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夕焼け雲( PpQK )
10/06/09 23:56(更新日時)

あなたは運命を信じますか❓

赤い糸を信じますか❓

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No.1274509 10/03/17 20:36(スレ作成日時)

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No.1 10/03/17 20:40
夕焼け雲 ( PpQK )

空は晴れ渡り

雲は流れ

風が気持ちいい春🌸

私は川沿いのサイクリングロードを
家族で歩いていた

たんぽぽが沢山咲き乱れ
新緑も顔を出し
キラキラ川面が光っていた

No.2 10/03/17 20:54
夕焼け雲 ( PpQK )

私は二歳で
この土地に越して来た
新しい環境で
お父さんもお母さんも張り切っていた

田舎から出てきた
両親は東京で頑張る事が一番の誇りだった

貧乏だった事は
毎日の言葉でわかる

喧嘩が絶えない暮らしだった

No.3 10/03/17 21:05
夕焼け雲 ( PpQK )

向かいに住んでる
私と同い年の男の子

三軒先に住んでる女の子

よく二人と遊んでいた
女の子は舞ちゃん
男の子は龍也くん


私は恵


それぞれ

マイ りゅう メグ

そう呼んでいた

No.4 10/03/17 21:09
夕焼け雲 ( PpQK )

幼稚園も三人同じだった

有名私立幼稚園

文不相応

そんな事子供の私にはわからない

ただ皆と同じ幼稚園に行ける事が嬉しかった

その頃お母さんは
内職を始めた

No.5 10/03/17 21:14
夕焼け雲 ( PpQK )

初恋は幼稚園の頃

定番の言葉

女の子は特にませていて
男の子にちょっかい出したがるのも
世話を妬きたがるのもこの頃からだ

そしておままごとでは幼稚園ごっこと題し
先生役になりたがり、ダメな子を演じさせられるのは男の子

主導権を握る運命は
既にこの頃から
始まっているのかも

No.6 10/03/17 21:17
夕焼け雲 ( PpQK )

私の初恋はりゅう


やっぱり毎日遊んで
毎日一緒だったから
いつもりゅうを見ていた

マイもきっとりゅうが好き

そう思って
りゅうが好きだと
言えなかった

マイは私より
かなり積極的

案の定マイはりゅうに告白していた

No.7 10/03/17 21:22
夕焼け雲 ( PpQK )

「りゅう✨マイの事好き❓」


「……。」


「りゅうとマイ結婚しようね⤴」

少し離れた大きな木の上で
マイが話してるのが
聞こえた


りゅうは笑ってた


私は泣いてしまった


五歳の私は失恋した


恋と知ってか知らずか胸が苦しかったのは
今でも覚えてる

No.8 10/03/17 21:28
夕焼け雲 ( PpQK )

泣きながら🏠に帰り
転んだと嘘をつき
泣きじゃくった

内職をしてたお母さん

面倒くさそうに
横目でみていた

明日幼稚園に行くのが嫌だ

そんな事も気づいたら言っていた

でもご飯を食べ
寝てしまえば
明日はくる

いつもの様に
待ち合わせの大きな木に向かう私は
どんな顔すればいいかわからなかった

No.9 10/03/17 21:34
夕焼け雲 ( PpQK )

「おはよう✨」

りゅうが来てた

「おはよう😺」

りゅうのお母さん

「おはようございます😺」

私のお母さんが応え
マイが走って来た

「メグ✨おはよう😺」
マイはいつもの様に
私に駆け寄り手を繋いだ


いつもの様に
私とマイ
その後ろにりゅう


幼稚園児の仲良し三人

何も変わらない三人


これがずっと続けて欲しかった

No.10 10/03/17 21:39
夕焼け雲 ( PpQK )

幼稚園を卒園した春

私達はそれぞれ違う道を歩んでいく

マイは私立有名小学校
私は公立小学校

りゅうは家庭の都合で遠く離れた小学校


小学校に入学して
近くに住んでるマイとも全く逢わない生活が始まった

マイは毎日送迎は勿論習い事や塾で
私とすれ違う事すらなかった


りゅうは音信不通


子供の私にはどうにも出来ず忘れていく日々だった

No.11 10/03/17 21:44
夕焼け雲 ( PpQK )

小学生になって

新しい友達や色んな地区から来る友達が
不思議な感じで楽しかった

違う世界が広がって

毎日が探検と発見の日々

その中でも輝いてる子は必ず居た

人気者は既に
オーラを放っているものだ

No.12 10/03/17 21:54
夕焼け雲 ( PpQK )

人気者のヒカル

容姿端麗
勉強もよく出来る
スポーツマン

完璧な男の子だった


ヒカルを好きな子は
クラスの女の子全てに等しく
いつもヒカルの周りに人が寄っていた

No.13 10/03/17 22:01
夕焼け雲 ( PpQK )

2学期になって
ヒカルは私の隣りの席になった

ヒカルとは
背の順でも同じで
よく話す仲になっていた


それでも周りの女の子が焼きもちを妬く声が聞こえて
なるべく自分からは
話さない様に
気をつけていた


休み時間になると
ヒカルの席に女の子が集まり
私の席は女の子に譲っていた

時に席に落書きやイタズラまでされ
ヒカルはそれを見ていた

No.14 10/03/17 22:05
夕焼け雲 ( PpQK )

ある日の学級会


ヒカルが突然立ち上がり
前に行った


先生はびっくりして
ヒカルを注意したが
ヒカルは大きな声で
こう言った


「メグの机や椅子に落書きやイタズラしたら許さない」


そう言ってヒカルは
自分の席に戻った


私の顔は林檎の様に
真っ赤になってしまった

No.15 10/03/17 22:09
夕焼け雲 ( PpQK )

教室中がザワついて
ある女の子は泣いてしまったり


冷やかされた時間が流れた


先生の一喝で静かになったものの


さようならの礼をした瞬間

いつもの様にヒカルに集まらない事にびっくりした

No.16 10/03/17 22:14
夕焼け雲 ( PpQK )

ヒカルは一人で帰ってしまい


私はいつもの友達と
何とも言えない空気の中帰った


友達の優が言った


「ヒカルはメグを好きなのかな⁉メグを庇ったのかな❓」


庇っただけだよ……


心の中で答えた


「また明日ね✨」


優と別れて🏠に帰った

No.17 10/03/17 22:20
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝

ヒカルはいつもの様に沢山の人に囲まれ
楽しそうに話してる


良かった…


私の席に向かい座るとイタズラ書きが無くなっていた


後々友達伝いに
ヒカルが消してくれたとわかった


ヒカルは毎日
私に変わらず話してくれた


それを見ていた女の子達はもう焼きもちを妬かなくなった


ヒカルはヒカル
私は私


同じクラスの友達
それに代わりない

No.18 10/03/17 22:23
夕焼け雲 ( PpQK )

三年生になった6月

転校生がやって来た


りゅうだった


私は思わず叫びそうになった


りゅうは私に気付き
にっこり笑った


私の前の席に
りゅうは座った


ドキドキが止まらない瞬間だった

No.19 10/03/17 23:07
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが遠くの学校に行っていた理由を
知ったのは六年生の時だった


りゅうは喘息で空気の綺麗な場所で生活していたらしい


三年生から六年生まで何故かりゅうとずっと同じクラスだった為
沢山話す時間もあり
りゅうが父親と離れて暮らしてる事も話してくれた


🏠が向かいな事と
りゅうが一人っ子で鍵っ子だったからか
よくお互いの🏠を行ったり来たりしては
遊び勉強していた

No.20 10/03/17 23:09
夕焼け雲 ( PpQK )

六年生の私とりゅうは
幼稚園の頃の
私とりゅうじゃない


そんな事もお互いわかっていたと思う


でも悟られないようにまるできょうだいの様に一緒の時間を楽しんだ

No.21 10/03/17 23:18
夕焼け雲 ( PpQK )

卒業式の日


友達と別々な中学になる悲しみや
小学生時代を惜しむ様に泣きじゃくっていた

男子は相変わらずふざけてたり
さっぱりしていて
女子は感情のまま
言葉に出していた


式が終わって
仲良しの友達と二次会みたいに
🏠に集まってお喋りの花を咲かせていた


そこにりゅうを含めた男子数人が来て
また昔話に盛り上がりゲームなどして
楽しんだ

りゅうの🏠に行く事になって皆で移動した


勝手知ったる私は
当たり前の様に動いていたら
皆が冷やかしてきた


六年生にもなると
恥ずかしいのピーク😳

りゅうも照れ笑いだった

公認していたよと笑って言われ
りゅうも笑ってた

No.22 10/03/17 23:22
夕焼け雲 ( PpQK )

「花火やろうよ🎇」

りゅうが言った

「やろう❗やろう❗」
みんなが外に出た


空き地に行って
花火をした


何だか綺麗だけど
寂しく 切ない時間が流れた


いつの間にか

りゅうと私は
二人になって
線香花火をしていた🎇

No.23 10/03/17 23:30
夕焼け雲 ( PpQK )

「寒くない❓」


りゅうが言った


「大丈夫😊」


(ねぇ❗すがっちと一緒に帰るね➰)

(私も阿部ちゃんと同じ方向だから➰楽しかった❗また逢おうね)

友達が次々帰って行ってしまった


何だか急に切なくなってしまい涙ぐんでしまった

それを見ていたりゅうは私に近付いて
頬にキスをした


そして唇にキスをした

No.24 10/03/17 23:41
夕焼け雲 ( PpQK )

🏠に帰ってからの私は

ぼ~っとしていた


色んな事が頭の中で
グルグル回って

お母さんの声も
お姉ちゃんの声も
よくわからなかった


ただはっきりしたのは幼稚園の頃の失恋の痛みより
断然この胸の痛みが強かった事


りゅうは私を好きだったのか
私はりゅうを好きだと改めて思って
嬉しさと苦しさで
混乱していた

No.25 10/03/17 23:46
夕焼け雲 ( PpQK )

中学生活がスタートした

りゅうとはクラスが別になり
いつの間にか疎遠になっていった


キスしたあの日から
りゅうとマトモに話せてない


意識してしまい
りゅうを見かけると
逃げていた


りゅうは時々私の🏠に来ていたが
私の動揺した姿を見て段々来なくなってしまった


両想いになったのに
私の態度のせいで
失恋同然


どうしていいかわからなかった

No.26 10/03/18 00:09
夕焼け雲 ( PpQK )

中学生活はクラブ活動に夢中だった

りゅうは野球部

私はバレー部


お互い大きい大会に進む程
毎日毎日練習に明け暮れた


恋をする暇はなかった

同じクラスの野球部の男子に告白されたが
普段から仲が良かったからか
誤解させてしまった


私はりゅうにも
そんな風に感じさせてたのだろうか

No.27 10/03/18 00:21
夕焼け雲 ( PpQK )

中学二年生になって
ヒカルと同じクラスになった

ヒカルは相変わらず人気者
学年1可愛い杏と
付き合ってると噂で聞いた


中学二年にもなると
周りで恋愛の話が多くなり

私の友達も先輩の○○くんが素敵とか
同じクラスの○○くんが好きとか
休み時間の度に盛り上がっていた

No.28 10/03/18 00:34
夕焼け雲 ( PpQK )

体育祭は男子がいつもより
かっこよく見えるイベントだ✨

体育祭の前の日
同じ班の長野くんからハチマキに刺繍してと頼まれた


なんで私なのかわからなかったが
結局不自然さを消す為か同じ班の男子のハチマキに女子が刺繍をすることになってしまった


体育祭の朝
ハチマキを渡すと
長野くんは

ThankYou❗❗

と言って
ハチマキを頭に巻いた

No.29 10/03/18 00:42
夕焼け雲 ( PpQK )

長野くんは足が速い

私もそこそこ速かった
お互い短距離走の代表であり
リレーのメンバーだった


昼休み長野くんが
班で飯を食おうと言い出した



面白そうと皆乗り気で校庭にシートを広げ

男女交互で丸くなった

それぞれのお弁当を広げ交換したり
飲み物は回し飲みしていた

体育会系の私はあまり違和感なかったが
同じ班の女子の一人は恥ずかしそうにしていた


あぁ私って
もしかして男子みたいな感覚なのかも
男子からも
恋愛対象じゃなく
同じ感覚だから馴れ馴れしく出来る
それだけなのかも


私に女らしくか弱い
イメージはまず無い


男子と笑って話せる意味が段々わかってきた

No.30 10/03/18 00:48
夕焼け雲 ( PpQK )

リレーは男子1位

女子は2位

それぞれ頑張り
楽しい体育祭だった


体育祭が終わり
片付けをしながら
皆と話してると
長野くんが来た


「おい、メグ❗一緒に帰ろう」


一瞬ドキッとした


「刺繍のお礼にアイス奢るわ」


「アハハ😂やったね❗」


片付けを終えて
長野くんと同じ班のメンバーで
学校帰り駄菓子屋に寄って
アイスを奢って貰った


何だか青春を感じた
一時だった

No.31 10/03/18 08:23
夕焼け雲 ( PpQK )

長野くんは
私の🏠と同じ方向だった


「メグの🏠行ってみたいなぁ🎵」


「え⁉」


突然の事で笑って誤魔化すのが精一杯


「俺朝いつもメグを見て学校行ってたの知ってた⁉」

「変態😜」


長野くんが何故そんな事言ったのか
動揺しまくって誤魔化していた


だって同じ班の美香は長野くんの事好きだったの知っている

ハチマキの刺繍も
ホントは美香がした


美香は離れた後ろを歩いていた
振り返るのが怖くて
長野くんと距離を置いていた

No.32 10/03/18 08:27
夕焼け雲 ( PpQK )

私は思い切って
美香を呼んだ


「美香‼」


美香は少し恥ずかしそうに駆け寄った


これ以上長野くんに何か言われるのが怖かった


美香は長野くんと
話せず困ってた
長野くんが美香の🏠
どっち⁉と聞いていて

話しは続きそう


私は少し離れて
友達と喋ってた

No.33 10/03/18 08:32
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日美香が朝一で
私に駆け寄り

「長野くんと一緒に帰れた✨」

嬉しそうな美香はキラキラしてた✨✨


初恋ってきっと
こういう事で
友達の延長じゃないんだよね


人を好きになって
ドキドキしたり
落ち込んだり
頑張ったり
泣いてしまったり

見てるだけで苦しくなったり

肩が触れただけで
嬉しかったり


美香は毎日長野くんの事で盛り上がっては
嬉しそうに話していた

No.34 10/03/18 08:36
夕焼け雲 ( PpQK )

私の初恋はりゅう

ドキドキしたり
悲しくなったり

それは美香の感情とは違うんじゃないか
そう思っていた


今りゅうを思っているかと言ったら
気になるけど
話す事も無いし
話せなくて辛い訳でなく

ただりゅうが居る


それで安心していた


私のほんとの恋は
まだまだなのだ

No.35 10/03/18 08:41
夕焼け雲 ( PpQK )

そんな日々を重ね

ある時りゅうに彼女が出来たと
噂で聞いた


中学生になると
誰と誰が付き合ってる事は
一瞬にして学年に流れる


りゅうの相手は
りゅうと同じクラスの由香だ


小学校も違う
私と同じバレー部だ


その話を聞いた時
私の中で何かが崩れた

胸が苦しかった

No.36 10/03/18 11:14
夕焼け雲 ( PpQK )

由香と私は
バレー部で一緒なだけで仲間に過ぎない


由香は先生に気に入られていて
今レギュラーで厳しい特訓も受けている


私はまだまだ先輩レギュラーがうまかった


あるクラブ帰り
りゅうと由香が
待ち合わせて帰ってるのを見てしまった


私の胸は突き上げる様に痛く
ドキドキが止まらなかった

No.37 10/03/18 11:19
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうと由香の🏠は
途中まで一緒だが
由香は違う道に入っていく



追いつく事も出来ず
ある程度距離を保ち
下を向いて歩いてた


分かれ道に来た


由香はりゅうによりそい甘えてる


りゅうの顔が見れなかった


私はその手前を曲がり遠回りして🏠に帰った

そのあとりゅうと由香がどう帰ったかは知らない


りゅうが帰って来たのは私が帰宅してから
だいぶ遅い時間だった

No.38 10/03/18 11:21
夕焼け雲 ( PpQK )

ピンポ~ン🎵
ピンポ~ン🎵


お母さんが私を呼んだ

時計を見ると8時過ぎていた


こんな時間に誰だろうと渋々玄関に行くと
由香が居た

No.39 10/03/18 11:30
夕焼け雲 ( PpQK )

「どうしたの⁉」


「今りゅうの🏠に遊びに来たんだけど
りゅうの部屋にメグの写真があって…。
りゅうとメグは付き合ってたの⁉」


由香が不機嫌そうに言った


「ただ向かいの🏠だから幼なじみみたいなもんで、写真はりゅう…桜井くんのお母さんが飾っただけじゃないの⁉」


「メグはりゅうを好き⁉」


「……。きょうだいみたいに育っただけで…。」


由香はしつこくりゅうの好きな事嫌いな事
色々話してくるが
私は上の空


なんで私が…


泣きそうな感情になり慌てて
今日は疲れてるから
またにしてと由香を帰した


由香は半信半疑で
帰って行った

No.40 10/03/18 11:36
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうの部屋に写真がある事は知っていた


小学校の卒業式の時
お母さんが
私達を撮ってくれた

その時は何の感情も無くご近所の仲良しとしてお母さんも私達も
写真を撮ったはず


それを焼き増しして
りゅうに渡し
飾ったのも知っている

りゅうはずっとそれを飾ったまま
由香を部屋に入れた


そうだよね…何の感情も無いから
出来る事かもね


それを見た時彼女がどう思うかなんて
考えないよね

No.41 10/03/18 11:48
夕焼け雲 ( PpQK )

今日は朝練

昨日の夜はなんだか
モヤモヤが残り
寝不足だ


玄関を出てすぐ前に
りゅうが見えた


私は声も掛けず
追い越す事も出来ず


また離れた後ろを歩いていた


いつからこんな風になったのだろう


昔は顔を見れば
どちらからともなく
バカな話で盛り上がりくだらない事をしていたのに


いつから変な距離を
とったんだろう


あのキスの日から…


あの日から…

No.42 10/03/18 11:53
夕焼け雲 ( PpQK )

由香とりゅうは
順調な付き合いだったみたいだ


由香の顔や言葉を聞いていればわかる


時々私に探る様な目をしていたが
私は由香と話す事もなく黙々と練習し
皆と帰っていた


美香が長野くんと付き合い
私の周りでも恋愛真っ盛りの人達で溢れていた


私も恋をしたい
りゅうを目で追うより新しい恋をしなきゃ


そう言い聞かせ
サッカー部の先輩が
目に止まった

No.43 10/03/18 12:02
夕焼け雲 ( PpQK )

一つしか違わないのに大人っぽく
かっこいい先輩

高橋 祐輔


先輩のファンは
ジャニーズ並みに居た

私なんて
先輩の目に止まる事など無い


野球部とサッカー部は部活が終わるのが
ほぼ一緒

私達バレー部は少し遅かったが

帰る時間はよく重なって先輩のたまりに
胸が高鳴っていた


りゅうは変わらず由香と帰り
私はバレー部の仲間と先輩達を眺めながら
ああでもない
こうでもないと
無駄に盛り上がっていた


その声にりゅうが振り向き由香が振り返る


早く行こうと腕を掴みりゅうを引っ張って行く

りゅうの目が寂しそうに見えた


何故だろう

No.44 10/03/18 12:06
夕焼け雲 ( PpQK )

先輩は由香と同じ方角だ


小学校も同じ


🏠も近くみたいだ


今日は何故か
りゅうは由香と分かれ道で別々に帰ったのが見えた


喧嘩したのかな…


そんな程度で
先輩を横目で見送り
🏠に帰った

No.45 10/03/18 12:09
夕焼け雲 ( PpQK )

🏠に帰ると
りゅうのお母さんが
🏠に来ていた


「あらメグちゃん。お帰りなさい。大人になって~りゅうとは全然違うわね~。」


「お久しぶりです。
どうも…。」


そう答えるのが精一杯

急いで二階に上がり
部屋に入った

No.46 10/03/18 12:21
夕焼け雲 ( PpQK )

暫くすると
りゅうのお母さんは帰り

ご飯よと呼ばれ
支度しながら手伝いをしていた


ご飯を食べながら
お母さんがりゅうの彼女の事を聞いてきた

「りゅう君彼女が出来たんだって⁉なんだかおばちゃんは気に入らないみたいだけど」

そうなの⁉


心の中で叫んでいた


「なんだかその彼女よく🏠に来て図々しいんだって」


わかる…😏


ちょっと笑いそうになるのをこらえて
ひたすら食べて誤魔化していた


「あっ、そうそう💡
今度の週末りゅうくん🏠で預かる事になったからね」


「🔥🔥🔥🔥🔥‼
え~っ‼‼‼‼」


「りゅう君の所法事で新潟に行かなきゃならなくて、二日🏠を開けるからお願いしますって。ほらりゅう君一人だと彼女連れ込んで
危ないから、🏠でお願いしますって頼みに来たのよ」

No.47 10/03/18 12:24
夕焼け雲 ( PpQK )

パニックだ😭


りゅうが泊まる


いや…りゅうはこの事知ってるの⁉

由香は⁉⁉


考える事がいっぱいで頭はグルグルパンパンだった


よりによって~🔥🔥

No.48 10/03/18 12:32
夕焼け雲 ( PpQK )

土曜日が来てしまった


朝早くりゅうのお母さんがお願いしますと
挨拶に来ていた

りゅうはまだ🏠には来てない
寝てるみたいだ


私は出掛けた方がいいのかどうしたらいいのか解らず

部屋の掃除と
服の確認を何度もしていた


10時を過ぎると
チャイムが鳴った


「はぁ~い」


お母さんは嬉しそうに玄関に向かった


りゅうが挨拶したのを部屋越しに聞いて
二階に上がってくるのが聞こえた


マジですかぁ💦💦💦


なんで私緊張してるの⁉

そんな事知りもせず
りゅうはお構い無しに私の部屋に入ってきた

No.49 10/03/18 12:42
夕焼け雲 ( PpQK )

「よお➰👋」


りゅうの声はいつの間にか声変わりして
低く大人になっていた

「あぁ…。いらっしゃい…。」


りゅうは私の部屋を
一回り見て



「変わってないな(笑)昔と(笑)」



ズケズケとこれまた
人の机に座り
引き出しをわざわざ見ていた


机にはりゅうと同じ写真が飾ってある
それを見て

「俺もこれあるぜ」


嬉しそうに言う


その写真で由香が怒鳴りこんだんですけど😣

そう心の中で叫び
クラブの話や
友達の話でいつの間にか昔の様に
時間が過ぎていた

No.50 10/03/18 12:50
夕焼け雲 ( PpQK )

由香の事触れない方がいいのか
りゅうが話すまで
私は触れずにいた


途中お母さんが
お茶とお菓子を持ってきて
昔話で盛り上がり
笑い声が響いていた


夕方塾なので
お互い宿題をしたり
解らない所は教えて貰ったり
凄く楽しい時間だった

好きなアーティストや曲を話しあったり
一緒に歌ったり
まるで恋人みたい…


いやりゅうには由香が居る

ふと現実に戻される😣

No.51 10/03/19 00:41
夕焼け雲 ( PpQK )

塾の時間…

駅まで二人で歩くのも
小学生低学年以来かも

こんなところ
誰かに見られたら

いや

由香に見られたら
殺される


私は少し下がって
後ろを歩いた

「メグそんなに足短いっけ⁉」

私が気を利かせてる事なんて
なんのその

男ってそんな物⁉⁉

と目をまん丸にしながら
ふてくされていた

りゅうは笑って
駅までの道を歩いていた

No.52 10/03/19 00:47
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは塾の前で待っていた


「メグは何時に終わる⁉」

「9時」

「じゃあ9時半にここな➰」


え⁉⁉


私の塾と
りゅうの塾は少し離れていた

今まですれ違っても
一緒に帰らなかったのに…
今日は🏠に泊まるから仕方ないのか…。なんか私は弟みたいだなぁ💦💦


ぶつぶつ文句を言いながら塾へ入った

No.53 10/03/19 00:53
夕焼け雲 ( PpQK )

『じゃあ月曜日テストだから きちんと復習しとく様に』


塾の先生が言った


9時を少し回って
まだノートを取ったり
必要な書類を貰ったり
あっという間に9時半になってしまった


急いで下に降りると
りゅうが待っていた


「お疲れ~」


笑ったりゅうの顔を見て

ニヤついたのは言うまでもない(笑)

缶ジュースを渡され
二人で飲みながら
🏠までの道を
歩いていた

いつも歩いてる道なのに
夜だからわからないだろうと
りゅうと並んで歩いていた

No.54 10/03/19 01:03
夕焼け雲 ( PpQK )

「なぁ…」


りゅうが言った


「お前好きな人居るのか⁉」


今それ~🔥🔥🔥⁉⁉⁉

「別に…」


「お前高橋先輩の事好きなんじゃないの⁉」

「何で⁉」

(誰だ😱余計なチクリいれた奴😭😭)

「噂でね⤴⤴違うの⁉」


「違うよ…」


「りゅうは由香と付き合ってていいね❗」

(やべっ🔥)


「付き合ってって言うかアイツが勝手に強引に帰ろうとか頼み事されたり~なんとなく
気づいたら一緒に居るだけで 俺は付き合ってるって自覚無いかも」

No.55 10/03/19 01:10
夕焼け雲 ( PpQK )

「そんな事言ったら
由香傷ついちゃうよ❗
まさか言ってないよね⁉」


「言ったよ⁉まずかった⁉だってアイツ強引過ぎて俺疲れちゃったんだよね。なんでもかんでもアイツの思い通りにならないと泣くしワガママだし、女って面倒くさいなぁって」


「酷いなぁ~。女をヒトククリにしないでよ。好きだからって事じゃないの⁉」


「でもさ~、俺の都合とか気持ちとか考えないで土足でズカズカされる身にもなれよ。
俺は自分を失ってまでアイツと付き合えないよ」


(そうなんだ…)


無言の時間が流れた

No.56 10/03/19 01:18
夕焼け雲 ( PpQK )

「お~い❗」


後ろから声がした

思わずりゅうから離れた


「珍しい組み合わせだな❗
そうでもないか(笑)」


幼稚園から一緒の
孝太


少しホッとした


孝太なら別に変な事
考えないし
勘繰られない仲だって知っている


「三人で歩くのも久しぶりだな」


ほんと…久しぶり

なんか懐かしい気持ちと嬉しさで涙が出そうだった

夜で良かった


孝太が来てくれて
良かった


ぎこちない空気から一変
笑い声絶えない帰り道に変わった

No.57 10/03/19 07:51
夕焼け雲 ( PpQK )

小さい頃はこうやって
男とか女とか
そんな事意識しないで
毎日当たり前に
じゃれたり喧嘩したり
でもそんな当たり前の生活から
意識したのはいつからなんだろう


孝太とりゅうが前を歩いて
その後ろを私が歩く

あんなに小さかった
二人が
今では私より俄然大きい

なんか不思議だなぁ


私はこの二人から
変わったと思われてるのかな

No.58 10/03/19 07:57
夕焼け雲 ( PpQK )

「じゃあなぁ⤴おやすみ」

孝太が振り向き手を振った


私達の🏠より手前の団地に住んでる


「またね⤴おやすみ」

孝太は私達を小さかった頃と変わらず
付き合ってくれる

りゅうもそうなのかな

いいのか悪いのか
解らなくなってきた


🏠に着き二人で入る時
急に意識してドキドキしてしまった

意識してるのは私だけ

りゅうは笑ってお母さんに

「おばさん❗ただいまぁ~❗」

と我が家の様に寛いでいた

No.59 10/03/19 08:02
夕焼け雲 ( PpQK )

夕御飯はお母さんが
奮発したのか
得意料理が並んだ


まるでお誕生会並みだ

りゅうはテンション上がりまくりで
怪獣の様に食べていた

🏠にはこうやって
ガツガツ食べる男の子が居ないから

お母さんは喜んでいた

食事が終わり
りゅうに先にお風呂を勧めた


りゅうはお風呂に

私とお母さんは
りゅうが寝る部屋に
布団の仕度をした

No.60 10/03/19 08:09
夕焼け雲 ( PpQK )

「すみません。ありがとうございます❗」

りゅうがお風呂から上がって二階に来た

お風呂上がりのりゅうを見て何故かドキドキした


(普通ドキドキするのは男の子だろ)


りゅうを見れずに
下に行く


お母さんがメグもお風呂に入りなさいと二階から言われ
渋々入った


私が意識してどうすんのよ❗


りゅうの入ったお風呂に
私も入り
一人逆上せる位入っていた

No.61 10/03/19 08:15
夕焼け雲 ( PpQK )

「お前随分長いな」


りゅうが私の部屋に居た


部屋のテーブルで
塾の宿題をしてる


私はパジャマ姿で
あたふたしながら
上着を探し着た


りゅうは黙々と勉強していた


どうすべきか仕方なく
私も勉強を始めた


「ラジオ掛けていい⁉」


沈黙が嫌なのと
私はいつもラジオ掛けながら勉強していた


「あぁいいよ❗俺もいつもそうしてるから」

ラジオをつけると
なんだか不思議と自然になった

No.62 10/03/19 08:20
夕焼け雲 ( PpQK )

「ちょっと飲み物持ってくるね。」

そう言って一階に降りてココアを作った


お父さんが帰ってたので
りゅうを呼び挨拶して
また部屋に戻った


しかし🏠の両親は
私とりゅうが幼なじみだからといって
全く心配無いの⁉


そんな疑問を持ちながら
二階に上がった

No.63 10/03/19 08:25
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは私の部屋で
アルバムを見ていた


小さい頃からの写真を見ては
大爆笑していた


あの頃こうだったとか
別の中学に行った
友達の話など
懐かしい話を永遠としていた


卒業式の写真を見ながら
りゅうが言った


「俺の記念日」

No.64 10/03/19 08:32
夕焼け雲 ( PpQK )

「記念日⁉」


私も同じ事を思っていたが…
りゅうがどういう意味の記念日だかわからない


「何の⁉」


あえて聞いてみた


「俺の初恋記念日」


「え⁉」


どういう意味で言ったのか…
動揺してる私


「メグとキスしたの忘れた⁉」


(忘れる訳ないよ❗

私の大切な記念日だもの)


首を振るのが精一杯


アルバムを捲りながら
りゅうは言った


「俺メグが好きだったよ」

No.65 10/03/19 08:41
夕焼け雲 ( PpQK )

衝撃的過ぎて

何も言葉が出ない


少し沈黙が続き
りゅうが話した


「メグは俺にキスされて嫌だったか⁉」


頭がグルグル回ってる

どう答えるのが正解か
どんな難問の数学より難しい


でも素直に言いたくて当時の気持ちを伝えた

「メグもりゅうが好きだった」


「だったって過去形で何か寂しいよなぁ」


(進行形だよ❗

でもそれは言えない)

No.66 10/03/19 08:46
夕焼け雲 ( PpQK )

何だか向き合うのが
急に恥ずかしくなって
自分の机に座ってしまった

りゅうは黙々とまた
宿題をやりだした


ラジオから流れる
音楽だけが
二人の耳に入っていた

時間は一時近かった

No.67 10/03/19 08:57
夕焼け雲 ( PpQK )

冷静に考えたら
お互いあの頃は好きだったんだ


じゃあ何で付き合え無かった⁉


そう…私が避けたせい

メグが好きだった


その言葉の意味は
お前に振られたの意味

何であの時避けたのか
情けなくて涙が出そうになった


「そろそろ寝るよ💦
明日また宿題しよう」

私がりゅうに言った


「うん。じゃあ明日なぁ⤴おやすみ。」

りゅうは片付けて
部屋に戻った


私は涙が止まらなかった


こんな形でりゅうの気持ちを知って
自分の愚かさと
情けなさに泣くしか無かった

小学生のりゅうには
精一杯のアピール

バカな私


布団に入って
ずっと泣いていた

No.68 10/03/19 11:18
夕焼け雲 ( PpQK )

次の朝

腫れた目を冷やす為
りゅうより早く起きて

アイスノンを取りに行き
目を冷やした


両親は朝食を済ませ
寛いでいた


二階に戻り
着替え ひたすら
目を冷やした


りゅうが私の部屋を
ノックした


「おはよう⤴ん⁉
どうしたん⁉」


「ちょっと目が痛くてね…大丈夫だよ」


切なくて泣いたなんて言えない


「腹減ったわ(笑)」


思わず吹き出してしまった

「食べてこよう」

二人で下に降りて
朝食を食べた

りゅうは朝から三杯


それでも遠慮したのかな⁉


なんだかその姿が
可笑しくて楽しくて
ずっと笑っていた

No.69 10/03/19 11:28
夕焼け雲 ( PpQK )

二階に戻り

私の部屋にりゅうと
入った


なんか自然な感じが
心地よい


昨日の宿題を持ち寄り
勉強を始めた


りゅうは学年で
10位に入る位頭がいい

私は…聞かないで😭


りゅうは高校に
この近くにある
有名公立高校志望らしい

りゅうなら入れる✌


でも塾の模擬では
まだ足りないらしい


私なんかその下の
その下の下の…(笑)


頑張らねば(泣)


ちんぷんかんぷんの問題を
ひたすら向かう
姿を見て

りゅうは笑っていた

No.70 10/03/19 11:36
夕焼け雲 ( PpQK )

「お前の顔めちゃくちゃ
しんどそうだよ」


(;□;)!!


