Butterfly's memoir~第2章 豪欲~
🐚はじめに…🐚
第1章 階段からの続きのお話になります。
この第2章 豪欲では、題名通り…様々な欲や罠との葛藤と戦いになります…。
この回では、『人を助けること』も勿論関係してきますが『人の恨み』も受けて行きます。
勿論…辛い現実を目にもします。
是非、最後まで読んで頂けたらと思います。
🐚ageha↔松岡一葉🐚
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暫く由美は泣いていたが、私を見ながらゆっくりと話しを始めた…。
ごめん。カズハ…うち…春と取引したの…。
取引って❓何の取引❓
………うちね、剛がどうしても許せなくて…私の要望を聞く代わりに…私は春に協力をして……毎月お金を払うって…約束したの。ただ、その代わり……お父さんに頼んで…十分な生活と今まで以上の贅沢をさせてくれるって……約束だったの…。
初めは…早くお金を払って…早く終わらせよう…って…思ってたんだけど………段々…贅沢が辞められなくなって…どんどん『欲』が出て…。気付いた時には簡単に手に入るお金と…そのお金欲しさに『欲』が止まらなくなって…。犯罪だって分かってても簡単に…やるようになってた……。カズハは巻き込んじゃ行けないと思って…無視してた…。…本当にごめんなさい…。
由美は話し終わるとまたもの凄い勢いで泣き始めた…。
私は由美の隣に座って静かに聞いた。
由美が払わなければいけないお金って❓後…いくらあるの…❓
由美は小さな声で答えた…。
後……100万くらぃ………。
『ハァ…』
ため息しか出なかった。
ねぇ❓康彦…お金って支払いしなきゃいけないの❓
私は康彦に聞いてみた。
康彦は
『どうゆう話しでその金額になったのかは分からないけど、証書が取られてるならバックレるのは微妙かも。何か証書は書いた❓』
と由美に聞いた。
由美は黙って頷き、ポーチから一枚の紙を出し康彦に渡した。
その紙には
『金銭貸借証書』
と書かれていて、
証書にはこと細かに利子率等が書かれ、『甲』『乙』と言う名称があり、『甲』の部分には春樹の父親の事務所と春樹の父親の名前と印鑑、『乙』には由美の名前と由美の自宅住所と印鑑、連帯保証人の欄には由美のお父さんの名前と印鑑が押してあった…。
康彦は証書全てに目を通すと…一言
やられたな。
と言った。
やられたって❓❓
私が聞くと…
多分、由美ちゃんは春樹に頼み事をする代わりに手間賃を支払うって解釈してたのかもしれないけど、この証書見る限り、由美ちゃんがお金を借りたってことになってる。この証書があれば実際裁判しても由美ちゃんには勝ち目はないよ。…このお父さんのサインと印鑑はどうやって手に入れたの❓
由美はまた小さな声で話し始めた。
家…出て行く時…賃貸契約書と一緒に出して…サインしてもらった…。お父さんは賃貸契約書の一部だと思ってる…。
…康彦は由美の話しを黙って聞いていた。
暫く考えていた康彦がため息混じりで
サインも…印鑑もお父さん本人のって訳か…。
『ハァ…』
この金に関しては利子含めて全額払わなきゃいけないかもな…。
と言った。
それを聞いた私は、
なんで❓そんなの違法じゃん⁉だって騙されたんだよ⁉
と言ったが、
康彦は
いくら騙されたって言ってもこの証書には偽造とかの不正もないし、ちゃんと本人達のサインと印鑑も押してあるし、本来ならこうゆう証書は全てに目を通してからサイン捺印するのが常識なんだよ。由美ちゃんだけのサイン捺印なら未成年との金銭貸借契約だから無効に出来るかもしれなくても由美ちゃんのお父さん本人のサイン捺印が入ってる限り簡単には取り下げは出来ないんだよ。
と言った…。
それに…由美ちゃんはもう学校辞めて社会人として働き始めてるでしょ。しかも…春と最近籍入れたよね❓もう未成年じゃなく…契約とかに関しては大人と同じ扱いになるんだよ。
と続けた…。
『え…籍入れたって…どうゆうこと…学校…やめたって❓…』
私は由美の方を黙って見た…
すると…由美は申し訳なさそうに私に言った…。
カズハ…ごめん…。うち…春の赤ちゃんがお腹にいるの。…妊娠したって分かった時…どうしたらいいのか分からなくて…カズハに電話した…でも…カズハには…どうしても話せなかった…。夏休みに入る一週間前に…学校は退学した…。。。
そう言うとまた涙を流しながら俯いてしまった…。
