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コール・預言

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Rahzel( qNP4nb )
13/08/23 01:25(更新日時)


気まぐれ幻想物語

あらすじ未定

登場人物たちに任せます





Rahzel(ラゼル)

No.1415611 10/09/08 06:04(スレ作成日時)

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No.1 10/09/08 06:21
Rahzel ( qNP4nb )

コールは緑色の目の少年

ある時は銀髪が風に流れていた。
ある時は黒髪が短くショートにクルクルっと頭を飾っていた。


ただ一つ同じなのは、深く緑色に真っすぐ見詰める目。

そして、いつも必ず、嫌な話しを、楽し気に語る。私の未来を



最初に逢った時から、彼はコールだと、私は知っていた。
そして、それは正しくて、彼はまず私にこう言った。


「君は一年後に、生きていても死んだ方がまし、って状態に陥る」


何を言うかこの気味悪男は、
と思って何か言い返そうとした時、コールはさらに言った。


「だからさ、僕と還ろう」



何を言うか……


え?


だけど、それは本当だと、
私の中で誰かが肯定した。


「どうする?
決めるのは君だよ」



そう言ってコールは消えた。


何処へ還るの?
という私の疑問には答えずに。

No.2 10/09/08 23:11
Rahzel ( qNP4nb )

両親が早くに死んで、兄のセラと二人暮らしの私

セラは…妹馬鹿

少し歳が離れているのと、両親は物心ついた頃には居なかった私には、セラは父であり、…母

宗教心理学を学び始めて、大学の研究員として残ったのも、実はセラのおかげ

性格破綻者?と妹が思うほど、セラは世間付き合いが上手い
両親が残してくれた財産や仕事を引き継いで、気付いた時は、地元ではちょっと一目置かれる存在になっていた

裏を返せば、それだけ人の弱みを握るのが上手い、世渡り上手


…セラには、コールの話しはしなかった。

あまり隠し事は好きじゃないけれど、何となく、言ってはいけない気がした


もう一人、義兄がいるが…
セラ以上に変人だと思うので、紹介はまた今度

No.3 10/09/08 23:20
Rahzel ( qNP4nb )

コールは神出鬼没

学園ですれ違ったり、街でショッピングついでにアイスを食べていたりすると、気付くと隣に居たりする


うーん…
それって、立派にストーカーじゃないの?
と思いながらも、通報出来ないのは、毎回姿が変わるから


どうやらコールのお気に入りの姿は、銀髪らしいが、場所時間シチュエーションによって姿形が変わる

まあ…女性で現れた事はないけれど


アイスを食べて一息ついた時、隣にいた

そして言った

「まず24日ね」


そう言った後、さっさと街中に消えていくコール



…姿形が変わるのに、
すれ違っただけでもコールは分かる

何故?


質問には答えないから、聞かない
どつらにしても、変人


24日…
今月だろうなぁ

金曜日、何が起こるの?


いやいや、その前に
何か、本当に起こるの?



…心配性のセラにはやっぱり内緒

女の子の秘密ってやつね!
なんかちょっと違う気もしないではないけど

No.4 10/09/09 08:14
Rahzel ( qNP4nb )

サーシャは私の親友
大の男嫌い。居るだけでしかめっつらが直らないくらい、重症

ただし、セラを除く

なんで?
って聞いたけれど謎の笑み
おっかないのよね、サーシャのこの微笑
だから問い詰めるのは断念

朝から迎えに来てくれたサーシャを迎えた我が家の住人は…
何故か、ヒース
このヒース、父の若い時の息子
よって、異母兄弟で、セラと違って自由気ままに生きる人
セラのつけたあだ名は、歩く病原体

仲は、…悪くない…はず…
大の女性好きで、出会った女性は口説くのが礼儀、とどこかで間違った礼儀を覚えて来た為、セラに家を追い出され、放浪しながら、たまに帰って来る

私はヒースのがさつに見えて、優しい所は好きだけど、義妹に結婚を申し込むのはどうかと思う

それが、居た

昨夜は、確か居なかった
セラとお茶をした後、おやすみ、で部屋に戻ってから、来客はなかった
いや、ヒースの部屋もあるけれど、たしか追い出した後、セラはカギを変えたと記憶しているのに

朝、迎えに出たのは、サーシャが一番苦手なヒースだった。ごめんねサーシャ

No.5 10/09/11 03:25
Rahzel ( qNP4nb )

悲鳴で始まる朝

ヒースは変わらない。サーシャの綺麗にウェーブしてる朝陽に透けちゃうくらい綺麗な髪を少しつまんでキスしてた

何事かと飛んできたセラに瞬殺されるのも、変わらない。
サーシャが悲鳴をあげるのも、セラが瞬殺でのしちゃうのも分かりきってるんだから、やめればいいのに


「君は一体、いつ家に忍び込んだんだい?」

フライパン片手にセラがヒースを踏み付けながら聞く
ヒースは別に弱い訳じゃない

ずっとセラから護身術代わりに色々教わってきた
喧嘩もそう。逃げ方。生き延び方。それに沢山の知識。
だから、多少なら…喧嘩だって負ける気はしない私
でも、知り合った中でも、このヒース以上に敵わないと感じる人は知らない。…どうしようもない義兄だけど…

多分、セラと競っても、ヒースが勝つかな?
うーん?
でもヒースはセラには頭が上がらないし…
滅多に本気にならないし…


可愛そうなサーシャ

多分、いきなりじゃなければ平手の一発くらいは入ってた
犬なみの嗅覚のヒースが、玄関のベルを押す前に、扉を開けていなければ

No.6 10/09/11 03:25
Rahzel ( qNP4nb )

「ただいま」
踏み付けながらヒースが言う。

「君は確か数年前に家の住人ではなくなったはずだけど?」
仕方なしにスクランブルエッグを盛りつける為、踏み付けてダイニングに消えるセラ

「この世界に残された唯一の家族に会いに帰って来たのに、なんて冷たいお言葉」
軽く起き上がりながら、私に手をふるヒース

「そうだね。この世界に残された唯一の可愛い妹の為に、害虫は駆除しないと」

と、言いながらセラは優雅にサーシャをソファに座らせ、朝食をテーブルに並べる

私は…
何だかいつもの事のようで、無視してヒースとサーシャの分も紅茶をいれる

何だかんだ言っているセラも、ヒースが戻って来ていたのを知らないはずもなく、当たり前のようにヒースの分の朝食も用意している

サーシャに紅茶を渡し、当たり前のように席につくヒースたちと朝食


慌ただしい朝だわね
ただでさえ、謎のストーカーがいるのを黙っていて、ちょっと罪悪感を感じているのに

その上、やたら勘のいい義兄が何故か戻ってくるなんて


紅茶を一口すすり、私はそっとため息をついた

No.7 10/09/12 22:38
Rahzel ( qNP4nb )

「ねえ、ラゼル」

手を振って送り出してくれたセラとヒースが見えなくなった頃に、ようやくサーシャは口を開いた

「うん、ごめんなさい。まさか、帰ってると知らなくて」

天気がいいなー
そろそろ秋空に近いかな?なんて空を見上げながら返事をする
…私って、誠意なさすぎ?