「笑わないでよ💦
頑張ってるんだから」

(≧∇≦)(≧∇≦)


「わからないなら教えてやるよ(笑)」


「うわぁ助かる(;_;)」


りゅうが細かく説明してくれて
一つ解くのに時間が掛かったが
凄くよく理解出来
助かった


「よし❗終わり➰❗」

バタ~ンとりゅうが
大の字に寝転がる
私も思わず大の字に
寝転がった

No.71 10/03/19 11:40
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうがウトウトした
寝息を感じ

毛布を掛けてあげた


私は下に降りて
ココアを作った


お父さんはゴルフに
出掛け
お母さんは庭で花を
手入れしていた


「りゅう勉強して疲れちゃったみたいで
寝ちゃったよ(笑)」


『じゃあゆっくり休ませてあげなさい』


私はリビングで
ココアを飲んだ

No.72 10/03/19 11:51
夕焼け雲 ( PpQK )

泣いたせいか
私も眠くなり

リビングのソファーで
うたた寝してしまった


階段から足音がして
目が覚めた


「寝ちゃった(笑)悪い悪い」


『あらりゅうくん。
ゆっくり休んでいいのよ❗』

お母さんが言う


『私これから買い物行ってくるから留守番お願いね~。』


お母さんは身支度をし
買い物へ出掛けた

No.73 10/03/19 12:02
夕焼け雲 ( PpQK )

「ココア飲む⁉」


「うん。ありがとう」

私はキッチンに行き
ココアを二つ作った


りゅうはピアノを
ポロンポロンとイタズラしていた


「なぁ⤴ピアノ弾いてよ」


ココアを渡しながら
りゅうに言われた


「いつも聴こえてるでしょ⁉
下手なのが」


「アハハ❗いつも同じ所でつっかえるから
ガクってなるや(笑)」

「酷いなぁ😣

益々弾きたくないわ」

「いつもの弾いてよ」

この所毎日弾いてる
ショパン

少し緊張しながら
弾き始めた

人前で弾く事に慣れてるはずなのに
りゅうの前では
凄く緊張した


それでも気持ちを込めて弾いた


弾き終わって
恥ずかしくなり
笑って誤魔化した


「やっぱり落ち着くわ」


りゅうが言った


幼稚園の頃からずっと私はピアノを弾いている

そのピアノを聴いてきたりゅう


下手なりにりゅうは
私のピアノを誉めてくれた

No.74 10/03/25 12:27
夕焼け雲 ( PpQK )

『ただいまぁ~。』


お母さんが帰って来た

買い物袋いっぱいと
ケーキを買ってきたようだ


紅茶を入れて
三人でケーキを食べた

お母さんが一人はしゃいでりゅうと話してた

食べ終わって
散歩でも行きなさいと追い出され

仕方なくりゅうと
外を歩いた


あまり二人で歩いてるねを人に見られたら
嫌だなぁなんて思いながら…

りゅうは図書館に行く道を歩いて行った

No.75 10/03/25 12:32
夕焼け雲 ( PpQK )

図書館に行く手前

私達が卒業した
小学校がある


「入る⁉」

りゅうが指を指し
どんどん入って行く


訳も解らず小学校に入る


たった数年なのに
小学校が小さく感じる

そういえばりゅう
六年生から随分身長が伸びた

同じ位だったのに
今は見上げる高さ


なんだか不思議


りゅうは体育館の近くに走って行き
私を呼んだ

No.76 10/03/25 12:39
夕焼け雲 ( PpQK )

「ちょっと来いよ。」

なんでこんな場所にと思いながら
裏に回った時

りゅうが私の手をとった


「何❓」


びっくりして思わず
声がうわずった


「どうしたのよ❗」


りゅうが手を離さないのでどうしていいか
解らず

何度も同じ事を聞いてしまう


「どうしたのよ❗」

No.77 10/03/25 12:46
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが私を抱き寄せた


心臓が飛び出しそう


しばらく時間が過ぎていた


長く感じたのは私だけだろうか


手は垂直のまま

どうしていいか


抵抗すると
りゅうがまた強く
抱き寄せる


「痛いよ💦💦」

「あぁ❗ゴメン…。
なんかこうしたくてさ…メグを…ゴメン…」

「ちょっと…💦💦」


一旦りゅうを押し退けて
ドキドキを落ち着かせた

No.78 10/03/25 12:53
夕焼け雲 ( PpQK )

私の頭の中に
由香がよぎる

りゅうは❓

でも聞いたらシラケそう

私はどうしたい❓


りゅうはどうしたい❓

頭の中でグルグル回る

「学校出ようよ…。」

私はそう言うのが
精一杯だった


りゅうは少し恥ずかしそうに歩いた


「なぁ川行かねぇ❓」

また急な展開😣


「いいよ(笑)」


なんか変な空気になるのも嫌だし
笑ってまた歩き出した

No.79 10/03/25 13:13
夕焼け雲 ( PpQK )

河川敷のサイクリングロード


よく小さい頃から
家族で歩いた


野球をしてる子供達
家族でピクニックをしたり

ほのぼのした日曜を
送っている


風が気持ちいい


橋の下に行き
りゅうが川に石を飛ばした


「私も得意よ(笑)」


私も石を飛ばす


二人でいつの間にか
夢中になっていた


なんだか幸せだった

No.80 10/03/25 13:18
夕焼け雲 ( PpQK )

「なにやってんの❓」

誰かが私達に向かって叫んでる


同じクラスのみっちゃん


そういえば🏠が近辺だ


由香と同じ小学校だった


そんな事を咄嗟に考えてしまう


りゅうは知らん顔して石を飛ばしてる

No.81 10/03/25 13:23
夕焼け雲 ( PpQK )

「あれ❓メグはりゅうと…あれなの❓」


みっちゃんそこ聞く⁉

シドロモドロな私💦💦

「いや…偶然会って…帰るの…」


そう言うしかなく
みっちゃんと帰ろうとした


りゅうが
不機嫌そうに

「俺も帰る」


私達の後ろを着いて来た


どうすりゃいいの(汗)

No.82 10/03/25 13:47
夕焼け雲 ( PpQK )

なんだか気まずい
空気は流れまくり


みっちゃんは
私とりゅうを少し疑っている眼差しだった


「私の🏠ここだから」

みっちゃんは直ぐに
帰ってしまった


明日何か言われそうな感じがして
幸せ気分から一転


困惑気分だった

No.83 10/03/25 15:31
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは私の前を歩き

「俺と居るのまずかった⁉」


(それ私のセリフだよ🔥)


「いや…由香に知れたらマズイでしょ」


「いいんだってば」


(りゅうが良くても
由香の怒りは見えるよ)


何だか複雑な思いで
家路に着く


「メグ❗俺の🏠来いよ」


「え⁉」


りゅうは自宅を開け
私を見た


なんで⁉⁉⁉⁉


私の🏠に入れば
いい事じゃん……。


思わず周りを見てしまう私


ドアを静かに閉めた

No.84 10/03/25 15:39
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうのお母さんが
法事で留守にするから私の🏠に居たのに

留守の所に私が
上がるのって
マズイでしょ😣


ドキドキしながら
りゅうに着いていく



久しぶりのりゅうの部屋は
小学生の時とさほど変わらなかった

あえて言うなら
本や参考書が増えて
ユニフォームやグローブが無造作にあって
男臭さもある



りゅうは自分の机の椅子に座って
私は床に座った

No.85 10/03/25 15:50
夕焼け雲 ( PpQK )

机には
変わらず小学校の卒業式の私との写真がある


嬉し恥ずかしで
見ないフリをしていた

「おばさん心配してるかな(笑)」

「まさか前の🏠に居るなんて思ってないだろうね(笑)」


笑わないと何か
緊張しまくって
ひきつり笑いしていた

「俺さぁメグが今でも好きだよ」


「…………。」


「それだけ言いたかった。」


私は黙っていた


由香に殺される事より嬉しかった方が勝っていた


気づいたら
泣いていた

No.86 10/03/25 15:55
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが近付いてきた

「私昨夜…りゅうの事避けてた自分に情けなくて…申し訳無くて…泣いていたの…。
りゅうの気持ちを確かめるのも怖かったし…中学に入ると
色々違ってきたり
小さい頃と違って…。

りゅうを好きだったのは私だし
今も変わらないのは
私も同じ…。」

No.87 10/03/25 15:59
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは私を抱き寄せた



「良かった(笑)」


恥ずかしくて笑ってた

小さい頃は手を当たり前に繋いだり
🏠を行き来出来たのに

またそうなれるかは
お互いがしっかりしないとね


誰に何を言われても
大丈夫だよね


そう約束した

No.88 10/03/25 16:02
夕焼け雲 ( PpQK )

「そろそろ戻ろうよ(笑)ご飯の手伝いしなきゃ(笑)」



「今日何だろう(笑)」

りゅうは食欲モリモリ

イチャイチャモードはすっかり無くなり
りゅうの🏠を出て
自宅に二人で戻った

No.89 10/03/25 16:06
夕焼け雲 ( PpQK )

キッチンから
いい匂いがしてる


「ただいまぁ~」


『お帰り~、何処まで行ってたの❓ご飯出来たわよ』


「すんません(笑)
お腹すいたぁ~(笑)」

三人で
爆笑(笑)(笑)



りゅうは相変わらず
遠慮なく食べまくっていた
その姿がたまらなく
愛しかった

No.90 10/03/25 16:10
夕焼け雲 ( PpQK )

リビングで家族とりゅうで📺を観ていた


お父さんも帰ってきて
りゅうと高校の話や
野球の話で盛り上がってる


私は台所で片付けしながら
ニヤついてしまった


何だかさっきの告白を思い出し笑い



お父さんお母さん
びっくりするだろうなぁ~なんて思っていた

No.91 10/03/25 16:24
夕焼け雲 ( PpQK )

ピンポ~ン🎵



「お袋だよ(笑)」


りゅうのお母さんが
お土産片手に
りゅうを迎えに来た


「お世話になってすみません~。」


りゅうは私と
両親に向かって

「ご馳走になりありがとうございました」

と丁寧に頭を下げた



「じゃあまた明日」


「おやすみ✨」



昨日と今日の二人の違った瞳は
誰か気付いただろうか

No.92 10/03/25 16:28
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝


学校へ向かうりゅうが見えた


声を掛けられず
結局学校に着いた


朝練を終えて
今日一日
りゅうとは何も話せず帰宅した

No.93 10/03/25 16:34
夕焼け雲 ( PpQK )

土日の事は夢だろうか


☎が鳴った


りゅうだった


「どうしたの⁉」


「声聞きたいから(笑)」


ちょっとホットしてる私


「夜塾の帰り待ち合わせしようよ」

りゅうが言った


「こないだと同じ時間なぁ❗」

「わかった✨」


夜まで塾の宿題と
学校の宿題に奮闘した

No.94 10/03/25 16:38
夕焼け雲 ( PpQK )

こんな日々が当たり前に続いて
トラブルはやっぱりあった


由香は部活中
私を呼び出し
りゅうの事を聞いて来た


私をビンタで張り倒したり
髪を引っ張り回したり
りゅうを返せと
怒鳴られた


私は何をされても
言われても我慢した


だって私は由香に嘘をついたから
この仕打ちは当たり前

何をされても耐えた

No.95 10/03/25 16:42
夕焼け雲 ( PpQK )

抵抗しない私に
由香は泣いていた



私はゆっくり由香に言った



「りゅうを好きな事
隠しててごめんなさい…。由香もりゅうが好き…りゅうときちんと話して欲しい。
由香が納得するまで…りゅうと話して。」



私の本心を伝えた



由香は泣きながら
行ってしまった

No.96 10/03/25 16:47
夕焼け雲 ( PpQK )

身体はあちこち痛く
血も出ていたので
先生や周りにバレない様に

タオルで顔を隠して帰った


お母さんにバレない様にコッソリ🏠に入った


幸いお母さんは台所で料理に夢中で
遠くから

「メグなの⁉おかえり~」


口を切った私は

「ただいまぁ」


と小さい声で応え
二階に上がった

No.97 10/03/26 17:26
夕焼け雲 ( PpQK )

私はりゅうが好き


伝えて良かったのだろうか…


明日学校で部活で
どうしたらいい❓


りゅうの気持ちも
実際由香に責められたらわからない



由香を傷つけ



私達は付き合えるのだろうか


変化が怖い

No.98 10/03/26 17:29
夕焼け雲 ( PpQK )

下からお母さんが
ご飯だと呼んでいたが

寝たふりをしていた


塾も無いし部活で疲れてるからと
布団被っていた


両親が寝静まり
下に降りてお風呂に入りご飯を食べた


りゅうに今日の事
話した方がいいのか
でもこの顔は見せられない
これ以上由香を
傷つけたくない


だから言わなかった

No.99 10/03/26 17:33
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日

家族と顔を合わせない様に
朝早く出掛けた


傷はどうにか誤魔化すしかない


部活に行かないと…


足が重かったが
部室に入った


ざわついた空気だった

No.100 10/03/26 17:36
夕焼け雲 ( PpQK )

由香部活辞めるんだって…


部長が言った


私のせいだ


由香は先生にも先輩にも皆から期待されてるだけに
かなり厳しいと揉めてる


私の事で…知ってる人はどれくらい居るのだろうか


顔をあげる事も出来ず部室を出た


由香に謝らねば


それしか出来る事が
なかった

No.101 10/03/26 17:40
夕焼け雲 ( PpQK )

由香は学校を休んでいた


りゅうに話すしか無い

部活を休み
りゅうの下駄箱に
由香が大変だからと
メモを残した

りゅうが川原に来たのは部活を終えた
もう夜になりかけの時間


りゅうに由香と話す様頼んだ

No.102 10/03/26 17:53
夕焼け雲 ( PpQK )

夜だったので
傷は見えなく
あまりりゅうを見なかったので

昨日の暴力は伏せて
私の気持ちを伝えた事
由香が傷ついている事を話した


「ごめんなさい…。」

謝るしか出来ない


部活の話をしたら
それは俺と関係無いと言われたが
由香の実力が無いと困るから
私が辞めるから考え直して欲しいと頼んだ


それもおかしいと
りゅうは言った


とにかく由香と
ちゃんと向き合って
話して欲しいと頼んだ

No.103 10/03/26 18:06
夕焼け雲 ( PpQK )

由香とりゅうが
ちゃんと向き合って
話したのは
それから一週間過ぎた週末だったらしい



りゅうと由香が
どう話したかはわからないが

次の週の月曜から
由香は学校に来て部活も出ていた



私とは全く話さず
無視に近い時間だったが
そんなの構わなかった


皆が由香を必要とし
喜んでワイワイしてる光景が嬉しかった


私は黙って一人
着替えて帰った

No.104 10/03/26 18:11
夕焼け雲 ( PpQK )

あれ以来
私はりゅうと話さず
塾の帰りも
別々に帰った


それぞれが考える時間

暗黙の了解だったと思う


寂しいというより
人を好きになる難しさや
傷ついたり傷つけたりが怖かった


きっとりゅうも
同じだったと思う

No.105 10/03/26 18:17
夕焼け雲 ( PpQK )

私達は結局それ以来


全く接点が無くなって事情上
お向かいさん
それだけの関係になった


中2の恋は
一瞬に咲き散った

No.106 10/03/26 18:24
夕焼け雲 ( PpQK )

中学最後のクラス替え

りゅうと同じクラスになってしまった


お互い目が合わせられない…


この先一年
どうすればいいのだろう…


りゅうは友達と楽しそうにじゃれていた

No.107 10/03/26 18:31
夕焼け雲 ( PpQK )

受験モードまっしぐら

りゅうも勿論その中に居て
毎日机から離れず
勉強していた


私は第一希望をどうするか悩んでいた


一学期の面談時
今の志望校は厳しいと言われた

部活もまだしていたので思うように
勉強も捗らない


それは言い訳
単純に頭に入らない



ランクを下げるか悩んでいた

No.108 10/03/26 18:36
夕焼け雲 ( PpQK )

夏休みで部活は引退


本気モード全開


私は一人焦ってた


塾も朝から晩まで


クタクタの毎日だった

塾の友達が皆天才に見えた

No.109 10/03/26 18:39
夕焼け雲 ( PpQK )

修学旅行や体育祭
合唱コンクール


中学最後の行事が
次々と終わっていく


2学期の面談では
志望校ギリギリ行けるラインだった


私は曲げずに
第一志望を受けるつもりでいた

No.110 10/03/26 18:43
夕焼け雲 ( PpQK )

お正月の参拝


絵馬に合格祈願を書き
お願いした


密かに
りゅうも合格しますようにと

お願いした


御守りを二つ買い


机に閉まった

No.111 10/03/26 18:50
夕焼け雲 ( PpQK )

私立受験日


滑り止めの学校


比較的楽に
テストも面談も
終わった


大丈夫だと確信した


本番はこれから


🏠に帰って
また勉強の日々が続いた

No.112 10/03/26 18:53
夕焼け雲 ( PpQK )

私立合格発表


合格した


すぐに公衆電話で
お母さんに☎した

凄く喜んでた


学校に帰り先生に報告

続々と友達も合格報告に来ていた

りゅうも合格したと
耳にした


良かった


ホッとした

No.113 10/03/26 18:56
夕焼け雲 ( PpQK )

公立受験日


長い一日だった


手応えは


かなり不安…


足取り重く家路に着いた


私立の時の顔と違う
私に

お母さんは触れずにいてくれた


受験の話は全くせず


📺の話題を無理矢理していた

No.114 10/03/26 19:04
夕焼け雲 ( PpQK )

発表日の朝


行きたくない気持ちでいっぱいだった


渋々起きて🏠を出ると
りゅうが居た


駅まで一緒に行こうと言った



りゅうと話さなかった
あの日から
タイムスリップしたように

自然に肩を並べ歩いていた



「夕方俺の🏠に来て」

🔥🔥🔥🔥



(結果によっては厳しいなぁ(泣))


駅で分かれ
りゅうは同じ高校のメンバーと
行ってしまった


私も同じ高校のメンバーの中に並び
電車に乗った

No.115 10/03/26 19:09
夕焼け雲 ( PpQK )

合格発表も気になったが

私はりゅうと二人で
逢う事で
動揺しまくってた



落ちてたら恥ずかしいなぁとか
どう話そうとか
体裁ばかり考えた


とうとう高校に着いてしまった

No.116 10/03/26 19:15
夕焼け雲 ( PpQK )

人だかりのボード前は
歓喜の声や
項垂れてる人で
ざわついていた


番号を確認し
ボードを見た


私の番号があった


めちゃくちゃ嬉しかった


すぐお母さんに連絡し
学校に戻った

No.117 10/03/26 19:24
夕焼け雲 ( PpQK )

私の気持ちは喜びと共に

りゅうと話せる事に
向かっていた


自宅に帰り
喜んでいるお母さんを見ながら


「ちょっと今日用事あるから
遅くなるよ」

と伝えた


受験が終わって
解放され
ある程度のワガママも今は許される


お祝いは明日
そう決まった


部屋に戻り
制服がいいのか
私服がいいのか
散々悩み

結局制服のまま
かなり早く出掛け
一時間位時間を費やし
りゅうの🏠に行った

No.118 10/03/26 19:31
夕焼け雲 ( PpQK )

ピンポ~ン🎵


中から階段を降りる音がして
りゅうが出てきた


「おぅ❗」

そう言って入る様
促された


りゅうのお母さんは
働いていて
居なかった


「良かったな高校」


「あぁ❗ありがと」


そういえばりゅうは❓

「俺は…」


沈黙があり


「余裕😏」


ひぇ~💦💦
ちょっとドキドキしたわ😭😭


「おめでとう(笑)。エリート
まっしぐらだ(笑)」


ホッとして力が抜けた

No.119 10/03/26 19:34
夕焼け雲 ( PpQK )

「これ❗今更だけど(笑)…」


ポケットから
合格祈願の御守りを
りゅうに渡した


「二つ買ったの。
りゅうのもちゃんと
願い事叶えてくれた」

りゅうは御守りを手に取り


「ありがと」


と言った

No.120 10/03/26 19:49
夕焼け雲 ( PpQK )

「あの事から今まで…何かごめん…俺の中でどうすればいいか解らなくなって…友達と
それ以上の付き合いの難しさがあって…
今度はメグを傷つけるのかなとか思って…
怖かった…逃げたんだよな俺は…」


私は黙って聞いていた

「受験が終わるまで…メグと付き合ってはいけないって…勝手に決めて今まで来た…
メグに言われて…自分と向き合って…メグと向き合う為に勉強した…。


絶対合格して
メグと向き合いたい

それが今日


落ちてても
向かい合いたかった


お互い合格してて
ホントに良かった」

No.121 10/03/26 19:56
夕焼け雲 ( PpQK )

「俺何気にいつもメグを目で追ってたぜ(笑)…ずっと…」


「私も感情と気持ちがバラバラになって
色々苦しかったよ…
りゅうを思わない様に…それも苦しかった。

でも誰のせいでもなく
自分が選んだ道なの


だから悔しいとか
悲しいとかじゃなく
そっと見てるのも
楽しかった


同じクラスになって
やっぱり神様は
繋いでくれたぁ~


そう思ったもん


今日みたいな時間を
くれただけで
私は十分なの❗」

No.122 10/03/29 15:24
夕焼け雲 ( PpQK )

「じゃあ俺もメグも
あの頃のまま、変わらない気持ちなんだよな❓」



「うん(笑)…」


「よかったぁ❗」


「今夜クラスのグループとお祝いするんだわ~。メグも来いよ。
ほらいつものつれ仲間だからいいだろ❓」


男女10人位のグループは私も時々お邪魔して遊んで貰ってた


ただりゅうが居たから何かにつけて断ったりしていた


「うん❗じゃあ着替えて行くわ❗」


そう言って
部屋を出ようとした

No.123 10/03/29 15:58
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうに引っ張られ
抱きしめられた


りゅうは時々強引だけど…
そんな所も好き


色々過去が巡り
お互いが強く抱きしめあっていた


「そろそろ支度しなきゃ」


りゅうが私の顔をあげてキスをしてきた


子供の頃と違う
少しだけ大人になりかけのキス


りゅうは何回も何回も
私にキスをした



「恥ずかしいよ…」




りゅうはずっと私を抱きしめた

No.124 10/03/29 16:09
夕焼け雲 ( PpQK )

🏠に帰り
お母さんの顔も見れずに二階に上がった


胸は高まり
落ち着かなかった


りゅうに一緒に行こうと誘われたけど
友達に聞いてから行くわと答えた


友達に☎すると
あと一時間で待ち合わせするから
駅前に来てと言われた

皆私服なので
服選びに必死だった


女の子チックな
白のワンピース✨✨
りゅうはどんな恰好かな…(笑)


髪を巻き大人っぽく
してみた


『また出掛けるの❓』

お母さんがチェックしに来た


「クラスのグループでお祝いの集まりだって❗誘われたから行ってくるね」


「あんまり遅くならないでね…気をつけなさいよ」


「わかった(笑)行ってくるね❗」



コートを着てブーツを履き🏠を出た

No.125 10/03/29 16:23
夕焼け雲 ( PpQK )

ちょっと遅くなりそうなので
走らなきゃ💦💦



近道をしたけど
あまり変わらない⁉⁉


駅前には
見慣れたメンバーが
集まっていた


「メグ❗」


亜稀が私に声かけてくれた


「なんか皆いつもと違う~(笑)(笑)」


みんな解放されて
薄く化粧したり
私服のせいか大人びて見えていた


男子は…
あまり変わらないかな(笑)(笑)



そんなもんよ❗(笑)



りゅうの顔が見えて
目配せしたら
りゅうが笑っていた



「みんな来たから
これから准の🏠で
パーティーする事になってるんで~
会費を集めま~す」


准の🏠は洋食屋さん


私は初めて行く


貸し切りにしてくれたらしい


「じゃあ行きま~す」

ぞろぞろと男女10人
駅前から歩き出した


リーダーの准と
盛り上げ役の健


男子は女子が気になってるみたいで
なんか微妙にそれぞれバランス取りながら
歩いていた

No.126 10/03/29 16:31
夕焼け雲 ( PpQK )

准の店に着いた所で


健が

「男女くじ引きで
テーブルに座って下さい」


なんで⁉


なんか合コンみたい(笑)


順番に健達が作った
くじを引いて


私は三番テーブルに座った
もう一人女子は
麻里だった


男子は
安部っちとイッシ~


「名簿順かよっ(笑)」
麻里が突っ込んだ



りゅうは一番テーブルに座っていた



「じゃあそれぞれ
色々盛り上がって食べてくださ~い(笑)」


よくわからないくじ引きだったが
まぁ決まってた方が
ゴタゴタしないで
よかったんだなと
納得し


准のお父さんの作ったフルコースを
同級生割り引きの千円で堪能させて頂いた

No.127 10/03/29 16:37
夕焼け雲 ( PpQK )

食事もデザートになり

健が急に立ち上がった

「今日は合格パーティーだけど、まだ来れなかった人達も居るので、卒業パーティーと合同で次回もこの皆と
集まりたいと思いま~す(笑)。

場所や会費又は何か案があったら俺に伝えて下さい」


拍手喝采で盛り上がった

No.128 10/03/29 18:01
夕焼け雲 ( PpQK )

よく見ると
食事が終わってから
それぞれ席を替えながら

仲良く話してる
カップルが増えた


いつの間に❓


いや…暗黙の了解で
この二人は出来てるでしょと噂のカップルばかり(笑)


私とりゅうも
周りからしたら
あの日から静かに噂はあったらしい


りゅうは私の隣りに来て

「さっきと随分違うじゃんか(笑)」

私の頭を指で小突いた

「どうよ❓(笑)」


「可愛い(笑)」


バカな会話で笑っていた


二次会はイッシ~の🏠でゲームをするらしく…帰る人も居たので
私も帰ろうとした


りゅうは私の手を引っ張り走った


「Bye-bye❗気をつけて(笑)」


皆が私達に冷やかし半分で叫んだ


りゅうは足も速いだけに私はキツかった


「走らなくていいじゃん…ハァハァ💦💦…」

足が止まり
息が切れてる私に
笑ってるりゅう


「このままどっか行きたいなぁ⤴」

りゅうが呟く


「ほんとだね⤴でも
補導されちゃうよ(笑)」


「そうだな❗」


「折角二人合格したのに補導されちゃヤバイな❗(笑)(笑)」


手を繋いで家路に向かった

No.129 10/03/29 18:05
夕焼け雲 ( PpQK )

「じゃあな❗おやすみ❗」


「うん(笑)おやすみ❗」


お互い左右の🏠に
帰って行く


「ただいまぁ」


お母さんは眠そうに
出てきて
話しも曖昧に
部屋へ消えた


私は二階の自分の部屋に行き
着替えた


今日は嬉しい事が
二つもあって
幸せな一日だった

No.130 10/03/29 18:13
夕焼け雲 ( PpQK )

卒業式までは
リハーサルや卒業制作の仕上げ
サイン帳を回して
毎日忙しかった


りゅうも野球部の
練習に付き合い
後輩を指導❓していた(笑)


私もバレー部に…

邪魔しに行ってた(笑)

どんどん寂しくなる
感情が増えてきた日々だった



部活でも
卒業生に対し
後輩がパーティーを
してくれた


勿論由香も来ていて
自分の胸が痛かった


由香はそんな事にも触れず楽しそうに笑ってメンバーや後輩と
話してた

No.131 10/03/29 18:22
夕焼け雲 ( PpQK )

卒業式


桜は蕾でまだ咲かないが
快晴で気持ちの良い
朝だった


制服も今日で最後


髪を整え
学校に向かった


100m先にりゅうが
見えたが
あえて声を掛けなかった


りゅうの学ラン姿
見て歩くのも
今日が最後


ずっとあれから
背中を見て歩いてた


もう既に泣きそうで
前が滲んだ

No.132 10/03/29 18:25
夕焼け雲 ( PpQK )

式は順調に進んだ

りゅうのお母さんと
私のお母さんは
並んで座っていた


卒業証書を貰い
合唱の時は
ほとんどの卒業生が
泣いていた

私も漏れなく号泣


教室は泣き声笑い声
皆目が赤かった

No.133 10/03/29 18:31
夕焼け雲 ( PpQK )

最後のホームルーム、

担任の先生も
泣いていた


初めての三年受け持ちに
感慨深かったらしい(笑)


さようなら❗


最後の挨拶は
みんな大声だった


全員廊下に並び
校舎を後輩が囲んで
歩いて門を出た


部活の後輩が
花束をくれた💐


色んな後輩が
好きな先輩達に駆け寄り
何かを渡したり
ボタンを貰ったり


私の制服のボタンも
後輩に取られていた(笑)

No.134 10/03/29 18:42
夕焼け雲 ( PpQK )

門で
卒業生が固まり
帰る人や
写真を撮る人


ごちゃごちゃした中
クラスのいつもの
メンバーが

「今日この後
このまま行くから30分後に
駄菓子屋集合❗」


それぞれが確認し
友達と写真を撮り
話してた


りゅうが私の肩を叩き

「写真撮ろうよ」


そう言って
亜稀に📷を渡し
撮らせていた(笑)

「くっついてぇ~(笑)」

亜稀は完全に冷やかし
りゅうと私を撮った


亜稀は📷を返し
す~っと消えていた


りゅうは私の目の前で第二ボタンを取り
私に渡した


「欲しいでしょ(笑)」

「他のボタン無いし~(笑)(笑)」


りゅうも取られて
第二だけは取られ無いように頑張ったみたい


「ありがと❗」



りゅうと二人で
駄菓子屋に向かった

No.135 10/03/29 18:47
夕焼け雲 ( PpQK )

駄菓子屋では
いつものメンバー
そして
気づいたら
男女ペアで
待っていた


今日はカラオケ店で
どんちゃん騒ぎらしい(笑)

パーティールームに
案内され

微妙な感覚で
それぞれ男女ペアで
座った


パーティーセット
らしい食べ物と
フリードリンク


次々と男子が歌いまくり
その後女子がメドレーなどで盛り上がった


三時間はあっという間に過ぎた

No.136 10/03/30 17:26
夕焼け雲 ( PpQK )

カラオケ店を出る時は
自然とペアになっていた

この後准の🏠に
流れる事になっていて一部ペアは帰って行った

「元気でね✨また逢おうね✨」


大声で
いつ逢えるかわからない約束に
切なく
別れを偲んだ



「さよなら‼」


残りは
半分くらいのペア


私も帰ろうと
りゅうに伝えたが
ノリに任せ
引っ張られた

No.137 10/04/07 21:24
夕焼け雲 ( PpQK )

准の🏠に行くと思いきや

りゅうは私の手を引っ張り
脇道に逸れた

りゅうは黙って
どんどん歩いて行く


私は引きずられ気味で
焦っていた


「どうしたの⁉」


りゅうは黙ってる


20分位歩いただろうか…

りゅうがある🏠の前で止まった

No.138 10/04/07 21:29
夕焼け雲 ( PpQK )

「誰の🏠⁉」


「従兄の部屋」


どうやら一人暮らししてるらしい


「なんでここに⁉」


「留守番頼まれたんだよ…春休み旅行で居ないからって…。」


「それで…入るの⁉」

りゅうは頷いた



私はりゅうの手を放し今来た道を戻った



「メグ❗待てよ❗」



私は泣いていた
涙が止まらなかった
何でか…たまらなく
悲しかった

No.139 10/04/07 21:34
夕焼け雲 ( PpQK )

「勝手に引っ張ってごめん…
でも留守番はホントに頼まれたんだ」


「だったら先にそう言ってくれたら…それに知らない人の🏠は上がれないよ(;_;)」


「そうだよね…ごめん…」


りゅうはどういうつもりなんだろうか…
なんとなくいつもの
りゅうと違い
嫌だった


なんでも話し
甘えたりふざけたり
自然にしてきたのに


今のりゅうを見れない

何かが崩れそうで
怖かった

No.140 10/04/07 22:05
夕焼け雲 ( PpQK )

「ごめん…
二人になりたくて…」


私はずんずん前を歩いた


りゅうはそれから
私の後ろを黙って歩いた



踏み切りに差し掛かり電車を待っていた


二人並んで
右から電車が来た時


私はりゅうに抱きついていた

No.141 10/04/07 22:09
夕焼け雲 ( PpQK )

遮断機が上がっても
ずっとりゅうと
抱きしめあった


夜だったのと
人気も無かったのと
なんだか
怒ってしまった自分と

恥ずかしさと



嬉しさもあった



いつもりゅうは
私を大切にしてくれた



だからちょっとびっくりしたけど
私もりゅうを求めてたと思う



りゅうとずっと一緒に居たい

No.142 10/04/07 22:17
夕焼け雲 ( PpQK )

夜の風が心地いい


りゅうはずっと謝っていた


私もずっと謝っていた

私からりゅうにキスをした


りゅうはずっと私を抱きしめてくれた


どのくらい時間が経っただろうか…

🏠に向かって歩いていた

りゅうはしっかりと
私の手を握りしめ
笑っていた

No.143 10/04/07 22:23
夕焼け雲 ( PpQK )

🏠の前で
りゅうが言った


「明日逢えるか⁉」


中学を卒業し塾や習い事は夕方から

特に何も無かったので
静かに頷いた


「明日何時でもいいから俺の🏠来て❗
じゃあまたな❗
おやすみ」


りゅうは自宅へ入ってしまった


明日…


玄関を開けるお母さんの顔を
まともに見れなかった

No.144 10/04/07 22:52
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日


早朝から目が覚め
殆ど寝られなかった


もう一度寝ようと
ウトウトしたら
お昼近くになっていた

昼過ぎに行こうと
決めていた


お互い塾があるから
それまでの時間


あまりオシャレするのもどうかと
塾に行く事も考えて
いつもよりは
少しだけ女の子らしい👗を着た


りゅうの🏠の
インターホンを鳴らす

ドタドタと足音が聞こえ
りゅうが出てきた


「おぅ✋」


「お邪魔します」


りゅうが笑ってたので
緊張は無かった

No.145 10/04/12 22:37
夕焼け雲 ( PpQK )

「おばさんは仕事❓」
わかってたが
沈黙が怖くて
思いつく事を
どんどん話す


りゅうの部屋は少し片付けたみたいで
小綺麗になってた


サザンの音楽が流れ
何か雰囲気を作ってる感じがしたのは
考え過ぎかな(-_-;

No.146 10/04/13 00:01
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうがジュースを
取りに行った



何かドキドキが
伝わってそうで…
りゅうの顔を見れない

りゅうもいつもと
違う雰囲気を出してる

りゅうが上がって
部屋に入ってきた


トレーに
グラスとジュースと
お菓子が乗って


サザンの歌を
大袈裟に歌って
笑わせてくれた

No.147 10/04/13 00:16
夕焼け雲 ( PpQK )

「この休みの間
都合良ければどっか
行かないか❓」


りゅうが何気なく
旅行に誘ってきた


「どこら辺に❓遠く❓」


「お金の都合もあるしなぁ(笑)
でもお年玉おろせば何とかなるかな」


「海がいいなぁ✨✨
泳げないけど(笑)

サザンみたいな
茅ヶ崎とか湘南とか
江ノ島もいいかも」


「いいね‼
んじゃそこらへんで
ちょっと探してみるよ」


ジュースを飲みながら
二人のデートを想像するだけで
嬉しかった(笑)

No.148 10/04/13 00:27
夕焼け雲 ( PpQK )

「今日塾何時から⁉」


「6時‼」


そう私が答えると
りゅうが時計を見た


2時を少し回っていた

中学のクラスの
サイン帳を二人で
見ていた


りゅうの事を
皆どう見てたのか
興味津々だ(笑)


りゅうの友達の
共の所に
コメントがあった


(りゅうは俺の親友だから、高校に行っても俺の親友でいてくれよ~。そしてメグといつまでも仲良くな。)


凄く嬉しかった


りゅうが言った

「共はメグを好きだったと思うよ。
中1の時そう言ってたのを聞いた事あるから…。
でもそんな事を俺には告げず俺の心配や
悩みをいつも聞いて
くれた」


頷く私


私もその噂は知っていた
ただ小学校も違い
クラスも違ったので
噂だけで
本人から何も言われた事が無かった


りゅうの気持ちを
知っていたからかな


ありがとう
共くん


これからも
りゅうをよろしく

No.149 10/04/13 00:35
夕焼け雲 ( PpQK )

ルルルル … ルルルル…


突然☎が鳴った


りゅうが☎に走り
私はまた
サイン帳を一人一人
読んでいた


りゅうの足音が
ゆっくりになっていた

「どうしたの❓」


「何か親父が怪我したみたいで…今から病院来いだって」


「大変じゃない‼急がなきゃ‼」


りゅうは少し青ざめた顔で
支度を始めた


二人同時に玄関を出ると目の前に
お姉ちゃんが居た

No.150 10/04/13 00:40
夕焼け雲 ( PpQK )

「あれ⁉」


「こんにちは(^_^;)」

りゅうは色んな意味で焦ってたかも


「あの…りゅうのお父さんが今病院に居るみたいだから大変なのよ‼‼‼」


そう言い切って
りゅうを解放させた


りゅうは後ろ髪を
引かれながら
走って駅に向かって
いた


お姉ちゃんと私は
🏠に戻り
部屋に入ると
お姉ちゃんが
ズカズカと入ってきた

No.151 10/04/13 13:10
夕焼け雲 ( PpQK )

『りゅうくんと付き合ってるの❓』


ニヤニヤしながら
お姉ちゃんは探る


りゅうのお母さんに知れたら…まだお互い話してないから
とりあえず否定した


『まぁ初恋は実らないもんよ(笑)。黙っておいてあげるから』


そう言うと
部屋を出ていった


お姉ちゃんに見つかった事は
さほど心配無いが
りゅうのお父さんが
どんな状況か
それだけが知りたかった


塾に行かなきゃ
仕方なく準備して
🏠を出た

No.152 10/04/13 13:13
夕焼け雲 ( PpQK )

塾から帰っても
りゅうの🏠の灯りは
点いてなかった



そんなに悪いのかな⁉


ずっと窓辺を気にして
りゅうの🏠を見ていた
気付いたらウトウトして
勉強机で寝ていた

No.153 10/04/13 13:19
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝

お母さんに起こされた

いつの間にか
ベッドできちんと寝てる


『りゅう君来てるわよ』


飛び起きた時
私の寝起き顔は悲惨だった


洋服もそのままだったので
とりあえず着替え
寝癖を押さえながら
玄関に向かった



「悪い(笑)寝てたよね」


図星です


「ちょっとだけ表に出れる❓」


「うん…」


なんとなくりゅうが
暗い様に感じた


🏠を出て近くの公園に歩いていた

No.154 10/04/13 13:34
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが話すまで
待っていた


公園のベンチに座り

小さい子供達が遊んでるのを見ていた


こんな時代あったなぁ(笑)


「俺さぁ親父と離れて暮らしてたじゃん…
昨日病院に行ったら
足を複雑骨折してて
お袋が言うに
俺しばらく親父と
暮らせって…。

高校もなんとか通えるから…」


りゅうのお父さんは
私達の住んでる場所から

🚗で一時間位の🏠らしい


「そうなんだ…大変だね…何か手伝うよ」


「ごめんな…なんか
折角メグとこれから
堂々と居たかったのに…」


「私達別れるって意味❓」


りゅうが頭を振った


「離れる事が怖いよ。高校だって別々だし
逢える時間なんて
どうなのかなとか考えると…
ましてや今と違っちゃう…
なんか全て変わりそうで怖いな…」



「私逢いに行くよ…。☎もしたいし、声も聞きたい。まだお父さん退院しないだろうし
それまでは今と変わらないよね❓」

No.155 10/04/13 13:40
夕焼け雲 ( PpQK )

