があっても家に帰ると日々の小さなことが私を癒やしてくれた。
リビングに入ると…
曾祖母ちゃんがコタツに入りながらウトウトとうたた寝をしていた。
その風景も私の1つの癒やし……
曾祖母ちゃんに膝掛けをかけながら優しく微笑んでいる自分がいた。
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ゲゲゲの謎 二次創作12レス 117HIT 小説好きさん
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私の煌めきに魅せられて24レス 216HIT 瑠璃姫
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✴️子供革命記!✴️13レス 90HIT 読者さん
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猫さんタヌキさんさくら祭り1レス 52HIT なかお (60代 ♂)
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少女漫画あるあるの小説www0レス 72HIT 読者さん
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私の煌めきに魅せられて
「僕には,世界一可愛い彼女が居て。でも三年前、そのせいで,,,!コロナ…(瑠璃姫)
24レス 216HIT 瑠璃姫 -
わたしとアノコ
??? ちょっと何言ってるかわからないにゃん(・・)(小説好きさん0)
171レス 2064HIT 小説好きさん (10代 ♀) -
神社仏閣珍道中・改
(続き) 死後の裁きといえばたいていの人が思い浮かべる方がおられ…(旅人さん0)
222レス 7555HIT 旅人さん -
猫さんタヌキさんさくら祭り
そこで、タヌキさんの太鼓よくたたけるよう、太鼓和尚さんのお住まいのお寺…(なかお)
1レス 52HIT なかお (60代 ♂) -
ゲゲゲの謎 二次創作
「幸せに暮らしてましたか」 彩羽の言葉に、わしは何も言い返せなか…(小説好きさん0)
12レス 117HIT 小説好きさん
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🌊鯨の唄🌊②4レス 112HIT 小説好きさん
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人間合格👤🙆,,,?11レス 124HIT 永遠の3歳
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酉肉威張ってマスク禁止令1レス 125HIT 小説家さん
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今を生きる意味78レス 510HIT 旅人さん
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黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 950HIT 匿名さん
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🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 112HIT 小説好きさん -
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人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 124HIT 永遠の3歳 -
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酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 125HIT 小説家さん -
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おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1392HIT 檄❗王道劇場です -
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今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 510HIT 旅人さん
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コンビニ店員、怖い
それは昨日の話 自分は小腹空いたなぁとコンビニに行っておにぎりを選んだ、選んだ具材はツナ おにぎ…
30レス 693HIT 張俊 (10代 男性 ) -
ディズニーの写真見せたら
この前女友達とディズニーに行って来ました。 気になる男友達にこんなLINEをしました。ランドで撮っ…
42レス 1277HIT 片思い中さん (30代 女性 ) -
ピアノが弾けるは天才
楽譜貰っても読めない、それに音色は美しい 自分はドレミファソラシドの鍵盤も分からん なぜ弾けるの
19レス 452HIT おしゃべり好きさん -
既読ついてもう10日返事なし
彼から返事がこなくなって10日になりました。 最後に会った日に送って、1週間後に電話と返事欲しい旨…
23レス 616HIT 一途な恋心さん (20代 女性 ) -
娘がビスコ坊やに似てると言われました
5歳の娘が四代目のビスコ坊やそっくりだと言われてショックです。 これと似てるって言った方も悪意…
18レス 502HIT 匿名さん -
一人ぼっちになったシングル母
シングルマザーです。 昨年の春、上の子が就職で家を出て独り立ちし、この春下の子も就職で家を出ました…
12レス 285HIT 匿名さん - もっと見る