私は思考回路が停止して、何を話たらいいのか…分からなくなって、黙り込んでしまった。
カズハ…ごめん…‼
そう言い泣きながら謝る由美に振り絞って出た言葉は…
春のことちゃんと好きなの❓好きだから赤ちゃん出来たんだよね❓
だった…。
由美は………
ごめん…。好きで出来たんんじゃない…。お酒の勢いで…。でも…私には…怖くて勇気がなくて…中絶も出来なかった…。お金もかかるし…だから…出来なかった…。
と言った…。
もう…中絶出来ないの❓
と聞くと…
ごめん…。毎日飲んだり遊んだりしてて…赤ちゃんいるのに気がつかなくて…。気付いた時には12週過ぎてた…。12週過ぎると…死亡届け出さないと行けなかったり…お金も倍かかるみたいで…春にそんな金出してられないから黙って産めって…言われた…。
と…。
…振り絞っても…一生懸命考えても…何も言えなくなり…私の口からは次第にため息しか出て来なくなった。
その話を黙って聞いていた翔太が
今日は…帰ろう…。
と静かに言った。
私も由美も頷き、私は由美に聞いた。
今日はどうする…❓春の所に帰る…❓
由美は…
今日は…帰りたくない…本当は…いつも帰りたくなんかない…。
と言った。
私は裕子に事情を話し、今日は裕子の家に泊めてもらうことにした。
康彦とは今後の相談もあった為、番号等を交換して別れた。
店を出る前に、軽く由美の化粧を直し、駅まで行き、荷物を取って、悠太先輩が迎えに来るのを待った。
待っている間に由美とはこんな話をした。
由美、お腹に赤ちゃんいるのに全然分からないね。
うん…。前より痩せた位。けど赤ちゃんは大きくなってたよ。それに、お腹が出て来るのは結構ギリギリにならないとみたい。
そうなんだ(笑)私なんかてっきり赤ちゃんできたらすぐお腹出るもんだと思ってた(笑)
由美もそれを聞いて『私もそう思ってた(笑)』と言って笑った。
私は由美が笑っているのを見て、昔…一緒にランチをした時のことを思い出した。
また由美とこうやって笑いながら話が出来ることを心から喜んでいた。
暫くすると悠太先輩の車が目の前に止まった。
そして、
カズハ‼カズハ😃‼
と大きな声で手を振った。
悠太先輩⤴‼‼
私も悠太先輩に負けないくらい大きな声で叫び悠太先輩の車まで由美の手を引き走った。
悠太先輩‼結婚おめでとう☺⤴
ありがとう☺あっ‼それより(笑)裕子がまだかまだかってうるさいくらいでさ(笑)待ちくたびれてるから早く家行こう(笑)話はまた後で☺
うん☺‼
私と由美は悠太先輩の車に乗り、裕子と悠太先輩の新居に向かった。
悠太先輩と由美の新居は4LDKの庭付き一戸建てだった。
新築でとても綺麗で…。
『ピンポーン…』
ベルを押すと
『ハーイ⤴』
という元気な声が聞こえてきて勢いよくドアがあき、裕子が私に抱き付いてきた(笑)
カズハァー⤴⤴久しぶりぃ😚⤴よく来たね😚⤴会いたかったよぉ⤴
そう言いながら抱き付いてきた裕子は健康的に太っていてお腹もかなり出ていた(笑)
あれぇ⤴裕子⤴太ったんじゃない(笑)❓
意地悪そうに言ったら
(笑)も~😚⤴てか(笑)子豚だよ(笑)子豚(笑)🐷14キロも太っちゃって(笑)
といい大口あけて笑い出した(笑)
14キロ~😂⤴凄いね😂⤴でも可愛い子豚だね🐷(笑)
と笑いながら裕子との久しぶりの再開を楽しんだ。
ほら。2人共、早く中入って下さい☺
と悠太先輩に促され家に入った。
リビングへつくと…
テーブルの上には沢山の美味しそうな料理と飲み物がいっぱい並んでいた。
裕子が私達の為に大きなお腹で作ってくれていた。
裕子😢✨ありがとう😢⤴こんなに沢山😢大変だったでしょ😢✨
全然😃いつもは悠太が作ってくれてるからたまにはね😉あっ💡由美ちゃんがお腹に赤ちゃんいるってさっき悠太から聞いたから、即席だけどお鍋も作っておいた☺食べれるといいんだけど☺…
と由美を見て言った。
由美は、
私、体質のせいなのかつわりがあまりないんで何でも大丈夫です☺
と裕子に話した。
そっか☺なら良かった☺つわりがないなんていいなぁ⤴羨ましい‼
などと話しながら、みんなで裕子が作ってくれた料理を食べた。
ご飯を食べながら、やはり話しは『赤ちゃん』の話題になり盛り上がった☺
裕子は、由美と比べてお腹が随分デカいんだな💦とは思っていたが、裕子のお腹には赤ちゃんが2人…『双子』だった☺⤴
悠太先輩は『一度に2人の父親になれちゃうんだから頑張らねーと⤴』と張り切っていた☺