「そうだな(笑)
まだしばらく入院生活だから、お見舞いは
毎日行くけど
なるべくメグとの時間も大切にするよ」



そう言うと
私の手を取り
歩き出した



この手をずっと放したくない


お互いそんな気持ちだった


このまま時間が止まればいいのに…


春風に吹かれ
私達は🏠に向かった

No.156 10/04/13 13:45
夕焼け雲 ( PpQK )

「午後から親父の見舞いに行くんだ…だから夜また逢える❓」


「うん(笑)待ってるよ」


🏠の前でも堂々と
お互い手を放さなかった


「じゃあ夜☎するよ」

「うん❗じゃあまた」

それぞれ🏠に帰り
私は部屋に戻った


お母さんの足音が
聞こえた

No.157 10/04/13 13:54
夕焼け雲 ( PpQK )

「メグ❗りゅうくん何だって❓」



「あぁ…。りゅうのお父さん怪我して入院してるみたいで大変らしい…。」


『あらそうなの…。
お見舞い行った方が
いいのかしら…。

それより最近りゅうくんと仲いいのね(笑)』

どう答えていいやら
黙っていた


『メグは小さい頃からりゅうくん好きだったから、
すぐ判るわよ』

多分私は赤面してる



『ちゃんと二人で堂々と言えない付き合いなら、やめなさいよ』



お母さんは冷やかし半分釘差し半分
それだけ言って出ていった

No.158 10/04/13 14:07
夕焼け雲 ( PpQK )

私の部屋から
りゅうの部屋は見えない


おばさんは仕事に行ってるはず

今なら☎しても…


慌てて子機を部屋に
持ってきて
りゅうの🏠に☎した


「もしもし」


りゅうが出た


「私メグ❗あのさ…」

躊躇してる私


「どうした❓夜都合悪い❓」


「ううん…りゅうとの事お母さんが感付いて二人の口から聞かないと心配みたいで…。
りゅうはおばさんに言ってないでしょ❓」


不安そうに言うと


「俺はもう言ってあるよ(笑)メグは言ってないんだぁ❗
それって俺を認められてないみたいだなぁ」

いやいや(汗)(汗)


「私が先に言ったら
多分お母さんあれこれりゅうやおばさんに言いそうだから(汗)

それが心配でまだ言えなかったの」


「わかったよ。
じゃあ今日おばさんにメグと付き合う事話すから、待ってな」


「え~❗私自分で言うよ(^_^;)」


「でもおばさんはそれじゃ納得しないと思うから行くよ」


そう言うと☎が切れた

No.159 10/04/14 22:08
夕焼け雲 ( PpQK )

夜になり
塾から帰ると
りゅうが🏠の前で
待っていた


えぇ🆘今‼‼‼‼


今日は遅いから
明日にするって…(笑)


りゅうのお父さんは
麻酔が切れてから
しばらく辛そうな毎日の様だ


りゅうも少し疲れていたみたいなので
直ぐに🏠に入った



お母さんはニヤリッと笑っていた(~_~;)

No.160 10/04/14 22:12
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝


お母さんに何となく
今日りゅうが来る事を伝えた


何故か鼻歌を歌い
ご機嫌なのだ


まぁ結婚するわけでもないし
いつも見慣れたりゅうだけど
お母さんもりゅうを認めていたのは
前から知っていた


昼過ぎチャイムが鳴る

お母さんが玄関に向かった


私は部屋から出て
階段を降りた

No.161 10/04/14 22:20
夕焼け雲 ( PpQK )

「こんにちは‼」


りゅうは少しお洒落してる感じ(笑)


「いらっしゃい‼どうぞ~」


当たり前の様に
リビングに通す


りゅうは意外と落ち着いていて
私の方がドキドキしていた



「りゅうくん、お父さん大丈夫⁉」


話しはそこから中々進まず
二人で話してたが
私はキッチンで
コーヒーを入れていた


リビングに戻る頃には
既に笑い声の二人


お母さんが

「メグ良かったわね‼
りゅうくんと仲良くしなさいよ‼」


そう言ってくれた


りゅうがお母さんに
何て言ったのか
聞き逃した


でも結果オーライ


りゅうはまた病院に
行くので
夜に逢う約束をした


外は危ないから
🏠に来なさいと
お母さんは茶々を入れた

No.162 10/04/14 22:24
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは病院へ

私はピアノに行った


塾は今日無いから
少し早く帰ってくるよと
りゅうが言った


何だか
くすぐったい感じ


夫婦じゃないのに
恥ずかしかった
そして
嬉しかった



ピアノは一時間
みっちり絞られた(泣)


最近練習サボってるの見破られた



🏠に帰って
ピアノを練習し
お母さんに呼ばれた

No.163 10/04/14 22:29
夕焼け雲 ( PpQK )

「りゅうくんのご飯
作ってあげなさいよ」

⁉⁉⁉


「りゅうくんお父さんに付きっきりで
夕飯は一人コンビニのお弁当食べてるみたいよ。

お母さんは仕事を増やして殆ど帰って寝るだけの生活みたいだから
助けてあげないとね」

初めて知った


確かに
りゅうの家庭は
単身赴任なのか
別居なのか
離婚してるのか
曖昧のままだったが


何となくお母さんは
事情を知っていた


とりあえず大人の事情は置いておいて
私がりゅうに出来る事をしようと思った

No.164 10/04/14 22:32
夕焼け雲 ( PpQK )

夕飯前にりゅうの🏠に灯りが点いた


私はりゅうの🏠に行って
チャイムを鳴らした


りゅうが出てきた


「ご飯食べた⁉」


「いや今から」


「🏠に来ない⁉
私少し作ってみたから(笑)」


「マジかよ‼‼
やったぁ~」


りゅうは嬉しそうに
我が家に来た

No.165 10/04/14 22:35
夕焼け雲 ( PpQK )

「おばさん
ありがとうございます‼」


そう言って
いつもの様に
モリモリ食べてた


まるで怪獣みたい(笑)

女しか育ててない
お母さんは
この姿がたまらないみたい(笑)(笑)

No.166 10/04/14 22:40
夕焼け雲 ( PpQK )

ご飯を済ませ
部屋に行った


お姉ちゃんの彼が来た時は確かに大騒ぎな
両親だったが
二女ともなると
少しリハビリされてる様だ


何故なら
お姉ちゃんは結婚したかった彼が居たが
お父さんが過剰に
反対し
付き合いすら壊した
苦い経験がある



お姉ちゃんが少し
塞ぎこんだ時期があったので
きっと私には
気をつけてるのだろう

No.167 10/04/14 22:43
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは満腹満腹と
言って
私のベッドに寝転んだ


まるで親父だ(笑)


りゅうがそのまま
寝てしまったので
毛布を掛けてあげた



その時
りゅうが私を抱きしめた

No.168 10/04/14 22:50
夕焼け雲 ( PpQK )

「おきてんじゃん(笑)」


「こうしたかったの(笑)」


久しぶりな感じ


なんか安心した


りゅうはどんどん
逞しく大人になってる様に感じた


いつも見てたのに
いつも見てるのに


あのやんちゃな男の子から

逞しい男になっていた


私はりゅうに
どう映ってるんだろう

No.169 10/04/14 22:55
夕焼け雲 ( PpQK )

「このまま居ると
ヤバい俺が出ちゃうかもしれないから
今日は帰るよ」


そう言って
キスをした


長く長く
初めてのディープキス


少なくとも私は
全てがりゅうと初めてだから
ドキドキが止まらない
りゅうのドキドキも
伝わっていた



顔を見るのが恥ずかしい位
長い熱いキスをした



帰り際
お母さんに挨拶し
私は外まで見送った



前の🏠だけど
少しでも一緒に
居たかったから~

No.170 10/04/14 23:02
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは一週間に一度だけ
我が家で食事をする生活になってた


私は毎日でもよいが
お互いの生活リズムやおばさんにも
負担ないようにと
親同士了解を得たのは週に一度


いつの間にかお父さんもりゅうと仲良くなり
休みの日に
時々キャッチボールしてる


誰の親よ‼



お父さんは男の子が
欲しかったみたいで
むしろりゅうが野球をしてるのを
小さい頃から見ていて羨ましかったそうだ



そういえば
りゅうとりゅうの
お父さんは
キャッチボールした事あるのだろうか…


言えないけど

No.171 10/04/14 23:05
夕焼け雲 ( PpQK )

明日は入学式


りゅうも入学式だ


お互い高校は違うけど駅までは一緒に

そう決めていた


さすがに明日は一緒じゃないけど
終わったら
デート出来る



早く寝よう

新しい制服と
手荷物をチェックしながら
ベッドに入った

No.172 10/04/14 23:14
夕焼け雲 ( PpQK )

入学式


桜はかろうじて咲いていた
花吹雪を浴びながら
一年A組に決まった


新しい学校
新しい友達


色んな所から来ていて新鮮だった

自己紹介を終えても
全く覚えられないが
直ぐに前後の女の子と仲良くなった


帰りの電車も一緒だったので
途中まで話しながら帰った


名前は久美と千佳
三年の付き合いになる友達だ

No.173 10/04/14 23:21
夕焼け雲 ( PpQK )

地元の駅に着く


友達と別れ
何となく安堵感に浸っていた


歩きながら
りゅうの事を考えていた



高校が違うから
やっぱり何処かで
離れちゃうのかな…
好きな人が出来たり
部活に没頭したり
また勉強で忙しくなったり
逢えなくなるかもしれない


それに
もう少ししたら
りゅうはお父さんと住む

一緒に駅まで
歩く事も出来ない


大丈夫だろうか…


急に不安になって
涙が出てきた


春休みの間
家族の様にしていただけに
これから違う生活に変化する事が
怖かった

No.174 10/04/14 23:30
夕焼け雲 ( PpQK )

泣いている私に


誰かが背中を叩いた



共だ



「どうしたん⁉」



「目にゴミが…(笑)」


嘘丸出し



「今日入学式で感動したな(笑)‼」

共がごまかしてくれた

共はりゅうと私が
付き合ってる事も
最近の事情も
大体知ってるそぶりだ


ちょっと恥ずかしかったけど
共は応援してくれてた

やっぱりりゅうの親友だね


あっという間に
涙は笑い泣きに変わった

No.175 10/04/15 12:08
夕焼け雲 ( PpQK )

共と別れ

🏠に帰ると
お母さんが先に帰っていた


もう一枚制服で
📷撮りたいって(笑)


りゅうが帰ったら
また二人で撮るからって

(笑)


玄関先でお姉ちゃんに📷を撮って貰った


こうやって
親子や家族で📷を
撮るのはあと何回かな…


何枚も何枚も
お母さんは撮っていた

No.176 10/04/15 12:15
夕焼け雲 ( PpQK )

それからしばらく時間が経ち
お昼ご飯を食べて
📺を観ていた



2時を回った頃
チャイムが鳴った


「は~い❗」


りゅうだ


「待ってたわよ❗
とりあえず写真撮らせて❗」


半ば強引に
りゅうと私は
写真を撮られた


お母さんはおばさんにも頼まれていたみたいで、りゅう一人でも
何枚も撮っていた



「はい。じゃあお出掛けでしょ❓遅くならない様にね…二人共着替えてらっしゃい」


どんだけ仕切るのよ


りゅうは笑って
着替えに戻り
私も着替えて外に出た

No.177 10/04/15 12:19
夕焼け雲 ( PpQK )

私鉄の駅に向かった


りゅうは新しい学校はなんか不思議な感じと話していた

今までの様に
幼なじみや知り合いが居ない分
1から築く関係がまた新鮮かもって



「可愛い女の子いたでしょ❗(笑)」


「どうかな…どっちかって言うと真面目な暗い感じかも」



そうだった


りゅうの高校はエリート進学校


なんとなくわかるわ(笑)

No.178 10/04/15 12:23
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが手を繋いだ


まだドキドキしちゃう私

りゅうはどう❓


高校始まっちゃうと
なかなか逢えなくなる今日は貴重な時間だ


だから一緒に居たい


りゅうもそうだといいな~

No.179 10/04/15 12:30
夕焼け雲 ( PpQK )

電車に乗って
駅に着いた


映画館で映画を観る


席に座ると
またりゅうは
手を繋ぎ直した


映画は頭に半分
神経はりゅうに行っていたかな(笑)


映画を観た後
デパートに入って
お揃いの指輪を
買ってくれた

勿論学生だもん
安いシルバーの指輪

でも買おうって
言ってくれた時は
めちゃくちゃ嬉しかった


お揃いの指輪を
お互いはめてみる


なんかおままごとみたいだけど
最高に幸せだった

No.180 10/04/15 12:38
夕焼け雲 ( PpQK )

駅に向かい
🏠と反対の電車に乗った


「どこ行くの❓」


「秘密(笑)」


6時を回ってたけど
今日は親公認だったので
りゅうに引っ張られて行った



知らない駅で降りて
りゅうはどんどん
歩いて行った


住宅街に入ったので
なんとなく予感はした

りゅうが鍵を出した


「親父の🏠だから
入って❗」


玄関を開けて
背中を押された

No.181 10/04/15 12:43
夕焼け雲 ( PpQK )

「俺多分GW後位から
ここに住むと思うから…。知っといて欲しかったから(笑)」



「そうだったね…
お父さんは随分良くなった❓

しばらくってどれくらいこっちに住むの❓」


「わかんないけど…
多分リハビリして
仕事が出来るまでかな…」


「大変だね…
でも私も何かあったら手伝いするよ(笑)
りゅうに逢いたいし」


「ありがとな❗」



二人だけの空間に
改めてドキドキしていた

No.182 10/04/15 12:47
夕焼け雲 ( PpQK )

「夜飯何か作るわ(笑)外で食べる程お金無かったから(笑)

あるもんで悪いけど」


「私も手伝うよ❗」


冷蔵庫から焼きそばの材料を出してきたので
キャベツを切り
もやしを洗い
りゅうは肉を炒め


手際よく焼きそばを
作っていた


りゅうは小さい頃から料理してたんだ


手つきを見ればわかる

りゅうの苦労と
今までの歴史が
少しだけ垣間見れた

No.183 10/04/15 12:50
夕焼け雲 ( PpQK )

二人で料理をし
二人で食卓を囲み
二人で食べる


なんだか同棲してる
みたいで
浮かれていた


洗い物は私がして


りゅうはリビングの
ソファーで📺を観てる


いつか本当に
そんな日が来たら
いいのになぁ



そう思いながら
りゅうの傍に座った

No.184 10/04/15 12:54
夕焼け雲 ( PpQK )

「ありがとう❗」


りゅうが私の肩を抱き寄せ
りゅうの胸に
私は沈んだ


りゅうって
結構積極的❓
いやいや
りゅうの心臓
凄いバクバクしてるよ


平静を装うりゅうの姿
心臓が爆発しそうな
ギャップが
可愛かった


りゅうの顔を見上げると
りゅうの顔が近づき
キスをした

No.185 10/04/15 13:03
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうの唇は
いつも優しく
温かい


今日のキスは
二人だけのせいか
強く激しかった


何度も何度も
お互いを求める


唇が痛くなるまで
キスした感じ


りゅうの手が
私の服の上を這った


ドキッとして
りゅうから離れると
引き戻された


多分りゅうも緊張の
ピークだろう
私もパニックだった


どうすればいいのかとか…
ここで嫌だと拒んだら嫌われるかなとか
りゅうと一つになる
覚悟はあったが
怖かった



りゅうの手が
私の胸にきた



でもりゅうは緊張して胸に手を置いてるだけ

私が抵抗しないので
服の中に手を入れてきた

No.186 10/04/15 13:13
夕焼け雲 ( PpQK )

ドキッとしてりゅうの手を止めた


「りゅう…私初めてだから…
ちょっと怖い」

「俺だって初めてだから…だから本当に嫌なら俺は大丈夫だから…もう少しだけメグを
抱きたい…平気❓」


「うん…」


りゅうは再びキスをしてきた



誰も教えてくれない
初めてのセックスは
欲望のまま
自然に任せた

No.187 10/04/15 13:52
夕焼け雲 ( PpQK )

時計を見ると
9時を過ぎていた


私達は結局
最後までいけなかった

私も痛かったのと
りゅうもそれ以上
求めなかった



怖かったけど
やっぱりお互い初体験は
うまくいかないもんだ


そう雑誌にも
書いてあったのを
思い出した



服を拾い
隠しながら着ていると
りゅうがまたふざける(笑)


「ほんとに帰らなきゃ(笑)」


二人は身支度を整え
駅に向かい
二人で電車に乗った


さっき乗った時と
違う私達


ガラガラの車内の
端っこに
二人は支え合い
立っていた

No.188 10/04/15 14:03
夕焼け雲 ( PpQK )

🏠までの道のりは
言葉少なかった



大人の階段を登って
私は恥ずかしかったし
りゅうは少し残念そうだった


最後までいけなかった事よりも
きっと初めての事が
男として
どうしたらいいのか
…だと思う



みんな初めては
どうしたんだろう



どうして
セックスをしたいと
欲情するんだろう



セックスを求める男と応える女

でもきっと男と女は
対等な感情なはず



自分に嘘無く
りゅうに言った


りゅうは
安心したのか


「今度は泣くなよ❗(笑)」



そう言って
私を引っ張りながら
走った

No.189 10/04/15 14:14
夕焼け雲 ( PpQK )

「じゃあね❗おやすみ」

息もキレギレ
自宅前で別れた


🏠に入り
部屋に上がる


お姉ちゃんはまだ帰ってないし
お母さんは洋裁に
夢中
お父さんもまだ帰ってなかった



自分のベッドで横になり今日の事を考えた

正直一つになれなかったのは
私が我慢出来なかったせい…


あんなに痛いなんて
あれ以上は
無理だった


次は耐えられる❓


また🙅だったら
りゅうに嫌われる❓


りゅうのプライドを
傷つける❓



こんな事誰にも
聞けない


誰か経験した人居るだろうか…
高校始まったばかりで
恋の相談とセックスの相談はまた別世界

No.190 10/04/15 14:40
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝

駅まではりゅうと
私の方がりゅうより
遠いので
朝の通学は
りゅうが早く起きて
くれて合わせてくれた

昨日の事は
照れ臭かったけど
りゅうはいつも通り


だから安心出来た



同じ電車に
中学の同級生が
ポツリポツリ見えて
声をかけられた


「二人付き合ってんだ❗」


りゅうは笑って
頷いた


この噂はあっという間に広がって
学校帰りの電車や
帰宅途中
偶然会った
殆ど面識ない同級生に
言われたりした


別に悪い事してないしなんとなくスルーして過ごしていた

No.191 10/04/15 14:45
夕焼け雲 ( PpQK )

4月の半分は新入生独特の行事や
身体検査
部活の見学などで
終わっていった


私は合唱部に入った


合唱で有名だったのとピアノの先生に
もう体育系は止めてと言われたのもある


伴奏でなく歌いたかった


部活は忙しそうで
合宿や全国にも行くと説明された


りゅうと逢えなくなるかな…と思いながら
仮入部して
りゅうに相談した

No.192 10/04/15 14:49
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは野球部を続けるみたい

勉強と運動が出来ると有名になった学校
だからこそやりたいと思ったみたい


やっぱり合宿もあり
朝練もあるから
一緒に朝行けないかもと言われたが

仕方ないかなぁと
私も合唱部に入る
決心がついた


お互い忙しい毎日が
始まった


土日も無く
学校三昧な毎日で
GWまで逢えなくなった

No.193 10/04/15 15:36
夕焼け雲 ( PpQK )

GW後はりゅうは
お父さんの所から通う

実際りゅうは部活で
忙しいから
お父さんのお世話は
難しいだろうけど
なんとかなるだろと
言っていた


GWの三日間休みがある

二日間は私にくれた


多分これを逃したら
お盆休みしか
逢えないだろうから


確かにりゅうも私も
ビッチリスケジュールは
部活その他で埋まってた

No.194 10/04/15 15:41
夕焼け雲 ( PpQK )

休みの一日目


朝早く私はお弁当を作り
りゅうの🏠に迎えに行った


おばさんは今日も仕事らしく
りゅうが慌てて降りて来た


今日は水族館に行く


電車に乗り
満員電車に揺られ
りゅうとずっとくっついていた

No.195 10/04/15 15:53
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうと私の薬指には
お揃いの指輪


ちゃんとしてきてくれて
嬉しかった


水族館に着いて

アザラシやアシカ
ペンギン イルカ

大きな空中水槽に
沢山の魚がキラキラ光って綺麗だった


ショーを観て
楽しかった


お昼過ぎなので
ベンチを探し
作ったお弁当を広げた

相変わらず
りゅうは面白い様に
食べてくれる

やっぱり沢山作って
正解❗


笑いが絶えず
あっという間に
容器は空っぽになった
写真撮りたいと
周りの人にお願いして
写真を撮った


自分達でも
撮りまくった


そう言えば
入学式のも
このフィルムかも❗


なんて言いながら
あれこれ回って
あっという間に
夕方になってしまった

夕陽を二人で眺めながら…
また来ようねと
心の中で約束した

No.196 10/04/15 19:16
夕焼け雲 ( PpQK )

あっという間に一日が終わる


りゅうは私に
イルカのぬいぐるみを買ってくれた



このイルカを俺だと
思えって…


なんだかどんどん遠くにいきそうで
寂しくもあった


帰りの電車では
二人片寄合い
熟睡していた

No.197 10/04/15 19:22
夕焼け雲 ( PpQK )

駅に着いて
🏠までの道を歩く


こうやって
あと何回
りゅうとこの道を
歩けるだろうか


手を繋ぎ
身を寄せて
お揃いの指輪
りゅうの分身のイルカ


明日はりゅうの🏠で
引っ越しの手伝い


引っ越しといっても
簡単な身の回りの物だけ持っていくらしい


早ければ7月
遅くてもお盆休みまでに帰って来ると
りゅうは言った



目の前に住んでいても
お互い忙しく
逢えないんだもの
場所が変わっても
大丈夫



りゅうを信じて
待ってる


私にはそれしか出来ない

No.198 10/04/15 19:36
夕焼け雲 ( PpQK )

このまま一緒に居たいな…


小さい声だったけど
りゅうがそう言った


うん…


私も小さい声で
返した


でも私達はちゃんと
🏠に向かっている
嘘をついて
りゅうの信用を失いたくない

りゅうも私と同じだった


「今日は時間作ってくれてありがとうね。

明日は☎してから行くよ(笑)」


「お弁当ありがとう❗
俺も楽しかったよ(笑)」



「イルカ抱きしめて
寝ちゃうね(笑)(笑)」

「ヨダレ垂らすなよ(笑)」


「じゃあ おやすみ」

「おやすみ」


少し間が空いて

背を向けるのが辛かったが
りゅうはずっと
見守っていたので


「バイバイ」
と言って背を向けた


りゅうは
多分私が入るのを見て帰ったと思う

No.199 10/04/15 19:41
夕焼け雲 ( PpQK )

お母さんが早速
今日のデートの報告をしなさいとばかりに

イソイソとキッチンから来た


お土産を渡して
部屋に上がろうとしたら

引き留められた


イルカを買って貰った事やりゅうと一緒に
いれて良かったと
素直に話した


明日は手伝いだから
デートじゃないけど
終わったら一緒に
ご飯を🏠で食べたいとお願いした



お母さんは
任せなさいと
私やりゅうの気持ちをくんでくれた

No.200 10/04/15 19:47
夕焼け雲 ( PpQK )

お母さんはきっと
それ以上の事を心配したり
聞きたいのだろう


でもりゅうを信じてると
私を信じてると
それ以上追求しなかった


恋愛は甘く切ないもの

お母さんは昔そう言ってたけど
確かに私今苦しいかな…
でも嬉しい方が勝ってるかも(笑)


きっと明日を過ぎたら切ないだろうな


イルカを見ながら
りゅうの顔を思い出し
撫でていた

No.201 10/04/15 20:00
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝

あまり寝れなかった


朝からシャワーを浴び
目を覚ました


まだ家族も寝てるし
勿論りゅうも寝てるよ

部屋の灯りを点け
髪を乾かし
日記を書いていた


昨日の事を
一つ一つ思い出し
書いた


この日記は
私以外誰も読めない


鍵は私が持っていて
ましてや
秘密の場所に隠してあるから
お母さんにもバレない

と思う


下で音がした
お母さんが起きたみたい

No.202 10/04/15 20:04
夕焼け雲 ( PpQK )

8時頃家族が起きてきて
ご飯を揃って食べた


久しぶりに四人揃って食べた


最近はお姉ちゃんは
夜遅いので
殆ど揃ってご飯を食べる事が無いと
お母さんが愚痴をこぼした



りゅうは殆どの毎日を
一人で過ごしていたと思うと
胸が苦しくなった


でもりゅうのお父さんもお母さんもまた

一人でご飯を食べてきた時間があると…

寂しかった

No.203 10/04/15 20:08
夕焼け雲 ( PpQK )

「行かないの❓」


まだ9時を過ぎた所


りゅうをゆっくり寝かせてあげたい

だから私は自分の🏠の庭に出て
草むしりをしていた


外にいれば
りゅうが起きた時
気付いてくれるから(笑)



案の定
30分もすると
りゅうが私を呼ぶ声がした


「お~い❗メグ❗」



りゅうは朝から笑顔満開だった

No.204 10/04/15 20:13
夕焼け雲 ( PpQK )

「今行くよ❗(笑)」


「勝手に入ってなぁ❗」


りゅうのお母さんは
今日も仕事

いつ休みなのか
よくわからないが
凄く忙しそうにしてるのは
小さい頃から記憶にある


手を洗い
顔を洗って
髪を整え
薄くリップをつけた

No.205 10/04/15 20:39
夕焼け雲 ( PpQK )

「お邪魔しま~す❗」

りゅうの部屋に
私は向かった


段ボールが少し
出来上がっていた



りゅうの部屋は
随分片付けていて
私の手伝う事もなかった


「なんだか私邪魔しに来た感じだね(笑)」


りゅうは笑いながら
私に近づき
私を抱え
段ボールに入れた


「酷い~(笑)(笑)」


「必要なものだから(笑)」


私はすっぽりお尻から入ってしまい
一人では出られない

その姿がおかしいのか
りゅうはゲラゲラ笑っていた

No.206 10/04/16 06:24
夕焼け雲 ( PpQK )

ジタバタ手足をもがき
りゅうが手を持って
引っ張ってくれた


「もう~‼」


手伝いに来たのに
じゃれ合いばっか(笑)

「今日ね
夕飯私の🏠で食べて❗大丈夫かな❓」


「マジ❓やったぁ❗」

りゅうはホントに嬉しそうにしていた



りゅうの🏠は実質
二人家族
この🏠は広すぎる位だ

りゅうのお父さんの🏠と二つある理由は
きっと家族にしか
わからない事だろう


りゅうの🏠に
両親がいつも居ない
イメージだったから
私は特に気にしてなかったが
こんな日が来て
色々わかっていくのも
寂しいね


明日になれば
見慣れたりゅうも
しばらく見えなくなる

机の写真をしまう
りゅうの姿が小さく見えた

No.207 10/04/16 06:29
夕焼け雲 ( PpQK )

「メグ洗濯手伝ってくんない❓」

「うん❗どれ洗うの❓」


ドサッと出された
大量の洗濯物


思わず目が点に…

急いで回さないと
乾かなくなるや(汗)

一階に降りて
洗濯機を回し

リビングの写真に
目がいった


リビングに飾ってあったのは
りゅうが小学校入学した時の
親子三人の写真


三人共笑っていた



またこうやって
笑って暮らせる日が
来るよ


きっと


りゅうの部屋に
私は戻った

No.208 10/04/16 06:38
夕焼け雲 ( PpQK )

「明日早く行くの❓」

「いや…多分お昼過ぎだと思うよ❗
メグは部活だもんなぁ。」


「うん…
ごめんね…」


「別に一生のお別れじゃあるまいし
大丈夫だよ❗

メグ親父の🏠の場所
覚えてる❓」


「駅はわかるけど
その先微妙かも(泣)」

「相変わらず方向音痴だなぁ(笑)」


そう言うと
りゅうは地図を書いてくれた


その下には
☎番号


唯一の絆


泣きそうなのを
こらえていた

No.209 10/04/16 10:03
夕焼け雲 ( PpQK )

「大丈夫か❓」


私の頭を撫でるりゅう

その瞬間に
ポロッと涙が落ちた


りゅうが抱きしめてくれると
より涙が出た


「夏休み何処か旅行したいな(笑)
メグのおじさん許さないか(笑)」


「殺されるかもよ(泣)(笑)」


「じゃあ海行こうな❗一緒に…」


「うん…痩せなきゃ(笑)」


「そのままがいいの(笑)」


「笑ってるし~(泣)」

「お前が泣いてるから笑ったの(笑)」


顔面涙と鼻水(笑)
ティッシュを大量に
使ってしまった(笑)


「お袋に誤解されるからお前捨てて来いよ(笑)」


爆笑


りゅうは私を後ろからしばらく抱きしめていてくれた

No.210 10/04/16 10:10
夕焼け雲 ( PpQK )

洗濯機のブザーが鳴った


急いで洗濯物を干した

なんだか奥さんみたい(笑)


りゅうのパンツ(笑)


ウケる(笑)


お父さんのパンツしか知らないから
なんか新鮮だった(笑)


天気も晴天だから
どうにか乾くだろう‼

空を見上げ
大丈夫だよと
自分に言い聞かせた

No.211 10/04/16 10:24
夕焼け雲 ( PpQK )

チャイムが鳴った


りゅうが玄関に出ていく

何だか楽しそうな声が聞こえた

ドカドカと足音が増えた感じ


「よぅ‼」


共だった


「お邪魔虫ですんませんね(笑)」


共が茶化す


「お邪魔虫だわ~(笑)
共相変わらず元気そうだね‼」


それから高校に入ってからの話や
私達の今までの話を
それぞれが
話したいがまま
話していた


共に彼女が出来たらしい(笑)


でもなかなかデートに誘えないみたい


りゅうは偉そうに
アドバイスしてる(笑)

難しいのは
やっぱり
他人行儀になる事と
お互い知らない事ばかりだから
フランクになれない事らしい


作ってる自分と
付き合ってて
楽しいか解らなくなるらしい
きっと彼女もそうだろうと



殻を破れば
楽になれるし
想いを伝えたら
もう一歩進めるはず


私はそう伝えた

No.212 10/04/16 10:33
夕焼け雲 ( PpQK )

「俺彼女の事好きなのかな…」


「なんで❓」


「多分興味とか見栄とかそっから入ったのかもしれない。
だから彼女と逢っても何をしていいか
わからないし
デートにも誘えないんだよ…
嬉しいはずなのに
逢ってても何も出来ないし~(笑)」


りゅうも考えこんだ


そうか…私とりゅうは小さい頃から知ってる言わば幼なじみの延長で…歴史を知っていたり共感出来る過程を
お互い持っている

学校の話や友達の話
お互いの親は勿論
ご飯を食べる仲だ


もしりゅうと付き合ってなければ
一からスタート‼
でもそれもお互いを
知っていくのに
ワクワクしそうだけど(笑)

りゅうの事だって
まだまだ知らない事の方が多い
大人になればなるほど明も見えれば
暗も時に見えてしまう


知らない幸せもあると…

No.213 10/04/16 10:41
夕焼け雲 ( PpQK )

とりあえず一旦
荷物を一階に下ろす事にした


三人いるから
バケツリレー方式


実質
りゅうと共が動いていたけど(笑)


私は掃除機を掛けて
ジュースを買ってくると外に出た


共もりゅうと
話がしたいだろう(笑)

少し離れたスーパーにパンとお菓子と
ジュースを買いに行った


あの二人だから
相当食べると思った
大きなピザがあったのでそれを二枚買って
帰った



「ただいま~‼」

No.214 10/04/16 10:46
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが上から
慌てて来た


「何処までジュース買いに行った❓」


ちょっと遅かったから心配したみたい


「大丈夫だよ(笑)
パンとお菓子買って来たの(笑)」


二階に上がっていく


「りゅうがずっとメグの心配してたぜ(笑)」

「うるせーな‼」


(笑)



「ごめんごめん‼
どれにしようか迷っちゃった‼
食べよう(笑)」


「サンキュー‼
こういう当たり前の事が出来ないんだよな…俺も彼女も(泣)」

共が嘆きながら
ピザに食いついていた(笑)

No.215 10/04/16 10:50
夕焼け雲 ( PpQK )

昼食を終えても
私達の話は尽きない

中学の時の話や
今同級生と逢ってるかとか
同級生の誰と誰が
付き合ってるとか
別れたとか

その中に常に
私達は常連らしいが(笑)


先輩が子供が出来て
結婚しちゃったとか
え~(@_@)
と次から次へと
新しい話に
興味津々で盛り上がっていた

No.216 10/04/16 11:38
夕焼け雲 ( PpQK )

夕方になり
洗濯物を取り込んだ


りゅうと共は
まだまだ話しに夢中だ

たたみおえて
リビングに置いて
りゅうを呼んだ



りゅうが降りてきた


「洗濯物そこにあるから…私一回🏠に帰って夕飯手伝いするから
また呼びに来るね(笑)
ゆっくり共と話してね‼」


「悪い。ありがとう❗」


私は静かに🏠に帰った


せっかくの休み
私だけりゅうを独り占めしたら駄目だ(汗)


私も反省した

No.217 10/04/16 11:47
夕焼け雲 ( PpQK )

自宅に戻ると
お母さんは夕食の支度を始めていた


「あら‼どうしたの❓」

お母さんが不思議そうに言うので
一緒に作りたいと
返した


一口カツや海老フライ唐揚げ

ポテトサラダに
ホウレン草のお浸し
里芋まで煮ていた


「こんなに‼‼」


揚げ物はまだ下拵えが出来てないので
こちらをひたすら
頑張った
揚げ物は下手すりゃ
二時間位かかるわねと言っていた


料理って大変だ(泣)


「もしかすると一人増えるかもしれないけど大丈夫な量だね(笑)」

「誰か来るの❓」


「りゅうの親友がね(笑)わからないけど」


「そう❗」


お母さんの手は
次から次へ動き
私は言われた事だけ
ひたすらやっていた

No.218 10/04/16 11:52
夕焼け雲 ( PpQK )

下準備を終えたのが
6時を回っていた


ダイニングを
片付けて
テーブルを飾り付けした


食器もそれぞれ並べ
ポテトサラダも
盛り付けた


揚げ物を始めるから
7時にはりゅうを
呼べと言われた


揚げたてを食べさせたいからって(笑)


まるで給食の様な
見たことの無い
大量の材料に
お母さんのりゅうが食べる計算は
凄いと肝心した

No.219 10/04/16 15:12
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうを呼びに行った

共は少し前に帰ったらしい


なんか悪かったな(汗)


自宅に戻り
ダイニングテーブルの料理を見て

またりゅうは感激していた(笑)



お父さんもお姉ちゃんも今日は揃って
皆でご飯


りゅうは勿論
怪獣喰い(笑)(笑)


なんだか本当に
りゅうも家族の一員の様だった

No.220 10/04/16 17:38
夕焼け雲 ( PpQK )

今後りゅうの生活を
少しだけお父さんが
聞いていたが
私はあまり聞いてなかった


というか
聞きたくなかった


一番困惑してるのは
りゅうだもの


ますます大変だから
なんか可哀想だった


お父さんが

「時々ここに寄って
ご飯食べていきなさい…
お隣りなんだし
メグと付き合いもあるし(笑)
一人で 抱えると
苦しくなるのは
大人でもあるから
まだ高校生として
やりたい事を
沢山経験して
お父さんの手伝いを
してあげなさい」


りゅうがなんだか
泣きそうになっていて
びっくりした


「ありがとうございます。
いつもよくしてくれて
本当に助かります。

メグも大切に付き合っていきますし

僕なりに頑張ってみます。」


ちょっと声を詰まらせ
言い切った

No.221 10/04/16 17:53
夕焼け雲 ( PpQK )

