Butterfly's memoir~第2章 豪欲~
🐚はじめに…🐚
第1章 階段からの続きのお話になります。
この第2章 豪欲では、題名通り…様々な欲や罠との葛藤と戦いになります…。
この回では、『人を助けること』も勿論関係してきますが『人の恨み』も受けて行きます。
勿論…辛い現実を目にもします。
是非、最後まで読んで頂けたらと思います。
🐚ageha↔松岡一葉🐚
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学校も無事冬休みに入り…クリスマスまでの間は毎日曾祖母ちゃんと過ごし、クリスマスツリーを出したり、クリスマス用の食材を買いに行ったり…曾祖母ちゃんと2人笑いながら過ごす平和な日々が過ぎて行った。
クリスマス当日…
私は朝早くに起き、朝ご飯を作りながらクリスマスのお祝いの準備を始めた。
曾祖母ちゃんの体の為、ケーキは砂糖を少なめにしたり…料理は油を控えめにしたり…と全て手作りにした。
朝から初めたのに全ての準備が出来た時には昼もすっかり過ぎ3時になっていた。
曾祖母ちゃんはコタツに入りみかんを食べながら私が料理をしているのをニコニコと見ていた。
夕方5時…
携帯が鳴った…
着信を見ると…
一輝からだった。
もしもし。
あぁ💡カズハ❓俺だけど。今、○○の駅に着いたんだけど、タクシーが酷く混んでてなかなか乗れそうにないんだ。おばあちゃんの家は歩いて行ける距離❓近いなら歩いて行っちゃおうかと思って💡
そんなに混んでるの…❓…タクシーでワンメーターくらいの距離だから、歩ける距離だけど…道が複雑だから住所だけじゃ無理だと思う…。私、今から迎えに行こうか❓
マジ❓なら○○駅のスタバで待ってるから💡じゃあ💡
私は一輝を迎えに行く為に傘を持って家を出た。
駅まで歩く道のりでとうとう…クリスマスが来てしまった……と憂鬱な気持ちになりながらトボトボ歩いた。
スタバに着くと…
荷物を抱えた一輝が笑顔で走ってきて
カズハ‼⤴
と言い私を抱き締めた…。
一輝を抱き締めながらも胸はズキズキと痛んだ。。。
一輝の久しぶりの匂い…ズキズキ痛みながらも毎日一緒にいた頃の幸せな時間を思い出し懐かしさにドキドキしている自分もいて…
かなり複雑な心境だった…。
この日はかなり雪が降っていて、道路は雪と雪が溶け出した水でベチョベチョでかなり歩きにくく、雪も本降りになってきた為、歩くのは途中で断念してタクシーを拾うことにした。
駅前のタクシー乗り場はかなり混んでいたが少し歩いた先のホテル前はあまり混んでいなくてすぐに乗ることが出来た。
どうせタクシー乗るならカズハにわざわざ来てもらわなくても良かっね。ごめんね。
一輝が謝ってきた。
全然。大丈夫。気にしないで。
タクシーの中ではあまり会話は続かない…。
そんな時、ラジオから綺麗な音楽が流れてきた…。
あっ💡これ…俺好きなんだ😃
そうなの❓なんて曲❓
確か、“戦場のメリークリスマス”って曲😃坂本龍一って人のだよ💡
ふ~ん💡綺麗な曲だね…。
私と一輝はうっとりと聞き入った。
ただ…この時私の心の中では純粋に曲を聞いていられる心境ではなく…
『戦場かぁ…確かに…今日は戦場のメリークリスマスだわ……』
とこれから一輝に別れをつげなければいけないことで胸がいっぱいになっていて『戦場』の言葉にも敏感になり益々憂鬱になってしまっていた。
憂鬱な気持ちのまま家へつき…
憂鬱な気持ちのまま…曾祖母ちゃんに一輝を紹介した…
曾祖母ちゃんは一輝に深々とお辞儀をし
これからもカズハのこと宜しくお願いします。カズハはちょっと泣き虫で昔から繊細な子だから……支えてあげて下さい。私がいなくなってもどうぞ…末永く支えてあげて下さい。