「ああ、それはいいのよ」
珍しく軽くサーシャが流す

「え?」
逆にびっくりしてサーシャを振り返る
サーシャは心配そうに私を見ている

「あのね、この前街で貴女を見たのだけど…」

そっち?!

「聞いていいかしら?」

あーどうしよう?
でも何だか変な話しだし、サーシャを巻き込むのも嫌だしな

返事を待たずにサーシャは続けた

「アイスクリームを食べながら、独り言をずっと言っていたけろど…何か悩んでいるのなら話して欲しいの」

え!?独り言?
うーん?
多分状況は、コールがいたはずの時の事よね?
どういう事?

No.8 10/09/12 22:55
Rahzel ( qNP4nb )

「…私たちの仲で遠慮はいらないのよ?それとも、白夜さんの事でまた何かあったの?」

優しいサーシャ
そんな奴もいたわね、確かに


白夜、自称私の婚約者
あくまで、自称

故に誰も認めていない、変わり者科学者

学園で見学に行った科学研究所で、何故かアドバイザーをやっていた、白髪長髪黒目の変わり者

見学会の翌日家にきて、セラに「妹さんを下さい」
と言った途端、家から放り出された人
その後、セラが裏の手を使わなければ、まだ毎日来ていただろう

どんな手を使ったかは分からないけれど、家に来る事はなくなった


私の何が一体気に入ったの?

と聞いた事があるが、

黒髪と蒼い眼
と答えたので以後変人扱いをしている
…悪い人…ではないからたまには話すけれど


「ラゼル?」
サーシャが黙り込んだ私を呼ぶ

「また何かあった?」

「全然大丈夫よ!白夜って最近見ないから、どうしたのかな?って」

「本当に?嘘をついたら承知しないわよ?」

げげ…どうしよう…
隠し事はしてるけど、嘘、…ではないわよね?

No.9 10/09/14 01:29
Rahzel ( qNP4nb )

待った待った!
悩むべきところはそこ?!

違う!
サーシャには、私が一人でアイスクリームを食べているように見えたのよね?

と、いう事は…

コール=幽霊!?

…足はあったけれど
どういう事かしら?

でも、隠し通すなら丁度いいわよね?サーシャに知られるのは、つまり、セラに知られると言うことで…
それはつまり、セラから問い詰められ心配されて、何かしらの手を打とうとさせちゃう。
と、いう事よね?

…厄介だわ

よし、幽霊としておこう!
サーシャに見えてないなら大丈夫に違いないわ、多分…きっと……

逃げてるかな?私

「ぜ、全然、大丈夫!
逆に全然何もなくなったから、死んじゃったかも?!なんて」

よし、完璧!
悟られちゃだめよね

黙って私を見詰めるサーシャ
ちょっと後ろめたいけど、嘘をついてないふりをするなら、なまじっかまっすぐ目を見詰めない事!
…セラから教わった処世術?

ニッコリ笑って、すぐに視線を自然にそらす

サーシャに黙っているのは心がちょっと痛いけど、何でも話せば良い訳じゃない

No.10 10/09/14 01:54
Rahzel ( qNP4nb )

「声を掛けてくれたら良かったのに!冷たーい」
ちょっと拗ねて見せる
くすっとサーシャが大人っぽく笑う

「ごめんなさい。人と約束があって急いでいたものだから」

「誰かしら?私の知らない彼氏さん?」
傷ついた顔で大袈裟に嘆いてみせる
サーシャは今度は柔らかく笑って私の手をとって繋ぐ

「馬鹿ね。大好きよ、ラゼル」
このサーシャの微笑みが好き
まるで、春に咲く花のよう

「私も」
ちょっと寄りよってサーシャの肩にわざと軽くぶつかる
サーシャはすっかり話しを忘れたように、今日の予定について話し始めた。


学園の門をくぐって、他の友達たちと合流する

こういう女の子同士の他愛ないじゃれっこが好き
なだれ込んだ教室で教授が来るまでおしゃべり
たいていは、どこに美味しいケーキ屋さんが出来たか?とか、あっちのお店が美味しい、とかの話し

鐘が鳴り響く
仕方なしに席についても、まだくすくす噂話をする

でも、今朝は違った
教授が一人の移入生を連れて来た時、私は固まった

コール!

まさか、どうして?!
姿はまた違うけれど

No.11 10/09/15 06:30
Rahzel ( qNP4nb )

「はじめまして。ミロクと言います。教授の助手も勤めますので、色々よろしく」

呆れた。弥勒を名乗ってる
それより、その普通な髪型は何?
確かに流れるくらい長い銀髪は目立ち過ぎるわよね、だから普通な長さにしました?

それに…なんで現れる毎に、少年だったのに、いきなり同年台好青年風なの?!

あら?
その前に…今朝、それもついさっき、幽霊という定義付けをしたのに、いきなり人間として登場?!…って、みんなにも見えているって事よね?!

思わず周りの友人たちを見回す。みんなごく普通に彼を見ている

「あ、ラゼル!君もここだったんだ!偶然だね」
ミロク=コール?が満面の笑みで微笑みかける

絶句のままの私の隣の席に、当然のように腰掛けて、周囲の友人たちに挨拶している

…このまま…
裏庭とかに引っ張って行けないかしら? 疑問符で頭が固まりそうだわ

こそっと碧の瞳を細めて楽しげに微笑し、コールは私だけに聞こえるように言った

「マイトレーヤの方が良かった?」

そこじゃない!
ああもう、56億年くらい弥勒菩薩さまみたいに現れないでよ

No.12 10/09/15 06:44
Rahzel ( qNP4nb )

科学研究所、白夜さま研究室

…チョコレートやらチョコレートやらチョコレートが所狭しと並んでいる

白夜の所へ来るなんて…

「でね、弥勒菩薩(みろくぼさつ)、梵名マイトレーヤ[maitreya])、パーリ名メッテイヤ (Pl. metteyya)は仏教の菩薩の一尊で、梵名を意訳して慈氏菩薩。字は阿逸多 Ajita といい、無勝等と訳す。インドの波羅奈(パラナシー)国に生まれ釈迦仏の化導を受け、未来において成道し、その時代の仏陀となるという記を与えられたという。
三昧耶形は蓮華上の塔、賢瓶(水瓶)。種子(種字)はユ(yu)。」

ええそうね

「弥勒はゴータマ・シッダッタ(悟りを開いたのちは仏陀、釈迦牟尼仏、毘盧遮那仏、大日如来、現在仏などの呼び名)の次にブッダとなることが約束された菩薩(修行者)で、シッダッタの入滅後56億7千万年後の未来に姿を現われて、多くの人々を救済するとされてる。それまでは兜率天で修行(あるいは説法)しているといわれ…」

死んだ
チョコレートは好きよ
宗教も興味深い

でも、私は、あれ、が何か知りたいの

No.13 10/09/15 07:02
Rahzel ( qNP4nb )