二階に上がって
私の部屋に二人居た


あと少しだけ…



こんな時間は無いと
思った



「渡したい物があるから❗」


そう言って部屋に来た

一つのアルバムを
りゅうに渡した


それは二人だけの
アルバム


小さい頃から
昨日のデートの写真まで


丸々一冊
コメントを入れて
作っていた

No.222 10/04/16 17:57
夕焼け雲 ( PpQK )

そして

「こっちはおばさんに渡して…お父さんにも見せなよ」


高校の入学式の日の
写真を伸ばした



りゅうは嬉しそうに
そして
涙が少しこぼれてた


黙ってティッシュを
渡した


「さっきのお返しだ❗」

りゅうは大量に
ティッシュで鼻を噛んでいた(笑)


1ページ毎
思い出しながら
写真を眺めてた


そんなりゅうの
横顔が大好きだ

No.223 10/04/16 18:01
夕焼け雲 ( PpQK )

「俺なんもメグにしてないよ…ごめんな」


「私はいっぱい
りゅうにして貰った

それに今からだって

りゅうと沢山思い出を作るの


だからこれからも

よろしくお願いします」


「ありがとう(笑)」


最後にキスをして

りゅうは帰っていった

凄く切なく
心が痛い夜だった

No.224 10/04/16 22:15
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝
私はいつも通り朝練に出掛けた


りゅうは今日行ってしまうけど


必ずすぐ逢える
そう信じて


りゅうの部屋に向かって

行ってきます


走って駅に向かった


休み明けの練習は
疲れてしまった


発声法だけを
ずっとするのも
体力使う


コンクールに向けて

先輩は最後の舞台に
向けて

皆凄く頑張っていた

No.225 10/04/16 22:19
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが居なくなって
私は少し寂しかったが
部活と友達と
ピアノに忙しく


それなりに気は紛れていた


クラスの友達も
沢山増え
お昼には
グループで
彼の話しや
恋愛話しで
盛り上がっていた


彼がいる子

いない子では

相談する内容や

話す内容が違う


彼がいる友達とは

セックスの話を

意外と自然に出来た

No.226 10/04/16 22:28
夕焼け雲 ( PpQK )

高校はお互い共学だから

学校に通う中で

付き合ってる人達も

勿論いる


クラスの友達も

先輩と付き合ったり

違うクラスの人と

付き合ったり

様々恋愛も楽しんでる

中学と違うのは

セックスがそこに

関わってくる

可能性はある


その先に妊娠もある


ティーン雑誌じゃ

リアリティが無いと言うか


頭でっかちな知識で

混乱する


私の友達の中で


経験した人は少なく

やっぱり怖いのもある

No.227 10/04/16 22:33
夕焼け雲 ( PpQK )

友達にりゅうの事を
話すと

夏休みはあるねと

皆が口を揃える


私自身も多分

そう思う


りゅうからの連絡は

週1の☎

お父さんは退院したそうだ


あまり長電話も出来ないけど

声が聞けて安心する


夏休み必ず逢いに行く

その言葉だけが

支えだった

No.228 10/04/17 08:04
夕焼け雲 ( PpQK )

私達はそれぞれ
夏の大きな大会に向かって

毎日毎日忙しかった


りゅうの学校は
甲子園出場に向かって

私はコンクール


りゅうはまだレギュラーに
なれないけど

毎日充実していると
言っていた


私は何曲か
伴奏を任され
責任重大な感じを
受けていた


毎日歌とピアノ
🏠に帰っても
沢山練習した


りゅうは塾を
辞めてしまったので
勉強がヤバいと
進学校での厳しさを
話していた

No.229 10/04/19 06:05
夕焼け雲 ( PpQK )

クラスの友達の
綾が彼との初体験を
教えてくれた


綾は違う学校の
先輩と付き合っていて交際歴半年


綾から告白したみたいで
常に先輩の話を
私にしてきていた


別々の学校だと
お互い見えないせいか相手も焦るらしく
不安を安心に変える
気付いたら
身体の関係無しで
逢うのが難しくなったと言った



男女問わず
興味はある年齢

でも線を越えられるかは…


やっぱり最初は痛かったらしい
どうも先輩は経験してたらしく
スムーズだったと言った

スムーズって…
経験してた方が大人とかって
何か違うよね


確かに初めて同士は
何か試行錯誤だけど
過去が無いだけに
純粋だよ

No.230 10/04/19 06:09
夕焼け雲 ( PpQK )

セックスって
教えてくれる人居ない

男子がリードするからやっぱり男子は
色々見たり聞いたり
勉強するんだろう


女子は受け身なだけにドキドキするだけ
固まってしまう


何が正解かも
わからない


ただドラマや映画
ちょっとエッチな
雑誌の知識しかない


りゅうは⁉


何か考えたら
笑ってしまった

No.231 10/04/19 10:30
夕焼け雲 ( PpQK )

期末試験前


部活は無いが
勉強が思うように
進まない


りゅうは塾に行かない分
必死さは半端ないそうだ

常に順位で表される学校だから
負けたくない意識も
半端ないみたい


確かに学区1偏差値高い学校だもの
受験が終わって
のんびりしてる
私とは違う環境だ(泣)


逢いたい気持ちを抑え
テスト勉強に励んだ


結果は中の中(笑)

No.232 10/04/19 10:33
夕焼け雲 ( PpQK )

テストも終わると

夏休み含め
部活が始まる


りゅうと逢えるのも
もうすぐ


りゅうと☎していても
その話ばかりで
盛り上がっていた



夏は始まっていた

No.233 10/04/19 10:40
夕焼け雲 ( PpQK )

夏休みに入っても

お互い部活の毎日で

生活リズムは全く変わらなかった


お母さんは
たまにはお弁当作り
休みたいわと
嘆いていたが


結局全員お弁当なので
休みが無いも同然


ごめんねお母さん


ありがとう


りゅうはお弁当どうしてるかな


作る時もあれば
買うときもあるみたい

近くに居たら
作ってあげたのに

(多分お母さんが(笑))

No.234 10/04/19 10:48
夕焼け雲 ( PpQK )

部活では
コンクール予選の仕上げに毎日追われ

私はピアノ伴奏を
任されてしまい


緊張しない私でさえ
個人じゃないので
流石にプレッシャーで
ガチガチだ




私が間違えたら
それも減点対象


リズムを崩す事なく



小中と確かに伴奏は
してきたが
コンクールは初めて

しかも先輩のプレッシャー
学校のプレッシャー


皆も同じだろうけど


楽しむ余裕が無い
それほど緊張してた

No.235 10/04/19 11:01
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは
夏の大会三回戦まで
行ったらしい


レギュラーになれなかったが
充実してると
楽しそうな話をしてくれた


来年はレギュラーで
甲子園に行きたい

そう言ってた


りゅうを📺で観たいなあ

いや甲子園で観たい


好きな事を続ける事って
実は凄く大変で
好きな事が好きじゃなくなる事もある


それでも目標があると
それに一生懸命向かい
頑張って達成した時

たまらない感情だ



りゅうも私も


そして皆も

No.236 10/04/19 11:26
夕焼け雲 ( PpQK )

予選当日の朝


私は自宅前のりゅうの🏠を眺めてた


うまくいくように
守ってね


そう願い
駅までの道を走った


待ち合わせの駅に着いて


皆が緊張してるのがわかった


先輩はリラックスしようと声を掛けてくれた

会場に着くと
会場の大きさと
他校の多さに圧倒され
また緊張が増した


私達の出番は
八番目



喉がカラカラになり
手は震えていた

No.237 10/04/19 11:31
夕焼け雲 ( PpQK )

ついに私達の出番


先輩達は度胸を決めたのか
気合いが入っていた


私に声を掛けてくれた先輩は

今までずっと伴奏を
していた
ラストイヤーは
歌いたい


顧問の先生が
伴奏者を何人か
弾かされ
私になった


「楽しんでね」


先輩が笑って言った


その瞬間
肩の荷が降りた


思いきり
全力で弾いた

部員の皆も
全力で歌った


いつもより
とても良かった

そう感じた

No.238 10/04/19 11:36
夕焼け雲 ( PpQK )

私達は予選突破

本選に行く事になった

先輩達は泣いていて
私もうまくいって
良かったと
プレッシャーから
解放されていた


ピアノもいいけど
歌いたい

歌ってる皆を見てるとキラキラしていた


先輩の歌いたいという意味は
伴奏者の目線があって
思う強い気持ちかも



私も来年は歌いたいな(笑)


本選頑張らなきゃ


私達は帰りの電車
本選への意気込みで
浮かれ騒いでいた

No.239 10/04/19 11:45
夕焼け雲 ( PpQK )

私はピアノの発表会も夏休みにあって
忙しかった


部活と発表会の曲を
毎日練習すると
夜はクタクタだ


今回は三曲弾くので
またまた忙しく
それでも
コンクールと違い
個人の表現なので
こちらは慣れていた



りゅうは少しだけ
楽な生活になったと
お父さんの快復を
報告してくれた

No.240 10/04/19 19:50
夕焼け雲 ( PpQK )

発表会一週間前は
リハーサルや
アンサンブルも含め
一日がかりの
稽古が続いた



食事係も
私達高校生以上が
率先してやる


アンサンブルは
先生と二曲


メインなので
合わせは何回もした


先生が忙しいので
練習不足もあり
うまく合わない


でも私のせいになる


仕方ないか…


先生
他の二人とも弾くけど
大丈夫だろうか


なんて不安を持ちながら

一週間
過ごした


明日は発表会


夜6時開演

No.241 10/04/19 20:21
夕焼け雲 ( PpQK )

発表会当日


私はドレスを着て
メイクアップしていた

私の出番は遅いので
7時過ぎに
会場入りした


部活の友達を数人
招待した


二部が始まり
アンサンブルも始まった


私は三曲目


緊張もせず
楽しんでいた


なんとか無難に
まとまったと思う(笑)

個人は三部で二曲


凄く緊張した


友達がお花を持ってきてくれた

その後誰かが来るのが見えた


りゅうだった


りゅうが大きい薔薇の花束を持って来てくれた


私はびっくりして
感激してしまった


友達もりゅうの姿を見て
騒いでいた

No.242 10/04/19 20:28
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうとの再会は
突然過ぎて
周りの人には全くわからない時間で


ソデにはけても
私は一人興奮覚めやまなかった


最後に写真撮影があり
その時も

りゅうを探していた


解散になり
友達と合流しながら

りゅうを探した


「あの人彼だよね⁉」

そう聞かれても
ずっとりゅうを探していた


なかなか見つからず
お母さんに聞いてみた

「りゅうと逢った⁉」

「さっき挨拶しに来て今日は🏠に居るって
伝えてと言われたわ(笑)」


りゅうはもう帰ったらしい(泣)


友達とりゅうの話で
盛り上がっていたが
早く帰りたくて
仕方なかった

No.243 10/04/19 20:32
夕焼け雲 ( PpQK )

友達と別れたのは
それから一時間過ぎてから


食事を一緒にして
りゅうの事情を知り
早く帰りなと
気をつかってくれた


ありがとう(泣)


友達を近くの駅まで送り
急いで帰った


もう10時を回っていた

りゅうの🏠の灯りは
点いていたので

遅かったが
チャイムを鳴らしてしまった


出てきたのは
りゅうだった

No.244 10/04/19 20:39
夕焼け雲 ( PpQK )

私は思わず自宅前に
関わらず

りゅうに抱きついてしまった


りゅうは笑って
私を受け止めてくれた

「びっくりしたよ(泣)来るなら言ってくれたらいいじゃん…」


「サプライズしたかったの(笑)」


「もう‼(笑)」


久々のりゅうは
真っ黒に日焼けして
凄く背が伸びていた


見上げる顔の高さが
違った


凄く大人になってる感じだった

No.245 10/04/19 20:45
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは発表会を知っていて
どうしても今日来たいと
お父さんにお願いしたらしい


お父さんは一人で
なんとか生活出来る程順調に
快復され

りゅうの気持ちも知っていた


明日もいるから

そう言った


私は明日…部活


休みたい(泣)


なんで早く言ってくんないのよ(泣)

No.246 10/04/19 20:56
夕焼け雲 ( PpQK )

「化粧すると違うメグだな」


「変⁉」


「綺麗でびっくりしちゃったよ。

本当にメグ⁉って
何度も確認した位(笑)」


「どっちがいい⁉」


「久々の再会がこんなに綺麗なメグだったから…俺が恥ずかしかったよ(笑)

今日のメグも最高だしいつものメグも大好きだよ(笑)」


「満点の返しだね(笑)」

お互いちょっぴり
大人になっている姿に
ドキドキしていた

No.247 10/04/19 21:41
夕焼け雲 ( PpQK )

おばさんが玄関に出てきて

「入りなさいよ」


そう言ってくれたが
遅かったし
貴重な親子の時間だったから

「いえ(笑)明日夜逢えたらいいです


すみません…遅くに」

頭を下げ
りゅうの🏠を出た


りゅうは

「明日終わったら☎して」

そう言った


明日絶対速攻帰る(泣)

No.248 10/04/19 22:04
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日
学校に行くと
帰る事ばかり考えていた


友達は事情を知っていたので
先輩には
お母さんが具合が悪いので早く返してあげて下さいと
嘘をついてくれた


いつもより
私だけ早く返してくれた


帰りの電車は凄く遅く感じた


駅に着いて
りゅうの🏠に☎した

りゅうが駅に来ると
言ったので

駅前の喫茶店で
待っていた


暑かったので
クーラーの効いた
店は気持ちよく

サザンが流れていて
なんだか心が踊っていた



15分くらい待って
りゅうが来た


昨夜は暗かったので
明るい時間に
改めて見ると

やっぱりカッコイイ(笑)



バカだね私(笑)

No.249 10/04/19 22:08
夕焼け雲 ( PpQK )

「意外と早かったね(笑)‼」


「ちょっとだけ早く返してもらっちゃった」


「悪いやつ~(笑)」

「だってぇ~(泣)」


注文したアイスティーとアイスコーヒーが
来た


なんか改めて
向かいあうと
恥ずかしい(笑)


りゅうもなんか照れてた

No.250 10/04/19 22:20
夕焼け雲 ( PpQK )

「今日は何してたの⁉」


「お昼まで寝ちゃった(笑)気付いたらお袋居ないし(笑)

んで共に連絡したり
ずっと話してたかな」

「そっかぁ(笑)
共元気だった⁉」


「彼女と別れたみたい(笑)でも好きな人が
いるんだってさ(笑)」

「へぇ~‼」


30分ほど話して
私が制服でりゅうが私服なので

一度🏠に着替えに帰った


お母さんがりゅうに
声を掛けて
結局上がった(笑)


昨日の事で盛り上がってる間
私はシャワーを浴び
私服に着替えた


りゅうは私の部屋で
待っていた


「やっぱりメグの🏠
落ち着くわ(笑)」


「お母さんしつこいでしょ(笑)ごめん」


「こうやって
メグの部屋に通してくれるなら
なんでも話すよ(笑)」

りゅうと私の家族は
家族を超えた関係に近い


おばさんに渡した写真の礼をおばさんが
言いに来てくれた時
おばさんは私達家族に感謝していたのを
思い出した


いつまでも
いい関係でいて欲しい

おばさんは私に
そう言っていた


りゅうはずっと
私と一緒に居てくれるかな…


そうありたいと思った

No.251 10/04/19 22:34
夕焼け雲 ( PpQK )

「今日帰るの⁉」


「うん…。でも
またすぐ来れる様に
時間作るから」


「うん‼私も今度はちゃんと一日中逢いたい(笑)」


自然とりゅうは
私を呼び

りゅうの前に
抱えられるように
座った


後ろから私を抱きしめ
なんだか凄くホッとする時間


「りゅう…クラスに
可愛い女の子沢山いるでしょ~。」


するとすかさず

「可愛い女の子じゃなくて頭がいい人ばかりで、真面目~って感じな人ばかりだよ(笑)」

想像出来るけど
ちょっとだけ悔しい


私に無い学力を持っている人達


「メグは男子に告白されてないのか❓」


「全くモテません(泣)」


「ほんとかね~(笑)
もし誰かちょっかい出したら俺が出ていくからね~」


笑いながら話していた

結局お互いノロケ❓


だよね(笑)


お互い部活の話や
学校の面白い話を
ずっとしゃべっていた

ずっと抱きしめられながら(笑)

No.252 10/04/19 22:38
夕焼け雲 ( PpQK )

「外に出ない❓」


りゅうが言った


「うん❗遅くなるなら言って行こうか」


下に降りて
お母さんに出掛けると声を掛けた


はいはいと気持ちよく出してくれた


またしばらく逢えない事知ってるから


ありがとう


りゅうと手を繋いで
私鉄の駅に向かった

No.253 10/04/19 22:48
夕焼け雲 ( PpQK )

私は黙ってりゅうに
くっついていた



りゅうのお父さんの🏠の方向とは逆の
電車に乗った


切符はりゅうが買い
何処へ行くかわからない


でも私はりゅうに
任せた
貴重な時間だから…


三つ目の駅で降りた


りゅうは何回か
来てる様で
迷わず歩いてるようだった


何処に行くんだろ


ちょっとドキドキしてきた


だってりゅうが
何も話さないから…

No.254 10/04/19 23:19
夕焼け雲 ( PpQK )

雑居ビルが立ち並ぶ


夜の灯りがキラビヤカに点いていた


少し怪しげな雰囲気もあって
心臓が高鳴った


「何処に行くの❓」


緊張しながら言ってみた


りゅうは手を強く握り直し


「もうすぐ着くよ」


そう言って
どんどん歩いていった

ネオン街を抜け
住宅街を歩くと
大きな公園に着いた


この公園で
練習を時々しているそうだ

そして夜景が綺麗だから~
そう言って
公園の端に行くと

いつの間にか
高台からキラキラ光る景色が広がっていた


これを見せたかった


りゅうが言った


近くのベンチに座ってりゅうがゆっくり
話し始めた

No.255 10/04/19 23:29
夕焼け雲 ( PpQK )

「俺何度も野球辞めようと思った…勉強は皆凄いレベルだし
野球と両立することはかなり厳しい…
それに親父の事があって余計無理だと
何度も何度も思った…

この公園は
親父が教えてくれて
実は小さい頃
この公園で
俺と親父がキャッチボールした場所で

俺の記憶はあまりなかったんだけど
俺が野球辞めようかなと悩んでたら
タクシーでここに来て
小さい頃の話をされた

俺の中の記憶の親父は殆ど無かったのに

親父は野球を喜んでしている俺を忘れてなくて

頑張れって言ってくれたんだ

嬉しい時に俺ここに来る様になって

今日メグと来たかった(笑)」

No.256 10/04/19 23:33
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが家族の事を話す事は殆ど無かったから


りゅうの家族の絆が見えて私も嬉しかった


「りゅう…良かったね。頑張って‼」


りゅうは嬉しそうに笑っていた


夏の夜は
涼しいが肌寒く
りゅうにくっついていた


りゅうは肩を抱き寄せ温めてくれた

No.257 10/04/20 13:31
夕焼け雲 ( PpQK )

ずっとこうやっていたいね…


長い間りゅうと
そのベンチにいた


誰も居ない公園に
二人だけ


誰にも邪魔されたくない貴重な時間


次逢えるのは
来月


早い様で
私には長い


りゅうは夏休み後
お父さんと話しあって帰れる様にしたいと
言っていた

No.258 10/04/20 13:43
夕焼け雲 ( PpQK )

終電の事を考えて

私達は駅に戻った


私が降りる駅まで
りゅうは私の手を離さなかった


「また☎してね(泣)」

そう言うのが精一杯


「待ってろよ❗」


頷く私


地元の駅に着く


私が降りて
りゅうを見送る


なんだかCMみたい


そんなに遠距離じゃないのに
しばらく逢えない切なさは
こんなに辛いなんて(泣)



でも笑顔で

「気をつけてね❗ありがとう」


発射ベルが鳴った


ドアが閉まり

電車が走っていく


気付いたら私まで
走っていた


りゅうがずっと手を振るのを目に焼き付けて…


余韻に浸りながら
自宅に帰った

No.259 10/04/20 13:56
夕焼け雲 ( PpQK )

それからまた
部活の毎日だった

塾の夏季講習も入って
ハードな毎日


ピアノもあるし
私は夏バテ気味だった

食事も思うように
食べれず
朝目眩をする様になって

練習中貧血で倒れる事も
何度かあった


お母さんが心配して
病院に行く事になった

案の定貧血と栄養不足で点滴を打つ事になる
二時間病院のベッドで眠りについた


お母さんが来て
このまま検査入院になったと言われた



入院⁉



どうして⁉

No.260 10/04/20 14:05
夕焼け雲 ( PpQK )

「何処が悪いの⁉」


「うん(笑)大丈夫よ❗
なんか血液検査で
少しだけ数値が気になるから、詳しく調べようって。
だから2~3日ゆっくりしなさい」

お母さんは気をつかって話していた


なんでもないって
本当に⁉


私は病院の指示通り
病室に移され
検査入院する事になった


看護婦さんに聞いても検査だから
心配無いと
みんな笑って言うのが逆に怖かったけど


お母さんは
身の回りの物を取りに帰ってしまい


一人ベッドで寝るしか無かった

No.261 10/04/20 14:09
夕焼け雲 ( PpQK )

今日は木曜日かぁ…

明後日りゅうから
☎来るけど
間に合うよなぁ


あっ
部活休むって連絡
しなきゃ


塾も…ピアノも


うわぁ最悪だぁ(泣)


部活の先輩怒るよなぁ…
誰が伴奏するか
揉めるよね(汗)

まぁ最悪先生が…


それも微妙(笑)


病院の天井を見ながら
色んな事を考えていた

No.262 10/04/20 14:58
夕焼け雲 ( PpQK )

眠りについて
看護婦さんの点滴を変える声で
目が覚めた


「もうすぐご飯よ(笑)❗」


あっという間に夕方になっていた


久しぶりに昼寝しちゃった(笑)


しばらくすると
お姉ちゃんが
身の回りの物を持って来てくれた



「いきなりどうしたなよ~❗お母さんに言われて持って来たけど」


こっちが聞きたい質問です(笑)



「わかんないけど
最近調子悪かったから検査するってさぁ❗」

お姉ちゃんはロッカーにパジャマや下着
箸やコップをしまっていた

漫画を何冊かテーブルに置いてくれた


「暇だよね(笑)❗
夏休みだから友達呼んだら❓りゅうくんには知らせた❓」


「検査だけだから
誰にも言わないよ❗
恥ずかしいじゃん(笑)」


「そうだね(笑)じゃあ知らせなくていいのね⤴⤴」



「うん(笑)大丈夫❗」

お姉ちゃんは椅子に座り
私の小さい頃の話を
始めた

No.263 10/04/21 15:59
夕焼け雲 ( PpQK )

私は未熟児で産まれた

早産で
しばらく保育器に入っていたらしい


小さい頃心配していたのは
何となく感じていたが
はっきり知ったのは
この時だった


お母さんはとても心配して
自分を責め
お姉ちゃんの世話も
心あらずだったと
聞かされた


私自身は
小さい頃の記憶は
殆ど無くて


この街に住んでからの記憶しかない


私は一歳まで
病院を行ったり来たり
落ち着かない状態だったらしい


お母さんが
時折見せる
身体の過剰な心配は
自分の責任の不安だった


でも私がバレー部に入るのも
反対しなかったのは

全てを怖がってはいけないと
お母さんも耐えていたと聞いた


何処かでお母さんは
爆弾を抱えてる毎日だったのだろうか…


今回倒れて
ごめんなさい


なんでも無いから
大丈夫だよ

No.264 10/04/21 16:07
夕焼け雲 ( PpQK )

「夕飯で~す❗」



病院のご飯は早い(笑)

「いいなぁ(笑)
健康食じゃん❗
はやく食べなさい(笑)

お姉ちゃんは
コップを洗い
お茶を貰いに行った


食欲はまだ無かったが
食べないと心配するので

ゆっくりと口に運んだ


お姉ちゃんが
📺のカードと
テレフォンカードを
買ってきてくれた


「必要でしょ⁉」


ニヤリッと笑うのが
可笑しくて
私も笑ってしまった(笑)


「ありがと❗」


お姉ちゃんは食事を
見届け帰っていった

No.265 10/04/22 12:31
夕焼け雲 ( PpQK )

点滴がハズレて
楽になったので

病院内をうろついた


殆どがお年寄りの
患者さん


高校生を見つけるのはまず不可能だ


早く帰りたいな~


公衆電話を見ながら
りゅうの声が
聞きたい


そう思う自分と
心配かけてしまうから…


葛藤していた

No.266 10/04/22 13:09
夕焼け雲 ( PpQK )

「メグ❗」


お父さんとお母さんがやってきた

まるで私は重病人⁉

二人は少し
表情が固かった様に
感じたが

直ぐに笑顔になり
病室に戻った


お母さんは心配そうにしていた

お父さんは明るく振る舞い
プリンを買ってきてくれた


プリンは私の大好物


ちょっと奮発した
高いプリンを買ってきてくれた(笑)



一時間程病室で話し
帰って行った

明日朝一でお母さんは来ると
言っていたが
検査は昼前だから
お昼過ぎで大丈夫と
念を押した

No.267 10/04/22 13:15
夕焼け雲 ( PpQK )

検査の朝


体調は変わらない感じ

あまり良くない


看護婦さんに正直に
伝えた


朝ご飯は検査の為食べれず
ずっとベッドに横になっていた


車椅子を押した看護婦さんが入ってきた

「じゃあ行きましょう」


車椅子に乗り
私は検査を何ヵ所か
受けた


お母さんはその間に
来ていて
私が病室に戻った時には待っていた


「お腹空いちゃった(笑)」


と言うと安心して笑ってた

No.268 10/04/22 13:29
夕焼け雲 ( PpQK )

看護婦が入ってきて
変わり無いか
声を掛けてくれた


点滴がまた入り
横になっていた


お母さんがそっと
病室を出たのがわかった


検査結果が出たのだろう…


私は寝たふりをして
目を閉じていた


点滴が昨日より
増えてる事を見逃さ無かった

恐かった

No.269 10/04/22 13:46
夕焼け雲 ( PpQK )

お母さんがなかなか帰って来ない…


看護婦さんは
また車椅子を持って
私を乗せた


先生から検査結果の
話しがあると
連れて行かれた

診察室にはお母さんが居た

先生が
「はいどうぞ。」

私は車椅子のまま
促された


「今お母さんに検査結果を話しましたが

貴方も高校生で
小さい子供では無いから
自分の事をきちんと
知っておいた方がいいでしょうと
お母さんにも説明して呼びました。

今体調が優れないのは貴方の心臓に少し負担がきています。
治療によって
きちんと治りますが
手術が必要です。

今直ぐにでは無いですが専門の病院に移る事をお勧めしています。
それから……」


私はそこからあまり
覚えて無い

お母さんは動揺していたが隠せない事だと知り
私にも告知したのだろう


心臓⁉


貧血じゃないの⁉


より詳しく調べ
万全で手術を臨むのは
専門の病院にという
説明だった

No.270 10/04/22 14:04
夕焼け雲 ( PpQK )

頭が真っ白になった

病室に戻って横になる

手術しないと
治らないのだろうか
手術して治るのだろうか


お母さんは先生に
移転先の病院の説明や手続きで
まだ帰って来ない


多分お父さんに☎したり
お母さん自身動揺しているはずだから…


私は泣きたい気持ちを抑えて
踏ん張った


看護婦さんが
入れ替わり立ち替わり
私の所に来ては
チェックしたり
声を掛けてくれた


私は少しだけ
冷静さをとり戻し

「お腹が空きました(笑)」

と言ってみた


看護婦さんが
笑いながら
「あと二時間待ってね❗(笑)」

そう言って出ていった

No.271 10/04/22 14:14
夕焼け雲 ( PpQK )

しばらくすると
お母さんが入ってきた

心配そうな顔してたので
私は笑って

「何処の病院に行くって⁉」
と明るく話した

「ちょっと遠いけど
〇〇病院だって。
明日ここから行くそうだから…
大丈夫❓メグ…」



「大丈夫だよ(笑)

じゃあしばらく入院なんだね…。
学校とか部活の先輩に連絡しないと…。

お母さん
クラスの友達にも
連絡してくれる❓」


「そうね…じゃあメモしなきゃ…。」


沢山の書類片手に
バックから手帳を取り
メモしていた

「お母さん
明日の洋服と靴
持って来てね❗
パジャマでは恥ずかしいから(笑)」


「あっ❗そうね❗」

お母さんは笑う余裕もなく
書いてる手も震えて
見えた

No.272 10/04/22 14:22
夕焼け雲 ( PpQK )

私は横になりながら
お母さんの手を握り

「大丈夫だよ(笑)」

そう言った


お母さんは
苦笑いしながら

「絶対治るからね」

力強く手を握りしめた

「少し眠るから
お母さん明日の準備しといて❗

心配しないでまた明日来てね(笑)」


お母さんはまだ動揺していたが

「何かあったら☎してね❗」

そう言って病室を出た

一人天井を見つめ
涙が出た

No.273 10/04/22 14:36
夕焼け雲 ( PpQK )

空虚だけの時間が過ぎ

夕飯が来た


「お待たせ❗」

看護婦さんが明るく茶化す


「待ってました(笑)」

夕飯を見ても
全く食欲が無く
結局残してしまった


それを見た看護婦さんが

「食べれない❓」


と心配そうに顔を覗いた

脈を測って
熱を測って

聴診器をあてた


「看護婦さんも
心臓の音判るの❓」

「一応勉強してるからね(笑)」


ゆっくりと心臓を聞いていた


私の音はどんな音になってるの❓


看護婦さんがナースステーションに戻り

点滴の途中から
💉で薬が入った


「心配しないで何かあったら呼んでね」


「はい(笑)」


しばらくすると
私は眠くなり
ぐっすり寝てしまった

No.274 10/04/22 14:42
夕焼け雲 ( PpQK )

夜中
巡回で私の身体を
触る看護婦さんが
ぼんやり見えた


小さい声で
「寝てて。」


また脈 心臓を
チェックしていた


私はまたすぐ眠りについてしまった


夢の中で
私は元気そうに
笑っていた


家族と学校の人達と
りゅうの夢を見た

No.275 10/04/22 15:00
夕焼け雲 ( PpQK )

検温です


看護婦さんに起こされ
渋々体温計を
脇の下に入れた

まだ頭の中は起きられず
看護婦さんが戻って
体温と問診
聴診、血圧を測ってる時は

ぼんやりしていた


血圧が低いと
毎日言われる


食欲が無いと
体力が落ちるからと
食べる様に言われた


朝食までずっと寝ていた

なかなか起きられない

朝食を持って来てくれたので
顔を洗い
お茶を貰った


病院食は
食欲出ないよ(笑)


お昼までに退院するので
とりあえず食べなきゃと
強引に口に運んだ


何とか食べれた


9時前
両親揃って
病室に来てくれた


「大丈夫か❓」

お父さんは明るく言ってくれた

「プリン無いの❓(笑)」

三人共笑顔に変わった


お母さんは身の回りの片付けをしてくれた

お父さんは会計を(笑)

私は着替えの準備をした



「お風呂に入りたい(泣)」

二日間入って無いから
気持ち悪い


「今日あっちの病院に行ったら
聞いてあげる」


私の身体を蒸しタオルで拭きながら
お母さんは言った

No.276 10/04/22 15:09
夕焼け雲 ( PpQK )

手続きを終え
身支度も出来
🚗に乗った


紹介状とカルテと資料を持って
紹介された病院に向かう


自宅からは🚗で一時間はかかるかなと
お父さんが言っていた

私は後ろの席で
お母さんにもたれ掛かり
流れる景色を観ていた

お母さんは何度も
大丈夫かと聞いていた

大丈夫だよと笑って返すと
ずっと手を離さなかった



「何も心配するな」

お父さんはそう言ってくれた

No.277 10/04/22 15:25
夕焼け雲 ( PpQK )

病院は大きくて
迷子になりそうだった

お父さんも受付に
行ってから
なかなか戻らない

迷子になってんのかな(笑)

お母さんと二人
ロビーで待つ


10分ほど待って
診察室に通された
入院は決まっていたが
しばらく薬投与で
手術の時期や
身体の状態を視ていきましょう


そう説明された


病室に案内され
四人部屋になった


挨拶をして
パジャマに再び着替えた

お母さんが
看護婦さん達に挨拶しに行き
お父さんは🚗に戻って
荷物を取りに行った


お母さんが
明日ならお風呂大丈夫みたいよと
笑って言った(笑)

No.278 10/04/22 15:39
夕焼け雲 ( PpQK )

今夏休みで良かった


しばらく休むなら
欠席日数が少ない方がいい

ただ学校に毎日行っていたので
必ずわかってしまう


連絡は必須だった


そうだ…

今日りゅうから☎がある

私は迷っていた


簡単に帰れると思ったので
間に合うと…

でももうすぐ
りゅうも帰ってくるし
隠せない…


お母さんに相談すると

嘘はつかない方が
二人の為だと思う


そう言った


私もそう思った


今回の事も
もし両親や先生が
嘘をついていたら
私は余計辛かっただろう


りゅうは嘘が嫌いで
隠し事も嫌
誤魔化された幼少期があるから
まっすぐ歩きたい

いつもそう言ってた


私の現状を
りゅうが聞いたら
私はりゅうと
別れなきゃいけないかな…


独り言を言った


急に自分の運命と
将来を考えてしまった

No.279 10/04/22 15:46
夕焼け雲 ( PpQK )

私は自分の病気の事しかまだ考えられなかった


だから
これから治療する時間や

手術する事によって

自分や周りが
どう変わるかなんて
考える余裕もなく


元気になれば
また元の生活に戻れると思った



はっきりしてるのは
手術による傷跡
術後の生活の不安

限定されそうな行動


将来自分が抱える不安

未知の不安で
いっぱいになり
泣いてしまった


病室の患者さんに
気を使い

ベッドのカーテンを
閉めた


心配した両親が
一生懸命慰めるが
私の不安な気持ちは
違う所まで広がっていた



りゅうに話せない…


私は迷ってしまった

No.280 10/04/22 16:01
夕焼け雲 ( PpQK )

看護婦さんが心配して見回りに来た


両親は大丈夫ですと
うまく交わしてくれた

今日りゅうに私が☎する


そう決めた


両親は複雑な顔をして観ていた


ベッドに横になった


治る事が良いのか
解らなくなる自分がいた


色んな事に耐えられない
弱さも出てきた

No.281 10/04/22 16:15
夕焼け雲 ( PpQK )

点滴をつけに
看護婦さんが来た

大丈夫❓と声を掛けてくれ
私は静かに頷いた


「明日お風呂の時間を取りましたから
着替えを用意しておいてくださいね」


両親が
「ありがとうございます」

と頭を下げ
看護婦さんは戻った


カーテンを開けて
お父さんが出ていった

お母さんは
私の傍を離れず
手を握る


心配しないで


お母さんは
小さい声で私に言った



お父さんは
売店でプリンを買ってきていた


何だか三歳児みたい(笑)


プリンは
魔法の薬かな(笑)

No.282 10/04/22 16:21
夕焼け雲 ( PpQK )

「大丈夫だよ❗
もう二人共帰って(笑)」


両親はなかなか帰らないので
私から促した



夕方になっていた


お母さんがテレフォンカードとお金を
引き出しに入れてくれた


「明日はお姉ちゃんと来るよ(笑)」


「わかった(笑)」


両親は後ろ髪ひかれながら帰って行った


一人になって
色々考えていた


私はどう生きていけるんだろうか


手術の不安より
手術の先の不安が大きくなっていた

No.283 10/04/22 16:43
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうにまず何と話そう…


それもなかなか答えが出なかった


夕飯が来て
同室の人達が
なんとなく話しを始めた


周りは大人の中
皆空気を読んでくれて
気をつかってる


病気の話は一切せず
病院の〇〇先生は
面白いとか

看護婦さんの〇〇さんは
厳しいとか

私を和ませてくれた


飴やお菓子をくれたりと
本当に子供と同じ様に
よくしてくれた(笑)


なんだか助かった


一人だったら
多分考え過ぎて
自暴自棄になっていただろう…


みんなすぐ元気になるから
大丈夫よ~❗


そう言ってくれる一言が
心に染みた


食事を終えると
それぞれの家族が
お見舞いに来たりと
賑やかになっていた


こうやって支えてくれる人が
居るっていいなぁと

素直に思った

No.284 10/04/22 17:00
夕焼け雲 ( PpQK )

