注目の話題
ディズニーの写真見せたら
妻の過去について
☆ダブル不倫15☆

《ニワカ探偵事務所》

レス175 HIT数 38500 あ+ あ-

クロス( ♀ gAVFh )
13/02/28 05:09(更新日時)




『不倫 浮気調査。


DV 虐待 相談可。


人間 ペット捜索。 


盗聴 ストーカー。





その他のトラブル

お任せください!! 





  ニワカ探偵事務所』






ヤツの目を盗んでの
更新になります(笑)💦


ゆっくりには なりますが また おつき合いいただけると 嬉しいです🍀🍀🍀✨✨✨✨✨




No.1723139 11/12/23 06:08(スレ作成日時)

投稿順
新着順
主のみ
付箋

No.1 11/12/23 06:13
クロス ( ♀ gAVFh )



 《ニワカ探偵事務所》








「相原っ!



… コーヒー 」

「はいっ!!」



時間は 午後3時


とある地方都市のオフィス街…



から 若干離れた
うす汚れたビルの4階


ドアプレートには

【ニワカ探偵事務所】


と 達筆な文字。
(手書きかよ…)



「二羽加さん…」

「あのさ 相原…」


「はい?」


今日も 相原は

自分の言いたい事を遮られる。


「私には 望って可愛らしい名前が あんだよ(怒)」

「はい…」


「下の名前で呼べって

何度言ったら わかる!?」


二羽加望 35歳。



もちろん この事務所の主だ。


「あっ!!💦」

「なんだ これ~…」

口に含んだコーヒーを
そのまま 垂れ流す 望。


「だから💦 俺 今

砂糖きらしててって 言おうとしてたのに(泣)(泣)」


相原マコト 28歳。

叱られたいが為なのか 望の下で働き出して 1年半の ちょっぴりMな いい男…



「相原… 」

「は、はい…」


「何 入れた?」


ハンカチは 持たない主義の望が 机の上のティッシュを わさわさと取り出し 口のまわりをゴシゴシ 拭いながら話す …




「チョコレート…」



「1回 死んでみろ」


「二羽加さ…」


半分濡れて ダンゴになった ティッシュが 相原の顔面に 飛んだ。






「望さ~ん(泣)(泣)💦」



No.2 11/12/23 06:18
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 1

「あんま いじめんな~(笑)

望~(笑)(笑)」


「いじめちゃいません。

教育です…」



この事務所を 望の亡き夫が 立ち上げた頃からの敏腕探偵。 郷弘道 42歳。


彼は 病院や銀行で 名前を呼ばれることを 極端に嫌う。



「ふ~っ… !

重い 重い… 」


スーパーの袋を抱えて 帰って来たのは もうすぐ還暦の 田端ミヨ子…


「お母ちゃん 遅いよ~(泣)」


通称 お母ちゃん。


「ダイエー 安くてさ(笑)


… って なんで泣いてんだい?

相原君 」



「お砂糖のかわりに チョコレート コーヒーに入れて 望さんに叱られたんですよ(笑)」



笑ってる場合じゃない。

このメンバーの中で 本来 お茶をいれるべきなのは キミだよ。 ノマ点2つの 佐々木凛々香 24歳。



「わっはっは(笑)(笑)

あら💦 砂糖買って来んの
忘れたよ ワタシ」


「お母ちゃん… 」


大袈裟に 天をあおぐ望…



「望ちゃんは ほんと甘党だな


なのに 太んないのは どういうわけなんだろね(怒)(怒)」



ありがちな 怒り方をするミヨ子は もちろん ふくよかだ…





トントン。





「お客さん… 」


凛々香が 立ち上がる。








「昨日 お電話しました

大野と申します… 」





「大野 美咲さんですね(笑)


こちらに どうぞ…」








望の顔つきが 変わった…



No.3 11/12/23 06:23
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 2

「初めまして 二羽加です…」

名刺を差し出す。


まさか 初めての相手に
『望です』と言うわけにもいかない望は その名の通りの ニワカ探偵…


夫が亡くなるまでは 専業主婦だった彼女が この仕事に就いて 1年半。



要するに…


相原と 一緒かよ。




「お電話で だいたいは うかがいましたが… 」

デリケートな話しだ。

望は 細心の注意をはらう。



「もう1度…


話してもらっても

いいかな~(笑)(笑)!?」


手を突き上げてみたが

大野美咲は もちろん




『いいとも~(笑)!!』


とは言わない。







ひとつ 咳ばらいをしてから
続けた…



「話していただけますか?」



「(笑)二羽加さんって

面白い方ですね…」



望は これを待っていた。
(ほんとかよ…)



「スラっとして キリっとしてらっしゃるから(笑)

勝手に クールな方かと
思ってました(笑)(笑)」


「基本 クールです…」


急に 恥ずかしくなったようだ…



タイミングよく

凛々香が お茶を運んできた。


「大野さん 女性らしくて すごく お綺麗な方ですね!」

日本茶を(砂糖ね~からね)出しながら 凛々香が さりげなく 依頼人の心のケアをする。




とかく パートナーの 不倫を疑う女性は 自分に自信をなくしている事が 多いからだ…



「とんでもないですよ(笑)
私なんか…

… 」






大野の闇も深そうだと

彼女の ふせた睫毛の震えで悟る望は もう1度 我が身を


かたく引き締めた。




No.4 11/12/23 06:29
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 3

「うっわ~! なにこれ!?」

人さまの ご亭主をつかまえて 『なにこれ!?』とは あの人ばりの 傍若無人さだ。


「凛々ちゃん!」

望が たしなめたが 彼女も内心『なにコイツ!?💦 カッコよすぎじゃね!?💦』と思ったのは事実。


お茶をのせて来た トレイを胸に抱えたまま 凛々香は 大野がバッグから取り出した

対象者『大野達也』
の写真に 見入っている。



「凛々ちゃん…


シっ シっ … 」


望が 手のこうで 凛々香を 払いのけるしぐさをする…



「あ… ああ…


(笑)ごゆっくり…」



喫茶店じゃね~よ。




「率直に お聞きしますが…」

凛々香の退室(とは言え、カーテンの仕切りのみだが)を待ってから

望が ソファーで身を乗り出す…



「最終的に 大野さんは 離婚を お考えですか?」


「いいえ 」


答えが早いな と

望は感じた。


「では…?」


大野は いただきますと
お茶を 一口飲んでから言った…


「私には ある考えがあります… そのために 確信がほしいんです」



ある考えなるものが 非常に気になった望だが 依頼者に それを聞くのも はばかられるので



「わかりました」

と だけ答えた。




「あっ!!」


「な、なんですか!?💦💦」


「主人は 鈍感ですが

単純で乱暴な部分があります


くれぐれも…」


「あ(笑)…

任せて下さい。




プロが 尾行します…!!」



(あ~💦ビックリした(泣))





望の弱点。






実は こう見えて


誰よりも






気が小さいことである。



No.5 11/12/23 06:41
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 4

「あ… っ あなた… 」


照明をおとした

望の自宅の寝室。



「はぁ… そこ… っ」


激しく身悶える 望。



「… もっと… んっ…

はぁ… ぃ… いっ … っあ…」



左手が

シーツを強く握りしめる…



「はぁ… っ!! ん… あ!!

ぁあ… っ!!」



(… )





「なによ… 」


『に… 望さんっ!!

ちょっと
出て来てくださいよ~!!』



「あんた…


また酔っぱらってるね

相原…」



ベッドから スルリとぬけ出す



『い~から

出て来いよ(怒)!!』


(こいつ…)

「今

い~とこだったんだよ(怒)」


『テレビすか~(笑)?

寂しいな~(泣)望さん…』


( … )

「まぁ…

寂しいのは 寂しいけど…」


望は 空のベッドを

チラリと見やってから


キッチンに向かう。




『とにかく!!

来るまで 待ってるからな!』


「ちょっ… あい… 」




酒乱の相原の

電話は 切れた。






冷蔵庫から ミネラルウォーターを 取り出すと ペットボトルのまま ゴクゴクと飲み干す。



「はぁ~… 」



古い冷蔵庫が

ブーーン… という低い 唸りをあげる 静かな 空間。




少しばかり 乱暴に

冷蔵庫の扉をしめた望は



「しゃ~ないな…


行ってやるか… 」






と 素っ裸で つぶやいた。




No.6 11/12/23 06:47
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 5

「とにかく!!

来るまで待ってるからな!!」


相原は カウンターに 携帯を ガタンと放ると そのまま 頬をペタっと テーブルにくっつけ 突っ伏す…



「望さん…


来るって… ?」



(ふだん 喋んないくせに…)

「わかりませ~ん…」



「ちっ… 」


「ちっ っつった? 今!?