裕子❓もう性別はわかってるの❓
と聞くと裕子は笑いながら
あー(笑)一気に家の中が男臭くなる感じ(笑)しかも(笑)2人共おチンチンなの(笑)(爆)😂💡
と言い笑った😂
えー😂2人ともおチンチンかぁ😂
と私もつられて笑った😂
由美もその会話を聞いて爆笑していた😂
本当は女の子が欲しかったんだけど…この際、おチンチンでもいっか(笑)と思って(笑)😂
裕子が話す度に笑いが起こった。
楽しい時間はあっという間に過ぎ…
悠太先輩は仕事がある為、先に寝ることになり『後は女の子同士で楽しんで😉裕子、あまり無理するなよ😉』と言い寝室へ上がって行った。
裕子は『チャイ』というインドかどこかの甘くてミルクの入ったいい香りの温かいお茶を作ってくれた。
3人でお茶しながら、話題は由美の今後の話しになった。
裕子は同じ妊婦として由美の体をずっと心配していたようだった。
お茶をしながら裕子は何か言いたそうにしていたが、由美と目があったのをきっかけに…話し始めた。
由美ちゃん、赤ちゃんの為にも、今の仕事は辞めないとダメだよ。由美ちゃんは好きで作ったんじゃなくても赤ちゃんには何の罪もないんだよ。由美ちゃんは…もう親なんだよ…。もう少し、しっかりしなきゃいけないんだよ。弱音なんか吐いたって誰も助けてくれないし、助けてあげられないんだよ。そのお腹の母親は由美ちゃん1人なんだから…。由美ちゃんが頑張って守って頑張って産んであげるしかないんだよ。
裕子が強い口調で由美に言った。
心配だからこそ強い口調になってしまう…裕子の気持ちが痛い程分かった。
由美も…裕子の気持ちは分かっているようだった。
私は由美を暫く見つめていた…。
由美が唇を『キュッ』と噛み締めながら涙ぐんでいる…由美の気持ちも痛い程分かる…だから由美を見ていて余計辛くなった。
『なんでこうなってしまったんだろう…』
人っていつ罠にはまってしまうか分からない…罠にはまったら…逃げられない。
後戻りは出来ないから頑張るしかない。
『後戻り…出来たらいいのに…』
由美の涙が…凄く哀しげに見えて私は思わず話し始めていた。
由美もきっと分かってる…けど体の変化と気持ちがついていかないだけ…。今はそっとしておいてあげたい。裕子の気持ちも痛い程分かるけど…。由美は…支えてくれる人は誰もいないから…ずっと1人だったから…支えがない分、弱くもなっちゃうんだと思う…。裕子には悠太先輩がいるけど、由美には誰もいないから…。由美も1人で精一杯苦しんで…精一杯頑張ってきたんだと思う。
裕子が少し涙目になりながら言った。
分かってる。由美ちゃんの気持ちはちゃんと分かってるよ。私も今まで色々あったから…。でも、由美ちゃんには絶対に負けないで欲しい。諦めないで欲しい。頑張って欲しい…。
それを聞いた由美がか細く涙混じりの声で
ありがとう…それと…ごめんね………。本当に…馬鹿で…ごめん…。
と静かに言い涙を流した。
小さい小さい声で涙混じりでまだまだ頼りないけど、もう由美は大丈夫だって思った。
私が由美を探さなくても、由美はもういなくならない…一度は由美に裏切られたけど、私はもう一度由美を信じることにした。
どんなことをしてしまったとしてもやっぱり由美は私の大事な友達だから…。
この時、私の中でもう1つ新たな決心が固まりつつあった。
明日…由美を家に送ったら……
『春に会おう』
春がどんな奴でももう怖くなかった。
話し終わった後…みんな涙でベチョベチョになりながら、川の字に並んで寝た。
私は真ん中で、由美と裕子と手を繋いで寝た。
裕子も過去一度は命を絶とうとした…けど今は幸せになってる。
『由美もきっと幸せになれる…』
私は由美の為に出来ることは諦めないで全てやってみようと思った。
裕子と由美の寝顔を見ながら、
『友達っていいな』
と思った。
私はもう由美の手も裕子の手も離さないと決めた。
『何があっても私は2人の友達でいよう…2人にどんな変化があっても信じよう』
私は何故か幸せだった。
それと…いつもは、由美からいつ電話がきても起きれるように…と神経を使っていたせいか夜中に何度となく目が覚める日々だったけど、この日は久しぶりに安心して眠ることができた。
次の日…
朝起きると美味しそうな味噌汁の匂いがした。
裕子は先に起きてご飯を作っていてくれた。
最近は…色々あって朝は殆どご飯を抜いていた私は久しぶりにゆっくり朝ご飯を食べた。
由美も…