私は看護婦さんに
☎してきますと
声を掛けて
場所を教えて貰った


椅子に座れる
☎ボックスに案内され

私はしばらく悩んだ


カードを入れて
ダイヤルする


ドキドキしていた


深呼吸をした


「はい❗」


りゅうの声と共に
公衆電話のブザーが鳴る


「私❗メグ…」


「え⁉メグ⁉
どうした❓
外から掛けてるのか❓」


「うん(笑)…」


空笑いで会話が続かない


「何かあったの❓」

りゅうが不信に感じていた


「あのね…………」


次の言葉が出ない


「りゅう…
いつ帰って来るの❓」


「あぁ❗親父も何とか一人で
大丈夫みたいだから~来週でも帰れると思うよ❗

また荷物片付けなきゃ(笑)」


「もうそっちに住まないの❓」


「時々様子見に来るけど 学校優先にしろって言われたから
戻るわ(笑)」


看病を終えたりゅうに話しをするのを

躊躇した

No.285 10/04/22 17:16
夕焼け雲 ( PpQK )

「そっかぁ(笑)
良かったね…」


「なんかメグは良かった感じ
しないな。

何かあったんだろ❓」

りゅうに見透かされてる


「夏休み一緒に出掛けられなくなっちゃった…」


そう言うのが精一杯だった


「なんで❓
用事が出来たの❓」


「うん…」


「何かおじさんやおばさんに言われた❓」


「ううん(笑)大丈夫❗」


誤解されてる


「りゅう…
私しばらく一人で頑張ってみたい……」



「どういう意味❓」


私が言いたかった言葉じゃなかった

(逢いたいよ)


本当は
それだけを言いたかったのに

言えずに反対の言葉が出ていた


「お互い勉強や部活で忙しいし…」


言いたかった事を
自分で見失っていた


「別れたいって事❓」

私は泣いていた


(別れたいなんて思ってない)

無言の私に
りゅうが

「俺がいけなかったからだよね…」

No.286 10/04/22 17:26
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうの声が変わった

無言の時間が続く


「こないだ逢った時にそう思ったの❓
ずっとメグはそう思ってた❓」


りゅうは納得出来ず
問いただす


「違う…よ…。

私が………。」


言葉が続かない


「好きな人が出来たの❓」


りゅうが少し怒りながら聞く


「それは無いよ❗」


はっきりと答えた


カードの数字がなくなっていく


「りゅう…大好きだよ」


そう言って☎を切った

私はずっと泣きじゃくっていた

No.287 10/04/22 17:39
夕焼け雲 ( PpQK )

椅子から立ち上がれず
しばらく泣いていた


周りを通る人は
見て見ぬふりをしてくれた

30分位立ち上がれず
看護婦さんが
心配して来てくれた


「大丈夫❓今車椅子持ってくるから❗」


病気云々より
ボロボロの私…


一人では歩けない程
落ちていた


看護婦さんが
バタバタと車椅子を
運んでくれた


病室に入る前に
顔を拭きたいと
蒸しタオルを貰った


病室に戻ると
他の家族は帰っていて
みんな眠り支度をして
カーテンが閉まっていた


ベッドに横になり
布団を掛けて貰う


情けなくて惨めだった

No.288 10/04/22 17:52
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝


私の目は見事に腫れ上がり
不細工ぶりは
皆もすぐわかった


朝食を終えると
看護婦さんが来て
お風呂の準備をしておく様にと
言われた


あと一時間したら
お風呂に入れるが
一人では入れない


お母さんが付き添って入る事になってる



お母さんはお風呂の支度をしてきてくれた

いつものシャンプーに
見慣れたタオル


新しいパジャマを買ってくれていた


案内されて
3日ぶりにお風呂に入る


髪の毛は三回洗い
身体も二回洗った


湯船には入れないので
しばらくシャワーを
当てていた

椅子に座りながらなので
楽だった


看護婦に声を掛けられ
着替えた


時間も体調によって
あるらしい


髪の毛を乾かしながら
お母さんに
昨日の事を話した

No.289 10/04/22 18:10
夕焼け雲 ( PpQK )

「りゅうと逢わない事にした…」


そう言った途端
涙が出た


病気の話はしていない…

りゅうが帰る事や
今勉強や部活に取り組む
大切な時期だと
それも考えて
お互い離れる事にした

そう言うと
お母さんは静かに
髪の毛をとかして


「メグの本心はそれでいいの❓」


声を詰まらせ言った


親としても
辛かったのが伝わった

でも私の考えも
理解していた


その先の不安を
お母さん達も理解していた


私がどうなるかは
わからない

今は治療する事にする

りゅうも大学に行く為に頑張って欲しい


それだけでいい


悲観的でなく前向きだと伝えた


りゅうに病気の事を
伝えるのは
りゅうが私の今を知った時に
そうお願いした


なるべく知るまで
時間がある様に


そう願っていた

No.290 10/04/22 18:39
夕焼け雲 ( PpQK )

それから一週間経ち
治療も投薬で
経過を視ていた



体力をつけないと
手術に勝てない


いつも先生に
呪文の様に言われる


数値が全体的に
安定したら
施行する



食事もなるべく
残さず食べる様に

時には間食もしていた(笑)


病室の皆と仲良くなり
共通の話題にも
ついていける


りゅうの事は片隅にあったが
誰も口にしない


きっと帰って来てるだろう…


音信不通にしたら
必ずりゅうから来る
病気の事を話したら
りゅうの負担になる


だから
別れてよかった


私がどうなってるか

知るまで多分時間はかかるはず


それでいい


誰も言わないで…



そっとしておいて…

No.291 10/04/22 19:18
夕焼け雲 ( PpQK )

時々部活の先輩や
同級生


クラスの友達が
お見舞いに来てくれた


合唱部は毎日練習に追われ
大変そうだった

クラスの友達は
日焼けしていて
皆元気そうで
羨ましかった


皆りゅうの話をしなかったのは
お母さんが事前に
伝えてたと思う


ありがとう


そう想うのが
精一杯だった

No.292 10/04/22 19:30
夕焼け雲 ( PpQK )

お盆休みに入る


お父さんが毎日
お母さんと来てくれた

お姉ちゃんは
土日にいつも来てくれた


迷惑かけてばかり


お金も掛かる


お姉ちゃんがバイトを始めたと知って
申し訳ないと謝った


お姉ちゃんは
メグの為じゃないわよと
誤魔化した


どのくらい入院するのか
わからない

手術に掛かるのも


私は色んな人に
迷惑を掛けて生きている


意味があるのか


負の思考に入ると
死にたくなる


生きている意味と
生きていく意味が
わからなくなる

No.293 10/04/22 19:37
夕焼け雲 ( PpQK )

夏休みもあと数日で
終わる


私の手術日が決まった

来週の水曜日


いよいよ
私の身体にメスが入る


その為の入院なのに
変わらない毎日に
慣れてきていた


手術が決まって
改めて自分の先と
向き合う時が
来たんだと


元気になったら
何をするか
何が出来るか


出来ないリスクを
考えないよう


周りからも
プラス思考を
言われていた

No.294 10/04/22 20:36
夕焼け雲 ( PpQK )

月曜日


学校が始まっていた



私は休学届けを出した

この先を考え
無期限の休みを
お母さんに託した


学校の先生は
事情を知り
承諾した


毎日細かい検査が増えた

一日寝てる事も出来ずバタバタしていた


お母さんに支えられるお風呂も
随分と慣れ

髪を乾かすと

美容院に行きたいと
お願いした


病院内に
髪を切る所はある

理容が主みたいだが
外出出来ないので
長い髪を
ボブに切った


高校に入って伸ばした髪は
凄くりゅうが気に入っていた

でもりゅうに見せる事も無くなり

入院生活に邪魔だった

新しい自分になるために
気分転換も兼ねた

No.295 10/04/22 20:40
夕焼け雲 ( PpQK )

「可愛くなったね(笑)」


お母さんが言う


病室のみんなは
驚いていたが
似合う似合うと
言ってくれた(笑)



明日夜絶食が始まるので

今日はご馳走を
作って持って来てくれた


みんなにお裾分けし
お母さんの味を
堪能していた

No.296 10/04/22 20:46
夕焼け雲 ( PpQK )

火曜日の朝


また検査で
あちこち連れて行かれた

一般の患者さんの
合間に
私が車椅子で待つ


見られていて
恥ずかしかった


検査を終えると
私は売店に向かった


「レターセットありますか⁉」


「便箋と封筒が~
ちょっと渋いわよね~(笑)」


「じゃあノートください(笑)」


普通の大学ノートを
買った


日記をつけよう
新しい自分の為に


ノートを片手に
病室に戻り


今の気持ちを書いた

No.297 10/04/22 20:48
夕焼け雲 ( PpQK )

本当は
りゅうに手紙を書きたかった


書くだけで
出すつもりはない


りゅうの知ってる
私は今日まで


ありがとうと
書きたかった


ノートの始まりに
ありがとう…

そう書いた


今の自分に正直に…

No.298 10/04/22 21:00
夕焼け雲 ( PpQK )

元気ですか?

相変わらず野球
頑張ってますか?

学校は楽しいですか?
勉強は頑張ってますか?

おじさんやおばさんは元気ですか?


毎日充実してますか?

りゅうの笑顔が
大好きでした


楽しい時間をありがとう…


本当にありがとう…


好きな人はいますか?

幸せになってください

私も頑張ります


何処にいても
応援してます

No.299 10/04/22 21:21
夕焼け雲 ( PpQK )

そう書いてから
後ろのページに


りゅうに逢いたいよ


怖いよ


そう殴り書きしていた

慌てて上から塗り潰し
ノートを閉じた


涙が止まらず
慌てて顔を洗った



今日は静かに寝ていたいから来ないでいいよ(笑)


昨日お母さんに伝えたので
ゆっくり自分と向き合った



もう一度売店に行き
使い捨てカメラを買った


看護婦さんに頼んで
上半身の写真を
撮って貰った


自分でも何枚か撮る


明日には
傷跡がつくから
綺麗な私を残しておきたかった


綺麗なはまた別か(笑)

撮れなくなるまで
シャッターを切った

No.300 10/04/22 21:26
夕焼け雲 ( PpQK )

撮ってから
これ現像するの
恥ずかしいなと
冷静になる(笑)



それでも
もうこの身体は
元に戻らないもの


そう思うと
恥ずかしいとか
関係無かった


消灯前に💉を打たれた

明日の手術の為に


私は
ゆっくり眠りについた

No.301 10/04/22 21:34
夕焼け雲 ( PpQK )

手術日当日


色んな機材が
私を囲む


まだ病室なのに
大変な事になってそうだ


両親とお姉ちゃんの顔が見えた


笑ってくれたので
私は安心していた


待っているからね



私はみんなに
手を振って
手術室に運ばれた


目の前の先生達が
段々とぼんやりして
真っ黒になった

No.302 10/04/22 22:24
夕焼け雲 ( PpQK )

手術が終わったのが
何時だったのか
私は知らない



終わって集中治療室に運ばれ
私はなかなか
目が醒めなかった



何日寝ていたか
わからない



看護婦さんの声や
機械の音が
遠くで聞こえていた


目の前は霧が掛かっていて
まっすぐ続く道を
進んでるようだった



私は歩きながら
誰かを探していた



川が見えて
手を振っている人達が見えてきた



花が咲き乱れ
霧が晴れて
キラキラ太陽が光っていた


後ろから声がした


聞き慣れた声だった


振り向きその声を探す私


意識が戻った

No.303 10/04/22 22:38
夕焼け雲 ( PpQK )

目を開けると

ぼんやりと人の顔が
見えた


看護婦さんが

わかりますか❓
お名前は❓


手を握りながら
質問する



「はい……」


掠れた声で答えた


すると両親とお姉ちゃんが
入って来た


完全防護の服を着せられ
三人並んでいた


お母さんは泣いていたのが
すぐわかった


「た…だいま…」


あまりうまく話せない

皆が私の手を取り
離さなかった


お父さんは後ろを向いて
涙を拭いていた


お母さんとお姉ちゃんは
涙を隠す事なく
泣いていた


私は頷いて✌をした


「もう少し…寝たい…」


私は眠りについた

No.304 10/04/22 22:52
夕焼け雲 ( PpQK )

次に目が醒めた時は

痛みとの闘いだった


傷口と頭痛
吐き気も止まらない


痛いと頭を揺らしてしまう
それが頭痛を悪化させると言われたが
耐えられず
打てる限りの
痛み止めを打って貰う


私は駄々っ子の様に
暴れていたらしい

No.305 10/04/22 23:03
夕焼け雲 ( PpQK )

痛みは何日も続いた


もう何処が痛いか
わからないくらい

全身に痛みがあった


面会謝絶から
一週間


個室部屋に移された


私は

毎日消毒してる傷口を
見る勇気が無く

その都度目を閉じていた


私はまだ歩く事も出来ない


全てをベッドの上で
済ます毎日


食べられないので
点滴で補う


痛みから解放されたい
それだけだった

No.306 10/04/23 00:45
夕焼け雲 ( PpQK )

抜糸の日
初めて自分の傷跡を
見た


なんとなく
消毒の範囲で予想
出来ていたが


やっぱり傷跡は大きく
ショックだった


慌てて看護婦さんが
ガーゼを被せた


顔色が悪い私を
お母さんが心配して
待っていた


「傷跡大きいや…
温泉やプールに入れないな…」


落胆している私を
黙って見守っている


一つ一つ
私は向き合わないと
いけなかった


これが術後の私


なかなか
前向きな思考に慣れず
家族を心配させていた

No.307 10/04/23 23:04
夕焼け雲 ( PpQK )

毎日一人になると
塞ぎこんでしまう

自分の命と
生きていく事は
手放しで喜んでる場合でもなく


自分がどう生きていけるかもこれから先
重要だ


先生はリハビリして
体力がつけば
仕事も出来る


そう言ったが
爆弾抱えた私を
雇ってくれるだろうか

大学に行けるのか
行く意味があるのか
それもわからない


ピアノを今まで通り
弾けるのか
合唱は…

無理だよね…


恋愛は⁉


この傷跡を見て
こんな身体だと知り
誰が好きになる⁉


私は一生一人…


りゅうと別れてから
わかってた事だけど


私の生きる意味は
何処にあるのだろう


日記はずっと真っ白のまま


吐き出す事も出来なかった

No.308 10/04/23 23:28
夕焼け雲 ( PpQK )

家族は
私の前で明るくして
くれて…


それでも笑顔になれない私…


多分一番辛かったのは両親



お母さんは
少し痩せてしまったのがわかる


お父さん…
こんなに白髪あった❓


ごめんね…



今は誰にも逢いたく無いよ



どうしたいのか
わからない



体調も悪くなっていた

No.309 10/04/23 23:39
夕焼け雲 ( PpQK )

季節は秋になっていた

いちょう並木が
窓から見えた


私は体重が落ちてしまい
術後の回復はあまり
良くなかった


薬はどんどん増えて
点滴を刺す場所が
無いくらい


腕はパンパンに
なっていた


毎日私の面倒を
看てくれる
看護婦さんも
段々事務的な感じだと思う程
私の心は荒んでいた



道を歩いてる人や
はしゃいでる小学生

当たり前に
生活出来る人が
憎らしかった


今の私は悪魔だと
自分が嫌いで
毎日泣いていた

No.310 10/04/24 00:00
夕焼け雲 ( PpQK )

ある日
不自然な時間に
お父さんが来た


少し険しく
伏し目がちで
私の近くに来た



椅子に座り
ゆっくりと話し始めた

「今日りゅうくんが来たんだ。」


その言葉は聞きたく無かった


「お父さん……話したの❓」


お父さんは私の目を
見て頷いた


「何回か☎はあったらしいよ…お母さんが
うまく誤魔化してきたけど…」


「……。」


「家に来てメグと話しがしたいと言って来たんだ。

お父さん達はもう隠せない…
そう思ったから

今のメグを話したよ…」


涙が頬を伝う


「うん…そうだね…わかった…」


お父さんは肩を落としつらそうな表情だった

No.311 10/04/26 19:37
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日

お母さんが心配そうに来たが

りゅうの話は全くせずいつもと変わらず
話していた


色々探りながら
話してたかも…


私が戻ったら
嫌でも顔を合わせるかもしれない


だからこそ
わかって良かったんだと
私は思ってた


自分の為にも
りゅうの為にも
一番いい


それぞれが…
それぞれの道を
歩く為だから

No.312 10/04/26 19:58
夕焼け雲 ( PpQK )

リハビリの毎日


一ヶ月が過ぎると
仮帰宅が決まった


三日間自宅で過ごせる事になった


家族は喜び
準備をしてくれた


私も久しぶりの
病院外の生活に
嬉しかった



先生に
今回無事に過ごせたら
退院の為のスケジュールを作っておくよと
言われた


冬の寒さで
まだ私もどう変異するかわからない


気候によっては
まだまだ不安定になりやすい


だから今回は
きちんとした
予告練習


学校にも戻りたい


だから私は
毎日リズム
病院で頑張っていた

No.313 10/04/26 20:09
夕焼け雲 ( PpQK )

外泊帰宅の日の朝


病室のみんなに
良かったねと
労いを受け

昼過ぎ両親と
お姉ちゃんに迎えられ
🚗に乗った


久しぶりの外は
寒かった…


私が入院した時は
暑かったのに


季節の移り変わりの速さを痛感した


何度も心配する両親

笑って頷いた私


お姉ちゃんは
後ろでずっと手を握ってくれた


自宅が見えてきた
りゅうの🏠も
視界に入っていた


帰ってきたよ…


そう思いながら
玄関に向かう


荷物を降ろしたお父さんは
張り切っていた


部屋の模様替えを
したんだと言っていた

お姉ちゃんの案で
カーテンやラグ
ベッドのカバーが
明るいオレンジの
可愛い物に変わっていた


ベッドは電動ベッドに変わり
手すりなどが増えていた


私がずっと生きていく為の証


家族の気持ちが温かかった


ありがとう


頑張るよ


必ず恩返しするから

No.314 10/04/26 20:44
夕焼け雲 ( PpQK )

お寿司屋さんで
特上をとってくれた



お母さんの料理も並び
病院食から解放され

ゆっくりと噛みしめていた


「めちゃくちゃ美味しい~(笑)」


私は幸せだった


お父さんもお母さんも
お姉ちゃんも

笑っていた

また四人揃って
ご飯が食べれる幸せ


当たり前の事が
出来なかった時間で
改めて大切さを
感じる



ピアノを眺めながら
まだ弾くのはよそうと
言い聞かせた

No.315 10/04/26 20:57
夕焼け雲 ( PpQK )

お風呂は
お母さんと一緒に
入る事になっている


お母さんは
傷跡を見ているが
病院では
ずっと看護婦さんに
お風呂に付き添って貰っていたので


向き合うのは
初めてだった


お母さんよりも
私が気をつかい…


少し躊躇っていたら
お母さんが
手を差し伸べてくれた


大体の事は自分で
出来るけど
お母さんは
私の髪も洗い
身体も洗ってくれた



傷跡の所は
手で洗う

お母さんは
涙ぐんでいた


何度も大丈夫❓
と確認して
流してくれた

No.316 10/04/26 21:03
夕焼け雲 ( PpQK )

お風呂から上がると

お姉ちゃんが待っていて
ソファーに連れていく


お風呂上がりは
少し変動があるので
気をつけてと
病院から言われていた


お父さんは一人
あっち行ったり
こっち行ったり
落ち着いてなかった(笑)


📺を観ながら
くつろいでいた
常に四人揃っていた


寝る時は
お母さんが一緒に
寝るよと言っていた


お父さん
ごめんね(笑)

No.317 10/04/28 06:15
夕焼け雲 ( PpQK )

部屋に戻り
先にベッドで寝ていた


お母さんは
布団を持って来て
床に敷いた



お母さんと寝るのは
小学生以来だね


懐かしい気持ちと
色んな思い出に
胸がいっぱいだった



部屋の写真も
りゅうとのアルバムもまだ残っている
私が片付けるまで
そのままにしてくれた


明日…片付けよう
ベッドの🐬を抱きしめていた

No.318 10/04/28 07:54
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日
食事を終えると

私はりゅうとの思い出の物を
段ボールに入れた


指輪は綺麗に
磨いて
お母さんに箱を
貰い
その中に閉まった


🐬は入らないので
ベッドに置いたまま
それくらい
許して欲しいと
思った(笑)



片付けてる私に
お母さんは


「無理しないでよ」

と呟く


「大丈夫(笑)」


日記も段ボールに入れた


次いでに机の中の物も
整理しよう


懐かしい物が
出てきて
胸が熱くなった


りゅうの第2ボタン


ボタンを握りしめ
泣きじゃくる


あの頃に戻りたい


お姉ちゃんが心配して
抱きしめてくれた

No.319 10/04/28 08:06
夕焼け雲 ( PpQK )

「メグ…
りゅうくんと逢わなくていいの❓」


泣きじゃくる私を見て
お姉ちゃんは
意を決して話し始めた


「りゅうくんね…
何度か☎くれたって
お父さん話したかな…
誤魔化してたけど
メグが帰って
また生活するに当たって

きちんと説明しようって話したの。

りゅうくんは
辛そうだったよ…

自分に何故話してくれなかったのか…

そう言ってた」


私は更に泣いた


「でもお父さんが
メグが決めた事で
りゅうくんにもメグ自身も負担にならない
生き方を思っての事なんだよって
話してくれた…。

りゅうくんは負担とか無いですって
少し怒ったけど…」


お姉ちゃんも
泣いていた

No.320 10/04/28 08:16
夕焼け雲 ( PpQK )

私は泣きながら
話し始めた


「私…りゅうの将来の邪魔したくない…


おばさんが一生懸命
りゅうを育てて
一流の人生を歩ませたのに…


私みたいなのが
りゅうの邪魔をしたくないの


私はりゅうの
頑張ってる姿の
今の生活を崩したくない


私がりゅうを
ずっと好きでいても
それは…
りゅうにとっても
私にとっても…

地獄なんだよ…」

No.321 10/04/28 08:22
夕焼け雲 ( PpQK )

「そんな事無いよ❗」

お姉ちゃんは強い口調で言ったが


私は自分の先を考えてる


「いいの…

お姉ちゃん…


りゅうと逢えば
自分の惨めさを痛感しちゃう…

それに今度は
好意でなく同情になるの


そんなの今の私には
辛すぎるよ…」


再び泣きじゃくる

お姉ちゃんも涙が
止まらない…

No.322 10/04/28 08:28
夕焼け雲 ( PpQK )

私は見えていた


りゅうに甘えて
負担になって
お互い苦しむより


お隣りさんのまま
それでいい


りゅうの為だけじゃなく…
自分の為にも

そうでなきゃいけなかった


だから私の初恋は
終わり



家族に助けて貰うけど
ちゃんと自立出来る様に
頑張るから

お姉ちゃんも幸せに
なってね(笑)



お姉ちゃんは
ずっと泣いていた

No.323 10/04/28 11:08
夕焼け雲 ( PpQK )

お母さんが
私達を心配して
上がってきた



大丈夫だよ



泣きながら笑う私



お姉ちゃんは
部屋に戻っていった



お母さんは段ボールを天袋に上げた


思い出は捨てる事無いよ…
いつか笑って懐かしむ時が来るから
その時まで待てばいい…


お母さんは静かに言った


うん…


いつか笑える日まで

No.324 10/04/28 20:02
夕焼け雲 ( PpQK )

あちこち行けない私は
三日間自宅で過ごす


今日夜病院に戻る


なんだか自宅なのに
泊まりに来た感じ
どっちが自分の居場所か
感覚が麻痺してる


ピアノを軽く弾いてみた


全然うまく弾けなくて
下手すぎて笑ってしまった


お母さんはまたゆっくり練習したら
大丈夫よと慰めてくれる


一時間くらい
ピアノと向き合って
部屋に戻った

No.325 10/04/28 20:15
夕焼け雲 ( PpQK )

疲れたので
横になった


体調が優れない


薬を飲んで寝ていた


お母さんは病院に連絡して
早めに病院に
来るようにと言われた


荷物をまとめてる
お母さんとお姉ちゃん

行きたくない…


涙が流れた


お父さんが急いで
🚗を用意し
落ち着いた所を見計らって
担がれて🚗に乗った


大きな声で騒いでたので
近所の人が心配していた



その中にりゅうが居た


「メグ‼‼」



私の目から
涙がこぼれた


「いってきます」


私はりゅうに
小さく手を振った

No.326 10/04/28 20:24
夕焼け雲 ( PpQK )

気付いた時は病院の
ベッドだった


点滴と酸素マスクが付いていた


お父さんとお母さん
お姉ちゃんの顔が見えた



その隣りに
りゅうの顔が見えた



夢の中だと思って
周りを確認した


やっぱり病院だった


看護婦さんが来て
確認作業をしていた


家族は出ていき
りゅうだけが
私の傍に居た

No.327 10/04/28 20:30
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは私の手を握った


久しぶりのりゅうの温もり



私は力が入らなかった


「大丈夫か❓」


りゅうの声が聞こえた

私は頷いた


何か話したら
私が壊れてしまいそうだった



だから
手に力も入れず
言葉を交わさず
目を閉じてしまった


目から涙だけが
無言の訴えをしていた


りゅうはずっと
手を握ってくれていた

No.328 10/04/28 20:49
夕焼け雲 ( PpQK )

看護婦さんが入ってきて

『今夜はもう遅いので任せてください。
何かありましたらご連絡します。』


何時かわからなかったが
そう説明され
お父さん達は
お願いしますと言っていたのが聞こえた


りゅうはなかなか
手を離さなかったが
お父さんに声を掛けられゆっくり離した



皆病室を出ていくのがわかり
私も薬が効いて眠りについた

No.329 10/04/28 20:55
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日


私は身体がだるく
すっきりしなかった


ずっとボンヤリした
世界を見ている様で
すぐ眠くなり
殆ど寝ていた


夕方お母さんとお姉ちゃんが来たらしいが
私は寝ていて
わからなかった



夜中の巡回の時に
看護婦さんの顔が見えて

まだ生きていたと
実感した

No.330 10/04/28 21:29
夕焼け雲 ( PpQK )

連日家族が代わる代わる面会に来る


お母さんが
りゅうくんが来たいと
昨夜🏠に来たと
話した



「メグの気持ち次第だからと思うけど
辛いならもう少し時間が必要❓」



「うん…まだ…ごめん…」



りゅうが心配し
付き添って
くれたのは感謝してる

でも私の気持ちの切り替えが
まだまだ
ついていかない


だから
自分から逢いに行ける日まで…


そうお願いした


お母さんは袋から
レターセットを出した

りゅうくんに
自分で伝えなさい


そう言って病室を出ていった

No.331 10/04/28 21:32
夕焼け雲 ( PpQK )

自分の身体もだが
私はりゅうの事も
甘えていた



自分の言葉で伝える



考えれば考える程
どう書いていいか
わからなかった



ありがとう



それだけは必ず伝えたい


まる二日間考えて
りゅうへの手紙は
手渡される事になった

No.332 10/04/28 21:56
夕焼け雲 ( PpQK )

To りゅう


心配かけてごめんなさい


嘘をついた事
両親に任せた事
ごめんなさい


学校や野球頑張ってください


りゅうが頑張ってる姿が
私の一番の喜びです

私も頑張ります


どうか幸せに


そう願っています


ありがとう


本当にありがとう


りゅうの明るい
人生を応援してます


From メグ

No.333 10/04/28 22:00
夕焼け雲 ( PpQK )

私から
りゅうへの別れの手紙


さよならとは
書かなかったが
きっとりゅうは
わかってくれるはず



りゅうと逢っても
笑って話せるように
さよならは言わない



お向かいさんとして
友達として



そう思ってる



少しだけ
心が軽くなった

No.334 10/04/28 22:13
夕焼け雲 ( PpQK )

それから一週間経ち


病院に私宛の手紙が届いた



りゅうからだった



手紙を読むのが
怖かった…


さよならと書かれていたら…


ケジメをつけたのに
弱い私が出てくる


夜まで封を開けられ無かった


お母さんが帰って
消灯になって
初めて封を開けた

No.335 10/04/28 23:22
夕焼け雲 ( PpQK )

メグへ


メグが逢いたくなったら
逢いに来いよ


俺は変わらず
メグが好きだから



ずっと待ってるから
心配しないで
頑張れ



りゅう

No.336 10/04/28 23:26
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうの字を
何度も読みながら



泣いていた



最後まで優しいりゅう


本当にありがとう



頑張れるよ



しんどくなったら
素直に言うよ



その時は胸を貸して



お願いします

No.337 10/04/28 23:32
夕焼け雲 ( PpQK )

月日は流れ

もう春になっていた


4月から学校に復学するので
治療もリハビリも頑張った


私は結局一年生から
やり直す


どうしても高校は卒業しようと思った
両親の気持ちも同じだったので
復学する準備をそれぞれしていた



桜が満開になった


私は🏠に帰れた


仮でも外出でもなく
退院出来た


桜咲く地元の並木道を見上げて歩いていた

No.338 10/05/01 00:01
夕焼け雲 ( PpQK )

通勤電車に久しぶりに乗った


一人じゃ心配だからと
お姉ちゃんが初日だけ付き添う


本当は大丈夫なのに
過剰な心配で
周りに迷惑をかける


リハビリで
体力も随分ついたし
治療で体調も
良くなってる


帰りは大丈夫だよと
駅で笑って別れた


クラスは同じだが
クラスメイトは年下


先生が私の事情を説明して留年の意味を皆が知った


私はなるべく普通に皆と接したが
周りは気をつかってくれていた

No.339 10/05/01 00:13
夕焼け雲 ( PpQK )

通院もあって
部活には入らなかった

勿論合唱も休学の段階で退部した


去年経験してきた
新入生歓迎イベントや
学校案内は
私は欠席した


先生と相談し
身体を考えての事だ


夏になると林間学校があり
宿泊学習がある

それも万が一の事があると責任を取れない
勿論両親も行けない事は理解していた



私が出席出来ない日
🏠で一人で留守番する日課になった


お母さんは仕事を持ち夕方帰ってくる


だから私が早い日は
必ずご飯を作る様に
心がけていた


みんな忙しく無理して頑張ってるのに
私だけ何も出来ないもどかしさが
たまらなく嫌だった

No.340 10/05/06 12:36
夕焼け雲 ( PpQK )

ある日
同じクラスの中村くんが
私と一緒に帰りたいと言われた


同じ方角で電車も一緒だったと言われた


どうしていいかわからず…友達と一緒ならと言った



私は同じ方角の人と
帰る様に
クラスでも伝えられ
気を使われていた


中村くんもその一貫で誘ってくれた


と思う



放課後
いつも一緒の雅ちゃんと中村くんが後から来た


中村くんは凄く楽しげに私達に話してきて
帰り道は笑い声が絶えなかった



クラスでも盛り上げ役の中村くんは
頭も良く女子からも
人気が高い


雅ちゃんも中村くんが好きみたいなので
私は気を利かせ
二人で話せる様に
聞き役に徹した

No.341 10/05/06 12:44
夕焼け雲 ( PpQK )

電車に乗り
雅ちゃんと中村くんは楽しげに話していた


雅ちゃんが降りる駅で私は中村くんに

「送ってあげて❗」

と半ば強引に
中村くんを降ろした(笑)


笑いながら私は
二人に手を振って
電車は走る



うまく行くと
いいな(笑)



私には持てない感情が羨ましかった




🏠に帰ると
雅ちゃんから☎が来て楽しかったと言っていた

良かったね(笑)


私は次いでだったね(笑)

No.342 10/05/06 12:50
夕焼け雲 ( PpQK )

雅ちゃんに
明日から中村くんと
一緒に帰りなと伝えた


雅ちゃんは
私と一緒じゃなきゃ
嫌だと言うが
私も困惑する(汗)


どちらにせよ
私と一緒に帰る事と
中村くんとは別だからと
私を立ててくれた



嬉しい様な
複雑な気持ちだった



着替えてスーパーに
買い物へ行く


顔馴染みのおじさん達にまけてもらい
買い出しを終え
自宅に戻った

No.343 10/05/06 13:00
夕焼け雲 ( PpQK )

夕御飯を作ってる最中
☎が鳴った


また雅ちゃんかなと思いながら☎に出た


共だった


共とは…りゅうの引越し以来だ


「メグ❗大丈夫か❗」

どうやら誰かに聞いたらしい


りゅうだと思った


「大丈夫だよ(笑)久しぶりだね~。共は元気⁉」



「あぁ❗なぁメグ今から出れる❓」


「う~ん…お母さんに言ってからじゃないと…心配するから…」



「そっかぁ(泣)。

じゃあ明後日の土曜
空いてる❓」


「うん…何も無いよ」

「じゃあ土曜に逢わない❓久々にさっ❗
また連絡するから…
大丈夫か聞いてよ❗(笑)」


「わかった(笑)
じゃあまたね、バイバイ」


☎を切った

No.344 10/05/06 13:10
夕焼け雲 ( PpQK )

お母さんが帰って来て帰りの話しや

共から☎が来て
明後日逢う話しをした

お母さんは笑いながら
行ってらっしゃいと
言った



あまり過保護も良くないし…
今のところ順調なので
最近はお母さんも
私を普通に扱ってくれる


自由に…までは行かないが(笑)
私が出来ない事の代わりに
友達付き合いは大切にしなさいと言ってくれる


私を助けてくれるのは
医者と家族以外に
友達や周りの人なんだからと
いつも言う

No.345 10/05/06 14:01
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日

昨日と同じ様に
三人で帰り
中村くんを雅ちゃんの駅で降ろした(笑)


自宅に戻って
ピアノを一時間弾き

夕飯の支度を始めた

☎が鳴った

共だった


「土曜大丈夫だよ(笑)」


「そうか❗じゃあ迎えに行くよ(笑)10時頃な❗んじゃ明日なぁ(笑)」



☎を切って
色々考えた



もしりゅうの事聞かれても
正直に話そうと

No.346 10/05/06 20:40
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の約束の時間

共が迎えに来た

久々のせいか
どんどん大人になってる


昔皆が集まっていた
喫茶店に入った


アイスコーヒーと
アイスティーを頼み
共が話し始めた


「大変だったんだね…何も知らなくて悪かったな。」


「また一年生からやり直しなの(笑)だから私は後輩だね⤴」


「良かったよ元気になって❗」

「誰から聞いたの⁉」

暫し無言が…


「りゅうとちょこちょこ逢ってたから、逢えなくなった時から
メグの事情がわかって…」


「そうだよね…
りゅうには悪いと思ってる…
でもこうするしか無かった…」



「何となくだけど、
それぞれが納得したんなら…俺がどうこう言う必要無いけど

最近りゅう変わってね…」


「何かあった❓」


「うん…でも俺がチクったってバレたら嫌だから止めとくわ」


「気になるなぁ(笑)
でも私退院しても逢わないもんよ…。
普通に話すつもりはあるけど意外と逢わないから(笑)」


「じゃありゅうと逢っても大丈夫❓」


空気が一瞬変わる

No.347 10/05/06 20:58
夕焼け雲 ( PpQK )

私は下を向いた


どうだろうか…


顔がひきつらないか…
彼女が出来てたら
笑って祝える⁉


「自分から出来れば
逢える理由が来るまでと思ったけど…

何か頼まれたとか
そういうセッティングの話❓」



「同窓会があるんだけど…うちら仲良かったグループで再会しない❓って言われて
りゅうがメグを気にしてたから…嫌ならりゅうが行かないって…」


そうなんだ



確かに私退院しても
りゅうに逢ってない
みんなには自然と別れた事は伝わったんだ

どうすればいいんだろう…


「皆は私達の事情知ってる⁉」


「どう解釈してるか
わからないけど…
多分」


「そうなんだ…
私が行く事で嫌な空気にしたら困るし
遠慮するよ…
りゅうは行けるなら
共達と楽しんで欲しいし」


「りゅうはメグに来て欲しいみたいだよ」

No.348 10/05/06 21:09
夕焼け雲 ( PpQK )