マスター
ちっつったよね!?(泣)」




「言ってませ~ん…」



大人げないぞ。マスター。



「携帯(笑)

転がって来てますよ~(笑)」


相原が 顔をあげると

いまどきのメイクの
激しい笑顔に ぶつかる



「ありがとう…」


「おひとりですか~(笑)?」


「違います…


和美ちゃん 梅酒!」



「… もう やめたら?」


「じゃあ あたし

ご馳走しますよ(笑)梅酒…」


「けっこうです…


和美ちゃん 早くっ!」



「ほんと 相原さんって

性格異常だわ…」


和美が ボソボソつぶやく。



「じゃあ どこか

別のとこ 行きません?」


しつこい女子である。



「この人 ゲイなんで

やめた方が いいですよ…」



和美が言うと




「そうよ~!私 女になんか 興味ないのよ! あっち行ってちょうだい(怒)シっシっ…!」


ノるのか。 相原…






「相原…


そうだったんだ… 」



「いらっしゃ~い


望さ~ん(笑)(笑)」









マスターの声が



遠くに聞こえた


相原だった…




No.7 11/12/23 06:59
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 6

「おまえ…


酒残り過ぎ 相原…

もう夜だぞ…」


「す、すいません…」




狭い車内で 郷が 顔をしかめる


「頭は しっかり

まわってんだろうな!」

「大丈夫ですっ!!!」


「声 でけ~っつの(怒)!」



相原の こめかみに
郷の軽い グーが 飛ぶ。


「痛っ!

こめかみは勘弁して下さいよ~


郷さ~ん(泣)(泣)💦」



「シっ…!


出て来た… 」




対象者 大野達也の勤務する 中古自動車販売『ロード』の前。


もちろん 道路を挟んだ向かい側… バス通りではあるが 一車線ずつの グリーンベルトもない道路なので 追跡は可能な場所である。






じゃあ

おっき~声出したって
聞こえね~じゃん。









「しかし いい男だよな~…」


「 … 」



「なんだよ 相原

なんか言えよ… 」




「郷さん


ゲイですか?」



さっきより 強いの炸裂。



「痛っ!!(泣)」




「俺には

女房も子供もいる(怒)!!」


「大きな声 出さないで下さい


郷さん… 」

「きさま~っ…!!」



じゃれてると

逃げられますよ…




「…走りました💦

走りましたって💦郷さん💦💦」



「よしっ 行くぞ…!」







厳しい顔つきになる 郷も


なかなかの





男前である。




No.8 11/12/23 07:41
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 7

「はいよ…


はい よろしく…」



仕事の電話は 手短にが
望のモットーだ。




「動いたんですか?

大野達也… 」


凛々香が

ゴクっと唾を飲む込む…




「凛々ちゃん…


もう8時だよ 全員集合…」


「何 言ってるんですか?

望さん…」



(キョトン顔ヤメロ(怒))
「もう あがってい~よ(笑)」



「え~💦💦

だって 気になる~💦💦」


「じゃあ

タイムカード押して」



金には シビアである。




「は~い…


お疲れさまでした~…」


帰んのかよ。







望は 机に座ると

クリアファイルから
大野の資料を 取り出す。


対象者の 行動パターンは 決まっていない。

空振りになる可能性が
大きい…




しかし…


と 望は思う。



空振ってくれるのなら

最後まで 空振って欲しい。



『白です』と

結果を報告出来たなら


どんなに いいか…



それでも 妻たちは

99%の確信を持って
ここへ来る。


たとえ

こちらの出した答えが
『白』でも
鵜呑みにする人間は 少ない。






プライベートの携帯の音が

ひとりきりの事務所に 響いた…






「(笑)どした? 美紀…」


『のぞみぃ…』



「なによ あんた

泣いてんの!?」



『助けて


望… … 』





No.9 11/12/23 14:08
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 8

「美紀さぁ…

とりあえず 落ち着きなよ…」

「落ちつけるわけ

ないじゃないっ!!」



望は かつての恋人

和馬と 顔を見合わせる。



「マジでさ~ 美紀…

俺 なんも やってねって…」


電話が来た直後 事務所を閉め 望は 美紀の自宅へとやって来た。



ここにも…


夫を信じられない

妻がいる。




「望 プロでしょ!?

今 ここで暴いてよ!!」


興奮している…

望は 口ごもり
また 和馬の顔を見る。



これは あくまでも プライベートだと 少なからず 和馬には わかってもらいたい 望。



望と和馬は

小学校時代からの 同級生。


美紀は 中2で転校して来た。

同じ女子校に 美紀と進学し 高3までは 間違いなく 望と和馬が つき合っていたはず…



だったのだが。



「美紀…

瑞穂ちゃん 寝てるんでしょ」


望には 子供はいないが
たくさんの依頼者達の 母親としての 心の深さには いつも頭が下がる思いがしていた。



母親は

子供で冷静さを 取り戻す。


望は

そう信じて疑わなかった。


「今 瑞穂は関係ない!!」



(あれれれ~(泣)💦)

「美紀…」


「ごめんな 望…」


「どうして 望に謝って あたしには 謝れないわけっ!?」


「だから!!

何を 謝んだよっ!?」



(まずい…

和馬まで興奮して来た)

「じゃあ とりあえず

その 怪しいメールとやらを


私に見せてよ 和馬…」




No.10 11/12/23 14:21
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 9

『昨日は ごちそうさまでしたO(≧∇≦)o❤❤❤

また誘ってくださいね❤❤❤』 






( … )


「美紀… あんた…」


「ねっ!!

酷いでしょ!?!?」



小さなアパート。

隣の部屋で 眠る我が子や 近隣住民への配慮など おかまいなしの 美紀の泣きっぷり。



望と 和馬は


またまた

目を見交わす事になる…



「会社の連中 5.6人で

飯食いに行った

だけなんだって……」



望は 和馬が なんだか哀れに思えてならなかった。


「美紀…


和馬のこと

信じてやりなよ…」


「和馬の味方すんの!?」


「じゃあ

どうすりゃいいんだよ!?」


「今日から 1ヶ月

和馬を見張って 望…!!」


(はぁ~~~???)

「ちょっ… 美紀 」



「馬鹿言うなよ おまえ!

望は 仕事してんだ!」



「お金は 払うわ…」



「……



くだらね~…」



和馬が とうとう



… あきれる。



「好きにしろよ…」







(あぁ…

和馬の この顔 大好き…)

望は とんちんかんな事を
考えていた。




「頼んだわよ 望…」





(カッコイイ…)

「え~…? うん… 」












大丈夫なのか。

この 探偵さん。




No.11 11/12/23 17:36
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 10

結婚して8年…


和馬は 今でも

妻の美紀の 気性の荒さに


慣れることは なかった…



「ね~(笑)

和馬は どうして あたしを
選んだの~?」


( … 急に 機嫌良くなんのは なんでなんだよ ちくしょう)
「 … 」


美紀が ケーキを テーブルに置きながら 和馬にたずねる。


「なんで ケーキあるなら

望が居るうちに出さねんだ?


あいつ

甘いもん好きなのに…」


美紀は 和馬を チラリと見てから ケーキに フォークを突き立てた…



「あたしの質問に

答えてからにしてくれる~?」


「 … 」



スラリと背が高く 髪も肩に届いたことがない 中性的で美しい望。

一方 美紀は 小さく肉感的 全身から女を 漂わせている。


内に秘めた気性も

まるで 真逆の2人…



「望じゃなく

あたしを選んだのは


なぜ…?」



(選んだ?

馬鹿を言うな…!)


和馬の中に

苦い記憶が よみがえる。




「答えられないなら

いいわ(笑)」


美紀は 大きな口をあけ

ケーキを 頬張ると



「その メールの女に

電話して 和馬…」





コーヒーの おかわりでも

店員に頼むような口ぶりで


当たり前のように


和馬に そう言った。





No.12 11/12/23 21:00
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 11

「今日は… 自宅

直帰みたいですね…」


大野の自宅から 数メートル離れた路肩に 駐車した車の助手席で 相原が 少しホっとして 息をもらす…



「あまいな…


相原 」


「まだ 張るんですか!?💦」


相原は

お腹が空いていた。



「あの手のタイプの男は

フットワークが軽いからな…」


郷の言葉に

絶望的な顔をする相原…


「あんパンと牛乳 買って…」

「いいから ジっとしてろ!」


どうしても 叱られたいらしい…



「郷さんは 浮気した事

ないんですか?」


背もたれに沈む 相原に やる気は まったく感じられない。



「 …


ないね 」

「今 少し

間~ あきましたよね(笑)!」

「楽しそうだな おまえ…」


「まったまた ごまかして~」




こいつも

給料泥棒らしい。




「浮気すんなら 最初から 結婚なんかしなきゃいいんだ…」


「深いですね~… 郷さん

女なら惚れます(笑)」



怒るかと思いきや



寂しげに微笑む 郷がいた。




「あっ…!」


相原が 小さく声をあげた。



「来たか?」


「来ました…



また 車に乗った… 」





郷が 不思議そうな顔で

発進の準備を ととのえる…




「大野は あんなポンコツ軽バンで 女に会いに 行くのか?」



No.13 11/12/23 22:27
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 12

蒸し暑い夜だった…



望は 何度となく 美紀に

冷房のスイッチを入れてくれと 言いそうになっていた。

そこに あるのに使わない。


もともとナイより 残酷だ…



慎ましやかな暮らしを しているなぁ と 望は 和馬を思う。

そして その暮らしに 不満ばかりもらす 美紀に 少しの嫌悪を つねづね感じていた…



愛してる人と 暮らせる。


それだけで

素晴らしい事なのにと



振り返り

美紀のアパートを見上げ


ため息を ついた。





(駐車場まで 少し遠いな…)

夜でも アスファルトの熱気が残る道を 足早に歩き出す 望…



振動とともに 電子音。

仕事用の 携帯だ



望の足がとまる


『参りましたよ… 望さん…』

「なんか あった!?」


望の心臓が

ドキンと 波打つ。





『腹減って 死にそうです…』


「 … 」




『痛ぇっ!! …





かせっ!!