と言った……
一輝は…
はい。俺に任せて下さい。それと…おばあちゃんも体には気をつけて長生きして下さい。
と言い…曾祖母ちゃんと握手した…。
…『耐えられない』
私は…
ちょっと…トイレ…
と声を絞り出し、一言いいトイレへ駆け込んだ…。
口に手を当てて…必死に声を押し殺しながら…泣いた。
『もう…嫌だ………。誰か…助けてよ………』
心の中でずっと叫んでいた。
曾祖母ちゃんと一輝のことを大切だと思っていなければこんなに辛くはなかったと思うが…一輝に会ってから…曾祖母ちゃんの言葉を聞いてから…また気持ちが揺らぐ自分がいて…。
『全て』に対して悩み苦しまなければならなかった。
トイレで水を流し…泣きながら…
『クリスマスなのに…』
と小さな声で呟いた。
暫くトイレに閉じこもっていると…
『コンコン…』
カズハ…❓
一輝が来た…
私は急いで涙を拭き両手で思いっきり目の部分を仰いだ。
ごめん。ちょっとお腹冷えたみたいで…。今行くから。
そう…❓大丈夫ならいいけど…。
私は少し時間をおいてからトイレを出た…。
すると……
トイレの外に一輝がいた………。
やっぱり…。カズハ…泣いてたの…❓
…………
一輝は無言の私を抱き寄せて昔のように頭を撫でた……。
涙が出そうになるのを必死で堪えたが………溢れ出す感情には勝てなくて…一輝に抱き締められながら泣いてしまった……。
ごめん…。ちょっと…我慢できなくなった…。曾祖母ちゃん1人待たせるの可哀想だから…行こう…。
私は一輝から静かに離れ…思いっきり冷たい水で顔を洗い流し、曾祖母ちゃんの元へ戻った。
『曾祖母ちゃんには…心配はかけられない…』
曾祖母ちゃんの前では終始笑顔で振る舞った。
一輝も…私の気持ちをわかってくれているかのように…曾祖母ちゃんの前では笑顔でいてくれた…。
曾祖母ちゃんと一輝と私…3人でクリスマスツリーをバックに写真を撮って、料理を食べ、ケーキを食べた。
一輝は曾祖母ちゃんにプレゼントを用意してくれていた。
プレゼントは綺麗なレースがついたピンクのネグリジェだった。
お姫様が着るお洋服みたいだねぇ☺
と言い、曾祖母ちゃんは終始笑顔で本当に楽しそうだった。
夜も遅くなり…曾祖母ちゃんは一輝に貰ったネグリジェを着て眠りについた。
曾祖母ちゃんを起こさないように…静かに部屋を出てリビングへ戻った…。
『一輝に…話さなければ…』
リビングに近づくにつれて…私の表情は一気になくなっていった…。
リビングへ入ると…
一輝がシャンパンを用意してくれていて…2人で乾杯をした…。
そして…
私にプレゼントを渡した…。
プレゼントは…2つ折りの綺麗な写真立てで…写真立てを開けると片面は硝子張りになっていてお菓子の家と小さなサンタ、スノーマン、ジンジャーマンがいて…水が入っていて写真立てを降ると雪が降るようになっていた。
それと…
音楽が鳴った…。
写真立ての電子オルゴールになっていた。
音楽は…
さっき聞いた曲…
『戦場のメリークリスマス』
だった…。
…綺麗……ありがとう…。
私は写真立てを見つめながら…心の中は…悲しみで一杯になっていた…。
それは…嬉しい…と感じることが出来ない自分に悲しくなってしまったんだと思う…。
暫く…写真立てを見つめていた私に一輝が静かに話しをしてきた…。
カズハ…もう1つ…プレゼントがあるんだ。
一輝はそう言い白い小さなケースを出した…。
ケースを開けると…
綺麗な指輪が1つ入っていた…。
カズハが高校卒業したら…18才になったら…俺と結婚して欲しい。カズハと離れ離れなのは…耐えられないんだ。俺についてきて欲しい…。
…『無理だ…こんなの…もう……私には無理……耐えられない』