学園が終わった途端、私は白夜の所へ来た

セラたちにばれずに、あの幽霊もどきを解説できそうな人材を他に知らなかったから

本当なら、セラに聞いてしまうのが一番早い
でも、それだけでは絶対に済まない、という予感がする

それで、自称婚約者さまを訪ねて来た


何をどう脅された?かは、分からないけれど、白夜は生きていて、相変わらず飄々と好きな事を好きなように研究しているらしい

問題は、何の研究なのか、

学会での研究発表があるまでは、誰も分からない事らしいけれど、一種天才肌の不思議人物として、元気に…箱にはまっていた

それが何の研究かは、知らないし、聞く気もない


「どうしました~?」
のんびりした声が頭の上から聞こえる

ホワイトボードまで使って、私に弥勒菩薩の魅力を語りたいらしい

「あのね」
チョコレートの山を少し退けて白夜を見上げる

「はい」
嬉しそうな笑顔…

「マイトレーヤの説明はいいのよ」

「そうなんですか~?
とても興味深いのに…」
悲しげな子犬の様な目をする

No.14 10/09/18 06:01
Rahzel ( qNP4nb )

「ねえ、白夜」
チョコレートの山から一つ金色包みのチョコをとる

「はい」
のんびりとホワイトボードに書いた事を眺めながら返事が返ってくる

何となくシャクに障ったので、緩く背中で束ねても長い白い髪を引っ張ってみる

おとと…
とよろめいて来て振り返ったので少し気が済んで、チョコレートを口にほうばる

「どうしました、らしくもない」
さすがに、らしくなく甘えていると思いながら、何となく尋ねた

「私が居なくなったらどうする?」
意地悪な質問、まるで駄々っ子みたい

「探します」
たいして表情も変えず、細めた目で微妙に微笑みながら即答

「死んじゃったら?」
さらに駄々っ子、白夜が同じないのを知っていてやってる

「探します。」
変わらず即答

「居なくなっちゃうのよ?死んだら」
訳が分からない

「本当にそう思いますか?」
ちょっと目がさらに細められる

「死んだら私は居なくなるでしょう?」
からかわれていると思って繰り返す

「いいえ」
明らかに笑っている気がする目

No.15 10/09/18 06:14
Rahzel ( qNP4nb )

「訳が分からない」
さらに髪を引っ張ってやろうかと思いながら目をそらす

「確かに今のままの貴女ではないかも、でも貴女を探します」
また悪い癖でからかわれている気がして黙る

「だから、マイトレーヤの話し、もっとしましょう」
元気に立ち上がって更にホワイトボードに何か書こうとし始める

「輪廻思想を説きたいの?」
仕方なしにその話題に触れる

本当はその話題には触れたくなかったのだ
何故なら、白夜はもう数千年、私を探していたと言い出すから

「もちろん」
渦巻きを今度はホワイトボードに書きはじめる

「本当に、信じているの?」

白夜の話しは簡単と言えば簡単
数千年前に生まれたばかりの私の魂に出会い、ずっと眺めて来た
そろそろ、年頃だし結婚したい
と言う話し

「信じていますよ」
渦巻きは、ペンが消えかかって途中で消えた

「別人だとは思わない?」

「何故?」

「魂だけで見分けるなんて、不可能だと思うから」

「貴女を見付けた存在が、私以外にも居るようなのに?」

いとも簡単に話しは本題に戻った

No.16 10/09/22 07:14
Rahzel ( qNP4nb )

「コールを知っているの!?」
白衣姿の白夜が覗き込むように私を見る

「コール!」
まるで何かに囁くように言う
それから、首を少し傾けて微笑む

「知っていると言えば知っている、知らないと言えば知らないです」
カタンと椅子に座ってチョコレートに手を延ばす
その手を軽く叩いて、睨みつける

「どっちなの?」

「うーん?コール…と名乗りました?その彼」

「え?」
ちょっとした隙にチョコレートをつまんで、楽しげに包装紙を剥いて口に放り込む

確かに…名乗ってない…
ただ、彼はコールなんだ、と私の頭のどこかから声がする気がして、コールと呼んでる
彼本人は、名乗っていない

「何故、コールと?」
うっとりとチョコレートを味わいながらもごもごと話す

「見た途端、…そう思ったから」
言葉を選びながら答える

「じゃあ、ミロクくんでしょう?」
もう一つ目に手を延ばすのを、再度阻む

「でも、コールなのよ」
開き直り。我ながら情けない

「ふーん?」
何か意味ありげに私を見ている

No.17 10/09/22 07:32
Rahzel ( qNP4nb )

白夜は多分、知っている
何かを知っていて隠してる
でも、話す気は…無いんだ

「何を隠しているの?」

回りくどい聞き方は白夜には通じない。必ず、話しをしているうちに煙にまかれてしまう

「コール」

少ししてから、今度は鬱陶し気に言った

「…いいでしょう」
面倒そうに白夜は言葉を続ける

「本当は反則ですが、なにせ貴女は私の婚約相手ですから。…調べてきてあげますよ」
クルリっと椅子を回転させて、メモ用紙を取るとそこに一言

“CALL“

と白夜はメモした

「それで?どんな彼なんですか?」
一変して興味深そうに尋ねてくる

一瞬見せた真剣そうな様子も、輪廻思想を語り尽くそうとした胡散臭さも今はない
単純な興味だけで聞いている

あ…、しまった?

と気付いた

こんな傍から見れば面白そうな話しを、この白夜がそのまま、はい、調べてあげますよ、で済むはずがなかった

逃げよう

まず浮かんだのがその言葉だった

白夜には多分、見当がついていて、調べる、と言っている
後は、興味だけなんだ

No.18 10/09/22 07:54
Rahzel ( qNP4nb )

「ありがとう、頼りにしてます」
と、ニッコリ微笑んだ後、

「あ、セラとこの後待ち合わせをしてるんだけど……来る?」

あからさまにがっくりと肩を落とす

ごめん、白夜!

と思いながら、チョコレート2~3個くすめて、研究室を後にした。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「ふーん…噂には聞いていたけどね、厄介な奴がついてるね」
研究室の様子を、両手の中に作った空間の中に眺めながら、コールは呟いた

「コールという名前はいいけれど」
ニヤリと笑う。姿は青年のままを維持している。仄かに両手で作った空間が光っている

「それにしても…」
両手をパン!と打ち鳴らして空間を閉じる

「本当に見事に忘れてるんだ…
こんな事なら、記憶解除の鍵を調べてくるんだった」
そっくり返ってコンクリートの床に仰向けになる

学園の屋上
青い空がただ広がって見えた

「まあ…少し厄介だけれど、決められたスケジュールがこちらもあるからね」

風が秋の匂いを含んでコールの頬を撫でて行く
そこには、光りに透けるような銀髪が流れていた。

No.19 10/09/25 05:46
Rahzel ( qNP4nb )

やれやれ、なんとか潜入は成功

セラとヒースの居る所というのが、難問だったのだけれど

残念、僕の方の権限が強い
セラとヒースがラゼルを護っているのは知っていた

加えて、仙界の長老の愛孫の次期長老の第2継承権を持つと言われている銀龍・白夜
まあ白夜と言う名はラゼルが付けたのだろうけれど

まず先手一手
セラの遠縁だと家に住み込み成功

あのラゼルの怒りに満ちた顔!