もしもし 望? 』



「… あ、 あ~ 郷さん

お疲れさまです… 」




『今日は 空振った(笑)

今から 戻る… 』



「わかりました…

私も 1度 事務所戻ります 」


( … )

「相原のやろう(怒)

ビックリさせやがって(泣)」



ひとりごちる
ノミの心臓の背中を




アパートのベランダから

タバコの小さな灯が




ずっと


見つめていた。





No.14 11/12/24 01:18
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 13

「また さざんか~(泣)?」

「やなのかよ…」


望のボヤキに 和美が返す。


「やなのかよって言った!?

和美ちゃん 今(泣)…」
(怖い💦このコ💦)


「言ってませんよ(笑)」


「ツケききますからね(笑)

マスター(笑)(笑)」


「きかね~よ…」


相原のボケに

マスターが返す。

おまえにはな… と

心の中で つぶやきながら(笑)




「それにしても 彼の動きには

参った…」


下戸の郷が 烏龍茶を 一気飲みした後 大きく息を吐き出し 言った。


依頼人 対象者の名前を 外で口にするのは タブーだ。

もちろん

大野達也の話しである。


「どうしてですか?…

あら 和美ちゃん!
これ 美味しい(笑)!」


「この間 望さんに いただいたレシピで つくったんですよ(笑)」


小さく切った パウンドケーキを 嬉しそうな顔で頬張りながら 望が聞く。



「奇々怪々(笑) なっ!」





ふった 相原は

聞いてもいない…



「おまえ ケーキとか つくれんのかっ!? 俺にも つくって持って来いよ!望!!

それとも 俺が おまえんち
行くかっ(笑)!?
どうせ 寂しいんだろ(笑)?」











「あ~い~は~ら~(怒)!!」





No.15 11/12/24 03:52
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 14

「ただいま… 」

(っつったって 返事なんか しやしね~んだけどな…)


郷は 居間をチラリと見やると そのまま 風呂場へ向かおうとした。



「ご飯は?」

妻の香苗が ただの習慣で 声をかけてくる

「食って来たよ…」


「また 望さんと…?」

携帯から 目を離さずに。



「ん? ああ…

相原とな… 」



香苗が よけいな事を言って来ることなど 滅多にないので 郷は 少しばかり 妙な気がしていた。


「離婚しない?私達…」


「 … 」



妻に つき合っている男がいる事を 郷は2.3年前から 気づいていた…

プロの前で 浮気をするとは いい根性してるな と 郷は 妻を腹の中で 嘲笑って来たのだ。


不思議と… と言えばいいのか 残念ながらが適切なのか 彼の気持ちの中に 嫉妬が生まれることは なかった。



「(笑)なにを 今さら… 」



「私 本気なんだけど」



香苗が パタンと携帯を閉じる



「男と 一緒になりて~のか」

「な…っ!」


香苗の顔色が

みるみる変わってゆく。




(…こいつ 俺が気づいていないと 本気で思ってたのか?)

「俺も

見くびられたもんだな(笑)」



心の底から おかしくて

郷は 大声で笑う。




呆然とする香苗に

「風呂 入ってくる」




そう言って



風呂場に 向かった。




No.16 11/12/24 11:45
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 15

「ただいま…」


簡素な仏壇に 望は そっと手を合わせ 写真の夫 昌樹と見つめ合う。



写真とは 亡き者のためにあるのだと 望はいつも思っていた。


切り取られた時間

失った笑顔



これがなければ 自分の記憶から 愛し 愛されたぬくもりまで 消えてしまいそうな気がすると 望は 怯える…




「郷さんが てこずってるよ

昌樹さん(笑)」


そう話しかけて 微笑んでから 立ち上がる。






シャワーの音の中


考えるのは




和馬のこと…




美紀のアパートを出掛けに

彼女は 念をおして来た。



「本気か…」




どうかしていると 顔に思いきり シャワーを浴びて 望は首を振った。


(猜疑心の強い美紀のことだから きっと今までだって 和馬は こんな思いをして来てるんだろうな… )


けれど 望が ふに落ちないのは


プライドの高い彼女が

なぜ 友達の望に
それを話したか である。



(そんなに 切羽詰まった状況でもナイだろうが… と 思うのは 私だけかな?)




「気が重いな~…」










独り言の多い 望の携帯が


リビングで





彼女を 呼んでいた。




No.17 11/12/24 13:48
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 16

「もう!(怒)

あんた いい加減におしよ!」


「お母ちゃん

どした?」


さっきまで 穏やかに電話を受けていた ミヨ子が 突然 大声をあげた。


「かして」

と 手を出す望。


「もしもし

お電話代わりました…


代表の にわ…」

『助けて下さいよ~(泣)』

「どのよう…」

『換気扇の掃除しとかないと 妻に殴られるんですよ~(泣)』


「… それ」

『ワタシ 今から 急に仕事入っちゃって 今すぐ ウチ出なくちゃならないし~(泣)(泣)』


「 …


私どもに 何を?」

『掃除しに来てください』




( …


便利屋じゃねーぞ(怒))

「そういったことは…」

『トラブル お任せ下さいって

ここに書いてありますよ!!』



望は 大きなため息を

ひとつつくと

「では 奥さまからの暴力という事で お話しうかがいます。

1度 いらして下さい」



そう言って

受話器を 置いた。



「ごめんよ💦 望ちゃん…」


ミヨ子が恐縮する。


「なんで お母ちゃんが謝んの(笑) あれじゃ 怒鳴りたくなるって(笑)」

(世の中には いろんな人間が いるもんだ…)



「凛々ちゃ~ん

郷さんと 相原は~?」




「猫ちゃん捜索に

行ってま~す! …


やだっ(笑)! マジで~!?

うん… うんうん… へ~… 」










(おまえ捜索するぞ(怒))



ドアの外へと 消えた凛々香に


思いきり 中指を突き立てる

望だった。




No.18 11/12/24 14:28
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 17

「いてっ!!」

「離すな! バカ!!」



猫は 手強い…


この時期は 室内飼いのペットの脱走が 後を絶たない。


♀は そう遠くへは行かないのだが ♂は こちらの予想を はるかに越えた場所に居たりする。


どこの世界でも 本能に さほど変わりはないのだ…




なんとか ペット用の キャリーにおさめ 飼い主の元へ…



(ちょっと

可愛いコだったな…)


手の傷の痛みも忘れ ニヤニヤと部屋のチャイムを 鳴らす相原。




ガチャ。




「いましたよ(笑) 菅原さ…」



( … )



「お~(笑) ありがとう!!

なんだ 探偵さん
手 傷だらけじゃね~か💦


サヤカ~!!

絆創膏持って来~い!!」




( … やばいぞ(泣)💦)


「なんで 急に

下向いてんだ? … 」



「いや💦 その… 」


相原ピ~ンチ。



「あたし ゲイなんで あなた 裸だから 恥ずかしいのよ!」



「 … 」



「さっきの飼い主さん

呼んで来てちょうだい(泣)」



「 … あ?


あ~ …… 」




猫とともに 奥へ消えた

大野達也…






(あっぶね~(泣)(泣)💦💦

危うく 面ワレるとこだよ💦)




「探偵さ~ん…

ありがとうございます~…」




喜んでいるものの

目が笑っていない



飼い主であった。




No.19 11/12/24 21:44
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 18

「 … で


瀬戸内さん 」

「なんでしょう?」



(ソッコー来やがった…)

「奥さまが お留守の間に

換気扇の お掃除をしておけ…


と 」


望は 相手に気づかれぬよう

イライラと膝を指で叩く…


「その通りです(泣)」



( … )

「失礼ですが

奥さまは お勤めですか?」

「いいえ」

「では どちらへ?」



「リュウ君ママと… 」

「はあ?」



「あ💦 いや💦

ママ友と お茶しに… 」



( … )

望は とことん あきれはててしまった。 亭主に 掃除を頼んで 自分は お茶? しかも 出来ていなければ 暴力か… と。




「瀬戸内さんは 反論なさらなかったんですか?」


「言えば 蹴られますから…」



太った身体を 縮こませ

さらに丸くなる 瀬戸内…




「おつらいですね… 」


望は 膝を叩いていた指で ボールペンを持つと 今度はコツコツと 手元の用紙を 叩き出す…




「市で運営している DVの 無料相談日を お教えしましょう。 もちろん 紹介状は書きます…」


「そんな 大袈裟な(笑)」



瀬戸内が 急に笑い出す。


(はあ~~~(怒)?)