私はコートも着ず…泣きながら…家を飛び出していた…。
そして…宛もなく必死に走った…。
『ハァハァハァハァ…』
息をきらしながらついたのは川沿いの土手だった…
そのまま1人川にそって力の入らない足でまた宛もなく歩き始めた…
川沿いを涙を流しながらフラフラ歩いていると…
カズハーっ‼カズハーっ‼
と一輝の声がした…
私は逃げた…。
必死になって走った…。
カズハ‼ちょっと待って‼ちょっと待ってって‼‼‼
一輝が叫びながら追ってくる……
来ないで‼ほっといて…‼‼‼
私も叫びながら必死に走った。
おい‼ちょっと待って‼待てってば‼‼‼
お願いだから…もうほっといて……‼‼‼
私も一輝も息を切らしながら走り続け…
待てつってんだろ‼‼‼
という叫び声と共に…一輝が私の腕を掴んだ…。
私は泣きながら一輝を突き飛ばし…
もう…終わり…もう………別れよう…
……と一言いった…。
それを聞いた一輝は…
なんで‼理由は⁉理由を言えよ‼‼
と怒鳴った…。
私が黙っていると…
訳が分かんねーよ‼ちゃんと…説明しろよ‼‼‼
といい私の両腕を力いっぱい掴み…私の体を激しく揺さぶった…。
私は…準備していた言葉を……一輝に言った………。
私…一輝のこと…本当は好きじゃなかった…。一輝と付き合ったのは……『お金』の為…。一輝がお金持ちだったから…だから付き合ったの。『お金』が欲しかったから…だから一輝と付き合って一輝とエッチした…。一輝のことなんて本当は好きなんかじゃない。………それに…今…一輝以外に2人付き合ってる人がいる。その2人も…お金くれるから付き合った…。お金くれたからエッチもした…。………一輝……だから…お願いだから…もう別れて…。もう…一輝は必要なくなったの…。
…………。
一輝は…何も話さなくなり……
周りは…びっくりするくらい静かで…川が流れる音だけが響いていた…。
沈黙が続く中…私は一輝を置いて…家に向かって歩き出した…。
『もう…終わった…』
一輝の横を通り過ぎた時…私の腕を掴み一輝が話しだした…。
カズハ…嘘つくなよ…なんでそんな嘘つくんだよ…
…ごめん…嘘じゃない…。
…っんなこと…いきなり言われて信じられるかよ…今までのことは全部嘘だったっつーのかよ❓
…うん…。
…俺とは…金目当てで付き合ったっつーのかよ…❓
………うん…。
また暫くの沈黙が続き……
その沈黙を破るかのように一輝が思いもかけなかった言葉を口にした…
…じゃぁ……金目当てでいいよ…。カズハが欲しいだけ金やるから。だから、俺と結婚しろ。
………
『何言ってんの……』
私はどう答えたらいいのか分からず…言葉を必死で探していた…
すると…また一輝が口を開いた…
金があればいいんだろ……。なら、金やるから。俺はお前とは別れる気はねーから。
そう投げ捨てるように吐き捨てて…一輝は私を置いて歩いて行った………。
一輝の表情も言葉も今までと違い…冷たく凍りついていた…。
一輝が見えなくなるまで…
私はずっと佇んでいた…
『何を考えたらいいのか分からない…』
…いや…私にはもう既に何も決めることも考えることも許されないんだ…。
『一輝にも…竜彦にも…弘和にも…私の気持ちなんてもう関係ないんだ…』
『私は…本当の人形になってしまった…。』
そんなことを考えながら…力のない足取りで家に向かって歩いた。
家が見え始めた時…一輝がタクシーに乗り込みどこかに走って行くのが見えた…。
『帰ったのか…』
そう思いながら家に入り…自分の部屋に真っ直ぐ行った。
部屋へつき、テーブルの横を見ると、一輝の荷物がそのまま置いてあった。
『帰ったんじゃないんだ…』