セラは見た途端に僕が誰か見破った、さすがお目付け役
ヒースも気付いたからこそ、戻って来ていたのだろう

まあ、ヒースとはやり合いたくない
根っからの軍人肌だし、軍ではかなりいい位置にいる

カブルエルの可愛がっている一人
敵には回したくない


…もっとも
コールの命令には基本的には逆らえないのが、中央政府の大半
しぶしぶながらもセラが僕に逆らわなかった理由のひとつ

さて、鍵を調べに、一旦戻るしかないかな

あちらに戻るフリーパスは僕の特権
そう「神の密偵」と呼ばれる僕
本当の名は、ゾフィエル
この第3次空での情報集めと、道標が僕の役目

No.20 10/09/25 06:04
Rahzel ( qNP4nb )

いつ戻っても、この世界門の無駄な大きさに悩む

ギリシャの巨人でも通るのだろうか?
ってか、何故こんなに巨大か、ユダとたまに話すが、おそらくは…権威の象徴の為だろう
で、いつも話しは終わる

ユダ?
イスカリオテのユダ
二千年計画で汚れ役を命ぜられた、ヨシュア…キリストの親戚筋の一族の元族長

次空の異なるロシア聖教の政府要人と知り合い、ロシアへの亡命を企てた為、同一族の従兄弟に族長を譲り、現在第3次空で休養中

あー
いきなり話しが飛んだな

つまり、契約された魂は永遠を与えられている
この第1次でも身体はもちろん生身だ

だが、第1次空の現在最高権利役のヨシュアとの契約により、魂は永遠を約束されている

保ち方には最新のバイオテクノロジーが使われている
つまり、魂の記憶と記録をマザーコンピュータに定期的に保存し、生身の身体が老朽化してくると、新たな身体を作る為一旦魂は第3次空の身体=器に移される

まあ、その際には第3次空の原罪を背負う為、何らかの役目が与えられるが、基本は魂の洗浄と休息がたいした役目ではない

No.21 10/09/25 06:24
Rahzel ( qNP4nb )

「神の密偵」

なんとまあ、ちゃちな呼び名をつけてくれたものだ

そう、第3次空に下ろされた魂を見守るのが基本的な僕の役目

密偵と言われてしまうのは不本意だが、僕の役目は魂の記録と保持

だから、中央政府…通称セントラルに関係する魂の記録をとる為、僕は見守り続け、必要があれば連絡係、そして道先案内として暗躍する

飽きる程の長い時
そうやってヨシュアの為に存在し続ける


セントラルの話しをしよう

まあ、簡単に言うならキリスト教の聖人君子、天使、その他入場を許された存在の集まりの本拠地と思っていい

聖書は書き換えられているし、秘密結社は極端だ

だから、所々を少しずつ取り出せば、セントラルは見えてくるかもしれない

巨大な世界門が唯一の扉
中は12使徒の像が飾られ
12の高い美しい壁に囲まれ、中央棟と研究棟、軍事施設、居住区、後は庭園に囲まれている

セントラルは完璧な階級社会だ
セントラルに入る事も、働く事も、許されているのは脈々と続く貴族一族

それ以外は滅多にはセントラルには入れない

そう、ラゼルは特例だ

No.22 10/09/27 10:12
Rahzel ( qNP4nb )

ラゼルの鍵か…

本来なら第3次空に下りる際に魂はいくつかに分割され、セントラルや過去世についての記憶、持っている力は封印される

第3次空では、必要がない記憶と力だからだ

鍵は魂によって変わる
仕える主によって封印される場合もあるし、自ら封印する者もいる
たいていは、魂を下ろす際に自動的に封印されるようシステム化されているが


考えながら自室へ向かう
僕に与えられた部屋
まあ部屋と言っても、執務室の隣の部屋にベッドと浴室などが備え付けられた泊まり込み部屋だ
ベッドのある執務室を与えられているだけでもラッキーだ

通常は大部屋の執務室に何人かが配置され、自宅に帰れる余裕なく執務室に雑魚寝になる


最新テクノロジーで魂や器を管理しているのだから、仕事も書類なしで行いたいが、そこだけは、書類で仕事が回ってくる

噂によるならば、トップクラスの更に上に、各宗教のトップによる円卓会議が行われているからとか

そんなトップにはお目にかかった事はない
少なくとも僕が謁見を許されるのはヨシュアのみだ
そのヨシュアにまず当たるしかない

No.23 10/09/29 03:05
Rahzel ( qNP4nb )

さて…久しぶりに戻った自室だが…

ああ、スケジュールボードに勝手に予定が追加されているのは、いつもの事だな

これは、伝達されているので知っている


ちなみに、今、第3次空の僕は眠っている
厳密に言えば、第3次空の身体が眠っている

魂と意識だけで、第1次空へ戻っている状態だ

つまり、第3次空で眠っている間は第1次空で行動ができる
だが逆に第1次空で眠っている時は、本当に眠れる
活動する為には第3次空の身体が今は魂の主軸になっているからだ

というより、両方で酷使されては、それこそ身も魂も持たない


…メモ…?
いや、招待状か?
しかも魔界の印のある招待状?

書類が山積みなのはいつもの事だが、机の上に黒い封筒に金の刻印のある手紙が一通、置かれている

魔界の者が来たのか?!

ここは、いわば聖地だ
人間が天国と呼ぶ場所にあたる所だ
まあ、聖人たちはこのセントラルの統治する、様々な土地で暮らしているが、それが「楽園」と呼ばれる所だ

逆に地獄と呼ばれるのは、魔界の事を言う
こちらと対になる次空が地獄と呼ばれる

No.24 10/09/29 03:26
Rahzel ( qNP4nb )

つまり、その魔界から天界のこちらの次空へ来られるのは、それなりに力か権力を持った者だと言う事だ

別に争いを、表面だってやっている訳じゃない
それは次空争いの際にはあったが、既に数千年も前の話しで、今はお互いに、第3次空での魂の奪い合いが行われているくらいだ

天界に属する魂を落としめる事は難しい
その為、無所属の新しく生まれて来て、魂の戸籍をまだ持たない者が狙われる

僕の仕事の一つ
天界の魂の戸籍を護り記録する事
ぶっちゃけてしまうなら、魔界の者達は敵対するが、争う事は滅多にない

何故なら、天界と魔界のバランスをとる為に、ある程度は生まれて来たタイミングにより、魂の行く先は示されているからだ

奪い合いがない、と言えば嘘だが、たとえ決まっていても、質と本人たちに行き先は任されているのが現状
つまり、管理しきれてない
という事だ

厄介なのは、天界でもセントラルに属さない種族や、次空さえ違う者達だ

机の上の黒い封筒に手を触れる

途端、空間が歪み一人の魔界の貴族が浮かび上がり囁いた

「やあ…」

僕はひざまづいて頭を伏せた

No.25 10/09/30 02:14
Rahzel ( qNP4nb )