「大袈裟?」

「ワタシ 別に

悩んでませんので(笑)」

(イッラー(怒))

「じゃあ なぜ こちらに?」

「二羽加さん 来いって

言うから…」


望の名刺を見ながら 瀬戸内が ため息をつく。



(…)

「瀬戸内さん…



もうひとつだけ…

いいですか?」

「?はい 」





「この時間あったら

掃除出来ただろ~が(怒)!?」



(ハっ…)




「…



出来ましたよね(笑)?」



No.20 11/12/24 23:27
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 19

「ご、ご、ご 郷さん!!!」


相原が 転がるように

車に乗り込んで来る。




「💦なんだよ おまえ…

ビックリするだろ!」

「で…


で… 出たんですよっ!」

「何が?」



「大野達也ですよ~~💦💦!」


さすがの郷も

これにはビックリした。


どうせ 相原の言うことだからと とくに期待していなかったのだ…



「どこに!?」


「飼い主の部屋です💦


… 裸でした💦」


( … )

「スッポンポン?」

「んなわけあるかよ(怒)!!」

「なんだって!?(怒)」


「す、すいません💦💦」






怒られたいんだね。相ちゃん。




「 … で


おまえ どうしたの?」


「もちろん

顔ふせましたよ!」



相原が 得意げな顔をする。



「(笑)どこにでも ある顔だ

いちいち
おぼえちゃいね~よ(笑)」

「…」


苦肉の策まで 否定されたようで なんだか 相原は おもしろくなかった…



「ど~すんすか?今から…」


「(笑)なに ふて腐れてんの?

おまえ(笑)(笑)」



「イーーっだ(怒)!」


「(笑)オカマか…



よしっ


とりあえず張ろう…!」





郷が 携帯を持った。




No.21 11/12/25 02:35
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 20

「えっ!?」


郷の報告に 望が驚愕する。



「マジでっ!?💦」




凛々香かよ。




『(笑)あ~ マジだ 』


「機材は?

持って出たんですか!?」

『もちろん!』



「そんな事 あるんですね…」



クールな望の 取り乱しようを ミヨ子と凛々香が 興味津々で見つめている…




「どうしたんですか!?」





まだ居たのかよ 瀬戸内。



凛々香が 黙ってドアを開け

手で退室をうながす。


瀬戸内は

しぶしぶ帰り支度をし


「じゃあ また(笑)!

ニカウさん!!」


と手を振り 出て行った。







ブッシュマンかよ。




「どうしたんですか?」

今度こそ 凛々香だ。




「猫ちゃんの飼い主さんの お宅に 大野達也が居たらしい…」



「ええ~~っ!?」

ミヨ子と凛々香の絶叫。




昨夜の大野達也の

奇っ怪な行動…



こ1時間程を自宅で過ごし また 自分の店に戻り 展示してあるBMのアルミを磨き出す。

その後 すぐにBMで店を出た…


郷と相原は 間違いなく 女性の元へ向かうと確信し 追い続けたが

大野達也は ただ やみくもに走り ひと気のない場所に 駐車しては タバコを吸いながら 車のまわりを一周してみたり 遠くから眺めたりを繰り返すのみなのだ。



2人から その様子を聞いた望には よく理解出来なかった…



ただ


この先


つかめない行動が続くのかと

なかば あきらめていたところの この 郷からの報告。



『マジでっ!?』

も 出ちゃうよね💦💦







長ぇ~な。





No.22 11/12/25 03:57
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 21

「 … 」


「なんか 喋れよ…」



「 … 」







「… はぁっ… ! たつや…」

「ぅ… っ 可愛い(笑)サヤカ」


( … 久しぶり。)


「ぁんっ… はぅ… っん… 」

「おま… 聞こえんぞ…

窓… 開いてんだ… から…っ」


(聞こえてます。)




「だ… って ぁ… ぃい…っ」

「おまえ ビチョビチョ…っ」


「ぁんっ … ゃだ… はぁ!」








「 … 」


ウィーーーン…


「あっ! 閉めないでよ!

郷さんっ!!」

「タメ口かよ(怒)!?」


ウィーーーン…


(開けんのかよ 郷。)








「あぁっ… いっ…

サヤカ イっちゃう… !


達也…ぁ! っあ 好きよ…!」


「ィけよ… っ! 早く…(泣)」








「泣いてませんか?


大野… 」


「あ… ああ…

なんでだろな… 」







「ぁ… ! だめっ! はぁ…!

達也…! まだ…ょ! ぁん


だめ~~… っ!!」



「 … 💦💦」










「何が

ダメなんでしょうね…」


「さ~な…」










「とりあえず…


終わったみたいですね…」



「早ぇ~な…」













なんだ この頁。




No.23 11/12/25 11:08
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 22

夕刻が近づく…


望の気が

なぜかはやり出す。




「凛々ちゃ~ん…

コーヒー くれる~?…」

仕事に集中しようと 先程の依頼者の 資料を机に並べた。

「は~い…」



藤堂芳江 54歳。

息子の恋人の 素行調査だ。



「あ… お母ちゃん ごめん…」

「なんだ~い?」



対象者…



「少し エアコンの温度

あげてもらえる~?…」

「(笑)あいよ~…」




真山桜子 21歳。




「はい…

コーヒー どうぞ…」


「ありがと 凛々ちゃん…」



「今度は とんでもない
美人さんですね!望さん!」


「まったくね… 」



対象者の写真を見ながら

2人で ため息をつく。


写真の彼女は それ程に

美しかった。





依頼人は それを恐れた…

名家の長男である息子が
選んだ女性。


親の意に反して 結婚するの一点張りである 長男…


はたして 『嫁』として 相応しい女性なのか どうか。

この美しさに 息子は 騙されているだけなのではないか… と。




「あたしなら あんな女が 姑になる家になんて 嫁ぎたくないな~ …」

「凛々ちゃんたら(笑)」


望も 同感だった。



この仕事で 彼女の運命を 左右するかもしれない…


結婚は

女にとって スタートよりも


ゴールだ。





「くしゅんっ」


「大丈夫か~い?望ちゃん」

「うん(笑)平気 平気…」





(もうすぐ…


和馬の 退社時刻だ… )




No.24 11/12/25 11:58
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 23

「おいっ(笑) 笠原!」


「 …

なに ニヤニヤしてんだよ?」


「今日も 飯食い行こうぜ!」


( … )

「わりぃ💦

俺 しばらく直帰~(泣)💦」

「なんだよ!

つき合えよ~(怒)!」


「おまえ…

俺じゃなくて ルカ誘いたいだけだろ(笑)(笑)?」



ルカとは 和馬に 疑惑の発端のメールを送って来た 同僚の女性である…



「わかってんなら

よけい つき合え(怒)💦」


「そのルカのせいで 今、ウチ大変なんだって 遠藤(泣)💦」


「…なんでっ!?」


「…


タバコ吸い 行くべ…」




和馬の会社も 喫煙者の肩身が 狭くなりつつある…

追いやられた ニコチンドランカー達が ブースに集う。



「マジで 言ってんのか?

奥さん…」


思いきり 煙りを吐き出し

うなずく 和馬。



「マジもマジ

大マジ(笑)(笑)(泣)…」


「だってルカ

俺にも よこしてんよ(笑)」

「だろ~(泣)?」


「まあ 俺は


保護したけどさ(笑)💦」


「ぶっ(笑)!

可愛いね~♪ 遠藤君♪」



しかし そのおかげで…





望に 会える。







勤務歴の長い

この会社で 和馬は




初めて 退社時刻を



待ち遠しいと思った。




No.25 11/12/25 16:54
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 24





「勃起しちゃったんだべ(笑)」


「 … 」



「若いね~(笑)





郷さん(笑)(笑)」



「きさまっ💦

また タメ口っ(泣)!💦」





郷よ…





「まさか 踏み込んで 現場写真撮るわけ いかないですもんね~…」



「充分だろ…」




洒落たアパートの 駐車場

見送りに出て来た女との

濃厚な



キス…





『妹』だとも

『友達』だとも


『同僚』だとも



言い訳はきかない1枚…




「俺が パートナーの立場で こんな写真見せられたら…」


相原が

本気で悲しそうな顔をする。



「人間不信になりますよ…」



「そう… だな… 」


俺なら…



と 郷は考えた。

(何も感じないだろな…





妻には。)




「おさまりました(笑)?」

「痛ぇっ(泣)!💦💦」



相原が 郷の股間を握る。


「おま…え…っ!!」


「帰りましょう(笑)郷さん!」



「 …


だな(笑)」




自分には 今
帰るべき場所がある…


郷の気持ちは それだけで

ゆっくり



充たされてゆくようだった…





「サンキュ 相原…」

小さな声で


つぶやく。




「言っときますけど



俺は 女が好きですからね…」




「 … 」


(殴りたい… )





No.26 11/12/25 19:09
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 25

「あ~ そう…」

(なにそれっ(泣)!?💦なにそれっなにそれ~(泣)!?💦)



「… あれ?

