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糸使いと異能マンションの住民たち

No.10 17/04/27 01:36
小説大好き10
あ+あ-

糸乃とシルヴィアがそれぞれの部屋でお茶やお菓子の準備を始めている間、樹、騎士、イルラの三人は壊れたテーブルやイスをエレベーターに乗せていた。
「これも、十六階行きだな。」
「そのうち十六階も埋まるんじゃないのか?」
樹が息を切らして大きなテーブルを運びながら呟き、それに、イスであった残骸を複数持ったイルラが答える。
十六階は床の白いタイルがむき出しであり、高級そうな赤いカーペットが敷いてある十五階とは大違いだ。その上なぜか窓が一つもなく、物置としか使われていない。
今までにも、壊された家具たちはここに隠蔽(いんぺい)されている。
汗水垂らして仕事を進める三人の傍らで、大蛇が口の中からどんどんテーブルやイス、ソファーに座布団、テレビまでも吐き出していく。そしてそれをゴブリンがきれいに配置する。
大蛇の腹の中には胃へ繋がる食道のほかに、亜空間へと繋がる道があり、そこに様々な物をため込んでいる、らしい。
なぜ、一体どこから持ってきた物をため込んでいるのかは謎だ。
そして、何度も経験しているためにやたらと手際の良い証拠の隠滅も終わりに近づき、仕上げに大蛇がなぜかゲーム機を吐き出した時、機械音の呼び鈴が鳴った。
その場に居た全員が固まる。
到着はきっかり三十分後だったはずだ。あの騒動の中でも無事だった時計を見てみれば、まだ十五分しか経っていない。
【これは予想外です。大方、若葉 満 様の能力でも使ったのでしょう。お二方が到着されたようですね。ただいまこちらにご案内しております。準備はよろしいでしょうか?】
サージュの音声に、ハッと我に返った男どもはお互いに身なりを確認した。
「何とかお茶とお菓子が間に合ったわね~。」
いつの間に居たのか、シルヴィアが明るく言いながら新しく配置された机の上に用意してきたお茶とお菓子を並べていた。その後ろには制服から私服に着替えた糸乃が立っている。
「こんなに慌てて来たってことからして、嫌な予感しかしないんだけどね。」
「その通り!さすがは我が娘だ。勘が鋭いな。」
ぼそりと糸乃が呟いた言葉の直後に、音もなく突然現れたのは三十代の二人の男だった。黒いスーツを着込んだ男はこちらを見てニコニコと笑っているが、もう片方の白いスーツを着ている男は口元を抑えて気分が悪そうにしている。
「こんにちは・・・?」
糸乃は疑問に思い、首を傾げながら挨拶をした。

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