「ご招待頂き、ありがとうございます」

この方を見てはいけない
その美貌故に我を忘れて操られてしまうか、当分、焼き付いたお姿に他の用事が出来なくなる

初めてお会いした時、僕は職務を放り出してセントラルをただ歩き回る羽目に陥った

白磁の様な仄かに輝く肌に漆黒の長くなびく黒髪、闇にも勝るだろう瞳、黒に品良く金で刺繍されたケープからは、長く延ばした手に爪が美しく輝いている

地上の罪に魔界へ落とされたが、最後の審判で天界へ戻る事を望んでいると言われる、魔界きっての変わり者にて美貌の主

「メフィストさま、何故、私に招待状を?」

目の前のメフィストは、ただのまやかしではある
招待状に僕が触れた時にのみ姿を見せる簡単な魔術だ

「彼女が欲しいんだよ」

ぎくり、と内心心が怯える
鈴の音の如く美しい声だが、鋼の意識の強さを感じる響き

それに、メフィストが現れた途端に、セントラルだというのに、結界が張られ、外部にはおそらく通常の無人の部屋が見えているだろう
この部屋には扉は無く、開け放たれているのだから
自室なのに結界に封じられている

No.26 10/09/30 02:36
Rahzel ( qNP4nb )

「彼女とは?」
勿論、無意味な質問だが、極秘で行われている任務を知られてしまっているとも認めたくはない
無表情のまま、声が返ってきた

「湖畔の白魔女の娘だ」
白魔女と言われて、かなりラゼルの過去を知っていると推測がついた

「何故、彼女を?」
過去を知っているならば、欲しがるのは当然かもしれない

戸籍係の僕でさえ、ラゼルはセントラルでは特殊な存在なのだから

「心臓を戴こうかと」
ふっと雰囲気が和み、油断して一瞬メフィストを見てしまった

微笑している?
まさか…
一度朦朧とした経験がある為、意識はメフィストには向けずに再び頭を垂れる

「ご冗談を」
低級魔族ならまだしも、メフィスト程の貴族は魂など喰わない

「まあ、それは冗談だが」
やはりからかわれているのか?
この方は魔族でも、妙に人好きの所がある
かと思えば、自らの目的の為ならば、どんな冷酷な事も一瞬でやってのける
真面目な話しかからかわれているか、わからない時がある

「本意は言わずにおこう。来月の我が屋敷の晩餐へ共にお越しを」
視線を上げた時、既に姿は無かった

No.27 10/10/11 05:15
Rahzel ( qNP4nb )

久しぶりに白夜は仙界の泉に戻っていた
山々に囲まれ、緑が鬱蒼と繁る森の中にある岩山の洞窟に現在の長老、老神龍はいる

長い身体を岩山の洞窟に隠し、必要最低限以外の行事以外には姿は殆ど見せない

幻の白銀に輝く身体
白くなびくような鬣
上半身だけを、泉から上がった岸に上げて、来るものだけと話す

だが、この泉に来れるのは、来るのを許されたものたちと、親族のみだ

一族はいくつかに分かれるが、水を司る一族の長の長老がこの老神龍だ

「やあ、爺さま、お久しぶり」

長老の決界に入った時から、戻ったのは分かっていたのだろう
珍しく振り返って来るのを見守っていたのに声をかけた

「また、人間の格好なぞしているのか、銀」

声と言うより、直接頭に響いてくる言葉に白夜は笑った

「せっかく許嫁が名付けてくれた名前があるんだから、そちらで呼んで欲しいな」

ひょい、と長老の巨大な頭のある前の岩に飛び移り異議を申し立てる

「白夜、今のあの子に記憶はなかろう」

「そりゃ、今はね」
よいしょ、と白夜は岩に座り込んで長老の顔を見た

No.28 10/10/11 05:44
Rahzel ( qNP4nb )

「だけど、しっかり困った時は頼って来てくれる」

長老の髭に触ろうと手を延ばしたが、届かず諦めて樹の実を手にする

「懐いているだけだろうが」

「酷い言い方」

「あの、お前が前に暮らしていた湖の白魔導師が消え、残されたあの子を連れて来たのは、お前じゃった」

「爺さまにも懐いてた」

その頃の事を思い起こすように天を見上げ、白夜は気に入っていた白魔導師の少女のような笑顔を思い出す

「あの子は僕を見て、まるで暗い闇夜まで白く輝かせるようだから、白夜、って呼んだ」

「もう数千も前の話しじゃ」

老神龍だって、いくら白夜が自分の第2後継者で好き勝手をやっていたとしても、気に入らなければこの仙界に入れるはずはないのだ

「嫁にするって決めてから長かったなぁ」

のほほんと長老に向き合う
この長老を説得する為にかなり強引な事をして彼女をここで育てた
そして、魂の成長の為に第3次空に戻し、成長を見守り続けて来た

「途中厄介な連中に掠われて、参ったけどね」

「その話しをしに来たか」

長老は見透かしたように言った

No.29 10/10/11 07:41
Rahzel ( qNP4nb )

予言の眼を持つ老神龍
何を言おうがお見通しだろうと、ふと自分の偉大な長老の祖父を見る

今は、父亡く、長男が天龍族の姫君を妃に迎え、一族の長を継いでいるが、長老の座は指名さるなければ就く事は出来ない

だが、政略結婚を強いられる仙界から第3次空の狭間まで散歩に出た時に、気に入った湖を見つけ、まんまと白夜はそこに住み着いて、長らく仙界には戻らなかった

戻ったのは、小さな少女をこのままにはできず、かと言って、龍の身では育てるのは適わず、仕方なく長老に人型の器を願った
代わりに、次期長老になるという確約の元

「爺さま、セントラルは今何かあったのか?」

ふわり、と巨体には考えられない軽い動きで、少し身体を捻る

「言えない事か?」

眼をそらされて、正面に周り込む

「爺さまが言えないなら、円卓会議連中の決めた事だな」

髭が風に流れている
仕方ないというように老神龍は応えた

「火星への領土争いをセントラルが計画している、その先発隊がヨシュアたちメンバーに決まった」

はあ?っと白夜は首を傾げた

長老はただ白夜を眺めてた

No.30 10/10/11 08:00
Rahzel ( qNP4nb )

少し考え、言葉を選びながら白夜は長老に聞いた

「彼女はヨシュアの部下ではある、が、同時にこちら側の繋ぎ役と決まってる。火星なぞ、第1次空の連中の領土争いからは除かれるはずだろう」

「彼女はヨシュアには1番の存在なのじゃよ」

「それは仕方ない、だが、この仙界との唯一の繋ぎ役でもある。火星に行こうがこの次空とは繋がるにしても…」

考えながら話していた白夜は、ふと黙った

「その計画はいつからなんだ?」

「もう準備段階に入っておるだろうな」

「…体制変更か?」

「さて…」

青く光る泉の中に銀色の老神龍の身体が輝いて見える


円卓会議のメンバーは厳密には知る者はいない
ただ、存在するセントラルのような団体、そしてこの老神龍など、世界を動かしているメンバーの集まりであり、無用な争いを避ける為に作られたと聞いている

「お呼びがかかったか」

おもむろに長老が言った
白夜は少し睨みつけて、また座り込んだ

「変なのが迎えに来て纏わり付いている」

ふう…と長老が一息つく

「まだ、第3次空の期間は終わらない予定だろう?」

No.31 10/10/23 05:55
Rahzel ( qNP4nb )