そう思いながらフラフラと玄関まで行き鍵だけを開けるとまた部屋へ戻り…
私はそのまま布団に倒れ込んだ…。
ゆさゆさと揺らされる感覚に気づき目を開けるといつの間にか一輝が帰ってきていた…。
ごめん…。寝ちゃってたみたい…。
そう言う私を悲しそうに見つめながら…
一輝は私に札束を差し出した………
……何………❓…
金…欲しいんだろ…。
…いや…いらないよ………
金‼欲しいんだろ‼
…………
一輝はそう叫び無言の私に札束を投げつけた………。。。
一輝……
一輝は私の声を無視し…私を布団に押し倒し…押さえつけた…。
一輝…やめて‼
一輝は…
『金やっただろ』
そう一言…冷たく言い放ち…私の上に覆い被さってきた……。
こんなの…やだよ‼
泣いて訴える私を力尽くで押さえつけ、一輝は私の体を求めた…
涙が…
止まらない…
一輝は…言葉とは逆に…優しく私の体を抱いた…。
時折……
凄く悲しい顔をして…私の涙を自分の手で拭いながら………。
全て終わった後……
ごめん……
そう言い、服を着て…一輝は部屋を出て行った…。
『襲うなら…お金で私を買うなら…最後まで優しくなんてしてほしくなかった……』
私は布団に倒れ込んだまま…ずっと涙を流し続けた…。
この日も…
一輝は私の中で果てた…。
私は…自分の体を…全てを洗い流したくて涙を流しながらシャワーを浴びた…。
シャワーを浴びながら…暫くしゃがみ込んでしまい動けなくなった…。
『一輝をあんな風にしたのは…私のせい…また…自業自得…』
いくら失敗すれば…いくら自業自得だと自分を責め続ければいいんだろう…
『自分がすること…考えることは全て裏目に出る…』
私…子供の頃から全然変わってないじゃん…
私は涙を流しながら呟いた…。
なんとか
立ち上がり…
体を洗い流し、風呂場を出た…。
一輝はまだ部屋にはいなくて、少し気になりリビングへ行った。
リビングの戸を少し開けた時…
頭を抱え込んで肩を震わせている一輝の背中が見えた………。
初めて一輝に抱き締められた時…あんなに大きいと思っていた背中は小さく…小さく見えた…。
『一輝………ごめんね…』
一輝の姿を見ていると悲しくて辛くて…また涙が流れた。
私は…一輝には声をかけることなく部屋に戻り
…布団に横になった…。
だるい……
体のだるさと寒さを感じながら眠りについた…。
朝…目を覚ますと、札束や荒れた部屋は綺麗に片付けられていて…
私の横で一輝が座ったまま…私の手を握り締めて寝ていた…。
私のおでこには冷たいタオルが乗っていた。
一輝…❓一輝❓
私の呼ぶ声に気づき一輝が目を覚ました…。
カズハ…具合…どう❓
…私…どうしたの❓
昨日、部屋に戻ったらカズハの様子がおかしくて、カズハ触ったらめちゃめちゃ熱くて。熱計ったら39℃近く熱あって慌てたよ。
一輝はそう言い私のほっぺに手を当てて優しく微笑んだ。
そして…私にキスをした…。
一輝はキスをした後、少し恥ずかしそうにしながら
ちょっと水変えてくる。おばあちゃんがご飯作ってくれてるから…ご飯も持ってくる。
そう言い部屋を出て行った。
『ずっと…看病してくれてたんだ……』
また…私の頬を涙がゆっくりと流れ落ちていった…。
……純粋な嬉し涙だった……。
この日、一輝とは昨日のことは一言も話すことはなく…
一輝は私の看病をしながら私のことをずっと優しい顔で見つめていた。
この夜、一輝と手を繋ぎながら眠りについた。
…遠い昔…
『一輝は家族同様…何をされても信じるだろう…』
と思ったことがあった…。
それだけは間違いではなかった…。
私達…2人の関係は『恋人』ではなく、なんの名称も付かなくなってしまったけど、私も一輝もそれで良かった。
『恋人』じゃなくても
『家族』じゃなくても
