Blue Spring

リュウの好きなところ？

そんなのいっぱいあるに決まってる。

例えば？

笑った顔。

照れた横顔。

心配性なところも。

全部、全部好き。

秘密だよ？

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ユキの好きなところ？

責任感が強くて。

子供好きで。

絶対に他人を嫌いにならないところ。

簡単に言えば全部好きなんだけど。

秘密、な？

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「ユキってさリュウのこと好きなんやろ？」

「は？」

ユキのノートを写す手が一瞬、止まった。

また何事も無かったかのように動き出したけれど。

「隠すなや。多分知らないの本人だけやって」

関西色の強いクラスメイト・ユウはそう言いながらユキの肩をバシバシと叩く。

「で？どうなん？」

Yes.しか許さなさそうなユウに負けユキは口を割った。

「…そうだよ」

するとユウはニカッと笑いユキの髪を乱暴に撫でた。

「そうかそうか！」

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「リュウ先輩ってユキさんのこと好きなんですよね？」

リュウは後輩・マオの突然の質問に飲んでいた水を勢いよく吹き出した。

「マオ！？」

「違うんですか？」

タオルを渡しながら当然のように問うマオから視線を外しリュウは空を見上げる。

「違う訳、ないだろ」

２人の間を冷たい風が吹き抜ける。

「好きだよ。そんなこと当たり前だ」

そう言うとマオは嬉しそうに笑い上下に何度も首を振った。

「そうですよね」

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ユキside

「ユウ。俺、帰る」

立ち上がりそう告げた俺にユウは少し驚いたようだ。

「なんで？」

「ユキ、帰るぞ」

ユウの声を遮るようにリュウが俺を呼んだ。

なんで？

そんな疑問を抱きつつ俺は嫌そうな顔を作った。

「は？お前と帰る約束なんてしてない」

「態度違いすぎ。親父の前でもそれでいれば？」

リュウのバカ。

本当は毎日でも一緒に帰りたいだよ？

「やだ。困る」

リュウの家に行けなくなったらリュウに会えなくなる。

「…。今日教室なら休みにしたから」

「勝手に決めんな」

あー可愛くないな、俺。

「親父が決めた。食事会だってさ」

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リュウside

「「結婚！？」」

あっユキとハモった。

じゃなくて。

え？親父とカナさんが結婚？

それはユキと俺が兄弟になるってこと？

「無理ッ!!」

近親相姦じゃん。

「どうして？リュウもカナさんは好きだろう？」

そりゃ好きですよ。

母親みたいなもんだし。

でも…

「ダメ。困る」

俺より先にそれを拒んだのはユキだった。

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ユキside

カナメさんは好き。

リュウも好き。

でも隠し通す自信はない。

そもそもリュウが嫌がってる。

「ダメ。ごめんなさい」

「ユキ…」

大人たちの表情に耐えれなかった俺はすぐに謝った。

リュウが驚いたように名前を呼ぶ。

「リュウは？」

俺がそう聞くと分からないとでも言うように首を傾げた。

「結婚自体も反対？」

「え。ユキは何に反対してるんだよ」

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意味がわからない。

ユキは結婚には反対していないのか？

大嫌いなヤツが家族でもいいのか？

「俺、結婚には賛成」

は？

親父もカナさんも唖然としている。

そりゃそうだろう。

「幼稚園のとき、父親がいないって言えなくて、カナメさんを父親だって言ったことある」

そういえばそんなこと言ってたな。

「リュウもカナちゃんを母親だって言った」

バラしやがったな。

秘密だったのに。

「お似合いだと思うよ」

それは俺も思う。

じゃあなにが嫌なんだ？

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