泉の表面で小魚がキラキラ光っている

「たしかに、彼女の第3次空の休眠期間が終わるには早い、が…」

スゥッと白夜の目が細くなる

「言いよどむなんてらしくない」

ざわっと木々を騒がせて風が抜けて行く
長老はしばらく考えるように黙った

「あの子の本来の父親を知っいるか?銀」

「白夜だよ、本来の父親と言うと、魂の父親のことか?」

「そうじゃ」

何を急に言い出すやら、と言った顔をしながらも、昔の記憶を手繰り寄せるように白夜は考え込んだ

「…覚えがない」

白夜が白魔導師が湖畔の家に住みついた時には、たしかもう彼女はいた
父親が誰かは聞いた事がなかった

「今はセントラルの貴族の養女に形だけでも入っているくらいだ、そんなに問題視される事はなかったんじゃないのか?」

長老は瞳を閉ざして、白夜の質問には応えないままもう少し身体をよじる

「火星移住第一群で彼女は旅立つ。その選抜を兼ねた検査の際、彼女に問題が見つかった」

白夜はただ黙って次の言葉み待った

「彼女には二つの魂が混在しているのじゃ」

No.33 10/11/10 07:32
Rahzel ( qNP4nb )

蒼く輝く湖畔
庭にはハーブや薬草
緑に囲まれた小さな煉瓦作りの家は暖かくて、近所に人は居ないので母の作る菜園と花壇が私の遊び場

思い出すのは、小柄な身体にいつも藍のワンピース、その上から白いエプロンをかけたかわいい少女のような母の後ろ姿
父は、物心ついた頃から居なかった

時折、近くの町や、母の作る薬草を求めて、牛を引いた農家の方や、ロバに乗った物売りが来て、母は薬草やハーブを渡し、変わりに食料や必需品と交換して生活をしていた

懐かしい湖畔の我が家
覗き込むと湖底まで透けて見えるような美しい水

ずっと、そんな母との日々が続くと思ってた

だけど、母は突然消えた
探し回るにも行く場所は限られている
唯一入ってはいけない、と言われていた地下部屋に降りた時、何かを見た

でも、思い出せない
それを見た途端、私は意識を失って、次に目覚めたのは、知らない渓谷に横たわる巨大な銀色の龍の毛皮の中だったから

ああ…
白夜が…と気付くのにそう時間はかからなかった
闇夜を輝かせるような美しい銀の龍
だから、白夜
湖畔で出会った時に、私が付けた名前

No.34 10/11/25 00:47
Rahzel ( qNP4nb )

砂漠の砂は裸足に熱かった

依頼された族長から贈られた、高価な青い儀式用の衣装

照り付ける太陽はもうどれ位続いていただろう?

人々の気力と体力を容赦無く奪って行く
枯れた大地にようやく作付けた作物も、うなだれて枯れて行く


雨乞いの巫女は私の宿命
何故なら、雨を降らせられる龍たちに呼びかける事が出来たのは、私だけだったから


リン!

と足や腕に付けた鈴と飾りが鳴る
緩やかに円を画きながら、私と仲間は雨乞いの歌を唄いながら踊る

砂漠の丘の少し離れた所で、私の旅の仲間と愛した人が、一族の宴に招かれて、食事をしながら賑わっているのが見える


あの時
石を投げられ、人々に謗られ、傷付けられている中、その人は言った

「自分に罪が無い人だけが石を投げよ」

そして、誰も居なくなり、倒れて砂にまみれた私の前にひざまづき、手を差し延べてくれた


「あなたは赦された」


それから、その人が私の全てになった
娼婦で身分違いの子供を身篭って逃げて来た私を、あの人は大事にしてくれた

No.35 10/11/25 01:03
Rahzel ( qNP4nb )

雨は、降った

仕方が無い、だって、龍たちの道のない地域だったのだから

ほんの少しの雨
それでも、一族にとっては希望の一滴だった


夜中
私は宴の酒で眠る仲間の中から、一族の族長に呼び出された

族長は長い日照りの為か、皮膚病を患っていて、儀式の踊りや宴も、自分のテントから出てくる事はなかった

儀式についての話しかと、私は一人、族長のテントに行った


最悪だった
いくら出せば、お前を買えるか?
と聞かれて、砂をかけてテントを飛び出した

頭に来て、頭に来て、悲しかった

確かに元々娼婦だから、仕方ないのかもしれない
でも、もう私は…表沙汰にはしていなかったけれど、実質はあの人の妻で、娘もいたのだから


雨乞いの巫女として買いたかったのかもしれない
それでも、買える、と思われたのが悲しかった


厨房を通ると、まだ何人かが起きていて、お茶を飲んでいた

「マリー、お茶飲むか?」

イスカリオテのが声をかけてくる
私は突っ切って

「私、頭に来たから、寝る!」

と寝屋に飛び込んだ

No.36 10/11/25 01:22
Rahzel ( qNP4nb )

それは、もっと昔の話し

ある王族の別邸に囲われた高級娼婦だった事があった


港街で、水の美しい都

親がいた覚えはない
物心ついた時には、娼婦の姉さんに養って貰っていて、そのまま、何の疑問もなく娼婦になった

ただし、客を選べる高級娼婦
だから、海の男たちの中でも一部の人々にしか私は逢わなかった

ほとんどが、馴染みの好客で、何日か共に過ごしては、海へ旅立って行って、その間は違う客と過ごした


青い海を眺めながら、恋した客の帰りをただ待った

帰らない事も多かったけれど


酔狂な皇子は私を自分の別邸に住まわせて、他の客と逢わせないよう閉じ込めた

別に私に不満はなかった


生きていられれば良かった


黒い大理石で作られた広い浴場に、白濁の湯、散らされた薔薇の花びら

ベッドのあるバルコニーからは、港が一望できた

なにより、皇子は優しい人で平和だった
継承権を棄てて私を娶ると言い出すまでは

夢のような話し
でも、素性の知れない娼婦には身分違いのプロポーズ

私は逃げた

No.37 10/11/25 01:34
Rahzel ( qNP4nb )

逃げて逃げて…辿りついたのは、荒れ地だった

その時には、皇子の子を身篭っていた

荒れ地で、ある人の噂を聞き、どうしてもお会いしたくなって探し求めた

多分、自分がどうしたらいいか分からなかったから


人々を癒すというその人の話しを聞きたかった

探して、探して
身体が動かなくなって倒れ、娼婦だった過去はついて周り、迫害されたいた時、その人は私にただ手を差し延べてくれた


だから、ただ信じた


私を娼婦としてしか見なかった族長…太陽族の長
長い間、水を探していた

それが、私


でも、私はもう違う方のものだったから

No.39 10/11/25 01:42
Rahzel ( qNP4nb )

目が覚めたら泣いてた

あれ?何で泣いてるのかな?

何か大事な事を忘れてる気がするけど…思い出せない


それより、あれからかなり経ったし、今日こそ白夜を捕まえなくちゃ

あれから、いつ研究室に行っても留守で白夜は捕まらなかった

誰に聞いても、あの人の行動は…で苦笑いされる


それに、家に来てしまったコールの話しもしたいのに


朝、かなり早かったせいか、セラにも見つからないで家を出られた

講義まではまだ時間があるし、研究室で寝泊まりしてるはずの白夜を捕まえるには仕方ない!