あんま興味ないですか?
望さん…」


相原が 残念そうな顔をする。



「望が んな話しに 食いつくわけないだろう(笑)(笑)」




充分 食いついてます。



「下品な人間ね…

大野達也って… 」



気づかれぬよう 依頼人 藤堂芳江の資料から 目を離さずに 望は言った…


「相手の女性も… 」

(まったく うらやましい…)



「郷さんなんか 勃っちゃったんですよ~~(笑)(笑)」

「バカっ!💦 相原!💦」



(いやん(泣)💦)

「あんたも 下品よ…

相原…」




「嘘だからなっ! 望!!」


ほんとだろ…



「はいはい(笑)」



とりあえず 今の望には

郷の主張は どうでもよかった…








今からの 和馬との時間




もちろん 事務所は通さない。



美紀からの 報酬を受け取る気も 望には なかった…




昨夜の電話は

和馬から。



美紀と結婚してから 連絡などとり合うことは 夕べまで ただの1度もなかったのに…




望は 自分の気持ちを


持て余していた。



いや…





はやる気持ちの意味さえ






気づかずにいた。




No.27 11/12/25 21:48
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 26

「これって…

私の罪には なんないよね?


和馬…」




「あたりまえだろ(笑)」



和馬が ジョッキのビールに ゴクゴクと喉を鳴らすのを

望は 黙って見つめる。



「仕事じゃね~んだ(笑)

おまえも 飲めよ(笑)」

「う…


うん… 」

「しかし 暑いな…

中 入るか?」


屋内外に テーブルのある 洋風居酒屋は 時間が早いためか 比較的すいていた。


「いいよ(笑)

長くなるし… 」



「そう… か… 」



それに…


と 望は 口にする。




「私 夏の夕暮れって

すごい好きなの(笑)


できれば

直接感じたいから…」



望も 夕焼け色の 甘いカクテルに 口をつける…


「知ってるよ…」


和馬が少し




遠くを見る。




( …




ヤバいっ💦 見入った💦)

「(笑)仕事しよっ」

「なんだよ 仕事って?」


「…和馬は

本当に 潔白なのね?」


「 …


行動はな… 」


「え? なにそれ?」



「っつか おまえ 甘いもん食いながら 酒飲むって どういうんだよ(笑)」


望の目の前の ガトーショコラを見ながら 和馬が笑う。



「合うのよ 意外と…」



そう言って、望が ケーキに フォークを突き立てた時




和馬の心にも


言いしれぬ何かが



深く



深く







突き刺さってゆくのだった…




No.28 11/12/25 22:43
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 27

(飲食店って


キャバクラかよ…)

「たしかに 飲食店だな…」



郷の人脈 知恵

総動員してたどり着いた


対象者

真山桜子の職場。




「依頼人にしたら

この時点で アウトですね…」



「ところで 相原… 」

「はい?」



事務所の 冷蔵庫をあさりながら 相原が振り向く…


「望は どこに行ったんだ?」



「友達と ご飯だって

言ってましたよ… 」


ソーセージを見つけ

ご機嫌で かぶりつく。



「なんで んなもんが 冷蔵庫に 入ってんだよ… 」


「この間 お母ちゃんに

頼んだんです(笑)!」



(なんだか 望のやつ やけに ソワソワしてやがったな…)

「男か?」



「お母ちゃんは 女ですよ(笑)

あがっただろうけど(笑)」


セクハラだぞ。相原。



「バカっ 違うよ


望の 友達の話しだ… 」


「 …



なんで そんな事

気にするんですか?」



「えっ!?」



「あれれれれ~(笑)」




「な、なんだよ…」




「やっぱり 興味あるんだ?

郷さん(笑)」


「ちがうっ… 」

「男に… 」




( … )


「そうかもな… 」




「ハっ!!


俺 今 超危険っ(泣)!!」



( … )




「これで 勘弁して~(泣)💦」




「 …



相原




おまえ 小学生以下。」





彼の手の中の


魚肉ソーセージを見ながら




郷が


つぶやいた。




No.29 11/12/25 23:27
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 28

「うん… まだ会社

出てないらしいよ… 」

(早く 切りたい(泣)💦)

「じゃあ 会社出たら 連絡もらうようにするから…」



和馬が ヤケ気味に

ビールを あおっている


「じゃあね 美紀… 」

(ハァ~~~っ… )


望がグッタリと席につく。



「美紀 なんだって?」


「もう! 和馬

私 こういうの無理(泣)!」


「(笑)だろうな… 」


「笑い事じゃないよ~💦

なんだか 私が浮気相手の
気分だよっ(怒)!!」


望は 残ったカクテルを

ゴクゴクと飲み干すと



「もう帰ろう 和馬!」


と 勢いよく

席を立ち上がったが…



「望っ!!」


フラリと身体が揺れ

和馬が それを受けとめた。



「あつっ…


おまえ 熱あんじゃん!」



( … 熱?

どうりで ゾクゾクすると思ってた…

あ~あ~ 『熱ある』なんて 私に言っちゃダメだよ… 和馬…


すぐ 自己暗示にかかるんだからね 私… ホラ…

気持ち悪くなって来たし…



なんだか … )



「望… 望…!!」



(和馬の声も…



遠くに…





聞こえるし… … )





No.30 11/12/26 02:05
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 29

「なんか…


すごっ…っぁん… どうし… 」


「はぁ… っ 俺も…


ぅあっ… はぁ… !」


「ぁ… っ! ぃい… っ ぁん」


「俺の… 舐めて… 」


「(笑)好きだなぁ…


んっ… ん… っ ん… 」


「ぅあ… !気持ちぃい…

たまん… ない… 」


「かわ… ぃい … んっん!」


「はあ… ! ぃい…っ!

好きだ… はぁ… は… っ!




… っ サクちゃんっ!!!」










「… 誰よ それ 」


「 …



と 言いますと…?」


「今 サクちゃんって

言ったわよね?」



(やっべ~(泣)(泣)💦)


「あたしの名前は 菜緒!!


サクちゃんって誰よ(怒)!

マコト!!」








女いたんだ。 相原…






「浮気してんのね…」


万年床から 抜け出した菜緒が

相原に バッグを投げつける。


「違うよ(泣)菜緒ちゃん!!」


「どう 違うのよ!?」



「誤解だって…」




シュンとする相原は

母性本能を くすぐるらしい…



「ごめんね(泣)💦💦


痛かった? マコト… 」


菜緒が 駆け寄る。




「平気だよ(笑)」


「あ~ん(泣)(泣)



可愛い マコト~…!」




激しい キス。



「続きしよ(笑)菜緒ちゃん!」


「うんっ(笑)!!」











バカップル発見。




No.31 11/12/26 04:16
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 30

( …………






… ここ どこ?






見慣れた天井だ…


ウチか(笑)…)



「目 覚めたか?」


「ぅわっ!!!

ビックリした(泣)(泣)💦💦」


和馬が 望の額に触る。


「何すんの!?」

「熱下がったし 元気だ(笑)」



( …


あぁ… そうか…



私 あそこで…





…って!!!)

「なんで和馬

ウチに居んの!?!?」


「あぁ(笑) 昌樹さんに お線香あげに来た以来だからな… 自分でも よくおぼえてたと思うよ(笑)」


「そういう事じゃなくて!!」

「ん?

じゃ どういう…」


「今 何時っ!?」



咄嗟に 携帯を探す。

「携帯…」


「あ~ ここ(笑)」



ひったくるように 手に取り

急いで開いた。



恐ろしい程の…


美紀からの着信。




望は 恐る恐る聞いた…


「和馬…


連絡は… ?」


「 … してね~ 」



「ちょっ… !

してない… って…… 」



絶望的な気分になり

望は もう1度ベッドへ倒れこみ目をとじた…



「 … どうすんのよ … 」



「おまえは 出先で 熱が出て倒れたと 言や~いい(笑)」


「 …




和馬は…?


どうしてた事にするの?」



「女の家に居たとでも…


言ってくれ… 」






望が 目をあけた時

感じたのは







和馬の




唇の ぬくもりだった…




No.32 11/12/26 14:58
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 31

「…… ぉい… …おいっ!!」


「は、はいっ!?」



ガタンと 机の椅子から

望と相原が 立ち上がる。



「(笑)なんか それって 『中学生日記』とかで よく観るシーンですよね(笑)(笑)」


凛々香が言えば

「2人とも… なんか悪いことでもしたのかい(笑)?」

と ミヨ子。



呼んだ 郷本人も とくに用事があったわけでは ないらしい…

「おかしいぞ おまえら…

2人してボ~っとして…」



「す… すいません…」

相原はストンと腰をおろす…



が。


「望っ!!」


彼女は 立ち上がったまま

なおも ボ~っとしつづける




「重症… 」


凛々香が 腕組みをし

近寄りながら 望を眺める…



「何がだ? 凛々香 」


郷の いぶかし気な顔。



「間違いなく…


これは 恋の病です♪」


人差し指を突き立てる 凛々香




「こ… 恋っ!?!?」



「いいリアクションですね…


郷さん… 」


凛々香が 少し

冷めた目で 郷を見た。




「こっちは?凛々ちゃん!」


机に伏せた相原の 襟首を掴みあげ つり人形を持ってるみたいな ミヨ子が聞いた。



「同様です…!」







あっぱれ凛々ちゃん。


今日は 誰より名探偵。




No.33 11/12/26 15:57
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 32

『ちょっと!!