こんなにゆっくり朝ご飯食べたのは…実家にいた時以来…
と言いながら何か懐かしいものを思い出しながらゆっくり噛み締めているようだった。
『…そうだよね…私達…まだまだ子供だもんね…。』
この時…私達は16才…。この歳で実家に頼ることも帰ることも出来ない由美…。きっと想像以上に無理してきたんだと思う。
『いつか…由美が家族とまた仲良くできますように…』
私はそれまで頑張って由美を支えようと心に決めた。
裕子にお礼を言い、悠太先輩には仕事に行く途中の駅まで送ってもらった。
駅から由美のアパートは歩いても行ける距離だった為、ゆっくり歩いて行くことにした。
久しぶりにゆっくり由美と並んで歩き、ゆっくり話す…
由美は昔の由美に戻っていた。
アパートに行く途中、薬局に寄り髪の色を戻すカラーリング剤を買い、デパートに寄り新しい服を買った。
服は全てマタニティ用…
私…形から入るタチだから…(笑)
と照れ笑いをしながら、話す由美。
そんな由美を見て、本当に諦めないで良かった…と思った。
私も由美に似合いそうな洋服を選び、由美が気に入って見ていた赤ちゃんの産着を由美に黙って買い由美にプレゼントした。
由美は本当に喜んでくれた。
由美のアパートへつき、由美の髪を染め直した。
由美は仕事のことや…春のこと…お金のこと…色々気にしていた。
仕事のことは私から康彦に連絡を入れると言い、他のことはこれからゆっくり考えて行こう…と由美には言った。
私が春に会う…と言ったら心配させてしまうと思ったから由美には話さなかった。
この時、由美の家で今現在の春のことについて由美から少し話しを聞くことが出来た。
学校はもう既に退学しているということ、春は週末に少しだけ由美のアパートに顔を出し、生活費を数万円置いて行くということ、春は前の彼女のマンションへ未だに住んでいるということ…。
由美の話しから、その彼女のマンションの場所も部屋番号も分かった。
私は由美の髪を洗い、買い物へ行き、昼と夜のご飯を作り、仕事の件も含めまた連絡することを約束し由美のアパートを後にした。
由美の家を出てすぐに康彦に電話した。
由美のことを辞めさせてくれるように話しをし、今日の夕方私の家近くで会う約束をし電話を切った。
その後、翔太に電話をし、今から春に会いに行くことを話した。
つーか…1人で行くん❓何あるかわかんねえし俺も行くよ。
と翔太は言ってくれたが、私は春とは2人で話しがしたい、と言い、夕方4時までに私から連絡がなかったら…春のマンションまで人を連れて来てくれるように頼んだ。
翔太は最後まで反対していたが、半ば強引に納得してもらい…私は1人春のマンションに向かった。
春のマンションへつき、エレベーターに乗り込んだ。
春の住んでる階は8階…の803号室…。
8階へつき、一呼吸おいてからベルを押した…。
はい…。
『女の人の声…』
あの…こちらに大山春樹君がいるって聞いてきたんですけど…。春樹君はいますでしょうか…❓
『ガチャ…』
ドアが開き、30代くらいの女の人が出てきた。
その女の人は私のことを上から下まで舐め回すように見ると私に言った。
今、春はいないよ。何の様❓
あの、大事な話しがあるんで、もし、すぐ帰ってくるようであれば待たせて頂きたいんですが…。
…どうぞ。
女の人はそれ以上は何も聞かず部屋にあげてくれた。
部屋に入ると、右側にベビーベットが置いてあり…
小さい小さい赤ちゃんがスヤスヤと寝ていた…。
赤ちゃんから目が離せずジーッと見つめていると…
赤ちゃん好きなの❓
と女の人が聞いてきた。
私は、『赤ちゃんが好き』という訳ではなく、『赤ちゃん』がいたことにびっくりしていただけだったが…
はい…。
と返事をしていた。
それを聞いた女の人が、
その子、先月産まれたばかり。春の子
…………あなた春のことで話しあるって言ってたけど…あいつまた誰かはらましたんでしょ❓違う❓
と聞いてきた…。
『この女の人は全て知ってるんだ…』
そう思い、今までの春のこと、由美のことを全て話した。
女の人は…黙って静かに聞いてくれた。
話し終わったくらいに
『ピンポーン…』
ベルが鳴った…。
春かと思い、少し緊張していると…
大丈夫、春じゃないから。
その女の人はそう一言いい玄関へ歩いて行った。
暫くすると…
1人の男の人があがってきて…私に丁寧にお辞儀をしてきた。
私も深々とお辞儀した。