そう思いながら、早朝の街路樹を早足で歩いた

No.40 11/01/26 04:56
Rahzel ( qNP4nb )

私は、永久に存在するもの

いつから存在し、いつまで存在し続けるかを私自身すら知らない

それは呪い

神を裏切ったが故に冥界へ堕され、神に愛されたが故に永久に存在し続ける罰を与えられた

故に、私は時を弄ぶ

私を愉しませるものあらば、私は手段を選ばず手に入れ、飽きるまでそれを愛でよう

時だけが変わり行き、永久に存在する静寂と闇、孤独と空虚さだけが私を埋めて行く

もし、私と共に行くものがあれば、眺めよう

眺め飽きたなら声を聞こう

声を聞き飽きたならそのものに触れよう

触れるのに飽きたなら、私の手で、その永久を終わらせて差し上げよう

永久とは、呪い

それを私は知っている

だから、もし永久の呪いにかけられたものあらば、私が愛せるのならば、私が消して差し上げよう

全てを、終わらせる

終わりない悪夢から解放する事が愛する事と、信じている



一陣の風が並木道を吹き抜けた。
その朝の陽射しの下に輝く姿を私は見つけた

まるで幻のように輝き、光り輝く幻はそう私に告げた

彼は、そう言って消えた

No.41 11/01/26 05:31
Rahzel ( qNP4nb )

「ラゼル!」

突然私は現実に呼び戻された気がした

光り輝く悪夢のような幻、鋼鉄のような、けれどもまるで時を止めてしまいそうな程染み入れる声

白い闇に、私は囚われてしまったように動けなかった


「ラゼル!」

もう一度声がして、その懐かしい声と一緒に並木道の緑や風の音、消されていた景色が戻ってきた


「セラ…」

いつものように、長い髪を束ねた長身のセラが、私の肩を揺すっていたのに今更気付いて、顔を見上げた

「朝起きたら君が居ないのに気付いて、ヒースと探していた、何があったんだい?」

怒ってはいるが、心配そうに私を掴んだまま話さないセラの手に、そっと手を重ねてみた

少し驚いた様な顔を一瞬したが、セラは改めて私の手を取り直した


気付けば、並木道はもう何人かの学生たちが歩いている

私が家を出たのはかなり早かったはずだ
時間が、止まっていたように感じるのに、知らないうちにかなり時間が過ぎている

何をどう説明していいかわからないまま、セラの手を握り返し、黙って首を横に振るしか、私には出来なかった

No.42 11/02/16 03:55
Rahzel ( qNP4nb )

セラフィム

違う呼び声がして、長身のセラの後ろからコールが姿を現した

びっくりして思わずセラの陰に隠れる

セラフィム?

何故、セラを彼はそう呼んだの?
それよりも前に、彼の声は聞こえた?

セラも嫌そうに振り返りながら、私をさりげなく背中に隠す


「やあ、見つかったんだね、ラゼル、もう学園は始まっているよ」

今度は普通に耳に響く

「今日は具合が悪そうなので、休ませる、悪いが学園に伝えてもらえるかな?ミロク」

セラはあくまで普通に会話を続けている

その隙に、コールが私の方に回り込もうとしてくる
何気なく、セラは私とコールの間の位置を外さない

「具合が悪いの?顔くらい見せてくれないかな」

少し皮肉気味にコールがセラに言う
セラは私を振り返り、少しだけミロクに顔が見えるよう間をあけた

その瞬間、コールは私の目の前に居て、あっと言う間に近づいて来る顔に私は身動きできなかった


ゴン!


口づけされる、と思った途端、変な音がして、コールの気配が遠退いた

No.43 11/02/16 04:10
Rahzel ( qNP4nb )

「危ないなぁ、何、身動き取れなくなっちゃってるの?こういう時は、俺なら真っ先に蹴りなくせに」

コールより大柄なヒースが、あろう事かコールの学生服の襟首を掴んで、ズルズルと引きずって転がす所だった

「ヒース!?」

「他に誰に見えちゃう?」

にこやかにヒースはセラと並んでコールから私を隠した

「ところでお兄さまは、大事な妹の危機になに呆然としてるのかな?」

その通りだ
私はセラから一通りの護衛術を学んだ。こんな時に、身動きがとれないなんて、セラも私もどうかしてる

「と、居候ミロクくんは、俺たちの大事な妹になにしちゃおうとしてくれちゃってたのかな?」

コールは立ち上がって、制服についた埃を払っている

至って自然に
「朝のキス」
と答えた

しばらくの沈黙が痛い…
たしかにうちは妹馬鹿の兄が二人いる
だが、モーニングキスの習慣はない

「あっそ」
ヒースが答え、再びげんこつを構える

「うちにはそういう習慣はないんだ、控えて貰えるかな」
げんこつを握りしめたヒースを止めながらセラが静かに言った

No.44 11/04/17 04:20
Rahzel ( qNP4nb )

「失敗」

ミロクが舌を出して悪戯っぽく笑う

「失敗ってなにさ?」

黙り込んでしまったセラを横目に、ヒースがミロクを問いただす

「朝のご挨拶だよ」

傲慢さを隠しもせずにせせら笑いながらヒースの脇を抜けてミロクは去り際にうそぶいた


ひらひらと振られた手だけが、妙に場違いな気がした

それを見送ってからヒースが隣に戻ってくる

「セラ、何さ、あれは?」

不満げにヒースはセラに文句を言うが、セラは無表情なままミロクの去っていく後ろ姿を見ていた

「おーい、セラお兄さま?」


とたん、セラがヒースの腹に一発

「わっ、何すんだよ」

「別に」

明らかに不機嫌な表情を隠そうともしない

「八つ当たりー?」

ヒースから不満げな声がするが、無視したままセラは私の肩を抱いて、帰り道へと促した

「セラ?どうしたの?」

やっとの思いで、私も聞いてみる

「君も反省しなさい」

目が怖いよ
と思いながら、こういう時のセラには刃向かわないのが第一と思いながらも、ちょっとは抵抗してみる

「反省って、彼にキスされそうになったこと?…だってあれは…」

言い訳をしようとした途端、捕まれている肩に力が入ったので慌てて黙る

「僕も油断した」

自分を責めるように呟いた後、何も受け付けないといった表情でセラは家まで私を連れ帰った

ヒースが後ろから文句を言いながら追いかけてくるのも、無視したままだった

No.46 11/06/17 04:44
Rahzel ( qNP4nb )