どういうつもりよ!?望!!』


美紀の甲高い声に 望は思わず 携帯を耳から離した…



『…もしもし!!』


「美紀… 」


『和馬に

何か言われたのね…』


「 …


そうじゃないよ… 」



事務所のドアの外

しゃがみ込む望を


清掃業者のおばちゃんが

不思議そうな顔で 見てゆく…




「夕べも 遅くに会社出て来て…

男性の同僚と2人で 居酒屋で ご飯食べてたらしいよ…


和馬… 」




『 …


それと 尾行やめるのと

何が関係あるの?』


望は


ひとつ

息をつく…



「和馬が…

帰りたくなる家に…



してあげなよ 美紀… 」


『なによ それっ!?』


「疑うのやめなよ!美紀!!」



業者のおばちゃんが

ビックリして 振り向く…



「あ…


ごめん…



まだ 少し熱っぽくて… 」




なぜか 望の頬を



涙が つたう…




「実際 今ウチ


人手も 足りないんだわ(笑)」



立ち上がり


ドアの プレートを見る。



【ニワカ探偵事務所】




「弱小…

探偵屋だからね(笑)」




『そんな 一方的な…!!

もしもし 望!!



… 聞いてるの!?




望っ!? …望!? …』




ピッ…





No.34 11/12/26 17:33
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 33

「聞き込みに

まだ 出ないんですか!?」


「 … 」


「郷さんっ!!!」

「うるせ~(怒)!!」
「うるさい(怒)!!」





相原 さんざん。




「ちぇっ…

なんだよ 郷さんも望さんも ピリピリしちゃってさ…」



トントン。




「凛々ちゃ~ん…

誰か来… た … …… 」








相原が 目をゴシゴシこする。


「は~い…」

凛々香が 皆の分の冷たい麦茶を トレイにのせ 奥から 出て来る。



「(笑)ラッキー♪」


侵入者は トレイから麦茶のコップを 1つ取ると ゴクゴクと飲み干し もう1つのコップに手をのばす…


「はあ~(笑) うめ~(笑)…


あ…










おいしい(笑)(笑)!」



「サクちゃん…」



相原が まぼろしでも見たかのごとく 口をアングリと開け 放心している…



「よっ(笑) 探偵さん!」



望が 歩み寄る。



「あなた…


真山… 桜子… さんね?」



「はいっ(笑)」



美しい顔の



魔法のような笑顔…



「どうして… 」




「昨日 あの探偵さんが …」


相原を指さす


「ここ

教えてくれたから(笑)」




望は まっすぐ相原の元へ向かうと その頬を 強く打った。


「望ちゃんっ!」


ミヨ子が驚き



相原に駆け寄った…




No.35 11/12/26 19:25
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 34

「暴力反対っ(怒)!」


真山桜子が 望と相原の間に

身体を割り込ませ怒鳴る。




おまえが言うか。




「望 ごめん…

俺ついてたのに
全然気づかなかった… 」


郷が 口をひらく。


「接触しね~ように 口酸っぱくして言ったんだが…」



同じフロアの 隣の店に 郷と相原は 真山の店の オーナーを呼び出し 話しを聞いていた。


もちろん 相原は禁酒…



のはずだった。




「っつか なんで

あたしの名前知ってんだ…?」

興奮しているのか 真山は敬語を忘れ 言葉が乱暴になっている。
(普通の状態とも言う)



「 … 真山さん」


接触はしたものの 身辺の調査には 気づかれていない…

と 望は感じた。



「なぜ 今日こちらへ?」


真山の質問には 答えず

望は聞いた。




「あ… ああ(笑)


あたし

ストーカーされてんだよ!」

「ストーカー?」



「昨日 店の外でカラまれてっ時 あの探偵さんが 助けてくれて… 」






見れば 相原は…


ミヨ子にしがみつき

泣いていた。





「相原… ごめん… 」



「素直なのは いい事だな(笑)


女探偵さんっ(笑)!!」




下から見上げてくる

真山の キラキラ笑顔が


望の沈んだ心を



ノックアウトした。




No.36 11/12/26 21:31
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 35

これまたビックリ…


「ストーキングしている本人の 氏名年齢等は わかりますか?」


ボールペンを持ちながら

望が 真山桜子にたずねる。


「あ~ わかるよ…」



藤堂晋一 26歳…


依頼人 藤堂芳江の



息子である。





「え… っ」


思わずもらした望の声に

真山が食いつく。


「なんで『えっ?』なの?」

まっすぐに見つめる。



(なんて可愛らしい…)
「…え? っと~…」


(どうする…)

「どうして うちの相原は

真山さんを『サクちゃん』って 呼ぶんですか?」


質問に 質問で返す作戦。


「あ~(笑)

店での名前が『サク』だから」


(かかった…)

「なるほど…」


「望さんも 『サク』って呼んでい~よ(笑)(笑)」

「あら(笑)

下の名前で呼んでくれるの?」


突然 フレンドリー。


「だって 名字読めね~し…」


( …



バカっぽくて可愛い。)

「私も その方が嬉しい(笑)」


真山が また

キラキラと笑う。



「あいつさ~…」


藤堂晋一のことだろう。


「なんか勝手に あたしと つき合ってるとか思いこんでんだよね(怒)(怒)」


( …


それどころか



婚約者だと思ってるわよ

サクちゃん。)




No.37 11/12/26 22:58
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 36

「相原さんって

彼女いましたよね~…」


凛々香が 綺麗なネイルを 自分にかざしながら話す…



「えっ? え?

なに? 凛々ちゃん?」


ホッペを赤く腫らした相原は

傍らのカーテン越し


望と真山の会話に 耳をそばだてていた…



「かのじょ~…

いるでしょ? 相原さん…」


「うん…


いるよ… 」



「真山さんの事…

好きなんだ?」


「凛々ちゃん!💦💦

声デカいよ!!」



「おまえが うるさい!

相原!!」

と カーテンの中から

望の 激が飛ぶ。


「は、はい💦💦

すいませんっ💦💦」



こそこそと 自分の机に戻るサマは サザエさんに たまに出てくる泥棒みたいだった。



「彼女のこと 好きじゃないんですか~? 相原さん…」

凛々香が なおも食いつく。


「へ?…


好きだよ 」


「じゃあ なんで…」



「? …



凛々ちゃんは 彼氏以外

好きにならないの?」



「 … 」


「ね~ ならないの?」


「うるさい(怒) バカ(怒)」





「なんで

俺 バカ~~(泣)(泣)?」



ミヨ子が

わっはっはと笑い出し

「… なにしてんだい?

郷さん…」



「ぅわっ 顔 近ぇっ!!!」

相原が叫ぶほど

2人の会話に集中している


郷がいた。





「だから うるさいって(怒)

相原!!」


望が とうとう

カーテンを開けて叫ぶ。






「(泣)俺ばっかりかよ~💦💦」



No.38 11/12/27 00:12
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 37

「あなたは あの ルカとかいう女だけじゃ 飽き足らないわけ…?」


(早く帰って来ても

これか… )

「どういう意味だよ…」


「 …


望となんか



あるんじゃないの…?」

鍋のカレーを 味見しながら…



(また カレーか…)

「おまえ

いい加減にしろよ…」



和馬は カレーに気をとられ 美紀の吐いた言葉の意味を あまり深く受けとめなかった…



「わ~い♪

カレーの匂いだ~(笑)」

「瑞穂 カレー好きか(笑)?」

「うん! パパは~?」


「 …


好きだよ(笑)」


「ママのカレー

おいしいもんね~(笑)」

「そうだな…


って ちょっとエアコン入れるぞ! 瑞穂 すごい汗… 」


「やめてよ!!」


「 … 」


「もったいない…」




(探偵に払う金は 無駄じゃないとでも 言うのかよ… )


「俺 下で

タバコ吸って来るわ…」


「女と電話する気ね」

「やめろよ 瑞穂の前で…」


「じゃあ なんでベランダで 吸わないのよ!?」

「瑞穂の この汗見たら 一瞬でも ここ閉めんの かわいそうだろうがっ…」


「なら 吸わなきゃいいのよ…


簡単じゃない…」




( … )


「わかったよ… 」





和馬は


ただ

感じたかったのだ。





夏の夕暮れと





… 望を。




No.39 11/12/27 01:57
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 38

「とりあえず… 」

カーテンを思いきり閉め
望は もう1度ソファーに座る


「夜のお仕事は…

やめた方が よくない?
サクちゃん…」


「たぶん…

やめる事になると思うよ(笑)