その男の人は赤ちゃんが寝ているベビーベットの前まで行き…優しい顔で愛おしそうに赤ちゃんの体を『ポンポン』と叩き始めた。
私が不思議そうにその光景を見ていると…
春とは別れるから。だから、安心して。私は近々この部屋出て行くから。
と…話しをしてきた。
え⁉あの…それってどうゆう…
私がそこまで言った時、赤ちゃんをあやしていた男の人が話しをしてきた。
こいつと俺、結婚するんだ。もちろん…この子は俺の子として大事に育てる。こいつは今まで頑張ってきたから。俺がこいつも子供も守ってくって決めたんだ。子供を無事出産したら、春樹とは別れてここも出るって元々決めてたんだよ。
私は黙って聞いていた。女の人も…それ以上は何も言わなかった。
女の人は、春は女にも手あげるような奴だから、話し合いの時は一緒にいてくれる…と言ってくれた。
女の人の名前は香苗さん、香苗さんの彼は湊谷さん。
2人共、凄く優しくて、親身になって色々相談に乗ってくれた。
翔太に
『心強い味方が出来たからもう大丈夫。話し終わったら必ず連絡するから待ってて。』
とメールを打ち春が来るのを待った。
昼1時を過ぎた時…
『ガチャッ…』
玄関が開き、春が入ってきた。
春は赤ちゃんには見向きもせず、私と湊谷さんがいることにも驚きもせず、ソファーに『ドカッ』と座った…。
座るなり赤ちゃんがいるのにタバコを吸い始めた。
それを見た湊谷さんが無言で春のタバコとライターを取り上げ、春が吸ってるタバコを消した…。
春は
『ハァ………』
と深いため息をつき、私に向かって…
何の用❓
と一言いった…。
私は、由美のこと、仕事のこと、お金のこと、今後の生活のこと…全てにおいてどうするのかを聞いた。
春は一瞬面倒臭そうな顔をしながら答えた。
由美のことは籍だって入れてやったし、ガキだって産むことには納得してっし、生活費に関しては毎週由美に渡してる。金の件は、俺の親父との話しになるから俺の一存じゃ決めらんない。金の件で話しあんなら俺の親父に話しつれば❓
と…。
私は、
じゃぁ…春のお父さんに会う。それしか方法ないなら話しする。いつ❓
と春に聞いた。
春は
じゃぁ、明後日。お前の学校近くの大通りまで迎えに行くから。時間は後で連絡する。
と言った。
その後、『由美と赤ちゃんのことをしっかり面倒見て、悲しませるようなことは絶対にしないで』と言い、香苗さんと湊谷さんにお礼を言ってマンションを出た。
マンションを出てすぐ翔太に電話をかけた。
明後日、春のお父さんと話しをすることを話すと翔太は必死に止めてきた。
『けど…もう後戻り出来ないから…やるだけやってみる…』とだけ伝えた。
夕方、康彦にも春のお父さんと話すことを話したが良い反応は帰っては来なかった。
ただ、何かあった時の為に、康彦の方も当たれる場所には当たっておいてくれる…と言ってくれた。
それと…由美の仕事の件はちゃんとお兄さんに話しをしてくれて今までの給料は後で康彦が持ってきてくれることになった。
家に帰宅後…
由美とメールをした。
仕事は無事に辞められたことと、後で康彦が今までの給料を持ってきてくれるから由美に持っていくことだけを伝えた。
由美からは、『安心した。ありがとう。迷惑ばかりかけてごめんね。。。』と返事がきた。
そのメールを見ながら、『明後日…ちゃんと話しつけないと…』と思いながら私は少しの恐怖と…少しの不安と戦っていた。
春の父親がどうゆう人なのか全く知らない分…話し合いの進め方や予想がつかず、頭の中で色々な場合を想定して考えを巡らし続けていた。
春のお父さんに会う当日…。
私は裕子の家に遊びに行くことにし、自宅を出た。
大通りに出ると、春はもう来ていた。
春が乗ってきた車に乗り込み、ある一軒のクラブについた。
外は明るいのに…店の中は夜のように暗く、昼間なのにお客さんがいた。
お客さんはお酒をのみながらカラオケをしたりしていた。
春に
ここで待ってて。
と言われ、カウンターの席へ案内された。
席に座ると着物を来た綺麗な人がお茶を出してくれた。
その人はここのママさんだと自己紹介してくれた。
それと…
私のことは『聞いている』と言い、『悪いことは言わないからこうゆう世界には関わらない方がいい…今すぐ帰った方がいい…』とだけ言いお店の奥に消えて行った。
ママさんが奥に入ってすぐ…春に店の奥の個室に案内された…。
個室へ入ると1人の白髪混じりの細身の男の人がお酒を飲んでいた。
