今日もくもり

今日もここは、沢山の人が行き交う。

腕時計と、信号を交互に見ながら、スマホで会話するサラリーマン

音楽を聴きながら信号を待つOL

手を叩きながら爆笑してる大学生だろうグループ

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毎日毎日同じ毎日。

観察すると、大体同じ時間に同じ人がいる。

俺だけじゃない。

毎日同じことを繰り返してるのは。

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少しだけ安心する。

だけど、俺はここの人たちとは少し違う。

何時からだろう。

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思い出そうとすると、
周りの景色が、ぐるぐる回り、ぼんやりとして、頭がいたくなる。

結局諦め、俺はまた、忙しそうに行き交う人々を眺める。

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雨の日も風の日も、心地よいだろう天候の日も俺はただただなにも出来ず立ち尽くす。

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泣く女がいた。


ただただその女は、静かに涙を流していた。

気まずい。少し視線を外す。

そんな事しなくてもいいのに。

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ベンチに座るスーツ姿の女

頬を伝う涙を拭こうともせず、真っ直ぐ前を見つめている。

握り締められた、女の拳と、肩は少し震えている。

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女は少しすると、すっと立ち上がり、涙をハンカチで拭うと歩き始めた。

ほどほどにがんばれよ。と、心の中で少し応援した。

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羨ましい。泣けるなんて

人混みに溶け込んでいく女の後ろ姿をを見ながらそっと呟く。

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視線を感じる。

俺は、大きなため息をつく。

嫌いじゃないけど、好きでもない。

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目があったら終わり。

いや、合わなくても合っても結果は、同じ。

ほら、やっぱり

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横に揺れたものが止まり、

ワンっと一言吠え、また激しくしっぽを揺らしながら、今にも二足歩行してこっちに来そうなくらい、飼い主を引っ張る犬。

飼い主であろうおじさんが、またかという表情をしている。

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結局いつも隣りに座る。

息づかいが荒い犬と俺と困惑してるおじさん。

今日は、雨。

だから、黄色のカッパを着ている犬と、俺と、傘をさすおじさん。

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結局撫でてやる。

犬なのに、撫でてやると
はぁはぁいいながら、笑ってるようにみえる表情をする。

不思議だ。

満足したのか、またおじさんと歩き始める。

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男は、横断歩道の真ん中に立ち、空を見上げる。

先が見えない雲から、落ちてくる雫。

自分の人生みたいだ。

もうこんな毎日疲れた。

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男の頬を雨が伝う。


まるで、泣けない男のために、代わりに泣いてくれているようだ。

車が通っても男は、気にせず空を見上げ続ける。

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どのくらい立ち尽くしていたのだろうか。

いつの間にか、辺りは明るくなり、雨も止み、お天道様が顔だしていた。

雀たちも一生懸命お話をしている。

あぁ、もう朝か。

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男は家にかえった。

何時もなら、この時間は、テレビの音、掃除機をかける音、さまざな生活音でこの部屋は埋め尽くされている。

でも今日は違った。

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人の気配もない。

机の上には、食べかけのカップ麺と、飲むかけのペットボトル

男は、壁に寄りかかると、そのままストンッと、床に座り込む。

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静寂は、すきだ。嫌いじゃない。

少し窮屈そうな瓶の中で泳ぐ青色の魚。

結局自由に生きれるやつは、それほど多くはないのかもしれない。

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夕方になり、男が帰ってきた。

晩御飯は、またカップ麺だ。

男二人の静かな同居が数日続いたある日、

女と男が楽しそうに会話しながら帰って来た。

五月蝿い。

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ふにゃふにゃ言ってる赤ん坊を抱きながら。

朝も夜も、赤ん坊は、関係なく泣いている。

女はうとうとしながら、赤ん坊の世話を毎日してる。

赤ん坊は、やっと女が寝ついた瞬間に目を覚まし泣きはじめる。

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こんな小さいのに、なんて策士なんだ。

すこしは、寝かしてやれよ。

と、赤ん坊にいうと、俺が見て、きゃっきゃつ笑った。

ん？

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こいつは、へんだ。

朝も昼も夜も元気だ。かと思えば急に静かになる。


なんて忙しい奴なんだ。

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