復讐掲示板
『復讐掲示板』
ようこそ。
私はこの掲示板の管理人『アリア』。
私とこうして話せるということは、あなたは選ばれた人間だということ。
だから望むことができる。
――それでは私はあなたに問おう。
“復讐をしたくはないか?”
†―――――――…♪
某SNSでも掲載予定の携帯小説です。
稚拙な文ながら頑張りますので、よろしければご支援下さい🐤🍀
感想板も建てる予定なので、ありがたき感想レスはそちらにお願いします。
それでは、しばしお付き合い下さい。
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第一章:
「裏掲示板ん?」
怪訝そうに放った言葉は、すぐに真冬の空で白く消える。
12月ももうすぐ中旬、雪の降らない首都はただ寒かった。
「そ! 今流行りなんだって!! 面白そうじゃない?」
そんな中でも熱く“裏掲示板”とやらを語れる我が友人は、ある意味尊敬に値するのかもしれない。
「まーた莉帆[リホ]ってばそんな噂に熱くなって…」
「なによー! 興味湧かないの? 裏掲示板――別名…」
「…なにタメてんだか」
「――復讐掲示板!」
言っている内容とは正反対に、莉帆は輝くばかりの笑顔を浮かべていた。
二つ結びの栗色の髪が、いちいち動作の度に揺れて悔しいが可愛い。
…やれやれ、この美楯[ミダテ]莉帆という友人は、どうにも好奇心が旺盛過ぎる。
私はため息混じりに答えた。
「…で? その怪しげな掲示板を見つけるのを手伝えって?」
「ぎくっ」
「あまつさえちょっと利用してみちゃおうよって?」
「ぎっくー!」
可愛いらしく効果音までつけて焦りはしゃいでらっしゃる。
少しイラッときたので、私はさも嫌そうに目を細めて言い放った。
「……面倒くさ」
「あーん結音[ユイネ]ってばつれないー」
「わーっ!? うざいひっつくなそして変なところを触るなーっ!!」
「あのー…」
「あら結音少しは成長したんじゃない~? まぁ貧乳であることは変わらないけど」
「うっ――うっさい! ってひゃっや、やめくすぐった――」
「あの…お二人さん……」
「陸上部のエースの地位に甘んじてた結果がこれかっ! これなのかっ!! この溢れる貧しさが――ぐはっ!」
「やめなさいって言ってんでしょっ!!」
「そこの二人ッ!!」
「「あ」」
流星の如く――これは言い過ぎか――突如現れた声。
その主は――
「お前は…氷谷[ヒタニ]!」
「蓮夜[レンヤ]…」
気だるく髪をかき上げ、何故か若干目のやりどころに困っている――氷谷蓮夜その人だった。
「朝っぱらから通学路でなにしてんだよ」
「なぜ私を見つつ言う!? 変態なのは莉帆でしょうがっ!」
「だあっ!! こっちくんな!!」
「なによ!? 私に何かッ!?」
唐突に顔を赤くさせ蓮夜がばっと後ろを向く。なぜだ!?
わけのわからない私に、そっと莉帆が耳打ちした。
「ブラウス…開いてるよん」
語尾にハートがついた言葉に、スローモーションで胸元を見る。
「――きゃああぁあぁぁあぁあ◎▼¥◇*%★$※?!?!!」
次の瞬間、私の口から高らかに悲鳴が上がった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「まったく…!」
「氷谷も朝からラッキーよね、愛しの結音ちゃんのブ――」
「黙れってんのッ!!」
ふざけ倒す莉帆を一喝し、私は息を鳴らして頬杖をついた。
学校に着いてもう二時間だというのにしつこい奴だ。
それと言っておくが、私と蓮夜はただの友人である。
小5からの付き合いで幼なじみとは言えないにしろ、実質そんな仲で恋人とかいうものでは断じてない。
「なによぅ、氷谷かっこいいんだからいいじゃ――」
「あーそうだナントカ掲示板の話聞かせてよ!」
「あっ! 聞きたい? 聞きたいんだ~!」
……我ながら莉帆の扱いに慣れたものだ。
「それでは不肖美楯莉帆、謎の掲示板についてお話致します」
「わーわー」
適当過ぎる返事も聞こえていないのか、莉帆は仰々しく一礼し、口を開いた。
「舞台は皆さんご存知インターネットサイト、“掲示板ミクル”。いつものようにそこは色々なスレで沸き立っていました。
…しかしある日。その平和な掲示板に――とあるスレが建ったのです」
低い声でその話は始まった。
莉帆の幼げな甘い声とそれが妙な感じで、思わず笑いそうになる。
しかし空気を読んで、黙っていることにした。
「そのスレの名は――
『友達と連絡がとれないんだが』
――というものでした」
「ふむ」