スーツこそ着てはいなかったが身につけている物は高級品ばかりで、どことなく貫禄があり…異様な雰囲気を醸し出していた…。
『多分…これが春のお父さんだな…』
私はなんとなく直感でそう思った。
その男の人は私を見るなり
話しがあるっていうのはお前か❓
と話しかけてきた。
はい。由美の友達の松岡と言います。
…由美の友達か。ここに座れ。
目の前のソファーを指差した。
私は黙って座った。
春に聞いた。金のことで文句があるらしいな。
文句じゃありません…。由美は、お金は借りてません。春に騙されたんです。
息子が何を騙したんだ❓
…由美の頼みを聞く代わりにお金を払うと約束したのは確かです…。でも…由美はお金は一銭も借りてません。
じゃあなんでこれがある❓
…そう言いあの『金銭貸借証書』の紙を出してきた…。
それは…確かに由美が書いた物です。でも…由美はその証書の意味が分からないでサインしてしまったんです。だから…その証書に記載されたお金に関しては由美は一切払う義務はないと思います。
『フハハハハハハ…』
私の話しを聞いた春のお父さんが笑い出した。
その瞬間……
私の胸ぐらを掴み
っんな理由が通るとでも思ってきたか⁉このガキが‼‼‼
と大きな声で叫び私を思いっきり自分の座っている場所まで引きずり込んだ…。
そして…
ぶっ殺されねーとわかんねーか‼
と言い近くにあったガラスの灰皿で私の横のテーブルを思いっきりぶっ叩いた…
『ドカッ……ガチャーン……』
ガラスの灰皿は半分に壊れ、その割られた灰皿を私に突き出しながら
あ゛ゴラッ‼このガキが‼
と怒鳴り散らしながら私のことを壁に向かって投げつけ、また胸ぐらを掴み投げつけを繰り返した…。
『ビリッ…ビリッ…』
投げつけられる度に私の服は音を立てて破れた。
膝は擦りむけ…掴まれた辺りの肌は引っ掻き傷などで赤く腫れ上がり血が滲む…。
腕や手も擦りむけ…次第に肉が見え始めた…。
私が必死に耐えていると、春のお父さんがいきなり手を離し、
逃げ出すなら今だぞ‼警察にでもどこにでもいきてーならいけ。
と言った。
私は…『今逃げ出しても何も変わらない…まだ話しは済んでない…』咄嗟にそう思い…首を横に振りその場を動かなかった。
動かなかった…というより体はボロボロで…何度も何度も引き摺られ壁にぶつけられ…
それを延々と1時間以上やられたことですっかり体力はなくなり動くこともままならない状態だった…。
でも…このまま帰る気はない…だから動けなくても構わなかった…。
オラッ‼さっさと帰れっつってんのがわかんねーか‼
それでも私は首を横に振り続けた。
そんな私を部屋にそのままにし…春のお父さんは出て行った…。
1人部屋に取り残された私は…悔しさと自分の非力さで胸が一杯一杯になった…
私の目からは…勝手に涙が出てきた。
『なんで…あんな奴に…あんな腐った人間にこんなにされなきゃいけないの‼…』
悔しくて悔しくてボロボロになりながら泣き続けた。
暫くすると…
ママさんがおしぼり数本と救急箱と一枚のワンピースを持って部屋に入ってきた。
そして…
だから…言ったのに…
と静かに呟き…私の体の傷の手当てをし始めた…。
すみません……。
私はそれしか言葉が出せず…声を必死に押し殺しながら泣き続けた。
大人の世界や…ヤクザの世界は、子供が考えている程…甘くない。
私はここまでの恐怖と命の危険を今まで感じたことがなかった…
だから…甘い考えを抱き『話せば分かってくれる』そう思っていた。
現実は…そんなに甘い物ではなかった。
痛くて…怖くて…苦しくて…辛くて…。
現実を目の当たりにしてやっと気づく…世の中…綺麗事で片付く程甘くない…
特に…
『お金』に関しては…………。
汚いお金でもお金はお金…。
春のお父さんは『お金に関しては一銭たりともごまかしなく払ってもらう』と言っていた…と後から春に聞いた…。
私は…それを聞き、クラブのママさんに頭を下げた。
『私のことを…ここで雇って下さい…』
と…。
春のお父さんに目をつけられた私が自分で考え下した結論だった。
私は、『春の父親みたいな大人には絶対に負けない』と半分意地にもなっていた。
『あいつには負けない』
ママさんは、事情が分かってる分、すんなり私を雇ってくれた…。
歳はお姉ちゃんの保険証を借り、お姉ちゃんになりすまし働くことにした。
『そんなに金が欲しいなら耳揃えてくれてやる』