来年の春には…」


「決まってるの?」


「親戚に…

昼間の仕事に誘われてる(笑)」



「あら(笑) よかった!」


望は 心底ホっとした…


この美貌で 夜の仕事。

今以上 危険な目にあう事は
目に 見えている…



藤堂晋一が エスカレートした場合は 警察の 生活安全課へ行くようにも すすめた。

その場合は もちろん

望も 同行すると約束して。



「エスカレートする事は

きっと ね~よ(笑)」


真山が笑う。



「… どうして?」


「あいつ

親に 逆らえね~もん(笑)」



( …? )

「なぜ…

それが関係あるの?」



「おおかた 藤堂の 父ちゃんか母ちゃんが あたしのこと 調べてんだろ(笑)(笑)?」



(ギック~~💦💦💦)

「な、なんで…」


「望さんが あたしの名前知ってたのも 藤堂の名前に『えっ』っつったのも そう考えれば ツジツマ合うしな(笑)」



( … )

「サ、サクちゃん…」

「ん?」

「バカだなんて思って

ごめんなさい… 」


「(泣)言うことね~よ!💦💦」






「あなた… 」


「え?」








「探偵にならない!?」



No.40 11/12/27 05:02
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 39

「ぃや… っ んっ… だめ…」


夏も


終わりに近づく…


「はぁ… っ …


ぃい… はぁ はぁ… っ」


風も 少しずつ



「んぁっ… ! ぃい… っ!」



冷たくなる…



「だ… め… っ ぁ… そこ…


そう… ! ぁっ… はぁ…ん」



人肌が…



「も… っ と… んっ…!」


恋しい。



「ぁあ… っ! ぃく…っ!!

あっ… あ… っあ …!!




…和馬ぁ… っ!!」








( …私 )



得た 快感と


( なんて言った…? )



口にした言葉に


呆然とする 望…




思わず


あの日のキスを思い出し



指で 自分の唇に



ふれる…


使ってない方の手で

(言わなくて いい…)




あの日

彼のキスを受け入れた望は



一生の秘密と約束させ

二度と二人きりで会わない事を



和馬に約束させた




… 自分にも。





それなのに…


日を追うごとに

加速してゆく焦燥感



追い払えば 追い払うほど

迫り来る 寂しさ




この気持ちは


いったい なんだろう…




と 望は考える。







彼女は


気づいていないのだ。





それが



恋であることに。




No.41 11/12/27 14:50
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 40

約束の日


依頼者 大野美咲は

時間通りにやって来た…



「わかっていたとは言え…


こたえますね…」



泣いてはいない。


うっすらと微笑みさえ

浮かべて…



「お察しします…」


望は 何度 この瞬間を迎えても 慣れることのない自分に イライラしていた。


ビジネスだ



割り切るんだ…




その時


テーブルに並べられた 対象者 大野達也の写真を 1枚手にとった依頼人である妻が

「あ… 」


っと 短く声をあげる。




「どうかされました?」


「二羽加さん…


この女性の 詳細は…」


声が


震えている…



望は つとめて

淡々と読み上げた


「『小日向玲子 29歳…』」

「けっこうです…」


大野が とめた。





「私の…



親友です… 」




大野美咲は


とうとう 声をあげて泣いた…




望は 堪えきれず 立ち上がり

大野の横にゆき 肩を抱く…



「大野さん…!!


しっかり…!! 」


ボロボロと流れおちる涙を

望は ぬぐおうともせず


その小さな肩を

抱きつづけた。




「泣いちゃいけません…!!

大野さん…!!



負けないで…





負けないで… !! 」





No.42 11/12/27 16:37
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 41

大野美咲は


望にしがみつき

泣くだけ泣くと



「ありがとうございます…」


と ニッコリ笑って

深々と 頭を下げた。







どんなに深い絶望感だろう



望には 計り知れない事実。


「大野さん…」

「大丈夫です(笑)二羽加さん」


強い 目の光りを

大野美咲から感じた望は


幾分 安心し


握っていた彼女の手を



離す…





「考えがある… と

私 二羽加さんに

お話ししましたよね(笑)」


「え… えぇ

おぼえてます… 」





その時


バタンッと 事務所のドアが けたたましく開く音が聞こえた

(サクちゃんだな…)



「マコトっ!!

今日 来ね~のか(笑)!?」




( … !)

「大野さん!?」



望が 驚き声をかけたのは

大野美咲が 立ち上がり おもむろに カーテンを開けたから…





「やっぱり…


桜子ちゃん(笑)!」



「へ…?」


望が まのぬけた声を出す。



「(笑)ミイちゃんっ!!」


「お知り合い…


ですか? 」


望が たずねると





「私の計画の


大切な パートナーです」





大野美咲が




あやしい笑いを浮かべた…




No.43 11/12/27 18:11
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 42

「今日は…

早く帰らなくていいの?


和馬…」


「ああ(笑)」


和馬は ニコニコと

ジョッキのビールを飲むと


「安心して 食べな…」

と 焼鳥を差し出す。


「はい あ~ん…」


「(笑)うん!


… 美味しい♪」




和馬は その笑顔に

少しだけ 幸せになる…



「俺のこと…


(笑)そんなに好きか?」


「酔ってるでしょ…

和馬…」


(急に真顔になるなよ…)


「好きよ…


だけど…



つらいのも


わかってほしい… 」



( … )

「ごめん…」


「やだっ💦💦

ルカこそ ごめん(泣)💦


… 楽しくないよね

こんな事言ったら… 」


「好きだよ…


ルカ…」




「和馬… 」



(遠藤… わり~な。)

和馬は 素早く

ルカに キスをする。



「今日は

お泊りもオッケーですか?


笠原係長(笑)」


「むろんだ(笑)

芹沢くん!!」



大声で笑い ゴクゴクとビールを流し込む 和馬



(なにもかも


飲み込んでしまいたい…)



もう


蝉の音も 聞こえぬ





秋のはじまり…




(望…



おまえの好きな





夏が



終わる… )




No.44 11/12/27 19:58
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 43

「なによっ!?

失礼なコねっ(怒)!!」

お茶を運んで来た 凛々香が

「えっ?」

と言って


依頼人 佐川由紀子を見る。


「なんなのよ! その爪!」


「佐川さん…

不快な思いをさせたのなら
私が 謝ります」


望が 間に入る。


「私どもは とくに身なりのルールを設けておりませんので…」

「申し訳ございません」

凛々香が 頭を下げて

出てゆく…



「まったく 今の若いコは…」


コーヒーに ミルクを入れながら ぶつぶつと言っていた
佐川由紀子が 突然泣き出す…



(激情型か… )

「佐川さん…」


先程 すべての手続きを終え 真山とともに この場所をあとにした 大野美咲とは まるでタイプの違う女性だと 望は思っていた。


「悔しいんですよ 私…


二羽加さん…」



佐川由紀子の娘 ひな5歳

同じ幼稚園に通う 娘の友達の母親が どうやら 夫の浮気相手であるらしい… と 佐川由紀子は話す。


「絶対 突きとめて下さい!

お願いします!!!」



今度は テーブルに頭が ついてしまう程 頭を下げる…


「佐川さん…


頭 あげて下さい… 」

(ママ友か…

ややこしくなりそうだ… )




「では 佐川さん…

娘さんの 幼稚園の名称と ご住所 教えていただけますか?」




No.45 11/12/28 00:39
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 44

「ひな~(笑)♪♪♪


ただいま~(笑)!!」

「パパ 抱っこ~!!」



( … )

「おかえりなさい… 」



今日も 定時の帰宅。


由紀子の夫 孝志の仕事は 彼の父親の工務店を手伝う大工だ。

なので毎日 帰宅が早い。



「今日は

現場どこだったの~?」

普通に聞くのにも 神経をつかうと 由紀子は少し苛つきながら たずねる…


「あ… ん?

街から少し離れた郡部だ…


おまえに言っても
わからないよ… 」



(そう言って ごまかすのね)

「お義父さんも

一緒だったの~?」



「おまえ 今日は

やけに うるさくね?」


32歳になる孝志は 髪を金髪に染め 耳にはピアスの 落ち着きのなさ…

それでも 人一倍 子煩悩な夫と 顔のつくりの可愛らしさに 由紀子は 並々ならぬ 愛情を感じていた。



「パパと 風呂入ろう

ひな~(笑)(笑)」

「うんっ!」



6歳 年下の夫…


由紀子は 今日も

孝志の脱いだシャツの 胸ポケットに入っている携帯を開く。




( … )

『もう少しで お遊戯会だね❤

幼稚園で 孝志に会えるの
ドキドキするよ~❤❤❤  』



由紀子は このメールで

孝志の浮気相手が ママ友の誰かであると 気づいた…



送受信は 繰り返されていない



発着信は 消去されている。

履歴の数が不思議なのだ




間違いなく


昼間に逢瀬を かさねている…





震え出す 右手を左手でおさえ


由紀子は 夫の携帯を



ポケットに また



そっと


戻すのだった。





No.46 11/12/28 01:56
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 45

「マジで ムカつく!

