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人と心。

レス0 HIT数 274 あ+ あ-

小説好きさん
22/04/02 00:20(更新日時)

「私の心が見付かるまで、あなたの側に居させてください。」

そう言った少女の胸の真ん中は黒い穴が空いていた。

少女にそれ(心)をどこで失くしたか尋ねると
「分からない。だけど突然、涙が出てきて……、何も考えられなくなってしまったの。」


心を失った少女の表情は乏しく、人としての在るべき姿とは遠くかけ離れていた。



人は生きていく日々の中で、小さな傷を積み重ねていく。

それが段々と大きくなって、深みを増し修復不可能となった時、心は脳に信号を送りはじめる。

そして日常生活で支障を来し、すり減った心に人は漸く気が付くことになる。

気が付いた時は、既に遅し。

少女の様に心を失ったヒトは、私のもとを訪れ再び以前の自分を取り戻せることを願う。


健全な人のもとを去った心は新たな住所を探し、この溜まり場へと集まってくる。

そう、私は居場所を失った心たちの溜まり場。
訪れるヒトの願いを聞き、その者たちに合う心を見付ける。


ヒトは失った心を取り戻せたとしても、健全だった頃に戻れる訳ではない。

何故なら、こうして彷徨っている心の全ては、一度人のもとを離れ、一部が欠けているからだ。


少女を気に入り、少女の中に入り込んだ心は新たな居住とし、少女とこれからの人生を作っていく。

心として、人の中で
在るべき姿となって。


長い間、人としての心を失っていた少女は久しぶりの温かみに涙を流した。

両手で心を包み込むように優しく。

そして、再び笑顔を取り戻した。


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No.3510292 22/04/02 00:20(スレ作成日時)

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