「なるほど」

黒檀の重々しい机に、古風にも水晶玉を置いてゾフィエルの様子を眺めていたメフィストは、誰ともなしに呟いた

映し出されていたのは、ミロクが湖畔の魔女の娘に口づけしようとして、護衛のセラフィムとヒースに阻まれたちょっとした悪戯のような事だ

だが、何かを考えてから再びメフィストは一人ごちた

「それはお前ではな」


以後、ゾフィエルたちの行動には興味はなく、むしろ仙界へと下り、まだ戻らない白夜と名乗る銀龍の行方をしばらく思案した

「まあいい、いずれお会いできるだろう」

そう言って浮かべた笑みをもし見たものがいれば、その場で石になるか、以後、恐ろしさに笑みという事を忘れて過ごさなければならなくなっただろう


だが、書架の並ぶ広々とした部屋には、メフィストの座る後ろに、大きな満ちかけた魔界の月が妖しく輝くばかりだった

No.47 11/06/27 03:02
Rahzel ( qNP4nb )

当の白夜は、珍しく焦っていた
かと言って、焦っていても、普段とは何も変わらないのだが

白夜が研究室に戻ると、まず大量のメモ、伝言、机には書類の山で、いつも散乱している研究室の床にさえ、ついには山積みにされた書類やらレポートやら、見ないようにしている勧告書やら

勧告で済んでいるのが実は不思議なくらいなのだが
それにはちょっとしたズルがあった

裏で手を回して、日本の神々の一人にこの研究所を紹介斡旋という仕組みで潜りこんだため、追い出す事は出来ない地位にあるのだ

しかし、表上は平気でも、流石に、しまった、と白夜は久しぶりに焦っていた


仙界と人間界の時の流れの早さが圧倒的に異なる事を、すっかり失念していたのだ

白夜にしてみれば、ほん2~3日の間、仙界で過ごしたつもりでいた

だが、人間界では実に半月は行方不明という状態になっていた

白夜を知る人々は、また気まぐれを起こして、研究の為に旅にでも出ているだろうで済んでいるにしても、研究所には3日ほどの休暇願いしか出していない

特別講師を務めている限り、半月行方不明はさすがにまずかった

に、しても、頭を掻きながら、

「うーん、溜まっちゃったなあ」

が白夜の焦り方だった



不運にも、ラゼルが迷い込んで来たのはその時だった

一度、セラに連れられて帰ったものの、やはり、白夜からの情報が欲しくて、家を抜け出して来たのだ


満面の笑みで白夜はラゼルを迎えた

ラゼルはというと、
行方不明だった白夜がいて、気味の悪い笑顔で迎えてくれているのを、危ぶみながらも研究室に入るしかなかった

No.48 11/08/04 02:47
Rahzel0 



テスト


No.49 11/08/22 01:23
Rahzel ( qNP4nb )



「…白夜ー!」


山と積まれた資料や書類の中に有無を言わさず座らせられ、しばらくは黙って白夜の指示通りに作業をしていたものの、次々に積まれて行く書類に流石にキレて、初めて私は叫んだ

「何なのよこれは!?」

山積みの資料の中から白夜の声だけが聞こえてくる


「ちょっと里帰りがてら、頼まれてた事を調べに行っていた訳なんだけど、最初の予定じゃ2〜3日で帰るつもりが、つもりつもって…」

ゴニョゴニョと語尾が消えて行く

「誰に聞いても、行方不明、里帰りなんて聞いてないわよ!?」

「うん、結構近いと思ってたら遠かったみたいでね」

ごそごそと動く音がして、書類の山の中から白夜がいつものくたびれた白衣を羽織った姿で現れる

その顔を見て、嘘はついていない、とわかると一気に心配になった

妙に今日の白夜はやつれて見える
さすがに、こんな事になるとは考えていなかったのは本当なのだろう

「食べる?」

両手一杯に差し出してきたのは、やはりチョコレート

ため息をひとつついて、手を伸ばしてひとつとった


ついでに立ち上がって身体を伸ばす
白夜に捕まってからどれくらい時間が経ったか分からないが、資料につぐ資料、書類につぐ書類

改めて見ると、白夜が担当している講義の提出されたレポートだったり、評価表だったりして、これは部外者の私が見て良いものか、一瞬迷う

当の教授といえば、既に書類に飽きたらしく、古い本などを開き始めている


一喝しようと思い立ち上がったものの、夕焼けの中で本を広げてくつろいでいるのを見て、怒る気も失せてしまった

「コーヒーはいかが?」

ため息をついた後、私は白夜にそう声をかけた

ゆっくり振り返り、静かに笑う

何となく、いつもと違う

私の知っている白夜は自信家で、疲れた姿など見た事はないし、まず、何があっても飄々としている

今の白夜は、なんというか
妙に急に歳をとって疲れているように見える


入れたコーヒーを渡して、近くの椅子に座って改めて白夜を間近で見詰めた

「…何か、あったの?」

聞いて良いか迷った挙げ句、小さく問い掛けた

「何かって?」

読みかけていた本を机の空いた所に置きながら、ゆっくりと白夜が答える


あれ…?

と、ふと思った

白夜の眼の色はこんなに透明だったろうか?
それに、なんて金色に近く光って見えるのだろう?


夕陽のせいかと思って、再度見直す

その間に、俯いてコーヒーをすすって白夜は再度視線を戻す

違う

さっきとは色が違う


目の錯覚かと思いながら、その静かな黒い目を見詰めた

No.50 11/10/09 06:53
Rahzel ( qNP4nb )


「…私が無理な頼み事をしたから…何かあったのかな…と、思って」


悔しい、白夜に弱みを見せるのが何となく悔しい

それを証拠に、白夜の目が何となく輝いて見える

「僕の事を心配していてくれたんですね?」

「…当たり前じゃない、いきなり行方不明だなんて」

「ちょっと里帰りして、あなたの質問に詳しそうな人と話してきたんですけどね」

「ほら、やっぱり、私のせいじゃない」

「愛する婚約者の頼み事に応えられないなんて、婚約者として恥ずかしいじゃないですか」

まずい
このままだと白夜の話しの流れに流されてしまう

「それで…分かったの?」

ちょっとだけ軌道修正

「当たり前です」

誇らしげに勢い良く立ち上がった拍子に、書類の上にチョコレートがバラバラと落ちる


「それで、コールって…?」


「言えません」

呆気にとられた
ここまで待たせておいて言えないとは

「な、何で?!だってその為に調べに言ってくれたんでしょう?」

「そうですよ、山を越え僕のひいじい様の所へ行ってきました」

「それなら、教えてくれても…」

「物事には時があるんです、今はその時じゃない、だから言えません」

頑固者なのは知っている
言わないと決めたら言わないだろう

どうやって聞き出すか、考えてから出直そう


「……そう」

わざと大袈裟にがっかりして見せて少し黙った

「白夜、私なんだか色々あって、何をどう話せばいいか分からないの」

ちょっと上目遣いで見上げた所、白夜もさすがに大人しく聞いてくれている

「私にとってショックだったのは、彼にキスされそうになった」

何の反応もない
思い切って、白夜を見ると、腕を組んで、ぶつぶつつぶやきながらじたばたと歩き回っている

「あとね、何だかすごく魅力的な方にディナーに誘われた」

「誰です?それは?」

すかさず今度は質問が返ってくる

「全然知らないはずなのに、どこか知っている気のする人」

「本当に人なんですね?」

「…そう言われると分からないの、その人が現れた途端、突然時間が止まったような気がして…気付いたら居なかった」

「あなたは、全く無防備な人だ」

そう言われても、黙るしか出来なかった。

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