春のお父さんに次に会うときは由美共々、縁を切る時…そう心に決め、私は夜の世界に足を踏み入れた。
ママさんと連絡先の交換をし、働き始める日にちについては後日連絡すると約束し店を出た。
ママさんが持って来てくれたワンピースは綺麗なピンク色で丈は少し長めだった為、うまく傷等を隠すことが出来た。
私は、裕子にある頼み事をする為に裕子の家に向かった。
裕子には今まであったことを包み隠さず話し、『暫く…裕子の体調が悪いから裕子の面倒を見る為にたまに裕子の家に泊まること』を親に話すから…話しを合わせて欲しい…と言った。
裕子は快く私の頼みを聞いてくれた…でも…『夜働くことには反対だ』とずっと言っていた…。
『裕子…ごめんね…』
私は、心の中では謝りながら…『夜働くことに関しては考えを曲げる気はない』と強く言い切った…。
何かあったら、すぐにうちに来るんだよ…。
裕子は私にそう言い、手を振って送ってくれた。
その後の夏休み中は学校のこともあり、自宅で大人しく過ごした。
夏休み明けてすぐ学校から呼び出しがあり、母と一緒に学校へ向かった。
停学の解除と共に誓約書を書かされ、その日は帰宅した。
誓約書の内容は…
『次回、何か問題を起こした時は退学又は自主退学の指示を受けること』
だった。
私は次の日から久しぶりに学校へ通うことになった。
勉強に関しては自宅で学習はしていた為、休み明けのテストに関しては今までの順位をほぼ落とすことなく親の条件はクリアすることが出来た。
学校に通い始めて2週間…私が出掛けても親は何も言わず落ち着いてきた。
『そろそろ…ママさんに連絡しよう…』
そう思い始めた頃…
翔太から久しぶりに電話が掛かってきた。
久しぶり💡元気だった❓
うん💡学校にも復帰して落ち着いてきた所…。
そっか💡つーか、さっきうちのバイト先から連絡きたんだけど…春が由美ちゃんと数人の男と制服着た女1人連れて部屋に入ったきりらしい。部屋の窓には内側から上着とかで目隠しされてて中の様子も見れないらしいんだよね。由美ちゃんから何か聞いてる❓
……何も聞いてない…。
私は何か胸騒ぎがして『ちょっと由美に電話してみる‼』そう言い急いで電話を切り由美に電話をかけた。
だが…由美の携帯は何度電話をかけても留守電になった…。
私は翔太に電話して『今からカラオケ行くからすぐに来て‼』とだけ言い、美幸に学校を早退することを伝えてカラオケボックスまで走った。
私がついてすぐ翔太も来た。
どこの部屋⁉
翔太はカウンターへ行き
前に入ったことがある一番奥の部屋だって‼
と言った。
私と翔太は部屋に走って行った。
部屋の中からは…
爆音で音楽が鳴っていてそれは部屋の外まで丸聞こえになっていた。
翔太の電話での話し通り…部屋の窓という窓には内側から目隠しがされ、ドアも隙間なくジャケット等で覆われていた…。
『イヤァァァ…助け…て‼やめて…ぇぇ』
そこには…
数人の男がタバコを吸う中…
女の子が1人…制服を剥ぎ取られ鼻血を流しながら…
2人の男に回されていた…。
『いたぃ…あっ‼やめてぇ…‼んっ…イヤァァァ…ダメぇ…イヤァァァ‼中はやめてぇぇ‼アッんっ』
女の子が必死に抵抗しながらそう叫んだ瞬間…
その女の子に覆い被さり腰を振っていた男が果てた…。
その男が息を荒くしながらこっちをゆっくりと見た…
『春………』
それは…春だった。
春はその女の子の制服で自分のものを拭くと…
なんだ❓お前ら。
と冷めた口調で一言いった。
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猫さんタヌキさんさくら祭り1レス 54HIT なかお (60代 ♂)
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少女漫画あるあるの小説www0レス 78HIT 読者さん
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私の煌めきに魅せられて
「良かった」 10時を回って、やっと家に帰った。 『今日はほん…(瑠璃姫)
30レス 280HIT 瑠璃姫 -
神社仏閣珍道中・改
(続き) 仏教が生まれたころ、インドには『輪廻』の考え方が根づい…(旅人さん0)
223レス 7621HIT 旅人さん -
わたしとアノコ
??? ちょっと何言ってるかわからないにゃん(・・)(小説好きさん0)