『友達』じゃなくても
大切には変わりない。
男と女の関係ってすんなり割り切れる程簡単ではない。
今まで…色んな出来事があった…
そんな思い出話を一輝としながら眠りについた…
私と一輝は次の日から別々の道を歩き始めた…。
また…いつか会うことを約束して、一輝は私の頭をいつものように撫でて…手を振って帰って行った…。
一輝が帰ってからはまた…曾祖母ちゃんと2人…平和で幸せな日々が流れた…。
大晦日は父、母、姉、妹も来てお節料理や年越しそばを食べ…
除夜の鐘の音を聞き…
元旦は…曾祖母ちゃんを連れて初詣に行った。
私は破魔矢や長寿の御守りを買いまくって曾祖母ちゃんに渡した。
曾祖母ちゃんもみんなも
『買いすぎだよ』
と言い笑っていた。
この時…この年のお正月が
『最後のお正月』
になるとは考えもしなかった…。
お正月が過ぎ…冬休みが明ける少し前…
曾祖母ちゃんは発作を起こし…救急車で病院に運ばれた…。
曾祖母ちゃんはこのまま…また暫く家には帰って来れなくなった…。
発作や痛みが酷く…
曾祖母ちゃんは昏睡状態のまま時が過ぎていった。
目が覚めても小さな曾祖母ちゃんの体中を痛みが襲い…
その痛みを抑える為…モルヒネを使った…
そのせいか………曾祖母ちゃんの記憶は曖昧になり…
私が会いに行っても…私が誰かも分からなくなっていった………。
私からはまた笑顔がなくなり、学校にも行かず自分の部屋に引きこもるようになっていった…。
竜彦や弘和にも会わず…誰の連絡も出ず…次第にご飯も食べなくなり一日中寝ているようになっていった。
そんな私を心配し、母が何度か家にきてご飯を作ってくれたりした。
そして…
曾祖母ちゃんはカズハのこと一番好きなんだからお見舞いに行ってあげて。
と毎回話してきた。
…私は正直…行きたくなかった…。
苦しんでる曾祖母ちゃんを見てるのが辛かったし…何より曾祖母ちゃんが曾祖母ちゃんじゃなくなっていくようで…ショックを受けていたし怖かった…。
分かった…。
そう毎回言いながらもお見舞いには行かない日々が流れた。
2月に入ってからは体調が悪くなり、ご飯も受け付けなくなっていき…トイレに駆け込み吐く日々が続いた…。
3月に入っても体調は悪いままで…寧ろ悪くなっていた。
フラフラになりながらお風呂に入っていた時…
今までにない激痛が体中に走り…私はお風呂場で倒れ込んだ…。
痛みが襲う度に激しく嘔吐した…。
痛みには波があり…痛みが収まっているうちに這うようにお風呂から出て布団へ向かいタオルを巻きつけたまま…倒れ込んだ…。
また…激痛が何度も襲い…私は暴れ狂った…。
何度目かの激痛で…私は気を失ってしまった…。
目を覚ました時には激痛は収まっていた…。
ボーっとしながら体を起こすと………
足元が濡れていて…………冷たかった…………
足元に目をやると………
布団には大量の血が流れ…血塗れになっていた……。
その状態を把握出来ずにいると…また吐き気が襲い…フラフラとトイレへ向かった…。
トイレへ行き便座へ吐き…何かが出る感覚に襲われて便座へ座った…
すると…
『ドボっ』と生理のように何かが出る感覚があった………。
恐る恐る見てみると………
小さな血の塊のようなものが落ちていた………。
『…病院に行かなきゃ…』
自分では何が何だか分からず…夢の中にいるような感覚にいた。
そんな感覚の中、着替えて体についた血を綺麗に拭き夜用のナプキンをズラして2枚貼り、タクシーで病院へ向かった……。
産婦人科での検査が終わり、先生に呼ばれて診察室へ入った。
先生が私に告げたのは…耳を疑うような事実だった…
「検査の結果ですが…流産したのだと思われます。」
『流産』…?