色々考えても
同級生に変わりなく
前に住んでる限り
私達はいつか逢う


あんまり深く考えない様にするにも
逢うのも自然かな…


「わかったよ❗
じゃああんまり皆
いじめないでね(笑)」

「良かった(笑)」



「りゅうの変わった事って何❓」



「同窓会の時に本人に聞いてみなよ❗」


「なんか嫌だわ~(笑)でも皆に逢えるの楽しみになってきた」


「じゃあ決まったら
また連絡するよ❗
送って行くからな(笑)」


共はお会計をしてくれた


千円札を渡したが
笑って大丈夫と
言ってくれた



共が私の歩みに合わせ歩いてくれる

誰々が引越したとか
同級生情報を教えてくれた


懐かしい時間


あの日に帰れたら


そう思う自分は
まだまだ未練がましかった

No.349 10/05/06 21:21
夕焼け雲 ( PpQK )

学校では
連日テストが近いので勉強モードだった


私は去年同じ勉強をしてるので
更に点を稼がないと
恥ずかしい(笑)


中間テストが終わり


まずまずの順位がとれて安心していた


私には勉強しか無い


だから頑張るしか無かった


通院も随分慣れた


帰りは相変わらず三人だが
それも楽しみになっていた


二人は付き合ってないみたいだけど
見ていて恋だとわかる(笑)

実るだけが幸せじゃない事も私にはわかるから…
今の時間も楽しんで欲しい

No.350 10/05/07 12:10
夕焼け雲 ( PpQK )

授業で皆がプールに入っていた

私は体育は専ら見学


中学の時までが嘘のようだった


海に行こうね


そんな約束を思い出しながら
もう水着姿も
そして…


また一人塞ぎこみそうになる


一人の時間は嫌いだ


余計な事を考えてしまう


他人の恋愛も
私にとっては楽しい

そういう話で盛り上がってるのは嫌いじゃない


私が話せるのは
りゅうとの事だけど
終わった恋でも
楽しかった


これから
こんな私を好きになってくれる人が居るなら
恋をしたい


もうすぐ17歳


当たり前の恋心は失っていなかった

No.351 10/05/07 12:19
夕焼け雲 ( PpQK )

ちょっとイタズラ好きのいわゆるヤンキーチックな男子に

よく見学時間絡まれる

絡まれるといっても
普通に話し掛けられたり…そんなに悪い子じゃない



きっと同じ様に何かしら弱さを持っている
そう感じていた


悟というリーダー格の人がよく私に声を掛けた


私は危ない事も出来ないし…
身体に負担掛かる状況では生きていけないのよ…


などと笑いながら話してると
悟は真面目な顔をして心配してくれた


それから何回か話したが
悟は私を笑わせてくれる時間が増えて
見学時間は楽しかった

No.352 10/05/07 12:26
夕焼け雲 ( PpQK )

7月に入って期末試験に向け再び勉強モード

悟は気付けば常に私の傍にいるようになり

言葉や見かけと裏腹に凄く優しく楽しませてくれた


クラスでは私達が
付き合ってる事になっていたが
私の中では全くそんな気持ちは無かった



確かに好意は感じるが悟と私は違いすぎる
それに悟を好きな人も沢山居て
私はそんな闘える程
パワーも無く
強がってる悟を弟みたいに感じていた

No.353 10/05/07 12:32
夕焼け雲 ( PpQK )

悟の成績はクラスの下から数えた方が早い


かといって同じ高校
そこまで酷くは無い


悟は試験に掛けていると悟の友達に聞いた


試験前
悟は極端に別人になった
あまり友達ともつるまず勉強ばかりしていた

試験が終わると
いつもの悟に戻った


悟は順位がかなり上がった

No.354 10/05/07 12:38
夕焼け雲 ( PpQK )

順位を見てびっくりしていた私に
悟が声を掛けた


「やれば出来るっしょ(笑)」


「凄いじゃん❗」


悟は嬉しそうに笑っていた


「帰り駅前のハンバーガー屋に来てよ」


悟はそう言って
走って行った



私は困惑しながら
雅ちゃんと中村くんに断って
学校帰り駅前の
ハンバーガー屋に入った

No.355 10/05/07 12:57
夕焼け雲 ( PpQK )

シェイクを注文し
店内を見回すが
悟はまだ来ていなかったので

見やすい場所に座って待っていた



五分後悟が息を荒げてやって来た


「悪い悪い❗待った❓」



「いや…さっき来たばかり」


悟が前に座る



「どうしたの❓」



悟に聞いた



「あぁ❗俺ね、メグっち見てて色々考えさせられたんだわ❗

俺は家族が気に入らなくて反抗してる事が
いかに小さい事だなぁーって。

本当は出来るのに
サボったりやらなかったり~


メグっちはやりたい事が出来ない我慢してる…それを見て俺って甘えてんだなって思ってさ(笑)」


「そうなんだ(笑)」


「メグっちの事好きになったけど
メグっちの強さは俺には無いと思って
とりあえず勉強を頑張ってみようと思ったわけよ(笑)」



「うんうん(笑)凄いじゃん❗」


「やれば出来るって
俺はメグっちに教えて貰ったから
今度はメグっちに言いたいのよ❗」


「何を❓」


「メグっち好きな人いるでしょ❓
なんとなく色んな事を諦めてきたって伝わるんだわ。
身体の事と恋愛を諦める事って違うだろ❗」

No.356 10/05/07 13:54
夕焼け雲 ( PpQK )

「…でも…もう終わったからいいの…」



「俺が勉強やらなくて出来ないのと
メグっちが恋愛を諦めてしないのは
同じじゃねぇ❓」



「… …。」




「メグっちは命を掛けて自分があるんだから
出来る事は諦めんなよ」


涙が出た…



「メグっちが頑張れる様に応援してやるからさ」




「………うんありがと……」



「俺メグっちの応援団長だから安心しな(笑)」


悟は私に勇気をくれた

No.357 10/05/07 20:22
夕焼け雲 ( PpQK )

夏休み前
共から連絡が来た


土曜日の夜
駅前に集合


いつものメンバーで
逢う


迎えに行くからなと
共が言い☎を切った



りゅうと逢うのも
皆と逢うのも
本当に久しぶりだ


ちょっとだけ
怖かった…


でも前に進む為に
頑張ろう


私は久しぶりにお姉ちゃんとショッピングに付き合って貰った



土曜日に着ていく洋服や小物を選んで貰った

No.358 10/05/07 20:42
夕焼け雲 ( PpQK )

土曜日


私はあまり眠れなくてソワソワしていた

体調を万全にしないと皆に迷惑かけてしまうので

食後の薬を飲んで
横になった


三時間位寝れたので
頭はスッキリした


両親は出掛け
お姉ちゃんは私が出るまで待ってくれた


本当は彼と約束していたみたい


大丈夫だよと言っても見送りしたいからと
待ってくれた

No.359 10/05/07 20:47
夕焼け雲 ( PpQK )

シャワーは一人で浴びられる

髪の毛は座って乾かす

お姉ちゃんが手伝ってくれて
綺麗にカールを巻いてくれた


薄く化粧をした


殆ど変わらないけど(笑)


全部お姉ちゃんが整えてくれた


洋服を着ると
急にドキドキしてきた

デートでも無いのに
自意識過剰な私

No.360 10/05/07 22:28
夕焼け雲 ( PpQK )

チャイムが鳴った


共が居た


「よぉ❗あれ❓なんか雰囲気違うな❗」


笑う私



駅前まで二人で歩く


二人で歩くと
りゅうとの時間を思い出す



これから逢うのに
大丈夫だろうか…

共に少しそんな気持ちを伝える


「りゅうまだ部活で遅くなるって言ってたから、あんまり心配するなよ❗いつもの様にしてろよ❗」



少しほっとした

No.361 10/05/07 22:36
夕焼け雲 ( PpQK )

駅前には
顔馴染みのメンバーが揃っていた


みんな凄く大人になって素敵になっていた


「メグ❗」


皆が手を振ってくれた

「久しぶり(笑)❗」


「大変だったんだね…知らなくてごめん(泣)」


「大丈夫❗この通り元気になったし(笑)」


みんな私に気を使ってくれたが
いつもの懐かしい空気になって安心した
みんなが私を包んでくれる…
そんな気がした

No.362 10/05/07 22:42
夕焼け雲 ( PpQK )

「じゃあ電車乗るよ~❗」


切符を買い
隣りの駅まで
電車に乗る


私の知らない店に
入っていく


「俺ここでバイトしてるんだ❗」


共が言う


イタリアレストランだった


バイトしてる子は
10人中6人

みんな凄いなと
感心した


素敵なお店に素敵な料理

テキパキ動いている
共を見て
びっくりした

No.363 10/05/08 08:10
夕焼け雲 ( PpQK )

テーブルを皆で囲み
料理が運ばれる


乾杯の音頭は
共がとり
高校生活の話に花が咲いた



皆は秋に修学旅行に行く話で私立はハワイやアメリカ、オーストラリア

公立は沖縄や九州全般とあからさまに差があって私立組が羨ましかった(笑)


私は多分行けないだろう…


笑う中で少し寂しかったが皆の笑顔を見て
凄く楽しかった


結局中学の話に遡り
先生の話や
クラスメイトの話で
より盛り上がっていた

やっぱり良き友達と
こんな時間を過ごせるのは楽しい


心が安らいだ

No.364 10/05/08 08:15
夕焼け雲 ( PpQK )

店に入って一時間半過ぎた頃


りゅうが入ってきた


皆懐かしそうに
声を掛けていた


あの運ばれた日から
いや…正解にはあの日は殆どよく見えてない

つまり私はりゅうと一年近く逢って無かった

りゅうは真っ黒になり背もより大きくなって身体も筋肉が付き
男らしくなっていた



目の前がボンヤリしてきた


涙だった


泣いちゃいけないのに
りゅうを見た瞬間
涙が自然と出てた

No.365 10/05/08 08:28
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが私の隣りに来た


頭をクシャクシャと
撫でてポンポンと肩を叩き座った



慌てて涙を拭くのを誤魔化した



もう一度
乾杯



みんながりゅうに
野球の話を矢継ぎ早に
聞いていた


私はトイレに立ち
落ち着く為
深呼吸していた
化粧も直し
少し時間を掛けていた


「メグ 大丈夫か❓」

ドアの外から共が心配して声を掛けてくれた

ドアを開け

「大丈夫(笑)」

No.366 10/05/08 08:34
夕焼け雲 ( PpQK )

席に戻る


りゅうは隣りだったが相変わらず怪獣喰いしていた(笑)


「大丈夫か❓」


りゅうと言葉を交わした


「うん…」


「気分悪かったらすぐ言えよ❗」


「うん…ありがと」


私の言葉はなんとも
堅く業務的になってた

りゅうはいつも通り
何も変わらず
私の前でも皆の前でもいてくれた


それが凄く安心した

No.367 10/05/08 08:39
夕焼け雲 ( PpQK )

みんなでクラスメイトと先生の
山の手線ゲームをする

たかが二年前なのに
すっかりクラスメイトの名前を忘れていた


途中で言えなくなると皆が大爆笑


罰ゲームはモノマネ(笑)


共がまず罰ゲームで
何故か長渕剛のモノマネでウケていた(笑)



次第に男子が罰ゲームにハマり
大爆笑の時間を過ごした

No.368 10/05/08 08:49
夕焼け雲 ( PpQK )

私は再び立ち
共に目で合図をした


薬を飲まなきゃならないので
出来れば一人で…


空気を壊すのが嫌だった


厨房の奥の休憩室に
案内され
水を沢山持ってきて貰う


「何かあれば声掛けろよ」


共は優しかった


薬を広げ飲んでいた

休憩室は綺麗に片付けられ
飲食店らしく
清潔だった

勤務表の共のスケジュールを見ながら
殆ど出てる事にびっくりした


学校を行って
ほぼ毎日夜10時まで入ってる
凄いなぁと改めて思った

No.369 10/05/08 08:53
夕焼け雲 ( PpQK )

私にもいつか働ける日が来るだろうか

皆と同じ様に
遊んだり旅行したり
働いたり


恋愛もしたい


結婚も…



先の事を考えると
また落ち込む


だから今出来る事を
頑張るしかない


水をまたぐぃっと飲み干して
休憩室を出た

No.370 10/05/08 09:03
夕焼け雲 ( PpQK )

二次会はカラオケしに行く事になった



私は体調も優れていたが
念のために帰ると
共に伝えてた


皆は盛り上がって
前を歩いていたので
タクシーに乗るから大丈夫だよと合図した



皆と別れ
私はタクシー乗り場に並んだ



タクシーがやっと来て乗り込んだ


すると


りゅうが私を押して乗り込んだ

No.371 10/05/08 09:08
夕焼け雲 ( PpQK )

「な…どうしたの❓



びっくりした私に
りゅうは笑って


「一緒に帰ろう」


と言った


「だって…カラオケしに行くのに…
大丈夫だよ私なら」


「すみません❗〇〇の〇〇まで❗」


タクシーの運転手さんに行き先を告げ
車は出発してしまった


りゅうとの空間



久しぶり



私の心臓は違う意味で
苦しかった



何を話せばいいか
わからなかった

No.372 10/05/08 09:22
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは時折
私の顔を見て笑ってた

「なに❓」


りゅうは笑って


「隣りだったからあまりメグの顔が見えなかったから(笑)」


私の顔は真っ赤になっていたはず(汗)


焦ってる私を茶会す様に
何度も見る


「元気になって良かったな❗」


あの日から
まるでそのままのりゅうの言葉に
また感極まった



「うん…色々ごめんね…」


りゅうが私の手を握った


私はハッとして
慌ててしまった


それでもりゅうは
私の手を握りしめた
少し震えていた様に感じた

No.373 10/05/11 19:36
夕焼け雲 ( PpQK )

タクシーを降りた自宅前


「ありがとう。
野球頑張ってね(笑)」


「あぁ(笑)…」


「じゃあ バイバイ」


私は🏠の玄関に向かった


ドアを開けると同時にりゅうが叫んだ


「また逢おうな❗」


私は手を振り🏠に入った


入った途端涙が出て
床に座り込んだ


お母さんが今のりゅうの声を聞いてたらしく…何も言わずベッドに連れて行ってくれた



「逢えて良かったよね…メグ」


お母さんの声は
全てを諭していた

No.374 10/05/11 19:51
夕焼け雲 ( PpQK )

「りゅうにはりゅうの生活がある…私も…


同窓会で逢えるだけ
私は幸せかな(泣)」



「また逢えるわよ(笑)前に住んでるんだし」


「疲れちゃった…
顔を洗ったら寝るよ…」


「そう…じゃあ落ち着いたらそうしなさい」


お母さんは部屋から出ていった



今日逢えて
私とりゅうの中で
友達に戻れたと思った

楽な気持ちで
逢える様に
時間がきっと解決するだろう…

No.375 10/05/11 20:05
夕焼け雲 ( PpQK )

長い長い夏休み

暑さで体力を奪われ
横になる時間が増えていた


体力作りの為

涼しくなる夕方6時過ぎから買い物を兼ねて散歩をする



部活帰りの中学生や
高校生が多い時間



近所のおばさんに逢う事も多々あり
身体を心配されるが
笑って応える様になれた



毎日料理を作る事が
私の出来る事
家事しか手伝い出来ないけど
今はそれが精一杯

お母さんは助かるわと笑ってくれた

No.376 10/05/11 20:13
夕焼け雲 ( PpQK )

ある日
同級生の親がやっていた
酒屋の配達の自転車にりゅうが乗っているのを見た


あれ❓


手伝ってるのかなと
思いながら
私は声も掛けずに
自宅に戻った



お母さんに言ってみたら
どうも日曜とお盆だけバイトしていると
おばさんに聞いたらしい


野球の練習の無い時にバイト…


どうしてだろう…


でも当たり前なのかなと触れる事もせず
毎日暮らしていた

No.377 10/05/11 20:20
夕焼け雲 ( PpQK )

あっという間に夏休みは終わって

宿題は一応早めに片付けておいた


久しぶりの登校

電車ではいつものメンバー(笑)

二人共真っ黒に焼けて夏休みの楽しい時間が伝わった


私は青白い位で
恥ずかしい


学校に行くと
早速悟がやって来て


「逢った❓」


と言ってきた


私は笑って頷き
友達にちゃんと戻れたと伝えた



悟は笑って


「俺にもチャンス(笑)」


そう言って連れの所に走って行った



先生は相変わらず


クラスの皆は一学期と違い
大人びていた

No.378 10/05/11 20:28
夕焼け雲 ( PpQK )

友達が林間学校のお土産を沢山買ってきてくれた


あまり接点無いクラスメイトからも
貰い嬉しかった


「ありがとう‼」



私はクラスメイトに認識されていて
凄く凄く嬉しかった



🏠に帰りお母さんにそのお土産を見せたり
話しをしていると
お姉ちゃんが
何か手作りでお返ししたらと
提案してくれた


私には時間だけは
みんなよりある(笑)


そうしようとお姉ちゃんに
アイデアを借りた

No.379 10/05/11 20:43
夕焼け雲 ( PpQK )

私は毎日学校から帰ると料理を作り
空いた時間はクラスメイトに
お返しを作っていた


勉強もしながらなので
ゆっくりだか
三年間同じクラスメイトで過ごしていくので
それも踏まえて
慌てず体調も考え
作っていった


出来上がったのは
三学期に入った
すっかり真冬の頃だった



久しぶりに誰かの為に一生懸命夢中になれて私は楽しい時間だった


期末テストが終わったらみんなに渡そう

No.380 10/05/11 20:58
夕焼け雲 ( PpQK )

進級含める期末テストが終わった



ある日
職員室に行き

先生にホームルームの時に
少しだけ私に時間をくださいとお願いした



ホームルーム


先生は明日の伝達事項を
伝えた後
私から話しがあると
説明してくれた


ざわついた


皆私が入院や転校すると思ったようだ(笑)



私は紙袋を持って
教壇に向かった

No.381 10/05/11 21:09
夕焼け雲 ( PpQK )

「どうしたの❓」


心配する友達


「静かにしろよ‼」

悟が言った


私はゆっくりと
皆の顔をみた
一人一人…


「急に変な感じになってすみません(笑)
なんでもないから心配しないでください(笑)
えっと…一年前に
皆より先にこの学校を入学しましたが
病気もあり留年しましたが
このクラスメイトで過ごせた事が幸せで
自分の命と向き合った一年でした

皆に気をつかわせたり
優しくしてくれて
本当に助かりました

前向きに学校に通えたのも皆のお陰です

私から何もお返しが出来ず私なりに考えました

一生懸命皆を思って作ったので良かったら
使ってください(笑)」

男子には革の
女子にはビーズの
キーホルダーを配った

No.382 10/05/11 21:15
夕焼け雲 ( PpQK )

最後に先生にも


「車の鍵にでも(笑)」

皆嬉しそうに貰ってくれた


「メグっち‼サンキュー‼」


悟が言うと
皆が拍手してくれて
バックや鍵に
付けてくれていた



クラスの中で
何処かでオミソだった私も


ちょっとだけ
輪に入れたのが嬉しかった

No.383 10/05/11 21:20
夕焼け雲 ( PpQK )

春休み…


地元は桜並木道が凄く綺麗だった


気候も良く
桜並木を歩くのが
大好きだった



桜には色んな思い出があるけど


もう切なく辛く哀しい思い出ではなくなっていた



私の初恋も

私の病気も


乗り越えた春


また私は大人になっていこう


笑って生きていく為にも

No.384 10/05/13 14:19
夕焼け雲 ( PpQK )

私が特に不自由なく
生活してこれたのは
両親とお姉ちゃんのお陰


だから私は
大学には行かず
自立の為の訓練を
していこうと考えた


両親は
大学には行った方が
後々善いと


三年生になって
かなり悩みましたが
もう少し自分に出来る何かを見つける為に
大学進学を決めました


一つ上の元同級生は
皆大学へ進学しました


大学生活はとても楽しいと友達は言っていて
いつか私も
皆とキャンパスライフを楽しめるのかと
夢見ていた

No.385 10/05/19 22:00
夕焼け雲 ( PpQK )

大学に入ってから
私を特別な目で観る人はいなかった


親しくなった友達にはそれとなく伝えたが
だからといって
皆と変わらず付き合ってくれた


大学では声を掛けてくれる男の子が
何人か居たが
恋愛まで踏み込む勇気が無かった


その先に踏み込めないのは傷もそうだが
自分がそれによって
傷つくのが怖かった



だから友達付き合いが楽だった

No.386 10/05/19 22:05
夕焼け雲 ( PpQK )

ある日の夜
いつもより遅くなってしまい
一人で帰るのを躊躇した


誰か同級生か知り合いが居ないかなと
周りを見ても


サラリーマンが多く
酔った人が多かった


酔っ払いが嫌いな私


以前電車で騒いだり
説教をしたり
他人に迷惑を掛けてる様を観てると
許せない



時に絡まれたり
触られたり


嫌な目にもあって


夜遅く帰るのが怖かった…

No.387 10/05/19 22:13
夕焼け雲 ( PpQK )

駅から🏠まで
約30分から40分程


🚌はもう無い


タクシーに乗るにも
行列で暫く乗れそうも無いので
歩いて向かった



大通りとはいえ
もう車も少なく灯りも寂しい


後ろから足音が聞こえると振り向くのが怖くて

足早になっていた



軽く小走りになってしまい動悸が激しく
辛くなってしまった



脇道に入ったところで私は倒れてしまった


気付いた時は病院だった

No.388 10/05/19 22:39
夕焼け雲 ( PpQK )

その日は病院に泊まり
次の日には🏠に戻れた

両親は凄く心配し
遅い時は☎をするか
タクシーに乗る様にと約束された


まだまだ私は子供


まだまだ迷惑を掛けてしまう



情けない自分



大人になれない自分



部屋にお姉ちゃんが入ってきて
慰めてくれた

No.389 10/05/19 23:02
夕焼け雲 ( PpQK )

それから暫く🚌がある時間に帰る様に


大学が終わったら
友達付き合いはそこそこにした



発作が起きると
次は手術…
その言葉が突き刺さる


大学を無事に卒業したい…


いやこの先
穏やかに生きたい



それだけが私の望み



自分の精神も鍛えなければならない
恐怖感や不安は自分を追い込む…



どうすればいいかわからなかった

No.390 10/05/19 23:31
夕焼け雲 ( PpQK )

ある日の帰り

🏠の前で誰かが立っていた


知らない女の人だった


私が🏠に入ろうと
鍵を出すと



「すいません…恵さんですか⁉」


私に声を掛けてきた



「はい…。
なんでしょうか…」



「あの…私…
彼と同じ大学の〇〇と言います…」


彼女が指差したところはりゅうの🏠だった



「りゅうに何かあったんですか⁉」



「いえ…少し時間いいですか⁉」



「じゃあ…近くの公園でいいなら」



「お願いします」



私はその人と
いつもの公園に行った

No.391 10/05/19 23:39
夕焼け雲 ( PpQK )

夕方を過ぎて
子供達も居なく
ベンチに座って
静かだった


「なんでしょうか…」

私から問いかけた


彼女はゆっくりと顔を上げ


「龍也くんの事どう思ってますか?」



突然過ぎて目がまん丸になってしまった(笑)


「私とりゅうは幼なじみなだけですよ」



「でも彼に告白したら好きな人がいるって…大学の人じゃないって…」


「なんで私に⁉」


「以前仲間と彼の🏠に遊びに行った時に
貴方の写真が飾ってあったので」


「あれは小さい頃ので机があるのと同じ意味よ(笑)」



彼女は少し落ち着いてきた

No.392 10/05/19 23:46
夕焼け雲 ( PpQK )

「もう一つ言えば
私身体が弱くて…
恋愛は勿論結婚も出来ないと思う(笑)…

貴方みたいに全力でぶつかれるのが羨ましいなぁ」



「え?」



「とにかくもう一度りゅうに想いを伝えてみたら⁉」


「そうですか…じゃあもう一度頑張ってみます(笑)」


彼女は頭を下げ
嬉しそうに笑ってた


私は…


苦笑いしながら🏠に向かった

No.393 10/05/19 23:55
夕焼け雲 ( PpQK )

彼女はりゅうの🏠の前で待っていた


まだ帰ってないようだった



私が会釈をして🏠に入ると
お姉ちゃんが帰っていてご飯を作ってくれていた


お姉ちゃんに大体の話をしたら

「ほんとにそれで良かったの⁉」

と言われた


その人の様に
メグもぶつかる強さも必要だよと
怒られてしまった


諦める事をこの先も
ずっとしていく事が
自分の幸せか
私は入院してから今も尚ずっと答えが出ない問題を解いている



まだ私に強さが無いから…
自分に自信が無いから…


もしも強さと自信が持てたら

私は好きな人に告白出来るだろうか…

No.394 10/05/19 23:59
夕焼け雲 ( PpQK )

夕食を済ませ
部屋に戻ると
外でりゅうと彼女の話し声が聞こえた



りゅうは少し怒った様な口調に聞こえた

🏠に上がる訳でも無く揉めてる様にも聞こえた


そのうち彼女が泣き出してしまった


りゅうが断ったのだろうか…


こんな場面見たくない…


お姉ちゃんは心配して部屋に入ってきてくれた

No.395 10/05/20 00:05
夕焼け雲 ( PpQK )

「どうしたんだろ…」


りゅうは一人🏠に上がって彼女は泣いていた


こんなに冷たいりゅうは初めて観る…



怖かった…



なんだか泣いてる彼女がまるで自分と重なって…



やっぱり私は自分が傷つくのが怖くてたまらなく
自分のズルさもはっきりわかった

No.396 10/05/21 13:59
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日
りゅうが🏠に来た


私が彼女と逢って話をした事を聞いたらしい


変な事言われてないか心配していたが
私は大丈夫だよと
答えた



どうやら少ししつこいタイプで
りゅうも困ってるらしい

私も気をつけろと言われた



私は関係無いから…



それだけ言いに来た



久しぶりに話したのが何だか嫌な話で
ちょっとイライラした

No.397 10/05/24 06:24
夕焼け雲 ( PpQK )

また暑い夏がやってくる…


みんな海にプールに
旅行など計画して楽しそう


友達が誘ってくれるがうまく誤魔化した


大人になればなる程
嘘をついたりその場しのぎは増えていく


そんな自分が嫌だった

仲が良かった
高橋くんは遊園地や映画に誘ってくれた
高橋くんは
遠回しだが事情を知ってる人


だから無理しないでいられた


恋をしていた訳では無かったが
凄く楽になれる存在だった


高橋くんはマメに☎をくれたり
帰りを合わせてくれたり
自然と隣りに居る存在になっていた

No.398 10/05/24 06:32
夕焼け雲 ( PpQK )

夏休み


高橋くんはドライブに行こうと誘ってくれた

あまり深く考えず
私は約束をした


🏠の私鉄の駅前に来てくれて
高橋くんの真っ赤な🚗に乗った

高速に乗り
気付けば富士山に付いていた


富士山は小さい頃来た位で
大人になってからは
日帰り旅行もしていない

🚗で行ける五号目まで行きそこで景色を眺め食事した


凄く寒くて薄着の私にジャケットをかけてくれて
男の人の匂いを感じた


なんとなく…
高橋くんを男として
見た瞬間だった

No.399 10/05/24 06:37
夕焼け雲 ( PpQK )

私の体調を気にして
早めに下に降りた

気圧で体調を崩したり何かあったら大変だと
本当に優しくしてくれた


行きの気持ちと
帰りの微妙な違いに
多分高橋くんも
意識しただろう



その後サファリパークに連れて行ってくれた


初めての体験



レンタカーを借り
パーク内に入ると
餌を求め動物が寄ってくる
窓は唾液だらけど
あまりにも近い動物達に少し怖くて叫んでいた私を高橋くんは笑っていた(笑)

No.400 10/05/24 06:43
夕焼け雲 ( PpQK )

パーク内を一周した時は
ガラスは汚く
私は笑い疲れていた



🚗を乗り換え
帰り道を走る


途中🅿で🚻休憩

ソフトクリームを二人で食べていた



それまで何の意識も無かったが
りゅう以外にデートらしき事を経験してる⁉なんてふと思っていた


なんとなく嬉しかった


恋人じゃないけど
そんな感覚もう二度と無いだろうなと思ってたから


色んな意味で
少し私も自信がついた

再び🚗は高速道路をひた走り
地元に着いた

No.401 10/05/24 06:54
夕焼け雲 ( PpQK )

「今日は本当にありがとう(笑)凄く楽しかったよ‼本当にありがとう‼」



「良かった‼‼
また誘っても大丈夫⁉」


私は深く考え無かったが
高橋くんはどう思ってるんだろう…



「私…色々面倒なのよ❓」


「別に俺は困らなかったよ‼(笑)」


「…。そう❓」


「あんまり深く考え無いで楽しめる時は楽しもうよ‼」


「うん(笑)そうだね」

「嫌だったら断って構わないしね(笑)」


「アハハ(笑)」


「じゃあまた誘っていい⁉」


「うん(笑)」



高橋くんはガッツポーズをしていた


「じゃあまたね(笑)」

「気をつけて(笑)」


🚗を降りて高橋くんに手を振り
🚗は走って行った

No.402 10/05/24 07:03
夕焼け雲 ( PpQK )

🏠に帰ってから
ふと考える


私はこうして高橋くんと付き合っていくのだろうか…


付き合っていけるだろうか…


好き⁉


と聞かれれば
違う…



確かに男として意識したが…
好きという感情はまだ私には無かった


これから感情移入するかもしれないが
その時に私は高橋くんを受け入れられるか
わからない
そして高橋くんも
こんな私に引くと思うと…
なんだか高橋くんを
好きになる自信が無かった…


まだりゅうを好きだったのもある


でも諦めている


全ての恋に諦めは必要だとなんとなく染み付いてる自分がいる


だから高橋くんと
違う展開になるのも
怖かったし
好きになって振られる
前提で付き合う自分も嫌だった

No.403 10/05/24 07:16
夕焼け雲 ( PpQK )

共から久しぶりに☎があって
呼び出された



いつもの喫茶店

共は🚗で来た


「免許取ったんだ‼
凄い高級車じゃん‼」

「カッコイイっしょ(笑)ローンあるけど(笑)」

共は相変わらずだが
唯一既に社会人になっていた


「メグ最近どう⁉」


「どうって体調はいいよ(笑)」


「そっか‼何か変わった事無いのかよ‼」

「うーん…
ちょっと前にりゅうの事を好きな人が居て
何かトラブってたわ」

「何かされたの⁉」


「いや別に…なんか
りゅうが怖かったような…」


「そうなんだ…
俺も聞いてたけど
ちょっとしつこいタイプらしいな」



「共は⁉」


「俺は今仕事覚えるので精一杯‼
たまに同級生と逢って息抜きすんの(笑)」


「息抜きの対象か(笑)」

No.404 10/05/24 07:30
夕焼け雲 ( PpQK )

「ちょっとドライブしねぇ⁉」


「殺さないなら(笑)」

喫茶店を出て
共の🚗に乗った


高橋くんの🚗と違い
高級車だけに
何故かテンションが上がっていた(笑)


「夏休みどっか行くのか❓」


「いや多分遊んで終わるよ(笑)」


「じゃあさ‼日帰りでみんなでドライブ旅行しねぇ❓」


「みんなっていつものメンバー⁉」

「まぁ実際は四人が限界か(笑)」


「🚗持ってる人居るの❓」


「いや免許は取ったみたいだけど🚗は俺だけ⤴(笑)」


共の運転は穏やかで
見慣れた街並みが
ゆっくりと流れていた

「共は誰と逢いたいのよ(笑)」


「いやメグにも皆にも逢いたいの(笑)」


「じゃあ誘いたい人に連絡するのね(笑)」


「とりあえず当たってみるから大丈夫だよね❓」


「うん(笑)まぁ私暇だから(笑)」


「じゃあ今日は唯一
デートしちゃったけど(笑)今度はダブルなぁ⤴⤴」


「デートかこれ❓(笑)」


「違いましたぁ(泣)」


共は高橋くんと同じ空気を持つ


好きだけどそれ以上の感情は無い…
友達として最高の人

🚗は中学校に着いた

No.405 10/05/24 07:36
夕焼け雲 ( PpQK )

「うわぁ‼なんだか懐かしいね(笑)」


「近くですぐ来れるのに来ないもんだよな」

「なんだか小さく感じるよ…不思議」


校庭に入ると
共は転がっていた
サッカーボールで
ドリブルしていた



なんだか不思議
中学生の頃は私も
当たり前に校庭を走り部活に励んでいた


なのに今は
何も出来ない…


なんだか悔しさと
切なさで涙が出ていた

涙を拭う私に
共が気付き


「どうした❓大丈夫か❓」


私は頷き泣いていた



りゅうとの思い出が
よぎっていた

No.406 10/05/24 17:05
夕焼け雲 ( PpQK )

「ごめん…大丈夫」


「なんか悪かったな…」


「ううん💦💦
違うから(汗)
懐かしくなっただけ(笑)」


「りゅう心配してるよ…いつもメグの話ばっかり。誘えばって言ってもメグに振られたからって(笑)」


私は驚いた


りゅうがまだ私を考えてくれてるなんて❗


「振ったなんて私随分だね(笑)…でもりゅうは好きな人居るみたいだしね(笑)」


「メグだろ❗(笑)天然かよ~」


「え⁉」


「お前ら何か遠回りしてない⁉」


「でも…」


「今回のは俺の差し金よ(笑)二人でデート出来るなら二人で行けるか❓」


頭が真っ白



どうやら煮え切らないりゅうの気持ちを汲んで共が機会を作ってくれたらしいけど…

No.407 10/05/24 17:22
夕焼け雲 ( PpQK )

「メグはりゅうを忘れたの❓好きな人とか気になる人居るなら仕方ないけどさ(笑)」


「友達はまぁ居るけど好きになるのが怖いんだよね…私の事知ってる人も少ないし…
現実は私も逃げてると思う。
だからりゅうが私の事知ってるだけに
重いと思う…まだまだ不安な事もあるから…」


「あんまり自分を悪く考えんなよ❗
りゅうはそれでもメグを好きなんだし」


「でも前の私じゃないんだよ…今度は私が引かれて振られるよ(笑)」


「全くお前ら何やってんだか❗
よし❗行こうぜ❗」


「どこ行くの❓」


「いいから🚗乗んな~」

共は🚗に乗り込み
エンジンを掛けた

No.408 10/05/24 17:29
夕焼け雲 ( PpQK )

🚗に乗ると
共は駅前に戻った



🚗を止め出る事も無かった


「どうしたの❓」


「ちょっと待って❗」

共は駅前に向かって歩いてしまった

人混みで見失う程
何処に行ったかわからない


30分経って
共が帰って来た


その後ろにりゅうが居た


(汗)(汗)(汗)(汗)


私は🚗を降りて
顔はひきつり
りゅうに会釈した

なんか言葉が出なくてまるで初めて逢ったみたいな緊張感(汗)


りゅうも少し困惑していた様で
共とだけ会話していた(泣)

No.409 10/05/24 17:44
夕焼け雲 ( PpQK )

「ちょっと走ろうか❓」

共が言う


「よし❗ドライブしよ‼」

りゅうが言う


二人で盛り上がって
笑ってる顔は
凄く懐かしく
私も笑っていた


「帰りちゃんと送るからいいよな❗」


「うん(笑)じゃあ
安全運転でね‼」


「りゅうが運転しなけりゃ大丈夫だよ(笑)」

共が冷やかす


「俺だって上手いし~」


私は後ろの扉を開け
座り込んだ
するとりゅうも反対から座り込んだ


共がニヤリッと笑ってエンジンを吹かした


「夜景でも観に行こうか‼」


🚗は私達を乗せて
走り始めた


りゅうと目が合い
笑ってくれたので
私も笑ってりゅうを見た


久しぶりにドキドキした



高橋くんとは全く違う


やっぱり私は
りゅうが好きだった

No.410 10/05/24 18:15
夕焼け雲 ( PpQK )

時々カーブで
りゅうに触れる


その度ドキドキして
赤くなる私


もう何処を走ってるかもわからない位
私は周りが見えなかった



一時間位走ると
ある小高い場所に着いた


共が好きな夜景場所らしい


「着いたよ‼」


その言葉で我に返り
夜景が目に入る


「凄いね✨✨✨」


三人共🚗を降り
キラキラ光る夜景を観ていた


「俺ちょっと🚻行ってくるわ❗」


共が🚻に歩いてしまった


私はりゅうの顔を見れず緊張していた

No.411 10/05/24 18:36
夕焼け雲 ( PpQK )