171レス 2199HIT 小説好きさん (10代 ♀) -
猫さんタヌキさんさくら祭り
そこで、タヌキさんの太鼓よくたたけるよう、太鼓和尚さんのお住まいのお寺…(なかお)
1レス 54HIT なかお (60代 ♂) -
ゲゲゲの謎 二次創作
「幸せに暮らしてましたか」 彩羽の言葉に、わしは何も言い返せなか…(小説好きさん0)
12レス 127HIT 小説好きさん
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🌊鯨の唄🌊②4レス 117HIT 小説好きさん
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人間合格👤🙆,,,?11レス 125HIT 永遠の3歳
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酉肉威張ってマスク禁止令1レス 126HIT 小説家さん
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今を生きる意味78レス 511HIT 旅人さん
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黄金勇者ゴルドラン外伝 永遠に冒険を求めて25レス 950HIT 匿名さん
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🌊鯨の唄🌊②
母鯨とともに… 北から南に旅をつづけながら… …(小説好きさん0)
4レス 117HIT 小説好きさん -
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人間合格👤🙆,,,?
皆キョトンとしていたが、自我を取り戻すと、わあっと歓声が上がった。 …(永遠の3歳)
11レス 125HIT 永遠の3歳 -
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酉肉威張ってマスク禁止令
了解致しました!(小説好きさん1)
1レス 126HIT 小説家さん -
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おっさんエッセイ劇場です✨🙋🎶❤。
ロシア敗戦濃厚劇場です✨🙋。 ロシアは軍服、防弾チョッキは支給す…(檄❗王道劇場です)
57レス 1392HIT 檄❗王道劇場です -
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今を生きる意味
迫田さんと中村さんは川中運送へ向かった。 野原祐也に会うことができた…(旅人さん0)
78レス 511HIT 旅人さん
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こんな考え最低ですか?婚約中
料理教室の講師をしてる32歳女です。相談所で出会った52歳の経営者と成婚退会しました。お互い初婚です…
33レス 1678HIT 恋愛勉強中さん (30代 女性 ) -
ベビーカーの周りに家族が不在
交通機関のターミナルでの事です。 待合所の座席にほとんどお客が座っている中、通路側の端の席に荷物が…
26レス 376HIT 匿名 ( 女性 ) -
飲み会で言われた失礼な発言が許せない
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17レス 497HIT 相談したいさん (30代 女性 ) -
婚活で出会った人を信用する方法
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10レス 264HIT 恋愛好きさん (30代 女性 ) -
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友達に恋愛相談をしていました。 僕は人間関係が苦手な面があるので脈ナシで相手にされずなところがあり…
42レス 995HIT 匿名さん -
この世の中に、そして宇宙にあるものは
万物において、一長一短を持っているとゆうのが定理で、 たとえば、 「都会」 「イナカ」 この…
11レス 190HIT おしゃべり好きさん - もっと見る