…不謹慎な言い方かもしれないが、そこまでヤバそうな名前ではない気がする。
3日前学校で会ったのを最後に、その後学校を休み続け、家にも帰っていない。
夜遊びなどはしなく、ごく普通の家庭で家出も有り得ない。
連絡手段である携帯は家族友人諸々、全て着信拒否に設定されている。
残り考えられるのは、何か事件に巻き込まれたのではないか――。
「……ざっとこんな内容ね」
莉帆の話を簡単にまとめると、そんな内容だった。
「着信拒否か…それヤバそうじゃん」
「うん。しかもまだ重要な点があって……」
再び莉帆は口を開いた。
「スレ主が言うにはね、友人は失踪前に時々、変なことを口走ってたんだって」
「変なことって?」
首を傾げて問う。
すると莉帆は、一層声を低くさせ、囁くようにこう口にした。
「“俺が悪かった”“許してくれ”……」
「うわ………」
思わずため息のように声がもれる。
なんだそれ、怖過ぎる。
ホラー要素が満載の台詞に、『その後行方を知る者はいない…』みたいな展開を想像してしまった。
そんな私の反応に好感触を覚えたのか、莉帆が更に詰め寄ろうとしてきた。
が、それを遮り私は毅然と言い放つ。
「そっ…そんなのタダの噂でしょ? 大体そんなスレならとっくに私が見つけてる筈よ! 割と毎日ミクルにアクセスしてるし! なのにそれらしいスレは見たことないわよ!?」
「おーおー早口早口ぃ」
「茶化すなッ!!」
プッと笑う莉帆に注意を飛ばす。
だが莉帆はお構いなしに反論を始めた。
「確かに何故かそのスレはないよ。だからこそ余計不気味じゃない? そして毎日アクセスったって、小説と仲間板にちょっと顔出すくらいでしょ?」
「………」
確かに、人気スレ一覧とか全く見ない。
しかし、ないなら関係ないじゃないか!?
「まだ話は続くの。聞きなさい」
「……」
大人しく黙ると、莉帆は満足げに口の端を持ち上げ、再び言葉を紡ぎ出していった。
スレは一旦は落ち着き、警察の捜査に任せることになった。
しかし、それから約一週間後、なんと友人からメールが届く。
内容は一言、
『裏掲示板に殺される』
そして更に3日後――
「落ち着いて聞いてよ、その3日後に」
「3日後に……?」
「秋舞[シュウブ]中学校のプールで、友人が溺死死体で見つかったんだって」
「……ッ!」
驚愕の余り目を見開く。
驚愕――いや、ぞくりと背中に走った冷たいものにか。
「……ね? 怖くない?」
莉帆の声も、耳に届かなかった。
秋舞――その言葉がぐるぐると頭の中を渦巻く。
……それは、私達が通う凪境[ナギザカイ]高校の付近にある中学校の名前だ。
そこで起きた『電気プール事件』は、数日前のことで記憶に新しい。
「まさか…ホントに……?」
思わず呟きが漏れた。
「…被害者の死因はプール内での感電死。捜査が難航してるってアレよね」
「けっけど後から脚色したんじゃ!? 嘘って可能性も!」
「まぁそうなんだけど…しかしね。このあと更に恐ろしいことにさ――」
「た…タメるな…!」
「……裏掲示板を見た、聞いたって人が現れだしたんだよねん」
「……」
「そして決まって、“見てしまった”スレ主はある日を境に現れなくなり、“聞いただけ”のスレ主もある日を境に――」
「っあああああぁぁぁぁっ!!!! なぜ喋る!? なぜ私に知らせる!? 私が怖がりだと知っての狼藉かああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」
渾身の力で叫ぶ。
クラスメートの視線が痛いが気にしない。
今の『聞いただけでも呪われる』的な内容に私は叫ばざるを得ない。そして泣きたい。
「ぷっこんなのタダの噂だよーくすくす」
「くっ…こいつ……許せん……!!」
「紀塔、いいこと教えてやろうか」
突然会話に男の声が混じる。
名字を呼ばれ見ると、隣の席の片樹 完[ヒラギ ユタカ]、通称カンだった。
「乙女の会話に割り込むなんて最低ですわー」
「アホは黙ってろ」
「アホなどと幼稚園の時のあだ名を呼び続けるあなたのがアホじゃなくて? それとも“莉”という文字を読めないからそう誤魔化してるのん? さっすが未完のカン! くすくす」
「あ? やるってんのか?」
「えー? 女だからと舐めてかかって、いつだかのように無様に負けちゃうよーん?」
「 泣 か す ぞ 」
…二人は幼稚園以来の幼なじみで、こういう仲だ。夫婦と言っても語弊はないだろう。
私はそっと、次の授業の支度をし始めた。
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