「なんかあの日を思い出すな(笑)最後のあの夜景」


「そうだね…」


「メグ好きな人居るの❓」


私は首を振るのが精一杯

もう何か言葉を出すと涙が溢れそうだ


「多分共が余計な事言ったと思うけど…ちゃんと俺言うわ」


りゅうが私の目の前に来て手を持たれた


「俺結局メグを忘れられないんだ…ちゃんと考えてそれでもメグが好きなんだよ」



もう涙は止まらない私


「メグの家族に俺の将来を考えてくれて
色々メグも俺を思っての別れだったのかもしれないけど
俺は変わらずやっぱメグが好きなんだよ

もう一度俺とスタートしてほしい❗」


「私は…前と違うし…りゅうに迷惑かける事になるよ…」


「てかそんなのどうでも良くてメグは俺を嫌い❓もう付き合う気持ちは無い❓」


「…ずっとりゅうを忘れられなかった
ずっと好きだった(泣)」


「じゃあまた俺と一緒に歩いてくれる❓」


「おばさんに怒られないかな…」


「俺が好きなのは知ってるよ(笑)」


「🏠の家族も私がりゅうを忘れられないの
知ってる(笑)」


「じゃあまた一緒に
ゆっくり付き合っていこ❗」

No.412 10/05/24 19:03
夕焼け雲 ( PpQK )

「あ…もう一つ言っておく事がある…
私…普段は何の症状も無いけど
発作がもしあれば
手術になると思う…

言っておかないといけないし
りゅうに心配かけるなら私はこのまま友達でいたい…」


「そうなんだ…でも
俺と居るときは発作起きない様に守るから。心配はあるけど
もっと俺に頼れよな❗」


「大丈夫❓私歩く爆弾だよ❓」


「なんだそれ❗心配しすぎたよ❗きっと良くなるから大丈夫(笑)」

私はやっとりゅうの顔を観れた


りゅうはいつもの優しい笑顔で笑ってた


「ありがとうな❗」


りゅうはとびきりの笑顔でいた


私は嬉しくて
なんだか夢のようだった


共は🚗に戻って
見守ってくれていた


ありがとう共


いつも私達を心配してくれて
最高の友達です

No.413 10/05/24 19:08
夕焼け雲 ( PpQK )

共がライトを点けて
合図をしてきた


🚗に戻ると
私達に

「良かったな❗」

と笑って言ってくれた

りゅうは嬉しそうに

「サンキュー❗
また頑張るからよろしくな❗(笑)」


「メグも良かったな❗
お前らめんどくさいわ(笑)」


笑い声絶えない車内
手を繋ぐりゅうの手が暖かく
安心した


三人でファミレスに行き食事をした


🏠に☎をして
心配ない事を話した


一緒に居るのが
りゅうもだと言ったら良かったわねと
先走って笑ってた

No.414 10/05/24 19:14
夕焼け雲 ( PpQK )

自宅前に着き
私とりゅうは降りた


「今日はありがとうな❗」

りゅうが共に声を掛けた

「共❗ありがとう(笑)」


私も声を掛けた


「お前ら俺に頭上がらないぞ❗(笑)
まぁ今度はちゃんと
大人の付き合いしなさいね(笑)
ほんじゃまた連絡するわ~」


そう言って
帰っていった


自宅前で私達は
手を離せ無かった


なんだかあの頃より
恥ずかしい気持ちと
より一緒に居たい気持ちで
いっぱいだった

No.415 10/05/24 19:21
夕焼け雲 ( PpQK )

「おばさんに話そうか❓」


「大丈夫(笑)何となくわかってるから
今度来て話して❗」


「わかった(笑)❗
じゃあまた…明日夜6時頃居る❓」


「うん❗」


「じゃあ明日行くね❗」


「おやすみなさい(笑)」


「じゃあな❗」


手が離れてりゅうが
🏠に戻った


「りゅう❗」


気づいたら私は自宅前でりゅうに抱きついていた


りゅうは何の抵抗も恥ずかしさも無く
私を抱きしめてくれた


しばらく時間が流れ
私から離れ
🏠に戻った

No.416 10/05/24 19:27
夕焼け雲 ( PpQK )

帰宅すると
お姉ちゃんがほくそ笑んでいた


「楽しんできたみたいだね❗」


「うん(笑)楽しかったよ❗」


「体調は❓」


家族はいつも私を気遣う


「大丈夫❗ありがとう(笑)」


部屋に入って
りゅうの顔を思い出していた


共に結局キューピッドになって貰った事
ほんとに感謝している

今度二人で何かお礼しなきゃ(笑)


👗を脱ぐと
また現実に戻る傷痕


りゅうはどう思うかが不安だった…

No.417 10/05/24 19:34
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日
お母さんに事情を話した


お母さんは喜び半分
心配半分のようだった

二人の思いと
現実はかなり違うと思うから
無理しないで
お互い相談してねと
言われた


私もそれはあった


りゅうの負担になった時は私は絶対引き下がるから…
それにお互いの親が反対なら付き合わない

そう決めている


りゅうが幸せになるなら
違う立場で見てる覚悟はずっとしてきた


だから付き合ってても
別れても
身体に影響無いように強くなる

No.418 10/05/24 19:50
夕焼け雲 ( PpQK )

お母さんは
メグの生き方だから
悔いない様にと言ってくれた


約束の時間
チャイムが鳴った


りゅうが来た


「こんばんわ❗」


「いらっしゃい。なんだか久しぶりね(笑)
前に住んでるのに
逢わないもんね❗」


リビングに通し
お茶を入れた


「あの…恵さんと
きちんとお付き合いしたく
お邪魔しました」


「聞いたわ(笑)
りゅうくんは本当に
メグを好きなのね❗
同情じゃないなら
二人の気持ちを反対出来ない…
でもりゅうくんが考える程甘くないのよ?
それだけの覚悟あるかしら。」


「はい❗」


「そう…。メグも同じ気持ちだし、心配より前に進んでみないとね❗でも困ったら必ず相談して❗それだけは約束してよ‼」


「はい❗わかりました❗」


「良かったわね メグ❗」


「ありがとう(笑)」


お母さんはキッチンに立ち夕飯の支度に掛かった


「一緒に食べる❓」


「いえ💦💦少しメグと出掛けてもいいですか❓」


「どうぞ(笑)じゃあ
気をつけて遅くならない様にね❗」


「すみません」


私達はお母さんに見送られ歩き出した

No.419 10/05/25 01:46
夕焼け雲 ( PpQK )

手を繋いで歩いてるとなんだか懐かしい


りゅうはあの頃より
断然大人びて
大きく見上げる高さになっていた


「ちょっとあそこに行こうか(笑)」


私はすぐにわかった


電車に乗り
あの日と同じ景色の場所へ


「懐かしいね…
ここには来てるの⁉」


「たまに親父の🏠に来てたからな❗」



「もう大丈夫なの⁉」

「あぁ❗働いてるよ(笑)」


「そう❗良かったね」

「なぁ…なんで俺に
あの☎で話してくれなかった⁉」


「なんか…自分自身でも受け止められなかったし…りゅうが離れるのを感じるのも怖かったから…」


「俺はなんでも話してきたのになぁ⤴
ちょっとショックだったわ❗」


「ごめんなさい。」


「メグの気持ちわかるから我慢したんだぜ(笑)まぁまた一緒になれたからいっか❗

とにかくもう俺に隠すなよ❗」


「わかった(笑)」


りゅうが抱き寄せた


ドキドキしてる私


大丈夫だろうか(汗)

No.420 10/05/26 12:35
夕焼け雲 ( PpQK )

「メグこれ捨てた❓」

りゅうが胸元を開け
ネックレスになっているお揃いの指輪を見せた


「凄い(泣)私…しまってある(汗)…ごめん💦💦」


「いいよ(笑)多分捨てたかもと思ってさ‼
今度またお揃いの買おうな(笑)」



「ほんとに捨ててないから(泣)」


「わかったよ(笑)」


そよ風が心地よく吹きりゅうに抱き寄せられ幸せだった



「あれから4年経ってるのに…その間は凄く長かったけど…こうしてメグと一緒に居るとあの日のままみたいだよ(笑)」



「そうだね(笑)長かった…こんな日が来るとは思わなかった…」



りゅうの手が私を囲う


私もりゅうに手を回した

No.421 10/05/26 12:49
夕焼け雲 ( PpQK )

4年ぶりに
りゅうとキスをした


あの頃と違い
私達はお互いを求め
激しいキスをした


舌を絡ませ
人目も気にせず
長く激しいキスをした


会話をしては
キスをして


ほんとにバカップルに見えただろう(笑)



「我慢出来なくなるから飯でも食べよう(笑)」


りゅうが手を繋ぐ


私はりゅうの手を引き直した


「どうした⁉」


「りゅう…私…りゅうが求める事を我慢させてるなら…」


「なんだよ(笑)大丈夫だって」


「ううん💦セックスもだけど…私…前と違って…傷が……」


「メグはメグなんだから大丈夫だよ‼」


「でも…私でさえショックだったから…お母さんも泣いたし…」


「メグの命の証だろ‼むしろ誇れ‼」


私はりゅうの
優しさに射たれた



手を繋ぎ直して
歩きながら


「心配するなよ(笑)」

りゅうの優しさが
嬉しかった

No.422 10/05/26 13:20
夕焼け雲 ( PpQK )

二人でラーメンを食べた


りゅうの行きつけらしい

ちょっと店の人に
冷やかされつつ
美味しいラーメンを堪能した


帰り道
この次のデートの話をしていた


あの時に約束した海に一緒に行こう


泳がなくていい


あの日からまた始めよう


そうりゅうは言った



🚗を共に借りて
ドライブしようなって


大丈夫かな(笑)




なんだかワクワク(笑)


嬉しくて時間は
あっという間に終わる

自宅前
左右にお互いの🏠があるなんて
最高(笑)

今までは逢わないようになんて思ってたけど(笑)


連絡は🏠にりゅうが来てくれるって(^o^)


「今日はありがとう(笑)」


「おやすみ」


私達はそれぞれ🏠に入った

No.423 10/05/26 13:25
夕焼け雲 ( PpQK )

「ただいま‼」


「おかえり(笑)楽しかったようね(笑)ご飯は❓」


「ごめん(汗)ラーメン食べて来ちゃった」


「そう(笑)デートの時はご飯無くていいわね」


部屋に戻り天袋の段ボールを探す


懐かしい写真や第二ボタン
指輪はケースにしまってあった


綺麗に磨き直して
指にはめる


あれから4年
少し緩くなった指輪


私もチェーンを買ってネックレスにしようと思った



ベットには🐬がいつも居る(笑)


りゅうに囲まれてる様で幸せだった

No.424 10/05/27 00:52
夕焼け雲 ( PpQK )

それから何日かが過ぎた頃
高橋くんから☎が来た


きちんと話そう


「久しぶり⤴またドライブ行かない⁉」


「高橋くん…ごめんなさい…私好きな人が居るの…」


「え⁉」


「ごめんね」


☎はそのまま切れてしまった


怒ったのだろうか…


大学行ったら気まずいなと思うけど
隠したり嘘は嫌だから


ほんとにごめんね


それから高橋くんから連絡は来なくなった

No.425 10/05/27 01:00
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日りゅうが🏠に来た


家庭教師のバイトをしてる

以前同級生の店でのバイトは時間が合わなくて辞めたらしい


私も何かしないと…


お母さんが許さないけど…


座って出来る仕事なら許すかな⁉
なんてりゅうと相談がてら部屋で話していた

来週の土曜日と日曜日🚗を借りて
湘南に行こうって


一泊⁉


どうする(汗)(汗)



しどろもどろな私を見てりゅうは笑ってた

No.426 10/05/27 01:14
夕焼け雲 ( PpQK )

「おばさんに承諾得ないと」

りゅうは下に降りて
お母さんと話し始めた

私も慌てて下に降りて聞いていた


「🚗は危ないから駄目電車にしなさい。
あと貴方達を信用するけど…メグの身体を二人自覚して欲しい。
それと少しでも体調が悪いようなら
ここに連絡して」


そう言って職場の連絡先と病院の番号を書いてりゅうに渡した


「メグを頼みますね」

そう言ったお母さんはやっぱり不安そうだった


部屋に戻り
りゅうは喜んでいた


私は考え過ぎなのか
まだ怖かった

No.427 10/05/27 06:31
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが帰って
私は悩んでいた


セックスが嫌じゃない

りゅうが求めるのも
当たり前な事だし
仕方ない


私は引かれる事の怖さと
セックスして大丈夫か…
未知の世界だからこそ心配だった


お母さんにも先生にもそんな事聞けない


お母さんが言う
自覚って
そんな意味もあるだろう…


だからといって
私は一生セックスを
してはいけないのだろうか…


頭の中では
結婚や出産は無理だと思っている


りゅうと付き合っていても結婚が出来る訳でも無いし
必ず別れる日が来る事も覚悟してる


それでも私は
りゅうと一つになれるのか…


旅行含め私は先生に
聞いてみるしか
自分の将来を確かめる事ができなかった

No.428 10/05/27 06:52
夕焼け雲 ( PpQK )

いつもの通院の日


「〇〇恵さん」


看護婦さんに呼ばれる


「はいどうぞ。どう⁉最近変わり無いかな⁉」


「はい(笑)」


「じゃあ聴診器あてるね」


上着をあげいつもの様に長く調べられる


背中も終わり
服を下げて
先生がカルテに書いていたので
思い切って聞いてみた


「先生、私普通の女性としての生活は
この先出来ますか⁉」


「え⁉どういう事⁉」


「恋愛や…旅行とか
結婚も出産も」


先生は驚いてたが笑っていた


「そっかぁ(笑)年頃だもんな❗手術当初はお母さんが同じような事聞いてきたよ(笑)」




「そうなんですか❓」


「女の子だから心配だよな」


私は真剣に聞いた


「まず恋愛や結婚は
きちんと理解してくれるパートナーなら
問題ないよな❓
心臓が悪いから出来ないってのは無いよ(笑)
それから旅行は飛行機は避けた方がいいな。なるべくね。
出産か…。
メグちゃんもう大人だからはっきり言うけど性行為は大丈夫だと思う
まぁ極端じゃなければだよ(笑)

出産は今のところ
無しではないと思ってる」

No.429 10/05/27 07:01
夕焼け雲 ( PpQK )

「赤ちゃん産める❓」


「100%では無ければ
0%でも無いよ

リスクはあるけど
帝王切開で産めるくらいの状態に今後なればな❗

まさか妊娠してないよな❓」



「無いです(笑)」



「好きな人居るんだな(笑)」

先生は茶化しながら
カルテに何やら書いていた


「とりあえず今のところ状態も落ち着いてるし…極端な事じゃなければ何でもチャレンジしてみたら❓」


「はい❗バイトもしたいし(笑)」


「バイトかぁ(笑)
そうだね❗お母さん達も安心するよ❗」


先生は意外とすんなり何でも話してくれて
楽になった

No.430 10/05/27 07:10
夕焼け雲 ( PpQK )

私は何処かでやっぱり甘えてたんだ


病気にかこつけて
何にも出来ないと
勝手に思ってた


やってみないとわからない
やってみないと始まらない


私は色々チャレンジする意欲が湧いて
嬉しかった


可能性が広がって
帰りに求人誌を二冊
買っていた


流石に体力を使うのは避けないと(笑)



事務職は正社員が多く立ち仕事は出来るか不安だった


オペレーターのバイトがあり
これなら大丈夫かもと早速連絡した


金曜日面接をする事になった

No.431 10/05/27 07:17
夕焼け雲 ( PpQK )

お母さんに
診察の報告を話した


色々聞いてきた事も話した


バイトの面接をする事も


お母さんは前向きな私に喜んでいた


「メグ❗無理しないでね❗ゆっくり進みなさいよ(笑)」


「バイトの面接の時
心臓の事隠したら駄目❓」


「正直に伝えないと
体調に変化あったら大変よ❗」


「そしたら受かるか心配だな…普通は健康な人を求めるもんね」


「とりあえずちゃんと話してみなさい❗
駄目だったらまた次探せばいいし❗
就職も含めて考えてみるといいわね❗」


「うん(笑)わかった」


現実は厳しいだろうと私なりに思っていた

No.432 10/05/27 07:44
夕焼け雲 ( PpQK )

金曜日

会社は電車で特急が止まる約20分位の場所で駅前のビルだった


面接官は女の人で
凄く綺麗な人だった


「バイトは初めてですか❓」


綺麗な声と大人の香り

「はい❗」


「パソコンは出来ますか❓」


「はい❗大丈夫です」

「そうですか(笑)

週どれくらい入れます❓」


「はい…あの…私そちらにも書いたんですが…心臓の手術を受けたんです。
今は普通に生活出来てますし 大丈夫なんですが…」


「あ…そうなんですか…」


空気が変わってしまった


「嘘をついて受けたく無かったのと・私自活する第一歩の事なんです。週に三日くらいから…慣れてきたらもっと頑張ります❗

私 自分に自信が無くて何も出来ないって思ってました。
でも生きて行かなきゃならないし
周りに迷惑かけてきたので
どうしても働きたいんです。
万が一こちらでご迷惑おかけしたらクビで構いません。
お願いします❗」



気づいたら私は
必死になっていた


「例えばこちらが気をつける事はありますか❓」


「いえ❗差別無くて大丈夫です」

No.433 10/05/27 07:54
夕焼け雲 ( PpQK )

「仕事はお客様の☎にお応えしパソコンに記録する仕事だから
大丈夫だと思うけど…二週間仮採用でやってみる❓」


「はい‼ありがとうございます‼」


「後はその期間で判断させて貰うわね。貴方も身体が正直に反応するはずだから
無理せず判断して」



「はい‼」



「私もね昔大怪我してちょっと貴方の気持ちわかるのよ❗
ただ仕事は仕事だからね❗」


「はい‼本当にありがとうございます‼」


「じゃあ来週火曜日に来てね」


「はい‼よろしくお願いします❗失礼します」


ビルを出て私は嬉しさのあまり


「やったぁ‼」


と叫んでいた(笑)


明日はりゅうとお出掛け

私はデパートに入って買い物をした

No.434 10/05/27 08:03
夕焼け雲 ( PpQK )

🏠に戻り

明日の準備をする

一泊だから
そんなに大荷物じゃないけど(笑)

お弁当作ろうかな(笑)
スーパーに行かないと(笑)


また🏠を出て
スーパーで買い物をした

こっちの方が大荷物


🏠に戻り下準備と
今日のうちに作っておけるのは作って
冷蔵庫にしまっておいた

夕飯も同時に作り
お母さんが帰って来た

とりあえず二週間仮採用された事を話す
お母さんは喜んでくれた


お姉ちゃんもお父さんも良かったねと喜んでくれた

明日の事はお父さんは心配そうだったけど
私のワガママを聞いてくれる家族に感謝してる

No.435 10/05/27 08:08
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうから☎が来た


「明日大丈夫だよね❓」

「うん‼用意した‼
お弁当も持って行くから(笑)」


「マジ⁉期待するわ」

「じゃあ朝8時に迎えに行くよ」


「うん(笑)じゃあまた明日ね❗」


「早く寝ろよ❗おやすみ」


「おやすみ(笑)」


明日りゅうとの二日間

私にはもう心配も怖さも無かった



ゆっくりと寝る事が出来た

No.436 10/05/27 08:21
夕焼け雲 ( PpQK )

朝5時に起きて
お弁当作り
お母さんもやっぱり手伝ってくれて
半分母の味(笑)


それから化粧をして
身支度を整えた


チャイムが鳴り
りゅうが来た


「おはようございます‼」


朝からテンション高い(笑)

「おはよう(笑)りゅうくん、気をつけて
メグをよろしく頼んだわよ❗」


「はい‼行ってきます」


なんだか昔幼稚園の遠足でも似たようなシチュエーションが(笑)


私達はお母さんに手を振り
🚌停に向かって歩いた

りゅうはバッグを持ってくれた


駅に着き電車に乗り込み乗り換えをして
江ノ島に着いた


荷物をコインロッカーに預けお弁当は持ち
海を見てテンションが更に高くなった


沢山の海水浴に向かう人達で賑わい
天気も最高に暑かった

No.437 10/05/27 08:34
夕焼け雲 ( PpQK )

「江ノ島に先に入ろうか❗今砂浜暑いしな」

「ビーチのギャルみたいくせに~(笑)」


「俺はメグが見たいの(笑)」


「目が泳いでる~(笑)」


駅から真っ直ぐの道を歩くと江ノ島


本当に歌通り(笑)


細く狭い路地には
お土産屋が立ち並び
江ノ島の神社は
縁結びの神様だと
友達にも聞いていた


悪い噂も聞いてたが
それは知らん顔(笑)


エスカーという
有料のエスカレーターに乗ると
想像よりも長く高い
場所に神社と展望台があった

ちなみに帰りは歩き

( ̄□ ̄;)!!



それでも行くよと私はりゅうの手を離さず
歩いた

神社でお参りして
絵馬を書いた


いつまでも一緒に


縁結びの御守りを二つ買い

ゆっくりと展望台に歩いて行った


そこから観る景色は
夏真っ盛りという名の絶景だった

No.438 10/05/28 00:26
夕焼け雲 ( PpQK )

少し木陰があり
周りがカップルだけの場所があった


吸い込まれる様に
りゅうが手を引いた


殆どのカップルが
イチャイチャしてて


周りなどお構い無しだった(汗)


ベンチに座り
水分補給
熱中症になったら
お互い大変(汗)

マメに水分を取る様にりゅうに言われる(笑)


「意外と大丈夫でしょう(笑)」


「でも今日は時間あるからゆっくり過ごそうよ(笑)俺と居て倒れたら困るし」


「りゅうのせいにしないし責任とれなんて
絶対言わないって約束するよ」


ちょっと本気で言った


りゅうは困っていた



しばらく海を眺め
お互い無言でいた



周りのイチャイチャの声が聞こえ
私はうつ向いてしまった


「降りようか…」


りゅうが言う



なんだか私のせいで
空気が一転
自暴自棄


「ごめんね」


私から謝った


りゅうは手を差し伸べて繋いでくれた

No.439 10/05/28 00:38
夕焼け雲 ( PpQK )

帰りはひたすら階段で
あまり道も良くない上に細く階段自体が高い

観光客が次々後ろから迫ってくる度
私も急がないといけない

すれ違うのもやっとな位幅は狭く
私はお荷物だった

それでもりゅうは
後ろから来る人に


「すみません❗
ゆっくり降りたいので抜いて下さい❗」


と毎回説明してくれた


休む度に水分補給(笑)

体力の無さにつくづく情けなかった



下に降りるまで
かなり時間を掛けて
やっと海に近づいた



砂浜は暑いので
木陰を歩き全然砂浜には遠かったけど
座って
昼食にした


りゅうの食べる量を考えたけど夏に弁当ってヤバかったかな(汗)
なんて恐る恐る開けて食べていた


りゅうは嬉しそうに
怪獣喰い(笑)

私も頑張って食べた


大きい木の下だったので寝転んでも涼しい
りゅうは食べてすぐ
ゴロンと寝た


「牛になるよ(笑)」


「熊かも(笑)」

潮の香りが癒された

No.440 10/05/28 00:44
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが寝てたので
私は薬を飲み
後片付けをして
海を観ていた



みんな楽しそうに
笑ってる


同じくらいの男女が
泳ぎ騒ぎ
楽しそう


りゅうも泳ぎたかったはず


ごめんね



私はなんだか
りゅうの出来る事を
奪ってる様で
どんどん惨めになってきた


りゅうは寝息をたて
完全に寝ていた


こんな時間もいいのかなとおもいながら
りゅうを観た


りゅうが私を引っ張りりゅうの胸に覆い被さってしまった


「びっくりした❗」


りゅうは笑って
私を横に寝かせ
腕枕をしてくれた

No.441 10/05/28 00:53
夕焼け雲 ( PpQK )

私達はいつの間にか
寝てしまった


少し風が寒くなって
起きたら
もう夕陽が落ちそうで綺麗だった


「写真撮ろうよ❗」


りゅうは📷を出して
通りかかる人に
写真を頼んだ


荷物をまとめ
ホテルに向かう
りゅうが予約してくれた


すぐ近くのオーシャンビューの部屋


なんだか凄く恥ずかしい


ベットが二つ並んでた

私が直ぐに横になれる様にと…



窓側のベットに二人座って外を眺めていた


最高に幸せだった

No.442 10/05/31 12:47
夕焼け雲 ( PpQK )

「そうだ❗私バイト始めるんだ(笑)」


「え⁉身体大丈夫なのか⁉」


「オペレーターの仕事だから大丈夫だと思う(笑)まだ二週間の仮採用だけど(笑)」


「へぇ❗でも無理しないでいいよ❗」


「うん‼ちょっとずつ頑張ってみるよ❗」


りゅうは頭を撫でてくれた


食事は部屋に運んでくれて
豪華な料理に舌鼓を打った


私が食べられないのはあっという間に
りゅうが食べてくれた(笑)


食事が片付けられ
お風呂の案内をされた

「貸し切り風呂にしようか」


りゅうが言う


私は公衆では他人に身体を見せてない
それもあまり気にしない様にしていたが
りゅうが心配して
貸し切りの予約を伝えた


「あと一時間で取れるって❗」


困惑顔な私を見て
「嫌なら一人で入っていいから(笑)
倒れたら心配だしさ」


「ありがとう(笑)」



お風呂の時間まで
この次のデートの話で盛り上がる


次は映画に行こう


バイトのシフトと
体力を考え
また後々決めようと
話した

No.443 10/05/31 13:01
夕焼け雲 ( PpQK )

☎が掛かってきて
りゅうが出る


お風呂の時間だ


りゅうと二人で
お風呂に向かう


鍵を締め
脱衣室で荷物を置いた

「俺待ってようか⁉」

あれ以来りゅうとは
時間が経っていて
恥ずかしいのもあった

勿論恥ずかしいのと
傷跡の心配…


でもりゅうが心配してくれた優しさを
無駄にしては…


「一緒に入るよ(照)
先に入って(笑)」


「わかった❗」


りゅうはさっさと裸になりお風呂に入って行った(笑)


私は裸になって
タオルで傷跡を隠す様にして入って行った


りゅうが手を引いてくれて
身体を流してくれた


タオルはりゅうが
ゆっくり外した


思わず腕で隠そうと
身体が反応してしまう

するとりゅうは

「心配するなよ」

と言って
私の身体を洗ってくれた


入院してから
看護婦さんやお母さんに身体を洗って貰ってきたが
りゅうに洗って貰う私は変な気持ちになっていた


くすぐったい様な
身体が敏感に反応していた

No.444 10/05/31 13:13
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが
私の首から胸を洗って傷で止まる…



引いてるよね…


りゅうの顔を観れず
自分で身体を洗おうとしたら
りゅうがまた私の身体を洗ってくれた



どうしていいか
わからない私…


このまま逃げたい気持ちになってしまった


もう終わりかもしれない…


身体をシャワーで洗い流し


二人で湯船に入った


少しりゅうと離れ
黙って入ってた


困惑したりゅうは
何も言えないのが解るから…


沈黙の時間は
本当に辛かった…
泣きそうなのを
堪えるのが精一杯



まるで我慢比べの様に逆上せていた


お風呂から出る時
りゅうが手を伸ばしてくれたが
なかなか立てないくらいしんどかった(汗)

No.445 10/05/31 13:21
夕焼け雲 ( PpQK )

「ごめん(汗)大丈夫か❓」


「ちょっと逆上せたかな…先に上がってて」

「とりあえず運んでいい❓」


りゅうは裸の私を
抱えて脱衣室の椅子まで運んでくれた


扇風機をあて
バスタオルで拭いてくれた


水を汲んで飲ませてくれて随分楽になった



りゅうは着替えを済ませ


私の着替えまで手伝ってくれた


益々自分が情けなくて申し訳なかった


貸し切りの時間があったので
りゅうが荷物を全て持ち
一度部屋に置いてきて
再び私を迎えに来てくれた


「もう大丈夫だから…ごめんね」


そう言うのが精一杯


りゅうは私を抱き寄せ部屋に戻った

No.446 10/05/31 13:30
夕焼け雲 ( PpQK )

部屋に戻り
ベットに座らされた


「大丈夫だから…」


りゅうは心配そうに
して窓を開けた


「りゅう…ごめんね」

私は色んな意味で謝るしか無かった


「薬は飲んだ❓」


「うん…」


「横になった方がいいよ❗ほらっ❗」


半ば強引に横にされた

りゅうは貸し切り風呂の鍵を返しに
フロントへ行った


一人残った私…
このまま帰りたい気持ちだった


やっぱりりゅうに嫌われた…
絶望と惨めな気持ちで一杯だった


そんなに甘くない事くらいわかってた…
りゅうに嫌われる事もわかってた…


これが現実…


一人でまたスタートだ

No.447 10/05/31 13:52
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが帰ってきた


私は寝たふりするしか無かった


りゅうは私のそばに来て手を握ってくれた


りゅうの優しさが
辛くて涙が出てしまった…


「どうした❓胸が痛い❓苦しい❓」


私は首を振り
泣きながらりゅうの手を強く握った



起き上がり

りゅうに話した


「りゅう…ありがとう…今日の思い出があれば…大丈夫…
りゅうに素敵な人が出来る様に…」



「え❓どういう意味❓」



「りゅう優しいから…我慢しないで…
自分が情けなくて申し訳なかった…」



「なんで❓俺は大丈夫だよ(笑)」


「でも…何となくわかったし…」


「何が❓」


「傷跡見て…」


「あれは緊張してたのと俺が情けなくて悔しかったんだよ…
メグの裸を観て緊張したし…メグは一人で戦ってきたのに
俺は何も出来なかったから…」


「綺麗な身体じゃなくてごめんね…今度は綺麗な身体の人と」


そう言いかけた瞬間
りゅうが私を思い切り抱き締めた


「俺はメグが好きなのに何でそんな事言うんだよ❗なんでだよ❗
やっと一緒になれたのに❗」


りゅうは本気で怒った

No.448 10/05/31 14:25
夕焼け雲 ( PpQK )

「りゅう優しいから…言えないのわかるよ…大丈夫だから…」


「じゃあ本音言っていいのか❓」


りゅうは私の目を観ていた
肩に置いた手が痛かった


「メグを抱きたい❗
そう思って自分を抑えるのに必死だった❗
逆上せちゃうまで
上がれなくて
自分のが(汗)…

誤解させたらなら謝るよ」


私は心配しすぎた❓
でも現実はきっとこれからもっともっと
厳しいだろう…


「わかったよ…」



「そんなに心配するなよ❗俺はメグの傍にずっと居るから❗」



りゅうの優しさに触れて安心した



もう自分らしく生きるしかない
それで嫌われたら仕方ない


そう考える事にした

No.449 10/05/31 14:53
夕焼け雲 ( PpQK )

再びベットに寝かされ
りゅうは隣りのベットで座って私を観ていた

「りゅう…」


私はりゅうに手を差し伸べた



りゅうは私のベットに来て
私を抱き寄せた



キスを交わし

りゅうの唇が耳~首に這う

私はもう拒む事も
怯える事もせず
りゅうと一つになりたかった


りゅうは優しく私を包んだ


胸をはだけた時は
なるべく意識せず
堂々とした



乳房を揉まれ乳首を吸われりゅうの舌が這う度に
私は幸せで一杯だった


私の心臓は違う意味で爆発しそうだ


セックス自体始めてだし
この身体で大丈夫なのかは私も知らない
りゅうも心配しながら
それは優しく優しく
ゆっくりと愛してくれた


りゅうが私の中に入ってくる


やっぱり痛かったが
時間を掛けて
りゅうと一つになれた

激しいセックスとは
言わないけど
私達のセックスは初めて満たされた


りゅうは何度も私を気遣う(笑)


「辛そうな顔と気持ちいい顔はわかるでしょ❗(笑)」


思わず二人で笑ってしまった

No.450 10/05/31 15:04
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうの腕枕で眠りについた


初めて好きな人と
一緒に過ごせて
本当に嬉しかった


もしかすると
こんな日は永遠と
来なかったかもしれない


りゅうと再び付き合えなったかもしれない


今こうして
隣りのりゅうと
抱き合えた事を
奇跡だと思って
自分の出来る事を
もっともっと
頑張っていこう


何処かで甘えている
自分…
もう踏み出す時期だったね



改めて家族の愛と
りゅうの優しさを
痛感した夜だった



りゅうありがとう

No.451 10/05/31 15:30
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝


隣りに寝ているりゅうの顔にキスをした



こんな事してみたかった(笑)


りゅうは寝ぼけながら笑ってた(笑)


朝食は別の場所で
他のお客さんと一緒にとる


一番若い私達(笑)
周りからどう見られていただろう



部屋に戻り
身支度を整え
チェックアウトした


自分の分はきちんとりゅうに渡した
それは旅行前から決めていた(笑)


海岸を歩きながら

「今度は海に入れる様にチャレンジする❗」

そうりゅうに言うと


「泳がなくても俺に掴まっていれば大丈夫かもな❗一応先生に聞いた方がいいよ❗」



りゅうは普通に泳げるんだから
海に来て泳げないのはつまんないものね(泣)

波打ち際だけでも
楽しめる様に
それなりに支度すれば良かったと後悔(._.)