「今日、トイレへ行った時に出た血の塊のような物は恐らく赤ちゃんの入っている胎嚢と言われる袋でしょう…。」
先生にそう言われた時、夢の様な感覚から…現実に引き戻され…
涙が止まらなくなった…
『あれは…あれ…は……赤ちゃんだった…………』
私は顔を覆ったまま…何も話せなくなってしまった………。
「大丈夫ですか…❓」
その先生の言葉にも答えることが出来なくなってしまっていた…。
そんな私を気遣うように…先生が話しを進めた…。
「まだ…子宮の中に残っているものがあるから、次の赤ちゃんの為にも綺麗に出しましょう。」
そう言い…『流産手術』の説明を始めた…。
同意書と手術の説明が書かれた紙を貰い…手術は明後日の朝になった。
手術時間は短く、午前中入院のみで帰れるということと保険が使える為、手術費用は2万円程だということを言われ…この日の診察は終わった………。
私は…駅までゆっくり歩きながら色々考えた…
『一輝に話そうか…裕子に頼ろうか…母や父に話そうか…』
…その結果…
誰にも言わないで…私だけの中に閉まっておくことにした…。
同意書のサインは私以外にもう1人のサインが必要…。
私は……一輝ではなく……父の名前を記載した。
『病院には…誰が父親か分からないことにしよう……』
手術日当日…サインについて何か聞かれないか内心ドキドキしていたが……
先生からは…何も言われなかった…。
麻酔をされ…数を数えながら…意識はなくなり………
気付いた時には病院のベットに寝ていた…。
『終わったんだ…』
そう思った瞬間…涙が溢れ出てきた…。
手術が終わった後、簡単に診察をし、子宮収縮剤と感染予防の為の抗生物質を貰い、また…1人家に帰った…。
布団はまだあの時のまま…血が黒っぽく染みのようになっていた…。
手術の日から…一週間後…
私は布団を買い替えた。
布団を買い替えると……私は曾祖母ちゃんのお見舞いに行く準備を始めた…。
目の前で命が亡くなるのを見て…
『曾祖母ちゃんは…生きてる…今沢山会っておかなければ…きっと後悔する…』
そう思ったからだった。
『『私は…まだこの世に生まれでてもいない小さな小さな命に教えられた…』』
これまで荒んでいた私は、私と一輝の赤ちゃんに救われ…赤ちゃんのおかげで強くなれた…。
私は…小さな小さな命に心から感謝した…。
🐚皆様へ🐚
第2章を最後まで読んで頂きありがとうございました。
続きは
Butterfly's memoir~第3章 命形~
に綴っていきたいと思います。
第3章は題名の通り…
『命』
について深く考えさせられる出来事が多々ある章になります。
悲しい命や嬉しい命…色々な『命』を見ていきます。
どうぞ、最後まで読んで頂きたいと思っておりますので、今後ともどうぞ宜しくお願いします。
第3章からは🐚はじめに…🐚
の挨拶は省かせていただきたいと思います🙇
どうぞ宜しくお願いします🐚
🐚Ageha↔松岡一葉🐚
🐚追記🐚
『Butterfly's memoir』
を読んで頂き有難うございます🙇🐚
この章についてですが…綴り漏れがございました🙇🐚
この章では、『竜彦と弘和』と言う2人の男性が出てきますが、話しの内容以上に約一年間で2人共ボロボロになる程…金銭を要求・授受してきました…。
『第3章~命形~』
にも…後程この2人の男性は登場することになります…。
『豪欲』が招いた『最悪の結果』になってしまったと…思います。
今後も
『第3章~命形~』
に綴っていきたいと思います。
どうぞ宜しくお願い致します🙇🐚
🐚お知らせです🐚
こんばんは🙇🐚
『Butterfly's memoir』
を読んで頂き有り難うございます🙇🐚
新たな小説として、
『木蘭の涙~love is put from{Ageha}.~』
を更新し始めました🙇🐚
鳳蝶と鳳蝶の母の日記を元にした物語になります。
鳳蝶の日記の詳細はこちらの
『木蘭の涙…』
より物語形式でお伝えして行くことにしました。
『Butterfly's memoir』と合わせて是非御覧になってみて下さい🙇🐚
どうぞ宜しくお願い致します🙇🐚
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