あのババァ(怒)!!」


「まぁまぁ(笑)凛々ちゃん…」


手書きの資料を 凛々香に渡しながら 望が頭を撫でる

「偉かったよ(笑)」

「望さん…


嫌な思いさせて

ごめんなさい… 」



「なに言ってんの(笑)



あれ?

相原は?」



「聞き込みだってよ…」


郷が 机に足を投げ出した格好で 答える。

「なんのですか?」



「サクちゃんのだろ(笑)」

ミヨ子が コーヒーを運んで来ながら 言う。




( … )

「あいつ(怒)… 」


「もう

終わってんのにな(笑)」


郷は 立ち上がりながら

そう言うと


「俺も

ちょっと出かけて来る…」


「どこへ?」

「ヤボ用(笑)

なんかあったら すぐ呼べ 」


と 望に携帯をかざし

事務所を出て行った…



「まったく 男どもは

みんなして フラフラと… 」


ミヨ子が 熱いいお茶を すすりながら ぼやく。




トントン。



望が 腕時計を見る。


「は~い」


凛々香が 立ち上がり

ドアを開けた。



「初めまして

派遣の 坂牧新之助です 」






探偵の世界にも

派遣は 存在する



そして…


「待ってたわ(笑)

坂牧君 」



右手を差し出した望と

握手をした彼は



これまた存在する


探偵養成専門学校の

同期である








っつか

今 新人いるの~(泣)!?



  • << 48 いるんですよ… これが。 「実はね 坂牧君… 」 背筋を伸ばし座る様子は さながら 貴族のごとき雰囲気… 探偵学校時代の 彼のニックネームは王子。 凛々香も ミヨ子も 大輪のバラを背負った王子に くぎづけである。 その場所が 相原の机である事など 誰も気にとめない… 「坂牧君に お願いしたいのは… 」 凛々香が コーヒーを置くと 「ありがとう(笑) 凛々香さん 」 ロイヤルスマイル。 「もう 名前おぼえてくれたんですか~~❤❤❤」 「私自身のことなのよ…」 ( … ) 「… って お母ちゃん 何してんの?」 「いやさ… カッチ~っと この髪 どうやって固まってんのかな~と思ってさ~…」 「これは ダイエースプレーですよ(笑) ミヨ子さん(笑)」 「おや❤ 新ちゃんも ダイエー好きかい(笑)? 安くていいよね~~❤❤❤」 ( … ) 「新ちゃんって… 」 「続けて下さい… 望さん 」 「あっ… ああ… 」 (キレ者だけど 今いち カラみづらいんだよね(泣)この人) 「亡くなった 主人のこと… 」 秋の足音とともに 望の夫 昌樹の命日が 近づいていた…

No.47 11/12/28 02:04
クロス ( ♀ gAVFh )



  【お詫び】


m(_ _)m💦💦
やっちまいました…


レスNo.45の

『履歴の数が 不思議』





『履歴の数が 不自然』


の 間違いでございます😭😭😭



お詫びと訂正をさせて いただきますm(_ _)m💧💧💧💧💧


申し訳ありませんでした😭😭😭


No.48 11/12/28 03:57
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 46 「マジで ムカつく! あのババァ(怒)!!」 「まぁまぁ(笑)凛々ちゃん…」 手書きの資料を 凛々香に渡しながら 望が頭を撫…

いるんですよ…


これが。




「実はね 坂牧君… 」


背筋を伸ばし座る様子は

さながら

貴族のごとき雰囲気…



探偵学校時代の

彼のニックネームは王子。



凛々香も ミヨ子も

大輪のバラを背負った王子に
くぎづけである。



その場所が 相原の机である事など 誰も気にとめない…





「坂牧君に

お願いしたいのは… 」




凛々香が コーヒーを置くと

「ありがとう(笑)

凛々香さん 」


ロイヤルスマイル。


「もう 名前おぼえてくれたんですか~~❤❤❤」



「私自身のことなのよ…」


( … )

「… って

お母ちゃん 何してんの?」


「いやさ…

カッチ~っと この髪 どうやって固まってんのかな~と思ってさ~…」

「これは ダイエースプレーですよ(笑) ミヨ子さん(笑)」


「おや❤ 新ちゃんも ダイエー好きかい(笑)? 安くていいよね~~❤❤❤」



( … )

「新ちゃんって… 」



「続けて下さい…

望さん 」


「あっ… ああ… 」


(キレ者だけど 今いち カラみづらいんだよね(泣)この人)



「亡くなった



主人のこと… 」




秋の足音とともに



望の夫




昌樹の命日が 近づいていた…



No.49 11/12/28 04:57
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 48

郊外の 山を切り開いてつくられた この墓地は…


「昌樹…」



公園のような

たたずまいを見せている…



「もうすぐ 3年か…」



花を取り替えようとした郷が

手をとめる


「やけに新しいな… 」



空いたスペースに 無理矢理 持って来た花を ねじ込む。

「男のやる事だ(笑)

勘弁しろ(笑)」



静かに手を合わせ 無心…

になろうとしたが



今は 無理である郷。



( 昌樹…


最近 俺には 望が何を考えてるんだか さっぱり わからね~…

おまえの代わりに 俺が守ると誓ったはずなのにな… )



砂利を踏みしめる


静かな足音が



郷の背後に せまる。



反射的に 振り向き…






目を見張る。




「もしかして この花…」









昌樹は 殺された。




3年前の 秋の日に






『こんな仕事をしていたせい』だと 望は 半狂乱で泣き叫び 事務所をたたむと 郷にせまった。

『それだけは…』


と 郷は食い下がる。



無二の親友の魂が

うかばれない…



そう

強く思ったからだ。





「望は 何も知らない…


頼むから



此処へは もう…





来ないでくれないか 」




No.50 11/12/28 12:32
クロス ( ♀ gAVFh )

>> 49

「おはよっ♪」

「おはよ~ ハル君ママ…」


「あらっ…

元気な~い(泣)どした?」

「ん(笑)? ちょっと 友達と喧嘩しちゃってね(笑)」


「友達?」

「うん… 学生時代の…」



美紀は 咄嗟に嘘をついた。


正直 夏に望と いざこざした事など 美紀は なんとも思っていなかった…



美紀の気がかりは

別なところにある。




「そうだ!ハル君ママ!

お遊戯会の服 もう買った?」


これ以上 続ける気がない 美紀が 話題を変える…


「やっぱり 買わなきゃダメかな~(泣) グリーンのセーターなんて 誰も持ってないよね~(泣)💦」

「瑞穂は 茶色だって~(笑)」

(セーターの1枚くらい買いなさいよ(笑)貧乏くさいわね)


「あたし

みんなに聞いて来る!」


走り去る ハル君ママの背中に

「バカみたい…」

と つぶやき 美紀は駐車してある 自分の車に戻ろうと…


「キャっ…!」


「わっ! ごめんなさい💦」



(なに この人…

いい男… )

「大丈夫ですよ(笑)」


「よかった(笑)」

(笑うと ますます可愛い♪

出勤途中に 送って来たのかな…


誰のパパだろう♪♪♪)

「あの…」

「すみませんでした💦

じゃっ💦💦」



(あ… もう(怒))

「なんか 最近

ついてないな… 」



美紀は 携帯の画面を見つめたまま 駐車場へと歩き出した…



  • << 51 (あっ…!! バカ… ぶつかってるし… ) 郷は 園庭の見える場所に 車をとめ 相原の様子を見ていた。 (しかし 今どきの母親は いつもあ~して 携帯と にらめっこばかりしてるんだな…) 携帯電話を 小さく軽くした 世の中が悪いと 郷は考える。 (これが デカくて重けりゃ 浮気の数も 事故の数も 減ると思うんだがな~… ) … 「もらって来ましたよ… 幼稚園のパンフと お遊戯会のプログラム!」 相原が また 得意げに 車に 乗り込んで来た。 「…っつか いらね~だろ(笑)」 「 … 」 「何すんの(笑)?」 「 … ひどいっ(泣)(泣)!」 両手で顔を 覆う… 「事務所行けば 俺の机に変な奴座ってるし…」 … 「郷さんまで 俺の 存在価値を 否定するなんて(泣)(泣)!」 ( … ) 「あ~(笑) 悪かったよ!立派な偵察になったな(笑)相原」 「はいっ(笑)!」 立ち直り 早っ… 「それにしても なんでしょうね~ あの男…」 走り出した車の中で 相原が ぶつぶつ言い出す。 「坂牧か… 」 (俺に なんの相談もなく 望のやつ… ) 郷が 苦々しい思いを抱く… (あんなに とめたのに… 真実は ときに 知らない方が いい場合もあるんだ 望…… )
投稿順
新着順
主のみ
付箋
このスレに返信する

小説・エッセイ掲示板のスレ一覧

ウェブ小説家デビューをしてみませんか? 私小説やエッセイから、本格派の小説など、自分の作品をミクルで公開してみよう。※時に未完で終わってしまうことはありますが、読者のためにも、できる限り完結させるようにしましょう。

  • レス新
  • 人気
  • スレ新
  • レス少
新しくスレを作成する

サブ掲示板

注目の話題

カテゴリ一覧