りゅうは全然気にせず笑ってたけど
今度は私もそれが当たり前でなく
何でもチャレンジしていこう(笑)

No.452 10/05/31 19:37
夕焼け雲 ( PpQK )

鎌倉の街を観光した


古びた街並みは
なんとも言えない
懐かしい匂いと
懐かしい安らぎがあった


お昼は
洒落たお店に入って
ランチを食べた



一つ一つが
私に取って新鮮な時間


なんだか帰るのが嫌になりそう(笑)



要所要所
りゅうは休憩を挟んでくれて
私への気遣いを凄くしてくれた



夕方までお土産屋を周り
🏠にお土産と
りゅうと御守りを買い
電車に乗った



海水浴の客も居て
帰りは混んで座れず
ずっとりゅうが私を支えてくれた


乗り換えをすると
始発駅なので
座れる様に並び
地元駅までゆっくり休んでしまった(笑)


地元駅に着いた


見慣れたいつもの駅なのに
りゅうと離れる寂しさと切なさが湧いた


目の前の🏠なのに
不思議(笑)


「なんか寂しいな(笑)」


ついりゅうに言ってしまった


りゅうは笑って


「また行こうな❗」


私の手を握りしめた



自宅前…


「りゅうありがとう。ホントに楽しかったし…初めてな事だらけで緊張しちゃったけど…嬉しかった。

これからもよろしくお願いします(笑)」


りゅうに頭を下げた

No.453 10/05/31 19:49
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは私の🏠に来てお母さんに挨拶をした

「お疲れ様(笑)
大変じゃなかった❓」

「大丈夫です(笑)
メグが無理したかもしれないんで
ゆっくり休みなね❗」


私の顔を見てずっと最後まで気遣うりゅう



「ありがとうね❗
りゅうくんもゆっくり休んでね❗」


お母さんはりゅうに礼を言い
りゅうは🏠に帰った


「良かったわね(笑)

じゃあ着替えて休みなさい❗」


私はお母さんにお土産を渡して部屋に入り

ベットに横になった


二日間のりゅうとの時間…


りゅうはどう感じたかな…


私と付き合う事を
きっと今冷静に考えてるかもしれない


もしりゅうが辛いなら私は大丈夫…


同情も嫌だし
りゅうが幸せじゃなきゃ私も辛い



次にりゅうから
誘われ無ければ
それが答えだと
理解しよう…


結ばれた幸せと
結ばれた事による怖さは生まれたが
仕方ない…



りゅうの温もりを思い出し寝てしまった

No.454 10/06/01 17:44
夕焼け雲 ( PpQK )

バイト初日の日

私は緊張で会社に向かった


「よろしくお願いします」


働いてる人達に挨拶をすませ
指導教育の竹田さんが私にしばらく付いた


来てすぐやる事は
ほぼ新人が雑用をこなす
掃除点検準備お茶の支度~沢山指示され
メモをとる


マニュアルを覚える為の教本を貰い
とにかくずっとそれをひたすら頭に叩きこむ様に言われた


実際はやってみて初めて解ると言われ
午後から竹田さん相手に練習をしましょうと言われた


お昼は交代で一時間休憩があり
先に休憩を貰えた


何人か一緒に昼食を取るので必然と色々聞かれる事が多々あり
恥ずかしかった


1日の工程は私にとって新鮮かつ興味津々で疲れたがやる気に溢れていた



帰りにりゅうと待ち合わせをしていたので
尚更嬉しかったかもしれない(笑)

No.455 10/06/01 18:46
夕焼け雲 ( PpQK )

地元の駅前のいつもの喫茶店

私は少し早く着いて
いつものアイスティーを注文し待っていた



すると見覚えがある人が店に入って来た




あの人は…


りゅうを好きな…



険しい顔で私に向かって歩いて来た



りゅうとの約束を
知ってるのだろうか…

No.456 10/06/01 19:29
夕焼け雲 ( PpQK )

私のテーブルに来て
立ち止まる


「こんにちは」


彼女が言ったので
恐る恐る挨拶をした


「こんにちは…」


「恵さん…私に嘘つきましたよね…」


「え⁉」


「龍也くんと付き合って無いって言ったじゃないですか…」


「あ…あの頃はほんとに付き合って無かったの…本当に❗」


「酷い❗私の気持ち知ってて‼応援してるって言って‼
バカにしてるの‼」


喫茶店内に響く怒涛の声


店員さんに困りますのでと注意された


「とりあえず外に出ましょう…」


私は会計を済ませ
彼女と店を出た

No.457 10/06/01 19:51
夕焼け雲 ( PpQK )

私はどうしたらいいかわからなかった…



彼女は興奮して
怒りが止まらない



りゅうはまだ来ないし連絡しようが無かった


裏路地を歩き
細い道の人通りの少ない場所で
彼女は立ち止まった



「別れてよ‼」



「それで貴方は納得するの⁉」


「いいから別れて‼」

私は何も答え無かった

別れても彼女はりゅうと付き合えないだろう…

でも好きな気持ちを諦められないのは
彼女も私も同じ…


「今からりゅうが来るから…話し合おうよ…」


彼女は興奮して
私の頬を叩いた


勢い余って私は倒れてしまった


こんな事で…
興奮しちゃ駄目…


気持ちを落ち着かせ
ゆっくり立ち上がると彼女は私の肩を持ち
揺さぶった


「別れてよ‼別れてくれないと私何するかわからない‼」



上着は破れ
髪は振り乱れ
気持ちが悪かった…


どうしよう…私…

No.458 10/06/01 19:58
夕焼け雲 ( PpQK )

そこに通りすがりの
男性が声を掛けてくれた


「大丈夫ですか?」


私がぐったりしてるのと一方的に責められているので
心配して人が集まって来た


「ちょっと顔色悪いわよ❗手を放しなさい‼」


おばさんが私を庇い
男の人が彼女を押さえた


「救急車呼ぶ⁉警察⁉」


その言葉に彼女が泣きわめいた


「大丈夫…です…
知り合いなので…すみません…あの……」



彼女は泣きながら
走って行ってしまった

No.459 10/06/01 22:18
夕焼け雲 ( PpQK )

「やっぱり救急車呼んだ方がいいんじゃないですか❓」

周りがざわめく…


「あの……伝言お願いします…
すぐこの裏の喫茶店に…」


「誰か待ってるの❓
知り合いが居るのかしら」


「僕聞いてきますよ❗お名前は❓」


「恵 …です……」



男性が走り
おばさんは救急車を呼びに行った


他の人が私を抱え
心配してくれていた


大丈夫…


そう思って落ち着く事を考えた


「メグ‼」


りゅうの声が聞こえた

さっきの男性と一緒に来てくれた


「りゅう…ごめん…」

「何でこんな事に…」

おばさんが彼女とのやり取りを説明したが
私は途中で止めた


「大丈夫ですから…
もういいんです…」


救急車のサイレンが
聞こえて来た


「乗ったら…帰れない…乗りたくないよ…」

「でも顔色が悪いし
怪我もしてるし❗
とりあえず診て貰おう❗俺も付いて行くから‼」


救急隊と男性やおばさんと話し
りゅうも私の身体の説明をして
担架に載せられた

No.460 10/06/01 22:26
夕焼け雲 ( PpQK )

救急車は私の通院している病院に向かっていた

りゅうが全て説明し
私は意識が薄かった


気付けば見慣れた先生が目の前に見え
その隣りにりゅうが見えた



「また来ちゃったんだな❗でももう大丈夫だよ❗早く気付いて良かったな(笑)」


先生は茶化しながら
話す


顔と肘や足に治療した後があったが
軽傷だし
心臓も今は落ち着いたからと説明された


「先生…手術しないで大丈夫❓」



「しばらく様子診るかな(笑)まぁ休憩しろよ❗」


りゅうはずっと心配そうに先生との会話を黙って聞いていた

No.461 10/06/01 22:36
夕焼け雲 ( PpQK )

先生が部屋を出て
私はまた点滴で投薬治療だ


「ごめん…メグ…
本当にごめん…」


りゅうはずっと頭を下げていた


「りゅう…頭を上げてよ…大丈夫だから…
顔見せて…」


りゅうはゆっくり頭を上げたが
涙ぐんだ目をしていた


「私…りゅうと付き合っていいよね…駄目かな…」


「ちゃんと話して
もう危ない目に合わない様にするから…
本当に悪い」


「あの人も辛そうだった…苦しんでた…

私がそうさせたの…
でもりゅうを諦められない…


どうすれば納得するか…私にも責任があるの…」


「どっちにしても
ここまでしちゃ犯罪に近いし…アイツの人生も駄目にするから…
ちゃんと話すよ‼」



私はそれ以上言葉が出なかった

No.462 10/06/01 23:36
夕焼け雲 ( PpQK )

しばらくすると
お母さんとお姉ちゃんが息を切らして
やって来た



「メグ‼」


お母さんの方が青ざめていただろう…

りゅうは

「すみません‼」


頭を下げ
お母さんはりゅうを見てから私を見た


「何でこんな怪我したのよ❗」


りゅうは全て自分のせいだと責任をかぶっていたが
私が割り込み
自分がいけないと話したが
お母さんは何も信じてない様子で呆れていた


「二人で嘘つくの⁉
信じてるお母さんは
何だか寂しいわね」


仕方なく本当の話を
私がした
聞いてるお母さんの目は
段々怒って見えた

No.463 10/06/01 23:41
夕焼け雲 ( PpQK )

「メグ。どちらにせよ自分の身体は自分が守るしかないのよ❗
もしもの事があったら家族や
りゅうくんの気持ちを考えて❗

貴方達が好きな事と
生きていく責任をお互いがしっかり持たないと大変だと話したじゃない❗


これが何回も続いたらりゅうくんはメグを支えられるかしら…


いい機会だから
二人共よく考えなさい。」


私達は押し黙った


りゅうは再び頭を下げ
部屋を出て行った

No.464 10/06/01 23:46
夕焼け雲 ( PpQK )

閉まる扉の音は
私には終わりを告げた様に聞こえた


「メグ…。お母さんはメグが心配と同時に
りゅうくんも心配なの…。
きっと貴方達の中では大したこと無いって
付き合ってきただろうけど

りゅうくんの責任は
やっぱりかなり重いはずよ❗


例えりゅうくんが悪くなくても
メグがこんな風になれば責められるのは
りゅうくんになってしまうじゃない❗


それが心配なのよ‼」


涙が出た


やっぱり私は
恋愛しちゃいけないんだ

No.465 10/06/01 23:53
夕焼け雲 ( PpQK )

「一人にして欲しい…」


「メグ❗お母さんは心配してるだけで
よく考えて
りゅうくんと付き合いなさいって言ってるのよ❗」


「うん…よく考える」


「じゃあ先生と話してくるわ…」


二人共部屋を出る


りゅうの責任⁉


私が全て悪いのに
りゅうが責められる


そんなの嫌だ


りゅうは私を重荷に感じてる⁉


少なくとも多少はあると私は思ってる


りゅうと別れれば
私が彼女に恨まれる事もりゅうに心配かけ責任を問われる事なく
生きていけるのか…



りゅう
今何を考え何を思ってますか…

No.466 10/06/02 11:47
夕焼け雲 ( PpQK )

私は病院に泊まる事になった


バイトは辞める様に
言われ
お母さんが連絡する事になった


これじゃ私何も出来ない…


りゅうと別れても
働いて生きて行かなきゃならない


でも今はそれすら許されない…


もう生きていく意味なんて無いよね…


私さえ居なくなれば
皆楽になれるよ



責任とか重さか
解放されるはず



私の目は真っ直ぐ天井を観るだけで
何の感情もなくなっていた

No.467 10/06/02 11:59
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日朝早く
りゅうが来てくれた



私は諦めていた



「大丈夫か❓
今日これからアイツと話してくるから…」


「ねぇ…私は大丈夫だよ❗彼女がって事じゃなく、私が体調を崩すのは普通にあると思うし…彼女を責めないで」



「でも俺は納得出来ない❗」



「りゅう…彼女も苦しんだのよ…今もね。
きっと後悔してるはずだよ❗だからそっとしてあげて…お願いします…」



「それでいいのか⁉
また何かされたら…」


「りゅう……
私と付き合うの重いよね…ごめんね」


「なんだよ❗」



「付き合う前からわかってたのに…私こそ
自分のわがままを通した…でも結局りゅうに嫌な思いをさせてしまったよ…


元気で走り回る事も
海ではしゃぐ事も出来ないし
我慢させたり気を遣う事ばかり
ずっとりゅうに悪いと思ってた


りゅうの優しさに
甘えてしまったよ…
ほんとうにごめんね…」

No.468 10/06/02 12:10
夕焼け雲 ( PpQK )

「なんでそんな事言うんだよ❗俺はメグが好きだから我慢してないし 無理もしてない❗」


りゅうが怒った


「俺は本当にメグと
生きて行きたいんだよ❗こんな事になったのも自分の甘さが良くわかった…
だからといって別れる事全く考えてないよ❗
むしろ俺ははっきり
メグを支えたい気持ちが強くなった‼」



「りゅう…」


「心配しないで俺がメグを出来る限り守るから‼」


私は涙で言葉が出なかった


思わずりゅうの胸に
飛び込んでいた


私はその言葉だけで
生きていけるよ


ありがとう


りゅう

No.469 10/06/02 19:24
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうは昼過ぎまで
一緒に居てくれた
バイトがあるので
ギリギリまで付き合ってくれた



先生に診察して貰った時に
質問をした


「先生…私恋愛してもいいのかな…

迷惑かけてばかりいて何の役にもたってない…」


「病気の人は必ずぶち当たる問題だよな~。じゃあ健康な人は
絶対何もないとは限らないよな❗

交通事故にあうかもしれないし、
明日死ぬかもしれないよ(笑)

今自分が出来る事を
一生懸命やれば
相手もわかってくれるんじゃない⁉

それでも厳しい時は
周りに助けを借りる事も絶対必要なんだよ❗
人は一人では生きれないんだし
恋をしてはいけないなんて法律は無いよ(笑)

とにかく家族の協力や理解が必要なのは
絶対かもな❗」


「私…何が出来るかな…」

No.470 10/06/08 15:24
夕焼け雲 ( PpQK )

一週間で退院


りゅうは毎日来てくれたが
私はこの先が心配だ


彼女がまた…というよりも
自分がまたという可能性の方が高い


両親やりゅうにも
どんどん迷惑が掛かる

退院した次の日
りゅうが🏠に来て
気を遣う事の優しさが私には痛かった


「りゅう…しばらく私一人で頑張る…」


「え⁉どういう意味❓」


「もう少し自分が強くなれる様に…
りゅうと居ると甘えてしまう…。

それじゃ私が自分の力で生きてない…」


「なんで⁉俺はメグが頑張ってる姿も知ってるし、負担になってないよ‼」


「うん…ごめんね…
ほんとにごめん…」



この入院でりゅうがバイト代で負担すると
言ったのを両親から聞いていた私


この先また何かあれば全てりゅうが負担を感じるのは目にみえる


両親はりゅうを責めてもいないし
お金を受け取ってはないが
生きる事の大変さは
やはりお金無くして生きていけない


私がちゃんとバイトをして🏠に入れる生活にならないと
恋愛なんてしてはいけない…


両親に迷惑をかけ
りゅうに責任を感じさせ
私は何も出来ない…


ならばせめて
自分の事くらいは
自分でけじめつけないと…

No.471 10/06/08 15:38
夕焼け雲 ( PpQK )

「りゅう…私今もりゅうが好きだし、離れてもずっとりゅうを思ってられる。
今までもずっとそうだったし…大丈夫(笑)

どうしてもちゃんと働いて自活出来る様に
自分の足元を固めたいの…

これ以上家族やりゅうに心配させたくない…ちゃんと働いて
自分のお金でりゅうと付き合いたいの…。


それまで少しだけ時間が欲しい…お願いします…」


りゅうは下を向いて
黙っていた



「りゅうも就活あるし…お互いがしっかり
社会人になれる様に…その為の時間にしようよ」


「デート出来なくても…たまには逢えるよな⁉メグの🏠でも俺の🏠でもいいから‼」


「そうだね(笑)別れるわけじゃないから」


「わかったよ‼
じゃあしばらくはお互いの為の時間にしよう…俺も頑張るから…

俺に頼って貰える様に頑張るから…」


りゅうは少し落ち込んでいた

でも笑顔で私に
頑張るよと言ってくれた

No.472 10/06/08 15:45
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうがキスをした


しばらくこんな時間は無い


りゅうが震えながら
私を抱き締めた



「りゅう…」


りゅうは泣いていた


「何も出来なくて…ごめんな…」


私に謝るりゅう


私が何も出来ないんだよ
りゅうの大切な時間や可能性の為に
これから頑張って


新たな出会いがあればどうか幸せになって


りゅうが笑顔で
毎日楽しくいてくれる事が
私の幸せだから‼



りゅう…ありがとう


りゅう…



私達は今日を境に
しばらく距離を置く事にした

No.473 10/06/08 15:58
夕焼け雲 ( PpQK )

それから二年が経った

りゅうは一流商社に
就職し 毎日忙しくしてると噂で聞いた


私は就活も内定を頂き
卒業を決めるだけになった


あれから私は資格を
沢山取り
銀行の内定を頂いた


バイトは違う会社の
オペレーターをやり
バイト代は両親に渡した



両親は自分で使いなさいと言って
私の口座を作ってくれたがそのお金に私は
手を着けなかった


りゅうとは日常全く逢わない生活


夜もかなり遅く帰らない日もあると
たまたまりゅうのおばさんに
私のお母さんが会って話したらしい


社会人になれば
付き合いもあるし
残業の毎日だと思う



もう私の存在はなくなってしまっただろう



それでいいんだ



私は月日と時間の流れに
任せていた

No.474 10/06/08 16:10
夕焼け雲 ( PpQK )

就職先も決まり卒業の日


私は着物を着て
🏠を出た


お母さんが写真を撮ると言って出てきて


玄関前で決まり事の様に写真を撮る


こうやって卒業写真を撮るのも今日が最後


するとりゅうが出てきて


「卒業おめでとう(笑)」


私は驚いた


「仕事は⁉」


「大丈夫だよ❗これから行くから‼」


「りゅうくんも並んで撮ろう‼」


お母さんが言う


私とりゅうは
並んで写真を撮った



「じゃあ‼行ってくるから‼いい卒業式を‼」


りゅうはスーツ姿で
走って行った


私へのサプライズ⁉
多分お母さんが仕組んだ⁉


「りゅうくんが卒業式の日どりを聞いてきたから教えただけよ(笑)」


二人共ズルい(笑)


でも私には最高に嬉しい卒業式だった

No.475 10/06/08 16:23
夕焼け雲 ( PpQK )

社会人生活に慣れてきた頃

飲み会や同僚との付き合いも頻繁になってきた


お酒が呑めない私は
ひたすらウーロン茶で時間を過ごすが
楽しかった


誰と誰が不倫してるとか
誰が誰を好きとか
専ら身近な話しで
盛り上がっていたが(笑)



私は上司の長野さんから多少セクハラをされていて
困ってる事を皆に話すと
皆も解る~と共感された


同僚の矢野さんは
一つ先輩の霧島さんに夢中とか(笑)



何処へいても
恋愛話しは欠かせないアイテムだった

No.476 10/06/08 16:33
夕焼け雲 ( PpQK )

二次会帰り
かなり遅くなってしまい終電ギリギリに間に合い
タクシー乗り場に並んだ


こりゃ一時間は待つだろうと
仕方なく待ってると
前の方で騒いでる声がした

酔っ払いかと怪訝な顔で見ると
りゅうと女の人が
騒いでいた


私は思わず前の人に
隠れながら
つい様子を伺っていた

りゅうは酔っ払って
焦点が合ってなく
一人では立ってられない位…
女の人は嬉しそうに
りゅうを支え
くっついていた


りゅう達が乗るタクシーが来た
二人はタクシーに乗って行ってしまった



これが現実…


それから私はどうタクシーに乗ったか
あまり覚えていなかった

No.477 10/06/08 16:55
夕焼け雲 ( PpQK )

🏠の前にタクシーが止まり
りゅうと女の人が入って行くのが見えた


私は自宅を通り越し
その先の路地を曲がった所で降りた


りゅうの🏠
りゅうの部屋の灯りが見える


私は自宅に帰るのが
辛かったが
家族が心配するので
遠回りして帰る


その日の夜は
全く寝れず
涙も出なかった


自分で言った事のケジメと
りゅうの選択は
間違いじゃないと
自分に納得させる夜だった



次の日は休みだったので遅くまで起きなくても心配ない…



こんな事がきっとずっと続くだろう…
私の気持ちの整理は
うまくつかないが
踏ん張るしか無かった

No.478 10/06/08 17:06
夕焼け雲 ( PpQK )

それから半年が過ぎて私の中でりゅうとの
別れをきちんと受け止めていた



同僚が一緒に寮に住まないかと誘ってくれた

りゅうの事は勿論
身体の事も知ってる
親友の香織



両親に相談した結果
香織の隣りの部屋に
入る事になった



自立の一歩



りゅうとの別れ



私のほんとの再スタートだ

No.479 10/06/09 10:04
夕焼け雲 ( PpQK )

引越し当日
荷物を運び終え
両親とお姉ちゃんが
見送る



みんな寂しそうに私を観たが
私は笑顔で手を振った

帰る場所はここだから

少しだけ一人で頑張ってみるよ


りゅう幸せに


さよなら


ありがとう


いつか笑ってまた逢える


トラックに乗り寮に向かっていた

No.480 10/06/09 10:11
夕焼け雲 ( PpQK )

寮といっても
社宅なので基本的には自由に誰でも出入り出来る


香織はよく彼氏を連れてきて食事をしていた

私は一人暮らしに
バタバタしてばかり
いかに甘えてたか
親の有り難みが身に染みた


年末にはやっと生活が安定し
自分もまた落ち着いてきた


お正月に家には帰る予定だ

お母さんが待ち遠しいと何度も連絡して来た

No.481 10/06/09 10:35
夕焼け雲 ( PpQK )

久しぶりの見慣れた駅

🚌に乗らず歩いて🏠まで行く事にした


この道は沢山の思い出がいっぱい


いい思い出も
そうじゃない事も
本当にあった



自宅が見える距離まで歩いていると
りゅうの🏠から女の人が出てきた


思わず立ち止まる


その後から
りゅうが出てきた


以前見た人と違うような…


りゅうに見つからない様に手前を曲がる


凄くドキドキして
電柱に掴まっていた



「大丈夫か⁉」


りゅうに見つかり
来てしまった


女の人は遠くで眺めていたので
りゅうの顔を見ずに

「大丈夫だから行って…」

そのまま振り切って歩いていた

自宅と反対に歩いてたので
またりゅうは追いかけて来た


「🏠に戻れよ❗」


りゅうに掴まれ
振り返った私は涙がこぼれ
再びりゅうを振り切った


涙の意味は弱さ…


りゅうの優しさが
私には辛かった

No.482 10/06/09 10:42
夕焼け雲 ( PpQK )

実家に戻れたのは
それから一時間経った頃


気持ちを落ち着かせ
戻った


お母さんが何かを感じたのか
部屋で休みなさいと
新しいベットを買って待っててくれた


家族の優しさは
本当に有難い


家族の笑顔と暖かい温もりを感じ
りゅうの事は振り切った

その夜りゅうが来て
私の心配をしてたと
お母さんに話してるのが聞こえた


お母さんは機転を利かせ
ありがとうとりゅうを帰した

No.483 10/06/09 10:58
夕焼け雲 ( PpQK )

お母さんが部屋に来て

「これで良かったの⁉」

私は笑顔で頷いた


お母さんはそれ以上何も言わず部屋を出た


☎が掛かってきて
私にと言われた
子機を取り話すと
共だった


「久しぶり❗元気か⁉」


なんだか嫌な予感がした


「うん…元気だよ(笑)どうしたのよ⁉」


「明日時間ある⁉」


「午後なら…でも…」

「俺と逢いたくないってか⁉」


「ううん(笑)なんかタイミングがさ…
あんまり嫌な話なら
キツいわ(笑)」


「大丈夫だよ❗」



「…わかったよ…
じゃあ明日…」


「迎えに行くね~」


共は何の勘繰りもせず笑ったまま☎を切った


私はどうせりゅうの
現実を言われるんだと
しっかり気持ちを持たないとと
その心配ばりしていた

No.484 10/06/09 12:32
夕焼け雲 ( PpQK )

共が🚗で迎えに来る


なんか楽しそうに笑ってる


私はあまり乗り気無く🚗に乗った



「ちょっと付き合ってなぁ⤴」



「ねぇ…もしりゅうの話とかなら
もう切り替えしてるから気にしないで❗」


「切り替え⁉」


「もう終わったのよ…」


「え⁉」



「私が結局自信が無くて…重いんだよね
とにかく一人で頑張るって話してそれから
離れてるんだ。

好きな人が出来たからそれでいいしって伝えたし…

もう付き合ってる人居るみたいだから(笑)


私も実家出てるの。
だからもう切り替えして大丈夫だから」



「そうなんだ…
なんか俺が聞いたのと違うな~❗

よくわからないけど
メグはりゅうを諦めたんだ❗」

No.485 10/06/09 12:45
夕焼け雲 ( PpQK )

「諦めたって言うか…自分の事で精一杯なんだよね(笑)
人を好きになる事で
自分がどうなのか良くわかったし…
それが現実の生活で
理解出来たのは良かったと思うし…
私のわがままに振り回しちゃって悪いと思ってるよ」



「…………。」


共は黙って運転していた



「着いたよ❗」



そこは知らないビルでとても入れない雰囲気だった


「今🚗停めてくるから待ってて❗」


共が駐車場に行った


「こっち❗こっち❗」

共が手招きする方に
小走りに歩いて行った

No.486 10/06/09 13:12
夕焼け雲 ( PpQK )

ビルの六階で降りた


ある部屋に通され
ソファーで待たされた

共は出たきり来る様子が無いので
帰ろうかと立ち上がった時
ドアが開いた


そこにはスーツ姿の
りゅうが居た


やっぱりという感じとあまり話したくない
気持ちでいっぱいだった


「ごめん。また騙したよな…昨日おばさんにお願いしたんだけど
駄目だったから…」


「体調なら大丈夫だからこんな事しなくて良かったのに…。
共は⁉私もう帰るよ…」


私は動揺しまくって
少しアタフタして
まるで怒ってる様な口調になっていた

りゅうから何か聞くのが怖かったからだ


「共呼ぶよ。でもちょっとだけ聞いて欲しい事がある❗」



私は下を向いて
諦め立ちすくんだ


「ここは俺の勤めてる会社のビルなんだ❗」

(そうなんだ❗
でもなんでここに⁉)

頭の中で整理するのが精一杯


「メグ❗屋上に来て❗」


手を掴まれエレベーターに乗せられた

何がしたいのかわからず私は困惑した

No.487 10/06/09 13:27
夕焼け雲 ( PpQK )

屋上に上がると
そこにりゅうの両親
私の両親 お姉ちゃんがステージが組まれた所に居た



何がなんだかわからなかった




ステージに歩かされ
りゅうが私と向き合い立った


「メグ❗驚かせてごめん。この三年近くメグと離れて 本当によく考えた。俺が出来る事はなんだろう
俺の弱さや無力さを痛感した時間だった。
だからこそ頑張って
今この会社でやってこれたと思う。
まだまだ厳しい毎日だけど俺は強さも備わってきて自信に変わってる。

メグが今一人で頑張ってる事は聞いていたんだ。」


私は色んな事がパニックでもう整理出来なかった

No.488 10/06/09 13:35
夕焼け雲 ( PpQK )

「メグ❗結婚しよう」


私は誰の事なのか
何が起きてるかわからない程
驚きでいっぱいだった


「私⁉」



「恵と❗」



私は答えが出なかった

共が

「メグが言いたい事全て言えよ❗」


そう叫んだ


「私…りゅうを支えられるか…自分の事で
まだまだ精一杯。
それにやっぱり迷惑かける事が沢山ある…」

「家族は迷惑じゃないんじゃないの⁉助け合うのが家族だろ❗」

お父さんは俯き
お母さんが泣いていたお姉ちゃんも泣いていた

No.489 10/06/09 13:44
夕焼け雲 ( PpQK )

「ほんとに私でいいの⁉」


「メグがいいの‼」


私は思わず後ろを振り返る


お母さんは笑っていた


「…手の掛かる私ですがよろしくお願いします…」



りゅうは私を抱き締めた


花火と紙吹雪が空を舞い上がった


それぞれの両親は拍手をしてくれて
笑ってくれた

お姉ちゃんの涙は止まらず泣いていた



りゅうのサプライズはこれだけじゃ無かった

No.490 10/06/09 13:55
夕焼け雲 ( PpQK )

展望台のレストランで両親達揃って
食事をする事になった

共も親友として
立会人をりゅうが頼んだそうだ


私はとにかくまだパニックで
流れるがままの状態だった



「ご婚約おめでとうございます‼」


そう言って挨拶された人を見ると
昨日りゅうの🏠から
出てきて人だった



「あ‼」


思わず私は叫んでいた

「昨日最後の打ち合わせをさせて頂きました。プロポーズまでの
費やした時間はずっと恵さんを思ってましたよ❗本当におめでとうございます」


そう言って頭を下げ
りゅうはお礼を言っていた



本当に自分勝手な私の為に…みんなが私達を応援してくれた…

本当に本当に
ありがとう‼


やっと正気に戻り
改めてりゅうを見た

No.491 10/06/09 14:09
夕焼け雲 ( PpQK )

「これから結婚式まであの人にプロデュースして貰うからな(笑)
ちゃんと磨いとけよ‼」


りゅうは段取りよく
考えてくれていた


私が断る事を考え無かったのかな(笑)


両親の席に行くと

「良かったな」

「おめでとう❗」

「メグ幸せにね」


三人共祝福してくれた

まさか今日の事知ってた⁉と聞くと
笑ってるお母さん(汗)

私はいつから騙されてたんだろう(泣)


後日談では
私が一人暮らしをした時 りゅうに話しをしたのがきっかけだったらしい

一生懸命自立する事に頑張ってるメグが
恋愛を諦めたみたいでと…。
りゅうもまた自分に自信をつける為に空回りしたりで大変だったらしい。


色んなお互いの頑張りが今日の日に変わった‼


共はやっぱり私達の
かけがえのない親友だ

りゅうと共は乾杯をし
ハイタッチをした

No.492 10/06/09 18:03
夕焼け雲 ( PpQK )

式場はりゅうが地元できちんと決めていて
日取りと式の形態や
披露宴会場を
決めるだけだった


私は仕事も辞めず
そのまま働きたいと
りゅうに伝えたら
快く承諾を得た


6月の花嫁
日取りは決まり
それまでの準備も忙しく
私は実家に戻った


土曜日毎にりゅうと
式場で打ち合わせしたり、内容確認や衣装調べなどで大変だった


私の体調やりゅうが忙しいのを知ってるので
世話役の佐々木さんが自宅に来てくれる事も度々あって助かった



りゅうの招待客が100人になり
私の招待客は80人
同級生枠で10人作った


写真やアルバムは
私が学生時代に作った物を活かして
フィルムにするそうだ

そんな準備や仕事で
私もすぐ横になる事が多くなってきた

No.493 10/06/09 18:18
夕焼け雲 ( PpQK )

どたばたした数ヶ月

最終打ち合わせの日


私はりゅうと
いつもの道を歩いてた

「大変だったけど
あっという間だったね(笑)」


「席とか色々苦労したわ~(笑)
後は当日楽しもうな‼」


「うん‼」



初夏を感じる陽射しを浴びて
私達は歩いていく



りゅうと同じ道を歩む


式場に着き
佐々木さんの段取り説明と内容確認を
ゆっくりしながら
私は一人トイレに立った



緊張と連日の疲れで
少し苦しい

急いで薬を服用し
落ち着いてから出た


時間が掛かったので
佐々木さんが心配して来てくれた


「大丈夫ですか⁉旦那様が心配なさってましたよ」


旦那様(笑)

なんだかくすぐったい

「大丈夫です(笑)」


私は佐々木さんに導かれ楽なソファーに案内された

No.494 10/06/09 18:34
夕焼け雲 ( PpQK )

りゅうが心配して来てくれたが
私は笑ってお腹すいてきちゃったと
誤魔化した



最終確認を終えて
明日写真の前撮りをする


私は美容の最終エステに行く為
りゅうは先に帰った


「二時間後また来るよ(笑)」

りゅうは手を振って
式場を後にした


通い慣れたエステの人に顔色が悪いから
今日は休んで下さいと言われてしまった


二時間後ここで待ち合わせしてるので
私はラウンジで待つ事にした


佐々木さんが私を見つけ 声を掛けてくれた


「恵さん無理してませんか⁉医務室行きますか⁉」


「ちょっとだけ疲れてしまって(笑)
すみません。少しだけ横になっていいですか⁉」



佐々木さんは車椅子を急いで持って来た


「そんなに大袈裟にしないで下さい(笑)大丈夫なので」


「いえ❗いいんです❗何かあってからじゃ
旦那様に申し訳ありませんから」


医務室に横になり
一時間したら呼びに来て欲しい事と
家族やりゅうには言わないで欲しいと伝えた


私は薬が効いて深い眠りについた

No.495 10/06/09 20:02
夕焼け雲 ( PpQK )

「メグ❗」


りゅうの顔が見えて
佐々木さんの顔が見えた


「我慢するなよ❗しんどい時は無理するな❗」


「すみません。念のために連絡してしまいました。」


「いえ…すみません。ご心配おかけしました❗」


時計を見ると約束の時間より二時間過ぎていた


りゅうに支えられ
医務室を出て
私とりゅうはタクシーに乗り自宅に戻った


りゅうは部屋まで付いてくれて
私をベットに横にした

「式は延期してもいいんだよ❗メグが無理する事だけは絶対に嫌だからな‼
俺に何でも言えよ‼
辛い時も苦しい時も
これから隠さず二人で生きて行くんだぞ⁉
もう我慢するなよ❗」


りゅうは真剣に私に伝えてくれた


「ごめんなさい。
今日はちょっと疲れてしまって…今度同じ事があったら
きちんと話す。約束する。」


「もう誰にも気を遣うな‼
じゃあ今日はゆっくり休んで」


りゅうは立ち上がり
帰った

No.496 10/06/09 20:43
夕焼け雲 ( PpQK )

次の日の朝
りゅうが私の部屋に来て


「今日の前撮りキャンセルしてもいいよ‼」

そうりゅうが言う


「大丈夫。今日は調子いいよ‼たっぷり寝たから(笑)」


「ほんとに⁉無理して無いだろうな‼」


「大丈夫(笑)予定通りお昼食べたら行こう‼」


「じゃあ連絡しとくな‼後で迎えに来るから‼」


りゅうはそう言って帰った


支度をしたがノーメイクのままの私
両親も写真を撮りたいと付き添った

メイクと髪を整え
白無垢を羽織る
綿帽子を被って
待ちぼうけの三人の前に私は立った


三人共目をまん丸とし
お母さんは涙ぐんでいた
お父さんはずっと私を見て頷いて

「よく似合ってるよ。幸せになるんだよ。」
お父さんの言葉を聞き涙が出ていた


りゅうも感慨深い表情で泣きそうだった


「みんな駄目ね~(泣)泣いたら折角のお化粧が台無しよ(笑)」

お母さんが空気を変えてくれた

メイクを直して貰い
私とりゅうの
結婚写真を三パターン撮り 両親とも写真を撮った


本番は来週の日曜日



私は二週間休みを取り万全の体制を整えた

No.497 10/06/09 22:07
夕焼け雲 ( PpQK )

式の前夜
りゅうから☎が来た


「明日は楽しんで
疲れたらすぐ言えよ」

「うん(笑)緊張しちゃうな」


「ちゃんと両親に挨拶しろよな❗」


「はい❗今からするの❗泣きそう(汗)」


「しっかりな❗じゃあ明日式場でな❗おやすみ❗」

「おやすみなさい❗」

私は深呼吸をして
一階に降りた


リビングにはお父さんキッチンにはお母さんが居た


「お父さん、お母さんちょっといい⁉」


緊張しまくる私と両親

私は床に手をつき


「お父さん お母さん…本当に迷惑を掛けっぱなしで
私のわがままを聞いてくれてありがとうございました。

そして本当にお世話になりました。

これからもまだわがままを言うと思いますが…よろしくお願いします。

私達をいつまでも見守って下さい(泣)」


お父さんは私を見つめお母さんは泣いていた

お姉ちゃんも降りて来て

「おめでとう」
と泣き笑いの顔で言ってくれた


「お姉ちゃん
ありがとう❗」


私は頭を下げたまま
泣き崩れた


「明日目が腫れたら大変よ(笑)」

お母さんは涙を拭いながらお茶を入れてくれた


区切りの夜だった

No.498 10/06/09 22:57
夕焼け雲 ( PpQK )

式当日

私はりゅうよりも早く式場入りし
支度をして貰った


久しぶりに逢う親戚や
友人に挨拶をし
りゅうのご両親とも
写真を撮った


式は滞りなく済み
披露宴も中盤に差し掛かった


共の挨拶の中で

「二人は遠回りした愛の様で それぞれを想った時間を過ごし
今日の日を迎えたのだと確信しています。
側で見ていて歯痒かったけど、僕もこんな人の愛し方が出来たらいいと思ってます。」

そう言って拍手喝采になった時
私達は共に感謝仕切れない程の気持ちで一杯だった


小さい頃からの写真が流され私達の記念すべき区切りに
いつもりゅうが傍にいた事を改めて感じていた

その後りゅうの挨拶

私は隣りに並び
りゅうの一つ一つの言葉を噛み締めた

No.499 10/06/09 23:33
夕焼け雲 ( PpQK )

「本日はお忙しい所僕達の為に足をお運び頂きありがとうございました。…中略…

僕達は確かに遠回りの付き合いをしてきました。
それは彼女の優しさと愛情だったと強く思っています。
彼女はいつも僕が大事な時期に自然と距離を保ってくれて…

そんな事も解らず僕は彼女に甘えてた事を
凄く後悔しています。
彼女は自分自身の弱さを感じたと距離を作る事が何回かありましたが、僕の為の時間だった事を痛感した時
僕はいかに甘えて弱いと情けなくなりました
今の僕があるのは恵のお陰でもあります。

僕はこれから
恵を…
一日でも多く…笑顔で一緒に過ごせる様に
頑張っていきます‼」

涙ながらに話すりゅうに皆が拍手を送った



りゅうから思いがけない言葉を聞いて
私も涙が止まらなかった

No.500 10/06/09 23:56
夕焼け雲 ( PpQK )

私達は入籍も済ませ
夫婦になった


ホテルに泊まり
りゅうは私を抱き抱えベットに運ぶ

私はりゅうを離さなかった


長く熱いキスをして
私達の新しいスタートが始まった



お互いが求めあい
私達は一つになる
ずっと一緒に
りゅうと 一緒に
私は生きていこう



りゅうが傷に唇を這わせる度に私は
命の有り難みを感じた
りゅうと生きていける
誇りが自信につながって
仕事も家事も私なりに頑張っていける(笑)

のんびり生きてもいいよね


それだけ沢山りゅうと一緒にいられる(笑)


私はりゅうの🏠で
暮らす事になっていた

これからも沢山
写真を撮ろうね(笑)
壁いっぱい
私達の写真を(笑)


そしていつもの道を
手を繋いで歩いて行こう

いつまでも…



追記
読んでくださった皆様へ

拙い文章を読んでくださりありがとうございました。
道Ⅱを書く予定でいます。
最後まで書かせて頂きありがとうございました。
またお逢い出来る日を楽しみに…。

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