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自由と鳥かご

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匿名さん
23/03/18 22:26(更新日時)

「自由と鳥かご」

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No.3756651 23/03/18 22:22(スレ作成日時)

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No.1 23/03/18 22:26
匿名さん0 


「自由と鳥かご」



これはある男子高校生が体験した。
不思議な出来事、それを本人が
記憶を頼りに書き記したものである。



「なんと無機質な景色だろうか」
突拍子もなく、ただ、そう感じた
3月、卒業目前といった時期。
桜は美しい桃色に、草木は深緑に染まり
生気を強く香らせる。大人になりきれない学生がよくわからない都市伝説を楽しげに語り合い、学校の七不思議だなんてはしゃいでいた。そんな日の高校。
だが、この教室からは一切、
生気というものを感じられなかった。
いざ授業が始まれば、
みな同じように並んだ椅子に座り
同じように視線を下に落とす。
薄汚れた空調の稼働音が教室に響き、
教師の物を語る声のみが
強調されて聞こえた。
生徒はまるで並べられた人形のようで、
生き物が本来持つはずの、強さや美しさ
自由というものを感じられなかった。
私はそんな様子に憤りを感じていた。
もっと人間は、いや元来生き物というのはもっと活動的で、自由で、走り回る子供のような「動き」を表現しながら死にゆくものなのだ。こんな無機物のような様相は人間として破綻している。今の現代社会は我々人間という生き物を歯車として鳥かごのなかに幽閉しているのだ。
澱む思想とムカムカと沸き上がってくる
怒りに、私は迷いなく手を上げた
「先生」

私はトイレへ向かった。

後に考えると、私の日常が狂ってしまったのは私がトイレへ向かったからであろうと感じざるを得ない。例えそれが、世の摂理によって引き起こされた確定的な出来事であったとしても。


No.2 23/03/18 22:26
匿名さん0 

どうすべきか、少しの間考えた。
その結果、
私は退屈にならないであろう
選択肢を選んだ。
女が私の手を握り、窓から外へ飛び立った
翼は女と私を軽々持ち上げ、数秒の間に
地上20メートルはあろうかと
言う高さに登った。
普通は高さに怖じ気づいたり、目をつむるところであろうが、私は心底興奮していた
退屈な日常から抜け出し、
いま私は空を舞っている。
あれだけ高く感じていた校舎を
見下ろしている。
その事実が私を強い幸福へと導いた。

それから私は女と共に多くの場所を回った
山に向かって、麓の湖へ、そこから少し下って海岸線へ。気の向くままに飛び回った

私たちが海岸線で海を眺めていた頃
もう日は傾いていた。
女がなんの脈絡もなく話し始めた。
「ねぇ、自由ってどんなことだと思う?」
「そりゃあ、今日みたいに気の向くままに
 行動することじゃないですか?」
「私ね、全てを許されること、つまり、
 ある種の完璧な自由って言うものは
 逆に人を縛り付けてしまうと思うの。
 あなたは自由になった。その結果
 いろんな場所を回った。
 でもそれは自由になれたことによって
 生まれた使命感みたいなもの
 なんじゃないかと思うんだ。
 あなたがもし一生自由になったとしても
 出来ることをやり尽くして、結果怠惰に
 なって、自らを不自由にしてしまう。
 今日私確信したの。人生って
 自由のために頑張ってるんじゃなくて
 不自由を楽しむことで
 成り立ってるんだって。」
女は何かを諭すような口調で語った。
その内容から私は1つのことを解釈した。
そしてそれは、女がほんの数秒後に語る、
結論と全く同じものであった。
「生きること事態が不自由を
 前提にした事柄なら、
 結論、本当の自由って、
 死によってもたらされるもの
 なんじゃないかな」
自らの解釈と似通った結論に
関心した自分を自覚し、観測したその瞬間

私の意識は途切れた。

No.3 23/03/18 22:26
匿名さん0 

それは私が疲れからくる眠気に耐えられなかったからでも、潮風に脳をやられたからでもない。
というか、私は潮風に当たっていないし、
疲れてもいない。そもそも、
海岸なんかに行ってもいなかった。

私はトイレから飛び立った。それは
ある意味正しく、そしてある意味では
間違っていた。
飛んだ瞬間、私を支えているものなんて
何一つなかったのだ。
翼を持った女もある意味では存在していて
ある意味では存在していなかった。


結論から言おう。
私はトイレの窓から落下し、病院へ運ばれ、入院した。
私は意識を取り戻してから、多くの人間に話を聞いた。その結果、私が女と空を飛び、海岸で話をしたのは、夢。もしくは
幻覚に近いものである。そう理解した。
だが私は納得しなかった。
多くの人間に話をした。美しい翼を持った女と出合ったこと、
そして共に自由の末端を味わったこと、
あそこまで大きな翼を広げていたのだから誰か見ているものだと思っていたが、
全ての人間がそんなものは見ていないと
口を揃えて答えた。

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